JP4305211B2 - 電子写真用トナー、並びに、これを用いた電子写真用現像剤および画像形成方法 - Google Patents

電子写真用トナー、並びに、これを用いた電子写真用現像剤および画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像の為に使用するトナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法に関するものである。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特許文献1等)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー画像を形成した後、感光体表面のトナー画像を、中間転写体を介して若しくは介さずに、紙等の被転写体表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧若しくは加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。
被転写体表面に転写された転写画像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー画像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。また、同種の技術として、ロールの一方または両方をベルトに代えて構成されたものも知られている。これらの技術は、他の定着法に比べ、高速で堅牢な定着像が得られ、エネルギー効率が高く、また溶剤等の揮発による環境への害が少ない。
一方、複写機、プリンターのエネルギー使用量を少なくするため、より低エネルギーでトナーを定着する技術が望まれており、そのためのより低温で定着し得る電子写真用トナーの要求が強い。
トナーの定着温度を低くする手段として、トナー用樹脂(結着樹脂)のガラス転移点を低くする技術が一般的に行われている。しかし、ガラス転移点をあまりに低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなったり、定着画像上のトナーの保存性がなくなる為、実用上60℃が下限である。このガラス転移点は、現在多く市販されているトナー用樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では今以上に低温定着可能なトナーを得る事はできず問題があった。また可塑剤を用いることによっても、定着温度を下げることはできるが、トナーの保存時または現像機内においてブロッキングが発生するため問題があった。
ブロッキング防止、60℃までの画像保存性、および、低温定着性の両立の手段として、トナーを構成する結着樹脂として、結晶性樹脂を用いる技術が考えられ、ブロッキング防止、低温定着の両立を目的として、結晶性樹脂をトナーとして用いる方法が古くから知られている(例えば、特許文献2等参照)。また、オフセット防止(例えば、特許文献3等参照)、圧力定着(例えば、特許文献4等参照)等を目的として、結晶性樹脂を用いる技術が古くから知られている。
しかし、特許文献2に記載された結晶性樹脂を用いる技術は、結晶性樹脂として炭素数が14以上のアルキル基側鎖を持ち、融点が62〜66℃の重合体をトナー用の結着樹脂として利用するものであるが、融点が低温過ぎて、粉体や画像の信頼性に問題があった。また、特許文献4に記載の技術に用いられる結晶性樹脂では、紙への定着性能が十分ではないという問題があった。
紙への定着性の改善が期待される結晶性樹脂として、ポリエステル樹脂が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂をトナーに用いる技術としては、上記の特許文献3に記載した技術が挙げられる。これは、ガラス転移温度40℃以上の非結晶性ポリエステル樹脂と、融点130〜200℃の結晶性ポリエステル樹脂とを混合して用いる技術である。しかしこの技術では、優れた微粉砕性、耐ブロッキング性を有するが、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いため、より低温域での定着性は達成できないという問題があった。
前記問題を解決するため、融点が110℃以下の結晶性樹脂を用い、非結晶性樹脂を混合させたトナーを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献5等)。しかし、結晶性樹脂に対して非結晶性樹脂を混合する場合には、トナーの融点降下が起こり、トナーブロッキングが起こったり、画像の保存性の悪化等、実用上問題があった。また、非結晶性樹脂成分が多い場合には、非結晶性樹脂成分の特性が大きく反映されるため、定着温度を従来のものより低下させる事は難しい。このため、トナー用樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるか、非結晶性樹脂を混合してもごくわずかの量でないと実用は難しく問題があった。
以上に説明した経緯から、結晶性ポリエステル樹脂をできるだけ単独で熱ロール定着に用いることが望ましい。このような技術としては、テレフタル酸のカルボン酸成分に対して、炭素数の少ないアルキレングリコールや脂環族アルコールを用いた結晶性ポリエステル樹脂を用いた技術が提案されている(例えば、特許文献6〜8等参照)。
しかし、これらの技術で提案されているポリエステル樹脂は、実質的には部分結晶性ポリエステル樹脂であるため、トナー(樹脂)の温度に対する粘度変化が急峻でなく、ブロッキング性・画像の保存性に問題はないものの、熱ロール定着において、低温定着を実現することはできなかった。
一方、ブロッキング性・画像の保存性と、低温定着性とを両立させる技術として、架橋構造を有する結晶性ポリエステル樹脂を主成分として含むトナーが提案されている(特許文献9参照)。しかしながら、かかるトナーを用いた現像剤、特にトナーとキャリアとからなる二成現像剤においては、帯電特性がやや不充分な場合があった。
このような問題を解決するために、低温定着が可能な結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いたコア層と、このコア層を無定形高分子で被覆した所謂コアシェル構造を有するトナーが提案されている。このようなトナーでは低温定着性と、帯電特性とを両立させることができる。一方、コアシェル構造を有するトナーの作製に際しては、トナー保存性等の観点から離型剤はコア層にのみ分散含有させられる。
しかしながら、従来のコアシェル構造を有するトナーでは、加熱定着時にシェル層が、コア層からの離型剤の溶出を抑制するために、十分な離型性が発現し難い。このため、十分な定着ラチチュードが得られにくいという問題があった。
特公昭42−23910号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特公昭63−25335号公報 特公平4−30014号公報 特開平4−120554号公報 特開平4−239021号公報 特開平5−165252号公報 特開2001−117268号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、定着ラチチュードの広い電子写真用トナー、並びに、これを用いた電子写真用現像剤および画像形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために、コアシェル構造を有するトナーにおいて、十分な定着ラチチュードが得られない原因について鋭意検討した。その結果、コア層に添加される離型剤として1種類の離型剤しか用いていないことが原因であると考えた。
更に、これに加えて、コア層の結着樹脂として用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、その融点から脂肪族結晶性樹脂が好ましく、このような脂肪族結晶性樹脂は分子間凝集力が小さいため、より離型剤を用いた離型効果が要求される。さらに高光沢画像を出すためにコア層に含まれる結着樹脂の粘度を下げた場合も同様である。
従って、本発明者らは、コア層を構成する結着樹脂(以下、「コア結着樹脂」と称す場合がある)の融点に対して最適化された2種以上の融点の相互に異なる離型剤を用いることが、より広い定着ラチチュードを実現する上で重要であると考えた。
具体的には、コア層に添加する離型剤として、コア結着樹脂の融点近傍のに融点を持つ低融点タイプの離型剤と、この低融点タイプの離型剤の離型性が低下してくる温度近傍に融点を持つ高融点タイプの離型剤と、を併用することによりより広い定着ラチチュードを実現することが可能であると考えた。すなわち、このようなコア結着樹脂と、2種類の離型剤との組み合わせにより、低融点タイプの離型剤により低温域での離型性を確保すると共に、この低融点タイプの離型剤の離型性が低下してくる温度域に融点を持つ高融点タイプの離型剤を組み合わせることによって、低温域から高温域までの広い温度域で十分な離型性を確保することが可能であると考えられる。
本発明者等は、上記の知見に基づき以下の本発明を見出した。すなわち、本発明は、
<1>
結晶性ポリエステルと2種類以上の離型剤とを含むコア層と、該コア層を被覆し、無定形高分子を含むシェル層と、を有する電子写真用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルの融点CPmが、50〜100℃の範囲内であり、前記2種類以上の離型剤のうちから選択される少なくとも2種の融点が相互に異なり、且つ、下式(1)(2)、及び(3)を満たすことを特徴とする電子写真用トナーである。
・式(1) −8≦CPm−LWm≦10
・式(2) 8≦HWm−LWm≦30
式(3) |Cpm−LWm|<|HWm−Cpm|
〔但し、式(1)(2)、及び(3)において、CPmは、前記結晶性ポリエステルの融点(℃)を表し、HWmは、前記2種類以上の離型剤から選択されるいずれか1種の離型剤(第1の離型剤)の融点(℃)を表し、LWmは、前記2種類以上の離型剤から選択され、且つ、前記第1の離型剤の融点HWmよりも融点の低いいずれか1種の離型剤(第2の離型剤)の融点(℃)を表す。〕
<2>
前記第2の離型剤の融点LWmが、50〜90℃の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の電子写真用トナーである。
<3>
前記第1の離型剤の融点HWmが、60〜110℃の範囲内であることを特徴とする<1>または<2>に記載の電子写真用トナーである。
<4>
前記結晶性ポリエステルの含有量が30〜95重量%の範囲内であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーである。
<5>
前記シェル層の平均厚みが0.01μm〜1.0μmの範囲内であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーである。
<6>
前記結晶性ポリエステルのエステル濃度が、0.01〜0.12の範囲内であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーである。
<7>
<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤である。
<8>
潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
前記現像剤として、<7>に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
以上に説明したように本発明によれば、低温定着性に優れ且つ定着ラチチュードの広い電子写真用トナー、並びに、これを用いた電子写真用現像剤および画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を、電子写真用トナー、トナーの製造方法、静電荷像現像剤、画像形成方法の順に大きくわけて説明する。
<電子写真用トナー>
本発明の電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、結晶性ポリエステルと2種類以上の離型剤とを含むコア層と、該コア層を被覆し、無定形高分子を含むシェル層と、を有する電子写真用トナーであって、前記2種類以上の離型剤のうちから選択される少なくとも2種の融点が相互に異なり、且つ、下式(3)(4)、及び(8)を満たすことを特徴とする。
・式(3) −8≦CPm−LWm≦10
・式(4) 8≦HWm−LWm≦30
式(8) |Cpm−LWm|<|HWm−Cpm|
但し、式(3)(4)、及び(8)において、CPmは、前記結晶性ポリエステルの融点(℃)を表し、HWmは、前記2種類以上の離型剤から選択されるいずれか1種の離型剤(第1の離型剤)の融点(℃)を表し、LWmは、前記2種類以上の離型剤から選択され、且つ、前記第1の離型剤の融点HWmよりも融点の低いいずれか1種の離型剤(第2の離型剤)の融点(℃)を表す。
従って、本発明のトナーは、従来の低融点結晶性ポリエステルを用いたコアシェル構造を有するトナーでは達成が困難であった低温域から高温域まで、広い温度範囲において良好な剥離性(広い定着ラチチュード)を得ることができる。
加えて、本発明のトナーはコアシェル構造を有するため、使用する結着樹脂の量や、シェル層の厚み等を最適化することにより、低温定着性、帯電特性、画像の光沢性等の諸特性を高いレベルで両立させることが容易である。
なお、幅広い温度域にて良好な剥離性を確保するためには、CPm−LWmは式(3)に示すように、−8〜10℃の範囲内であることが必要であるが、−6〜10℃の範囲内であることが好ましく、−6〜8℃の範囲内であることがより好ましい。
CPm−LWmが、10℃を超える場合には、結晶性ポリエステルの融点に比べて第2の離型剤(低融点ワックス)の融点が低すぎ、第1の離型剤(高融点ワックス)の離型効果発現までの離型性が確保できないなど、十分な離型性ラチチュードが得られない場合がある。また第2の離型剤がトナー表面に顔出ししている場合には、トナーの粉体特性や熱保存性を損なうため、定着性を確保しつつもできるだけ第2の離型剤の融点は高い方が好ましい。
また、−8℃未満の場合には、結着樹脂(結晶性ポリエステル)が溶融し始める温度で第1の離型剤の離型効果が十分に発現できないため、結果として低温定着性を損ねる事になってしまう。
また、HWm−LWmは式(4)に示すように、8〜30℃の範囲内であることが必要であるが、10〜30℃の範囲内であることが好ましく、10〜25℃の範囲内であることがより好ましい。
HWm−LWmが、8℃未満である場合には、第1の離型剤(高融点ワックス)と第2の離型剤(低融点ワックス)の離型効果発現領域にほとんど差が生じなくなるため、結果として十分な定着ラチチュードが得られない。
また、30℃を超える場合には、低温域および高温域での剥離性は良好であるものの、第1および第2の離型剤による中温域での離型性が発揮できなくなり、中温域で剥離不良が発生してしまう。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融点CPmは、50〜100℃の範囲内であることが必要であり、60〜90℃の範囲内であることがより好ましい。CPmが100℃を超える場合には、十分な低温定着性が得られない。また、50℃未満の場合には、一般的な高温環境下において、トナーが凝集してブロッキングを起こしたり、形成された画像の保存性が低下してしまう。
また、第2の離型剤の融点LWmは、50〜90℃の範囲内であることが好ましく、60〜80℃の範囲内であることが好ましい。LWmが90℃を超える場合には、低温域での定着に際し、剥離性が不充分となる場合がある。また、50℃未満の場合には、トナーの流動性や熱保存性が劣化する場合がある。
更に、第1の離型剤の融点HWmは、60〜110℃の範囲内であることが好ましく、65〜100℃の範囲内であることが好ましい。HWmが110℃を超える場合には、定着領域での離型性が十分でない場合がある。また、60℃未満の場合には、高温域での定着に際し、剥離性が不充分となる場合がある。
なお、本発明において、離型剤や結晶性ポリエステルの融点はJIS K−7121に基いて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融点とみなす。
コア層に用いられる結晶性ポリエステル樹脂としては、融点の異なるものを2種類以上用いることもできる。このような場合には、融点CPmは、基本的には、含有量の最も多い結晶性ポリエステル樹脂の融点を基準として決定することができる。但し、いずれの結晶性ポリエステル樹脂の含有量も余り差異が無い場合(具体的には、最も含有量が少ない結晶性ポリエステル樹脂に対して、最も含有量が多い結晶性ポリエステルの相対量が 倍以内の範囲内)には、各々の結晶性ポリエステル樹脂の融点を加重平均した値を基準として決定することもできる。
また、第2の離型剤の含有量は2〜20重量%の範囲内であることが好ましく、4〜15重量%の範囲内であることが好ましい。第2の離型剤の含有量が2重量%未満の場合には、低温域での剥離性が不充分となる場合がある。また、20重量%を超える場合には、トナー表面への第1の離型剤の顔出しが著しく多くなり、トナーの流動性や熱保存性が悪化する場合がある。
さらに、第1の離型剤の含有量は2〜20重量%の範囲内であることが好ましく、3〜15重量%の範囲内であることが好ましい。第1の離型剤の含有量が2重量%未満の場合には、高温域での剥離性が不充分となる場合がある。また、20重量%を超える場合には、トナー表面への第2の離型剤の顔出しが著しく多くなり、トナーの流動性や熱保存性が悪化する場合がある。
離型剤の総含有量としては、4〜30質量%の範囲が好ましく、6〜20質量%の範囲がより好ましい。4質量%未満であると、離型剤添加の効果がない場合がある。30質量%以上であると、帯電性への悪影響が現れやすくなり、また現像器内部においてトナーが破壊されやすくなるため離型剤やトナー樹脂のキャリアへのスペント化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるばかりでなく、著しく造粒制御性が悪化し所望の粒度/分布のトナーを作製することが困難となってしまう場合がある。
なお、本発明においては、高温域での離型性を確保するために用いる第1の離型剤と、低温域での離型性を確保するために用いる第2の離型剤との2種類を必ず用いるが、必要に応じて更にもう1種類以上の離型剤(以下、「第3の離型剤」と称す場合がある)を併用することもできる。
この第3の離型剤の種類、融点や含有量は特に限定されず、必要に応じて所望の離型剤を利用することができる。このような第3の離型剤としては例えば以下のような例を挙げることができる。
すなわち、本発明のトナーにおいて、中温域での剥離性は、中温域よりも高温側に融点を持つ第1の離型剤と、中温域よりも低温側に融点を持つ第2の離型剤との離型性によって確保される。しかし、定着ラチチュードをより広くするために、第1の離型剤の融点HWmと、第2の離型剤の融点LWmとの差が大きく成り過ぎた場合には、問題を引き起こす程ではないにせよ、中温域での離型性が低下してしまう場合もある。このような場合には、中温度域での離型性の低下を補填するために、第1の離型剤の融点と第2の離型剤の融点との中間の温度域に融点を持つ第3の離型剤を利用することができる。
本発明のトナーは、上述したように、諸特性を高いレベルで両立させることができるコアシェル構造を有するものであるが、低温定着性と帯電性とをより高いレベルで両立させるためには、以下のような構成を有することがより好ましい。
すなわち、結晶性ポリエステルの含有量が30〜95重量%の範囲内であり、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合が15atm%以下であり、且つ、シェル層の平均厚みが0.01μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂として結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含むものであるが、この場合、トナー中に含まれる結晶性ポリエステルの含有量が30〜95重量%の範囲内であることが好ましく、50〜90重量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が30重量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着ができなくなる場合がある。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。
一方、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が95重量%を超える場合には、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の割合が大きくなり、トナーの帯電量が低下する場合がある。
また、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合は、15atm%以下であることが必要であり、12atm%以下であることが好ましく、8atm%以下であることがより好ましい。トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合が、15atm%を超える場合には、トナーがキャリアと摩擦帯電した際に電荷漏洩し、静電荷像の現像に必要な帯電量が得られない場合がある。
また、本発明において、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合は、XPS(X線光電子分光法)を用いて求められた値を意味する。従って、本発明において、「トナーの最表面」とは、トナー表面からの厚みが、XPS(X線光電子分光法)により測定される領域を意味し、具体的には、トナー表面にX線を照射した際に発生する光電子の脱出深さに相当する数nmから十数nm程度の厚みを意味する。
なお、XPS(X線光電子分光法)を用いたトナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合は、具体的には、以下のようにして求めることができる。
まず、トナーの造粒に用いた原料(樹脂、ワックス、界面活性剤等)およびトナーの最表面の炭素原子C1sスペクトルを下記測定条件で測定する。次に、トナーのスペクトルに対して、原料其々のスペクトルのピーク位置とスペクトルの面積強度比とを最小二乗法の原理に基づいてカーブフィッティング処理(基本アルゴリズムはガウス=ニュートン法を利用した)することによって、トナーの最表面における各原料の組成比を定量することにより、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステルの割合を求めることができる。
−XPSによる測定条件−
・X線光電子分光装置:日本電子社製 JPS−9000MX
・光電子励起:MgKα線(10kv,30mA)
・光電子エネルギーアナライザーのパスエネルギー:30V
さらに、本発明のトナーは、結晶性ポリエステルと2種類以上の離型剤とを少なくとも含み、更に必要に応じて着色剤等を含むコア層を、無定形高分子を含むシェル層で被覆した構成を有するものである。なお、シェル層は無定形高分子を主成分とする層であることが好ましい。また、このシェル層の平均厚みは、0.01μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
なお、本発明のトナーの内部構造としては、多数の小さな結晶性ポリエステル相が、無定形高分子相に分散したような構造(構造例A)や、1つの大きな結晶性ポリエステル相の表面を無定形高分子相が被覆したような構造(構造例B)が挙げられる。
図1および図2は本発明のトナーの内部構造の一例について示した模式断面図であり、図1が構造例Aを、図2が構造例Bを示し、図1および2中、1が(構造例Aの)トナー、2が(構造例Bの)トナー、10が無定形高分子相、11〜13が結晶性ポリエステル相を表す。
図1に示すトナー構造の場合、無定形高分子を主成分とするシェル層の平均厚みは、以下のように算出される。すなわち、トナー断面のTEM(透過型電子顕微鏡)観察により得られたTEM写真において、結晶性ポリエステル相11および12と、無定形高分子相10とは、それぞれのコントラストの差により識別できる。このコントラストの差を利用してトナー1表面近傍の結晶性ポリエステル相(図1中の結晶性ポリエステル相11)を選択し、其々の結晶性ポリエステル相11とトナー1表面との最短距離をそれぞれ求め、50個分のトナーの平均値を、構造例Aのトナーにおけるシェル層の平均厚みとした。
一方、図2に示すトナー構造の場合、TEM写真を画像解析装置LUZEX FT(ニコレ株式会社製)で二値化し、トナー2外周および結晶性ポリエステル相13の外周から其々の円相当径を算出し、その半径の差分を、構造例Bのトナーにおけるシェル層の平均厚みとした。
シェル層の平均厚みが1.0μmを超える場合には、定着時にトナーが加熱された際に、シェル層の内側に多く存在する結晶性ポリエステルがトナーの表面に染み出しにくくなるために、結晶性樹脂に起因するシャープメルト性が発揮できず低温定着できなくなる場合がある。また、このようなトナーを用いて形成された画像ではドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。
低温定着の観点から、シェル層の平均厚みは薄ければ薄い方が好ましいが、0.01μm以下の場合には、トナー保存時に、結晶性ポリエステルがトナー表面に染み出し、帯電性の悪化を招く場合がある。また、トナー製造に際して、トナーの内部から最表面へ結晶性ポリエステル樹脂の染み出しが容易に起こりやすくなり、得られたトナーの帯電性の悪化を招く場合がある。従って、シェル層の平均厚みは0.03μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。
なお、シェル層は無定形高分子を主成分とすることが好ましいが、具体的にはシェル層に含まれる無定形高分子相の割合が80%以上であることが好ましい。なお、シェル層の平均厚みや、上記したTEMを用いた方法により求めることができ、シェル層に含まれる無定形高分子相の割合もTEMを利用して求めることができる。
本発明で使用される結晶性ポリエステルの粘弾性特性は以下の条件を満たすことが好ましい。すなわち、角周波数1rad/sec、30℃における貯蔵弾性率GL(30)が1×105Pa以上であることが好ましく、損失弾性率GN(30)が1×105Pa以上であることが好ましい。
この貯蔵弾性率GL(30)が1×105Pa未満や、損失弾性率GN(30)が1×105Pa未満の場合には、例えば二成分現像方式を例に取れば、現像機内でキャリアと混合された時に、キャリアから受ける圧力や剪断力によりトナー粒子が変形し、安定な帯電現像特性を維持することができず、また、静電潜像担持体上のトナーがクリーニングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断力によって変形し、クリーニング不良が発生する。一方、貯蔵弾性率GL(30)が1×105Pa以上、損失弾性率GN(30)が1×105Pa以上である場合には、高速機で用いても特性が安定し、定着後の画像の強度を強くすることができる。
本発明のトナーは、貯蔵弾性率GL及び損失弾性率GNが、それぞれ10℃の温度範囲における変化量が2桁以上であることが好ましく、2.5桁以上変化であることがより好ましい。この変化量が2桁未満であると、低温で定着できない場合がある。このような場合、エネルギー消費を低減効果が十分に得られなかったり、定着ラチチュードが十分に得られないことがある。
さらに本発明のトナーは、貯蔵弾性率GLの常用対数を温度に対してプロットした時に、融点(CPm)+20℃における貯蔵弾性率をGL(Tm+20)、融点+50℃に於ける貯蔵弾性率をGL(Tm+50)とした場合、下式(5)を満たすことが好ましく、下式(5−A)を満たすことがより好ましい。また、損失弾性率GNの常用対数を温度に対してプロットした時に、融点+20℃における損失弾性率をGN(Tm+20)、融点(CPm)+50℃に於ける損失弾性率をGN(Tm+50)とした場合、下式(6)を満たすことが好ましく、下式(6−A)を満たすことがより好ましい。
本発明のトナーが、下式(5)及び下式(6)を満たすことにより、オフセットの発生を防ぐことができ、粘弾性の温度依存がゆるやかであり、結晶の融解に伴い温度とともに低下する粘弾性が変極点を持ち、粘弾性の温度依存性がより低くなる。
・式(5)
|logGL(Tm+20)−logGL(Tm+50)|≦1.5
・式(5−A)
|logGL(Tm+20)−logGL(Tm+50)|≦1.0
・式(6)
|logGN(Tm+20)−logGN(Tm+50)|≦1.5
・式(6−A)
|logGN(Tm+20)−logGN(Tm+50)|≦1.0
また、融点+20℃以上における損失正接tanδが、角周波数1rad/secにおいて0.01を超え2未満の範囲内であることが好ましく、0.01を超え1.5未満の範囲内であることがより好ましい。この融点+20℃以上における損失正接tanδが、角周波数1rad/secにおいて0.01を超え2未満の範囲内である場合には、紙などの記録媒体に対する過度の染み込みを防止することができ、定着ラチチュードの広く、安定した画像が得られる。
本発明の電子写真用トナーに用いられる結晶性ポリエステルのような『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質樹脂(無定形高分子)を意味するが、本発明において用いられるむ無定形高分子としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明のトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
本発明の電子写真用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、また、個数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径および個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
本発明のトナーを構成する成分としては、既述したように少なくとも、結着樹脂として結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含み、また、離型剤として第1の離型剤と第2の離型剤を含み、これに加えて着色剤を含むものであれば特に限定されず、他の成分を含んでいてもよい。また、本発明のトナーの製造方法は特に限定されるものではないが湿式法を用いることが好ましい。以下に、本発明のトナーの構成成分や製造方法について詳細にする。
−結着樹脂:(結晶性)ポリエステル樹脂−
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
また、本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルは下式(7)で規定されるエステル濃度が、0.01〜0.12の範囲内であることが好ましい。
・式(7) M=K/A
但し、式(7)中、Mはエステル濃度を、Kは結晶性ポリエステル中のエステル基数を、Aは結晶性ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
結晶性ポリエステルのエステル濃度を0.01以上0.12以下に抑えることで、耐トナーブロッキング性、画像の保存性、および、低温での定着性に優れると共に、さらに帯電性も向上させることができる。
結晶性ポリエステルのエステル濃度が0.01未満では、帯電性は良好であるものの、結晶性ポリエステルの融点が高くなりすぎるために低温定着性が低下してしまう場合がある。エステル濃度の下限としては、0.04以上であることがより好ましい。
一方、エステル濃度が0.12を超えると、帯電性が低下してしまうほか、結晶性ポリエステルの融点が低くなりすぎるために、定着画像の安定性や粉体ブロッキング性が低下してしまう場合がある。エステル濃度の上限としては、0.10以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、「エステル濃度」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。上記式中のKで表される「ポリマー中のエステル基数」は、言い換えればポリマー全体に含まれるエステル結合の数を指す。
上記式中のAで表される「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数」は、ポリマーの高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。
すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つの計10個の原子のうち、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、上記「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数A」に含まれない。
結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2O−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K’=2)ので、エステル濃度は、下式(7−1)により、求めることができる。
・式(7−1) M=2/A’
但し、式(7−1)中、Mはエステル濃度を、A’は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、式(7)に代入することで、求めることができる。
例えば、共重合単位がXa、XbおよびXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(Xb)b(Xc)c]についてのエステル濃度は、下記式(7−2)により、求めることができる。
・式(7−2)
M={KXa×a+KXb×b+KXc×c}/{AXa×a+AXb×b+AXc×c}
但し、上記式(7−2)中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。
−結着樹脂:無定形高分子−
本発明のトナーに使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
本発明においては、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有していることが好ましい。本発明においては、これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
なお、前記解離性ビニル系モノマーにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
一方、本発明のトナーにおいて、無定形高分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる無定形のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
本発明トナーに使用される無定形高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明に使用される無定形高分子及び結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない場合がある。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
本発明の電子写真用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、上記に列挙した離型剤の中でも、第2の離型剤としては、パラフィンワックス、ペンタエリスリトールワックスを用いることが好ましい。
また、第1の離型剤としては、パラフィンワックス、フィシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックスを用いることが好ましい。
また、本発明のトナーに用いる全ての離型剤の(合計)含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1から30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機微粒子や有機微粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
<トナーの製造方法>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は特に限定されるものではないが、湿式造粒法により作製されることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
乳化凝集法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結晶性ポリエステル微粒子と、第1の離型剤粒子と、第2の離型剤粒子とを少なくとも含む分散液中で、結晶性ポリエステルや第1および第2の離型剤を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に無定形高分子微粒子を付着させる付着工程と、少なくとも含むものであることが好ましく、さらに、凝集粒子、あるいは、無定形高分子微粒子をその表面に付着させた後の凝集粒子を加熱することにより融合させる融合工程を、含むことがより好ましい。以下、各工程について詳細に説明する。
−各種分散液の調整−
まず、凝集工程で利用する結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液や、第1の離型剤を分散させた分散液等の各種分散液、付着工程で利用される無定形高分子微粒子を含む分散液を予め作製する。また、凝集工程においては、最終的にトナーとした際にコア層を形成する凝集粒子に、着色剤等も加える場合には、これらの成分を含む分散液も予め作製しておく。
凝集工程で用いられる原料分散液は、結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液に、水系媒体および必要に応じて着色剤や離型剤を含む分散液とを少なくとも混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。
結晶性ポリエステルや無定形高分子からなる結着樹脂微粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い場合がある。
一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
結着樹脂や着色剤、離型剤を含む各種の分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
結着樹脂微粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の結着樹脂微粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる無定形高分子微粒子分散液が調製される。
結着樹脂微粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、この樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、この樹脂を油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる無定形高分子微粒子分散液が調製される。
一方、結着樹脂微粒子が、結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5wt%程度になるようにするのが適当である。
凝集工程で用いる原料分散液の調整に際し、結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
着色剤の添加量としては、結着樹脂の総量に対して1〜20重量%とすることが好ましく、1〜10重量%とすることがより好ましく、2〜10重量%とすることがさらに好ましく、2〜7重量%とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
凝集工程で用いる原料分散液の調整に際し、結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
本発明において前記結着樹脂や離型剤を水性媒体と混合して、乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
原料分散液の作製に用いられる結晶性ポリエステル微粒子分散液に含まれる結晶性ポリエステル微粒子の含有量や、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は通常、5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。前記含有量が前記範囲外にあると、粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。これは付着工程で用いられる無定形高分子微粒子分散液についても同様である。
なお、本発明において、目的に応じて、結晶性ポリエステル微粒子分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
なお、本発明に用いられる帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであることが好ましい。前記平均径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
−凝集工程−
凝集工程においては、予め作製しておいた結晶性ポリエステル樹脂粒子、第1の離型剤、第2の離型剤、また、必要に応じて使用される着色剤等を含む各種分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、結晶性ポリエステル樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、結着樹脂の無定形高分子としてビニル系共重合体を用いる場合には、3.5〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。
一方、結着樹脂(無定形高分子)としてポリエステル樹脂を用いる場合、原料分散液を調整する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHが7〜8である為、pH3〜5である結晶性ポリエステル樹脂の乳化分散液や着色剤、離型剤分散液を混合すると、極性のバランスが崩れて、緩凝集が生じてしまう。そこで、原料分散液を混合した時点で、pHを4〜6に調整して加熱し、凝集粒子を形成させる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行ない、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。このプレ凝集工程に用いる分散安定剤としては、極性を変えないようにする為、公知の非イオン性界面活性剤を1〜3%添加することが好ましい。分散安定剤を添加しない場合、加熱凝集工程において、原料粒子の微粉の取り込みが悪くなり、結果として粒度分布がブロードになってしまうという不具合がある。また、分散安定剤はプレ凝集工程と凝集工程において実施される加熱処理との両方に分けて添加しても効果的である。
−付着工程−
付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された結晶性ポリエステル、第1の離型剤および第2の離型剤を少なくとも含む凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と略す)の表面に無定形高分子粒子を付着させることにより被覆層を形成する(以下、コア凝集粒子表面に被覆層を設けたものを「付着凝集粒子」と略す)。なお、この被覆層は、後述する融合工程を経て形成される本発明のトナーのシェル層に相当するものである。
被覆層の形成は、凝集工程においてコア凝集粒子を形成した分散液中に、無定形高分子粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。付着工程においても、用いる無定形高分子に応じて凝集工程と同様にpHや凝集剤を選択し、付着凝集粒子中に含まれる2種以上の結着樹脂のうち、最も融点の低い結着樹脂の融点以下の温度にて加熱し付着凝集粒子を得ることができる。また、この付着工程は、プレ凝集の段階で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
−融合工程−
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、付着凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜8.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより付着凝集粒子を融合させる。なお、付着凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、付着凝集粒子がばらけてしまい収率が悪くなる。また、融合工程は、必要に応じて凝集工程を得た後に実施してもよい。
融合時の加熱の温度としては、付着凝集粒子中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性ポリエステルがトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。したがって、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、長時間加熱するのは好ましくない。
前記融合工程においては、前記結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、凝集工程で利用する結晶性樹脂微粒子に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
<静電荷像現像用現像剤>
本発明のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記トナーとして、本発明のトナーを用いることを特徴とする。このため、本発明の画像形成方法は、広い温度領域で、定着を行っても優れた剥離性を得ることができる。
なお、前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤(以下、トナーに含まれる離型剤と区別するため、「オイル」と称す)が供給される。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂中に架橋構造がある場合には、その効果からより離型性が向上するため、オイルの使用量を低減する、若しくはオイルを使用せずに定着を行うことができる。
前記オイルは、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、前記オイルの供給量を0mg/cm2にすると、定着時に前記定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記オイルの使用量が8.0×10-3mg/cm2以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
前記オイルの供給量が、8.0×10-3mg/cm2を越えると、定着後に画像表面に付着したオイルのために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体へのオイルの付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、前記オイルの供給量は、多くなるほどオイルを貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
前記オイルとしては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体オイルが挙げられる。中でも、前記定着部材の表面に吸着し、均質なオイル層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、前記定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質なオイル層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記オイルとして、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルを使用するのは、本発明の電子写真用トナーを用いない、従来の画像形成方法においては、オイル自体の供給量を低減し得ないため、コストの面で実用的ではないが、本発明の電子写真用トナーを使用する場合においては、前記オイルの供給量を激減できるのでコスト面でも実用上問題がない。
前記加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記オイルを供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体オイルを含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、前記オイルを均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。尚、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記オイルを供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。
前記オイルの供給量は、以下のようにして測定できる。即ち、その表面にオイルを供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(代表的には、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上にオイルが付着する。この付着したオイルをソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。
このヘキサン中に含まれるオイルの量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着したオイルの量を定量できる。この量をオイルの定着部材への供給量と定義する。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、ドデカンジオイック酸92.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム3mol%、5−t−ブチルイソフタル酸4.5mol%の酸成分、および、1,10デカンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて220℃まで徐々に昇温を行い2.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量11000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
得られた結晶性ポリエステル(1)に融点を示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)の熱分析装置を用いて測定した。測定は、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で行い、融点をJIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。この方法で測定したところ、明確なピークを有し、融点は80℃であった。またエステル濃度は0.078であった。
ついで、この結晶性ポリエステル(1)80g及び脱イオン水587gをステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱する。結晶性ポリエステル樹脂(1)が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで攪拌する。同時に希アンモニア水を添加しPHを7.0に調整する。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)0.8gを希釈した水溶液20gを滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒径が0.21μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)〔樹脂粒子濃度:12重量%〕を調製した。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸92.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム3mol%、5−t−ブチルイソフタル酸5.5mol%の酸成分、および、1,10デカンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて220℃まで徐々に昇温を行い2.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量12000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(2)を得た。
得られた結晶性ポリエステル(2)に融点を前述の方法で測定したところ、明確なピークを有し、融点は73℃であった。またエステル濃度は0.084であった。
ついで結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様にして乳化分散を行い、平均粒径が0.20μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)〔樹脂粒子濃度:12重量%〕を調製した。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、アジピン酸95.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム1mol%、5−t−ブチルイソフタル酸3.5mol%の酸成分、および、エチレングリコール(酸性分に対して2mol倍量)と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰なエチレングリコールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い2.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量10000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(3)を得た。
得られた結晶性ポリエステル(3)に融点を前述の方法で測定したところ、明確なピークを有し、融点は45℃であった。またエステル濃度は0.169であった。
ついで結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様にして乳化分散を行い、平均粒径が0.20μmの結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)〔樹脂粒子濃度:12重量%〕を調製した。
−無定形高分子分散液(1)の調整−
・スチレン:370g
・nブチルアクリレート:30g
・アクリル酸:4g
・ドデカンチオール:24g
・四臭化炭素:4g
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6g及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10gをイオン交換水560gに溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が0.11μm、ガラス転移点が58℃、重量平均分子量(Mw)が21,000である樹脂粒子を分散させてなる無定形高分子分散液(1)(樹脂粒子濃度:40重量%)を調製した。
−無定形高分子分散液(2)の調整−
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2):386g
・トリメチロールプロパン:428g
・テレフタル酸:1392g
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに上記のモノマーを仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの1.2gを投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が6.0mgKOH/g、軟化点が105℃になるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ無水フタル酸の497部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が51mgKOH/g、ガラス転移点が67℃、重量平均分子量が29000である無定形ポリエステル樹脂を得た。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂熔融体と同時に上記キャビトロン(株式会社ユーロテック製)に移送した。
回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、平均粒径0.10μmのポリエステル樹脂からなる無定形高分子分散液(2)(樹脂粒子濃度:30重量%)を得た。
−離型剤分散液(1)の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−離型剤分散液(2)の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP−0190、融点90℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が250nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(2)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−離型剤分散液(3)の調製−
・ペンタエリスリトールベヘン酸テトラエステル(融点69℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(3)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−離型剤分散液(4)の調製−
・ポリオレフィンワックス(東洋ペトロライト(株)製:PW500、融点80℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が260nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(4)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−離型剤分散液(5)の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:120、融点50℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(5)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−離型剤分散液(6)の調製−
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP−5、融点62℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(6)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
−着色剤分散液の調製−
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):1kg
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):15g
・イオン交換水:9kg
以上の成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.16μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
(実施例1)
−トナー母粒子(1)の製造−
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1):833g
・着色剤分散液:27.17g
・離型剤分散液(1):50g
・離型剤分散液(2):25g
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.25g
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散混合した。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75gを徐々に滴下して、Ultraturraxの回転数を5000rpmにして15分間分散混合して原料分散液とした。
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、50℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、原料分散液のpHは2.2〜3.5の範囲に制御するのが好ましく、必要に応じて、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行なった。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて測定したコア凝集粒子の体積平均粒子径は約6.0μmであった。
次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。さらに60℃に昇温し、光学顕微鏡及びコールターカウンターで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、pHを8.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、pHを6.0まで下げて、1時間後に加熱を止め、氷水を投入して100℃/分の降温速度で急冷した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒したトナー母粒子(1)の体積平均粒子径は6.6μmであった。
(実施例2)
−トナー母粒子(2)の製造−
実施例1と同様の条件でコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.9μmであった。次に、pHを4.0に上げ、無定形高分子分散液(2)66.7gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(2)を付着させた。さらに64℃に昇温し、光学顕微鏡及びコールターカウンターで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、pHを8.0に調整してから温度を90℃まで昇温させた。顕微鏡で付着凝集粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま再度pHを6.5まで下げて1時間後に加熱を止め、氷水を投入して100℃/分の降温速度で急冷した。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.4μmのトナー母粒子(2)を得た。
(実施例3)
−トナー母粒子(3)の製造−
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)に代えた以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.7μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.2μmのトナー母粒子(3)を得た。
(実施例4)
−トナー母粒子(4)の製造−
離型剤分散液(1):50gを離型剤分散液(3):62.5gに、離型剤分散液(2)を離型剤分散液(4)に代えた以外は実施例3と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.5μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.2μmのトナー母粒子(4)を得た。
(比較例1)
−トナー母粒子(5)の製造−
・無定形高分子分散液(1):250g
・着色剤分散液:27.17g
・離型剤分散液(1):62.5g
原料として上記各分散液を用い、凝集温度を55℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約6.9μmであった。融合させる為、pH9.0に調整してから温度を90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後、pHを6.5まで下げて、放冷した。その後、実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均粒子径が7.0μmのトナー母粒子(5)を得た。
(比較例2)
−トナー母粒子(6)の製造−
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)に代え、凝集温度を40℃に代えた以外は実施例1と同様の条件でコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.7μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。さらに40℃に昇温し、光学顕微鏡及びコールターカウンターで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、pHを7.5に調整してから温度を60℃まで昇温させ、30分保持した。その後さらに90℃まで昇温させた。顕微鏡で付着凝集粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま再度pHを6.5まで下げて1時間後に加熱を止め、氷水を投入して100℃/分の降温速度で急冷した。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.7μmのトナー母粒子(6)を得た。
(比較例3)
−トナー母粒子(7)の製造−
離型剤分散液(1):50gを62.5gに、また離型剤分散液(2)を除いた以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.5μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.2μmのトナー母粒子(7)を得た。
(比較例4)
−トナー母粒子(8)の製造−
離型剤分散液(2):25gを62.5gに、また離型剤分散液(1)を除いた以外は実施例3と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.8μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.6μmのトナー母粒子(8)を得た。
(比較例5)
−トナー母粒子(9)の製造−
離型剤分散液(1)を離型剤分散液(6)に、離型剤分散液(2):25gを離型剤分散液(3):30gに代えた以外は実施例3と同様にしてコア凝集粒子の形成を行った。コア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.9μmであった。次に、無定形高分子分散液(1)50gを追添加し、コア凝集粒子表面に無定形高分子粒子(1)を付着させた。その後実施例1と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均径が6.8μmのトナー母粒子(9)を得た。
<トナーの現像耐久性、画質、定着性、画像光沢性、ドキュメント保存性の評価>
次に、実施例/比較例で得たトナー母粒子を評価するために、このトナー母粒子に外添剤を添加した後、キャリアと混合して現像剤を作製し、この現像剤を用いて、各種評価を行った。また、トナー母粒子については、シェル層の厚みを測定した。
(現像剤の作製)
・フェライト粒子(平均粒径;35μm):100重量部
・トルエン:14重量部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24dyn/cm):1.6重量部
・カーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製、抵抗100Ωcm以下):0.12重量部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径;0.3μm、トルエン不溶):0.3重量部
キャリアを作製するために、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで分散し、被膜層形成液を調合した。さらにこの被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーにいれ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た。(ただし、キャリア樹脂であるパーフルオロアクリレート共重合体にカーボンブラックをトルエンに希釈してサンドミルで分散しておいた。)
トナー母粒子(1)〜(9)それぞれに外添剤として、表面疎水化処理した、1次粒子径40nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)1.0重量%と、メタチタン酸100重量部にイソブチルトリメトキシシラン40重量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10重量部で処理した反応生成物である1次粒子平均径20nmのメタチタン酸化合物微粒子1.0重量%とを添加し、ヘンシェルミキサーで5分間混合してトナー(1)〜(9)を得た。
得られたトナー(1)〜(9):36gとキャリア:414gを2LのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤(1)〜(9)を作製した。
(トナーの内部構造定量)
実施例/比較例で作製したコアシェル構造を有するトナーの無定形高分子からなるシェル層の厚みは、以下のようにして求めた。すなわち、トナーの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により写真撮影する。次に、撮影されたトナー像における結晶性ポリエステル相と無定形高分子相とのコントラストの差を利用して、トナー表面(トナー像の輪郭部分)から見て最近傍の結晶性ポリエステル相を選択し、其々の結晶性ポリエステル相とトナー表面との最短距離をそれぞれ求め、50個分のトナーの平均値をこのトナー構造のシェル層の平均厚みとして求めた。シェル層の平均厚みを、トナー作製時の諸条件と共に表1に示す。
(帯電性、かぶりの評価)
得られた現像剤をDocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填して、28℃、85%RHの高温高湿下条件で画像を出力した。この時の現像器中の現像剤の帯電量をブローオフ帯電量測定機(東芝社製)を用いて帯電量を測定した。また出力画像から30cmの距離で、以下の基準で背景部かぶりの目視評価を行った。なお、○までを許容範囲とした。結果を表1に表す。
◎:かぶりなし
○:近くで観察すると多少かぶりが見られる
△:かぶりが多少目立つ
×:かぶりが目立つ
××:かぶりが非常に目立つ
(低温定着性、画像光沢性、ドキュメント保存性の評価)
得られた現像剤を定着装置を取り外したDocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填して、未定着画像を採取した。画像条件は40mm×50mmのソリッド像で、トナー量は0.45mg/cm2、記録紙はミラーコートプラチナ紙(坪量:127gsm)を使用した。ついで、DocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の定着機を定着温度が可変となるように改造して、定着温度を70℃から200℃の間で段階的に上昇させながら画像の低温定着性を評価した。
なお、低温定着性は、定着画像を一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度(以下、「MFT」と称す)として、低温定着性の指標とした。結果を表1に表す。
また前記最低定着温度より20℃高い温度で定着したサンプルの画像光沢性の評価を行った。測定はJIS Z 8741に基づき、Gloss Meter GM−26D(村上色彩技術研究所)を用い、入射角75°で測定した。結果を表1に表す。
一方、ドキュメント保存性の評価については、上記定着評価の際に作製した未定着像2枚を、前記最低定着温度より20℃高い温度で定着した後、画像部と、非画像部及び画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重りを載せ、60℃湿度50%の恒温恒湿槽で3日間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像の画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。G4までを許容範囲とする。結果を表1に表す。
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
(離型性の評価)
定着性評価と同様に未定着画像を採取した。画像条件は40mm×120mmのソリッド像で、先端白紙部分は1cmとした。トナー量は1.50mg/cm2、記録紙はミラーコートプラチナ紙(坪量:104gsm)を使用した。ついで、DocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の定着機を定着温度が可変となるように改造して、定着温度を80℃から210℃の間で段階的に上昇させながら定着時の離型性を評価した。定着時に剥離性が十分でなく剥離補助部材による剥離不良傷が発生していない温度領域を剥離可能温度領域とした。なお、剥離可能温度領域は、定着器の温度変化を考慮した場合40℃以上であることが好ましい。結果を表1に表す。
Figure 0004305211
なお、表1中、「結晶性ポリエステル樹脂」の欄に示す括弧付き番号は、トナーの作製に用いた結晶性ポリエステル樹脂分散液の番号を示し、「低融点ワックス」および「高融点ワックス」の欄に示す括弧付き番号は、トナーの作製に用いた離型剤分散液の番号を示し、「無定形高分子」の欄に示す括弧付き番号は、トナーの作製に用いた無定形高分子分散液の番号を示す。
表1に示す結果から、実施例1〜4は、コア層を無定型高分子からなるシェル層で被覆することで、高温高湿下でも帯電性に優れ、かぶりも問題なく、また従来に比べ−35〜40℃という十分な低温定着が実現できている。さらに得られた画像も高光沢であり、見た目の発色性や画質も向上し、定着後の画像保存性も良好であった。離型性に関しても既述した式(3)および(4)を満たす低融点ワックス(第2の離型剤)と高融点ワックス(第1の離型剤)を組み合わせる事で高トナー量のストレスな条件でも低温から高温まで幅広い剥離可能領域を実現する事ができた。
これに対して比較例1は、比較的融点の高い1種類のワックスしか用いていないため、剥離可能温度領域が狭く、また、高温側に偏っている。加えて、結着樹脂として結晶性樹脂を使用していないため、低温定着が実現できていない。
なお、比較例1で用いた離型剤は、表1中、低融点ワックス(第2の離型剤)の欄に分類して記載しているが、本発明に用いられる第2の離型剤の融点は、表1の比較例1の低融点ワックスの欄に示される融点に限定されるものではなく(説明の都合上、低融点ワックスの欄に記載しているに過ぎない)、これは、離型剤を1種類しか用いていない他の比較例においても同様である。
また、比較例2は低温定着性には優れるものの、結晶性ポリエステル樹脂の融点が低すぎるため定着後の画像保存性が著しく悪い。また結晶性ポリエステル樹脂のエステル濃度が高いため高温高湿下での帯電性が不十分であり、かぶりも多少観察された。
さらに、比較例3では、比較的融点の低い1種類のワックスしか用いていないため、低温部での離型性はよいものの、高温部での離型性が十分でなく、結果として広い剥離可能温度領域を得る事ができていない。
加えて、比較例4では、比較的融点の高い1種類のワックスしか用いていないため、剥離可能温度領域が狭い上に、MFT近傍での離型性が十分でなく、結晶性ポリエステル樹脂の低温定着能力を損ねてしまっている。
比較例5は低融点ワックスの融点が低すぎ、また、高融点ワックスの融点が結晶性ポリエステル樹脂の融点や低融点ワックスの融点に比べ十分高くないために、高温部での離型性が十分でなく、結果として広い剥離可能温度領域を得る事ができていない。
本発明のトナーの内部構造の一例(構造例A)について示した模式断面図である。 本発明のトナーの内部構造の他の例(構造例B)について示した模式断面図である。
符号の説明
1 (構造例Aの)トナー
2 (構造例Bの)トナー
10 無定形高分子相
11〜13 結晶性ポリエステル相

Claims (8)

  1. 結晶性ポリエステルと2種類以上の離型剤とを含むコア層と、該コア層を被覆し、無定形高分子を含むシェル層と、を有する電子写真用トナーであって、
    前記結晶性ポリエステルの融点CPmが、50〜100℃の範囲内であり、前記2種類以上の離型剤のうちから選択される少なくとも2種の融点が相互に異なり、且つ、下式(1)(2)、及び(3)を満たすことを特徴とする電子写真用トナー。
    ・式(1) −8≦CPm−LWm≦10
    ・式(2) 8≦HWm−LWm≦30
    式(3) |Cpm−LWm|<|HWm−Cpm|
    〔但し、式(1)(2)、及び(3)において、CPmは、前記結晶性ポリエステルの融点(℃)を表し、HWmは、前記2種類以上の離型剤から選択されるいずれか1種の離型剤(第1の離型剤)の融点(℃)を表し、LWmは、前記2種類以上の離型剤から選択され、且つ、前記第1の離型剤の融点HWmよりも融点の低いいずれか1種の離型剤(第2の離型剤)の融点(℃)を表す。〕
  2. 前記第2の離型剤の融点LWmが、50〜90℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記第1の離型剤の融点HWmが、60〜110℃の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  4. 前記結晶性ポリエステルの含有量が、30〜95重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真用トナー。
  5. 前記シェル層の平均厚みが、0.01μm〜1.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真用トナー。
  6. 前記結晶性ポリエステルのエステル濃度が、0.01〜0.12の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真用トナー。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  8. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
    前記現像剤として、請求項7に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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