JP3948213B2 - 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、高速で高画質画像を要求される画像形成装置には、殆ど、電子写真感光体上に静電潜像を形成し、乾式トナーで現像する画像形成方法が用いられている。
【0003】
その理由は、高画質画像が高速形成できる上に、長期間の使用においても性能が安定しており、カラー画像形成にも対応出来る等の長所を有しているためである。従って、今後もこの分野で大きな地歩を占めていくと考えられるが、そのためには幾つかの性能向上要求があることも事実である。その中で最も大きなものは更なる画質の向上である。
【0004】
高画質化の検討において、最も有効な対応策は、トナー粒径を小さくし、更にそのトナー形状と表面性を均一にするものであり、現在でも多くの技術検討が成されている。
【0005】
その中で開発された代表的な発明としては、例えば下記の如きものがある。
形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成されるトナー(以下、「トナーA」ともいう)を使用することで、耐オフセット性および定着性が高くなり、現像性、細線再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成することが出来る。
【0006】
又、角がないトナー粒子ではその表面が平滑(円滑)であってトナー粒子相互の融着が促進されることから、形状のバラツキが多少大きくても、同様の効果がある。即ち角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成されるトナー(以下、「トナーB」ともいう)を使用することで耐オフセット性および定着性が高くなり、現像性、細線再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成することが出来る。
【0007】
さらに、トナー粒子の形状を特定のものとすると共に、その形状を揃えた場合にも、トナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって空隙が減少し、同様の効果がある。すなわち、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子から構成されるトナー(以下、「トナーC」ともいう)を使用することで耐オフセット性および定着性が高くなり、現像性、細線再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成することが出来る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したトナーA、B、Cは耐オフセット性および定着性が高く、現像性、鮮鋭性(細線再現性)に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成するために、開発が進められて来たのであるが、ここにきていくつかの問題点があることもわかってきた。
【0009】
即ち、鮮鋭度は良いが、特に高温高湿下で電子写真感光体の減耗量がやや大きく、感光層が約15μmほどになると黒ポチが激増することが判明した。また、高温高湿下での電位安定性が悪く、カブリムラが生じる傾向があり、数万コピー以上の耐久性を要求される場合、上記利点が活用されないことである。
【0010】
さらに、トナー粒径が小径化、均一化されると潜像形成体(電子写真感光体)への付着力が高いために、クリーニング時のトルクが過大となりやすく、且つトナーがクリーニングブレードをすり抜ける確率が高く、クリーニング不良が発生すること、高温高湿下では中間層の接着性が弱く、感光体ドラム端部の膜剥がれの為、部分的に感光層が盛り上がり、クリーニングブレードが異常振動したり、クリーニング不良が発生すること等も問題となってきた。
【0011】
本発明の目的は、前記の如き特定形状のトナーで鮮鋭性を確保しつつ、黒ポチ、カブリムラ、クリーニング性、接着性等を改良する方策を見出し、長期使用においても安定して高画質性能を有する画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、上記の如き問題点を改善するには、電子写真感光体(単に感光体ということもある)の中間層として硬化型中間層を使用することで、感光層厚が15μm程度に減耗しても性能劣化を伴わず使用でき、上記欠点を克服することが出来ることを見い出した。
【0013】
即ち、本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成される。
〔1〕 導電性支持体上に、中間層を介して感光層を有する電子写真感光体上に形成された静電潜像を、少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーで顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、感光体の該中間層が有機金属化合物又はシランカップリング剤の少なくとも何れかを含有する層であり、該トナーとして、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下で、且つ、角のないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナーを使用することを特徴とする画像形成方法。
【0014】
〔2〕 前記中間層に含有される有機金属化合物が金属アルコキシド又は有機金属キレートであることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成方法。
【0015】
〔3〕 前記中間層が有機金属キレート及びシランカップリング剤を含有する層であることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成方法。
【0016】
〔4〕 前記中間層に含有される有機金属キレートが前記一般式(1)で示されることを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
〔5〕 前記中間層に含有されるシランカップリング剤が、前記一般式(2)で示されることを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
〔6〕 前記感光層がヒンダードアミン又はヒンダードフェノール化合物を含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0019】
〔7〕 前記トナーの形状係数の1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0020】
〔8〕 前記トナーの形状係数の1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0022】
〔9〕 前記トナー粒子の個数平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする〔1〕〜〔8〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0023】
〔10〕 前記トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔9〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0024】
〔11〕 前記トナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られることを特徴とする〔1〕〜〔10〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0025】
〔12〕 前記トナーの少なくとも樹脂粒子は水系媒体中で会合させて得られたことを特徴とする〔1〕〜〔11〕の何れか1項に記載の画像形成方法。
【0039】
〔13〕 〔1〕〜〔12〕の何れか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【0040】
〔14〕 〔1〕〜〔12〕の何れか1項に記載の画像形成方法を用い、感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写器、分離器及びクリーニング器の少なくとも1つとを組み合わせて造られていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0041】
【発明の実施の形態】
さらに本発明を詳細に説明する。
【0042】
〈本発明に用いられる中間層〉
次に、本発明の感光体は導電性支持体上に感光層を設けて画像形成を行った場合の優れた画質や接着性を確保する上で該導電性支持体と感光層との間に有機金属化合物又はシランカップリング剤の少なくとも何れかを含有する中間層を設けることに特徴を有する。
【0043】
《有機金属化合物、シランカップリング》
本発明の感光体の中間層に含有される有機金属化合物としては、例えばジルコニウムテトラ−n−プロピレート、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウム−i−プロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート等のアルコキシド化合物であってもよく、また周期律表の第1a族、第1b族、第2a族、第3a族、第3b族、第4a族、第4b族、第5a族、第5b族及び第8族から選ばれる金属原子と、キレート剤としてアセト酢酸エステル、βジケトン、アセチルアセトン、カテコール、エチレンジアミン、o−フェニレンビスジメチルアニリン等とにより3、4、6、8分子の範囲で分子配位してなる有機金属キレート化合物であってもよい。
【0044】
しかしながら、本発明の感光体の中間層には上記有機金属化合物として前記一般式(1)で示される有機金属キレート化合物を用い、かつ前記一般式(2)で示されるシランカップリング剤を組み合わせて含有させるのが好ましい。
【0045】
前記一般式(1)においてR1は低級アルキル基であり、Mはジルコニウム、チタニウム又はアルミニウム等の金属原子を表し、キレート形成基Kはアセト酢酸エステル基又はβ−ジケトン残基を表し、g、mは1以上の整数を表す。ただし、Mがジルコニウム又はチタニウムの場合、g+mは4であり、Mがアルミニウムの場合はg+mは3である。
【0046】
前記一般式(1)で表される有機金属キレート化合物の具体的化合物例としては、例えば、
ジイソプロポキシチタニウム(メチルアセトアセテート)
イソブトキシチタニウムトリ(メチルアセトアセテート)
トリブトキシチタニウムアセチルアセトネート
ジイソプロポキシアルミニウム(メチルアセトアセトネート)
ジブトキシチタニウムビス(エチルアセトアセトネート)
イソブトキシアルミニウム(アセチルアセトネート)
等を挙げることができる。
【0047】
次に前記一般式(2)で示されるシランカップリング剤において、Qはハロゲン原子、低級アルコキシ基又は置換基を有してもよいアミノ基を表し、Aは低級アルキル基又はフェニル基若しくはナフチル基等のアリール基を表し、有機官能基Yは−BOOC(R′)C=CH2、−BNHR″又は−BNH2を表す。R′は低級アルキル基を表し、R″は低級アルキル基またはフェニル基若しくはナフチル基等のアリール基を表し、Bは低級アルキレン基または−O−、−NH−、−CO−を含む低級アルキレン基を表す。p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表し、p+q+rは4である。
【0048】
前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤の具体的化合物例としては、例えば
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
等をあげることができる。
【0049】
本発明において、中間層の膜厚は0.1〜10μmが好ましく、特には0.1〜5μmが好ましい。
【0050】
《表面層に添加される酸化防止剤》
また、本発明においては繰り返しての画像形成の過程での感光体の電子写真性能の疲労劣化を十分に防止するため、表面層に酸化防止剤を含有させることが好ましく、特にヒンダードアミン、ヒンダードフェノール化合物、燐化合物又は硫黄化合物を含有させることが好ましい。
【0051】
前記酸化防止剤の中でも特にヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤が高温高湿時のカブリの発生や画像ボケ防止に特に効果がある。
【0052】
ヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤の樹脂層中の含有量は0.01〜20質量%が好ましい。0.01質量%未満だと高温高湿時のカブリや画像ボケに効果がなく、20質量%より多い含有量では樹脂層中の電荷輸送能の低下がおこり、残留電位が増加しやすくなり、又膜強度の低下が発生する。
【0053】
ここでヒンダードフェノールとはフェノール化合物の水酸基に対しオルト位置に分岐アルキル基を有する化合物類及びその誘導体を云う(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。
【0054】
ヒンダードアミン系とはN原子近傍にかさ高い有機基を有する化合物である。かさ高い有機基としては分岐状アルキル基があり、例えばt−ブチル基が好ましい。例えば下記構造式で示される有機基を有する化合物類が好ましい。
【0055】
【化1】
【0056】
式中のR13は水素原子又は1価の有機基、R14、R15、R16、R17はアルキル基、R18は水素原子、水酸基又は1価の有機基を示す。
【0057】
ヒンダードフェノール部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118137号公報(P7〜P14)記載の化合物が挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
ヒンダードアミン部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118138号公報(P7〜P9)記載の化合物も挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
以下に代表的な酸化防止剤の化合物例を挙げる。
【0060】
【化2】
【0061】
【化3】
【0062】
【化4】
【0063】
また、有機リン化合物としては、例えば、一般式RO−P(OR)−ORで表される化合物が代表的なものである。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0064】
さらに、有機硫黄系化合物としては、例えば、一般式R−S−Rで表される化合物がある。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0065】
又、製品化されている酸化防止剤としては以下のような化合物、例えば「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」以上ヒンダードフェノール系、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上ヒンダードアミン系が挙げられる。
【0066】
〈感光体の層構成〉
本発明の感光体の層構成は導電性支持体に中間層を介して電荷発生物質(CGM)を含有する電荷発生層(CGL)、電荷輸送物質(CTM)を含有する電荷輸送層(CTL)及び表面層(保護層として)をこの順に設けた構成でも良く、また中間層を介してCGMを含有するCGL及び表面層(CTLとして)をこの順に設けた構成でも良く、また中間層を介してCGMを含有する表面層(感光層として)を設けた構成でも良く、さらにまた中間層を介してCGM及びCTMを共に含有する感光層及び表面層(保護層として)をこの順に設けた構成であっても良い。
【0067】
しかしながら、本発明においては、実用性の点から導電性支持体に中間層を介してCGMを含有するCGL、CTMを含有するCTL及び表面層(保護層として)をこの順に設けた構成が特に重要である。
【0068】
《感光層に含有されるCGM、CTM》
本発明の感光層に含有されるCGMとしては、例えばフタロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム顔料、スクワリリウム染料、シアニン染料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、キサンテン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素等が挙げられ、これらのCGMは単独で又は適当なバインダー樹脂と共に層形成が行われる。
【0069】
前記感光層に含有されるCTMとしては、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、アミン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられこれらのCTMは通常バインダー樹脂と共に層形成が行われる。
【0070】
《感光層のバインダー樹脂》
単層構成の感光層、及び積層構成の場合のCGL、CTLに含有されるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0071】
本発明においてCGL中のCGMとバインダー樹脂との割合は質量比で1:5〜5:1が好ましい。またCGLの膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0072】
又、CTLは前記のCTMとバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解し、その溶液を塗布乾燥することによって形成される。CTMとバインダー樹脂との混合割合は質量比で3:1〜1:3が好ましい。
【0073】
また、CTLの膜厚は5〜50μm、特には10〜40μmが好ましく、CTLが複数設けられている場合は、該複数のCTLの上層の膜厚は10μm以下が好ましく、かつ、該複数のCTLの上層の下に設けられた全てのCTLの膜厚より小さいことが好ましい。
【0074】
《感光層用の溶剤、分散剤》
本発明の感光体の感光層、中間層、保護層等に用いられる溶剤又は分散剤としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶剤として用いることもできる。
【0075】
《導電性支持体》
次に本発明の電子写真感光体の導電性支持体としては、
1)アルミニウム板、ステンレス板などの金属板、
2)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、アルミニウム、パラジウム、金などの金属薄層をラミネート若しくは蒸着によって設けたもの、
3)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化錫などの導電性化合物の層を塗布若しくは蒸着によって設けたもの、
4)アルマイト、特に封孔処理したアルマイト基体等が挙げられる。
【0076】
本発明で用いられる導電性支持体の材料としては、主としてアルミニウム、銅、真鍮、スチール、ステンレス等の金属材料、その他プラスチック材料をベルト状またはドラム状に成形加工したものが用いられる。中でもコスト及び加工性等に優れたアルミニウムが好ましく用いられ、通常押出成型または引抜成型された薄肉円筒状のアルミニウム素管が多く用いられる。
【0077】
また、支持体の形状はドラム状でもシート状でもベルト状でもよく、適用する電子写真装置に適した形状であればよい。
【0078】
《塗布加工方法》
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の表面層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0079】
本発明においては、更に、支持体と中間層との間に支持体の表面欠陥を補うための被覆を施すことや、特に画像入力がレーザー光の場合には問題となる干渉縞の発生を防止することなどを目的とした導電層を設けることができる。この導電層は、カーボンブラック、金属粒子又は金属酸化物粒子等の導電性粉体を適当なバインダー樹脂中に分散した溶液を塗布乾燥して形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0080】
〈本発明に用いられるトナー〉
本発明に用いられるトナーAは、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成される。本発明に用いられるトナーBは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成される。本発明に用いられるトナーCは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子から構成される。
【0081】
《トナーの形状係数》
本発明のトナーの「形状係数」は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0082】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0083】
本発明のトナーAおよびトナーBにおいては、この形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上とすることが好ましく、より好ましくは、70個数%以上である。さらに好ましくは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上とすることであり、より好ましくは、70個数%以上である。この形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることにより、転写材に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、トナー粒子が破砕しにくくなって帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
【0084】
本発明のトナーCにおいては、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上とすることが必要であり、好ましくは、70個数%以上である。
【0085】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、トナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、トナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.0〜1.6または1.2〜1.6にしたトナー粒子を調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調整する方法がある。
【0086】
また、いわゆる重合法トナーを調製する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.0〜1.6または1.2〜1.6に調整したトナー粒子を同様に通常のトナーへ添加して調整する方法がある。上記方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0087】
《トナーの形状係数の変動係数》
本発明のトナーの「形状係数の変動係数」は下記式から算出される。
【0088】
変動係数(%)=(S1/K)×100
(式中、S1 は100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。)
本発明のトナーAおよびトナーCにおいて、この形状係数の変動係数は16%以下であり、好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層(粉体層)の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0089】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、本発明のトナーを構成する樹脂粒子(重合体粒子)を調製(重合)、当該樹脂粒子を融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0090】
《トナーの個数変動係数》
本発明のトナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナーの「個数粒度分布における個数変動係数」は下記式から算出される。
【0091】
個数変動係数(%)=(S2/Dn)×100
(式中、S2は個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。)
本発明のトナーAおよびトナーBの個数変動係数は27%以下であり、好ましくは25%以下である。個数変動係数が27%以下であることにより、転写されたトナー層(粉体層)の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する。
【0092】
本発明のトナーにおける個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0093】
《角がないトナー粒子の割合》
本発明のトナーBを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが必要とされ、この割合が70個数%以上であることが好ましい。本発明のトナーAおよびトナーCを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70個数%以上とされる。
【0094】
角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、転写されたトナー層(粉体層)の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、摩耗、破断しやすいトナー粒子および電荷の集中する部分を有するトナー粒子が減少することとなり、帯電量分布がシャープとなって、帯電性も安定し、良好な画質を長期にわたって形成できる。
【0095】
ここに、「角がないトナー粒子」とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。
【0096】
図1は、角がないトナー粒子、角があるトナー粒子を説明する図である。
図1(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円で、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円がトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図1(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0097】
角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0098】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0099】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、撹拌翼の回転数および撹拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0100】
《トナー粒子の粒径》
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0101】
本発明のトナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0102】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0103】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて撹拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0104】
《従来公知のトナーとの対比》
本発明のトナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合(トナーCにおいて65個数%以上)、形状係数の変動係数(トナーA、トナーCにおいて16%以下)、角がないトナー粒子の割合(トナーBにおいて50個数%以上)、個数粒度分布における個数変動係数(トナーA、トナーBにおいて27%以下)において、従来公知で広く用いられているトナーから区別される。
【0105】
本発明に係わる上記〜の数値について、従来広く知られているトナーの数値を説明する。この数値は製造方法により異なり、さらにその製造条件により異なるものであるが、代表的なものと比較して説明する。
【0106】
粉砕法トナーの場合、形状係数が1.2〜1.6であるトナー粒子の割合は60個数%程度である。このものの形状係数の変動係数は20%程度である。また、粉砕法では破砕を繰り返しながら粒径を小さくするために、トナー粒子に角部分が多くなり、角がないトナー粒子の割合は30個数%以下である。従って、形状を揃えて、角部分がなく、丸みのあるトナーを得ようとする場合には、形状係数を制御する方法として前記した様に熱等により球形化する処理が必要となる。また、個数粒度分布における個数変動係数は、粉砕後の分級操作が1回である場合には、30%程度であり、個数変動係数を27%以下とするためには、さらに分級操作を繰り返す必要がある。
【0107】
懸濁重合法によるトナーの場合、従来は層流中において重合されるため、ほぼ真球状のトナー粒子が得られ、例えば特開昭56−130762号公報に記載されたトナーでは、形状係数が1.2〜1.6であるトナー粒子の割合が20個数%程度となり、また形状係数の変動係数も18%程度となり、更に角がないトナー粒子の割合も85個数%程度となる。また、個数粒度分布における個数変動係数を制御する方法として前記した様に、重合性単量体の大きな油滴に対して、機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくするため、油滴径の分布は広くなり、従って得られるトナーの粒度分布は広く、個数変動係数は32%程度と大きいものであり、個数変動係数を小さくするためには分級操作が必要である。
【0108】
樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、例えば特開昭63−186253号公報に記載されたトナーでは、形状係数が1.2〜1.6であるトナー粒子の割合は60個数%程度であり、また形状係数の変動係数は18%程度であり、更に角がないトナー粒子の割合も44個数%程度である。さらに、トナーの粒度分布は広く、個数変動係数は30%程度であり、個数変動係数を小さくするためには分級操作が必要である。
【0109】
《トナーの製造方法》
本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであることが好ましく、また、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で会合させて得られるトナーであることが好ましい。以下、本発明のトナーを製造する方法について詳細に説明する。
【0110】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合して微粒の重合体粒子(樹脂粒子)を調製し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を会合する方法で製造することができる。ここで「会合」とは、前記樹脂粒子が複数個融着することをいい、当該樹脂粒子と他の粒子(例えば着色剤粒子)とが融着する場合も含むものとする。
【0111】
本発明のトナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを表す。
【0112】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0113】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3, 4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2, 4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0114】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0115】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0116】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0117】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0118】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0119】
前記樹脂粒子を水系媒体中で会合させる際に使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0120】
凝集剤と共に使用される「水に対して無限溶解する溶媒」としては、形成される樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。この水に対して無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。なお、粒子形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいからであると考えられる。
【0121】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0122】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0123】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0124】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0125】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0126】
本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0127】
疎水化度=(a/(a+50))×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0128】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さいほぼ球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることによりほぼ球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。
【0129】
〈現像剤〉
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが好ましい。
【0130】
〈現像方法〉
本発明のトナーが使用できる現像方法としては特に限定されない。非接触現像方式に適用の場合についての例を説明する。非接触現像方式とは、現像剤担持体(現像剤搬送部材)上に形成された現像剤層と感光体とが接触しないものであり、この現像方式を構成するために現像剤層は薄層で形成されることが好ましい。この方法は現像剤担持体表面の現像領域で20〜500μmの現像剤層を形成させ、感光体と現像剤担持体との間隙が該現像剤層よりも大きい間隙を有するものである。この薄層形成は磁気の力を使用する磁性ブレードや現像剤担持体表面に現像剤層規制棒を押圧する方式等で形成される。さらに、ウレタンブレードや燐青銅板等を現像剤担持体表面に接触させ現像剤層を規制する方法もある。押圧規制部材の押圧力としては10〜150mN/mmが好適である。押圧力が小さい場合には規制力が不足するために搬送が不安定になりやすく、一方、押圧力が大きい場合には現像剤に対するストレスが大きくなるため、現像剤の耐久性が低下しやすい。好ましい範囲は30〜100mN/mmである。現像剤担持体と感光体表面の間隙は現像剤層よりも大きいことが必要である。さらに、現像に際して現像バイアスを付加する場合、直流成分のみ付与する方式でも良いし、交流バイアスを印加する方式のいずれでも良い。
【0131】
本発明においては、この現像剤担持体(現像剤搬送部材)と静電潜像保持体(感光体)との間には交番電界を印加することが好ましい。この交番電界を印加することによってトナーを有効に飛翔させることができる。この交番電界の条件は、交流周波数fが200〜8000Hzであり、交流電圧Vp−pが500〜3000Vであることが好ましい。この交番電界を使用する場合にはトナーとして均一な帯電性を有していることが必要である。すなわち、トナー間で帯電性に分布を有している場合には交番電界による弱帯電性トナーなどの引き戻し効果が相殺され、結果として画質を向上する効果が低下する。
【0132】
本発明に於いて使用される現像剤担持体としては、担持体内部に磁石を内蔵したものが多く用いられ、その現像剤担持体表面(スリーブ)が回転することによって現像剤を現像領域に搬送するものである。スリーブを構成するものとしてはアルミニウムや表面を酸化処理したアルミニウムあるいはステンレス製のものが用いられる。現像剤担持体の大きさとしては直径が10〜40mmのものが好適である。直径が小さい場合には現像剤の混合が不足し、トナーに対して充分な帯電付与を行うに充分な混合を確保することが困難となり、直径が大きい場合には現像剤に対する遠心力が大きくなり、トナーの飛散の問題を発生しやすい。
【0133】
非接触現像方式において本発明のトナーを使用する場合には、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することが好ましい。二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0134】
図2は、非接触現像方式の一例を説明する概略図である。
以下、非接触現像方式を図2を用いて説明する。図2は、本発明の画像形成方法に好適に使用できる非接触現像方式の現像部の概略図であり、10は円筒状感光体、74は現像剤担持体、75はスリーブ、76は磁石、77は本発明のトナーを含有する二成分現像剤、78は現像剤層規制部材、79は現像領域、80は現像剤層、81は交番電界を形成するための電源である。本発明のトナーを含有する二成分現像剤77はその内部に磁石76を有する現像剤担持体74の磁気力により担持され、スリーブ75の移動により現像領域79に搬送される。この搬送に際して、現像剤層80は現像剤層規制部材78により、現像領域79に於いて、円筒状感光体10と接触することがないようにその厚さが規制される。現像領域79の最小間隙(Dsd)はその領域に搬送される現像剤層80の厚さ(概ね50〜300μmの層で搬送されることが好ましい)より大きく、例えば100〜1000μm(好ましくは100〜500μm)程度である。電源81は交番電界を形成するための電源であり、周波数200〜8000Hz、電圧500〜3000Vp−pの交流が好ましい。電源81には必要に応じて直流を交流に直列に加えた構成であってもよい。その場合、直流電圧としては300〜800Vが好ましい。また、接触方式の現像において本発明のトナーを使用する場合には、本発明のトナーを有する現像剤の層厚は現像領域に於いて0.1〜8mm、特に、0.4〜5mmであることが好ましい。また、感光体と現像剤担持体との間隙は、0.15〜7mm、特に、0.2〜4mmであることが好ましい。
【0135】
尚、以上非接触方式を例として現像方式を説明したが、本発明は接触現像方式、即ち、現像剤担持体上に形成された現像剤層と感光体とを接触させて感光体上に像形成させる方法にも適用出来ることはいうまでもない。
【0136】
〈定着方法〉
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式をあげることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式をあげることができる。
【0137】
熱ロール定着方式では、多くの場合表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に於いては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。定着クリーニングの機構を付与して使用してもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方法が使用できる。
【0138】
次に、本発明で用いられる固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する方式について説明する。この定着方式は、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し、且つフィルムを介して記録材を加熱体に密着させる加圧部材とにより圧接加熱定着する方式である。この圧接加熱定着器は、加熱体が従来の加熱ローラーに比べて熱容量が小さく、記録材の通過方向と直角方向にライン状の加熱部を有するものであり、通常加熱部の最高温度は100〜300℃である。なお、圧接加熱定着とは、通常よく用いられるごとく加熱部材と加圧部材の間を、未定着トナーをした記録材を通す方式等、加熱源に未定着トナー像を押し当てて定着する方法である。こうすることにより加熱が迅速に行われるため、定着の高速化が可能となるが、温度制御が難しく、加熱源表面部分等の未定着トナーを直接圧接される部分に、トナーが付着残留したいわゆるトナーオフセットが起こりやすく、また記録材が定着器に巻き付きを起こす等の故障も起こしやすいという問題点もある。
【0139】
この定着方式では、装置に固定支持された低熱容量のライン状加熱体は、厚さにして0.2〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜3.5mmで幅10〜15mm、長手長240〜400mmのアルミナ基板に抵抗材料を1.0〜2.5mmに塗布したもので両端より通電される。通電はDC100Vの周期15〜25msecのパルス波形で、温度センサーにより制御された温度・エネルギー放出量に応じたパルス幅に変化させてあたえる。低熱容量ライン状加熱体において、温度センサーで検出された温度T1の場合、抵抗材料に対向するフィルムの表面温度T2はT1よりも低い温度となる。ここでT1は120〜220℃が好ましく、T2の温度はT1の温度と比較して0.5〜10℃低いことが好ましい。また、フィルムがトナー表面より剥離する部分におけるフィルム材表面温度T3はT2とほぼ同等である。フィルムは、この様にエネルギー制御・温度制御された加熱体に当接して図3(a)の中央矢印方向に移動する。これら定着用フィルムとして用いられるものは、厚みが10〜35μmの耐熱フィルム、例えばポリエステル、ポリパーフルオロアルコキシビニルエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミドに、多くの場合はテフロン等のフッ素樹脂に導電材を添加し離型剤層を、5〜15μm被覆させたエンドレスフィルムである。
【0140】
フィルムの駆動には、駆動ローラーと従動ローラーにより駆動力とテンションをかけられて矢印方向へシワ・ヨレがなく搬送される。定着器としての線速は40〜600mm/secが好ましい。加圧ローラーはシリコーンゴム等の離型性の高いゴム弾性層を有し、総圧20〜300Nでフィルム材を介して加熱体に圧着され、圧接回転する。
【0141】
また、上記にはエンドレスフィルムを用いた例を説明したが、図3(b)の様にフィルムシートの送り出し軸と巻き取り軸を使用し、有端のフィルム材を使用してもよい。さらには内部に駆動ローラー等を有しない単なる円筒状のものでもよい。
【0142】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウエッブ等でクリーニングする方式が用いられる。なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0143】
次に図3にこの定着器の構成断面図の例を示す。図3(a)において、84は装置に固定支持された低熱容量ライン状加熱体であって、一例として高さが1.0mm、幅が10mm、長手長が240mmのアルミナ基板85に抵抗材料86を幅1.0mmに塗工したものであり、長手方向両端部より通電される。通電は例えばDC100Vで通常は周期20msecのパルス状波形でなされ、検温素子87からの信号によりコントロールされ所定温度に保たれる。このためエネルギー放出量に応じてパルス幅を変化させるが、その範囲は例えば0.5〜5msecである。
【0144】
このように制御された加熱体84に移動するフィルム88を介して未定着トナー像93を担持した記録紙(記録材)Pを当接させてトナーを熱定着する。ここで用いられるフィルム88は、駆動ローラー89と従動ローラー90によりテンションをかけられた状態でシワの発生なく移動する。95はシリコーンゴム等で形成されたゴム弾性層を有する加圧ローラーであり、総圧40〜200Nでフィルムを介して加熱体を加圧している。記録材P上の未定着トナー像93は、入口ガイド96により定着部に導かれ、上述した加熱により定着像を得る。以上はエンドレスベルトで説明したが、図3(b)のごとく、フィルムシート繰り出し軸91および巻き取り軸92を使用し、定着用のフィルムは有端のものでもよい。
【0145】
〈画像形成装置とプロセスカートリッジ〉
図4は、本発明に適用されるデジタル式画像形成装置(以下、単に画像形成装置ともいう)の構成を示す図である。
【0146】
図において、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての円筒状感光体10上に書き込みを行う書き込みユニット12を含む書き込み部Dと、円筒状感光体10及びその周囲に帯電電極14、磁気ブラシ型現像装置からなる現像手段16、転写電極18、分離電極20、クリーニング手段21等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ22、24のための収納部Fを有している。
【0147】
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台26と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部28とを主要素とする。
【0148】
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット30、31、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)33、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)35等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源40、ポリゴンミラー(偏光器)42等からなる。
【0149】
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写電極18の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離電極20の下流側にHで示してあるのは定着手段である。
【0150】
定着手段Hは、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
【0151】
また、Zは定着手段Hのためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
【0152】
原稿載置台26上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部28によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
【0153】
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット30、31およびレンズ33を経てCCD35上に結像され、読み取られる。
【0154】
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
【0155】
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源40が駆動され、円筒状感光体10上に露光が行われる。
【0156】
当該露光に先立ち、矢印方向(反時計方向)に回転する円筒状感光体10は、帯電電極14のコロナ放電作用により所定の表面電位を付与されているが、露光により、露光部位の電位が露光量に応じて減じ、結果として、画像データに応じた静電潜像が円筒状感光体10上に形成される。
【0157】
静電潜像は、現像手段16により反転現像され、可視像(トナー像)とされる。
【0158】
一方、円筒状感光体10上のトナー像の先端部が転写領域に到達する前に、例えば、給紙トレイ22内の1枚の記録紙Pが給紙搬送されてレジストローラR10に到達し、先端規制される。
【0159】
記録紙Pは、トナー像、即ち円筒状感光体10上の画像領域と重畳するように、同期を取って回転を開始するレジストローラR10により転写領域に向けて搬送される。
【0160】
転写領域において、円筒状感光体10上のトナー像は転写電極18の付勢により記録紙P上に転写され、次いで、当該記録紙Pは分離電極20の付勢により円筒状感光体10から分離される。
【0161】
その後、定着手段Hの加圧、加熱により、トナー像は記録紙P上に溶融定着され、当該記録紙Pは、排紙通路78および排紙ローラ79を介して排紙トレイT上に排紙される。
【0162】
給紙トレイ24における参照記号Spは、図示しないコイルバネ等の付勢手段により、常時、自由端が上方向に付勢される可動板であり、この結果、最上位紙が後述する送り出しローラに接触するようになっている。
【0163】
給紙トレイ22も上述の構成と同じ構成を有している。
給紙トレイ22、24は、実施の態様において、上下方向2段に配設した形態であるが、それ以上の数の給紙トレイを備えることもできる。
【0164】
給紙トレイの内、下段(実施の態様において給紙トレイは2段重ねであるので下段としたが、最下段の意)に配置した給紙トレイ24の底部(底壁と同義)と装置本体の底壁との間に、所定の間隙を持った空間部25を形成してある。
【0165】
空間部25は、記録紙Pの両面に画像を形成する態様(モード)において使用するものであり、記録紙の表裏反転用の第2搬送路80(後記)と共同して記録紙の表裏反転を達成することに寄与する。
【0166】
給紙トレイ22、24のそれぞれの先端部(給紙方向からみて、収納される記録紙Pの先端に対応する)上部に示す50および53はローラからなる給紙手段(以下、送り出しローラという)、51および54はフィードローラ、52および55は重送防止ローラである。
【0167】
送り出しローラ(50、53)とフィードローラ(51、54)とはユニット化してあり、装置本体側に設けた駆動源と接続している駆動軸あるいは給紙部に設けた係止手段に対して容易に着脱できる構成を有する。
【0168】
また、重送防止ローラ(52、55)もユニット化してあり、装置本体の固定部に設けた固定部材に対して容易に着脱できる構成を有する。
【0169】
60は手差し給紙部の手差し給紙トレイで、画像形成装置1の本体側壁に対して下端を支点として開閉できるように構成してある。
【0170】
61は手差し給紙トレイ60上に載置される記録紙を画像形成に伴って送り出すためのローラからなる送り出しローラ、63は送り出しローラ61の下流に設けてあるフィードローラ、65はフィードローラ63と圧接し、記録紙Pの複数枚送りを防止するための重送防止ローラで、前述した給紙トレイ22、24の場合と実質的に同じ構成を有する。
【0171】
66は、手差しトレイ60から送り出される記録紙Pの搬送路で、フィードローラ63のすぐ左横に示す一対の搬送ローラを経て後記する合流部に連通している。
【0172】
70は、記録紙P上に転写による画像形成を行わせるための第1搬送路で、適宜の給紙トレイから送り出される記録紙の移動方向から見て、下方から上方に延びている。
【0173】
72は上段の給紙トレイ22に収納される記録紙用の給紙通路、74は下段の給紙トレイ24に収納される記録紙用の給紙通路であり、76は両トレイ22および24から送られる記録紙Pが合流する合流部(第1搬送路70の一部)である。
【0174】
78は、所定の画像形成がなされた記録紙を排紙トレイT上に排紙するための排紙通路である。
【0175】
80は、記録紙の両面に画像形成を行う場合に使用する記録紙の表裏反転用の第2搬送路であり、図の上方において、第1搬送路と連通している。
【0176】
第2搬送路80は、記録紙の移動方向から見て、上方から下方に向かって延びている。
【0177】
また、第2搬送路80の下端部は略垂直に延びる搬送路としてあり、その下端は下段の給紙トレイ24の給紙部よりも下側に延び、そして、第1搬送路70と接続(連通)している。
【0178】
上記から理解されるように、第1搬送路70と第2搬送路80とは、装置本体の一側壁側において縦方向に長いループ状をなしている。
【0179】
第1搬送路70と第2搬送路80との接続部には、可逆回転可能な一対のローラからなる搬送手段R20(スイッチバック用ローラーを兼ねる)を設けてある。
【0180】
接続部は、記録紙Pが第2搬送路80から第1搬送路70に連続的に搬送されるものでないことから、両搬送路を分ける分岐部ともいえる。
【0181】
スイッチバック用ローラR20の下側には、空間部25に繋がる通路が設けてあり、記録紙Pの表裏反転に際して、第2搬送路80を移動してくる記録紙Pを空間部25に向かわせるように使用される。
【0182】
画像形成プロセスにおいて、第2搬送路80を移動してくる記録紙Pが空間部25に向けて送り出された時、当該記録紙Pの後端はスイッチバック用ローラR20で把持されているように構成してあり、従って、空間部25には記録紙の一部分が収納されることになる。
【0183】
90は(上側)分岐ガイドで、第1面に画像形成された記録紙Pを排紙通路78に向かわせたり、または、第2搬送路80に向かわせたりするように制御される。
【0184】
換言すれば、ユーザ設定の画像形成の形態(記録紙の片面のみに画像を形成するモードか、記録紙の両面に画像を形成するモードか)に応じて制御され、記録紙搬送路を切換えるということができる。
【0185】
このように構成された画像形成部Eで画像形成を行なうに際し、先ず円筒状感光体10の回転に伴って帯電電極14の放電作用で円筒状感光体10面に帯電する。次に、書き込み部Dで画像が書き込まれて静電潜像が形成される。この静電潜像を現像手段16で現像してトナー像が形成される。一方、給紙トレイ22、24又は手差し給紙トレイ60より給紙された記録紙Pに転写電極18でトナー像を転写し、分離電極20で記録紙Pが分離され、定着手段Hで定着処理されて排紙トレイT上に排紙される。
【0186】
図5は、本発明の画像形成装置に用いられるクリーニング手段の断面図である。
【0187】
図5において、円筒状感光体10は円筒中心軸がほぼ水平になるように画像形成装置内に設置されている。このほぼ水平とは円筒中心軸が水平面と交差する角度が±10度以内の水平度を云う。この円筒状感光体10の上方にクリーニング手段21が設けられる。図示のようにクリーニングブレード211は円筒状感光体10の回転中心10Aを通る線HLよりも上方に配置されており、円筒状感光体10の中心軸鉛直上方を0度とし、円筒状感光体円筒中心角度(β)が±30度以内に、クリーニングブレード211の先端が感光体面に圧接し、感光体上のトナーをクリーニングする。
【0188】
クリーニング手段21の枠体218の側方には、クリーニングブレードの上流側にシート状導電性部材219、分離爪217が設けられており、シート状導電性部材219、分離爪217とも円筒状感光体10面に接触している。
【0189】
更に、枠体218内には軸213に支持体212が回転可能に支持されており、支持体212の一端にクリーニングブレード211の基部が固定されている。支持体212の他端222は枠体218より外部に露出した状態で設けられている。
【0190】
クリーニング手段21の作動状態では、支持体212の他端に設けたバネSの弾性力でクリーニングブレード211の先端が円筒状感光体10に圧接している。クリーニングブレード211の後端側で、且つ、円筒状感光体10の回転方向に対して、軸213より下流側に位置するように支持体212に、弾性板214がその一端を固定して設けられ、クリーニングブレードを圧接解除時等のトナー飛散防止に機能する。弾性板214は、ポリウレタンゴムやポリエチレンテレフタレート等の弾性板で構成することが望ましい。
【0191】
また、枠体218内には記録紙Pにトナー像を転写した後、クリーニングブレード211で円筒状感光体10の残留トナーをクリーニングした際、枠体218内より順次残留トナーを外部に排出するためのトナー排出部材215、216が設けられている。
【0192】
図6は本発明のクリーニングブレード、シート状導電性部材と円筒状有機感光体の設定を更に詳しく説明した図である。
【0193】
図6においてクリーニングブレード211の先端は円筒状感光体10の中心軸鉛直上方を0度としたとき、感光体円筒中心角度(β)が±30度以内で、感光体面に圧接している(当接点A)。
【0194】
本発明においてクリーニングブレード211の感光体への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、P=5〜40N/m、θ=5〜35°である。
【0195】
又、前記クリーニングブレード自由長Lは図3に示すように支持体212の端部から変形前のブレードの先端点の長さを表す。該自由長の好ましい値としてはL=5〜15mmである。前記クリーニングブレードの厚さは0.5〜4mmが好ましい。
【0196】
当接荷重Pはクリーニングブレード211を円筒状感光体10に当接させたときの圧接力P′の法線方向ベクトル値である。
【0197】
又当接角θは感光体の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレード(図面では2点鎖線で示した)とのなす角を表す。
【0198】
前記クリーニングブレードに用いられる弾性体ゴムブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。例えば、特開昭59−30574号公報に記載のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴム等が好ましい。
【0199】
シート状導電性部材219はクリーニング手段21の枠体218の側方、且つクリーニングブレードの上流側(感光体回転方向に対して)に設置されており、シート状導電性部材219の先端は感光体表面に接触している。このことにより、トナーや感光体の電荷は除去され、その結果クリーニング性が向上し、又クリーニングブレードに過剰な負荷がかからなくなり、ブレードめくれや、ブレード鳴き等のブレード故障を防止される。
【0200】
図6の220はシート状導電性部材の背当て部材(折り曲げられたポリエチレンテレフタレートシート等)、221はトナーガイド(ポリエチレンテレフタレートシート等のシート)であり、クリーニングされたトナーがクリーニング装置の外部に飛散するのを防止している。又、トナー或いは感光体の電荷を効果的に除去するためには、シート状導電性部材219を接地(アースをとる)することが好ましい。
【0201】
本発明では、クリーニングブレード当接幅(円筒状感光体の軸芯に平行な方向の幅)が有機感光体の感光層幅より長く設定されることが好ましい。クリーニングブレード当接幅が感光層幅より短く設定されると、円筒状感光体の両側でトナーのすり抜けが発生しやすく、クリーニング不良が起こりやすい。
【0202】
本発明に用いられるクリーニングブレードは弾性体ゴムブレードが好ましく、その物性はゴム硬度と反発弾性を同時にコントロールすることにより、本発明のトルク変動を小さく制御でき、より有効にブレードの反転を抑制できる。25±5℃に於けるブレードのJISA硬度が65よりも小さくなるとブレードの反転が起こり易くなり、80より大きくなるとクリーニング性能が低下する。また、反発弾性が80を超えるとブレードの反転がおこり易くなり、20以下だとクリーニング性能が低下する。より好ましい反発弾性は20以上80以下である。ヤング率は、294〜588N/cm2の範囲のものが好ましい。
(JISA硬度及び反発弾性ともJISK6301の加硫ゴム物理試験方法に基づき測定する。反発弾性の数値は%を示す。)
前記クリーニングブレードに用いられる弾性体ゴムブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。例えば、特開昭59−30574号に記載のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴム等が好ましい。
【0203】
上記のようなクリーニング手段を有する画像形成方法はクリーニングブレードで掻き取られたトナーが感光体表面から離れにくく、しばしばクリーニング不良が発生しやすい。特に、重合トナーと有機感光体を用いた画像形成装置に上記のようなクリーニング手段を採用すると、クリーニング不良が発生しやすい。
【0204】
本発明は上記のようなクリーニング手段を有する画像形成方法において、有機感光体の感光層幅と円筒状導電性支持体の長さの比が80/100〜99/100であることを特徴としている。
【0205】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0206】
〔A〕感光体
感光体P1の作製
長さ 380mm、直径60mmのアルミニウムドラム支持体上に下記塗布液を順次塗布し、感光体P1を作製した。
【0207】
《中間層》
上記塗布液を用いて円筒状導電性支持体上に、膜厚0.5μmとなるよう塗布した。
【0208】
《CGL》
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0209】
《CTL》
電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチ
リル)フェニル}−p−トルイジン) 225g
ポリカーボネート(粘度平均分子量30,000) 300g
酸化防止剤(例示化合物1−3) 6g
ジクロロメタン 2000ml
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0210】
感光体P2の作製
感光体P1の中間層を下記の材料に代えた他はP1と同様にして、感光体P2の感光体を作製した。
【0211】
《中間層》
有機金属化合物;ジルコニウムキレート化合物「ZC−540」(松本製薬社
製) 200g
シランカップリング剤「KBM−903」(信越化学社製) 100g
メタノール 700ml
エタノール 300ml
上記塗布液をアルミニウム支持体上に塗布し、150℃、30分間乾燥し、厚さ0.5μmの中間層を形成した。
【0212】
感光体P3の作製
感光体P1の中間層を下記の材料に代えた他はP1と同様にして、感光体P3の感光体を作製した。
【0213】
シランカップリング剤「KBM−903」(信越化学社製) 300g
水 30ml
エタノール 1000ml
感光体P4の作製
感光体P1の中間層を下記の材料に代えた他はP1と同様にして、感光体P4の感光体を作製した。
【0214】
感光体P5の作製(比較例感光体)
感光体P1の中間層を下記の材料に代えた他はP1と同様にして、感光体P5の感光体を作製した。
【0215】
ポリアミド樹脂「CM−8000」(東レ社製) 150g
2−プロパノール 1500ml
メタノール 8500ml
〔B〕 トナー
トナーT1の製造:乳化重合会合法の例
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ撹拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく撹拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0216】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、撹拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0217】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱撹拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、質量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0218】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0219】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、撹拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。
【0220】
ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱撹拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱撹拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0221】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0222】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜(撹拌翼が2段構成の反応装置、羽の交差角αは25°)に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ撹拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱撹拌して塩析/融着させながら粒径成長させた。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させた。
【0223】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器(撹拌翼が2段構成の反応装置、羽の交差角αは20°)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱撹拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し撹拌を停止した。
【0224】
次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表1に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナーT1−1〜11を得た。
【0225】
トナーT2の製造:懸濁重合法の例
スチレン=165g、n−ブチルアクリレート=35g、カーボンブラック=10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物=2g、スチレン−メタクリル酸共重合体=8g、パラフィンワックス(mp=70℃)=20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した、これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)=10gを加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。
【0226】
ついで、イオン交換水710gに0.1モル/L燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて13000rpmで撹拌しながら1.0モル/L塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、2段の撹拌翼構成の反応装置(交差角αは45°)を使用し、75〜95℃にて5〜15時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、ついで濾過、洗浄、乾燥させた。
【0227】
得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して懸濁重合法によるトナーを得た。
【0228】
前記重合時にモニタリングを行い、液温度、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表1に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナーT2−1〜3を得た。
【0229】
トナーT3の製造:懸濁重合法の例
トナーT2の製造例において、2段の撹拌翼構成の反応装置(交差角αは15°)を使用したこと、および遠心分離機を用いた液中での分級を行わなかった他は同様にして、表1に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナーT3−1を得た。
【0230】
トナーT4の製造:粉砕法の例
スチレン−nブチルアクリレート共重合体樹脂100kgとカーボンブラック10kgとポリプロピレン4質量部とからなるトナー原材料をヘンシェルミキサーにより予備混合し、二軸押出機にて溶融混練し、ハンマーミルにて粗粉砕し、ジェット式粉砕機にて粉砕し、得られた粉体をスプレードライヤーの熱気流中に分散して(200〜300℃に0.05秒間)形状を調整した粒子を得た。この粒子を風力分級機にて目的の粒径分布となるまで繰り返し分級した。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して粉砕法によるトナーを得た。この様にして、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに粒径および粒度分布の変動係数を調整した、表1に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナーT4−1〜3を得た。
【0231】
【表1】
【0232】
〔現像剤の製造〕
トナーT1−1〜T4−3の各々と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリアとを、トナー20gに対して200gのキャリアを混合することにより、評価用の現像剤を製造した。
【0233】
〔評価〕
表2に記載のように、感光体、現像剤等の組み合わせを設定し、基本的に図4記載の画像形成プロセスを有するデジタル複写機(コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、クリーニングブレードを有する)を用い、評価した。
【0234】
但し、上記評価スタート前に感光体とクリーニングブレードをなじませるために、感光体とクリーニングブレードにセッテングパウダー(ポリフッ化ビニリデン粉体)を散布し、感光体を1分間回転させた。
【0235】
複写条件は最も厳しいと思われる高温高湿環境(30℃、80%RH)にて連続20万コピー行い、コピー画像の、カブリムラ、鮮鋭性、黒ポチについて以下の評価基準にて評価を行った。黒ポチについては感光層厚が約15μmになった時に評価した。
【0236】
評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4中性紙での複写を行いベタ白画像、ベタ黒画像、細線画像、画像(黒斑状欠陥:黒ポチ)を評価した。
【0237】
カブリムラについては、各画像の濃度はマクベス社製RD−918を使用し絶対反射濃度の測定を行った。
【0238】
細線画像は、5世代目のコピー画像で判別できる1mm当たりの細線の本数を目視で判定し、鮮鋭性を判定した。
【0239】
黒ポチの評価は、画像解析装置「オムニコン3000形」(島津製作所社製)を用いて黒ポチの粒径と個数を測定し、0.1mm以上の黒ポチが100cm2当たり何個あるかで判定した。
【0240】
クリーニング性については、A3紙のベタ黒画像4:ベタ白画像1の割合のオリジナル画像を連続10枚複写を行い、ベタ白部でのクリーニング不良の発生の有無で判定した。
【0241】
カブリムラ:ベタ白画像濃度で判定
◎ :0.005以下(良好)
○ :0.005より大きく0.01より小さい(実用上問題ないレベル)
× :0.01以上(実用上問題あり)
鮮鋭性:細線画像で判定
◎ :8本/mm以上(良好)
○ :5.6本/mm以上、7.1本/mm以下(実用上問題ないレベル)
× :5本/mm以下(実用上問題あり)
クリーニング性:ベタ白部でのクリーニング不良の発生の有無で判定
◎:20万枚でトナーのすり抜け発生なし
○:10万枚までトナーのすり抜け発生なし
×:10万枚未満でトナーのすり抜け発生
黒ポチ
◎:0.1mm以上の黒ポチが1個/100cm2以下:良好
○:0.1mm以上の黒ポチが2〜3個/100cm2:実用上問題がないレベル
×:0.1mm以上の黒ポチが4個/100cm2以上:実用上問題あり
その他評価条件
上記デジタル複写機のその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0242】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750Vに調整した。
【0243】
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定した。
【0244】
現像条件
DCバイアス;−550Vに設定した。
【0245】
転写極;コロナ帯電方式を採用した。
評価結果を表2に示した。
【0246】
【表2】
【0247】
表2から明らかなように本発明の条件を満たした実施例では、黒ポチ、カブリムラ、鮮鋭性、均一性、クリーニング性等の画像特性等が明らかに改善されている。
【0248】
【発明の効果】
本発明により、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成され、且つ、角のないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナーは、オフセット性および定着性が高く、現像性、鮮鋭性に優れている特徴を、損なうことなく、その問題点、即ち、黒ポチ、カブリムラ、クリーニング性、接着性、特にカブリムラを改良する方策を見出し、長期使用においても安定して高画質性能を有する画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】角がないトナー粒子、角があるトナー粒子を説明する図。
【図2】非接触現像方式の一例を説明する概略図。
【図3】本発明の適用される定着方式の一例を説明する図。
【図4】本発明に適用されるデジタル式画像形成装置の構成図。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられるクリーニング手段の断面図。
【図6】本発明のクリーニングブレード、シート状導電性部材と円筒状有機感光体の設定を説明した図。
【符号の説明】
1 画像形成装置
10 円筒状感光体
14 帯電電極
16 現像手段
18 転写電極
20 分離電極
22、24、60 給紙トレイ
40 レーザ光源
A 自動原稿搬送装置(通称ADF)
B 原稿画像読取部
C 画像制御基板
D 書き込み部
P 記録紙(記録材)
R10 レジストローラ
Claims (14)
- 導電性支持体上に、中間層を介して感光層を有する電子写真感光体上に形成された静電潜像を、少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーで顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、感光体の該中間層が有機金属化合物又はシランカップリング剤の少なくとも何れかを含有する層であり、該トナーとして、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下で、且つ、角のないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナーを使用することを特徴とする画像形成方法。
- 前記中間層に含有される有機金属化合物が金属アルコキシド又は有機金属キレートであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記中間層が有機金属キレート及びシランカップリング剤を含有する層であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記中間層に含有される有機金属キレートが下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成方法。
一般式(1) (R1O)g−M−(K)m
(式中、R1はアルキル基であり、Mはジルコニウム、チタニウム又はアルミニウムを表す。Kはアセト酢酸エステル基又はβ−ジケトン残基を表す。g、mは1以上の整数を表す。ただし、Mがジルコニウム又はチタニウムの場合、g+mは4であり、Mがアルミニウムの場合はg+mは3である。) - 前記中間層に含有されるシランカップリング剤が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成方法。
一般式(2) (Q)p−Si(Y)q−(A)r
(式中、Qはハロゲン原子、アルコキシ基又はアミノ基を表し、Aはアルキル基又はアリール基を表わす。Yは−BOOC(R′)C=CH2、−BNHR″又は−BNH2を表す。R′はアルキル基を表し、R″はアルキル基またはアリール基を表し、Bはアルキレン基または−O−、−NH−,−CO−を含むアルキレン基を表す。p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表し、p+q+rは4である。) - 前記感光層がヒンダードアミン又はヒンダードフェノール化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの形状係数の1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの形状係数の1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナー粒子の個数平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの少なくとも樹脂粒子は水系媒体中で会合させて得られたことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載の画像形成方法を用い、感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写器、分離器及びクリーニング器の少なくとも1つと を組み合わせて造られていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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