JP4360306B2 - 静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像のために使用する静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
一般的に、トナーの定着温度を低くする手段としては、トナー用樹脂(結着樹脂)のガラス転移点を低下させる技術が採用されている。しかし、ガラス転移点をあまりに低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなったり、定着画像上のトナーの保存性が低下したりする。このためトナーのガラス転移点は実用上60℃が下限である。このガラス転移点は、現在多く市販されているトナー用樹脂の設計ポイントであるものの、現在のところ、ガラス転移点を下げる方法では低温定着可能なトナーを得ることはできなかった。また可塑剤を用いることによっても、定着温度を下げることはできるが、保存時や、現像機内においてトナーのブロッキングが発生するという問題があった。
トナーのブロッキングを防止し、画像保存性、および、低温定着性を改善する手段として、結晶性樹脂を結着樹脂として用いる方法が古くから知られている。(例えば、特許文献2及び特許文献3等参照。)しかし、結晶性樹脂は、粉砕が困難で収率が低いという問題があり、製造性の観点から実用性に欠しいという問題があった。また、製造上の実用性を確保できた場合でも、定着温度を下げることは可能であるが、必ずしも十分な耐オフセット性を得ることはできない。即ち、溶融したトナーが紙中に浸透することにより、オフセットの発生を防止する効果はあるが、溶融したトナーの粘度が低下し過ぎてしまい、紙上に残った、すなわち浸透しきれなかったトナーがオフセットしてしまうという問題が生じる。
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術が数多く提案されている。また、混練粉砕法でトナーを作製する場合、非晶性樹脂部分の存在により、粉砕が容易となることも知られている。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する方法(例えば、特許文献4参照)や、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した樹脂を用いる方法(例えば、特許文献5〜9参照)などが挙げられる。
既述のように、低温定着性及び耐オフセット性を共に向上させるに当り、溶融混練粉砕法では、低温定着性及び耐オフセット性に対しては効果的である結晶性樹脂の使用が困難であり、高分子量若しくは架橋構造を持つ樹脂を用いても十分な性能が得られない等の問題がある。さらに、粉砕を行うため、トナー粒子の形状制御も難しく、特にトナー粒子の球形化は困難であり、高画質化の目的で、トナー粒子の小粒径化を図ることも困難である。
上記問題を解決するためのトナーの製造方法としては、懸濁重合法等の重合によりトナー粒子を作製するような、湿式製法が挙げられる(例えば、特許文献10参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。従って、上述の混練粉砕法等によって得られたトナー粒子の均一化を図る目的で必須とされていた分級工程を設ける必要もない。
上記のように湿式製法を用いると、混練粉砕法と比較して長所が多いが、結晶性樹脂を用いる場合は、懸濁重合法での湿式製法では、トナー中に均一に着色剤を分散させることが難しいと言う不具合がある。
そこで、上記問題を解決するための湿式製法としては、少なくとも結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液中で、前記結晶性ポリエステルを含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に無定形高分子微粒子を被覆させる被覆工程と、を少なくとも含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が提案されている(特許文献11参照)。
上記製法により製造された静電荷像現像用トナーを用いることにより、結晶性樹脂の利点である低温定着性及び耐オフセット性を満足し、更に、トナーブロッキング防止も達成することができている。しかし、上記の製法でも、結晶性と非結晶性樹脂の混在したトナーでは、相溶性からトナー粒子表面に凹凸が発生しやすく、電子写真システムの機内ストレスにより、トナー粒子の表面で外添剤が凸部に埋没しやすい、あるいは凹部に移動しやすくなっている。このため、現像、転写の維持性が悪化しやすく、前記の低温定着性及び耐オフセット性と同時に十分な帯電維持性を確保することが困難である。そのため、帯電維持性をも両立させたトータルバランスの優れたトナーを提供することが重要である。
特公昭42−23910号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特開平2−79860号公報 特開平1−163756号公報 特開平1−163757号公報 特開平4−81770号公報 特開平4−155351号公報 特開平5−44032号公報 特公昭36−10231号公報 特開2001−42564号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、低温定着及び耐オフセット性に優れ、ブロッキング防止を達成し、同時に帯電維持性も優れた静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は、以下に列挙する発明により達成された。
(1)芯部及び該芯部を被覆する表面層を含む芯−表面構造を有するトナー粒子の表面に樹脂微粒子が付着する静電荷像現像用トナーであって、芯部の結着樹脂は結晶性ポリエステルを主成分として含み、表面層の結着樹脂は無定形高分子を主成分として含み、該樹脂微粒子の平均粒子径が0.01〜1μmであり、前記トナー粒子表面の算術平均高さ分布の累積分布90%値が0.15μm以下であり、かつ、該算術平均高さの変動が40以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
(2) 少なくとも結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液中で、前記結晶性ポリエステル微粒子を含む凝集粒子を芯部とした凝集芯微粒子の分散液を形成する凝集工程、該凝集芯微粒子の分散液に無定形高分子微粒子の分散液を混合して、該凝集芯微粒子の表面を無定形高分子微粒子により被覆させて芯−表面構造粒子を形成する被覆工程、該芯−表面構造粒子を該無定形高分子のガラス転移点以上の温度に加熱することにより融合して静電荷像現像用トナーの分散物を形成する融合工程、静電荷像現像用トナーを分散媒から分離し乾燥する乾燥工程、及び、該芯−表面構造粒子に樹脂微粒子を付着する付着工程、を少なくとも含むことを特徴とする(1)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
(3)(1)に記載の静電荷像現像用トナー及びキャリアを含む静電荷像現像用現像剤、
(4)潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤として、(1)記載の静電荷像現像用トナー又は(3)に記載の静電荷像像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、低温定着及び耐オフセット性に優れ、耐ブロッキング性が良好であると共に、十分な帯電維持性を有する静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用現像剤、画像形成方法の順に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある。)は、芯部及び該芯部を被覆する表面層を含む芯−表面構造を有するトナー粒子の表面に樹脂微粒子が付着する静電荷像現像用トナーであって、芯部の結着樹脂は結晶性ポリエステルを主成分として含み、表面層の結着樹脂は無定形高分子を主成分として含み、該樹脂微粒子の平均粒子径が0.01〜1μmであり、前記トナー粒子表面の算術平均高さ分布の累積分布90%値が0.15μm以下であり、かつ、該算術平均高さの変動が40以下であることを特徴とする。
従って、本発明のトナーは、低温定着及び耐オフセット性に優れ、ブロッキング防止を達成し、同時に帯電維持性も優れている。
本発明のトナー粒子は、芯部及び芯部を被覆する表面層を含む芯−表面構造を有する。芯部の結着樹脂は結晶性ポリエステルを主成分として含む。芯部の結着樹脂として結晶性ポリエステルの他に無定形高分子とを含むことが好ましい。そして、芯部の表面を無定形高分子を主成分とする表面層(以下、「表面層」と略す場合がある)で被覆する。これにより結晶性ポリエステルの利点である低温定着及び耐オフセット性を有したまま、一方で結晶性樹脂の欠点である外添剤の埋没によるブロッキング、転写性の悪化を防止することができるようになった。
ここで、芯部が「結晶性ポリエステルを主成分とする」とは結晶性ポリエステルを50重量%以上含むという意味であるが、60〜100重量%含むことが好ましい。また、表面層が「無定形高分子を主成分とする」とは無定形高分子を50重量%以上含むという意味であるが、60〜100重量%含むことが好ましい。表面層が無定型高分子のみであることがより好ましい。
また、結晶性ポリエステルを主成分とする芯部100重量部に対して、無定形高分子を主成分とする表面層は2〜20重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましい。
本発明の電子写真用トナーに用いられる結晶性ポリエステルのような『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質樹脂(無定形高分子)を意味するが、本発明において用いられる無定形高分子としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明のトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
本発明におけるトナーの算術平均高さ分布の累積分布90%値は、0.15μm以下であり、好ましくは0.06〜0.10μmである。算術平均高さ分布の累積分布90%値が、0.15μmより大きいときは、トナー粒子表面の微細凹凸構造の粗さが増加し、トナー粒子表面で外添剤が微細凹凸に埋没しやすくなる。特に時間経過での機内ストレスで、外添剤と凹凸の接触確率が増し、埋没が増す傾向にある。この外添剤の埋没は、トナーの帯電性、特に帯電維持性を悪化させる原因となる。そこで、本発明に示すように凹凸構造を規定し、トナー表面への外添剤の埋没を防ぐことで、帯電維持性を良好にすることが可能となる。
また、トナーの算術平均高さの変動は40以下であり、より好ましくは35以下である。算術平均高さの変動とは、算術平均高さの分布を表わしており、値が小さいと分布が狭くなることを意味する。算術平均高さの変動が40より大きくなるとトナー粒子の表面粗さの凹凸分布が広くなり、前述のように、トナー粒子の表面に付着させる外添剤が微細凹部に移動、あるいは凸部に埋没しやすくなり、特に時間経過での機内ストレスで、外添剤と凹凸の接触確率が増し、埋没が増す傾向にある。
ここでトナーの算術平均高さとは、表面粗さ指標であり通常Raと表記される物理量である。Raはトナー表面の粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値であり、値が小さいと表面が滑らかな状態、値が大きいと表面があれた状態を表す。
トナーの算術平均高さは、キーエンス社製、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500にて測定を行った。本装置では試料にレーザーを照射し3次元走査を行う。各位置毎のレーザー反射光をCCDカメラでモニターし、試料の3次元表面情報を得る。得られた表面情報を統計的に処理して表面粗さに関する指数を求める。
ここでは、トナー1,000個にわたり繰り返し測定を行ない、データの統計処理を行ってトナーの算術平均高さ分布を求め、算術平均高さの平均値、中央値、標準偏差などのデータを得た。ここでいう算術平均高さの変動とは、算術平均高さの平均値に対する標準偏差を百分率で表したものである。
本発明のトナーでは、少なくとも結着樹脂として結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含み、その表面が無定形高分子を主成分とする表面層で被覆されたトナー粒子表面の凹凸構造に樹脂微粒子を付着させる。
付着させる樹脂微粒子は、体積平均粒子径が0.01〜1μmのものを用いる。より好ましくは、0.1〜0.5μmのものを用いる。さらに好ましくは、0.15〜0.3μmのものを用いる。前述のようにトナー粒子の表面に凹凸構造があると外添剤が埋没し、帯電維持性が悪化する。そのため、外添剤を付着させる前にあらかじめ凹凸に樹脂微粒子を付着させトナー表面を平滑にさせてしまうことが効果的である。凹凸に付着させる樹脂微粒子の体積平均粒子径が0.01μm以下であったり、1μm以上であったりすると、凹凸に対して樹脂微粒子が小さすぎたり、大きすぎたりし、十分に凹凸を平滑化することができない。

トナー粒子表面に付着した樹脂微粒子の体積平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)を利用して、観察画像上でのトナー粒子1個当たり100個の付着粒子の最長の粒子径測定を行い、これを体積平均値に換算した後、値を平均化する作業を、トナー粒子100個に対して実施し、得られた各平均値を更に平均化することにより得られる。
本発明の電子写真用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。また、個数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径および個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン−II水溶液)に分散させ、超音波により30秒分散させた後に行う。
本発明のトナーを構成する成分としては、既述したように少なくとも、結着樹脂として結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。また、本発明のトナーの製造方法は特に限定されるものではないが湿式法を用いることが好ましい。以下に、本発明のトナーの構成成分や製造方法について詳細にする。
−結着樹脂:(結晶性)ポリエステル樹脂−
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の好ましくは炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等の好ましくは炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
多価カルボン酸成分としては炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を主成分とすることが好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化あるいは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して好ましくは1〜15モル%、より好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が上記範囲であると、乳化粒子の経時安定性が良好となり、ポリエステル樹脂の結晶性も良好となる。また、凝集後、粒子が融合する工程においてもトナー径が調整しやすい。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル重合により架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、メサコン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が2〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましく、炭素数2〜10である直鎖型脂肪族ジオールがさらに好ましい。直鎖型ジオールを用いるとポリエステル樹脂の結晶性が良好となり、融点が降下しないため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が良好となる。
また、炭素数が上記範囲であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くならず、低温定着が良好となる。また、炭素数が上記範囲であると実用上の材料の入手が容易である。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90モル%以上である。前記脂肪族ジオール成分の含有量が上記範囲であると、ポリエステル樹脂の結晶性が良好となり、融点が降下しないため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が良好となる。
本発明に使用する結晶性ポリエステルは、多価アルコール成分として炭素数2〜10の直鎖型ジオール成分を80モル%以上含み、多価カルボン酸成分として炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むことが好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
−結着樹脂:無定形高分子−
本発明のトナーに使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体((メタ)アクリル酸エステル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニルニトリル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニルエーテル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニルケトン系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも上記の各種ビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマーが挙げられる。
スチレン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂、特にスチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は本発明において不定形高分子樹脂として有用である。
ビニル芳香族単量体(スチレン系単量体)50〜90重量部、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体((メタ)アクリル酸エステル系単量体)10〜50重量部、これらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜10重量部、及びエチレン性不飽和酸単量体1〜3重量部よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体を界面活性剤で分散安定化した分散液を不定形高分子樹脂成分として好ましく使用することができる。
上記の共重合体のガラス転移温度は50〜70℃であることが好ましい
以下に上記の共重合樹脂を構成する重合性単量体について説明する。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンや、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等がある。スチレン系単量体としては、スチレンが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸n−メチル、(メタ)アクリル酸n−エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等がある。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
エチレン性不飽和酸単量体は、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物等の酸性基を含有するエチレン性不飽和単量体である。
前記スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂にカルボキシル基を含有させる場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を共重合させることによって得ることができる。
このようなカルボキシル基含有重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、アコニット酸、アトロパ酸、アリルマロン酸、アンゲリカ酸、イソクロトン酸、イタコン酸、10−ウンデセン酸、エライジン酸、エルカ酸、オレイン酸、オルト−カルボキシケイ皮酸、クロトン酸、クロロアクリル酸、クロロイソクロトン酸、クロロクロトン酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、ケイ皮酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シトラコン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ジヒドロキシケイ皮酸、チグリン酸、ニトロケイ皮酸、ビニル酢酸、フェニルケイ皮酸、4−フェニル−3−ブテン酸、フェルラ酸、フマル酸、ブラシジン酸、2−(2−フリル)アクリル酸、ブロモケイ皮酸、ブロモフマル酸、ブロモマレイン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンゾイルアクリル酸、4−ペンテン酸、マレイン酸、メサコン酸、メタクリル酸、メチルケイ皮酸、メトキシケイ皮酸等であり、重合体形成反応の容易性などからアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などが好ましく、アクリル酸がより好ましい。
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、その重合時に連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に制限はないが、チオール成分を有する化合物を用いることができる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましく、特に分子量分布が狭く、そのため高温時のトナーの保存性が良好になる点で好ましい。
なお、前記エチレン性不飽和単量体における解離基の濃度は、例えば、室井宗一著、「高分子ラテックスの化学」、高分子刊行会、1970年に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
一方、本発明のトナーにおいて、無定形高分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる無定形のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
本発明のトナーに使用される無定形高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは7,000〜500,000であり、数平均分子量(Mn)は2,000〜100,000であることが好ましい。分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲であると低温定着性と耐ホットオフセット性が良好となる。また、トナーのガラス転移点を低下させないため、トナーのブロッキング等保存性も良好となる。トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害しないので、ドキュメント保存性も良好となる。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー(株)製GPC・HLC−8120、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルより作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明に使用される無定形高分子及び結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移点が上記範囲であると、貯蔵中又は現像機中でのブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)が起こりにくく、トナーの定着温度も高くならないので、好ましい。
−トナー粒子表面に付着させる樹脂微粒子−
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に樹脂微粒子を付着させる。樹脂微粒子の平均粒子径は0.01〜1μmであるが、0.1〜0.5μmであることが好ましい。
本発明で用いられるトナー粒子表面に付着させる樹脂微粒子は、イオン性界面活性剤などを用いた乳化重合やシード重合により容易に調製された樹脂微粒子分散液を乾燥して調製される。重合の原料としては、ビニル系モノマーの、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料などが挙げられる。
付着させる樹脂微粒子は、トナー粒子100重量部に対して0.5〜10重量部添加することが好ましく、1〜5重量部添加することがより好ましい。
樹脂微粒子はトナー粒子の表面に固着されている。トナー粒子表面に樹脂微粒子を付着させ、機械的エネルギーを与えることによって樹脂微粒子を固着させることができる。
−外添剤−
トナー表面に外添される無機粒子や有機粒子としては以下のようなものが挙げられる。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の体積平均1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
(球状無機粒子)
本発明のトナーは、外添剤として体積平均粒子径が0.01〜0.3μmである球状無機粒子を使用することが好ましい。
前記球状無機微紛体の添加量は、トナー粒子に対して0.3〜3重量%であることが好ましく、0.5〜2重量%であることがさらに好ましい。
球状無機粒子は、体積平均1次粒径が10〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜200nmである。体積平均1次粒径が上記範囲であると、トナー粒子の表面の凹凸構造よりも大きくなるので、転写性への寄与が大きくなる。また、トナー粒子から脱離しにくいので、トナー母粒子表面に安定して均一に付着させることができる。したがって、転写効率が良好となり、現像時にもトナーから脱離して現像機を白く汚すことがない。
球状無機粒子は、その平均形状係数SF1が100〜130であることが好ましく、より好ましくは、100〜125である。この平均形状係数(SF1)が上記範囲であると分散性が良好となるので、トナー表面に均一に付着させることができる。
ここで、平均形状係数SF1とは、形状係数の平均値であり、次の方法で算出する。スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて周囲長及び投影面積から、下記式によりSF1を求め、平均値を得たものである。
Figure 0004360306
式中、MLはトナー粒子の周囲長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。
球状無機粒子としては、具体的には、体積平均1次粒径が10〜300nmであり、球状のものであれば、特に限定されないが、分散性の観点から、球状シリカが好適に用いられる。この球状シリカは、SiCl4を原料としてつくられる気相酸化法、金属Siの酸化によりつくられる爆燃法等のような乾式法により得られるものでもよいし、また、テトラアルコキシシランを原料にしてつくられるゾルゲル法、ケイ酸塩からつくられる湿式法により得られるものでもよく、さらに、これらの球状シリカの混合物でもよい。また、この球状シリカは表面に疎水化処理してなるものが好適である。疎水化処理により、分散性が良好になり、トナー母粒子表面への付着構造制御がしやすくなる。
疎水化処理剤としては公知のものが使用できる。具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N―ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。
球状無機粒子のトナー表面からの遊離率は7%以下であることが好ましい。
球状無機粒子の遊離率とは、球状無機粒子のトナー粒子表面からの脱離量を示す指標であり、球状無機粒子の元素由来の発光電圧と結着樹脂の炭素由来の発光電圧を測定することで得られる。例えば測定対象となるトナー(外添剤として少なくとも前記球状無機粒子が付着しているトナー粒子)をプラズマに導入して励起・発光させ、当該発光強度を測定し、得られた測定結果を、横軸にトナー中の炭素の三乗根電圧(V)、縦軸に前記球状無機粒子の主元素の三乗根電圧(V)をとったグラフにプロットした場合、縦軸上にあるプロットが、炭素原子と同時に発光しなかった球状無機粒子由来の元素の発光を示し、トナー表面に付着していない球状無機粒子の割合を示している。
当該数値が小さいほど、球状無機微粒子はトナー表面に付着していることを示している。本発明においては、安定したスペーサ効果を得るために、前記球状無機微粒子の遊離率が7%以下であることが好ましい。遊離率が上記範囲であると球状無機微粒子がトナー表面に十分に付着しているため、スペーサ効果が十分となり、高い転写効率が得られ、現像、転写工程でトナーが感光体へのフィルミングを起こさない。
球状無機粒子の遊離率を左右する因子としては、トナー粒子とのブレンド条件や球状無機粒子の比重等があげられる。本発明においては、好ましい態様の球状シリカを用いる場合には、トナー粒子に前記球状シリカ(S)を添加・混合してなる乾式法による製造方法において、下記式(A)で定義される外添シェアレートγと、前記球状シリカ(S)の外添混合時間TS(秒)との積が、下記式(B)を満たす条件下で添加・混合することが好ましい。
γ=V/D (A)
(γ:外添シェアレート、V:混合機内のブレード先端周速(m/s)、D:ブレード先端と混合機内壁とのクリアランス(m))
1,000,000≦γ×Ts≦2,000,000 (B)
(Ts:球状シリカ(S)の混合時間(秒))
このように乾式法でのトナー粒子と球状シリカとの添加・混合においては、前記の条件でシェアを与えることによって、球状シリカの凝集分をなくし、かつトナー粒子と十分な混ざりを得るため、球状シリカをトナー粒子表面に均一に分散させることができる。また、トナー粒子への付着力が適度となるため、トナー粒子からの剥離、遊離が起きにくく、十分なスペーサ効果が発揮できる。
また、遊離率を左右するもう1つの因子である球状シリカの比重は1.3〜1.9であることが好ましい。比重を1.9以下に制御することでトナー粒子からの剥がれ、また、比重を1.3以上に制御することにより、凝集分散を抑制することができる。
以上の遊離率の具体的な測定方法について、以下に説明する。
メンブランフィルター(ポリカーボネート、0.4μm)に捕集された測定対象となるトナーを1個ずつ、Heガスをキャリアとする特殊アスピレーターにより吸い上げ、Heマイクロ波誘導プラズマ(He−MIP:電子密度5×1013cm3、励起温度3300K、20,000Kを超える高い電子温度を持つ高温の比熱平衡プラズマ)内に導入する。トナーはここで蒸発、原子化、イオン化励起され発光する。この発光スペクトルの強度を、パーティクルアナライザー(PT1000:横川電気社製)を用いて測定する。得られた測定結果のトナー粒子個々について、横軸にトナー粒子中の炭素の三乗根電圧(V)、縦軸に前記球状シリカの主元素であるケイ素の三乗根電圧(V)をとったグラフにプロットし、縦軸上(X=0)の粒子(外添剤のみからなる粒子)のプロット数を測定全体のプロット数割った値を遊離率とした。遊離率は下記式(C)で定義される。
(C)
遊離率=外添剤非同期カウント/(外添剤非同期カウント+同期カウント)×100
(外添剤非同期カウント:縦軸上のプロット数、同期カウント:縦軸上以外のプロット数)
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
本発明の電子写真用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりすることも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーは離型剤を含んでいてもよい。
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1から30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は特に限定されるものではないが、湿式造粒法により作製されることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
すなわち、少なくとも結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液中で、前記結晶性ポリエステル微粒子を含む凝集粒子を芯部とした凝集芯微粒子の分散液を形成する凝集工程、該凝集芯微粒子の分散液に無定形高分子微粒子の分散液を混合して、該凝集芯微粒子の表面を無定形高分子微粒子により被覆させて芯−表面構造粒子を形成する被覆工程、該芯−表面構造粒子を該無定形高分子のガラス転移点以上の温度に加熱することにより融合して静電荷像現像用トナーの分散物を形成する融合工程、静電荷像現像用トナーを分散媒から分離し乾燥する乾燥工程、及び該芯−表面構造粒子に樹脂微粒子を付着する付着工程を少なくとも含むものである。
以下、各工程について詳細に説明する。
−乳化工程−
乳化工程において、原料分散液は、少なくとも結晶性ポリエステルを含む結着樹脂の乳化粒子(以下、「樹脂粒子」と略す。)と、水系媒体および必要に応じて着色剤や離型剤を含む分散液とを混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。したがって結着樹脂は原料分散液中にあらかじめ樹脂粒子として分散させておく必要がある。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記体積平均粒径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
前記分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものではないが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
前記樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
前記樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
一方、前記樹脂粒子が、結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5wt%程度になるようにするのが適当である。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される着色剤としては、前述の着色剤を用いることができる。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
前記着色剤の添加量としては、前記ポリマーの総量に対して1〜20重量%とすることが好ましく、1〜10重量%とすることがより好ましく、2〜10重量%とすることがさらに好ましく、2〜7重量%とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
本発明において前記結着樹脂や離型剤を水性媒体と混合して、乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量及び、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は通常、5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。前記含有量が前記範囲内であれば、粒度分布が狭く、良好な特性を得られる。
なお、本発明において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであることが好ましい。前記体積平均径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
−凝集工程−
凝集工程においては、乳化工程で得られた、少なくとも結晶性ポリエステルを含む樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱して、結晶性ポリエステル微粒子を含む凝集粒子を芯部とした凝集芯微粒子の分散液を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、結着樹脂の無定形高分子としてビニル系共重合体を用いる場合には、3.5〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。
一方、結着樹脂(無定形高分子)としてポリエステル樹脂を用いる場合、原料分散液を調整する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHが7〜8である為、pH3〜5である結晶性ポリエステル樹脂の乳化分散液や着色剤、離型剤分散液を混合すると、極性のバランスが崩れて、緩凝集が生じてしまう。そこで、原料分散液を混合した時点で、pHを4〜6に調整して加熱し、凝集粒子を形成させる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急激な凝集を抑える為に、室温で撹拌混合している段階でpH調整を行ない、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。このプレ凝集工程に用いる分散安定剤としては、極性を変えないようにする為、公知の非イオン性界面活性剤を1〜3%添加することが好ましい。分散安定剤を添加しない場合、加熱凝集工程において、原料粒子の微粉の取り込みが悪くなり、結果として粒度分布がブロードになってしまうという不具合がある。また、分散安定剤はプレ凝集工程と加熱凝集工程との両方に分けて添加しても効果的である。
−被覆工程−
被覆工程では、上記した凝集工程を経て形成された結晶性ポリエステルを含む凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と略す。)の表面に無定形高分子粒子を付着させることにより表面層を形成し、芯−表面構造粒子を形成する(以下、コア凝集粒子表面に表面層を設けたものを「付着凝集粒子」と略す)。
表面層の形成は、凝集工程においてコア凝集粒子を形成した分散液中に、無定形高分子粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。被覆工程においても、用いる無定形高分子に応じて凝集工程と同様にpHや凝集剤を選択し、付着凝集粒子中に含まれる2種以上の結着樹脂のうち、最も融点の低い結着樹脂の融点以下の温度にて加熱し付着凝集粒子を得ることができる。また、この被覆工程は、プレ凝集の段階で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
本発明において、被覆工程を行う撹拌槽として、撹拌槽内中心部に槽外から回転可能な撹拌軸を配設し、該軸に、撹拌槽の底壁面に下端部を摺接させて槽底部に配置されるボトムパドルを装着し、前記撹拌軸のボトムパドルより上位部分に、アームパドルと該アームパドルと直角方向に延びるストリップから構成されるグリッドを装着した撹拌槽を使用することが好ましい。このときに撹拌槽の下部から上部まで軸方向に沿う複数のバッフル(邪魔板)を間隔をおき配設した撹拌機を備えた撹拌槽を使用しても良い。
本発明において、フルゾーン翼について特に限定しないが、マックスブレンド(住友重機械工業(株)製を用いることが、特に好ましい。
マックスブレンドの構造と機能について説明する。
マックスブレンドを備えた撹拌槽は特開昭61−200842号広報に記載されている。撹拌槽は、上側のアームパドルと該アームパドルと垂直方向に延びるストリップから構成される格子部(グリッド部)と下側の平板部(ボトムパドル部)を一体化した撹拌翼を持つものである。
フルゾーン翼を使用せず、4枚パドルのような撹拌翼を使用すると、重合釜内の撹拌状態が不十分となり、釜の最外部の撹拌、混合が不十分となる。そのため熱履歴により、粗大粉の凝集物の付着が釜の最外部に発生する。これら付着物を分析すると、不定形の形状や着色剤を含有しない無色のトナーが存在する。不定形トナーは、生成過程が通常の重合トナーと異なると考えられ、この存在割合が大きくなると摩擦帯電性などのトナー特性および画像評価した場合の現像特性に悪影響が現われ、画像濃度の変動、白い筋、カブリの発生などが見られる。したがって、重合トナーの製造方法において、不定形トナーの発生を防止することは、トナーの特性上のみならず、製造コスト上も重要な事項である。
これら釜壁付着物がトナーに混入した場合トナー特性が悪化し、グロス、色域、剥離、帯電性に懸念が発生する。更には、トナー製造後の釜洗浄性が悪化し、剥がれた凝集物が配管、分散機へのつまりが発生し、設備の維持が困難になり、さらには釜洗浄自体の困難性から生産性が悪化する問題が発生する。
そこで、フルゾーン翼、特にマックスブレンド翼を使用することで釜内の撹拌状態が十分となり、コア凝集粒子への無定形高分子の付着が薄く、均一になり、期待すべき転写率、帯電性、凝集度を持つトナー製造が可能となった。
コア凝集粒子と無定形高分子を配合した際の固形分濃度が30〜50%の間の高濃度のときに、マックスブレンド翼のようなフルゾーン翼を使用することで、無定形高分子同士の凝集を防ぎ、かつコアトナー(芯部)への付着が薄く、均一になり、効果が最も顕著に現れる。
−融合工程−
融合工程では、芯−表面構造粒子を無定形高分子のガラス転移度以上の温度に加熱することにより融合して、静電荷像現像用トナーの分散物を形成する。
融合工程においては、凝集工程と同様の撹拌下で、付着凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜8.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂として含有する結晶性樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより付着凝集粒子を融合させる。なお、付着凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適正なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、付着凝集粒子の粒度が制御できなくなり収率が悪化する場合がある。
融合時の加熱の温度としては、付着凝集粒子中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行えばよい。上記範囲であると、コア凝集粒子(凝集芯微粒子)に含まれる結晶性ポリエステルがトナー表面に露出しにくくなるため、定着性、ドキュメント保存性、及び帯電性が良好となる。
前記融合工程においては、前記結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
架橋構造を導入するための重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、被覆工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
−付着工程−
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その表面に樹脂微粒子を付着させる。
樹脂微粒子はトナー粒子表面に固着されている。例えば粉体表面改質装置を用いて、トナー粒子表面に樹脂微粒子を固着させることができる。
粉体表面改質装置としては、株式会社奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステム(NHS)、ホソカワミクロン株式会社製メカノフュージョンシステムAMS型、岡田精工株式会社製シーターコンポーザー等を挙げることができる。
ハイブリダイゼーションシステムは、乾式で微粉体同士の接合を可能にしたシステムである。まず、トナー粒子と樹脂微粒子とをOMダイザーを用いて混合分散させてオーダードミクスチャーを形成する。これをハイブリダイザーに投入し、高速気流中に分散させながら衝撃力を主体とする機械的熱的エネルギーを与えることでトナー粒子表面に樹脂微粒子を固着させることができる。
−混合工程−
また、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
本発明において、外添剤は、トナー粒子に添加され、混合されることが好ましい。混合は、例えば、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤として、本発明の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を用いることを特徴とする。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート、カラー画像形成に使用される中間体ドラムや中間転写ベルト等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の現像剤(本発明のトナー)を用いているため低温定着が可能であると共に耐オフセット性にも優れ、トナーが現像、転写において適正な帯電維持性を保持することができる。また、耐ブロッキングにもすぐれ、ブロッキングによる粉体流動性の悪化が原因となるトナー飛散などによる機内汚染を防ぐことが可能である。以上より、画像形成に際して省エネルギー性、維持性に優れ、機内汚染を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル92.5mol%、および、5−t−ブチルイソフタル酸7.5mol%の酸成分と、エチレングリコール(酸成分に対し200mol%)と、触媒としてチタニウムテトラブトキシド(酸成分に対し、0.012重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰なエチレングリコールを除去し、230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量13,000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
ついで、この結晶性ポリエステル(1)80部及び脱イオン水720部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱する。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8,000rpmで撹拌した。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1.6部を希釈した水溶液20部を滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒径が0.18μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)〔樹脂粒子濃度:10重量%〕を調製した。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製
上記結晶性ポリエステル(1)と同様の処方で合成し、減圧蒸留の過程で、GPCでの重量平均分子量がおよそ10,000程度になるまで反応を進める。目的の分子量に達したところで、トリメリット酸を0.05mol添加し、トリメリット酸が溶融してから30分間反応進め、加熱を停止する。さらに粘稠状態のまま、過剰量のメタノール中に投入し、再沈殿精製を行ない、酸価処理した重量平均分子量12,000、酸価24の結晶性ポリエステル(2)を得た。
ついで、この結晶性ポリエステル(2)80部及び脱イオン水720部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱する。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8,000rpmで撹拌する。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1.2部を希釈した水溶液15部を滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒径が0.15μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)〔樹脂粒子濃度:10重量%〕を調製した。
−無定形高分子分散液の調製−
・スチレン:360部
・n−ブチルアクリレート:35部
・アクリル酸:4部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が180nm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である樹脂粒子を分散させてなる無定形高分子分散液(樹脂粒子濃度:40重量%)を調製した。
−離型剤分散液の調製−
・エステルワックス(日本油脂(株)製:WEP−2、融点65℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:200部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)を用い110℃、350kg/cm2、30分で分散処理し、体積平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−着色剤分散液の調製−
−着色分散液(1)の調製−
・Cyan顔料(C.I.Pigment Blue B15:3):70部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、体積平均粒子径が220nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色分散剤(1)を調製した。
−着色分散液(2)の調製−
・Magenta顔料(C.I.Pigment Red 122):70部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して、溶解し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、体積平均粒子径が210nmである着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色分散剤(2)を調製した。
−着色分散液(3)の調製−
・Yellow顔料(C.I.Pigment Yellow 180):100部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、体積平均粒子径が250nmである着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色分散剤(3)を調製した。
−着色分散液(4)の調製−
・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製):50部
・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製):5部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散し、体積平均粒子径が200nmである着色剤(ブラック顔料)粒子が分散された着色分散剤(4)を調製した。
(実施例1)
−トナー粒子(1)の製造−
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):600部
・無定形高分子分散液:75部
・着色剤分散液(1):22.87部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897:ローヌプーラン社製):1.05部
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8,000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するので、増粘をはじめたら光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.3に制御しながら、約2時間保持し、凝集粒子を形成した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;ベックマン−コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は2.5μmであった。次に、えられた凝集粒子に無定形高分子分散液(1)25部を追添加し、凝集粒子表面に無定形高分子粒子を付着させた。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールターカウンターで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒子径が6.5μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを9.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒し、トナー粒子(1)をえた。えられたトナー粒子に体積平均粒子径0.30μmのポリメタクリル酸メチルの粒子(重量平均分子量22000)をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサーを用い周速33m/sで30分混合して、トナー表面の凹凸に付着させた。
(実施例2)
−トナー粒子2の製造−
トナー粒子1の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用いた以外は、前記トナー粒子1の製造と同様にして、トナー粒子2を得た。
(実施例3)
−トナー粒子3の製造−
トナー粒子1の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(3)を用いた以外は、前記トナー粒子1の製造と同様にして、トナー粒子3を得た。
(実施例4)
−トナー粒子4の製造−
トナー粒子1の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(4)を用いた以外は、前記トナー粒子1の製造と同様にして、トナー粒子4を得た。
(実施例5)
−トナー粒子(5)の製造−
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(2):400部
・無定形高分子分散液:100部
・着色剤分散液(1):22.87部
・離型剤分散液:50部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897:ローヌプ−ラン社製):0.5部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で凝集まで進めた。次に原料分散液のpHを4.7に調整しながら、凝集粒子を体積平均径が2.6μmまで成長させた。
次に、実施例1と同様に、凝集粒子の表面に無定形高分子粒子を付着させて付着凝集粒子を形成するために無定形高分子分散液25部を追添加し、また、形成される付着凝集粒子を安定化させる為にノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897)1.5部を添加した後、加熱し始めた。加熱開始から3時間後の付着凝集粒子の体積平均径が6.5μmになったところで、融合させる為、pHを8.3に調整してから温度を90℃まで昇温させた。顕微鏡で付着凝集粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま再度pHを6.5まで下げて1時間後に加熱を止め、放冷した。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、トナー粒子(5)を得た。えられたトナー粒子に平均粒子径0.15μmのポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量22000)の微粒子をトナー100重量部に対して3.0重量部添加し、ヘンシェルミキサーを用い周速33m/sで20分で混合して、トナー表面の凹凸に付着させた。
(実施例6)
−トナー粒子6の製造−
トナー粒子5の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用いた以外は、前記トナー粒子5の製造と同様にして、トナー粒子6を得た。
(実施例7)
−トナー粒子7の製造−
トナー粒子5の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(3)を用いた以外は、前記トナー粒子5の製造と同様にして、トナー粒子7を得た。
(実施例8)
−トナー粒子8の製造−
トナー粒子1の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(4)を用いた以外は、前記トナー粒子5の製造と同様にして、トナー粒子8を得た。
(比較例1)
−トナー粒子(9)の製造−
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):600部
・無定形高分子分散液:75部
・着色剤分散液(1):22.87部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.05部
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するので、増粘をはじめたら光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.3に制御しながら、約2時間保持し、凝集粒子を形成した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;ベックマンーコールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は2.6μmであった。次に、えられた凝集粒子に無定形高分子分散液(1)25部を追添加し、凝集粒子表面に無定形高分子粒子を付着させた。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールターカウンターで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒子径が6.6μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを9.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒し、トナー粒子(9)をえた。
(比較例2)
−トナー粒子10の製造−
トナー粒子9の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用いた以外は、前記トナー粒子9の製造と同様にして、トナー粒子10を得た。
(比較例3)
−トナー粒子11の製造−
トナー粒子9の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(3)を用いた以外は、前記トナー粒子9の製造と同様にして、トナー粒子11を得た。
(比較例4)
−トナー粒子12の製造−
トナー粒子9の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(4)を用いた以外は、前記トナー粒子9の製造と同様にして、トナー粒子12を得た。
(比較例5)
−トナー粒子13の製造−
・無定形高分子分散液:180部
・着色剤分散液(1):250部
・離型分散液(1):50部
・カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製):1.5部
以上の成分を、丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50(IKA社製)で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら、60℃まで300分間かけて昇温させた。60℃において無定形高分子分散液(1)を50部加え15分放置した後に、アニオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬(株)製)3部を追加し、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら95℃まで加熱し、95℃で5時間保持した。冷却した後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることにより、トナー粒子13を得た。
(比較例6)
−トナー粒子14の製造−
トナー粒子13の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(2)を用いた以外は、前記トナー粒子13の製造と同様にして、トナー粒子14を得た。
(比較例7)
−トナー粒子15の製造−
トナー粒子13の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(3)を用いた以外は、前記トナー粒子13の製造と同様にして、トナー粒子15を得た。
(比較例8)
−トナー粒子16の製造−
トナー粒子13の製造において、着色剤分散液(1)の代わりに着色剤分散液(4)を用いた以外は、前記トナー粒子13の製造と同様にして、トナー粒子16を得た。
<トナーの算術平均高さ>
トナーの算術平均高さはキーエンス社製超進度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用いて前述の方法で求めた。得られた算術平均高さのデータを統計的に処理して表面粗さに関する指標を求めた。
<個数平均粒径>
コールターカウンター[TA−II]型(ベックマン−コールター社製)を用いて50μmのアパーチャー径で測定した。
<トナーの定着性、ブロッキング性、帯電性の評価>
(定着性、及びブロッキング性の評価)
トナー粒子(1)〜(16)それぞれに外添剤として体積平均粒子径20nmのチタニア粒子(T805:日本アエロジル社製)をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサーを用いて周速22m/sで5分混合して静電荷像現像用トナー(1)〜(16)を得た。
ついで、これらトナーそれぞれ5重量部とポリエチレン樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒子径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整し、これを電子写真複写機(富士ゼロックス(株)製 A−Color 635)の定着機部分を取り除き、画像出しを行い、未定着のソリッド画像(25mm×25mm、トナー載り量13.5g/m2)を得た。なお使用した用紙は富士ゼロックス社製J紙である。ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を90℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。
なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像を定着した後、画像を折り曲げ、荷重1kgの重りを10秒間載せた後、折り曲げ部分を戻し、画像欠損度合いグレード付けし、以下のようなグレード区分から最低定着温度を決定し、低温定着性の指標とした。定着温度は、110℃である。
画像欠損ほとんどない――――― ◎
画像欠損多少ある――――――― ○(最低定着温度)
画像欠損ある――――――――― △
画像欠損著しい―――――――― ×
(帯電性の評価)
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナー(1)〜(16)各1.5重量部とポリエチレン樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒子径35μm)30重量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで10分間、及び10時間撹拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量(μC/g)をブローオフ帯電量測定装置(TB−200東芝社製)で測定し、10分後と10時間後の帯電量の比較を実施した。以下のように帯電量の差をグレード付けして、帯電維持性の指標とした。
3μC/g未満――――――――――― ◎(目標)
±3μC/g以上〜5μC/g未満―― ○
±5μC/g以上8μC/g未満――― △
±8μC/g以上―――――――――― ×
なお帯電量のグレードは、高温高湿、低温低湿の環境で行い、グレードの低い方の環境の値をもって判定する。
以上の(1)から(16)の各トナー特性と、定着特性、粉体流動性、帯電維持性についての評価結果を表1と表2に示す。
Figure 0004360306
Figure 0004360306
表1及び2に示す結果から、実施例(1)〜(8)は、トナーの表面の凹凸にポリメタクリル酸メチル粒子が充填され、表面が平滑になっているため、時間経過でも良好な帯電量を維持する一方で、比較例(9)〜(16)の様にトナー表面の凹凸が多数あり、表面が平滑でないため、時間経過で十分な帯電量を維持することができなかった。
また、実施例(1)〜(8)、及び比較例(9)〜(12)のいずれも、低温定着及び耐オフセット性は良好で、耐ブロッキング性にも優れたものであった。一方、比較例(13)〜(16)は、いずれも、低温定着及び耐オフセット性が悪く、耐ブロッキング性も優れないものであった。

Claims (4)

  1. 芯部及び該芯部を被覆する表面層を含む芯−表面構造を有するトナー粒子の表面の凹凸構造に樹脂微粒子が付着する静電荷像現像用トナーであって、
    芯部の結着樹脂は結晶性ポリエステルを主成分として含み、
    表面層の結着樹脂は無定形高分子を主成分として含み、
    該樹脂微粒子の平均粒子径が0.01〜1μmであり、
    前記静電荷像現像用トナー表面の算術平均高さ分布の累積分布90%値が0.06〜0.10μmであり、かつ、
    該算術平均高さの変動が40以下であることを特徴とする
    静電荷像現像用トナー。
  2. 少なくとも結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液中で、前記結晶性ポリエステル微粒子を含む凝集粒子を芯部とした凝集芯微粒子の分散液を形成する凝集工程、
    該凝集芯微粒子の分散液に無定形高分子微粒子の分散液を混合して、該凝集芯微粒子の表面を無定形高分子微粒子により被覆させて芯−表面構造粒子を形成する被覆工程、
    該芯−表面構造粒子を該無定形高分子のガラス転移点以上の温度に加熱することにより融合して静電荷像現像用トナーの分散物を形成する融合工程、
    静電荷像現像用トナーを分散媒から分離し乾燥する乾燥工程、及び、
    該芯−表面構造粒子に樹脂微粒子を付着する付着工程、を少なくとも含むことを特徴とする
    請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナー及びキャリアを含む静電荷像現像用現像剤。
  4. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
    前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、
    前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記現像剤として、請求項1記載の静電荷像現像用トナー又は請求項3に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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