JP2016138968A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
静電潜像現像用トナー Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016138968A JP2016138968A JP2015013093A JP2015013093A JP2016138968A JP 2016138968 A JP2016138968 A JP 2016138968A JP 2015013093 A JP2015013093 A JP 2015013093A JP 2015013093 A JP2015013093 A JP 2015013093A JP 2016138968 A JP2016138968 A JP 2016138968A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- polyester resin
- crystalline polyester
- mass
- dispersion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
トナーの粒径が揃い、粒径分布をシャープにすると個々のトナー粒子毎の現像挙動が揃うことにより、微小ドットの再現性が著しく向上する。しかしながら、従来の粉砕法によるトナー製造方法では、トナーの粒径分布をシャープにすることは容易ではなかった。
また、省エネルギーの観点から、少ないエネルギーで定着できる低温定着トナーの開発が進められている。トナーの定着温度を下げるためには、樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。しかしながら、樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げるため、樹脂のガラス転移点や分子量を下げるとトナーの耐熱保管性が低下したりするなど新たな問題が生じる。
また、耐熱保管性と十分な定着強度を有する画像が形成可能で、低温オフセット及び高温オフセットの発生しない定着温度範囲(非オフセット温度幅)が比較的広い画像形成方法を提供するため、シェル層に軟化点60〜120℃の結晶性ポリエステル樹脂をシェル層構成樹脂全体の70〜100質量%含有するコアシェル構造型トナー粒子を用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。この構成では、表面近傍に結晶性ポリエステル樹脂が多いと推定できるが、結晶性ポリエステル樹脂がドメインを形成していないために、低温かつ高速で定着した際には、形成された画像がもろくなるという、例えば、折り定着性の問題が生じる。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、
前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)を1.0未満とすることによって、すなわち、結晶性ポリエステル樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂よりも、トナー表面近傍により多く存在することで、トナーの融点が下がり、かつ、瞬時に溶融するため、システムが高速化した際にも低温定着が可能となる。また、結晶性ポリエステル樹脂がドメインとして存在することで、結晶性ポリエステル樹脂の量が、トナー表面近傍で多くなっても、画像強度が落ちず、その結果、折り定着性との両立が可能となる。
前記スチレン−アクリル樹脂が、前記トナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内であることが、より高い画像濃度が得られ、低温定着性が良好となる点で好ましい。
前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、0.4〜0.6の範囲内であることが、高速化した際の低温定着性及び折り定着性が良好となる点で好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー母体粒子を含有した静電潜像現像用トナーである。そして、前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、前記トナーは、前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする。より好ましくは、0.4〜0.6の範囲内である。0.4〜0.6の範囲内であれば、表面近傍の結晶性ポリエステル量が増え過ぎることによって、折り定着性が悪化することもなく、また、表面近傍の結晶性ポリエステル量が少な過ぎることによって、高速化した際の低温定着性が悪化することもない。
また、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の含有割合を多くすることによっても、表面近傍の結晶性ポリエステル量が増加する傾向がある。
827cm−1付近のピーク高さ(P827)と1170cm−1付近のピーク高さ(P1170)の比(P827/P1170)は、フーリエ変換赤外分光装置(FT−IR;URT5200、日本分光社製)を使用して、全反射法(ATR法)で得られたスペクトルのピーク強度比より求めることができる。
まず、試料としてトナー0.2gをペレット成形機(SSP−10A;島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して作製した、直径10mmのペレットを作製した。ATR測定は、Ge結晶を用い、分解能4cm−1、積算回数32回の条件で行った。
1170cm−1のピーク高さは、1190cm−1から1200cm−1の最小値をベースポイントとした際の、1165cm−1から1175cm−1の最大値と定義する。1165cm−1から1175cm−1の範囲の吸収ピークは、結晶性ポリエステルが有するエステル結合のC−O−C対称伸縮に起因する。
図1は、本発明に係るトナー母体粒子の構成を説明するためのトナー母体粒子1の断面の模式図である。
本発明に係るトナー母体粒子は、ドメイン・マトリクス構造を有している。ドメイン・マトリクス構造とは、海島構造ともいい、海島構造とは、図1に示すように、トナー母体粒子1の連続相(連続相がマトリクス2であり、海を表す領域である)中に、閉じた界面(相と相との境界)を有する島状の相(ドメイン3)が存在する構造のものをいう。すなわち、ドメイン・マトリクス構造とは、相互に非相溶性の複数(例えば2種)の樹脂成分を混合した場合、混合物の高次構造として、樹脂成分の片方が連続する相(海)の中に、もう一方が島状又は粒子状に散在している構造をいう。すなわち、一方の樹脂がマトリクスに相当する連続相(海)となり、他方がドメインに相当する島状の独立相(分散相)となることで形成される構造をいう。
以下、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル樹脂について説明する。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であるものを結晶性ポリエステル樹脂という。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸が例示できる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができる。
例えば、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。具体的には、試料4.50mgをアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得する。融点は、吸熱ピークのピークトップの温度とする。
ハイブリッド構造を取った結晶性ポリエステル樹脂とは、結晶性ポリエステル樹脂ユニットとポリエステル以外の樹脂ユニットが化学的に結合した樹脂である。結晶性ポリエステル樹脂ユニットとは、結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分を示し、ポエステル樹脂以外の樹脂ユニットとは、ポチエステル以外の樹脂に由来する部分を示す。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル系樹脂などのビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。ポリエステル以外の樹脂ユニットは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
なお、非晶性ポリエステル樹脂も、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にハイブリッド構造を取ってもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)及び多価アルコール(誘導体)を原料として重縮合反応によって製造されたものであって、明瞭な融点を有さないものをいう。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、測定試料として非晶性ポリエステル樹脂を用いて、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
スチレン−アクリル樹脂を構成するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系モノマー及びその誘導体が挙げられる。
なお、ここでいうスチレン−アクリル樹脂の含有量とは、トナー母体粒子に含有するスチレン−アクリル樹脂の含有量に加えて、結晶性ポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂がハイブリッド構造を取った場合には、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性ポリエステル樹脂と化学的に結合したスチレン−アクリル樹脂の含有量も含むものとする。
トナー母体粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
本発明に係るトナー母体粒子には、離型剤を用いることができ、離型剤としてはワックスを添加することができる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に係るトナー母体粒子中には、荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
まず、本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の平均円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積平均粒径(D50%径)、すなわち体積基準メディアン径で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
また、トナー母体粒子の粒径も同様にして測定することができる。
本発明のトナーの軟化点は、90〜120℃が好ましい。トナーの軟化点がこの範囲であるときに、好ましい低温定着性が得られる。
<トナー母体粒子の製造方法>
本発明のトナー母体粒子を製造する方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
(a)水系媒体中で、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程
(b)水系媒体中で、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程
(c)水系媒体中で、着色剤微粒子の分散液を調製する工程
(d)前記結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液と、前記非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液と、前記着色剤微粒子の分散液とを混合し、当該結晶性ポリエステル樹脂の微粒子と、当該非晶性ポリエステル樹脂の微粒子と、当該着色剤微粒子とを凝集し、次いで熱エネルギーにより融着、熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、
を経てトナー母体粒子が形成される。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(A−2)結晶性ポリエステル樹脂溶液調製工程
(A−3)脱溶剤工程
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、多価カルボン酸及び多価アルコールとを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
工程(A−2)では、上記のようにして合成された結晶性ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解し、結晶性ポリエステル樹脂溶液を調製する。その後、当該結晶性ポリエステル溶液を、水系媒体中に乳化分散させることにより、結晶性ポリエステル溶液よりなる油滴を形成する。
工程(A−2)においては、水系媒体に対して結晶性ポリエステル樹脂溶液を徐々に添加することが好ましいが、結晶性ポリエステル樹脂溶液に対して水系媒体を徐々に添加する転相乳化法を行ってもよい。
有機溶剤としては、結晶性ポリエステル、後述の非晶性ポリエステル及びポリヒドロキシアルカン酸を溶解可能であればよく、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどを好ましく用いることができる。
本実施形態において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
また、水系媒体には、必要に応じて、アミンやアンモニアが溶解されていてもよい。
上記の水系媒体中においては、必要に応じて、通常のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤が溶解されていてもよい。界面活性剤としては、結晶性ポリエステルによる油滴、後述の非晶性ポリエステルによる油滴及びポリヒドロキシアルカン酸による油滴の分散安定性に優れ、また、温度変化に対する安定性が得られることから、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
工程(A−3)においては、工程(A−2)において形成された油滴から、有機溶剤を留去することにより、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子が生成され、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液が調製される。
結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
分子量が5000以上であると、非晶性ポリエステル樹脂と相溶することが抑制され、耐熱性の悪化が抑制される。100000以下であると、低温定着性の悪化を抑制できる。
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(B−2)非晶性ポリエステル樹脂溶液調製工程
(B−3)脱溶剤工程
非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
分子量が5000以上であると、耐熱保管性の悪化を抑制できる。100000以下であると、低温定着性の悪化を抑制できる。
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメディアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
トナー母体粒子形成工程においては、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子及び着色剤微粒子とともに、必要に応じて、離型剤などのオフセット防止剤や荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
また、一段目分散液を、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液とした場合に、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液よりも後に添加することが好ましい。
このように、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液よりも後に投入することにより、前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)の比(P827/P1170)が1.0未満となり、表面近傍の結晶性ポリエステル樹脂の量を増加させることができる。
このトナー母体粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。
金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム及びリチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン及び銅などの2価の金属塩;鉄及びアルミニウムなどの3価の金属塩などが挙げられる。
具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム及び硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のトナー母体粒子形成工程における加熱温度の制御により、ある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経ることが好ましい。
洗浄・乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。すなわち、上記熟成工程にて所望の平均円形度まで熟成した後、例えば遠心分離器などの公知の方法により、固液分離し洗浄を行い、減圧乾燥にて有機溶媒を除去し、さらに、フラッシュジェットドライヤー及び流動層乾燥装置など公知の乾燥装置にて水分及び微量の有機溶媒を除去する。乾燥温度は、トナーが融着しない範囲であればよい。
この外添剤処理工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
<結晶性ポリエステル樹脂(c−1)の作製>
両反応性モノマーを含む、下記の付加重合系樹脂(スチレン−アクリル樹脂:St/Ac)ユニットの原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 40質量部
n−ブチルアクリレート 14質量部
アクリル酸 2質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキシド) 8質量部
また、下記の重縮合系樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)ユニットの原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
セバシン酸 348質量部
1,12−ドデカンジオール 350質量部
次いで、撹拌下で付加重合系樹脂(St/Ac)ユニットの原料モノマーを100分かけて滴下し、70分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の樹脂の原料モノマー比に対してごく微量であった。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次に、200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることによりハイブリッド構造を有する結晶性ポリエステル樹脂(c−1)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(c−1)をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は77℃であった。半値幅は8℃であった。
1,4−ブタンジール463質量部、1,6−ヘキサンジオール1400質量部、フマル酸1972質量部を三つ口フラスコに入れ、触媒としてジブチルスズオキシド4質量部、ハイドロキノン2質量部を加えて、窒素ガス雰囲気下160℃で5時間反応させた。さらに、8.3kPaにて所望の融点の樹脂が得られるまで反応させて結晶性ポリエステル樹脂(c−2)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(c−2)をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は80℃であった。半値幅は、5℃であった。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 80質量部
ブチルアクリレート 20質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキシド) 16質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた。その後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、ハイブリッド構造を有する非晶性ポリエステル樹脂(a−1)を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物428.6質量部、テレフタル酸100.4質量部、フマル酸71.1質量部、及び重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド3質量部を15回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら15時間反応させた。
次いで、13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、非晶性ポリエステル樹脂(a−2)を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)の作製>
結晶性ポリエステル樹脂(c−1)600質量部を溶融させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(ユーロテック社製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の結晶性ポリエステル樹脂(c−1)の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水1400質量部を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件で運転することにより、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)を作製した。
結晶性ポリエステル樹脂分散液(C−1)の作製方法において、結晶性ポリエステル樹脂(c−1)を結晶性ポリエステル樹脂(c−2)に変更した以外は、同様にして結晶性ポリエステル樹脂分散液(C−2)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(a−1)400質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液2552質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所社製)を用いてV−LEVEL、300μAで120分間超音波分散し、非晶性ポリエステル樹脂(a−1)が分散された非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)を作製した。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(A−1)の作製方法において、非晶性ポリエステル樹脂(a−1)を非晶性ポリエステル樹脂(a−2)に変更した以外は、同様にして非晶性ポリエステル樹脂分散液(A−2)を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム0.64質量部をイオン交換水103.5質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム0.47質量部をイオン交換水18.5質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記モノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
スチレン 28.5質量部
n−ブチルアクリレート 7.1質量部
メタクリル酸 1.9質量部
下記モノマー混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液に離型剤としてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル100質量部を溶解させ、離型剤を含有したモノマー混合液を調製した。
スチレン 279.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 5.1質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5.05質量部をイオン交換水790質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記離型剤を含有したモノマー混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液を、上記樹脂粒子〔1H〕37.5質量部とイオン交換水1500質量部を添加された、撹拌90rpm、82℃にて待機してある撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に投入した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム4.54質量部をイオン交換水86.3質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕を得た。
さらに、過硫酸カリウム6.07質量部をイオン交換水118質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 205.1質量部
メタクリル酸メチル 22.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.3質量部
メタクリル酸 17.8質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.4質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して離型剤とスチレンアクリル系樹脂粒子を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)を得た。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を含有する着色剤粒子分散液を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
離型剤としてのベヘン酸ベヘネート(融点71℃)60質量部と、イオン性界面活性剤「ネオゲン RK」(第一工業製薬社製)5質量部と、イオン交換水240質量部とを混合した溶液を95℃に加熱し、ホモジナイザー「ウルトラタックスT50」(IKA社製)を用いて十分に分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーを用いて分散処理することにより、体積平均径が240nm、固形分量が20質量部の離型剤分散液を作製した。
<トナー1の作製>
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を90質量部(固形分換算)、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を330質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を48質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入して、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が4.0μmに到達した時点で、一段目分散液の追加液として「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を180質量部(固形分換算)投入した。
その後、加熱撹拌を続け、平均粒径が6.0μmに到達した時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けて、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子1」の分散液を得た。
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
上記の「トナー母体粒子1」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を作製した。
トナー1の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、それぞれ表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー2、10及びトナー12を作製した。また、トナー12は、非晶性ポリエステル樹脂を含有しない。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を126質量部(固形分換算)、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を342質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を47質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、二段目投入分散液として、「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を117質量部(固形分換算)滴下し、結晶性ポリエステルポリエステル樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子3」の分散液を得た。
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子3の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子3」を作製した。
上記の「トナー母体粒子3」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー3を作製した。
トナー3の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、及び二段目投入分散液の添加質量部(固形分換算)をそれぞれ、表1に示すように変え、二段目投入分散液を添加する際の平均粒径を、5.7μm(トナー4)、5.9μm(トナー5)及び6.0μm(トナー9)とした以外は同様にして、トナー4、5及びトナー9を作製した。
トナー3の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、及び二段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)をそれぞれ、表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー6、トナー7、トナー13、及びトナー15を作製した。トナー15は、結晶性ポリエステルがドメインで存在していないことを確認した。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を351質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を48質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が4.5μmに到達した時点で、一段目分散液の追加液として「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を133質量部(固形分換算)投入した。
その後、加熱撹拌を続け、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、二段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を121質量部(固形分換算)滴下し、非晶性ポリエステルポリエステル樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い、上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子8」の分散液を得た。
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子8の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子8」を作製した。
上記の「トナー母体粒子8」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー8を作製した。
トナー1の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、それぞれ表1に示すように変え、一段目分散液の追加液を投入しない以外は同様にして、トナー11を作製した。トナー11は、結晶性ポリエステルを含有しない。
トナー8の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、一段目投入分散液追加投入液、及び二段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー14を作製した。
フェライトコア100質量部と、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径40μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。上記キャリアにトナー1〜トナー15をそれぞれトナー濃度が7質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤1〜現像剤15を作製した。
<ピーク高さの比の値(ATR比率)>
フーリエ変換赤外分光装置(FT−IR;URT5200、日本分光社製)を使用して、全反射法(ATR法)で得られたスペクトルのピーク強度比より、827cm−1付近のピーク高さ(P827)と1170cm−1付近のピーク高さ(P1170)の比の値(P827/P1170)を求めた。
具体的には、まず、試料としてトナー0.2gをペレット成形機(SSP−10A;島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して作製した、直径10mmのペレットを作製した。ATR測定は、Ge結晶を用い、分解能4cm−1、積算回数32回の条件で行った。
827cm−1のピーク高さは、775cm−1から785cm−1の最小値と、880cm−1と890cm−1の最小値をベースポイントとした際の、822cm−1から832cm−1の最大値とし、1170cm−1のピーク高さは、1190cm−1から1200cm−1の最小値をベースポイントとした際の、1165cm−1から1175cm−1の最大値として、上記ピーク高さの比の値(P827/P1170)を求めた。
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRESS C6500(コニカミノルタ社製)」において、定着温度、トナー付着量、及びシステム速度を自由に設定できるように改造した改造機Aを作製した。この改造機Aの現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。評価は、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズのNPI128g/m2(日本製紙社製)を用い、トナー付着量5g/m2のベタ画像を定着させる定着実験を、定着下ローラの温度は定着上ベルトよりも20℃低く設定し、定着上ベルトの温度を110から5℃刻みで増加させるように変更しながら220℃まで繰り返し行った。この実験を、定着速度を300mm/sec(通常)と450mm/sec(高速)の二水準で実施した。
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために、記録紙等の転写材から剥離してしまう画像欠陥をいう。
上記の方法で画像を形成した際に、アンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、160℃未満を合格とした。
A:130℃未満
B:130℃以上140℃未満
C:140℃以上160℃未満
D:160℃以上
上記の方法で形成した定着ベタ画像を折り機で折り、これに0.35MPaの空気を吹きつけ、折り目の状態を限度見本を参照し、5段階に評価しランク3の定着温度を定着下限温度(折り)とした。
ランク5:全く折れ目に剥離なし、ランク4:一部折り目に従い剥離あり、ランク3:折り目に従い細い線状の剥離あり、ランク2:折り目に従い太い剥離あり、ランク1:画像に大きな剥離あり。
定着下限温度(折り)が180℃未満を合格とした。
A:150℃未満
B:150℃以上160℃未満
C:160℃以上180℃未満
D:180℃以上
画像濃度を評価する画像は、アンダーオフセット評価での下限定着温度+20℃で定着した定着ベタ画像を用いた。画像濃度は、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、定着ベタ画像の絶対反射濃度を5か所について測定し、その平均値とした。画像濃度が1.40以上のものを実用的問題ないものと判断した。
表2の結果より明らかなように、本発明のトナーであるトナー1〜トナー10は、低温定着性、折り定着性、及び画像濃度のいずれの特性も実用化可能なレベルにあり良好であるが、本発明外の比較用であるトナー11〜トナー15は、低温定着性又は折り定着性に問題があり、実用化可能なレベルにないことがわかる。
2 マトリクス
3 ドメイン
Claims (4)
- 結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、
前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。 - スチレン−アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル樹脂が、前記トナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
- フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定した、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、0.4〜0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015013093A JP6692121B2 (ja) | 2015-01-27 | 2015-01-27 | 静電潜像現像用トナー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015013093A JP6692121B2 (ja) | 2015-01-27 | 2015-01-27 | 静電潜像現像用トナー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016138968A true JP2016138968A (ja) | 2016-08-04 |
JP6692121B2 JP6692121B2 (ja) | 2020-05-13 |
Family
ID=56560110
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015013093A Active JP6692121B2 (ja) | 2015-01-27 | 2015-01-27 | 静電潜像現像用トナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6692121B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017107169A (ja) * | 2015-12-04 | 2017-06-15 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2019008000A (ja) * | 2017-06-20 | 2019-01-17 | コニカミノルタ株式会社 | 2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011149986A (ja) * | 2010-01-19 | 2011-08-04 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 静電荷像現像用トナーとその製造方法及び静電荷像現像剤と画像形成方法 |
JP2014235362A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | コニカミノルタ株式会社 | 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 |
JP2015011054A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-19 | コニカミノルタ株式会社 | 静電荷像現像用トナー |
-
2015
- 2015-01-27 JP JP2015013093A patent/JP6692121B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011149986A (ja) * | 2010-01-19 | 2011-08-04 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 静電荷像現像用トナーとその製造方法及び静電荷像現像剤と画像形成方法 |
JP2014235362A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | コニカミノルタ株式会社 | 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 |
JP2015011054A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-19 | コニカミノルタ株式会社 | 静電荷像現像用トナー |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017107169A (ja) * | 2015-12-04 | 2017-06-15 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2019008000A (ja) * | 2017-06-20 | 2019-01-17 | コニカミノルタ株式会社 | 2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6692121B2 (ja) | 2020-05-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6410579B2 (ja) | トナー | |
JP6168088B2 (ja) | 静電潜像現像用トナーの製造方法 | |
JP2014235394A (ja) | 静電潜像現像用トナー及び電子写真画像形成方法 | |
JP2012255957A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP6107464B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
CN104808454A (zh) | 静电荷图像显影用调色剂、双组分显影剂和图像形成方法 | |
US9946180B2 (en) | Toner for developing electrostatic latent image | |
JP6330733B2 (ja) | トナーおよびその製造方法 | |
JP6330716B2 (ja) | トナーおよびその製造方法 | |
JP2018124460A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2017009630A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2011257526A (ja) | 静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 | |
JP2016170195A (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JP6083341B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP6692121B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JP7141181B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP2018072655A (ja) | 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法 | |
JP6930237B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP6288039B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JP6668940B2 (ja) | 電子写真画像形成装置及び電子写真画像形成方法 | |
JP2021117422A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2017058452A (ja) | 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法 | |
JP7428001B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP7424053B2 (ja) | 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 | |
JP6930236B2 (ja) | 静電潜像現像用イエロートナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171215 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180824 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180904 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181026 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20181204 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190214 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20190221 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20190405 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200129 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200217 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200414 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6692121 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |