JP2007086211A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温定着が可能であると共に、十分な硬度及び帯電性を有し、かつトナー流動性、転写性、クリーニング性を長期に渡り満足する静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供すること。さらに、前記静電荷像現像用トナーを使用した静電荷像現像剤及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 コア粒子表面にシェル層を有してなるコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、前記コア粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含み、かつ前記シェル層が変性シリコーンオイルを含有する非結晶性樹脂を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる電子写真プロセスを利用した機器、特にカラー複写機に使用される静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。さらに、該静電荷像現像用トナーを用いた静電荷像現像剤及び画像形成方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着技術としては、加熱ロール及び加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。また、同種の技術として、ロールの一方又は両方をベルトに代えた定着法も知られている。これらの技術は、他の定着法に比べ、高速で堅牢な画像が得られエネルギー効率が高く、また溶剤等の揮発による環境への害が少ない。
一方、転写工程を経て、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着工程において加熱された定着部材により加熱されることで溶融し、前記被転写体表面へ定着される。前記定着工程では、前記定着部材により前記トナー像だけでなく、前記被転写体をも十分に加熱しないと、前記トナー像が定着されないことが知られている。被転写体への加熱が不十分であると、前記定着部材からの加熱によりトナーだけが溶融し、定着部材へ付着するいわゆるコールドオフセットが発生する。
また、被転写体やトナー像が過度に加熱されると、トナーの粘度が減少してトナー像の一部又は全部が定着部材側に付着する、いわゆるホットオフセットが発生する。したがって定着部材を用いて被転写体やその表面に転写されたトナー像を加熱した際に、コールドオフセット及びホットオフセットの両方が発生しないように定着条件を設定する必要がある。
一方、画像形成に際して必要なエネルギーの省力化への要求の高まりに伴い、ある程度の使用電力を占める定着工程の省電力化を計り、また、前記定着条件を拡大させるためには、トナーの定着温度を、より低温化させる必要がある。トナー定着温度を低温化させることにより、前記省電力化及び前記定着条件の拡大に加えて、電源入力時の定着ロール等の定着部材表面の定着可能温度までの待ち時間、いわゆるウォームアップタイムの短時間化、定着部材の長寿命化が可能である。
しかしながら、トナーの定着温度を低温化させることは、同時にトナー粒子のガラス転移温度も低下させてしまうことになり、トナーの保存性との両立が困難となる。低温定着化とトナー保存性とを両立させるためには、トナーのガラス転移温度をより高温に保ったまま、高温領域でトナーの粘度が急速に低下するいわゆるシャープメルト性をもつことが必要である。
しかしながら、トナーに使用される樹脂は、通常、ある程度ガラス転移温度、分子量等に幅を持つため、前記シャープメルト性を得るためには、極端に樹脂の組成と、分子量とを均一にする必要がある。このような均一性の高い樹脂を得るためには、特殊な製法を用いたり、樹脂をクロマトグラフィー等で処理をすることにより樹脂の分子量を整える必要が生じてしまう。この場合、均一性の高い樹脂を作製するためのコストが高くならざるをえず、また均一性の高い樹脂の作製に際して不要な樹脂(廃棄物)が生じ、近年の環境保護の観点からも好ましくない。
一方、複写した画像を重ねて長期に保存しておく場合、画像の一部もしくは全部が、重ねられた上側の紙の裏に移行してしまうトラブルがおきることがある(以下、「ドキュメントオフセット」という)。この現象は高温多湿の条件下で画像が保存された場合に特に促進され、画像保存性が悪化する為、このような条件においても鮮明な画像が保てる画像形成方法が望まれる。
従って、低温で定着し、より高温領域までオフセットが発生しない、いわば、広い定着ラチチュードを保有し、かつドキュメントオフセットに耐え得る画像が得られる静電荷像現像用トナー及びその製造方法が強く要求されている。
オフセットの発生を防止する手段としては、高分子重合体や架橋重合体をブレンドした結着樹脂を用いる方法(例えば、特許文献2、特許文献3等参照)が知られており、トナー溶融時の表面凝集力を高めることで、定着部材表面へのトナー融着を防ぐ手段が取られている。しかしこれらの方法では、オフセット防止には効果があるものの、定着温度が上昇してしまうという問題が生じる。
そこで、定着部材表面からの剥離性を改善する目的として、トナーにポリプロピレンやポリエチレン、アルキルアミド化合物、エステル化合物などの低分子量成分を添加することが試みられている。しかし、これらの方法においても、耐オフセット性に効果を改善できるものの、現像機内での長期放置などにより、ブロッキング等が生じ易くなり、保存安定性に懸念が生じる。
一方、トナーの定着温度を低くする手段としては、トナー用樹脂(結着樹脂)のガラス転移温度を低くする技術が一般的に行われている。しかし、ガラス転移温度をあまりに低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなったり、定着画像上のトナーの保存性が悪化する。このためトナーのガラス転移温度は実用上60℃が下限である。このガラス転移温度は、現在多く市販されているトナー用樹脂の設計ポイントであるものの、現在のところ、ガラス転移温度を下げる方法では低温定着可能なトナーを得る事はできなかった。また可塑剤を用いることによっても、定着温度を下げることはできるが、保存時や、現像機内においてトナーのブロッキングが発生するという問題があった。
ブロッキング防止、及び、低温定着性を両立させる手段ために、結晶性樹脂を結着樹脂として用いる方法が古くから知られている(例えば、特許文献4、特許文献5等参照)。しかし、結晶性樹脂は、混練粉砕法では粉砕が困難で収率が低い為、製造性の観点から実用性に乏しいという問題があった。
また、結晶性樹脂は軟質であるため、トナーの一部が現像機部材やキャリアや潜像保持体に付着するフィルミング現象を起こし易い。また、特に高速で複写やプリントする場合、現像機部材やキャリアから受ける圧力や剪断力でトナーが次第に変形し、あるいは外添剤がトナー粒子表面に埋め込まれてしまうことによって、安定した現像特性を得られない。また、トナーの粉体としての流動性が悪いために、トナーとキャリアの混合が不十分で、帯電不良になるという現象を起こしてしまう。
また、結晶性樹脂は自身の結晶部分の電荷密度が高く、電荷の漏洩が生じるため、トナーの帯電特性が悪化するという問題点があった。
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術が数多く提案されている。
また、混練粉砕法でトナーを作製する場合、非晶性樹脂部分の存在により、粉砕が容易となることも知られている。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する方法(例えば、特許文献6参照)や、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した樹脂を用いる方法(例えば、特許文献7〜10参照)などが挙げられる。
既述のように、低温定着性及び耐オフセット性を共に向上させるに当り、溶融混練粉砕法では、低温定着性及び耐オフセット性に対しては効果的である結晶性樹脂の使用が困難であり、高分子量若しくは架橋構造を持つ樹脂を用いても十分な性能が得られない等の問題がある。さらに、粉砕を行うため、トナー粒子の形状制御も難しく、特にトナー粒子の球形化は困難であり、高画質化の目的で、トナー粒子の小粒子径化を図ることも困難である。
上記問題を解決するためのトナーの製造方法としては、懸濁重合法等の重合法によりトナー粒子を作製するような、湿式製法が挙げられる(例えば、特許文献11参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。従って、上述の混練粉砕法等によって得られたトナー粒子の均一化を図る目的で必須とされていた分級工程を設ける必要もない。
しかし、結晶性樹脂を用いた懸濁重合法では、結晶性樹脂が結晶成長を起こすため、トナー中に均一に着色剤を分散させることが難しいという不具合がある。
一方、電子写真プロセスにおいて使用されるトナーの体積抵抗値はその帯電特性を左右する重要な特性値であるが、結晶性樹脂の体積抵抗値は、従来使用されている分子量領域の非結晶性樹脂に比べて低く、結晶性樹脂単独では、電子写真法に必要な帯電特性を確保し難いのが現状である。
そこで、前記不具合を改善する目的で、無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体に結晶性樹脂を溶解させた溶液中で、これらの成分を含む乳化又は懸濁樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を得る処方が提案されている(特許文献12参照)。しかし、この方法では、トナー中に含まれる結晶性樹脂相の割合が多い場合、トナー表面へ結晶性樹脂が露出する割合が大きくなる。また、樹脂微粒子中に結晶性樹脂と無定形高分子の樹脂の偏在が存在し、該樹脂微粒子が融着することによって、トナー中の結晶性樹脂のドメインサイズがミクロな分散形態をとることは困難となる。この場合、上述のように結晶性樹脂本来の低抵抗や、結晶性樹脂の結晶部分の非絶縁性に起因して、トナーの帯電性に悪影響を及ぼすという問題がある。
この様に、結晶性樹脂を用いたトナーでは、結晶性樹脂の利点である低温定着性と共に、十分な帯電性を確保することは困難であった。加えて、耐ブロッキング性、耐フィルミング性も満足させるためには、相反する諸特性を両立させることが要求され、更に、粉体流動性、着色性等の他のトナー特性を満足するトナーはいまだ提供されていないのが現状である。したがって、低温定着性に加えて十分な帯電性を確保し、さらに、その他の諸特性も高いレベルで両立させたトータルバランスの優れたトナーを提供することが重要である。
一方、電子写真法では、感光体に形成された静電荷像を、通常、顔料等を含むトナーで現像し、得られたトナー像を転写紙上に転写し、熱ロール等で定着し、他方、感光体は再び静電荷像を形成するためにクリーニングされる。このような電子写真法等で使用する乾式現像剤は、結着樹脂中に着色剤を分散したトナーそのものを用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別することができ、そしてこれらの現像剤を用いてコピー操作を行なう場合、プロセス適合性を有するためには、現像剤が、流動性、耐ケーキング性、定着性、帯電性、クリーニング性等に優れていることが必要である。そして、特に、流動性、耐ケーキング性を高めるために無機微粉末をトナーに添加することがしばしば行われている。しかしながら、無機微粉末は、帯電に大きな影響を与えてしまう。例えば、一般に使用されているシリカ系微粉末の場合、負極性が非常に強く、負帯電性トナーの帯電性を過度に増大させてしまい、場合によってはトナーの帯電分布を広げてしまうという問題があった。その結果、濃度再現不良、背景カブリの原因となることがあった。また、無機微粉末の分散性もトナー特性に大きな影響を与え、そして分散性が不均一な場合、流動性、耐ケーキング性に所望の特性が得られなかったり、クリーニングが不十分になって、感光体上にトナー固着などが発生し、黒点状の画像欠陥が生じる原因となることがあった。
これらの点を改善する目的で、無機微粉末を表面処理したものを用いることが種々提案されている。例えば、特許文献13〜15には、シリカ微粒子の表面を疎水化処理することが記載されている。しかしながら、これらの無機微粉末を用いるだけでは必ずしも十分な効果が得られない。また、処理剤にシリコーンオイルを用いた場合、その粘度が高いために処理時にシリカの凝集が起こり、粉体流動性が悪化するという欠点がある。
更にまた、トナーの摩擦帯電性、保存安定性及び流動性を向上する方法として、トナー粒子の外殻ポリマーとは異なった摩擦帯電性を有する、例えば、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル等のアミノ基と二重結合を有する単量体を成分とするポリマーで被覆処理したシリカ微粒子を、トナー粒子に外添する方法(特許文献16参照)が知られている。しかしながら、この方法は、摩擦帯電性を付与することを目的とするものであるが、その過剰な帯電の抑制効果は十分ではなく、また、ポリマー自身の自己凝集力による凝集体が生じやすく、十分な粉体流動性が得られない。
また一方、トナーの耐吸湿性や経時的安定性を改善したり、キャリアへのインパクションを軽減させる目的で、フッ素系オイルで表面処理されたシリカ微粒子を外添させる方法(特許文献17参照)や、フッ素置換シランカップリング剤で表面処理したシリカ微粒子を外添させる方法(特許文献18参照)が知られている。しかしながら、これらフッ素系の処理剤では、シリカに対して耐湿性や耐キャリア汚染性は付与できるものの、経時による帯電低下が著しく、また、フッ素自身の持つ高い負帯電性のために、高い流動性と耐ケーキング性を維持しつつ適切な帯電性を得ることができない。
特公昭42−23910号公報 特開昭50−134652号公報 特開昭51−23354号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特開平2−79860号公報 特開平1−163756号公報 特開平1−163757号公報 特開平4−81770号公報 特開平4−155351号公報 特公昭36−10231号公報 特開2001−42564号公報 特開昭46−5782号公報 特開昭48−47345号公報 特開昭48−47346号公報 特開昭64−6964号公報 特開昭58−217944号公報 特開昭60−93455号公報
本発明は、従来の技術の上記のような実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、低温定着が可能であると共に、十分な硬度及び帯電性を有し、かつトナー流動性、転写性、クリーニング性を長期に渡り満足する静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、前記静電荷像現像用トナーを使用した静電荷像現像剤及び画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題は以下の<1>、<2>、<4>、<5>に記載の手段によって解決された。好ましい実施態様である<3>と共に以下に記載する。
<1> コア粒子表面にシェル層を有してなるコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、前記コア粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含み、かつ前記シェル層が変性シリコーンオイルを含有する非結晶性樹脂を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2> 結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含む第1の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液を含む混合分散液中に凝集剤を添加し、凝集コア粒子の分散液を形成する凝集工程、非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを含み、転相乳化法により得られた第2の樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を前記凝集コア粒子の分散液に加えて、前記凝集コア粒子の表面に第2の樹脂粒子を付着させて凝集コア粒子/シェル凝集体を形成する付着工程、前記凝集コア粒子/シェル凝集体を、前記凝集コア粒子及びシェル凝集体のガラス転移温度以上に加熱することにより合一する合一工程を含む<1>に記載のコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの製造方法、
<3> 前記転相乳化法が、非結晶性樹脂を沸点が100℃以下又は水と共沸可能な有機溶剤に溶解した溶液に変性シリコーンオイルを添加する溶解工程、溶解工程で得られた溶液を塩基性化合物により中和する中和工程、中和された溶液に水性媒体を加え転相させることにより水性媒体中に非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを分散した分散液を形成する工程、及び前記分散液から前記有機溶剤を除去する工程からなる、<2>記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<4> <1>に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<5> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして<1>に記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤として<4>に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、低温定着が可能であると共に、十分な帯電性かつ良好なクリーニング性を有する静電荷像現像用トナー、及びその製造方法を提供することができる。さらに、前記静電荷像現像用トナーを使用した静電荷像現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明の静電荷像現像用トナー及びその製造方法について詳しく説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)は、コア粒子表面にシェル層を有してなるコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、前記コア粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含み、かつ前記シェル層が変性シリコーンオイルを含有する非結晶性樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーのコア粒子で用いる結着樹脂は、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂の双方を含むものである。結晶性樹脂を含まない場合、低温定着性と耐ブロッキング性の両立が困難となる。
本発明の静電荷像現像用トナーに用いられる結晶性樹脂において、『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。
一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質(非結晶性)樹脂を意味するが、本発明において用いられる非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明のトナーに用いられる「結晶性樹脂」は、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましいが、「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。
但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50重量%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、トナーのコア粒子に用いる結晶性樹脂と非結晶性樹脂が互いに相溶することが必要であり、その基準として双方の樹脂のSP値(溶解度パラメータ:Solubility Parameter。ここではSP値として「×10-31/2m−3/2」を省略した数値を用いる。)の差が1以内であることが好ましい。
コア粒子に用いられる結晶性樹脂と非結晶性樹脂の添加量は、樹脂の重量比で1:99〜50:50であることが好ましく、5:95〜30:70であることが好ましい。添加量の比を上記の範囲内とすることによって、低温定着が可能であると共に、現像機内で変形しにくい充分な硬度を有するコア粒子が構成できるので好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜8μmがさらに好ましい。また、個数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜8μmがさらに好ましい。
前記体積平均粒子径及び個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
本発明のトナーのコア粒子を構成する成分としては、既述したように少なくとも、結着樹脂として結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、着色剤や離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。以下に、本発明のトナーの構成成分や製造方法について詳細に説明する。
−結着樹脂−
本発明において、トナーのコア粒子は結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含むものであるが、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、非結晶性樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能であるので好ましい。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分の含有量は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して好ましくは1〜15モル%、より好ましくは2〜10モル%である。含有量が1モル%以上であると、乳化粒子の経時安定性が良好であるので好ましい。一方、含有量が15モル%以下であると、ポリエステル樹脂の結晶性が良好であり、また、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与えることがなく、トナー径の調整が容易であるので好ましい。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。主鎖部分の炭素数が20以下の直鎖型脂肪族ジオールが好ましく、6〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性が向上し、適度な融点が得られるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が良好であるので好ましい。特に、炭素数が6以上であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、良好な融点が得られ、低温定着を達成することができるので好ましい。一方、炭素数が20以下であると、実用上の材料の入手が容易であるので好ましい。前記炭素数としては14以下であることがさらに好ましい。
本発明のトナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
多価アルコールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90モル%以上である。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性が良好であり、融点が降下することがなく、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が良好であるので好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
(非結晶性ポリエステル樹脂)
一方、本発明のトナーにおいて、非結晶性樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる非結晶性のポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。
これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましい。また、良好な定着性を確保するために、架橋構造あるいは分岐構造をとることが好ましく、ジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。
これら多価アルコールは、1種又は2種以上を用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオール類がより好ましい。また良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/又はカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
結晶性及び非結晶性ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
本発明のトナーに使用される非結晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは7,000〜500,000であり、数平均分子量(Mn)は2,000〜100,000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲内であると、低温定着性に効果的であり、また、耐ホットオフセット性も良好であり、トナーのガラス転移温度を低下させることがなく、トナーの耐ブロッキング性や保存性にも悪影響を及ぼすことがないので好ましい。さらに、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害することがなく、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼすことがないので好ましい。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となるので好ましい。
また、本発明のトナーに使用される結晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が8,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜70,000であることがより好ましく、12,000〜50,000であることがさらに好ましい。また、数平均分子量(Mn)は1,500〜50,000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、2〜50であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、定着像の適切な強度が得られ、現像機撹拌中の破砕等を抑制でき、かつ適切な定着温度が確保できるため好ましい。また、数平均分子量が上記範囲内であると、良好な耐オフセット性が得られるので好ましい。さらに、分子量分布が上記範囲内であると良好な低温定着性が確保できるので好ましい。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
結晶性及び非結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜60mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは、多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明に使用される非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃以上であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を生じることがないので好ましい。一方、ガラス転移温度が100℃以下であると、トナーの定着温度が良好であるので好ましい。
本発明に使用される結晶性ポリエステル樹脂の融点は50〜120℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。融点が上記範囲内であると、トナーの保存時に凝集が起こり難く、定着画像の保存性が良好であり、かつ低温定着性が確保できるため好ましい。
尚、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、JIS K7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。複数の融解ピークを示す場合は、その中の最大の融解ピークを融点とする。
本発明のトナーのシェル部には、非結晶性樹脂が含有されるが、その他の樹脂を併用することもできる。シェル部において、非結晶性樹脂はシェル部の樹脂全体の70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。非結晶性樹脂の含有量が70重量%以上であると、良好な帯電性及び耐ブロッキング性が得られるため好ましい。
また、併用できる樹脂としては、該結晶性樹脂等が例示できる。
本発明のトナーのシェル部に用いられる非結晶性樹脂には、変性シリコーンオイルが含浸されていることが好ましい。トナー表面層に変性シリコーンオイルが含浸されていることで、トナー表面に外添された無機微粉への浸透、しいては感光体ブレード部でのトナークリーニング性の向上に寄与するので好ましい。
−変性シリコーンオイル−
変性シリコーンオイルとしては、官能基を持つシリコーンオイルであれば特に限定されず、アミノ変性シリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル等の各種の変性シリコーンオイルを使用することができるが、アミノ変性シリコーンオイルが好ましい。
アミノ変性シリコーンオイルとしては、下記式(I)で表わされる構造をもつシリコーンオイルが例示できる。
Figure 2007086211
(ここで、R1、R6は水素、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基を表わし、R2はアルキレン基、フェニレン基を表わし、R3は含窒素複素環をその構造に有する化合物を表わし、R4、R5は水素、アルキル基、アリール基を表わす。R2はなくてもよい。ただし上記のアルキル基、アリール基、アルキレン基、フエニレン基はアミンを含有していても良いし、帯電性を損ねない範囲でハロゲンの如き置換基を有していても良い。mは1以上の数であり、n、lは0を含む正の数である。ただしn+lは1以上の正の数である。)
本発明において、変性シリコーンオイルとして、外添剤への吸着性に優れる変性シリコーンオイルを使用することが好ましい。
変性シリコーンオイルと外添剤との好ましい組み合わせとして、アミノ変性シリコーンオイルと酸化チタンや、アミノ変性シリコーンオイルとシリカ微粒子が挙げられる。
また、変性シリコーンオイルは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。また、複数の異なる官能基を導入した変性シリコーンオイルを使用することもできる。
さらに酸化防止剤入りのアミノ変性シリコーンオイルであるヒンダードアミンオイルを使用することもできる。
本発明において、変性シリコーンオイルの粘度は、常温(25℃)において、10〜10,000csであることが好ましく、50〜1,000csであることがより好ましい。粘度が上記範囲内であると、適度な流動性を確保でき、トナーのシェル部から外部への移行を容易ならしめるので好ましい。
本発明において、変性シリコーンオイルの添加量は、シェル層の樹脂100重量部に対し、3〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。添加量が3重量部以上であると、その効果を充分に得ることができるので好ましい。また、添加量が50重量部以下であると、樹脂粒子の凝集体が生成せず、トナーに対する分散添加が充分となるので好ましい。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されず、顔料及び染料のいずれも使用することができる。
染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料を使用することができ、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー等を挙げることができる。
また、顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
さらに、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種又は2種以上を併せて使用することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、コア粒子の結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
−離型剤−
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
離型剤の含有量は、コア粒子の結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内であることが好ましく、2〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1重量部以上であると離型剤添加の効果があり、高温でのホットオフセットを抑制することができるので好ましい。一方、離型剤添加量が30重量部以下であると、帯電性に悪影響を及ぼすことがなく、トナーの機械的強度が低下することがない為、現像機内でのストレスで破壊されることがなく、キャリア汚染などを引き起こすことがないので好ましい。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し難く、OHP透明性が良好であるので好ましい。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
トナー表面に外添される無機微粒子や有機微粒子(外添剤)としては以下のようなものが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機微粒子の1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの体積平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、また、個数平均粒子径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径及び個数平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
<トナーの製造工程>
本発明の静電荷像現像用トナーは、公知のいずれの方法によって製造することができるが、下記の方法によって製造されることが好ましい。
即ち、本発明において静電荷像現像用トナーは、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含む第1の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液を含む混合分散液中に凝集剤を添加し、凝集コア粒子の分散液を形成する凝集工程、非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを含み、転相乳化法により得られた第2の樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を前記凝集コア粒子の分散液に加えて、前記凝集コア粒子の表面に第2の樹脂粒子を付着させて凝集コア粒子/シェル凝集体を形成する付着工程、前記凝集コア粒子/シェル凝集体を、前記凝集コア粒子及びシェル凝集体のガラス転移温度以上に加熱することにより合一する合一工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法によって製造されることが好ましい。
また、上記の転相乳化法は、非結晶性樹脂を沸点が100℃以下又は水と共沸可能な有機溶剤に溶解した溶液に、変性シリコーンオイルを添加する溶解工程、溶解工程で得られた溶液を塩基性化合物により中和する中和工程、中和された溶液に水性媒体を加え転相させることにより水性媒体中に非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを分散した分散液を形成する工程、及び、前記分散液から前記有機溶剤を除去する工程からなることが好ましい。
上記の静電潜像現像用トナーの製造方法は、乳化重合凝集法と呼ばれる。本発明において、乳化重合凝集法は、好ましくは粒子径が1μm以下の結着樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液(第1の樹脂粒子分散液)、必要に応じて、着色剤を分散した着色剤分散液、離型剤を分散した離型剤分散液等、さらにシェル層用分散液を調製する工程(以下、「乳化工程」とも称する。)、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合し、結着樹脂粒子、着色剤、離型剤等をトナー粒子径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」と称することがある)を含み、凝集工程において、凝集粒子(コア粒子、凝集コア粒子ともいう)を形成する。さらに、非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを含む第2の樹脂粒子分散液(シェル層用分散液)を加え、凝集コア粒子の表面に、シェル層を形成する工程(以下、「付着工程」とも称する。)、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱し凝集体を融合しトナー粒子を形成する工程(以下、「合一工程」とも称する。)を含む。
以下、それぞれの工程について詳述する。
−乳化工程−
(乳化分散液)
(1)樹脂粒子分散液
前記樹脂粒子の平均粒子径としては、1μm以下であることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましい。前記平均粒子径が1μm以下であると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒子径分布が狭く、遊離粒子の発生を生じず、性能や信頼性が向上するので好ましい。また、前記平均粒子径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒子径は、例えばコールターカウンター、レーザー散乱粒度測定装置などを用いて測定することができる。
前記分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいても良い。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
前記樹脂粒子が、結晶性ポリエステル及び非結晶性ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した、自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。結晶性ポリエステル及び非結晶性ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂として、それ自体水に分散しない、すなわち自己水分散性を有しないポリエステル樹脂を用いる場合には、後述する離型剤と同様、樹脂溶液及び/又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5wt%程度になるようにするのが適当である。
本発明において、結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を使用するが、結着樹脂粒子分散液は、結晶性樹脂粒子分散液と非結晶性樹脂粒子分散液を別々に調製し、乳化工程において混合しても良いし、予め結晶性樹脂及び非結晶性樹脂が分散した結着樹脂粒子分散液を調製し、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液等と混合しても良い。
(2)着色剤粒子分散液
前記乳化工程で、結着樹脂粒子分散液と混合される着色剤としては、既述した着色剤を用いることができる。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。本発明において、該着色剤の分散液のことを、「着色粒子分散液」という場合がある。分散に用いる界面活性剤や分散媒としては、前記結着樹脂を分散させる際に用い得る分散媒と同様のものを用いることができる。
前記着色剤の添加量としては、前記結着樹脂の総量に対して1〜20重量%とすることが好ましく、2〜10重量%とすることが特に好ましく、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
また、これらの着色剤は、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
(3)離型剤粒子分散液
前記乳化工程で、樹脂分散液と混合される離型剤としては、既述した離型剤を用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたないポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、1μm以下の分散微粒子径に調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
前記乳化工程における結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量及び、着色剤及び離型剤の分散液における、着色剤、離型剤それぞれの含有量は、5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。前記含有量が前記範囲内であると、粒度分布が狭く、特性が良好であるので好ましい。
なお、本発明において、目的に応じて、前記結着樹脂分散液に、既述したような内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分を分散させておいても良い。
なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記その他の成分の平均粒子径としては、1μm以下であることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましい。前記平均径が1μm以下であると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒子径分布が狭く、遊離粒子の発生を生じず、性能や信頼性が向上するので好ましい。また、前記平均粒子径が前記範囲内にあると、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
(4)シェル層用分散液(転相乳化法)
本発明において、第2の樹脂粒子分散液、即ち、シェル層を形成させるための分散液(シェル層用分散液)は、公知のいずれの方法によって作製することができるが、下記の転相乳化法で作製することが好ましい。
具体的には非結晶性樹脂を沸点100℃以下又は水と共沸可能な有機溶剤中に溶解させ(水性化工程ともいう。)、さらに所定量の変性シリコーンオイル及び塩基性化合物を添加して作製される油相に対し、油相撹拌下、水系媒体を徐々に滴下し、転相させることにより樹脂エマルションを作製した後、余分な有機溶媒を除去することによってシェル層用分散液(乳化液)を得ることが好ましい。
また、凝集コア粒子を作製する際の結着樹脂粒子分散液も、同様な方法で作製することができる。即ち、結着樹脂を沸点100℃以下又は水と共沸可能な有機溶剤中に溶解させ、これに塩基性化合物を添加して作製される油相に対し、油相を撹拌しながら水系媒体を徐々に滴下し、転相させることにより樹脂エマルジョンを作製する。作製した樹脂エマルジョンから余分な有機溶剤を除去することによって樹脂粒子分散液を作製することができる。凝集コア粒子を作製する際の結晶性樹脂粒子分散液及び非結晶性樹脂粒子分散液のいずれも転相乳化法にて作製することができるが、特に、非結晶性樹脂粒子分散液を作製する際に転相乳化法を使用することが好ましい。
・有機溶剤
本発明においては、水性化処理速度を加速させる目的で、前述の水性化工程では、樹脂に対して可塑化能力を有する両親媒性の有機溶剤を必要とする。有機溶媒は、沸点が100℃以下又は水と共沸可能であり、しかも毒性、爆発性や引火性の低い、汎用の有機溶剤が好ましい。沸点が100℃以下又は水と共沸可能な有機溶剤を使用すると、後の工程で十分に除去することが容易であるので好ましい。
本発明でいう有機溶剤に要求される特性は、両親媒性であることと樹脂に対して可塑化能力を有することである。ここで両親媒性の有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が少なくとも5g/L以上であるものをいう。水に対する溶解性が5g/L以上であると、水性化処理速度を加速させる効果があり、さらに、得られる水分散体の貯蔵安定性に優れるので好ましい。
両親媒性の有機溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコール誘導体、アセトニトリル等を例示することができる。これらの溶剤は単一でも、また2種以上を混合しても使用できる。中でも、イソプロパノール、酢酸エチルが特に好ましい。
両親媒性有機溶剤は、沸点が100℃以下又は水と共沸可能であれば、乳化工程中、あるいはその後の工程でその一部又は全てを系外に容易に除去(ストリッピング)することができ、最終的に水分散体組成物に対して0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%とすることができるので好ましい。
ここで、水分散体組成物とは、凝集コア粒子分散液に添加する直前のシェル層用分散液を指すものである。
・塩基性化合物
本発明に関わる樹脂は、転相乳化法によって水系媒体に分散させる際に塩基性化合物で中和されることが好ましい。本発明において、非結晶性樹脂及び/又は結晶性樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合はポリエステル樹脂のカルボキシル基との中和反応が水性化の起動力であり、しかも生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって、微粒子間の凝集を防ぐことができる。塩基性化合物としては揮散する化合物が好ましく、このようなものとしてはアンモニア、沸点が250℃以下の有機アミン化合物等が挙げられる。望ましい有機アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2〜4倍当量を添加することが好ましく、0.4〜1.5倍当量を添加することがより好ましい。添加量が0.2倍当量以上であると、塩基性化合物添加の効果が認められ、また4倍当量以下であるとポリエステル樹脂水分散体が著しく増粘することがないので好ましい。
・揮発性物質除去
上述の方法により得られた樹脂エマルション液を撹拌して、樹脂エマルション中の有機溶媒などの揮発性物質を除去する。揮発性物質除去に際しては、減圧加熱処理する方法、窒素や水蒸気などを吹き込むバブリング法、ストリッピング法、フラッシング法などいかなる方法を採用しても良いが、揮発性物質除去の効率が良好な点から減圧ストリッピング法が好ましい。
蒸発タンク内の圧力は処理温度と分散媒(通常は水)の蒸気圧の関係で決定されるが、本発明においては圧力を適当に調整するのがよい。圧力は、5.33×103〜6.67×104Pa(40〜500torr)であることが好ましく、より好ましくは6.67×103〜5.33×104Pa(50〜400torr)の範囲である。蒸発タンク内の圧力が上記範囲内であると、トナーの凝集、器壁へのスケール付着、発泡が効率よく防げる点で好適である。蒸発タンク内の圧力が6.67×104Pa以下であると、樹脂エマルジョン液への加熱が適切であり、加熱装置部分での樹脂分散液の分散安定性が良好であり、処理中に凝集物や器壁へのスケール付着が増大することがないので好ましい。また、圧力が5.33×103Pa以上であると、処理温度における分散媒の蒸気圧に対して圧力が適切であり、気液平衡が一気に気体側に移行することがないので好ましい。気液平衡が一気に気体側に移行すると、蒸発タンク中の樹脂分散液内部から分散媒やその他の揮発性物質の沸騰が始まり、泡の抑制が困難になることがある。
更に本発明においては、分散液中の界面更新を促進して揮発物質の蒸発を促すため、系の温度や圧力のバランスを不安定化させない範囲で、蒸発タンク内の液相に気体を吹込みながら減圧ストリッピング処理することができる。吹込む気体は特に限定されるものではなく、水蒸気、乾燥空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。これらのうち、不燃性気体であることが好ましい。また、上記気体を吹込む際、重合体粒子の凝集防止の意味から、気体の温度は100℃未満の温度が好ましい。
−凝集工程−
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子、及び着色剤、離型剤の分散液を混合し(以下この混合液を「原料分散液」という)、前記結着樹脂のガラス転移温度付近の温度で、かつガラス転移温度以下の温度にて加熱して、それぞれの分散粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
本発明では、凝集工程の際の「ガラス転移温度」とは、コア粒子の非結晶性樹脂のガラス転移温度を指すものである。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
非結晶性樹脂としてとしてポリエステル樹脂を用いる場合、本発明において、原料分散液を調製する前のポリエステル樹脂の乳化分散液のpHは概して7〜10である。このため、pH3〜5である結晶性ポリエステル樹脂の乳化分散液や着色剤、離型剤分散液を混合すると、極性のバランスが崩れて、緩凝集が生じてしまう場合がある。そこで、原料分散液を混合した時点で、pHを4〜6に調整して加熱し、凝集粒子を形成させることが好ましい。
(凝集剤)
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集工程においては、加熱による急凝集を抑える為に、室温で撹拌混合している段階でpH調整を行ない、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい(以下、この段階を「プレ凝集工程」という)。このプレ凝集工程に用いる分散安定剤としては、極性を変えないようにする為、公知の非イオン性界面活性剤を1〜3%添加することが好ましい。分散安定剤を添加しない場合、加熱凝集工程において、原料粒子の微粉の取り込みが悪くなり、結果として粒度分布がブロードになってしまうという不具合がある。また、分散安定剤はプレ凝集工程と加熱凝集工程との両方に分けて添加しても効果的である。
本発明において、上述の凝集工程において凝集コア粒子を形成する。その後にシェル層用分散液を追添加し、凝集コア粒子表面に、非結晶性樹脂を付着させる。
−合一工程−
合一工程においては、凝集工程と同様の撹拌下で、凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適正なpHであると、合一させるための昇温過程で凝集粒子がばらけることがなく、良好な収率が得られるので好ましい。
尚、本発明において、合一工程における結着樹脂のガラス転移温度とは、コア粒子又はシェル層の非結晶性樹脂のガラス転移温度のうち、いずれか高い方を指すものである。
合一時の加熱の温度としては、凝集粒子中に含まれる結着樹脂のガラス転移温度以上であれば問題が無い。前記加熱の時間としては、合一が十分に為される程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行うことが好ましい。合一時の加熱時間が1.5時間以下であると、凝集粒子に含まれる結晶性樹脂がトナー表面へ露出することがないので好ましい。その結果、良好な定着性、ドキュメント保存性と帯電性の両立が可能となるので好ましい。
前記合一工程においては、前記結着樹脂がガラス転移温度以上に加熱されている時に、あるいは合一が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、合一と同時に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、例えば、結着樹脂として2重結合成分を共重合させた、不飽和スルホン化結晶性ポリエステル樹脂をさらに用い、この樹脂にラジカル反応を起こさせ、架橋構造を導入する。この際、以下に示す重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシ−α−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用することも、又は2種以上を併用することもできる。重合開始剤の量や種類は、結着樹脂中の不飽和部位量、共存する着色剤の種類や量によって選択される。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめ結着樹脂に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集塊に取り込ませてもよい。さらには、合一工程、或いは合一工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、合一工程、あるいは合一工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、又は乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
合一して得た合一粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、気流乾燥法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
<画像形成方法>
また、本発明の静電荷像現像トナー及び静電荷像現像剤は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用でき、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよく、例えば、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程等が好ましく挙げられる。本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体及び誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<樹脂粒子分散液の調製>
−結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100.0mol%の酸成分、1,6−ヘキサンジオール(酸成分に対し2mol倍量)、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.012重量%)を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流を行った。
その後、減圧蒸留にてメタノールを除去し、230℃まで徐々に昇温を行い、2時間撹拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量13,000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。なお、得られた結晶性ポリエステル(1)の融点は60℃であり、酸価は20mgKOH/gであり、吸熱ピークの半値幅は5.5℃であった。
次に、この結晶性ポリエステル(1)80重量部及び脱イオン水720重量部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8,000rpmで撹拌した。
その後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1.6重量部を希釈した水溶液20重量部を滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒子径が0.18μmの結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:10重量%)を調製した。
−結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10ドデカン二酸90.5mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%、5−t−ブチルイソフタル酸7.5mol%の酸成分、及び、1,9ノナンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)4(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にてメタノールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い4時間撹拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量13,000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷し、結晶性ポリエステル(2)を得た。なお、得られた結晶性ポリエステル(2)の融点は56℃であり、酸価は12mgKOH/gであり、吸熱ピークの半値幅は5℃であった。
次に、この結晶性ポリエステル(2)80重量部及び脱イオン水720重量部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8,000rpmで撹拌した。
その後、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)1.6重量部を希釈した水溶液20重量部を滴下しながら、乳化分散を行ない、平均粒子径が0.15μmの結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)(樹脂粒子濃度:10重量%)を調製した。
−非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製−
エチレングリコール 243重量部
ネオペンチルグリコール 325重量部
テレフタル酸 478重量部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたのフラスコに上記のモノマーのを仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの0.6重量部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が6.5mgKOH/g、重量平均分子量12,000、ガラス転移温度は55℃、融点108℃、吸熱ピークの半値幅は20℃である非結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
ついで、この非結晶性ポリエステル樹脂(1)100重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモーターを用いて100rpmで撹拌した。非結晶性樹脂が完全に溶解した時点で、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに1.5×104Paの減圧を行い、溶剤の留去量に応じて7×103Paまで減圧度を変化させることにより余分な溶剤を除去することによって、平均粒子径0.14μmのポリエステル樹脂からなる非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
−非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)の調製−
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 192重量部
(平均付加モル数2.2)
トリメチロールプロパン 214重量部
テレフタル酸 696重量部
前記非結晶性ポリエステル樹脂(1)と全く同様にして、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイドの0.6重量部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が6.0mgKOH/gになるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ、無水フタル酸の497重量部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が51mgKOH/gで重量平均分子量が29,000、ガラス転移温度は60℃、融点102℃、吸熱ピークの半値幅は25℃である非結晶性ポリエステル樹脂を得た。ついでこれに非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製条件と同様の転相乳化処理を行うことによって、平均粒子径0.16μmのポリエステル樹脂からなる非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
−非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)の調製−
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 192重量部
(平均付加モル数2.2)
トリメチロールプロパン 214重量部
テレフタル酸 696重量部
前記非結晶性ポリエステル樹脂(1)と全く同様にして、酸価が6.0mgKOH/g、軟化点が105℃になるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ、無水フタル酸の497重量部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が51mgKOH/gで重量平均分子量が29,000、ガラス転移温度は58℃、融点98℃、吸熱ピークの半値幅は27℃である非結晶性ポリエステル樹脂(3)を得た。
ついで、この非結晶性ポリエステル樹脂(3)90重量部と酢酸エチル60重量部をガラスフラスコに入れ、50℃の温浴につけ、スリーワンモーターを用いて100rpmで撹拌した。非結晶性樹脂が完全に溶解した時点で、さらにアミノ変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製:X-21-7783G)10重量部を添加し均一に混合した。続いて、10%アンモニア水1重量部を添加し、均一に混合した後、脱イオン水300重量部を徐々に滴下し、転相させ、さらに1.5×104Paの減圧を行い、溶剤の留去量に応じて7×103Paまで減圧度を変化させることにより余分な溶剤を除去することによって、平均粒子径0.16μmのポリエステル樹脂からなる非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)(樹脂粒子濃度:25重量%)を得た。
−非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)の調製−
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 192重量部
(平均付加モル数2.2)
トリメチロールプロパン 214重量部
テレフタル酸 696重量部
前記非結晶性ポリエステル樹脂(1)と全く同様にして、酸価が6.0mgKOH/g、軟化点が105℃になるまで、反応をさせた。次いで、温度を190℃まで下げ、無水フタル酸の497重量部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が51mgKOH/gで重量平均分子量が29,000、ガラス転移温度は61℃、融点105℃、吸熱ピークの半値幅は26℃である非結晶性ポリエステル樹脂(4)を得た。
ついで、非結晶性ポリエステル樹脂(4)10重量部を酢酸エチル90重量部に溶解し、さらにアミノ変性シリコーンオイル1重量部を均一に混合し、密閉できる容器に入れ、50℃の湯浴にて加温し、樹脂溶液を作製した。また、脱イオン水120重量部及びアニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)0.2重量部をステンレスビーカーに入れ、50℃に加温した。該混合樹脂溶液を前記ステンレスビーカーに注ぎ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8,000rpmで撹拌した。その後、1.5×104Paの減圧を行い、さらに溶剤の留去量に応じて7×103Paまで減圧度を変化させることにより酢酸エチルを除去し、平均粒子径が0.15μmの非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)(樹脂粒子濃度:8重量%)を調製した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂分散液及び非結晶性ポリエステル分散液について以下の表に示す。
Figure 2007086211
<離型剤分散液の調製>
エステルワックス(日本油脂(株)製:WE−2、融点65℃) 50重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK) 5重量部
イオン交換水 200重量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒子径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
<着色剤分散液の調製>
シアン顔料 1,000重量部
(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン))
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR) 150重量部
イオン交換水 9,000重量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒子径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
<実施例1>
−トナー母粒子(1)の製造−
結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 90重量部
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 810重量部
着色剤分散液 22.87重量部
離型剤分散液 50重量部
ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897) 1.05重量部
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8,000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合した。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14重量部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するので、増粘をはじめたら光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.2〜4.5の範囲に制御するのが好ましく、必要に応じて、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行なった。pHが4.0以下になると凝集粒子径が成長し始めることがあるので、凝集粒子径を大きすぎないようにするには上記範囲が好ましい。
上記pH範囲で約2時間保持し、凝集コア粒子を形成した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて測定した凝集コア粒子の体積平均粒子径は2〜3μm程度であった。次に、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)100重量部を追添加し、凝集コア粒子表面に非結晶性ポリエステル樹脂粒子を付着させた。
その後、撹拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールターカウンターで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒子径が6〜7μmになった時点で、付着凝集粒子を融合(合一)させるために、pHを9.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合(合一)したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。以上のように造粒したトナー母粒子(1)の体積平均粒子径は7.6μmであった。
<実施例2>
−トナー母粒子(2)の製造−
結晶性ポリエステル樹脂分散液(2) 90重量部
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 810重量部
着色剤分散液 22.87重量部
離型剤分散液 50重量部
ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897) 1.05重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で体積平均径が7.3μmのトナー母粒子(2)を得た。
<比較例1>
−トナー母粒子(3)の製造−
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 810重量部
着色剤分散液 22.87重量部
離型剤分散液 50重量部
原料として上記各分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で体積平均径が7.8μmのトナー母粒子(3)を得た。
<比較例2>
−トナー母粒子(4)の製造−
凝集コア粒子表面に付着させる非結晶性ポリエステル樹脂粒子として、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で体積平均径が7.8μmのトナー母粒子(4)を得た。
<実施例3>
−トナー母粒子(5)の製造−
凝集コア粒子表面に付着させる非結晶性ポリエステル樹脂粒子として、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で体積平均径が7.7μmのトナー母粒子(5)を得た。
<トナーの定着性、帯電性>
−定着性の評価−
トナー母粒子(1)〜(5)それぞれに外添剤としてチタニア微粉末(平均粒子径100nm)をトナー100重量部に対して1.2重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷像現像用トナー(1)〜(5)を得た。
ついで、これらトナーそれぞれ5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調製し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を90℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とし、下記評価基準により評価した。
◎ ・・・ 最低定着温度80〜100℃
○ ・・・ 最低定着温度100〜120℃
△ ・・・ 最低定着温度120〜140℃
× ・・・ 最低定着温度140〜160℃
−帯電性の評価−
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナー(1)〜(5)各1.5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)30重量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間撹拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量をブローオフ帯電量測定装置で測定した。その帯電量により、下記基準により評価した。
○ ・・・ 帯電性に問題なし
△ ・・・ やや低めであるが、実用上の問題なし
× ・・・ 帯電量が低く、実用上使用不可である
−クリーニング性の評価−
感光体に対するクリーニング性は、目視及び走査型電子顕微鏡により観察し、下記基準により評価した。
○ ・・・ クリーニング不良は、全く観察されない
△ ・・・ ややクリーニング不良が観察されるが、実用上問題なし
× ・・・ クリーニング不良が顕著に観察され、実用上使用不可である
以上の様に評価したトナーの低温定着性、帯電性、クリーニング性を表2に示す
Figure 2007086211
表2に示す結果から、実施例1及び実施例2は、コア樹脂として結晶性樹脂と非結晶性樹脂を用い、着色剤分散液と離型剤分散液とを混合し、加熱により凝集させ、さらにシェル樹脂として転相乳化法により変性シリコーンオイルを含有させた非結晶性樹脂を添加し、過熱により合一させる凝集合一工程から得られる静電荷像現像用トナーであり、低温定着性と帯電性、及び良好なクリーニング性を両立する一方で、比較例1の様にコア樹脂に結晶性樹脂を含まない場合は、低温定着性が確保できず、比較例2の様にシェル樹脂に変性シリコーンオイルを含まない非結晶性樹脂を用いた場合には良好なクリーニング性が確保できず、実施例3の様にシェル樹脂に溶解懸濁法により変性シリコーンオイルを含有させた非結晶性樹脂を用いた場合には、非結晶性樹脂に変性シリコーンオイルが少量しか内包されていないため、低温定着性と帯電性は確保できるものの、若干クリーニング性に劣るものであった。

Claims (4)

  1. コア粒子表面にシェル層を有してなるコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記コア粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含み、かつ
    前記シェル層が変性シリコーンオイルを含有する非結晶性樹脂を含むことを特徴とする
    静電荷像現像用トナー。
  2. 結晶性樹脂及び非結晶性樹脂を含む第1の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液を含む混合分散液中に凝集剤を添加し、凝集コア粒子の分散液を形成する凝集工程、
    非結晶性樹脂及び変性シリコーンオイルを含み、転相乳化法により得られた第2の樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を、前記凝集コア粒子の分散液に加えて、前記凝集コア粒子の表面に第2の樹脂粒子を付着させて凝集コア粒子/シェル凝集体を形成する付着工程、
    前記凝集コア粒子/シェル凝集体を、前記凝集コア粒子及びシェル凝集体のガラス転移温度以上に加熱することにより合一する合一工程を含む
    請求項1に記載のコア/シェル構造を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
  4. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
    前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する工程と、
    前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と
    を含む画像形成方法であって、
    前記トナーとして請求項1に記載の静電荷像現像用トナー、又は、前記現像剤として請求項3に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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