JP2010164828A - 静電荷像現像用トナーセット、画像形成方法、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤を含有する少なくとも1種の着色トナー、及び、着色剤を含有しない透明トナーから構成され、前記透明トナーの母粒子は、粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%以下であり、かつ、前記透明トナーの母粒子の波長700nmにおける光の反射率が90%以上であることを特徴とする、静電荷像現像用トナーセット。
【選択図】図1
Description
すなわち、カラー原稿に照明を当て、その反射光像をカラースキャナーにより色分解して読み取り、画像処理装置で所定の画像処理や色補正を施し、得られる複数色の画像信号に基づいて、例えば半導体レーザーなどを変調し、当該半導体レーザーから画像信号に応じて変調されたレーザー光線を出射する。このレーザー光線を、Se、アモルファスシリコンなどの無機感光体、又は、フタロシアニン顔料、ビスアゾ顔料などを電荷発生層として用いた有機感光体表面に、一色ずつ複数回照射することで、複数の静電潜像を形成する。これら無機又は有機感光体表面に形成される複数の静電潜像をその都度、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(K)の4色のカラートナーで順次現像する。そして、現像されたトナー像を無機又は有機感光体から用紙等の記録媒体表面に転写し、熱定着ロール等からなる定着装置で定着(例えば、加熱定着)することにより、記録媒体表面にカラー画像の形成が行われる。
カラー画像形成装置において、高光沢な画像を得る技術としては、例えば、特許文献1〜3等に記載の技術が既に提案されており、これらの文献には、カラー複写機を用い、トナーの材質や定着条件等を選択することにより、高光沢な画像を得ることができる旨が記載されている。
さらに、特許文献4には、カラートナー像と透明トナー像とが形成された記録媒体を、ベルトタイプの定着装置を用いて加熱溶融した後、冷却剥離することで、銀塩写真のような高光沢の画像を形成する装置が開示されている。
さらに、上記技術において使用される透明トナーは、高温高湿環境下や長期間の保存によって、定着された透明トナー層が変形してしまう問題があり、さらに、折り曲げに対する機械的な強度が低く、ひび割れを起こしやすいという問題も有している。
水系で分散・乳化を行う乳化凝集法及び溶融懸濁法では、分散安定性を得るために、ポリマー分子構造に親水性を導入するとともに、界面活性剤を用いる必要がある。しかし、乳化に必要な程度の親水性を付与したポリエステル樹脂材料を用いてトナーを製造すると、得られるトナーの帯電性・環境安定性を損ねることがある。そのため界面活性剤等によって親水性を補うのが好ましいとされるが、多量の界面活性剤の利用は環境負荷・洗浄コストの観点から製造上の課題となることが懸念される。
<1> 着色剤を含有する少なくとも1種の着色トナー、及び、着色剤を含有しない透明トナーから構成され、前記透明トナーの母粒子は、粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%以下であり、かつ、前記透明トナーの母粒子の波長700nmにおける光の反射率が90%以上であることを特徴とする、静電荷像現像用トナーセット、
<2> 前記着色トナーは非結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記透明トナーは結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有する、<1>に記載の静電荷像現像用トナーセット、
<3> 前記透明トナーの含有する結晶性ポリエステル樹脂中のスルホン酸基を有する多価カルボン酸に由来する単量体単位の量を(a)mol%、前記透明トナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の全量に対する結晶性ポリエステル樹脂の比率を(b)としたとき、(a)×(b)が4mol%以下である、<2>に記載の静電荷像現像用トナーセット、
<4> 前記着色トナーの含有する結晶性ポリエステル樹脂量が結着樹脂全体の3重量%以下である、<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット、
<5> 前記着色トナー及び/又は前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂を含む、<2>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット、
<6> 前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂を含む、<2>〜<5>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット、
<7> 前記芳香族基を有する重縮合性単量体が、ビスフェノールA構造を有する、<5>又は<6>に記載の静電荷像現像用トナーセット、
<8> 前記着色トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度をTg(A)、前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステルのガラス転移温度をTg(B)としたとき、Tg(B)−Tg(A)≧2℃である、<2>〜<7>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット、
<9> 前記着色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを有する、<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット、
<10> 潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤保持体に保持された<1>〜<9>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセットを用いて前記潜像保持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有することを特徴とする画像形成方法、
<11> 潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段とを有し、前記トナーとして<1>〜<9>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセットを使用することを特徴とする画像形成装置、
<12> 前記転写手段が、トナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、前記中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを有する、<11>に記載の画像形成装置。
<2>に記載の発明によれば、着色トナーが非結晶性ポリエステル樹脂を含有しない場合や、透明トナーが結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を含有しない場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<3>に記載の発明によれば、上記(a)×(b)が4mol%を超える場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<4>に記載の発明によれば、着色トナーが結晶性ポリエステル樹脂をトナー全体の3重量%を超えて含有する場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<5>に記載の発明によれば、着色トナー及び透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が芳香族基を有する重縮合性単量体を用いずに重合された非結晶性ポリエステル樹脂である場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<6>に記載の発明によれば、透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いずに重合された非結晶性ポリエステル樹脂である場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<7>に記載の発明によれば、芳香族基を有する重縮合性単量体が、ビスフェノールA構造を有していない場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<8>に記載の発明によれば、上記Tg(A)−Tg(B)<2℃である場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラを軽減することができる静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<9>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、画像部の色再現性に優れる静電荷像現像用トナーセットを提供することができる。
<10>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラが軽減される画像形成方法を提供することができる。
<11>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラが軽減される画像形成装置を提供することができる。
<12>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、画像部と非画像部の光沢ムラがさらに軽減される画像形成装置を提供することができる。
本実施形態の静電荷像現像用トナーセット(以下、単に「トナーセット」ともいう。)は、着色剤を含有する少なくとも1種の着色トナー、及び、着色剤を含有しない透明トナーから構成され、前記透明トナーの母粒子は、粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%以下であり、かつ、前記透明トナーの母粒子(以下、「透明トナー母粒子」ともいう。)の波長700nmにおける光の反射率が90%以上であることを特徴とする。
本実施形態の静電荷像現像用トナーセットは、着色トナーにより形成された画像を含む画像領域において、画像部と非画像部の光沢差の軽減を図るものである。着色トナーにより画像が形成された画像部は、記録媒体の光沢と着色トナーにより形成された画像の光沢との差異により、光沢ムラが発生する場合がある。また、多色カラー画像が形成された場合には、付与されるトナー量によっても画像内で光沢ムラが発生する場合がある。本実施形態のトナーセットによれば、このような画像領域に透明トナーを付与することによって、画像領域内の光沢ムラが改善される。
具体的には、記録媒体の一部に写真画像が形成され、また、他の一部に文字画像が形成された場合、特に写真画像部では色ムラが問題となる。透明トナーは、写真画像が形成された領域、又は、その写真画像領域の周囲を含む領域に付与されることが好ましい。
なお、本実施形態において、数値範囲を表す「a〜b」の表記は、特に断りのない限り、「a以上b以下」を意味する。すなわち、端点であるa及びbを含む数値範囲を意味する。
以下、本実施形態の静電荷像現像用トナーセットについてさらに詳述する。
本実施形態において、透明トナーは結着樹脂を含有し、着色剤を実質的に含有しない。
ここで、着色剤を実質的に含有しないとは、透明トナー中の着色剤の含有量が、透明トナー全体の1重量%以下であることを意味し、0.1重量%以下であることが好ましく、着色剤を含有しないことがより好ましい。なお、微量の不純物による着色や、透明トナーに含まれる各成分による若干の着色を容認するものである。また、色調整の観点から、青色顔料を僅かに添加するなど、透明トナーは極少量の着色剤を含有していてもよく、画像の明度を保持する観点で、1重量%以下の範囲内で使用できるが、着色剤を含有しないことが好ましい。
本実施形態において、透明トナー母粒子は、粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%以下である。前記の比率は、比較的大粒径の透明トナー母粒子の中で、不定形に近い形状のトナー母粒子が少ないことを意味する。透明トナー母粒子の粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%を超えると、非画像部の光沢ムラが発生するおそれがある。
粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率は、4個数%以下であることが好ましく、より好ましくは3個数%以下であり、さらに好ましくは2個数%以下である。
形状係数=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
前処理:トナー300mgに対して、純水20mlで希釈し、界面活性剤水溶液になじませて超音波で3分間分散処理する。
測定条件:HPF測定モード(高倍率撮像モード)
分析量:0.35μL
粒子計数:1,500〜5,000カウント
解析条件:粒径限定範囲 0.60〜10.05μm(円相当径)
円形度限定範囲 0.40〜1.00
透明トナー母粒子の形状係数が上記範囲内であると、透明トナーとキャリアとの接触を好ましく維持できる。形状係数が0.975以下であると、透明トナーとキャリアとの接触点の面積が適度であるため、特に新たに加えられる透明トナーの帯電量の増加が速く、低帯電量トナーが相対的に減少し、カブリを抑制できる。また、形状係数が0.950以上であると、透明トナーが点でキャリアと接触する確率が適切な範囲であり、透明トナーのキャリアとの接触部分に過剰の圧力がかからず、その結果透明トナーが含有する外添剤等により、キャリアの被覆樹脂が削られることを抑制でき、帯電量に優れるので好ましい。
本実施形態において、透明トナーの体積平均粒径D50vは好ましくは3.0μm以上9.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは3.0μm以上7.0μm以下である。D50vが上記範囲内であると、付着力が強く、現像性が良好であるので好ましい。また、画像の解像性が良好であるので好ましい。
また、得られるトナーの体積平均粒度分布指標(GSDv)は1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると、解像性が良好であり、トナー飛散やカブリ等の画像欠損の原因となることがないので好ましい。
また、得られるトナーの数平均粒度分布指標(GSDp)は1.40以下であることが好ましく、1.31以下であることがより好ましく、1.20〜1.27であることが特に好ましい。GSDpが上記範囲内であると、解像性が良好であり、トナー飛散やカブリ等の画像欠損の原因となることがないので好ましい。
本実施形態において、透明トナーの母粒子(透明トナー母粒子)の波長700nmにおける光の反射率は90%以上である。93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
光の反射率が上記範囲内であると、透明性が高く、また、画像領域の光沢ムラが効果的に解消される。
透明トナー母粒子の波長700nmにおける光の反射率は、粉体状態のままで測定したのものであり、JIS Z−8722に準拠する分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業(株)製)を用い、光源はC光源2度視野で測定する。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行うが、標準板の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚でφ30mmのガラスを介した状態で行うのが好ましい。より詳しくは、前記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体を充填したセルを設置した状態で測定を行う。なお、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で測定する。
透明トナーは、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の両者を含むことにより、良好な定着性と光沢付与性が両立される。
なお、透明トナーは、結着樹脂として結晶性ポリステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、さらにその他の樹脂成分を含有してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、非結晶性ポリエステル樹脂は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、特に限定されない。
非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が上記範囲内であると、前記結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が向上するため、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度における低粘度化に伴い、非結晶性ポリエステル樹脂も低粘度化し、トナーとしてのシャープメルト性(鋭敏な溶融特性)が得られるために、低温定着性に有利であるため好ましい。
なお、透明トナーは、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂以外に、その他の樹脂を含有することもできる。
一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
ポリエステル樹脂を合成するための重縮合反応に用いる重縮合性単量体としては、例えば、ポリカルボン酸及びポリオールが挙げられる。ポリエステル樹脂は、重縮合性単量体としてポリカルボン酸とポリオールとを用いて得られたポリエステル樹脂であることが好ましい。さらにこれらの中でも多価カルボン酸としてジカルボン酸を使用し、ポリオールとしてジオールを使用することがより好ましい。
このうち、二価のポリカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、グルタル酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、及び、アダマンタン二酢酸等が挙げられる。
また、三価以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、及びメサコニン酸、並びに、これらの低級エステル等が挙げられる。さらにまた上記ポリカルボン酸の酸塩化物も挙げられるがこの限りではない。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。さらに前述した脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、二重結合を持つジカルボン酸成分を含有することもある。
1分子中に水酸基を3個以上含有するポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、及び、テトラエチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
これらのポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態において、透明トナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用されるポリカルボン酸としては、上記カルボン酸のうち、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物、低級エステルあるいは酸塩化物が挙げられる。
また、二価以上の多価アルコールも併用される。例えば、グリコール、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、及び、テトラエチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
本実施形態において、透明トナー及び後述する着色トナーは、結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、透明トナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂を併用することがより好ましい。
非結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される二価のカルボン酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、マロン酸、メサコニン酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、及び、アダマンタン二酢酸が挙げられる。
また、三価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、及び、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
また、これらのポリカルボン酸のカルボキシ基を酸無水物、酸塩化物、又は、低級エステル等に誘導したものを用いてもよい。なお、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールとのエステルをいう。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロパン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましく、1,4−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレンジプロパン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等がより好ましい。
また、前記ビスフェノール類はアルキレンオキサイド付加物であることも好ましく、アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド等を挙げることができ、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。
前記ビスフェノール骨格とは、2つのフェノール基より構成される骨格であれば特に限定はなく、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。好ましく使用される骨格としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZが例示され、より好ましくは、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールFであり、さらに好ましくはビスフェノールAである。すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂は、ビスフェノールA構造を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数1〜6のアルキレンオキサイドが例示でき、これらの中でもエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドがより好ましい。
これらの中でも非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしてはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物がより好ましい。また、アルキレンオキサイドは両末端換算(合計モル数)で2〜4モル付加していることが好ましく、2モル又は4モル付加していることがより好ましい。この範囲である場合、ポリエステルの粘弾性やガラス転移温度がトナーとして使用するために適切に制御されるので好ましい。
なお、前記芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂は、ポリオールに由来する単量体単位及びポリカルボン酸に由来する単量体単位を合わせた全単量体単位中、芳香族基を有する単量体単位を、30モル%以上含有することが好ましく、40モル%以上含有することがより好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とみなす。
上記の数値の範囲内であると、使用状態においてガラス状態であるため、画像形成時に受ける熱や圧力によってトナー粒子が凝集することがなく、機内に付着堆積することがなく、長期間にわたって安定した画像形成能が得られる。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
Tg(B)−Tg(A)は、2℃以上10℃以下であることがより好ましく2℃以上8℃以下であることがさらに好ましく、2℃以上5℃以下であることが特に好ましい。
ここで、着色トナー及び/又は透明トナーが2種以上の非結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合、Tg(B)及びTg(A)は、最も含有量の多い非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度で比較するものである。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量が算出される。
酸価が上記範囲内であると、定着特性及び帯電安定性に優れるので好ましい。
さらに本実施形態において、結着樹脂は、結晶性及び非結晶性ポリエステル樹脂を含むものであれば上述した重縮合成分の単独重合体、上述した重縮合成分を含む2種以上の単量体を組合わせた共重合体、又はそれらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していてもよい。
スルホン基は強酸であるため親水性が強く、水中で作製するケミカル製法ではトナー表面に存在しやすくなる。そのため、(a)×(b)が4mol%以下であると、良好な形状の分布が得られるので好ましい。
(a)×(b)は、0mol%以上4mol%以下であることが好ましく、0mol%以上3mol%以下であることがより好ましく、0mol%以上2mol%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、透明トナーの結着樹脂中のスルホン酸基含有量が少ないことが好ましい。スルホン酸基は、結晶性ポリエステル樹脂中のスルホン酸基を有する多価カルボン酸に由来することが多いことから、上記(a)×(b)を規定することにより、スルホン酸基含有量の少ないポリエステル樹脂とすることができる。
結晶性ポリエステル樹脂中のスルホン酸(塩)含有モノマー量の定量には、核磁気共鳴装置(1H−NMR)を用いて下記の通り行う。
0.7mLの重クロロホルム溶液に30mgのサンプルを溶解させ、基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を濃度0.05体積%で添加したものを測定試料とする。試料管は5mm径のNMR測定用ガラス管を使用する。測定は核磁気共鳴装置JNM−AL400(日本電子(株)製)を用い、23〜25℃の温度下、積算回数1,000回の条件で行う。
得られたスペクトルの解析結果から、構造確認及び積分比による組成比計算を行う。
また、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂の比率は、以下の方法により測定される。すなわち、分取クロマトグラフィーにより樹脂成分を単離し、比率を求める。樹脂が結晶性ポリエステル樹脂か非結晶性ポリエステル樹脂であるかは、DSCにより判定する。
ここで、上記スルホン酸基は、塩を形成していてもよく、スルホン酸基及びスルホン酸塩基の総量として上記範囲内とすることが好ましい。
本実施形態において、結着樹脂として、上記の結晶性ポリエステル樹脂や非結晶性ポリエステル樹脂とともに、又は単独で、従来公知の熱可塑性結着樹脂などを使用してもよい。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体((メタ)アクリル酸エステル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニルニトリル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニルエーテル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニルケトン系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも上記の各種ビニル系樹脂が好ましい。
ビニル芳香族単量体(スチレン系単量体)50〜90重量部、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体((メタ)アクリル酸エステル系単量体)10〜50重量部、これらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜10重量部、及びエチレン性不飽和酸単量体1〜3重量部よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体を界面活性剤で分散安定化した分散液が非結晶性樹脂成分として好ましい。上記の共重合体のガラス転移温度は50〜70℃であることが好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンや、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等がある。スチレン系単量体としては、スチレンが好ましい。
前記スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂にカルボキシ基を含有させる場合は、カルボキシ基を有する重合性単量体を共重合させることによって得ることができる。
このようなカルボキシ基含有重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、アコニット酸、アトロパ酸、アリルマロン酸、アンゲリカ酸、イソクロトン酸、イタコン酸、10−ウンデセン酸、エライジン酸、エルカ酸、オレイン酸、オルト−カルボキシケイ皮酸、クロトン酸、クロロアクリル酸、クロロイソクロトン酸、クロロクロトン酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、ケイ皮酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シトラコン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ジヒドロキシケイ皮酸、チグリン酸、ニトロケイ皮酸、ビニル酢酸、フェニルケイ皮酸、4−フェニル−3−ブテン酸、フェルラ酸、フマル酸、ブラシジン酸、2−(2−フリル)アクリル酸、ブロモケイ皮酸、ブロモフマル酸、ブロモマレイン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンゾイルアクリル酸、4−ペンテン酸、マレイン酸、メサコン酸、メタクリル酸、メチルケイ皮酸、メトキシケイ皮酸等であり、重合体形成反応の容易性などからアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などが好ましく、アクリル酸がより好ましい。
本実施形態の透明トナー及び後述する着色トナーには、必要に応じて、離型剤を添加してもよい。離型剤は一般に離型性を向上させる目的で使用されるが、特に夏環境下における低帯電を抑制するために、極性基を有する離型剤が好ましい。前記極性基が存在することにより水分子との相互作用を抑制し夏環境下の低帯電を抑制できる。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。これらの中で、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスが前述の理由で好ましい。
本実施形態において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、透明トナー及び後述する着色トナーは、トナー内部に内添剤を添加してもよい。
内添剤は一般に定着画像の粘弾性制御の目的で使用される。前記内添剤の具体例としては、シリカ、チタニアのような無機粒子や、ポリメチルメタクリレート等の有機粒子などからなり、分散性を高める目的で表面処理されていてもよい。またそれらは単独でも、2種以上の内添剤を併用してもよい。
本実施形態において、透明トナー及び後述する着色トナーには、流動化剤や帯電制御剤等の外添剤を外添してもよい。
外添剤としては、表面をシランカップリング剤などで処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子、アミン金属塩、サリチル酸金属錯体等、公知の材料が使用できる。それらは単独でも、2種以上の外添剤を併用してもよい。
また、本実施形態に用いることができる外添剤は、窒素原子を含有した酸化物であることが好ましく、窒素原子を含有したシリカ粒子であることがより好ましい。外添剤が窒素原子を含有した酸化物であると、温湿度環境の変化時、特に低温低湿度環境から高温高湿度環境へ変化した場合におけるカブリ、及び、画像濃度に優れる。
前記窒素原子を含有したシリカ粒子としては、表面をアミノシランカップリング剤で処理したシリカ粒子を例示できる。
本実施形態において、透明トナー及び後述する着色トナーには、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、4級アンモニウム基を有するアルキル(フェニル)化合物のハロゲン化物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。なお、本実施形態の透明トナー及び後述する着色トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
着色トナーは、着色剤及び結着樹脂を含み、必要に応じて、離型剤、内添剤、外添剤等の他の成分を含有する。
本実施形態の静電荷像現像用トナーセットは、少なくとも1種の着色トナーを含み、複数の着色トナーを含むものであることが好ましい。
具体的には、着色トナーは、少なくとも、シアン色を呈するシアントナー、マゼンタ色を呈するマゼンタトナー、及び、イエロー色を呈するイエロートナーから構成されることが好ましい。また、必要に応じて、ブラック色を呈するブラックトナーを含むことも好ましい。
着色トナーにおいて、D50v、GSDv、GSDpの好ましい範囲及びその理由は透明トナーと同様である。
また、体積平均粒径D50v、数平均粒度分布指標(GSDp)、体積平均粒度分布指標(GSDv)等の測定方法は、上述の通りである。
本実施形態において、着色トナーは、着色剤を含有する。
本実施形態に用いることができる着色剤としては、特に制限はなく、一般的な染料、顔料を用いることができる。ただし染料は水溶性のものが存在するため、本実施形態のように水中でトナーを作製する工程を有するものには顔料が好ましい。
より具体的には、例えば、イエロー系着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、5、6、49、65、73、75、97、98、111、116、130等のモノアゾ系顔料;C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 120、151、175、180、181、194等のベンズイミダゾロン系顔料;C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、95、128、166等のジスアゾ縮合系顔料;C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 109等のイソインドリノン系顔料;C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Yellow 24、108、193、199等のアントラキノン系顔料;C.I.Pigment Yellow 12、13、14、17、55、63、81、83、87、90、106、113、114、121、124、126、127、136、152、170、171、172、174、176、188等のジスアゾ系顔料;C.I.Pigment Yellow 61、62、133、168、169等のアゾレーキ顔料;C.I.Pigment Yellow 139等のイソインドリン系顔料;C.I.Pigment Yellow 138等のキノフタロン系顔料が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック等の有機着色剤を例示できる。
また、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等緑色顔料、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料を用いることができ、また染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー等を挙げることができる。
機械的な衝撃等による着色剤分散の具体例としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系媒体に分散することもできる。
着色トナーは、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。着色トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合されたものであることが好ましい。
着色トナーにおいて、結着樹脂が含有する非結晶性ポリエステル樹脂の量は、結着樹脂全体の80重量%以上100重量%以下であることが好ましく、90重量%以上100重量%以下であることがより好ましく、95重量%以上100重量%以下であることがさらに好ましい。結着樹脂中の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が上記範囲内であると、現像機内でのキャリアの撹拌によるトナーの破壊が生じにくいので好ましい。
なお、着色トナーは、結着樹脂として上記非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の代わりに、その他の樹脂を使用してもよい。
本実施形態に用いられる透明トナー母粒子及び着色トナー母粒子の製法としては、混練粉砕法、乳化重合凝集法、懸濁重合法等、特に制限はないが、特に好ましいのは凝集合一法である。凝集合一法により、粒径分布及び粒子形状に優れたトナー母粒子を得ることができるので好ましい。
混練粉砕法では、結着樹脂と必要に応じて着色剤、離型剤、さらに帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する方法である。また、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法も例示できる。
本実施形態において、透明トナー及び着色トナーの製造方法としては、凝集合一法が好ましく挙げられる。
該凝集合一法は、粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び、必要に応じて着色剤を分散した着色剤分散液等を混合し、樹脂粒子、必要に応じて着色剤等をトナー粒径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」と称することがある。)を含むことが好ましく、また、該凝集合一法は、凝集工程を経た凝集粒子は、樹脂粒子のガラス転移温度以上又は樹脂粒子の融解温度以上の温度に加熱し凝集体を融合し、トナー粒子を形成する工程(以下、「融合工程」とも称する。)を含むことが好ましい。
ここで、「トナー粒径」とは、上記のトナーの体積平均粒径をいう。
本実施形態において、トナーの製造時に、例えば、前記懸濁重合法における分散時の安定化、前記凝集合一法における樹脂粒子分散液、着色剤分散液、及び離型剤分散液の分散安定を目的として界面活性剤を用いることができる。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用するのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
本実施形態において、透明トナー及び着色トナーの製造に凝集合一法を用いた場合、凝集工程においてpH変化等により凝集を発生させ、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又はより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加してもよい。
該凝集剤としては一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩等が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であることが好ましく、一価の場合は3重量%以下、二価の場合は1重量%以下、三価の場合は0.5重量%以下であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
本実施形態において、透明トナー及び着色トナーは、それぞれ、透明静電荷像現像剤(透明現像剤)及び着色静電荷像現像剤(着色現像剤)として使用することができる。本実施形態において、透明像現像剤及び着色現像剤は、それぞれ、透明トナー及び着色トナーを含有することのほかは特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像用トナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
キャリアは、フェライト、鉄粉などを芯材として、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ましい。
用いられる芯材(キャリア芯材)は、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであることが好ましい。キャリア芯材の平均粒径としては、トナー平均粒径の3倍以上10倍以下が好ましい。
また、キャリアの形状係数SF1は、110以上145以下の範囲であることが好ましく、120以上140以下の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、キャリアとトナーとの接触が適切な状態であり、帯電量の効果がさらに向上するので好ましい。
ここで、キャリアの形状係数SF1は、粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下の式により算出される。
SF1の具体的な測定方法としては、例えば、まずスライドグラス上に散布したキャリアの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のキャリアについてSF1を計算し、平均値を求める方法が挙げられる。
特にトナーに正帯電性を持たせる目的で、キャリアは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む樹脂を含有することが好ましい。キャリアにフッ素原子及び/又はケイ素原子を含む樹脂を用いることにより、キャリアはより負に、かつ長期に渡って帯電させることができ、また、温湿度環境の変化時、特に低温低湿度環境から高温高湿度環境へ変化した場合におけるカブリ、及び、画像濃度に優れる。
前記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、炭化水素系樹脂又はこれらの共重合樹脂における水素原子の少なくとも1つをフッ素原子に置換した樹脂、及び/又は、シリコーン樹脂を用いることが好ましく、前記フッ素原子に置換した樹脂はフッ素原子を有する重合性単量体を少なくとも1つ含む重合性組成物を重合して得られた樹脂、及び/又は、シリコーン樹脂を用いることがより好ましく、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸化合物を少なくとも用いて得られた樹脂、及び/又は、シリコーン樹脂を用いることがさらに好ましい。
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を粒子化し被膜樹脂の融解温度以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。
上記方法により形成される樹脂被膜量は、キャリア芯材に対して0.5重量%以上10重量%以下の量を被覆して用いられる。トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100から30:100の範囲であることが好ましく、3:100から20:100の範囲がより好ましい。
本実施形態の画像形成方法は、着色トナーを用いて、電子写真方式によりカラートナー像を記録媒体表面に形成した後、又は、カラートナー像を記録媒体表面に形成すると同時に、そのカラートナー像の上ないしその周辺に透明トナーを転写定着することにより、画像に光沢を付与するものである。本実施形態の画像形成方法は、本実施形態の静電荷像現像用トナーセットを使用するものであれば特に限定されないが、潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤保持体に保持された本実施形態の静電荷像現像用トナーセットを用いて前記潜像保持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有することが好ましい。
すなわち、本実施形態において、透明トナーは、着色トナー像(以下、「カラートナー画像」ともいう。)に対し、その上ないし周辺に転写定着することで良好な光沢画像を付与するための透明トナーとして好適であり、この場合、前記画像形成方法は、さらに、カラートナー像を潜像保持体表面に形成するカラートナー像形成工程と、カラートナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたカラートナー像を定着する定着工程とを有することが好ましい。透明トナーを用いてトナー像を形成する潜像保持体と、着色トナー像を形成する潜像保持体とは、同一でも異なっていてもよいが、異なる潜像保持体であることが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像用トナーセットを使用するものであれば特に限定されないが、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段とを有し、前記トナーとして本実施形態の静電荷像現像用トナーセットを使用することが好ましい。潜像保持体を現像してカラートナー像を形成させる現像手段と、前記カラートナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段とを有することがさらに好ましい。
図1は実施形態に係る画像形成ユニット10の構成を示した図である。この画像形成ユニット10は、例えばカラープリンタやカラー複写機、又は、これらの複数の機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置に実装される。図1に示した画像形成エンジン100Y、100M、100C、100Kはそれぞれ、イエロー(Y)色、マゼンダ(M)色、シアン(C)色、及び、ブラック(K)色の各色のトナーを用いて作像を行う。これに対し、画像形成エンジン100Tは、透明トナーを用いて透明トナー層を形成する。この透明トナーは、可視光領域(400nm〜700nm)における吸収率が所定割合以下のために人間の目ではほとんど認識することができないものであり、主として、画像に光沢感や独特の色調を与えるために利用される。
例えば、感光体(静電潜像保持体)と、該感光体に対向する帯電装置(帯電手段)と、カラー画像を形成するための画像信号を制御するための画像信号形成装置と、該画像信号形成装置からの画像信号により前記感光体を像様に露光して潜像を形成する露光装置(露光手段)と、カラートナーを含む現像剤層により前記感光体表面の潜像を現像してトナー像を得る現像装置(現像手段)と、感光体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置(転写手段)からなることが好ましい。
また、上述のように中間転写体を備え、感光体のトナー像を一旦中間転写体に転写した後、中間転写体から記録媒体表面にトナー像を二次転写装置で転写する構成も好ましい。
以上の如きトナー画像形成装置により、記録媒体表面にカラートナー像を形成することができる。
なお、以下の実施例及び比較例において「部」は特に断りのない限り、「重量部」を示す。
撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、酸成分(多価カルボン酸類)及びアルコール成分(多価アルコール類)として、以下の表に示す材料組成比(モル比)にて各材料を投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、モノマー成分に対してジブチルスズブオキサイドを0.16重量%投入して、窒素ガス気流下約195℃で約6時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に上げて約6.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間撹拌反応させて、淡黄色透明の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4を得た。
TPA:テレフタル酸
FA:フマル酸
DSA:ドデセニルコハク酸無水物
TMA:トリメリット酸無水物
BisAEO:ビスフェノールAエチレンオキサイド2mol付加物
BisAPO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物
PG:プロピレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
非結晶性樹脂500部を酢酸エチル2,500部に溶解し、アニオン界面活性剤ダウファックス20部をイオン交換水3,000部に溶解した液を加え、ウルトラタラックスを用い、8,000回転で20分間撹拌し、酢酸エチルを留去し、非結晶性樹脂分散液を得た。その後、エバポレーターで水分を除去し、固形分濃度を30重量%以上にした後、脱イオン水を加え固形分濃度30重量%の非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)〜(4)を得た。
撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、酸成分(多価カルボン酸類)及びアルコール成分(多価アルコール類)として、以下の表に示す材料組成比(モル比)にて各材料を投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、モノマー成分に対してジブチルスズブオキサイドを0.30重量%投入して、窒素ガス気流下約180℃で5時間撹拌反応させ、さらに温度を約230℃に上げて2.0時間撹拌反応させた後空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。
SDSP:イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム
結晶性ポリエステル樹脂中スルホン酸(塩)含有モノマー量の定量には、核磁気共鳴装置(1H−NMR)を用いて下記の通り行った。
0.7mLの重クロロホルム溶液に30mgのサンプルを溶解させ、基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を濃度0.05体積%で添加したものを測定試料とした。試料管は5mm径のNMR測定用ガラス管を使用した。
測定は核磁気共鳴装置JNM−AL400(日本電子(株)製)を用い、23〜25℃の温度下、積算回数1,000回の条件で行った。
得られたスペクトルの解析結果から、構造確認及び積分比による組成比計算を行った。
結晶性ポリエステル樹脂:90重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):1.8重量部
イオン交換水:210重量部
以上の成分を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、結晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。その後、エバポレーターで水分を除去し、固形分濃度を30重量%以上にした後、脱イオン水を加え、固形分濃度30重量%の結晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。
下記組成を混合し、97℃に加熱した後、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(メイワフォーシス(株)製)で分散処理し、105℃、550kg/cm2の条件で20回処理して微粒子化することにより、体積平均粒径190nmの離型剤分散液を得た。
・エステル系ワックス(日油(株)製:WEP4):88部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製):2部
・イオン交換水:210部
<着色剤分散液(1)の調製>
・C.I.ピグメントイエロー74(モノアゾ系顔料):80部
(大日精化工業(株)製:セイカファーストイエロー2054)
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製):10部
・イオン交換水:210部
以上の成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて10分間分散し、着色剤分散剤(1)を調製した。
着色剤をC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン系顔料:大日精化工業(株)製:クロモファインマゼンタ6887)に変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(2)を調製した。
着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系顔料:大日精化工業(株)製:シアニンブルー4937)に変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(3)を調整した。
着色剤をカーボンブラック(CABOT社製、R330)変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(4)を調製した。
・結晶性ポリエステル樹脂分散液A:a重量部
・非結晶性ポリエステル樹脂分散液B:b重量部
・離型剤分散液:c重量部
・着色剤分散液D:d重量部
・硫酸アルミニウム10%水溶液:e重量部
・イオン交換水:f重量部
上記の組成の混合物を丸型ステンレス製フラスコ中に投入した後、硝酸によってpHを(s)に調整し、ウルトラタラックスT50で混合分散した。その後、加熱用オイルバスでフラスコ内の内容物を撹拌しながら48℃まで加熱し、48℃で水酸化ナトリウム水溶液でpHを(t)に調整し、(u)時間保持した。
その後、硝酸によってpHを(v)に調整した非結晶性ポリエステル樹脂分散液Bをg重量部添加した。
48℃で3時間温度を保持した後、水酸化ナトリウムを添加してpHを8に調整した。その後、加熱用オイルバスの温度を上げて(w)℃に保ち、(x)時間融合・合一を実施した。撹拌を停止した後、直ちに熱交換器を利用してフラスコ内の溶液を急冷却した。続いて、冷却後のフラスコ内の溶液を、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥してトナーを得た。
上記の方法により透明トナー1〜8及び着色トナー1〜3を得た。
・トルエン:14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20、重量平均分子量:70,000):2部
・MZ500(酸化亜鉛、チタン工業(株)製):0.6部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて酸化亜鉛が分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。
得られたキャリアとトナーとを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、静電潜像現像剤を作製した。
得られた現像剤を、図1に示した5連タンデム方式の富士ゼロックス(株)社製DocuCentre-III C7600改造機(両面印刷用の5連タンデム改造機)の現像機に現像剤を充填した。
日本画像学会発行のテストチャートNO.1Rを使用してMCP256用紙上に画像を形成し、以下の二点について評価した。透明トナーは全体に作像した(非画像部、及び画像部に作像した)。
(1)非画像部の60°グロスを10点測定し、標準偏差を求めた。
(2)画像部の60°グロスを10点測定し、標準偏差を求めた。
評価基準は、以下の通りである。
◎:標準偏差1以下
○:標準偏差3以下
△:標準偏差5以下
×:標準偏差5より上
結果を以下の表に示す。
Claims (12)
- 着色剤を含有する少なくとも1種の着色トナー、及び、着色剤を含有しない透明トナーから構成され、
前記透明トナーの母粒子は、粒子径7.5μm以上15μm以下の粒子における形状係数0.94以下の粒子の比率が5個数%以下であり、かつ、
前記透明トナーの母粒子の波長700nmにおける光の反射率が90%以上であることを特徴とする、
静電荷像現像用トナーセット。 - 前記着色トナーは非結晶性ポリエステル樹脂を含み、前記透明トナーは結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有する、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記透明トナーの含有する結晶性ポリエステル樹脂中のスルホン酸基を有する多価カルボン酸に由来する単量体単位の量を(a)mol%、前記透明トナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の全量に対する結晶性ポリエステル樹脂の比率を(b)としたとき、(a)×(b)が4mol%以下である、請求項2に記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記着色トナーの含有する結晶性ポリエステル樹脂量が結着樹脂全体の3重量%以下である、請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記着色トナー及び/又は前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項2〜4いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂が、芳香族基を有する重縮合性単量体を用いて重合された非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項2〜5いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記芳香族基を有する重縮合性単量体が、ビスフェノールA構造を有する、請求項5又は6に記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記着色トナーが含有する非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度をTg(A)、前記透明トナーが含有する非結晶性ポリエステルのガラス転移温度をTg(B)としたとき、Tg(B)−Tg(A)≧2℃である、請求項2〜7いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 前記着色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを有する、請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセット。
- 潜像保持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
現像剤保持体に保持された請求項1〜9いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセットを用いて前記潜像保持体に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写工程と、
前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有することを特徴とする
画像形成方法。 - 潜像保持体と、
前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記トナー像を定着する定着手段とを有し、前記トナーとして請求項1〜9いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーセットを使用することを特徴とする
画像形成装置。 - 前記転写手段が、トナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、前記中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを有する、請求項11に記載の画像形成装置。
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