JP2023045091A - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

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Yuta Izumiya
宏 青木
Hiroshi Aoki
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Koji Osaki
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Abstract

【課題】印刷物の耐擦過性に優れたトナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関すること。【解決手段】 式(I):TIFF2023045091000007.tif29152(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上16以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、ビフェニルジカルボン酸系化合物及びジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の少なくともいずれかを含有するカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
特許文献1には、50℃以上120℃以下の融点を有する結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bを樹脂材料として含有するトナーの製造方法であって、結晶構造を取りうるポリエステル樹脂100質量部に対して、前記結晶性ポリエステル樹脂Bを0.1質量部以上10質量部以下で共存させて、前記結晶構造を取りうるポリエステル樹脂を結晶化して前記結晶性ポリエステル樹脂Aを生成する工程を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、(i)4,4-ビフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するジカルボン酸成分と、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するジオール成分とを縮重合して得られる樹脂であり、(ii)120℃以上250℃以下の融点を有する、ことを特徴とするトナーの製造方法が開示されている。
特許文献2には、2~80mol%のジフェニル骨格を有する多価カルボン酸を含有する多価カルボン類と、脂肪族多価アルコ-ルおよびまたは脂環族多価アルコ-ル類から得られるポリエステル樹脂を結着材樹脂の主構成成分として用いたことを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。
特開2016-50959号公報 特開平6-242631号公報
近年、産業印刷用途でのプリンター使用の増加に伴い、印刷物の耐擦過性に優れたトナーがますます必要とされる。
従来、耐擦過性を向上させる手段としては、樹脂の分子量を上げて塗膜強度を上げる方法等があるが、未だ十分とは言えない。
本発明は、印刷物の耐擦過性に優れたトナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 式(I):
Figure 2023045091000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上16以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、ビフェニルジカルボン酸系化合物及びジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の少なくともいずれかを含有するカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物及び着色剤を含有する、静電荷像現像用トナー。
に関する。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、印刷物の耐擦過性において優れた効果を奏するものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、ビフェニルジカルボン酸系化合物及びジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の少なくともいずれかを含有するカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含有し、詳細は不明なるも、非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマーの芳香環同士の相互作用により本発明の効果が奏されるものと推察される。すなわち、非晶質ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をアルコール成分に、ビフェニルカルボン酸系化合物又はジカルボキシジフェニルエーテル系化合物をカルボン酸成分に用いられているため、芳香環を多数有する分子構造により、剛直性が高く、芳香環同士のπ-π相互作用が発現することで、結着樹脂として用いた際に、印刷時のトナー層における擦過時の強固な塑性変形を抑制することができ、印刷物の耐擦過性が向上するものと推察される。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、式(I):
Figure 2023045091000002
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物であり、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、脂肪族ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
ビフェニルカルボン酸系化合物としては、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。ビフェニルカルボン酸の誘導体としては、芳香環が、炭素数1以上4以下のアルキル基を各々1~4個有するものや、アルキル基の炭素数が1以上3以下であるビフェニルカルボン酸のアルキルエステル等が挙げられる。本発明においては、ビフェニルカルボン酸系化合物は、無置換のビフェニルカルボン酸が好ましく、2,2’-ビフェニルジカルボン酸がより好ましい。
ジカルボキシジフェニルエーテル系化合物としては、2,2’-ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、及びこれらの誘導体等が挙げられる。ジカルボキシジフェニルエーテルの誘導体としては、芳香環が、炭素数1以上4以下のアルキル基を各々1~4個有するものや、アルキル基の炭素数が1以上3以下であるジカルボキシジフェニルエーテルのアルキルエステル等が挙げられる。本発明においては、ジカルボキシジフェニルエーテル系化合物は、無置換のジカルボキシジフェニルエーテルが好ましく、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルがより好ましい。
カルボン酸成分は、ビフェニルジカルボン酸系化合物及びジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の少なくともいずれかを含有するが、耐擦過性の観点から、ビフェニルジカルボン酸系化合物を含有することが好ましい。
ビフェニルジカルボン酸系化合物もしくはジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の含有量、又はビフェニルジカルボン酸系化合物とジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の合計含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは15モル%以上、より好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは55モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは42モル%以下である。
カルボン酸成分は、耐熱保存性の観点から、さらに、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有することが好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量、好ましくはテレフタル酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは45モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
他のカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは160℃以上、より好ましくは200℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の軟化点は、耐熱保存性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは83℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である。
一方、非晶質樹脂は、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、耐熱保存性の観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは52℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは57℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは4mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは65mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、耐熱保存性の観点から、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは10000以下、より好ましくは8000以下、さらに好ましくは6500以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられる。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、耐ホットオフセット性の観点から、さらに、前記非晶質ポリエステル樹脂よりも軟化点の高い非晶質ポリエステル樹脂(以下、非晶質ポリエステル樹脂AHともいう)を含有していることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂AHと前記非晶質ポリエステル樹脂(以下、非晶質ポリエステル樹脂ALともいう)の軟化点の差は、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは38℃以上であり、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下、さらに好ましくは45℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHは、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、前記と同様に化合物が挙げられるが、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸系化合物以外のカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、軟化点を高くする観点から、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは8モル%以上であり、そして、好ましくは35モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHは、非晶質ポリエステル樹脂ALと同様にして、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて製造することができる。
非晶質ポリエステル樹脂AHの軟化点は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは145℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHのガラス転移温度は、耐熱保存性の観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは53℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHの酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHの水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル樹脂AHの重量平均分子量は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは50000以上、より好ましくは70000以上、さらに好ましくは100000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは170000以下、さらに好ましくは150000以下である。
非晶質ポリエステル樹脂ALと非晶質ポリエステル樹脂AHの質量比(非晶質ポリエステル樹脂AL/非晶質ポリエステル樹脂AH)は、好ましくは30/70以上、より好ましくは40/60以上、さらに好ましくは50/50以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、さらに好ましくは80/20以下である。
非晶質ポリエステル樹脂の総含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、低温定着性の観点から、さらに、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂を含有していることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分は、非晶質複合樹脂との相溶性の観点から、脂肪族ジオールを含有していることが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、非晶質ポリエステル樹脂と適度に相溶させる観点から、好ましくは6以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
また、脂肪族ジオールは、トナーの低温定着性を向上させる観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有していることが好ましく、α,ω-直鎖アルカンジオールであることがより好ましい。
アルコール成分には、脂肪族ジオール以外のアルコールが含まれていてもよいが、脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、コハク酸(炭素数:4)、スベリン酸(炭素数:8)、アゼライン酸(炭素数:9)、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン2酸(炭素数:12)、テトラデカン2酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、それらの炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。ただし、アルキルエステル部のアルキル基の炭素数は、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数には含めない。
脂肪族ジカルボン酸系化合物における鎖状炭化水素基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、非晶質ポリエステル樹脂と適度に相溶させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、好ましくは70モル以上、より好ましくは80モル以上であり、そして、好ましくは100モル以下、より好ましくは96モル以下である。
カルボン酸成分には、脂肪族ジカルボン酸系化合物以外のカルボン酸系化合物が含まれていてもよいが、脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上であり、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは92モル%以下である。
カルボン酸成分は、低温定着性の観点から、さらに、脂肪族モノカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
脂肪族モノカルボン酸系化合物としては、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらのなかでは、ラウリン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸系化合物の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは24以下、さらに好ましくは20以下である。
脂肪族モノカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
他のカルボン酸系化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸系化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂と同様にして、アルコールとカルボン酸系化合物を重縮合させて製造することができる。重縮合の反応温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、保存性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、保存性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、耐熱保存性の観点から、好ましくは4000以上、より好ましくは6000以上、さらに好ましくは8000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは30000以下、より好ましくは25000以下、さらに好ましくは20000以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
結晶性ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂の質量比(結晶性ポリエステル樹脂/非晶質ポリエステル樹脂)は、耐擦過性及び画像濃度の観点から、好ましくは2/98以上、より好ましくは5/95以上、さらに好ましくは8/92以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは20/80以下、より好ましくは15/85以下である。
結着樹脂組成物には、非晶質ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で含有されていてもよく、他の樹脂としては、前記の非晶質ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、これらの樹脂を2種以上含む複合樹脂等が挙げられる。
非晶質ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の合計含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
さらに、本発明においては、結着樹脂として本発明のトナー用結着樹脂組成物を含むトナー、具体的には、本発明のトナー用結着樹脂組成物及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーを提供する。
結着樹脂組成物の含有量は、トナー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明の静電荷像現像用トナーには、結着樹脂組成物及び着色剤以外に、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよく、離型剤及び荷電制御剤が含有されることが好ましい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」、「FCA-201-PS」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂(結着樹脂組成物)及び着色剤、必要に応じて、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
なお、トナーの製造において、結着樹脂組成物が複数の樹脂からなる場合は、予め複数の樹脂を混合した結着樹脂組成物を用いてもよいが、トナーを製造する際に、それぞれの樹脂を直接原料の混合に供してもよい。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した試料をそのままの温度で1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温しながら吸熱ピークを測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルムとジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔樹脂の重量平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)に、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC 210」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1に示す2,2’-ビフェニルジカルボン酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った後、235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、180℃まで冷却した。その後、2,2’-ビフェニルジカルボン酸を加え、2時間かけて220℃まで昇温した。220℃にて1時間反応後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂AL1、AL3~AL7)を得た。なお、本発明における反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2
表1に示す4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った後、235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、180℃まで冷却した。その後、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルを加え、2時間かけて220℃まで昇温した。220℃にて1時間反応後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂AL2)を得た。
樹脂製造例3
表1に示す2,2’-ビフェニルジカルボン酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温し、230℃で10時間重縮合反応させた。さらに、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った後、180℃まで冷却した。その後、2,2’-ビフェニルジカルボン酸を加え、2時間かけて220℃まで昇温した。220℃にて1時間反応後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂AL8)を得た。
樹脂製造例4
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、140℃で1時間保温した後に140℃から200℃まで10℃/hで昇温し、200℃で1時間重縮合反応させた。さらに、200℃、8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂AL9)を得た。
Figure 2023045091000003
樹脂製造例5
表2に示すアジピン酸及び無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った後、235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、180℃まで冷却した。その後、アジピン酸、無水トリメリット酸を加え、2時間かけて220℃まで昇温した。220℃にて1時間反応後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂AH1)を得た。
樹脂製造例6
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、140℃で1時間保温した後、140℃から200℃まで10℃/hで昇温し、200℃で1時間重縮合反応させた。さらに200℃、8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1)を得た。
Figure 2023045091000004
実施例1~7及び比較例1、2
結着樹脂として、表3に示す樹脂AL 60質量部、樹脂AH 30質量部、及び樹脂C 10質量部と、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリエント化学工業(株)製)1質量部、着色剤「Pigment blue 15:3」(大日精化工業(株)製)5質量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス、融点:80℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として、疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例〔耐擦過性〕
評価紙としてBusiness4200(秤量105g/m2、Xerox社製)を用い、トナーの載り量を0.50mg/cm2としたベタ画像を180℃に温調した定着器に通して定着させた。定着画像を、40℃、相対湿度80%の環境下にて1か月放置した。500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、放置後の定着画像を5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、(1-(擦り後の反射濃度/擦り前の反射濃度))×100から、画像濃度の低下率(%)を算出し、定着画像の耐擦過性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2023045091000005
以上の結果より、実施例1~7では、いずれも耐擦過性が良好であることが分かる。
これに対し、非晶質ポリエステル樹脂のアルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物ではなく脂肪族ジオールである比較例1と、カルボン酸成分がビフェニルジカルボン酸系化合物とジカルボキシジフェニルエーテル系化合物のいずれも含有していない比較例2では、耐擦過性に欠けていることが分かる。
本発明のトナー用結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーは、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (8)

  1. 式(I):
    Figure 2023045091000006
    (式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上16以下である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、ビフェニルジカルボン酸系化合物及びジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の少なくともいずれかを含有するカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物。
  2. 非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、45℃以上65℃以下である、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. ビフェニルジカルボン酸系化合物が、2,2’-ビフェニルジカルボン酸である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. ジカルボキシジフェニルエーテル系化合物が、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルである、請求項1~3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  5. ビフェニルジカルボン酸系化合物もしくはジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の含有量、又はビフェニルジカルボン酸系化合物とジカルボキシジフェニルエーテル系化合物の合計含有量が、カルボン酸成分中、25モル%以上45モル%以下である、請求項1~4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  6. カルボン酸成分が、さらに、テレフタル酸を55モル%以上75モル%以下含有する、請求項1~5いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  7. さらに、結晶性ポリエステル樹脂を含有する、請求項1~6いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  8. 請求項1~7いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物及び着色剤を含有する、静電荷像現像用トナー。
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