JP2016138968A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー Download PDF

Info

Publication number
JP2016138968A
JP2016138968A JP2015013093A JP2015013093A JP2016138968A JP 2016138968 A JP2016138968 A JP 2016138968A JP 2015013093 A JP2015013093 A JP 2015013093A JP 2015013093 A JP2015013093 A JP 2015013093A JP 2016138968 A JP2016138968 A JP 2016138968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
polyester resin
crystalline polyester
mass
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015013093A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6692121B2 (ja
Inventor
真優子 松▲崎▼
Mayuko Matsuzaki
真優子 松▲崎▼
内野 泰子
Yasuko Uchino
泰子 内野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2015013093A priority Critical patent/JP6692121B2/ja
Publication of JP2016138968A publication Critical patent/JP2016138968A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6692121B2 publication Critical patent/JP6692121B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】本発明の課題は、高速化した際にも低温定着性及び折り定着性に優れた静電潜像現像用トナーを提供することである。
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関し、特に、高速化した際にも低温定着性及び折り定着性に優れた静電潜像現像用トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置は、益々高速化、及び高画質化の要求が高まり、それに用いる静電潜像現像用トナーにおいても、それらの市場からの要求に対応可能なトナーの開発が急ピッチで進められている。例えば、高画質化に対応したトナーとしては、粒径分布がシャープであることが求められる。
トナーの粒径が揃い、粒径分布をシャープにすると個々のトナー粒子毎の現像挙動が揃うことにより、微小ドットの再現性が著しく向上する。しかしながら、従来の粉砕法によるトナー製造方法では、トナーの粒径分布をシャープにすることは容易ではなかった。
これに対して、トナー粒子の形状や粒度分布を任意に制御可能な製造方法として、乳化凝集法が提案されている。この方法は、樹脂粒子の乳化分散液に着色剤粒子分散液や必要に応じて離型剤分散液を混合し、撹拌しながら、凝集剤を添加し、pH制御等により、それぞれの粒子を凝集させ、さらに加熱によって粒子を融着させてトナー粒子を得るものである。
また、省エネルギーの観点から、少ないエネルギーで定着できる低温定着トナーの開発が進められている。トナーの定着温度を下げるためには、樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。しかしながら、樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げるため、樹脂のガラス転移点や分子量を下げるとトナーの耐熱保管性が低下したりするなど新たな問題が生じる。
低温定着性と耐熱保管性を両立させるために、損失弾性率(G″)/貯蔵弾性率(G′)=損失正接(tanδ)で表されるtanδが所定の条件を満たし、表面近傍には非晶性樹脂が多く存在することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この構成では、表面近傍の結晶性ポリエステルが少なく、より高速化した際には、十分な低温定着性が発揮できない。
また、耐熱保管性と十分な定着強度を有する画像が形成可能で、低温オフセット及び高温オフセットの発生しない定着温度範囲(非オフセット温度幅)が比較的広い画像形成方法を提供するため、シェル層に軟化点60〜120℃の結晶性ポリエステル樹脂をシェル層構成樹脂全体の70〜100質量%含有するコアシェル構造型トナー粒子を用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。この構成では、表面近傍に結晶性ポリエステル樹脂が多いと推定できるが、結晶性ポリエステル樹脂がドメインを形成していないために、低温かつ高速で定着した際には、形成された画像がもろくなるという、例えば、折り定着性の問題が生じる。
特開2014−174262号公報 特開2005−99085号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高速化した際にも低温定着性及び折り定着性に優れた静電潜像現像用トナーを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、トナー表面近傍の結晶性ポリエステル樹脂由来のピーク強度を、非晶性ポリエステル樹脂由来のピーク強度より大きくすることによって、低温定着性及び折り定着性が良好で、かつ、高速化への対応が可能な静電潜像現像用トナーとすることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、
前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
2.スチレン−アクリル樹脂を含有することを特徴とする第1項に記載の静電潜像現像用トナー。
3.前記スチレン−アクリル樹脂が、前記トナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電潜像現像用トナー。
4.フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定した、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、0.4〜0.6の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
本発明の上記手段により、高速化した際にも低温定着性及び折り定着性に優れた静電潜像現像用トナーを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)を1.0未満とすることによって、すなわち、結晶性ポリエステル樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂よりも、トナー表面近傍により多く存在することで、トナーの融点が下がり、かつ、瞬時に溶融するため、システムが高速化した際にも低温定着が可能となる。また、結晶性ポリエステル樹脂がドメインとして存在することで、結晶性ポリエステル樹脂の量が、トナー表面近傍で多くなっても、画像強度が落ちず、その結果、折り定着性との両立が可能となる。
本発明に係るトナー母体粒子の構成を説明するためのトナー母体粒子の断面の模式図 ATR法で得られたスペクトルの一例を示した図 図2の827cm−1付近を示した図 図2の1170cm−1付近を示した図
本発明の静電潜像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、スチレン−アクリル樹脂を含有することが好ましい。スチレン−アクリル樹脂を含有することによって、着色剤の分散性が向上するため、高い画像濃度が得られる。
前記スチレン−アクリル樹脂が、前記トナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内であることが、より高い画像濃度が得られ、低温定着性が良好となる点で好ましい。
前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、0.4〜0.6の範囲内であることが、高速化した際の低温定着性及び折り定着性が良好となる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[静電潜像現像用トナー]
本発明の静電潜像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー母体粒子を含有した静電潜像現像用トナーである。そして、前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、前記トナーは、前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする。より好ましくは、0.4〜0.6の範囲内である。0.4〜0.6の範囲内であれば、表面近傍の結晶性ポリエステル量が増え過ぎることによって、折り定着性が悪化することもなく、また、表面近傍の結晶性ポリエステル量が少な過ぎることによって、高速化した際の低温定着性が悪化することもない。
前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)の比(P827/P1170)を1.0未満とするための手段としては、例えば、乳化凝集法でトナーを作製する場合、トナー作製時の凝集・融着工程において、一段目分散液を投入する際に、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液よりも後に添加する手段や、一段目分散液として非晶性ポリエステル樹脂を添加して、二段目分散液として結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を添加する手段が挙げられる。このような手段により、表面近傍の結晶性ポリエステル樹脂の量が増加する傾向がある。
また、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の含有割合を多くすることによっても、表面近傍の結晶性ポリエステル量が増加する傾向がある。
<ピーク高さの比の測定方法>
827cm−1付近のピーク高さ(P827)と1170cm−1付近のピーク高さ(P1170)の比(P827/P1170)は、フーリエ変換赤外分光装置(FT−IR;URT5200、日本分光社製)を使用して、全反射法(ATR法)で得られたスペクトルのピーク強度比より求めることができる。
まず、試料としてトナー0.2gをペレット成形機(SSP−10A;島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して作製した、直径10mmのペレットを作製した。ATR測定は、Ge結晶を用い、分解能4cm−1、積算回数32回の条件で行った。
827cm−1のピーク高さは、775cm−1から785cm−1の最小値と、880cm−1と890cm−1の最小値をベースポイントとした際の、822cm−1から832cm−1の最大値と定義する。822cm−1から832cm−1の範囲の吸収ピークは、非晶性ポリエステルを構成するビスフェノールAなどが有する2置換のフェニル基C−H面外変角に起因する。
1170cm−1のピーク高さは、1190cm−1から1200cm−1の最小値をベースポイントとした際の、1165cm−1から1175cm−1の最大値と定義する。1165cm−1から1175cm−1の範囲の吸収ピークは、結晶性ポリエステルが有するエステル結合のC−O−C対称伸縮に起因する。
図2は、ATR法で得られたスペクトルの一例を示し、図3は、図2の827cm−1付近、図4は、図2の1170cm−1付近を示している。
本発明において、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子といい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いる。
<トナー母体粒子の構成>
図1は、本発明に係るトナー母体粒子の構成を説明するためのトナー母体粒子1の断面の模式図である。
本発明に係るトナー母体粒子は、ドメイン・マトリクス構造を有している。ドメイン・マトリクス構造とは、海島構造ともいい、海島構造とは、図1に示すように、トナー母体粒子1の連続相(連続相がマトリクス2であり、海を表す領域である)中に、閉じた界面(相と相との境界)を有する島状の相(ドメイン3)が存在する構造のものをいう。すなわち、ドメイン・マトリクス構造とは、相互に非相溶性の複数(例えば2種)の樹脂成分を混合した場合、混合物の高次構造として、樹脂成分の片方が連続する相(海)の中に、もう一方が島状又は粒子状に散在している構造をいう。すなわち、一方の樹脂がマトリクスに相当する連続相(海)となり、他方がドメインに相当する島状の独立相(分散相)となることで形成される構造をいう。
本発明においては、トナー母体粒子は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有している。本発明では、結晶性ポリエステル樹脂がドメインとして存在しており、トナー母体粒子1中のマトリクス2の中に結晶性ポリエステル樹脂がドメイン3として散在、すなわち分散して存在している。
さらに、本発明のトナー母体粒子は、スチレン−アクリル樹脂を含有することが好ましい。スチレン−アクリル樹脂を含有すると着色剤の分散剤が向上するため、高い画像濃度を実現することができる。
以下、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル樹脂について説明する。
《結晶性ポリエステル樹脂》
本発明における結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であるものを結晶性ポリエステル樹脂という。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)及び多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものである。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸が例示できる。
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
多価アルコールは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中にヒドロキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
結晶性ポリエステル樹脂粒子の融点Tmは、65〜90℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70〜80℃の範囲内である。Tmが、65〜90℃の範囲内であれば、低温定着性を阻害することなく、また、耐熱保管性が向上する。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点測定法)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができる。
例えば、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。具体的には、試料4.50mgをアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得する。融点は、吸熱ピークのピークトップの温度とする。
また、重縮合性モノマーのカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
また、本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、ハイブリッド構造を有していてもよい。結晶性ポリエステル樹脂がハイブリッド構造を取ると、トナー中でドメイン形状を取りやすくなる。
ハイブリッド構造を取った結晶性ポリエステル樹脂とは、結晶性ポリエステル樹脂ユニットとポリエステル以外の樹脂ユニットが化学的に結合した樹脂である。結晶性ポリエステル樹脂ユニットとは、結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分を示し、ポエステル樹脂以外の樹脂ユニットとは、ポチエステル以外の樹脂に由来する部分を示す。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル系樹脂などのビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。ポリエステル以外の樹脂ユニットは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
なお、非晶性ポリエステル樹脂も、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にハイブリッド構造を取ってもよい。
《非晶性ポリエステル樹脂》
非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)及び多価アルコール(誘導体)を原料として重縮合反応によって製造されたものであって、明瞭な融点を有さないものをいう。
非晶性ポリエステル樹脂の原料である多価カルボン酸及び多価アルコールは、上述した結晶性ポリエステル樹脂の原料である多価カルボン酸及び多価アルコールと同様のものを使用することができる。
上記の多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5の範囲内、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、20〜70℃の範囲内であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、測定試料として非晶性ポリエステル樹脂を用いて、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
《スチレン−アクリル樹脂》
スチレン−アクリル樹脂を構成するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系モノマー及びその誘導体が挙げられる。
本発明に係るスチレン−アクリル系樹脂に使用可能なその他のアクリル系モノマーとしては、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
また、これらのスチレン系モノマー、アクリル系モノマーなどの重合性ビニルモノマーは単独又は2種類以上を併用して用いてもよく、これらのモノマーの重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルジョン法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行うことにより重合物を得ることができる。また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
本発明のトナーにおいては、スチレン−アクリル樹脂がトナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内で含有されることが好ましい。スチレン−アクリル樹脂の含有量が50質量%以上であると、より高い画像濃度を実現することができる。
なお、ここでいうスチレン−アクリル樹脂の含有量とは、トナー母体粒子に含有するスチレン−アクリル樹脂の含有量に加えて、結晶性ポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂がハイブリッド構造を取った場合には、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性ポリエステル樹脂と化学的に結合したスチレン−アクリル樹脂の含有量も含むものとする。
本発明に係るトナー母体粒子には、必要に応じて、着色剤、離型剤、荷電制御剤等を添加することができる。
《着色剤》
トナー母体粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどを用いることができる。
磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
また、顔料としてはC.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、中心金属が亜鉛、チタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
着色剤の数平均一次粒子径は種類により異なるが、おおむね10〜200nm程度であることが好ましい。
トナー母体粒子が着色剤を含有したものとして構成される場合のトナーにおける着色剤の含有割合は、トナー中に含有する樹脂全体に対して1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%の範囲内である。
《離型剤》
本発明に係るトナー母体粒子には、離型剤を用いることができ、離型剤としてはワックスを添加することができる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスとしては、トナーの低温定着性及び離型性を確実に得る観点から、その融点が50〜95℃であるものを用いることが好ましい。ワックスの含有割合は、トナー中に含有する樹脂全体に対して2〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%の範囲内、さらに好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
また、トナー母体粒子中におけるワックスの存在状態として、結晶性ポリエステル樹脂とは異なる独立したドメインを形成することが好ましい。異なる独立したドメインを形成することで、それぞれの機能を発揮しやすくなる。例えば、水系媒体中でトナーを作る場合には、ワックスを樹脂で被覆した状態で、トナー母体粒子を作製すると、結晶性ポリエステル樹脂とは異なるドメインを形成しやすい。結晶性ポリエステル樹脂と離型剤であるワックスが相溶することなく、異なる独立したドメインとしてマトリクス中に存在することで、結晶性ポリエステル樹脂とワックスの持つ機能が、損なわれずそれぞれの持つ機能を十分に発揮させることができるので、低温定着性、定着分離性及びラフ紙でのオフセット性が良好なトナーとすることができる。
ワックスのドメイン径としては300nm〜2μmの範囲内であることが好ましい。この範囲であれば、十分に離形性の効果が得られる。
《荷電制御剤》
また、本発明に係るトナー母体粒子中には、荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー中に含有する樹脂全体に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内とされる。
<トナー母体粒子の平均円形度>
まず、本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の平均円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。
ここで、トナー母体粒子の平均円形度はフロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
<トナー粒子の粒径>
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積平均粒径(D50%径)、すなわち体積基準メディアン径で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、例えば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。
トナー粒子の体積基準メディアン径(D50%径)は、例えば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて、前述と同様に測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(D50%径)とする。
また、トナー母体粒子の粒径も同様にして測定することができる。
<トナーの軟化点>
本発明のトナーの軟化点は、90〜120℃が好ましい。トナーの軟化点がこの範囲であるときに、好ましい低温定着性が得られる。
軟化点の測定は、前述の方法、すなわち、「フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)により測定することができる。
[トナーの製造方法]
<トナー母体粒子の製造方法>
本発明のトナー母体粒子を製造する方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化によって製造された樹脂の粒子(以下、「樹脂粒子」ともいう)の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。ここで、樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
本発明のトナー母体粒子は、乳化凝集法で製造することが好ましい。すなわち、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の水系分散液と、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の水系分散液と、着色剤微粒子の水系分散液とを混合し、それぞれの微粒子を凝集し、次いで、融着させることによって、本発明のトナー母体粒子とすることができる。
また、本発明では、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の水系分散液と、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の水系分散液と、着色剤微粒子の水系分散液とを混合する際に、スチレン−アクリル樹脂の微粒子の水系分散液も混合することが好ましい。
本発明のトナー母体粒子を乳化凝集法によって製造する場合の、着色剤を含有するトナー母体粒子の製造例を具体的に示すと、
(a)水系媒体中で、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程
(b)水系媒体中で、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程
(c)水系媒体中で、着色剤微粒子の分散液を調製する工程
(d)前記結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液と、前記非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液と、前記着色剤微粒子の分散液とを混合し、当該結晶性ポリエステル樹脂の微粒子と、当該非晶性ポリエステル樹脂の微粒子と、当該着色剤微粒子とを凝集し、次いで熱エネルギーにより融着、熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、
を経てトナー母体粒子が形成される。
上記(a)及び(b)の工程において、結晶性ポリエステル樹脂や、非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、スチレン−アクリル系樹脂などのポリエステル以外の樹脂ユニットが化学的に結合したハイブリッド構造を有するものであってもよい。
上記(d)の工程の後、さらに、トナー母体粒子の水系分散液からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程、洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、から構成され、必要に応じて、乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程を加えることでトナー粒子を製造することができる。
《結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程》
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(A−1)結晶性ポリエステル樹脂合成工程
(A−2)結晶性ポリエステル樹脂溶液調製工程
(A−3)脱溶剤工程
(A−1)結晶性ポリエステル樹脂合成工程
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、多価カルボン酸及び多価アルコールとを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキサイド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
(A−2)結晶性ポリエステル樹脂溶液調製工程
工程(A−2)では、上記のようにして合成された結晶性ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解し、結晶性ポリエステル樹脂溶液を調製する。その後、当該結晶性ポリエステル溶液を、水系媒体中に乳化分散させることにより、結晶性ポリエステル溶液よりなる油滴を形成する。
工程(A−2)においては、水系媒体に対して結晶性ポリエステル樹脂溶液を徐々に添加することが好ましいが、結晶性ポリエステル樹脂溶液に対して水系媒体を徐々に添加する転相乳化法を行ってもよい。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、結晶性ポリエステル、後述の非晶性ポリエステル及びポリヒドロキシアルカン酸を溶解可能であればよく、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどを好ましく用いることができる。
(水系媒体)
本実施形態において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
また、水系媒体には、必要に応じて、アミンやアンモニアが溶解されていてもよい。
(界面活性剤)
上記の水系媒体中においては、必要に応じて、通常のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤が溶解されていてもよい。界面活性剤としては、結晶性ポリエステルによる油滴、後述の非晶性ポリエステルによる油滴及びポリヒドロキシアルカン酸による油滴の分散安定性に優れ、また、温度変化に対する安定性が得られることから、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、及びその誘導体類などを挙げることができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
乳化分散させる具体的な手段としては、機械的エネルギーを付与することが挙げられ、機械的エネルギーを付与するための分散装置としては、特に限定されるものではなく、例えば高速回転可能なローターを備えた撹拌装置や、超音波分散装置や機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザーなどの装置を用いることができる。
(A−3)脱溶剤工程
工程(A−3)においては、工程(A−2)において形成された油滴から、有機溶剤を留去することにより、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子が生成され、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液が調製される。
有機溶剤の留去は、具体的には、真空度が400〜50000Paの範囲内とされた状態において、かつ、30〜50℃の範囲内の温度において行うことが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、例えば体積基準のメディアン径で30〜500nmの範囲内にあることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
結晶性ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10000〜50000の範囲内である。
分子量が5000以上であると、非晶性ポリエステル樹脂と相溶することが抑制され、耐熱性の悪化が抑制される。100000以下であると、低温定着性の悪化を抑制できる。
《非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液を調製する工程》
本工程は、下記工程を含んで構成されることが好ましい。
(B−1)非晶性ポリエステル樹脂合成工程
(B−2)非晶性ポリエステル樹脂溶液調製工程
(B−3)脱溶剤工程
(B−1)から(B−3)までの具体的な合成、調製及び脱溶剤工程については、前記結晶性ポリエステル分散液調製工程における(A−1)から(A−3)までの工程に準ずるので割愛する。
非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、体積基準のメディアン径が50〜300nmの範囲内であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の粒径は、「マイクロナノトラックUPA−EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定されるものである。
非晶性ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5000〜50000の範囲内である。
分子量が5000以上であると、耐熱保管性の悪化を抑制できる。100000以下であると、低温定着性の悪化を抑制できる。
《着色剤微粒子の分散液を調製する工程》
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
この着色剤微粒子の分散液を調製する工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメディアン径で10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメディアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
《トナー母体粒子形成工程》
トナー母体粒子形成工程においては、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子及び着色剤微粒子とともに、必要に応じて、離型剤などのオフセット防止剤や荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
結晶性ポリエステル樹脂の微粒子、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子及び着色剤微粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度以下の温度に加熱することによって、非晶性ポリエステル樹脂の微粒子、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子及び着色剤微粒子などの粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法である。
この方法においては、凝集剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くして速やかに、これらの樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度以下の温度に加熱することが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によっては粒子の凝集状態が変動して粒径分布が不安定になったり、融着させた粒子の表面性が変動したりする問題が発生することが懸念されるためである。この昇温までの時間としては通常30分間以内であることが好ましく、10分間以内であることがより好ましい。また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー母体粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
本発明においては、凝集・融着工程で、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液及び非晶性ポリエステル樹脂の微粒子の分散液は、一段目と二段目に分割して投入することが好ましい。具体的には、一段目分散液として非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液を投入し、二段目分散液として結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を添加することが好ましい。
また、一段目分散液を、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液とした場合に、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液よりも後に添加することが好ましい。
このように、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液よりも後に投入することにより、前記827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)の比(P827/P1170)が1.0未満となり、表面近傍の結晶性ポリエステル樹脂の量を増加させることができる。
また、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の含有割合を、非晶性ポリエステル樹脂よりも多くすることが好ましく、これによっても、トナー表面近傍の結晶性ポリエステル量を増加させることができる。具体的には、結晶性ポリエステル樹脂の含有割合は、非晶性ポリエステル樹脂に対して、120質量%〜550質量%の範囲内とすることが好ましい。
(凝集剤)
このトナー母体粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。
金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム及びリチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン及び銅などの2価の金属塩;鉄及びアルミニウムなどの3価の金属塩などが挙げられる。
具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム及び硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このトナー母体粒子形成工程において得られるトナー母体粒子の粒径は、例えば、体積基準のメディアン径(D50%径)が2〜9μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜7μmである。
トナー母体粒子の体積基準のメディアン径は、「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)によって測定されるものである。
《熟成工程》
上記のトナー母体粒子形成工程における加熱温度の制御により、ある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経ることが好ましい。
この熟成工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、粒径が一定で分布が狭く形成したトナー母体粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものとなるよう制御する。具体的には、トナー母体粒子形成工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、この熟成工程においても加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー母体粒子を所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
《洗浄・乾燥工程》
洗浄・乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。すなわち、上記熟成工程にて所望の平均円形度まで熟成した後、例えば遠心分離器などの公知の方法により、固液分離し洗浄を行い、減圧乾燥にて有機溶媒を除去し、さらに、フラッシュジェットドライヤー及び流動層乾燥装置など公知の乾燥装置にて水分及び微量の有機溶媒を除去する。乾燥温度は、トナーが融着しない範囲であればよい。
《外添剤処理工程》
この外添剤処理工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
乾燥工程までの工程を経て作製されたトナー母体粒子は、そのままトナー粒子として使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、又はクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子及び酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子及びステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、又はチタン酸ストロンチウム及びチタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸又はシリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
これらの外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー及びコーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
[現像剤]
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト及びマグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム又は鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmの範囲内のものが好ましく、25〜80μmの範囲内のものがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[ポリエステル樹脂の作製]
<結晶性ポリエステル樹脂(c−1)の作製>
両反応性モノマーを含む、下記の付加重合系樹脂(スチレン−アクリル樹脂:St/Ac)ユニットの原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 40質量部
n−ブチルアクリレート 14質量部
アクリル酸 2質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキシド) 8質量部
また、下記の重縮合系樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)ユニットの原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
セバシン酸 348質量部
1,12−ドデカンジオール 350質量部
次いで、撹拌下で付加重合系樹脂(St/Ac)ユニットの原料モノマーを100分かけて滴下し、70分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の樹脂の原料モノマー比に対してごく微量であった。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次に、200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることによりハイブリッド構造を有する結晶性ポリエステル樹脂(c−1)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(c−1)をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は77℃であった。半値幅は8℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂(c−2)の作製>
1,4−ブタンジール463質量部、1,6−ヘキサンジオール1400質量部、フマル酸1972質量部を三つ口フラスコに入れ、触媒としてジブチルスズオキシド4質量部、ハイドロキノン2質量部を加えて、窒素ガス雰囲気下160℃で5時間反応させた。さらに、8.3kPaにて所望の融点の樹脂が得られるまで反応させて結晶性ポリエステル樹脂(c−2)を得た。この結晶性ポリエステル樹脂(c−2)をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は80℃であった。半値幅は、5℃であった。
<非晶性ポリエステル樹脂(a−1)の作製>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 80質量部
ブチルアクリレート 20質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキシド) 16質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた。その後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、ハイブリッド構造を有する非晶性ポリエステル樹脂(a−1)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂(a−2)の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物428.6質量部、テレフタル酸100.4質量部、フマル酸71.1質量部、及び重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド3質量部を15回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら15時間反応させた。
次いで、13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、非晶性ポリエステル樹脂(a−2)を得た。
[樹脂粒子分散液の作製]
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)の作製>
結晶性ポリエステル樹脂(c−1)600質量部を溶融させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(ユーロテック社製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の結晶性ポリエステル樹脂(c−1)の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水1400質量部を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件で運転することにより、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)を作製した。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−2)の作製>
結晶性ポリエステル樹脂分散液(C−1)の作製方法において、結晶性ポリエステル樹脂(c−1)を結晶性ポリエステル樹脂(c−2)に変更した以外は、同様にして結晶性ポリエステル樹脂分散液(C−2)を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(a−1)400質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液2552質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所社製)を用いてV−LEVEL、300μAで120分間超音波分散し、非晶性ポリエステル樹脂(a−1)が分散された非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)を作製した。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−2)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂分散液(A−1)の作製方法において、非晶性ポリエステル樹脂(a−1)を非晶性ポリエステル樹脂(a−2)に変更した以外は、同様にして非晶性ポリエステル樹脂分散液(A−2)を得た。
<スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)の作製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム0.64質量部をイオン交換水103.5質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム0.47質量部をイオン交換水18.5質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記モノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
スチレン 28.5質量部
n−ブチルアクリレート 7.1質量部
メタクリル酸 1.9質量部
下記モノマー混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液に離型剤としてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル100質量部を溶解させ、離型剤を含有したモノマー混合液を調製した。
スチレン 279.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 5.1質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5.05質量部をイオン交換水790質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記離型剤を含有したモノマー混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液を、上記樹脂粒子〔1H〕37.5質量部とイオン交換水1500質量部を添加された、撹拌90rpm、82℃にて待機してある撹拌装置、温度センサー、冷却管、及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に投入した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム4.54質量部をイオン交換水86.3質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕を得た。
さらに、過硫酸カリウム6.07質量部をイオン交換水118質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 205.1質量部
メタクリル酸メチル 22.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.3質量部
メタクリル酸 17.8質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.4質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して離型剤とスチレンアクリル系樹脂粒子を含有するスチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)を得た。
[着色剤粒子分散液の作製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を含有する着色剤粒子分散液を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
[離型剤分散液の作製]
離型剤としてのベヘン酸ベヘネート(融点71℃)60質量部と、イオン性界面活性剤「ネオゲン RK」(第一工業製薬社製)5質量部と、イオン交換水240質量部とを混合した溶液を95℃に加熱し、ホモジナイザー「ウルトラタックスT50」(IKA社製)を用いて十分に分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーを用いて分散処理することにより、体積平均径が240nm、固形分量が20質量部の離型剤分散液を作製した。
[トナーの作製]
<トナー1の作製>
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を90質量部(固形分換算)、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を330質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を48質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入して、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が4.0μmに到達した時点で、一段目分散液の追加液として「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を180質量部(固形分換算)投入した。
その後、加熱撹拌を続け、平均粒径が6.0μmに到達した時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けて、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子1」の分散液を得た。
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子1」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を作製した。
<トナー2、10及びトナー12の作製>
トナー1の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、それぞれ表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー2、10及びトナー12を作製した。また、トナー12は、非晶性ポリエステル樹脂を含有しない。
<トナー3の作製>
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を126質量部(固形分換算)、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を342質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を47質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、二段目投入分散液として、「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を117質量部(固形分換算)滴下し、結晶性ポリエステルポリエステル樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子3」の分散液を得た。
(洗浄・乾燥)
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子3の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子3」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子3」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー3を作製した。
<トナー4、5及びトナー9の作製>
トナー3の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、及び二段目投入分散液の添加質量部(固形分換算)をそれぞれ、表1に示すように変え、二段目投入分散液を添加する際の平均粒径を、5.7μm(トナー4)、5.9μm(トナー5)及び6.0μm(トナー9)とした以外は同様にして、トナー4、5及びトナー9を作製した。
<トナー6、トナー7、トナー13及びトナー15の作製>
トナー3の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、及び二段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)をそれぞれ、表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー6、トナー7、トナー13、及びトナー15を作製した。トナー15は、結晶性ポリエステルがドメインで存在していないことを確認した。
<トナー8の作製>
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、及び温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、一段目投入分散液として、「スチレン−アクリル樹脂粒子分散液(St/Ac分散液)」を351質量部(固形分換算)、「着色剤粒子分散液」を48質量部(固形分換算)投入し、さらにイオン交換水380質量部を投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH(25℃)を10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物40質量部をイオン交換水40質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が4.5μmに到達した時点で、一段目分散液の追加液として「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C−1)」を133質量部(固形分換算)投入した。
その後、加熱撹拌を続け、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、二段目投入分散液として、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)」を121質量部(固形分換算)滴下し、非晶性ポリエステルポリエステル樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い、上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム160質量部をイオン交換水640質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子8」の分散液を得た。
(洗浄・乾燥)
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子8の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子8」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子8」100質量部に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量部及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー8を作製した。
<トナー11の作製>
トナー1の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、それぞれ表1に示すように変え、一段目分散液の追加液を投入しない以外は同様にして、トナー11を作製した。トナー11は、結晶性ポリエステルを含有しない。
<トナー14の作製>
トナー8の作製方法において、凝集・融着工程で添加する一段目投入分散液、一段目投入分散液追加投入液、及び二段目投入分散液の種類/添加質量部(固形分換算)を、表1に示すように変えた以外は同様にして、トナー14を作製した。
[現像剤の作製]
フェライトコア100質量部と、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径40μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。上記キャリアにトナー1〜トナー15をそれぞれトナー濃度が7質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤1〜現像剤15を作製した。
[評価方法]
<ピーク高さの比の値(ATR比率)>
フーリエ変換赤外分光装置(FT−IR;URT5200、日本分光社製)を使用して、全反射法(ATR法)で得られたスペクトルのピーク強度比より、827cm−1付近のピーク高さ(P827)と1170cm−1付近のピーク高さ(P1170)の比の値(P827/P1170)を求めた。
具体的には、まず、試料としてトナー0.2gをペレット成形機(SSP−10A;島津製作所社製)で400kgfの荷重で1分間加圧して作製した、直径10mmのペレットを作製した。ATR測定は、Ge結晶を用い、分解能4cm−1、積算回数32回の条件で行った。
827cm−1のピーク高さは、775cm−1から785cm−1の最小値と、880cm−1と890cm−1の最小値をベースポイントとした際の、822cm−1から832cm−1の最大値とし、1170cm−1のピーク高さは、1190cm−1から1200cm−1の最小値をベースポイントとした際の、1165cm−1から1175cm−1の最大値として、上記ピーク高さの比の値(P827/P1170)を求めた。
<画像形成方法>
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRESS C6500(コニカミノルタ社製)」において、定着温度、トナー付着量、及びシステム速度を自由に設定できるように改造した改造機Aを作製した。この改造機Aの現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。評価は、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズのNPI128g/m(日本製紙社製)を用い、トナー付着量5g/mのベタ画像を定着させる定着実験を、定着下ローラの温度は定着上ベルトよりも20℃低く設定し、定着上ベルトの温度を110から5℃刻みで増加させるように変更しながら220℃まで繰り返し行った。この実験を、定着速度を300mm/sec(通常)と450mm/sec(高速)の二水準で実施した。
<低温定着性(アンダーオフセット)>
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために、記録紙等の転写材から剥離してしまう画像欠陥をいう。
上記の方法で画像を形成した際に、アンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、160℃未満を合格とした。
A:130℃未満
B:130℃以上140℃未満
C:140℃以上160℃未満
D:160℃以上
<折り定着性>
上記の方法で形成した定着ベタ画像を折り機で折り、これに0.35MPaの空気を吹きつけ、折り目の状態を限度見本を参照し、5段階に評価しランク3の定着温度を定着下限温度(折り)とした。
ランク5:全く折れ目に剥離なし、ランク4:一部折り目に従い剥離あり、ランク3:折り目に従い細い線状の剥離あり、ランク2:折り目に従い太い剥離あり、ランク1:画像に大きな剥離あり。
定着下限温度(折り)が180℃未満を合格とした。
A:150℃未満
B:150℃以上160℃未満
C:160℃以上180℃未満
D:180℃以上
<画像濃度>
画像濃度を評価する画像は、アンダーオフセット評価での下限定着温度+20℃で定着した定着ベタ画像を用いた。画像濃度は、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、定着ベタ画像の絶対反射濃度を5か所について測定し、その平均値とした。画像濃度が1.40以上のものを実用的問題ないものと判断した。
Figure 2016138968
なお、表1において、「St/Ac樹脂含有量(質量%)」とは、トナー中に含有する樹脂全体に対する全てのスチレン−アクリル樹脂の含有量である。例えば、結晶性ポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂がハイブリッド構造を取った場合は、トナー母体粒子に含有するスチレン−アクリル樹脂の含有量に加えて、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性ポリエステル樹脂ユニットが結合したスチレン−アクリル樹脂の含有量も含むものとする。具体的には、トナー1の場合は、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A−1)及び結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B−1)に含有するスチレン−アクリル樹脂の含有量と、一段目投入分散液として投入したスチレン−アクリル樹脂粒子分散液のスチレン−アクリル樹脂の含有量の合計をいう。
Figure 2016138968
[結果]
表2の結果より明らかなように、本発明のトナーであるトナー1〜トナー10は、低温定着性、折り定着性、及び画像濃度のいずれの特性も実用化可能なレベルにあり良好であるが、本発明外の比較用であるトナー11〜トナー15は、低温定着性又は折り定着性に問題があり、実用化可能なレベルにないことがわかる。
1 トナー母体粒子
2 マトリクス
3 ドメイン

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有する静電潜像現像用トナーであって、
    前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー中にドメインとして存在し、
    前記トナーが、フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、1.0未満であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. スチレン−アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記スチレン−アクリル樹脂が、前記トナー中に含有する樹脂全体に対して50〜95質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. フーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定した、827cm−1のピーク高さ(P827)と1170cm−1のピーク高さ(P1170)との比の値(P827/P1170)が、0.4〜0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
JP2015013093A 2015-01-27 2015-01-27 静電潜像現像用トナー Active JP6692121B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015013093A JP6692121B2 (ja) 2015-01-27 2015-01-27 静電潜像現像用トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015013093A JP6692121B2 (ja) 2015-01-27 2015-01-27 静電潜像現像用トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016138968A true JP2016138968A (ja) 2016-08-04
JP6692121B2 JP6692121B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=56560110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015013093A Active JP6692121B2 (ja) 2015-01-27 2015-01-27 静電潜像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6692121B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017107169A (ja) * 2015-12-04 2017-06-15 キヤノン株式会社 トナー
JP2019008000A (ja) * 2017-06-20 2019-01-17 コニカミノルタ株式会社 2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011149986A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Konica Minolta Business Technologies Inc 静電荷像現像用トナーとその製造方法及び静電荷像現像剤と画像形成方法
JP2014235362A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2015011054A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011149986A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Konica Minolta Business Technologies Inc 静電荷像現像用トナーとその製造方法及び静電荷像現像剤と画像形成方法
JP2014235362A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2015011054A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017107169A (ja) * 2015-12-04 2017-06-15 キヤノン株式会社 トナー
JP2019008000A (ja) * 2017-06-20 2019-01-17 コニカミノルタ株式会社 2成分現像剤及びこれを用いた画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6692121B2 (ja) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6410579B2 (ja) トナー
JP6168088B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2014235394A (ja) 静電潜像現像用トナー及び電子写真画像形成方法
JP2012255957A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6107464B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
CN104808454A (zh) 静电荷图像显影用调色剂、双组分显影剂和图像形成方法
US9946180B2 (en) Toner for developing electrostatic latent image
JP6330733B2 (ja) トナーおよびその製造方法
JP6330716B2 (ja) トナーおよびその製造方法
JP2018124460A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2017009630A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2011257526A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法
JP2016170195A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6083341B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6692121B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP7141181B2 (ja) トナーの製造方法
JP2018072655A (ja) 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6930237B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6288039B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6668940B2 (ja) 電子写真画像形成装置及び電子写真画像形成方法
JP2021117422A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2017058452A (ja) 静電潜像現像用トナーおよびその製造方法
JP7428001B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JP7424053B2 (ja) 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP6930236B2 (ja) 静電潜像現像用イエロートナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181026

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190214

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190221

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20190405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6692121

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150