JP4178922B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンターの分野において用いられる画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体には有機感光体が広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安い事など他の感光体に対して有利な点があるが、欠点としては機械的強度、化学的な耐久性が弱く、多数枚のプリント時に感光体の静電特性の劣化や、表面の傷の発生等がある。
【0003】
即ち、有機感光体(以下単に感光体とも云う)の表面には帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段などにより電気的、機械的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
【0004】
具体的には摩擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、コロナ帯電時に発生するオゾン等の活性酸素、チッソ酸化物などによる表面の劣化などに対する耐久性が要求される。
【0005】
上記のような機械的、化学的耐久性の問題を解決するために、有機感光体はその層構成を電荷発生層と、電荷輸送層の積層構成にし、表面層の電荷輸送層を高強度且つ活性ガスが透過しにくい均一層にし、電荷輸送層の膜厚を20μmより厚くする構成が多く採用されている。
【0006】
又、他のアプローチとして、感光体の表面に高強度の表面層(保護層)を設置するなどの技術が検討されてきた。例えば、感光体の表面層として、硬化性シリコーン樹脂を用いることが報告されている(特許文献1)。しかしながら上記のような電荷輸送層を厚膜化する方法や高強度の表面層を設ける方法は電荷発生層で発生したキャリアが表面に達するまでに、横方向に拡散する問題があり、鮮鋭性等に問題が生じる。デジタル複写機の分野ではより高画質への要求が高まり高解像度の画像形成が検討されているが、このようにキャリアの拡散を招きやすい層構成や表面層では良好な静電潜像を得ることができない。
【0007】
高画質の電子写真画像を得るためには、画像情報を静電潜像として忠実に再現し、有機感光体上の露光/未露光部の電位コントラストがシャープに形成されることが必要があるが、この為には、発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像への拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなることが報告されている(非特許文献1)。
【0008】
又、膜厚が薄い感光体はトナー像のチリ防止に効果があるとの報告(特許文献2)や薄層で静電容量が大きい感光体が高品質の電子写真画像を形成できるとの報告(特許文献3)がなされている。同様に、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体も既に提案されている(特許文献4)。
【0009】
しかしながら、これらの提案された薄層の有機感光体を実際に電子写真画像形成装置を用いて、画像形成すると、従来の20μm以上の厚膜の有機感光体に比し、機械的減耗ムラによる画像むらが目立ちやすくなり、長期に亘って画像品質を維持することが難しい。この原因は図1(電位保持能低下の膜厚依存性を示した図)に示したように、同一減耗量の場合は、感光層膜厚が小さいほど、電位保持能の低下(ΔV1>ΔV2)が大きいことによると思われる。
その結果、薄膜の有機感光体を用いた場合は、有機感光体の減耗むらによる画像むらが発生しやすい。
【0010】
又、薄膜の有機感光体を用いて、高画質を得るために小粒径トナーを用いた現像剤を用いた場合、前記有機感光体の減耗むらは減耗むらが発生している部分で、文字チリを発生させやすい。これは有機感光体の表面の減耗むらの凹凸領域で飛散しやすいトナー成分が存在するためと思われる。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−118681号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2001−209206号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2001−312082号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平5−119503号公報
【0015】
【非特許文献1】
日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することにあり、薄層の有機感光体を用いて、長期に亘って高画質の電子写真画像を提供することであり、更には、画像むらや、文字チリの少ない高画質の有機感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
我々は上記問題点について検討を重ねた結果、薄膜化された有機感光体を用いて鮮鋭性を改良し、且つ有機感光体の減耗むらを防止して、画像むらや文字チリの発生を防止するには、有機感光体の表面の摩擦抵抗を小さくし、減耗むらを小さくすることがあることを見いだし、本発明を完成した。即ち、薄層化した有機感光体の表面を滑剤が延展しやすい表面にし、該表面に滑剤を付着させることにより、有機感光体の表面をクリーニングブレードや接触帯電部材による接触摩擦を小さくし、減耗むらを小さくすることにより、本発明を達成できることを見いだした。
【0018】
又、上記のような、滑剤を有機感光体の表面に均一に延展させる画像形成方法では、有機感光体に形成された静電潜像を現像するトナーには、微細トナーの割合を少なくしたトナーを用いることがより顕著に本発明の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
【0019】
1.有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が5〜15μmであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0020】
2.有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が5〜15μmであり、前記現像で用いるトナーが、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナーであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
3.有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が15μm以下であり、前記現像で用いるトナーが、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上のトナーであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0022】
4.前記トナーが粒径0.01〜1.0μmの無機の外添剤を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0023】
5.前記有機感光体の帯電が接触帯電により帯電することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0024】
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法に用いる有機感光体は、表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が15μm以下であることを特徴とする。表面層がシリカ又はシロキサン系樹脂を含有することにより、表面層に脂肪酸金属塩等の滑剤が延展しやすい性質を持たせることができ、薄層の感光層に減耗むらの発生を小さくして、画像むらや文字チリを改良し、鮮鋭性が良好な電子写真画像を形成することができる。以下に、該有機感光体について説明する。
【0026】
〈表面層〉
本発明の表面層のシロキサン系樹脂とは樹脂構造の一部にシロキサン基(−SiO−)を有する樹脂を意味し、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、又は該有機ケイ素化合物の縮合生成物を含有する組成物を塗布、乾燥させて得ることができる。
【0027】
前記有機ケイ素化合物は代表的には下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を原料とした塗布組成物を塗布乾燥することにより形成される。これらの原料は親水性溶媒中では加水分解とその後に生じる縮合反応により、溶媒中で有機ケイ素化合物の縮合物(オリゴマー)を形成する。これら塗布組成物を塗布、乾燥することにより、2次元又は3次元網目構造を形成したシロキサン系樹脂を含有する樹脂層を形成することができる。
【0028】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4-n
式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。
【0029】
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。特にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基が好ましい。又Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。特には炭素数6以下のアルコキシ基が好ましい。
【0030】
前記表面層は更に、下記一般式(2)で示された電荷輸送性化合物と前記有機ケイ素化合物又は該縮合物等との縮合反応により、該表面層を電荷輸送性を有する構造単位を含むシロキサン系樹脂層にする事により、該樹脂層の残留電位上昇を小さく抑えることができる。
【0031】
一般式(2)
B−(R1−ZH)m
式中、Bは電荷輸送性能を有する構造単位を含む1価又は多価の基を表し、R1は単結合又は2価のアルキレン基を表し、Zは酸素原子、硫黄原子又はNHを表し、mは1〜4の整数を表す。
【0032】
一般式(2)のBは電荷輸送性化合物構造を含む1価以上の基である。ここでBが電荷輸送性化合物構造を含むとは、一般式(2)中の(R1−ZH)基を除いた化合物構造が電荷輸送性能を有しているか、又は前記一般式(2)中の(R1−ZH)基を水素原子で置換したBHの化合物が電荷輸送性能を有する事を意味する。
【0033】
尚、前記の電荷輸送性化合物とは電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示す化合物であり、又別の定義としてはTime−Of−Flight法などの電荷輸送性能を検知できる公知の方法により電荷輸送に起因する検出電流が得られる化合物として定義できる。
【0034】
又、本発明の表面層中のシリカ粒子は、数平均一次粒径で5nm〜500nmが好ましい。このようなシリカ粒子は表面層に凹凸を形成し、表面層に脂肪酸金属塩等の滑剤が延展しやすい性質を持たせることができる。
【0035】
シリカ粒子の粒径測定法
尚、本発明のシリカ粒子の数平均一次粒径は透過型電子顕微鏡観察によって2000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
【0036】
本発明の表面層は前記電荷輸送性を有する構造単位を含むシロキサン系樹脂層中に5nm〜500nmのシリカ粒子を含有させることがより好ましい。即ち、本発明の表面層は水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、又は該有機ケイ素化合物の縮合生成物と水酸基を有する電荷輸送性能化合物、及び5nm〜500nmのシリカ粒子を含有する組成物と塗布、乾燥させて得られる電荷輸送性を有する複合化された樹脂層が好ましい。
【0037】
前記5nmから500nmのシリカ粒子は通常は液相法によって合成される。即ち、粒子はコロイド粒子として得ることができる。
【0038】
シリカのコロイド粒子は通常次の一般式で表されるアルコキシシリル又はアリールオキシシリル等の有機ケイ素化合物より合成することができる。
【0039】
Si(OR)4
Siはケイ素原子、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、フェニル基、ベンジル基を表す。
【0040】
該コロイド粒子はゾル−ゲル工程を経て得ることができる。ゾル−ゲル工程において、はじめに、ゾルは触媒の存在下アルコール/水性溶媒中にシリルオキシドを懸濁することによって得られる。該溶液中のシリルオキシドは加水分解を受けて、ゲル構造に縮合する。ゲルは縮合され、沈殿したシリカ粒子のコロイド粒子を形成する。
【0041】
又、前記シリカ粒子は該粒子表面に前記有機ケイ素化合物と反応性を有する化合物基を有することが好ましい。該反応性を有する化合物基としては、例えば水酸基、アミノ基等が挙げられる。このような反応性基を有する金属酸化物粒子を用いることにより、本発明の表面層は前記シロキサン系樹脂と該シリカ粒子表面が化学結合をした複合化された樹脂層を形成し強度と弾性を増強した樹脂層をなり、該樹脂層を表面層とした有機感光体は、脂肪酸金属塩等の滑剤が延展しやすく、ブレードクリーニング等の擦過に対して減耗むらが発生しにくく、且つ電子写真特性を良好にする。
【0042】
前記水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、及び水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物から形成された縮合物との総量(H)と前記一般式(2)の化合物の量(I)の比としては、質量比で100:3〜50:100であることが好ましく、より好ましくは100:10〜50:100の間である。
【0043】
また前記シリカ粒子の添加量(J)は前記総量(H)+化合物の量(I)の総質量100部に対し(J)を1〜30質量部を用いることが好ましい。
【0044】
前記総量(H)成分が前記の範囲内で使用されると、本発明の感光体表面層の硬度が高く且つ弾力性がある。(J)成分のシリカ粒子が1質量部より少ないと滑剤の延展性が減じてくる。又、30質量部より多く用いると表面層が荒れて、却って、減耗むらを発生させやすい。
【0045】
前記のシロキサン系樹脂層を形成するには縮合反応を促進するために縮合触媒を用いることが好ましい。ここで用いられる縮合触媒とは縮合反応に接触的に作用する触媒、及び縮合反応の反応平衡を生成系に移動させる働きをするものの少なくともいずれか一方の作用をもつものであれば良い。
【0046】
具体的な縮合触媒としては酸、金属酸化物、金属塩、アルキルアミノシラン化合物など従来シリコンハードコート材料に用いられてきた公知の触媒を用いることができる。例えば、有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)等が挙げられる。
【0047】
以下に前記一般式(2)で表される好ましい化合物例を挙げる。
【0048】
【化1】
Figure 0004178922
【0049】
【化2】
Figure 0004178922
【0050】
【化3】
Figure 0004178922
【0051】
一般的には、アルコキシシランを有する組成物又はアルコキシシランとシリカ粒子を有する組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成することができる。
【0052】
又、本発明のシロキサン系樹脂の他の例としては、特開平5−88398号、特開平11−65136号等に記載されているシロキサン部分構造を持つ共重合ポリカーボネートを用いてもよい。
【0053】
以下、シロキサン部分構造を有するポリカーボネートの具体例を例示する。
【0054】
【化4】
Figure 0004178922
【0055】
【化5】
Figure 0004178922
【0056】
【化6】
Figure 0004178922
【0057】
【化7】
Figure 0004178922
【0058】
上記シロキサン部分構造を有するポリカーボネートの分子量は粘度平均分子量で、5,000〜200,000の範囲が好ましい。
【0059】
上記シロキサン部分構造を有するポリカーボネートは表面層を形成する主要バインダー樹脂として用いられ、表面層の全樹脂中に占める割合が50質量%以上であることが好ましい。
【0060】
上記シロキサン部分構造を有するポリカーボネート以外にも、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を併用して用いることもできる。
【0061】
前記シロキサン部分構造を有するポリカーボネートを表面層のバインダー樹脂として用いる場合は、バインダー樹脂と共に、相溶性の電荷輸送物質を用い、表面層に電荷輸送性を付与することが好ましい。相溶性の電荷輸送物質としては、後記する電荷輸送層で用いられる電荷輸送物質が好ましく用いられる。
【0062】
本発明の有機感光体の表面層は、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有させることを特徴とするが、より好ましくはシリカとシロキサン系樹脂の両方を含有させる方が本発明の効果をより顕著に高めることができる。
【0063】
本発明の有機感光体の表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは電子写真感光体中ないしは感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。詳しくは下記の化合物群が挙げられる。
【0064】
(1)ラジカル連鎖禁止剤
・フェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール系
・アミン系酸化防止剤
ヒンダードアミン系
ジアリルジアミン系
ジアリルアミン系
・ハイドロキノン系酸化防止剤
(2)過酸化物分解剤
・硫黄系酸化防止剤(チオエーテル類)
・燐酸系酸化防止剤(亜燐酸エステル類)
上記酸化防止剤のうちでは、(1)のラジカル連鎖禁止剤が良く、特にヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。又、2種以上のものを併用してもよく、例えば(1)のヒンダードフェノール系酸化防止剤と(2)のチオエーテル類の酸化防止剤との併用も良い。更に、分子中に上記構造単位、例えばヒンダードフェノール構造単位とヒンダードアミン構造単位を含んでいるものでも良い。
【0065】
前記酸化防止剤の中でも特にヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤が高温高湿時のカブリの発生や画像ボケ防止に特に効果がある。
【0066】
ヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤の表面層中の含有量は0.01〜20質量%が好ましい。0.01質量%未満だと高温高湿時のカブリや画像ボケに効果がなく、20質量%より多い含有量では表面層中の電荷輸送能の低下がおこり、残留電位が増加しやすくなり、又膜強度の低下が発生する。
【0067】
又、前記酸化防止剤は下層の電荷発生層或いは電荷輸送層、中間層等にも必要により含有させて良い。これらの層への前記酸化防止剤の添加量は各層に対して0.01〜20質量%が好ましい。
【0068】
ここでヒンダードフェノールとはフェノール化合物の水酸基に対しオルト位置に分岐アルキル基を有する化合物類及びその誘導体を云う(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。
【0069】
ヒンダードアミン系とはN原子近傍にかさ高い有機基を有する化合物である。かさ高い有機基としては分岐状アルキル基があり、例えばt−ブチル基が好ましい。例えば下記構造式で示される有機基を有する化合物類が好ましい。
【0070】
【化8】
Figure 0004178922
【0071】
式中のR13は水素原子又は1価の有機基、R14、R15、R16、R17はアルキル基、R18は水素原子、水酸基又は1価の有機基を示す。
【0072】
ヒンダードフェノール部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118137号(P7〜P14)記載の化合物が挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
ヒンダードアミン部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118138号(P7〜P9)記載の化合物も挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
有機リン化合物としては、例えば、一般式RO−P(OR)−ORで表される化合物で代表的なものとして下記のものがある。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0075】
有機硫黄系化合物としては、例えば、一般式R−S−Rで表される化合物で代表的なものとして下記のものがある。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0076】
以下に代表的な酸化防止剤の化合物例を挙げる。
【0077】
【化9】
Figure 0004178922
【0078】
【化10】
Figure 0004178922
【0079】
【化11】
Figure 0004178922
【0080】
【化12】
Figure 0004178922
【0081】
〈感光層及び表面層の合計膜厚〉
本発明の画像形成方法に用いる有機感光体は感光層の合計膜厚が5〜15μmであることを特徴とする。
【0082】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0083】
本発明の感光層とは、光露光により電荷キャリアを発生する機能及び該キャリアを輸送する機能の少なくともいずれか一方の機能を有する層を云う。該機能が単一の層構成で形成されていてもよく、2層以上の層構成で構成されていても良い。本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成されるのが好ましい。最も好ましい構成としては、感光層を電荷発生層と1層以上の電荷輸送層で構成する。
【0084】
又、本発明の有機感光体の表面層は、電荷輸送層の機能を有していてもよく、電荷輸送の機能を持たなくても良い。例えば、単なる表面層(保護層)であってもよく、電荷注入層の機能を有していてもよい。
【0085】
本発明の感光層と表面層の合計膜厚には、感光層と導電性基体の間に設けられる中間層や導電層、或いは半導体層は含まれない。即ち、感光層と表面層の合計膜厚が、高画質の電子写真画像(高画質の静電潜像を)を形成する上で、重要な因子であり、中間層や導電層、或いは半導体層の膜厚は、感光層と表面層の合計膜厚に比し、露光時の高画質への影響は小さい。
【0086】
本発明の有機感光体の感光層と表面層の合計膜厚が5〜15μmの層構造は、電荷発生層及び電荷輸送層を複数の層構成にした層構造で、その膜厚の合計が5〜15μmとした層構成が好ましい。合計膜厚が5μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、15μmを超えると、鮮鋭性が十分に改善されない。特に、複数の電荷輸送層の合計膜厚を8〜14μmの範囲で構成した場合が、鮮鋭性の改善効果がより顕著である。
【0087】
以上のような層構成を採用し、且つ最上層の電荷輸送層を本発明の表面層で構成することにより、鮮鋭性を著しく改善でき、且つ感光層を薄膜化した場合に発生しやすい、画像むら等の画像欠陥を防止し、電位性能が安定した有機感光体を提供することができる。
【0088】
以下、上記以外の本発明に適用される有機感光体の構成について記載する。
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。最も好ましい構成としては、感光層を電荷発生層と複数の電荷輸送層で構成する。
【0089】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0090】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0091】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0092】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0093】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設けることが好ましい。
【0094】
本発明の中間層には前記した吸水率が小さいバインダー樹脂中に酸化チタンを含有させることが好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0095】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0096】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0097】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0098】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0099】
上記反応性有機ケイ素化合物としては前記一般式(1)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記一般式(1)の化合物に限定されない。
【0100】
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0101】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0102】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0103】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0104】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0105】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0106】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0107】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の正孔輸送性(P型)の電荷輸送物質(CTM)を用いることが好ましい。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0108】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0109】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0110】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0111】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0112】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお表面層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0113】
次に、本発明のトナー像の形成の為に用いられるトナーについて説明する。
本発明のトナー像の形成の為に用いられるトナーは、
▲1▼トナー粒子の形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上、
▲2▼トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上である。
【0114】
即ち、本発明では、前記有機感光体に上記▲1▼、▲2▼の少なくとも1つ以上の条件を満たしたトナーを含有した現像剤を用いることにより、画像むらや文字チリを防止し、良好な電子写真画像を得ることができる。上記▲1▼、▲2▼の両方の条件を満足することがより好ましい。
【0115】
更に、上記▲1▼、▲2▼の条件に加えて、下記▲3▼の条件を満足したトナーを用いることが最も好ましい。
▲3▼角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、
即ち、上記▲1▼〜▲3▼の全ての条件を満たしたトナーと本発明の体積抵抗を有するキャリアを用いた現像剤と、前記薄層の有機感光体、即ち、感光層と必要により設けられる保護層の合計膜厚が5〜15μmの有機感光体と併用することにより、画像むらや文字チリを顕著に改善することができる。
【0116】
以下、上記▲1▼〜▲3▼のトナーについて説明する。
トナーの形状係数(=トナー粒子の形状係数)
トナー粒子の形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0117】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0118】
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0119】
本発明のトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上であり、好ましくは、70個数%以上である。
【0120】
本発明では前記薄層の有機感光体上に形成された潜像をこの形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上含有する現像剤により現像することにより、画像むらや文字チリを防止し鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0121】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、トナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、トナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナー粒子を調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調整する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調製する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.2〜1.6に調整したトナー粒子を同様に通常のトナーへ添加して調整する方法がある。
【0122】
上記方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。該重合法トナー(重合トナーとも云う)とはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要により、その後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。
【0123】
重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
【0124】
このトナーの形状係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、本発明のトナーを構成する樹脂粒子(重合体粒子)を調製(重合)、当該樹脂粒子を融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0125】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0126】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0127】
角がないトナー粒子の割合
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが必要とされ、この割合が70個数%以上であることが好ましい。
【0128】
本発明のトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70個数%以上とされる。
【0129】
本発明では前記薄層の有機感光体上に形成された潜像を角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、画像むらや文字チリを防止し鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0130】
ここに、「角がないトナー粒子」とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。すなわち、図2(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図2(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0131】
角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0132】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0133】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0134】
トナー粒子の粒径
トナー粒子の個数粒度分布はコールターカウンターTA−あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0135】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3.0〜8.5μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0136】
個数平均粒径が3.0〜8.5μmであることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0137】
本発明のトナーは、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーである。
【0138】
本発明では前記薄層の有機感光体上に形成された潜像を相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いた現像剤により現像することにより、画像むらや文字チリを防止し鮮鋭性の良好な電子写真画像が得られる。
【0139】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0140】
トナーの製造方法
本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られる重合トナーであることが好ましく、また、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で会合させて得られる重合トナーであることが好ましい。以下、本発明の重合トナー(以後、単にトナーとも云う)を製造する方法について詳細に説明する。
【0141】
本発明の重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合して微粒の重合体粒子(樹脂粒子)を調製し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を会合する方法で製造することができる。ここで「会合」とは、前記樹脂粒子が複数個融着することをいい、当該樹脂粒子と他の粒子(例えば着色剤粒子)とが融着する場合も含むものとする。
【0142】
尚、本発明で重合トナーとは、トナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0143】
本発明の重合トナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0144】
なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0145】
また、本発明の重合トナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0146】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0147】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0148】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0149】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0150】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0151】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0152】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0153】
前記樹脂粒子を水系媒体中で会合させる際に使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0154】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0155】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0156】
凝集剤と共に使用される「水に対して無限溶解する溶媒」としては、形成される樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0157】
この水に対して無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0158】
なお、粒子形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいからであると考えられる。
【0159】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0160】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0161】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0162】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0163】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
【0164】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0165】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0166】
本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。特に、数平均一次粒径が0.01〜1.0μmの無機外添剤を用いることが好ましく、0.01〜0.5μmの無機外添剤がより好ましい。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、現像性の向上に対して効果が顕著にでるものと推定される。外添剤の数平均一次粒径は前記したシリカ粒子の数平均一次粒径の測定と同様にして測定する。
【0167】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり攪拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0168】
疎水化度=(a/(a+50))×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0169】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さいほぼ球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることによりほぼ球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。
【0170】
次に、重合トナーの製造に好ましく用いられる反応装置について説明する。図3および図4は、それぞれ、重合トナー反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図3および図4に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1jを外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2j内の中心部に回転軸3jを垂設し、該回転軸3jに攪拌槽2jの底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40jと、より上段に配設された攪拌翼50jとが設けられている。上段の攪拌翼50jは、下段に位置する攪拌翼40jに対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90度(°)未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角αが90度未満であることが好ましい。
【0171】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50jによりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40jにより、上段の攪拌翼50jで形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50j自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
【0172】
なお、図3および図4中、矢印は回転方向を示し、7jは上部材料投入口、8jは下部材料投入口、9jは攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0173】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図5に記載する。図5(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0174】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0175】
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0176】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0177】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0178】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌槽としては、前述の懸濁重合法と同様のものが使用できる。この場合、攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが必要である。
【0179】
この攪拌翼の形状についても、層流を形成させ、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図5(c)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0180】
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが好ましい。
【0181】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
図6は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【0182】
図6に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0183】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0184】
ここでデジタル画像の形成に広く用いられる反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0185】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0186】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図6のように現像位置上部に設けて行う。
【0187】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0188】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0189】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図6では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0190】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のクリーニングブレード62Aの圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0191】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0192】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0193】
本発明は電子写真感光体の表面に滑剤を供給する滑剤供給手段を有することを特徴とする。滑剤供給手段は電子写真感光体周辺の適当な位置に設置することができるが、設置空間を有効利用するには、図6記載の帯電手段、現像手段、クリーニング手段の一部を利用して、設置しても良い。以下、クリーニング手段に滑剤供給手段を併用した例を挙げる。
【0194】
図7は本発明の感光体に設置される滑剤供給手段を有するクリーニング手段の構成図である。
【0195】
該クリーニング手段は図6のクリーニング手段として用いられる。図7のクリーニングブレード62Aが支持部材62Bに取り付けられている。該クリーニングブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。
【0196】
一方、支持部材62Bは板状の金属部材やプラスチック部材で構成される。金属部材としてはステンレス鋼板、アルミ板、或いは制震鋼板等が好ましい。
【0197】
本発明において、感光体表面に圧接するクリーニングブレードの先端部は、感光体の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて負荷をかけた状態で圧接することが好ましい。図7に示すようにクリーニングブレードの先端部は感光体と圧接するときに、圧接面を形成することが好ましい。
【0198】
クリーニングブレードの感光体への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、P=5〜40N/m、θ=5〜35°である。
【0199】
当接荷重Pはクリーニングブレード62Aを感光体ドラム1に当接させたときの圧接力P′の法線方向ベクトル値である。
【0200】
又当接角θは感光体の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレード(図面では点線で示した)とのなす角を表す。62Eは支持部材を回転可能にする回転軸であり、62Gは荷重バネを示す。
【0201】
又、前記クリーニングブレードの自由長Lは図7に示すように支持部材62Bの端部Bの位置から変形前のブレードの先端点の長さを表す。該自由長の好ましい値としてはL=6〜15mm、である。クリーニングブレードの厚さtは0.5〜10mmが好ましい。ここで、本発明のクリーニングブレードの厚さとは図7に示すように支持部材62Bの接着面に対して垂直な方向を示す。
【0202】
図7のクリーニング手段には滑剤供給手段を兼ねたブラシロール62Cが用いられている。該ブラシロールは感光体1に付着したトナーの除去、クリーニングブレード62Aで除去されたトナーの回収機能と共に、滑剤を感光体に供給する滑剤供給手段としての機能を有する。即ち該ブラシロールは感光体1と接触し、その接触部においては感光体と進行方向が同方向に回転し、感光体上のトナーや紙粉を除去すると共に、クリーニングブレード62Aで除去されたトナーを搬送し、搬送スクリュー62Jに回収する。この間の経路はブラシロール62Cに除去手段としてのフリッカ62Iを当接させることにより、感光体1からブラシロール62Cに転移したトナー等の除去物を除去することが好ましい。更にこのフリッカに付着したトナーをスクレーパ62Dで除去し、トナーを搬送スクリュー62Jに回収する。回収されたトナーは廃棄物として外部に取り出されるか、或いはトナーリサイクル用のリサイクルパイプ(図示せず)を経由して現像器に搬送され再利用される。フリッカ62Iの材料としてはステンレス、アルミニウム等の金属管が好ましく用いられる。一方、スクレーパ62Dとしては、リン青銅板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板等の弾性板が用いられ、先端がフリッカの回転方向に対し鋭角を形成するカウンター方式で当接させるのが好ましい。
【0203】
又、滑剤(ステアリン酸亜鉛等の固形素材)62Kはブラシロールにバネ荷重62Sで押圧されて取り付けられており、ブラシは回転しながら、該滑剤を擦過して、感光体の表面に滑剤を供給する。
【0204】
ブラシロール62Cとしては導電性又は半導電性体のブラシロールが用いられる。
【0205】
本発明で用いられるブラシロールのブラシ構成素材は、任意のものを用いることができるが、疎水性で、かつ誘電率が高い繊維形成性高分子重合体を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えばレーヨン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル酸樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)等が挙げられる。これらのバインダ樹脂は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。特に、好ましくはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレンである。
【0206】
また、前記ブラシは、導電性又は反導電性のものが用いられ、構成素材にカーボン等の低抵抗物質を含有させ、任意の比抵抗に調整したものが使用できる。
【0207】
ブラシロールのブラシ毛の比抵抗は、常温常湿(温度26℃、相対湿度50%)で、長さ10cmの1本のブラシ毛の両端に500Vの電圧を印加した状態で測定して、101Ωcm〜106Ωcmの範囲内のものが好ましい。
【0208】
即ち、ブラシロールはステンレス等の芯材に101Ωcm〜106Ωcmの比抵抗を持つ導電性又は半導電性のブラシ毛を用いることが好ましい。101Ωcmよりも比抵抗が低いと、放電によるバンディング等が発生しやすくなる。また、106Ωcmよりも高いと、感光体との電位差が低くなって、クリーニング不良が発生しやすくなる。
【0209】
ブラシロールに用いるブラシ毛1本の太さは、5〜20デニールが好ましい。5デニールに満たないと、十分な擦過力が無いため表面付着物を除去できない。また、20デニールより大きいと、ブラシが剛直になるため感光体の表面を傷つける上に摩耗を進行させ、感光体の寿命を低下させる。
【0210】
ここでいう「デニール」とは、前記ブラシを構成するブラシ毛(繊維)の長さ9000mの質量をg(グラム)単位で測定した数値である。
【0211】
前記ブラシのブラシ毛密度は、4.5×102/cm2〜2.0×104/cm2(1平方センチあたりのブラシ毛数)である。4.5×102/cm2に満たないと、剛直度が低く擦過力が弱い上に、擦過にムラができ、付着物を均一に除去することができない。2.0×104/cm2より大きいと、剛直になって擦過力が強くなるために感光体を摩耗させ、感度低下によるカブリや傷による黒スジ等の不良画像が発生する。
【0212】
本発明で用いられるブラシロールの感光体に対する食い込み量は0.4〜1.5mmに設定されるのが好ましい。この食い込み量は、感光体ドラムとブラシロールの相対運動によって発生するブラシにかかる負荷を意味する。この負荷は、感光体ドラムから見れば、ブラシから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、感光体が適度な力で擦過されることが必要であることを意味する。
【0213】
この食い込み量とはブラシを感光体に当接したとき、ブラシ毛が感光体表面で曲がらずに、直線的に内部に進入したと仮定した時の内部への食い込み長さを云う。
【0214】
滑剤が供給された感光体ではブラシによる感光体表面の擦過力が小さいため、食い込み量が、0.4mmより小さいと、トナーや紙粉などの感光体表面へのフィルミングを抑制することができず、画像上でムラなどの不良が発生する。一方、1.5mmより大きいと、ブラシによる感光体表面の擦過力が大きすぎるために、感光体の摩耗量が大きくなり、感度低下によるカブリが発生したり、感光体表面に傷が発生し、画像上にスジ故障が発生したりして問題である。
【0215】
本発明のブラシロールに用いられるロール部の芯材としては、主としてステンレス、アルミニウム等の金属、紙、プラスチック等が用いられるが、これらにより限定されるものではない。
【0216】
本発明で用いられるブラシロールは円柱状の芯材の表面に接着層を介してブラシを設置した構成であることが好ましい。
【0217】
ブラシロールは、その当接部分が感光体の表面と同方向に移動するように回転するのが好ましい。該当接部分が逆方向に移動すると、感光体の表面に過剰なトナーが存在した場合に、ブラシロールにより除去されたトナーがこぼれて記録紙や装置を汚す場合がある。
【0218】
感光体とブラシロールとが前記のように、同方向に移動する場合に、両者の表面速度比は1対1.1〜1対2の範囲内の値であることが好ましい。ブラシロールの回転速度が感光体よりも遅いとブラシロールのトナー除去能力が低下するためにクリーニング不良が発生しやすく、感光体よりも速いとトナー除去能力が過剰となってブレードバウンディングやめくれが発生しやすくなる。
【0219】
本発明は上記のような中間転写体を有する画像形成装置において、含水率が5.0質量%以下の滑剤を電子写真感光体表面に付与するため、滑剤供給手段を電子写真感光体の表面に当接させたことを特徴とする。
【0220】
ここで滑剤とは電子写真感光体の表面に付着し、電子写真感光体の表面エネルギーを低下させる物質を云い、具体的には表面に付着することにより、電子写真感光体の表面の接触角(純水に対する接触角)を1°以上増加させる材料を云う。
【0221】
表面接触角測定
感光体表面の接触角は純水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて30℃80%RHの環境下で測定する。
【0222】
ところで、滑剤としては脂肪酸金属塩或いはフッ素系樹脂が挙げられるが、これらの素材は、該素材中の親水性基や不純物成分の為、高温高湿条件で、含水量が多くなりやすい。この含水量が多くなると、これら滑剤が均一に感光体の表面に延展されず、前記した本発明の効果を十分に発揮させ得ない。
【0223】
又、滑剤としては、電子写真感光体の表面の接触角(純水に対する接触角)を1°以上増加させる材料であれば、脂肪酸金属塩或いはフッ素系樹脂等の材料に限定されない。
【0224】
本発明に用いられる滑剤としては、感光体表面への延展性及び均一な膜形成性能を有する材料として脂肪酸金属塩が最も好ましい。該脂肪酸金属塩は、炭素数10以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩が好ましい。たとえばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸ガリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、パルチミン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸金属塩である。
【0225】
上記脂肪酸金属塩の中でも特にフローテスターの流出速度が高い脂肪酸金属塩は劈開性が高く、本発明の前記感光体表面でより効果的に脂肪酸金属塩の層を形成することができる。流出速度の範囲としては1×10-7以上1×10-1以下が好ましく、5×10-4以上1×10-2以下であると最も好ましい。フローテスターの流出速度の測定は島津フローテスター「CFT−500」(島津製作所(株)製)を用いて測定した。
【0226】
又、上記固形材料の他の例としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末が好ましい。これらの固形材料は必要に応じて圧力をかけ、板状或いは棒状ににして用いることが好ましい。
【0227】
一方、含水率の測定は、滑剤の場合はこの素材をシャーレに入れ、30℃、80%RHに24時間放置後、カールフィッシャー水分率計(京都電子工業(株)製;MKA−3p)を用いて測定する。
【0228】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0229】
感光体1の作製
下記の様に感光体1を作製した。
【0230】
直径100mmφ、長さ346mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター)し、中間層塗布液を作製した。
【0231】
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3部
メタノール 10部
を混合し、分散機としてサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層分散液を作製した。
【0232】
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるよう塗布した。
〈電荷発生層:CGL〉
電荷発生物質(CGM)
チタニルフタロシアニン顔料(F:Cu−Kα特性X線の回折角度:ブラッグ角2θで、27.3°に最大なピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)60部
ポリビニルブチラール樹脂(BL−S:積水化学社製) 700部
2−ブタノン 2000部
を混合し、サンドミルを用いて30時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0233】
〈電荷輸送層:CTL〉
電荷輸送物質([4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]−(ジ−p−トリル)アミン) 225部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液1を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
【0234】
〈表面層:OCL〉
表面層塗布液調製として、メチルトリメトキシシラン30部、ジメチルジメトキシシラン16部に2.5%酢酸水溶液17部、tert.−ブタノール150部を加え、室温にて16時間加水分解反応させた。その後、酸化防止剤(例示化合物2−1)1部、電荷輸送性構造単位含有化合物(HCT−3)20部、コロイダルシリカ(数平均粒径15nm、メタノール分散品、固形分30質量%)40部、硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート1部を加えて溶解し表面層塗布液を作製した。
【0235】
次いで先の表面層塗布液を円形スライドホッパーにて塗布して、110℃;90分加熱硬化し、乾燥膜厚2.0μmの表面層を形成して感光体1を作製した。
【0236】
感光体2〜9の作製
感光体1の作製において、電荷発生層(CGL)の膜厚、電荷輸送層及び表面層の膜厚を表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜9を作製した。
【0237】
感光体10の作製
〈表面層〉
感光体1における表面層を下記の表面層塗布液を用いて作製した以外は、感光体1と同様にして感光体10を作製した。
【0238】
シロキサン部分構造を有するポリカーボネート(Po−13:粘度平均分子量4万) 50部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 50部
電荷輸送物質([4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]−(ジ−p−トリル)アミン) 80部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 4部
1,2−ジクロロエタン 1200部
を混合し、溶解して表面層塗布液を調製した。
【0239】
感光体11の作製
感光体1における表面層を下記の表面層塗布液を用いて作製した以外は、感光体1と同様にして感光体11を作製した。
【0240】
〈表面層〉
疎水性シリカ(数平均一次粒径20nm、疎水化度(メタノールウエッタビリティー:75)) 15部
電荷輸送剤(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)
トリフェニルアミン) 225部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製)6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して表面層塗布液を調製した。
【0241】
感光体12の作製
感光体1の作製において、表面層を除いた他は同様にして感光体12を作製した。
【0242】
【表1】
Figure 0004178922
【0243】
トナー及び現像剤の作製
(トナー製造例1:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0244】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0245】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0246】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0247】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0248】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0249】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0250】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0251】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0252】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0253】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0254】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0255】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0256】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0257】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0258】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜(図3に示した構成の反応装置,交差角αは25°)に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた(塩析/融着工程)。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
【0259】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器(図3に示した構成の反応装置,交差角αは20°)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=400nm、疎水化度=63)を0.3質量%添加混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0260】
前記塩析/融着工程および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1〜6を得た。
【0261】
【表2】
Figure 0004178922
【0262】
〔現像剤の製造〕
トナー1〜6の各々10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1〜6を製造した。
【0263】
《評価》
図7に示したクリーニング手段(62Kに表3に示した固形滑材を用いた)をデジタル複写機「Konica7050」の改造機に組み込み評価を行った。上記のようにして作製された感光体及び現像剤(トナー)を用いて表3に示したように組み合わせ、該デジタル複写機「Konica7050」の改造機に組み込み評価を行った。
【0264】
【表3】
Figure 0004178922
【0265】
尚、上記Konica7050を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0266】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電目標:−500V〜−600V
露光条件
露光部電位目標:−50Vにする露光量に設定。
【0267】
露光ビーム:ドット密度400dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザビームスポット面積:0.8×10-92、レーザは680nmの半導体レーザを使用
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
分離条件:分離爪ユニットの分離手段を用いた
クリーニング条件
クリーニングブレード
ゴム硬度JISA70°、反発弾性55、厚さ2mm、自由長9mmのポリウレタン製弾性ゴムブレードを当接角20°で感光体の回転に対してカウンター方向に、重り荷重方式で押圧力20g/cmで当接した。
【0268】
クリーニングブラシ
単繊維太さ15デニール、繊維密度9.3×102f/cm2のアクリル性導電性ブラシをSUS製の芯金に取り付け作製した。該導電性ブラシ(ブラシローラ)は感光体に対し順方向で、感光体と同期して動作するように設定した。導電性ブラシの感光体の食い込み量は1mmとした。
【0269】
評価項目
画像むら
上記konica7050改造機を高温高湿下(HH:30℃80RH%)10万枚の連続コピーを行い、コピー終了後に、オリジナル画像で0.4の濃度のハーフトーン画像を0.4の濃度にコピー、コピー画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
文字チリの評価
前記と同様の10万枚の連続コピー終了後に、0.1mmの線で作製された5cmの幅の格子画像を先端部に有するオリジナル画像をコピーして評価した。評価はコピー画像を20倍に拡大し、線の連続性及びチリの発生状況を観察した。
【0270】
◎:チリが無く、細線が連続している
○:チリが目視では判定できないレベルで軽微に発生し、細線が連続している
△:チリが目視でも観察できるレベルで発生しているが細線は連続している
×:チリが目視でも観察できるレベルで発生し、細線も断続する箇所が発生している。
【0271】
(鮮鋭性)
前記と同様の10万枚の連続コピー終了後に、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0272】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
【0273】
【表4】
Figure 0004178922
【0274】
表中、感光層の膜厚は電荷発生層、電荷輸送、層表面層の膜厚の合計を示す。表4から明らかなように、本発明の感光体の条件(表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が5〜15μmである有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に滑剤を付着させて電子写真画像を形成する)を満たしている組み合わせNo.1〜11及び14〜18は上記条件の少なくとも1つを満足していない組み合わせNo.4、5、12、13、19に対し、画像むら、文字チリ、鮮鋭性の各評価項目で改善された評価結果を得ている。特に、本発明内の組み合わせでも、感光層の膜厚が8〜14μmで、表面層がシロキサン系樹脂とシリカ粒子を含有し、現像剤に形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上し且つ最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上の条件を満たしたトナーを用いたNo.1、6〜9、14、15は各評価項目で、改善効果が著しい。一方、感光層の膜厚が16μmの感光体4を用いた組み合わせ4は鮮鋭性が低下しており、感光層の膜厚が4μmの感光体5を用いた組み合わせ5は、帯電電位が十分でなく、耐電むらも発生し、全ての評価が劣っている。感光体の表面が本発明外の感光体12を用いた組み合わせ12、19及び滑剤供給をしていない組み合わせ13も全ての評価が劣っている。
【0275】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法を用いることにより、薄層の感光層を有する有機感光体で発生しやすい減耗むらによる画像むらや文字チリの発生を防止し、高い解像性を有する電子写真画像が得られる。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電位保持能低下の膜厚依存性を示した図である。
【図2】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図3】重合トナー反応装置の一例を示す斜視図である。
【図4】重合トナー反応装置の一例を示す断面図である。
【図5】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【図6】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面構成図である。
【図7】本発明の感光体に設置される滑剤供給手段を有するクリーニング手段の構成図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ

Claims (6)

  1. 有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が5〜15μmであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  2. 有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が5〜15μmであり、前記現像で用いるトナーが、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナーであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  3. 有機感光体を帯電した後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像でトナー像に顕像化し、該トナー像を記録紙に転写した後、有機感光体上に残留するトナーを除去する画像形成方法において、該有機感光体の表面層が、シリカ又はシロキサン系樹脂を含有し、感光層及び表面層の合計膜厚が15μm以下であり、前記現像で用いるトナーが、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上のトナーであり、有機感光体の周辺に設けた滑剤供給手段により、前記有機感光体の表面に炭素数10以上の脂肪酸金属塩を付着して電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  4. 前記トナーが粒径0.01〜1.0μmの無機の外添剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記有機感光体の帯電が接触帯電により帯電することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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