本発明の実施の形態について以下説明する。
<静電荷像現像用イエロートナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーは、結着樹脂と、イエロー系着色剤と、アビエチン酸と、HLB値が4以下である界面活性剤とを含有する。HLB(Hydrophile Lipophile Balance)値は、界面活性剤の水及び油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなる。本実施形態において、界面活性剤のHLB値は4以下であるが、3以下であることが好ましく、2.5以上であることが好ましい。界面活性剤のHLB値が4を超えると、水系溶媒中で分散時に顔料等の着色剤から界面活性剤が水に溶けて、着色剤内の界面活性剤が減少し、着色剤同士の凝集が発生することで着色剤分散性が悪化する。また、HLB値が2.5未満であると、界面活性剤の親油性が高く、着色剤と界面活性剤とが付着せず、分散性に効果がない場合がある。
HLB値が4以下である界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、テトラグリセリンペンタエステル、オクチルフェノールエトキシレート等が挙げられ、汎用性等の点からテトラグリセリンペンタエステル、オクチルフェノールエトキシレートが好ましく、オクチルフェノールエトキシレートがより好ましい。
本実施形態において、界面活性剤のHLB値はアトラス法(エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値=20(1−S/A)により計算することができる。
トナー中の前記界面活性剤の含有量は0.04〜1.0重量%の範囲であり、0.2〜0.5重量%の範囲であることが好ましい。トナー中の界面活性剤の含有量が0.04重量%未満であると、界面活性剤としての効果が低くなり、顔料等の着色剤の分散性が低下し、色再現性が低下することとなり、1.0重量%を超えると、界面活性剤が過多となり、トナーの粉体流動性が低下し、色再現性も低下することとなる。
アビエチン酸としては、例えば、アビエチン酸そのもの以外に、アビエチン酸エステル等が挙げられるが、界面活性の性状を有するアビエチン酸は着色剤分散性の点で優れる。
トナー中のアビエチン酸の含有量は、0.2〜1.2重量%の範囲であり、0.4〜0.7重量%の範囲であることが好ましい。トナー中のアビエチン酸の含有量が0.2重量%未満であると、着色剤に対して界面活性剤作用が不十分で着色剤分散性が低下することとなり、1.2重量%を超えると、トナー中のアビエチン酸量が多くなることで樹脂、着色剤量が減少し、画像濃度が低くなり、さらにトナーの粘度が低下し、剥離性が悪化することがあり、好ましくない。
トナー中の界面活性剤及びアビエチン酸の含有量は、外添剤添加後のトナー中の含有量を意味し、高速液体クロマトグラフィ装置(島津製作所製、LC6A型)を使用する方法により求めることができる。具体的には、界面活性剤及びアビエチン酸のピーク、および樹脂と界面活性剤、樹脂とアビエチン酸の混合物のピークを高速液体クロマトグラフィにて測定し、界面活性剤量、アビエチン酸量それぞれの検量線を作成する。その検量線をもとにトナーについて測定し、界面活性剤の含有量、アビエチン酸の含有量が求められる。
イエロー系着色剤として、例えば、不溶性アゾ顔料として、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロン系顔料の他に、縮合アゾ顔料やアゾキレート顔料などが挙げられる。また、合成染料、植物性染料等の染料も挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー93等が挙げられ、顔料分散性の点からC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。イエロー系着色剤としては、上記顔料及び染料を1種または2種以上を併せて使用することができる。
トナー中のイエロー系着色剤の含有量は、3.0〜8.0重量%の範囲であり、4.0〜6.0重量%の範囲であることが好ましい。トナー中のイエロー系着色剤の含有量が3.0重量%未満であると、画像濃度が低下し、所望の濃度が得られない場合があり、8.0重量%を超えると、彩度が低下し色再現性が得られない場合がある。
本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーは、アビエチン酸と、HLB値が4以下である界面活性剤、すなわち水に溶けにくい界面活性剤とを含有することにより、顔料の周りがアビエチン酸及び水に溶けにくい界面活性剤で覆われるため、イエロートナーにおけるイエロー顔料の分散性が良好であるため色再現性に優れ、また、長期保存時においても、イエロー顔料の分散安定性が良好であるため、再凝集することなく、安定して良好な色再現性を実現することができる。また、顔料の周りがアビエチン酸及び水に溶けにくい界面活性剤で覆われるため、シアン、マゼンタ等に比べてやや耐光性に劣るイエロー顔料の耐光性を向上することができる。特に、官能基としてアゾ基を有するC.I.ピグメントイエロー74の耐光性を向上することができる。
(結着樹脂)
本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーで用いる結着樹脂は、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂のうち少なくとも1つを含むが、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含むことが好ましい。結晶性樹脂を含まない場合、低温定着と耐ブロッキングの両立が困難となる場合がある。また、コア粒子として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを用い、非結晶性樹脂によって被覆してシェル層を形成してもよい。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。
また、「非結晶性樹脂」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非結晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
本実施形態におけるトナーにおいて、結着樹脂として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含む場合、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量が20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、25〜65重量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が20重量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着が困難となる場合がある。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。また、トナーに含まれる結晶性樹脂の溶融特性を樹脂酸価や金属塩によって制御することによって、薄膜条件下で存在する最表面に存在する非結晶性樹脂の溶融特性の影響を殆ど受けることなく、トナーとしての溶融特性を制御することが可能である。
また、本実施形態においてはトナーのコア粒子として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを用いる場合、互いに相溶することが好ましく、その基準として双方の樹脂のSP値(溶解度パラメータ:Solubility Parameter、ここでは、Fedors法により求め、「×10−3J1/2m−3/2」を省略した数値を用いる)の差が1以内であることが好ましい。
〔結晶性樹脂〕
結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
また、本実施形態に係るトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマ以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマ(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマ(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
さらに、トランス−ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジカルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデカンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、トランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメチレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キシレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。尚、これらの重合体において使用される複数のエステル系モノマの共重合体、エステル系モノマ及びこれと共重合可能な他のモノマとの共重合体等も使用することができる。
〔非結晶性樹脂〕
本実施形態におけるトナーに使用される非結晶性樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマ等が挙げられる。
本実施形態においては、樹脂粒子が、前記ビニル系モノマをモノマ成分として含有していることが好ましい。これらのビニル系モノマの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
なお、前記解離性ビニル系モノマにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
本実施形態に係るトナーにおいて、非結晶性樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる非結晶性のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。
これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。ここで使用する触媒等が結着樹脂の着色の要因となる。
本実施形態に係るトナーに使用される非結晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本実施形態に使用される非結晶性樹脂のガラス転移温度は、35〜100℃の範囲であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
本実施形態におけるトナーを構成する成分としては、既述したように少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。
(離型剤)
本実施形態に係るトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。離型剤の融点は下記トナーの融点と同様の方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
(ロジン)
本実施形態に係るトナーにはロジンが用いられる。一般には松脂と呼ばれ、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、レボピマール酸、パラストリン酸等の混合物であり、その中で一般的にはアビエチン酸の比率が20〜45重量%と最も多いものである。後述する実施例においてはロジンを添加し、アビエチン酸量を測定した。
(その他の添加剤)
本実施形態に係るトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機粒子や有機粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好ましく、疎水化処理された粒子が特に好ましい。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の体積平均粒径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
(静電荷像現像用トナーの物性)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒径D50vは4μm〜8μmの範囲であることが好ましい。トナーの体積平均粒径D50vが4μmより小さいと、帯電性が不十分となり周囲への飛散が起こって画像かぶりを引き起こしたり、転写しきれなかったトナーのクリーニングが十分に出来ずフィルミングの発生を引き起こしたりするので好ましくない。一方、体積平均粒径D50vが8μmを超えると、画像の解像度が低下し、高画質を達成することが困難となる傾向にある。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.27以下であり、好ましくは1.25以下である。GSDvが1.27を超えると粒度分布がシャープとならず、解像性が低下し、トナー飛散やかぶり等の画像欠陥の原因となる。
なお、体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行なう。コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)で測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は好ましくは110〜140の範囲、より好ましくは115〜130の範囲である。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm2)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を越えると、長期に渡って、優れた帯電性、クリーニング性、転写性を得ることができない場合がある。
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定する。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、上記形状係数SF1として求める。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーの製造方法としては、従来の混練粉砕法や、着色剤、離型剤等を重合性単量体とともに懸濁させ、重合性単量体を重合する懸濁重合法、樹脂、着色剤、離型剤等のトナー構成材料を有機溶媒に溶解させ、水系溶媒中に懸濁状態で分散させた後に有機溶媒を除去する溶解懸濁法、樹脂を乳化重合により作製し、着色剤、離型剤等の分散液とともにヘテロ凝集させ、その後融合、合一する乳化重合凝集法等の湿式製法などがあるが、トナー表面に極性基と架橋成分をトナー表面に偏在できる製法であればよく特に制限はない。これらの中で、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法等の湿式製法が好ましく、トナー粒径制御性、狭粒度分布、形状制御性、狭形状分布、内部分散制御性の点から乳化重合凝集法が最適である。
一般に、乳化重合凝集法は、結着樹脂等を乳化し乳化粒子(液滴)を形成して粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液等を調整する工程(以下、「乳化工程」と称することがある)と、樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液、離型剤を分散した離型剤分散液等を混合し、樹脂粒子、着色剤、離型剤をトナー粒径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」と称することがある)、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合しトナー粒子を形成する工程(以下、「融合工程」と称することがある)を含む。
〔乳化工程〕
乳化工程において、結着樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系溶媒と、結着樹脂を含む混合液と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。
その際、加熱するか、或いは、有機溶剤に結着樹脂を溶解させることにより、混合液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。また、乳化粒子の安定化や水系溶媒の増粘防止のため、分散剤を使用することもできる。かかる乳化粒子の分散液のことを、「樹脂粒子分散液」という。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等が挙げられ、結着樹脂の種類、構造等に応じて適宜選択して用いることができる。
前記有機溶剤の使用量としては、樹脂の総量100重量部に対して、50〜5000重量部の範囲であることが好ましく、120〜1000重量部の範囲であることがより好ましい。
前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。
前記分散剤として無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得る目的で、分散剤中にて無機化合物の粒子を生成する方法を採用してもよい。前記分散剤の使用量としては、樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が好ましい。
乳化粒子を形成する際に用いる乳化機としては、例えば、ホモジナイザ、ホモミキサ、加圧ニーダ、エクストルーダ、メディア分散機等が挙げられる。樹脂の乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径)で0.01μm〜1μmの範囲が好ましく、0.03μm〜0.3μmの範囲がより好ましく、0.03μm〜0.4μmの範囲がさらに好ましい。
着色剤分散液は、イエロー系着色剤とアビエチン酸とHLB値が4以下である界面活性剤と溶剤とを混合、分散して着色剤組成物を得る工程と、着色剤組成物を水系溶媒中で分散して着色剤分散液を得る工程と、を含む方法により製造される。
イエロー系着色剤とアビエチン酸とHLB値が4以下である界面活性剤と溶剤とを混合、分散して着色剤組成物を得る工程では、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。通常は、イエロー系着色剤とアビエチン酸とHLB値が4以下である界面活性剤と溶剤とを混合、分散した後、アビエチン酸及びHLB値が4以下である界面活性剤を添加し、さらに混合、分散する。
溶剤としては、トルエン、テトラヒドロフラン等の一般的な有機溶剤を用いることができる。使用する着色剤、アビエチン酸、界面活性剤の種類、構造等に応じて適宜選択して用いることができる。
前記有機溶剤の使用量としては、着色剤、アビエチン酸、界面活性剤の総量100重量部に対して、50〜5000重量部の範囲であることが好ましく、120〜1000重量部の範囲であることがより好ましい。
次に、このようにして得られた着色剤組成物を、水系溶媒等の中で分散して着色剤分散液を得る。かかる着色剤の水系分散液あるいは有機溶剤分散液のことを、「着色剤分散液」という。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用いる分散剤と同様のものを用いることができる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。
前記着色剤の添加量としては、前記結着樹脂の総量に対して1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、1〜10重量%の範囲とすることがより好ましく、2〜10重量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜7重量%の範囲とすることが特に好ましい。
また、離型剤も、界面活性剤を使用して離型剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して離型剤の有機溶剤分散液を調製する。かかる離型剤の水分散液あるいは有機溶剤分散液のことを、「離型剤分散液」という。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用いる分散剤と同様のものを用いることができる。
〔凝集工程〕
凝集工程においては、得られた樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を、結着樹脂の融点付近の温度でかつ融点以下の温度で加熱して凝集し凝集体を形成する。加熱の時間としては、凝集が十分に行われる程度行えばよく、例えば、0.5時間〜10時間程度行えばよい。
乳化粒子の凝集体の形成は、撹拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、2〜6の範囲が好ましく、2.5〜5の範囲がより好ましく、2.5〜4の範囲がさらに好ましい。この際、凝集剤を使用するのも有効である。
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好ましい。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より好ましい。
凝集時の反応液の固形分濃度は、通常5重量%〜20重量%の範囲で、好ましくは10重量%〜15重量%の範囲で行われる。反応液の固形分濃度が5重量%未満であると、あるいは20重量%を超えると、凝集が起こりにくい場合がある。
〔融合工程〕
融合工程においては、凝集工程と同様の撹拌下で、凝集体の懸濁液のpHを3〜7の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行なうことにより凝集体を融合させる。
前記加熱の温度としては、結着樹脂の融点以上であれば問題無い。
前記加熱の時間としては、融合が十分に行われる程度行えばよく、例えば、0.5〜10時間程度行えばよい。
前記融合工程においては、結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、凝集と同時に架橋反応を行なうこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマ中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめ結着樹脂に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
(シェル層形成工程)
次に、必要に応じてシェル層を形成する方法について説明する。本実施形態に係るトナーにおいて、シェル層を形成する方法は、前記凝集粒子(コア粒子)に、非結晶性樹脂粒子等を付着させて非結晶性樹脂付着粒子を形成する凝集工程と、非結晶性樹脂付着粒子を加熱してシェル層を形成する溶融工程と、を含む。非結晶性樹脂微粒子を主成分とするシェル層の形成方法については、生産性の観点から水中において行なうことが好ましい。
シェル層の形成は、上記の如き乳化重合凝集法等による造粒中に非結晶性粒子分散液を添加することにより同時に行なう同プロセスとして行ってもよいし、またコア粒子作製後に別プロセスとして行ってもよいが、シェル層形成は、コア粒子作製後に水系媒体中において別プロセスとして行なうことが好ましい。
シェル層形成工程において、被覆時の固形分濃度は10〜50重量%の範囲であることが好ましく、20〜50重量%の範囲であることがより好ましく、30〜50重量%の範囲であることがさらに好ましい。10%重量以下においては分散安定性が低いだけでなく、分散安定性が低下することにより非結晶性樹脂粒子のコア粒子表面への付着が不十分となってしまう場合がある。また、固形分濃度が50重量%以上では、付着時のスラリ粘度の増加により撹拌不良を引き起こし、粗大粉の発生の原因となる場合がある。
シェル層の形成において、コア粒子造粒後のスラリ液に非結晶性樹脂粒子分散液を添加した後、強固なシェル層を得る目的で、スラリ液を加熱してもよい。この際、コア粒子の結着樹脂の融点またはガラス転移温度以下において加熱することが重要である。加熱温度が高すぎる場合には、粗大粉が発生するだけでなく、コア成分がシェル層表面に溶出してしまい、帯電特性および熱保管性を悪化させてしまう場合がある。
シェル層の形成において、非結晶性樹脂粒子の被覆を促進させる目的で、凝集剤を用いてもよい。凝集剤としては、後述する凝集剤種が好適に用いられる。また、凝集剤を添加する時期としては、非結晶性樹脂粒子の添加前後いずれでもよい。
本実施形態のトナーのシェル層作製において、上述したように非結晶性樹脂粒子の添加量は、コア粒子の重量に対して5〜25重量%の範囲であることが好ましく、7〜20重量%の範囲であることがより好ましく、7〜16重量%の範囲であることがさらに好ましい。添加量が5重量%未満の場合には、熱保管性が不十分となり、実機内においてブロッキングが発生しやすい。添加量が25重量%を超える場合には、熱保管性は問題ないものの、帯電特性および低温定着性が阻害されてしまう場合がある。
(洗浄、乾燥工程)
乳化重合凝集法等を用いてトナー粒子を作製した場合、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液で分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などですすぎ、更に任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得る。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、イオン交換水等で十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態において、静電荷像現像剤は、前記静電荷像現像用イエロートナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像剤は、静電荷像現像用トナーを単独で用いて一成分系の静電荷像現像剤としてもよいし、また、キャリアと組み合わせて用いて二成分系の静電荷像現像剤としてもよい。
例えばキャリアを用いる場合のそのキャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
キャリアの製造には、加熱型ニーダ、加熱型ヘンシェルミキサ、UMミキサなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
静電荷像現像剤における静電荷像現像用トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を含む樹脂を用いることが好ましい。これにより、帯電及びキャリア抵抗を安定に維持することにより、画像濃度再現性、エッジ効果のない中間調に優れたカラー画像及びその他画像欠陥の無い静電潜像現像用キャリアを得ることができる。また、これにより、本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーの帯電維持性を向上することができる。結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂としては、静電荷像現像用イエロートナーの項で前述した結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂と同様のものを使用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂としては、好ましい範囲での融点調整の観点から脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。また非結晶性樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
一般的に結晶化度が低く且つ融点が比較的低い結晶性ポリエステル樹脂は樹脂自体の電気抵抗は一般的に低く、また樹脂の強度も低く、且つ帯電性付与能力が低い。抵抗が低い理由としては結晶性樹脂が有する非結晶質部分が常温域以下にガラス転移温度を有しており、そのガラス転移温度以上ではこの非結晶質部分は分子鎖のセグメント運動をしており、この分子の動きが電荷の保持を妨げ結晶樹脂自体の電気抵抗が低い為と考えられている。この結晶性ポリエステル樹脂の電気抵抗特性を生かしてキャリア被覆樹脂とする為、均一な被覆樹脂層の強度を確保する為に結晶性樹脂と相溶が可能である非結晶性樹脂と混合することで均一な樹脂層強度と抵抗を有するキャリア被覆樹脂を得ることが可能である。
本実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、被覆樹脂層樹脂に結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を混合した樹脂を被覆している。これら樹脂を混合し被覆樹脂として使用する場合、適度な相溶状態となることが最も重要である。これは、結晶性ポリエステル樹脂はもともと強度不足であるが、相溶化により被覆樹脂層強度を発現させるためである。
この結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂の相溶化度を表す指標として、示差走査熱量測定(DSC)における結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度の変化で表すのが最も有効であることが判明した。これを結晶性樹脂と非結晶性樹脂が相溶化することで結晶性樹脂の結晶性が崩れ結晶性樹脂の融点降下が発生することを示しており、特に相溶化が著しい場合には結晶性樹脂由来の吸熱ピーク温度も著しく低下する。
そこで、前記キャリアにおいて、被覆樹脂の結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク温度TmA(℃)と、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を混合したときに結晶性ポリエステル樹脂由来吸熱ピーク温度TmAB(℃)とが下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
5≦TmA−TmAB≦20 (1)
本実施形態においては、TmA(℃)からTmAB(℃)を引いた差が、5℃〜20℃であることが好ましく、8℃〜15℃であることがより好ましい。TmA(℃)からTmAB(℃)を引いた差が、5℃〜20℃であると、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂の適度な相溶度であることを示す。TmA(℃)からTmAB(℃)を引いた差が5℃未満の場合、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂の相溶度が低く、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂が海島構造を取り、キャリア被覆樹脂層の強度が低下する場合がある。更にTmA(℃)からTmAB(℃)を引いた差が20℃を超える場合、相溶度が増し、樹脂層自体が可塑化を起こし、現像剤の耐熱保管性、ブロッキング性が著しく低下する場合がある。
また、キャリア芯材上に被覆される樹脂層に含まれる結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク温度TmAが50℃〜100℃の範囲であることが好ましい。
前記TmA(℃)、TmAB(℃)の測定は、示差走査熱量計(マックスサイエンス社製、DSC3110、熱分析システム001、以下、「DSC」という場合がある。)の熱分析装置を用いて測定することができる。測定は第1の昇温工程として室温から150℃まで毎分10℃の速度で昇温を行い、5分間150℃でホールドした後、液化窒素を用い、0℃まで毎分10℃の速度で降温、5分間0℃でホールドした後、第2の昇温工程として0℃から150℃まで毎分10℃の速度で再昇温し、得られた示差走査熱量曲線をJIS K−7121−1987により解析し吸熱ピークを得ることができる。
また、前記TmAB(℃)は、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を、結晶性樹脂20重量部に対し非結晶性樹脂80重量部を粉体混合した後、試料をアルミ皿に載せ、100℃で2時間静置、室温にて徐冷した後、溶融した試料を乳鉢で砕いたものをサンプルとして測定したものである。
また、キャリア芯材上に被覆される結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂の混合重量比率(A/B)が1/99〜40/60であることが好ましい。より好ましくは10/90〜30/70である。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が40重量%を超えると、被覆樹脂層の強度が低くなり、キャリア樹脂層の磨耗の悪化、トナー外添剤等のトナー成分のキャリアコート層汚染による帯電低下の可能性がある。一方、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が1重量%未満であると、結晶性ポリエステル樹脂層添加によるキャリア被覆樹脂層の抵抗制御効果が小さくなり、ベタ画像部でエッジ効果が発生するなど、ソリッドの再現性が低下し、被写体が写真のように中間調を有する場合には非常に再現性の悪い画像となってしまう場合がある。
結晶性樹脂の融点としては、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは60〜80℃である。結晶性樹脂の融点が50℃より低いとキャリアの耐熱保管性や、現像剤としてブロッキング、トナー成分の付着等が問題となる場合がある。一方、結晶性樹脂の融点が100℃より高いと溶剤に溶解しにくい、または抵抗制御剤としては効果が不十分となる可能性がある。また結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融点とみなす。
また、キャリア芯材上に被覆される樹脂層に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の抵抗が28℃、相対湿度85%の環境下で103.4V/cmの電界を印加した時に1.0×1010〜1.0×1014Ω・cmであることが好ましい。樹脂抵抗が1.0×1010未満の場合、高温高湿下での帯電性が低下してしまい、樹脂抵抗が1.0×1014Ω・cmを越える場合、結晶性ポリエステル樹脂層添加によるキャリア被覆樹脂層の抵抗制御効果が小さくなり、ベタ画像部でエッジ効果が発生するなど、ソリッドの再現性が低下し、被写体が写真のように中間調を有する場合には非常に再現性の悪い画像となってしまう場合がある。
前記キャリアの圧縮時の体積抵抗は、103.8V/cmの電界を印加した時に1.0×109〜1.0×1014Ω・cmであることが好ましい。1.0×109Ω・cm未満では長時間に渡りキャリア付着を抑制することが困難であり、1.0×1014Ω・cmを越えるとエッジ効果が強く現れてソリッド画像の現像濃度の低下等の現像性が損なわれる問題点が発生する。より好ましい範囲として1.0×109〜1.0×1013Ω・cm、更に好ましくは1.0×1010〜1.0×1012Ω・cmの範囲である。
該キャリアに使用する芯材としては強磁性を示す公知の材料が使用でき、具体的には鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物が挙げられる。この中では現像装置内で受けるストレスによる樹脂被覆層剥がれやキャリア表面へのトナー汚染を抑制できる低比重のフェライト粒子が好適である。フェライトとしてはLi、Mg、Ca、Mn、Ni、Cu、Znから選ばれた1種以上の元素の酸化物とFe2O3とを主成分とし、造粒、焼結により形成されたものが磁化の点から好ましく、中でもLi、Mg、Mnから選ばれた1種以上の元素の酸化物とFe2O3とを主成分とするものは、磁化と電気抵抗と環境安全性の観点から好ましい。
前記磁性粒子の体積平均粒径は20〜45μmの範囲が好ましい。前記磁性粒子の体積平均粒径が45μmを超えると、現像機内ストレスにより被覆層の剥がれが生じ、キャリア抵抗が低下したり、磁気ブラシの穂立ちが粗くなり、細線または精密な静電潜像の再現性が損なわれたりする場合がある。一方、磁性粒子の体積平均粒径が20μm未満であると、現像剤の穂立ちが柔らかくなりすぎてかえってキャリア抵抗が上昇したり、キャリア1粒子当たりの磁力が小さくなるため、磁気ブラシ上の連鎖の磁気的拘束力が現像スリーブ回転時の遠心力に負け、感光体へのキャリア付着及びキャリア消費が発生してしまう場合がある。
また、前記磁性粒子の磁力は、3000エルステッドにおける飽和磁価が50emu/g以上であることが好ましく、より好ましくは60emu/g以上である。飽和磁価が50emu/gより弱い磁力では、感光体へのキャリア付着及びキャリア消費がより顕著に発生してしまう場合がある。
該キャリアの被覆樹脂層には、更にキャリア抵抗調整の為、導電性の粉体を併用してもよい。導電性の粉体としては金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉は、体積平均粒子径1μm以下のものが好ましい。体積平均粒子径が1μmよりも大きくなると、樹脂被覆層での粉体の分散制御が困難となり、電気抵抗の制御が困難になる場合がある。
導電性の粉体の添加量としては、キャリア芯材の被覆コート層の20体積%より少ない添加量が好ましい。20体積%以上添加をする場合、樹脂被覆層での粉体の分散制御が困難となり、電気抵抗の制御が困難になることがある。導電粉自身の導電性は1.0×1010Ω・cm以下が好ましく、1.0×109Ω・cm以下がより好ましい。更に、必要に応じて、導電性樹脂等を併用することができる。
該キャリアの芯材(コア)と樹脂被覆層の重量比は100:2〜100:4であることが好ましい。この範囲にする理由としては、現像機内でのストレス等で樹脂被覆層が磨耗したとしても極端なキャリア抵抗低下を抑制することが可能な為である。樹脂被覆比率が2未満であると長時間キャリア抵抗を維持するのが困難となり、また4以上であるとキャリア製造性が困難な上、現像機内での現像剤の流動性が悪化してしまう場合がある。
また、キャリア芯材上に被覆される樹脂中にトナーに負帯電性を付与する架橋樹脂粒子が分散されることが好ましい。トナーに負帯電性を付与する架橋樹脂粒子をキャリア被覆樹脂層に混合することにより優れた帯電維持性が得ることが可能である。
また、架橋樹脂粒子を添加することにより、安定な帯電付与能と機械的な強度とを向上させることが可能である。架橋樹脂粒子は、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子のいずれも用いることができるが、比較的硬度を上げやすい熱硬化性樹脂粒子を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、具体的にはポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニル及びポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノポリシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂;アミノ樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂、等が挙げられる。
その微粒子形態を作製する為には、後述するような適切な粒径が得られるならば、任意の方法を利用してよい。例示するとサスペンション重合、乳化重合、懸濁重合などの重合方法を利用して粒状樹脂を製造する方法、モノマもしくはオリゴマを貧溶媒中に分散して、架橋反応を行いつつ表面張力により粒状化する方法、低分子成分と架橋剤とを溶融混練等により、混合反応させた後、風力、機械力により所定の粒度に粉砕する方法等が挙げられる。
架橋樹脂粒子の体積平均粒径は0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。0.1μmより小さいと被膜層で凝集してしまい分散が非常に悪く、2μmよりも大きいと被膜層からの脱落が生じ易く、本来の機能を維持出来なくなる場合がある。
架橋樹脂粒子の添加量としては、キャリア被覆コート層中に1〜20体積%、好ましくは5〜10体積%が好ましい。20体積%よりも添加量が多い場合、被覆コート層で分散させ難く、また被覆層の強度も落ちてしまう場合がある。
また架橋樹脂粒子は、トナーに負帯電性を付与するものであることが必要であり、その構成成分として電子供与性を有する原子を含むことが好ましい。
被覆樹脂をキャリア芯材に形成する代表的な方法としては、樹脂被覆層形成用原料溶液(溶剤中に結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、架橋樹脂粒子、導電性微粉末等を適宜含む)を用い、例えば、キャリア芯材の粉末又は帯電付与部材を樹脂被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂被覆層形成用溶液をキャリア芯材又は帯電付与部材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と樹脂被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられるが、特に溶液を用いたものに限定されるものではなく、塗布するキャリア芯材及び帯電付与部材によっては、樹脂粉末と共に加熱混合するパウダーコート法などを適宜に採用することができるが、樹脂微粒子及び導電性微粉末を分散せしめる為に、キャリア芯材を結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を溶解せしめる溶剤にて溶解した被覆樹脂液に浸漬し、せん断を加えながら真空中で溶剤を除去することによりキャリアが製造されることが好ましい。
樹脂被覆層を形成するための原料溶液に使用する溶剤は、樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などを使用することができる。
架橋樹脂粒子は、溶剤中においても粒子状となっていることが好ましいので、架橋樹脂粒子は溶剤に実質的に溶けないこと(溶剤難溶性)が好ましい。これによって架橋樹脂粒子は樹脂被覆層中で凝集せず、一次粒子の形態を保つ。
また、本実施形態に係る静電荷像現像剤は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を収容した現像機を用いて潜像担持体上の潜像を現像するに際して補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式において、用いることができる。
また、静電潜像現像用キャリアは、予め現像機内に収容される初期現像剤に含まれるキャリアの電気抵抗が補給用キャリアよりも抑制されていることが好ましい。
これにより、トリクル現像方式を用いた2成分現像方法及び現像装置において、比較的少量のキャリア補給であっても、長期の使用により現像剤収容部内における2成分現像剤の電気抵抗値及び帯電量の双方が大きく変化することなく適正な範囲内に維持され、長期にわたって安定した画質を得ることが出来る。また、これにより、本実施形態に係る静電荷像現像用イエロートナーの帯電維持性を向上することができる。
補給用キャリアの体積電気抵抗は初期現像剤用キャリアよりも体積電気抵抗が高いものが好ましく、補給用現像剤に含まれるキャリアの電気抵抗を初期現像剤に含まれるキャリアの電気抵抗よりも高くすることにより、現像機内の現像剤の帯電量並びに現像剤の抵抗の変動幅を小さくすることが可能となり、長期に渡って良好な画質を得ることが出来る。
また、補給用キャリアの体積電気抵抗としては1.0×1010Ω・cm以上が好ましい。体積電気抵抗が1.0×1010Ω・cm未満では、経時で現像剤の抵抗が低下することを抑制する効果が小さい為、帯電量が低下によるカブリ及びリークによるキャリア飛翔の原因となることがある。
補給用キャリアのトナーに対する帯電付与能力は初期使用キャリアよりも高くなるように設定されるのが好ましい。具体的には初期使用キャリアの帯電量に対して1.2〜2倍、より好ましくは2倍程度の帯電量になるように設定され、トナーとの一定時間の撹拌により摩擦帯電されて得られる補給用キャリアの飽和帯電量が、初期使用キャリアの飽和帯電量の1.2〜2倍、より好ましくは1.5〜22倍となる。補給用キャリアの飽和帯電量が初期使用キャリアの飽和帯電量の2倍を越えると、帯電分布がブロードとなり、濃度低下またはカブリ等の画質上の問題が発生することがある。
また、補給用現像剤に含まれるトナー及びキャリアの配合比率としては、トナー1重量部に対して、補給用キャリアが0.05重量部から0.4重量部が好ましい。0.05重量部未満では、現像剤に含まれるキャリアの体積電気抵抗及び帯電量を適正な範囲内で維持することができなくなる場合がある。また、トナー1重量部に対して、補給用キャリアが0.4重量部より増えると、トリクル用キャリア量が増大するため、排キャリアが増大し回収量が増え、装置が大型化することがある。
<画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用イエロートナーを含有する静電荷像現像剤を用いる。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本実施形態に係る画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着等され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態に係る画像形成方法は、前記静電荷像現像剤(本実施形態に係るトナー)を用いているため、安定して良好な色再現性を実現することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例におけるトナーは、以下の如き方法にて得られる。即ち、下記の樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、無機粒子分散液をそれぞれ調製する。次いでこれらを所定量混合撹拌しながら、これに無機金属塩の重合体を添加、イオン的に中和させ前記各粒子の凝集体を形成せしめる。所望のトナー粒子径到達前に樹脂粒子を追添加し、トナー粒子径を調整する。ついで、無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から中性の範囲に調整後、当該樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱し、合一融合せしめる。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得る。以下に詳細に記載する。
(着色剤組成物1の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.1μmである着色組成物1を得た。
(着色剤組成物2の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 71重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)19重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.13μmである着色組成物2を得た。
(着色剤組成物3の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 89重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)1重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.14μmである着色組成物3を得た。
(着色剤組成物4の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 70重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)22重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.14μmである着色組成物4を得た。
(着色剤組成物5の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 87重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)5重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.15μmである着色組成物5を得た。
(着色剤組成物6の調整)
C.Iピグメントイエロー180(クラリアント製、Fast Yellow HG) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(ハリマ化成社製、製品名ハートールR−X、酸価168mgKOH/g、軟化点79℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.16μmである着色組成物6を得た。
(着色剤組成物7の調整)
C.Iピグメントイエロー93(大日精化製、クロモファインエロー5930) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.17μmである着色組成物7を得た。
(着色剤組成物8の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR100、酸価7mgKOH/g、軟化点100℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに3時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.22μmである着色組成物8を得た。
(着色剤組成物9の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤テトラグリセリンペンタエステル(阪本薬品工業社製、PO−3S、HLB値=3.0)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.15μmである着色組成物9を得た。
(着色剤組成物10の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤テトラグリセリンペンタエステル(阪本薬品工業社製、PS−3S、HLB値=2.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.16μmである着色組成物10を得た。
(着色剤組成物11の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)22重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.19μmである着色組成物11を得た。
(着色剤組成物12の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)0.4重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.2μmである着色組成物12を得た。
(着色剤組成物13の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)26重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.2μmである着色組成物13を得た。
(着色剤組成物14の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)2重量部及び界面活性剤オクチルフェノールエトキシレート(ダウケミカル社製、X−15、HLB値=3.6)8重量部を添加し、さらに1.5時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.22μmである着色組成物14を得た。
(着色剤組成物15の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 82重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後、ロジン(荒川化学社製、製品名パインクリスタルKR85、酸価170mgKOH/g、軟化点84℃)10重量部及び界面活性剤テトラグリセリントリエステル(阪本薬品工業社製、TS−3S、HLB値=4.5)8重量部を添加し、さらに1時間分散し、顔料の体積平均粒径が0.21μmである着色組成物15を得た。
(着色剤組成物16の調整)
C.Iピグメントイエロー74(クラリアント製、Brilliant Yellow 5GX) 100重量部
トルエン 300重量部
以上を混合し、ホモジナイザ(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、顔料の体積平均粒径が0.22μmである着色組成物16を得た。
(イエロー着色剤分散液1の調製)
着色剤組成物1 33重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 4.02重量部
イオン交換水 200重量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、体積平均粒径120nmのイエロー着色剤分散液1を得た。
(イエロー着色剤分散液2〜16の調製)
着色剤分散液1と同様にして、着色剤組成物2〜16を用いて、イエロー着色剤分散液2〜16を調製した。
(シアン着色剤分散液の調製)
シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3、大日精化製) 45重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒径168nmのシアン着色剤分散液を得た。
(離型剤分散液の調製)
ポリアルキレンワックス(FNP0092、日本精蝋社製、融点91℃)45重量部
カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径190nm、固形分量24.3重量%の離型剤分散液を得た。
(樹脂粒子分散液の調製)
〔油層〕
スチレン(和光純薬製) 30重量部
n−ブチルアクリレート(和光純薬製) 10重量部
β−カルボエチルアクリレート(ローディア日華製) 1.1重量部
アクリル酸 0.2重量部
ドデカンチオール(和光純薬製) 0.4重量部
〔水層1〕
イオン交換水 17.0重量部
アニオン性界面活性剤(ローディア社製) 0.39重量部
〔水層2〕
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ローディア社製) 0.06重量部
過硫酸カリウム (和光純薬製) 0.30重量部
過硫酸アンモニウム(和光純薬製) 0.10重量部
前記の油層成分と水層1の成分をフラスコ中に入れて撹拌混合し、単量体乳化分散液とした。更に反応容器に前記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で充分に置換し、撹拌をしながら、オイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し乳化重合を行った。滴下終了後さらに75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させ、樹脂粒子分散液1を得た。これにより体積平均粒径D50v=200nm、固形分量=42%、ガラス転移点=51.5℃、重量平均分子量(Mw)=30000のアニオン性の樹脂粒子分散液を得た。
(無機粒子分散液の調製)
コロイダルシリカAとして、ST−OL(日産化学社製、体積平均粒径40nm)を、コロイダルシリカBとして、ST−OS(日産化学社製、体積平均粒径8nm)を、それぞれ2重量部、4重量部を適宜混合し、0.02mol/LのHNO3を15重量部加え、これにポリ塩化アルミニウム0.3重量部を添加し、20分間常温下放置し凝集させ、無機粒子分散液を得た。
<実施例1>
(イエロートナー1の製造)
樹脂粒子分散液 80重量部
イエロー着色剤分散液1 18重量部
無機粒子分散液 30重量部
離型剤分散液 18重量部
ポリ塩化アルミニウム 0.36重量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合、分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36重量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら47℃まで加熱した。47℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液を緩やかに46重量部を追加した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら96℃まで加熱し、3.5時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3000重量部に再分散し、15分300rpmで撹拌、洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.7μS/cm、表面張力が71.2Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、イエロートナー1を製造した。
この時の体積平均粒径をコールターカウンターにて測定したところD50vは6.0μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、数平均粒度分布指標GSDpは1.25であった。またイエロートナー1のトルエン不溶分は、12.2重量%であった。イエロートナー1中のアビエチン酸の含有量及び界面活性剤の含有量を、高速液体クロマトグラフィ装置を用いて、それぞれの検量線を用いる方法で測定した。
測定器:島津LC6A(島津製作所製)
カラム:CLC−ODS(島津製作所製)
検出波長:290nm
移動相:メタノール/テトラヒドロフラン=3/1の混合溶媒
移動相の流速:約1mL/min
なお、本発明の混合化合物の組成比は上記液体クロマトグラフィによる組成分離後の各成分の面積比(%表示の面積比、合計組成比100%)で定義する。このようにして測定したところ、含有量はアビエチン酸0.5重量%及び界面活性剤0.4重量%であった。
(現像剤1の製造)
作成したイエロートナー1を50重量部に対し、1.0重量部疎水性シリカ(TS720、キャボット製)および2.0重量部疎水性シリカ(X24、信越化学製)を添加し、サンプルミルにてブレンドした。この外添イエロートナー1をポリメチルメタクリレート(綜研化学社製)を1%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対しトナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミルで5分間撹拌、混合し、イエロー現像剤1を調整した。
(シアントナー及び現像剤の製造)
シアン着色剤分散液を用いる以外は、イエロートナー1と同様に操作し、シアントナーを製造した。この時の体積平均粒径をコールターカウンターにて測定したところD50vは6.0μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、数平均粒度分布指標GSDpは1.26であった。また、イエロートナー1と同様にしてシアン現像剤を調整した。
(トナー評価)
シアン現像剤および現像剤1をDocucentreColor400改造機(富士ゼロックス社製)を用いて、トナー載り量5.0g/m2に調整して、ミラーコートプラチナ紙(富士ゼロックス社製)で二次色であるGreen色の画出しした後、外部定着器を用い、Nip6.5mm下、定着温度180℃、定着速度160mm/secにて定着した。Glossメーター(村上色彩技術研究所製、GM26D)を用い、JIS P 8142:93より求めた75度鏡面光沢度による該定着画像の表面光沢度は80%であった。
この定着機の剥離性は良好で、目視において光沢むら無く、剥離することが確認された。更に、色域を測定した場合、a*=79、b*=30であり、該定着画像の色再現性も優れていることも確認された。表面光沢性、定着機剥離性、Greenの評価は以下の基準で行った。
(表面光沢度)
◎:76%以上
○:66%以上76%未満
×:66%未満
(定着機剥離性)
◎:問題なし
○:良く見るとやや画像に荒れが観察される程度
×:明らかに画像荒れが観察される
(Green評価)
◎:a*>78
○:a*=78〜75
×:a*<75
◎:b*=25〜35
○:b*=20〜24あるいは36〜40
×:b*<20あるいは>40
<実施例2〜10>
イエロー着色剤分散液1の代わりにイエロー着色剤分散液2〜10を用いた以外は実施例1と同様にしてイエロートナー2〜イエロートナー10及びイエロー現像剤2〜イエロー現像剤10を製造し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1〜6>
イエロー着色剤分散液1の代わりにイエロー着色剤分散液11〜16を用いた以外は実施例1と同様にしてイエロートナー11〜イエロートナー16及びイエロー現像剤11〜イエロー現像剤16を製造し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
このように、実施例1〜10のトナーは、表面光沢性及び定着機の剥離性は良好で、目視において光沢むら無く、剥離することが確認された。更に、色域を測定した場合、定着画像の色再現性も優れていることも確認された。一方、比較例1〜6の定着画像の色再現性が不十分であることが確認された。
(キャリア被覆用結晶性ポリエステル樹脂の調整)
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100mol%、エチレングリコール100mol%と、これらの合計100重量部あたり、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3重量部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間撹拌、還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9700であった。また、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確な吸熱ピークを示し、吸熱ピーク温度は72.2℃であった。また得られた結晶性ポリエステル樹脂の相対湿度=85%の環境下でlogE=3.4V/cmの電界を印加時した場合の電気抵抗は6.6×1011Ω・cmであった。
(キャリア被覆用非結晶性ポリエステル樹脂の調整)
テレフタル酸100mol%、イソフタル酸20mol%、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物90mol%、エチレングリコール10mol%を、撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに仕込み、1時間を要して190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドを1.2重量部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに5時間脱水縮合反応を継続し、酸価が10.0mg/KOH、重量平均分子量25000、ガラス転移温度が75.3℃である非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂の吸熱ピーク温度TmAは72.2℃、及び結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂を混合した場合の吸熱ピーク(TmAB、既述のTmAB測定方法で測定した。)は56.8℃、TmA−TmAB=15.4℃であった。
(キャリアAの作製)
フェライト粒子(体積平均粒径35μm) 100重量部
酢酸エチル 14重量部
結晶性ポリエステル樹脂 0.33重量部
非結晶性ポリエステル樹脂 1.32重量部
カーボンブラック(R330、キャボット社製) 0.14重量部
架橋メラミン樹脂粒子(体積平均粒径0.3μm、酢酸エチル不溶)0.20重量部
上記成分のうちフェライト粒子を除く全成分をサンドミルにて分散した被覆層形成用溶液を調製した。次にこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアAを製造した。得られたキャリアAは、logE=3.8V/cmの電界を印加時において、3.4×1012Ω・cmであった。
キャリア及び結晶性ポリエステル樹脂の体積抵抗値は、図1に示す装置を用いて行なった。図1は体積抵抗値測定器の構成を説明するための構成図である。図1において、厚みHに調整した測定試料6を、上部電極1と下部電極2とで狭持し、上方より加圧手段4で加圧しながらダイヤルゲージ3で厚みを測定し、測定試料6の電気抵抗を上部電極1及び下部電極2と配線で結ばれた高電圧抵抗計5で計測した。測定試料6をセル内の上部電極1と下部電極2との間に挟み込み、ダイヤルゲージ3で厚みを測定した。次に所定の電圧を印加し、電流値を読み取ることにより体積抵抗値を求めた。
(キャリアBの作製)
フェライト粒子(体積平均粒径35μm) 100重量部
酢酸エチル 14重量部
非結晶性ポリエステル樹脂 1.66重量部
カーボンブラック(R330、キャボット社製) 0.14重量部
架橋メラミン樹脂粒子(体積平均粒径0.3μm、酢酸エチル不溶)0.20重量部
上記成分のうちフェライト粒子を除く全成分をサンドミルにて分散した被覆層形成用溶液を調製した。次にこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアBを製造した。得られたキャリアBは、logE=3.8V/cmの電界を印加時において4.5×1014Ω・cmであった。
<実施例11>
外添イエロートナー1を8重量部とキャリアAを100重量部とをそれぞれ、V−ブレンダーを用い40rpmで20分間撹拌し、177μmの網目を有するシーブで篩うことにより、イエロー現像剤17を得た。
(評価試験)
実施例11で得られたイエロー現像剤17を用いて、富士ゼロックス社製DocuPrint C2220の改造機により、常温、常湿(22℃、55%RH)の各環境下で100枚目(初期)の感光体上のキャリア付着および帯電性、その後、常温、常湿(22℃、55%RH)で30000枚プリントを実施した時の感光体上のキャリア付着および帯電性の確認を実施した。なお、DocuPrint C2220の改造機による画像の形成方法は、静電荷像担持体上に静電潜像を形成する工程と、現像剤を用いて前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程と、前記トナー画像を転写体上に転写する工程と、及び前記トナー画像を熱定着する工程とを含むものである。
(トナー帯電量測定)
現像機から現像剤を取り出して、現像剤を0.3g〜0.7g程度採取し、帯電量測定装置(TB200、東芝社製)を用い、ブローオフ法により測定した。
(キャリア付着評価)
現像剤を所定の温度湿度(38℃、75%RH)下で一晩放置し、2cm×5cmのパッチを2個所有する画像をコピーした。感光体上の2個所の背景部分をそれぞれテープ上に粘着性を利用し転写し、ルーペあるいは顕微鏡を用い、1cm2当たりのキャリア個数を数え、キャリア付着を以下の基準で評価した。なお、トナーとキャリアの区別は主に粒径差および形状により判定した。評価結果を表2に示す。
◎:5個未満
○:5個〜10個
×:11個以上
<実施例12>
イエロー現像剤17の代わりに実施例1のイエロー現像剤1を用いた以外は実施例11と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例7>
イエロー現像剤17の代わりに比較例6のイエロー現像剤16を用いた以外は実施例11と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
評価結果は、表2からも明らかなように実施例11の現像剤は、初期から30000枚プリント後においても帯電性は良好であり、キャリア付着による画質欠陥も少ない。また、実施例12の現像剤を用いたGreen色はa*=79、b*=30と色再現性の良好な画像が得られた。一方、比較例7の現像剤を用いたGreen色はa*=74、b*=24と色再現性の低い画像が得られた。
<実施例13>
(予め現像機内に収容する現像剤(START現像剤)の調整)
外添イエロートナー1を9重量部とキャリアAを100重量部とをV型ブレンダーで混合してSTART現像剤であるイエロー現像剤18を得た。
(補給用現像剤の調整)
外添イエロートナー1を100重量部とキャリアBを15重量部とをV型ブレンダーで混合して補給用現像剤であるイエロー現像剤19を得た。
得られたSTART現像剤(イエロー現像剤18)及び補給用現像剤(イエロー現像剤19)を用いて、DocuCentreColor400改造機(富士ゼロックス社製)により、低温、低湿(10℃、20%RH)の環境下で50000枚のプリントテスト(画像面積:5%)を行い、更に高温、高湿(30℃、85%RH)の環境下で150000枚のプリントテスト(画像面積:5%)を行い、10枚後(初期)および200000枚後のキャリア付着および帯電性の確認を実施例11と同様にして実施した。評価結果を表3に示す。
<実施例14>
START現像剤としてイエロー現像剤18の代わりに実施例1のイエロー現像剤1を用いた以外は実施例13と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例8>
START現像剤としてイエロー現像剤18の代わりに比較例6のイエロー現像剤16を用いた以外は実施例13と同様にして評価を行った。評価結果を表3に示す。
評価結果は、表3からも明らかなように実施例13の現像剤は、初期から200000枚プリント後においても帯電性は良好であり、キャリア付着による画質欠陥も少ない。また、実施例14の現像剤を用いたGreen色はa*=79、b*=30と色再現性の良好な画像が得られた。一方、比較例8の現像剤を用いたGreen色はa*=74、b*=24と色再現性の低い画像が得られた。
以上のように、結着樹脂とイエロー系着色剤とを含有する静電荷像現像用イエロートナーにおいて、アビエチン酸及びHLB値が4以下である界面活性剤を所定量で含有することにより、安定して良好な色再現性を有することができた。また、当該静電荷像現像用イエロートナーと、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を含む樹脂で被覆された樹脂被覆キャリアとを組み合わせて用いることにより、長期にわたる帯電維持性を実現することができた。