JP4645377B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真法又は静電記録法等により形成される静電潜像を現像剤により現像する際に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)及びその製造方法、静電荷像現像剤ならびに画像形成方法に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがあるが、そのトナーの製法は通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕製法が使用されている。これらトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
近年、カラー電子写真法による複写機、プリンタ、またそれらやファクシミリなどの複合機などの普及が著しいが、カラー画像再現における適度な光沢及び優れたOHP画像を得るための透明性を実現する場合、ワックスなどの離型剤を用いることが一般的に難しい。このため、剥離補助のために定着ロールに多量のオイルを付与することとなるので、OHPを含む複写画像のべたつき感やペンなどによる画像への追記が困難となり、また不均一な光沢感を生じることも多い。通常の白黒コピーでは、一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンなどのワックスは、OHP透明性を損なうために使用することがより困難である。
また、例えば、透明性を犠牲にしたとしても、従来の混練粉砕法によるトナー製造方法では、表面へのトナー露出を抑制することが困難であるために、現像剤として使用する際、著しい流動性の悪化や、現像機、感光体へのフィルミングなどの問題を招く。
これらの問題の根本的な改善方法として、樹脂の原料となる単量体と着色剤とからなる油相を水相中に分散し、直接重合してトナーとする方法により、これらワックスをトナー内部に内包して表面への露出を制御する懸濁重合法による製造方法が提案されている。
また、他に意図的なトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として特開昭63−282752号や特開平6−250439号に凝集合一法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方、溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作製し、両者を混合し、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合合一してトナーとする凝集合一法の製造方法である。
これらの製法はワックスの内包を実現するばかりでなく、トナーの小径化を容易とし、より高解像かつ鮮明な画像再現を可能とするものである。
上記のように電子写真プロセスにおいて高品位な画像を提供し、かつ様々な機械的ストレス下でトナーが安定した性能を維持するには、顔料、離型材の選択、量の最適化、表面への離型剤の露出を抑制するとともに、樹脂特性の最適化による光沢と定着オイルがない状態での離型性改善、ホットオフセット抑制がきわめて重要である。
一方、エネルギ消費量を少なくするため、より低温でトナーを定着しうる技術が望まれ、特に近年では、省エネルギ化を徹底するために、使用時以外は定着機への通電を停止するといったことが望まれている。従って、定着機の温度としては、通電するとともに、瞬時に使用温度にまで高める必要がある。そのためには、定着機の熱容量をできるだけ小さくすることが望ましいが、その場合、定着機の温度の振れ幅が、従来以上に大きくなる傾向にある。即ち、通電開始後の温度のオーバーシュートが大きくなり、他方、通紙による温度低下も大きくなる。また、定着機の幅より幅の小さい紙を連続して通紙した場合には、その通紙部と非通紙部との温度差も大きくなる。特に、高速の複写機やプリンタに用いた場合、電源容量が不足しがちなこともあり、上記のような現象を生ずる傾向が強い。従って、低温で定着し、より高温領域までオフセットが発生しない、いわゆる定着ラチチュードの広い電子写真用トナーが強く要求されている。
トナーの定着温度を低くする手段としては、トナーを構成する結着樹脂として、温度に対してシャープな溶融挙動を示す重縮合型の結晶性樹脂を用いることが知られているが、結晶性樹脂は、溶融混練粉砕法では粉砕が困難で一般に使用することができないことが多い。
また、上記のように凝集合一法によりトナー作製を実施する場合は、重縮合型の結晶性樹脂を重合した後に、水系媒体中に乳化し、ラテックスとした状態で顔料やワックスなどと凝集した後、合一(融合)することができる。
また、結晶性樹脂は温度に対しシャープな溶融挙動を示すことから、低温定着の実現のためには効果的ではあるが、反面、長時間の使用下におけるトナーとしての機械強度や帯電維持性に関しては、非晶性樹脂の方が勝る場合がある。このため、結晶性樹脂の単独使用だけでなく、トナーの表面や内部に非結晶樹脂を配置することにより、低温定着性と長期間使用における信頼性とを両立することが重要となってきている。
特に低温定着性トナーの場合、夏場環境における連続使用時に、感光体へのフィルミングを発生したり、現像剤としての帯電性が低下することにより画質を維持することが困難となりやすい。
この場合、通常、結晶性樹脂粒子分散液と非晶性樹脂粒子分散液をそれぞれに作成して、水中にて混合、凝集、合一(融合)してトナー化する方法が一般的である。ただし、この場合、それぞれの樹脂粒子の熱溶融特性が著しく異なるために、粒子間の付着力にばらつきが生じ、凝集時の粒度分布が悪化する場合があったり、トナー化に成功した場合でも、トナー内部または表面における各樹脂粒子の分布が狙いどおりでないために、低温定着性や経時における帯電性が不十分になる場合がある。
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、上記凝集合一法において、樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液とを混合し、無機金属塩を用いて凝集体分散液を調整した後、樹脂のガラス転移点以上に加熱し、凝集体を融合して形成する静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。
一方、特許文献2には、懸濁重合法により得られる静電荷像現像用カラートナーにおいて、重合過程での重合機内壁へのスケール付着を防止するために酸化ジルコニウムを含有させることが記載されている。また、特許文献3には、結晶性ポリエステル樹脂製造時の触媒としてジルコニウム等の金属化合物を使用することが記載されている。さらに、特許文献4には、良好な光沢性と印画濃度を保持しながら、画像の経時ニジミ及びインク受容層の脱落の少ないインクジェット記録媒体を得るために、ジルコニウム等の水溶性金属塩化合物を含有させることが記載されている。
特開平11−311877号公報 特開平6−11900号公報 特開2005−10596号公報 特開2004−351741号公報
しかし、特許文献1で使用されているアルミニウム系、カルシウム系、マグネシウム系、亜鉛系、鉄系凝集剤では、凝集が不十分であり、特に結晶性樹脂を結着樹脂として使用した場合、夏場環境における連続使用時に、感光体へのフィルミングを発生したり、現像剤としての帯電性が低下する。
一方、特許文献2〜4には、トナーとしての低温定着性と機械強度、帯電性の両立については記載がない。
本発明は、トナーとしての低温定着性と機械強度、帯電性を両立して、使用時の信頼性の高い静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤ならびに画像形成方法を提供する。
本発明は、結着樹脂、着色剤を含有し、トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.015〜0.5atomic%含有し、トナーはジルコニウムにより架橋されている静電荷像現像用トナーである。
また、前記静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂は、結晶性樹脂を含有することが好ましい。
また、本発明は、結着樹脂、着色剤を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、結着樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、架橋剤とを撹拌混合し、前記結着樹脂粒子と前記着色剤粒子を含有する凝集粒子分散液を調製する工程と、前記結着樹脂の融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を一体化する工程と、を含み、前記架橋剤は、水溶性ジルコニウム化合物であり、トナーは、トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.015〜0.5atomic%含有する。
また、本発明は、前記静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤である。
さらに、本発明は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤は、前記静電荷像現像剤である。
本発明では、結着樹脂、着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.05〜0.5atomic%含有することにより、トナーとしての低温定着性と機械強度、帯電性を両立して、使用時の信頼性の高い静電荷像現像用トナーを提供し、さらにその製造方法、静電荷像現像剤ならびに画像形成方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
<静電荷像現像用トナー及びその製造方法>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤を含有し、トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.01〜0.5atomic%含有する。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、架橋剤とを撹拌混合し、前記結着樹脂粒子と前記着色剤粒子とを凝集させて凝集粒子を含有する凝集粒子分散液を調製する工程(凝集工程)と、当該凝集粒子を前記結着樹脂の融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合させる(一体化する)工程(合一工程)と、を有するものである。そして、この凝集合一法(乳化凝集法)と呼ばれる製造方法において、凝集剤としてジルコニウム系架橋剤を適用する。
凝集工程では、樹脂粒子分散液を、着色剤粒子分散液及び必要に応じて離型剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加し、これら粒子をヘテロ凝集させることによりトナー径の凝集粒子を形成することができる。また、このように凝集して第一の凝集粒子形成後、さらに上記本発明の樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加し第一の粒子表面に第2のシェル層を形成することも可能である。なお、この例示においては、着色剤分散液を別に調整しているが、重縮合樹脂粒子に予め着色剤が配合されている場合には、着色剤分散液は必要ない。
凝集剤としては、通常、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を用いていたが、本実施形態において凝集剤としてジルコニウム系架橋剤を用いることにより、得られるトナーの低温定着性能や帯電性能をさらに高度なレベルで両立することができるようになる。
凝集剤はジルコニウム系架橋剤であればよく特に制限はないが、ジルコニウム系無機架橋剤であることが好ましい。また、凝集剤は、水溶性ジルコニウム化合物であることが好ましい。ジルコニウム系架橋剤としては、水溶性ジルコニウム化合物等が挙げられる。水溶性ジルコニウム化合物の具体例としては、ジルコニウムヒドロキシクロリド(ZrO(OH)Cl・nHO)、硫酸ジルコニウム(ZrOSO・nHO)、硝酸ジルコニウム(ZrO(NO・nHO)、酢酸ジルコニウム(ZrO(C)、炭酸ジルコニウムアンモニウム((NH)ZrO(CO)等が挙げられ、この中でも架橋剤としての反応性が高い等の点から炭酸ジルコニウムアンモニウム((NH)ZrO(CO)、酢酸ジルコニウム(ZrO(C)、硫酸ジルコニウム(ZrOSO・nHO)が好ましく、特に炭酸ジルコニウムアンモニウム((NH)ZrO(CO)が好ましい。ジルコニウムは最大配位数が8と高く、架橋性に富む。
ジルコニウム系架橋剤はトナーの質量に対して0.075重量%〜3.5重量%使用することが好ましく、0.75重量%〜1.12重量%使用することがより好ましい。0.075重量%より少ないと凝集性が得られず、3.5重量%を超えると定着性を悪化させる場合がある。
トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.01〜0.5atomic%含有するが、0.05〜0.2atomic%含有することが好ましく、0.1〜0.15atomic%含有することがより好ましい。なお、ジルコニウム系化合物を後述する結晶性ポリエステル樹脂の触媒として使用したときは、上記ジルコニウム元素の含有量は通常0.01atomic%未満程度となる。また、ジルコニウム系化合物を後述するトナーの外添剤として使用したときは、上記ジルコニウム元素の含有量は通常0.5atomic%を超える程度となる。なお、ここで「トナーを構成する全元素」でいう「トナー」とは、外添剤を外添した後のトナーのことをいう。
トナー中に含まれるジルコニウム系架橋剤に由来するジルコニウム元素は蛍光X線装置によってその存在及び含有量を確認することができる。測定装置としては、全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電機製)を用い、全元素測定によりZr原子の含有量を算出する。
凝集剤としてジルコニウム系架橋剤を用いることにより、従来の結晶ポリエステル樹脂の示す低温定着性能や帯電性能をさらに高度なレベルで両立することができるようになる。その作用機構は、必ずしも明らかではないが、ジルコニウム系架橋剤を凝集合一法で使用することにより、樹脂分散液および色材、ワックス分散液を凝集耐水化することにより低温定着性能や帯電性能をさらに高度なレベルで両立することができるようになると考えられる。
本実施形態に係るトナーの樹脂微粒子に用いられる結着樹脂は特に制限されない。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、又は、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
本実施形態で用いる結着樹脂には結晶性樹脂を含むことが好ましく、上記樹脂(非晶性樹脂)と結晶性樹脂とを含むことがより好ましい。結晶性樹脂を含まない場合、低温定着性と機械強度の両立が困難となる。結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂と非晶性樹脂とを含む場合、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量が20〜95質量%の範囲内であることが好ましく、25〜65質量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が20質量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着が困難となる場合がある。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。また、トナーに含まれる結晶性樹脂の溶融特性を樹脂酸価やジルコニウム系架橋剤の量によって制御することによって、薄膜条件下で存在する最表面に存在する非晶性樹脂の溶融特性の影響を殆ど受けることなく、トナーとしての溶融特性を制御することが可能である。
なお、本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂、コア粒子またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。
また、「非晶性樹脂」とは、樹脂、コア粒子またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
一方、前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分(以下、「酸由来構成成分」と称する場合がある)と、アルコール(ジオール)成分(以下、「アルコール由来構成成分」と称する場合がある)とから合成されるものである。以下、酸由来構成成分、およびアルコール由来構成成分について、さらに詳しく説明する。尚、本実施形態では、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して、他成分を50重量%以下の割合で共重合した共重合体も結晶性ポリエステルとする。
(酸由来構成成分)
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく、特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれていることが好ましい。尚、前記二重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製する際にスルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。このようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(二重結合を持つジカルボン酸由来構成成分および/またはスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が良くなかったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない場合がある。尚、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)を1単位(モル)したときの百分率を指す。
(アルコール由来構成成分)
アルコール構成成分としては脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール由来構成成分は、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上であることがより好ましい。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。一方、必要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分等の構成成分が挙げられる。
前記二重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの直鎖型脂肪族ジオール由来構成成分以外のアルコール由来構成成分を加える場合(二重結合を持つジオール由来構成成分、および/または、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分)の、アルコール由来構成成分における含有量としては、1〜20構成モル%が好ましく、2〜10構成モル%がより好ましい。前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が不良となったり、乳化粒子径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない場合がある。
前記ポリエステル樹脂の製造方法としてはとくに制限はなく、酸成分とアルコール成分を反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
前記ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマが存在する場合はあらかじめ相溶性の悪いモノマと、そのモノマと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
また、本実施形態における結着樹脂の主成分である結晶性樹脂の融点、分子量等の調整の目的で上記の重合性単量体以外に、より短鎖のアルキル基、アルケニル基、芳香環等を有する化合物を使用することもできる。具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態においては、静電荷像現像用トナー用の樹脂として共重合可能なものであれは、親水性極性基を有する化合物を用いることができる。具体例としては、仮に用いる樹脂がポリエステル系である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられ、また樹脂がビニル系樹脂の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類、オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体、スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル等が挙げられる。
また、本実施形態における結着樹脂には、高温度領域における定着時の光沢むら、発色むら、ホットオフセット等を防止する目的で、必要に応じて架橋剤を添加することもできる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類、ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類、ピロール、チオフェン等の不飽和複素環化合物類、ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
また、特に結晶性樹脂がポリエステル系である場合、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans−アコニット酸等の不飽和の多カルボン酸類を、ポリエステル中に共重合させ、その後樹脂中の多重結合部分同士、または他のビニル系化合物を用いて架橋させる方法を用いてもよい。本実施形態において、これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これら架橋剤により架橋させる方法としては、重合性単量体の重合時に架橋剤と共に重合し架橋させる方法でもよいし、不飽和部分は樹脂中に残留させ、樹脂を重合させた後、あるいはトナー作製の後、不飽和部分を架橋反応により架橋させる方法でもよい。
用いる樹脂がポリエステル系である場合、重合性単量体は、縮重合により重合することができる。前記縮重合用の触媒としては、公知のものを使用することができ、具体例としては、チタンテトラブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ等が挙げられる。用いる樹脂が、ビニル系樹脂である場合、重合性単量体は、ラジカル重合により重合することができる。
前記ラジカル重合用開始剤としては、乳化重合可能なものであれば、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピルテトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
前記重合開始剤は、前記架橋工程における架橋反応の開始剤としても、使用することが可能である。
本実施形態で用いる樹脂微粒子分散液は、乳化重合法およびそれに類似の不均一分散系における重合法で容易に得ることができる。また、予め溶液重合法や隗状重合法等で均一に重合した重合体を、その重合体が溶解しない溶媒中へ安定剤とともに添加して機械的に混合分散し必要に応じて脱溶媒する方法など任意の方法で得ることができる。
例えば、ビニル系単量体を用いる場合は、イオン性界面活性剤などを用い、好ましくはイオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用して乳化重合法やシード重合法により、樹脂微粒子分散液を作製することができる。
ここで用いる界面活性剤は、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び、種々のグラフトポリマ等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。
乳化重合で樹脂微粒子分散液を作製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルフォン酸等を単量体成分の一部として添加することにより、微粒子表面に保護コロイド層を形成することができ、ソープフリー重合が可能になるので特に好ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径(中心径)は、1μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.01〜1μmの範囲である。樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下につながる。一方、樹脂粒子の体積平均粒径が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)を用いて測定することができる。樹脂粒子分散液としては、従来から知られる乳化重合などを用いて作製された付加重合系樹脂粒子分散液を用いることができる。
そして、凝集工程を経た後、合一工程(融合工程)において、樹脂樹脂粒子のガラス転移点(Tg)以上又は融点以上の温度に加熱して、凝集粒子を合一し、必要に応じて洗浄、乾燥することにより、トナーを得ることができる。
また、合一工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
以下、トナーの構成成分(その製法に使用される原料)について説明する。
まず、着色剤としては次のようなものを使用することができる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができる。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザやボールミル、サンドミル、アトライタ等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザによって水系に分散することもできる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することができる。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加することができる。
着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100〜330nmの範囲にすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。
なお、着色剤粒子の中心径(メジアン径)は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。
また、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させても良い。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
また、内添剤としてフェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用したり、帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来るが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
離型剤の具体例としては、例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらのワックス類は、水系媒体中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザ、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、離形剤粒子分散液の中心径(メジアン径)は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法により得られたトナーの累積体積平均粒径D50vは3.0〜9.0μmの範囲、好ましくは3.0〜7.0μmの範囲が適当である。D50vが3.0μmを下回ると、付着力が高くなり、現像性が低下することがある。また、9.0μmを超えると画像の解像性が低下することがある。
また、得られるトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30を超えると解像性が低下し、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥の原因となることがある。
ここで、累積体積平均粒径D50vや平均粒度分布指標は、コールタカウンタTAII(日科機社製)、マルチサイザII(日科機社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は画像形成性の点より100〜140の範囲、好ましくは110〜135の範囲である。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が100より小さい、または140を越えると、長期に渡って、優れた帯電性、クリーニング性、転写性を得ることができない。
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
得られたトナーには、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。
また、水系媒体中にてトナー表面に付着せしめる場合、無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
<静電荷像現像剤>
以上説明した本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法により得られるトナーは、静電荷像現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂、マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm〜500μmの範囲であり、好ましくは30μm〜100μmの範囲である。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤を用いる。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本実施形態に係る画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(静電潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着等され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
尚、定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、定着機における定着部材に離型剤が供給される。
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態に係る画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。前記各工程の他にさらにクリーニング工程を含む。クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。本実施形態に係る画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例のトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離形剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定の割合で混合し撹拌しながら、ジルコニウム化合物(ジルコニウム系架橋剤)を添加し、凝集粒子を形成する。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合・合一する。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得る。以下、それぞれの調製方法を説明する。
(樹脂粒子分散液(1)の調製)
スチレン(和光純薬社製) 73重量部
アクリル酸ブチル(和光純薬社製) 27重量部
ドデシルメルカプタン(和光純薬社製) 2.0重量部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 2重量部
デカンジオールジアクリル酸エステル(新中村化学社製) 0.5重量部
上記成分を混合溶解して溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(日本油脂社製、ノニオンP−213)1重量部、及びアニオン性界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR)1重量部をイオン交換水120重量部に溶解し、これに前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)1.2重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入し、次いで、系内を窒素で置換した後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、そのまま6時間乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、非晶性樹脂である樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液(1)を得た。この樹脂粒子分散液(1)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、残留物のMwが40000、Tgが52℃であった。なお、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計DSC−60(島津製作所製)を用いた示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
(樹脂粒子分散液(2)の調製)
加熱乾燥した二口フラスコに、ジオール成分として、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン94重量部、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン192重量部(構成モル比:35/65)と、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸114重量部、n−ドデセニルコハク酸28重量部、トリメリット酸19重量部(構成モル比:80/10/10)と、ジブチル錫オキサイド0.12重量部(全酸成分モル数に対して0.0005モル)と、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリエステル樹脂を350重量部合成した。この樹脂のMwは15000、Tgは65℃であった。冷却後この樹脂150重量部を酢酸エチル100重量部に溶解させた後、蒸留水850重量部中に入れ、70℃に加熱しながらホモジナイザ(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)で混合撹拌した後、室温まで冷却し、非晶性樹脂である樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液(2)を得た。
(樹脂粒子分散液(3)の調製)
セバシン酸(和光純薬(株)製) 1900重量部
ヘキサンジオール(和光純薬(株)製) 1100重量部
イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム(和光純薬(株)製) 55.0重量部
ジブチルスズ(和光純薬(株)製) 0.113重量部
上記成分をフラスコ内で混合し、減圧雰囲気下で240℃に加熱して6時間脱水縮合し樹脂を得た。冷却後この樹脂150重量部を蒸留水850重量部中に入れ、85℃に加熱しながらホモジナイザ(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)で混合撹拌した後、室温まで冷却し、結晶性ポリエステル樹脂である樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液(3)を得た。得られた樹脂粒子の融点は66℃であった。
(着色剤粒子分散液の調製)
フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE) 25重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 2重量部
イオン交換水 125重量部
前記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤粒子分散液を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP0190、融点85℃) 100重量部
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR) 3重量部
イオン交換水 400重量部
前記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散した後、圧力吐出型ホモジナイザで分散処理し、離型剤粒子分散液を得た。
<実施例1>
(現像剤1の製造)
樹脂粒子分散液(1) 200重量部
着色剤粒子分散液 50重量部
離型剤粒子分散液 50重量部
イオン交換水 300重量部
ジルコニウム系架橋剤(炭酸ジルコニールアンモニウム(NHZrO(CO、第一希元素化学工業株式会社製) 7重量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH2.2に調整し、ホモジナイザ(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で62℃まで撹拌しながら加熱した。62℃で120分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.6μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に30分62℃で加熱撹拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約6.4μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。この凝集粒子分散液のpHは2.2であった。そこに、炭酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.5重量%に希釈した水溶液を穏やかに添加してpHを5.5に調整した後、撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー母粒子(1)を得た。このトナー母粒子を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、ジルコニウム元素が確認された。得られたトナー母粒子の体積平均粒径は6.4μmであった。このトナー粒子100重量部に対して、メタチタン酸(体積平均粒径40nm、I−ブチルトリメトキシシラン処理)1重量部、シリカ微粒子(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)1.0重量%をヘンシェルミキサで周速30m/sec×15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電荷像現像用トナー(1)を得た。この静電荷像現像用トナー(1)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.11atomic%であった。
更に、フェライト粒子(パウダーテック社製、体積平均粒径50μm)100重量部とポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、重量平均分子量95000)2.5重量部とを、トルエン500重量部と共に加圧式ニーダに入れ、常温で15分間撹拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分級することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。このフェライトキャリアと、上記静電荷像現像用トナー(1)とをVブレンダに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分してトナー濃度が7重量%である二成分系の静電荷像現像剤(1)を作製した。
(現像剤の評価)
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス社製のDocuCentreColor500の改造機において、転写用紙として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定した。より具体的には布で3回摺擦したとき布が汚れない定着温度を最低定着温度とした。)は130℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は50%と良好であった(測定装置は村上色彩技術研究所製、GM−3D型を用い、測定条件はJIS Z8741:97、60度表面光沢度測定法によった。)。現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。各評価は以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
(定着性)
◎:最低定着温度110℃以下
○:最低定着温度120℃
△:最低定着温度130℃
×:最低定着温度140℃以上
(画像欠陥)
◎:ライン像が完全に再現されている。
○:ライン像に斑が発生する。または地かぶりが僅かに見られる。
×:ライン像の再現が不完全であり途切れがある。または地かぶりが見られる。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。評価基準は以下の通りである。
◎:感光体へのフィルミングが全く発生していない。
○:感光体へのフィルミングが発生するが、プリントアウトされない。
×:感光体へのフィルミングが発生し、プリントアウトされる。
<実施例2>
(現像剤2の製造)
樹脂粒子分散液(2) 400重量部
樹脂粒子分散液(3) 150重量部
着色剤粒子分散液 50重量部
離型剤粒子分散液 50重量部
ジルコニウム系架橋剤(炭酸ジルコニールアンモニウム(NHZrO(CO、第一希元素化学工業株式会社製) 7重量部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH2.2に調整し、ホモジナイザ(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で55℃まで撹拌しながら加熱した。55℃で120分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.4μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に30分57℃で加熱撹拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約6.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。この凝集粒子分散液のpHは2.2であった。そこに、炭酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.5重量%に希釈した水溶液を穏やかに添加してpHを5.5に調整した後、撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー母粒子(2)を得た。このトナー母粒子を蛍光X線装置で測定したところ、ジルコニウム元素が確認された。得られたトナー母粒子の体積平均粒径は6.2μmであった。以下、静電荷像現像剤(1)と同様にトナー(2)及び現像剤(2)を作製した。静電荷像現像用トナー(2)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.10atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は110℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は50%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。
<実施例3>
実施例2でジルコニウム系架橋剤として炭酸ジルコニールアンモニウム(NHZrO(COの代わりに酢酸ジルコニウム(ZrO(C)(第一希元素化学工業社製)7重量部を使用した以外は実施例2と同様にして体積平均粒径6.5μmのトナー母粒子を作製し、トナー(3)及び現像剤(3)を調整した。静電荷像現像用トナー(3)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は1.2
atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は110℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は55%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。
<実施例4>
実施例2でジルコニウム系架橋剤として炭酸ジルコニールアンモニウム(NHZrO(COの代わりに硫酸ジルコニウム(ZrOSO)(第一希元素化学工業社製製)4重量部を使用した以外は実施例2と同様にして体積平均粒径6.1μmのトナー母粒子を作製し、トナー(4)及び現像剤(4)を調整した。静電荷像現像用トナー(4)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.12atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は110℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は50%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。
<実施例5>
実施例2でジルコニウム系架橋剤7重量部を1重量部とした以外は実施例2と同様にして体積平均粒径5.5μmのトナー母粒子を作製し、トナー(5)及び現像剤(5)を調整した。静電荷像現像用トナー(5)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.015atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は110℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は60%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。ただしライン像に斑が発生した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生がわずかに見られたが、良好な画質を最後まで維持した。
<実施例6>
実施例2でジルコニウム系架橋剤7重量部を35重量部とした以外は実施例2と同様にして体積平均粒径5.5μmのトナー母粒子を作製し、トナー(6)及び現像剤(6)を調整した。静電荷像現像用トナー(6)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.48atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は130℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は45%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。
<実施例7>
実施例2でジルコニウム系架橋剤7重量部を21重量部とした以外は実施例2と同様にして体積平均粒径5.8μmのトナー母粒子を作製し、トナー(7)及び現像剤(7)を調整した。静電荷像現像用トナー(7)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.30atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は120℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は45%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したが、感光体へのフィルミングの発生も見られず、良好な画質を最後まで維持した。
<比較例1>
実施例1でジルコニウム系架橋剤を硫酸アルミ二ウム0.5重量部に変えた他はすべて実施例1と同様にして体積平均粒径6.5μmのトナー母粒子を作製し、トナー(8)及び現像剤(8)を調整した。さらに全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)を用い、Zr元素は静電荷像現像用トナー(8)中に含有されていない(検出限界0.0001atomic%以下)ことを確認した。
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は130℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は50%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したところ、感光体へのフィルミングが発生し、また、現像剤の低帯電量に起因したかぶりを生じた。
<比較例2>
実施例2においてジルコニウム系架橋剤を硫酸アルミ二ウム0.5重量部に変えた他はすべて実施例2と同様に体積平均粒径6.5μmのトナー母粒子を作製し、トナー(9)及び現像剤(9)を調整した。さらに全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)を用い、Zr元素は静電荷像現像用トナー(9)中に含有されていない(検出限界0.0001atomic%以下)ことを確認した。
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は110℃で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。定着温度140℃における画像の表面光沢は50%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施したところ、感光体へのフィルミングが発生し、また、現像剤の低帯電量に起因したかぶりを生じた。
<比較例3>
実施例2でジルコニウム系架橋剤7重量部を42重量部とした以外は実施例2と同様にして体積平均粒径6.1μmのトナー母粒子を作製し、トナー(10)及び現像剤(10)を調整した。静電荷像現像用トナー(10)中のジルコニウム元素含有量を全自動蛍光X線分析装置システム3080(理学電気製)で測定したところ、トナーを構成する全元素に対するZr元素の含有量は0.6atomic%であった。
(現像剤の評価)
実施例1と同様にして現像剤の評価を行った。結果を表1に示す。PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は150℃で、定着温度140℃においてはコールドオフセットを生じ評価はできなかった。定着温度200℃においてホットオフセットの発生はなかった。
また、上記DocuCentreColor500で、夏場環境(28℃/85%)において5万枚の連続プリント試験を実施した。感光体へのフィルミングの発生はなかったが、現像剤の低帯電量に起因したかぶりを生じた。
Figure 0004645377
このように、ジルコニウム元素をトナーを構成する全元素に対して0.01〜0.5atomic%含有する実施例1〜7は、定着性、現像性、転写性が良好で、画像欠陥の発生もなく、最低定着温度[℃]が低く、 光沢度が高く、ホットオフセットの発生もなく、連続プリント試験の結果も良好であった。また、結晶性樹脂を含有しない実施例1に比べて、結晶性樹脂を含有する実施例2はジルコニウム系架橋剤による効果が顕著に現われた。また、実施例2,5〜7のうち、ジルコニウム元素を0.1〜0.15atomic%含有する実施例2は、特に特性が良好であった。一方、ジルコニウム元素の含有量が上記範囲外である比較例1〜3はトナーの特性は悪かった。

Claims (1)

  1. 結着樹脂、着色剤を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    結着樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、架橋剤とを撹拌混合し、前記結着樹脂粒子と前記着色剤粒子を含有する凝集粒子分散液を調製する工程と、
    前記結着樹脂の融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を一体化する工程と、
    を含み、
    前記架橋剤は、水溶性ジルコニウム化合物であり、
    トナーは、トナーを構成する全元素に対して、ジルコニウム元素を0.015〜0.5atomic%含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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