JP4427881B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンター等に用いられる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられる像担持体としては有機光導電性物質を含有する有機感光体(以下単に感光体とも云う)が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点であるが、機械的強度が弱く、多数枚の複写やプリント時に感光体表面の劣化や傷の発生を起こしやすい点が欠点である。
【0003】
又、前記有機感光体は感光体上に形成された静電潜像を顕像化させるトナーとの接触エネルギーが大きいため、該トナー像を転写工程で転写材に転写した後に、感光体上に残留する残留トナーを除去することが困難であって、感光体表面のクリーニングに種々の問題を発生しがちである。
【0004】
一方、電子写真方式の画像形成方法は近年のデジタル技術の進展により、デジタル方式の画像形成が主流となってきている。デジタル方式の画像形成方法は400dpi(1インチ当たりのドット数)等の1画素の小さなドット画像を顕像化することを基本としており、これらの小さなドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求されている。
【0005】
一方、クリーニングに伴う有機感光体表面の劣化に関しては、感光体表面の機械的強度を高くする技術が種々提案されている。有機感光体の表面摩耗を改良する技術として、特開平9−258460号で表面層に強硬度のポリカーボネート樹脂を有する感光体が提案されている。該ポリカーボネート樹脂樹脂層を有する感光体は従来の有機感光体と異なり、クリーニングによる表面摩耗が小さいため、クリーニングブレード(以後、単にブレードとも云う)との摩擦力が大きくなり、従来のクリーニングブレードによるクリーニングではブレードめくれや、ブレードの振動のふれからくるトナーすり抜けといったクリーニング不良を発生しやすい。
【0006】
又、高画質化技術の他の1つがトナーの製造技術に関する技術である。これまで電子写真画像の形成にはバインダー樹脂と顔料を混合、混練後に粉砕して得られるトナー粉体を分級工程で分級した、いわゆる粉砕トナーが主として用いられてきたが、このような製造工程を経て得られるトナーはトナー粒子の粒度分布を均一化するのに限界があり、トナー粒子の粒度分布、及び形状の均一化が不十分である。このような粉砕トナーを用いた電子写真画像では十分な高画質化を達成させることは困難である。
【0007】
近年、トナー粒子の粒度分布、及び形状の均一化を達成する手段として、重合トナーを用いた電子写真用現像剤、或いは画像形成方法が提案されている。該重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
【0008】
ここで、前記重合トナーを有機感光体を用いた画像形成装置に採用するとき新たな技術課題が発生している。即ち、該重合トナーは前記のように、トナー形状がモノマーの重合過程等で形成されるため、ほぼ球形の形状で作製される。既によく知られているように前記有機感光体上の球形形状の残留トナーはクリーニング不良を発生しやすい。特に有機感光体は表面が摩耗しやすく、摩耗で発生した表面の凹凸にトナーが付着すると、画像に生じない程度の微細なトナーのすり抜けが長期に亘り発生し、これらすり抜けたトナーが帯電部材(帯電ワイヤや帯電ローラ)を汚染し、その結果ハーフトーン画像等に画像ムラを発生させる。
【0009】
以上のような重合トナーを用いた画像形成方法で発生するブレードめくれやトナーすり抜けといったクリーニング不良を改良するために、これまで種々の提案がなされている。中でも重合トナーの形状を球形から楕円形状にする提案、重合トナーの表面形状を凹凸形状にする提案等がこれまで行われてきたが、これらの提案でも尚十分な解決手段となっていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を解決し、有機感光体と重合トナーを用いた場合に、長期に亘ってクリーニング性能を保持し、画像不良がなく、良好な電子写真画像を形成できる画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記問題を解決するために検討を重ねた結果、クリーニング装置のクリーニングブレードに有機材料部材を張り合わせることにより、良好なクリーニング性の確保とクリーニングブレードの安定した振動を維持させることが可能となり、上記課題を解決することが可能となった。即ち、本発明の目的は下記の構成のいずれかをとることにより達成されることを見出した。
【0012】
1.有機感光体上に形成された静電潜像をトナーを含有する現像剤により現像し、該現像により顕像化されたトナー像を有機感光体から転写材に転写した後、有機感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードを有するクリーニング装置により除去する画像形成装置において、前記トナーが重合トナーであり、該クリーニング装置はクリーニングブレードと有機材料部材が支持部材に取り付けられており、該クリーニングブレードの先端部は有機感光体に、その回転方向に対して、反対方向(カウンター方向)に向けて当接し、該クリーニングブレードは有機感光体に当接する面と反対側の面で前記有機材料部材と接着し、且つクリーニングブレードと有機材料部材の自由長部分は互いに自由端であり、前記有機材料部材の自由長はクリーニングブレードの自由長より短いことを特徴とする画像形成装置。
【0014】
2.前記有機材料部材がゴム弾性部材であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0015】
3.前記有機材料部材がプラスチック部材であることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0018】
4.前記トナーとして、トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下であり、且つ該トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを用いることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
5.前記トナーとして、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナーを用いることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0020】
6.前記トナーとして、角がないトナー粒子を50個数%以上含有するトナーを用いることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0021】
7.前記有機感光体が導電性支持体上に感光層を設けてなる構成を有し、且つ該感光層の表面層が粘度平均分子量4万〜20万のポリカーボネートを含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0022】
本発明を更に詳しく説明する。
本発明者等は上記本発明の構成を取ることにより、有機感光体上に残留するトナーを有機感光体とクリーニングブレードの間に生ずる摩擦力を過大にすることなく、ブレードめくれやトナーのすり抜けの発生を防止し、効果的に該有機感光体上に残留するトナーを除去することができ、良好で安定した画像を長期間に亘り、得ることができることを見出した。以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
図1に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0024】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0025】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーからなる第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーからなる第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0026】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0027】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体(以下、感光体ドラムとも云う)121と、その外周に、帯電手段である帯電器122、現像手段である現像装置123、転写手段である転写器124、分離手段である分離器125、クリーニング装置126及びPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。感光体121は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が好ましく使用され、図示の時計方向に駆動回転される。
【0028】
回転する感光体121へは帯電器122による一様帯電がなされた後、露光光学系130により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である露光光学系130は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)、シリンドリカルレンズ(符号なし)を経て反射ミラー132により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い潜像を形成する。
【0029】
感光体121上の潜像は現像装置123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット141(A)、141(B)、141(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ143によって搬送路140に沿って給紙され、給紙される転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路140、転写前ローラ143a及び転写進入ガイド板146に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写器124によって転写紙Pに転写され、次いで分離器125によって除電されて転写紙Pは感光体121面より分離し、搬送装置145により定着器150に搬送される。
【0030】
定着器150は定着ローラ151と加圧ローラ152とを有しており、転写紙Pを定着ローラ151と加圧ローラ152との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを熔着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ164上に排出される。
【0031】
図2は本発明のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置の構成図である。
【0032】
該クリーニング装置はクリーニングブレード126Aと有機材料部材126Bが支持部材191(一般に金属板が用いられる)に取り付けられている。該クリーニングブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。例えば、特開昭59−30574号に記載のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴム等が好ましい。
【0033】
又、本発明の有機材料部材とは有機材料を主成分として構成され、且つクリーニングブレードに当接された状態でクリーニングブレードの振動を吸収できる部材であれば、その材料を問わない。
【0034】
有機材料部材として好ましい材料はゴム弾性部材、或いはプラスチック部材である。ゴム弾性部材は前記したクリーニングブレードと同様のゴム弾性体を用いた作製された部材である。
【0035】
一方、プラスチック部材とは加熱により任意の形状に塑性できる高分子材料を用いて作製したクリーニングブレード形状を有する部材を意味する。該高分子材料としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の両方を用いることができる。本発明のプラスチック部材は一般に市販されているプラスチックシートを裁断してブレード形状にしたものを用いることもできる。又、メーカに特定の物性値を有するプラスチックシートを発注し、これらのプラスチックシートを用いて作製しても良い。
【0036】
プラスチック部材に用いられる高分子材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、スチレンアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の強化プラスチック、或いは3次元架橋により硬化させたゴム弾性が小さい熱硬化性高分子材料等が好ましく用いられる。
【0037】
本発明において、この有機材料部材126Bとクリーニングブレード126Aを支持部材191に固定させるとき、有機材料部材をクリーニングブレードが感光体に当接面と反対側の面で密着させるように配置して支持部材に取り付け保持させる。このとき、クリーニングブレードと有機材料部材は支持部材191上、即ち図2のC(太線で示した)の境界面では接着剤等で確実に接着している。このことにより、ブレードで発生する振動を確実に有機材料部材へ伝播、吸収させることのできる機構を有している。又クリーニングブレードと有機材料部材の自由長部分、即ち自由長aとbの境界面は接着させず互いに自由端にする。このことにより、本発明のクリーニング装置が作動する環境が低温低湿や高温高湿になったとき、クリーニングブレードと有機材料部材の収縮、或いは膨張による変形が防止でき、一般に常温常湿で設定されるクリーニング条件が安定に維持される。
【0038】
感光体表面へのクリーニングブレードの適正圧接条件は、諸特性の微妙なバランスにより決められており、かなり狭いものである。クリーニングブレードの厚み等の特性によっても変わり、設定には精度を要する。しかし、クリーニングブレードは作製時にどうしてもその厚みに多少のバラツキができるため、適正な条件で常に設定されるとはいえず、例え当初は適正に設定されても、適正領域が狭いため使用の過程で適正領域からはずれてしまうこともある。特に高分子量のバインダー樹脂を用いた有機感光層と組み合わせた場合、適正領域からはずれると、ブレードめくれやトナーすり抜けの原因となる。
【0039】
従って、クリーニングブレードの特性のバラツキ等をキャンセルするためにも本発明は有効な手段であり、クリーニングブレードの厚みのバラツキが例えあっても、有機材料部材によるブレードの振動を効果的に吸収することにより、感光体面へのクリーニングブレードの設定条件を適正領域の中に安定に維持することができる。
【0040】
本発明において、感光体表面に圧接するクリーニングブレードの先端部は、感光体の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて負荷をかけた状態で圧接することが好ましい。図2に示すようにクリーニングブレードの先端部は感光体と圧接するときに、圧接面を形成することが好ましい。
【0041】
本発明のクリーニングブレードと有機材料部材との位置関係は図2のように双方の先端間に段差を設けた構成になっている。更に、有機材料部材の自由長はクリーニングブレードの自由長より短い。このような構成にすることにより、クリーニングブレードの先端部での変形(感光体に圧接する事による変形)を阻害することなく、しかもクリーニングブレードの振動を有機材料部材により吸収し、クリーニングブレードの振動を安定させることができる。
【0042】
本発明のクリーニング装置はクリーニングブレードと有機材料部材の自由長の比は図2に示すようにクリーニングブレードの自由長をa、有機材料部材の自由長をbとすると、式1を満足するように設計されていることが好ましい。自由長とはクリーニングブレード及び有機材料部材の各々が支持部材191に保持されていない部分の長さのことで、図2に示すように支持部材191の端部Bから変形前のクリーニングブレード、有機材料部材各々の先端点までの長さを示すものである。
【0043】
式1
0.1<b/a≦0.9
b/aを上記範囲に、即ちb/aが0.1を超え、0.9以下となるように設計することにより、クリーニングブレードの先端部での変形(感光体に圧接する事による変形)を阻害することなく、しかもクリーニングブレードの振動を有機材料部材により吸収し、ブレードめくれやトナーすり抜けが発生しない安定したクリーニング性を実現できることを見いだした。更に、本発明では0.3〜0.8の範囲がより好ましい。一方、b/aが0.1以下ではトナーすり抜けが発生しやすくなり、b/aが0.9より大きいとブレードめくれが発生しやすい。
【0044】
一方、クリーニングブレードと有機材料部材の厚さの比は有機材料部材の種類によってその好ましい範囲が違う。
【0045】
有機材料部材がゴム弾性部材の場合、クリーニングブレードとゴム弾性部材の厚さの比は図2に示されるようにクリーニングブレードの厚さをt1、有機材料部材(ゴム弾性部材)の厚さをt2とすると、式2を満足するように設計されることが好ましい。
【0046】
式2
1/30<t2/t1<2
t2/t1を上記範囲に、即ちt2/t1の値が1/30を超え、2未満の値となるように設計することにより、クリーニングブレードとゴム弾性部材は支持部材191に安定して保持され、しかもクリーニングブレードの振動をゴム弾性部材により吸収し、ブレードめくれやトナーすり抜けが発生しない安定したクリーニング性を実現できることを見いだした。更に、t2/t1の値は1/8〜5/4、特に好ましくは1/4〜3/4である。一方、t2/t1が1/30以下ではトナーすり抜けが発生しやすくなり、t2/t1が2以上ではブレードめくれが発生しやすい。
【0047】
一方、有機材料部材がプラスチック部材の場合、クリーニングブレードと有機材料部材(プラスチック部材)の厚さの比は図2に示されるようにクリーニングブレードの厚さをt1、プラスチック部材の厚さをt2とすると、式3を満足するように設計されていることが好ましい。
【0048】
式3
1/50<t2/t1<1
t2/t1を上記範囲に、即ちt2/t1の値が1/50を超え、1未満の値となるように設計することにより、クリーニングブレードは支持部材に安定して保持され、しかもクリーニングブレードの振動をプラスチック部材により吸収し、ブレードめくれやトナーすり抜けが発生しない安定したクリーニング性を実現できることを見いだした。更に、t2/t1の値は1/50〜1/4の範囲が好ましい。一方、t2/t1が1/50以下ではトナーすり抜けが発生しやすくなり、t2/t1が1以上ではブレードめくれが発生しやすい。
【0049】
本発明において前記クリーニングブレードの感光体への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、P=5〜40N/m、θ=5〜35°である。
【0050】
当接荷重Pはブレード126Aを感光体ドラム121に当接させたときの圧接力P′の法線方向ベクトル値である。
【0051】
又当接角θは感光体の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレード(図面では点線で示した)とのなす角を表す。172は支持部材を固定するための固定ねじ、193は荷重バネを示す。
【0052】
又、前記クリーニングブレード自由長aは図2に示すように支持部材191の端部Bの位置から変形前のブレードの先端点の長さを表す。該自由長の好ましい値としてはa=6〜15mm、である。前記クリーニングブレードの厚さは0.5〜10mmが好ましい。ここで、本発明のクリーニングブレード及び有機材料部材の厚さとは図2に示すように支持部材191の接着面に対して垂直な方向を示す。
【0053】
本発明に用いられるクリーニングブレードはゴム弾性体が好ましく、クリーニングブレードと有機材料部材の物性を同時にコントロールすることにより、本発明のクリーニング条件をより良く調整でき、トナーのクリーニング性をより有効に制御できる。
【0054】
又、クリーニングブレードの他の物性としては、硬度は25±5℃におけるJISA硬度が55〜90の範囲が好ましい。55よりも小さくなるとクリーニング性能が低下しやすく、90より大きくなるとブレードの反転が起こり易い。また、クリーニングブレードの反発弾性は25〜80の範囲が好ましい。反発弾性が80を超えるとブレードの反転がおこり易くなり、25未満だとクリーニング性能が低下する。ヤング率は、294〜588N/cm2の範囲のものが好ましい。
【0055】
又、クリーニングブレードは、必要に応じ、感光体と接触するクリーニングブレードのエッジ部にフッ素系潤滑剤をスプレー塗布するか、もしくは、その上にさらに、幅方向全域にわたった先端部に、フッ素系ポリマーおよびフッ素系樹脂粉体をフッ素系溶剤に分散させた分散体を塗布することが好ましい。
【0056】
次に、本発明の有機感光体について記載する。
本発明において、有機電子写真感光体(有機感光体)とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0057】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0058】
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0059】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0060】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0061】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0062】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0063】
又本発明に最も好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0064】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0065】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層:電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0066】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0067】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0068】
電荷輸送層
電荷輸送層:電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0069】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0070】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0071】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0072】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。又電荷輸送層が表面層となる感光体の場合は、機械的摩耗に強いポリカーボネートが好ましく、このようなポリカーボネートとしては粘度平均分子量が40,000〜200,000のポリカーボネートが好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0073】
保護層
感光体の保護層として、各種樹脂層を設けることができる。特に架橋系の樹脂層を設けることにより、本発明の機械的強度の強い有機感光体を得ることができる。
【0074】
本発明の中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0075】
次に本発明の有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0076】
次に本発明に用いられるトナーについて記載する。
本発明のトナーは個々のトナー粒子の粒度分布、及び形状が比較的均一な重合トナーが好ましい。ここで、重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状が、バインダー樹脂の原料モノマーの重合及びその後の化学的処理により形成されて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により該重合反応後に行われる粒子同志の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
【0077】
本発明のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置に用いられる重合トナーとしては特定の形状を有するトナーが好ましい。以下、本発明に好ましく用いることのできる重合トナーについて記載する。
【0078】
本発明に適用される好ましい重合トナーとしては、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することである。このような重合トナーを使用しても本発明ではクリーニングブレードの振動を安定させることができ、優れたクリーニング性能を発揮することを見出した。
【0079】
又、クリーニングブレードの振動の安定性は、トナー粒子の粒径によっても異なり、粒子径の小さいものの方が像担持体への付着力が高いために、振動が過大となりやすく、且つトナーがクリーニングブレードをすり抜ける確率が高い。しかしながら、トナー粒子径が大きいものでは、このようなすり抜けは減少するが、解像度等の画質が低下する問題が発生する。
【0080】
以上の観点より検討を加えた結果、トナーの形状係数の変動係数が16%以下であり、且つトナーの個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができることを見出した。
【0081】
また、角がないトナー粒子を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御したものを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0082】
本発明のトナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0083】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0084】
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0085】
本発明の好ましい重合トナーとしては、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上とすることであり、より好ましくは、70個数%以上である。
【0086】
この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などでの摩擦帯電性がより均一となり、過度に帯電したトナーの蓄積が無く、現像剤搬送部材表面よりトナーがより交換しやすくなるために、現像ゴースト等の問題も発生しにくくなる。さらに、トナー粒子が破砕しにくくなって帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
【0087】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナーを調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調整する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調整する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.0〜1.6、または1.2〜1.6に調整したトナーを同様に通常のトナーへ添加して調整する方法がある。
【0088】
本発明に好ましく用いられる重合トナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
【0089】
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
この形状係数の変動係数は16%以下であり、好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0090】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0091】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0092】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0093】
本発明のトナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0094】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
本発明のトナーの個数変動係数は27%以下であり、好ましくは25%以下である。個数変動係数が27%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する。
【0095】
本発明の個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0096】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0097】
本発明の角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、すなわち、図13(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図13(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0098】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0099】
本発明のトナーにおいて、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であり、好ましくは70個数%以上である。角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、いわゆる現像剤搬送部材表面に対する付着性の過度なトナーの存在を防止することができるとともに、現像剤搬送部材に対する汚染を抑制することができ、帯電量もシャープにすることができる。また、摩耗、破断しやすいトナー粒子および電荷の集中する部分を有するトナー粒子が減少することとなり、帯電量分布がシャープとなって、帯電性も安定し、良好な画質を長期にわたって形成できる。
【0100】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0101】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0102】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0103】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性の過度なトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、現像性を長期に渡って安定化することができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0104】
本発明に好ましく用いられる重合トナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0105】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0106】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0107】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0108】
形状係数を制御する方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0109】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0110】
なお、本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0111】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0112】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0113】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0114】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0115】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0116】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0117】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0118】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0119】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0120】
使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0121】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17、601(1960)高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0122】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0123】
無限溶解する溶媒とは、すなわち水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0124】
この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0125】
なお、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特にはかられやすいものと考えられる。
【0126】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0127】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0128】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0129】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0130】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
【0131】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0132】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0133】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さい球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることにより球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。以下、本発明に好ましく用いられる反応装置について記載する。
【0134】
図3は、一般的に使用されている攪拌翼の構成が一段の反応装置(攪拌装置)を示す説明図であり、2は攪拌槽、3は回転軸、4は攪拌翼、9は乱流形成部材である。
【0135】
懸濁重合法においては、特定の攪拌翼を使用することで、乱流を形成することができ、形状を容易に制御することができる。この理由としては明確ではないが、図3に示されるような攪拌翼4の構成が一段の場合には、攪拌槽2内に形成される媒体の流れが攪拌槽2の下部より上部への壁面を伝って動く流れのみになる。そのため、従来では一般的に攪拌槽2の壁面などの乱流形成部材9を配置することで乱流を形成し、攪拌の効率を増加することがなされている。しかし、この様な装置構成では、乱流が一部に形成されるものの、むしろ乱流の存在によって流体の流れが停滞する方向に作用し、結果として粒子に対するズリが少なくなるために、形状を制御することができない。
【0136】
懸濁重合法において好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置について図面を用いて説明する。
【0137】
図4および図5は、それぞれ、そのような反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図4および図5に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1を外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2内の中心部に回転軸3を垂設し、該回転軸3に攪拌槽2の底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40と、より上段に配設された攪拌翼50とが設けられている。上段の攪拌翼50は、下段に位置する攪拌翼40に対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90度(°)未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角が90度未満であることが好ましい。
【0138】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50によりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40により、上段の攪拌翼50で形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
【0139】
なお、図4および図5中、矢印は回転方向を示し、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口、9は攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0140】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図12に記載する。図12(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0141】
図6〜図10は、それぞれ、好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図であり、図6〜図10において、1は熱交換用のジャケット、2は攪拌槽、3は回転軸、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口、9は乱流形成部材である。
【0142】
図6に示す反応装置において、攪拌翼41には折り曲げ部411が形成され、攪拌翼51にはフィン(突起)511が形成されている。
【0143】
なお、攪拌翼に折り曲げ部が形成されている場合において、折り曲げ角度は5〜45°であることが好ましい。
【0144】
図7に示す反応装置を構成する攪拌翼42には、スリット421が形成されていると共に、折り曲げ部422およびフィン423が形成されている。
【0145】
なお、当該反応装置を構成する攪拌翼52は、図4に示す反応装置を構成する攪拌翼50と同様の形状を有している。
【0146】
図8に示す反応装置を構成する攪拌翼43には、折り曲げ部431およびフィン432が形成されている。
【0147】
なお、当該反応装置を構成する攪拌翼53は、図4に示す反応装置を構成する攪拌翼50と同様の形状を有している。
【0148】
図9に示す反応装置を構成する攪拌翼44には、折り曲げ部441およびフィン442が形成されている。
【0149】
また、当該反応装置を構成する攪拌翼54には、中孔部541が中央に形成されている。
【0150】
図10に示す反応装置には、攪拌翼45(下段)と、攪拌翼55(中段)と、攪拌翼65とによる三段構成の攪拌翼が設けられてなる。
【0151】
これら折り曲げ部や上部あるいは下部への突起(フィン)を有する構成を持つ攪拌翼は、乱流を効果的に発生させるものである。
【0152】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0153】
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0154】
また、懸濁重合法において層流を形成させる場合に使用される反応装置の一例を図11に示す。この反応装置には、乱流形成部材(邪魔板等の障害物)は設けられていない点に特徴を有する。
【0155】
図11に示した反応装置を構成する攪拌翼46および攪拌翼56は、それぞれ、図4に示す反応装置を構成する攪拌翼40および攪拌翼50と同様の形状および交差角αを有している。また、図11において、1は熱交換用のジャケット、2は攪拌槽、3は回転軸、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口である。
【0156】
なお、層流を形成させる場合に使用される反応装置としては、図11に示されるものに限定されるものではない。
【0157】
また、かかる反応装置を構成する攪拌翼の形状については、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0158】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0159】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0160】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌翼および攪拌槽としては、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、例えば図11に示すものが使用できる。攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが特徴である。攪拌翼の構成については、前述の懸濁重合法に使用される攪拌翼と同様に、上段の攪拌翼が、下段の攪拌翼に対して回転方向に先行した交差角αを持って配設された、多段の構成とすることが好ましい。
【0161】
この攪拌翼の形状についても、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図12(a)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0162】
また、本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0163】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0164】
疎水化度=(a/(a+50))×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0165】
本発明に用いられるトナーには外添剤としては脂肪酸金属塩が添加されてもよい。脂肪酸及びその金属塩としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸があげられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩があげられる。本発明においては、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
【0166】
二成分現像剤を調製するためには、トナーとキャリアとを混合して調製される。現像剤に対するトナー濃度としては2〜10質量%に混合して使用される。
【0167】
本発明に係わる現像方法は、特に限定されない。感光体表面と現像剤層とが現像領域で接触した状態で現像が行われる接触現像方法であっても、感光体と現像剤層とが現像領域で非接触の状態に保たれ、交番電界等の作用により感光体表面と現像剤層間の間隙をトナーを飛翔させて現像する非接触現像方法であってもよい。
【0168】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0169】
本発明に用いる感光体として以下の感光体を作製した。
感光体P1の製造。
【0170】
ポリアミド樹脂アミランCM−8000(東レ社製)30gをメタノール900ml、1−ブタノール100mlの混合溶媒中に投入し50℃で加熱溶解した。この液を外径80mm、長さ360mmの円筒状アルミニウム導電性支持体上に塗布し、0.5μm厚の中間層を形成した。
【0171】
次に、シリコーン樹脂KR−5240(信越化学社製)10gを酢酸t−ブチル1000mlに溶解し、これにY−TiOPc(特開昭64−17066号記載、図1)10gを混入しサンドミルを用いて20時間分散し、電荷発生層塗工液を得た。この液を用いて、前記中間層上に塗布し、0.3μm厚の電荷発生層を形成した。
【0172】
次に、CTM(T−1:N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン)150gと粘度平均分子量5万のポリカーボネート樹脂TS−2050(帝人化成(株)製)200gを1,2−ジクロロエタン1000mlに溶解し、電荷輸送層塗工液を得た。この液を用いて、前記電荷発生層上に円形スライドホッパーにて塗布を行った後、100℃で1時間乾燥し、22μm厚の電荷輸送層を形成した。このようにして中間層、電荷発生層、電荷輸送層からなる感光体P1を得た。
【0173】
以下に本発明に用いるトナーを作製した。
トナーT1の製造(乳化重合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0lを入れ攪拌溶解する。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0lからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0174】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0lからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0lに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0175】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100lのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを加える。
【0176】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入する。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過し、これを「ラテックス▲1▼−A」とする。
【0177】
なお、ラテックス▲1▼−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0178】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0lに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0179】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0lに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0180】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100lのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0lを投入する。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加する。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下する。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス▲1▼−B」とした。
【0181】
なお、ラテックス▲1▼−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0182】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0lに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0183】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0184】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100lのSUS反応釜(図11に示した構成の反応装置、交差角αは20°)に、上記で作製したラテックス▲1▼−A=20.0kgとラテックス▲1▼−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させる。次に純水2.1lを添加して粒径成長を停止する。
【0185】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5lの反応容器(図11に示した構成の反応装置、交差角αは20°)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止する。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液▲1▼とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液▲1▼よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0186】
この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部およびステアリン酸亜鉛0.1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して下表の如き、乳化重合会合法によるトナーを得た。前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を調整してトナーT1を得た。トナー1の形状係数1.0〜1.6の割合は76.6%、角がないトナー粒子の割合は53%、個数平均粒径は6.4μm、m1とm2の和(M)は77.0%であった。
【0187】
現像剤の作製
現像剤1の作製
前記トナーT1、100部に対して外添剤として平均粒径12nmの疎水性シリカ粒子(R805:日本アエロジル社製)0.4部、チタニア粒子(T805:日本アエロジル社製)0.6部を混合し、ヘンシェルミキサーで常温下、撹拌羽根の周速40(m/sec)で10分間混合し、負帯電性トナーを得た。このトナーの固着率は45%であった。
【0188】
上記トナーに、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合して、トナー濃度が5%の現像剤1を調製した。
【0189】
実施例1
有機材料部材にプラスチック部材を用い、該プラスチック部材とクリーニングブレードの自由長、自由端変化
構成:図2に記載のようにプラスチック部材とクリーニングブレードを支持部材に両面テープ接着材を用いて張り合わせた。クリーニングブレードの自由長aとプラスチック部材の自由長b、及び自由長部分を接着する条件(接着)、接着しない自由端(自由端)の条件の各組み合わせを表1に記載の如く変化させた。
【0190】
その他のクリーニング条件
クリーニングブレード:厚さt1:2mm、北辰工業(株)製(硬度70°、反発弾性60%)
プラスチック部材:ポリエチレンテレフタレート、厚さt2:0.1mm
環境条件:常温常湿(20℃、50%)、低温低湿(10℃、20%)、高温高湿(30℃、80%)
クリーニングブレード当接角:20°
クリーニングブレード荷重(N/m):25N/m
クリーニング性の評価。
【0191】
表1のようにクリーニングブレード及びプラスチック部材の自由長部分を変化させ、基本的に図1記載の画像形成プロセスを有するコニカ社製デジタル複写機Konica7050(コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、クリーニングブレードを採用プロセスを有する)を用いて、トナーすり抜け、ブレードめくれ、ブレード鳴き、及び画像ムラの評価を行った。評価は画素率が7%の文字画像、中間調写真画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像を用い、常温常湿環境下(24℃、60%RH)A4紙50枚/分の複写実験を90分間連続で行った。但し、上記評価スタート前に感光体とクリーニングブレードをなじませるために、感光体とクリーニングブレードにセッティングパウダーを散布し、感光体を1分間回転させた。又、画像評価のその他条件を下記に記す。評価結果は表1に記す。
【0192】
その他評価条件
尚、上記7050を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0193】
感光体:P1
現像剤:1(トナー:T1)
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定。
【0194】
現像条件
DCバイアス;−550V
Dsd;550μm
現像剤層規制;エッジカット方式
現像剤層厚;700μm
現像スリーブ径;40mm
転写条件
転写極;コロナ帯電方式、転写ダミー電流値:45μA
評価項目と評価基準
トナーすり抜け(表ではスリヌケ)
○:現像トナーのすり抜けなし
△:現像トナーの0以上20%未満すり抜け
×:現像トナーの20%以上50%未満すり抜け
××:現像トナーの50%以上すり抜け
ブレードめくれ(表ではメクレ)
ブレードめくれの有無で表示した。
【0195】
ブレード鳴き
クリーニングブレードと感光体の異常摩擦により発生する異常音をブレード鳴きと称し、この異常音の発生の有無を評価した。
【0196】
画質評価(画像ムラの発生有/無)
前述の90分の連続複写の中間調写真画像において、画像ムラ発生について評価した。
【0197】
【表1】
【0198】
表1より明らかなように、プラスチック部材とクリーニングブレードの自由長部が自由端になっている本発明の場合は、常温常湿(20℃、50%)、低温低湿(10℃、20%)、高温高湿(30℃、80%)のどの環境においてもブレードめくれやトナーすり抜け等の評価項目の全てに対し、良好なクリーニング特性を示しているのに対し、前記自由長部が自由端となっていない本発明外の場合は常温常湿条件下では良好なクリーニング特性を示しているが、低温低湿下、或いは高温高湿においてはブレードめくれやトナーすり抜け等が発生しやすいことが見出される。
【0199】
実施例2
実施例1のプラスチック部材の代わりに下記に示すゴム弾性部材を用いた他は実施例1と同様に自由長部分の長さ、及び自由長部分の接着有(接着)/無(自由端)の条件の各組み合わせを表2に記載の如く変化させた。
【0200】
クリーニングブレード:厚さt1:2mm、北辰工業(株)製(硬度70°、反発弾性60%)
ゴム弾性部材:クリーニングブレードと同じ材質、厚さt2:1.2mm
他の条件は実施例1に準じて画像評価を行った。結果を表2に示す。
【0201】
【表2】
【0202】
表2に於いても、ゴム弾性部材とクリーニングブレードの自由長部が自由端になっている本発明の場合は、常温常湿(20℃、50%)、低温低湿(10℃、20%)、高温高湿(30℃、80%)のどの環境においてもブレードめくれやトナーすり抜け等の評価項目の全てに対し、良好なクリーニング特性を示しているのに対し、前記自由長部が自由端となっていない本発明外の場合は常温常湿条件下では良好なクリーニング特性を示しているが、低温低湿下、或いは高温高湿においてはブレードめくれやトナーすり抜け等が発生しやすいことが見出される。
【0203】
【発明の効果】
前記実施例からも明らかなように、本発明の条件でプラスチック部材やゴム弾性部材の有機材料部材を張り合わせたクリーニングブレードを有するクリーニング装置を用いることにより有機感光体上の残留トナーをブレードめくれやトナーすり抜けの発生もなく、効果的にクリーニングすることができる。即ち、本発明は該クリーニング装置を用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
【図2】本発明のクリーニングブレードを用いたクリーニング装置の構成図である。
【図3】攪拌翼の構成が一段の反応装置を示す説明図である。
【図4】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に示した反応装置の断面図である。
【図6】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図7】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図8】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図9】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図10】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図11】層流を形成させる場合に使用される反応装置の一例を示す斜視図である。
【図12】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【図13】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱交換用ジャケット
2 攪拌槽
3 回転軸
4 攪拌翼
40 攪拌翼
411 折り曲げ部
421 スリット
423 フィン
50 攪拌翼
541 中孔部
55 攪拌翼
5a,5b,5c,5d 攪拌翼
6b,6c,6d 中孔部
7 上部材料投入口
8 下部材料投入口
9 乱流形成部材
α 交差角
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
124 転写器
125 分離器
126 クリーニング装置
126A クリーニングブレード
126B 有機材料部材
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
191 支持部材
a クリーニングブレードの自由長
b 有機材料部材の自由長
t1 クリーニングブレードの厚さ
t2 有機材料部材の厚さ
Claims (7)
- 有機感光体上に形成された静電潜像をトナーを含有する現像剤により現像し、該現像により顕像化されたトナー像を有機感光体から転写材に転写した後、有機感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードを有するクリーニング装置により除去する画像形成装置において、前記トナーが重合トナーであり、該クリーニング装置はクリーニングブレードと有機材料部材が支持部材に取り付けられており、該クリーニングブレードの先端部は有機感光体に、その回転方向に対して、反対方向(カウンター方向)に向けて当接し、該クリーニングブレードは有機感光体に当接する面と反対側の面で前記有機材料部材と接着し、且つクリーニングブレードと有機材料部材の自由長部分は互いに自由端であり、前記有機材料部材の自由長はクリーニングブレードの自由長より短いことを特徴とする画像形成装置。
- 前記有機材料部材がゴム弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記有機材料部材がプラスチック部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記重合トナーとして、トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下であり、且つ該トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記重合トナーとして、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナーを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記重合トナーとして、角がないトナー粒子を50個数%以上含有するトナーを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記有機感光体が導電性支持体上に感光層を設けてなる構成を有し、且つ該感光層の表面層が粘度平均分子量4万〜20万のポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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