JP2007121462A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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信一郎 川島
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淳 杉立
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慎平 高木
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聡 吉田
Hiroshi Nakazawa
博 中沢
Hideaki Yoshikawa
英昭 吉川
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Abstract

【課題】ハーフトーンの2次色において、安定した色再現性を有する静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤が酸性染料を含有し、トナー中の酸性染料の含有量Aと、トナー中の残留触媒量Bとの関係を特定の範囲とすることにより、ハーフトーンの2次色において、安定した色再現性を有する静電荷像現像用トナーを提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に用いられる電子写真プロセスを利用した画像形成装置、特にカラー複写機に使用される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特公昭42−23910号公報参照)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
電子写真法において、フルカラー画像を形成する場合には、色材の三原色である、イエロー、マゼンタ、シアンの組合せ及びブラックトナーの四色を用いて、色の再現を行っている。例えば、先ず、原稿からの光をトナーの色と補色の関係にある色分解透過フィルターを通し、光導電層上に色分解された画像の静電潜像を形成する。次いで、該静電潜像は、現像工程、転写工程を経て現像され、単色のカラートナー像となって支持体に保持される。これらの工程を、複数回、例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色について順次繰り返すことによって、レジストレーションを合わせつつ、同一支持体上にカラートナー像は重ね合わされた後、定着工程によってトナー像が定着されて最終のフルカラー画像が得られる。
上記の場合に使用されるカラートナーは、帯電特性が良好であり、環境依存性が少ないこと、長期に渡る連続使用によるトナー劣化が少ないこと、低温定着特性が良好であること等、種々の特性を満足することが要求される。特に、カラートナーを用いる上で重要とされるのが、安定な色再現性と、優れた発色性及び色彩性を有することである。しかしながら、これらの、色再現性、発色性及び色彩性を良好な状態で満足し得るという条件において使用可能な着色材料には制限があり、且つ、電子写真技術を達成する上で重要な、帯電特性や耐久安定性をも兼ね備えた材料の選択に至っては更に狭い範囲での制約が多くなり、特に、フルカラー画像の形成の場合には、トナーの特性に対する改良要求が多いのが現状である。
色再現性向上に関する提案としては、特定の着色剤等を用いることが挙げられる(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平8−262800号公報 特開平8−262801号公報 特開平8−262802号公報 特開平7−175267号公報
しかし、特許文献1〜4等に記載されている着色剤を用いることにより確かに、鮮明で高画像濃度の、しかも良好な透明性を有する画像が得られるものの、特許文献1〜3によれば、特定の着色剤に、特定の結着樹脂及び特定の荷電制御剤を併用して始めて上記効果が達成されるものであって、必ずしも種々の結着樹脂の種類や、様々な製法手段によりトナー粒子を得る場合においても一般的に適用し難いものと推察される。また、特許文献4に記載されている染料では、透明性は良好であるが、色安定性が悪い。
また、トナーに使用する結着樹脂として、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂を用いると、ポリエステル系樹脂の特質上その色は無色ではなく、通常黄褐色であり、さらに樹脂の製造ロットによっては着色に差異が見られる場合がある。
カラートナーによりハーフトーンの2次色、例えば、黄緑色を発色させるには、シアントナーとイエロートナーを色の濃さに応じた所定の割合で重ね合わせて発色させるが、よりセンシティブなハーフトーンの黄緑色を表現させる場合、シアントナーにおける、該ポリエステル系樹脂由来の着色が影響し、必ずしも安定した色再現性が確保されている状況には至っていなかった。
本発明は、ハーフトーンの2次色において、安定した色再現性を有する静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤ならびに画像形成方法である。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記着色剤は酸性染料を含有し、トナー中の前記酸性染料の含有量Aと、前記トナー中の残留触媒量Bとの関係が下記式を満たす。
5≦A/B≦80
また、本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記結着樹脂を有機溶剤に溶解させ、塩基性化合物により中和処理を行った後、酸性染料を含有する水性媒体を滴下し、転相させることによって水性媒体中に樹脂粒子を形成し、続いて前記有機溶剤を除去した後、界面活性剤を添加し、酸性域に調整して樹脂粒子分散液を得る乳化工程と、前記樹脂粒子分散液、及び着色剤分散液とを混合し、前記樹脂粒子の軟化点以下の温度で加熱して凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を、前記樹脂粒子の軟化点以上の温度で加熱融合して融合粒子を形成する融合工程と、を含み、トナー中の前記酸性染料の含有量Aと、前記トナー中の残留触媒量Bとの関係が下記式を満たす。
5≦A/B≦80
また、前記静電荷像現像用トナーの製造方法において、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子の表面に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する付着工程をさらに有し、前記付着工程において、少なくとも一以上の分割にて凝集剤を添加して、前記微粒子を前記凝集粒子の表面に付着させることが好ましい。
また、本発明は、前記静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤である。
さらに、本発明は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤は、前記静電荷像現像剤である。
本発明によれば、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤が酸性染料を含有し、トナー中の酸性染料の含有量Aと、トナー中の残留触媒量Bとの関係を特定の範囲とすることにより、ハーフトーンの2次色において、安定した色再現性を有する静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤ならびに画像形成方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態において、静電荷像現像用トナー組成物は、結着樹脂と着色剤を主成分とし、着色剤は酸性染料を含有する。また、トナー中の酸性染料の含有量Aと、トナー中の残留触媒量Bとの関係が下記式を満たし、
5≦A/B≦80
下記式を満たすことが好ましい。
10≦A/B≦70
一般に、結着樹脂を製造する工程で使用する触媒が残留することにより、得られる樹脂に着色が見られる。このような着色した樹脂をトナーの結着樹脂として使用すると、色の再現性、特にハーフトーンの2次色において再現性が劣る。本発明者らは、トナー中の酸性染料の含有量Aと、トナー中の残留触媒量Bとの関係が上記式を満たすことにより、トナーに使用する結着樹脂として、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂を用いたときに、ポリエステル系樹脂等の着色がある場合でも、特にカラートナーによりハーフトーンの2次色、例えば、黄緑色を発色させるときに安定した色再現性を確保することができることを見出した。また、樹脂の製造ロットによる着色の差異にも対応することができる。
ここで、A/Bが5未満であると、発色性が低下し、色再現性が悪化し、80を超えると帯電性の制御が困難となり、画像濃度が高くなりすぎたり低くなりすぎたりするため色再現性に劣る場合がある。
トナー中の酸性染料の含有量Aは、外添剤添加後のトナー中の含有量を意味し、赤外線分光装置装置(日立製作所製)を使用して結着樹脂の吸収波長の特定ピーク高さと酸性染料の特定波長のピーク高さの比を求めることにより求めることができる。その際、トナー中の結着樹脂及び酸性染料をTHFなどの有機溶媒により分離抽出し、単離した後、結着樹脂及び酸性染料をそれぞれ0.1mg単位まで正確に測定し、その重量比とその混合物の結着樹脂由来のピークと酸性染料由来のピークを測定し、比を測定することによって求めることができる。また、トナー中の残留触媒量Bは、同じく外添剤添加後のトナー中の含有量を意味し、X線光電子分光装置(日本電子社製JPS−9000MX型)を使用して触媒由来の元素と炭素との比を測定し求めることができる。その際、外添剤のピークによる誤差を抑制するため、水中に分散して3kHzの超音波を25℃で20分かけて外添剤を除くことにより、精度を向上させることができる。
本発明に係る静電荷像現像用トナーに使用される各材料について、以下に説明する。
(着色剤)
本実施形態におけるトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料;ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等が挙げられる。
具体的な着色剤としては、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
本実施形態において、トナーに用いられる着色剤としては、樹脂分散液作成時に、補助着色剤としてブルー系酸性染料等の酸性染料を用い、トナー造粒時には上記に例示した着色剤を用いることによって所望の色彩を発色させる。
樹脂分散液作成時、例えば非晶性ポリエステル樹脂分散液作成時に用いるブルー系酸性染料としては、アリザリンダイレクトブルーA、アリザリンダイレクトブルーA2G、Soluble Blue、Patent Blue AFなどの種々の染料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。このうち、発色性の点からアリザリンダイレクトブルーA、アリザリンダイレクトブルーA2Gが好ましい。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおける、着色剤(酸性染料を含む着色剤)の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
本実施形態において、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーのうち少なくとも1つに酸性染料を使用すればよいが、特にシアントナーに酸性染料を使用することが色再現性に対して最も効果があり好ましい。
(結着樹脂)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーで用いる結着樹脂は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂のうち少なくとも1つを含むが、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含むことが好ましい。結晶性樹脂を含まない場合、低温定着と耐ブロッキングの両立が困難となる場合がある。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂、コア粒子またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。
また、「非晶性樹脂」とは、樹脂、コア粒子またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
本実施形態におけるトナーにおいて、結着樹脂として結晶性樹脂と非晶性樹脂とを含む場合、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量が20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、25〜65重量%の範囲内であることがより好ましい。結晶性樹脂の含有量が20重量%以下の場合には、トナーの融点が増加することにより低温定着が困難となる場合がある。さらに、このようなトナーを用いて得られた画像のドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。また、トナーに含まれる結晶性樹脂の溶融特性を樹脂酸価や金属塩によって制御することによって、薄膜条件下で存在する最表面に存在する非晶性樹脂の溶融特性の影響を殆ど受けることなく、トナーとしての溶融特性を制御することが可能である。
また、本実施形態においてはトナーのコア粒子として結晶性樹脂と非晶性樹脂とを用いる場合、互いに相溶することが好ましく、その基準として双方の樹脂のSP値(溶解度パラメータ:Solubility Parameter、ここでは、Fedors法により求め、「×10−31/2−3/2」を省略した数値を用いる)の差が1以内であることが好ましい。
〔結晶性樹脂〕
結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
また、本実施形態に係るトナーに用いられる「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマ以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマ(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマ(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下である。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。尚、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
さらに、トランス−ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジカルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデカンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、トランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメチレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キシレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。尚、これらの重合体において使用される複数のエステル系モノマの共重合体、エステル系モノマ及びこれと共重合可能な他のモノマとの共重合体等も使用することができる。
〔非晶性樹脂〕
本実施形態におけるトナーに使用される非晶性樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマ等が挙げられる。
本実施形態においては、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマをモノマ成分として含有していることが好ましい。これらのビニル系モノマの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
なお、前記解離性ビニル系モノマにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、前記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
本実施形態に係るトナーにおいて、非晶性樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる非晶性のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。
これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。ここで使用する触媒等が結着樹脂の着色の要因となる。
本実施形態に係るトナーに使用される非晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本実施形態に使用される非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、35〜100℃の範囲であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
本実施形態におけるトナーを構成する成分としては、既述したように少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。
(離型剤)
本実施形態に係るトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。離型剤の融点は下記トナーの融点と同様の方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30重量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
(その他の添加剤)
本実施形態に係るトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機微粒子や有機微粒子としては以下のようなものが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の1次粒径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
(トナー)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒径D50vとしては、1〜20μmの範囲が好ましく、2〜8μmの範囲がより好ましく、また、個数平均粒径D50pとしては、1〜20μmの範囲が好ましく、2〜8μmの範囲がより好ましい。
前記体積平均粒径D50vおよび個数平均粒径D50pの測定は、コールタカウンタ[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャ径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.27以下であり、好ましくは1.25以下である。GSDvが1.27を超えると粒度分布がシャープとならず、解像性が低下し、トナー飛散やかぶり等の画像欠陥の原因となる。
なお、体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、以下のようにして求めることができる。コールタカウンタTAII(ベックマン−コールター社製)で測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は110〜140の範囲、好ましくは115〜130の範囲である。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を越えると、長期に渡って、優れた帯電性、クリーニング性、転写性を得ることができない。
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
また、トナー最表面は非晶性樹脂によって被覆してもよいが、その際にトナーの最表面に含まれる結晶性樹脂の割合は、15atomic%以下であることが好ましい。結晶性樹脂の割合は、12atomic%以下であることがより好ましく、8atomic%以下であることがさらに好ましい。トナーの最表面に含まれる結晶性樹脂の割合が、15atomic%を超える場合には、トナーがキャリアと摩擦帯電した際に電荷漏洩し、静電荷像の現像に必要な帯電量が得られない場合がある。
また、本実施形態において、トナーの最表面に含まれる結晶性樹脂の割合は、XPS(X線光電子分光法)を用いて求められた値を意味する。従って、本実施形態において、「トナーの最表面」とは、トナー表面からの厚みが、XPS(X線光電子分光法)により測定される領域を意味し、具体的には、トナー表面にX線を照射した際に発生する光電子の脱出深さに相当する0.5nmから10nm程度の厚みを意味する。なお、トナーの最表面に含まれる結晶性樹脂の割合を、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定する方法の詳細については後述する。
本実施形態におけるトナーは、その表面が非晶性樹脂を含む表面層(以下、「表面層」と略す場合がある)で被覆されたものであってもよい。この場合、この表面層の平均厚みは、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。該シェル層の結着性樹脂が、少なくとも一種以上の非晶性樹脂であることを特徴とし、本実施形態において、シェル層を形成するに際して、混合される凝集剤の合計が結着樹脂に対して0.02〜0.8重量%の範囲であり、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、更に、0.05〜0.3重量%の範囲であることがより好ましい。
表面層の平均厚みが0.5μmを超える場合には、定着時にトナーが加熱された際に、表面層の内側に多く存在する結晶性樹脂がトナーの表面に染み出しにくくなるために、結晶性樹脂に起因するシャープメルト性が発揮できず低温定着できなくなる。また、このようなトナーを用いて形成された画像ではドキュメントオフセット性が悪化する場合がある。
低温定着の観点から、表面層の平均厚みは薄ければ薄い方が好ましいが、0.01μm以下の場合には、トナー保存時に、結晶性樹脂がトナー表面に染み出し、帯電性の悪化を招く場合がある。また、トナー製造に際して、トナーの内部から最表面へ結晶性樹脂の染み出しが容易に起こりやすくなり、得られたトナーの帯電性の悪化を招く場合がある。従って、表面層の平均厚みは0.04μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
また、本実施形態において、非晶性樹脂を含む表面層は、非晶性樹脂を主成分とする表面層であることが好ましい。ここで、「非晶性樹脂を主成分とする表面層」とは、この層に含まれる非晶性樹脂の割合が80%以上である層を意味する。なお、表面層の平均厚みは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた方法により求めることができ、表面層に含まれる非晶性樹脂の割合もTEMを利用して求めることができる。
本実施形態で使用される結晶性樹脂の粘弾性特性は以下の条件を満たすことが好ましい。すなわち、角周波数1rad/sec、30℃における貯蔵弾性率GL(30)が1×10Pa以上であることが好ましく、損失弾性率GN(30)が1×10Pa以上であることが好ましい。
この貯蔵弾性率GL(30)が1×10Pa未満や、損失弾性率GN(30)が1×10Pa未満の場合には、例えば二成分現像方式を例に取れば、現像機内でキャリアと混合された時に、キャリアから受ける圧力や剪断力によりトナー粒子が変形し、安定な帯電現像特性を維持することができず、また、静電潜像担持体上のトナーがクリーニングされる際に、クリーニングブレードから受ける剪断力によって変形し、クリーニング不良が発生する場合がある。一方、貯蔵弾性率GL(30)が1×10Pa以上、損失弾性率GN(30)が1×10Pa以上である場合には、高速機で用いても特性が安定し、定着後の画像の強度を強くすることができる。
本実施形態における静電荷像現像用トナーの融点(Tm)は、45〜100℃の範囲内であることが好ましく、60〜90℃の範囲内であることがより好ましい。トナーは、融点を境にして急激に粘度が低下するために、融点以上の温度環境下で保存されるとブロッキングを起こしてしまう。そこで、トナーの融点は、トナーの保存時や画像とした後に曝される一般的な高温環境下の下限温度以上、すなわち45℃以上であることが好ましい。一方、融点が100℃を超える場合には、低温定着ができなくなる場合がある。
この融点はJIS K−7121に基づいて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融点とする。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、貯蔵弾性率GL及び損失弾性率GNが、それぞれ10℃の温度範囲における変化量が2桁以上であることが好ましく、2.5桁以上の変化であることがより好ましい。この変化量が2桁未満であると、低温で定着できない場合がある。このような場合、エネルギ消費を低減効果が十分に得られなかったり、定着ラチチュードが十分に得られないことがある。
トナーの溶融特性として、角周波数1rad/sec、100℃における動的複素粘度(η)が1.0×10〜4.0×10(Pa・s)であり、Tm+20℃における動的複素粘度をη1、Tm+50℃における動的複素粘度をη2としたときに、次式(1)を満たすことが好ましい。
1.0<(η1/η2)<7.0・・・(1)
本実施形態におけるトナーが、式(1)を満たすことにより、オフセットの発生を防ぐことができ、粘弾性の温度依存がゆるやかであり、結晶の融解に伴い温度とともに低下する粘弾性が変極点を持ち、粘弾性の温度依存性がより低くなる。また、式(1)の粘度を満たしつつ、貯蔵弾性率GLと損失弾性率GNの比である損失正接(tanδ=GN/GL)はTm+20℃以上において、式(2)を満たすことが好ましい。これにより、溶融ムラなどがなくなり均一で高品位な画像を得ることが可能である。
0.5<tanδ<3.5・・・(2)
このTm+20℃以上における損失正接tanδが、0.5を超え3.5未満の範囲内である場合には、紙などの記録媒体に対する過度の染み込みを防止することができ、また離型剤などを含有した際には離型剤の滲み出し及び離型効果を発揮させやすい。これにより定着ラチチュードが広く、安定した画像を得ることができる。
なお、表面層よりも内側の領域(コア層)に含まれる結着樹脂は結晶性樹脂と非晶性樹脂とが混在したものであってもよいが、この場合できるだけ結晶性樹脂ドメインがトナー表面近傍に分散していることが好ましい。コア層に含まれる結着樹脂は、実質的に結晶性樹脂のみからなるものであることが特に好ましい。
また、コア層に含まれる結着樹脂は、脂肪族モノマを用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」と略す場合がある)を主成分(50重量%以上)とすることが好ましい。さらに、この場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族モノマの構成比は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族モノマとしては後述するような脂肪族のジオール類やジカルボン酸類を好適に用いることができる。
結晶性ポリエステル樹脂が芳香族モノマ等、脂肪族以外のモノマで構成された場合、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなり、結果として、最終的に作製されるトナーの融点が上がり、トナーの定着温度上昇を招くことが予想される。また、凝集法でトナーを作製する場合に必要な樹脂の乳化性が悪化するため、トナー造粒時、粒度分布の制御が難しくなったり、着色剤の偏在を招く場合がある。一方、融点を下げ、乳化性を付与する為に、芳香族スルホン酸モノマを構成成分にした場合、融点低下と乳化性が改善できても、トナーの帯電性付与に必要な電気抵抗の低下を招き、結果として、トナー特性を満足する為の適用範囲が狭まってしまう。したがって、低温定着性に対する改善効果を高める為には、脂肪族モノマの構成比を80mol%以上にすることが望ましい。
また、本実施形態における静電荷像現像用トナーの体積電気抵抗値としては、1.0×1011〜1.0×1016Ω・cmの範囲内であることが好ましく、1.0×1012〜1.0×1015Ω・cmの範囲であることがより好ましい。体積電気抵抗が1.0×1011Ω・cm未満の場合には、トナーとキャリアとが摩擦帯電した場合において、十分な帯電量を確保することが困難となる場合がある。一方、体積電気抵抗が1.0×1016Ω・cmより大きい場合には、トナーをキャリアと混合させた時に、現像剤としての抵抗が高くなりやすくなり、コピー画質の粒状性やハーフトーン階調性が制御しにくくなってしまう場合がある。そのため、十分な帯電性と良好なコピー画質とを永続的に確保する為には、トナーの体積電気抵抗を上述の範囲にすることが好ましい。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは特に限定されるものではないが、混練粉砕法のような乾式製法で製造されたものであってもよいし、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等の湿式製法により製造されたものであってもよく、湿式製法により作製されることが好ましい。本実施形態においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
乳化凝集法を用いる場合、本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させ、塩基性化合物により中和処理を行った後、酸性染料を含有する水性媒体を滴下し、転相させることによって水性媒体中に樹脂粒子を形成し、続いて前記有機溶剤を除去した後、界面活性剤を添加し、酸性域に調整して樹脂粒子分散液を得る乳化工程と、樹脂粒子分散液、及び着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子の軟化点以下の温度で加熱して凝集粒子を形成する凝集工程と、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を付着させて付着粒子を形成する付着工程と、付着粒子を、樹脂粒子の軟化点以上の温度で加熱融合して融合粒子を形成する融合工程と、を含む。
(乳化工程)
乳化工程において、原料分散液は、結着樹脂の乳化粒子(以下、「樹脂粒子」と略す)と、水系媒体および必要に応じて着色剤や離型剤を含む分散液とを混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。したがって結着樹脂は原料分散液中にあらかじめ樹脂粒子として分散させておく必要がある。
本実施形態において、乳化工程は、非晶性ポリエステル樹脂等を沸点100℃未満の有機溶剤中に溶解させ、塩基性化合物を添加して作製される油相に対し、油相撹拌下、ブルー系酸性染料を含有する水系媒体を徐々に滴下し、転相させることにより水系媒体中に樹脂エマルションを作製した後、余分な有機溶媒を除去し、次いで界面活性剤を添加し、酸性域に調整することによって乳化液が得られる。
〔有機溶剤〕
本実施形態においては、水性化処理速度を加速させる目的で、後述する水性化工程では、ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有する両親媒性の有機化合物を使用することが好ましい。有機溶媒は、沸点が100℃以下または水と共沸可能であり、しかも毒性、爆発性や引火性の低い、汎用の有機溶剤が好ましい。沸点が100℃以上であるか又は水と共沸しないものは、後の工程で十分に除去することが困難となる。
本実施形態でいう有機溶剤に要求される特性は、両親媒性であることとポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有することである。ここで両親媒性の有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が少なくとも5g/L以上であるものをいう。この溶解性が5g/L未満のものは、水性化処理速度を加速させる効果に乏しく、得られる水分散体も貯蔵安定性に劣るという問題がある。
両親媒性の有機溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコール誘導体、アセトニトリル等を例示することができる。これらの溶剤は単一でも、また2種以上を混合しても使用できる。中でも、イソプロパノール、酢酸エチルが特に好ましい。
両親媒性有機溶剤は、沸点が100℃以下または水と共沸可能であれば、後述の乳化工程中、あるいはその後の工程でその一部または全てを系外に容易に除去(ストリッピング)することができ、最終的に水分散体組成物に対して0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%とすることができる。
〔塩基性化合物〕
本実施形態において、ポリエステル樹脂は、水媒体に分散させる際に塩基性化合物で中和される。ポリエステル樹脂のカルボキシル基との中和反応が水性化の起動力であり、しかも生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって、微粒子間の凝集を防ぐことができる。塩基性化合物としては被膜形成時、或いは硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が好ましく、このようなものとしてはアンモニア、沸点が250℃以下の有機アミン化合物等が挙げられる。望ましい有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。塩基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2〜4倍当量を添加することが好ましく、0.4〜1.5倍当量を添加することがより好ましい。0.2倍当量未満では塩基性化合物添加の効果が認められず、4倍当量を超えると、ポリエステル樹脂水分散体が著しく増粘する場合がある。
〔水系媒体〕
前記分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本実施形態において、水系媒体には、シアン系の酸性染料が含まれている必要がある。該染料を水系媒体に含有させておくことで、転相後の非晶性ポリエステル樹脂微粒子の表面が染色され、樹脂特有の黄褐色の影響が抑制されることにより、センシティブなハーフトーンにおける黄緑色の色再現性が著しく向上する。
〔揮発性物質除去〕
上述の方法により得られた樹脂エマルション液を撹拌して、樹脂エマルション中の水系分散媒、有機溶媒などの揮発性物質を除去する。揮発性物質除去に際しては、減圧加熱処理する方法、窒素や水蒸気などを吹き込むバブリング法、ストリッピング法、フラッシング法などいかなる方法を採用しても良いが、揮発性物質除去の効率が良好な点から減圧ストリッピング法が好ましい。
蒸発タンク内の圧力は処理温度と分散媒(通常は水)の蒸気圧の関係で決定されるが、本実施形態においては圧力を適当に調整するのがよい。圧力は、通常40〜500torr、好ましくは50〜400torrの範囲であれば、トナーの凝集、器壁へのスケール付着、発泡が効率よく防げる点で好適である。高過ぎる圧力を用いる場合は樹脂エマルション液をかなり高温に加熱することになるため、加熱装置部分での樹脂分散液の分散安定性が低下し、処理中に凝集物や器壁へのスケール付着が増大することがある。また、低過ぎる圧力では処理温度における分散媒の蒸気圧に対して圧力が低くなるので気液平衡が一気に気体側に移行して、蒸発タンク中の樹脂分散液内部から分散媒やその他の揮発性物質の沸騰が始まり、泡の抑制が困難になることがある。
更に本実施形態においては、分散液中の界面更新を促進して揮発物質の蒸発を促すため、系の温度や圧力のバランスを不安定化させない範囲で、蒸発タンク内の液相に気体を吹込みながら減圧ストリッピング処理することができる。吹込む気体は特に限定されるものではなく、水蒸気、乾燥空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。これらのうち、不燃性気体であることが好ましい。また、上記気体を吹込む際、重合体粒子の凝集防止の意味から、気体の温度は100℃未満の温度が好ましい。
〔染色〕
また、揮発性物質除去後、水系媒体中の染料を非晶性ポリエステル樹脂等の微粒子表面に確実に吸着させるため、乳化液のpHを酸性領域に調整することが好ましい。この際、樹脂微粒子の分散状態を保つため、界面活性剤を添加しておくことが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
〔乳化分散液〕
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、体積平均粒径は、レーザー散乱粒度測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)を用いてイオン交換水を用いた25℃の条件で測定することができる。水中の分散性を向上させるためHLBが10〜15程度のノニオン界面活性剤を用いても良い。
樹脂粒子が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
前記樹脂粒子が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、前記樹脂粒子が、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもった、結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂である場合、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び無定形ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基等が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5wt%程度になるようにするのが好ましい。
また、前記樹脂が、前記溶剤に溶解するのであれば、その樹脂を溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザ等の分散機を用い、水中に混合、微粒子分散することが出来る。その後、加熱又は減圧して溶剤濃度を調整することにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子の分散液が得られる。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
着色剤の添加量としては、前記ポリマの総量に対して1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、1〜10重量%の範囲とすることがより好ましく、2〜10重量%の範囲とすることがさらに好ましく、2〜7重量%の範囲とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒径に調整される。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
本実施形態において前記結着樹脂や離型剤を水性媒体と混合して、乳化分散させる装置としては、例えばホモミキサ(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザ(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザ(ゴーリン社)、ナノマイザ(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサ(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が挙げられる。
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量及び、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は通常、5〜50重量%の範囲であり、好ましくは10〜40重量%の範囲である。前記含有量が前記範囲外にあると、粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
なお、本実施形態において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
なお、本実施形態における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の体積平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。体積平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすい。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
(凝集工程)
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂の融点付近の温度で、かつ融点以下の温度にて加熱してそれぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザで撹拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、結着樹脂の非晶性樹脂としてビニル系共重合体を用いる場合には、2.5〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。
一方、結着樹脂(非晶性樹脂)としてポリエステル樹脂を用いる場合、原料分散液を調整する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHが7〜10である為、pH3〜5である結晶性ポリエステル樹脂の乳化分散液や着色剤、離型剤分散液を混合すると、極性のバランスが崩れて、緩凝集が生じてしまう。そこで、原料分散液を混合した時点で、pHを4〜6に調整して加熱し、凝集粒子を形成させる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で撹拌混合している段階でpH調整を行い、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。このプレ凝集工程に用いる分散安定剤としては、極性を変えないようにする為、公知の非イオン性界面活性剤を1〜3%添加することが好ましい。分散安定剤を添加しない場合、加熱凝集工程において、原料粒子の微粉の取り込みが悪くなり、結果として粒度分布がブロードになってしまうという不具合がある。また、分散安定剤はプレ凝集工程と加熱凝集工程との両方に分けて添加しても効果的である。
(付着工程)
本実施形態では、必要に応じて付着工程において、上記した凝集工程を経て形成された結晶性ポリエステルを含む凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と略す)の表面に非晶性樹脂粒子等の微粒子を付着させることによりシェル被覆層を形成してもよい(以下、コア凝集粒子表面にシェル被覆層を設けたものを「付着凝集粒子」と略す)。なお、この被覆層は、後述する融合工程を経て形成されるトナーの表面層に相当するものである。
被覆層の形成は、凝集工程においてコア凝集粒子を形成した分散液中に、非晶性樹脂粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができ、必要に応じて他の成分も同時に追添加してもよい。
付着工程では、シェル層を形成するに際して、前記金属塩からなる凝集剤が結着樹脂に対して混合され、凝集剤の合計が0.02〜0.8重量%の範囲であり、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、更に、0.05〜0.3重量%の範囲であることが特に好ましい。
付着工程においても、用いる非晶性樹脂に応じて凝集工程と同様にpHや凝集剤を選択し、付着凝集粒子中に含まれる2種以上の結着樹脂のうち、最も融点の低い結着樹脂の融点以下の温度にて加熱し付着凝集粒子を得ることができる。また、この付着工程は、プレ凝集の段階で凝集粒子に取り込まれなかった原料微粒子を凝集に導くことにおいても有効である。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法において、シェル層を形成するに際して、少なくとも一以上の分割にて凝集剤を混合して、凝集、融合させることが好ましい。
更に、この製造方法において、シェル層を形成するに際して、混合される凝集剤の合計が結着樹脂に対して0.02〜0.8重量%の範囲であり、シェル層の結着性樹脂の含有量が、前記トナー中の10〜50重量%であることが好ましい。
従来のコアシェル構造をとるトナーの製造方法において、異種の樹脂を用いる凝集法では、微粒子の取り込み性が悪く所望の粒径、粒度分布、粒子形状を制御することは困難であった。結晶性樹脂を導入することにより優れたシャープメルト性が確保されるものの、トナー強度が弱い。更にこの問題を解決するために、非晶性樹脂との併用等をすると相溶化に伴う可塑化により耐ブロッキング性が悪化してしまう。ここで表面層に相溶化度が低い非晶性樹脂で被覆することにより、この問題を解決しようとしたが、内部の結着樹脂と表面層の粘度差により合一が発生する、比較的合一しやすい内部の結着樹脂がブリードしてしまう、または形状制御が出来ない等の問題があった。
この問題を解決する為に、本発明者等は鋭意研究の末、シェル層を形成するに際して少なくとも一以上の分割にて凝集剤を混合して、凝集、融合させることにより、内部結着樹脂と表面層非晶性樹脂の合一速度差の緩和が可能となり、結果、本製法を用いたトナーは、前記問題を改善することが可能となり、優れた帯電維持性を有することを見出した。
(融合工程)
融合工程においては、凝集工程と同様の撹拌下で、凝集粒子あるいは付着凝集粒子(以下、凝集粒子等と呼ぶこともある)の懸濁液のpHを6.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子等を融合させる。なお、凝集粒子等を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性なpHでないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子等がばらけてしまい収率が悪くなる。また、融合工程は、必要に応じて凝集工程を得た後に実施してもよい。
融合時の加熱の温度としては、凝集粒子等の中に含まれる結着樹脂の融点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜4時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性樹脂がトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。したがって、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、長時間加熱するのは好ましくない。
前記融合工程においては、前記結着樹脂が融点以上に加熱されている時に、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂を用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いる。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、ポリマ中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめポリマに混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、或いは融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態における静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmの範囲にあり、好ましくは30〜100μmの範囲にある。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
前記二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本実施形態における画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、トナーとして、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いる。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本実施形態における画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
なお、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、定着機における定着部材に離型剤が供給される。
本実施形態のトナー(二成分現像剤に含まれるものを含む。以下同様。)において、結着樹脂中に架橋構造がある場合には、その効果から離型性に優れ、離型剤の使用量を低減する、若しくは離型剤を使用せずに定着を行うことができる。
前記離型剤は、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、前記離型剤の供給量を0mg/cmにすると、定着時に前記定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記離型剤の使用量が8.0×10−3mg/cm以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
前記離型剤の供給量が、8.0×10−3mg/cmを越えると、定着後に画像表面に付着した離型剤のために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体への離型剤の付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、離型剤の供給量は、多くなるほど離型剤を貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体離型剤等が挙げられる。中でも、前記定着部材の表面に吸着し、均質な離型剤層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型剤層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記離型剤として、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルを使用するのは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いない、従来の画像形成方法においては、離型剤自体の供給量を低減し得ないため、コストの面で実用的ではないが、本実施形態の静電荷像現像用トナーを使用する場合においては、離型剤の供給量を激減できるのでコスト面でも実用上問題がない。
前記加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。なお、シャワー方式により定着部材の全体に均一に離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いることが好ましい。
前記離型剤の供給量は、以下のようにして測定できる。即ち、その表面に離型剤を供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(例えば、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上に離型剤が付着する。この付着した離型剤をソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態における画像形成方法は、本実施形態におけるトナーを含む現像剤を用いているため低温定着が可能であると共に、トナーが適正な摩擦帯電量を保持することができる。このため、画像形成に際して省エネルギ性に優れ、トナー飛散等の発生を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製>
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル98.0mol%の酸成分と、1,6−ヘキサンジオール(酸成分に対し2mol倍量)と、触媒としてTi(OBu)(酸成分に対し、0.012重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留にてメタノールを除去し、230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量18000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(1)の残留触媒量は0.0042%であり、やや黄褐色に着色していた。
ついで、この結晶性ポリエステル樹脂(1)100重量部と酢酸エチル60重量部とをガラスフラスコに入れ、55℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。結晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去することによって、体積平均粒径0.12μmのポリエステル樹脂からなる結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製>
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸90.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%、5−t−ブチルイソフタル酸7.5mol%の酸成分、および、1,9−ノナンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰なエチレングリコールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い4時間撹拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量17000になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(2)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(2)の残留触媒量は0.039%であり、やや黄褐色に着色していた。
ついで、この結晶性ポリエステル樹脂(2)100重量部と酢酸エチル60重量部とをガラスフラスコに入れ、60℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。結晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去することによって、体積平均粒径0.14μmのポリエステル樹脂からなる結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂(1)の調整>
エチレングリコ−ル243重量部
ネオペンチルグリコール325重量部
テレフタル酸478重量部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマを仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの0.6重量部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.5mgKOH/g、重量平均分子量22000である非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂(1)の残留触媒量は0.079%であり、黄褐色に着色していた。
ついで、この非晶性ポリエステル樹脂(1)100重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。非晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去することによって、体積平均粒径0.14μmの、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂(2)の調整>
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2)192重量部
トリメチロールプロパン214重量部
テレフタル酸696重量部
前記非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして、ジブチル錫オキサイド0.6重量部を投入し、酸価が6.0mgKOH/g、軟化点が105℃になるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ無水フタル酸の497部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が51mgKOH/gで重量平均分子量が29000である非晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂(2)の残留触媒量は0.067%であり、黄褐色に着色していた。
ついでこれを非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製条件と同様に転相乳化によって、体積平均粒径0.16μmの、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整>
前記非晶性ポリエステル樹脂(2)90重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。非晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、酸性染料アリザリンダイレクトブルーA2G 1重量部を溶解した脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去した後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1重量部を滴下し、HNOによりpHを5に調整することによって、体積平均粒径0.16μmの、表面をアリザリンダイレクトブルーA2Gにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)の調整>
前記非晶性ポリエステル樹脂(2)90重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。非晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、酸性染料カヤシールBlueHRL(日本化薬社製) 1重量部を溶解した脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去した後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1重量部を滴下し、HNOによりpHを5に調整することによって、体積平均粒径0.20μmの、表面をカヤシールBlueHRLにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)の調整>
前記非晶性ポリエステル樹脂(2)90重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。非晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、酸性染料カヤラックスNavyR(日本化薬社製) 1重量部を溶解した脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去した後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1重量部を滴下し、HNOによりpHを5に調整することによって、体積平均粒径0.25μmの、表面をカヤラックスNavyRにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)の調整>
前記非晶性ポリエステル樹脂(2)90重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモータを用いて100rpmで撹拌した。非晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、塩基性染料C.I.Basic Blue 9 1重量部を溶解した脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに減圧を行い余分な溶剤を除去した後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1重量部を滴下することによって、体積平均粒径0.17μmの、表面をC.I.Basic Blue 9により染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)の調整>
酸性染料アリザリンダイレクトブルーA2G 0.3重量部を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整と同様にして、体積平均粒径0.18μmの、表面をアリザリンダイレクトブルーA2Gにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)の調整>
酸性染料アリザリンダイレクトブルーA2G 5重量部を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整と同様にして、体積平均粒径0.22μmの、表面をアリザリンダイレクトブルーA2Gにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)の調整>
酸性染料アリザリンダイレクトブルーA2G 5.5重量部を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整と同様にして、体積平均粒径0.20μmの、表面をアリザリンダイレクトブルーA2Gにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(10)の調整>
酸性染料アリザリンダイレクトブルーA2G 0.2重量部を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調整と同様にして、体積平均粒径0.22μmの、表面をアリザリンダイレクトブルーA2Gにより染色された、ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂分散液(10)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
<離型剤分散液の調製>
エステルワックス(日本油脂(株)製:WE−2、融点65℃)50重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)5重量部
イオン交換水:200重量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザ(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
<着色剤分散液の調製>
<シアン顔料分散剤>
シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン))1000重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)150重量部
イオン交換水9000重量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザ((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
<イエロー顔料分散剤>
イエロー顔料(大日精化(株)製、Pigment Yellow 97))1000重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)150重量部
イオン交換水9000重量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザ((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(イエロー顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(イエロー顔料)の体積平均粒径は、0.16μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
(実施例1)
<トナー母粒子(1)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液:50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14重量部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するため、増粘開始後、光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.2〜4.5の範囲に制御するのが好ましく、必要に応じて、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行う。pHが4.0以下になると凝集粒径が成長し始めるので、凝集粒径を大きすぎないようにするには上記範囲が好ましい。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。この際コールタカウンタ[TA−II]型(アパーチャ径:100μm;コールター社製)を用いて測定したコア凝集粒子の体積平均粒径は2〜3μm程度であった。次に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)100重量部を追添加し、コア凝集粒子表面に非晶性ポリエステル樹脂粒子を付着させた。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒータにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールタカウンタで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒径が6〜7μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを6.5に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを5.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒したトナー母粒子(1)の体積平均粒径は6.2μmであった。
(実施例2)
<トナー母粒子(2)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.3μmのトナー母粒子(2)を得た。
(実施例3)
<トナー母粒子(3)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.1μmのトナー母粒子(3)を得た。
(実施例4)
<トナー母粒子(4)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.0μmのトナー母粒子(4)を得た。
(実施例5)(凝集剤分割添加)
<トナー母粒子(5)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液:50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.11重量部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するため、増粘開始後、光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHを4.2〜4.5の範囲に制御した。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。この際コールタカウンタ[TA−II]型(アパーチャ径:50μm;コールター社製)を用いて測定したコア凝集粒子の体積平均粒径は2〜3μm程度であった。次に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)100重量部を追添加するとともに、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.05重量部を添加し、コア凝集粒子表面に非晶性ポリエステル樹脂粒子を付着させた。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒータにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールタカウンタで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒径が6〜7μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを6.5に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを5.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒したトナー母粒子(5)の体積平均粒径は5.9μmであった。この段階で得られたトナー粒子の表面を電子顕微鏡により観察したところ非晶性樹脂からなる被覆層のラテックス形状に基づくミクロな凹凸は平滑化されていた。
(実施例6)
<トナー母粒子(6)の製造>
非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)360重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
トナーコア部原料として上記各分散液を用い、シェル層は設けなかったこと以外は実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.0μmのトナー母粒子(6)を得た。
(実施例7)
<トナー母粒子(7)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が5.5μmのトナー母粒子(7)を得た。
(実施例8)
<トナー母粒子(8)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.4μmのトナー母粒子(8)を得た。
(比較例1)
<トナー母粒子(9)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
トナーコア部原料として上記各分散液を用い、さらにコア凝集粒子表面に付着させる非晶性ポリエステル樹脂粒子として、非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.4μmのトナー母粒子(9)を得た。
(比較例2)
<トナー母粒子(10)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
トナーコア部原料として上記各分散液を用い、さらにコア凝集粒子表面に付着させる非晶性ポリエステル樹脂粒子として、非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.7μmのトナー母粒子(10)を得た。なお、本トナーの洗浄時のろ液は、濃いブルーに着色しており、非晶性樹脂分散液(6)作製時に添加した塩基性染料C.I.Basic Blue 9が、染色されずに、ろ液に出てしまっている様子であった。
(比較例3)
<トナー母粒子(11)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.0μmのトナー母粒子(11)を得た。
(比較例4)
<トナー母粒子(12)の製造>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)36重量部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(10)324重量部
着色剤分散液(シアン)22.87重量部
離型剤分散液50重量部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均粒径が6.6μmのトナー母粒子(12)を得た。
<トナー母粒子(13)の製造>
原料として着色剤分散液(シアン)の代わりに着色剤分散液(イエロー)を用いたこと以外は、比較例2と同様の条件で体積平均粒径が6.1μmのトナー母粒子(13)を得た。
<トナーの定着性、帯電性評価>
〔定着性の評価〕
トナー母粒子(1)〜(12)それぞれに外添剤としてチタニア微粉末をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサで混合して静電荷像現像用トナー(1)〜(12)を得た。静電荷像現像用トナー(1)〜(12)中の酸性染料の含有量A、及び残留触媒量Bを前記方法により求めた。
ついで、これらトナーそれぞれ5重量部とスチレン−アクリル酸メチル共重合体(共重合比8:2、綜研化学社製、Mw81000)で樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)の定着部分を除いたものを用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を90℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とし、下記評価基準により評価した。
◎:最低定着温度80〜100℃
○:最低定着温度100〜120℃
△:最低定着温度120〜140℃
×:最低定着温度140℃〜
〔帯電性の評価〕
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナー(1)〜(12)各1.5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)30重量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサで5分間撹拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量をブローオフ帯電量測定装置(TB−200、東芝ケミカル社製)で測定した。その帯電量により、下記基準(表1)により評価した。
Figure 2007121462
〔色再現性の評価〕
シアントナー母粒子(1)〜(12)及びイエロートナー母粒子(13)のそれぞれに外添剤としてチタニア微粉末をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサで混合して静電荷像現像用トナー(1)〜(13)を得た。
ついで、これらトナーそれぞれ5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整し、シアントナー母粒子(1)〜(12)のそれぞれと、イエロートナー母粒子(13)との各組合せで、電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635改)を用いて、前記シアントナーとイエロートナーの重ね合わせによって得られる黄緑色のハーフトーン画像を出力し、原稿との色調差を下記基準により評価した。
○:色調差が全くなく、色再現性が極めて良好である。
△:やや色調差があり、実用上問題が発生する可能性がある。
×:色調差があり、実用上使用不可である。
以上の様に評価したトナーの低温定着性、帯電性、色再現性を表2に示す。
Figure 2007121462
表2に示す結果から、実施例1〜5,7,8のトナーは、コア樹脂として結晶性樹脂と酸性染料により染色した非晶性樹脂を用い、着色剤分散液と離型剤分散液とを混合し、加熱により凝集させ、さらにシェル樹脂として酸性染料により染色した非晶性樹脂を添加し、過熱により合一させる凝集合一工程から得られる電子写真用シアントナーであり、低温定着性と帯電性、及び良好な色再現性を有する。また、シェル層を形成するに際して少なくとも一以上の分割にて凝集剤を混合して、凝集、融合させた実施例5のトナーは、結晶性ポリエステルのトナーの最表面への露出が少ない為に、良好な帯電量を確保することができた。また、結着樹脂として非晶性樹脂を使用した実施例6は、低温定着性には劣るが、良好な色再現性を示した。一方、比較例1のトナーのように酸性染料による染色を施さない非晶性樹脂を用いた場合には良好な色再現性が確保できず、比較例2のトナーのように塩基性染料による染色を施した非晶性樹脂を用いた場合には、トナー粒子を造粒する過程で酸性域に保持するため、染料が脱離し、低温定着性と帯電性は確保できるものの、良好な色再現性を得ることができなかった。また、トナー中の酸性染料の含有量Aと、トナー中の残留触媒量Bとの関係が80を超える比較例3は帯電が不安定となり、5未満の比較例4は色再現性が低下した。

Claims (5)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記着色剤は酸性染料を含有し、
    トナー中の前記酸性染料の含有量Aと、前記トナー中の残留触媒量Bとの関係が下記式を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    5≦A/B≦80
  2. 結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    前記結着樹脂を有機溶剤に溶解させ、塩基性化合物により中和処理を行った後、酸性染料を含有する水性媒体を滴下し、転相させることによって水性媒体中に樹脂粒子を形成し、続いて前記有機溶剤を除去した後、界面活性剤を添加し、酸性域に調整して樹脂粒子分散液を得る乳化工程と、
    前記樹脂粒子分散液、及び着色剤分散液とを混合し、前記樹脂粒子の軟化点以下の温度で加熱して凝集粒子を形成する凝集工程と、
    前記凝集粒子を、前記樹脂粒子の軟化点以上の温度で加熱融合して融合粒子を形成する融合工程と、
    を含み、
    トナー中の前記酸性染料の含有量Aと、前記トナー中の残留触媒量Bとの関係が下記式を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    5≦A/B≦80
  3. 請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子の表面に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する付着工程をさらに有し、
    前記付着工程において、少なくとも一以上の分割にて凝集剤を添加して、前記微粒子を前記凝集粒子の表面に付着させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする静電荷像現像剤。
  5. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記現像剤は、請求項4に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
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