JP3743325B2 - クリーニング装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真方式による画像形成装置に搭載されるクリーニング装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、例えば電子写真方式による画像形成装置においては、有機光導電性物質を含有する有機感光体よりなる潜像担持体を備えたものが広く利用されている。この理由は、有機感光体は、可視光から赤外光まで各種の露光光源に対応した材料が開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、および製造コストが安いことなど、他の像担持体と比較して有利な点を多く有しているからである。
【0003】
このような画像形成装置においては、有機感光体上の未転写トナーや転写残トナー等の残留トナーを除去するための手段として、例えば、弾性体からなる平板状のクリーニングブレードを有機感光体の表面に当接し、これにより有機感光体上の残留トナーを除去するブレードクリーニング方式によるクリーニング装置を備えたものが知られている。
【0004】
しかし、有機感光体は、機械的強度が小さいため、多数枚のプリント時に表面の劣化や傷を発生しやすく、また、有機感光体の表面に形成された静電潜像を顕像化させるためのトナーとの接触エネルギーが大きいものであるため、転写領域を通過した残留トナーを除去するクリーニング工程において、以下に示すような種々の問題が発生しやすい。
【0005】
例えば、接触エネルギーが大きいため、有機感光体の表面に当接するクリーニングブレードの先端縁が有機感光体の移動方向に追従して反転する「ブレードめくれ」、有機感光体の移動に伴うクリーニングブレードを圧縮変形させる方向に作用する力の影響を受けて、クリーニングブレードが有機感光体の表面に対して離接する「ブレードバウンド」、あるいは有機感光体の表面に対するクリーニングブレードの当接部における微細な振動が有機感光体に共鳴して高い金属音を発する「ブレード鳴き」等の現象が発生しやすい。
【0006】
一方、電子写真方式による画像形成装置においては、近年、画像の高画質化の観点からトナー粒子を小粒径化することが要請されており、このようなトナー粒子を得る方法として、例えば乳化重合法や懸濁重合法等の重合法が好適に利用されている。
【0007】
しかしながら、トナー粒子の小粒径化に伴って、トナー粒子と有機感光体との付着力が大きくなるために、有機感光体上の残留トナーを除去することが困難になり、特に、重合法により製造された、いわゆる重合トナーを用いた場合には、トナー粒子の形状が球形に近いものとなるため、トナー粒子が有機感光体上で転がり、クリーニングブレードを通りぬける、いわゆる「スリヌケ」と呼ばれるクリーニング不良が発生しやすくなり、一層、有機感光体上の残留トナーを除去することが困難になる、という問題がある。特に、有機感光体はその表面が摩耗しやすく、摩耗で発生した表面の凹凸にトナーが付着すると、僅かなトナーのすり抜けが長期にわたり発生し、これらすり抜けたトナーが帯電部材(帯電ワイヤや帯電ローラ)を汚染し、画質の高い画像を形成することが困難になる、という問題がある。
【0008】
また、上記のようなクリーニング不良の発生を防止するために、使用されるトナーの形状を不定形化すること、例えばトナーの形状を楕円形状にすることや、トナーの表面形状を凹凸形状にすることなどが提案されているが、十分な解決手段となっていないのが実情である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、クリーニングブレードを備え、高いクリーニング性能を長期にわたって安定的に発揮することができるクリーニング装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、潜像担持体上の残留トナーを確実に除去することができ、従って、画質の高い画像を長期にわたって安定的に形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のクリーニング装置は、回転駆動される円筒状の潜像担持体の表面に先端縁が当接するよう配置されたクリーニングブレードと、このクリーニングブレードの基端側部分の外面に位置されて当該クリーニングブレードを潜像担持体の表面に当接するよう付勢する支持部材とにより構成されたクリーニングブレード機構を備えてなり、
クリーニングブレード機構においては、平板状の弾性体よりなるクリーニングブレードが支持部材の先端縁を越えて伸びる突出部分を有すると共に、支持部材により基端側部分が保持された、クリーニングブレードと同方向に支持部材の先端縁を越えて伸びる突出部分を有する板状の振動緩衝部材が設けられており、
振動緩衝部材は、その突出部分の長さがクリーニングブレードの突出部分の長さよりも小さく、かつ、その先端部に前記潜像担持体の軸方向に並ぶ複数の舌片部分が形成されるようスリット状の切り込みが形成されていると共に、当該舌片部分の先端縁がクリーニングブレードの外面に位置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のクリーニング装置においては、クリーニングブレードの突出部分の長さに対する振動緩衝部材の突出部分の長さの比が0.1より大きく、かつ0.9以下であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のクリーニング装置においては、振動緩衝部材は、その舌片部分の潜像担持体の軸方向における軸方向長さが、クリーニングブレードの軸方向長さの1/100〜1/10の大きさのものであることが好ましく、さらに、先端側部分に形成された切り込みの深さが、当該振動緩衝部材の突出部分の長さの1/10〜1の大きさのものであることが好ましい。
【0013】
本発明の画像形成装置は、上記のクリーニング装置により、トナー像形成機構によって形成されたトナーによるトナー像が記録材に転写される転写領域を通過した位置において、潜像担持体上の残留トナーが除去されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置においては、トナー像形成機構において用いられるトナーは、下記(1)〜(3)の条件の一つまたは二つあるいは全部を満たすものを用いることが好ましい。
(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、かつ形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子からなるものであること。
(2)形状係数の変動係数が16%以下であり、かつ個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子からなるものものであること。
(3)角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナー粒子からなるものであること。
【0015】
【作用】
本発明のクリーニング装置によれば、可撓性を有する振動緩衝部材が、潜像担持体の軸方向の全域にわたってクリーニングブレードと接触するので、クリーニングブレードの振動が振動緩衝部材に緩衝、吸収されることとなり、クリーニングブレードの振動を小さく抑制することができ、しかも、各々の舌片部分が互いに独立して振動緩衝作用を発揮するので、クリーニングブレードの本来の作用、機能を阻害することなく、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、高いクリーニング効果を確実に発揮することができる。
【0016】
また、環境変動に伴ってクリーニングブレードの変形が生じることにより、感光体に対するクリーニングブレードの押圧力が変化した場合であっても、振動緩衝部材がクリーニングブレードに対して追従することによって、クリーニングブレードの潜像担持体に対する当接荷重の大きな変動が生じることが抑制され、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、環境変動に対して安定的に所期のクリーニング効果を発揮することができる。
【0017】
本発明の画像形成装置によれば、上記のクリーニング装置を備えてなるので、ブレード鳴き、ブレードバウンドあるいはブレードめくれなどが発生することが確実に防止され、しかも環境変動に対して安定したクリーニング効果を発揮することができ、従って、潜像担持体上の残留トナーを確実に除去することができ、画質の高い画像を長期にわたって安定的に形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例における構成の概略を示す説明図であって、デジタル方式による画像形成装置を示すものである。
この画像形成装置10は、原稿画像の読み取りを行う画像読取り部Aと、この画像読取り部Aにより読み取られた原稿画像情報の処理を行う画像処理部(図示せず)と、この画像処理部において処理された原稿画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部Bと、この画像形成部Bにおいて形成された画像を記録するための記録材、例えば転写紙を画像形成部Bに供給する記録材搬送手段としての記録材搬送部Cとを備えている。
【0019】
画像読取り部Aの上部位置には、原稿を自動搬送する自動原稿送り手段110が設けられており、原稿載置台111上に載置された原稿は、原稿搬送ローラ112によって1枚ずつ分離搬送され、読み取り位置113Aにおいて原稿画像の読み取りが行われた後、原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0020】
一方、原稿がプラテンガラス113上に置かれた場合には、走査光学系を構成する照明ランプおよび第1ミラーからなる第1ミラーユニット115が速度vで水平方向(図においては左右方向)に移動されることによる読み取り動作と、互いにV字状に配置された第2ミラーおよび第3ミラーからなる第2ミラーユニット116が第1ミラーユニット115と同方向に速度v/2で移動されることによる読み取り動作とが実行されて、原稿画像が読み取られる。
【0021】
読み取られた原稿画像は、投影レンズ117を介してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。そして、撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は、順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換が行われて、画像処理部において濃度変換、フィルタ処理などの処理が施されて、原稿画像情報として一旦メモリに記憶される。
【0022】
画像形成部Bには、回転駆動される潜像担持体としてのドラム状の感光体121と、この感光体121の外周に沿って、感光体121の回転方向に対して各々動作順に並ぶよう配置された、帯電器122、現像装置123、転写器124、分離器125、クリーニング装置200およびプレチャージランプ(PCL)127とにより構成されたトナー像形成機構(ユニット)が設けられている。図示した例の感光体121は、例えば時計方向に回転駆動される。
【0023】
トナー像形成機構においては、感光体121の表面が帯電器122によって所定の極性(例えば負極性)に一様に帯電された後、露光光学系130によって画像処理部におけるメモリから呼び出された原稿画像情報に基づいて露光が行われる。
具体的には、回転されるポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)およびシリンドリカルレンズ(符号なし)を介して照射される例えばレーザーダイオード(図示せず)よりなる光源よりのレーザー光が、反射ミラー132によって光路が曲げられることにより主走査がなされると共に、感光体121が回転されることにより副走査がなされて、感光体121の表面が選択的に露光されることにより、感光体121の表面における照射箇所(露光領域)の電位が低下して原稿画像に対応した静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では、例えば原稿画像の文字部に対して露光が行われて静電潜像が形成される。
【0024】
そして、感光体121と現像領域を介して設けられた現像スリーブ123Aの表面が、図示しない電源から印加される現像バイアスにより、感光体121の表面電位と同じ極性(例えば負極性)に帯電され、現像スリーブ123Aの表面電位と同じ極性(例えば負極性)に帯電されたトナーを含む現像剤が現像領域に搬送される。感光体121の非露光領域における表面電位〔Vh〕、感光体121の露光領域における表面電位〔Vl〕、および現像スリーブ123Aの表面電位〔Vd〕は、互いに同じ極性であって、その絶対値は〔Vh〕> 〔Vd〕> 〔Vl〕であり、従って、現像領域において、現像スリーブ123A上のトナーが感光体121の露光領域に付着して反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像であるトナー像が形成される。
【0025】
一方、記録材搬送部Cには、各々互いに異なるサイズの転写紙が収納された記録材収納手段としての給紙ユニット141A、141B、141Cがトナー像形成機構の下方位置に設けられていると共に、一方の側面には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられており、これらの給紙ユニットの選択されたものから転写紙が、案内ローラ143により搬送路140に沿って給紙され、転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144により感光体121上に形成されたトナー像と同期がとられた状態で、搬送路140、転写前ローラ143Aおよび転写進入ガイド板146を介して、画像形成部Bにおける転写領域Tに搬送される。
【0026】
そして、転写領域Tにおいて、感光体121上のトナー画像が転写器124によって転写紙に転写され、トナー像が転写された転写紙は分離器125により除電されることにより感光体121の表面より分離され、その後、搬送装置145により定着器150に搬送されて定着処理が行われる。
【0027】
定着器150は、定着ローラ151とこの定着ローラ151に圧接されて定着領域を形成するよう設けられた加圧ローラ152とを備えており、定着領域において、転写紙上の未定着トナー像が例えば熱と圧力とによって定着され、転写紙に原稿画像に対応した可視画像が形成される。
【0028】
そして、可視画像が形成された転写紙は、定着器150から排出ローラ161により排出された後、ガイド162によって反転搬送経路に搬送されるが、転写紙の一面にのみ可視画像を形成する場合には、転写紙は第1の反転搬送経路171に搬送される。そして、反転ローラ172が逆転することによって、転写紙は排出口に向かって搬送され、排出ローラ163により、可視画像が形成された面が下向きとされた状態で、排紙トレイ164上に排出される。
【0029】
一方、転写紙の両面に可視画像を形成する場合には、転写紙は定着器150から排出された後、ガイド162によって反転搬送経路に搬送されるが、この場合には、反転ローラ172によって可視画像が形成されている面が上向きとされた状態で、第2の反転搬送経路175に搬送される。そして、再度、画像形成部Bの転写領域Tに向けて搬送されて、他面に可視画像が形成される。
このようにして、両面に可視画像が形成された転写紙は、最初に可視画像が形成された面が下向きとされた状態で排出ローラ163を介して排紙トレイ164上に排出される。
【0030】
以上においては、トナー像が転写紙に転写された後の感光体121は、その表面に残留する残留トナーをクリーニング装置200によって除去するクリーニング工程に付される。
【0031】
図2は、本発明のクリーニング装置の一例における構成の概略を示す説明用側面図である。
このクリーニング装置200は、回転駆動される円筒状の感光体121の軸方向に伸び、感光体121の表面に先端縁が当接するよう設けられた平板状のクリーニングブレード220と、このクリーニングブレード220の基端側部分の外面(図2においては左側に位置される面)側に位置してこれを支持し、感光体121の回転軸と平行に伸びる回動中心軸Oの周りに回動してクリーニングブレード220を感光体121の表面に当接するよう付勢する支持部材221とにより構成されたクリーニングブレード機構210を備えている。
【0032】
クリーニングブレード220は、支持部材221の先端を越えて突出した状態となっていると共に、感光体121の表面に対する当接位置Aにおける接平面Xに対して外方に傾斜した状態とされている。そして、作動状態においては、クリーニングブレード220の先端部が感光体121の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向くよう全体が湾曲した状態となり、感光体121の表面に対する当接荷重が一定の大きさに制御された状態で、感光体121の表面に圧接される。このとき、クリーニングブレード220の先端部が感光体121の表面に対して圧接面が形成される状態とされることが好ましい。
【0033】
クリーニングブレード220は、例えばゴム弾性体により構成することができ、このようなゴム弾性体としては、例えばウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられるが、これらのうちでも、他のものに比して耐摩耗性に優れていることから、ウレタンゴムを用いることが特に好ましい。
ウレタンゴムとしては、例えば特開昭59−30574号公報に開示されているポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるものを用いることが好ましい。
【0034】
支持部材221は、基端部が機枠(図示せず)に回動自在に固定された平板状のブレード支持部221Aと、このブレード支持部221Aの回動中心軸Oより先端側に位置される個所において、ブレード支持部221Aと垂直な方向に伸びる平板状の押圧力付勢部221Bとにより構成されており、押圧力付勢部221Bには、一端が機枠に固定された例えばコイルバネなどの押圧手段221Cが設けられている。
【0035】
クリーニングブレード機構210には、支持部材221により基端側部分が保持された、クリーニングブレード220と同方向(感光体121の軸方向)に伸びる可撓性を有する板状の振動緩衝部材222が設けられている。
具体的には、振動緩衝部材222は、その基端側部分がクリーニングブレード220と支持部材221におけるブレード支持部221Aとにより挟持されると共に、先端側部分が支持部材221のブレード支持部221Aの先端縁を越えて伸び、先端縁がクリーニングブレード220の外面上に、接触してまたは接触せずに位置された状態で配置されており、クリーニングブレード220の外面およびブレード支持部221Aの内面の各々と接着材223により一体に固定されている。
【0036】
振動緩衝部材222を構成する可撓性を有する材料は、クリーニングブレード220の弾性変形を規制して感光体121に対して過剰に大きな押圧力が作用されない程度に、クリーニングブレード220より硬いものであれば、特に制限されるものではなく、例えばプラスチック部材、金属部材あるいは硬質ゴムなど種々の材料を用いることができる。
ここに、「可撓性」の程度としては、例えばJIS K−7203を基準として測定される曲げ強度が1〜500N/mm2 であることが好ましい。
【0037】
プラスチック部材は、加熱することによって任意の形状に成形することができる高分子材料により構成されたものであり、高分子材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンアクリレート共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の強化プラスチック、あるいは3次元架橋により硬化させたゴム弾性が小さい熱硬化性高分子材料等が好ましく用いられる。
また、金属部材としては、例えばリン青銅、ステンレス鋼(SUS)、鉄等の薄板を用いることができる。
また、硬質ゴムは、その種類は特に制限されず、種々のものを用いることができる。
【0038】
振動緩衝部材222は、その先端部に感光体121の軸方向に並ぶ複数の舌片部分を有するものであって、例えば図3に示すように、感光体121の軸方向(図3においては左右方向)に対して互いに離間する位置において、先端縁Eから、感光体121の軸方向に直交する方向(図3においては上下方向)に伸びるようスリット状の切り込み224を形成することにより複数の舌片部分222Aが形成された板状部材により構成することができる。
【0039】
振動緩衝部材222は、上述したように、支持部材221のブレード支持部221Aに固定されていない部分、すなわちブレード支持部221Aの先端縁を越えて伸びる突出部分222Bの長さ(以下、「突出長さ」という。)bが、クリーニングブレード220の突出部分220Aの長さaより小さい状態とされている。
【0040】
振動緩衝部材222の突出長さbが、クリーニングブレード220の突出長さaより小さいことにより、クリーニングブレード220の変形(感光体121に圧接されることによる変形)が基本的に規制されることなしに、クリーニングブレード220の振動が振動緩衝部材222によって緩衝され、クリーニングブレード220の振動を確実に小さく抑制することができ、ブレード鳴きの発生を確実に防止することができる。
【0041】
クリーニングブレード220の突出長さaに対する振動緩衝部材222の突出長さbの比(b/a)は、0.1より大きく、かつ0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.3〜0.8である。
クリーニングブレード220の突出長さaに対する振動緩衝部材222の突出長さbの比(b/a)が0.1以下である場合には、トナーのすり抜けやブレード鳴きが発生しやすくなり、一方、クリーニングブレード220の突出長さaに対する振動緩衝部材222の突出長さbの比(b/a)が0.9より大きい場合には、ブレードめくれやブレードバウンドが発生しやすくなる。
【0042】
クリーニングブレード220の厚さt1に対する振動緩衝部材222の厚さt2の比(t2/t1)は、振動緩衝部材222を構成する材料に応じてその好ましい範囲が異なる。ここに、「クリーニングブレード220の厚さt1」および「振動緩衝部材222の厚さt2」とは、支持部材221との接合面に対して垂直な方向の大きさを示す(図2参照)。
【0043】
振動緩衝部材222がプラスチック部材により構成される場合には、クリーニングブレード220の厚さt1に対する振動緩衝部材222の厚さt2の比(t2/t1)は、1/50より大きく、かつ1より小さいことが好ましく、より好ましくは、1/50〜1/4である。
【0044】
クリーニングブレード220の厚さt1に対する振動緩衝部材222の厚さt2の比(t2/t1)が上記範囲を満足することにより、クリーニングブレード220は支持部材221に安定して保持され、しかもクリーニングブレード220の振動が振動緩衝部材222により確実に緩衝され、ブレードめくれやトナーのすり抜けの発生を確実に防止することができ、所期のクリーニング効果を確実に発揮することができる。
また、比(t2/t1)が1/50以下の場合には、トナーのすり抜けが発生しやすくなり、一方、比(t2/t1)が1以上の場合には、ブレードめくれが発生しやすくなる。
【0045】
また、振動緩衝部材222が金属薄板により構成される場合は、振動緩衝部材222の厚さは50〜500μmであることが好ましい。これにより、振動緩衝部材222に十分な可撓性が得られ、トナーのすり抜けやブレードめくれの発生を確実に防止することができる。
【0046】
また、振動緩衝部材222が硬質ゴムにより構成される場合には、クリーニングブレード220の厚さt1に対する振動緩衝部材222の厚さt2の比(t2/t1)は、1/30より大きく、かつ2より小さいことが好ましく、より好ましくは、1/8〜5/4であり、特に好ましくは、1/4〜3/4である。
【0047】
クリーニングブレード220の厚さt1に対する振動緩衝部材222の厚さt2の比(t2/t1)が上記範囲を満足することにより、クリーニングブレード220と硬質ゴムよりなる振動緩衝部材222とが、支持部材221に安定して保持され、しかもクリーニングブレード220の振動が振動緩衝部材222により確実に緩衝され、ブレードめくれや残留トナーのすり抜けの発生を確実に防止することができ、所期のクリーニング効果を確実に発揮することができる。
また、比(t2/t1)が1/30以下である場合には、トナーのすり抜けが発生しやすくなり、一方、比(t2/t1)が2以上の場合には、ブレードめくれが発生しやすくなる。
【0048】
振動緩衝部材222における舌片部分222Aの、感光体121の軸方向に対する長さ(以下、「軸方向長さ」という。)W2、すなわち板状部材に形成されるべき切り込み224の間隔は、クリーニングブレード220の軸方向長さW1に対して1/100〜1/10の大きさであることが好ましい(図3参照)。
【0049】
クリーニングブレード220の軸方向長さW1に対する舌片部分222Aの軸方向長さW2の比(W2/W1)が1/100より過小である場合には、環境変動に対して振動緩衝部材222の反り変形等が生じやすく、また感光体121に対するクリーニングブレード220の押圧力が低下して、クリーニングブレード220との密着性が低下するため、ブレード鳴きやトナーのすり抜けが発生することがある。
一方、クリーニングブレード220の軸方向長さW1に対する舌片部分222Aの軸方向長さW2の比(W2/W1)が1/10より過大である場合には、感光体121に対するクリーニングブレード220の押圧力が過剰に大きくなり、クリーニングブレード220の実効的な反発弾性を低下させると共に、突出長さが小さくなるため、ブレードバウンドが発生することがある。
【0050】
振動緩衝部材222を構成する板状部材に形成されるべき切り込み224の深さ(以下、「切り込み深さ」という。)dは、振動緩衝部材222の突出長さbに比して1/10〜1であることが好ましい(図3参照)。
【0051】
振動緩衝部材222の突出長さbに対する切り込み深さdの比(d/b)が1/10より過小である場合には、感光体121に対するクリーニングブレード220の押圧力が過剰に大きくなり、クリーニングブレード220の実効的な反発弾性を低下させると共に、突出長さが小さくなるため、ブレードバウンドが発生することがある。
一方、振動緩衝部材222の突出長さbに対する切り込み深さdの比(d/b)が1より過大である場合には、支持部材221との接合面が小さくなるため、振動緩衝部材222と支持部材221との貼り合わせ強度が不足し、その結果、感光体121に対するクリーニングブレード220の押圧力が低下し、トナーのすり抜け等が発生することがある。
【0052】
個々の舌片部分222Aの形状は、特に限定されるものではなく、すべての舌片部分が均一な軸方向長さで形成されている必要はなく、また、各々の舌片部分222Aを形成する切り込みの長さが同じ大きさである必要はない。
また、個々の舌片部分222Aは、クリーニングブレード220に対して、感光体121の軸方向の全域にわたって連続して接触する必要はないが、クリーニングブレード220の軸方向長さW1に対して50%以上接触していることが好ましい。
【0053】
以上のようなクリーニングブレード機構の一数値例を示すと、クリーニングブレード220の突出長さaは6〜15mm、厚さt1が0.5〜10mm、軸方向長さW1が200〜600mm、振動緩衝部材222の突出長さbは0.6〜13.5mm、厚さt2が0.01〜2mm、舌片部分222Aの軸方向長さW2は、0.1〜100mm、各々の舌片部分222Aを形成する切り込み深さdは、0.1〜10mmである。
【0054】
感光体121に対するクリーニングブレード220の当接荷重は、5〜40N/mであることが好ましい。当接荷重が5N/mより小さい場合には、クリーニング力が不足し、画像汚れが生じやすい。一方、当接荷重が40N/mより大きい場合には、感光体121の摩耗が大きくなって、画像かすれ等が発生しやすくなる。
当接荷重P1は、クリーニングブレード220を感光体121に当接させたときの圧接力Pの法線方向ベクトル値であり(図2参照)、その測定方法としては、例えば秤にクリーニングブレード220の先端縁を押し当てて測定する方法や、感光体121に対するクリーニングブレード220の先端縁の当接位置Aにロードセル等のセンサを配置して電気的に測定する方法等が用いられる。
【0055】
感光体121に対するクリーニングブレード220の当接角θは、5〜35゜であることが好ましい。当接角度θが5°より小さい場合には、クリーニング力が低下して、画像汚れが発生しやすくなる。一方、当接角度θが35°より大きい場合には、クリーニングブレード220の先端エッジが感光体121に追従して反転するブレードめくれが生じやすくなる。
当接角θとは、クリーニングブレード220の先端エッジと感光体121とが当接する当接位置Aにおける感光体121の接平面Xと、変形前のクリーニングブレード(図2において鎖線で示す)とのなす角である。
【0056】
クリーニングブレード220は、25±5℃におけるJIS A硬度が55〜90であることが好ましい。JIS A硬度が55より過小である場合には、クリーニングブレード220が柔らかすぎて、ブレードめくれが生じやすくなると共に、十分なクリーニング性能を得ることが困難となり、一方、JIS A硬度が90より大きい場合には、感光体121のわずかな凹凸や異物に対して十分な追従性を得ることが困難となり、トナー粒子のすり抜けが発生しやすい。
ここに、JIS A硬度は、JIS K−6253を基準として測定されたものである。
【0057】
クリーニングブレード220の反発弾性は、25〜80%であることが好ましい。反発弾性が80より過大である場合には、ブレードめくれが起こりやすくなり、一方、反発弾性が25%より過小である場合には、十分なクリーニング性能を得ることが困難となる。ここに、反発弾性率は、JIS K−6255を基準として測定されたものである。
また、クリーニングブレード220のヤング率は、294〜588N/cm2 であることが好ましい。
【0058】
クリーニングブレード220には、必要に応じて、例えば感光体121と接触するクリーニングブレード220のエッジ部にフッ素系潤滑剤が塗布されていてもよく、さらに、フッ素系ポリマーおよびフッ素系樹脂粉体をフッ素系溶剤に分散させた分散体が塗布されていてもよい。
【0059】
而して、上記のクリーニング装置によれば、クリーニングブレード220の弾性変形を基本的に規制することなしに、振動緩衝部材222がクリーニングブレード220の幅方向の全域にわたって接触するので、クリーニングブレード220の先端部における振動が振動緩衝部材222に確実に緩衝され、これにより、クリーニングブレード220の振動を小さく抑制することができる。
【0060】
しかも、各々の舌片部分222Aが互いに独立して振動緩衝作用を発揮するので、クリーニングブレード220の本来の作用、機能を阻害することなく、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、高いクリーニング効果を確実に発揮することができる。
【0061】
また、環境変動に伴ってクリーニングブレード220の変形が生じることにより、感光体121に対するクリーニングブレード220の押圧力が変化した場合であっても、振動緩衝部材222がクリーニングブレード220に対して追従することによって、クリーニングブレード220の感光体121に対する当接荷重の大きな変動が抑制され、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、環境変動に対して安定的に所期のクリーニング効果を発揮することができる。
【0062】
また、従来のクリーニング装置であれば、感光体121の表面に対するクリーニングブレード220の適正圧接条件は、諸特性の微妙なバランスにより決められるものであり、この適正圧接条件の範囲はかなり狭いものであるため、クリーニング装置の作製時においては、圧接条件の設定には十分に高い精度が必要とされ、しかもクリーニングブレード220は、その厚みに不可避的に多少のバラツキが生じてしまうため、適正な条件で常に設定されるとは限らず、使用の過程で適正領域からはずれてしまうこともあり、特に、高分子量のバインダー樹脂を用いた有機感光層と組み合わせた場合には、ブレードめくれやトナーすり抜けの発生が顕著になる。
【0063】
しかし、上記のクリーニング装置200によれば、クリーニングブレード220の厚みのバラツキがある場合であっても、クリーニングブレード220の振動が振動緩衝部材222によって確実に緩衝されるので、感光体121に対するクリーニングブレード220の圧接条件を確実に適正領域内に維持することができ、従って、クリーニング装置200を作製するに際して、圧接条件の設定を極めて容易に行うことができる。
【0064】
従って、以上のようなクリーニング装置200を備えてなる画像形成装置10によれば、ブレード鳴き、ブレードバウンドあるいはブレードめくれなどが発生することが確実に防止され、しかも環境変動に対して安定したクリーニング効果を発揮することができ、従って、感光体121上の残留トナーを確実に除去することができ、画質の高い画像を長期にわたって安定的に形成することができる。
【0065】
以上のように、本発明によれば、感光体121に対するクリーニングブレード220の当接荷重を大きくすることなしに、高いクリーニング性能を長期にわたって安定的に発揮することができるので、従来のクリーニング装置であれば、クリーニングブレード220の当接荷重を大きくすることができず、長期にわたって安定的にクリーニング性能を発揮することが困難であった有機感光体を潜像担持体として用いた場合にも極めて有効である。
【0066】
以下に、本発明の画像形成装置における潜像担持体として用いられる有機感光体の構成について説明する。
本明細書において、有機感光体は、電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が付与された有機化合物よりなる感光層が導電性支持体の表面に形成された電子写真感光体を意味し、従来より用いられている有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体など、従来より用いられている有機電子写真感光体を全て包含する。
【0067】
<導電性支持体>
有機感光体を構成する導電性支持体としては、シート状および円筒状のいずれのものを用いてもよいが、画像形成装置の小型化の観点から、円筒状のものを用いることが好ましい。
導電性支持体が円筒状のものである場合には、真直度公差が0.1mm以下であり、円周振れ公差が0.1mm以下のものであることが好ましい。これにより、画質の高い画像を確実に形成することができる。
【0068】
導電性支持体としては、比抵抗が常温で103 Ωcm以下であるものが好ましく、具体的には、例えばアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、またはアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどが表面に蒸着されてなるプラスチックドラム、または導電性物質が表面に塗布されてなる紙・プラスチックドラムなどを用いることができる。
【0069】
導電性支持体は、その表面に封孔処理が施されたアルマイト膜が形成されたものであってもよい。アルマイト処理は、通常、例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/リットル、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/リットル、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。また、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下であることが好ましく、特に好ましくは10μm以下である。
【0070】
<中間層>
本発明において用いられる有機感光体においては、導電性支持体と感光層との間に、導電性支持体と感光層との接着性改良、あるいは導電性支持体からの電荷注入を防止するためのバリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0071】
中間層を構成する材料としては、例えばポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、並びにこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これらのうちでも、繰り返し使用に伴う残留電位の増加の程度を小さくすることができることから、ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。
【0072】
これらの樹脂により構成された中間層の膜厚は、例えば0.01〜0.5μmであることが好ましい。
【0073】
また、中間層は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂により構成することが好ましい。
この場合においては、中間層の膜厚は、例えば0.1〜2μmであることが好ましい。
【0074】
<感光層>
有機感光体を構成する感光層は、導電性支持体上に電荷発生機能と電荷輸送機能とを1つの層に持たせた単層構造のものでもよいが、感光層の電荷発生機能および電荷輸送機能を各々異なる層、すなわち電荷発生層(CGL)および電荷輸送層(CTL)に機能分離させた積層構造のものであることが好ましい。
電荷発生機能および電荷輸送機能を各々異なる層に分離した構成であることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の増加の程度を小さく制御することができ、その他の電子写真特性を目的に応じて容易に制御することができる。
【0075】
負帯電用の有機感光体においては、導電性支持体上に中間層を形成し、この中間層の上にさらに、電荷発生層(CGL)および電荷輸送層(CTL)がこの順で積層されて形成された構成とされることが好ましい。
一方、正帯電用の有機感光体においては、前記層構成の順が負帯電用の有機感光体の層構成と逆になる。
本発明において用いられる有機感光体としては、機能分離構造の感光層を有する負帯電用のものを用いることが好ましい。
【0076】
<電荷発生層>
電荷発生層(CGL)には、電荷発生物質(CGM)が含有されており、必要に応じて、バインダー樹脂、その他の添加剤が含有されていてもよい。
電荷発生層(CGL)の膜厚は、0.01〜2μmであることが好ましい。
【0077】
電荷発生物質(CGM)としては、従来より用いられているものを用いることができ、例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらのうちでも、繰り返し使用に伴う残留電位の増加の程度を最も小さくすることができることから、複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体電位構造を有するもの、具体的には、特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料を用いることが好ましい。
例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2゜に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等は、繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位の増加の程度を確実に小さいものとすることができる。
【0078】
電荷発生層(CGL)に対する電荷発生物質(CGM)の分散媒として用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができるが、例えばホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の増加の程度を確実に小さいものとなるよう抑制することができる。
バインダー樹脂と電荷発生物質(CGM)との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。
【0079】
<電荷輸送層>
電荷輸送層(CTL)には、電荷輸送物質(CTM)および電荷輸送物質(CTM)を分散し製膜するバインダー樹脂が含有されており、必要に応じて、酸化防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。
電荷輸送層(CTL)の膜厚は、10〜40μmであることが好ましい。
【0080】
電荷輸送物質(CTM)としては、従来より用いられているものを用いることができ、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質(CTM)は、通常、適当なバインダー樹脂中に溶解されて層形成が行われる。これらのうちでも、繰り返し使用に伴う残留電位の増加の程度を小さくすることができることから、高移動度で、かつ組み合わされる電荷発生物質(CGM)とのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであることが好ましく、より好ましくは0.25(eV)以下のものである。
電荷発生物質(CGM)および電荷輸送物質(CTM)のイオン化ポテンシャルは、例えば表面分析装置AC−1(理研計器社製)により測定することができる。
【0081】
電荷輸送物質(CTM)の分散媒として用いられるバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2 つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。また、これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体を用いることもできる。
【0082】
これらうちでも、電荷輸送物質(CTM)の分散性および電子写真特性を良好にすることから、ポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。また、電荷輸送物質(CTM)が表面層となる感光体の場合には、機械的な耐摩耗性に優れたポリカーボネート樹脂を用いることが好ましく、このようなポリカーボネート樹脂としては、粘度平均分子量が40,000〜200,000であるポリカーボネート樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質(CTM)との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましい。
【0083】
<保護層>
有機感光体における感光層の保護層として、各種の樹脂層を設けることができ、特に、架橋系の樹脂層を設けることにより、有機感光体を機械的強度の大きいものとすることができる。
【0084】
以上において、中間層、感光層および保護層等の層形成に用いられる溶媒または分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えばn−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。これらのうちでも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒または分散媒は、単独あるいは或いは2 種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0085】
有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、また、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布または円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いることが好ましい。また、保護層については、円形量規制型塗布加工方法を用いることが好ましく、円形量規制型塗布加工方法については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0086】
また、本発明においては、特定のトナーを用いることによって、トナーのすり抜け等のクリーニング不良が発生することを一層確実に防止することができる。
【0087】
以下に、本発明において用いられるトナーについて説明する。
本発明において用いられるトナーは、(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子により構成されるもの、(2)形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成されるもの、(3)角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナー粒子から構成されるもの、あるいはこれらが組み合わされたものであることが好ましい。
【0088】
上記のようなトナー自体の構成(形状・粒径等)が特定のもの、すなわちトナー粒子の形状を特定のものとする、トナー粒子の形状を揃える、さらにはこれらを組み合わせることによって構成されたトナーを用いることによっても、クリーニング装置200におけるクリーニングブレード220の振動を小さく抑制することができ、高いクリーニング効果を一層確実に発揮することができる。
【0089】
本発明において、トナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0090】
【数1】
形状係数=((最大径/2)2 ×π)/投影面積
【0091】
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0092】
本発明において用いられるトナーにおいては、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上とすることが好ましく、より好ましくは70個数%以上である。
この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であることにより、現像剤搬送部材(キャリア)などの摩擦帯電性がより均一なものとなり、過度に帯電したトナーの蓄積を低減することができ、現像剤搬送部材によるトナーの搬送がより円滑に行われるようになるため、現像ゴースト等の問題も発生しにくくなる。さらに、トナー粒子が破砕しにくくなって帯電付与部材(帯電器)の汚染が減少し、トナーの帯電性を安定させることができる。
【0093】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6にしたトナーを調製し、これを通常のトナー中へ本発明の範囲内になるように添加して調整する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調整する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.2〜1.6に調整したトナーを同様に通常のトナーへ添加して調製する方法がある。
【0094】
本発明において好ましく用いられるトナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
【0095】
【数2】
変動係数=〔S/K〕×100(%)
【0096】
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
【0097】
本発明において用いられるトナーにおいては、この形状係数の変動係数は16%以下とすることが好ましく、より好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0098】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0099】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件を制御するという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0100】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0101】
本発明において用いられるトナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
【0102】
【数3】
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
【0103】
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
【0104】
本発明において用いられるトナーにおいては、この個数変動係数は27%以下とすることが好ましく、より好ましくは25%以下である。個数変動係数が27%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する。
【0105】
この個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0106】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0107】
本発明において用いられるトナーにおいて、角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子をいい、すなわち、図14(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図14(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0108】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0109】
本発明において用いられるトナーにおいては、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上とすることが好ましく、より好ましくは70個数%以上である。角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、現像剤搬送部材の表面に対する付着性が過度に大きいトナーの存在を防止することができると共に、現像剤搬送部材に対する汚染を抑制することができる。また、摩耗、破断しやすいトナー粒子および電荷の集中する部分を有するトナー粒子が減少することとなり、帯電量分布がシャープとなって、帯電性も安定し、高い画質の画像を長期にわたって安定的に形成することができる。
【0110】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0111】
また、樹脂粒子を会合あるいは融着させることにより形成される重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナー粒子が得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナー粒子を形成することができる。
【0112】
本発明において用いられるトナーにおいては、その個数平均粒径が3〜8μmであるものであることが好ましい。トナーの粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加重、または離着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0113】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性が過度に大きいトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、優れた現像性を長期にわたって安定的に得ることができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0114】
本発明において好ましく用いられるトナーにおいては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることが好ましい。
【0115】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布における分散の程度が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0116】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0117】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー: 100μm
(2)サンプル調製法: 電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて援枠し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0118】
形状係数を制御する方法の中では、重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0119】
本発明において用いられるトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであることが好ましく、また、少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で会合させて得られるトナーであることが好ましい。以下、トナーを製造する方法について詳細に説明する。
【0120】
本発明において用いられるトナーは、例えば懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合体粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。また、単量体とトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液とを混合して会合させる方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などにより製造することもできる。ここで、「会合」とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。また本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0121】
このようなトナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0122】
また、トナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法を挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥すること(塩析/融着)により、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0123】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバソール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0124】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0125】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0126】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では滴溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2' −アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル) 、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、1,1' −アソビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 、2,2' −アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキジシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0127】
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0128】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0129】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0130】
前記樹脂粒子を水系媒体中で会合させる際に使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0131】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17,601(1960)高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0132】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0133】
凝集剤と共に使用される「水に対して無限溶解する溶媒」とは、水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエ一テル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%であることが好ましい。
【0134】
なお、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいからであると考えられる。
【0135】
本発明において用いられるトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である雛型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0136】
本発明において用いられるトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンカン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いることができる。
【0137】
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0138】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0139】
さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0140】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さい球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることにより球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。以下、好ましく用いられる反応装置について記載する。
【0141】
図4は、一般的に使用されている攪拌翼の構成が一段の反応装置(攪拌装置)を示す説明図であり、2は攪拌槽、3は回転軸、4は攪拌翼、9は乱流形成部材である。
【0142】
懸濁重合法においては、特定の攪拌翼を使用することで、乱流を形成することができ、形状を容易に制御することができる。この理由としては明確ではないが、図4に示されるような攪拌翼4の構成が一段の場合には、攪拌槽2内に形成される媒体の流れが攪拌槽2の下部より上部への壁面を伝って動く流れのみになる。そのため、従来では一般的に攪拌槽2の壁面などの乱流形成部材9を配置することで乱流を形成し、攪拌の効率を増加することがなされている。しかし、この様な装置構成では、乱流が一部に形成されるものの、むしろ乱流の存在によって流体の流れが停滞する方向に作用し、結果として粒子に対するズリが少なくなるために、形状を制御することができない。
【0143】
懸濁重合法において好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反広装置について図面を用いて説明する。
【0144】
図5および図6は、それぞれ、そのような反応装置の一例を示す斜視図および断面図である。図5および図6に示す反応装置において、熱交換用のジャケット1を外周部に装着した縦型円筒状の攪拌槽2内の中心部に回転軸3を垂設し、該回転軸3に攪拌槽2の底面に近接させて配設された下段の攪拌翼40と、より上段に配設された攪拌翼50とが設けられている。上段の攪拌翼50は、下段に位置する攪拌翼40に対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明のトナーを製造する場合において、交差角αは90°未満であることが好ましい。この交差角αの下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上であることが好ましく、更に、好ましくは10°以上である。なお、三段構成の攪拌翼を設ける場合には、それぞれ隣接している攪拌翼間で交差角が90°未満であることが好ましい。
【0145】
このような構成とすることで、上段に配設されている攪拌翼50によりまず媒体が攪拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された攪拌翼40により、上段の攪拌翼50で形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの攪拌翼50自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、得られるトナー粒子の形状を制御できるものと推定される。
なお、図5および図6中、矢印は回転方向を示し、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口、9は攪拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0146】
ここにおいて攪拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの具体例を図13に記載する。図13(a)に示す攪拌翼5aは中孔部のないもの、同図(b)に示す攪拌翼5bは中央に大きな中孔部6bがあるもの、同図(c)に示す攪拌翼5cは横長の中孔部6c(スリット)があるもの、同図(d)に示す攪拌翼5dは縦長の中孔部6d(スリット)があるものである。また、三段構成の攪拌翼を設ける場合において、上段の攪拌翼に形成される中孔部と、下段の攪拌翼に形成される中孔部とは異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0147】
図7〜図11は、それぞれ、好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図であり、図7〜図11において、1は熱交換用のジャケット、2は攪拌槽、3は回転軸、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口、9は乱流形成部材である。
【0148】
図7に示す反応装置において、攪拌翼41には折り曲げ部411が形成され、攪拌翼51にはフィン(突起)511が形成されている。
【0149】
なお、攪拌翼に折り曲げ部が形成されている場合において、折り曲げ角度は5〜45゜であることが好ましい。
【0150】
図8に示す反応装置を構成する攪拌翼42には、スリット421が形成されていると共に、折り曲げ部422およびフィン423が形成されている。
【0151】
なお、当該反応装置を構成する攪拌翼52は、図5に示す反応装置を構成する攪拌翼50と同様の形状を有している。
【0152】
図9に示す反応装置を構成する攪拌翼43には、折り曲げ部431およびフィン432が形成されている。
【0153】
なお、当該反応装置を構成する攪拌翼53は、図5に示す反応装置を構成する攪拌翼50と同様の形状を有している。
【0154】
図10に示す反応装置を構成する攪拌翼44には、折り曲げ部441およびフィン442が形成されている。
【0155】
また、当該反応装置を構成する攪拌翼54には、中孔部541が中央に形成されている。
【0156】
図11に示す反応装置には、攪拌翼45(下段)と、攪拌翼55(中段)と、攪拌翼65(上段)とによる三段構成の攪拌翼が設けられてなり、攪拌翼45には、折り曲げ部451が形成されている。
【0157】
これら折り曲げ部や上部あるいは下部への突起(フィン)を有する構成を持つ攪拌翼は、乱流を効果的に発生させるものである。
【0158】
なお、上記の構成を有する上段と下段の攪拌翼の間隙は特に限定されるものではないが、少なくとも攪拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確ではないが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、攪拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
さらに、攪拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全攪拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50%〜100%、好ましくは60%〜95%である。
【0159】
また、懸濁重合法において層流を形成させる場合に使用される反応装置の一例を図12に示す。この反応装置には、乱流形成部材(邪魔板等の障害物)は設けられていない点に特徴を有する。
【0160】
図12に示した反応装置を構成する攪拌翼46および攪拌翼56は、それぞれ、図5に示す反応装置を構成する攪拌翼40および攪拌翼50と同様の形状および交差角αを有している。また、図12において、1は熱交換用のジャケット、2は攪拌槽、3は回転軸、7は上部材料投入口、8は下部材料投入口である。
【0161】
なお、層流を形成させる場合に使用される反応装置としては、図12に示されるものに限定されるものではない。
【0162】
また、かかる反応装置を構成する攪拌翼の形状については、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0163】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは離着させる重合法トナーでは、離着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0164】
すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、所期の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で磁着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布か均一になるからであると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0165】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーを製造する際に使用される攪拌翼および攪拌槽としては、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、例えば図12に示すものが使用できる。攪拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが特徴である。攪拌翼の構成については、前述の懸濁重合法に使用される攪拌翼と同様に、上段の攪拌翼が、下段の攪拌翼に対して回転方向に先行した交差角αを持って配設された、多段の構成とすることか好ましい。
【0166】
この攪拌翼の形状についても、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図13(a)に示した方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0167】
また、本発明において用いられるトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0168】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200ミリリットルのビーカー中に入れた蒸留水50ミリリットルに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり攪拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ミリリットル)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0169】
【数4】
疎水化度=(a/(a+50))×100
【0170】
この外溶剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0171】
本発明に用いられるトナーには外添剤としては脂肪酸金属塩が添加されてもよい。脂肪酸及びその金属塩としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸があげられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩があげられる。本発明においては、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
【0172】
二成分現像剤を調製するためには、トナーとキャリアとを混合して調製される。現像剤に対するトナー濃度としては2〜10質量%に混合して使用される。
【0173】
本発明において用いられるトナーが使用できる現像方法は、特に限定されるものではなく、感光体121の表面と現像剤層とが現像領域で接触した状態で現像が行われる接触現像方法であっても、感光体121の表面と現像剤層とが現像領域で非接触の状態に保たれ、交番電界等の作用により感光体121の表面と現像剤層間の間隙をトナーを飛翔させて現像する非接触現像方法であってもよい。
【0174】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」とは「質量部」を意味する。
【0175】
<感光体の作製>
ポリアミド樹脂アミラン「CM−8000」(東レ社製)30gを、メタノール900ミリリットル、1−ブタノール100ミリリットルの混合溶媒中に投入し50℃で加熱溶解した。この液を外径80mm、長さ360mmの円筒状のアルミニウム製導電性支持体上に塗布し、厚さ0.5μmの中間層を形成した。
【0176】
次に、シリコーン樹脂「KR−5240」(信越化学社製)10gを酢酸t−ブチル1000ミリリットルに溶解し、これにY−TiOPc(特開昭64−17066号公報参照)10gを混入しサンドミルを用いて20時間分散し、電荷発生層塗工液を得た。この液を用いて、前記中間層上に塗布し、厚さ0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0177】
次に、電荷輸送物質(CTM)として、N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン)150gと、粘度平均分子量5万のポリカーボネート樹脂「TS−2050」(帝人化成(株)製)200gとを、1,2−ジクロロエタン1000ミリリットルに溶解し、電荷輸送層塗工液を得た。この液を用いて、前記電荷発生層上に円形スライドホッパーにて塗布を行った後、100℃で1時間乾燥し、厚さ22μmの電荷輸送層を形成し、これにより、導電性支持体の表面に、中間層、電荷発生層および電荷輸送層がこの順で積層されてなる機能分離構造の有機感光体を作製した。
【0178】
<トナーの製造例(乳化重合法の例)>
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0179】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0180】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0181】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックスA」とする。
【0182】
なお、ラテックスA中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0183】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
また、ノニルフエノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0184】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0185】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加する。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックスB」とした。
【0186】
なお、ラテックスB中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0187】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0188】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0189】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜(図12に示した構成の反応装置、交差角αは20゜)に、上記で作製したラテックスA=20.0kgとラテックスB=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/ 融着させながら粒径成長させた。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させた。
【0190】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器(図12に示した構成の反応装置、交差角αは20゜)に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0191】
この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。
前記塩析/ 融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を調整して、下記に示す形状特性および粒度分布特性を有する着色粒子(トナー粒子)を得た。
【0192】
(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合;76.6個数%、
(2)形状係数の変動係数;12%
(3)個数粒度分布における個数変動係数;22%
(4)角がないトナー粒子の割合;53個数%
(5)最大頻度および第2頻度のトナー粒子の和;77.0%
(6)個数平均粒径;6.4μm
【0193】
上記のようにして得られた着色粒子100質量部に対して外添剤として平均粒径12nmの疎水性シリカ粒子(R805:日本アエロジル社製)0.4部、チタニア粒子(T805:日本アエロジル社製)0.6部を混合し、ヘンシェルミキサーで常温下、攪拌羽根の周速40(m/sec)で10分間混合し、負帯電性のトナーを得た。
【0194】
<現像剤の調製>
上記のようにして得られたトナーに、表面にシリコーン樹脂が被覆された体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合して、トナー濃度が5%の現像剤を調製した。
【0195】
<実施例1>
図2に示す構成に従って、クリーニング装置(200)を作製した。
クリーニングブレード(220)の自由長a、振動緩衝部材(222)の突出長さb、舌片部分(222A)の軸方向長さW2、切り込み(224)の深さd、および振動緩衝部材(222)の先端側部分のクリーニングブレード(220)に対する接着条件は、下記表1に従って設定した。
クリーニングブレード(220)としては、ウレタンゴムよりなる反発弾性率が60%(25℃)、JIS A硬度が70°、厚さが2.00mm、突出長さaが10mm、軸方向長さW1が324mmのもの(北辰工業(株)製)を用いた。
振動緩衝部材(222)としては、ポリエチレンテレフタレートよりなる厚さが0.1mm、軸方向長さが344mmの板状のものであって、曲げ強度が10N/mm2 (可撓性)のものを用いた。
そして、クリーニングブレード(220)は、感光体(121)に対する当接角(θ)が20゜となる状態で設けられており、感光体(121)に対する当接荷重を25N/mに設定した。
【0196】
【表1】
Figure 0003743325
【0197】
<実写テスト>
上記のようにして得られた現像剤を使用し、上記の有機感光体およびクリーニング装置が搭載されたデジタル複写機「Konica7050」(コニカ株式会社製)を用いて実写テストを実施することにより、ブレードめくれ、ブレード鳴き、ブレードバウンド、およびトナーのすり抜けの発生有無について調べると共に、形成された画像の評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0198】
〔画像形成条件〕
・スコロトロン帯電器よりなる帯電器の初期帯電電位;−750V
・感光体の表面における露光部電位;−50V
・DCバイアス;−550V
・Dsd(感光体の表面と現像スリーブの表面との最接近距離);550μm
・現像剤層規制;エッジカット方式
・現像剤層厚;700μm
・現像スリーブ径;40mm
・コロナ帯電方式の転写極による転写ダミー電流値:45μA
【0199】
〔評価方法〕
テストの環境は、常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50RH%)下にて90分間の連続複写を行い、その後、高温高湿環境(温度30℃、相対湿度80RH%)下にて90分間の連続複写を行い、さらに低温低湿環境(温度10℃、相対湿度20RH%)下に一晩放置した後、90分間の連続複写を行った。
【0200】
<ブレードめくれ>
ブレードめくれの発生の有無を評価した。
【0201】
<ブレード鳴き>
クリーニングブレードと感光体の異常摩擦による異常音の発生の有無を評価した。
【0202】
<ブレードバウンド>
低温低湿環境下にて、一晩放置した後の最初の画像としてハーフトーン画像を形成し、この画像の横スジ(ブレードのバウンド跡)を観察した。
○:画像上に横スジ無し
×:画像上に横スジ有り
××:画像上の横スジが特に目立つ
【0203】
<画像評価>
画像の評価は、ブレードめくれ、ブレードバウンドおよびトナーのすり抜けによる画像ムラおよび画像汚れの発生有無を観察した。このような画像不良の発生がない非常に良好な場合を○、画像不良が発生し、実用に適さない場合を×とした。
【0204】
【表2】
Figure 0003743325
【0205】
以上のように、実施例1に係る本発明の画像形成装置によれば、環境の影響を受けることなく、十分に高いクリーニング効果が確実に発揮されて、高い画質の画像を安定的に形成することができることが確認された。
これに対して、クリーニング装置における振動緩衝部材に舌片部分を有さない比較例1に係る画像形成装置においては、低温低湿環境下においてブレードバウンドの発生が顕著となり、また、振動緩衝部材の先端部がクリーニングブレードと接着された比較例2に係る画像形成装置においては、いずれの環境下であっても何らかのクリーニング不良が発生し、高い画質の画像を安定的に形成することが困難であり、実用的ではないことが確認された。
【0206】
【発明の効果】
本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングブレードの弾性変形を基本的に規制することなしに、可撓性を有する振動緩衝部材が、潜像担持体の軸方向の全域にわたってクリーニングブレードと接触するので、クリーニングブレードの振動が振動緩衝部材に緩衝、吸収されることとなり、クリーニングブレードの振動を小さく抑制することができ、しかも、各々の舌片部分が互いに独立して振動緩衝作用を発揮するので、クリーニングブレードの本来の作用、機能を阻害することなく、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、高いクリーニング効果を確実に発揮することができる。
【0207】
また、環境変動に伴ってクリーニングブレードの変形が生じることにより、感光体に対するクリーニングブレードの押圧力が変化した場合であっても、振動緩衝部材がクリーニングブレードに対して追従するることによって、クリーニングブレードの潜像担持体に対する当接荷重の大きな変動が生じることが抑制され、ブレードバウンド、ブレードめくれ、ブレード鳴きあるいはトナーのすり抜け等が発生することを確実に防止することができ、環境変動に対して安定的に所期のクリーニング効果を発揮することができる。
【0208】
本発明の画像形成装置によれば、上記のクリーニング装置を備えてなるので、ブレード鳴き、ブレードバウンドあるいはブレードめくれなどが発生することが確実に防止され、しかも環境変動に対して安定したクリーニング効果を発揮することができ、従って、潜像担持体上の残留トナーを確実に除去することができ、画質の高い画像を長期にわたって安定的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概要構成図である。
【図2】本発明のクリーニング装置の一構成例を示す説明用側面図である。
【図3】クリーニングブレード機構の一構成例を示す平面図である。
【図4】攪拌翼の構成が一段の反応装置を示す説明図である。
【図5】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の一例を示す斜視図である。
【図6】図5に示した反応装置の断面図である。
【図7】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図8】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図9】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図10】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図11】好ましく使用することのできる攪拌翼を備えた反応装置の具体例を示す斜視図である。
【図12】層流を形成させる場合に使用される反応装置の一例を示す斜視図である。
【図13】攪拌翼の形状の具体例を示す概略図である。
【図14】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(C)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱交換用ジャケット
2 攪拌槽
3 回転軸
4 攪拌翼
40,41,42,43,44,45,46 攪拌翼
411 折り曲げ部
421 スリット
422,431,441,451 折り曲げ部
423,432,442 フィン
50,51,52,53,54,55,56,65 攪拌翼
511 フィン
541 中孔部
5a,5b,5c,5d 攪拌翼
6b、6c、6d 中孔部
7 上部材料投入口
8 下部材料投入口
9 乱流形成部材
α 交差角
10 画像形成装置
110 自動原稿送り手段
111 原稿載置台
112 原稿搬送ローラ
113 プラテンガラス
113A 読み取り位置
114 原稿排紙皿
115 第1ミラーユニット
116 第2ミラーユニット
117 投影レンズ
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
123A 現像スリーブ
124 転写器
125 分離器
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
131 ポリゴンミラー
132 反射ミラー
140 搬送路
141A、141B、141C 給紙ユニット
142 手差し給紙ユニット
143 案内ローラ
143A 転写前ローラ
144 レジストローラ対
145 搬送装置
146 転写進入ガイド板
T 転写領域
150 定着器
151 定着ローラ
152 加圧ローラ
161 排出ローラ
162 ガイド
163 排出ローラ
164 排紙トレイ
171 第1の反転搬送経路
172 反転ローラ
175 第2の反転搬送経路
A 画像読取り部
B 画像形成部
C 記録材搬送部
200 クリーニング装置
210 クリーニングブレード機構
220 クリーニングブレード
220A 突出部分
221 支持部材
221A ブレード支持部
221B 押圧力付勢部
221C 押圧手段
222 振動緩衝部材
222A 舌片部分
222B 突出部分
223 接着材
224 切り込み

Claims (8)

  1. 回転駆動される円筒状の潜像担持体の表面に先端縁が当接するよう配置されたクリーニングブレードと、このクリーニングブレードの基端側部分の外面に位置されて当該クリーニングブレードを潜像担持体の表面に当接するよう付勢する支持部材とにより構成されたクリーニングブレード機構を備えてなり、
    クリーニングブレード機構においては、平板状の弾性体よりなるクリーニングブレードが支持部材の先端縁を越えて伸びる突出部分を有すると共に、支持部材により基端側部分が保持された、クリーニングブレードと同方向に支持部材の先端縁を越えて伸びる突出部分を有する板状の振動緩衝部材が設けられており、
    振動緩衝部材は、その突出部分の長さがクリーニングブレードの突出部分の長さよりも小さく、かつ、その先端部に前記潜像担持体の軸方向に並ぶ複数の舌片部分が形成されるようスリット状の切り込みが形成されていると共に、当該舌片部分の先端縁がクリーニングブレードの外面に位置されていることを特徴とするクリーニング装置。
  2. クリーニングブレードの突出部分の長さに対する振動緩衝部材の突出部分の長さの比が0.1より大きく、かつ0.9以下であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
  3. 振動緩衝部材は、その舌片部分の潜像担持体の軸方向における軸方向長さが、クリーニングブレードの軸方向長さの1/100〜1/10の大きさのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクリーニング装置。
  4. 振動緩衝部材は、その先端側部分に形成された切り込みの深さが、当該振動緩衝部材の突出部分の長さの1/10〜1の大きさのものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリーニング装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のクリーニング装置により、トナー像形成機構によって形成されたトナーによるトナー像が記録材に転写される転写領域を通過した位置において、潜像担持体上の残留トナーが除去されることを特徴とする画像形成装置。
  6. トナー像形成機構において用いられるトナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、かつ形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. トナー像形成機構において用いられるトナーは、形状係数の変動係数が16%以下であり、かつ個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
  8. トナー像形成機構において用いられるトナーは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
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