JP2011247932A - コアシェル型静電荷現像用トナー、静電荷現像用トナーの製造方法および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、小粒径であって、低温定着性、定着分離性、保存安定性に優れるコアシェル型静電荷現像用トナー、それを製造するための静電荷現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーであって、該コア層は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子、が凝集したコア凝集体を含有することを特徴とするコアシェル型静電荷現像用トナー。
【選択図】なし
【解決手段】コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーであって、該コア層は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子、が凝集したコア凝集体を含有することを特徴とするコアシェル型静電荷現像用トナー。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真用のトナーに関する。
電子写真方式による画像形成を行う印刷分野においては、近年、消費電力の低減化、プリントの高速化、画像形成媒体の多様化、高画質化などに対応するために、従来の温度より低い温度でトナー画像の定着を行うことができるといういわゆる低温定着性、トナー粒子の小粒径化が要求されている。
これらの要求に対する技術として、たとえば、トナー構成樹脂のガラス転移温度や軟化点の低い樹脂や、低融点のワックスを使用する方法等がある。
この様な、ガラス転移温度や軟化点の低い樹脂を用いたトナーを用いると、従来よりも低い温度でトナー画像の定着が可能であるが、熱的安定性を犠牲にしているため、未使用のトナー同士がくっつくブロッキングと呼ばれる現象が起きやすく、トナーの保存安定性が充分でない等の問題があった。
そして、このような問題を改良する技術としてたとえば、特開2004−191927号公報に記載の、結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含み、表面が無定形高分子を主成分とする表面層で被覆されたコアシェル構造の静電荷像現像用トナーを用い、低温定着性、帯電特性を両立させる技術が知られている。
また、低温定着性、保存安定性、耐高温オフセット性を同時に満足する技術として、たとえば、コア粒子表面に、ウレタン変成ポリエステル樹脂またはアクリル変性樹脂を含むシェル層を有してなるトナー粒子を含有する電子写真用トナーが知られている(特許文献1参照)。
また、保存安定性、帯電安定性に優れ小粒径化が可能である技術として、コア部に結晶性ポリエステルおよび非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステルの水系分散液を凝集させて得られるものを用い、シェル部に非晶質ポリエステルを用いた、コアシェル樹脂粒子を結着樹脂として含むトナーが知られている(特許文献2参照)。
他方、定着温度領域が広く、流動性に優れたトナーを得る技術として、ポリエステル樹脂の存在化でビニルモノマーが重合されてなる樹脂、ワックスおよびワックス分散剤からなるトナーバインダーを用いる技術が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらのトナーにおいても、トナーの小粒径化を図りつつ、低温定着性、定着分離性、保存安定性を同時に満足するには不充分なものであった。
本発明の目的は、小粒径であって、低温定着性、定着分離性、保存安定性に優れるコアシェル型静電荷現像用トナー、それを製造するための静電荷現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーであって、該コア層は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子、が凝集したコア凝集体を含有することを特徴とするコアシェル型静電荷現像用トナー。
2.前記グラフトポリエステル樹脂が、前記重合性ビニルモノマーに由来するモノマー単位を5質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする前記1に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
3.前記コア用粒子が、前記グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液を用い、形成された粒子であることを特徴とする前記1または2に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
4.前記コア作製用溶液中のワックスとワックス分散助剤との含有量の割合が、10:4〜10:6(質量比)であることを特徴とする前記3に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
5.前記3または4に記載のコアシェル型静電荷現像用トナーを製造する、静電荷現像用トナーの製造方法であって、前記グラフトポリエステル樹脂、前記ワックスおよび前記ワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液中で、前記グラフトポリエステル樹脂、前記ワックスおよび前記ワックス分散助剤を含有する液滴を形成する乳化工程、該液滴から前記コア用粒子を形成させる粒子形成工程および前記コア用粒子を凝集させ前記コア凝集体を作製する凝集工程を有することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
6.コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーを製造する、静電荷現像用トナーの製造方法であって、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液中で、該グラフトポリエステル樹脂、該ワックスおよび該ワックス分散助剤を含有する液滴を形成する乳化工程、該液滴からコア用粒子を形成させる粒子形成工程および該コア用粒子を凝集させコア凝集体を作製する凝集工程、該シェル層の樹脂を含有し、該コア凝集体を分散して含有するトナー作製用溶液を用い該シェル層を形成する工程を有することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
7.潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
該潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
該潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、
および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該トナーが、前記1から4のいずれか1項に記載のコアシェル型静電荷現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
該潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
該潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、
および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該トナーが、前記1から4のいずれか1項に記載のコアシェル型静電荷現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
本発明の上記手段により、小粒径であって、低温定着性、定着分離性、保存安定性に優れるコアシェル型静電荷現像用トナー、それを製造するための静電荷現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法が提供できる。
本発明は、コア層および、樹脂からなり、このコア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーであって、このコア層は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子が凝集したコア凝集体を含有することを特徴とする。
本発明においては、特にコア層に、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子が凝集したコア凝集体を用いることにより、小粒径であって、低温定着性、定着分離性、保存安定性に優れるコアシェル型静電荷現像用トナーが得られる。
本発明において、上記のコア凝集体は、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液を用いることにより作製できる。
(グラフトポリエステル樹脂)
本発明に係るグラフトポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂である。
本発明に係るグラフトポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂である。
<重合性ビニルモノマー>
本発明において重合性ビニルモノマーとは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
本発明において重合性ビニルモノマーとは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基としては、具体的にビニル基、プロペニル基、スチリル基、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、マレイン酸エステル基などのエチレン性不飽和基、ブタジエニル基などの共役エチレン(ポリエン)性不飽和基を挙げることができる。
重合性ビニルモノマーとしては、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が例示することができるが、これらに制限されることはなく、またこれらのモノマーは単独または2種類以上を併用して用いてもよく、これらのモノマーの重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルジョン法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行うことにより重合物を得ることができる。
重合性ビニルモノマーとしては、その帯電特性、画質特性などの点から、ビニルモノマーの主成分として、スチレンまたはその誘導体を用いることが好ましい。
重合性ビニルモノマーのグラフトポリエステル樹脂に対する含有量としては、重合性ビニルモノマーの繰り返し単位部分の質量の割合で、全グラフトポリエステル樹脂に対して、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲である。
前記モノマー単位の含有量が5質量%以上50質量%以下であると、後述するコア凝集体へのワックス取り込み性が良好となり、トナーの定着特性が良好となり好ましい。
(ポリエステル樹脂)
本発明において用いられるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)および多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものである。
本発明において用いられるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)および多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものである。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示できる。
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、たとえば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、たとえば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
これらの重縮合性単量体の組み合わせによりポリエステル構造を非結晶樹脂構造や結晶性樹脂構造またはそれらの混合構造など任意に制御することが可能であり、本発明において、ポリエステル樹脂は1種類または2種類以上のポリエステルを使用することができ、更に非結晶性、結晶性などポリエステル構造の組み合わせは任意に選定することができる。
たとえば結晶性ポリエステル構造を得るためには、使用される多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。また多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等も挙げることができる。
非結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸を挙げることができる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、または、エステル等に誘導したものを用いてもよい。これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。尚、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、上記ポリオールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールや、これらのアルキレンオキサイド付加物等を用いることが好ましい。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが例示できる。
本発明においては、コア層に用いられるポリエステル樹脂は重合性ビニルモノマーとグラフト重合可能である必要がある。従って、上述したように、樹脂中にエチレン性不飽和結合やビスフェノールA構造を導入できるように重縮合性単量体を選択することが好ましい。
エチレン性不飽和結合を導入可能な多価カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸が好適に使用できる。
ポリエステル樹脂としては、結晶性の場合の結晶融点Tmは50℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは55℃以上90℃以下の範囲である。
Tmが50℃以上であると、高温度領域での結晶性樹脂の凝集力が適切な範囲であり、定着の際に良好な剥離性が得られ、更にオフセットの発生を生じることがないので好ましい。また、Tmが120℃以下であると、十分な溶融が得られ、好適な最低定着温度が得られるので好ましい。
一方、ポリエステル樹脂粒子が非晶性の場合、ガラス転移点Tgは30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。Tgが30℃以上であると、高温度領域での樹脂自体の凝集力が適切であり、定着の際にホットオフセットを生じることがないので好ましい。また、Tgが80℃以下であると、十分な溶融を得ることができ、好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
ここで、結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
また、非結晶樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
尚、前記の「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が10℃以上の樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
また、用いるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。
重量平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット性が良好であるので好ましい。また、重量平均分子量が60,000以下であると、良好なホットオフセット性および好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
また、重縮合性単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
<グラフトポリエステル樹脂の製造方法>
ポリエステル樹脂へのビニルモノマーのグラフト方法として、ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和結合(ラジカル重合性二重結合)を導入し、グラフト開始点として利用する方法が挙げられる。
ポリエステル樹脂へのビニルモノマーのグラフト方法として、ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和結合(ラジカル重合性二重結合)を導入し、グラフト開始点として利用する方法が挙げられる。
より具体的には、たとえばポリエステルの重縮合性単量体として、予めマレイン酸、フマル酸などを使用することにより、その骨格中にエチレン性不飽和結合を導入することが可能であり、ポリエステル主鎖中または末端にエチレン性不飽和結合を容易に導入することができる。
これらラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を導入したポリエステル樹脂と重合性ビニルモノマーとを通常のラジカル反応開始剤により重合反応させることにより、容易にグラフトを形成させることが可能となる。
更に、他の手法としては、高濃度のラジカル重合開始剤存在下にラジカル重合性単量体とポリエステル樹脂を混合し重合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂の骨格中からのラジカル引き抜き反応を引き起こし、ポリエステル主鎖にビニルポリマーをグラフト導入できることが見出されている。
特にビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂へのビニル系重合体のグラフト鎖導入手法として本手法が有効であることが認められており、たとえば特公昭63−17869号公報に記載の方法を例示することができる。
本発明ではこれら既存の手法を用いてポリエステル主鎖中へのグラフト鎖の導入を行うことが可能であり、その手法に特に制限はない。
また、グラフト鎖の導入の確認法についても、種々の既存の有機構造分析法を用いることが可能である。
たとえば、プロトン、カーボンNMR法を用いた構造解析、IRなどの赤外吸収法、グラディエントGPC法などが特にポリマーの立体規則構造の分析手法としては有効である。たとえば、上記ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合をポリエステル骨格に導入した場合においては、プロトンNMRにおける二重結合性プロトンの積分値の低下、消失量、グラフト部に新たに出現するプロトン積分値の解析により、グラフト反応を確認することが可能である。このような方法としては、R.Silverstein and F. Webster,Spectrometric Identification of Organic Compounds sixth Edition,John Wiley & Sons,1996に記載されている方法を参照することができる。
グラフトポリエステル樹脂の好ましい製造方法は、ポリエステル樹脂と、ビニルモノマーとを混合する工程(混合工程)、およびこのビニルモノマーを重合する工程(重合工程)を少なくとも含む製造方法である。
前記混合工程においては、加温することが好ましく、ビニルモノマーおよびポリエステル樹脂が混合可能な範囲で適宜選択することができる。80℃以上120℃以下で混合することがより好ましく、85℃以上115℃以下であることがより好ましく、90℃以上110℃以下であることが更に好ましい。加温する温度が上記範囲内であると、良好な混合が得られると共に、重合制御が容易であるので好ましい。
また、前記重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
この場合、残留モノマー量など乳化物からの揮発性有機物質が好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは200ppm以下に抑えることが実用上望ましい。
また、重合温度は特に限定されず、ビニルモノマー同士の重合およびポリエステル樹脂へのグラフトが進行する範囲で適宜選択することができる。重合温度としては85℃以上125℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95℃以上115℃以下であることが更に好ましい。
本発明におけるトナーに用いるビニルモノマーがグラフト重合されたポリエステル樹脂としては、トナーの定着性(低温定着性、定着分離性)、耐ブロッキング性の観点から、ガラス転移点Tgは30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上70℃以下の範囲である。
また、樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
(ワックス、ワックス分散助剤)
本発明に用いられるワックスとしては、たとえば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明に用いられるワックスとしては、たとえば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、ワックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。ワックスの融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
ワックスの含有量としては、帯電特性などの面からグラフトポリエステル樹脂100質量部に対して好ましくは1質量部以上20質量部以下、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。
本発明に用いられるワックス分散助剤は、ワックスのグラフトポリエステル樹脂への分散性を向上させるものであれば特に制限はなく、具体的にはノニオン系界面活性剤、低分子量ポリマーなどが挙げられる。
より具体的には、ソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリグリセリン脂肪酸エステル化合物、アルキル化ポリビニルピロリドン化合物などが挙げられる。具体的な物質を例示すると、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノベヘン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノパルミチン酸ポリグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル、モノベヘン酸ポリグリセリル、1−ブテン/ビニルピロリドンのコポリマー、1−ヘキサデセン/ビニルピロリドンのコポリマー、1−エイコセン/ビニルピロリドンのコポリマー、1−トリコセン/ビニルピロリドンのコポリマーなどを挙げることができる。
本発明に用いられるワックスおよびワックス分散助剤は、下述するようにグラフトポリエステル、ワックス、ワックス分散助剤を溶解して含有するコア作製用溶液を用いることでコア用粒子中に含有せしめられる。
本発明に用いられるワックスに対するワックス分散助剤の含有量としては、定着特性およびワックス分散性の観点から、ワックス100質量部に対して、ワックス分散助剤が35質量部以上65質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
(シェル層に用いられる樹脂)
シェル層は、樹脂からなりコア層を被覆するが、この樹脂としては非結晶性樹脂を用いることが好ましい。
シェル層は、樹脂からなりコア層を被覆するが、この樹脂としては非結晶性樹脂を用いることが好ましい。
非結晶性樹脂としては、スチレン/アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂等、公知の樹脂材料を用いることができる。これらの中では、スチレン/アクリル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
尚、本発明において、「非結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを示さないか、または吸熱ピークを有していても、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以上であるものをいう。
スチレン/アクリル樹脂を得るための重合性単量体としては、たとえばスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレンなどのスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、などの(メタ)アクリレートエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸などのカルボン酸系単量体などを使用することができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、非結晶性ポリエステル樹脂としては、前述のコア層に用いられる非結晶性ポリエステル樹脂を同様に用いることができる。
これらの樹脂は、コア用粒子の分散液を作製する方法と同様の方法により、これらの樹脂の粒子が分散した分散液として得られ、このシェルに用いられる樹脂が分散した分散液を用いトナーを作製することが好ましい態様である。
(コア凝集体およびコアシェル型静電荷現像用トナーの作製方法)
グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子が凝集したコア凝集体は、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含有するコア作製用溶液を用いて、コア用粒子を形成し、これを凝集することにより得られる。
グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子が凝集したコア凝集体は、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含有するコア作製用溶液を用いて、コア用粒子を形成し、これを凝集することにより得られる。
また、コアシェル型静電荷現像用トナーは、コア凝集体の分散液を用い、コア凝集体を樹脂で被覆しシェル層を形成することで得られる。
コア凝集体の分散液は、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液中で、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有する液滴を形成する乳化工程、この液滴からコア用粒子を形成させる粒子形成工程および形成されたコア用粒子を凝集させコア凝集体を作製する凝集工程を有する方法により作製することができる。
上記液滴は、グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶媒に溶解しコア作製用溶液中を作製し、これに水を含む溶媒を加え分散処理することで得られる。溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトンなどの溶媒をグラフトポリエステル樹脂の組成に対応して用いることができる。
水を含む溶媒としては、水単独、水に親和性の高いアルコールなどを混合した溶媒を用いることができる。
分散処理としては、分散機により剪断力を与えるなどの機械的攪拌処理、超音波分散処理などが挙げられる。分散機としては、たとえば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。水を含む溶媒中には、分散剤などを含有させることが好ましい。
乳化工程に使用される分散剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
コア用粒子は、液滴を含有するコア作製用溶液から溶媒を除去することにより、形成することができ、コア用粒子が分散したコア用粒子の分散液の状態で得られる。
コア用粒子の体積基準メジアン径D50vは80nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上300nm以下であることがより好ましい。
体積基準メジアン径を上記範囲内とすることにより、粒子径分布がより狭いトナーを作製することができるため好ましい。
上記体積基準メジアン径は動的光散乱法測定機(たとえば、堀場製作所製LA920)により測定することができる。
粒子径の調整は、分散処理の時間を調整することで、調整することができる。
凝集工程においては、得られたコア用粒子の分散液に、必要に応じ、着色剤顔料分散液などを混合した後、混合液のpHを調整し、凝集してコア凝集体を形成することができる。
この際、凝集剤を使用するのも有効である。
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、たとえば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
シェル用粒子の体積基準メジアン径D50vは30nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上250nm以下であることがより好ましい。
体積基準メジアン径を上記範囲内とすることにより、シェル層を均一に形成することができるため好ましい。
粒子径の調整は、分散処理の時間を調整することで、調整することができる。
(トナーの作製方法)
本発明に係るコアシェル型静電荷現像用トナーは、上記のようにして得られたコア凝集体の分散液を用い、コア凝集体を樹脂で被覆しシェル層を形成することで得られる。
本発明に係るコアシェル型静電荷現像用トナーは、上記のようにして得られたコア凝集体の分散液を用い、コア凝集体を樹脂で被覆しシェル層を形成することで得られる。
コア凝集体の分散液に、上記のシェル用の樹脂が分散した分散液を添加しトナー作製用溶液を調整し、混合することで、コア凝集体上にシェル用樹脂粒子が被覆されたコアシェル型の粒子であるトナーを作製することができる。
この場合さらに凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。添加したシェル用の樹脂の粒子はコア凝集体の表面を覆うように付着する。この際、コア凝集体を十分に被覆できるよう、シェル用の樹脂の粒子の粒子径や添加量を調整する。こうしてシェル用の樹脂の粒子で被覆されたコアシェル粒子を作製する。
得られたコアシェル粒子の分散液は、固液分離工程でコアシェル粒子を分離し、洗浄工程で界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去し、乾燥工程で水分を除去し、乾燥されたコアシェル粒子を作製する。
得られたコアシェル粒子(着色粒子)は、そのままトナーとして用いることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、着色粒子表面に外添剤を添加し混合することが好ましい。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
外添剤としては、たとえば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、或いは、チタン酸カルシウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらの無機微粒子の数平均1次粒子径は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは10〜300nmの範囲とされる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
又、外添剤として、数平均1次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することもできる。このような有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、着色粒子100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。又、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明に係るトナーは、体積基準メジアン径(D50)を3.0μm以上8.0μm以下とすることが好ましい。体積基準メジアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能である。
体積基準メジアン径を上記範囲の小径レベルのものにすることにより、写真画像等を構成するドット画像を忠実に再現することができるので、印刷画像と同等以上の高精細のカラーの写真画像を形成することができる。特に、オンデマンド印刷と呼ばれる数百部から数千部レベルでプリント注文を受ける印刷分野では、高精細な写真画像の入ったフルカラーの高画質プリントを迅速にユーザに納品することができる様になる。
なお、トナーの体積基準メジアン径(D50)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、「マルチサイザー3」のアパチャー径は50μmのものを使用する。
本発明に係るトナーは、着色剤を含むことが好ましい。
(着色剤)
着色剤としてはカーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。黒色酸化鉄としてはマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄等を用いることができる。
着色剤としてはカーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。黒色酸化鉄としてはマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄等を用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又これらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同150、同166、同177、同178、同222、同238、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。着色剤は、粒子として用いられる事が好ましく、その数平均1次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
(荷電制御剤)
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
〔現像剤〕
本発明のコアシェル型静電荷現像用トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のコアシェル型静電荷現像用トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーを一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させて磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
又、本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定されないが、たとえばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。又、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、たとえばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
好ましいキャリアとしては、外添剤の離脱防止や耐久性の観点から、被覆樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂系樹脂やアクリル系樹脂で被覆したコートキャリアを挙げることができる。
キャリアは、その体積基準におけるメジアン径(D50)が20〜100μmであるものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。キャリアの体積基準におけるメジアン径(D50)は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、当該トナーとして上記本発明のコアシェル型静電荷現像用トナーを用いる。上記各工程を行うための装置としては、従来公知の電子写真方式の画像形成に用いられる装置を用いることができる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、当該トナーとして上記本発明のコアシェル型静電荷現像用トナーを用いる。上記各工程を行うための装置としては、従来公知の電子写真方式の画像形成に用いられる装置を用いることができる。
(コア用粒子の分散液(C1)の作製)
(グラフトポリエステル樹脂の合成)
−非結晶性ポリエステル樹脂1の合成−
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを混合し、反応液を調製した。この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)4(非結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
(グラフトポリエステル樹脂の合成)
−非結晶性ポリエステル樹脂1の合成−
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを混合し、反応液を調製した。この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)4(非結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
反応液
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸 13.50質量部
フマル酸 12.90質量部
イソフタル酸 0.55質量部
トリメリット酸 2.20質量部
(多価アルコールモノマー)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
25質量部
生成される水を留去しながら、同温度から6時間を要して240℃まで昇温し、240℃でさらに6時間、脱水縮合反応を継続して重合を行って、「非結晶性ポリエステル樹脂1」を得た。
(多価カルボン酸モノマー)
テレフタル酸 13.50質量部
フマル酸 12.90質量部
イソフタル酸 0.55質量部
トリメリット酸 2.20質量部
(多価アルコールモノマー)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
25質量部
生成される水を留去しながら、同温度から6時間を要して240℃まで昇温し、240℃でさらに6時間、脱水縮合反応を継続して重合を行って、「非結晶性ポリエステル樹脂1」を得た。
得られた非結晶性ポリエステル樹脂1を示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)を用い、昇温速度3℃/minにて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
−グラフト化−
ビニルモノマー混合体(混合比:スチレン20質量部/n−ブチルアクリレート5質量部/ドデカンチオール3質量部)28質量部を、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1に添加し、100℃にてよく撹拌混合した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部を開始剤として添加し、ビニルモノマーの非結晶性ポリエステル樹脂1へのグラフト重合を105℃にて3時間行い、「グラフトポリエステル樹脂A」(以下単に樹脂Aという)を得た。
ビニルモノマー混合体(混合比:スチレン20質量部/n−ブチルアクリレート5質量部/ドデカンチオール3質量部)28質量部を、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1に添加し、100℃にてよく撹拌混合した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部を開始剤として添加し、ビニルモノマーの非結晶性ポリエステル樹脂1へのグラフト重合を105℃にて3時間行い、「グラフトポリエステル樹脂A」(以下単に樹脂Aという)を得た。
得られた樹脂Aを示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)を用い、昇温速度3℃/minにて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
更に、100質量部の樹脂Aを、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し溶解した後、ワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃)10質量部およびワックス分散助剤(日油(株)製:BP−70R ソルビタンモノベヘネート)5質量部を添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメジアン径(D50))が180nm、固形分量が20質量部の「コア用粒子の分散液(C1)」を得た。
(コア用粒子の分散液(C2)の調製)
ビニルモノマー混合体(混合比:スチレン40質量部/n−ブチルアクリレート10質量部/ドデカンチオール3質量部)53質量部を、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1に添加し、100℃にてよく撹拌混合した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部を開始剤として添加し、ビニルモノマーの非結晶性ポリエステル樹脂1へのグラフト重合を105℃にて3時間行い、「グラフトポリエステル樹脂B」(以下樹脂Bという)を得た。
ビニルモノマー混合体(混合比:スチレン40質量部/n−ブチルアクリレート10質量部/ドデカンチオール3質量部)53質量部を、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1に添加し、100℃にてよく撹拌混合した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部を開始剤として添加し、ビニルモノマーの非結晶性ポリエステル樹脂1へのグラフト重合を105℃にて3時間行い、「グラフトポリエステル樹脂B」(以下樹脂Bという)を得た。
得られた樹脂Bを示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)を用い、昇温速度3℃/minにて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
更に、100質量部の樹脂Bを、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し溶解した後、ワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃)10質量部およびワックス分散助剤(日油(株)製:BP−70R ソルビタンモノベヘネート)5質量部を添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50)が190nm、固形分量が20質量部の「コア用粒子の分散液(C2)」を得た。
(コア用粒子の分散液(C3)の調製)
100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し溶解した後、ワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃)10質量部を添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50が200nm、固形分量が20質量部の「コア用粒子の分散液(C3)」を得た。
100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂1を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し溶解した後、ワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃)10質量部を添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50が200nm、固形分量が20質量部の「コア用粒子の分散液(C3)」を得た。
(シェル層用の樹脂の粒子の分散液(S1)の調製)
「非結晶性ポリエステル樹脂1」100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50)が140nm、固形分量が20質量部の「シェル用の樹脂の粒子の分散液(S1)」を得た。
「非結晶性ポリエステル樹脂1」100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に攪拌しながら添加し加熱溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50)が140nm、固形分量が20質量部の「シェル用の樹脂の粒子の分散液(S1)」を得た。
(顔料粒子分散液(1)の調製)
アニオン系界面活性剤としてC12H25O(CH2CH2O)2SO3Na、59質量部をイオン交換水1600質量部に攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。分散させた青色顔料の粒径を動的光散乱粒度分布測定装置、ELS−800(大塚電子工業社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は112nmであった。これを顔料粒子分散液(1)とする。
アニオン系界面活性剤としてC12H25O(CH2CH2O)2SO3Na、59質量部をイオン交換水1600質量部に攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。分散させた青色顔料の粒径を動的光散乱粒度分布測定装置、ELS−800(大塚電子工業社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は112nmであった。これを顔料粒子分散液(1)とする。
(トナー(1)、(2)(本発明)、(3)〜(6)(比較例)の製造)
《着色粒子(1)およびトナー(1)の調製》(本発明)
コア用粒子の分散液(C1)、270.0質量部(固形分換算)と顔料粒子分散液(1)、12.0質量部(固形分換算)の混合液とイオン交換水1400質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを10.0に調製した。
《着色粒子(1)およびトナー(1)の調製》(本発明)
コア用粒子の分散液(C1)、270.0質量部(固形分換算)と顔料粒子分散液(1)、12.0質量部(固形分換算)の混合液とイオン交換水1400質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを10.0に調製した。
次いで塩化マグネシウム・6水和物35.0質量部をイオン交換水35.0質量部に溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に80℃まで昇温し、コア凝集体の生成を行った。
この状態で、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にてコア凝集体の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径が5.0μmになった時点で、シェル用の樹脂の粒子の分散液(S1)を30質量部添加し、シェル用樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度90℃にて加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。この状態で「FPIA−2100」にて会合粒子の形状を測定し、形状係数が0.965になった時点で30℃まで冷却し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、40℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子(1)を得た。着色粒子の体積基準メジアン径と円形度を再度測定したところ、それぞれ5.3μm、0.966であり、小粒径の粒子が得られた。
(トナー(1)の製造)
−外添処理−
着色粒子(1)に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー(1)を製造した。
−外添処理−
着色粒子(1)に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー(1)を製造した。
<着色粒子(2)の調製>(本発明)
コア用粒子の分散液(C1)を(C2)に変更した以外は、着色粒子(1)の作製と同様にして、着色粒子(2)を調製した。
コア用粒子の分散液(C1)を(C2)に変更した以外は、着色粒子(1)の作製と同様にして、着色粒子(2)を調製した。
<着色粒子(3)の調製>(比較例)
コア用樹脂粒子の分散液(C1)を(C3)に変更した以外は、着色粒子(1)の作製と同様にして、着色粒子(3)を調製した。
コア用樹脂粒子の分散液(C1)を(C3)に変更した以外は、着色粒子(1)の作製と同様にして、着色粒子(3)を調製した。
<着色粒子(4)の調製>(比較例)
コア用粒子の分散液(C1)、300.0質量部(固形分換算)と顔料粒子分散液(1)、12.0質量部(固形分換算)の混合液とイオン交換水1400質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。
コア用粒子の分散液(C1)、300.0質量部(固形分換算)と顔料粒子分散液(1)、12.0質量部(固形分換算)の混合液とイオン交換水1400質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。
容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを10.0に調製した。
次いで塩化マグネシウム・6水和物35.0質量部をイオン交換水35.0質量部に溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に80℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。
この状態で、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径が5.3μmになった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度90℃にて加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。この状態で「FPIA−2100」にて会合粒子の形状を測定し、形状係数が0.965になった時点で30℃まで冷却し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、40℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子(4)を得た。
着色粒子の体積基準メジアン径と円形度を再度測定したところ、それぞれ5.3μm、0.965であった。
<着色粒子(5)の調製>(比較例)
着色粒子(3)の調製において、ワックス分散助剤を着色粒子(1)と同様に用いた他は、着色粒子(3)の調製と同様にして、着色粒子(5)を調製した。
着色粒子(3)の調製において、ワックス分散助剤を着色粒子(1)と同様に用いた他は、着色粒子(3)の調製と同様にして、着色粒子(5)を調製した。
<着色粒子(6)の調製>(比較例)
着色粒子(2)の調製において、ワックス分散助剤を用いなかった他は、着色粒子(2)の調製と同様にして、着色粒子(6)を調製した。
着色粒子(2)の調製において、ワックス分散助剤を用いなかった他は、着色粒子(2)の調製と同様にして、着色粒子(6)を調製した。
(トナー(2)〜(6)の製造)
トナー(1)と同様の外添処理を、着色粒子(2)〜(6)に行いトナー(2)〜(6)を製造した。
トナー(1)と同様の外添処理を、着色粒子(2)〜(6)に行いトナー(2)〜(6)を製造した。
〔現像剤の調製〕
トナー(1)〜(6)に対して、それぞれシリコーンを被覆した体積基準メジアン径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度が7%になるよう混合することにより、現像剤(1)〜(6)を調製した。
トナー(1)〜(6)に対して、それぞれシリコーンを被覆した体積基準メジアン径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度が7%になるよう混合することにより、現像剤(1)〜(6)を調製した。
〔トナーの特性評価〕
評価用の画像形成装置としては、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いた。
評価用の画像形成装置としては、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いた。
尚、定着装置は、加熱ローラの表面温度を120〜170℃の範囲で、5℃刻みで変更できるように改造したものを用いた。
この画像形成装置に上記で作製した各トナーと現像剤を順次装填し、A4サイズの上質紙(64g/m2)にプリントを行った。
(低温定着性)
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、定着温度を120〜170℃の範囲で5℃刻みで変化させながら、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)にて、1.5cm×1.5cmのベタ画像(付着量2.0mg/cm2)をとり、それぞれの画像を真中から2つに折り曲げてその画像の耐剥離性を目視にて、下記ランクで評価した。画像が若干剥離した時の定着温度と全く剥離しない下限の定着温度との間の温度を定着下限温度とした。
○:定着下限温度が140℃未満であった
△:定着下限温度が140℃以上、150℃未満であった(実用上問題なし)
×:定着下限温度が150℃以上であった(実用上問題あり)。
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、定着温度を120〜170℃の範囲で5℃刻みで変化させながら、複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)にて、1.5cm×1.5cmのベタ画像(付着量2.0mg/cm2)をとり、それぞれの画像を真中から2つに折り曲げてその画像の耐剥離性を目視にて、下記ランクで評価した。画像が若干剥離した時の定着温度と全く剥離しない下限の定着温度との間の温度を定着下限温度とした。
○:定着下限温度が140℃未満であった
△:定着下限温度が140℃以上、150℃未満であった(実用上問題なし)
×:定着下限温度が150℃以上であった(実用上問題あり)。
(定着分離性)
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、加熱ローラの表面温度を120℃、140℃、160℃と変化させ、それぞれの表面温度の際に、搬送方向に対して垂直方向に5mm幅のベタ帯状画像を有するA4画像をA4判上質紙(64g/m2)上に形成し、縦送りで搬送した際における画像側の加熱ローラと紙との分離性を下記ランクで、評価した。
○:A4判上質紙がカールすることなく加熱ローラと分離する
△:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離するが、画像上に分離爪の後はほとんど目立たない(実用上問題なし)
×:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離し、画像上に分離爪跡が残る、もしくは加熱ローラに巻きついてしまい当該加熱ローラと分離できない。(実用上問題あり)
(保存安定性)
下記ランクで、耐ブロッキング性を評価し、保存安定性の指標とした。
常温常湿(20℃、55%RH)の環境下において、加熱ローラの表面温度を120℃、140℃、160℃と変化させ、それぞれの表面温度の際に、搬送方向に対して垂直方向に5mm幅のベタ帯状画像を有するA4画像をA4判上質紙(64g/m2)上に形成し、縦送りで搬送した際における画像側の加熱ローラと紙との分離性を下記ランクで、評価した。
○:A4判上質紙がカールすることなく加熱ローラと分離する
△:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離するが、画像上に分離爪の後はほとんど目立たない(実用上問題なし)
×:A4判上質紙が加熱ローラと分離爪で分離し、画像上に分離爪跡が残る、もしくは加熱ローラに巻きついてしまい当該加熱ローラと分離できない。(実用上問題あり)
(保存安定性)
下記ランクで、耐ブロッキング性を評価し、保存安定性の指標とした。
トナー10gをプロピレン製カップの上に秤量し、50℃、50%RH環境下に15時間放置し、ブロッキング(凝集)状態を以下の基準で評価した。
○:カップを傾けるとトナーがさらさら流れる
△:カップを動かしているとトナーが徐々に崩れ、流れ出す(実用上問題なし)
×:ブロック体が発生しており、先のとがったもので突いても崩れにくい(実用上問題あり)
結果を表1に示す。
○:カップを傾けるとトナーがさらさら流れる
△:カップを動かしているとトナーが徐々に崩れ、流れ出す(実用上問題なし)
×:ブロック体が発生しており、先のとがったもので突いても崩れにくい(実用上問題あり)
結果を表1に示す。
表1から、ワックスとワックス分散助剤を含有したグラフトポリエステル樹脂の粒子を用いた本発明のコアシェル型トナーのみが、低温定着性、定着分離性および耐ブロッキング性に優れることが分かる。
Claims (7)
- コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーであって、該コア層は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を含有するコア用粒子、が凝集したコア凝集体を含有することを特徴とするコアシェル型静電荷現像用トナー。
- 前記グラフトポリエステル樹脂が、前記重合性ビニルモノマーに由来するモノマー単位を5質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
- 前記コア用粒子が、前記グラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液を用い、形成された粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
- 前記コア作製用溶液中のワックスとワックス分散助剤との含有量の割合が、10:4〜10:6(質量比)であることを特徴とする請求項3に記載のコアシェル型静電荷現像用トナー。
- 請求項3または4に記載のコアシェル型静電荷現像用トナーを製造する、静電荷現像用トナーの製造方法であって、前記グラフトポリエステル樹脂、前記ワックスおよび前記ワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液中で、前記グラフトポリエステル樹脂、前記ワックスおよび前記ワックス分散助剤を含有する液滴を形成する乳化工程、該液滴から前記コア用粒子を形成させる粒子形成工程および前記コア用粒子を凝集させ前記コア凝集体を作製する凝集工程を有することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
- コア層および、樹脂からなり該コア層を被覆するシェル層を有するコアシェル型静電荷現像用トナーを製造する、静電荷現像用トナーの製造方法であって、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂、ワックスおよびワックス分散助剤を溶解して含むコア作製用溶液中で、該グラフトポリエステル樹脂、該ワックスおよび該ワックス分散助剤を含有する液滴を形成する乳化工程、該液滴からコア用粒子を形成させる粒子形成工程および該コア用粒子を凝集させコア凝集体を作製する凝集工程、該シェル層の樹脂を含有し、該コア凝集体を分散して含有するトナー作製用溶液を用い該シェル層を形成する工程を有することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
- 潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
該潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
該潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、
および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該トナーが、請求項1から4のいずれか1項に記載のコアシェル型静電荷現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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- 2010-05-24 JP JP2010118108A patent/JP2011247932A/ja active Pending
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