JP4293017B2 - トナー及びトナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置 - Google Patents

トナー及びトナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、デジタル方式による電子写真画像形成に用いられるトナーに関し、特に小粒径で粒径分布が均一なポリエステル樹脂を主体としたトナー及び該トナーの製造方法、該トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置に関するものである。
電子写真方式による画像形成は、いまやデジタル方式に主流が移行している。デジタル方式による画像形成では、例えば1200dpi(1インチあたりのドット数、1インチは2.54cm)レベルの小さなドット画像を顕像化することに代表される様に、優れた細線再現性や高解像性を発現可能な小径のトナーが必須である。
そして、この様な小径トナーの製造例として、ポリエステル樹脂をはじめとするトナー用原料を有機溶媒に溶解し、この溶解成分を水系媒体中で乳化分散させ、該乳化分散液中の樹脂粒子をトナーサイズに凝集させるトナー製造方法が開示されている(特許文献1、2)。
ポリエステル樹脂をバインダーとしたトナー(以後、単にポリエステル樹脂トナーとも云う)は定着性が優れるというメリットがある。しかしながら、通常、ポリエステル樹脂トナーをオイルレス熱定着装置に適用する場合は、架橋度を制御して高分子量成分を形成し、溶融時の弾性率を高め、定着性と耐オフセット性を両立させる。しかしながら、架橋したポリエステル樹脂は一般に有機溶媒に不溶であり、前記した水系媒体中で均一な成分の乳化分散を達成することが難しい。即ち、部分的に架橋したポリエステル樹脂を用いて有機溶媒に溶解し、ゲル化成分を含んだ溶解成分を水系媒体中に乳化分散しても、均一な乳化分散が達成できず、結果的に粗大粒子を含んだトナーを生成し、その結果、白点状の転写ヌケ等の画像欠陥を発生させる。これは小径で粒度分布のそろったトナーの製造方法としては致命的な欠陥となる。このようなことから、水系媒体中に分散した前記方法から、耐オフセット性に優れたポリエステル樹脂トナーを得るには、前記した架橋ポリエステルに変わる技術開発が求められる。
又、ポリエステル樹脂トナーの他の問題としては、トナーの帯電量が低下しやすく、繰り返し使用すると帯電量が低下し、カブリ、トナー飛散等が生じて使用し難いという問題があった。これはポリエステル樹脂は化学構造上−COOH、−OH基等の官能基が残っており、安定な帯電性を維持することを阻害しているためと考えられる。加えて、前記した水系媒体中にポリエステル樹脂を分散してトナーを製造する方法では、ポリエステル樹脂中の水酸基やカルボン酸基が残存しやすい環境であり、トナーは帯電量が十分に安定せず、前記したカブリ、トナー飛散の問題が十分に解決されていない。
一方、前記した文献1には、顔料分散成分のマスターバッチにポリエステル樹脂を用い、その後のトナー化の課程でスチレンアクリル系樹脂を用いたトナーの製造例が記載されているが、この方法では得られたトナーの樹脂成分は圧倒的にスチレンアクリル系樹脂成分が多く、ポリエステル樹脂トナーの持つ前記した耐オフセット性や帯電量の安定性の改良には、何ら効果を発揮しえていない。
又、粉砕法で作製するポリエステル樹脂トナーとしては、ポリエステル樹脂の粉砕性を向上させる目的で、数平均分子量11000以下のスチレンもしくはスチレンアクリル系樹脂等、他の樹脂を結着樹脂中30質量%まで用いる方法が記載されている(特許文献3)。しかしながら、乳化分散したポリエステル樹脂からトナーを製造する前記したトナーの製造方法では、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を自由にブレンドし、前記した耐オフセット性や帯電量の安定性の改良に適用した記載は見られない。
特開2002−296839号公報 特開2002−351140号公報 特開平2−127657号公報
本発明の目的は、前記した種々の課題を解決した電子写真用トナーを提供することである。即ち、水系媒体中に分散した樹脂粒子から形成されたポリエステル樹脂を用いたトナーの帯電量の安定性を改良したトナー及びトナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置を提供することである。又、水系媒体中に分散した樹脂粒子から形成されたポリエステル樹脂を用いたトナーの耐オフセット性、定着特性の安定性を改良したトナー及びトナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
又、水系媒体中に分散した樹脂粒子から形成されたポリエステル樹脂を用いたトナーの転写抜けやトナーブリスタ(トナーが凝集することにより発生する画像欠陥)等の画像欠陥を改良したトナーを提供し、良好なデジタル画像を提供できる均一な粒度分布を有するポリエステル樹脂を主としたトナー及びトナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者は検討を重ねた末、ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させてなる分散液中で、樹脂粒子を凝集させてトナー粒子(トナーを構成する個々のトナー粒子を意味する)の形成を行うに際し、ポリエステル樹脂と共にスチレンアクリル系樹脂を混合し、両者の樹脂がミクロなレベルで混合されることにより、ポリエステル樹脂トナーが持つ帯電量の不安定さ、耐オフセット性の不十分さ及び転写抜けやトナーブリスタを解決し、均一な粒度分布のトナーを提供できることを発見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のいずれか1項に記載された構成を有することにより達成される。
(請求項1)
樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーであって、該トナーは、有機溶媒中に、質量比で、1:0.05〜1:0.30のポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られることを特徴とするトナー。
(請求項2)
樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーであって、該トナーは、水系媒体中にポリエステル樹脂粒子を分散させた分散液にスチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体を添加し、重合させて生成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られることを特徴とするトナー。
(請求項3)
トナー中の主たる樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2項に記載のトナー。
(請求項4)
ポリエステル樹脂と前記重合させて生成した樹脂粒子のスチレンアクリル系樹脂の含有量が、質量比で、1:0.05〜1:0.30であることを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー。
(請求項5)
樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、有機溶媒中に、質量比で、1:0.05〜1:0.30のポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成することを特徴とするトナーの製造方法。
(請求項6)
樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、水系媒体中にポリエステル樹脂粒子を分散させた分散液に、スチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体を添加し、重合させて生成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成することを特徴とするトナーの製造方法。
(請求項7)
感光体上に一様帯電工程、像露光工程、現像工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後、定着する画像形成方法において、該現像工程に用いられるトナーとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(請求項8)
感光体上に一様帯電手段、像露光手段、現像手段を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後、定着する画像形成装置において、該現像手段に用いられるトナーとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
実施例からも明らかなように、本発明の構成を有するトナーを用いることにより、水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるポリエステル樹脂をバインダー樹脂とした電子写真用トナーの帯電特性、耐オフセット特性、定着特性を改良し、且つ転写抜けやトナーブリスタの発生を防止できる良好な電子写真用トナーを提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明では樹脂粒子を凝集させる工程を有するものであるが、本発明でいう凝集に使用される樹脂粒子には溶媒を含有した状態にあるものも含まれ、例えば、樹脂溶液の液滴もこの範疇に含まれるものである。
次に、本発明に用いられるポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂について説明する。
本発明のトナーは結着樹脂としては、ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂を含有する。又、これらのポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂は水系媒体中で樹脂粒子の分散液を形成することが必要である。
本発明に好ましく用いられるポリエステル樹脂は下記のような2価以上のアルコール単量体と2価以上のカルボン酸単量体を用いて重縮合反応で形成される。
ここで、重縮合反応とは複数の官能基を有する化合物が水やアルコールの様な低分子の化合物を放出しながら次々に縮合反応を繰り返して高分子を生成する反応のことをいう。通常、よく知られた重縮合反応の例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との反応により水を放出してポリアミド(66ナイロン)を生成するものや、エチレングリコールとテレフタル酸エステルからアルコールの脱離を伴ってポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を生成する反応が挙げられる。
2価のアルコール単量体としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのエーテル化ビスフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどを例示することができる。
2価のカルボン酸単量体としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステルなどを例示することができる。
本発明においては多価アルコール単量体、多価カルボン酸単量体を使用することも可能である。
3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどを例示することができる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステルなどを例示することができる。
ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖し、トナ−帯電特性の環境安定性を改善する目的において、単官能単量体がポリエステルに導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
本発明で使用されるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、耐ホットオフセット性の見地から、通常3000以上、好ましくは5000〜60000、さらに好ましくは6000〜40000である。又、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。
本発明で使用されるポリエステル樹脂は、ウレタン変性ポリエステルと呼ばれる分子構造中にウレタン結合を有し変性されたものであってもよい。以下、ウレタン変性ポリエステルについて説明する。
ウレタン結合で変性されたポリエステルとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、前述した多価カルボン酸類と多価アルコール類を重縮合させて得られ、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらにポリイソシアネートと反応させたものなどが挙げられる。
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネートの比率は、低温定着性や耐ホットオフセット性の見地から、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレタン変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
本発明で使用されるウレタン変性ポリエステルは、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレタン変性ポリエステルの重量平均分子量は、耐ホットオフセット性の見地から、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。
ウレタン変性ポリエステルの数平均分子量は、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレタン変性ポリエステル単独の場合は、低温定着性やトナー画像の光沢性の見地から、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。ウレタン変性ポリエステルは、トナーの粒子強度を向上させる働きがあり、溶媒への溶解性も高いため、本発明には好適である。
本発明に用いられるスチレンアクリル系樹脂は、下記のようなスチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体、更にはアクリル酸等を用いて、連鎖重合法により形成することができる。
樹脂を構成する重合性単量体(本発明の単量体)として使用されるものは、スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、アクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
本発明のスチレンアクリル系樹脂はポリエステル樹脂と共に一旦有機溶媒に溶解して、その樹脂溶液を水系分散媒中に分散させてもよいが、ポリエステル樹脂を分散させた水系分散媒中に前記したスチレンやアクリル酸エステル等の単量体を滴下し、重合反応を進行させ、ポリエステル樹脂粒子表面にスチレンアクリル系樹脂を形成させてもよい。
本発明のトナーは、水系分散媒中から凝集させて得られるポリエステル樹脂トナーの前記した課題を解決する目的から、主たるトナー中の結着樹脂がポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂の帯電量の不安定さ、耐オフセット性の不十分さ等を改善する為に、スチレンアクリル系樹脂をポリエステル樹脂にミクロな混合状態で混合することにより達成することができる。このミクロな混合状態を安定に製造できる方法が、前記した請求項6〜8に記載されたトナーの製造方法である。
本発明のトナーでは、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂の比率は質量比で、1:0.05〜1:0.30が好ましい。スチレンアクリル系樹脂の比率が0.05未満では前記したトナーの帯電量の安定性や耐オフセット性、定着可能温度領域の改善効果が小さく、0.30より大きいとポリエステル樹脂が持つ高い定着性が発揮されない。
本発明のトナーに含有される着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用できる。黒トナーの調製に用いられる黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが挙げられ、磁性粉としては、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択し併用することが可能である。また、トナー中の無機顔料の含有量は2〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%である。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合、所定の磁気特性を発現させる観点から、トナー中の含有量は20〜120質量%が好ましい。
本発明に係るトナーに使用される有機顔料及び染料は、従来公知のものを用いることが可能で、具体的な有機顔料と染料を以下に例示する。
マゼンタトナーに使用されるマゼンタまたはレッドの有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロートナーに使用されるオレンジまたはイエローの有機顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
シアントナーに使用されるグリーンまたはシアンの有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよく、また複数の染料の混合物として使用してもよい。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばフッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において、荷電制御剤の使用量は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜2質量部の範囲がよい。
荷電制御剤は、水系媒体中に乳化したときに、分散液として加えるのが好ましい。
本発明のトナーに離型性を持たせるために、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、定着性を考慮して、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。尚、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
本発明に用いることができる離型剤(ワックス)としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、カルナウバワックス、合成エステルワックスが好ましい。これらの帯電制御剤、離型剤は着色剤、結着樹脂とともに溶融混練したり、有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。その際、微分散されている方が好ましいが、そのために、有機溶剤に加熱溶解させた後に冷却して析出させる方法や、ビーズ等のメディアとともに攪拌して有機溶剤中に機械的に微分散させる方法などが採用される。
また、ワックスを後に述べる界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱攪拌、乳化することによって得られる、ワックスのエマルジョンを作製し、凝集工程時に着色微分散液とともに凝集させ配合しても良い。
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に、5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は、表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が10nmから1μmのものが好ましい。
次に、本発明のトナーの製造方法について記載する。
本発明の請求項のトナーの製造方法は、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、有機溶媒中に、質量比で、1:0.05〜1:0.30のポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成することを特徴とする。
上記有機溶媒中に該ポリエステル樹脂と該スチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を作製するに当たり、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を有機溶媒の存在下に混合し、加熱して、溶融分散することが好ましい。この混合、溶融分散工程では、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂の他に、着色剤、必要であれば帯電制御剤、および離型剤を含むトナー成分を機械的に混合し、溶融分散することが好ましい。この溶融分散機としては、通常のインぺラーによる攪拌や、必要に応じて加熱処理を行なったり、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザーなどを用いることができる。
又、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂を混合し、加熱混練してもよい。この混合、混練工程でも、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂の他に、着色剤、必要であれば帯電制御剤、および離型剤を含むトナー成分及び有機溶媒を機械的に混合、溶融混練してもよい。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型2軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。
以上のような方法で溶融分散、或いは溶融混練により、有機溶媒中にポリエステル樹脂、スチレンアクリル系樹脂、及び必要により着色剤等のトナー成分を溶融分散した樹脂溶液(以後、分散相となる油性相、又は単に油性相とも云う)を作製することができる。
次に、前記油性相を、水系媒体中で乳化、分散する。その際、ホモミキサー(特殊機化社製)、エバラマイルダー(荏原製作所製)、クレアミックス(エムテクニック社製)などの乳化装置が用いられる。このときの乳化剤の濃度、トナー成分の有機溶剤に対する濃度や水系媒体と前記油性相の量比や乳化分散時の回転数、時間を制御することによって油性相を所望の液滴径と粒度分布にした分散液を得ることができる。好ましくは、目的のトナー粒子径の1/2〜1/100まで前記油性相を乳化分散するのが良い。油性相中のトナー成分と有機溶剤の質量比は1:10から1:1の間で、水系媒体と油性相の質量比は10:1から1:1の間で適宜好ましく選択されるが、もちろんこの範囲外でも良い。
水系媒体としては水、水と一部混合可能、無限希釈可能なメタノール、エタノールなどのアルコール系やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系、酢酸エチルなどのエステル系などの有機溶剤も水と併用して用いることができる。
油性相を作製する為に用いるトナー成分を溶解分散するための有機溶剤としては、水に対して不溶性あるいは難溶性、部分溶解性で、油性相を構成する樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および酢酸エステルが好ましい。
トナー成分(少なくともポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系樹脂)が分散された油性相を水系媒体中に所望の粒径まで乳化、分散する分散液(本発明の分散液、以後、単に分散液、乳化分散液とも云う)の作製の為の分散剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩が挙げられる。
また、高分子系保護コロイドにより水系媒体分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
得られた乳化分散液から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。その際、減圧下で行なうことが加熱温度を下げることができ好ましい。ワックスやその他トナー構成成分が有機溶剤に溶解するのを防止したり、乳化分散液の加熱による異常な凝集、会合、合一を防止するためである。この有機溶剤の除去工程は凝集工程の前に行なっても、凝集工程後に行なっても構わない。凝集工程の前に有機溶媒を除去すれば、凝集後の微粒子同士の融着、合一を促すことができる。
有機溶媒に溶解したものの別の処理法としては、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
凝集方法としては、水中で微粒子が荷電を有して分散している場合は、電解質などを投じて電気二重層を圧縮することにより、粒子同士を凝集させたり、高分子量の水溶性ポリマーの粒子同士を吸着させて凝集させたり、用いている界面活性剤や分散剤と逆荷電の物質を投入することにより、微粒子の表面の電荷を中和させ凝集させたり、吸着している界面活性剤や分散剤の対イオンを変化させたり、水系媒体に他の物質を投入することにより水系媒体への界面活性剤や分散剤の溶解性を変化させて分散安定性を弱めて凝集させる方法などが採用される。
その際、先に述べたワックスのエマルジョンや、極性基を有する樹脂微粒子とともに凝集させ、製造されるトナーに定着時の離型性を持たせたり、摩擦帯電性を強化したり、ガラス転移点の高い樹脂微粒子を比較的トナーの外側に配置することにより、高温保存時のトナー同士のブロッキングを防止することができる。
用いられる凝集剤は、例えば、電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、りん酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化ストロンチウム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化ルビジウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム等に代表される一般的な無機あるいは有機の水溶性塩を用いることができる。これら電解質の濃度は、1価の電解質を用いる場合0.01〜2.0mol/l、さらには0.1〜1.0mol/l、またさらには0.2〜0.8mol/lの範囲が好ましい。さらに、多価の電解質を用いる場合、その添加量はより少ない量でよい。界面活性剤であれば先に例示したもの、高分子系の凝集剤であれば、先に挙げた高分子保護コロイドを形成させるもののうち、特に超高分子量体のものが適当である。また、水系媒体に共存させて分散安定性を弱めて凝集させる物質としては、水溶性有機化合物であるエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
さらに、凝集後に分散液を加熱することにより、微粒子同士を融着させ、生成するトナーの形状を所望の球形化度、円形度係数まで調節することができる。界面張力によって球状化するが、そのときの加熱温度、時間(球形化処理)などにより球形から不定形まで任意に粒子形状を整えることができる。
以下に、本発明のトナーの好ましいトナー形状について記載する。
本発明に係るトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.94〜0.98、より好ましくは0.94〜0.97である。
円形度=(相当円の周囲長)/(トナー粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(トナー粒子投影像の周囲長)
ここで、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することができる。この時、円相当径は下式で定義される。
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2
又、本発明のトナーの形状は、円相当径の平均値が、2.6〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする。より好ましくは、円相当径の平均値が3.4〜6.6μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.040〜−0.020であるのがよい。
本発明者等は、質量が大きめで円形度が低い粒子に、ドット潜像上でくさびのように現像を行わせ、そのすきまを埋めるように小径で円形度の高い粒子を現像し、最密充填の状態になるように調整を行った。そうすると、例え、転写でチリが発生しても質量の小さな粒子からチリがでるので、ドットの輪郭はしっかりと残ることが判った。但し、粒子の円形度と円相当径は離散的に分布するのでは、効果が不十分であり、選択現像や選択転写を招来しやすくなるという問題点があった。
そこで、円相当径に対する円形度の傾きとして、連続的にそれらを変化させる概念を導き出すことで選択現像や選択転写の問題を解消するとともに、良好な定着性能を発現する範囲を見出した。
円相当径の傾きの測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000でトナー粒子の円相当径を測定し、それに対応する円形度との関係を、横軸:円相当径(μm)−縦軸:円形度として描き、その一次の相関(y=αx+b)をみれば、αが円相当径の傾きとなる。
この時、帯電の均一性、ハーフトーンの均一性を高める観点からR2(Rの2乗)は0.35〜0.95が好ましい。ここにおいてRは下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
R=A/B
式中、A、Bは各々下記式を表す。
A=nΣXY−(ΣXΣY)
B=(nΣX2−(ΣX)2)×((nΣY2)−(ΣY)2
Xは円相当径(μm)、Yは円形度を表す。
得られた凝集粒子の分散液は、乾燥雰囲気中に噴霧して、凝集粒子中に残存している非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。凝集粒子の分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。乾燥前に固液分離して洗浄水を加え、再分散(リスラリー)する操作を繰り返し行なえば、用いた分散剤、乳化剤をほとんど除去することができる。
粗大なトナー粒子が存在した場合は、液体中で分球操作を行うことが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。以上は、請求項に関するトナーの製造方法における凝集方法についての記載である。
尚、請求項のトナーの製造方法で作製されたトナーは、該トナーを構成するトナー粒子の内層(核部を含む)から外層までポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂の存在比が均一なトナーを作製することができる。
又、請求項のトナーの製造方法、即ち、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、水系媒体中にポリエステル樹脂粒子を分散させた分散液に、スチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体を添加し、重合させて生成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成する場合の凝集方法としては、ポリエステル樹脂を含む油性相を分散させた水系分散媒(本発明の前記した分散液に)中に前記したスチレンやアクリル酸エステル等の単量体を滴下し、重合反応を進行させ、ポリエステル樹脂粒子表面にスチレンアクリル系樹脂を形成させ、その後、分散液中の油滴を凝集することにより、本発明のトナーが得られる。この場合、樹脂成分以外のトナー成分、即ち、着色剤や耐電制御剤成分は、ポリエステル樹脂の分散液を作製する際に混合、分散することが好ましい。
請求項のトナーの製造方法で得られるトナーは、スチレンアクリル系樹脂がポリエステル樹脂を覆う形態を有するトナー粒子が得られやすい。即ち、トナー粒子の内層(核部を含む)に比し、外層にスチレンアクリル系樹脂を相対的に多く含むトナーが得られやすい。
請求項のトナーの製造方法では分散液の油滴の凝集工程以後の操作は、前記した請求項のトナーの製造方法と同じ操作を行えばよい。
次に、本発明のトナーを用いた現像剤について記載する。
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1〜10質量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
本発明のトナーは該トナーを形成するトナー粒子が高い強度を有することと、強い負帯電性を発現することが確認されており、この様な特性から本発明に係るトナーは、特に非磁性一成分系の現像剤として好適である。
本発明に係るトナーがこの様な特性を発現する理由は明らかではないが、以下の理由によるものと推測される。
先ず、トナー粒子が高い強度を発現するのは、トナー粒子製造時に樹脂粒子(あるいは樹脂溶液液滴)が分子レベルで融合しながら凝集されるので、個々の粒子が強固に凝集してこの様な高い強度が発現できる様になったものと推測される。
また、トナー粒子が球に近い丸みを帯びた形状を有することにより、トナー粒子に応力が加えられてもこの応力を適度に逃がしていることでトナー粒子が破壊されないことも推測される。
次に、強い負帯電性が得られる理由としては、樹脂がポリエステルやポリオール、あるいはポリウレタンといった帯電性の強い樹脂よりなることと、トナー粒子が丸みを帯びていることによりトナー粒子が自転し易く摩擦帯電が効率よく行えることによるものと推測される。
さらに、本発明に係るトナー粒子を構成する樹脂は、水系媒体中での弾性率が低いことから凝集後に異形化し易く、クリーニング性能にも優れた効果を発現することが確認されている。
次に、本発明に係るトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置を説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。34は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に有機光導電体(OPC)の感光体層を有し、矢印方向に所定の速度で回転する。
図1では、図示しない原稿読取装置により読み取られた情報に基づいて、半導体レーザ光源31から露光光が発せられる。露光光はポリゴンミラー32により、図1の紙面と垂直方向に振り分けられ、画像の歪みを補正するfθレンズ33を介して、感光体面上に照射され静電潜像を形成する。感光体ドラム34は、予め帯電器(帯電手段)35により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器36により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写材38に転写器37の作用により転写される。更に感光体ドラム34と転写材38は分離器(分離極)39により分離されるが、現像像は転写材38に転写担持されて、定着装置40へと導かれ定着される。
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器(クリーニング手段)41にて清掃され、帯電前露光(PCL)42にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器35により、一様帯電される。
本発明のトナーを非磁性一成分現像剤として用いる場合、図1の現像器36には非磁性一成分現像剤用の現像器が用いられる。図2は該非磁性一成分現像剤に用いられる現像器の一例を示す概略断面図である。
図2で、34は感光体ドラム、36aは現像ローラ、36bは金属弾性ブレード、36cは非磁性一成分トナー、36dは撹拌羽根、36eはリカバリープレート、36fはシリコン樹脂を示す。なお、現像ローラ36aはその表面がシリコン樹脂36fで被覆されたものを用いるものである。
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。図3は、本発明に係るトナーを使用可能なデジタル画像形成装置を示す概略構成図である。
図3において、画像形成装置101は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての感光体ドラム34上に書き込みを行う書き込みユニット112を含む書き込み部Dと、感光体ドラム34及びその周囲に帯電器35、磁気ブラシ型現像装置からなる現像器36、転写器37、分離器39、クリーニング器41等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ122、124のための収納部Fを有している。
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台126と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部128とを主要素とする。
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット130、131、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)133、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)135等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源31、ポリゴンミラー(偏光器)32等からなる。
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写器37の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離器39の下流側に40で示してあるのは定着手段である。
定着手段40は、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
また、Zは定着手段40のためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
原稿載置台126上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部128によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット130、131およびレンズ133を経てCCD135上に結像され、読み取られる。
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源31が駆動され、感光体ドラム34上に露光が行われる。
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
本発明では、モノクロ画像だけではなく、フルカラーの画像形成にも適用可能で、例えば複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットでそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成してフルカラーのトナー画像形成を行う画像形成方法が挙げられる。
本発明に係るトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
図4は、本発明に係るトナーを用いた画像形成方法に使用される定着装置の代表的な一例を示す断面図で、図4中の定着装置40は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを有する。図4中のTは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げられる。
芯金81の肉厚は0.1〜15mmであり、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。特に、特開2002−189367号公報に開示される肉厚の薄い芯金よりなる定着ローラに好ましく適用される。
被覆層82を構成する具体的なフッ素樹脂は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げられる。被覆層82の厚みはフッ素樹脂を用いた場合10〜500μm、好ましくは20〜400μmである。
また、被覆層82用の弾性体として、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどが挙げられる。被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満、好ましくは60°未満である。また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mm、好ましくは0.1〜20mmである。
線状ヒータとして好適に使用される加熱部材75としては、ハロゲンヒーターが挙げられる。
加圧ローラー72は、芯金83の表面に弾性体からなる被覆層84を形成してなる。被覆層84を構成する弾性体は特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムやスポンジゴムが挙げられる。
被覆層84を構成する弾性体は、そのアスカーC硬度が80°未満、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満である。また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜20mmである。芯金83を構成する材料は特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅等の金属やこれらの合金が挙げられる。
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)は、通常40〜350N、好ましくは50〜300N、更に好ましくは50〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば肉厚が0.3mmの鉄製の芯金よりなる加熱ローラーでは、当接荷重を250N以下とすることが好ましい。
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅を4〜10mmとすることが好ましく、また、当該ニップ面圧を0.6×105Pa〜1.5×105Paとすることが好ましい。
図4に示す定着装置における具体的な定着条件は、例えば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150〜210℃、定着線速が230〜900mm/secという条件で良好な定着性能が得られる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、以下の例において、部および%は、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
(ポリエステル樹脂1の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物103部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物240部、テレフタル酸133部、1,6−ヘキサメチレンジカルボン酸16.5部、トリメリット酸16.5部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに1.33〜1.99Pa(10〜15mmHg)の減圧条件下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、数平均分子量3800、Mw/Mn=4.0、ガラス転移温度Tg=52℃の[ポリエステル樹脂1]を得た。
(トナーの製造例1)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体からなる樹脂 10部
(スチレン比率80質量%、Mn12300、Mw/Mn5.6、Tg65℃)
ポリエステル樹脂1(上記で作製したポリエステル樹脂1) 90部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 4.5部
Pigment Blue 15:3 0.5部
カルナウバワックス(酸価1.5、フレーク状) 5部
帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロンE−84) 2部
上記材料をミキサーで混合後、酢酸エチル200部とサンドミルを用いて45℃で溶解分散し、分散相となる油相を作製した。
別途、
イオン交換水 700部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
を攪拌分散し連続相となる水相を作製した。水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌しながら油相を投入し、攪拌回転数を調整することにより、体積平均粒径約0.5μmの油滴を作製した。その後50℃で減圧溜去して酢酸エチルを除去し、黒灰色の乳濁液を得た。インぺラーの備わった攪拌タンクに得られた分散液を移し、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で攪拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を90℃で撹拌を続け、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾル−ゲル法で得られたシリカゾルにヘキサメチルジシラザン処理を行い乾燥、粉砕処理を施した粒径137nmのシリカ)1.8質量部、及び気相法で製造し、オクチルメトキシシラン処理したシリカ(粒径14nm)0.3質量部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き50μmの篩を通過させることにより、粗大粒子や凝集物を取り除くことによりトナー1を得た。
(トナーの製造例2〜8)
トナー1の製造において、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体からなる樹脂の量とポリエステル樹脂の量を表1のように変化させた以外は同様にして、電子写真用トナー2〜トナー8を作製した。トナー1〜8の樹脂組成及びトナー円形度の平均値、トナー円形度の傾きを表1に示す。
Figure 0004293017
トナー1〜8のそれぞれのトナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームでトナー粒子断面を削りだしたのち、該トナー粒子断面を、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で分析したところ、トナー1〜8の各々のトナー粒子は、トナー内層から外層まで、スチレンアクリル系樹脂とポリエステル樹脂の含有分布(存在比)が均一であることが確認された。
現像剤1〜8の作製
前記1〜8のトナーをトナー毎に、トナー10質量部と、シリコーン樹脂で被覆した体積平均粒径55μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、現像剤1〜8を作製した。
評価
評価機として、基本的に図3の構成を有するコニカ社製デジタル複写機Konica「Sitios7050」改造機(有機感光体、コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、ブレードクリーニング、熱定着装置を有し、プリント速度:A4紙50枚/min)を用い、該複写機に現像材1〜8を搭載し評価した。評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4中性紙に複写して行った。複写条件は高温高湿環境(33℃、80%RH)及び低温低湿環境(10℃、20%RH)にて、各10万枚のコピーを行いハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を評価した。評価項目及び評価基準を下記に示す。
画像濃度の環境依存性
帯電の湿度依存性に起因する画像濃度の変化を調べた。本体装置の湿度補正プログラムはOFFにして評価した。
マクベス反射濃度計にてソリッド(べた黒)画像部の最高画像濃度を測定した。コピースタート時、及び5万枚毎に、計5回測定し、5回の平均値の画像濃度の差で評価した。
◎:高温高湿環境(33℃,80%RH)と低温低湿環境(10℃,20%RH)の画像濃度の差が0.05未満(良好)
○:高温高湿環境(33℃,80%RH)と低温低湿環境(10℃,20%RH)の画像濃度の差が0.05〜0.1(実用上問題なし)
×:高温高湿環境(33℃,80%RH)と低温低湿環境(10℃,20%RH)の画像濃度の差が0.1より大きい(実用上問題あり)
機内汚染
前記20万枚のコピー後、現像器下に飛散したトナー量を評価した。
◎:トナー飛散は検知されない(良好)
○:さわれば若干手が汚れる程度であるが、清掃の必要はなく継続して使用可能(実用上問題なし)
△:乾いた布で清掃すれば継続して使用可能(継続するには保守を要する)
×:乾いた布ではふき取りきれず、清掃に電気掃除機が必要なほど汚染されている(実用上問題あり)
耐オフセット性
A4サイズの転写紙に1000枚連続印字した後、白紙を印字し、オフセットによる白紙への汚れの発生状況と定着装置の加熱ローラー表面のトナー汚れを目視にて評価した。なお、評価に使用する転写紙としては上質紙200g/m2の厚紙を使用し、紙進行方向(加熱ローラー周方向)に平行な、幅0.3mm、長さ150mmの線画像を形成した。尚、定着装置の条件は下記のように設定した。
(定着装置の条件)
ヒーターを中央部に内蔵し、直径30mmφ、厚み2mmの円筒アルミ合金の表面をテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)で被覆したローラを加熱ローラとして有し、直径29mmφ、厚み3mmの円筒アルミ合金の表面をスポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48:厚み8mm)で表面を被覆し、更にその上にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)を被覆した加圧ローラを有している。ニップ圧は10.8N/cm2(総圧=194N)でニップ幅は5.8mmとした。
◎:白紙上の画像オフセット、加熱ローラー上のトナー汚れ共に全く見られない(良好)
○:白紙上の画像オフセット発生は確認されないが、加熱ローラー上にトナー汚れが認められる(実用上問題なし)
×:白紙上に画像オフセットが確認される(実用上問題あり)
定着可能温度領域
耐オフセット性を評価した定着装置の加熱ローラー温度を130℃〜240℃まで10℃刻みで変更しつつ定着画像を作製した。なお、定着画像の出力に当たっては、A4サイズの普通紙(坪量64g/m2)を使用した。
◎◎:定着可能温度領域が100℃以上ある(非常に良好)
◎:100℃未満70℃以上である(良好)
○:70℃未満40℃以上である(実用化可能)
×:40℃未満である(実用化不可)
転写抜け
濃度0.4のハーフトーン画像を転写紙(坪量200g/m2)の両面に形成し、転写抜けによるホワイトスポットの発生を目視にて評価した。
◎◎:まったく転写抜けがない(非常に良好)
◎:画像100枚あたり裏面のみ1〜2個の転写抜けが存在するものの、凝視しなければ判別できない(良好)
○:画像50枚あたり1〜4個の転写抜けが存在するものの、凝視しなければ判別できない(実用上問題ない)
×:画像50枚あたり、表裏関係なく、5個以上の明瞭な転写抜けが存在する(実用上問題あり)
トナーブリスタ
転写材上の付着量が1.6m質量部/cm2となるよう画像を形成し、画像に0.1〜0.5μm程度の穴、すなわちトナーブリスタがあるか観察した。
◎:まったくトナーブリスタがない
○:4cm2あたり1〜2個のトナーブリスタが存在するものの、凝視しなければ判別できない(実用上問題ない)
×:4cm2あたり3個以上の明瞭なトナーブリスタが存在する(実用上問題あり)
評価結果を表2に示す。
Figure 0004293017
表2から明らかなように、本発明の請求項1の構成を有するポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有するトナー1〜7は本発明外の構成を有するポリエステル樹脂のトナー8に比し、画像濃度の環境依存性、機内汚染、耐オフセット性、定着可能温度領域、転写抜け、トナーブリスタのいずれの評価においても改善されている。特に、トナー中のスチレン−アクリル系樹脂(対ポリエステル樹脂)の質量比が0.05〜0.30の範囲にあるトナーNo.1、3、4は改善効果が顕著である。
実施例2
(ポリエステル樹脂2の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570部、テレフタル酸217部を常圧下、230℃で6時間反応し、さらに1.33〜1.99Pa(10〜15mmHg)の減圧条件下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、数平均分子量4500、Mw/Mn=4.0、ガラス転移温度Tg=60℃の[ポリエステル樹脂2]を得た。
(トナーの製造例17)
ポリエステル樹脂2(前記で作製したポリエステル樹脂2) 75部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 4.5部
Pigment Blue 15:3 0.5部
帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロンE−84) 2部
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後、トルエン200部に得られた混練物を攪拌機のついたタンク中で溶解分散し、分散相となる油相を作製した。
別途、
イオン交換水 250部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3.5部
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド 0.035部
を攪拌分散し連続相となる水相を作製した。水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌しながら油相を投入し、攪拌回転数を調整することにより、体積平均粒径約0.5μmの油滴を作製した。その後50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、黒灰色の乳濁液を得た。該分散液を温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に移し、攪拌を開始した。
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、下記重合開始剤溶液A全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン13.1部とアクリル酸n−ブチル5.90部とメタクリル酸1.00部とを滴下しながら投入し、前記分散液の油相を形成するポリエステル粒子の表面にスチレンアクリル重合体を形成した。続いて、該分散液に、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で攪拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を90℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾル−ゲル法で得られたシリカゾルにヘキサメチルジシラザン処理を行い乾燥、粉砕処理を施した粒径137nmのシリカ)1.8質量部、及び気相法で製造し、オクチルメトキシシラン処理したシリカ(粒径14nm)0.3質量部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き50μmの篩を通過させることにより、粗大粒子や凝集物を取り除くことによりトナー17を得た。
重合開始剤溶液A
2質量%の過硫酸カリウム22部水溶液及び2質量%のアスコルビン酸水溶液を混合した溶液を重合開始剤溶液Aとする。
(トナーの製造例18〜24)
トナー17の製造において、ポリエステル樹脂の量及びスチレン、アクリル酸n−ブチル及びメタクリル酸の滴下量を表5のように変化させた以外は同様にして、電子写真用トナー18〜トナー24を作製した(但し、トナー24の作製においては、重合開始剤溶液Aも添加しなかった)。
上記、トナー17〜トナー24の製造において用いられたスチレン、アクリル酸n−ブチル及びメタクリル酸の各単量体の重合後の残存量はガスクロマトグラフィのよる分析の結果(重合後の分散液で測定した)、全てのトナーで、0.01質量%以下であり、この結果から、加えられた各単量体はほぼ全て重合し、表5に示した質量部のスチレンアクリル系樹脂が形成されたと考えられる。トナー17〜24の樹脂組成及びトナー円形度の平均値、トナー円形度の傾きを表5に示す。
Figure 0004293017
トナー17〜24のそれぞれのトナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームでトナー粒子断面を削りだしたのち、該トナー粒子断面を、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で分析したところ、トナー17〜24の各々のトナー粒子は、トナー粒子の内層に比し、相対的に外層にスチレンアクリル系樹脂を多く含むことが確認された。
現像剤17〜24の作製
前記17〜24のトナーをトナー毎に、トナー10質量部と、シリコーン樹脂で被覆した体積平均粒径55μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、現像剤17〜24を作製した。
上記、現像剤17〜24を用い、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表6に示す。
Figure 0004293017
表6から明らかなように、本発明の請求項3の構成を有するポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有するトナー17〜23は本発明外の構成を有するポリエステル樹脂のトナー24に比し、画像濃度の環境依存性、機内汚染、耐オフセット性、定着可能温度領域、転写抜け、トナーブリスタのいずれの評価においても改善されている。特に、トナー中のスチレン−アクリル系樹脂(対ポリエステル樹脂)の質量比が0.05〜0.30の範囲にあるトナーNo.17、19、20は改善効果が顕著である。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 非磁性一成分現像剤に用いられる現像器の一例を示す概略断面図である。 本発明に係るトナーを使用可能なデジタル画像形成装置を示す概略構成図である。 本発明に係るトナーを用いた画像形成方法に使用される定着装置の代表的な一例を示す断面図である。
符号の説明
34 感光体ドラム
35 帯電手段
36 現像器
40 定着装置
41 クリーニング手段

Claims (8)

  1. 樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーであって、該トナーは、有機溶媒中に、質量比で、1:0.05〜1:0.30のポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られることを特徴とするトナー。
  2. 樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーであって、該トナーは、水系媒体中にポリエステル樹脂粒子を分散させた分散液にスチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体を添加し、重合させて生成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られることを特徴とするトナー。
  3. トナー中の主たる樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2項に記載のトナー。
  4. ポリエステル樹脂と前記重合させて生成した樹脂粒子のスチレンアクリル系樹脂の含有量が、質量比で、1:0.05〜1:0.30であることを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー。
  5. 樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、有機溶媒中に、質量比で、1:0.05〜1:0.30のポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成することを特徴とするトナーの製造方法。
  6. 樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られるトナーの製造方法において、水系媒体中にポリエステル樹脂粒子を分散させた分散液に、スチレン系単量体及びアクリル酸エステル系単量体を添加し、重合させて生成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて、トナー粒子を形成することを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 感光体上に一様帯電工程、像露光工程、現像工程を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後、定着する画像形成方法において、該現像工程に用いられるトナーとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
  8. 感光体上に一様帯電手段、像露光手段、現像手段を経て形成した未定着トナー画像を、記録材へ転写して後、定着する画像形成装置において、該現像手段に用いられるトナーとして、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
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