JP4172163B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンター等に用いられる画像形成方法、画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられる像担持体としては有機光導電性物質を含有する有機感光体(以下単に感光体とも云う)が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点である。
【0003】
しかしながら、有機感光体を使用する画像形成方法においては、当該有機感光体に纏わる種々の問題があった。
【0004】
▲1▼例えば、大量の像形成を繰り返すうちに、クリーニング不良が顕在化し、紙粉やトナー等の有機感光体上への沈着により、フィルミング(紙粉やトナーによる膜形成)が発生し、更に、転写性能を低下させ、画像ムラ等を発生せしめる。
【0005】
▲2▼また、クリーニング装置としてクリーニングブレードを用いると、有機感光体とクリーニングブレードの接触摩擦がしばしば不安定になり、ブレードめくれやブレード鳴き等のブレード劣化が発生しやすい。
【0006】
一方、電子写真方式の画像形成方法は近年のデジタル技術の進展により、デジタル方式の画像形成が主流と成ってきている。デジタル方式の画像形成方法は400dpi(1インチ=2.54cm当たりのドット数)等の1画素の小さなドット画像を顕像化することを基本としており、これらの小さなドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求されている。
【0007】
このような高画質化技術の1つがトナーの製造技術に関する技術である。即ち、トナー粒子の粒度分布、及び形状の均一化を達成する手段として、重合トナーを用いた電子写真用現像剤、或いは画像形成方法が提案されている。該重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られ、これらのトナーを用いた現像を用いると原画像を忠実に再現しやすい。
【0008】
しかし、前記重合トナーを有機感光体を用いた画像形成装置に採用するとき新たな技術課題が発生している。即ち、該重合トナーは前記のように、トナー形状がモノマーの重合過程等で形成されるため、ほぼ球形の形状で作製される。既によく知られているように球形形状の残留トナーはクリーニング不良、それに続くフィルミングを発生しやすく、このことが原因となって、転写性能を低下させ、画像ムラ等を発生せしめる。
【0009】
前記した有機感光体のフィルミングを防止する為に、トナーに疎水性シリカ等の流動化剤を添加することが知られている。しかし、これらの流動化剤は一次粒径が小さいためトナー表面に埋没しやすく、効果が長続きしない。
【0010】
一方、フィルミングを防止するために、研磨硬化の大きい大粒径の外添剤を添加すると、クリーニングブレードとの摩擦等で、有機感光体の表面摩耗が大きくなり、擦り傷もつきやすく、感光体の耐久性が小さくなるという問題があった。そこで、これらの問題を解決し、有機感光体の表面摩耗が小さく、擦り傷等のつきにくい、安定したクリーニング方式と外添剤の使用方法についての技術開発が求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を解決し、有機感光体を用いた場合でも、長期に亘って良好なクリーニング性能を保持し、画像不良がなく、良好な電子写真画像を形成できる画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記問題を解決するために検討を重ねた結果、外添剤の研磨性を効果的にコントロールするクリーニング方法を用いることにより大粒径の外添剤を用いなくても、有機感光体上の残留トナーのクリーニング不良等によるフィルミングの発生を効果的に除去できることを見出した。
【0013】
即ち、本発明の目的は下記の構成のいずれかをとることにより達成される。
1.有機感光体上に形成された静電潜像を、トナーを含有する現像剤により現像し、該現像により顕像化されたトナー像を有機感光体から転写材に転写した後、有機感光体上に残留したトナーを25±5℃におけるJISA硬度が55〜90のウレタンゴムのクリーニングブレードを用いて除去する画像形成方法において、該クリーニングブレードの反発弾性は25〜80であり、その先端部は有機感光体の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて圧接し、該圧接する面と反対側の面で、クリーニングブレードが厚さ0.01〜2mmのSUS300系又はSUS400系のステンレス薄板、或いはアルミニウムの金属薄板部材と接着しており、クリーニングブレードの自由長aと金属薄板部材の自由長bは式1の関係を満たし、且つ、クリーニングブレードの厚さt1と金属薄板部材の厚さt2は式2の関係を満たし、該現像剤に用いられるトナーが着色粒子に少なくとも数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子を添加してなるトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
式1
0.1<b/a≦0.9 (但し、aは6〜15mm)
【0015】
式2
1/200≦t2/t1≦1 (但し、t1は0.5〜10mm)
2.前記数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子の添加量がそれぞれ前記トナー中に0.1〜3.0質量%であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0016】
3.前記1又は2に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
【0017】
本発明を更に詳しく説明する。
図1は本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0019】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0020】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0021】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0022】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体(以下、感光体ドラムとも云う)121と、その外周に、帯電手段である帯電器122、現像手段である現像装置123、転写手段である転写器124、分離手段である分離器125、クリーニング装置126及びPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。感光体121は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が好ましく使用され、図示の時計方向に駆動回転される。
【0023】
回転する感光体121へは帯電器122による一様帯電がなされた後、露光光学系130により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である露光光学系130は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)、シリンドリカルレンズ(符号なし)を経て反射ミラー132により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い潜像を形成する。
【0024】
感光体121上の潜像は現像装置123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット141(A)、141(B)、141(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ143によって搬送路140に沿って給紙され、給紙される転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路140、転写前ローラ143a及び転写進入ガイド板146に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写器124によって転写紙Pに転写され、次いで分離器125によって除電されて転写紙Pは感光体121面より分離し、搬送装置145により定着器150に搬送される。
【0025】
定着器150は定着ローラ151と加圧ローラ152とを有しており、転写紙Pを定着ローラ151と加圧ローラ152との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを熔着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ164上に排出される。
【0026】
図2は本発明のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置の構成図である。
【0027】
該クリーニング装置はクリーニングブレード126Aと金属薄板部材126Bが支持部材(一般に金属板で構成されている)191に取り付けられている。該クリーニングブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。例えば、特開昭59−30574号に記載のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴム等が好ましい。
【0028】
又、本発明において金属薄板部材とは厚さが0.01〜2mm、特に好ましくは0.02〜0.5mmの金属板であり、クリーニングブレードと張り合わせ可能な形状を有する部材を意味する。金属薄板の材料としては柔軟性のある金属薄板であれば、どのような金属材料でも用いることができるが、好ましくはSUS300系、SUS400系のステンレス板、アルミニウム板、リン青銅板等が用いられる。
【0029】
本発明において、この金属薄板部材126Bとクリーニングブレード126Aを支持部材191に固定させるとき、金属薄板部材をクリーニングブレードが感光体に当接面と反対側の面で密着させるように配置して支持部材に取り付け保持させる。このとき、クリーニングブレードと金属薄板部材の接触している部位はブレードで発生する振動を確実に金属薄板部材へ伝播、吸収させることのできる機構を有している。このような保持方法を採ることにより、クリーニングブレードの振動を効果的に金属薄板部材に吸収させることができ、ブレードの振動を安定化させることができる。
【0030】
感光体表面へのクリーニングブレードの適正圧接条件は、諸特性の微妙なバランスにより決められており、かなり狭いものである。クリーニングブレードの厚み等の特性によっても変わり、設定には精度を要する。しかし、クリーニングブレードは作製時にどうしてもその厚みに多少のバラツキができるため、適正な条件で常に設定されるとはいえず、例え当初は適正に設定されても、適正領域が狭いため使用の過程で適正領域からはずれてしまうこともある。特に高分子量のバインダー樹脂を用いた有機感光層と組み合わせた場合、適正領域からはずれると、ブレードめくれやトナーすり抜けの原因となる。
【0031】
従って、クリーニングブレードの特性のバラツキ等をキャンセルするためにも本発明は有効な手段であり、クリーニングブレードの厚みのバラツキが例えあっても、金属薄板部材によりブレードの振動を効果的に吸収することにより、感光体面へのクリーニングブレードの設定条件を適正領域の中に安定に維持することができる。
【0032】
本発明において、感光体表面に圧接するクリーニングブレードの先端部は、感光体の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて負荷をかけた状態で圧接することが好ましい。図2に示すようにクリーニングブレードの先端部は感光体と圧接するときに、圧接面を形成することが好ましい。
【0033】
本発明のクリーニングブレードと金属薄板部材との位置関係は図2のように双方の先端間に段差を設けた構成になっている。更に、金属薄板部材の自由長はクリーニングブレードの自由長より短い。このような構成にすることにより、クリーニングブレードの先端部での変形(感光体に圧接する事による変形)を阻害することなく、しかもクリーニングブレードの振動を金属薄板部材により吸収し、クリーニングブレードの振動を安定させることができる。
【0034】
本発明のクリーニング装置はクリーニングブレードと金属薄板部材の自由長の比は図2に示すようにクリーニングブレードの自由長をa、金属薄板部材の自由長をbとすると、式1を満足するように設計されている。自由長とはクリーニングブレード及び金属薄板部材、各々の支持部材に保持されていない部分の長さのことで、図2に示すように支持部材191の端部Bから変形前のクリーニングブレード、金属薄板部材各々の先端点までの長さを示すものである。
【0035】
式1
0.1<b/a≦0.9
b/aを上記範囲に、即ちb/aが0.1を超え、0.9以下となるように設計することにより、クリーニングブレードの先端部での変形(感光体に圧接する事による変形)を阻害することなく、しかもクリーニングブレードの振動を金属薄板部材により吸収し、ブレードめくれやトナーすり抜けが発生しない安定したクリーニング性を実現できることを見いだした。更に、本発明では0.3〜0.7の範囲がより好ましい。一方、b/aが0.1以下ではトナーすり抜けが発生しやすくなり、b/aが0.9より大きいとブレードめくれが発生しやすい。
【0036】
本発明のクリーニング装置はクリーニングブレードと金属薄板部材の厚さの比は図2に示されるようにクリーニングブレードの厚さをt1、金属薄板部材の厚さをt2とすると、式2を満足するように設計されている。
【0037】
式2
1/200≦t2/t1≦1
t2/t1を上記範囲に、即ちt2/t1の値が1/200〜1になるように設計することにより、クリーニングブレードは支持部材に安定して保持され、しかもクリーニングブレードの振動を金属薄板部材により吸収し、ブレードめくれやトナーすり抜けが発生しない安定したクリーニング性を実現できることを見いだした。更に、t2/t1の値は1/100〜1/4の範囲が好ましい。一方、t2/t1が1/200未満ではトナーすり抜けが発生しやすくなり、t2/t1が1より大きいとブレードめくれが発生しやすい。
【0038】
本発明において前記クリーニングブレードの感光体への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、P=5〜40N/m、θ=5〜35°である。
【0039】
当接荷重Pはブレード126Aを感光体ドラム121に当接させたときの圧接力P′の法線方向ベクトル値である。
【0040】
又当接角θは感光体の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレード(図面では点線で示した)とのなす角を表す。172は支持部材を固定するための固定ねじ、193は荷重バネを示す。
【0041】
又、前記クリーニングブレードの自由長aは図2に示すように支持部材191の端部Bの位置から変形前のブレードの先端点の長さを表す。該自由長の好ましい値としてはa=6〜15mmである。前記クリーニングブレードの厚さは0.5〜10mmが好ましい。ここで、本発明のクリーニングブレード及び金属薄板部材の厚さとは図2に示すように支持部材191の接着面に対して垂直な方向を示す。
【0042】
本発明に用いられるクリーニングブレードはゴム弾性体が好ましく、クリーニングブレードと金属薄板部材の物性を同時にコントロールすることにより、本発明のクリーニング条件をより良く調整でき、トナーのクリーニング性をより有効に制御できる。
【0043】
又、クリーニングブレードの他の物性としては、硬度は25±5℃におけるJISA硬度が55〜90の範囲が好ましい。55よりも小さくなるとクリーニング性能が低下しやすく、90より大きくなるとブレードの反転が起こり易い。また、クリーニングブレードの反発弾性は25〜80の範囲が好ましい。反発弾性が80を超えるとブレードの反転がおこり易くなり、25未満だとクリーニング性能が低下する。ヤング率は、294〜588N/cm2の範囲のものが好ましい。
【0044】
又、クリーニングブレードは、必要に応じ、感光体と接触するクリーニングブレードのエッジ部にフッ素系潤滑剤をスプレー塗布するか、もしくは、その上にさらに、幅方向全域にわたった先端部に、フッ素系ポリマーおよびフッ素系樹脂粉体をフッ素系溶剤に分散させた分散体を塗布することが好ましい。
【0045】
次に、本発明の有機感光体について記載する。
本発明において、有機電子写真感光体(有機感光体)とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0046】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに構成するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0047】
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0048】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0049】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0050】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0051】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0052】
又本発明に最も好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0053】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0054】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0055】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0056】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0057】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0058】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0059】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0060】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0061】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0062】
本発明の中間層、感光層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0063】
次に本発明の有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0064】
本発明では、有機感光体を使用した場合に発生する高温高湿環境下での画像ボケや筋状、或いは斑点状の画像欠陥は前記金属薄板部材を貼り合わせたクリーニングブレードを用いると共にトナー中に数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子を添加することが有効であることを見出した。即ち、トナーに数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子を着色粒子に外添して作製したトナーを用いることにより、感光体表面の吸着成分を効果的に除去でき、画像流れや筋状、或いは斑点状の画像欠陥の発生問題を解決する事ができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0065】
以下、本発明に用いられるトナーについて記載する。
本発明のトナーは着色粒子に少なくとも数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子を添加して作製したトナーである。後者の微粒子が200nmより大きいと、微粒子が遊離しやすく、画像がざらつき、鮮鋭さが低下しやすい。又、前者の微粒子が5nmより小さいと現像性が低下し、画像濃度が低下しやすい。
【0066】
この内、50〜200nmの微粒子の材料として好ましく用いられるものは、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム等をあげることができる。
【0067】
なお、添加量としてはトナー中に0.1〜3.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%である(ここでトナーの総質量は微粒子も含めた総質量を指す)。この範囲を越えるとクリーニングに対する効果は増加するものの、大粒径の微粒子自体が遊離してしまう問題があり、飛散した粒子により帯電極の汚染や転写極の汚染が引き起こされ、白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。また、過小の場合には、クリーニングに対する効果を発揮することができない。
【0068】
5〜49nmの微粒子の材料として好ましく用いられるものはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等である。
【0069】
いずれの微粒子もそれぞれトナー中に0.1〜3.0質量%、好ましくは0.3〜2.5質量%である。この範囲を越えて添加すると、クリーニング性自体は向上するものの、微粒子自体が遊離してしまう問題があり、飛散した粒子により帯電極の汚染や転写極の汚染が引き起こされ、白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。さらには微粒子が遊離した状態でトナー中に存在しているために、感光体に対して傷を誘発する原因となり、感光体に傷をつけ、いわゆる黒ポチや白ポチを誘発する。また、過小の場合には、クリーニングに対する効果を発揮することができない。
【0070】
上記粒径は、数平均一次粒子径であり、透過型電子顕微鏡観察によって2000倍に拡大し、100個の粒子を観察し、画像解析によって測定されたものを示す。
【0071】
又、上記無機微粒子に疎水化処理をおこなったものでもよい。疎水化処理を行う場合には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤やシリコーンオイル等によって疎水化処理することが好ましく、さらに、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。
【0072】
上記微粒子外添剤の他に本発明のトナーには滑剤を添加することもできる。例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これら滑剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
〔トナー化工程〕
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0073】
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は外添剤を添加する前のトナー(着色粒子とも云う)の段階で着色粒子の製造段階で添加することが出来る。該着色粒子は従来の粉砕法により作製しても良く、重合法により作製してもよい。
【0074】
粉砕法で着色粒子を作製する場合は離型剤や荷電制御剤は樹脂と顔料の混練段階で添加できる。一方、重合法で作製する場合は樹脂重合の段階で添加する方法、樹脂粒子作製後の樹脂粒子凝集段階で顔料等と同時に添加する方法等が挙げられる。
【0075】
尚、重合法での離型剤としては、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナウバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。これらは離型剤粒子として加えられ、樹脂や着色剤と共に塩析/融着させることが好ましいことはすでに述べた。
【0076】
又重合法での荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0077】
これら離型剤や荷電制御剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0078】
以下、本発明で好ましく用いられる重合法によるトナー(着色粒子)について記載する。
【0079】
本発明に適用されるトナーとしては、個々のトナー粒子の粒度分布、及び形状が比較的均一な重合トナーが好ましい。ここで、重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状が、バインダー樹脂の原料モノマーの重合及びその後の化学的処理により形成されて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により該重合反応後に行われる粒子同志の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
【0080】
本発明に用いられる重合トナーとしては特定の形状を有するトナーが好ましい。以下、本発明に好ましく用いることのできる重合トナーについて記載する。
【0081】
本発明に適用される好ましい重合トナーとしては、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することである。このような特性の重合トナーを使用すると、クリーニングブレードの振動を安定させることができ、優れたクリーニング性能を発揮することを見出した。
【0082】
又、クリーニングブレードの振動の安定性は、トナー粒子の粒径によっても異なり、粒子径の小さいものの方が像担持体への付着力が高いために、振動が過大となりやすく、且つトナーがクリーニングブレードをすり抜ける確率が高い。しかしながら、トナー粒子径が大きいものでは、このようなすり抜けは減少するが、解像度等の画質が低下する問題が発生する。
【0083】
以上の観点より検討を加えた結果、トナーの形状係数の変動係数が16%以下であり、且つトナーの個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができることを見出した。
【0084】
また、角がないトナー粒子を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御したものを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0085】
トナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0086】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0087】
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0088】
重合トナーとしては、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上が好ましく、より好ましくは、70個数%以上である。
【0089】
この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などでの摩擦帯電性がより均一となり、過度に帯電したトナーの蓄積が無く、現像剤搬送部材表面よりトナーがより交換しやすくなるために、現像ゴースト等の問題も発生しにくくなる。さらに、トナー粒子が破砕しにくくなって帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
【0090】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナーを調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調整する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調整する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.0〜1.6、または1.2〜1.6に調整したトナーを同様に通常のトナーへ添加して調整する方法がある。
【0091】
重合トナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
この形状係数の変動係数は16%以下が好ましく、更に好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0092】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0093】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0094】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0095】
トナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0096】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
トナーの個数変動係数は27%以下でありが好ましく、更に好ましくは25%以下である。個数変動係数が27%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する。
【0097】
個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0098】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0099】
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、すなわち、図3(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図3(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0100】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0101】
角がないトナー粒子の割合は50個数%以上が好ましく、更に好ましくは70個数%以上である。角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、いわゆる現像剤搬送部材表面に対する付着性の過度なトナーの存在を防止することができるとともに、現像剤搬送部材に対する汚染を抑制することができ、帯電量もシャープにすることができる。また、摩耗、破断しやすいトナー粒子および電荷の集中する部分を有するトナー粒子が減少することとなり、帯電量分布がシャープとなって、帯電性も安定し、良好な画質を長期にわたって形成できる。
【0102】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0103】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0104】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0105】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性の過度なトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、現像性を長期に亘って安定化することができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0106】
本発明に好ましく用いられる重合トナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0107】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0108】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0109】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0110】
形状係数を制御する方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0111】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0112】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0113】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0114】
なお、本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0115】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0116】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0117】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0118】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0119】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0120】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0121】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0122】
使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0123】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17、601(1960)高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0124】
凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0125】
無限溶解する溶媒とは、すなわち水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0126】
この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0127】
なお、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特にはかられやすいものと考えられる。
【0128】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0129】
トナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0130】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0131】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0132】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
【0133】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0134】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0135】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さい球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることにより球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。以下、本発明に好ましく用いられる重合トナーの反応装置について記載する。
【0136】
まず、重合トナーの製造に好ましく用いられる反応装置について説明する。図4および図5は、それぞれ、重合トナー反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図4および図5に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1を外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2内の中心部に回転軸3を垂設し、該回転軸3に攪拌槽2の底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40と、より上段に配設された攪拌翼50とが設けられている。上段の攪拌翼50は、下段に位置する攪拌翼40に対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90度(°)未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角αが90度未満であることが好ましい。
【0137】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50によりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40により、上段の攪拌翼50で形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
【0138】
なお、図4および図5中、矢印は回転方向を示し、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口、9は攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0139】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図6に記載する。図6(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0140】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0141】
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0142】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0143】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0144】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌槽としては、前述の懸濁重合法と同様のものが使用できる。この場合、攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが必要である。
【0145】
この攪拌翼の形状についても、層流を形成させ、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図6(a)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0146】
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤でもよいが、好ましくは二成分現像剤である。
【0147】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
【0148】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
【0149】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0150】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0151】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0152】
実施例に用いる感光体として以下の感光体を作製した。
感光体1の作製
〈下引き層〉
チタンキレート化合物(TC−750:松本製薬製) 30g
シランカップリング剤(KBM−503:信越化学社製) 17g
2−プロパノール 150ml
上記塗布液を用いてφ100mmの円筒形の導電性支持体上に、乾燥膜厚0.5μmとなるよう塗布した。
【0153】
〈電荷発生層〉
Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の最大ピーク角度が2θで27.3) 60g
シリコーン変性ブチラール樹脂(X−40−1211M:信越化学社製)700g
2−ブタノン 2000ml
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記下引き層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0154】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質〔N−(4−メチルフェニル)−N−{4−
(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン〕 225g
ポリカーボネート(粘度平均分子量30,000) 300g
酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製) 6g
ジクロロメタン 2000ml
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成し感光体1を作製した。
【0155】
感光体2の作製
感光体1の電荷輸送層のポリカーボネートを粘度平均分子量80,000のポリカーボネートに代えた以外は感光体1と同様にして感光体2を作製した。
【0156】
以下に本発明に用いるトナーを作製した。
着色粒子1、2の作製(乳化重合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0lを入れ攪拌溶解する。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0lからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0157】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0lからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0lに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0158】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100lのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを加える。
【0159】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入する。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過し、これを「ラテックス▲1▼−A」とする。
【0160】
なお、ラテックス▲1▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0161】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0lに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0162】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0lに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0163】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100lのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを投入する。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加する。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下する。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス▲1▼−B」とした。
【0164】
なお、ラテックス▲1▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0165】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0lに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0166】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0167】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100lのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス▲1▼−A=20.0kgとラテックス▲1▼−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させる。次に純水2.1lを添加して粒径成長を停止する。
【0168】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5lの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止する。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液▲1▼とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液▲1▼よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0169】
この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を調整して、表1に示す着色粒子1、及び2を得た。
【0170】
着色粒子3の作製(懸濁重合法の例)
スチレン=165g、n−ブチルアクリレート=35g、カーボンブラック=10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)=20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した、これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)=10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。ついで、イオン交換水710gに0.1M燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて13000rpmで攪拌しながら1.0M塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、攪拌翼の構成が図4に示したような構成の反応装置(交差角αは45°)を使用し、75〜95℃にて5〜15時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、ついで濾過、洗浄、乾燥させた。
【0171】
前記重合時にモニタリングを行い、液温度、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を調整して、下記表1に示す着色粒子3を得た。
【0172】
【表1】
【0173】
以上の着色粒子1〜3と下記表3に示す外添剤を表2に示す様に添加し、ヘンシェルミキサーにて30m/secの回転条件で混合してトナー1〜12を作製した。
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】
現像剤の作製
前記「トナー1」〜「トナー12」のそれぞれとシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径が60μmのフェライトキャリアを混合してトナー濃度が6%の現像剤を作製し印字評価に使用した。この現像剤をトナーに対応して「現像剤1」〜「現像剤12」とする。
【0177】
クリーニングブレードと金属薄板部材の組み合わせの作製
クリーニング装置に用いるクリーニングブレードと金属薄板部材の組み合わせを表4のように14種類作製した。クリーニングブレードと金属薄板部材は両面テープで接着した。
【0178】
【表4】
【0179】
表中SUS:ステンレス薄板
アルミ:アルミ薄板を示す。
【0180】
クリーニング条件
自由長9mmのクリーニングブレードを感光体に回転方向に対してカウンター方向に線圧20(N/m)となるように重り荷重方式で当接した。
【0181】
評価
評価機としてコニカ社製デジタル複写機Konica7075(コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、クリーニングブレード、クリーニング補助ブラシローラー採用プロセスを有する)を用い、該複写機に表5に記載した感光体、現像剤、及びクリーニング装置の組み合わせを搭載して評価した。クリーニング性及び画像評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4中性紙にコピーした。環境条件は最も厳しいと思われる高温高湿環境(30℃、80%RH)にて連続15万枚コピー行い、文字画像、ハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を用いて評価した。評価項目及び評価基準を下記に示す。
【0182】
【表5】
【0183】
評価基準
画像ボケ(文字画像の解像度の低下により評価した)
○:15万枚コピー終了まで画像ボケ発生なし
△:15万枚コピー終了までに軽微な画像ボケが発生(文字の解読は可能)
×:15万枚コピー終了までに顕著な画像ボケが発生(文字の解読が不可能)
クリーニング性(5万、10万及び15万枚コピー終了後にA3紙に連続10枚コピーを行い、ベタ白部でのクリーニング不良の発生の有無で判定)
○:15万枚までトナーすり抜け等によるフィルミング発生なし
△:10万枚までトナーすり抜け等によるフィルミング発生なし
×:5万枚未満でトナーすり抜け等によるフィルミング発生
ブレードめくれ
○:15万枚コピー中ブレードめくれ発生なし
×:15万枚コピー中ブレードめくれ発生
総合画質(初期と15万枚コピー後に評価した。)
○:初期及び15万枚コピー後共に文字画像は鮮明に、ハーフトーン画像はなめらかに再現されて良好
△:初期は良好だが15万枚コピー後の文字画像、又はハーフトーン画像がざらつき、鮮鋭性が低下している。
【0184】
×:15万枚コピー後の文字画像、又はハーフトーン画像の濃度が低下し、鮮鋭性も低下している。
【0185】
クリーニングブレードの振動の大きさ
振動の大きさ測定方法
クリーニングブレードが接合された支持部材に小野測器社製加速度検出器NP−3210のセンサーを取り付け、感光体が一定回転になったときの振動を前記センサーにより10秒間読取り、該センサーからの出力データーを「ONO SOKKI CF6400 4チャンネルインテリジェントFFアナライザ」で演算処理して前記振動の振幅の平均値を得、これを前記ブレードの振動の大きさ(μm)で表した。
【0186】
感光体膜厚減耗量
感光体膜厚減耗量は実写評価開始時と15万枚コピー終了時に測定した感光体の平均膜厚の差分を求め、膜厚減耗量とした。
【0187】
膜厚測定法
感光層の膜厚は均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行った。
【0188】
その他評価条件
尚、上記デジタル複写機Konica7075を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0189】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定。
【0190】
現像条件
DCバイアス;−550V
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
評価結果を表6に示した。
【0191】
【表6】
【0192】
表6から明らかなように本発明の要件を満足した組み合わせNo.1〜8、13〜17、及び20〜22は、画像ボケの発生もなく、クリーニング性も良好であり、膜厚減耗量も少ない。一方、本発明外の5〜49nmの微粒子のみを用いたトナーの組み合わせNo.9は画像ボケが著しく発生しており、50〜200nmの微粒子のみを用いたトナーの組み合わせNo.10は画像濃度が低下し、総合画質が劣っている。又、微粒子が本発明外の大きさの現像剤の組み合わせNo.11、No.12ではクリーニング性や総合画質が低下している。又、本発明外のクリーニングブレードと金属薄板部材の組み合わせNo.18、24及び25はクリーニングブレードの振動が効果的に吸収されず、クリーニング性が低下したり、画像ボケが発生しており、組み合わせNo.19及び23ではクリーニングブレードの振動が過大になり、ブレードめくれが発生している。
【0193】
【発明の効果】
前記実施例からも明らかなように、金属薄板部材を有するクリーニングブレードと現像剤を組み合わせた本発明を実施することにより、有機感光体上の残留トナーをブレードめくれや、トナーすり抜けの発生もなく、効果的に除去することができ、総合画質が良好な画像形成方法、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
【図2】本発明のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置の構成図である。
【図3】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図4】重合トナー反応装置の一例を示す斜視図である。
【図5】重合トナー反応装置の一例を示す断面図である。
【図6】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【符号の説明】
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
124 転写器
125 分離器
126 クリーニング装置
126A クリーニングブレード
126B 金属薄板部材
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
191 支持部材
a クリーニングブレードの自由長
b 金属薄板部材の自由長
t1 クリーニングブレードの厚さ
t2 金属薄板部材の厚さ
Claims (3)
- 有機感光体上に形成された静電潜像を、トナーを含有する現像剤により現像し、該現像により顕像化されたトナー像を有機感光体から転写材に転写した後、有機感光体上に残留したトナーを25±5℃におけるJISA硬度が55〜90のウレタンゴムのクリーニングブレードを用いて除去する画像形成方法において、該クリーニングブレードの反発弾性は25〜80であり、その先端部は有機感光体の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて圧接し、該圧接する面と反対側の面で、クリーニングブレードが厚さ0.01〜2mmのSUS300系又はSUS400系のステンレス薄板、或いはアルミニウムの金属薄板部材と接着しており、クリーニングブレードの自由長aと金属薄板部材の自由長bは式1の関係を満たし、且つ、クリーニングブレードの厚さt1と金属薄板部材の厚さt2は式2の関係を満たし、該現像剤に用いられるトナーが着色粒子に少なくとも数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子を添加してなるトナーであることを特徴とする画像形成方法。
式1
0.1<b/a≦0.9 (但し、aは6〜15mm)
式2
1/200≦t2/t1≦1 (但し、t1は0.5〜10mm) - 前記数平均一次粒子径が5〜49nmの微粒子と50〜200nmの微粒子の添加量がそれぞれ前記トナー中に0.1〜3.0質量%である請求項1に記載の画像形成方法。
- 請求項1又は2に記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
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