JP7035641B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
しかし、1面目に定着した画像内に空隙が存在している場合や、画像内の外添剤が離脱によって減少している場合は、下ローラに触れた際に1面目の画像の電荷が逃げ切らずに残存してしまい、排紙トレイ上でドキュメント同士が静電的にくっついてしまうという問題が存在した(例えば、特許文献1及び2参照。)。
前記トナー母体粒子が、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母体粒子前駆体と、前記トナー母体粒子前駆体の表面に形成された複数の凸部と、を含んで構成され、
前記凸部の平均長辺長さが、100~300nmの範囲内であり、
前記凸部の平均間隔が、20~200nmの範囲内であり、
前記凸部の平均分布密度が、8~25個/μm2の範囲内であり、
前記外添剤として、アルミナ粒子を含み、かつ、
下記の方法で測定した貼り付き力が、2.0N以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
〔貼り付き力の測定方法〕
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、「OKトップコート紙 157g/m 2 」(王子製紙社製)上で前記静電荷像現像用トナーの付着量を8.0g/m 2 に設定した後、下ローラ温度を70℃として、片面ベタ画像を両面出力モードで、A3サイズで5枚出力する。出力された紙束の上にA3 J紙を500枚のせ2時間放置する。平坦なテーブルの上に置き、一番上の用紙の先端にテープを貼り付け水平方向にゆっくり滑らせる。この際、上から2枚目より下の用紙については動かないように、テーブルに固定しておく。用紙を滑らせるのに要する力をばねばかりで測定する。この測定を上から順に4回繰り返し、ばねばかりの示した力の平均値を貼り付き力とする。
6.前記凸部が、ビニル系重合セグメントと非晶性ポリエステル系重合セグメントとが両反応性単量体を介して結合したハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
さらに、トナー母体粒子前駆体の表面に形成された凸部によってトナー粒子同士が噛み合うような状態でつぶれやすくなって(図1参照。)、トナー粒子同士の密接度が高まり、画像(トナー層)内では空隙がなく樹脂で埋め尽くされた状態になり、その中に外添剤(アルミナ粒子)が存在することで、チャージされた電荷が移動しやすくなると推測している。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)は、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、トナー母体粒子が、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母体粒子前駆体と、トナー母体粒子前駆体の表面に形成された複数の凸部と、を含んで構成され、外添剤として、アルミナ粒子を含むことを技術的特徴とする。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂としての非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母体粒子前駆体と、トナー母体粒子前駆体の表面に形成された複数の凸部と、を含んで構成されている。
例えば、図1及び図2に示すように、トナー母体粒子10は、トナー母体粒子前駆体11と、当該トナー母体粒子前駆体11の表面に形成された複数の凸部12とを有して構成されている。
トナー母体粒子前駆体11は、非晶性樹脂101aと結晶性ポリエステル樹脂101bとを含むトナー母体粒子前駆体用樹脂101を含有している。
凸部12は、凸部用樹脂を含んで構成されている。
一方、非晶性樹脂とは、上記と同様の示差走査熱量測定を行った際に得られる吸熱曲線において、ガラス転移が生じたことを示すベースラインのカーブは見られるが、上述した明確な吸熱ピークが見られない樹脂のことをいう。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂として、非晶性樹脂を含んでいる。非晶性樹脂としては、公知のものを用いることができる。その具体例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、環境差による変動が小さいという理由から、ビニル樹脂が好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら芳香族系ビニル単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら単量体化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、まず、測定試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して、試料液を調製する。例えば、GPC装置HLC-8120GPC(東ソー社製)及びカラム(「TSKgel guardcolumn SuperHZ-L」及び「TSKgel SuperHZM-M」(東ソー社製))を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成する。
非晶性ポリエステル樹脂としては、後述する凸部に含まれる非晶性ポリエステル樹脂と同様のものが挙げられる。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂として、非晶性樹脂に加え、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トナー母体粒子前駆体用樹脂のガラス転移点(Tg)は、40~60℃の範囲内であることが好ましい。
トナー母体粒子前駆体用樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418-82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
具体的には、試料3.0mgを小数点以下二桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、示差走査カロリメーター「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0~200℃の範囲内、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、昇温-降温-昇温の温度制御を行い、その2回目の昇温におけるデータを基に解析を行った。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移点とする。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の軟化点(Tsp)は、以下のようにして測定された値である。
まず、20℃±1℃、50%±5%RHの環境下において、樹脂1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP-10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製した。次いで、この成型サンプルを、24℃±5℃、50%±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、樹脂の軟化点とする。
トナー母体粒子前駆体用樹脂は、乳化重合法で作製されることが好ましい。乳化重合は、水系媒体中にスチレン、アクリル酸エステルなどの重合性単量体を分散し重合することによって得ることができる。水系媒体に重合性単量体を分散するためには界面活性剤を用いることが好ましく、また、重合には重合開始剤、連鎖移動剤を用いることができる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の重合に使用される重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチル等の過酸化物類;2,2′-アゾビス(2-アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′-アゾビス-(2-アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4′-アゾビス-4-シアノ吉草酸、及びポリ(テトラエチレングリコール-2,2′-アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等が挙げられる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂の製造においては、上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン及びメルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂を水系媒体中に分散し乳化重合法により重合する場合は、分散した液滴の凝集を防ぐために通常、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選択される分散安定剤を用いることができる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。なお、分散安定剤は着色剤やオフセット防止剤等の分散液にも使用できる。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体に含有される離型剤としては、ワックスが挙げられる。
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。
これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスの含有比率は、トナー母体粒子前駆体用樹脂全量に対して2~20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3~18質量%の範囲内、更に好ましくは4~15質量%の範囲内である。
トナー母体粒子前駆体が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などが挙げられ、また、これらの混合物も用いることができる。
荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。
トナー母体粒子前駆体表面に形成されている複数の凸部を構成する材料(凸部用樹脂)としては、トナー母体粒子前駆体表面に凸部を形成できるものであれば特に制限されないが、非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ビニル系重合セグメントの含有比率は、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の総質量に対して、5~30質量%の範囲内であることが好ましく、10~20質量%の範囲内であることがより好ましい。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂が、5~30質量%の範囲内でビニル系重合セグメントを含有することで、凸部の脱離が起きにくく、耐久性が向上する。また、トナー作製時に、凸部同士での合一が起こりにくく、結晶性ポリエステル樹脂がトナー母体粒子前駆体表面に露出しにくく、凸部としての十分な効果を得ることができる。
HOOC-(CR1=CR2)n-COOH
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂は、低温定着性の観点から、ガラス転移点が50~70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~65℃の範囲内であり、かつ、軟化点が80~110℃の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の四つが挙げられる。
(i)ポリエステル系重合セグメントを形成するための未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、両反応性単量体とを混合する混合工程、
(ii)芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、両反応性単量体と未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させる重合工程を経ることにより、ポリエステル系重合セグメントの末端にビニル系重合セグメントを形成させることができる。この場合、ポリエステル系重合セグメントの末端のヒドロキシ基と両反応性単量体のカルボキシ基とがエステル結合を形成し、両反応性単量体のビニル基が芳香族系ビニル単量体又は(メタ)アクリル酸系単量体のビニル基と結合することによってビニル系重合セグメントが結合される。上記合成法の中で(A)の方法が最も好ましい。
(ここで、Wxは、単量体xの質量分率である。Tgxは、単量体xの単独重合体のガラス転移点である。)
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び両反応性単量体のうち、両反応性単量体の使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち上記の4者の全質量を100質量%としたときの両反応性単量体の比率は0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.5~3.0質量%の範囲内がより好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための両反応性単量体としては、ポリエステル系重合セグメントを形成するための多価カルボン酸単量体又は多価アルコール単量体と反応し得る基と重合性不飽和基とを有する単量体であればよく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などを用いることができる。本発明においては、両反応性単量体として、アクリル酸又はメタクリル酸を用いることが好ましい。
ビニル系重合セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、3,4-ジクロロスチレンなど及びその誘導体が挙げられる。
これらの芳香族系ビニル単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
重合開始剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、0.1~5.0質量%の範囲で添加するのが好ましい。
前述の芳香族系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程においては、スチレン・アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を構成するポリエステル系重合セグメントを作製するために用いる樹脂は、多価カルボン酸単量体(誘導体)及び多価アルコール単量体(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものであることが好ましい。
上記多価アルコール単量体は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の構成単位を含有することを特徴とする。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の構成単位を含有することで、結晶性ポリエステル樹脂との相溶をコントロールでき、結晶性ポリエステル樹脂がトナー母体粒子前駆体表面に露出することを抑えることができる。
重量平均分子量が1500以上であることにより、トナー母体粒子前駆体用樹脂全体として好適な凝集力が得られ、定着の際に高温オフセット現象を生じることが抑制される。また、重量平均分子量が60000以下であることにより、十分な溶融粘度を得ることができ、十分な最低定着温度を確保することができるので定着の際に低温オフセット現象を生じることが抑制される。
本発明に係る凸部の平均長辺長さは、100~300nmの範囲内であることが好ましい。表面凸部の平均長辺長さが100nm以上であれば、表面凹部に凸部が入り込み、隙間ができることなく、トナー粒子同士の密接度が向上する。また、平均長辺長さが300nm以下であれば、表面凹部に凸部が入らない状態となることがなく、密接度が向上する。
凸部の長辺長さとは、走査型電子写真顕微鏡(以下、SEMという。)「JSM-7401F」(日本電子(株)製)にて10000倍観察を行ったときのSEM画像データにおいて、凸部及び非凸部を目視で確認し、個々の凸部について輪郭線を描き、この輪郭線を2本の平行線で挟んだとき、2本の平行線の距離が最大となる部分(長辺長さX)をいう(図4参照。)。測定では、長辺長さが30nm以上である凸部20個の長辺長さを測定する。同様の測定をトナー母体粒子5個について行い、それらの平均値を本発明に係る凸部の平均長辺長さとする。
本発明に係る凸部の平均間隔は、20~200nmの範囲内であることが好ましい。表面凸部の平均間隔が20nm以上であれば、凸部が凹部に入り込み、密接度が向上する。また、平均間隔が200nm以下であれば、凹部に凸部が入り込んでも隙間ができることなく、トナー粒子同士の密接度が向上する。
凸部の間隔は、10000倍観察のSEM画像データにおいて、個々の凸部を中心として、当該凸部から近い順に4個の凸部をピックアップし、中心となる凸部の外周からピックアップした4個の凸部の外周までの最短距離(Y1~Y4)の平均を凸部の間隔とする(図4参照。)。測定では、長辺長さ30nm以上である凸部を中心として測定される凸部の間隔を、凸部20個について測定する。同様の測定をトナー母体粒子5個について行い、それらの平均値を本発明に係る凸部の平均間隔とする(図4参照。)。なお、ピックアップする4個の凸部の長辺長さは問わない。
(イ)凸部用樹脂の粒径については、粒径が大きいほど、凸部の長さが長くなり、凸部間隔が広くなる。具体的には、凸部用樹脂の粒子の粒径は、50~300nmの範囲内が好ましい。
(ウ)凸部用樹脂の量については、凸部用樹脂の量が増えるほど、凸部の長さが長くなり、凸部間隔は狭くなる。具体的には、凸部用樹脂の含有量は、トナー母体粒子の全樹脂量中、5~20質量%の範囲内であることが好ましい。
(エ)凸部用樹脂を投入する前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度については、当該平均円形度を高くすることで、凸部を形成しやすくなる。具体的には、トナー母体粒子前駆体の平均円形度は、0.890以上であることが好ましい。
(オ)凸部用樹脂の融着時間については、当該融着時間を長くするほど、トナー母体粒子の平均円形度と凸部用樹脂投入前のトナー母体粒子前駆体の平均円形度の差が大きくなり、凸部の長さが短くなる。具体的には、凸部用樹脂の融着時間は、10~180分の範囲内が好ましく、さらに30~120分の範囲内が好ましい。
凸部の平均高さは、40~120nmの範囲内であることが、耐熱性を確保でき、また、外添剤の効果を阻害しにくく、帯電性が安定する点で好ましい。
凸部の平均高さは、10000倍観察のSEM画像データにて、トナー母体粒子10個について、長辺の長さ30nm以上の凸部を20個ピックアップし、トナー母体粒子前駆体表面から、凸部の頂点を2本の平行線で挟み、2本の平行線の距離が最大となる部分を凸部の高さとし、その平均値を凸部の平均高さとする。
トナー母体粒子前駆体表面における凸部の平均分布密度は、8~25個/μm2の範囲内であることが、耐熱性と定着ベルト分離性が両立できる点で好ましい。
凸部の平均分布密度は、10000倍観察のSEM画像データにて、トナー母体粒子10個について、1μm2あたりの長辺の長さ30nm以上の凸部の数を計測し、その平均値を凸部の平均分布密度とする。
なお、凸部の数について、境界線上に存在するものはカウントしないものとする。
本発明に係るトナー母体粒子前駆体表面への凸部形成方法としては、例えば、凸部とトナー母体粒子前駆体とを異なる樹脂組成とし、更に、両樹脂のモノマー組成で調整することが可能であるが、凸部を形成できる方法であればこれに制限されない。
例えば、トナー母体粒子前駆体のメインバインダー樹脂がビニル樹脂である場合には、凸部には非晶性ポリエステル樹脂が用いられる。特に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の構成単位を含有する非晶性ポリエステル樹脂を使用する場合には、結晶性ポリエステル樹脂と相溶されないようにコントロールすることができ、トナー母体粒子前駆体表面に凸部を効果的に形成することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、外添剤として、アルミナ粒子を含有することを特徴とする。また、外添剤は、アルミナ粒子以外にも、従来公知の外添剤を含有していてもよい。
アルミナとは、Al2O3で表される酸化アルミニウムを指し、α型、γ型、σ型、それらの混合体等の形態が知られており、形状としてもその結晶系の制御によって立方形状のものから球状のものまである。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のアルミナ粒子について2値化処理し、アルミナ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
また、超音波振動処理後のトナー母体粒子に対するアルミナ粒子の付着量は、次のようにして求めることができる。まず、トナー3gを0.2質量%ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル水溶液35mL中に充分に分散させる。その後、循環式超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製Ultrasonic Homogenizer US-1200T)を用いて、その分散液にφ36のチップで、20kHz、40~60μAの条件で2分間超音波を照射する。これによってトナー母体粒子表面から外添剤を離脱させ、その後、当該分散液を遠心分離して沈殿物と上澄みとに分離する。沈殿物の洗浄及び乾燥後、その乾燥物に対して蛍光X線分析を行い、残存するアルミナの量を測定する。
このようにして求めた超音波振動処理前後の値から、処理前の付着量に対する処理後の付着量の比率(%)を求めることができる。
実験室環境下、200mLのトールビーカーに、長さ20mmのスターラーチップと25℃のイオン交換水60mLとを入れ、粉体濡れ性試験機(WET-101P:株式会社レスカ)にセットする。イオン交換水の上にアルミナ粒子50mgを浮かべ、すぐに蓋とメタノール供給ノズルをセットし、スターラー撹拌開始と同時に測定を開始する。メタノール(特級、関東化学株式会社製)の供給速度は2.0mL/分、測定時間は70分間スターラーの撹拌速度は380~420rpmとする。アルミナ粒子は、最初はイオン交換水の界面に浮いているが、メタノール濃度が上昇するにつれて、徐々にイオン交換水とメタノールとの混合液に濡れて液体中に分散する。これにより、液体の光透過率が徐々に低下する。得られたデータから、横軸にメタノールの供給量(mL)から計算されるメタノール濃度(vol%)、縦軸に光透過率(電圧比)(%)をプロットし、光透過率が最大値と最小値の中間となるときのメタノール濃度を、疎水化度として求めることができる。
例えば、特開2012-224542号公報の記載内容を参考にして欧州特許第0585544号明細書の実施例1中に記載された公知バーナー装置に適合させて作製することができる。
例えば、三塩化アルミニウム(AlCl3)320kg/hを約200℃で蒸発装置中にて蒸発させ、塩化物の蒸気を窒素によりバーナーの混合チャンバー中に通過させる。ここで、気体流を水素100Nm3/h及び空気450Nm3/hと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給する。バーナー温度を300℃、チューブの排出速度を約39.8m/sとする。水素0.05Nm3/hをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給する。気体は反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却される。そこでは、アルミナの1次粒子の凝集が行われる。
同時に生成される塩酸含有ガスから、アルミナ粒子をフィルター又はサイクロン中で分離し、湿空気を有する粉末を約500~700℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去する。
以上のようにして、アルミナ粒子を得ることができる。
アルミナ粒子の形状、粒径は、反応条件、例えば火炎温度、水素又は酸素の含有率、三塩化アルミニウムの品質、火炎中での滞留時間又は凝集ゾーンの長さによって変更することができる。
本発明に係る外添剤は、トナー粒子の流動性や帯電性等を制御する観点から、上記アルミナ粒子以外に、その他の外添剤を含有することが好ましい。このような外添剤としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化ホウ素粒子等が挙げられる。
本発明の静電荷像現像用トナーの軟化点は、85~130℃の範囲内であることが好ましく、90~115℃の範囲内であることがより好ましい。トナーの軟化点がこの範囲であるときに、好ましい低温定着性が得られる。トナーの軟化点が130℃以下であれば、定着時にトナー粒子がよりつぶれやすくなり、画像(トナー層)内に空隙がない状態を作るのに適している。85℃以上であれば、耐熱性が向上し、実用的である。
軟化点の測定は、前述の方法、すなわち、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)により測定することができる。
トナー粒子の平均円形度は、0.940~0.980の範囲内であることが好ましい。
ここで、トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は、下記式で計算される。
トナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50)で3~10μmの範囲内のものであることが好ましい。
体積基準メディアン径(D50)を上記範囲とすることにより、例えば、1200dpi(dpi:1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5~10質量%の範囲内になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定範囲1~30μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(D50)とする。
本発明に係るトナー母体粒子を製造する方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
工程(1):トナー母体粒子前駆体用樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調製する工程、
工程(2):凸部用樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調製する工程、
工程(3):トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子の分散液に含有される樹脂粒子を凝集することでトナー母体粒子前駆体を形成する工程、
工程(4):凸部用樹脂粒子を、水系媒体中でトナー母体粒子前駆体に融着させてトナー母体粒子を形成する工程、
を経て、トナー母体粒子が形成される。
工程(1)では、トナー母体粒子前駆体用樹脂及びワックスが含有されたトナー母体粒子前駆体用樹脂粒子の分散液を調製する。
トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子の分散液は、水系媒体で乳化重合することにより、調製することができる。
トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子の分散液中の樹脂粒子の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)が50~500nmの範囲内であることが、凸部の平均長辺長さ及び平均間隔を上述した範囲に制御できる点で好ましい。
界面活性剤は、所望に応じて、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(2)では、凸部用樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調製する。
凸部用樹脂からなる樹脂粒子の分散液とする方法としては、具体的には、例えば、機械的方法により粉砕し、界面活性剤を用いて水系媒体中で分散する方法、有機溶媒に溶解した凸部用樹脂溶液を水系媒体中に投入、分散し、水系媒体分散液とする方法、凸部用樹脂を溶融状態で水系媒体中と混合し、機械的分散方法により水系媒体分散液とする方法及び転相乳化法等が挙げられるが、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
トナー母体粒子に、着色剤が含有される場合、着色剤粒子分散液を調製する工程を経ることが好ましい。
具体的には、着色剤粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
工程(3)では、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子の分散液に含有される樹脂粒子を凝集することでトナー母体粒子前駆体を形成する。
この工程(3)においては、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子に、必要に応じて、荷電制御剤及び着色剤粒子などのその他のトナー構成成分の粒子を凝集させることもできる。
なお、上記工程(1)では、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子が離型剤を含有するものであるとしたが、上記工程(1)において、離型剤をトナー母体粒子前駆体用樹脂粒子に含有させずに、離型剤のみを含有する粒子分散液を別途調製し、工程(3)において、離型剤のみを含有する粒子分散液を、トナー母体粒子前駆体用樹脂粒子分散液に混合させてもよい。
この昇温開始までの時間としては、通常30分間以内であることが好ましい。また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、10℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー母体粒子前駆体の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
トナー母体粒子前駆体は、結晶性ポリエステル樹脂粒子と非晶性樹脂粒子を金属イオンの存在下で凝集、融着させて生成される。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂はトナー内部に微分散させることで低温定着性を効果的に発揮することができる。また、前述のとおり、結晶性ポリエステル樹脂はトナー母体粒子前駆体表面及びトナー母体粒子表面に存在しないことが好ましい。そのため、結晶性ポリエステル樹脂は、凝集剤添加前後、又は反応系が所望の温度に達した時点、といったトナー母体粒子前駆体が成長する前に投入することが好ましい。
工程(3)において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。
これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
当該粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
工程(4)においては、凸部用樹脂粒子を、水系媒体中でトナー母体粒子前駆体に融着させて、トナー母体粒子前駆体表面に複数の凸部を有するトナー母体粒子を形成する。
具体的には、工程(3)にて、トナー母体粒子前駆体を所望の粒子径となるまで成長させ、工程(3)の水系媒体(反応液)中に凸部用樹脂粒子の分散液を投入し、凸部用樹脂粒子をトナー母体粒子前駆体に付着させる。その後、pH調整剤により水系媒体(反応液)のpHを調整して融着させる。
次に、反応液(水系媒体)の上澄みが透明になった時点で凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させる。さらに、昇温を行い、80~90℃の範囲内の状態で加熱撹拌する。
なお、トナー母体粒子を形成する工程において、トナー母体粒子前駆体に凸部用樹脂を融着させる融着時間は、10~180分の範囲内が好ましく、30~120分の範囲内であることが、凸部の平均長辺長さ及び平均間隔を上述の範囲内に制御できる点でより好ましい。
洗浄工程及び乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。すなわち、トナー母体粒子の分散液を、例えば遠心分離器などの公知の方法により、固液分離して洗浄を行い、減圧乾燥にて有機溶媒を除去し、更にフラッシュジェットドライヤー及び流動層乾燥装置など公知の乾燥装置にて水分及び微量の有機溶媒を除去する。乾燥温度は、トナーが融着しない範囲であればよい。
外添剤添加工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を形成する工程である。本発明においては、外添剤として少なくともアルミナ粒子が含有されている。
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。
以下のようにして、非晶性樹脂分散液(SA1)及び(SA2)を調製した。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃として、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
n-ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤) 16.4質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製したスチレン・アクリル樹脂からなる非晶性樹脂分散液(A)を固形分換算で300質量部と、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を90℃にて溶解させた混合液とを添加した。
n-ブチルアクリレート 45.5質量部
2-エチルヘキシルアクリレート 45.5質量部
メタクリル酸 33.1質量部
n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤) 5.5質量部
ベヘン酸ベヘニル(離型剤、融点73℃) 130.0質量部
上記第2段重合により得られたスチレン・アクリル樹脂からなる非晶性樹脂分散液(B)に更にイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム6.0質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、81℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
n-ブチルアクリレート 143.2質量部
メタクリル酸 52.0質量部
n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤) 8.0質量部
非晶性樹脂分散液(SA1)の調製において、第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、非晶性樹脂分散液(SA2)を調製した。
n-ブチルアクリレート 120.0質量部
メタクリル酸 56.0質量部
n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤) 16.4質量部
(1)結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成
下記モノマーを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
1,6-ヘキサンジオール 266質量部
次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)は、重量平均分子量(Mw)が20700、融点(mp)が74℃であった。
次に、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(株式会社日本精機製作所製)によりV-LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)中の結晶性樹脂粒子は、体積基準のメディアン径(D50)が160nmであった。
以下のようにして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)~(AP4)及びハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂分散液(HAP1)を調製した。
(1)非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成
下記の非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱して溶解させた。
テレフタル酸 66.9質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 228.6質量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 57.1質量部
得られた非晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(日本精機製作所製)によりV-LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径(D50)が102nmであった。
非晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(日本精機製作所製)によりV-LEVEL 500μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP2)を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP2)中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径(D50)が68nmであった。
非晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(日本精機製作所製)によりV-LEVEL 250μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP3)を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP3)中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径(D50)が203nmであった。
非晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS-150T(日本精機製作所製)によりV-LEVEL 550μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP4)を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP4)中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径(D50)が50nmであった。
(1)ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
n-ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ-t-ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 281.7質量部
テレフタル酸 63.9質量部
ドデセニルコハク酸 48.4質量部
次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、ビニル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
得られたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は24000、酸価は16.2mgKOH/gであった。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(1)72質量部を、72質量部のメチルエチルケトン中に添加し、30℃で30分撹拌して溶解させた。この油相液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.3質量部を添加して、撹拌器を有する反応容器に入れた。油相液を撹拌しながら、30℃のイオン交換水252質量部を70分間にわたって滴下し、混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後、均一な乳化状態の乳化液を得た。
この乳化液を、ダイヤフラム式真空ポンプV-700(BUCHI社製)を使用し、60℃に昇温し15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、固形分量が21.5質量%のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂分散液(HAP1)を調製した。
レーザー回折式粒度分布測定器LA-750(HORIBA製)にて、ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂分散液(HAP1)中のハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)を測定したところ、99nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム90.0質量部をイオン交換水1600.0質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420.0質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)を調製した。
得られた着色剤微粒子の水系分散液(Bk)について、着色剤微粒子の平均粒径(体積基準のメディアン径(D50))は115nmであった。
なお、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)の体積基準のメディアン径(D50)は、「MICROTRAC UPA-150」(HONEYWELL社製)を用いて測定した。
下記材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15%に調整して離型剤粒子分散液(W1)を調製した。
この離型剤粒子分散液(W1)中の離型剤粒子の体積基準のメディアン径(D50)をレーザー回折式粒度分布測定器LA-750(HORIBA製)にて測定したところ、210nmであった。
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以下のようにして、トナー母体粒子(1)~(12)を作製した。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性樹脂分散液(SA1)441質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)55質量部(固形分換算)、離型剤分散液(W1)35質量部(固形分換算)、及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)で、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
トナー母体粒子(1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)を非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP2)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(2)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)を非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP3)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(3)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)を非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP4)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(4)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の添加量を61質量部(固形分換算)、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)の添加量を108質量部(固形分換算)とした以外は同様にして、トナー母体粒子(5)を作製した。
トナー母体粒子(3)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の添加量を66質量部(固形分換算)、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP3)の添加量を140質量部(固形分換算)とした以外は同様にして、トナー母体粒子(6)を作製した。
トナー母体粒子(3)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP3)の添加量を32質量部とした以外は同様にして、トナー母体粒子(7)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の添加量を26質量部(固形分換算)とした以外は同様にして、トナー母体粒子(8)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の添加量を88質量部(固形分換算)とした以外は同様にして、トナー母体粒子(9)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)をハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂分散液(HAP1)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(10)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)を添加しなかった以外は同様にして、トナー母体粒子(11)を作製した。
トナー母体粒子(1)の作製において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(AP1)を非晶性樹脂分散液(SA2)に変更した以外は同様にして、トナー母体粒子(12)を作製した。
作製した各トナー母体粒子(1)~(12)について、走査型電子写真顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子社製)にて10000倍観察を行ったときのSEM画像データにおいて、凸部及び非凸部を目視で確認し、個々の凸部について輪郭線を描き、この輪郭線を2本の平行線で挟んだとき、2本の平行線の距離が最大となる部分をトナー母体粒子の長辺長さとした。測定では、長辺長さが30nm以上である凸部20個の長辺長さを測定し、同様の測定をトナー母体粒子5個について行い、それらの平均値を凸部の平均長辺長さとした。
測定結果を表Iに示す。
作製した各トナー母体粒子(1)~(12)について、10000倍観察のSEM画像データにおいて、個々の凸部を中心として、当該凸部から近い順に4個の凸部をピックアップし、中心となる凸部の外周からピックアップした4個の凸部の外周までの最短距離の平均を凸部の間隔とした。測定では、長辺長さ30nm以上である凸部を中心として測定される凸部の間隔を、凸部20個について測定し、同様の測定をトナー母体粒子5個について行い、それらの平均値を凸部の平均間隔とした。なお、ピックアップする4個の凸部の長辺長さは問わない。
測定結果を表Iに示す。
作製した各トナー母体粒子(1)~(12)について、10000倍観察のSEM画像データにおいて、トナー母体粒子10個の1μm2あたりの長辺の長さ30nm以上の凸部の数を計測し、その平均値を凸部の平均分布密度とした。
測定結果を表Iに示す。
以下のようにして、アルミナ粒子(1)~(3)を作製した。
三塩化アルミニウム(AlCl3)320kg/hを約200℃で蒸発装置中にて蒸発させ、塩化物の蒸気を窒素によりバーナーの混合チャンバー中に通過させた。ここで、気体流を水素100Nm3/h及び空気450Nm3/hと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給した。バーナー温度を300℃、チューブの排出速度を約39.8m/sとした。水素0.05Nm3/hをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給した。気体は反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却された。そこでは、アルミナの1次粒子の凝集が行われた。
同時に生成される塩酸含有ガスから、アルミナ粒子をフィルター中で分離し、湿空気を有する粉末を約500~700℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去し、アルミナ粒子(1)を作製した。
アルミナ粒子(1)の作製において、チューブの排出速度を約43.5m/sとした以外は同様にして、アルミナ粒子(2)を作製した。
得られたアルミナ粒子(2)の個数平均粒径は、10nmであった。
アルミナ粒子(1)の作製において、チューブの排出速度を約30.9m/sとした以外は同様にして、アルミナ粒子(3)を作製した。
得られたアルミナ粒子(3)の個数平均粒径は、55nmであった。
以下のようにして、トナー(1)~(18)を作製した。
下記材料を、ヘンシェルミキサー「FM20C/I」(日本コークス工業社製)に添加し、羽根先端周速が50m/secとなるように回転数を設定して25分間混合した。混合時の品温は40℃±1℃となるように設定し、41℃になった場合は、ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を5L/分の流量で冷却水を流し、39℃になった場合は、1L/分となるように冷却水を流すことでヘンシェルミキサー内部の温度制御を実施した。
シリカ粒子1(個数平均1次粒径=110nm、疎水化度=72) 0.3質量部
シリカ粒子2(個数平均1次粒径=12nm、疎水化度=67) 0.8質量部
アルミナ粒子(1) 1.0質量部
トナー(1)の作製において、トナー母体粒子(1)をそれぞれトナー母体粒子(2)~(11)に変更した以外は同様にして、トナー(2)~(9)、(15)、(16)及び(18)を作製した。
トナー(1)の作製において、アルミナ粒子(1)をそれぞれアルミナ粒子(2)、(3)に変更した以外はと同様にして、トナー(10)及び(11)を作製した。
トナー(1)の作製において、アルミナ粒子(1)の添加量をそれぞれ0.5質量部、2.0質量部、5.0質量部に変更した以外は同様にして、トナー(12)~(14)を作製した。
トナー(1)の作製において、アルミナ粒子(1)に代えてチタニア粒子(個数平均1次粒径=25nm、疎水化度=75)を2.0質量部添加した以外は同様にして、トナー(17)を作製した。
作製した各トナー(1)~(18)について、軟化点を測定した。
軟化点温度は、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、温度20±1℃、湿度50±5%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP-10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製した。次いで、この成型サンプルを温度24±5℃、湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出した。昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetをトナーの軟化点とした。
測定結果を表Iに示す。
作製した各トナー(1)~(18)に対して、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合樹脂(モノマー質量比=1:1)を被覆した体積平均粒径30μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるようにして混合することにより、現像剤(1)~(18)を作製した。
〈貼り付き力の測定〉
「bizhub PRESS C1070(コニカミノルタ社製)」に、上記作製した各現像剤(1)~(18)を装填して貼り付き力の測定を行った。
具体的には、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、「OKトップコート紙 157g/m2」(王子製紙社製)上でトナーの付着量を8.0g/m2に設定した後、下ローラ温度を70℃として、片面ベタ画像を両面出力モードで、A3サイズで5枚出力した。出力された紙束の上にA3 J紙を500枚のせ2時間放置した。平坦なテーブルの上に置き、一番上の用紙Sの先端にテープTを貼り付け水平方向Hにゆっくり滑らせた。
この際、上から2枚目より下の用紙については動かないように、テーブルに固定しておく。用紙を滑らせるのに要する力をばねばかりで測定した。この測定を上から順に4回繰り返し、ばねばかりの示した力の平均値を貼り付き力とした。貼り付き力が2.0N以下となる場合に実用可能レベルとした。
測定結果を表Iに示す。
表Iから明らかなように、本発明のトナー(1)~(15)は、比較例のトナー(16)~(18)と比べて、貼り付き力が小さいことがわかる。
以上から、トナー母体粒子が、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母体粒子前駆体と、トナー母体粒子前駆体の表面に形成された複数の凸部と、を含んで構成され、外添剤として、アルミナ粒子を含むことが静電貼り付きを抑制することに有用であることが確認できた。
11 トナー母体粒子前駆体
12 凸部
101 トナー母体粒子前駆体用樹脂
101a 非晶性樹脂
101b 結晶性ポリエステル樹脂
102 凸部用樹脂
102a ビニル系重合セグメント
102b ポリエステル系重合セグメント
X 長辺長さ
Y1~Y4 最短距離
Claims (6)
- トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー母体粒子が、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母体粒子前駆体と、前記トナー母体粒子前駆体の表面に形成された複数の凸部と、を含んで構成され、
前記凸部の平均長辺長さが、100~300nmの範囲内であり、
前記凸部の平均間隔が、20~200nmの範囲内であり、
前記凸部の平均分布密度が、8~25個/μm2の範囲内であり、
前記外添剤として、アルミナ粒子を含み、かつ、
下記の方法で測定した貼り付き力が、2.0N以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
〔貼り付き力の測定方法〕
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、「OKトップコート紙 157g/m 2 」(王子製紙社製)上で前記静電荷像現像用トナーの付着量を8.0g/m 2 に設定した後、下ローラ温度を70℃として、片面ベタ画像を両面出力モードで、A3サイズで5枚出力する。出力された紙束の上にA3 J紙を500枚のせ2時間放置する。平坦なテーブルの上に置き、一番上の用紙の先端にテープを貼り付け水平方向にゆっくり滑らせる。この際、上から2枚目より下の用紙については動かないように、テーブルに固定しておく。用紙を滑らせるのに要する力をばねばかりで測定する。この測定を上から順に4回繰り返し、ばねばかりの示した力の平均値を貼り付き力とする。 - 前記凸部が、非晶性ポリエステル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記アルミナ粒子の個数平均粒径が、5~60nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子における前記アルミナ粒子の含有量が、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.1~2.0質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記トナー母体粒子に含まれる樹脂の総質量(100質量%)に対して、3~20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記凸部が、ビニル系重合セグメントと非晶性ポリエステル系重合セグメントとが両反応性単量体を介して結合したハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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