JP2004020668A - 画像形成装置 - Google Patents

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椛島 浩貴
Azusa Nakamura
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Abstract

【課題】電子写真方法による画像形成装置において、重合法による特定のトナーを用いるとともに特定の条件で動作されるブラシローラを具えたクリーニング手段を採用することにより、常に画像欠陥のない良好な可視画像を形成することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】トナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させる方法によって製造された、個数平均粒径が3〜8μmの範囲で形状係数が0.940〜0.985の範囲のものであり、クリーニング手段は、感光体に当接するゴムブレードと、ブラシ繊維が植設され、感光体に対して線速差のある状態で当該感光体に当接しながら回転されるブラシローラとを有してなり、前記ブラシローラは、感光体に当接するブラシ繊維群による実効擦過力の値が2.5〜10.5の範囲とされていることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方法による画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、複写機、プリンタ等において用いられる、電子写真方式による画像形成方法においては、通常、回転される感光体を一様に帯電させ、原稿の画像に対応した露光処理を行うことにより潜像を形成し、この潜像をトナーによって現像し、形成されるトナー像を記録材に転写した後、この転写された画像を記録材に定着させることにより、目的とする画像が形成される。
【0003】
しかし、トナー像の転写工程においては、感光体の表面におけるトナーのすべてが記録材に転写されるものではなく、一部のトナーは不可避的に感光体の表面に残留する。クリーニング手段は、この感光体の表面上の残留トナーを除去するものである。
【0004】
従来から、クリーニング手段としては、ファーブラシローラ、磁気ブラシローラまたはブレード等を用いた方法が代表的であり、特にゴム板よりなるブレード(以下「ゴムブレード」という。)を用いた方法は、単純な構成で良好なクリーニング結果が得られるため、一般的に使われている。
【0005】
また、上記の画像形成方法においては、形成される可視画像における細線やドット等の画質の向上を図るために、あるいはクリーニング不良により発生する、黒スジや画像流れと呼ばれる画像欠陥を抑止するために、これまでに様々な手段が検討されてきた。
【0006】
例えば、細線あるいはデジタル画像のドットによる画像を形成する場合に、画質の向上を図るために、小粒径化されたトナー粒子が用いられている。そして、小粒径化されたトナー粒子を得る方法として、いわゆる重合法によるトナーの製造方法が知られている。しかし、重合法により製造されたトナーは、その粒子の形状が、粉砕法で製造されたトナー粒子に比べ、球形に近くて径が小さいので、感光体表面における残留トナーを十分にクリーニングすることが困難であり、その結果、形成される可視画像に、クリーニング不良による背景汚れ、黒スジ等の画像欠陥が発生しやすい、という欠点を有していた。
【0007】
一方、トナー自体をクリーニング性の良好なものとする手段として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩をトナーに添加する技術が広く実用化されており、この技術によれば、重合法で製造されたトナーについても相当の効果が得られる。
【0008】
しかし、脂肪酸金属塩が添加されたトナーを用いた場合には、感光体表面に脂肪酸金属塩の薄い被膜が形成されるために、感光体が摩耗されなくなって感光体表面に紙粉が付着しやすくなり、高湿下では、この紙粉に水分が吸収される結果、感光体表面の電荷が流れることによる「画像流れ」と呼ばれる画像欠陥が発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真方式による画像形成装置において、重合法による特定のトナーを用いるとともに特定の条件で動作されるブラシローラを具えたクリーニング手段を採用することにより、常に画像欠陥のない良好な可視画像を形成することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の本発明の目的は、特許請求の範囲の請求項に記載された構成、すなわち下記の構成を採ることにより、達成することができる。
【0011】
回転される感光体に形成された潜像をトナーにより現像し、形成されたトナー像を記録材に転写して定着し、クリーニング手段により感光体上の残留トナーを除去する構成の画像形成装置において、
トナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させる方法によって製造された、個数平均粒径が3〜8μmの範囲で形状係数が0.940〜0.985の範囲のものであり、
クリーニング手段は、感光体に当接するゴムブレードと、ブラシ繊維が植設され、感光体に対して線速差のある状態で当該感光体に当接しながら回転されるブラシローラとを有してなり、
前記ブラシローラは、感光体に当接するブラシ繊維群による下記式(1)で表される実効擦過力Fの値が2.5〜10.5の範囲とされていることを特徴とする画像形成装置。
【数2】
式(1) F=nxyEt3 /L3 
(式(1)中、
nはブラシ繊維の植設密度(本/mm2 )、
xはブラシローラと感光体の線速差(mm/s)、
yは感光体に対するブラシ繊維の食い込み量(mm)、
Eはブラシ繊維のヤング率(kgf/mm2 )、
tはブラシ繊維の径(mm)、
Lはブラシ繊維の自由長(mm)
をそれぞれあらわす。)
【0012】
【作用】
本発明の画像形成装置によれば、上記の条件が満たされたトナーを用いるとともに、上記の条件で動作されるブラシローラを具えたクリーニング手段を採用することにより、常に画像欠陥のない良好な可視画像を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
図1は、画像形成装置の構成の一例を示す説明図である。図1において、感光体10は時計方向に駆動回転される。この感光体10は、帯電器11により、一様な帯電がコロナ放電によって与えられる。この帯電手段の前に、発光ダイオード等よりなる露光部20により露光が行われ、感光体10の除電が行われることが好ましい。
【0014】
感光体10は、帯電器11により帯電された後、像露光器12により、画像信号に基づいて露光が行われる。この例における像露光器12は、図示しないレーザーダイオードを露光光源とし、回転するポリゴンミラー121およびfθレンズ等を経て、反射ミラー122により光路を曲げられた光が感光体上を走査することによりなされ、潜像を形成するものである。
【0015】
この潜像は、現像器13によって現像される。感光体10の周囲に沿って、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)および黒色(K)のトナーとキャリアとを含有する現像剤をそれぞれ内蔵した現像器13が設けられている。現像剤のキャリアは、例えばフェライトよりなるコアの表面を絶縁性樹脂によりコーティングしたものであり、トナーは、例えばスチレン−アクリル共重合体やポリエステルを主材料とし、顔料、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等が添加されたものである。現像剤は、図示されていない層形成手段によって現像スリーブ131上に100〜600μmに規制された層厚の現像剤層として、現像領域へ搬送される。
【0016】
現像は、感光体10と、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ131との間に直流および/または交流バイアス電圧が印加されることにより行われる。
【0017】
カラー画像を形成する場合には、1色目の現像が終った後に、2色目の画像形成工程が開始される。すなわち、再び帯電器11により一様な帯電が行われ、2色目の潜像が像露光器12によって形成され、現像器13によって現像される。3色目、4色目についても2色目と同様の画像形成が行われる。その結果、感光体10周面上には、4色のトナー像が重畳された状態で形成される。モノクロの画像を形成する場合には、黒色トナーの現像剤により1回の現像で画像が形成される。
【0018】
記録材Pは、給紙ローラ14の回転により、転写領域へと供給される。転写領域においては、感光体10の周面と、これに圧接された転写ローラ15との間に、供給された記録材Pが挟着され、トナー像が記録材Pに転写される。
【0019】
トナー像が転写された記録材Pは、分離ブラシ16によって除電がなされ、感光体10の周面から分離され、定着装置17に搬送され、加熱ローラ171と加圧ローラ172による加熱、加圧によりトナーが定着され、排紙ローラ18により装置外部へ搬出される。転写ローラ15及び分離ブラシ16は、記録材Pの通過後に感光体10の周面より退避し、次のトナー像の転写に備えられる。
【0020】
記録材Pが分離された後の感光体10が、これに圧接されたゴムブレード191およびブラシローラ192により擦過されることにより、感光体表面に残ったトナーが除去され、その後、感光体は、再び帯電器11により帯電を受けて次の画像形成が開始される。カラー画像の形成においては、ゴムブレード191およびブラシローラ192は、感光体表面のクリーニング後直ちに移動して感光体10の周面より退避する。
【0021】
記録材Pとしては、普通紙、中性紙、酸性紙等の紙類、ポリエステルベース等のプラスチック支持体等が一般的に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
カートリッジ21は、感光体10、帯電器11、転写器15、分離器16およびクリーニング器19が一体化されたものであり、このカートリッジ21は装置本体に対して着脱可能なものである。カートリッジ21は、感光体10と、現像器13、クリーニング器19等を一体化されたものでもよく、帯電器11、像露光器12、現像器13、転写器15、分離器16およびクリーニング器19の少なくとも1つを感光体10とともに一体化して、図示しない装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0023】
複写機やプリンタとして使用される画像形成装置においては、露光は、原稿からの反射光や透過光を感光体10に照射して行われ、あるいはセンサーで原稿を読み取って信号化し、この信号にしたがってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、または液晶シャッターアレイの駆動を行うことにより、光を感光体10に照射して行われる。ファクシミリのプリンタとして使用される画像形成装置においては、露光は、像露光器12が受信データに従って光を感光体10に照射することにより行われる。
【0024】
本発明において用いられるトナーは、個数平均粒径が3〜8μmの範囲のものである。個数平均粒径が3〜8μmの範囲であるトナーを用いることにより、定着工程において、記録材Pに対する付着性の過度なトナーや付着力の弱いトナー等の存在を減らすことができ、安定した現像性を長期に亘って得ることができるとともに、高い転写効率が得られてハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上した画像が形成される。
【0025】
トナー粒子の形状係数の値は、下記により定義される、トナー粒子の丸さの度合いを示す要素である。すなわち、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」(東亜医用電子社製)を用い、トナー懸濁液中のトナー粒子をCCDカメラにより撮影し、得られたトナー粒子撮影像の周囲長aと、トナー粒子撮影像と同じ面積相当の円の周囲長bとを求め、bの値をaの値で割った商(b/a)として定義される。この形状係数の値は、トナー粒子が真球であれば1となり、粒子の凹凸の度合いが大きくなるほど小さい値となる。
【0026】
本発明においては、トナーとして、その形状係数が0.940〜0.985の範囲のものが用いられ、特に、0.950〜0.975の範囲のものが好ましく用いられる。形状係数が0.985より大きいトナーは、粒子が真球に近いものであるためクリーニング性が劣ったものとなり、一方、形状係数が0.940より小さいトナーは、粒子の凹凸が大きくなり、機械内での圧力により破壊されやすく、また現像器内においてトナー粒子が一様に帯電されないため、良好な画像が形成されない。
【0027】
以上のようなトナーを製造する方法としては、代表的には、懸濁重合法と、乳化重合により得られた樹脂微粒子を有機溶剤、凝集剤等を添加して会合する乳化重合会合法がある。
【0028】
記録材Pが分離された後の感光体の表面上の残留トナーを除去するクリーニング器19は、図2に示されるように、ゴムブレード191と、このゴムブレード191の感光体回転方向上流側に設置されたブラシローラ192とから構成される。ブラシローラ192は、記録材Pが分離された後の感光体の表面上の残留トナーの大部分を掻き落とし、ゴムブレード191は、このブラシローラで除去されなかったトナーを掻き落とす機能を有する。
【0029】
ゴムブレード191は、図2に示されるように、支持部材195上に自由端を持つように設けられ、この自由端が、感光体10の回転方向と逆方向(カウンター方向)に伸びて圧接されるように設けられている。
【0030】
このゴムブレード191は、硬度が65〜80°、反発弾性が50%以上、ブレード荷重が10〜30gf/cm、実効当接角が7〜20°とされることが好ましい。
【0031】
ブラシローラ192は、円柱状のブラシ基体193と、このブラシ基体193に植設されたブラシ繊維194とから構成されている。
【0032】
ブラシ基体193の材料は、主にステンレス鋼、アルミニウム等の金属、紙、プラスチックが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
ブラシ繊維194の素材は、疎水性で、かつ誘電率が高い繊維形成性高分子重合体であることが好ましい。このような高分子重合体としては、例えばレーヨン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル酸樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)等が挙げられる。これらの樹脂は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。特に、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレンの何れかをブラシ部分の素材として用いることが好ましい。
【0034】
ブラシ繊維194の電気抵抗は1010Ω・cm以下であることが好ましい。ブラシ繊維194の電気抵抗がこの値より大きい場合には、ブラシ繊維194によるトナーの除電が十分に行われず、トナーの感光体10に対する静電的な付着力を低減することができないので、残留トナーのブラシローラ192によって除去される量が減少する。
【0035】
ブラシ繊維194の植設密度nは50〜200本/mm2 の範囲のものであることが好ましい。また、ブラシ繊維径tは0.01〜0.05mmの範囲、ブラシ繊維自由長Lは3〜10mmの範囲のものであることが好ましい。
【0036】
ブラシ繊維194の感光体10に対する食い込み量yは0.5〜1.5mmの範囲のものであることが好ましい。ここに、ブラシ繊維の感光体10に対する食い込み量yは、感光体10が存在しなかったときの、ブラシ繊維の先端が感光体10内へ入り込む最大値と定義される。すなわち、感光体の半径をr1、ブラシ基体193の半径をr2、ブラシ繊維の長さをs1、ブラシ基体の中心と感光体の中心との間の距離をs2とするとき、y=r1+r2+s1−s2である。
【0037】
ブラシ繊維のヤング率Eは500〜1000kgf/mm2 (4900〜9800N/m2 )の範囲のものであることが好ましい。
【0038】
ブラシローラ192には、必要に応じて、ブラシに付着した残留トナー等をはたき落とすための部材(フリッカー)を設けてもよい。
【0039】
ブラシローラ192は、感光体10に対する当接部分が感光体10に対して線速差xが1.1〜2.0mm/sの範囲となる速度で同方向に移動するよう、感光体10の回転方向に対して逆方向に回転されることが好ましい。
【0040】
また、感光体に当接するブラシ繊維1本あたりの実効擦過力fは、下記式2によって表される。
【0041】
【数3】
式(2) f=ayEt3 /L3 
(式(2)中、aは定数をあらわす。)
【0042】
感光体に当接するブラシ繊維群による実効擦過力Fは、感光体に当接するブラシ繊維1本あたりの実効擦過力fに、ブラシ繊維の植設密度nと、単位時間あたりにブラシ繊維と感光体が擦過する回数を乗じた積であり、前記式(1)により示される。
【0043】
実効擦過力Fの値が2.5〜10.5の範囲とされることにより、ブラシローラは、残留トナーの感光体に対する静電的あるいは物理的な付着力が低減されて、トナーは高い効率でブラシローラにより掻き落とされ、ゴムブレードに到達するトナーの量は低減される。これにより、トナーによるゴムブレードの摩耗が抑制され、その結果、黒スジと呼ばれる画像不良等を長期に亘って防止することができる。
【0044】
また、実効擦過力Fの値が2.5〜10.5の範囲とされることにより、ブラシローラによって感光体表面は適度に摩耗されるため、例えば、表面への紙粉の付着が減少して、高湿下における画像流れと呼ばれる不具合の発生を防止することができる。
【0045】
実効擦過力Fの値が2.5より小さい場合は、ブラシローラによる感光体の擦過力が弱いため、ゴムブレードに到達するトナーの量は低減されず、トナーによるゴムブレードの摩耗が大きくなるので、黒スジと呼ばれる画像不良等が発生しやすくなる。
【0046】
一方、実効擦過力Fの値が10.5より大きい場合は、ブラシローラによる感光体の擦過力が過大であるため、感光体表面は過度に摩耗されて、感光体の表面粗さが大きくなり、クリーニング不良が発生しやすくなる。また、ブラシローラによるトナー除去率が高すぎるため、ゴムブレードへ供給されるトナーが不十分となり、感光体との摩擦力が過大となり、ゴムブレードのエッジが損傷したり、ゴムブレードがめくれたり、またはバウンディングを生ずるといった不具合が発生することにより、クリーニング不良が発生しやすくなる。
【0047】
【実施例】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
(トナー製造例1:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgを純水10.0Lに攪拌溶解して得られた溶液に、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)1.20kgを徐々に加えて、1時間よく攪拌した後、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて20時間連続分散処理を行い、これにより着色剤分散液1を得た。
【0049】
一方、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換水4.0Lに溶解させてアニオン界面活性剤溶液Aを得た。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0Lに溶解させてノニオン界面活性剤溶液Bを得た。さらに、過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0Lに溶解させて開始剤溶液Cを得た。
【0050】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容量100Lのグラスライニング反応釜に、ワックスエマルジョン3.41kgと、アニオン界面活性剤溶液Aおよびノニオン界面活性剤溶液Bとを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0Lを加えた。
ワックスエマルジョンは、数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョンであり、数平均一次粒子径は120nmであり、固形分濃度は29.9%のものである。
【0051】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで開始剤溶液Cを滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとの混合物を滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて6時間加熱攪拌を行った。次いで、液温度を40℃以下に冷却して攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過することにより、ラテックス1−Aを得た。
このラテックス1−Aの樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、重量平均分子量は1.27万、質量平均粒径は120nmであった。
【0052】
一方、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換水4.0Lに溶解してアニオン界面活性剤溶液Dを得た。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0Lに溶解してノニオン界面活性剤溶液Eを得た。さらに、過硫酸カリウム200.7gをイオン交換水12.0Lに溶解して開始剤溶液Fを得た。
【0053】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた容量100Lのグラスライニング反応釜に、ワックスエマルジョン3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Dとノニオン界面活性剤溶液Eとを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0Lを投入した。
ワックスエマルジョンは、数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョンであり、数平均一次粒子径は120nmであり、固形分濃度は29.9%のものである。
【0054】
加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、開始剤溶液Fを添加した。次いで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとを混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて12時間加熱攪拌を行った。次いで、液温度を40℃以下に冷却して攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過することによりラテックス1−Bを得た。
このラテックス1−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、重量平均分子量は24.5万、質量平均粒径は110nmであった。
【0055】
一方、塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0Lに溶解して塩化ナトリウム溶液Gを得た。また、フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00Lに溶解してノニオン界面活性剤溶液Hを得た。
【0056】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、並びに生成粒子の粒径および形状を監視するモニタリング装置を付けた容量100Lのステンレス鋼反応釜に、ラテックス1−Aの20.0kgと、ラテックス1−Bの5.2kgと、着色剤分散液1の0.4kgと、イオン交換水20.0kgとを入れて攪拌した。次いで、前記で調製した溶液を40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始して、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加温攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させ、純水2.1Lを添加して粒径成長を停止して、融着粒子分散液を得た。
【0057】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた容量5Lの反応容器に、融着粒子分散液5.0kgを入れて、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御を行った。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止し、遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩で濾過し、会合液1を得た。次いで、ヌッチェを用いて、会合液1よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取し、イオン交換水により洗浄した。
【0058】
この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0059】
具体的には、前記塩析/融着の段階および形状制御の工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状の変動を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動を調整して、下記表1に示すトナー1、並びに比較用トナーaおよび比較用トナーbを得た。
【0060】
(トナー製造例2:懸濁重合法の例)
スチレン165g、n−ブチルアクリレート35g、カーボンブラック10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物2g、スチレン−メタクリル酸共重合体8g、および融点が70℃であるパラフィンワックス20gを60℃に加温して、「TKホモミキサー」(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した。これに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−バレロニトリル)10gを加えて溶解させて、重合性単量体組成物を調製した。
【0061】
一方、イオン交換水710gに濃度0.1mol/Lの燐酸ナトリウム水溶液450gを加えて、TKホモミキサーにて13000rpmで攪拌しながら濃度1.0mol/Lの塩化カルシウム68gを徐々に加えて、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製して、この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加して、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌して、重合性単量体組成物を造粒した。
【0062】
その後、75〜95℃にて5〜15時間、懸濁液と重合性単量体組成物とを反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去して、次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、ついで濾過、洗浄、乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して懸濁重合法によるトナーを得た。
【0063】
具体的には、上記の重合性単量体組成物の調製においてモニタリングを行い、液温度、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動を調整して、下記表1に示すトナー2を得た。
【0064】
【表1】
Figure 2004020668
【0065】
(現像剤の製造)
上記の各トナーと、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した、平均粒径が60μmであるフェライトキャリアとを、トナーが75g、キャリアが1425gとなる割合で混合することにより、現像剤を製造した。
【0066】
下記表2に示すブラシローラの条件に従って、前記トナー1およびトナー2並びに比較用トナーaおよび比較用トナーbを用い、後述する画像形成装置により画像形成テストを行った。
【0067】
画像形成テストでは、高温高湿環境、常温常湿環境および低温低湿環境の各々において500000枚の画像を形成し、画像欠陥の発生の有無を調べた。高温高湿環境は、気温30℃、湿度80%、常温常湿環境は、気温20℃、湿度50%、低温低湿環境は、気温10℃、湿度20%の環境である。
【0068】
画像形成装置としては、スキャナー部で画像を読み取り、デジタル信号に変換して各種画像処理を行い、レーザー光を感光体に照射して潜像を形成するデジタル複写機を用いた。感光体の線速度は420mm/sに設定した。クリーニング装置は、ゴムブレードと、このゴムブレードの感光体回転方向上流側に設置された回転するブラシローラとからなり、ゴムブレードはウレタンゴムを感光体に対しカウンター方向に当接させた。このゴムブレードの硬度の値は70°、反発弾性の値は68%(25℃)、ブレード荷重の値は22.5gf/cm、実効当接角の値は14°に設定した。
【0069】
【表2】
Figure 2004020668
【0070】
実施例1〜実施例4で示されるトナー種類およびブラシローラ条件においては、高温高湿環境、常温常湿環境および低温低湿環境にて500000枚の画像の形成を行い、例えば黒スジや画像流れと呼ばれる画像欠陥は発生せず、常に良好な画像が安定して得られた。
【0071】
比較例1においては、低温低湿環境にて、80000枚の画像を形成した段階でクリーニング不良が発生した。また、高温高湿環境にて、60000枚の画像を形成した段階で画像流れと呼ばれる不具合が発生した。
【0072】
比較例2においては、低温低湿環境にて、2000枚の画像を形成した段階でブレードバウンディングと呼ばれる不具合が発生した。さらに150000枚の画像を形成した段階でゴムブレードのエッジが欠けることによるクリーニング不良が発生した。また、200000枚の画像を形成した段階で感光体摩耗によるカブリと呼ばれる不具合が発生した。高温高湿環境にて、60000枚の画像を形成した段階でカブリが発生した。
【0073】
上記の結果のように、トナー粒子の個数平均粒径が3〜8μmの範囲で形状係数が0.940〜0.985の範囲のものであり、感光体に当接するブラシ繊維群による実効擦過力Fの値が2.5〜10.5の範囲のものであるとき、良好な画像が安定して得られることが確認された。
【0074】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置によれば、特定の条件が満たされたトナーを用いるとともに、特定の条件で動作されるブラシローラを具えたクリーニング手段を採用することにより、常に画像欠陥のない良好な可視画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の構成の一例を示す説明図である。
【図2】感光体、ブラシローラ、ゴムブレードの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
10 感光体
11 帯電器
12 像露光器
121 ポリゴンミラー
122 反射ミラー
13 現像器
131 現像スリーブ
14 給紙ローラ
15 転写ローラ
16 分離ブラシ
17 定着装置
171 加熱ローラ
172 加圧ローラ
18 排紙ローラ
19 クリーニング器
191 ゴムブレード
192 ブラシローラ
193 ブラシ基体
194 ブラシ繊維
195 支持部材
20 露光部
21 カートリッジ

Claims (1)

  1. 回転される感光体に形成された潜像をトナーにより現像し、形成されたトナー像を記録材に転写して定着し、クリーニング手段により感光体上の残留トナーを除去する構成の画像形成装置において、
    トナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させる方法によって製造された、個数平均粒径が3〜8μmの範囲で形状係数が0.940〜0.985の範囲のものであり、
    クリーニング手段は、感光体に当接するゴムブレードと、ブラシ繊維が植設され、感光体に対して線速差のある状態で当該感光体に当接しながら回転されるブラシローラとを有してなり、
    前記ブラシローラは、感光体に当接するブラシ繊維群による下記式(1)で表される実効擦過力Fの値が2.5〜10.5の範囲とされていることを特徴とする画像形成装置。
    Figure 2004020668
    (式(1)中、
    nはブラシ繊維の植設密度(本/mm2 )、
    xはブラシローラと感光体の線速差(mm/s)、
    yは感光体に対するブラシ繊維の食い込み量(mm)、
    Eはブラシ繊維のヤング率(kgf/mm2 )、
    tはブラシ繊維の径(mm)、
    Lはブラシ繊維の自由長(mm)
    をそれぞれあらわす。)
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