JP2007004034A - 画像定着方法、画像定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

画像定着方法、画像定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない熱エネルギーで安定的に画像の光沢度を制御できる画像定着方法、及び画像定着装置、並びに該画像定着装置を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】示差走査熱量測定において冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーによって形成された被記録材上の未定着トナー像に、加熱ロール1により該トナー像を定着させる定着工程と、前記発熱ピーク温度以上の表面温度を有する前記定着トナー像に光沢制御ロール31を押し当てる画像光沢制御工程と、前記接触物の表面温度を制御する温度制御工程と、を有し、制御された前記接触物の表面温度によってトナー像の光沢度を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被記録材上に形成された未定着トナー像を定着させる画像定着方法及び画像定着装置、並びに該画像定着装置を有する画像形成装置に関する。
従来、未定着トナー像を定着させる定着装置としては、様々な装置が提案されている。例えば、被記録材に形成された未定着トナー画像に少なくとも熱を与え、該未定着トナー画像のトナーを軟化ないし溶融させて、外力により変形し得る状態とする加熱仮定着手段と、該加熱仮定着手段によって、外力により変形し得る状態となった前記トナーの当該状態が維持されているうちに、これを、前記トナーが外力により変形し得る温度未満に調節された加圧面によって、面で加圧して流動させる画像光沢制御手段と有する構成のものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、加熱仮定着手段で使用した熱エネルギーを有効に利用するため、無駄なエネルギー消費が抑えられ、良好な光沢度を有する画像を安定的に得ることができる。
しかし、このような画像定着装置では、環境温度が低い場合、画像光沢制御手段に記録材が到達する前にトナー像が固化してしまい再成形が困難となるといった問題点があった。
この問題点を解決するために、画像光沢制御手段に加熱源を備えた定着装置が提案されているが、この場合は、一度冷えた記録媒体を改めて加熱するため、余計な熱エネルギーが必要となり、エネルギー効率が悪いといった問題点があった。
特開2004−139040号公報
したがって本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。詳しくは、本発明の課題は、少ない熱エネルギーで安定的に画像の光沢度を制御できる画像定着方法、及び画像定着装置、並びに該画像定着装置を有する画像形成装置を提供することである。
上記状況を踏まえ、環境温度が低い場合であっても画像光沢制御工程の熱エネルギー量を減少させるよう、トナーの冷却固化温度を低くすることが可能であるかの検討を行った。具体的には、トナー中の結着樹脂として、結晶性ポリエステルの適用を試みた。
その結果、画像光沢制御工程での熱エネルギーの削減には至ったものの、画像光沢制御工程の本来の目的であるトナー像の光沢度に関して、新たな問題が発生した。この問題は、結晶性ポリエステルでは凝固点と融点とが異なり、凝固点が融点よりも低いために起こる現象であることを突き止めた。すなわち、従来のように、結晶性ポリエステルの融点以上となるようにトナー像の表面温度を維持し、外力により変形し得る状態で画像光沢制御工程を実施すると、従来とは異なる光沢度となり、光沢度の制御が困難であることが明らかとなったのである。
更なる鋭意研究の結果、融点を基準として温度制御を行うのではなく、凝固点を基準として温度制御を行うことで、極めて良好にトナー像の光沢度を制御できることが判明した。
なお、結晶性ポリエステルでは、凝固点が融点よりも低い温度であるため、結局、冷却固化温度がより低下し、画像光沢制御手段での使用エネルギーを下げることもできる。
すなわち、本発明の画像定着方法は、
<1> 示差走査熱量測定において冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーによって形成された被記録材上の未定着トナー像に、少なくとも熱を与えて、該被記録材に該トナー像を定着させ定着トナー像を形成する定着工程と、
前記発熱ピーク温度以上の表面温度を有する前記定着トナー像に、接触物を押し当てて、前記トナー像の光沢度を制御する画像光沢制御工程と、
前記接触物の表面温度を制御する温度制御工程と、を有し、
制御された前記接触物の表面温度によってトナー像の光沢度を制御することを特徴とする画像定着方法である。
<2> 前記温度制御工程では、前記発熱ピーク温度を基準に前記接触物の表面温度を制御することを特徴とする前記<1>に記載の画像定着方法である。
<3> 前記温度制御工程では、
光沢度を高くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
光沢度を低くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度以上となるように制御することを特徴とする前記<2>に記載の画像定着方法である。
<4> 前記温度制御工程では、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
前記画像光沢制御工程では、前記接触物の表面粗さを変更することで、トナー像の光沢度を制御することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の画像定着方法である。
<5> 前記温度制御工程では、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
前記画像光沢制御工程では、前記接触物による前記定着トナー像に与える圧力を変更することで、トナー像の光沢度を制御することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像定着方法である。
<6> 前記接触物が、ロール状又はベルト状であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の画像定着方法である。
<7> 前記トナーの吸熱ピーク温度と、発熱ピーク温度との差が、15℃以上であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像定着方法である。
<8> 前記トナーが、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含むことを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の画像定着方法である。
また、本発明の画像定着装置は、
<9> 示差走査熱量測定において、冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーによって形成された被記録材上の未定着トナー像に、少なくとも熱を与えて、該被記録材に該トナー像を定着させ定着トナー像を形成する定着手段と、
前記発熱ピーク温度以上の表面温度を有する前記定着トナー像に、前記定着されたトナー像に接触物を押し当てて、前記トナー像の光沢度を制御する画像光沢制御手段と、
光沢度を高くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、光沢度を低くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度以上となるように制御する温度制御手段と、を有する画像定着装置である。
<10> 前記接触物が、ロール状又はベルト状であることを特徴とする前記<9>に記載の画像定着装置である。
<11> 前記トナーの吸熱ピーク温度と、発熱ピーク温度との差が、15℃以上であることを特徴とする前記<9>又は<10>に記載の画像定着装置である。
<12> 前記トナーが、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含むことを特徴とする前記<9>〜<11>のいずれか1項に記載の画像定着装置である。
さらに、本発明の画像形成装置は、
<13> 少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被記録材に転写する転写装置と、被記録材に転写された未定着のトナー像を定着させる定着装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記定着装置が、前記<9>〜<12>のいずれか1項に記載の画像定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、少ない熱エネルギーで安定的に画像の光沢度を制御できる画像定着方法及び画像定着装置、並びに該画像定着装置を有する画像形成装置を提供できる。
<画像定着方法>
本発明の画像定着方法では、示差走査熱量(DSC)測定において、冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーを用いるため、発熱ピーク温度まではトナーが冷却しても固化させずに取り扱うことができる。
すなわち、定着手段よりも下流側に配された画像光沢制御手段に被記録材が到達する際に、前記発熱ピーク温度よりも高い温度を維持していれば、トナー像を外力により変形しうる状態に維持することが可能となり、画像光沢制御手段に与える熱エネルギーを低く抑えることが可能となる。
したがって、本発明によれば、低消費電力で、安定的に、トナー像の光沢度を制御できる。
以下、示差走査熱量(DSC)測定におけるトナーの冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度を、単に「発熱ピーク温度」と称する場合があり、トナーの加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度を、単に「吸熱ピーク温度」と称する場合がある。
更に、本発明のメカニズムについて詳細に説明する。
一般的に、定着工程直後の定着トナー像はその表面が平滑化されているが、定着ロールとの接着力や溶融トナー自身の温度低下に伴う凝集力によって、加熱や加圧から解放されたトナー像の表面には波うちが発生し、細かなうねりを生ずるようになる。かかる表面のうねりは、保持されたまま自然冷却されて固化する。このような表面状態のトナー像は、光沢度が不充分なトナー画像となりやすい。この光沢度低下のメカニズムは、2ロール方式の定着手段に限らず、ベルト−ロールニップ方式やベルト−ベルトニップ方式の定着装置においても、基本的には同様である。
つまり、定着工程で十分な高光沢画像に仕上げても、冷却固化に至るまでの間に、トナー像表面が外力から解放されることによって、光沢度が低下してしまうのである。
そこで、光沢制御手段を有する従来の定着装置では、定着後の自然冷却により固化するまでのわずかな時間の間に、トナー像表面に加圧面を押し当てて、トナー表面の細かなうねりを消している。
このような画像光沢制御工程を定着工程後に適用することによって、トナー像の光沢度を高めることが可能となったが、定着工程後の極僅かな時間に光沢制御工程を行わなければならず、時間や温度の制御に精密さが要求される難しい作業となっていた。また、加圧面に到着するまではトナー像を外力により変形しうる状態に維持させるために、定着ローラから加圧面までの距離を短くする必要があり、装置設計の自由度も制限されていた。
本発明では、発熱ピーク温度が吸熱ピーク温度よりも低いトナーを用いるため、定着工程で吸熱ピーク温度以上に加熱されて溶融状態となったトナーは、例え吸熱ピーク温度以下であっても発熱ピーク温度以下に冷却されるまでは固化しない。すなわち、画像光沢制御工程に到着するまでの間で、トナー像が発熱ピーク温度以下に冷却されないよう制御すればよいことになる。結果、画像光沢制御工程を行うタイミングや加圧面の取り付け位置を自由に選択できる。
また、従来の方法では、定着工程から画像光沢制御工程までの間での温度制御は、吸熱ピーク温度を基準に行う必要があったが、本発明では、発熱ピーク温度を基準に制御する。したがって、光沢度を制御する場合にあっても、定着工程以降で与える熱エネルギーを低く抑えることが可能となる。
したがって、本発明によれば、低消費電力で、光沢度の異なる画像を得られる画像定着装置を提供することができ、顧客の要望に応じた画像光沢度変更を必要とする電子写真分野や静電記録分野における画像形成装置に広く利用することができる。産業上その利用価値は非常に大きい。
次に、本発明の画像定着方法について詳細に説明を行う。
本発明の画像定着方法では、画像光沢制御工程直前の定着トナー像の表面温度が、発熱ピーク温度以上である。詳細には、発熱ピーク温度以上の表面温度を有する定着トナー像に温度制御された接触物を押し当てて、接触物の表面温度によってトナー像の光沢度を制御する方法である。更に、(1)接触物の表面粗さを変更してトナー像の光沢度を制御する方法、(2)接触物による圧力を変更してトナー像の光沢度を制御する方法を組み合わせてもよい。なお、(1)及び(2)の方法の場合には、発熱ピーク温度より低い表面温度を有する接触物を用いて行うことが、光沢度の制御には好適である。
以下、これらの具体的な画像定着方法について、態様毎に説明を行う。
−第一の態様の画像定着方法−
本発明の第一の態様の画像定着方法は、画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度が発熱ピーク温度以上の場合であって、光沢度を高くするときは、画像光沢制御工程において、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する接触物を押し当てて、光沢度を低くするときは、熱ピーク温度以上の表面温度を有する接触物を押し当てる方法である。
画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度が発熱ピーク温度以上の場合には、トナー像は外力によって変形し得る状態である。したがって、接触物の表面温度も発熱ピーク温度以上の場合には、接触物が押し当てられてもトナー像は固化しない。一方、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する接触物を押し当てると、接触物によってトナー像表面が冷やされる。
定着工程で発生したトナー像表面の細かなうねりを画像光沢制御工程で消失させるには、トナー像の粘度が高い状態で、又は固化しつつある状態で、トナー像表面を接触物で押さえなければならない。トナー像の流動性が高い状態では、押し当てた接触物にトナー像が引き摺られ、トナー表面の細かなうねり消すどころか、画像光沢制御工程によって余計にうねりが発生する場合がある。
すなわち、画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度が発熱ピーク温度以上の場合に、高い光沢度の画像を得ようとする場合には、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する接触物を押し当てて、トナー像表面を冷やし固化させつつ、表面を押さえつける。低い光沢度の画像を得ようとする場合には、発熱ピーク温度以上の表面温度を有する接触物を押し当てる。
第一の態様の画像定着方法では、画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度は、発熱ピーク温度よりも0℃〜20℃高いことが好ましく、0℃〜10℃高いことがより好ましく、0℃〜5℃高いことが更に好ましい。
また、高光沢な画像を得ようとする場合には、接触物の表面温度は、発熱ピーク温度よりも5℃〜30℃低いことが好ましく、10℃〜30℃低いことがより好ましく、20℃〜30℃低いことが更に好ましい。
−第二の態様の画像定着方法−
本発明の第二の態様の画像定着方法は、画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度が発熱ピーク温度以上の場合に、温度制御工程で接触物の表面温度をトナーの発熱ピーク温度よりも低い温度に制御する方法であり、光沢度を高くするには、接触物の表面粗さを低くし、光沢度を低くするには、接触物の表面粗さを高くする。
第二の態様の画像定着方法は、上記第一の態様において、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する接触物を押し当ててトナー像表面を冷却させる場合の変形態様であって、接触物の表面粗さを変更することで、光沢度を自在に制御することができる。例えば、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する平滑な表面を有する接触物を押し当てれば、高い光沢度の画像を得ることができる。
なお、接触物の表面温度がトナーの発熱ピーク温度以上の場合には、第一の態様の画像定着方法において説明したとおり、高光沢な画像を得ることが難しい。したがって、接触物の表面温度がトナーの発熱ピーク温度以上の場合に、接触物の表面粗さを変更しても、高光沢から低光沢までの画像を制御して得ることが困難である。つまり、接触物の表面粗さによって画像の光沢度を制御するには、接触物の表面温度はトナーの発熱ピーク温度よりも低いことが好適である。
第二の態様の画像定着方法においても、画像光沢制御工程直前のトナー像の好適な表面温度、及び接触物の好適な表面温度は、第一の態様の場合と同様である。
−第三の態様の画像定着方法−
本発明の第三の態様の画像定着方法は、画像光沢制御工程直前のトナー像の表面温度が発熱ピーク温度以上の場合に、接触物によるトナー像に与える圧力を制御する方法であり、光沢度を高くするには、圧力を高くし、光沢度を低くするには、圧力を低くする方法である。
第三の態様の画像定着方法は、上記第一の態様において、発熱ピーク温度よりも低い表面温度を有する接触物を押し当ててトナー像表面を冷却させる場合の変形態様であって、トナー像に与える接触物による圧力を変更することで、光沢度を自在に制御することができる。
なお、第二の態様の画像定着方法で説明したように、接触物の表面温度がトナーの発熱ピーク温度以上の場合には、高光沢から低光沢までの画像を制御して得ることが困難であるため、接触物からの圧力によって画像の光沢度を制御するには、接触物の表面温度はトナーの発熱ピーク温度よりも低いことが好適である。
第三の態様の画像定着方法においても、画像光沢制御工程直前のトナー像の好適な表面温度、及び接触物の好適な表面温度は、第一の態様の場合と同様である。
また、第三の態様の画像定着方法と上記第二の態様の画像定着方法とを組み合わせてもよい。
−光沢度の制御方法−
本発明において、光沢度は、定着トナー像の表面温度及び接触物の表面温度を制御し、更には、接触物の表面粗さや圧力を適宜選択・調節することによって、制御することができる。
そこで、まず、定着トナー像の表面温度及び接触物の表面温度を、温度検知手段によって検知し、定着トナー像の表面温度及び接触物の表面温度を制御する。定着トナー像の表面温度については、赤外放射温度計によって検知することもできる。接触物の表面温度は、サーミスタを接触配置し、その検知温度に伴う抵抗値変化により検知することもできる。また、精密な光沢制御を必要としない場合には、定着トナー像の表面温度を、加熱定着ロールの表面温度で代用することも可能である。
一方で、装置の操作者が、被記録材の種類(厚さ、材質、構造(コート紙、普通紙、OHP紙等))やトナーの種類を直接入力できる操作盤を配する。或いは、装置における被記録材の搬送経路に、該被記録材の厚さや比重等を検知できるセンサー及びトナーカセットをセットした場合にトナーの種類を検知できる検知手段を配する。
操作盤への入力情報又は該センサー及び検知手段からの出力情報に応じて、温度検知手段で得られたロール及びトナー像の表面温度を基に、加熱定着ロール及び光沢制御ロールの加熱・冷却時間、加熱・冷却温度、ロール圧力を自動的に調節する機構を設け、更には、表面粗さの異なる接触物を自動的に適宜変更する機構を設けること等によって、光沢度の制御を行うことができる。
このように本発明では、使用するトナーの発熱ピーク温度を基準に、定着トナー像や接触物の表面温度を制御することが重要である。
なお、上記加熱時間とは、結局前記定着ニップ部のニップ時間を指し、これを制御するには、通常、加熱ロール及び加圧ロールのニップ幅を調整することで行われる。一方、定着トナー像の表面温度を調節するには、加熱定着ロールの熱源としてのハロゲンヒータのON−OFF制御をしたり、その強度を可変させたり、等により行われる。光沢制御ロールの表面温度を調節するには、光沢制御ロールの熱源としてのハロゲンヒータのON−OFF制御をしたり、その強度を可変させたり、冷却ファンのON−OFF制御したり、その強度を可変させたり等により行われる。
<画像定着装置>
次に、本発明の画像定着装置について、図を参照しながら詳細に説明を行う。
図1は、本発明の定着装置の概略構成図である。本実施形態の定着装置は、主として、加熱定着工程を担う加熱定着装置(加熱定着手段)10と、画像光沢制御工程を担う画像光沢制御装置(画像光沢制御手段)30とからなる。
図1に示す加熱定着装置10は、一般的に用いられている2ロール方式による定着装置と、基本的に同様の構成であり、基本構成としては、相互に圧接して定着ニップ部を形成しつつ回転する加熱ロール(加熱回転体)1及び加圧ロール(加圧回転体)2からなる。
加熱ロール1は矢印A方向に回転し、これに加圧ロール2が圧接して両者間に定着ニップ部を形成しつつ、加圧ロール2は従動回転する。該加熱ロール1は、例えば中空筒体形状の芯金1a外周にシリコーンゴム等の耐熱性の弾性体層1bが形成されてなり、弾性体層1bの表面には更に離型層(図示せず)を形成してもよい。芯金1aの中空部分にはハロゲンヒータ3が内蔵され、定着に必要な熱供給がなされる。
加熱ロール1の表面温度(定着温度)は、用いるトナーの吸熱ピーク温度以上に設定される。このような加熱温度は、トナーの種類や加熱時間により異なるため一概には言えないが、一般的には100〜200℃の範囲から選択される。また、加熱ロール1の周速についても一概には言えないが、一般的には50〜300mm/secの範囲から選択される。
加圧ロール2は、加熱ロール1同様中空筒体形状の芯金2a外周にシリコーンゴム層2bが形成されてなり、シリコーンゴム層2bの表面には更に離型層(図示せず)を形成してもよい。芯金2aの中空部分に熱源としてのハロゲンヒータ3が内蔵される。
加熱ロール1及び加圧ロール2の表面の温度制御は、それぞれのロールに温度検知素子としてのサーミスタ(図示せず)を接触配置し、その検知温度に伴う抵抗値変化により各ロールの表面温度を検知し、各ロールの表面温度が所定値となるように、制御装置(図示せず)により、ハロゲンヒータ3及び加圧ロール2用のハロゲンヒータ3に対して、そのオン・オフ制御を行っている。
なお、図1の定着装置では、加熱ロール1及び加圧ロール2のロール対からなる加熱定着装置を用いたが、記録媒体にトナー像を加熱定着できる装置であれば、輻射熱による非接触方式であっても、また、接触方式においてもロール対を用いずに、ロールとベルト、ベルトとベルトなどその構成に特に制限はない。
電子写真、静電記録、あるいは磁器記録等任意の画像形成プロセス手段によって、トナーを像様に担持させることにより未定着トナー画像Tが形成された用紙(被記録材)Pは、搬送ガイドにより案内されて、図面上の左方より、矢印C方向に進行し、加熱ロール1−加圧ロール2間の定着ニップ部に挿通される。そして、加熱ロール1の表面で、熱及び圧力が加えられて定着された後、加熱ロール1−加圧ロール2間の定着ニップ部から排出される。
前記定着ニップ部でトナーが加熱軟化・溶融された際、加熱ロール1と加圧ロール2とによって未定着トナー画像Tが用紙Pとともに加圧されるため、未定着トナー画像Tの少なくとも一部のトナーが用紙Pの表面層に浸透し、その浸透分の冷却固化によるアンカー効果で冷却固化トナーの用紙Pに対する粘着・固着力が増大する。
未定着トナー画像Tのトナーの温度は、加熱ロール1との接触により、吸熱ピーク温度以上に加熱され、ニップ部から排出された用紙P表面の定着トナー画像T2は、溶融状態で、外力により変形し得る状態となっている。
なお、用紙Pとして適用する被記録材の種類(厚さ、材質、構造(コート紙、普通紙、OHP紙等))に応じて、加熱定着手段である加熱定着装置10における加熱時間及び/または加熱温度を制御する定着条件制御機構を有することも好ましい態様である。加熱時間及び/または加熱温度を制御することで、被記録材の種類に応じた適切な定着トナー画像T2の状態とすることができる。
定着条件制御機構としては、装置(定着装置、あるいはこれを含む画像形成装置。以下、単に「装置」という場合に同様。)の操作者が、被記録材の種類(厚さ、材質、構造(コート紙、普通紙、OHP紙等))を直接入力できる操作盤を配し、その入力情報に応じて加熱時間及び/または加熱温度を自動的に調節する機構や、装置における被記録材の搬送経路に、該被記録材の厚さや比重等のセンサーを配し、該センサーからの出力情報に応じて加熱時間及び/または加熱温度を自動的に調節する機構が挙げられる。
なお、加熱時間とは、結局前記定着ニップ部のニップ時間を指し、これを制御するには、通常、加熱ロール1及び加圧ロール2のニップ幅を調整することで行われる。一方、加熱温度とは、加熱ロール1表面の温度を指し、これを制御するには、通常、熱源としてのハロゲンヒータ3のON−OFF制御をしたり、その強度を可変させたり、等により行われる。
加熱ロール1から剥離された溶融状態の定着トナー画像T2は、放熱とともにその温度が低下していき、トナー凝集力も増大していく。するとトナーは部分的に凝集し、定着トナー画像の表面はうねりが生ずるようになる。この表面に生じたうねりを消去するために、画像光沢制御手段30を設ける。
本発明の上記第二又は第三の態様の画像定着方法を適用する場合には、画像光沢制御工程30直前の定着トナー像T2の表面温度を発熱ピーク温度以上とする必要があるため、加熱定着手段10と画像光沢制御手段30との間は、加熱定着手段により軟化ないし溶融状態となった定着トナー画像T2の表面温度が、トナーの発熱ピーク温度以上に維持されているうちに、画像光沢制御手段30による処理が為される距離とすることが好ましい。
また、構成上、加熱定着装置10と画像光沢制御装置30との間を長く取らなければならない場合には、加熱定着手段10と画像光沢制御手段30との間を、外気に対し断熱構造としたり、加熱定着手段10と画像光沢制御手段30との間を保熱するための保熱装置を備えたりすることで、画像光沢制御手段30直前での定着トナー画像T2の表面温度を発熱ピーク温度以上とすることが好ましい。
外気に対し断熱構造とするには、加熱定着装置10と画像光沢制御装置30との間の用紙Pの搬送領域をシールド(例えば、グラスウール等の断熱材を挟持した金属製の壁材で囲い込む)して、定着トナー画像T2のトナーからの放熱をできる限り少なくする方法が挙げられる。一方、保熱装置としては、ヒーターを備えることで、定着トナー画像T2のトナーを加熱する方法が挙げられる。勿論、断熱構造及び保熱装置の双方を備えても構わない。
このように保熱することで、定着トナー画像T2のトナーが外力により変形し得る状態をより長く維持することができるようになり、そのため加熱定着装置10と画像光沢制御装置30との間をある程度長くすることができ、装置の設計の自由度が向上する。
なお、本発明では、トナーとして発熱ピーク温度が吸熱ピーク温度よりも低いものを使用するため、加熱定着手段10によって少なくとも吸熱ピーク温度以上に加熱された定着トナー画像T2が、吸熱ピーク温度よりも低い温度に冷却されるまで、軟化ないし溶融状態を維持することができ、装置の設計の自由度は極めて向上している。
従来のトナーでは、発熱ピーク温度と吸熱ピーク温度に差がないため、定着トナー像T2の表面温度が吸熱ピーク温度以下にまで冷却されると、光沢制御を行うことができなくなる。それゆえ、加熱定着装置10での加熱温度を吸熱ピーク温度よりも過剰に高く設定するか、再度加熱を行う必要があった。
しかし、本発明では、例えば、トナーの発熱ピーク温度が50℃で吸熱ピーク温度が75℃の場合、加熱定着装置10では75℃以上の表面温度となるように制御し、一方、画像光沢制御装置30直前の定着トナー像T2の表面温度は、50℃を下回らないように調節すればよい。
なお、定着トナー像T2の表面温度については、赤外放射温度計34等によって検知することができる。
図1に示されるように、画像光沢制御装置30は、主として、相互に圧接して加圧ニップ部を形成しつつ回転する一対の回転体である光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32により構成される。光沢制御ロール31の内部には、加熱部材としてのハロゲンヒータ33が配される。光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32は、既述の加熱定着装置10における加熱ロール1及び加圧ロール2の回転による線速度とほぼ等しい線速度で、それぞれ回転する。
定着トナー画像T2と当接する周面、すなわち加圧面を有する回転体である光沢制御ロール31は、その周面が被記録材表面の画像面全域に当接するように、用紙(被記録材)Pの幅方向(搬送方向に対して垂直の方向)よりも長い1つのロールである。一方、対向する加圧制御ロール32は、光沢制御ロール31と略同長であり、用紙P表面の定着トナー画像T2を光沢制御ロール31の周面に密着させ、画像光沢を制御する。
ここで、高い光沢度のトナー画像を得ようとする場合には、表面が鏡面状態に仕上げられている光沢制御ロール31を適用する。光沢制御ロール31の周面の表面状態としては、具体的には、JIS−B−0601に規定される算術平均粗さRaで、0.3μm以下とすることが好ましく、0.1μm以下とすることがより好ましい。
一方、光沢度を低く抑えたトナー画像を得ようとする場合には、光沢制御ロール31の周面の表面粗さを変更する。具体的には、JIS−B−0601に規定される算術平均粗さRaで、0.4μm〜1.0μmの光沢制御ロール31を適用することができ、0.5μm〜0.8μmであることがより好ましい。
一般的な普通紙の場合、その表面に形成された定着トナー像T2の表面には、数μm程度の凹凸が存在する。このような凹凸に追随して光沢制御ロール31の周面と定着トナー画像T2表面との密着性を確保するには、光沢制御ロール31には、弾性体層を有していることが好ましい。
また、画像光沢制御装置30に導入される際の定着トナー画像T2のトナー粘度は、加熱定着装置10で定着された際の溶融状態のトナー粘度よりも高い。最終的に得られるトナー画像の画像光沢は、光沢制御ロール31の表面硬度、並びに、加圧制御ロールとのニップ圧が大きく影響する。高光沢画像を得るには、表面硬度が高い光沢制御ロール31を用い、高いニップ圧の確保が必要になる。
したがって、高光沢画像を得るには、光沢制御ロール31は、弾性があってかつ表面硬度が高い構成とすることが望まれる。したがって、前記弾性体層の表面に、さらに薄膜の樹脂層からなる離型層を被覆した構成の光沢制御ロールが適している。
図2に、前記弾性体層と離型層とを有する光沢制御ロール31の層構成を説明するための模式断面図を示す。図2に示されるように、光沢制御ロール31は、ベース層40と、その外周に形成された弾性層42と、さらにその外周に形成された離型層44とから構成される。
ベース層40は、中空円筒状の芯金であり、一般的な定着装置で定着ロールの芯金として用いられるものがそのまま使用可能である。具体的には例えば、ステンレス製、アルミニウム製、鉄製、銅製の芯金が挙げられ、金属にも限定されるものではない。また、光沢制御ロール31は非加熱状態で用いられるため、高い耐熱性は要求されず、各種樹脂製の円筒体であっても構わない。
弾性層42は、ゴム弾性を有する材料からなるものであり、一般的な定着装置で定着ロールの弾性体層として用いられる材料がそのまま使用可能である。具体的には例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等が挙げられる。
弾性層42の材料としてのシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、及びその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
そしてこれら弾性層42として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。
弾性層42に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。
弾性層42の厚さとしては、特に限定されないが、一般的には、0.1〜5.0mm程度の範囲から選択される。
離型層44は、耐熱性と離型性を兼ね備えた樹脂層であることが好ましく、具体的な材料としては、PTFE、PFA、あるいはFEP等の如き含フッ素樹脂が好適である。特にその中ではPFAが最適である。
離型層44の厚さとしては、特に限定されないが、一般的には、0.03〜0.3mm程度の範囲から選択される。
また、図2における光沢制御ロール31の代わりに、離型層と弾性層との間に表面硬度制御層を配した光沢制御ロールを用いることもできる。前記一対の回転体の他方は、加圧制御ロール32である。
図3に、更に本実施形態における光沢制御ロール72の他の層構成を説明するための模式断面図を示す。図3に示されるように、光沢制御ロール72は、ベース層80と、その外周に形成された弾性層82と、さらにその外周に形成された離型層84と、弾性層82及び離型層84の間に配された表面硬度制御層86とから構成される。
光沢制御ロール72及び加圧制御ロール32は、既述の加熱定着装置10における加熱ロール1及び加圧ロール2の回転による線速度とほぼ等しい線速度で、それぞれ回転する。
光沢制御ロール72は、高光沢画像が得られるように、その表面は鏡面状態に仕上げられている。光沢制御ロール72の具体的に好ましい表面状態としては、既述の光沢制御ロール31と同様である。
ベース層80は、中空円筒状の芯金であり、一般的な定着装置で定着ロールの芯金として用いられるものがそのまま使用可能である。具体的には例えば、ステンレス製、アルミニウム製、鉄製、銅製の芯金が挙げられ、金属に限定されるものでもない。また、光沢制御ロール72は非加熱状態で用いられるため、高い耐熱性は要求されず、各種樹脂製の円筒体であっても構わない。
弾性層82は、ゴム弾性を有する材料からなるものであり、一般的な定着装置で定着ロールの弾性体層として用いられる材料がそのまま使用可能である。具体的には例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等が挙げられる。
弾性層82の材料としてのシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、及びその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
そしてこれら弾性層82として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。
弾性層82に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。
弾性層82の厚さとしては、特に限定されないが、一般的には、0.1〜5.0mm程度の範囲から選択される。
表面硬度制御層86は、耐熱性と下地の弾性層の変形をあまり妨げないフレキシビリティ性とを有した薄膜である層が好ましい。光沢アップの観点より、表面硬度制御層86を構成する材料の弾性係数は、この上に形成される離型層84や下地の弾性層82をそれぞれ構成する材料より、大きな弾性係数を有していることが望ましい。
本実施形態においては、弾性層82を構成する材料の弾性係数は1〜10Mpa程度が好ましく、離型層84として用いられるフッ素樹脂の弾性係数は300〜700Mpa程度が好ましい。この関係から考慮すると、本実施形態において、表面硬度制御層86を構成する材料の弾性係数としては、1Gpa以上であることが好ましく、3Gpa以上であることがより好ましいと言える。
表面硬度制御層86の層厚としては、下地の弾性層82の変形をあまり妨げない程度のフレキシビリティ性を備えるべく、0.01〜0.1mm程度の範囲から選択されることが好ましい。
表面硬度制御層86を構成する具体的な材料としては、耐熱性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等)、あるいは、金属(ニッケル、ステンレス等)が好適である。
離型層84は、耐熱性と離型性とを兼ね備えた樹脂層であることが好ましく、具体的な材料としては、PTFE、PFA、あるいはFEP等の如き含フッ素樹脂が好適である。特にその中ではPFAが最適である。
離型層84の厚さとしては、特に限定されないが、一般的には、0.03〜0.3mm程度の範囲から選択される。
以上光沢制御ロール31の層構成について説明したが、加圧制御ロール32についても同様の層構成とすることができる。勿論、いずれか一方のみ上記層構成とするだけでも構わないが、十分な圧接力を確保し、離型性や平滑性の高い画像光沢制御装置30とするには、少なくとも光沢制御ロール31が上記層構成となっていることが好ましい。
また、光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の表面弾性としては、一般的な定着装置における加熱ロールと加圧ロールとの関係のように、敢えて差を設ける必要はない。一般的な定着装置では被記録材のセルフストリッピング性を確保するために両ロールの表面弾性に差を設けるのが一般的であるが、画像光沢制御装置30においては充分な用紙剥離性が担保されているので、そのような必要はない。
なお、高光沢の画像を得ようとする場合には、光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の表面弾性としては、同等とすることが好ましい。両者の表面弾性が略等しいとき、光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の表面が等しく変形し、その時形成される加圧ニップ部の形状は、ほぼ平面となる。したがって、当該加圧ニップ部に挿通されて排出された用紙Pにカールが生じ難くなる。さらに、加熱定着装置10において、用紙Pがカールしてしまった場合にも、ほぼ平面状の前記加圧ニップ部内で用紙Pが平面を保とうとして、カール矯正されて、不図示の排出トレイに排紙される。したがって、本発明における画像光沢制御手段30は、排紙装置としての機能をも併せ持つものと言うことができる。
画像光沢制御装置30内の光沢制御ロール31−加圧制御ロール32間の加圧ニップ部におけるニップ圧は、高光沢画像を得ようとする場合には、少なくとも加熱定着装置10の定着ニップ部のニップ圧より高くすることが望ましい。これは画像光沢制御工程でのトナー粘度は、加熱定着工程のそれより高く流動しにくく、また短時間に溶融〜軟化状態から固化状態へと変化するからである。
画像光沢制御装置30の光沢制御ロール31−加圧制御ロール32間の圧接力(ニップ圧)が可変とするように構成されることが好ましい。当該圧接力が可変であれば、これを調整することにより、それほど高い画像光沢を必要としないレベルから、写真画像のように高い画像光沢が望まれるレベルまで、画像光沢状態の制御を行うことが可能である。また、画像光沢制御装置30の光沢制御ロール31−加圧制御ロール32間の圧接が、解除可能に構成されることにより、画像の高光沢化が全く必要ない場合、ないし、光沢のない画像を望む場合において、前記圧接を解除して、これら要求に対応することができる。
一般に、被記録材としての用紙P自身の光沢と、トナー画像の光沢とが近いレベルである場合に、画像に違和感がないといわれている。したがって、例えば、被記録材として印刷用の光沢紙を用いた場合には、前記圧接力を高くし、一方、普通紙等の低光沢紙を用いた場合には、前記圧接力を低く、または、画像光沢制御装置30の光沢制御ロール31−加圧制御ロール32間の圧接を解除することで、低い光沢の画像から高い光沢の画像まで、所望の光沢状態の画像を実現することが可能となる。
第二又は第三の態様の画像定着方法では、光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32間の加圧ニップ部を通過する間に、加熱定着装置10によって外力により変形し得る状態となった定着トナー画像T2を冷却して固化させる。この冷却固化により、トナーが流動することがなくなり、最終的に得られるトナー画像が定着される。また、前記加圧ニップ部に挿通されている間に既にトナーの凝集力が非常に大きくなり、光沢制御ロール31から容易に剥がれる。この剥離時には、定着トナー画像T2の表面は充分に固化して用紙Pに対する粘着・固着力が極めて大きくなっており、一方、光沢制御ロール31に対する付着力は極めて小さい状態となっていることから、光沢制御ロール31に対するトナーオフセットが生じる懸念がほとんどない。
このような状態で、光沢制御ロール31と加圧制御ロール32との加圧によって、加圧定着装置10によって定着トナー画像T2の表面に発生した細かい凹凸が平坦化される。
なお、以上の説明において、トナーが「固化」あるいは「固形状態」と便宜的に表現しているが、トナーによっては、固化あるいは固形状態とはいえず高粘度化といった方が適切である場合がある。本発明においては、上記「外力により変形し得る状態」よりも高粘度となった状態を、「固化」状態あるいは「固形状態」であると定義づけることとする。
ここで、上記第一の画像定着方法の場合における光沢制御ロール31の表面温度と画像グロスとの関係を、図4を用いて説明する。図4では、光沢制御ロール31に突入する前の定着トナー画像T2の表面温度は、トナーの発熱ピーク温度よりも高い場合であって、光沢制御ロール31の表面温度を変えた場合に、得られる画像のグロスを示している。
図4に示すように、画像グロスは、発熱ピーク温度を境に急激に変化し、吸熱ピーク温度付近での変化は大きくない。すなわち、温度制御手段では、高光沢度の画像を得ようとする場合には、光沢制御ロール31の表面温度を発熱ピーク温度よりも低い温度に制御し、低光沢度の画像を得ようとする場合には、光沢制御ロール31の表面温度を発熱ピーク温度以上に制御する。このような光沢制御ロール31の温度制御は、光沢制御ロール31表面の温度を検知する温度センサー(図示せず)からの信号に基づき、光沢制御ロール31の内部に配されるハロゲンヒータ33のON/OFFによって行われる。
また、画像光沢制御装置30に、定着トナー画像T2が形成された用紙Pが連続して挿通されると、定着トナー画像T2が有する熱エネルギーにより、徐々に光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の温度が上昇していく。場合によっては、加圧ニップ部の出口でのトナーの飽和温度が、トナーの発熱ピーク温度以上となってしまう場合も想定される。高光沢な画像を得ようとしても、折角平滑化されたトナー画像の表面が再凝集して、光沢の程度が低下したり、トナーの粘着力により光沢制御ロール31からの用紙剥離が困難になったり等の不具合が生じてしまう。
そこで、これを防止するために、光沢制御ロール31表面を強制冷却して、所定の上限温度以下に維持することが好ましい。
例えば、光沢制御ロール31表面の強制冷却方法としては、光沢制御ロール31表面を強制冷却するための空冷ファン(冷却手段)を配すること等を挙げることができる。空冷ファンにより、光沢制御ロール31表面に風を当てることで空冷し、光沢制御ロール31表面を発熱ピーク温度以下に維持できる。なお、空冷ファンは、光沢制御ロール31表面の温度を検知する温度センサー(図示せず)からの信号に基づき、既述の温度調節手段によりON/OFF制御される。
空冷ファンは、本実施形態では光沢制御ロール31表面のみを強制冷却するもののほか、加圧制御ロール32表面を強制冷却する空冷ファンを設置しても構わないし、装置設計上、後者のみとしても一定の冷却効果が期待できる。
以上の構成により、安定した性能を維持することが可能となる。また、被記録材の適用範囲も広がり、様々なニーズに対応することができる。
また、図4に示すように、吸熱ピーク温度よりも低い表面温度の光沢制御ロール31を用いて押し当てられても、表面の細かな凹凸を消すことができず、高光沢のトナー像を得ることが難しいため、より精密に光沢度を制御する場合には、光沢制御ロール31の表面温度は、発熱ピーク温度よりも低くした上で、表面粗さの異なる光沢制御ロール31を用いて光沢度を制御するか、光沢制御ロール31による圧力を変えることで光沢度を制御することが好ましい。
そのため、前記第二又は第三の画像定着方法における温度制御手段では、光沢制御ロール31の表面温度は、発熱ピーク温度よりも低い温度に制御することが好適であり、その温度制御の方法は、光沢制御ロール31表面の温度を検知する温度センサー(図示せず)からの信号に基づき、空冷ファンのON/OFFによって行われる。
また、図1では、光沢制御手段としてロール状のものを示したが、ベルト状の光沢制御手段であってもよい。
光沢制御ベルトにおいても、ベース層、弾性体層及び離型層から構成されることが好ましく、弾性体層が省略されていても構わない。
上記ベース層としては、例えば、金属(ニッケル、ステンレス等)、あるいは耐熱性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等)からなる帯状体が用いられる。
上記弾性体層及び離型層についての考え方は、光沢制御ロールの場合と同様であるが、弾性体層や離型層の厚さについては、より薄い範囲のものが選択される。具体的には、弾性体層については、0.03〜0.5mm程度の範囲が、離型層については、0.03〜0.3mm程度の範囲が、それぞれ一般的には選択される。なお、光沢制御ベルトとこれと対となる加圧制御ロールの表面弾性の考え方についても、基本的には光沢制御ロールと同様であるが、光沢制御ベルト側は、張架ロールを含めた全体としての表面弾性として捉える必要がある。
光沢制御ベルト及び加圧制御ロールの圧接力(大きさ・可変・解除)、冷却固化の機能(剥離容易性)等についても、光沢制御ロールと同様である。
また、光沢制御ベルトの表面を強制冷却するための冷却手段について、作用・効果は光沢制御ロールの場合と基本的に同一であるが、その配置が異なっている。冷却手段としての空冷ファンは、光沢制御ベルトの表面に風を当てることで空冷し、光沢制御ベルト表面を所定の温度以下に維持することができる。なお、空冷ファン自体の構成や制御は、光沢制御ロールの場合と同一である。
以上、本発明の定着装置及び定着方法について、図面を用い、3つの実施形態を挙げて、部材の形状、配置等をある程度特定して説明したが、上記実施形態の各構成は、あくまでも本発明の一例を示すものであり、本発明はこれら実施形態の記載により何ら制限を受けるものではない。したがって、当業者は、既述の本発明の構成を具備する範囲で、従来公知の知見により本発明に変更を加えたり、他の要素を加えたりすることができるが、勿論、かかる場合にも、本発明の範疇に含まれる。
例えば、上記実施形態では、加熱定着手段として、いわゆる2ロール方式による定着装置と同様の構成のものを例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、ロール−ベルトニップ方式、ベルト−ベルトニップ方式等いずれの加熱加圧方式の定着装置と同様の構成を加熱定着手段に採用しても問題なく、後工程の画像光沢制御工程(画像光沢制御手段)で加圧することから、オーブン定着やラジアント定着のように、単に定着トナー画像T2を加熱溶融するのみの構成を加熱定着手段に採用しても問題ない。
その他、従来公知の定着装置に関するあらゆる知見も、付加することができる。勿論、上記実施形態における図面に現れているオイル塗布装置、クリーニングウェブ、温度検知素子(温度センサー)、搬送ガイド、分離爪、冷却手段等は、本発明においてはいずれも付随的な要素であり、これらが含まれていなくても本発明を構成し得る。
<トナー>
トナー画像を構成するトナーとしては、トナーの発熱ピーク温度が吸熱ピーク温度よりも低いものであれば特に制限はない。ここで、吸熱ピーク温度とは、示差走査熱量測定(DSC)において測定される吸熱温度をいい、複数のピーク温度が存在する場合は、その最大吸熱温度とする。また、発熱ピーク温度とは、示差走査熱量測定(DSC)において測定される発熱ピーク温度で、複数ピーク温度が存在する場合は、その最大発熱ピーク温度とする。
吸熱ピーク温度及び発熱ピーク温度は、JIS K−7121:87に基いて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度及び凝固ピーク温度として求めることができる。
詳細には、トナーの吸熱ピーク温度は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用い、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求める。なお、得られたデータから吸熱ピーク温度を求めるには、ベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点を求め、その温度を吸熱ピーク温度とする。
トナーの発熱ピーク温度は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用い、150℃から室温まで降温速度10℃/分の条件下で測定することにより求める。得られたデータから吸熱ピーク温度を求めるには、ベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点を求め、その温度を発熱ピーク温度とする。
トナーの発熱ピーク温度と吸熱ピーク温度は、10℃以上異なることが好ましく、15℃以上異なることがより好ましい。トナーの発熱ピーク温度と吸熱ピーク温度との差が10℃よりも少ない場合には、加熱定着装置10と画像光沢制御装置30との間を長く取ることができるという、装置の設計上の利点が得られにくくなる。
このようなトナーとしては、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含むことが好ましく、更に、コア/シェル型のトナーであって、コア部が結晶性ポリエステルと無定形高分子と離型剤とを含有し、シェル部が無定形高分子を主成分とする場合が好ましく、更には、該コア/シェル型のトナー粒子の表面に無機微粒子が付着してなる場合が好ましい。
このような組成及び構成のトナー粒子は、充分な分子間凝集力を潜在させた高分子量の非晶性樹脂と、シャープメルト性を有する結晶性樹脂とを併用しているため、最低定着温度を低減することができる。結晶性樹脂は定着時に紙へ染み込み、定着画像表面近傍には存在しないため、長期保管しても画像欠損を生じない安定な定着画像を得ることもできる。また、トナー粒子の表面が前記無定形高分子を主成分とする表面層で被覆され、更に無機微粒子が表面に付着することで、トナーの流動性が良好となる。
本発明の電子写真用トナーに用いられる結晶性ポリエステルのような『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味する。
一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質樹脂(無定形高分子)を意味するが、本発明において用いられる無定形高分子としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
以下、本発明に好適なトナーについて、詳細に説明する。
−結着樹脂:(結晶性)ポリエステル樹脂−
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90モル%以上である。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
また、本発明のトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。
但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
−結着樹脂:無定形高分子−
本発明のトナーに使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
本発明においては、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有していることが好ましい。本発明においては、これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
なお、前記解離性ビニル系モノマーにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
一方、本発明のトナーにおいて、無定形高分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる無定形のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。
これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1質量%とすることが好ましい。
本発明トナーに使用される無定形高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明に使用される無定形高分子のガラス転移温度は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
また、本発明においてはトナーのコアに用いる結晶性ポリステルと無定形高分子が互いに相溶することが必要であり、その基準として双方の樹脂のSP値(溶解度パラメータ:Solubility Parameter。ここでは「×10-31/2-3/2」を省略した数値を用いる)の差が1以内であることが必要である。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
本発明の電子写真用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1から30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
なお、通常、既述のトナーの発熱ピーク温度や吸熱ピーク温度は、結着樹脂に依存して決定されるが、離型剤の含有量が多くなると、トナーの発熱ピーク温度や吸熱ピーク温度に影響を及ぼす。この場合であっても、示差走査熱量測定で現れる複数の発熱ピークのうち、最大発熱温度をトナーの発熱ピーク温度とし、複数の吸熱ピークのうち最大吸熱温度をトナーの吸熱ピーク温度とする。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機微粒子や有機微粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
−トナーの製造方法−
本発明のトナーの製造方法は特に限定されるものではないが、好適な形状係数や粒径を有するトナーを作製するためには湿式粒造法を用いることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
乳化凝集法を用いる場合、本発明にかかるトナーの製造方法は、少なくとも結晶性ポリエステル微粒子を含む分散液と無定形高分子微粒子を含む分散液とを用い、前記結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子の表面に無定形高分子微粒子を付着させる付着工程とを、少なくとも含むものであることが好ましく、さらに、前記凝集粒子を加熱することにより融合させる融合工程を含むことがより好ましい。
以下、各工程について詳細に説明する。
(1)乳化工程
前記乳化工程において、原料分散液は、結着樹脂の乳化粒子(以下、「樹脂粒子」と略す)と、水系媒体及び必要に応じて着色剤や離型剤を含む分散液とを混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。したがって結着樹脂は原料分散液中にあらかじめ樹脂粒子として分散させておく必要がある。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記体積平均粒径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
前記分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
前記樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
前記樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
一方、前記樹脂粒子が、結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5質量%程度になるようにするのが適当である。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
前記着色剤の添加量としては、前記ポリマーの総量に対して1〜20質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましく、2〜10質量%とすることがさらに好ましく、2〜7質量%とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
本発明において前記結着樹脂や離型剤を水性媒体と混合して、乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量及び、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は通常、5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。前記含有量が前記範囲外にあると、粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
なお、本発明において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであることが好ましい。前記体積平均径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
(2)凝集工程
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、結着樹脂の無定形高分子としてビニル系共重合体を用いる場合には、2.5〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。
一方、結着樹脂(無定形高分子)としてポリエステル樹脂を用いる場合、原料分散液を調整する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHが7〜10である為、pH3〜5である結晶性ポリエステル樹脂の乳化分散液や着色剤、離型剤分散液を混合すると、極性のバランスが崩れて、緩凝集が生じてしまう。そこで、原料分散液を混合した時点で、pHを4〜6に調整して加熱し、凝集粒子を形成させる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行ない、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。このプレ凝集工程に用いる分散安定剤としては、極性を変えないようにする為、公知の非イオン性界面活性剤を1〜3質量%添加することが好ましい。分散安定剤を添加しない場合、加熱凝集工程において、原料粒子の微粉の取り込みが悪くなり、結果として粒度分布がブロードになってしまうという不具合がある。また、分散安定剤はプレ凝集工程と加熱凝集工程との両方に分けて添加しても効果的である。
(3)付着凝集工程
付着凝集工程では、上記した凝集工程を経て形成された互いに相溶する結晶性ポリエステル微粒子及び無定形高分子微粒子の凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と略す)の表面に無定形高分子粒子を付着させることにより被覆層を形成する(以下、コア凝集粒子表面に被覆層を設けたものを「付着凝集粒子」と略す)。なお、この被覆層は、後述する融合工程を経て形成される本発明のトナーの表面層に相当するものである。被覆層の無定形高分子は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
また、コア凝集粒子中の無定形高分子と被覆層の無定形高分子とは、同一の種類のものを用いてもよいし、異なる種類のものを用いてもよい。
被覆層の形成は、凝集工程においてコア凝集粒子を形成した分散液中に、無定形高分子粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。付着工程においても、用いる無定形高分子に応じて凝集工程と同様にpHや凝集剤を選択し、付着凝集粒子中に含まれる2種以上の結着樹脂のうち、最も融点の低い結着樹脂の融点以下の温度にて加熱し付着凝集粒子を得ることができる。また、この付着凝集工程は、プレ凝集の段階で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
その際、結着樹脂として結晶性ポリエステル微粒子(A)及び前記結晶性ポリエステル微粒子と相溶する無定形高分子微粒子(B)とを1/9≦A/B≦5/5の重量分率で混合するように該微粒子を含む分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、更に前記凝集粒子の表面に無定形高分子微粒子を付着凝集させる付着凝集工程と、を少なくとも含む製造工程において、付着凝集工程に用いる無定形高分子微粒子の割合が、総結着樹脂量の10〜40質量%の範囲であることが好ましい。
付着凝集工程に用いる無定形高分子微粒子の割合が、総結着樹脂量の10質量%より少ないと、トナーのコアとなる結晶性ポリエステルと無定形高分子の凝集粒子を十分に覆うことが出来ず、トナー表面に結晶性樹脂が露出し、帯電性の低下等が生じ、所望のトナー特性が得られ難くなる。
付着凝集工程に用いる無定形高分子微粒子の割合が、総結着樹脂量の40質量%より多いと、低温定着性を示すトナーのコアとなる結晶性ポリエステルと無定形高分子の凝集粒子の割合が小さくなり、所望の低温定着性が得られ難くなる。
(4)融合工程
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、付着凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜8.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより付着凝集粒子を融合させる。なお、付着凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、付着凝集粒子がばらけてしまい収率が悪くなる。また、融合工程は、必要に応じて凝集工程を得た後に実施してもよい。
融合時の加熱の温度としては、付着凝集粒子中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性ポリエステルがトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。したがって、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、長時間加熱するのは好ましくない。
前記融合工程においては、前記結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマー中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめポリマーに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。好ましいトナーの態様は、上記湿式粒造法によって得られたトナー粒子の表面に上述の無機粒子が外添されている場合である。
なお、本発明においては、離型剤や帯電制御剤が無添加のトナー粒子であってもよい。
<本発明の画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、少なくとも、被記録材表面にトナーを像様に担持させて、未定着トナー画像を形成する未定着トナー画像形成手段と、記録シート表面に保持された未定着トナー画像を、加熱及び加圧することにより定着する定着手段と、を備える画像形成装置であって、前記定着手段が、上記本発明の定着装置であることを特徴とする。本発明の定着装置については、既述の通りである。
未定着トナー画像形成装置は、電子写真、静電記録、あるいは磁器記録等の画像形成プロセス手段により、被記録材表面に未定着トナー画像を形成することが可能な構成であれば、如何なる構成であっても構わないが、安定的に低コストで高速かつ簡易に画像形成することが可能な、電子写真方式を採用することが好ましい。
電子写真方式により被記録材表面に未定着トナー画像を形成する構成についても特に制限はないが、少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被記録材に転写する転写装置と、を備える画像形成装置であることが好ましい。これらの各構成部材、すなわち、電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、更に、クリーニング装置及び除電装置は、本発明において、特に制限されるものではなく、従来公知の如何なる構成のものも問題なく使用することができる。
続いて本発明の実施例について説明する。以下、本発明を実施例及び比較例でより具体的に説明するが、これらの記載が本発明をなんら限定するものではない。
<各種特性の測定方法>
まず、実施例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(トナー及び樹脂の発熱ピーク温度及び吸熱ピーク温度の測定方法)
トナーの発熱ピーク温度及び吸熱ピーク温度は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用いて測定を行う。発熱ピーク温度の測定では、150℃から室温まで降温速度10℃/分の条件下で測定し、発熱ピーク温度の測定では、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求める。
なお、得られたデータから吸熱ピーク温度を求めるには、ベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点を求め、その温度を吸熱ピーク温度とする。
(トナー粒度及び粒度分布測定方法)
本発明におけるトナー粒度及び粒度分布測定は、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径D50v、GSDv、GSDpを求めた。測定する粒子数は50000であった。
(トナーの形状係数SF1測定方法)
トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個につきSF1を計算し、平均値を求めることにより得られたものである。この形状係数SF1は下式(2)により求めた。
式(2): SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
上記式(2)において、MLは各々の粒子の最大長を表し、Aは各々の粒子の投影面積を表す。
(外添剤粒子の体積平均粒径の測定方法)
外添剤粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定し、前述のようにして求めた。
(トナー画像の光沢度(グロス)の測定方法)
画像グロスは、Gardner社製 マイクロトリグロスNo.4430を用いて、入射/反射角:60°/60°の条件下、4cm角(トナー密度 1.0g/m2) の画像について測定した。
<トナーの作製>
(各樹脂材料の合成)
−結晶性ポリエステル樹脂−
加熱乾燥した3口フラスコに、1,10−デカンジオール160.0部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル40.0部と、ジメチルスルホキシド8部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.02部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で3時間攪拌を行った。その後、減圧下にてジメチルスルホキシドを留去し、窒素気流下、ドデカンジオイック酸ジメチル23.0部を加え、180℃で1時間攪拌を行った。
次いで、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い30分間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂360部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は24200であり、数平均分子量(Mn)は8900であった。また、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は73℃であった。
−非結晶性ポリエステル樹脂−
・ナフタレンジカルボン酸ジメチル 121部
・テレフタル酸ジメチル 98部
・ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物 220部
・エチレングリコール 70部
・テトラブトキシチタネート 0.07部
加熱乾燥した3口フラスコに上記各成分を仕込み、170〜220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、220℃において系の圧力を133.3〜1333Pa(1〜10mmHg)として60分間反応を続けた結果、非結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。該非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、79℃であった。
(樹脂微粒子分散液の調製)
−結晶性樹脂微粒子分散液−
・結晶性ポリエステル樹脂 115部
・イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5部
・イオン交換水 180部
以上を混合し100℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径が230nm、固形分量が40質量%の結晶性樹脂微粒子分散液を得た。
−非結晶性樹脂微粒子分散液−
・非結晶性ポリエステル樹脂 115部
・イオン性界面活性剤(ダウファックス2A1、ダウケミカル社製) 5部
・イオン交換水 180部
以上を混合し180℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径が200nm、固形分量が40質量%の非結晶性樹脂微粒子分散液を得た。
(着色剤分散液の調製)
・シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3、大日精化製) 45部
・イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5部
・イオン交換水 200部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により10分間分散し、体積平均粒径が138nmの着色剤分散液を得た。
(離型剤分散液の調製)
・パラフィンワックスHNP9(融点:68℃、日本精蝋社製) 45部
・カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬) 5部
・イオン交換水 200部
以上を混合し60℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が190nm、固形分量が25%の離型剤分散液を得た。
(トナー粒子の作製)
以上のように調製した材料を用い、乳化凝集合一法により、トナー粒子を作製した。
−トナー粒子−
・結晶性樹脂微粒子分散液 20部
・非結晶性樹脂微粒子分散液 60部
・着色剤分散液 60部
・離型剤分散液 60部
・ポリ塩化アルミニウム 0.36部
以上の各成分を丸型ステンレス製フラスコ中に入れ、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36部を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら47℃まで加熱し、この温度で60分間保持して凝集粒子を調製した後、ここに非結晶性樹脂微粒子分散液を緩やかに、31部を追加した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間攪拌・洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度が9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmになったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A濾紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続しトナー粒子を得た。
トナー粒子の発熱ピーク温度及び吸熱ピーク温度を上述の方法で測定したところ、それぞれ、57℃、79℃であった。
また、トナー粒子1の粒度分布を上述の方法で測定したところ、体積平均粒径は6.1μm、体積粒度分布指標GSDvは1.22であった。また、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は131.4でポテト形状であることが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察において、トナー粒子全体としてコア/シェル構造が観察され、コア内部には非結晶性樹脂の海構造中に結晶性樹脂結晶及び離型剤結晶が共存していることが確認された。また、前記結晶性樹脂結晶の形状は塊状であり、離型剤結晶の浸辺長は0.6μmであった。
[実施例1]
上記本発明の第一の態様において、画像光沢制御装置のロール温度と、画像光沢制御装置通過後の画像グロスとの関係を調べた。
画像形成装置は、富士ゼロックス〈株)製複合機DocuCentre Color 500を改造して、既述の第1の実施形態と同様の構成、すなわち図1に示される構成の定着装置を作製した。詳細な諸元は、以下の通りである。
(加熱定着装置10)
・加熱ロール(加熱回転体)1:直径50mmで長さ350mm。芯金1aとしての円筒状のアルミニウム製基体に、弾性体層1bとして高熱伝導性シリコーンゴム層を3mmの厚みにコーティングし、さらにPFA樹脂チューブで被覆したもの。
・加圧ロール(加圧回転体)2:直径50mmで長さ350mm。芯金2aとしての円筒状のアルミニウム製基体に、弾性体層2bとして高熱伝導性シリコーンゴム層を1.5mmの厚みにコーティングし、さらに離型層としてPFA樹脂チューブで被覆したもの。
・加熱ロール1及び加圧ロール2の定着ニップ幅8.0mm。
・加熱ロール1及び加圧ロール2の回転の線速度:130mm/sec
・加熱ロール1及び加圧ロール2の圧接力:総荷重120kg
・加熱ロール及び加圧ロール2の表面温度:各々140℃が保たれるように、サーミスタ及びサーミスタからの検出信号によりハロゲンヒータ3をON/OFF制御。
(画像光沢制御装置30)
・光沢制御ロール31:直径30mm。ステンレス製のベース層40に、弾性層42としてのシリコーンゴム(ゴム硬度14°(JIS−A))を厚さ5mmで被覆し、さらに離型層44としての厚さ30μmの高光沢のPFAチューブ(表面の算術平均粗さRaで、0.15μm以下)が被覆されたもの。
・加圧制御ロール32:直径30mm。光沢制御ロール31同様、ステンレス製のベース層40に、弾性層42としてのシリコーンゴム(ゴム硬度14°(JIS−A))を厚さ5mmで被覆し、さらに離型層44としての厚さ30μmの高光沢のPFAチューブ(表面の算術平均粗さRaで、0.15以下μm)が被覆されたもの。
・光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の加圧ニップ部のニップ幅:6mm。
・光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の回転の線速度:130mm/sec。
・光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の圧接力:総荷重30kg。・光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の表面弾性の関係:ほぼ同等。
・光沢制御ロール31周面の温度:140℃に調節された上記加熱ロール1を通過した白紙を繰り返し通紙させて、その熱を用いて、あらかじめ40℃、50℃、60℃,70℃となるように制御。
この画像形成装置を用いて、商品名ミラーコートプラチナ127gsmの用紙上に、上記で調製したトナーを用いて、4cm角のトナー量1.0g/cm2の未定着画像を形成し、上記加熱定着ロール、上記光沢制御ロールに通紙した。
光沢制御ロールの直前に赤外放射温度計を設置し、光沢制御ロールに導入される直前でのトナー像の表面温度を測定したところ、84℃であった。
得られた画像のグロスを上記方法により測定した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、トナーの発熱ピーク温度である57℃を境に、光沢制御ローラの表面温度が変わると、画像の光沢度が著しく変化した。なお、トナーの吸熱ピーク温度である79℃付近では、画像の光沢度の変化量は大きくなかった。
[実施例2]
実施例2では、実施例1において光沢制御ローラを用いたところを、以下の光沢制御ベルトに変更した以外は、他の構成及びその設定パラメータは全て実施例1と同じである。
(光沢制御ベルト)
円相当直径60mmで厚さ0.075mmのエンドレスポリイミドベルトのベース層に、離型層としてのPFAが50μm形成され、高光沢の表面に仕上げられている(表面の算術平均粗さRaで、0.15μm以下)。
実施例1の場合と同様に画像グロスを評価したが、光沢制御ベルトを用いた場合であっても、トナーの発熱ピーク温度である57℃を境に、光沢制御ローラの表面温度が変わると、画像の光沢度が著しく変化した。なお、トナーの吸熱ピーク温度である79℃付近では、画像の光沢度の変化量は大きくなかった。
[実施例3]
実施例3では、実施例1において光沢制御ロール31の表面の算術平均粗さRa0.1μm以下のものを使用したところを、被覆するPFAチューブを変えてRaを変更させた。また、実施例1では、光沢制御ロール31周面の温度を変更して評価を行ったところを40℃に固定して温度制御した。すなわち、既述の第2の実施形態の構成である。これら以外は、他の構成及びその設定パラメータは全て実施例1と同じである。
得られた画像のグロスを測定したところ、トナー像の表面温度を発熱ピーク温度以上とし且つ光沢制御ロールの表面温度を発熱ピーク温度よりも低い温度とした上で、光沢制御ロール31の表面の算術平均粗さRaを変更すると、画像の光沢度を自在に制御することができることが分かった。
[実施例4]
実施例4では、実施例1において光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の圧接力を総荷重30kgに固定して行ったところを、圧接力を5kg〜40kgまで種々変えて行った。また、実施例1では、光沢制御ロール31周面の温度を変更して評価を行ったところを40℃に固定して温度制御した。すなわち、既述の第3の実施形態の構成である。これら以外は、他の構成及びその設定パラメータは全て実施例1と同じである。
得られた画像のグロスを測定したところ、トナー像の表面温度を発熱ピーク温度以上とし且つ光沢制御ロールの表面温度を発熱ピーク温度よりも低い温度とした上で、光沢制御ロール31及び加圧制御ロール32の圧接力を高くすると光沢度も高くなり、画像の光沢度を自在に制御することができることが分かった。
本発明の一例である定着装置の模式断面図である。 図1の定着装置における光沢制御ロールの層構成を説明するための模式断面図である。 図1の定着装置における光沢制御ロールの他の層構成を説明するための模式断面図である。 第一の実施形態における光沢制御ロールの表面温度と画像グロスとの関係を説明する図である。 実施例1の結果を示す図である。
符号の説明
1 加熱ロール
2 加圧ロール
3 ハロゲンランプ
10 加熱定着装置
30 光沢制御装置
31 光沢制御ロール
32 加圧制御ロール
34 赤外放射温度計
P 記録媒体
T 未定着トナー像
T2 定着トナー像

Claims (13)

  1. 示差走査熱量測定において冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーによって形成された被記録材上の未定着トナー像に、少なくとも熱を与えて、該被記録材に該トナー像を定着させ定着トナー像を形成する定着工程と、
    前記発熱ピーク温度以上の表面温度を有する前記定着トナー像に、接触物を押し当てて、前記トナー像の光沢度を制御する画像光沢制御工程と、
    前記接触物の表面温度を制御する温度制御工程と、を有し、
    制御された前記接触物の表面温度によってトナー像の光沢度を制御することを特徴とする画像定着方法。
  2. 前記温度制御工程では、前記発熱ピーク温度を基準に前記接触物の表面温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像定着方法。
  3. 前記温度制御工程では、
    光沢度を高くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
    光沢度を低くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度以上となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の画像定着方法。
  4. 前記温度制御工程では、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
    前記画像光沢制御工程では、前記接触物の表面粗さを変更することで、トナー像の光沢度を制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像定着方法。
  5. 前記温度制御工程では、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、
    前記画像光沢制御工程では、前記接触物による前記定着トナー像に与える圧力を変更することで、トナー像の光沢度を制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像定着方法。
  6. 前記接触物が、ロール状又はベルト状であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像定着方法。
  7. 前記トナーの吸熱ピーク温度と、発熱ピーク温度との差が、15℃以上であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像定着方法。
  8. 前記トナーが、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像定着方法。
  9. 示差走査熱量測定において、冷却過程で発する発熱エネルギーの発熱ピーク温度が加熱過程で吸収する吸熱エネルギーの吸熱ピーク温度よりも低いトナーによって形成された被記録材上の未定着トナー像に、少なくとも熱を与えて、該被記録材に該トナー像を定着させ定着トナー像を形成する定着手段と、
    前記発熱ピーク温度以上の表面温度を有する前記定着トナー像に、前記定着されたトナー像に接触物を押し当てて、前記トナー像の光沢度を制御する画像光沢制御手段と、
    光沢度を高くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度よりも低くなるように制御し、光沢度を低くするときは、前記接触物の表面温度を前記発熱ピーク温度以上となるように制御する温度制御手段と、を有する画像定着装置。
  10. 前記接触物が、ロール状又はベルト状であることを特徴とする請求項9に記載の画像定着装置。
  11. 前記トナーの吸熱ピーク温度と、発熱ピーク温度との差が、15℃以上であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の画像定着装置。
  12. 前記トナーが、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含むことを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の画像定着装置。
  13. 少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被記録材に転写する転写装置と、被記録材に転写された未定着のトナー像を定着させる定着装置と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記定着装置が、請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載の画像定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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