JP5776351B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
1.
少なくとも結着樹脂を含有するコア粒子の表面にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル層を有して成るトナー粒子であって、該トナー粒子表面に体積平均一次粒子径が60nm以上150nm以下のシリカ粒子を含有し、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.
前記シリカ粒子がゾルゲル法によって作製されたものであることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする前記1または前記2に記載の静電荷像現像用トナー。
4.
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が30モル%以上60モル%以下であることを特徴とする前記1から前記3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.
前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする前記1から前記4の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
HOOC−(CR1=CR2)n−COOH
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
6.
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーまたは多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする前記1から前記5の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明のトナーの外添剤として用いられる大径シリカはゾルゲル法、または拡散燃焼法で製造することができる。本発明においては、好ましくは、ゾルゲル法によって製造された大径シリカが好ましい。ゾルゲル法によって製造されたシリカは一般的な製造方法であるヒュームドシリカに比べて粒子径が大きく、また粒度が揃っている(粒度分布が狭い、即ち単分散)ことが特徴である。一般にトナーは攪拌等のストレスを受けることで、外添剤が大粒子径になるほどトナー母体表面から脱離しやすく、小粒子径ほどトナー母体中に埋没しやすい傾向がある。従って、外添剤は、所望の粒子径で粒度分布が狭いほど外添剤埋没、外添剤脱離の比率が低くなるので好ましい。
シリカの体積平均一次粒子径の測定は、「レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA−750」(堀場製作所製)を用い、以下のようにして行った。
本発明のシリカの製造方法は、公知のシリカ粒子製造方法が利用できるが、この場合、本発明のシリカは主として加水分解、縮重合、疎水化処理の3つの工程を経て作製され、必要に応じて乾燥等その他の工程を組み合わせて実施しても良い。
本発明の大径シリカのもうひとつの製造方法として、拡散燃焼法が挙げられる。拡散燃焼法では、分子中にハロゲンを含まないシロキサンを気化することにより定量的にバーナーに供給して、火炎中でシリカを生成せしめるものであり、一般にシロキサンガスを窒素等のキャリアガスと共にバーナーに導入し、バーナー出口でバーナーに別途導入した支燃性ガス(酸素、空気、外気など)と拡散混合してシロキサンを燃焼させると言う手段が採用される。拡散燃焼法については、特開2008−19157号公報に詳しく記載されている。図1は上記拡散燃焼法における大径シリカを製造するためのバーナー断面を示す概略図であり、図1において、中心管1から混合ガスを吐出し、かつ第1環状管2から補助燃料ガスを吐出して燃焼することによりシリカ粒子を製造する。この場合、中心管1と第1環状管2とからなる二重構造を有するバーナーを使用すればよいが、図1に示したように第1環状管2の外側にさらに第2環状管5を備えた3重管構造を有するバーナーを使用し、第2環状管3から酸素ガスを支燃性ガスとして供給することが好ましい。このような支燃性ガス(酸素ガス)を補助燃料ガスの外部から供給することにより、補助燃料が前記混合ガス中に含まれる酸素と反応するのを抑制することができ、効率よくシリカ粒子を生成させることが出来る。また、補助燃料と火炎の外側に存在する空気(外気)との反応による火炎温度の低下を防止し、融着粒子の増加を回避して分散性の悪いシリカ微粒子の発生を防止することができる。
本発明の大径シリカは疎水化処理されていることが好ましい。
RaSiX4−a
ここで、一般式(2)中、aは0〜3の整数であり、Rは水素原子、アルキル基、及びアルケニル基等の有機基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。
本発明のトナーは、少なくともスチレン−アクリル系樹脂を含む結着樹脂を含有するコア粒子の表面に、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有してなるシェル層が形成されてなるトナー粒子よりなるものであって、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂がポリエステルセグメントにスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合されたものとされている。
本発明のトナーを構成するシェル層は、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル樹脂よりなるものである。
HOOC−(CR1=CR2)n−COOH
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の炭素−炭素二重結合の構造単位が含まれていることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。
以上のようなシェル樹脂に含有されるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(A)ポリエステルセグメントを予め重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、スチレン−アクリル系重合セグメントを形成する方法。
(B)スチレン−アクリル系重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレン−アクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(C)ポリエステルセグメントおよびスチレン−アクリル系重合体セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
(D)ポリエステルセグメントを予め重合し、そのポリエステルセグメントの重合性不飽和基にスチレン−アクリル系の重合性モノマーを付加重合し両者を結合する方法。
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程を経ることにより、ポリエステルセグメントの末端にスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成させることができる。この場合、ポリエステルセグメントの末端のヒドロキシ基と両反応性モノマーのカルボキシ基とがエステル結合を形成し、両反応性モノマーのビニル基が芳香族系ビニルモノマーまたは(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基と結合することによってスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合される。
(式(ア)において、Wxはモノマーxの重量分率、Tgxはモノマーxの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。本発明においては両反応性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
本発明に係るスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
また、前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、スチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、上記の混合工程において樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
本発明のトナーを構成するコア粒子は、少なくともスチレン−アクリル系樹脂を含む結着樹脂を含有するものであって、着色剤を含有したものであっても、着色剤を含有しないものであってもよい。
本発明に使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
次に本発明で用いられるトナー母体粒子について説明する。なお、本発明で言う「トナー母体粒子」とは、コア粒子表面にシェル層を有して成るコア・シェル構造を有する粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナー粒子として使用することができるが、通常、外添剤を添加して使用することが好ましい。尚、トナーとはトナー粒子の集合体のことである。
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
トナー母体粒子を製造する方法としては、例えば粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性の観点から、トナー母体粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤粒子の分散液と結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子および結着樹脂粒子を凝集、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナーとする工程
上記(2)の工程において結着樹脂粒子を分散する手法としては、乳化重合により得られる乳化重合粒子分散液を用いることが好ましい。また、結着樹脂粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性モノマーとを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、大径シリカ以外の外添剤を添加することが出来る。
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として使用することが出来る。又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
(外添剤の調製1:大径シリカAの調製)
外添剤としては以下のものを調製した。
(1)撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルの反応器にメタノール630質量部、水90質量部を添加して混合した。この溶液を、撹拌しながらテトラメトキシシラン800質量部の加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。ついで60〜70℃に加熱しメタノール390部を留去し、シリカ微粒子の水性懸濁液を得た。
(2)この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6質量部(テトラメトキシシランに対してモル比で0.1相当量)を滴下してシリカ微粒子表面の処理を行った。(3)こうして得られた分散液にメチルイソブチルケトン1400質量部を添加した後、80℃に加熱しメタノール水を留去した。得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン240質量部を添加し120℃に加熱し3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して大径シリカを調整した。
大径シリカAの調整において、テトラメトキシシランを650質量部にヘキサメチルジシラザンを210質量部に変更した以外は同様に作製し、体積平均粒子径D50=60nm(標準偏差=12nm)の大径シリカBを得た。
大径シリカAの調整において、テトラメトキシシランを1500質量部にヘキサメチルジシラザンを360質量部に変更した以外は同様に作製し、体積平均粒子径D50=150nm(標準偏差=26nm)の大径シリカCを得た。
大径シリカAの調整において、テトラメトキシシランを600質量部にヘキサメチルジシラザンを200質量部に変更した以外は同様に作製し、体積平均粒子径D50=55nm(標準偏差=11nm)のシリカDを得た。
大径シリカAの調整において、テトラメトキシシランを1600質量部にヘキサメチルジシラザンを380質量部に変更した以外は同様に作製し、体積平均粒子径D50=155nm(標準偏差=27nm)の大径シリカEを得た。
加熱気化させたオクタメチルシクロテトラシロキサンと酸素と窒素を5:5の割合で混合した後、バーナー中心管に導入した。また、中心管に隣接する第1環状管には補助燃料ガスとして水素を導入し、更にその外側に隣接する第2環状管には、支燃性ガスとして酸素を導入した。
上記のようにして作成したシリカを用いて、本発明のトナーを以下の手順で作製した。(1)コア用樹脂粒子(A)分散液の作製
(2)シェル用樹脂粒子(B)分散液の作製
(3)着色剤粒子分散液(C)の作製
(4)凝集、融着〜外添剤処理工程
以下順を追って説明する。
(1)コア用樹脂粒子(A)分散液の作製
(1−1)第1段重合(樹脂粒子(a1)の作製)
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に予めアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
モノマー溶液(1)
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 154質量部
メタクリル酸 77質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなるモノマー溶液(1)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、「樹脂粒子(a1)」の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
モノマー溶液(2)
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 27質量部
メタクリル酸 6質量部
n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させてモノマー溶液(2)を調製した。
上記の「樹脂粒子(a11)」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
モノマー溶液(3)
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 78質量部
メタクリル酸 16質量部
n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなるモノマー溶液(3)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア用樹脂粒子(A)が分散された「コア用樹脂粒子(A)分散液」を作製した。コア用樹脂粒子(A)のガラス転移点は45℃、軟化点は100℃であった。
(2)シェル用樹脂粒子(B1)分散液の作製
(2−1)シェル用樹脂(B1)(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂(B1))の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 30質量部
ブチルアクリレート 7質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 0.27質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂(B1)を得た。このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂(B1)のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂(B1)100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメディアン径(D50)が250nmであるシェル樹脂粒子(B1)が分散された「シェル用樹脂粒子(B1)分散液」を作製した。
シェル用樹脂(B1)の作製で用いた重合性モノマーの種類と量を表1のように変更した以外は、同様にしてシェル用樹脂(B2)〜(B10)を作製した。
シェル樹脂粒子(B1)分散液の作製工程において、樹脂粒子(B1)を樹脂粒子(B2)〜(B10)に変更した他は同様にしてシェル用樹脂粒子(B2)〜(B10)分散液を作製した。なお、シェル用樹脂(B5)はシェル用樹脂(B1)の作製において、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー及び両反応性モノマーを添加せず未変性のポリエステルとした。
〈ポリエステル樹脂の作製(ポリエステル樹脂(a)の作製)〉
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物500質量部、テレフタル酸127質量部、フマル酸54質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル(a)とする。ポリエステル(a)は、Tgは65℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部と上記で得られたポリエステル樹脂(a)を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン60.4質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル15.2質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.98質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、スチレン−アクリル含有率10質量%のシェル用樹脂(B11)を得た。
上記で得られたシェル用樹脂(B11)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散後した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が160nm、固形分量が13.5質量%のシェル用樹脂粒子(B11)分散液)を得た。
シェル用樹脂(B11)の作製で用いた重合性モノマーの量を表1のように変更した以外は、同様にしてシェル用樹脂(B12)を得た。
シェル樹脂粒子B11分散液の作製工程において、樹脂粒子(B11)を樹脂粒子(B12)に変更した他は同様にしてシェル用樹脂粒子(B12)分散液を作製した。
(3)着色剤粒子分散液(C)の調製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、カーボンブラック(着色剤粒子(C))が分散されてなる「着色剤粒子分散液(C)」を調製した。この分散液における着色剤粒子(C)の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(4)凝集、融着〜外添剤添加工程(トナーの作製)
≪実施例1≫
(4−1)トナー1の作製
(a)トナー母体粒子1の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア用樹脂粒子(A)の分散液」を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
上記の「トナー母体粒子(1)」100質量部に、大径シリカAを1.30質量部、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
(4−2)トナー2〜15の作製
実施例1の「(4−1)トナー1の作製」において、シェル用樹脂、大径シリカを表2のように変更し、本発明のトナー2〜15を作製した。
(4−3)トナー16〜18(比較用トナー)の作製
実施例1の「(4−1)トナー1の作製」において、シェル用樹脂、大径シリカを表2のように変更し、比較例1〜3の比較用トナー16〜18を作製した。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径35μmのキャリアを得た。
(1)低温定着特性
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPi上質紙128g/m2(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルト150〜200℃、定着下ローラは上ベルトより20℃低く設定し5℃毎の水準で定着させた時に、コールドオフセットが発生しない定着下限温度を評価した。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れている。
○:定着下限温度が150℃以上165℃未満
×:定着下限温度が165℃以上
(2)耐熱保管性
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。トナー凝集率は下記式により算出される値である。
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
○:トナー凝集率が15質量%以上20質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
(3)耐破砕性
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製の「bizhub PRO C6500」で用いられている現像器に、上記現像剤を投入し、単体駆動機にて600rpmの速度で3.5時間駆動させた。そこで、現像器内の現像剤をサンプリングし、トナーの粒度分布をマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて測定した。現像器投入前のトナーと比較して、2.5μm以下のトナー増加率(質量%)を算出し、耐破砕性を評価した。増加率が高いほど現像器内での破砕が発生しやすいことを表す。評価基準は以下の通りである。
○:増加率が5%を超えるが10%以下である
×:増加率が10%を超える
(4)外添剤埋没性
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製のbizhub PRO C6500で用いられている現像器に、上記現像剤を投入し、単体駆動機にて600rpmの速度で3.5時間駆動させた。そこで、現像器内の現像剤をサンプリングし、トナー流動性を測定した。
○:変動率が5%を超えるが10%以下である
×:変動率が10%を超える
(5)帯電量
(トナー帯電量の測定法)
トナーの帯電量測定するにあたって、図2に示す装置を用いて測定した。まず、低温低湿環境下(10℃、20%RH)で、精密天秤で計量した現像剤1gを導電性スリーブ31の表面全体に均一になる様に乗せる。バイアス電源33から導電性スリーブ31に2kVの電圧を供給すると共に、導電性スリーブ31内に設けられたマグネットロール32の回転数を1000rpmにする。この状態で30秒間放置して、トナーを円筒電極34に収集する。30秒後に円筒電極34の電位Vmを読み取ると共に、トナーの電荷量を求め、さらに収集したトナーの質量を精密天秤で測定し、平均帯電量を求めた。
△:平均帯電量が70μC/g以上90μC/g未満である
×:平均帯電量が90μC/g以上である
(6)画像評価
評価装置として、市販のデジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用い、上記で製造したトナーと現像剤を順次装填し、画像評価を行った。
画像濃度は、低温低湿環境下(10℃、20%RH)で、初期と印字面積率5%の文字画像を1万枚プリント後、10cm角のベタ画像をプリントし、画像濃度を反射濃度計「RD−918(マクベス社製9」でランダムに10カ所測定し、その平均濃度で評価した。
○:画像濃度1.30以上かつ初期と1万枚プリント後の画像濃度差が0.20以下
×:画像濃度1.30未満又は初期と1万枚プリント後の画像濃度差が0.20より大きい
〈画像荒れ〉
画像荒れは、高温高湿環境下(30℃、80%RH)で、印字面積率5%の文字画像を1万枚枚プリント後、日本画像学会第一部会発行の「日本画像学会テストチャートNo.3」サンプル番号5−1(カラー連続調ポートレートとカラー階調バッチ)をプリントし、評価した。尚、画像荒れは◎と○を合格とする。
◎:目視で中間調画像の画像荒れを全く感じさせない
○:目視では注視によりかすかな中間調画像の画像荒れを感じる
×:「ランク○」の画像に比べて目視で中間調画像のガサツキ感を感じる
結果を表3に示した。
2 第1環状管
3 第2環状管
31 導電性スリーブ
32 マグネットロール
33 バイアス電源
34 円筒電極
Vm 円筒電極の電位
Claims (6)
- 少なくとも結着樹脂を含有するコア粒子の表面にスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル層を有して成るトナー粒子であって、該トナー粒子表面に体積平均一次粒子径が60nm以上150nm以下のシリカ粒子を含有し、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記シリカ粒子がゾルゲル法によって作製されたものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が30モル%以上60モル%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(1)
HOOC−(CR1=CR2)n−COOH
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。) - 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーまたは多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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