JP2011257526A - 静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 Download PDF

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達矢 藤▲崎▼
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Abstract

【課題】本発明の目的は、小粒径であって、低温定着性、画像保存性、保存安定性に優れる静電荷像現像用トナー、それを製造するための静電荷像現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】スチレンアクリル樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、該着色剤の粒子とを水性溶液中で混合し、該スチレンアクリル樹脂の粒子、該グラフトポリエステル樹脂粒子および該着色剤の粒子を、凝集および融着してトナー粒子を形成する凝集融着工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真用のトナーに関する。
電子写真方式による画像形成を行う印刷分野においては、近年、消費電力の低減化、プリントの高速化、画像形成媒体の多様化、高画質化などに対応するために、従来の温度より低い温度でトナー画像の定着を行うことができるといういわゆる低温定着性、トナー粒子の小粒径化が要求されている。
これらの要求に対する技術として、たとえば、トナー構成樹脂のガラス転移温度や軟化点の低い樹脂や、低融点のワックスを使用する方法等がある。
この様な、ガラス転移温度や軟化点の低い樹脂を用いたトナーを用いると、従来よりも低い温度でトナー画像の定着が可能であるが、熱的安定性を犠牲にしているため、未使用のトナー同士がくっつくブロッキングと呼ばれる現象が起きやすく、トナーの保存安定性が充分でない等の問題があった。
そして、このような問題を改良する技術としてたとえば、特開2004−295105号公報に記載のように、有機溶媒中にポリエステル樹脂とスチレンアクリル系樹脂とを溶解してなる樹脂溶液を水系媒体中に分散させた分散液を作製し、該分散液から有機溶媒を除去した後、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られるトナーを用い、ナーの帯電量の安定性を改良する技術が知られている。
また、低温定着性、保存安定性、耐高温オフセット性を同時に満足する技術として、たとえば、コアシェル構造の粒子でありウレタン変成ポリエステル樹脂またはアクリル変性樹脂を含むシェル層あるいはコア層を有するトナー粒子、を含有する電子写真用トナーが知られている(特許文献1参照)。
また、保存安定性、帯電安定性に優れ小粒径化が可能である技術として、コア部に結晶性ポリエステルおよび非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステルの水系分散液を凝集させて得られるものを用い、シェル部にビニル系樹脂成分を有する非晶質ポリエステルを用いた、コアシェル樹脂粒子を結着樹脂として含むトナーが知られている(特許文献2参照)。
他方、定着温度領域が広く、流動性に優れたトナーを得る技術として、ポリエステル樹脂の存在化でビニルモノマーが重合されてなる樹脂、ワックスおよびワックス分散剤からなるトナーバインダーを用いる技術が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらのトナーにおいても、トナーの小粒径化を図りつつ、低温定着性、定着分離性、保存安定性を同時に満足するには不充分なものであった。
特開2005−173202号公報 特開2010−54619号公報 特開2007−264621号公報
本発明の目的は、小粒径であって、低温定着性、画像保存性、保存安定性に優れる静電荷像現像用トナー、それを製造するための静電荷像現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.スチレンアクリル樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、該着色剤の粒子とを水性溶液中で混合し、該スチレンアクリル樹脂の粒子、該グラフトポリエステル樹脂粒子および該着色剤の粒子を、凝集および融着してトナー粒子を形成する凝集融着工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
2.前記スチレンアクリル樹脂の酸価が10〜35(mgKOH/g)であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
3.前記1または前記2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造されたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
4.潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
該潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
該潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、
および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該トナーが、前記3に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
本発明の上記手段により、小粒径であって、低温定着性、画像保存性、保存安定性に優れる静電荷像現像用トナー、それを製造するための静電荷像現像用トナーの製造方法および当該トナーを用いた画像形成方法が提供できる。
本発明は、スチレンアクリル樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、該着色剤の粒子とを水性溶液中で混合し、該スチレンアクリル樹脂の粒子、該グラフトポリエステル樹脂粒子および該着色剤の粒子を、凝集および融着してトナー粒子を形成する凝集融着工程を有することを特徴とする。
本発明においては、スチレンアクリル樹脂を主成分とし、さらにグラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂を含有させることで、小粒径であって、低温定着性、定着分離性、保存安定性に優れる静電荷像現像用トナーが得られる。
本発明に係るトナー粒子は、スチレンアクリル樹脂の粒子と、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、着色剤の粒子とを水性溶液中に分散、混合し、これらを凝集および融着することにより得られる。
(スチレンアクリル樹脂)
本発明に係るスチレンアクリル樹脂は、少なくとも、スチレンまたはスチレン誘導体と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体と、を含む重合性単量体から重合により得られた共重合体である。
スチレン誘導体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体が挙げられる。
スチレンまたはスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体以外の単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のモノオレフィン系単量体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジオレフィン系単量体、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン系単量体、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル系単量体が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂としては、さらにイオン性解離基(酸成分)を有するものが好ましく、特に低温定着性の面から、酸価が10〜35mgKOH/gであるスチレンアクリル樹脂が好ましく用いられる。
スチレンアクリル樹脂の酸価が上記範囲内にあると、特に低温定着性が良好な理由は明確ではないが以下のように推測される。
酸価が上記範囲より低いとグラフトポリエステル樹脂粒子が外側に、高いと内側により偏在し易くなるが、上記範囲においては、スチレンアクリル樹脂中にグラフトポリエステル樹脂粒子がより均一に分散されているために定着性が均一化され、結果として定着性が良好になるものと推測される。
スチレンアクリル樹脂の酸価の測定は、JIS K0070−1992に記載の方法(電位差滴定法)に従って行われる。ただし、溶剤はテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールを体積比1:1で混合したものを使用する。
イオン性解離基を有する単量体としては、カルボキシ基、スルフォン酸基、リン酸基を有するものが挙げられる。
カルボキシ基を有するものとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等がある。
スルフォン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等があり、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等がある。
スチレンアクリル樹脂の数平均分子量としては、5000〜50万が好ましく、特に1万から10万が好ましい。
スチレンアクリル樹脂の粒子は、共重合体を合成してから粉砕、分球して作製してもよいが上記の単量体を用い乳化重合させ、スチレンアクリル樹脂の粒子が分散状態分で存在するスチレンアクリル樹脂分散液を作製する方法が好ましく用いられる。
本発明に係る凝集、融着工程においては、スチレンアクリル樹脂の粒子は、この粒子が分散した分散液として供給されることが好ましい。
スチレンアクリル樹脂の粒子の体積基準メジアン径D50vは80nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上300nm以下であることがより好ましい。
体積基準メジアン径を上記範囲内とすることにより、粒子径分布がより狭いトナーを作製することができるため好ましい。
上記体積基準メジアン径は動的光散乱法測定機(たとえば、堀場製作所製LA920)により測定することができる。
粒子径の調整は、分散処理の時間を調整することで、調整することができる。
この乳化重合はこの分野で用いられている公知の方法により行うことができる。
スチレンアクリル樹脂を重合により合成する際には、合成時必要に応じワックスを共存させワックスを含有したスチレンアクリル樹脂を作製することが好ましい態様である。
(ワックス)
ワックスとしては、たとえば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、ワックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。ワックスの融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
ワックスの含有量としては、帯電特性などの面からスチレンアクリル樹脂100質量部に対して好ましくは1質量部以上20質量部以下、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。
(グラフトポリエステル樹脂粒子)
本発明に係るグラフトポリエステル樹脂粒子は、ポリエステル樹脂に重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂の粒子であって、この樹脂のグラフト率が5〜30%である。
<重合性ビニルモノマー>
本発明において重合性モノマーとは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基としては、具体的にビニル基、プロペニル基、スチリル基、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、マレイン酸エステル基などのエチレン性不飽和基、ブタジエニル基などの共役エチレン(ポリエン)性不飽和基を挙げることができる。
重合性ビニルモノマーとしては、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が例示することができるが、これらに制限されることはなく、またこれらのモノマーは単独または2種類以上を併用して用いてもよく、これらのモノマーの重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルジョン法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行うことにより重合物を得ることができる。
重合性ビニルモノマーとしては、その帯電特性、画質特性などの点から、ビニルモノマーの主成分として、スチレンまたはその誘導体を用い、さらにスチレンまたはその誘導体以外のビニルモノマーを併用することが好ましい。
(ポリエステル樹脂)
グラフトポリエステル樹脂に用いられるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)および多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものである。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示できる。
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、たとえば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、たとえば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
これらの重縮合性単量体の組み合わせによりポリエステル構造を非結晶樹脂構造や結晶性樹脂構造またはそれらの混合構造など任意に制御することが可能であり、本発明において、ポリエステル樹脂は1種類または2種類以上のポリエステルを使用することができ、さらに非結晶性、結晶性などポリエステル構造の組み合わせは任意に選定することができる。
たとえば結晶性ポリエステル構造を得るためには、使用される多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。また多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等も挙げることができる。
非結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸を挙げることができる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、または、エステル等に誘導したものを用いてもよい。これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。尚、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、上記ポリオールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールや、これらのアルキレンオキサイド付加物等を用いることが好ましい。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが例示できる。
本発明においては、用いられるポリエステル樹脂は重合性ビニルモノマーとグラフト重合可能である必要がある。従って、樹脂中にエチレン性不飽和結合やビスフェノールA構造を導入できるように重縮合性単量体を選択することが好ましい。
エチレン性不飽和結合を導入可能な多価カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸が好適に使用できる。
ポリエステル樹脂としては、結晶性の場合の結晶融点Tmは50℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは55℃以上90℃以下の範囲である。
Tmが50℃以上であると、高温度領域での結晶性樹脂の凝集力が適切な範囲であり、定着の際に良好な剥離性が得られ、さらにオフセットの発生を生じることがないので好ましい。また、Tmが120℃以下であると、十分な溶融が得られ、好適な最低定着温度が得られるので好ましい。
一方、ポリエステル樹脂粒子が非晶性の場合、ガラス転移点Tgは30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。Tgが30℃以上であると、高温度領域での樹脂自体の凝集力が適切であり、定着の際にホットオフセットを生じることがないので好ましい。また、Tgが80℃以下であると、十分な溶融を得ることができ、好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
ここで、結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
また、非結晶樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
尚、前記の「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が10℃以上の樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
また、用いるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。
重量平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット性が良好であるので好ましい。また、重量平均分子量が60,000以下であると、良好なホットオフセット性および好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
また、重縮合性単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
<グラフトポリエステル樹脂の製造方法>
ポリエステル樹脂へのビニルモノマーのグラフト方法として、ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和結合(ラジカル重合性二重結合)を導入し、グラフト開始点として利用する方法が挙げられる。
より具体的には、たとえばポリエステルの重縮合性単量体として、予めマレイン酸、フマル酸などを使用することにより、その骨格中にエチレン性不飽和結合を導入することが可能であり、ポリエステル主鎖中または末端にエチレン性不飽和結合を容易に導入することができる。
これらラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を導入したポリエステル樹脂と重合性ビニルモノマーとを通常のラジカル反応開始剤により重合反応させることにより、容易にグラフトを形成させることが可能となる。
さらに、他の手法としては、高濃度のラジカル重合開始剤存在下にラジカル重合性単量体とポリエステル樹脂を混合し重合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂の骨格中からのラジカル引き抜き反応を引き起こし、ポリエステル主鎖にビニルポリマーをグラフト導入できることが見出されている。
特にビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂へのビニル系重合体のグラフト鎖導入手法として本手法が有効であることが認められており、たとえば特公昭63−17869号公報に記載の方法を例示することができる。
本発明ではこれら既存の手法を用いてポリエステル主鎖中へのグラフト鎖の導入を行うことが可能であり、その手法に特に制限はない。
また、グラフト鎖の導入の確認法についても、種々の既存の有機構造分析法を用いることが可能である。
たとえば、プロトン、カーボンNMR法を用いた構造解析、IRなどの赤外吸収法、グラディエントGPC法などが特にポリマーの立体規則構造の分析手法としては有効である。
たとえば、上記ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合をポリエステル骨格に導入した場合においては、プロトンNMRにおける二重結合性プロトンの積分値の低下、消失量、グラフト部に新たに出現するプロトン積分値の解析により、グラフト反応を確認することが可能である。このような方法としては、R. Silverstein and F. Webster, Spectrometric Identification of Organic Compounds sixth Edition, John Wiley & Sons, 1996に記載されている方法を参照することができる。
グラフトポリエステル樹脂の好ましい製造方法は、ポリエステル樹脂と、ビニルモノマーとを混合する工程(混合工程)、およびこのビニルモノマーを重合する工程(重合工程)を少なくとも含む製造方法である。
前記混合工程においては、加温することが好ましく、ビニルモノマーおよびポリエステル樹脂が混合可能な範囲で適宜選択することができる。80℃以上120℃以下で混合することがより好ましく、85℃以上115℃以下であることがより好ましく、90℃以上110℃以下であることがさらに好ましい。加温する温度が上記範囲内であると、良好な混合が得られると共に、重合制御が容易であるので好ましい。
また、前記重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
この場合、残留モノマー量など乳化物からの揮発性有機物質が好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下に抑えることが実用上望ましい。
また、重合温度は特に限定されず、ビニルモノマー同士の重合およびポリエステル樹脂へのグラフトが進行する範囲で適宜選択することができる。重合温度としては85℃以上125℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95℃以上115℃以下であることがさらに好ましい。
本発明におけるトナーに用いるビニルモノマーがグラフト重合されたポリエステル樹脂としては、トナーの定着性(低温定着性、定着分離性)、耐ブロッキング性の観点から、ガラス転移点Tgは30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上70℃以下の範囲である。
また、樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
グラフトポリエステル樹脂粒子は、凝集、融着工程においては、グラフトポリエステル樹脂粒子を分散状態で含有するグラフトポリエステル樹脂粒子分散液の形態で用いられることが好ましい態様である。
ポリエステル樹脂粒子分散液は、グラフトポリエステル樹脂を溶解して含む分散液作製用溶液中で、グラフトポリエステル樹脂を含有する液滴を形成する乳化工程、この液滴からグラフトポリエステル樹脂を形成させる粒子形成工程を有する方法により作製することができる。
上記液滴は、グラフトポリエステル樹脂を溶媒に溶解し分散液作製用溶液を作製し、これに水を含む溶媒を加え分散処理することで得られる。溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトンなどの溶媒をグラフトポリエステル樹脂の組成に対応して用いることができる。
水を含む溶媒としては、水単独、水に親和性の高いアルコールなどを混合した溶媒を用いることができる。
分散処理としては、分散機により剪断力を与えるなどの機械的攪拌処理、超音波分散処理などが挙げられる。分散機としては、たとえば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。水を含む溶媒中には、分散剤などを含有させることが好ましい。
乳化工程に使用される分散剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
グラフトポリエステル樹脂粒子の、体積基準メジアン径D50vは50nm以上300nm以下であることが好ましく、100nm以上200nm以下であることがより好ましい。
体積基準メジアン径を上記範囲内とすることにより、粒子径分布がより狭いトナーを作製することができるため好ましい。
上記体積基準メジアン径は動的光散乱法測定機(たとえば、堀場製作所製LA920)により測定することができる。
粒子径の調整は、分散処理の時間を調整することで、調整することができる。
本発明において、グラフトポリエステル樹脂のグラフト率とは、ポリエステル樹脂部を形成するために用いるモノマーの量(質量)とスチレンアクリル樹脂部を形成するために用いるモノマーの量(質量)との合計量(質量)に対するスチレンアクリル樹脂部を形成するために用いるモノマーの量(質量%)をいう。
本発明においては、グラフトポリエステル樹脂のグラフト率は5〜30%である必要があるが、グラフト率が5%未満であると、スチレンアクリル樹脂中に均一に分散させることができなくなり、画像保存性が低下し、30%を超えると、低温定着性が悪化する。
(着色剤)
着色剤としてはカーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。
黒色酸化鉄としてはマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄等を用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又これらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同150、同166、同177、同178、同222、同238、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
着色剤粒子の数平均1次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度のものを好ましく用いることができる。
着色剤の粒子は、上記着色剤からなる粒子を分散して含む着色剤の粒子の分散液の形態で凝集、融着工程で使用されることが好ましい。
分散液の溶媒としては、水または水を主成分とし、アルコール、多価アルコールなどの有機溶媒を含む溶液などを用いることができる。
(凝集、融着工程)
凝集、融着工程では、スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、着色剤の粒子とを水性溶液中で混合し、スチレンアクリル樹脂の粒子、該グラフトポリエステル樹脂粒子および該着色剤の粒子を、凝集および融着してトナー粒子を形成する。
水性溶液とは、水を溶液全体に対して、95%以上含有する溶液である。
混合に用いられる水性溶液に用いてもよい水以外の溶媒としては、水と相溶性の高い、アルコール類が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、着色剤の粒子とを混合するには、前記のように、各々の粒子が分散状態で存在する、スチレンアクリル樹脂の粒子分散液、グラフトポリエステル樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を混合することにより、行うことができる。
凝集、融着工程においては、これらの分散液の混合物である混合液のpHを調整し、上記各々の粒子を凝集させ凝集体を形成し、この凝集体を融着してトナー母体粒子が形成される。
上記混合液は、凝集剤を含有することが好ましい。
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。
特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、たとえば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフトポリエステル樹脂粒子との混合の割合は、質量比で(スチレンアクリル樹脂:グラフトポリエステル樹脂)、99:1:〜70:30であることが好ましく、特に90:10〜80:20が好ましい。
着色剤の粒子は、これらの樹脂粒子に対して、5〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
融着は、上記各樹脂のガラス転移温度以上に加熱することにより行うことができる。樹脂の種類にもよるが、概ね80℃から100℃の範囲で加熱することにより行うことができる。
トナー母体粒子は、上記凝集体をコア粒子とし、その表面にシェル層を有するコアシェル構造としても良い。
(静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)の作製方法)
上記で得られたトナー母体粒子の分散液は、固液分離工程でトナー母体粒子を分離し、洗浄工程で界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去し、乾燥工程で水分を除去し、乾燥されたトナー母体粒子を作製することができる。
乾燥されたトナー母体粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、トナー母体粒子表面に外添剤を添加し混合することが好ましい。
外添剤を添加する場合に用いられる混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
外添剤としては、たとえば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、或いは、チタン酸カルシウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらの無機微粒子の数平均1次粒子径は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは10〜300nmの範囲とされる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
又、外添剤として、数平均1次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することもできる。このような有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明に係るトナーは、体積基準メジアン径(D50v)を3.0μm以上8.0μm以下とすることが好ましい。体積基準メジアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能である。
体積基準メジアン径を上記範囲の小径レベルのものにすることにより、写真画像等を構成するドット画像を忠実に再現することができるので、印刷画像と同等以上の高精細のカラーの写真画像を形成することができる。特に、オンデマンド印刷と呼ばれる数百部から数千部レベルでプリント注文を受ける印刷分野では、高精細な写真画像の入ったフルカラーの高画質プリントを迅速にユーザに納品することができる様になる。
なお、トナーの体積基準メジアン径(D50v)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、「マルチサイザー3」のアパチャー径は50μmのものを使用する。
本発明に係るトナーは、着色剤を含むことが好ましい。
(荷電制御剤)
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
〔現像剤〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーを一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させて磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
又、本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定されないが、たとえばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。又、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、たとえばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
好ましいキャリアとしては、外添剤の離脱防止や耐久性の観点から、被覆樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂系樹脂やアクリル系樹脂で被覆したコートキャリアを挙げることができる。
キャリアは、その体積基準におけるメジアン径(D50v)が20〜100μmであるものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。キャリアの体積基準におけるメジアン径(D50v)は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、当該トナーとして上記本発明の静電荷像現像用トナーを用いる。上記各工程を行うための装置としては、従来公知の電子写真方式の画像形成に用いられる装置を用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、下記における部は、特に限定のない限り質量部を表す。
《トナーの作製》
(スチレンアクリル樹脂粒子Aの作製)
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
スチレン(St) 480質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 250質量部
メタクリル酸(MAA) 68質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16質量部
(2)第2段重合
下記単量体混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液にワックスとしてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル192質量部を溶解させ、ワックス含有単量体混合液を調製した。
スチレン 246.4質量部
n−ブチルアクリレート 118.6質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.44質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記樹脂粒子〔1H〕260質量部と、前記ワックス含有単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕を得た。
(3)第3段重合
さらに、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 428.1質量部
n−ブチルアクリレート 129.9質量部
メタクリル酸 32.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却してスチレンアクリル樹脂粒子Aを含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液Aを得た。
このスチレンアクリル樹脂粒子Aの体積基準のメジアン径は190nm、重量平均分子量(Mw)は17,500であった。
同様に上記の方法で、表1のように単量体の組成を変えて、スチレンアクリル樹脂粒子分散液B〜Eを得た。
Figure 2011257526
(シェル用樹脂粒子の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサーを備えた5Lのステンレス製反応器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3質量部をイオン交換水2948質量部に溶解させた界面活性剤溶液を投入し、窒素気流下80℃に維持しながら撹拌を行い、過硫酸カリウム10.2質量部をイオン交換水218質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を加えた。さらにスチレン520質量部、n−ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液を3時間かけて滴下した後、同温度に1時間保持して重合反応を完結させた後、内温を室温まで冷却することにより、シェル用樹脂粒子の分散液を得た。このシェル用樹脂粒子の体積基準のメジアン径は82nm、重量平均分子量(Mw)は13,200であった。
〈ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂分散液の作製〉
(ポリエステル樹脂(a)の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316部、テレフタル酸80部、無水マレイン酸34部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで100mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂(a)とする。ポリエステル樹脂(a)は、Tgは58℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
(ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂の作製)
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430部、ポリエステル樹脂(a)430部を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン110部、ジ−t−ブチルパーオキサイド40部、およびキシレン100部の混合溶液を170℃で3時間で滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで蒸留水を加え脱溶剤を行い、ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂(A)を得た。
(ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子分散液の作製)
ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂(A)100質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)400質量部に攪拌しながら溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液401質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50v)が180nm、固形分量が20質量%の「ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子分散液A」を得た。
同様に上記の方法で、下記表2のようにポリエステル樹脂とビニル系グラフト樹脂の組成を変えて、ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子分散液B〜Fを得た。
Figure 2011257526
〈ポリエステル樹脂粒子分散液の作製〉
ポリエステル樹脂(a)100質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)400質量部に攪拌しながら溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液401質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50v)が180nm、固形分量が20質量%の「ポリエステル樹脂粒子分散液(a)」を得た。
〈スチレンアクリルシードポリエステル樹脂粒子の作製〉
<ポリエステル樹脂(b)の作製>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物343部、テレフタル酸87部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで100mmHg(1mmHg=133Pa)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂(b)とする。ポリエステル樹脂(b)は、Tgは55℃、数平均分子量は3500、重量平均分子量は12000であった。
ポリエステル樹脂(b)430質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)1720質量部に攪拌しながら溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液1724質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメジアン径(D50v)が170nm、固形分量が20質量%の「ポリエステル樹脂粒子分散液b」を得た。
<スチレンアクリルシードポリエステル樹脂粒子の作製>
撹拌装置、冷却管、温度センサーを備えた反応器に前記「ポリエステル樹脂粒子分散液b」430質量部(固形分換算)と、ドデシル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水320質量部に溶解させた溶液とを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃に昇温した後、これに1質量%過硫酸カリウム水溶液120部を添加した。次に、スチレン54.4質量部、n−ブチルアクリレート28.9質量部、メタクリル酸7.8部を1.5時間かけて添加した後、さらに2時間保持し重合を完結させた。重合反応終了後、内容物を室温まで冷却し、乳白色の「スチレンアクリルシードポリエステル樹脂粒子」を得た。得られた粒子の数平均分子量は3000、重量平均分子量は11000、Tgは40℃、平均粒径は200nmであった。
《着色剤分散液の作製》
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を分散して有する着色剤分散液を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
《トナー1の作製》
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、温度センサーを備えた5Lのステンレス製反応器に、スチレンアクリル樹脂粒子分散液Aを305質量部(固形分換算)、ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子分散液Aを64質量部(固形分換算)、イオン交換水1695質量部、着色剤分散液27質量部(固形分換算)とを投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物56質量部をイオン交換水56質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、シェル用樹脂粒子分散液、40質量部(固形分換算)を滴下し、シェル用樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム73質量部をイオン交換水292質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、トナー母体粒子1の分散液を得た。
(洗浄・乾燥)
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
《トナー2〜4および11〜12の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子分散液A」を、表3のように変更した以外は同様にして「トナー2〜4および11〜12」を作製した。
《トナー5〜8の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「スチレンアクリル樹脂粒子分散液A」を、表3のように変更した以外は同様にして「トナー5〜8」を作製した。
《トナー9の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子A」を、ポリエステル樹脂(a)に変更した以外は同様にして「トナー9」を作製した。
《トナー10の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子A」を、「スチレンアクリルシードポリエステル樹脂粒子」に変更した以外は同様にして「トナー10」を作製した。
《トナー13の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「スチレンアクリル樹脂粒子A」と「ビニルモノマーグラフトポリエステル樹脂粒子A」を、「スチレンアクリルシードポリエステル樹脂粒子」に変更した以外は同様にして「トナー13」を作製した。
《現像剤の作製》
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メジアン径40μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メジアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
上記キャリアにトナーをそれぞれトナー濃度が7質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤を作製した。
《評価》
(定着性(アンダーオフセット性))
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPI128g/m(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルトの温度を110〜200℃、定着下ローラの温度を100℃に設定し5℃毎の水準で定着させた時に、コールドオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、140℃以下を合格とする。
(耐熱保管性)
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行い、保存性の指標とした。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)。
(耐ドキュメントオフセット性評価)
前述の改造機を用いて、POD128(王子製紙)上に付着量10.0g/mのベタパッチを、光沢が60〜70になるよう定着条件を変更し、定着画像を出力した。なお、光沢はガードナー社製マイクログロス75°により測定を行った。また、白紙のPOD128紙を同定着条件で通紙したものを用意し、画像部と画像部、画像部と非画像部を貼り合わせたものに、温度と圧力を印加した。温度と圧力の条件は、60℃/10g/m、50℃/80g/mの2水準である。それらのサンプルを1週間曝露した後、画像をゆっくりと剥がし、片面への移行度合いを目視により下記ランクで耐ドキュメントオフセット性を評価し、画像保存性の指標とした。
◎:片面への移行がなく問題ないレベル
○:片面への移行が少しあるが問題ないレベル
△:片面への移行が大いにあり、画像が荒れている
×:離面が難しく、画像が大いに荒れている
上記各評価結果を、下記表3に示す。
Figure 2011257526
表3および上記結果から、本発明の実施例である、トナー1〜8は、小粒径であり、低温定着性、画像保存性、保存安定性のいずれの特性も実用化可能なレベルにあり良好であるが、本発明外のトナー9〜13は、少なくともいずれかの特性に問題があり、実用化可能なレベルにないことがわかる。

Claims (4)

  1. スチレンアクリル樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該スチレンアクリル樹脂の粒子と、グラフト率が5〜30%である、重合性ビニルモノマーがグラフト重合されたグラフトポリエステル樹脂粒子と、該着色剤の粒子とを水性溶液中で混合し、該スチレンアクリル樹脂の粒子、該グラフトポリエステル樹脂粒子および該着色剤の粒子を、凝集および融着してトナー粒子を形成する凝集融着工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記スチレンアクリル樹脂の酸価が10〜35(mgKOH/g)であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造されたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  4. 潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
    該潜像保持体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
    該潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体の表面に転写する転写工程、
    および前記被転写体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
    該トナーが、請求項3に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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