JP2016090628A - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAが、芳香族ジオール及び炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる非晶質ポリエステルであり、前記結晶性ポリエステルCが、炭素数2以上9以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルである、トナー用結着樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
少なくとも、着色剤と、
特定の式で表されるエステル濃度Mが0.07≦M≦0.09である結晶性ポリエステルと、
アルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いた非結晶性ポリエステルと、を含み、
前記非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が75:25〜98:2であることを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。
〔1〕 非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAが、芳香族ジオール及び炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる非晶質ポリエステルであり、前記結晶性ポリエステルCが、炭素数2以上9以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルである、トナー用結着樹脂組成物、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー
に関する。
また、印字物保管性は、印字物中の結晶性ポリエステルの結晶化度が低いと、印字後に、結晶性ポリエステルの部分が融着し易くなる。
従って、結晶性ポリエステルが微細な結晶を多量に析出することで、高温高湿下での現像安定性及び印字物保管性が向上する。
これに対し、前記特許文献1では、非晶質ポリエステルに、芳香族ジオールと炭素数8〜20の脂肪族ジオールを用いているため、非晶質ポリエステルの疎水性が高く、結晶性ポリエステルと相溶し易いため、結晶が析出し難く、本発明の効果を奏するものではない。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の式(I)においてROがプロピレンオキサイドであるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の式(I)においてROがエチレンオキサイドであるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間保持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の数平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター株式会社製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂AH1〜AH7、AL1〜AL4〕
表1、2に示すアルコール成分及びアジピン酸及び無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分と、2-エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸5gとを、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温し、その後230℃で6時間重縮合反応させた。230℃8.0kPaで1時間反応させた後、さらにアジピン酸及び無水トリメリット酸を210℃で反応させ、10kPaにて表1、2に示す軟化点まで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
表1、2に示すアルコール成分及びアジピン酸及び無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分と、2-エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸5gとを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、マントルヒーター中で235℃で6時間重縮合させた後、200℃まで冷却した。その後、アジピン酸及び無水トリメリット酸を添加した後、210℃に昇温し、重縮合反応を行い、軟化点が表1、2に示す軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステルを得た。
表3、4に示すアルコール成分及びカルボン酸成分を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、2-エチルヘキサン酸錫(II)20g及び没食子酸2gを入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、結晶性ポリエステルを得た。
表3に示すアルコール成分及びカルボン酸成分とtert-ブチルカテコール2gとを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、2-エチルヘキサン酸錫(II)20g及び没食子酸2gを入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステルを得た。
実施例1〜21及び比較例1〜6
表5に示す樹脂を混合した結着樹脂100質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部及び離型剤「NP-105」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:140℃)2質量部を、ヘンシェルミキサーによく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)6.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナーを複写機「AR-505」(シャープ(株)製)に実装し、トナー付着量が0.7mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度200mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で定着試験を行った。定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。
非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」(沖データ社製)のIDカートリッジにトナーを実装し、温度40℃、相対湿度80%の条件下で、70r/min(A4紙縦方向36枚/分相当)で空回し運転を行い、現像ロール表面のスジムラ発生を目視にて観察し、スジムラが発生するまでの時間を測定し、以下の評価基準に従って、高温高湿下での現像安定性を評価した。結果を表5に示す。スジムラが発生するまでの時間が長いほど現像安定性に優れる。なお、スジムラとは現像ロール上に付着しているトナー量にばらつきが発生している状態のことをいい、スジムラの発生により、印字の際に画像濃度に濃淡が発生する。
A:スジムラが発生するまでの時間が1週間以上
B:スジムラが発生するまでの時間が3日以上1週間未満
C:スジムラが発生するまでの時間が1日以上3日未満
D:スジムラが発生するまでの時間が1日未満
各トナーについて、最低定着温度+10℃の温度で、試験例1の未定着画像1枚の定着を行った。定着画像の上に紙を100枚乗せ、さらにその上に2kgの重りを載せ、60℃のホットプレートの上にのせ、5分、10分、20分の3つの条件で放置した。定着画像の紙への融着の程度から、以下の評価基準に従って、短期間高熱暴露における印字物保管性を評価した。結果を表5に示す。
A:20分の放置でも融着しない。
B:10分の放置では融着しないが、20分の放置では一部融着する。
C:5分放置後は融着しないが、10分放置では、一部融着する。
D:5分放置後一部融着する。
E:5分放置後完全融着し、紙と紙が剥がれない。
実施例1、5〜7の対比においては、結晶性ポリエステルのカルボン酸成分において脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数が12である実施例1のトナーが、印字物保管性及び現像安定性により優れることが分かる。
実施例1、8〜10、比較例3、4の対比においては、結晶性ポリエステルのアルコール成分において脂肪族ジオールの炭素数が6である実施例1のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性により優れており、炭素数が10以上の比較例3、4のトナーは、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性がいずれも低下することが分かる。
実施例1、11の対比から、結晶性ポリエステルの原料モノマーが1価のカルボン酸化合物を含有することで、低温定着性及び印字物保管性に優れることが分かる。
実施例1、4、12の対比から、非晶質ポリエステルALと非晶質ポリエステルAHのいずれもが非晶質ポリエステルAである場合に比べて、非晶質ポリエステルALのアルコール成分が炭素数3〜6の脂肪族ジオールを含まない場合は、低温定着性及び現像安定性が低下し、非晶質ポリエステルAHのアルコール成分が炭素数3〜6の脂肪族ジオールを含まない場合は、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性が低下することがわかる。
実施例1と比較例2の対比から、非晶質ポリエステルのアルコール成分が炭素数3〜6の脂肪族ジオールを含まない場合、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性が低下することが分かる。
実施例1、13、14の対比においては、非晶質ポリエステルAHのアルコール成分における炭素数3〜6の脂肪族ジオール及び芳香族ジオールの含有量がいずれも50モル%であり、炭素数3〜6の脂肪族ジオール/芳香族ジオール(モル比)が1/1である実施例1のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性により優れることが分かる。
実施例1、16の対比から、非晶質ポリエステルのアルコール成分において脂肪族ジオールの炭素数が4である実施例1のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性により優れることが分かる。
実施例4、比較例5、6の対比においては、非晶質ポリエステルAHのアルコール成分において脂肪族ジオールの炭素数が4である実施例4のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性に優れ、炭素数が2である比較例5のトナーは、印字物保管性及び現像安定性が低下し、炭素数が9である比較例6のトナーは、低温定着性及び印字物保管性が低下することが分かる。
実施例1、15、18の対比においては、非晶質ポリエステルAHのアルコール成分における脂肪族ジオールの炭素数が4である実施例1のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性により優れることが分かる。
実施例1と19、比較例1の対比においては、非晶質ポリエステル/結晶性ポリエステル(質量比)が90/10である実施例1のトナーが、低温定着性、印字物保管性及び現像安定性により優れることがわかる。
実施例1、20、21の比較により、軟化点が120℃を超え、170℃以下の非晶質ポリエステルAHと軟化点が80℃以上120℃以下の非晶質ポリエステルALとを含有する場合、低温定着性、現像安定性及び印字物保管性により優れることがわかる。
Claims (9)
- 非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAが、芳香族ジオール及び炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる非晶質ポリエステルであり、前記結晶性ポリエステルCが、炭素数2以上9以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルである、トナー用結着樹脂組成物。
- 非晶質ポリエステルAのアルコール成分中、炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールと芳香族ジオールのモル比(炭素数3以上6以下の脂肪族ジオール/芳香族ジオール)が1/19以上9/1以下である、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 結晶性ポリエステルCのカルボン酸成分が、炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCの質量比(非晶質ポリエステルA/結晶性ポリエステルC)が65/35以上97/3以下である、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 軟化点が120℃を超え、170℃以下の非晶質ポリエステルAHと軟化点が80℃以上120℃以下の非晶質ポリエステルALとを含有し、少なくとも一方が非晶質ポリエステルAである、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 非晶質ポリエステルAHと非晶質ポリエステルALの質量比(非晶質ポリエステルAH/非晶質ポリエステルAL)が、0.2以上10以下である、請求項5記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 結晶性ポリエステルCの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分が、炭素数8以上22以下の1価のアルコール及び炭素数8以上22以下の1価のカルボン酸化合物の少なくともいずれかを含有する、請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 非晶質ポリエステルAのカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジカルボン酸化合物とを含有する、請求項1〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
- 請求項1〜8いずれか記載の結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー。
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