JP2012027059A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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史朗 平野
Yasuhiko Muramatsu
靖彦 村松
Masahiko Nakamura
正彦 中村
Koji Sugama
宏二 須釜
Junya Onishi
隼也 大西
Tatsuya Fujisaki
達矢 藤▲崎▼
Masahiro Yasuno
政裕 安野
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Abstract

【課題】トナーの低温定着化と耐熱保管性及び定着分離性能を満足するトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、該トナーが乳化凝集法で作製されたものであって、該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該ワックスがスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトワックスであり、該ワックスの100℃における動粘度が5mm/s以上20mm/s以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真方式の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
近年、複写機、プリンターの分野では、益々高速化、高機能化する一方、世界的な環境意識の高まりの中で、省エネルギーの観点から稼働時の消費電力を低減することが求められ、精力的な研究が進められてきている。そこで、ネット環境の浸透によるオフィスでのプリンター使用の高頻度化やプリンターやファクシミリ等の小型のデジタル機器のホームユースの浸透により家庭内での使用機会も拡大しており、定格電力や電力コストを削減することは不可避の課題となっている。そこで、プリンターや複写機において、電力消費量の大きい定着エネルギーを削減することが求められており、その課題を達成するため更なる低温定着化が求められている。
一般的にトナーを低温定着化するため軟化点を下げるとトナーは高温条件下でブロッキングしやすくなり耐熱保管性が劣ってしまう。そこで、低温定着化と耐ブロッキング性を両立させるためにトナーをコア・シェル構造とする技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。即ち、軟化点が低く低温定着性に優れたコア粒子表面に軟化点が高く耐ブロッキング性が良好で耐熱性に優れた粒子から成るシェル層を形成することによって低温定着性と耐熱保管性を両立させることが可能となる。
特に乳化凝集法によるトナー製造においては、この様な形状制御が容易に行えるといった利点がある。しかし、近年プロダクションプリント領域においてはプリント速度の高速化、対応紙種の拡大が進む中、トナーを単に前記のようなコア・シェル構造とするだけでは、更なる低温定着化と耐熱保管性の両立に限界が出てきた。
この問題を解決するためシェル層の結着樹脂にポリエステル樹脂を用いたトナーが開発されている(例えば特許文献2参照)。これはポリエステル樹脂がスチレンアクリル系樹脂に比べて高いガラス転移温度を維持しながら低軟化点設計が容易に行えるという利点があり、シェル層にポリエステル樹脂を用いることで、低温定着性と耐熱保管性の良好なトナーを得ることが出来る。しかし、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とは親和性が乏しく、薄層で均一なシェル層の形成が困難であるため、十分な耐熱保管性を得ることが出来なかった。また、ポリエステル樹脂を用いるとトナー中へのワックスの取り込み性が劣るという課題があった。
上記課題を解決するため、粉砕法トナーにおいてグラフトワックスを適用する技術が開示されている(例えば特許文献3参照)。これは、ポリエステル樹脂を結着樹脂に用いるトナーにおいて、スチレンアクリル系樹脂がグラフトした炭化水素系ワックスとカルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基から選ばれる極性基を有するワックスとを2種併用することによって、高速機に使用しても低温定着性と耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性に優れ、かつ耐久性にも優れたトナーを提供しようとするものである。
特開2005−221933号公報 特開2005−338548号公報 特開2007−264621号公報
結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有するトナーにおいて、ワックスとしてグラフトワックスを使用することは、結着樹脂とワックスとの親和性を高め、トナー中へのワックスの取り込み性を高めるとともにワックスの遊離を防ぐ手段として有効であるが、ワックスのグラフト化はワックスの動粘度を上昇させる傾向があり、離型効果が低下してしまう。その結果トナーの定着分離性能を悪化させてしまうという問題があり、低温定着化には限界があった。そのため更なる低温定着化を計ることが難しく、高速機においても低温定着性と定着分離性能の両方を満足することは極めて困難であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有するトナーにおいて、ポリエステル樹脂とワックスの双方にスチレン系又はスチレンアクリル系重合体をグラフトさせることによって、ワックスの取り込み性を改善し、更にグラフトワックスの100℃における動粘度を最適範囲に制御することによって、トナーの低温定着化と耐熱保管性(耐ブロッキング性ともいう)、及び定着分離性能を満足するトナーを提供することを目的としている。
本発明の上記課題は以下の構成とすることによって解決される。
1.
少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、該トナーが乳化凝集法で作製されたものであって、該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該ワックスがスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトワックスであり、該ワックスの100℃における動粘度が5mm/s以上20mm/s以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.
前記ポリエステル樹脂が少なくともスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトポリエステル樹脂であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.
前記トナーがコア・シェル構造を有し、該コアが前記グラフトポリエステル樹脂を含有することを特徴とする前記1または前記2に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明は上記の構成とすることによって、低温定着性に優れ、定着分離性能、耐熱保管性(耐ブロッキング性)に優れたトナーを提供することが出来る。
以下本発明の構成について具体的に説明するが本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
本発明のトナーは、乳化凝集法で作製されたトナーであって、少なくとも結着樹脂と着色剤とワックスとを含有し、該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該ワックスがスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトワックスであって、このグラフトワックスの100℃における動粘度が5〜20mm/sであることを特徴としている。
一般にポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂に用いた場合に、スチレンアクリル樹脂に比べて高いガラス転移温度を維持したまま低軟化点設計が容易に行えることが利点である。このためポリエステル樹脂は低温定着性と耐ホットオフセット性及び耐熱保管性とを両立するために好ましい樹脂である。しかし、前述したようにポリエステル樹脂はワックスとの親和性が悪く、トナー中へのワックスの取り込み性が劣っているという問題があった。そこで、ワックスをスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体とのグラフトワックスとすることによって、この取り込み性を改善するものである。
一般に熱ローラー定着においては、紙などの記録媒体上に転写されたトナー像は、熱定着器から供給された熱エネルギーによって溶融し、紙などの記録媒体上に定着される。この時溶融したトナーが定着器の熱ローラーに付着せず紙に付着するようにするためトナー粒子中にワックスが添加される。トナー中のワックスは定着器で加熱された際に瞬時に溶融し液体となって定着ローラーと溶融したトナーの間に拡がり、定着ローラーに溶融したトナーが付着することを防止する。そのためワックスには定着時に瞬時に溶融し粘度の低い液体になることが好ましい。このためトナーに用いられるワックスは、一般の高分子化合物と異なり、明確な融点を有するものが用いられる。
しかし、前述のようにワックスにスチレン系またはスチレンアクリル系重合体をグラフトしたワックスは、そのグラフト率が高くなるに従って次第に高分子化合物としての性質が強くなり、溶融時の粘度が高くなってしまう。そのため、グラフト率が高くなって動粘度が高くなると定着エネルギーを加えた時に溶融したトナー上にワックスが十分に拡がらず、定着分離性能が悪くなってしまう。そのため、グラフトワックスにおいても溶融時の動粘度が低いことが好ましい。
本発明は、ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いたトナーにおいて、ワックスとしてスチレン系またはスチレンアクリル系重合体がグラフトしたワックスを用いることでワックスの取り込み性を改善し、更にグラフトワックスの動粘度を最適範囲に制御することによって、ワックスとしての性能を最適に保つものである。
<グラフトワックス>
本発明に使用できるグラフトワックスとしては、スチレン系、またはスチレンアクリル系重合体がグラフトした炭化水素系ワックスが好ましい。このスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせる前のワックスを原体ワックスともいう。
(原体ワックス)
原体ワックスとしては、炭化水素系のワックスが好ましく、これらはカルボキシル基や水酸基を有しても良いが、離型性を付与するためには非極性の炭化水素系ワックスが好ましい。非極性の炭化水素系ワックスとしては、天然パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが用いられる。中でもパラフィンワックスが特に好ましい。
(重合性単量体)
このワックスにグラフトさせる重合性単量体としては、スチレン系単量体、アクリル系単量体が使用される。
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
アクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。このなかでもスチレン系モノマーとアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマーとを組み合わせて使用することが好ましい。
重合性単量体としては、第三のビニル系モノマーを使用することも出来る。第三のビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等の酸モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン等が挙げられる。
(グラフトワックスの合成法)
本発明のグラフトワックスの合成方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法によってグラフトワックスを得ることが出来る。
具体的には、例えば放射線重合、光重合、重合開始剤を用いる方法が好ましい。
(連鎖移動剤)
本発明におけるグラフトワックスの合成においては、通常上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤が添加される。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御することができる。連鎖移動剤としては、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが挙げられる。
アルキルメルカプタンとしては、例えば、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−ヘキシルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等が挙げられる。
メルカプト脂肪酸エステルは、例えば、2−メルカプトプロピオン酸エチル、2−メルカプトプロピオン酸プロピル、2−メルカプトプロピオン酸ブチル、2−メルカプトプロピオン酸ヘキシル、2−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、2−メルカプトプロピオン酸デシル、2−メルカプトプロピオン酸ドデシル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸ヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、チオグリコール酸メトキシブチル、2−メルカプトプロピオン酸エチレングリコールエステル、2−メルカプトプロピオン酸ブタンジオールエステル、2−メルカプトプロピオン酸トチロールプロパンエステル、チオグリコール酸ブタンジオールエステル、チオグリコール酸トチロールプロパンエステル、チオグリコール酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は一般に入手できるものや合成したものを使用することが出来る。連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加するのが好ましい。
(グラフトワックスの動粘度)
本発明に用いられるグラフトワックスの100℃における動粘度は、5mm/s以上20mm/s以下の範囲である。5mm/s以下ではグラフト率が十分でなく、トナーへのワックスの取り込みが悪化する。20mm/s以上の場合定着分離性能が悪化する。グラフトワックスの動粘度は、後述するようにグラフトワックスのグラフト率を制御することで調整可能である。
(グラフトワックスの動粘度測定法)
グラフトワックスの動粘度とは、100℃においてJIS K2283に記載の懸垂液面計形式のウベローデ粘度計により測定することによって得られる値を言う。
(グラフトワックスのグラフト率)
ここでグラフト率とはワックスに対するスチレン系単量体、アクリル系単量体などのグラフト成分の添加割合を言う。即ち、ワックス100質量部に対する重合性単量体の添加量をグラフト率とした。本発明では上記動粘度を有するグラフトワックスを得るための、スチレン系単量体、アクリル系単量体の添加量は、5質量%以上50質量%以下が好ましい。この範囲であれば、上記動粘度を有するグラフトワックスを得ることが出来る。また、5質量%以下の場合、グラフト率が十分でなく、トナーへのワックスの取り込みが悪化する。50質量%以上の場合、低温定着性が悪化する。また、50質量%以上のグラフト率であると動粘度が20mm/sを越えて離型性が悪化しワックスとしての性能が劣ってしまう。
(グラフトワックスの添加量)
本発明においてはトナー結着樹脂に対するグラフトワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して、2質量部から20質量部の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは3質量%から18質量%、更に好ましくは4〜15質量%である。である。グラフトワックスの添加量が、この範囲である時に良好な離型効果が得られる。
また、グラフトワックスの融点としては、トナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃であることが好ましい。
<ポリエステル樹脂>
本発明のトナーは結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有するものである。ポリエステル樹脂としてはスチレン系重合体、またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフト変性ポリエステル樹脂(以下簡単にグラフトポリエステル樹脂ともいう)が好ましい。
本発明のトナーの結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂は、(1)多価カルボン酸およびその誘導体と(2)多価アルコールおよびその誘導体よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造される。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示できる。
(多価カルボン酸)
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、たとえば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
(多価アルコール)
多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、たとえば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
これらの重縮合性単量体の組み合わせによりポリエステル構造を非結晶樹脂構造や結晶性樹脂構造またはそれらの混合構造など任意に制御することが可能であり、本発明において、ポリエステル樹脂は1種類または2種類以上のポリエステルを使用することができ、更に非結晶性、結晶性などポリエステル構造の組み合わせは任意に選定することができる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、スチレン系単量体、アクリル系単量体などの重合性ビニル単量体とグラフト重合可能とするために、ポリエステル樹脂骨格中にエチレン性不飽和結合を有する重縮合性単量体を構成成分として含有することが好ましい。
より具体的には、たとえばポリエステルの重縮合性単量体の多価カルボン酸成分として、エチレン性不飽和結合を有するマレイン酸、フマル酸などを併用することができる。これらマレイン酸、フマル酸などを添加することにより、ポリエステル主鎖中または末端にエチレン性不飽和結合を容易に導入することが可能となる。
これらのエチレン性不飽和結合を導入したポリエステル樹脂と重合性ビニル単量体とを通常のラジカル重合開始剤により重合反応させることにより、容易にグラフトポリエステル樹脂を形成させることが可能となる。
更に、他の手法としては、高濃度のラジカル重合開始剤存在下にラジカル重合性単量体とポリエステル樹脂を混合し重合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂の骨格中からのラジカル引き抜き反応を引き起こし、ポリエステル主鎖にビニル単量体をグラフト導入できることが見出されている。
特にビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂へのビニル系重合体のグラフト鎖導入手法として本手法が有効であることが認められている。本発明ではこれら既存の手法を用いてポリエステル主鎖中へのグラフト鎖の導入を行うことが可能であり、その手法に特に制限はない。
(重合用触媒)
本発明のポリエステル樹脂の重合用触媒としては、一般的な公知の触媒が使用可能であり、特に限定されない。
(重合性ビニル単量体)
本発明においてポリエステル樹脂にグラフト重合可能な重合性ビニル単量体とは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基としては、具体的にビニル基、プロペニル基、スチリル基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレイン酸エステル基などのエチレン性不飽和基、ブタジエニル基などの共役エチレン(ポリエン)性不飽和基を挙げることができる。
重合性ビニル単量体としては、芳香族系ビニル単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が例示することができるが、これらに制限されることはなく、またこれらのモノマーは単独または2種類以上を併用して用いてもよく、これらのモノマーの重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルジョン法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行うことにより重合物を得ることができる。
重合性ビニル単量体としては、その帯電特性、画質特性などの点から、ビニル単量体の主成分として、スチレンまたはその誘導体を用いることが好ましい。
(ポリエステル樹脂のグラフト率)
本発明ではポリエステル樹脂にスチレンアクリル樹脂をグラフトさせるが、グラフト率は5〜30質量%の範囲であり、好ましくは10〜20質量%である。
本発明で言うグラフト率とはポリエステル樹脂の質量に対するスチレンアクリル樹脂成分の質量の割合を言う。即ちポリエステル樹脂100質量部に対して添加したスチレン系及びアクリル系単量体の質量をグラフト率とした。
本発明ではグラフト率が5質量%以下では、ワックスとポリエステル樹脂との親和性が劣りワックスの取り込み性が十分でなく、30質量%以上では、ポリエステル樹脂の持つ高いガラス転移温度を維持したまま低軟化点設計が容易に行えるという利点を活かすことが出来ないため低温定着性が劣ってしまう。
(グラフトポリエステル樹脂の製造方法)
グラフトポリエステル樹脂の好ましい製造方法は、ポリエステル樹脂と、ビニルモノマーとを混合する工程(混合工程)、およびこのビニルモノマーを重合する工程(重合工程)を少なくとも含む製造方法である。
前記混合工程においては、加温することが好ましく、ビニル単量体およびポリエステル樹脂が混合可能な範囲で適宜選択することができる。80℃以上120℃以下で混合することがより好ましく、85℃以上115℃以下であることがより好ましく、90℃以上110℃以下であることが更に好ましい。加温する温度が上記範囲内であると、良好な混合が得られると共に、重合制御が容易であるので好ましい。
また、前記重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
この場合、残留モノマー量など乳化物からの揮発性有機物質が好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは200ppm以下に抑えることが実用上望ましい。
また、重合温度は特に限定されず、ビニルモノマー同士の重合およびポリエステル樹脂へのグラフトが進行する範囲で適宜選択することができる。重合温度としては85℃以上125℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95℃以上115℃以下であることが更に好ましい。
(連鎖移動剤)
本発明のポリエステル樹脂のグラフト重合においては、通常上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤が添加される。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。連鎖移動剤としては、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが挙げられる。
アルキルメルカプタンとしては、例えば、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−ヘキシルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等が挙げられる。
メルカプト脂肪酸エステルは、例えば、2−メルカプトプロピオン酸エチル、2−メルカプトプロピオン酸プロピル、2−メルカプトプロピオン酸ブチル、2−メルカプトプロピオン酸ヘキシル、2−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、2−メルカプトプロピオン酸デシル、2−メルカプトプロピオン酸ドデシル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸ヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、チオグリコール酸メトキシブチル、2−メルカプトプロピオン酸エチレングリコールエステル、2−メルカプトプロピオン酸ブタンジオールエステル、2−メルカプトプロピオン酸トチロールプロパンエステル、チオグリコール酸ブタンジオールエステル、チオグリコール酸トチロールプロパンエステル、チオグリコール酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は一般に入手できるものや合成したものを使用することが出来る。連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体に対して、0.1質量%から5質量%の範囲で添加するのが好ましい。
本発明におけるトナーに用いるビニルモノマーがグラフト重合されたポリエステル樹脂としては、トナーの定着性(低温定着性、定着分離性)、耐熱保管性の観点から、ガラス転移点Tgは50℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。軟化点は80℃から110℃が好ましい。
また、非結晶樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
尚、前記の「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が10℃以上の樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
また、用いるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。
重量平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット性が良好であるので好ましい。また、重量平均分子量が60,000以下であると、良好なホットオフセット性および好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
また、重縮合性単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
また、グラフト鎖の導入の確認法についても、種々の既存の有機構造分析法を用いることが可能である。
例えば、プロトン、カーボンNMR法を用いた構造解析、IRなどの赤外吸収法、グラディエントGPC法などが特にポリマーの立体規則構造の分析手法としては有効である。
たとえば、上記ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合をポリエステル骨格に導入した場合においては、プロトンNMRにおける二重結合性プロトンの積分値の低下、消失量、グラフト部に新たに出現するプロトン積分値の解析により、グラフト反応を確認することが可能である。このような方法としては、ロバート・シルバーステイン、フランシス・ウェブスター共著(Robert Silverstein and Fransis Webster)、「スペクトロメトリック アイデンティフィケイション オブ オーガニック コンパウンズ(Spectrometric Identification of Organic Compounds)」(米国)第6版(sixth Edition)、ジョン ウイリー アンド サンズ(John Wiley & Sons)、1996年に記載されている方法を参照することができる。
<トナーの製造方法>
本発明のトナーはコア・シェル構造とすることが好ましいが、この場合、コアを構成する樹脂としては、前述のグラフトポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
また、シェル層を構成する樹脂としては、コア樹脂と同様前述のポリエステル樹脂、またはグラフトポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤とワックスを含有し、必要に応じて内添剤とを用いてトナー母体粒子を得、このトナー母体粒子に対して必要に応じて外添剤を添加することによって製造することができる。
本発明のトナーを製造する方法としては、乳化凝集法が用いられる。この乳化凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性に優れており、トナー母体粒子の粒径制御も容易であり、またトナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化重合、若しくは有機溶媒に溶解した樹脂を水などの貧溶媒に添加することによって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに加熱することによって結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の微粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
本発明の乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子および結着樹脂微粒子を凝集、会合、融着させてトナー粒子を形成する工程
(4)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー粒子を乾燥する工程
(6)トナー粒子に外添剤を添加する工程
また、乳化凝集法によるトナー粒子製造方法では、コア・シェル構造を有するトナー粒子を得ることもできる。具体的にコア・シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
(トナー母体粒子)
次に本発明で用いられるトナー母体粒子について説明する。なお、本発明で言う「トナー母体粒子」とは、前述した様に、外添剤を添加する前の状態におかれているトナー粒子の母体となる少なくとも結着樹脂と着色剤とワックスを含有する粒子のことである。
先ず、本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度について説明する。本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。すなわち、本発明では、トナー母体粒子の形状について、粉砕法で作製されることの多い平均円形度が0.850のあまり丸みを帯びていないものから、重合法で主に作製可能な平均円形度が0.990の真球に近い丸みを帯びたものまで選択することができる。
ここで、トナー母体粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
なお、本発明では、上述したトナー母体粒子の平均円形度の値と外添剤を添加したトナー粒子よりなるトナーの平均円形度の値とは一致するものである。
(トナー母体粒子の粒径)
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー母体粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50v径)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。外添剤処理後のトナー粒子の粒径としても、体積基準メディアン径(D50v径)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。従って、前述した本発明の構成を有するトナーとすることにより、トナー粒子表面からの外添剤の脱離が起きなくなり、デジタルの画像形成で必須となる微小なドット画像を長期にわたり安定して作成することが可能になる。
トナー母体粒子の体積基準メディアン径(D50v径)は、たとえば、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー母体粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー母体粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー母体粒子分散液を作製する。このトナー母体粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)のアパチャー径は50μmのものを使用する。
(トナー母体粒子の製造方法)
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の製造方法について説明する。
本発明で用いられるトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる粒子で、電子写真方式の画像形成に使用されるトナー粒子の母体を構成するもので、一般に、母体粒子あるいは着色粒子と呼ばれるものである。本発明で用いられるトナー母体粒子は、特に限定されるものではないが、前述のように乳化凝集法で作製することが好ましく、またコア・シェル構造とすることが更に好ましい。
乳化凝集法の樹脂粒子を凝集会合させる工程について説明する。
凝集工程においては、ポリエステル樹脂粒子の水分散液と、着色剤粒子やワックス粒子、必要に応じて荷電制御剤粒子、その他トナー構成成分の粒子の分散液とを混合して凝集用分散液を調製し、ポリエステル樹脂粒子および着色剤粒子などを水系媒体中で凝集・融着させ、着色粒子の分散液を形成させる。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属の塩、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属の塩などが挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
凝集工程においては、凝集剤を添加した後に放置する放置時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、凝集剤を添加した後、凝集用分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂組成物のガラス転移点以上とすることが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過によって粒子の凝集状態が変動して、得られるトナー粒子の粒径分布が不安定になったり、表面性が変動したりする問題が発生するおそれがあるからである。放置時間は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
また、凝集工程においては、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、凝集用分散液がガラス転移点温度以上の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
(着色剤)
本発明のトナーに使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロムなどを用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
(着色剤の分散)
着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
(荷電制御剤)
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
この荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
(外添剤)
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、外添剤を添加することが出来る。
本発明で用いられる外添剤としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。
トナーの流動性や帯電性能を制御する観点で使用可能な外添剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化亜鉛等の各種無機微粒子などが挙げられ、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。その他有機微粒子、有機無機複合微粒子等も使用可能である。外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。外添剤の添加量は前述した方法で固着させる外添剤も含めトナー粒子に対して0.05質量%から5.0質量%の範囲が好ましい。
(滑剤)
また、転写残トナーなど感光体上に残留したトナーのクリーニング性を高めるため、滑剤を使用することも可能である。滑剤の具体例として、高級脂肪酸の金属塩を代表的なものとして挙げることができる。高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム等のリシノール酸金属塩等がある。
外添剤及び滑剤の添加、混合方法としては、乾燥済みのトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
(現像剤)
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
(画像形成装置)
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《トナーの作製》
本発明のトナーは、以下のようにして作製した。
<スチレン系重合体によりグラフト化したワックスの作製>
(グラフト化したワックス1の作製)
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコにパラフィンワックス(融点78℃)500質量部を攪拌しながら加熱溶融した後、スチレン/n−ブチルアクリレート混合モノマー100質量部(混合比:スチレン/n−ブチルアクリレート=80/20)に反応開始剤ジクミルパーオキシド5質量部を混合した液を滴下し、5時間にわたり反応を継続し、グラフト化した「ワックス1」を得た。
(グラフト化したワックス2〜6の作製)
スチレン/スチレンアクリル系モノマーの量を表1に記載の通りに変更した以外は、ワックス1と同様にして、グラフト化した「ワックス2〜6」を得た。
Figure 2012027059
<樹脂粒子の分散液>
(非結晶性ポリエステル樹脂の合成)
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマーを混合し、反応液を調製した。この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)(非結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
反応液
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸 13.50質量部
フマル酸 12.90質量部
イソフタル酸 0.55質量部
トリメリット酸 2.20質量部
(多価アルコールモノマー)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
25質量部
生成される水を留去しながら、同温度から6時間を要して240℃まで昇温し、240℃でさらに6時間、脱水縮合反応を継続して重合を行って、「非結晶性ポリエステル樹脂1」を得た。
得られた非結晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)を用い、昇温速度3℃/minにて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
(コア粒子用樹脂1の作製)
ビニルモノマー混合体(混合比:スチレン20質量部/n−ブチルアクリレート5質量部/ドデカンチオール3質量部)28質量部を、100質量部の「非結晶性ポリエステル樹脂1」に添加し、100℃にてよく撹拌混合した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部を開始剤として添加し、ビニルモノマーの非結晶性ポリエステル樹脂Aへのグラフト重合を105℃にて3時間行い、コア用「樹脂1」を得た。
(コア用樹脂2〜3の作製)
スチレン/スチレンアクリル系モノマーの量を表2に記載の通りに変更した以外は、コア用「樹脂1」と同様にして、コア用「樹脂2〜3」を得た。
Figure 2012027059
(コア用樹脂粒子の分散液(C1)の調製)
100質量部の「樹脂1」を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し溶解した後、グラフト化した「ワックス1」を10質量部添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が180nm、固形分量が14.7質量%の「コア用樹脂粒子の分散液(C1)」を得た。
(コア用樹脂粒子の分散液(C2〜9)の調製)
ワックス及びコア用樹脂を表3に記載の通りに変更した以外は「コア用樹脂粒子の分散液(C1)」と同様にして、「コア用樹脂粒子の分散液(C2〜9)」を得た。
(シェル用樹脂粒子の分散液(S1)の調製)
得られた「非結晶性ポリエステル樹脂1」100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が140nm、固形分量が13.5質量%の「シェル用樹脂粒子の分散液(S1)」を得た。
<着色剤分散液の調整>
(着色剤分散液の作成)
アニオン系界面活性剤としてC1225O(CHCHO)SONa、59質量部をイオン交換水1600質量部に攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。分散させた青色顔料の粒径を「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したところ、117nmであった。これを着色剤分散液(1)とする。
<トナー1の作製>
(凝集・融着工程)
攪拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、コア用樹脂粒子の分散液(C1)を固形分換算で270質量部と、イオン交換水1400質量部と、着色剤分散液120質量部と、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が5.0μmになった時点で、シェル用樹脂粒子の分散液(S1)を固形分換算で30質量部添加し、シェル用樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度90℃にて加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。この状態で「FPIA−2100」(Sysmex社製)にて会合粒子の形状を測定し、形状係数が0.965になるまで粒子間の融着を進行させた。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、攪拌を停止した。
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成した粒子を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー用母体粒子〔1〕を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子〔1〕」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
<トナー2〜9の作製>
トナー1の作製で用いた「コア用樹脂粒子分散液」、「シェル用樹脂粒子の有無」を、表3のように変更した以外は同様にして「トナー2〜9」を作製した。
Figure 2012027059
<現像剤の作製>
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径50μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
上記キャリアにトナーをそれぞれトナー濃度が6質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤を作製した。
《トナーの特性評価》
評価用の画像形成装置としては、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いた。尚、定着装置は、加熱ローラの表面温度を120〜170℃の範囲で、10℃刻みで変更できるように改造したものを用いた。この画像形成装置に上記で作製した各トナーと現像剤を順次装填し、A4サイズの上質紙(64g/m)にプリントを行った。
<低温定着性>
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、定着温度を120〜170℃の範囲で5℃刻みで変化させながら、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)にて、1.5cm×1.5cmのベタ画像(付着量2.0mg/cm)をとり、それぞれの画像を真中から2つに折り曲げてその画像の耐剥離性を目視にて評価した。画像が若干剥離した時の定着温度と全く剥離しない下限の定着温度との間の温度を定着下限温度とした。
○:定着下限温度が140℃未満であった
△:定着下限温度が140℃以上、150℃未満であった(実用上問題なし)
×:定着下限温度が150℃以上であった(実用上問題あり)。
<定着分離性>
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、加熱ローラの表面温度を120℃、140℃、160℃と変化させ、それぞれの表面温度の際に、搬送方向に対して垂直方向に5cm幅のベタ帯状画像を有するA4画像をA4判上質紙(64g/m)上に形成し、縦送りで搬送した際における画像側の加熱ローラと紙との分離性を評価した。
○:A4判上質紙がカールすることなく加熱ローラと分離する
△:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離するが、画像上に分離爪の後はほとんど目立たない(実用上問題なし)
×:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離し、画像上に分離爪跡が残る、もしくは加熱ローラに巻きついてしまい当該加熱ローラと分離できない
<耐熱保管性>
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
(トナー凝集率(%))=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
○:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
△:トナー凝集率が20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
Figure 2012027059
以上の結果から明らかなように本発明のトナーは比較用トナーに比べて、低温定着性、定着分離性、耐熱保管性(耐ブロッキング性)において優れたトナーであることが分かる。

Claims (3)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、該トナーが乳化凝集法で作製されたものであって、該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該ワックスがスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトワックスであり、該ワックスの100℃における動粘度が5mm/s以上20mm/s以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記ポリエステル樹脂が少なくともスチレン系重合体またはスチレンアクリル系重合体をグラフトさせたグラフトポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナーがコア・シェル構造を有し、該コアが前記グラフトポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
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