JP2006276063A - 静電荷像現像用トナー、その製造方法、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような均一性の高い樹脂を得るためには、特殊な製法を用いたり、樹脂をクロマトグラフィー等で処理をすることにより樹脂の分子量を整える必要が生じてしまう。この場合、均一性の高い樹脂を作製するためのコストが高くならざるをえず、また均一性の高い樹脂の作製に際して不要な樹脂(廃棄物)が生じ、近年の環境保護の観点からも好ましくない。
しかし、結晶性樹脂を用いた懸濁重合法では、トナー中に均一に着色剤を分散させることが難しいと言う不具合がある。
したがって、低温定着性に加えて十分な帯電性、ドキュメント保存性やトナー保存性等の優れた保存性を有するトナーが求められている。さらに加えて、その他の諸特性も高いレベルで両立させることができるトナーが求められている。
<1>
非晶性ポリエステル樹脂と、着色剤とを含む静電荷像現像用トナーにおいて、
前記非晶性ポリエステル樹脂100重量部対して、下記一般式(1)で示されるエステル化合物が2重量部〜20重量部含まれることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
前記エステル化合物が、R1、R2、及びR3が同一の置換若しくは未置換のアシル基からなるトリエステル化合物を含み、且つ、
前記エステル化合物中の前記トリエステル化合物の割合が90%以上であることを特徴とする<1>に記載の静電荷像現像用トナーである。
前記エステル化合物が、硬化ひまし油であることを特徴とする<1>または<2>に記載の静電荷像現像用トナーである。
離型剤を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーであって、
前記離型剤が、カルナバワックス、モンタンワックス、ライスワックス、合成エステルワックスから選択されるいずれか1種以上であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記離型剤が2〜30重量部含有されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
損失正接(tanδ)が、0.050〜0.100の範囲内であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーである。
少なくとも前記非晶性ポリエステル樹脂、前記着色剤および前記エステル化合物を、各々水系媒体中に分散させて、樹脂粒子分散液、着色剤分散液およびエステル化合物分散液を調整する乳化工程と、
前記樹脂粒子分散液と前記着色剤分散液と前記エステル化合物分散液とを含む原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集工程と、
前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを少なくとも経て、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを作製することを特徴とする静電荷像現像用トナー製造方法である。
<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤である。
潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
前記トナーが、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法である。
前記転写工程が、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を前記記録媒体に転写する二次転写工程とからなることを特徴とする<8>に記載の画像形成方法である。
前記中間転写体の、表面抵抗率が109Ω/cm2〜1013Ω/cm2の範囲内であり、体積抵抗率が107Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲内であり、且つ、
前記トナーが、<5>に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする<9>に記載の画像形成方法である。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、非晶性ポリエステル樹脂と、着色剤とを含む静電荷像現像用トナーにおいて、前記非晶性ポリエステル樹脂100重量部対して、下記一般式(1)で示されるエステル化合物が2重量部〜20重量部含まれることを特徴とする。
すなわち、第1に、本発明に用いられるエステル化合物は、トナーに用いられるビニル系樹脂等の結着樹脂に対して、一般的には相溶性を有しないものの、非晶性ポリエステル樹脂に対しては相溶性に優れ可塑剤として作用する効果を有するためであると考えられる。このため、本来、低温定着に適していない非晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーであっても、低温定着が可能となる。
加えて、第2に、本発明においては、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を用い、結晶性樹脂は必ずしも用いる必要はない。それゆえ、結晶性樹脂を用いたトナーで発生し易かった帯電特性の劣化も防止することができる。
さらに、第3に、非晶性ポリエステル樹脂自体は、トナーに用いられる一般的な結晶性樹脂と比べて耐熱性に優れるため、高温環境下でのトナーの保存性やドキュメント保存性に優れる。
2重量部未満である場合、エステル化合物の非晶性ポリエステル樹脂に対する可塑化効果が十分ではなく、低温定着が不可能となる。なお、低温定着性を確保する観点からは、トナー中に含まれる非晶性ポリエステル樹脂100重量部に対するエステル化合物の含有量は、3重量部以上であることが好ましく、4重量部以上であることがより好ましい。
一方、含有量が多過ぎる場合には、トナーのガラス転移点を過度に低下させてしまうため、トナーブロッキング等の保存安定性や、画像が形成された印刷物のドキュメント保存性が不充分となる。このため、含有量は20重量部以下であることが必要であり、15重量部以下であることが好ましい。
本発明には、既述したように一般式(1)で示されるエステル化合物が用いられる。ここで、非晶性ポリエステル樹脂に対する相溶性を発揮して、可塑剤としての機能するためには、R1、R2、及びR3の少なくとも1つが、置換又は未置換の炭素数が10〜28のアシル基であることが必要である。なお、アシル基の炭素数は12〜28であることがより好ましく、12〜24であることが更に好ましい。
一方、R1、R2、及びR3を構成するいずれのアシル基の炭素数も10〜28の範囲外であり、且つ、少なくともいずれか1つのアシル基の炭素数が28を超える場合、エステル化合物のトナーへの内包性が著しく低下するため、可塑剤としての作用が不充分となる。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂に対する相溶性を向上させ、可塑剤としての作用がより高められることから、R1、R2、及びR3のいずれもが、アシル基であることがより好ましく、R1、R2、及びR3がアシル基である場合には、これら3つのアシル基の構造は同一であることが更に好ましい。
また、エステル化合物中に含まれるトリエステル化合物(すなわち、R1、R2、及びR3のいずれもがアシル基からなるエステル化合物)の割合が90%以上であることが好ましい。トリエステル化合物は、ジエステル化合物やモノエステル化合物に比べて、非晶性ポリエステル樹脂への相溶性が大きい為、トナーの可塑化を一層効果的にするため、低温定着性がより高まる。
これに対して、エステル化合物と非晶性ポリエステル樹脂とを組合わせて作製される本発明のトナーは、その表面の平滑性を向上させることができる。それゆえ、中間転写体を用いた画像形成に際しても、高い転写効率を得ることができる。
なお、本発明に用いられるエステル化合物としては、硬化ひまし油が特に好ましい。硬化ひまし油は、トリエステル化合物である上に、3つのアシル基の構造が同一で、且つ、アシル基が水酸基を有するため、非晶性ポリエステル樹脂との相溶性に極めて優れ、より可塑化効果が期待できるためである。
本発明のトナーに必ず用いられる非晶性ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、非晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
また、合成に用いられる多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の種類や組合わせ、合成条件は、得られるポリエステル樹脂が非晶性となるように適宜選択される。
また、結着樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、樹脂粒子を作製し、これを利用して本発明のトナーを作製する場合に、スルホン酸基を有するジカルボン酸成分を用いれば、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる場合がある。
一方、15モル%を超えると、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるばかりではなく、トナーの帯電性に悪影響を与えるという不具合が生じる場合がある。
モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性が低下する場合がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。
また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
本発明のトナーには必要に応じて離型剤を用いることができる。なお、一般式(1)で示されるエステル化合物は、本発明においては、離型剤としての作用よりも可塑剤としての作用が強いため、別途離型剤を用いることが特に好ましい。
この場合、本発明のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤は、結着樹脂100重量部あたり、2〜30重量部含有されていることが好ましい。離型剤の含有量が2重量部未満である場合には、高温定着時の耐ホットオフセット性に対する効果が不十分になる場合がある。
これに対して、30重量部を超える量である場合には、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。また、本発明のトナーを後述する乳化重合凝集法により作製する場合には、得られるトナーの粒度分布がブロードになってしまう傾向が強くなる場合がある。
本発明のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好ましく、疎水化処理された粒子が特に好ましい。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
本発明のトナーの体積平均粒径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、また、個数平均粒径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒径および個数平均粒径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
また、中間転写体を用いて画像形成を行なう場合には、損失正接(tanδ)が上記範囲から外れると、トナー飛散やライン画像の滲みが発生してしまう場合がある。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されるものではないが、湿式造粒法により作製されることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられるが、本発明においては、これらの中でも乳化重合凝集法が好適に用いられる。
この場合、本発明のトナーは、(1)少なくとも非晶性ポリエステル樹脂、着色剤および(一般式(1)に示される)エステル化合物を、各々水系媒体中に分散させて、樹脂粒子分散液、着色剤分散液およびエステル化合物分散液を調整する乳化工程と、(2)樹脂粒子分散液と着色剤分散液とエステル化合物分散液とを含む原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集工程と、(3)凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを少なくとも経て作製することができる。
なお、乳化工程で調整される各種分散液としては、必要に応じて、離型剤分散液や結着樹脂を含む樹脂粒子分散液等も利用することができる。
また、必要に応じて、凝集工程で得られた凝集粒子や融合工程で得られた融合後の粒子の表面を、凝集粒子に含まれる結着樹脂と同一または異なる組成の樹脂粒子で被覆する被覆工程を設けてもよい。なお、後者の場合には、被覆工程の後に再び融合工程が実施される。
以下、各工程について詳細に説明する。
結着樹脂や着色剤、エステル化合物等のトナーを構成する各種の原料は、凝集工程や、必要に応じて実施される被覆工程において、それぞれの乳化粒子の状態で使用される。このため、凝集工程に先だって実施される乳化工程では、上記原料の乳化分散液(樹脂粒子分散液、着色剤分散液、エステル化合物分散液等)が調整される。なお、結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を用いる場合には、この結着樹脂からなる樹脂粒子分散液も調整しておくことができる。
本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂において、中和により親水性を示す官能基は主にカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
なお、イオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5重量%程度になるようにするのが適当である。
前記着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。
分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
また、着色剤は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
エステル化合物の分散方法としては、自己水分散性をもたない非晶性ポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散したり、或いは、界面活性剤を用いずそのままエステル化合物の融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、体積平均粒径が1μm以下の粒子となるように調整にされる。エステル化合物分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
離型剤は、自己水分散性をもたない非晶性ポリエステル樹脂を乳化分散する場合と同様、水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて、分散された離型剤粒子の体積平均粒径が1μm以下となるように調整にされる。離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂の分散媒と同様のものを用いることができる。
なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
凝集工程においては、乳化工程で得られた樹脂粒子分散液と、着色剤分散液と、エステル化合物分散液と、この他必要に応じて用いられる離型剤分散液等の各種の分散液とを混合した混合液(以下、この混合液を「原料分散液」という)、エステル化合物の融点以下の温度(離型剤分散液を用いる場合は、離型剤あるいはエステル化合物の融点以下の温度)に加熱して、それぞれの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
ついで第二段階は、増粘している原料分散液へ攪拌羽による攪拌下、エステル化合物分散液を加え、均一に分散させた徐々に加熱する。これら2つの段階を経ることにより凝集粒子が形成される。なお、この際のpHとしては、2.5〜6が好ましく、3〜6がより好ましい。
この被覆工程は、上述の凝集粒子表面に、凝集粒子を構成する結着樹脂と同一または異なる組成の樹脂粒子を付着させることにより、被覆層を形成する工程である。
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子(または被覆凝集粒子)を含む懸濁液のpHを7.5〜9.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂のガラス転移点あるいは融点(但し、融点は、結晶性樹脂を併用する場合)以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子(または被覆凝集粒子)を融合させる。なお、凝集粒子を含む分散液の液性にもよるが、凝集を停止するpHが適性でないと、融合させる為の昇温過程で、凝集粒子がばらけてしまい収率が悪くなったり、逆に凝集が停止出来ず、さらに粒度成長が進み、大粒径になってしまう場合がある。
重合開始剤は、乳化工程前にあらかじめ結着樹脂中に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子中に取り込ませてもよい。さらには、被覆工程、融合工程、或いは、融合工程の後に導入してもよい。
凝集工程、被覆工程、融合工程、あるいは、融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、粒子分散液(樹脂粒子分散液等)に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
本発明の画像形成方法は、本発明のトナーを用いるものであれば特に限定されないが、具体的には、潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を本発明のトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であることが特に好ましい。
例えば、転写工程が、潜像担持体表面に形成されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写工程とからなるものであってもよい。
なお、中間転写方式を利用した画像形成装置では、潜像担持体上に重ね合わせて転写された各色のトナー像を記録媒体に一括して転写するため、記録媒体に対する適応性が高く、いわゆる普通紙と呼ばれるプリント用紙以外にも厚紙や封筒などにも画像形成が可能であるという長所を有している上、複数のロールで中間転写ベルトを張架する構造を有しているため、ベルトの引回しが比較的自由に行え、装置サイズの小型化が可能であるという長所を有する。その上、本発明のトナーを組合わせて用いれば、既述したように高い転写効率を得ることができる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される(転写工程)。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
らは使用しない方が好ましいが、前記離型剤の供給量を0mg/cm2にすると、定着時に前記定着部材と紙等の記録媒体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記離型剤の使用量が8.0×10-3mg/cm2以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記記録媒体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
図1に示すように、このカラー画像形成装置には、矢印A方向に回転する感光体ドラム1(静電潜像担持体)が備えられている。
また、この感光体ドラム1の回転方向に沿って順に、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電ロール11と、帯電した感光体ドラム1表面に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と、静電潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーで現像してトナー像を形成する上記各色に対応する現像器12Y,12M,12C,12Bkよりなるロータリ現像装置12と、中間転写ベルト2を挟んで対抗配置されると共に電源5aに接続された一次転写ロール5と、感光体ドラム1上に残留したトナーを除去する感光体クリーナ14とが配置されている。
中間転写ベルト2は、その外周面が感光体ドラム1と当接して一次転写部T1を形成すると共に、バックアップロール23と対向配置された二次転写ロール24とも外周面で当接して二次転写部T2を形成する。また、二次転写ロール24と中間転写ベルト2との間には、画像形成時に記録媒体Pが挿通可能である。
また、中間転写ベルト2の内周面には、テンションロール21と、1次転写ロール5との間に、中間転写ベルト2を内周面側から除電する除電ブラシ6が配置されており、中間転写ベルト2の外周面には、駆動ロール22の近傍に、2次転写後の中間転写ベルト2外周面に残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーナ4が備えられている。
例えば、テンションロール21がステンレス鋼製である場合には、除電ブラシ6は、図1に示すようにテンションロール21に対して、中間転写ベルト2の回転方向上流側に配置される。
例えば、図1に示す画像形成装置を例に挙げて説明するならば、表面抵抗率及び体積抵抗率が上記範囲より低い場合、二次転写電流が中間転写ベルト2(中間転写体)を伝って一次転写部T1に流れ込んでしまう為、一次転写効率が悪化してしまう場合がある。
一方、表面抵抗率及び体積抵抗率が上記範囲より高い場合、次のような問題がある。すなわち、一次転写時に帯電した中間転写ベルト2が、一次転写部T1から二次転写部T2に向かって移動する間に、中間転写ベルト2の帯電量がまだ十分減衰しないうちに、テンションロール21に近づくと中間転写ベルト2とテンションロール21との微小空隙部において放電が発生する。
この放電の影響により、中間転写ベルト2に転写されたトナー像に像乱れが生じ、白筋と呼ばれる画質欠陥を引き起こすこととなる。したがって、画質欠陥なく良好な画像を得る為には中間転写ベルト2の表面抵抗率及び体積抵抗率は上述に範囲であることが好ましい。
また、上述したような画質欠陥をより確実に防止するためには、本発明のトナーの損失正接(tanδ)が、0.050〜0.100の範囲内であることが好ましい。
−非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:50モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル%
・フマル酸:50モル%
・テレフタル酸:50モル%
・Ti(OBu)4:0.01モル%
加熱乾燥した三口フラスコに、上記原料を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量12000になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂を得た。なお、このポリエステル樹脂をDSC(示差走査熱量計、島津製作所社製、DSC60)により測定したところ、ガラス転移点は64度であり、融点は観測されず、非晶性であることがわかった。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:67モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:33モル%
・テレフタル酸:50モル%
・イソフタル酸:50モル%
・Ti(OBu)4:0.01モル%
加熱乾燥した三口フラスコに、上記原料を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。
その後、減圧蒸留を行い、230℃まで徐々に昇温を行い3時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量17800になったところで、減圧蒸留を停止しポリエステル樹脂を得た。
なお、このポリエステル樹脂をDSCにより測定したところ、ガラス転移点は66度であり、融点は観測されず、非晶性であることがわかった。
加熱乾燥した三口フラスコに、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2mol%、セバシン酸ジメチル98mol%、の酸成分、1,6−ヘキサンジオール100mol%と、触媒として(n−Bu)2SnO(酸成分に対し、0.06重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌しながら180℃で加熱し、7時間還流を行なった。
留出物が少なくなってきたら、徐々に系内を減圧にし、減圧蒸留で、220℃まで徐々に昇温を続け、攪拌しながら約6時間縮重合を続ける。フラスコの内容物が粘稠になったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量18000になったところで、減圧蒸留を停止し、ポリエステルを得た。
なお、このポリエステル樹脂をDSCにより測定したところ、融点68度であり、結晶性であることがわかった。
この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径0.26μmの粒子状の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性ポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
・スチレン:370部
・nブチルアクリレート:30部
・アクリル酸:4部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上の成分を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合した。この乳化・混合時に、更にフラスコに、過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
続いて、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径が180nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が15,000である樹脂粒子を分散させてなるスチレン・アクリル系樹脂分散液(樹脂粒子濃度:40重量%)を調製した。なお、このスチレン・アクリル系樹脂をDSCにより測定したところ、融点は観測されず、非晶質であった。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1モルとパルミチン酸2.2モルとを加え窒素気流下、常圧でエステル化反応後、分子蒸留によりグリセリンジパルミテート(純度90重量%以上)を得た。
このグリセリンジパルミテート1モルに1.1モル相当の無水酢酸を反応させてアセチル化した後、減圧蒸留により酢酸を除去し、グリセリンモノアセトジパルミテートを得た。得られたグリセリンモノアセトジパルミテート1000部をステンレス容器に入れ、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)50部及び、イオン交換水5000部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmの粒子状のエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(1)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1.1モル及びステアリン酸3.5モルを加え、窒素気流下、220℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させた。このようにして得られたエステル化生成物を液体クロマトグラフィーで分析したところ、グリセロールトリステアレートの割合が79重量%で、残りはグリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレートであった。
さらに、このエステル化生成物をエステル化合物分散液(1)を調整した場合と同様に、アニオン界面活性剤、イオン交換水と一緒にマントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が220nmの粒子状のエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(2)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
エステル化合物分散液(2)の調製と同様に、エステル化生成物を作製した後、このエステル化生成物500部に対してトルエン100部及びエタノール30部を入れ、さらに10%水酸化カリウム水溶液80部を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して、水層部を除去し、ついで、用いたエステル化生成物100部に対して、20部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して、水層部を分離、除去した。除去される水層部のpHが中性になるまで水洗を繰り返した。残った油層を窒素気流下、180℃で減圧蒸留した。このようにして得られた、エステル精製物を液体クロマトグラフィーで分析したところ、グリセロールトリステアレートの含有量は90重量%以上であった。
このエステル精製物500部を3Lのポリビーカーに入れ、アニオン界面活性剤25部、イオン交換水2500部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し体積平均粒径が230nmである粒子状のエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(3)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
エステル化合物分散液(3)の調製において、分散に用いる原料を、市販の硬化ひまし油(K3−WAX500:川研ファインケミカル社製)に変えた以外は、エステル化合物分散液(3)の調製と同様の条件で分散処理し、体積平均粒径が180nmである粒子状のエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(4)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1モルとカプリル酸1モルを加え窒素気流下、常圧でエステル化反応後、分子蒸留によりグリセリンモノカプリレート(純度90重量%以上)を得た。このグリセリンモノカプリレート1モルに2.2モル相当の無水酢酸を反応させてアセチル化した後、減圧蒸留により酢酸を除去し、グリセリンジアセトモノカプリレートを得た。
得られたグリセリンジアセトモノカプリレート1000部をステンレス容器に入れ、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)50部及び、イオン交換水5000部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmの粒子状のエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(5)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1モルとベヘン酸2.3モルを加え窒素気流下、常圧でエステル化反応後、分子蒸留によりグリセリンジベヘネート(純度90重量%以上)を得た。
このグリセリンジベヘネート1モルに1.1モル相当の無水酢酸を反応させてアセチル化した後、減圧蒸留により酢酸を除去し、グリセリンモノアセトジベヘネートを得た。得られたグリセリンモノアセトジベヘネート1000部をステンレス容器に入れ、アニオン性界面活性剤(テイカパワーBN2060)50部及び、イオン交換水5000部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmであるエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(6)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1.1モルとカプリル酸2.3モルを加え窒素気流下、常圧でエステル化反応後、分子蒸留によりグリセリンジカプリレート(純度90重量%以上)を得た。このグリセリンモノカプリレート1モルに1.2モル相当の無水酢酸を反応させてアセチル化した後、減圧蒸留により酢酸を除去し、グリセリンモノアセトジカプリレートを得た。
得られたグリセリンジアセトジカプリレート1000部をステンレス容器に入れ、アニオン性界面活性剤(テイカパワーBN2060)50部及び、イオン交換水5000部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmであるエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(7)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた4つロフラスコに、グリセリン1.1モルとメリシン酸2.3モルとを加え窒素気流下、常圧でエステル化反応後、分子蒸留によりグリセリンジメリシネート(純度84重量%以上)を得た。このグリセリンジメリシネート1モルに1.2モル相当の無水酢酸を反応させてアセチル化した後、減圧蒸留により酢酸を除去し、グリセリンモノアセトメリシネートを得た。
得られたグリセリンモノアセトジメリシネート1000部をステンレス容器に入れ、アニオン性界面活性剤(テイカパワーBN2060)50部及び、イオン交換水5000部を加えて、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いてよくなじませた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が250nmであるエステル化合物を分散させてなるエステル化合物分散液(8)(エステル化合物濃度:20重量%)を調製した。
・エステルワックスWEP5(日本油脂(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:2000部
以上の成分を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
・カルナバワックス(日本油脂(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:2000部
以上の成分を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が240nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(2)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
・エステルワックスWEP6(日本油脂(株)製):500部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50部
・イオン交換水:2000部
以上の成分を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、体積平均粒径が225nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(3)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):15部
・イオン交換水:900部
以上の成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
(実施例A1)
−トナー母粒子A(1)の製造−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):657部
・着色剤分散液:27.2部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):12.9部
・エステル化合物分散液(1):66.3部
・イオン交換水:500部
上記原料のうち、pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、イオン交換水、非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)及びアニオン性界面活性剤を入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤を非晶性ポリエステル樹脂分散液になじませた。
続いて、これに着色剤分散液およびエステル化合物分散液(1)を加えて混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを3.5に調製した。ついで、Ultraturraxにより1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを10重量%含む硝酸水溶液を30部滴下した。
なお、この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようにした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物とを充分混合した。
この昇温の際、昇温とともに、原料混合物のpHが低下し、粒度成長を停止させた凝集粒子が再び、粒度成長するのを防ぐため、必要に応じて、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を適量加えた。
85℃で30分経過すると、凝集粒子が次第に融合し、1時間を過ぎるころになると、凝集粒子が球形化し融合した。顕微鏡でこの融合状態を確認した後、加熱を止め、1℃/minで室温まで降温させた。
−トナー母粒子A(2)の製造−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):551部
・着色剤分散液:27.2部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):10.9部
・エステル化合物分散液(2):66.3部
・イオン交換水:411部
原料として、上記を用いたこと以外は実施例A1と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。凝集粒子径が5.4μmになったところで、凝集粒子表面に被覆層を形成する為に、予めアニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液)を2.6部加えてなじませた後、pH4.0に調整した非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)105部を滴下した。
滴下終了後、5分間保持し、コールターカウンターで、凝集粒子表面への樹脂粒子の付着を確認したのち、被覆層が形成された凝集粒子の成長を停止させる為に、実施例A1と同様に1Mの水酸化ナトリウム水溶液を適量加えた。
その後、被覆凝集粒子を融合させるため、1℃/minで85℃まで昇温させ、85℃で1時間保持し、更に融合を進めるため95℃で2時間保持して、被覆凝集粒子をほぼ球形化し融合させた。その後、実施例1Aと同様の条件で篩分、洗浄、乾燥し、体積平均粒径5.7μmのトナー母粒子A(2)を得た。
−トナー母粒子A(3)の製造−
実施例A2において、原料としてエステル化合物分散液(2)の代わりに、エステル化合物分散液(3)を用いたこと以外は実施例A2と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。凝集粒子径が5.7μmになったところで、実施例A2と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A2と同様の条件で、凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.0μmのトナー母粒子A(3)を得た。
−トナー母粒子A(4)の製造−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):517部
・着色剤分散液:27.2部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):10.5部
・エステル化合物分散液(3):66.3部
・離型剤分散液(1):69.0部
・イオン交換水:430部
実施例A3において、原料として上記組成物を用いた事以外は、実施例A3と同様の条件で、造粒を行い、凝集粒子を成長させた。凝集粒子径が5.8μmになったところで、実施例A3と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A3と同様の条件で、凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.3μmのトナー母粒子A(4)を得た。
−トナー母粒子A(5)の製造−
実施例A4において、原料としてエステル化合物分散液(3)の代わりに、エステル化合物分散液(4)を、離型剤分散液(1)の代わりに離型剤分散液(2)を用いたこと以外は実施例A4と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.6μmになったところで、実施例A4と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A4と同様の条件で、凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.9μmのトナー母粒子A(5)を得た。
−トナー母粒子A(6)の製造−
実施例A4において、エステル化合物分散液(3)を15.6部に変えた以外は実施例A4と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.4μmになったところで、実施例A4と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A4と同様の条件で、被覆凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.8μmのトナー母粒子A(6)を得た。
−トナー母粒子A(7)の製造−
実施例A4において、エステル化合物分散液(3)を121.3部に変えた以外は実施例A4と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.6μmになったところで、実施例A4と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A4と同様の条件で、被覆凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.4μmのトナー母粒子A(7)を得た。
−トナー母粒子A(8)の製造−
実施例A1において、原料として非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の代わりにスチレン・アクリル系樹脂分散液330部を用い、凝集剤のポリ塩化アルミウニム硝酸水溶液を滴下する前のpHを2.5に調整した以外は、実施例A1と同様の条件で、原料混合物の調製を行った。
次ぐ、凝集成長のための昇温工程では、凝集温度を52℃まで昇温させ、凝集粒子径が5.5μmになったところで、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH6.5に調製し、凝集成長を停止させた。
ついで、95℃まで昇温させ、融合させた。その後、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.8μmのトナー母粒子A(8)を得た。
−トナー母粒子A(9)の製造−
実施例A3において、原料からエステル化合物分散液(3)を除いたこと以外は、実施例A3と同様の条件で、凝集、融合を行った。その後実施例A3と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥を行い、体積平均粒径5.9μmのトナー母粒子A(9)を得た。
−トナー母粒子A(10)の製造−
実施例A2において、原料としてエステル化合物分散液(2)の代わりに、エステル化合物分散液(5)を用いたこと以外は、実施例A2と同様の条件で、凝集、融合を行った。その後実施例A2と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥を行い、体積平均粒径6.1μmのトナー母粒子A(10)を得た。
−トナー母粒子A(11)の製造−
実施例A5において、エステル化合物分散液(4)を11.8部に減らしたこと以外は、実施例A5と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.5μmになったところで、実施例A5と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A5と同様の条件で、被覆凝集粒子の成長を停止し、融合を進めた。95℃で2時間保持したが、実施例A5にくらべて、トナー表面の融合が進まず、更に1時間保持してようやく融合した。その後、実施例A5と同様の条件で篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.9μmのトナー母粒子A(11)を得た。
−トナー母粒子A(12)の製造−
実施例A5において、エステル化合物分散液(4)を130.6部にしたこと以外は、実施例A5と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.6μmになったところで、実施例A5と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A5と同様の条件で、被覆凝集粒子の成長を停止したが、次の融合のための昇温時、徐々に粒子成長した。その後、融合自体は85℃1時間の保持でほぼ球形化したので、実施例A5と同様の条件で篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.5μmのトナー母粒子A(12)を得た。
−トナー母粒子A(13)の製造−
実施例A5において、エステル化合物分散液(4)の代わりにエステル化合物分散液(8)を用いたこと以外は、実施例A5と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.5μmになったところで、実施例A5と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例A5と同様の条件で、被覆凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.9μmのトナー母粒子A(13)を得た。乾燥後コノトナーを走査電子顕微鏡(SEM:日立株式会社製S−4100)で観察したところ、トナー表面に内包されてない析出物が観察された。
(定着性及びドキュメント保存性の評価)
トナー母粒子A(1)〜A(13)それぞれに外添剤としてチタニア微粉末およびシリカ微粉末をトナー母粒子100重量部に対してそれぞれ1.2重量部および0.4重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷像現像用トナーA(1)〜A(13)を得た。
ついで、外添剤が添加されたトナーそれぞれ5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)100重量部とを混合して二成分現像剤を調整し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナーA(1)〜A(13)各1.5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)30重量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量(μc)をブローオフ帯電量測定装置で測定した。
静電荷像現像用トナーA(1)〜A(13)各2gを秤量し、50℃湿度50%のチャンバーに17時間放置した後、目開き32μm篩上に置き、30秒振動させて、篩上に残った量を秤量し、下式(1)からそのトナーの凝集度を算出し、保存安定性を評価した。
・式(1) 凝集度(%)=(篩上に残ったトナー(g)/2(g))×100
一方、比較例A1では、結着樹脂に非晶性ポリエステル樹脂を用いていないため、エステル化合物を用いても可塑化効果が得られないためか、最低定着温度は実施例と比較して高めであった。加えて、ドキュメント保存性およびトナー保存性が悪化した。
また、エステル化合物を用いない比較例A2では、帯電性他の特性は良好なものの、低温定着性の改善が見られなかった。
さらに、用いたエステル化合物を構成するいずれのアシル基の炭素数も10未満である比較例A3では、トナーの可塑化効果は十分ではあるものの、過度の可塑化により、トナー保存安定性を損なう結果となった。
さらに、エステル化合物量が2重量部より少ない比較例A4では、トナーの可塑化が乏しいため、融合工程で時間をかかった上、低温定着性に対する効果が不充分であった。その一方で、エステル化合物を20重量部より多く添加した比較例A5では、粒子成長を制御し難かったばかりではなく、過度の可塑化効果で、トナーのガラス転移点低下が原因と思われる、トナーの保存性悪化が顕著であった。
(実施例B1)
−トナー母粒子B(1)の製造−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):657部
・着色剤分散液:25.5部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):12.9部
・エステル化合物分散液(6):66.3部
・イオン交換水:500部
上記原料のうち、pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、イオン交換水、非晶性ポリエステル樹脂分散液及びアニオン性界面活性剤を入れ、200rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤を非晶性ポリエステル樹脂分散液になじませた。続いて、これに着色剤分散液およびエステル化合物分散液(6)を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを3.5に調製した。ついで、Ultraturraxにより1000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液を30部滴下した。
この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようにした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数6000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。
コールターカウンターを利用して、適宜凝集粒子のサイズを確認しつつ、凝集粒子が5.5μmになったところで、凝集粒子表面に被覆層を形成するため、予めアニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液、ダウケミカル社製)を3.1部添加すると共に、pHを4.0に調製した非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)105部を滴下した。
ついで5分間保持し、コールターカウンターで、凝集粒子への付着を確認したのち、被覆層を形成した凝集粒子の成長を停止させるために、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を適量加え、原料混合物のpHを9.0に制御した。
85℃で30分経過すると、凝集粒子が次第に融合し、1時間を過ぎるころになると、凝集粒子が球形化し融合した。顕微鏡でこの融合を確認した後、加熱を止め、1℃/minで室温まで降温させた。
−トナー母粒子B(2)の製造−
実施例B1において、エステル化合物分散液(6)の代わりに、エステル化合物分散液(3)を用いたこと以外は、実施例B1と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
次に、凝集粒子径が5.4μmになったところで、凝集粒子表面に被覆層を形成するため、予めアニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液、ダウケミカル社製)を3.1部加えてなじませ、pHを4.0に調製した非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)105部を滴下した。
滴下終了後、5分間保持し、コールターカウンターで、凝集粒子への付着を確認したのち、被覆層を形成した凝集粒子の成長を停止させる為に、実施例B1と同様に1Mの水酸化ナトリウム水溶液を適量加えた。
その後、実施例B1と同様の条件で融合させ、篩分、洗浄、乾燥し、体積平均粒径5.8μmのトナー母粒子B(2)を得た。
−トナー母粒子B(3)の製造−
実施例B1において、原料としてエステル化合物分散液(6)の代わりに、エステル化合物分散液(4)を用い、アニオン性界面活性剤量を14.2部にしたこと以外は実施例B1と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子を成長させた。
凝集粒子径が5.7μmになったところで、実施例B1と同様の条件で被覆層を形成するために非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。以降、実施例B1と同様の条件で、凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.3μmのトナー母粒子B(3)を得た。
−トナー母粒子B(4)の製造−
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(2):517部
・着色剤分散液:25.5部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液):13.8部
・エステル化合物分散液(4):66.3部
・離型剤分散液(3):69.0部
・イオン交換水:430部
実施例B3において、原料として上記を用いた事以外は、実施例B1と同様の条件で、造粒を行い、凝集粒子を成長させた。凝集粒子径が5.6μmになったところで、凝集粒子表面に被覆層を形成するため、予めアニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液、ダウケミカル社製)を2.9部加えてなじませ、pHを4.0に調製した非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)124部を滴下し、凝集粒子の被覆を行った。
以降、実施例B1と同様の条件で、凝集粒子の成長を停止し、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.1μmのトナー母粒子B(4)を得た。
−トナー母粒子B(5)の製造−
実施例B4において、原料として離型剤分散液(3)の代わりに、離型剤分散液(2)を、凝集粒子表面を被覆する非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の代わりに非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を用いたこと以外は実施例B4と同様の条件で造粒を行い、凝集粒子の被覆を行った。
ついで、凝集粒子の成長を停止するため、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、ph9.5に制御した。以降、実施例B4と同様の条件で、融合させ、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径6.2μmのトナー母粒子B(5)を得た。
−トナー母粒子B(6)の製造−
実施例B1において、原料として非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の代わりにスチレン・アクリル系樹脂分散液330部を用い、凝集剤のポリ塩化アルミウニム硝酸水溶液を滴下する前のpHを2.5に制御したこと以外は、実施例B1と同様の条件で、原料混合物の調製を行った。
次ぐ、凝集成長のための昇温工程では、凝集温度を52℃まで昇温させ、凝集粒子径が5.5μmになったところで、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH6.5に調製し、凝集成長を停止させた。ついで、95℃まで昇温させ、融合させた。その後、篩分、洗浄、乾燥の工程を経て、体積平均粒径5.7μmのトナー母粒子B(6)を得た。
−トナー母粒子B(7)の製造−
実施例B4において、原料からエステル化合物分散液(4)を除き、凝集工程におけるpHを2.7に制御したこと以外は、実施例B4と同様の条件で、凝集、融合を行った。その後実施例B4と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥を行い、体積平均粒径5.4μmのトナー母粒子B(7)を得た。
−トナー母粒子B(8)の製造−
実施例B4において、原料として、非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の代わりに、結晶性ポリエステル樹脂分散液を用い、凝集工程におけるpHを2.7に制御したこと以外は、実施例B3と同様の条件で、凝集成長を行った。
ついで凝集成長の停止は、pH9.5に設定することにより行なった。続く融合工程では、昇温速度1℃/分で75℃までに昇温し、該温度にて融合を進行させた。その後実施例B3と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥を行い、体積平均粒径5.5μmのトナー母粒子B(8)を得た。
−トナー母粒子B(9)の製造−
実施例B4において、原料としてエステル化合物分散液(4)の代わりに、エステル化合物分散液(7)を用いたこと以外は、実施例B2と同様の条件で、凝集、融合を行った。その後、実施例B3と同様の条件で、篩分、洗浄、乾燥を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー母粒子B(9)を得た。
−定着性及びドキュメント保存性の評価−
トナー母粒子B(1)〜B(9)にそれぞれに外添剤として、チタニア微粉末をトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部、シリカ微粉末0.6重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して静電荷像現像用トナーB(1)〜B(9)を得た。
ついで、静電荷現像用トナーB(1)〜B(9)をそれぞれ8重量部と樹脂被覆されたフェライトキャリア(体積平均粒径35μm)100重量部を混合して二成分現像剤を調整し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre color a450)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
ついで、実施例A/比較例Aを評価した場合と同様にしてベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着性及びドキュメント保存性を評価した。
トナー母粒子B(1)〜B(9)をそれぞれ6g秤量し、直径5cmの圧縮成形器の型に広げ、荷重10tfを1分間掛けて厚さ約3mmの円盤状のトナー成形物を作製した。それぞれの円盤状成形物をLCRメーター6440Aを用い、以下の条件で誘電特性を測定した。
・周波数:1000Hz
・電圧:5rms
・測定繰り返し数:100
・外部バイアス:OFF
この測定にて算出されるtanδを夫々のトナーの損失正接とした。
定着性の評価の際に作製した静電荷像現像用トナーB(1)〜B(9)各1.5重量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(体積平均粒径35μm)30重量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌震盪した。この両環境下のトナーの帯電量(μc)をブローオフ帯電量測定装置で測定した。
また、放置した場合の帯電維持性は、以下の条件で測定した帯電量から算出した帯電減衰率により評価した。
温度22℃、湿度50%環境下、12時間シーズニングした後、ターブラミキサーで2分間攪拌震盪した現像剤の帯電量をAとする。ついで、その現像剤を上記環境下で24時間放置した後の、帯電量をBとすると、下式(2)より帯電減衰率が求められる。
・式(2) 帯電減衰率=B/A×100(%)
保存安定性は、実施例A/比較例Aと同様に評価した。
定着性の評価の際に作製した静電荷像現像用トナーB(1)〜B(9)それぞれの二成分現像剤を、図1に示す構成を有する画像形成装置(富士ゼロックス(株)社製、Docucentre color a450)のオフライン評価機の現像機に入れ、まず転写残量の評価は以下のように行なった。
◎:0.5mg未満
○:0.5mg以上1.5mg未満
△:1.5mg以上3.5mg未満
×:3.5mg以上
○:白筋は発生せず
△:白筋は発生するが許容できるレベル
×:白筋が発生し、且つ、画質上問題となるレベル
(実施例B4a〜実施例B4d)
中間転写体の抵抗率が転写に及ぼす影響については、図1に示す装置と同様の構成を有する画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docucentre color a450)を用いた。評価に際しては、抵抗値の異なる4種類の中間転写ベルト2を取り付けて評価を実施した。
なお、中間転写ベルト2は、導電性の無端状ベルトであり、材質はポリイミドで、カーボンブラックを適当量含有させることにより導電性を付与したものである。ベルトサイズは、最大プリント画像サイズより大きい必要があり、かつベルト周長は各色トナー像の色ずれ防止という観点から、感光体ドラム周長の整数倍であることが望ましく、中間転写ベルト2は感光体ドラム周長の2倍の周長528mm、幅330mm、厚み90μmmであるものを用いた。
実験は、実施例B4で用いた静電荷像現像用トナーB(4)を用い、A3サイズの用紙全面に、画像カバレッジ密度30%のトナー像を形成し、白筋状のトナー飛散を目視で確認し以下の基準で評価した。
○:発生せず
△:若干発生するが問題ないレベル
×:顕著に発生し、使用に支障があるレベル
また、白筋状のトナー飛散と共に、同時にその他画質欠陥の有無を評価した。4種類の中間転写ベルトの抵抗値とそれぞれの転写性の評価結果を表5に示す。
一方、表面抵抗率が109Ω/cm2以下、且つ体積抵抗率が107Ω・cm以下の実施例B4cのベルトでは白筋状のトナー飛散は見られなかったものの、二次転写バイアスが印加された瞬間に、一次転写効率が僅かに低下する事が確認された。これはベルト抵抗率が低いために、二次転写電流が中間転写ベルトを伝って一次転写部に流れ込んだためであると考えられるが、実用上には問題ない。
その他、実施例B4cや実施例B4bでは僅かにライン画像が滲んで見えるようになった。これは表面抵抗率が低いため、一次転写時に一次転写部の上流側まで転写電界が広がり、微小ギャップ領域で転写が行われるようになりトナーが飛び散ってしまうために発生すると考えられるが、これについても許容範囲のでレベルであった。
2 中間転写ベルト
3 露光装置
4 中間転写ベルトクリーナ
5 一次転写ロール
5a 電源
6 除電ブラシ
11 帯電ロール
12 ロータリ現像装置
12Y,12M,12C,12K 現像器
14 感光体クリーナ
21 テンションロール
22 駆動ロール
23 バックアップロール
24 二次転写ロール
25 カム機構
T1 一次転写部
T2 二次転写部
P 記録媒体
Claims (4)
- 少なくとも前記非晶性ポリエステル樹脂、前記着色剤および前記エステル化合物を、各々水系媒体中に分散させて、樹脂粒子分散液、着色剤分散液およびエステル化合物分散液を調整する乳化工程と、
前記樹脂粒子分散液と前記着色剤分散液と前記エステル化合物分散液とを含む原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集工程と、
前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを少なくとも経て、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを作製することを特徴とする静電荷像現像用トナー製造方法。 - 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
- 潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
前記トナーが、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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