JP2010191043A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性及び耐熱保存性に優れたトナーであって、転写率、クリーニング性能を向上させるトナーを提供する。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、前記着色剤はカーボンブラックからなり、前記トナーはコアとシェルとから形成されたコアシェル構造を有し、前記コアの形成には、酸価が15〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられ、前記シェルの形成には、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられている。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナー及びトナーの製造方法に関する。
電子写真方式において用いられるトナーの製造方法は、90年代までは粉砕法が主流であった。粉砕法は、結着樹脂と着色剤、その他離型剤等の内部添加剤を混練し、気流式粉砕機によって粉砕後、微粉を分級して粒度分布を整える方法である。
その後、カラー印刷が普及するとともに小径のトナーのニーズが高まり、粉砕法に代わって、水系媒体中でトナー粒子を形成する方法が普及した。いわゆるケミカルトナーである。粉砕法はトナーを小径化するほど粉砕に使用される電力と工程時間が増大する問題があった。これに対し、ケミカルトナーの場合には水系媒体中での懸濁、乳化によりトナー粒子を形成するため、小径のトナーの製造においてエネルギーコストと工程時間の点で有利であった。
ケミカルトナーの製造方法は、概ね2種に大別される。1つは、モノマーを出発原料として水系媒体中で結着樹脂を重合する工程を含む製造方法である。もう1つは、反応釜で予め製造しておいた結着樹脂を水系媒体中で懸濁又は乳化し、トナー粒子へと加工する製造方法である。前者の製造方法ではスチレンアクリル樹脂が主に用いられ、後者の方法ではポリエステル樹脂が主に用いられている。
ケミカルトナーの場合、コアシェル構造のような擬似カプセル化したトナー粒子を形成することができるため、低温定着を図るうえでもメリットが大きい。一般に球形は転写性に優れ、不定形はクリーニング性に優れるが、ケミカルトナーはトナー粒子の形状の制御も容易であることから、両者を実現可能な範囲に形状を制御することができる。
そのため、今後もケミカルトナーの生産量、シェアの拡大が見込まれる。
しかし、ケミカルトナーは設計、生産のパラメータが多く、それぞれのパラメータをトナーの品種毎に最適化し、安定して生産するには高い技術力が要求される。代表的な課題としては、着色剤等の内部添加剤の微分散を図ることが挙げられる。また、コアシェル構造を形成する際にシェルによる被覆ムラ、厚みムラが生じないように完全被覆し、耐熱保存性を維持した状態でさらなる低温定着化を図ることが挙げられる。
結着樹脂としては前述のように、スチレンアクリル系と、変性ポリエステルを含めたポリエステル系に大別される。ポリエステル樹脂は、モノマーの選択幅が比較的広く、ポリマー主鎖の設計の自由度が高い。特に、ポリマーの常温でのミクロブラウン運動を抑制しながら、耐熱保管性を確保し、加熱定着時の溶融特性を制御できる点で有利である。
しかし、ポリエステル樹脂を水系媒体中で製造するには、ポリマー主鎖の剛直性が大きく、側鎖の置換基によって極性を制御することが難しいため、カルボキシル基に代表される解離性基が樹脂粒子の表面、つまり水系媒体との界面に配向しにくいという問題があった。この問題に対し、コアシェル構造の制御と内部添加剤の分散性の制御について改良を施した技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2008−165005号公報 特開2008−170569号公報
しかしながら、前述のように解離性基が樹脂粒子と水系媒体との界面に配向にしくいという性質から、コアシェル構造を制御する技術は未だ十分なものではなかった。例えば、シェル用樹脂粒子がコア粒子に付着せずに独自の凝集体を形成するという問題があった。また、コア粒子を完全に被覆できない、若しくは完全に被覆するために過剰のシェル用樹脂が必要になり、トナーの着色力を低下させるという問題があった。
ポリエステル樹脂はメタクリル酸等の解離性基を導入したスチレンアクリル樹脂と比べて、樹脂粒子の分散安定性が低い。スチレンアクリル樹脂と酸価が同じでも凝集の再現性が低い傾向がある。そのため、ポリエステル樹脂の粒子径の制御は難しく、コアシェル構造が完全とならずに、コアが一部露出して耐熱保存性を低下させるという問題があった。
加えて、黒色のトナーにおいては、着色剤として従来カーボンブラックが使用されてきたが、電気伝導度が高いカーボンブラックは均一に分散しないと帯電性が不十分となり、転写率が低下する。転写率の低下により、クリーニング不良やクリーニング部材の消耗が大きいといった問題があった。
本発明の課題は、低温定着性及び耐熱保存性に優れたトナーであって、転写率、クリーニング性能を向上させるトナーを提供することである。
請求項1に記載の発明によれば、
少なくとも樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、
前記着色剤はカーボンブラックからなり、
前記トナーはコアとシェルとから形成されたコアシェル構造を有し、
前記コアの形成には、酸価が15〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられ、
前記シェルの形成には、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられているトナーが提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が15〜40mgKOH/gであるポリエステル樹脂粒子と、カーボンブラック粒子とを会合し、コアを形成する工程と、
体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂粒子により前記コアを被覆し、シェルを形成する工程と、
を含むトナーの製造方法が提供される。
本発明によれば、コアに用いるポリエステル樹脂の酸価を15〜40mgKOH/gと高めに設計することにより、着色剤であるカーボンブラックをトナー粒子中に均一に分散させることができる。これにより、トナーの転写性が向上し、転写後の残トナーが減少するため、トナー消費量を低減することができる。また、クリーニング性も良好となり、クリーニング部材の消耗を抑えて寿命を延長させることができる。
さらに、シェルの形成に、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂を用いることにより、シェルがコア粒子を薄く均一に完全被覆するため、耐熱保存性が向上し、帯電量分布もシャープとなる。
以下、本発明のトナー及びトナーの製造方法について説明する。
《トナー》
本発明のトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含み、前記着色剤はカーボンブラックからなり、前記トナーはコアとシェルとから形成されたコアシェル構造を有し、前記コアの形成には、酸価が15〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられ、前記シェルの形成には、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられている。
〈樹脂〉
コア又はシェルに用いるポリエステル樹脂のモノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、公知の2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸成分とが用いられる。コア又はシェルに用いるポリエステル樹脂は、例えば非結晶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
アルコール成分としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂は、モノマーである上記アルコール成分と後述のカルボン酸成分との縮重合反応により得られるが、本発明においては、定着性、保存性、乳化性、耐加水分解性の観点から、全モノマー成分中、3価以上の多価アルコールを1〜15モル%含むことが好ましい。
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸;ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエステル樹脂は、例えばアルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて120〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。縮重合の際、必要に応じて公知のエステル化触媒を用いてもよい。
上記ポリエステル樹脂は、結着樹脂として2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明においては、ポリエステル樹脂粒子の凝集性を制御する観点から、酸基を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。特に、分子鎖側鎖に酸基を有するポリエステル樹脂が好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられるが、コアシェル構造を制御する観点から、特にカルボキシル基及びスルホン酸基が好ましい。
コアに用いるポリエステル樹脂の酸価は15〜40mgKOH/gであり、シェルに用いるポリエステル樹脂の酸価は40〜70mgKOH/gである。好ましくは、コアに用いるポリエステル樹脂の酸価は15〜35mgKOH/gであり、シェルに用いるポリエステル樹脂の酸価は45〜65mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂は、メタクリル酸等の解離性基を導入したスチレンアクリル樹脂に比較して、水系媒体中における樹脂粒子の分散安定性が低いため、スチレンアクリル樹脂と酸価が同じでも凝集が急激に進行するとともに、凝集時間の再現性が低い傾向がある。本発明者らは、ポリエステル樹脂の酸価を上記特定の範囲に制御することで、ポリエステル樹脂の凝集速度を緩やかにし、着色剤として用いられるカーボンブラックの凝集速度とのバランスを最適化すれば、コア粒子中でのカーボンブラックの分散状態が均一になると考えた。その結果、着色剤として用いられるカーボンブラックの分散状態が均一になり、弱帯電トナーの発生が抑制されるとともに、トナーの転写率が向上し、ひいてはトナー消費量の低減、クリーニング性の向上に寄与したと推察される。
また、本発明者らはポリエステル樹脂の酸価を上記特定の範囲にすることにより、ポリエステル樹脂粒子の凝集粒子径を安定的に制御し、さらにはコアシェル構造を安定的に制御できることを見出した。その結果、コアが一部露出する等、コアシェル構造が不完全となる問題が解消し、耐熱保存性が向上したと推察される。この凝集制御に関するメカニズムは明らかではないが、コア粒子とシェル用樹脂粒子の間に凝集力が作用するとともに、極性の高いシェル用樹脂粒子が水系媒体とコア粒子の中間にあって自由エネルギー的に安定な層を形成するために、均一な厚さをもってコア粒子を完全被覆できるコアシェル構造が実現したと推察される。
コアに用いるポリエステル樹脂の酸価は、3価以上の多価カルボン酸の共重合比で調整できる。例えば、3価以上の多価カルボン酸としてトリメリット酸を用いる場合、トリメリット酸を全酸成分のモノマー中の5.0〜18.0質量%含むことが好ましい。
コアにスルホン酸基を持つモノマーを用いてもよい。その場合、スルホン酸基を持つモノマーを、全酸成分及びアルコール成分のモノマー中、0.1〜2.0質量%含むことが好ましく、0.16〜0.27質量%含むことがさらに好ましい。
一方、シェルに用いるポリエステル樹脂の酸価は、スルホン酸基を持つモノマーを、全酸成分及びアルコール成分のモノマー中、50〜76質量%含むことが好ましい。
また、シェルに3価以上の多価カルボン酸モノマーを用いてもよい。3価以上の多価カルボン酸モノマーとして、例えばトリメリット酸を用いる場合、全カルボン酸モノマー中、48〜80質量%含むことが好ましい。コア、シェルとも、多価カルボン酸モノマー、スルホン酸基を持つモノマーを併用してもよい。
また、コア、シェルに用いるポリエステル樹脂は、それぞれ体積基準のメディアン径が60〜520nmである。
〈着色剤〉
着色剤はカーボンブラックからなる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用可能である。中でも、製造安定性に優れるDBP(ジブチルフタレート)給油量が50〜300ml/g、数平均一次粒子径が100nm以下のカーボンブラックが好ましい。上記範囲の給油量、数平均一次粒子径とすることにより、カーボンブラック粒子をトナー粒子のコア中に良好に分散させることができる。
カーボンブラック粒子の分散液は、機械的エネルギーによって水系媒体中に着剤粒子を分散させて調製することができる。機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた攪拌装置であるクレアミックス(エム・テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザー等が挙げられる。
このように調製される分散液中のカーボンブラック粒子は、その体積基準のメディアン径が10〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜35nmである。
カーボンブラックの体積基準のメディアン径を制御する方法としては、例えば上述の機械的エネルギーの大きさを調整する方法が挙げられる。
〈離型剤〉
本発明で使用される離型剤は特に限定されるものではなく、公知の離型剤を使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、クエン酸トリベヘネート等の合成エステルワックス、が挙げられる。また、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックスの他、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスが挙げられる。これらの変性物であってもよい。
〈その他〉
本発明に係るトナーは、必要に応じて荷電制御剤、外添剤を用いてもよい。
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体等が挙げられる。含有される金属としては、Al、B、Ti、Fe、Co、Ni等である。荷電制御剤として好ましいのはベンジル酸誘導体の金属錯体化合物である。
外添剤としては、公知の疎水シリカ、疎水性金属酸化物の他、酸化セリウム粒子或いは炭素数20〜50の高級アルコール粒子を添加することが耐フィルミング性の観点から特に好ましい。酸化セリウム粒子を添加する場合、耐フィルミング性を高める観点から個数平均粒径が150〜800nmのものを用いることが好ましく、250〜700nmのものを用いることがより好ましい。また、酸化セリウム粒子の添加量は、トナー全体に対して0.5〜3.5質量%とすることが好ましく、この範囲とすることにより、良好なクリーニング性が維持されて耐フィルミング性の効果を安定して得ることができる。また、添加量が過剰なケースでは、加熱定着時に溶融したトナー粒子の接着力が抑制されて定着強度が低下するが、上記範囲とすることによりこのような定着強度低下の問題も生じない。
炭素数20〜50の高級アルコール粒子を添加する場合、異なる炭素数のアルコール粒子が多少混合していてもよいが、アルコール粒子の炭素数分布のピークが20〜45の範囲内にあることが好ましい。また、高級アルコール粒子は直鎖成分が75〜98%の範囲内にあることが好ましい。高級アルコール粒子の個数基準のメディアン径は、耐フィルミング性の観点から、200nm以上800nm以下が好ましい。
《トナーの製造方法》
本発明に係るトナーの製造方法は、体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が15〜40mgKOH/gであるポリエステル樹脂粒子と、カーボンブラック粒子とを会合し、コアを形成する工程と、体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂粒子により前記コアを被覆し、シェルを形成する工程と、を含む。
本発明のトナーの製造方法の一例を説明する。
(1)単核コアシェル構造を有するトナーの製造方法
コアシェル構造とは、樹脂や着色剤等からなるコアをシェル用の樹脂によって被覆した(これをシェル化という)構造をいうが、単核コアシェル構造は1つのトナー粒子に1つのシェル化されたコアが含まれる構造をいう。
水系媒体中にコアに用いるコア用樹脂粒子として、酸価が15〜40mgKOH/g、体積基準のメディアン径が60〜520nmのポリエステル樹脂粒子の分散液を添加し、当該ポリエステル樹脂粒子を凝集させ、会合させる。このとき、ポリエステル樹脂粒子が着色剤であるカーボンブラック粒子を既に含んでいてもよいが、水系媒体中においてポリエステル樹脂粒子とカーボンブラック粒子とを凝集させることが、設備設計上好ましい。コア用樹脂粒子は50%未満の有機溶剤を含有していてもよい。
凝集により形成されたコア粒子の粒子径が、所望のトナー粒子径の80%以上におおむね達したところで、シェルに用いるシェル用樹脂粒子として、酸価が40〜70mgKOH/g、体積基準のメディアン径が60〜520nmのポリエステル樹脂粒子の分散液を添加し、トナー粒子を形成する。トナー粒子の体積基準のメディアン径は4.0〜8.0μmであることが好ましい。
シェル形成時、シェル用樹脂粒子を塩析によってコア粒子に付着させ、熱エネルギーによって融着させてシェルを形成することが好ましい。塩析剤は、シェル用樹脂の投入後に添加してもよいが、シェル用樹脂を投入する前に水系媒体中に存在させることが、シェルがコアを均一に被覆する観点から好ましい。塩析剤としては、リチウム、カリウム、ナトリウムの一価の金属塩が挙げられ、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの二価の金属塩が挙げられる。
また、コアを被覆するシェル層の厚みを均一にし、かつ十分な強度でコアを被覆させるという観点から、コア粒子の円形度が0.940〜0.990の範囲内にあるときにシェル用樹脂を添加することが好ましい。シェル用樹脂の投入量は、トナー粒子に対して5〜40質量%であり、好ましくは10〜25質量%である。
トナー粒子の分散液は、冷却後、個液分離してトナーケーキ(ウェット状態でケーキ状に整形したもの)を得る。次いで、トナーケーキから界面活性剤や塩析剤等の付着物を除去する洗浄処理と濾過処理を繰り返し行う。濾過処理としては遠心分離法、ヌッチェを用いる減圧濾過法、フィルタープレスを用いる濾過法等が挙げられるが、特に限定されない。
洗浄及び濾過後、乾燥処理を行う。乾燥処理に用いられる乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機を挙げることができる。
外添剤を添加する場合には、さらに外添処理を行う。外添処理は、例えばV型ブレンダやヘンシェルミキサ、レディゲミキサのような公知の混合装置を用いて行うことができ、段階的に外添剤をトナー粒子表面に付着させることができる。
(2)多核コアシェル構造を有するトナーの製造方法
多核コアシェル構造とは、1つのトナー粒子に複数のコアが含まれる構造をいう。多核コアシェル構造は、トナーの粒子径(体積基準のメディアン径)よりも小さいコアをシェル化したサブユニットが凝集して形成される。
多核コアシェル構造を有するトナーを製造する場合も、上述した単核コアシェル構造の場合と同様にコアのシェル化を行う。すなわち、コア用樹脂粒子として、酸価が15〜40mgKOH/g、体積基準のメディアン径が60〜520nmのポリエステル樹脂粒子の分散液を添加し、当該ポリエステル樹脂粒子と必要に応じてカーボンブラック粒子を凝集させる。凝集により形成されたコア粒子の体積基準のメディアン径は、1.0〜4.0μmで有り、好ましくは1.0〜2.5μmである。次に、シェル用樹脂粒子である、酸価が40〜70mgKOH/g、体積基準のメディアン径が60〜520nmのポリエステル樹脂粒子の分散液を添加し、コア粒子をシェル化する。その後、シェル化されたコア粒子を凝集させ、トナー粒子を形成する。その後、洗浄処理、濾過処理、乾燥処理、必要に応じて外添処理を行う。
〈現像剤の作製〉
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、何れも好適に使用することができる。
本発明のトナーにおいては、キャリアと混合する二成分現像剤として使用する場合は、キャリアに対するトナーフィルミング(キャリア汚染)の発生を抑制することができ、一成分現像剤として使用する場合は、現像装置の摩擦帯電部材に対するトナーフィルミングの発生を抑制することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等を使用することができる。
〈画像形成方法〉
以上のトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電、顕在化させてトナー画像を得る。トナー画像を用紙に転写し、その後、用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式の定着処理によって用紙に定着させることにより、可視画像が得られる。
〈定着方法〉
本発明のトナーを使用する好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式のものを挙げることができる。接触加熱方式としては、特に熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
熱ロール定着方式の定着方法においては、通常、表面にフッ素樹脂等が被覆された鉄やアルミニウム等よりなる金属シリンダー内部に熱源が備えられた上ローラと、シリコーンゴム等で形成された下ローラとから構成された定着装置が用いられる。
熱源としては、線状のヒータが用いられ、ヒータによって上ローラの表面温度が120〜200℃程度に加熱される。上ローラ及び下ローラ間には圧力が加えられており、この圧力によって下ローラが変形されることにより、変形部にいわゆるニップが形成される。ニップの幅は1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmとされる。定着線速は40mm/sec〜600mm/secとされることが好ましい。ニップの幅が過小である場合には、熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着ムラが発生する場合がある。一方、ニップ幅が過大である場合には、トナー粒子に含有されるポリエステル樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが発生する場合がある。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例に係るトナー1〜14と、比較例に係る比較用トナー1〜9を作製した。作製した各トナーを用いて現像剤を調製し、当該現像剤を用いて評価実験を行った。
1.分散液の調製
(1)非結晶性ポリエステル樹脂A1の分散液の調製
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ、精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに、下記多価カルボン酸モノマー及び下記多価アルコールモノマーを合計3質量部仕込む。1時間かけて反応系を190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、多価カルボン酸モノマーの全量に対し0.003質量%の触媒Ti(OBu)を投入した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 12.50質量部
フマル酸: 13.90質量部
イソフタル酸: 0.55質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.27質量部
トリメリット酸: 5.20質量部
(多価アルコールモノマー)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物:76質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
:24質量部
生成する水を留去しながら同温度から6時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、非結晶ポリエステル樹脂A1を得た。得られた非結晶性ポリエステル樹脂A1の酸価は15.4mgKOH/gであった。
次いで、得られた非結晶性ポリエステル樹脂A1を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100質量部の速度で移送した。一方、試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を調製し、別途準備した水性媒体タンクに投入した。この希アンモニア水を熱交換器で160℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記溶融状態の非結晶性ポリエステル樹脂A1と同時にキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンCD1010を運転し、体積基準のメディアン径が260nm、固形分量が30質量部の非結晶性ポリエステル樹脂A1の分散液を得た。
なお、体積基準のメディアン径(D50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて動的光散乱法で測定して求めた値である。50mlのメスシリンダーに測定対象のポリエステル樹脂粒子の分散液を数滴滴下し、純水を25ml加えた。この揺曳器を超音波洗浄機US−1(as one社製)を用いて3分間分散させ、測定用試料を作製する。作製した測定用試料3mlをマイクロトラックUPA−150のセル内に投入し、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認した。そして、下記条件(i)、(ii)により測定を行った。
(i)測定条件
Transparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Dencity(粒子比重):1.05gm/cm3
Spherical Particles(球形粒子):Yes
(ii)溶媒条件
Refractive Index(屈折率):Yes
Viscosity(粘度):High(temp)0.797x10-3Pa・S
Low(temp)1.002x10-3Pa・S
(2)非結晶性ポリエステル樹脂A2の分散液の調製
上記非結晶性ポリエステル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂A2の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 12.17質量部
フマル酸: 13.49質量部
イソフタル酸: 0.53質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.26質量部
トリメリット酸: 6.45質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂A2の酸価は18.1mgKOH/gであった。また、分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂A2粒子の体積基準のメディアン径は252nmであった。
(3)非結晶性ポリエステル樹脂A3の分散液の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂A3の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 11.88質量部
フマル酸: 13.17質量部
イソフタル酸: 0.52質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.26質量部
トリメリット酸: 7.41質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂A3の酸価は20.1mgKOH/gであった。また、分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂A3粒子の体積基準のメディアン径は248nmであった。
(4)非結晶性ポリエステル樹脂A4の分散液の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂A4の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 11.59質量部
フマル酸: 12.85質量部
イソフタル酸: 0.50質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.25質量部
トリメリット酸: 8.38質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂A4の酸価は22.0mgKOH/gであった。また、分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂A4粒子の体積基準のメディアン径は245nmであった。
(5)非結晶性ポリエステル樹脂A5の分散液の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂A5の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 10.71質量部
フマル酸: 11.88質量部
イソフタル酸: 0.47質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.23質量部
トリメリット酸: 11.31質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂A5の酸価は28.0mgKOH/gであった。また、分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂A5粒子の体積基準のメディアン径は240nmであった。
(6)非結晶性ポリエステル樹脂A6の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂A6の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 9.22質量部
フマル酸: 10.22質量部
イソフタル酸: 0.40質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.20質量部
トリメリット酸: 16.31質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂A6の酸価は38.0mgKOH/gであった。また、分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂A6粒子の体積基準のメディアン径は232nmであった。
(7)非結晶性ポリエステル樹脂B1の調製
上記非結晶性ポリエステル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂B1の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 8.76質量部
フマル酸: 9.72質量部
イソフタル酸: 0.38質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.19質量部
トリメリット酸: 17.84質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂B1の酸価は41.0mgKOH/gであった。分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂B1粒子の体積基準のメディアン径は221nmであった。
(8)非結晶性ポリエステル樹脂B2の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂B2の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 6.58質量部
フマル酸: 7.30質量部
イソフタル酸: 0.29質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.14質量部
トリメリット酸: 25.13質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂B2の酸価は55.0mgKOH/gであった。分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂B2粒子の体積基準のメディアン径は220nmであった。
(9)非結晶性ポリエステル樹脂B3の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂B3の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 4.65質量部
フマル酸: 5.15質量部
イソフタル酸: 0.20質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.10質量部
トリメリット酸: 25.13質量部
得られた非結晶性ポリエステル樹脂B3の酸価は67.0mgKOH/gであった。分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂B3粒子の体積基準のメディアン径は220nmであった。
(10)比較用非結晶性ポリエステル樹脂b1の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、比較用非結晶性ポリエステル樹脂b1の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 3.22質量部
フマル酸: 3.68質量部
イソフタル酸: 0.14質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.07質量部
トリメリット酸: 36.07質量部
得られた比較用非結晶性ポリエステル樹脂b1の酸価は75.0mgKOH/gであった。分散液中の比較用非結晶性ポリエステル樹脂b1粒子の体積基準のメディアン径は221nmであった。
(11)比較用非結晶性ポリエステル樹脂a1の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、比較用非結晶性ポリエステル樹脂a1の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 13.30質量部
フマル酸: 14.75質量部
イソフタル酸: 0.58質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.29質量部
トリメリット酸: 2.65質量部
得られた比較用非結晶性ポリエステル樹脂a1の酸価は10.0mgKOH/gであった。分散液中の比較用非結晶性ポリエステル樹脂a1粒子の体積基準のメディアン径は282nmであった。
(12)比較用結晶性ポリエステル樹脂a2の調製
上記非結晶性ポリエステテル樹脂A1の分散液の調製において、多価カルボン酸モノマーを下記モノマーに変更した以外は同様の手順により、比較用非結晶性ポリエステル樹脂a2の分散液を調製した。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸: 12.64質量部
フマル酸: 14.01質量部
イソフタル酸: 0.55質量部
5−スルホイソフタル酸: 0.27質量部
トリメリット酸: 4.87質量部
得られた比較用非結晶性ポリエステル樹脂a2の酸価は14.7mgKOH/gであった。分散液中の比較用非結晶性ポリエステル樹脂a2粒子の体積基準のメディアン径は282nmであった。
(13)着色剤分散液の調製
カーボンブラック(リーガル330R;キャボット社製)を固形分濃度12.5質量%となるようにイオン交換水中に分散させ、水系分散液を得た。これを着色剤分散液とした。
(14)離型剤分散液の調製
下記成分を混合した溶液を95℃に加熱して、ウルトラタラックスT50(IKA社製)により十分に分散させた。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーにより分散処理し、体積平均径240nm、固形分量20質量%の離型剤分散液を得た。
クエン酸トリベヘネートワックス(融点83.2℃): 60質量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK;第一工業製薬社製):5質量部
イオン交換水: 240質量部
2.トナーの作製
(1)実施例に係るトナー1の作製
非結晶性ポリエステル樹脂A1:1700質量部(固形分換算)
イオン交換水: 2100質量部
着色剤分散液: 250質量部
離型剤分散液:500質量部
温度計、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置が設けられたセパラブルフラスコに、上記成分を投入した。非結晶性ポリエステル樹脂A1はコア用ポリエステル樹脂として用いた。系内の温度を30℃に保った状態で水酸化ナトリウム水溶液(25質量%)を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物54.3質量部をイオン交換水104.3質量部に溶解させた水溶液を添加し、その後、系内の温度を60℃に昇温させて、コア用ポリエステル樹脂粒子と着色剤粒子との凝集反応を開始した。凝集反応開始後、定期的にサンプリングを行って、粒度分布測定装置コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)を用いて、凝集により形成されたコア粒子の体積基準におけるメディアン径が5.8μmに達したところで、シェル用ポリエステル樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂B1を96質量部(固形換算分)添加した。
さらに、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加し、シェル用ポリエステル樹脂粒子によってコア粒子が被覆されたトナー粒子を形成した。トナー粒子の体積基準におけるメディアン径が5.8μmに達するまで攪拌を継続した。さらに、温度を60℃に維持し、1時間攪拌を継続した後、エチレンジアミン四酢酸を20.1質量部添加した。この時点で、トナー粒子の円形度を測定したところ、0.951であった。
なお、円形度は下記式により定義される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
具体的には、界面活性剤を含有する水溶液にトナーを添加し、超音波分散を1分行った後、FPIA−2100(Sysmex社製)等の測定装置を用いてHPF(高倍率撮像)モードによってHPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある同一測定値が得られる。
温度を65℃に昇温し、4時間攪拌を継続して、トナー粒子の円形度が0.976に達したところで、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、反応を完結させた。
次いで、生成したトナー粒子の分散液を、バスケット型遠心分離器MARK III型(型式番号60×40;松本機械製作社製)により固液分離して、トナーのウェットケーキを形成した。以後、ろ液の電気伝導度の値が15μS/cm以下になるまでトナーの洗浄と固液分離を繰り返した。
次いで、ウェットケーキを気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理した。乾燥処理では、40℃、20%RHの気流を吹き付けた。乾燥したトナーを24℃に放冷し、トナー100質量部に対し、疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩いを通過させ、トナー1を得た。
(2)実施例に係るトナー2〜14、比較例に係る比較用トナー1〜9の作製
上記トナー1の作製において、コア用ポリエステル樹脂、シェル用ポリエステル樹脂を、表1に示すように変更した以外は同様の手順により、実施例に係るトナー2〜14、比較例に係る比較用トナー1〜9を作製した。
Figure 2010191043
(3)二成分現像剤の調製
フェライト粒子(体積基準のメディアン径50μm;パウダーテック社製)100質量部と、メタクリレート樹脂(一次粒子の体積基準のメディアン径85nm)2質量部とを、水平攪拌羽根式高速攪拌装置に入れ、攪拌羽根の周速が8m/sとなる条件で、水冷により混合槽内を35℃に制御し15分間混合した。その後、110℃まで昇温し、攪拌を2時間継続した。攪拌後、冷却し、105μmの篩を用いて分粒し、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。このフェライトキャリアを、作製した実施例に係るトナー1〜14、比較例に係る比較用トナー1〜9のそれぞれと混合し、各トナーについてトナー濃度が7質量%である二成分系の静電荷像現像剤を調製した。
3.評価実験
市販のデジタル複写機bizhub 920(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に評価対象の各トナーの現像剤を搭載して印刷テストを行い、下記の評価項目について評価した。なお、上記デジタル複写機bizhub 920は、現像剤のカートリッジを交換して使用できるトナーリサイクル方式の機種である。
(1)低温定着性
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下で、シームレスベルトの表面温度を80〜150℃まで5℃刻みで変更し、トナー画像の定着処理を行った。転写紙は秤量350g紙を用いた。定着処理されたトナー画像の定着強度を、下記メンディングテープ剥離法により測定し、定着強度が90%以上得られたときのシームレスベルトの表面温度を定着可能温度として求めた。そして、定着可能温度が110℃未満の場合を合格と評価した。
〈メンディングテープ剥離法〉
i)トナー画像(画像濃度1.0)の絶対反射濃度D0を測定する。
ii)メンディングテープ(No.810-3-12;住友3M社製)を、トナー画像に軽く貼り付ける。
iii)貼り付けたメンディングテープの上を1kPaの圧力で擦りつける。これを3.5往復行う。
iv)180℃の角度で、200gの力によりメンディングテープを剥がす。
v)メンディングテープを剥離した後のトナー画像の絶対反射濃度D1を測定する。
vi)下記式により定着強度を算出する。
定着強度(%)=D1/D0×100
なお、絶対反射濃度の測定には、反射濃度計RD−918(マクベス社製)を用いた。
(2)耐熱保管性
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り、蓋を閉めた。このガラス瓶をタップデンサーKYT−2000(セイシン企業社製)により室温にて600回振とうした後、蓋を取って55℃、35%RHの環境下に置き、2時間放置した。次いで、トナーの凝集物が解砕しないように注意しながら、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に載せてパウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットした。パウダーテスターの押さエバー、ノブナットで篩を固定し、送り幅1mmの振動強度に調整して、10秒間振動を加えた。その後、篩上に残存しているトナー量の比率(%)を、トナーの凝集率として求めた。トナーの凝集率は下記式で示される。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
求められたトナーの凝集率から下記の評価基準によりトナーの耐熱保管性を評価した。
トナーの耐熱保管性が極めて良好 :トナー凝集率が15質量%未満
トナーの耐熱保管性が良好 :トナー凝集率が20質量%以下
トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可:トナー凝集率が20%を超える。
(3)トナー消費量
各トナーの現像剤を用いて、画素率6%の単色の画像を、A4サイズで2000枚分印刷した。このとき消費されたトナー量から1枚あたりの印刷によって消費されるトナー量を算出した。1枚あたりのトナー消費量が16mg/枚未満となる場合を合格レベルと評価した。
(4)クリーニング部材の寿命
クリーニング部からトナーがすり抜け始めたか、若しくは白地部分を汚染し始めた枚数、又はトナーが感光体にフィルミングして中間調の画像部分にムラを形成し始めた枚数を求めた。求めた枚数が50万枚以上となる場合を合格レベルと評価した。
4.評価結果
評価実験による結果を下記表2に示す。
Figure 2010191043
表2に示すように、実施例に係るトナー1〜14は90〜105℃と低温定着を実現しており、耐熱保管性が約10%以下と、比較例に係る比較用トナー1〜9に比して耐熱保管性に非常に優れていることが分かる。また、比較例に係る比較用トナー1〜9はトナー消費量が20mg/枚以上と大きい値が含まれているのに対し、実施例に係るトナー1〜14はトナー消費量も15mg/枚付近のものが多く、全て合格レベルに達している。また、クリーニング部材の寿命も比較用トナー1〜9は50万枚以下と短いものが多い。これに対し、実施例に係るトナー1〜14は全て合格レベルである50万枚以上であり、100万枚以上と2倍近く寿命が延びているトナーもある。

Claims (2)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、
    前記着色剤はカーボンブラックからなり、
    前記トナーはコアとシェルとから形成されたコアシェル構造を有し、
    前記コアの形成には、酸価が15〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられ、
    前記シェルの形成には、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂が用いられているトナー。
  2. 体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が15〜40mgKOH/gであるポリエステル樹脂粒子と、カーボンブラック粒子とを会合し、コアを形成する工程と、
    体積基準のメディアン径が60〜520nmであり、酸価が40〜70mgKOH/gのポリエステル樹脂粒子により前記コアを被覆し、シェルを形成する工程と、
    を含むトナーの製造方法。
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