JP2007057887A - 静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法 - Google Patents

静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法 Download PDF

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康浩 有馬
Atsushi Sugawara
淳 菅原
Shinya Nakajima
真也 中嶋
Yasuhiro Oya
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Abstract

【課題】 定着性、画質特性および耐ブロッキング性に優れた静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子を含み、該トナー粒子表面にポリシラザンからなるセラミックス薄膜層を有する静電荷現像用トナー;トナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布する塗布工程と、触媒を含む水または触媒と共に水を接液させる触媒硬化工程とを含む静電荷現像用トナーの製造方法;前記本発明の静電荷現像用トナーを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真技術において、静電荷像の現像の為に使用することが可能な静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法に関する。
静電潜像を経て画像情報を可視化する電子写真法は、現在様々な分野で利用されており、米国特許第2297691号、同第2357809号の各明細書等に記載されているように公知である。
かかる電子写真法は、一般には、帯電・露光工程において感光体表面に静電潜像を形成し、現像工程においてトナーを含む現像剤を用いて該静電潜像を現像してトナー像を形成し、転写工程において該トナー像を紙、シート等の被転写体表面に転写し、定着工程において熱、溶剤、圧力等を利用して前記トナー像を被転写体表面に定着し、永久画像を得る方法である。そのため、トナーは、これらの各工程における要求特性を満たしている必要がある。
一般にトナーは、複写を繰り返す間、現像機内で帯電付与部材や他の部材との接触によりストレス並びに衝撃力を受けているため、構造的、特性的に劣化を起こし画質に影響を及ぼす場合がある。したがって、長期にわたって信頼性の高い画質を確保するためには、機械的な衝撃力に耐え得る強靭なバインダー設計を行うことが望まれる。
そのため多くの場合、バインダー樹脂の分子量を大きくすることが考えられるが、分子量の大きい樹脂は軟化温度が高くなり、定着工程で懸念が生じることとなる。すなわち、オーブン定着やラジアント定着といった非接触型の定着方法では、熱効率が悪く十分な定着性が期待できない。また、熱効率が比較的良い熱ローラ方式においても、トナーを十分に定着させるためには、熱ローラの温度を高くする必要があり、近年の複写機の高速化、小型化に伴いトナーに強く望まれる低温定着性と相反することになる。
熱ローラによる定着方式や、それと同種の技術としてローラの一方または両方をベルトに代えた定着方式は、熱ローラあるいはベルト(以下、単に「熱ローラ等」という場合がある。)の表面と被定着部材であるトナー表面とが圧接触するため熱効率が良く、広く利用されているが、熱ローラ等の表面とトナー表面とが接触する際、熱ローラ等の表面に付着したトナーが後から送られてくる紙等の被転写体に移る、いわゆるオフセット現象を生じる場合がある。
一般に、紙等の被転写体表面への定着が不十分な場合に起こるオフセットをコールドオフセット、被転写体表面のトナーが過度に加熱されたことによって発生するオフセットをホットオフセットと呼ばれる。トナーそのものの定着下限温度は、コールドオフセットの発生温度とホットオフセットの発生温度との間にあるため、実際に定着可能な温度領域は、定着下限温度とホットオフセットとの間となり、定着下限温度を極力下げ、ホットオフセットの発生温度をできるだけ上げることによって、定着温度領域を拡大しかつ低温定着性を付与することができる。したがって、通常、トナーには低温定着性と耐オフセット性とが要求される。
さらに最近では、フルカラー複写機が注目を浴びており、定着性の面からフルカラー独自の要求特性を満たす必要性も生じてきている。
フルカラー複写の画像形成方法は、減法彩色法等の三色合成方法を基礎としている。具体的には、まず、露光により感光体表面に少なくとも3種類の静電潜像を形成した後、トナーを一色ずつ用いて複数回現像、転写を繰り返し、紙等の同一被転写体上に少なくとも3種のトナー像を重ね合わせたトナー層を形成させる。次いで、このように重ね合わされたトナー像を熱ローラ等を用いて1回で定着させるものである。
この場合、現像、転写工程が1回である白黒現像に比べ、カラー現像では数種のトナー層が重ねられている分だけ定着像の厚さが厚くなり、その分定着の際オフセットが発生しやすい。また、カラー画像の場合、被転写体表面での画像面積が大きくなるため、定着像のフィルム強度が小さい場合、画像に亀裂が生じ、光沢が損なわれたり、折り曲げた際に画像欠損を生じる恐れがある。
したがって、定着されるカラートナーには、熱溶融時の凝集力と、優れたフィルム強度と、適度な光沢とが要求される。
そこで、定着像のフィルム強度を改善するための手段として、トナー中の結着樹脂の分子量を増大させる手段や、熱溶融時の表面凝集力を高める目的で、結着樹脂のモノマーに三価以上の単量体を導入して部分的な架橋構造を導入する手段が取られている。しかし、結着樹脂の分子量を上げたり、架橋構造を導入したり等の手段によれば、耐オフセット性やフィルム強度の改善には効果はあるものの、定着下限温度の上昇を招くばかりではなく、トナーの製造工程において、混練粉砕法によるトナーでは粉砕性の悪化が予想され、乳化凝集法のトナーでは乳化性が悪化が予想され、定着性と粉砕性あるいは乳化性との両立が大きな課題である。
上述のように、結着樹脂側に凝集力を持たせるには限界があるため、加熱ローラ等の定着部材表面からの剥離性を改善する目的として、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキルアミド化合物、エステル化合物等の低分子量成分の添加が試みられている。しかし、これらの方法においては、耐オフセット性を改善できるものの、従来の混練粉砕法で得られるトナーの場合、離型剤である低分子量成分をきっかけとして粉砕されるため、トナー表面に低分子量成分が露出してしまい、ブロッキングを誘発したり、トナーの流動性を損なったり等、トナーや現像剤の保存安定性に懸念が生じることがある。
また一方で、デジタル画像のハーフトーン階調性、粒状性を得る等の高画質化の要請からトナーの小粒子径化が進んでおり、好ましいトナー粒子径は9μm以下であることが知られている。しかし、トナーは粒子径が小さいほどファンデルワールス力が大きくなるため、トナー同士が凝集し、混練粉砕法によるトナーの製造工程においては分級効率が悪化し、乳化凝集法等の湿式製法においては、乾燥工程が複雑になる懸念があり、結果として生産効率が低下し、製造コストの上昇を招くという問題がある。
そこで、粉体流動性を確保するため、従来より無機または有機微粒子をトナーに添加する方法が提案されている。しかし、これらの方法では、初期的には効果あるものの、長期にわたって複写が繰り返されると、現像機の攪拌ストレスによって、トナー表面の微粒子は次第にトナーの表面から内部へ埋め込まれ、帯電量低下に伴う画像の濃度低下や現像剤の流動性悪化に伴う現像性悪化を引き起こす懸念がある。また、カラー画像のように、複数回現像、転写を繰り返す場合、感光体上は劣化したトナー表面の離型剤や、遊離した外添剤にさらされる頻度が高くなるため、感光体表面自体に、トナー成分や外添剤が付着して感光体汚染を生じ、画像欠陥を誘発したり、感光体寿命を短くしたりする他、トナーの転写性を悪化させる場合があった。
さらに、近年複写機技術の海外進出に伴い、複写機および現像剤の輸出が盛んに行われているが、その輸出の多くは、安価な船便で行われている。しかし、船便では、輸出先によっては、赤道を跨いだり、数十日間船底の高温多湿条件下にさらされた状況で搬送されたりする為、搬送中に、複写機またはカートリッジ内でトナーが凝集したり、固化したりしてしまい、輸出先の複写テストでコピー画像が現れないというトラブルも発生してしまう場合もある。
そのため、トナーの保存安定性の観点では、上記のような過酷なストレスにも耐え得るような材料設計が望まれる。
特開平09−269611号公報 特開平07−239573号公報
そこで本発明は上述のような実情に鑑み、その改善を図るべくなされたものであり、その目的は、下記i)〜iv)の全ての条件を満たす静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法トナーを提供することにある。
i)定着されたトナー像に亀裂等なく、折り曲げ等の外的応力によって画像欠損を生じない優れた定着強度を有し、且つ耐オフセット性に優れる。
ii)長期にわたる画像形成装置の使用によっても、トナー表面に外添剤が埋り込みにくく、画像濃度の低下や、感光体汚染ないし転写不良等による画質欠陥等が生じにくい。
iii)ハーフトーン階調性、粒状性および細線再現性に優れた高画質対応である。
iv)あらゆる環境下において粉体としての長期保存安定性、すなわち耐ブロッキング性を有する。
本発明者等は、定着性、画質特性、耐ブロッキング性に優れたトナーを探索すべく鋭意研究を重ねた結果、トナー粒子の表面に特定のセラミックス薄膜層を有するトナーを用いることによって、上記条件i)〜iv)を悉く達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1> 結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子を含み、該トナー粒子表面にポリシラザンからなるセラミックス薄膜層を有することを特徴とする静電荷現像用トナーである。
<2> 前記トナー粒子の表面におけるセラミックス薄膜層の被覆率が、20〜80%の範囲内であることを特徴とする<1に記載の静電荷現像用トナーである。
<3> 前記セラミックス薄膜層が、下記一般式(1)で表されるポリシラザンからなることを特徴とする<1>または<2>に記載の静電荷現像用トナーである。
・一般式(1)
Figure 2007057887
(上記式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素原子である。また、XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基から選ばれる末端基を表すか、R1、R2またはR3と結合して部分的に環を形成するか、あるいは、XとYとが結合して全体として環を形成する。また、nは7〜50の間の整数である。)
<4> 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする<1>〜<3>いずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
<5> 前記離型剤の融点が50〜110℃の範囲内であり、前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対して2〜30質量部の範囲内であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
<6> 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布する塗布工程と、
ポリシラザンを含む溶液を塗布された前記トナー粒子に、触媒を含む水または触媒と共に水を接触させる触媒硬化工程と、
を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
<7> <1>〜<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤である。
<8> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして、<1>〜<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法である。
本発明によれば、定着性、画質特性および耐ブロッキング性に優れた静電荷現像用トナーおよびその製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像剤および画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を、静電荷現像用トナー、静電荷現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、画像形成方法の順に大きく分けて説明する。
<静電荷現像用トナー>
本発明の静電荷現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子を含み、該トナー粒子表面にポリシラザンからなるセラミックス薄膜層を有することを特徴とする。本発明のトナーは、このセラミックス薄膜層を有するトナー粒子に、必要に応じて外添剤が外添される。
(セラミックス薄膜層)
本発明のトナーにおいて、トナー粒子の表面に被覆されるセラミックス薄膜層は、ポリシラザンからなるものである。
ポリシラザンとは、少なくともSi−N結合を主骨格とするポリマーであり、本発明で用いるポリシラザンは、ポリシラザン単独は勿論のことポリシラザンの構造単位と他のポリマーの構造単位との共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用でき、これらも本発明に言う「ポリシラザン」の概念の中に含まれる。
本発明に特徴的なポリシラザンには、鎖状、環状、あるいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら各種構造のポリシラザンを単独で、あるいは複数を混合して利用することができる。
本発明に用いることができるポリシラザンの代表例としては、下記の様なものがあるが、本発明に使用可能なポリシラザンは、これらに限定されるものではない。
かかるポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表されるものを好適なものとして挙げることができる。
・一般式(1)
Figure 2007057887
(上記式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素原子である。また、XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基から選ばれる末端基を表すか、R1、R2またはR3と結合して部分的に環を形成するか、あるいは、XとYとが結合して全体として環を形成する。また、nは7〜50の間の整数であり、好ましくは8〜48の間の整数、より好ましくは10〜45の間の整数である。)
上記一般式(1)中のR1、R2およびR3が水素原子であるものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造方法は、例えば特開昭60−145903号公報や、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.,C−13,January 1983に報告されている。これらの方法で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分とを含み、下記化学式(2)で表すことができる。
・化学式(2)
Figure 2007057887
ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を示すと下記化学式の如くである。
Figure 2007057887
上記一般式(1)において、R1およびR2に水素原子、R3にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.SeyferthらPolym.Prepre.Am.Chem.Soc.,DIV.Polym.Chem,.25,10(1984)に報告されている。この方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2NCH3)−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造を持たない。
上記一般式(1)において、R1およびR3に水素原子、R2に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの製造方法は、D.SeyferthらPolym.Prepre.Am.Chem.Soc.DIV.Polym.Chem,.25,10(1984)、特開昭61−89230号公報に報告されている。これらの方法により得られるポリシラザンには、−(R2SiHNH)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや(R3SiHNH)x〔(R2SiH)1.5N〕1-X(0.4<X<1)の化学式で示すことができる、分子内に鎖状構造と環状構造とを同時に有するものがある。
上記一般式(1)において、R1に水素原子、R2およびR3に有機基を有するポリシラザン、またR1およびR2に有機基、R3に水素原子を有するポリシラザンは、−(R12SiNR3)−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の環状構造を有している。
次に、本発明に用いることができるポリシラザンの内、一般式(1)で表される以外のものの代表例をあげる。
ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.,C−132,July 1984.において報告されている様な、分子内に架橋構造を有するものもある。一例を示すと下記化学式の如くである。
Figure 2007057887
また、特開昭49−69717号公報に報告されている様なR1SiX3(X:ハロゲン)のアンモノリシスによって得られる架橋構造を有するポリシラザン(R1Si(NH)x、あるいはR1SiX3、R2 2SiX2の共アンモノリシスによって得られる下記構造を有するポリシラザンも出発材料として用いることができる。
Figure 2007057887
本発明に用いるポリシラザンとして好ましいものは、上記の如く一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するが、一般式(1)で表される単位は、上記からも明らかな通り環状化することがあり、このような環状化が起こらない場合には、主骨格の末端はR1、R2およびR3と同様の基または水素であることができる。
本発明に用いるポリシラザンとして好ましいものは、上記の如く一般式(1)で表される単位を主骨格に有するポリシラザンを金属アルコキシド、ケイ素アルコキシド、アルコール、金属カルボン酸塩、アセチルアセトネート錯体等で変性したものである。特に好ましいものは、(RCOO)nM〔式中、Rは脂肪族基または脂環基で炭素数1〜22のものを表し、MはNi、Ti、Pt、Rh、Co、Fe、Ru、Os、Pd、Tr、Alからなる群より選択される少なくとも1種の金属を表し、nはMのイオン価である。〕で表される金属カルボン酸塩を上記のようなポリシラザンに添加したものであり、MがPdであるものが特に好ましい。
本発明において、表面のセラミックス薄膜層を形成するのに用いられるポリシラザンとして、(CH33Si(NH)0.5のような末端をブロックする基は、以降の熱分解過程で除去されるため使用に際して大きな問題はないものの、それ以外のポリシラザンにおいては、繰り返し単位に炭素を含まないものが好ましい。これは得られるセラミックス薄膜層に炭素の不純物が入ると、薄膜自体が脆くなる懸念がある為である。
いくつかのポリシラザンのみを記載したが、本発明においては殆ど全てのポリシラザン(またはシラザンポリマー)を使用することができる。該ポリシラザンそしては、その数平均分子量が500〜2500のオリゴマー状態であることが好ましい。ポリシラザンの数平均分子量が500未満であると、トナー粒子の表面にセラミックス薄膜層を形成させても、薄膜自体が脆くなりやすく、トナーの保存安定性やブロッキング性、感光体汚染性に対して効果が充分には期待できない場合がある。一方、ポリシラザンの数平均分子量が2500を超えると、トナー粒子の表面にセラミックス薄膜層を形成する際に、均一に、薄く形成し難くなるため好ましくない。
本発明に用いるポリシラザンは、既述の如く、ポリシラザンの構造単位と他のポリマーの構造単位との共重合体であっても構わない。この場合、ポリシラザンの構造単位の共重合割合としては、(ポリシラザンの構造単位数/全構造単位数×100%)で60%以上の範囲から選択され、70%以上が好ましく、80%以上より好ましい。ポリシラザンの構造単位の共重合割合が60%未満であると、ポリシラザン特有の性質が希薄となり、本発明で期待し得る効果の発現が不十分となる場合があり、好ましくない。
ポリシラザンの構造単位と共重合させる他のポリマーの構造単位としては、特に制限は無いが、例えば、ポリシロキサン、ポリアルミノシロキサン、ポリボロシロキサン、ポリカルボシラン等を挙げることができる。
本発明に用いるポリシラザンは、既述の如く、ポリシラザンと他の化合物との混合物であっても構わない。この場合、ポリシラザンの混合割合としては、(ポリシラザンの質量/全質量×100%)で70%以上の範囲から選択され、80%以上が好ましく、90%以上より好ましい。ポリシラザンの混合割合が70%未満であると、ポリシラザン特有の性質が希薄となり、本発明で期待し得る効果の発現が不十分となる場合があり、好ましくない。
ポリシラザンと混合させる他の化合物としては、例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、Si/N/C系プレポリマー等のポリシラザン以外のセラミックス前駆体オリゴマーを挙げることができる。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子の表面におけるセラミックス薄膜層の被覆率としては、20〜80%であることが好ましく、25〜75%であることがより好ましく、30〜70%であることがさらに好ましい。セラミックス薄膜層の被覆率が20%未満である場合には、定着性に問題は無いものの、トナーの保存性、ブロッキング性、感光体汚染の防止に対して効果が充分には期待できない場合がある。一方、セラミックス薄膜層の被覆率が80%を超える場合には、トナーの保存性、ブロッキング性に対しては改善効果が大きいものの、カラートナーの場合、画像の光沢を損なう場合がある他、感光体を逆に傷つけてしまう懸念が生じる。したがって、セラミックス薄膜層の被覆率を上記好ましい範囲内にすることが、定着性、保存安定性、感光体汚染等に対して最も効果的である。
本発明において、上記セラミックス薄膜層の被覆率は、トナー粒子の表面から深さ方向に数nm程度の厚みの範囲内におけるセラミックス薄膜層の体積割合を意味し、XPS(X線光電子分光法)を用いて求められた値がそれに相当する。従って、本発明において、「トナーの最表面」とは、トナー表面からの厚みが、XPS(X線光電子分光法)により測定される領域を意味し、具体的には、トナー表面にX線を照射した際に発生する光電子の脱出深さに相当する既述の数nm程度の厚みを意味する。
なお、トナー粒子の表面におけるセラミックス薄膜層の被覆率について、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定する方法の詳細については、後述する。
上記の如きポリシラザンを用いて、トナー粒子の表面にセラミックス薄膜層を形成する方法としては、任意の通常の方法で構わないが、所定の温度に加熱された場合に溶融する特性を、トナー粒子がその機能から必然的に有しているため、高温での加熱を伴うセラミックス薄膜形成法は適さない。したがって、溶媒とポリシラザンとを含む溶液で被覆する方法(溶液法)が特に好ましい。
上記溶液法は、(1)少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布する塗布工程と、(2)ポリシラザンを含む溶液を塗布された前記トナー粒子に、触媒を含む水を接触させる触媒硬化工程と、を含む。
(1)塗布工程
塗布工程では、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布することで、その表面を被覆する。被覆後、溶媒を蒸発させるか、あるいは同様の方法で溶媒を除去することによって、トナー粒子の表面に塗布膜が生成される。
上記溶液法による場合、最初にポリシラザンを溶媒に溶解する。種々の促進手段、例えば攪拌および/または加熱を、溶解を助けるために施すことができる。使用することができる溶媒は、コーティングに影響を及ぼさずにポリシラザンを、溶解して溶液を形成するか、あるいはサスペンションを形成することができる任意の溶媒を含む。
使用可能な溶媒としては、例えばキシレン、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、n−ヘプタン、デカン、ドデカン等のアルカン:アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル;その他グリコールエーテル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アミン類、環状ジメチルポリシロキサンを挙げることができる。かかる溶媒の量としては、上記の物質を溶解するに充分な量とする。一般に充分な量の上記溶媒を使用して0.1〜50質量%の溶液を形成する。
上記の溶液法を採用する場合、本発明において、当該溶液で被覆するのに最も好ましい方法としては、スプレーコーティング法が挙げられる。スプレーコーティング法により被覆されたトナー粒子は、任意の適切な手段による溶媒の蒸発、例えば周囲の環境に曝すことによる簡単な空気乾燥や、真空中に置いたり、加熱したり等の操作が行われる。この加熱によってポリシラザンは架橋、縮合、あるいは加熱雰囲気によっては、酸化、加水分解して硬化し、強固なセラミックス薄膜が形成される。
加熱雰囲気は、酸素中、空気中、あるいは不活性ガス中等のいずれであってもよいが、空気中がより好ましい。一般にシラザンをセラミック化してシリカコーティング処理等を行う温度は、室温以上であるが、反応雰囲気にも依存する。一般のセラミックの好ましい温度は20〜数百℃であり、通常より高温の方がセラミック化が速くより完全であるが、トナー粒子表面に被覆する場合、トナーの融点より高温では、トナーが溶融し被覆を困難にしてしまう為、通常は20〜50℃以下が好ましい。また、その温度に曝す時間は、一般に6時間までであり、効率上2〜4時間が好ましい。
(2)触媒硬化工程
上記の温度での熱処理においては、Si−O,Si−N,Si−H,N−Hが存在するものが形成されるまでである。これはまだセラミックスへの転化が不完全である。そのため、上記塗布工程による塗布後のトナー粒子に、触媒を含む水または触媒と共に水を接触させることにより、セラミックスに転化させる。具体的には例えば、次に述べる(A)および(B)の2つの方法によってセラミックスへの転化が可能である。
(A)触媒を含有した蒸留水中に含侵する
触媒としては、酸、塩基が好ましく、その種類については特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−エキシルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、グアニジン、ピグアニン、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ−〔2,2,2〕−オクタン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、アンモニア水等のアルカリ類;リン酸等の無機酸類;氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸のような低級モノカルボン酸、またはその無水物;シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸のような低級ジカルボン酸またはその無水物;トリクロロ酢酸等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素およびその電気供与体との錯体、等;SnCl4,ZnCl2,FeCl3,AlCl3,SbCl3,TiCl4などのルイス酸およびその錯体等を使用することができる。
蒸留水中の触媒の含有割合としては、好ましくは0.01〜50質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。保持温度としては室温から沸点までの温度にわたって有効である。保持時間としては特に限定されるものではないが10分〜7日が現実的に適当である。
(B)Pd2+イオンを含む水(水溶液)またはPd2+イオンと共に水に接触させる。
触媒としてのPd2+イオンの供給方法は特に限定されないが、例えば、酢酸パラジウム、アセチルアセトネートパラジウム、塩化パラジウム、水酸化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、酸化パラジウムなどのパラジウム化合物(パラジウム塩)を水に溶解したり、金属パラジウムを塩酸、硝酸などの酸水溶液に添加(溶解)したり、水溶液中で金属パラジウムに電圧を印加してPd2+イオンを溶出させるなどの方法を採用できる。また、パラジウム化合物を含むポリシラザンを水と接触させたり、金属パラジウムを含むポリシラザンを酸(一般に水溶液)と接触させるなどの方法でもよい。
Pd2+イオンの供給量は、シリカ(SiO2)組成に近いセラミックスを得るためにはポリシラザンのSi−H基およびSi−N基の総和の等モル以上が好ましい。但し、a)反応系内にCuCl2などのPd0(0価パラジウム)の酸化触媒を添加した場合、あるいはb)電気化学的にPd0を酸化するなどの操作を同時に行った場合にはPd2+イオン量は上記より少なくても同等の効果が得られる。
しかし、本発明ではPd2+イオンは少量でもそれなりの効果が得られるので上記の好ましい供給量に限定されるわけではない。従って、上記a),b)の操作をしない場合で、ポリシラザンのSi−H基およびSi−N基の総和のモル数に対し一般的に1/100モル以上、好ましくは1/10モル以上、そしてより好ましくは1モル以上、実用的には1/10モル以上のPd2+を供給する。
Pdの添加量が上記1/10モルの場合、便宜的にはポリシラザンのSi(ケイ素)のモル量の0.2倍すればPdの添加質量になる。水の供給方法はポリシラザンを水中に浸漬する、水を霧化してポリシラザンに吹き付ける、ポリシラザンを水蒸気に暴露するなどによることができる。このとき、水にPd2+イオンを溶解しておくことができる。
水の供給量は、シリカ(SiO2)組成に近いセラミックスを得るためには、ポリシラザンのSi−H基およびSi−N基の総和と等モル量以上が好ましい。通常は大過剰の水を用いる。このポリシラザンのセラミックス化の反応条件としてPd2+イオンを含む水溶液のpH、反応温度、反応圧力、反応雰囲気など特に限定されない。ただし、反応温度としては必要に応じて加温するが、100℃以下の低温で十分に反応が進行する。例えば80℃以下、さらには40℃以下でも可能である。反応時間としては、特に限定されるものではなく、一概には言えないが、4時間〜48時間の範囲が適当であり、6時間〜36時間の範囲がより好ましい。
ポリシラザンをPd2+イオンおよび水と接触させる上記方法によれば、低温下で、シリカを主成分とするセラミックスが一般的に生成され、本発明のトナーにおけるトナー粒子表面へのセラミックス薄膜層の低温形成方法として、特に適している。
(トナー粒子)
本発明のトナーにおいて、以上説明したセラミックス薄膜層は、トナー粒子の表面に被覆される。該トナー粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなり、必要に応じて、その他の添加剤が含まれる。以下、これら各構成成分および粒子径について詳細に説明する。
−結着樹脂−
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体または共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体または共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、およびこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中で特に好ましくは、ポリエステル樹脂である。これは、ポリエステル樹脂のカルボキシル基とポリシラザン前駆体のシラノール基とが親和性があるため、トナー粒子表面にポリシラザンの薄膜をコーティングした際、よりセラミックス薄膜層の密着性が向上するためである。
本発明のトナーの結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
ポリエステル樹脂の合成に用いる多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;等が挙げられる。これらの多価カルボン酸の1種または2種以上を用いることができる。
これら多価カルボン酸のなかでも、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、良好なる定着性を確保するために、また架橋構造あるいは分岐構造をとるために、ジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用してもよい。
また、乳化凝集法等の湿式製法によるトナーの場合には、酸成分として、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を有するジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を有するジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して微粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化あるいは懸濁が可能である。
このようにスルホン酸基を有するジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与えるばかりかトナー径の調整が難しくなる上、トナーの帯電性に悪影響を及ぼすという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を有するジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を有するジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらのなかでもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好適なものとして挙げられる。
ポリエステル樹脂の合成に用いる多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類;等が挙げられる。これら多価アルコールの1種または2種以上を用いることができる。
これら多価アルコールのなかでも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。良好なる定着性を確保するため、また架橋構造あるいは分岐構造をとるために、ジオールとともに3価以上の多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整してもよい。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸とを常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸と、必要に応じて触媒とを入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属や、テトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1質量%とすることが好ましい。
本発明のトナーに使用される結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が4000〜100000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5000〜80000の範囲であり、好ましい数平均分子量(Mn)は2000〜30000の範囲であり、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100の範囲であることが好ましく、更に好ましくは2〜60の範囲である。
重量平均分子量および数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記範囲より各分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性、耐ホットオフセット性およびドキュメント保存性を全て満足し得るものとなる。
本明細書において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)としては、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化凝集法の場合、トナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gの範囲であることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールとの配合比および反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによって、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明のトナーに使用される結着樹脂のガラス転移点(ガラス転移温度)としては、55〜100℃の範囲であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、55〜80℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移点が55℃未満であると、トナーが貯蔵中または現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移点が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料;ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;等が挙げられる。
その他、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記トナー粒子における、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部の範囲が好ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりすることも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されない。具体的には例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成あるいは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のトナーに用いられる離型剤の融点としては、トナーの保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
前記トナー粒子における離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、2〜30質量部の範囲内であることが好ましく、3〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が2質量部未満であると離型剤添加の効果が十分でなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30質量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。
−その他の添加剤−
本発明のトナーにおけるトナー粒子には、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は、体積平均粒子径が2μm以下のものが好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー粒子中に含有させる量としては、樹脂成分100質量部に対し約20〜200質量部の範囲が好ましく、40〜150質量部の範囲が特に好ましい。また、800kA/m(10kOe(エルステッド))印加での磁気特性が、保磁力(Hc):1.6〜24kA/m(20〜300Oe)、飽和磁化(σs):50〜200A・m2/kg(50〜200emu/g)、残留磁化(σr):2〜20A・m2/kg(2〜20emu/g)のものが好ましい。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等、後述するような、通常、トナー表面に外添剤として使用される全ての無機微粒子を挙げることができる。
―トナー粒子の粒子径―
本発明のトナーにおけるトナー粒子の体積平均粒子径としては、1〜20μmの範囲内が好ましく、2〜8μmの範囲内がより好ましく、また、個数平均粒子径としては、1〜20μmの範囲内が好ましく、2〜8μmの範囲内がより好ましい。
前記体積平均粒子径および個数平均粒子径は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
(外添剤)
本発明のトナーにおいて、トナー粒子の表面に外添される外添剤としては、以下に示すような無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。
具体的な無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。なかでも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
当該無機微粒子の一次粒子径としては、1〜200nmの範囲が好ましく、その添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用される。
具体的な有機微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
当該有機微粒子の一次粒子径としては、20〜500nmの範囲が好ましく、その添加量としては、トナー100質量部に対して、0.05〜5質量部の範囲が好ましい。
<静電荷現像用トナーの製造方法>
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布する塗布工程と、ポリシラザンを含む溶液を塗布された前記トナー粒子に、触媒を含む水または触媒と共に水を接触させる触媒硬化工程と、を含むことを特徴とする。この本発明に特徴的な塗布工程および触媒硬化工程については、既に(トナー粒子)の項で説明した通りである。本項では、主として、塗布工程に供されるトナー粒子の製造方法について述べる。
本発明で用いるトナー粒子は、混練粉砕法、湿式造粒法いずれの方法でも調製することができる。
本発明で用いるトナー粒子の製造に適用可能な混練粉砕法は、結着樹脂、着色剤、磁性剤、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合してから二軸型連続式加圧ローラ、ニーダー、エクストリューダー、バンバリーミキサーの如き混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕および分級を行って所望の粒径のトナー粒子を得る方法である。さらに、必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合しておくことができる。
本発明で用いるトナー粒子の製造に適用可能な湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらのなかでも乳化凝集法が好適である。乳化凝集法において、特に好ましい製造方法は、結着樹脂、着色剤等の各原料を水系分散液に分散させる乳化工程、該原料分散液から凝集粒子を作製する凝集工程、および該凝集粒子を加熱して融合させて凝集粒子を得る融合工程を少なくとも含むものである。また必要に応じて、凝集工程の後半の工程として、凝集粒子の表面を結着樹脂と同じ、または異なる樹脂微粒子で被覆する被覆工程を含むものである。上記凝集粒子あるいはそれに樹脂粒子が被覆されたものが、目的のトナー粒子となる。
以下、各工程について詳細に説明する。
−乳化工程−
乳化凝集法において、結着樹脂や着色剤、離型剤等は、それぞれの乳化粒子として混合されるため、該乳化工程は、上記原料の乳化分散液を調製する工程である。したがってまず、結着樹脂は分散媒中に予め樹脂粒子として分散させておく必要がある。以下、かかる結着樹脂の樹脂粒子状の分散液を「結着樹脂分散液」という場合がある。
前記樹脂粒子の平均粒子径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒子径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒子径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じたりし、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒子径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒子径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
乳化分散液を調製するための分散媒としては、水系媒体が好ましい。使用可能な水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらのなかでもアニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤のイオン性界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用するのが好ましい。これら界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
前記樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
前記樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体または共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱または減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
一方、前記樹脂粒子が、ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部または全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルホン酸基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液およびまたはそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強いせん断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、樹脂粒子は容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5質量%程度になるようにするのが適当である。
原料分散液として、乳化分散される着色剤としては、既述の着色剤を用いることができる。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
前記着色剤の添加量としては、前記結着樹脂の総量に対して1〜20質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましく、2〜10質量%とすることがさらに好ましく、2〜7質量%とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
原料分散液として、乳化分散される離型剤としては、既述の離型剤を用いることができる。以下、かかる離型剤の分散液のことを、「離型剤分散液」という場合がある。
離型剤は、自己水分散性を持たないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強いせん断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
乳化凝集法において、結着樹脂、着色剤あるいは離型剤、可塑剤のエステル化合物を、水性媒体と混合して乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、スラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量、および、着色剤および離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は、通常、5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。前記含有量が前記範囲外にあると、粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
なお、乳化凝集法において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいてもよい。
上記帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の平均粒子径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであることが好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、最終的に得られるトナー粒子の粒子径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記平均粒子径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー粒子間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
−凝集工程−
乳化凝集法において、凝集工程は、乳化工程で得られた樹脂粒子、および着色剤、離型剤等の各分散液を混合し(以下、この混合液を「原料分散液」という)、前記離型剤の融点以下の温度に加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、原料分散液のpHを酸性にした後、回転せん断型ホモジナイザーで高速攪拌下、室温で凝集剤を添加し、初期凝集により増粘した原料分散液中に凝集剤を均一に分散させることによってなされる。当該pHとしては、結着樹脂としてビニル系共重合体を用いる場合には、2〜6が好ましく、3〜6がより好ましい。
一方、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性を有するポリエステル樹脂を結着樹脂として用いる場合、原料分散液を調製する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHが7〜8である為、pHが3〜5である着色剤分散液や離型剤分散液を混合したり、凝集のため上記pHに調整したりしようとすると、極性のバランスが崩れて緩凝集が生じてしまう。そこで、ポリエステル樹脂分散液のpHがアルカリ側である場合には、予め室温で界面活性剤を添加して樹脂微粒子表面に界面活性剤をなじませて、着色剤、離型剤を混合した後、pH調整を行うのが好ましい。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。そのなかでも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行い、必要に応じて分散安定剤を添加してもよい。
−被覆工程−
最終的に得られるトナーにおいて、帯電性および粉体流動性をさらに改善する目的で、上記凝集工程の後半に被覆工程を追加することが好ましい。この被覆工程は、上述の凝集粒子表面に、結着樹脂と同じ、または異なる樹脂微粒子を付着させることにより、被覆層を形成する工程である。該被覆層の形成は、凝集工程において凝集粒子を形成した分散液中に、結着樹脂あるいはその他の樹脂微粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。
被覆工程においても、凝集工程と同様に、用いる樹脂に応じてpHや界面活性剤を選択し、凝集粒子表面へ不均一に付着しないように注意しながら被覆凝集粒子を得る。また、この被覆工程は、凝集工程で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
−融合工程−
乳化凝集法において、融合工程は、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子(または被覆凝集粒子)の懸濁液のpHを7.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子(または被覆凝集粒子)を融合させる工程である。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適正でないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子がばらけてしまい収率が悪くなったり、逆に凝集が停止できず、さらに粒子成長が進み、大粒子径になってしまう恐れがある。
融合時の加熱温度としては、凝集粒子中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜3時間程度行えばよい。それ以上時間をかけると、凝集粒子に含まれる離型剤がトナー粒子の表面ヘ露出し易くなってしまう。したがって、定着性には効果的であるが、トナーの保存安定性に対して悪影響を及ぼすため、あまりに長時間加熱するのは好ましくない。
前記融合工程においては、前記結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いればよい。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、結着樹脂のポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前に予めポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程に、あるいは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、被覆工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(結着樹脂分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率(質量基準)を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、既述の如くセラミックス薄膜層が形成された後、その他の成分として、既述の無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を目的に応じて添加することで、本発明の静電荷現像用トナーが製造される。
<静電荷像現像剤>
本発明の静電荷現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これらの芯材表面に被覆樹脂による被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
前記導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法におけるキャリアとして用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10〜500μmの範囲内であり、好ましくは30〜100μmの範囲内である。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。このときの溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと前記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
一方、本発明の静電荷現像用トナーを、トナー粒子中に磁性体を含有せしめて磁性トナーとし、これを一成分系現像剤として用いる場合には、現像スリーブ(現像剤担持体)中に内臓せしめたマグネットを利用して当該磁性トナーを搬送、帯電せしめる方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーの場合には、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電し現像スリーブ表面に当該非磁性トナーを付着させることで搬送せしめる方法がある。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして、本発明の静電荷現像用トナーを用いることを特徴とする。
前記現像剤としては、一成分系現像剤、二成分系現像剤のいずれであってもよい。上記各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程を利用することができる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等を使用することができる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、所望の像様に露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。
次いで、トナーを含む現像剤層を表面に形成させた現像剤担持体(現像スリーブ、現像ローラ)を前記静電潜像に接触若しくは近接させて、該静電潜像にトナーを付着させ、電子写真感光体表面にトナー像を形成する(現像工程)。
形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。
さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、必要に応じて定着器により熱定着され、最終的なトナー像が形成される(定着器)。
なお、前記定着器による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、当該定着器における定着部材に離型剤が供給される。ただし、本発明のトナー(二成分現像剤に含まれるものを含む。以下同様。)において、結着樹脂中に架橋構造がある場合には、その効果から離型性に優れ、離型剤の使用量を低減する、若しくは離型剤を使用せずに定着を行うことができる。
該離型剤は、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、前記離型剤の供給量を0mg/cm2にすると、定着時に前記定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記離型剤の使用量が8.0×10-3mg/cm2以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
前記離型剤の供給量が、8.0×10-3mg/cm2を越えると、定着後に画像表面に付着した離型剤のために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体への離型剤の付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、前記離型剤の供給量は、多くなるほど離型剤を貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着器自体の大型化を招く要因ともなる。
前記離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルなどの液体離型剤が挙げられる。なかでも、前記定着部材の表面に吸着し、均質な離型剤層を形成し得る観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、前記定着部材に対する濡れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型剤層を形成し得る観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記定着器において、加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式およびローラ方式が好ましい。ウエブ方式やローラ方式の場合、前記離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。なお、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。
前記離型剤の供給量は、以下のようにして測定できる。すなわち、その表面に離型剤を供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(代表的には、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上に離型剤が付着する。この付着した離型剤をソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の静電荷像現像剤(本発明の静電荷現像用トナー)を用いているため、低温定着が可能であると共に、トナーが適正な摩擦帯電量を保持することができる。このため、画像形成に際して省エネルギー性に優れ、トナー飛散等の発生を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中単に「部」あるいは「%」とあるのは、特に断りの無い限り、全て質量基準である。
−ポリシラザン被覆溶液の調製−
攪拌羽、ガス導入管、ジュワーコンデンサー、滴下漏斗を具備した500ml四つ口フラスコ内を、減圧操作により容器内の空気を減圧し、窒素ガスで置換して不活性雰囲気とした後、脱気した乾燥ピリジンを240mlを入れ、これを氷冷した。次いで、不活性雰囲気下、ジクロロシラン26部を加えると白色固体状の反応混合物となった。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナトリウム管および活性炭管を通して精製したアンモニアガス25.5部を30分掛けて吹き込んだ後、100℃で加熱を行った。
反応終了後、生成物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄し、さらに乾燥窒素雰囲気下濾過を行い、濾液420mlを回収した。この濾液を更に減圧にて溶媒を除去すると8.5部の樹脂状ペルヒドロポリシラザンが得られた。これを凝固点降下法(溶媒:ベンゼン)により数平均分子量を測定したところ、997であった。ついでこのペルヒドロポリシラザンをキシレンで希釈したのち、このポリシラザン−キシレン溶液20部にプロピオン酸パラジウム(II)の0.5%キシレン溶液8部を添加し、さらにキシレン6部を加え、大気中、20℃で3時間攪拌しながら反応を行った。さらに濃縮して濃度20質量%のポリシラザン被覆溶液を調製した。
−ポリエステル樹脂(1)の調製−
・アルコール成分:592部
(内訳:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物50モル%、および、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物50モル%)
・酸成分:282部(アルコール成分と等モル)
(内訳:フマル酸50モル%、および、テレフタル酸50モル%)
・Ti(OBu)4: 0.05部
※Bu=−C49 (以下同様)
加熱乾燥した三口フラスコに、上記成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量13200になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂(1)を得た。
−ポリエステル樹脂(2)の調製−
・アルコール成分:606部
(内訳:ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物25モル%、および、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物75モル%)
・酸成分:367.4部(アルコール成分と等モル)
(内訳:ドデセニルコハク酸15モル%、テレフタル酸50モル%、および、イソフタル酸35モル%)
・Ti(OBu)4: 0.06部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量16400になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂(2)を得た。
−トナー粒子(1)の製造−
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体(共重合比80/20、重量平均分子量35000): 100部
・カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製): 10部
・低分子量ポリプロピレン(ビスコール660P:三洋化成社製): 5部
・帯電制御剤(ボントロンP−51:オリエント化学社製): 2部
上記成分を混合して連続式2軸混練機により溶融混練し、冷却後、ジエットミルにより微粉砕を行い、得られた微粉砕物をさらに分級機により分級して、体積平均粒子径9.2μmのトナー粒子(1)を得た。
−トナー粒子(2)の製造−
・ポリエステル樹脂(1): 100質量部
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)): 4質量部
上記各成分を混合して連続式2軸混練機により溶融混練し、冷却後、ジエットミルにより微粉砕を行い、さらに風力式分級機にて分級して、体積平均粒子径6.8μmのトナー粒子(2)を得た。
−トナー粒子(3)の製造−
・ポリエステル樹脂(1): 100質量部
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)): 4質量部
・カルナバワックス(東亜化成(株)製RC160): 6質量部
上記各成分を混合して連続式2軸混練機により溶融混練し、冷却後、ジエットミルにより微粉砕を行い、さらに風力式分級機にて分級して体積平均粒子径6.6μmのトナー粒子(3)を得た。
−トナー粒子(4)の製造−
(ポリエステル樹脂分散液の調製)
ポリエステル樹脂(2)を、溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロン(株式会社ユーロテック製)に移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が4.9×10-3Pa(5Kgf/cm2)の条件でキャビトロンを運転し、平均粒子径0.24μmのポリエステルからなるポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20質量%)を得た。
(離型剤分散液(1)の調製)
・エステルワックスWEP5(日本油脂(株)製): 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK): 5部
・イオン交換水: 200部
上記成分を混合して110℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、平均粒子径が0.26μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
(着色剤分散液(1)の調製)
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)): 100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR): 15部
・イオン交換水: 900部
上記成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して、着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。得られた着色剤分散液(1)における着色剤(シアン顔料)の平均粒子径は0.17μm、着色剤粒子濃度は25質量%であった。
・上記ポリエステル樹脂分散液: 637.5部
・着色剤分散液(1): 36.0部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液): 12.75部
・離型剤分散液(1): 67.5部
・イオン交換水: 496.3部
pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料のうちポリエステル樹脂分散液、アニオン性界面活性剤、並びにイオン交換水を入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、アニオン性界面活性剤をポリエステル樹脂分散液になじませた。
続いて、これに着色剤分散液(1)および離型剤分散液(1)を加え混合した後、この原料混合物に0.3モル/lの硝酸水溶液を加えて、pHを3.5に調整した。
次いで、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)により1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液(ポリ塩化アルミニウム濃度10%)を24g滴下した。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようした。凝集剤の滴下が終了した後、さらに回転数を6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分に混合した。
次いで上記原料混合物をマントルヒーターにて30℃に加温しながら600rpmで攪拌した。この状態で30分攪拌後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて一次粒子径が安定に形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.5℃/分で43℃まで昇温した。凝集粒子の成長はコールターカウンターを用いて随時確認するが、その凝集速度によって、適宜凝集温度や攪拌の回転数を変えた。凝集粒子の径が5.5μmになったところで、凝集粒子の成長を停止させるために、1モル/lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料混合物のpHを9.0に制御した。
続いて、pHを9.0に調整後、pHが自然に低下し始めたら、一旦形成された凝集粒子のばらけるのを防ぐために、回転数を200rpm以下に落とし、その後、凝集粒子を融合させるために、1℃/minで85℃まで昇温させた。この昇温の際、昇温とともに、原料混合物のpHが低下し、粒度成長を停止させた凝集粒子が再び、粒度成長するおそれがあるため、必要に応じて、1モル/lの水酸化ナトリウム水溶液を適量加えた。
85℃で30分経過した後、凝集粒子が次第に融合し、1時間を過ぎるころになると、凝集粒子が球形化し融合した。顕微鏡でこの融合状態を確認した後、加熱を止め、1℃/minの降温速度で室温まで降温させた。
このようにして得られた融合粒子を45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、一旦濾過して固液分離し、ろ紙上の粒子にイオン交換水を加えて、固形分濃度20%相当のスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、1モル/lの硝酸を加えてpH3.0に保ち、30分間酸洗浄を行い、再度濾過した。このろ紙上の粒子をリスラリーして、水洗浄を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒して得たトナー粒子(4)の体積平均粒子径は5.8μmであった。
−トナー粒子(5)の製造−
<スチレン−アクリル系樹脂分散液の調製>
・スチレン: 370部
・nブチルアクリレート: 30部
・アクリル酸: 4部
・ドデカンチオール: 24部
・四臭化炭素: 4部
上記成分を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を行った。その後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒子径が210nm、ガラス転移点が58℃、重量平均分子量(Mw)が15600である樹脂粒子を分散させてなる無定形高分子分散液(1)(樹脂粒子濃度:40質量%)を調製した。
(離型剤分散液(2)の調製)
・パラフィンワックス(日本精鑞(株)製HNP0190): 500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK): 50部
・イオン交換水: 2000部
上記成分を混合し120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒子径が0.26μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(2)(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
・無定形高分子分散液(1): 315部
・着色剤分散液(1): 36.0部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液): 11.6部
・離型剤分散液(2): 75.0部
・イオン交換水: 824部
既述のトナー粒子(4)の製造において、原料として上記材料を用い、凝集剤のポリ塩化アルミウニム硝酸水溶液を滴下する前のpHを2.5に調整した以外は、トナー粒子(4)の製造と同様の条件で、原料混合物の調製を行った。
次いで、凝集成長のための昇温工程では、凝集温度を52℃まで昇温させ、凝集粒子径が5.6μmになったところで、1モル/lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH6.5に調整し、凝集成長を停止させた。
続いて、95℃まで昇温させ、融合させた。その後、トナー粒子(4)の製造と同様にして篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒子径5.9μmのトナー粒子(5)を得た。
<実施例1>
予め調製した既述のポリシラザン被覆溶液(ポリシラザン20%キシレン溶液)を、フローコーターを用いてトナー粒子(1)500部にスプレーコーティングし、そのまま室温で乾燥させた。
一方、蒸留水に1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン7)(東京化成株式会社製)を1質量%となるように加えた溶液を調製し、この溶液に上記ポリシラザンをコーティングし乾燥させたトナー粒子(1)を室温で半日含侵させ、セラミックス化を促進させた。これをフィルタープレスで含侵溶液を除去し、リスラリー後蒸留水での洗浄を経て、入り口温度50℃に設定したフラッシュジェットで乾燥した。
得られたコーティング粒子(トナー粒子)100質量部に対して、外添剤としてシリカ微粉末(体積平均粒子径:20nm)およびチタニア微粉末(体積平均粒子径:40nm)をそれぞれ0.2質量部および1.1質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナー(1)を得た。
<実施例2>
実施例1において、コーティングに用いるトナー粒子をトナー粒子(3)に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でポリシラザンをコーティングし、その後の処理も同様に行い、洗浄、乾燥した。
得られたコーティング粒子(トナー粒子)100質量部に対して、外添剤としてシリカ微粉末(体積平均粒子径:50nm)およびチタニア微粉末(体積平均粒子径:40nm)をそれぞれ0.9質量部および0.6質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナー(2)を得た。
<実施例3>
実施例1において、コーティングに用いるトナー粒子をトナー粒子(4)に代えたこと以外は、実施例1と同様の条件でポリシラザンをコーティングし、その後の処理も同様に行い、洗浄、乾燥した。
得られたコーティング粒子(トナー粒子)100質量部に対して、外添剤として粒子径の異なるシリカ微粉末2種(体積平均粒子径50nmおよび140nm)並びにチタニア微粉末(体積平均粒子径:40nm)を、それぞれ0.8質量部(粒子径50nmのシリカ微粉末)および1.8質量部(体積平均粒子径140nmのシリカ微粉末)、並びに0.6質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナー(3)を得た。
<実施例4>
実施例1において、コーティングに用いるトナー粒子をトナー粒子(5)に代えた以外は、実施例1と同様の条件でポリシラザンをコーティングし、その後の処理も同様に行い、洗浄、乾燥した。
得られたコーティング粒子(トナー粒子)100質量部に対して、外添剤として粒子径の異なるシリカ微粉末2種(体積平均粒子径50nmおよび140nm)並びにチタニア微粉末(体積平均粒子径:40nm)を、それぞれ0.6質量部(体積平均粒子径50nmのシリカ微粉末)および2.0質量部(体積平均粒子径140nmのシリカ微粉末)、並びに0.7質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷現像用トナー(4)を得た。
<実施例5>
実施例3において、フローコーターに最初に入れるトナー粒子を400部にしたこと以外は、実施例3と同様の条件で、ポリシラザンコーティングを行った。次いで、実施例3と同様の条件で外添剤を混合させ、静電荷現像用トナー5を得た。
<実施例6>
実施例3において、フローコーターに最初に入れるトナー粒子を700部にしたこと以外は、実施例3と同様の条件で、ポリシラザンコーティングを行った。次いで、実施例3と同様の条件で外添剤を混合させ、静電荷現像用トナー6を得た。
<比較例1>
実施例1において、トナー粒子1にポリシラザンコーティングしないこと以外は、実施例1と同様の条件で外添剤を混合し、静電荷現像用トナー7を得た。
<比較例2>
実施例2において、ポリシラザンコーティングするトナー粒子(3)を、トナー粒子(2)(離型剤を含まないもの)に代えたこと以外は、実施例2と同様の条件でコーティングし、さらに外添剤を混合し、静電荷現像用トナー8を得た。
<比較例3>
実施例2において、トナー粒子(3)にポリシラザンコーティングしないこと以外は、実施例2と同様の条件で外添剤を混合し、静電荷現像用トナー(9)を得た。
<比較例4>
実施例3において、トナー粒子(4)にポリシラザンコーティングしないこと以外は、実施例3と同様の条件で外添剤を混合し、静電荷現像用トナー(10)を得た。
<比較例5>
実施例4において、トナー粒子(5)にポリシラザンコーティングしないこと以外は、実施例4と同様の条件で外添剤を混合し、静電荷現像用トナー(11)を得た。
<評価試験>
(トナー粒子表面のポリシラザン被覆率の測定)
トナー粒子表面のポリシラザン被覆率は、XPS(X線光電子分光法)を用いて行った。具体的には、トナーの造粒に用いた原料(樹脂、離型剤、界面活性剤等)およびトナーの最表面の炭素原子C1s、N、Siスペクトルを下記測定条件で測定した(下記「XPSによる測定条件」参照)。
次に、トナー粒子のスペクトルに対して、原料其々のスペクトルのピーク位置とスペクトルの面積強度比とを最小二乗法の原理に基づいてカーブフィッティング処理(基本アルゴリズムはガウス=ニュートン法を利用した)することによって、トナー粒子の最表面における各原料の組成比を定量した。
−XPSによる測定条件−
・X線光電子分光装置: 日本電子社製 JPS−9000MX
・光電子励起: MgKα線(10kv,30mA)
・光電子エネルギーアナライザーのパスエネルギー: 30V
(低温定着性およびホットオフセット性の評価)
得られた実施例および比較例の静電荷現像用トナー(1)〜(11)をそれぞれ5質量部と、キャリア100質量部とを混合して二成分現像剤を調製した。なお、ここで用いたキャリアは、フェライト粒子(体積平均粒子径35μm)に荷電制御微粒子を分散させたフッ素系樹脂をおよそ0.2μmの厚みで被覆した樹脂被覆キャリアである。
得られた二成分現像剤を市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)に投入し、画像出しを行って未定着画像を得た。
次いで、ベルトニップ方式の外部定着器を用いて、定着温度を120℃から220℃の間で10℃ずつ段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分をガーゼで擦り、その擦りにより生じた画像欠損度合いについて以下のようにグレード付けし、G4以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。また、ホットオフセット性は、段階的に温度を上昇させた場合に、ホットオフセットが発生する最低温度を測定した。
G1:ガーゼで擦ったと同時に、折り曲げ部分以外の部分も画像欠損してしまい、殆ど定着できていない状態。
G2:ガーゼで擦ると、折り曲げ部分とその周辺が、幅広い白筋となって画像欠損する。
G3:ガーゼで擦ると、折り曲げ部分が白筋となって画像欠損し、その周辺部分もひび割れ等が発生する。
G4:ガーゼで擦ると、折り曲げ部分だけに極細い白筋の画像欠損のみが生じる。
G5:ガーゼで擦っても、画像欠損がほとんどなく、折り曲げた履歴が分かる程度。
(ドキュメント保存性の評価)
ドキュメント保存性の評価については、上記低温定着性の評価の際に作成した未定着像2枚を、外部定着器で160℃にて定着した後、画像部と、非画像部および画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重りを載せ、温度60℃湿度50%の恒温恒湿槽で7日間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像を引き剥がし、その画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像同士が接着していた為、画像部の所々に画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像の荒れやグロス低下は発生するが、画像欠損は殆どなく、画像としては許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、僅かに音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
(帯電量の測定)
実施例および比較例の静電荷現像用トナー(1)〜(11)各1.5質量部と、(低温定着性およびホットオフセット性の評価)で用いた樹脂被覆キャリア30質量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、および、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量(μc)をブローオフ帯電量測定装置(TB−200,東芝ケミカル社製)で測定した。
(トナーの保存安定性の評価)
実施例および比較例の静電荷現像用トナー(1)〜(11)を各100g秤量し、温度60℃湿度80%のチャンバーに24時間放置した後、45μmメッシュの篩の上にトナーを置いて、篩を振動させ、篩上に残った量を秤量し、凝集度を評価した。凝集度は、篩上に置いた全100gに対する、残った量の百分率で表し、これをトナーの保存安定性の評価とした。
(画質の評価)
実施例および比較例の静電荷現像用トナー(1)〜(11)をそれぞれ8質量部と、(低温定着性およびホットオフセット性の評価)で用いた樹脂被覆キャリア100質量部とを混合して二成分現像剤を調製した。これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)に投入し、3万枚の複写テストを行って、コピー画像の画質を官能評価した。
(感光体汚染性の評価)
上記(画質の評価)において、3万枚の複写テストを終了した後の感光体について、その表面の汚染性を評価した。感光体の汚染性に関しては、感光体表面を目視で観察し、汚染度合いを以下の観点でグレード付けを行った。
G1:感光体表面に著しい付着物が数多く観察され、表面全体にトナー筋のような模様で残っていることが確認される。
G2:所々感光体表面に付着物が観察された。
G3:感光体表面にわずかに付着物はあるものの、画質上問題ないレベルである。
G4:マイクロスコープで見れば、いくつか付着物は確認できるものの、目視では確認し難く、汚染性はきわめて小さい。
得られた実施例および比較例の静電荷現像用トナーの諸特性を表1に示す。また、下記表1に示す静電荷現像用トナーについて行った、上記評価試験の結果を下記表2に示す。
Figure 2007057887
Figure 2007057887
表1および表2に示す結果から、実施例1〜6は、本発明の特徴である、離型剤を含み、且つトナー表面にポリシランザン被覆層をセラミックス薄膜層として有しているため、低温定着性とホットオフセット性との双方を高い次元で実現することができ、ドキュメント保存性、帯電性、トナー保存安定性、画質、感光体汚染性に関しても、優れた特性を示した。
一方、比較例1、3〜5では、トナー粒子表面にポリシラザンによる被覆がないため、定着性については問題ないものの、トナー保存安定性、画質、感光体汚染性について満足な評価を得ることができなかった。また、比較例2においては、ポリシラザンでトナー粒子表面を被覆している為、トナー保存安定性、感光体汚染性については問題ないものの、離型剤を添加していないため、トナーのホットオフセット性が悪化してしまい、定着ラチチュードの拡大効果が得られなかった。

Claims (8)

  1. 結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子を含み、該トナー粒子表面にポリシラザンからなるセラミックス薄膜層を有することを特徴とする静電荷現像用トナー。
  2. 前記トナー粒子の表面におけるセラミックス薄膜層の被覆率が、20〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  3. 前記セラミックス薄膜層が、下記一般式(1)で表されるポリシラザンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
    ・一般式(1)
    Figure 2007057887
    (上記式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素原子である。また、XおよびYはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基から選ばれる末端基を表すか、R1、R2またはR3と結合して部分的に環を形成するか、あるいは、XとYとが結合して全体として環を形成する。また、nは7〜50の間の整数である。)
  4. 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記離型剤の融点が50〜110℃の範囲内であり、前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対して2〜30質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤からなるトナー粒子の表面に、ポリシラザンを含む溶液を塗布する塗布工程と、
    ポリシラザンを含む溶液を塗布された前記トナー粒子に、触媒を含む水または触媒と共に水を接液させる触媒硬化工程と、
    を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
  8. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記トナーとして、請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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