JP2012255957A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着特性が良好で、かつ耐熱保管性にも優れ、ドキュメントオフセットの発生が無く、定着分離性能にも優れた静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は静電荷像現像用トナーに関し、さらに詳しくは電子写真方式の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置は、益々高速化、高画質化の要求が高まり、それに用いる静電荷像現像用トナーにおいても、それらの市場からの要求に対応可能なトナーの開発が急ピッチで進められている。例えば、高画質化に対応したトナーとしては、粒径分布がシャープであることが求められる。トナーの粒径が揃い、粒径分布をシャープにすると個々のトナー粒子毎の現像挙動が揃うことにより、微小ドットの再現性が著しく向上する。しかしながら、従来の粉砕法によるトナー製造方法では、トナーの粒径分布をシャープにすることは容易ではなかった。
これに対して、トナー粒子の形状や粒度分布を任意に制御可能な製造方法として乳化凝集法が提案されている。この方法は樹脂粒子の乳化分散液に着色剤粒子分散液や必要に応じてワックス分散液を混合し、撹拌しながら、凝集剤添加し、pH制御等により、それぞれの粒子を凝集させ、さらに加熱によって粒子を融着させてトナー粒子を得るものである。
また、省エネルギーの観点から少ないエネルギーで定着できる低温定着トナーの開発が進められている。トナーの定着温度を下げるためには、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。しかしながら、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げるため、結着樹脂のガラス転移点や分子量を下げるとトナーの耐熱保管性が低下したりするなど新たな問題が生じる。
低温定着性と耐熱保管性を両立させるためにトナーをコア・シェル型の構造に制御する技術が報告されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、低温定着性に優れたコア粒子表面に軟化点が高く耐熱性に優れた粒子から成るシェル層を形成することで、低温定着性と耐熱保管性を両立させることが可能となる。特に乳化凝集法によるトナー製造においては、この様な形状制御が容易に行えるといった利点がある。しかし近年プロダクションプリント領域において、複写機、プリンターの高速化及び対応紙種の拡大が進む中、前記のコア・シェル型トナーでは更なる低温定着化と耐熱保管性の両立が困難になってきている。
この問題を解決するため、シェル層にポリエステル樹脂を用いたトナーが開発されている(例えば、特許文献2参照)。ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂と比較して高いガラス転移点を維持したまま低軟化点設計が容易に行えるという利点があり、シェル層にポリエステル樹脂を用いることで、低温定着性と耐熱保管性の良好なトナーを得ることが出来る。
しかし、スチレン−アクリル系樹脂とポリエステル樹脂は親和性が乏しく、コアにスチレン−アクリル系樹脂を用い、シェル層にポリエステル樹脂を用いた場合、薄層で均一なシェル層の形成が困難であるため、十分な耐熱保管性を得ることが出来なかった。また、コアとシェルの融着が起こりにくいためにトナーの形状制御が困難で、シェル層の表面が平滑なトナーを作ることが難しく、また、連続プリント時に現像機内でトナーが撹拌されることによってシェル層の剥離が起こり、その結果、画像ノイズが生じ画質が低下するという課題もあった。
これらの課題を解決するため、シェル層にウレタン変性ポリエステル樹脂または/及びアクリル変性ポリエステル樹脂を用いたコア・シェル構造トナーが提案されている(例えば特許文献3参照)。シェル層を構成する樹脂にウレタン変性ポリエステル樹脂、またはアクリル変性ポリエステル樹脂を用いることによって、コアにスチレン−アクリル系樹脂を用いた場合でもある程度均一なシェル層を形成することができる。しかし、なお一層の低温定着性を計るためコア樹脂にさらに低温定着性を付与した場合、低温定着性と耐熱保管性を両立させるという点において未だ十分とは言えるものではなかった。
一方、コアに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、シェル層に非晶性のポリエステル樹脂を含有するコア・シェル構造トナーが提案されている(例えば特許文献4、5、6参照)。また、ラジカル重合体ユニットを2価の架橋基を介してポリエステル樹脂に結合させた樹脂をトナー樹脂に用いて、低温定着性、オフセット性、帯電の湿度依存性を改良する技術が開示されている(たとえば、特許文献7参照)。
特開2005−221933号公報 特開2005−338548号公報 特開2005−173202号公報 特開2007−3840号公報 特開2009−229920号公報 特開2010−61036号公報 特開2011−28257号公報
ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂と比較して高いガラス転移点を維持したまま低軟化点設計が容易に行えるという利点があり、シェル層にポリエステル樹脂を用いることで、低温定着性と耐熱保管性の良好なトナーを得ることが出来る。しかし、コアに結晶性ポリエステル樹脂を含有し、シェル層に非晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーは軟化点が低いため低温定着性には優れているが、溶融時の弾性が低いために定着時に定着ベルトや定着ローラーから転写紙が分離せず転写紙の巻き付きが発生し分離性能が劣るという問題があった。
トナーの低温定着化のために樹脂のガラス転移点を低くする、あるいは低分子量化すると、形成されたトナー画像の機械的強度が低下してしまう。そのためプリントした転写紙の上に他の転写紙が重なった時に、画像を形成するトナー層が凝集破壊を起こし、その裏面にトナーが一部転写してしまう所謂ドキュメントオフセットという現象が発生し、転写紙の裏面が汚れてしまうという問題があった。また、コアにスチレン−アクリル系樹脂を用い、シェル層にポリエステル樹脂を用いた場合、コアのスチレン−アクリル系樹脂とシェルのポリエステル樹脂の親和性が劣るため薄層で均一且つ緻密なシェル層の形成が難しく、十分な耐熱保管性を得ることができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、コア粒子の表面に薄層で均一且つ緻密なシェル層を設けたコア・シェル構造のトナーにおいて、低温定着特性が良好で、かつ耐熱保管性にも優れ、ドキュメントオフセットの発生が無く、定着分離性能にも優れた静電荷像現像用トナーを提供することを目的としている。
本発明の上記課題は以下の構成により解決される。
1.少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、
該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、
該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、
該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、
該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、65℃以上90℃以下であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする前記1または前記2に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする前記1から前記3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(A)で表されるものであることを特徴とする前記4に記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
(式中、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
6.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする前記1から前記5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明は上記の構成とすることによって、低温定着特性が良好で、かつ耐熱保管性に優れ、ドキュメントオフセットの発生が無く、定着分離性能にも優れた静電荷像現像用トナーを得ることが出来る。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、コア・シェル構造を有する静電荷像現像用トナー(以下トナーともいう)において、コア粒子を構成する結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂とスチレ−ンアクリル系樹脂とを含有し、該結着樹脂がポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を結着樹脂とワックスの合計に対して1質量%以上10質量%以下含有することを特徴としている。
結晶性ポリエステル樹脂は熱溶融する際、瞬時に溶融するので、熱定着した時に転写紙上のトナーと定着ベルト、あるいは定着ローラーとの間に瞬時に液体となって拡がり、紙繊維にしみ込ませることが可能なため、転写紙などのメディアとの接着性、いわゆる定着性を向上させることができる。また、定着後の画像表面に結晶性ポリエステルを存在させ耐ドキュメントオフセット性を向上させることが可能である。
その反面、結晶性ポリエステル樹脂は、定着時に溶融すると弾性が極度に低下するため、定着ベルトや定着ローラーから転写紙が分離せずに転写紙が巻き付くという所謂定着分離不良が発生する。
このためコア粒子を構成する結着樹脂の構成成分としてポリエステル樹脂よりも弾性の高い構成をとりやすいスチレン−アクリル系樹脂を含有させると極度の弾性低下を抑え、低温定着性と耐熱保管性を維持しながら定着分離性を改善することができる。
また、本発明ではシェル層を構成する樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂で変性した非晶性ポリエステル樹脂を用いる。非晶性ポリエステル樹脂は一般に高いガラス転移点を維持しながら低軟化点樹脂の設計が比較的容易に行えるという利点がある。しかし、非晶性ポリエステル樹脂をシェル層の樹脂に用いるとコアのスチレン−アクリル系樹脂との親和性に劣るため薄層で均一なシェル層を構成することが難しい。
そこで、本発明者らは、シェル層に用いる非晶性ポリエステル樹脂セグメントにスチレン−アクリル系樹脂セグメントを結合させたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を用いること、およびコア粒子を構成する結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を含有し、かつコアを構成するスチレン−アクリル系樹脂にメチルメタクリレート由来の構造単位を結着樹脂とワックスの合計に対して1質量%以上10質量%以下含有させることで、コア粒子を構成するスチレン−アクリル系樹脂とシェル層のポリエステル樹脂の親和性を高め、平滑で均一かつ薄層のシェル層を形成することが可能となった。
ここで、コア部のスチレン−アクリル系樹脂にメチルメタクリレートを含有することにより、薄層で均一なシェル層の形成が可能になった理由を以下のように考察する。
即ち、スチレン−アクリル系樹脂から成るコアとポリエステル樹脂から成るシェル層とは樹脂のSP値(Solubility Paramter)が大きく異なるために薄層で均一且つ緻密なシェル層を形成することが難しい。そこで、スチレン−アクリル系樹脂を構成する成分として、スチレンよりもSP値の高いメチルメタクリレートを含有させることで、シェル層のポリエステル樹脂と親和性が増し、薄層で均一、かつ緻密なシェル層を形成することが可能となった。シェル層が均一になったことで、トナー粒子の表面が平滑になり外添剤がトナーの表面に局在化せず均一に付着できるようになったものと考えられる。
これにより、表面が平滑で均一かつ薄膜のシェル層を有し外添剤が均一に付着したコア・シェル構造のトナーを得ることが可能になり、低温定着特性が良好で、かつ耐熱保管性に優れ、ドキュメントオフセットの発生が無く、定着分離性能にも優れた静電荷像現像用トナーを得ることが出来るようになった。
≪コア粒子≫
(コア用結着樹脂)
本発明の静電荷像現像用トナーはコア粒子の表面にシェル層を有するコア・シェル構造を有し、コア粒子は、結着樹脂として、スチレン−アクリル系樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を含有している。
(スチレン−アクリル系樹脂)
スチレン−アクリル系樹脂を構成するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系モノマーおよびその誘導体が挙げられる。
スチレン−アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマーとして、メチルメタクリレートを結着樹脂とワックスの合計に対して1質量%以上10質量%以下含有することを特徴としている。
メチルメタクリレートの含有量が、1質量%未満では、コア粒子とシェル粒子の親和性が不十分であるため、表面平滑性が悪くなり、耐熱保管性が劣ってしまう。10質量%を越えるとスチレン−アクリル系樹脂のSP値が大きくなり離型剤のSP値との差が大きくなり離型剤の粒子を内部に取り込むことが出来ず、定着分離性、耐熱保管性が劣ってしまう。
本発明のスチレン−アクリル系樹脂に使用可能なその他のアクリル系モノマーとしては、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
またこれらのスチレン系モノマー、アクリル系モノマーなどの重合性ビニルモノマーは単独または2種類以上を併用して用いてもよく、これらのモノマーの重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルジョン法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行うことにより重合物を得ることができる。また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本発明の静電荷像現像用トナーのコアを構成する樹脂として用いられる結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であるものを結晶性ポリエステル樹脂と言う。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)および多価アルコール(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造されたものであり、多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示でき、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示できる。
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、たとえば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、たとえば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂の重合用触媒としては、一般的な公知の触媒が使用可能である。
結晶性ポリエステル樹脂粒子の融点Tmは65℃以上90℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以上80℃以下の範囲である。Tmが90℃以上であると、低温定着性を阻害し、問題を生じ、65℃以下であると耐熱保管性が低下してしまう。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点測定法)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差熱量分析装置(DSC)により測定でき、例えば、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。具体的には、試料4.50mgをアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得する。融点は吸熱ピークのピークトップの温度とする。
また、用いる結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、3000以上20000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以上10000以下の範囲である。重量平均分子量が20000以上であると、低温定着性を阻害してしまう。また、重量平均分子量が3000以下であると、定着分離性が悪化してしまう。
また、重縮合性モノマーのカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、コア用結着樹脂の全質量の5質量%から30質量%含有されるものであり、好ましくは、10質量%から20質量%含有される。この範囲であれば低温定着性と耐熱保管性を好ましい範囲に制御することが出来る。
コア粒子は上記結着樹脂とワックスの他、必要に応じて着色剤、荷電制御剤などを含有することが出来る。
(着色剤)
本発明のトナーに使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ワックスの含有割合は、樹脂粒子全質量の2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%、さらに好ましくは4〜15質量%である。また、ワックスの融点としては、電子写真におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃であることが好ましい。
(荷電制御剤)
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。この荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
≪シェル層≫
本発明のトナーを構成するシェル層は、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル樹脂よりなるものである。シェル樹脂において、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合は、シェル樹脂100質量%中において70〜100質量%であることが好ましいく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
シェル樹脂におけるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の含有割合が70質量%未満である場合は、コア粒子とシェル層との十分な親和性が得られずに所望のシェル層を形成することができないために、十分な耐熱保管性、帯電性または耐破砕性が十分に得られないおそれがある。
そして、本発明においては、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合(以下、「スチレン−アクリル変性量」ともいう。)が5質量%以上30質量%以下とされており、特に、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
スチレン−アクリル変性量は、具体的には、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、ポリエステルセグメントとなる未変性のポリエステル樹脂を構成するモノマーと、スチレン−アクリル系重合体セグメントとなる芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、これらを結合させるための両反応性モノマーを合計した全質量に対する、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの質量の割合をいう。
スチレン−アクリル変性量が上記の範囲にあることにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができる。一方、スチレン−アクリル変性量が過小である場合は、均一な膜厚のシェル層を形成することができず、部分的にコア粒子が露出してしまう結果、十分な耐熱保管性および帯電性が得られない。また、スチレン−アクリル変性量が過大である場合は、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が軟化点の高いものとなるため、トナー粒子全体として十分な低温定着性が得られない。
ポリエステル主鎖に対して、スチレン−アクリル系樹脂ユニットは末端に結合されていてもよいし、側鎖としてグラフト結合していてもよい。ただし、スチレン−アクリル系樹脂ユニットがポリエステル樹脂の末端に結合しているスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の方がポリエステル樹脂ユニットとスチレン−アクリル系樹脂ユニットのそれぞれのドメインを形成しやすい。そのため、凝集・融着工程にてトナー表層にはポリエステル樹脂ユニットが、スチレン−アクリル系樹脂からなるコア部にはスチレン−アクリル系樹脂ユニットが配向しやすいため、より緻密なコア・シェル構造を形成することができる。それに比べて、スチレン−アクリル系樹脂ユニットがポリエステル樹脂ユニットの主鎖に対して側鎖としてグラフトしている場合には、ポリエステルドメインとスチレン−アクリル系ドメインが比較的混じり合った形になってしまうおそれがある。
また、本発明のトナーにおいては、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するために多価カルボン酸モノマーとして脂肪族不飽和ジカルボン酸が用いられて、このポリエステルセグメントに当該脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されることが好ましい。脂肪族不飽和ジカルボン酸とは、分子内にビニレン基を有する鎖状のジカルボン酸をいう。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位を有するスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂によれば、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を確実に形成することができる。
このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における、脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の含有割合(以下、「特定の不飽和ジカルボン酸含有割合」ともいう。)が25モル%以上75モル%以下とされることが好ましく、特に30モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が上記の範囲にあることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。一方、特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が過小である場合は、十分な耐熱保管性および帯電性が得られないことがあり、また、特定の不飽和ジカルボン酸含有割合が過大である場合は、十分な帯電性が得られないことがある。
脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位としては、下記一般式(A)で表されるものに由来の構造単位であることが好ましい。
一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
(式中、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。また、本発明においては、一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を重合反応に用いる場合は無水物の形態で用いることもできる。
ポリエステル樹脂の親水性が増大することで、水系媒体中における乳化凝集法でトナー粒子を製造する場合に、ポリエステル樹脂セグメントがコア粒子に対して外側、即ち水系媒体側へ配向する効果が大きくなり、薄層で均一、かつ緻密なシェル層を形成することが出来るようになる。
従って、前述したごとく、シェル層を構成する樹脂をスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂とすることによって、シェル層を構成するスチレン−アクリル変性樹脂のスチレン−アクリル成分がコアを構成するスチレン−アクリル系樹脂との親和性を保ちながら、コア粒子表面に配向し、ポリエステル樹脂セグメント中の炭素−炭素二重結合による親水性化効果により、より一層の薄層均一、かつ緻密なシェル層の形成が可能になるものと推察される。
シェル樹脂は、低温定着性および定着分離性などの定着性、並びに、耐熱保管性および耐ブロッキング性などの耐熱性を確実に得る観点から、ガラス転移点が50〜70℃であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃であり、かつ、軟化点が80〜110℃であることが好ましい。シェル樹脂のガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
また、シェル樹脂の軟化点は、以下のように測定されるものである。
まず、20℃±1℃、50%±5%RHの環境下において、シェル樹脂1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃±5℃、50%±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、シェル樹脂の軟化点とされる。
トナーを構成する結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合は、結着樹脂全量の5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が過度に低い場合は、十分な耐熱保管性が得られないおそれがあり、また、結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が過度に高い場合は、十分な低温定着性が得られないおそれがある。
(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の作製方法)
以上のようなシェル樹脂に含有されるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(A)ポリエステルセグメントを予め重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、スチレン−アクリル系重合セグメントを形成する方法。
(B)スチレン−アクリル系重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレン−アクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(C)ポリエステルセグメントおよびスチレン−アクリル系重合体セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
本明細書において、両反応性モノマーとは、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と、重合性不飽和基とを有するモノマーである。
(D)ポリエステルセグメントを予め重合し、そのポリエステルセグメントの重合性不飽和基にスチレン−アクリル系重合性モノマーを付加重合し両者を結合する方法。
(A)の方法について具体的に説明すると、
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程を経ることにより、ポリエステルセグメントにスチレン−アクリル系重合体セグメントを結合させることができる。この場合、ポリエステルセグメントの末端のヒドロキシ基と両反応性モノマーのカルボキシ基とがエステル結合を形成し、両反応性モノマーのビニル基が芳香族系ビニルモノマーまたは(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基と結合することによってスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合される。上記合成法の中で(A)の方法が最も好ましい。
上記(1)の混合工程においては、加熱することが好ましい。加熱温度としては、未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーおよび量反応性モノマーを混合させることができる範囲であればよく、良好な混合が得られると共に、重合制御が容易となることから、例えば80〜120℃とすることができ、より好ましくは85〜115℃、さらに好ましくは90〜110℃である。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーおよび両反応性モノマーのうち、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記の4者の全質量を100質量%としたときの芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの合計の割合が5質量%以上30質量%以下とされ、特に、5質量%以上20質量%以下とされることが好ましい。
用いられる樹脂材料の全質量に対する芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの合計の割合が上記の範囲にあることにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂とコア粒子との親和性が適正に制御され、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができる。一方、当該割合が過小である場合は、得られるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、均一な膜厚のシェル層を形成することができるものとならず、部分的にコア粒子が露出してしまう結果、得られるトナーに十分な耐熱保管性および帯電性が得られない。また、当該割合が過大である場合は、得られるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が軟化点の高いものとなるため、得られるトナーが、全体として十分な低温定着性が得られないものとなる。
また、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの相対的な割合は、下記式(ア)で表されるFOX式で算出されるガラス転移点(Tg)が35〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲となるような割合とされることが好ましい。
式(ア):1/Tg=Σ(Wx/Tgx)
(式(ア)において、Wxはモノマーxの重量分率、Tgxはモノマーxの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
未変性のポリエステル樹脂、芳香族系ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーおよび両反応性モノマーのうち、両反応性モノマーの使用割合は、用いられる樹脂材料の全質量、すなわち前記の4者の全質量を100質量%としたときの両反応性モノマーの割合が0.1質量%以上10.0質量%以下とされ、特に、0.5質量%以上3.0質量%以下とされることが好ましい。
(芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマー)
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレンなどおよびその誘導体が挙げられる。
これらの芳香族系ビニルモノマーは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、優れた帯電性、画質特性などを得る観点から、スチレンまたはその誘導体を多く用いることが好ましい。具体的には、スチレンまたはその誘導体の使用量が、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するために用いられる全モノマー(芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマー)中の50質量%以上であることが好ましい。
(両反応性モノマー)
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。本発明においては両反応性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
(ポリエステル樹脂)
本発明に係るスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸などの2価以上のカルボン酸などを挙げることができる。
多価カルボン酸モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、上記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることが好ましい。また、本発明においては無水マレイン酸などのジカルボン酸の無水物を用いることもできる。
脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。特に、上記一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を用いることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、一層確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。
用いる全多価カルボン酸モノマーにおける脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合は、25モル%以上75モル%以下とされることが好ましく、特に30モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。
用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が上記の範囲にあることにより、得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、より一層確実に、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を形成することができるものとなる。一方、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過小である場合は、得られるトナーに十分な耐熱保管性および帯電性が得られないことがあり、また、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸の割合が過大である場合は、得られるトナーに十分な帯電性が得られないことがある。
多価アルコールモノマーとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
上記の多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーの比率は、多価アルコールモノマーの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
ポリエステル樹脂を合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を得るための未変性のポリエステル樹脂は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、当該ポリエステル樹脂について高温領域における凝集力が適切なものとなり、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。また、未変性のポリエステル樹脂のガラス転移点が70℃以下であることにより、定着の際に十分な溶融を得ることができて十分な最低定着温度を確保することができる。
また、当該未変性のポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。重量平均分子量が1,500以上であることにより、結着樹脂全体として好適な凝集力が得られ、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。また、重量平均分子量が60,000以下であることにより、十分な溶融を得ることができて十分な最低定着温度を確保することができながら、定着の際にホットオフセット現象を生じることが抑制される。
当該未変性のポリエステル樹脂は、用いる多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーとして、カルボン酸価数またはアルコール価数を選択することなどによって、一部枝分かれ構造や架橋構造などが形成されていてもよい。
(重合開始剤)
前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルなどの過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物などが挙げられる。
(連鎖移動剤)
また、前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、スチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、上記の混合工程において樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、所望するスチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、並びに両反応性モノマーの合計量に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程における重合温度は、特に限定されず、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマー間の重合およびポリエステル樹脂への結合が進行する範囲において適宜選択することができる。重合温度としては、例えば、85℃以上125℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましく、95℃以上115℃以下であることがさらに好ましい。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂の作製においては、重合工程後の残留モノマー量など乳化物からの揮発性有機物質が、1,000ppm以下に抑制されることが実用上好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。
(トナー母体粒子の説明)
次に本発明で用いられるトナー母体粒子について説明する。なお、本発明で言う「トナー母体粒子」とは、コア粒子表面にシェル層を有して成るコア・シェル構造を有する粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナー粒子として使用することができるが、通常、外添剤を添加して使用することが好ましい。尚、トナーとはトナー粒子の集合体のことである。
(トナー粒子の平均円形度)
先ず、本発明で用いられるトナー粒子の円形度について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。
ここで、トナー粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
(トナー粒子の粒径)
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50V)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。
トナー粒子の体積基準メディアン径(D50V)は、たとえば、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。
(トナー母体粒子の製造方法)
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の製造方法について説明する。
トナー母体粒子を製造する方法としては、例えば粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性の観点から、トナー母体粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化によって製造された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー母体粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
トナーの製造方法として、乳化凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤粒子の分散液と結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子および結着樹脂粒子を凝集、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナーとする工程
なお、本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
上記(2)の工程において結着樹脂粒子を分散する手法としては、乳化重合により得られる乳化重合粒子分散液を用いることが好ましい。また、結着樹脂粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性モノマーとを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。さらに同様にこの分散液に重合開始剤と重合性モノマーとを添加し、この系を重合処理(第3段重合)することによって3層構造とすることができる。
また、乳化凝集法においては、コア−シェル構造を有するトナー母体粒子を得ることもでき、具体的にコア−シェル構造を有するトナー母体粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
本発明で用いられるトナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる粒子で、電子写真方式の画像形成に使用されるトナー粒子の母体を構成するもので、一般に、母体粒子あるいは着色粒子と呼ばれるものである。
乳化凝集法の樹脂粒子を凝集会合させる工程について説明する。
凝集工程においては、樹脂粒子の水分散液と、着色剤粒子や必要に応じてワックス粒子、荷電制御剤粒子、その他トナー構成成分の粒子の分散液とを混合して凝集用分散液を調製し、水系媒体中で凝集・融着させ、着色粒子の分散液を形成させる。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属の塩、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属の塩などが挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
凝集工程においては、凝集剤を添加した後に放置する放置時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、凝集剤を添加した後、凝集用分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂組成物のガラス転移点以上とすることが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過によって粒子の凝集状態が変動して、得られるトナー粒子の粒径分布が不安定になったり、表面性が変動したりする問題が発生するおそれがあるからである。放置時間は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
また、凝集工程においては、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、凝集用分散液がガラス転移点温度以上の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
(着色剤の分散)
上記凝集工程で用いられる着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
(外添剤)
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、トナー母体粒子に外添剤を添加することが出来る。
本発明で用いられる外添剤としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。
外添剤の添加方法としては、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
(現像剤)
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。又、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
(画像形成装置)
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のトナーは以下の手順で作製した。
(1)コア用樹脂粒子分散液〔A〕の作製
(2)着色剤分散液〔1〕の作製
(3)シェル用樹脂粒子分散液〔B〕の作製
(4)トナーの作製(凝集・融着〜外添剤処理工程)
以下順を追って説明する。
《トナーの作製》
(1)コア用樹脂粒子分散液〔A1〕の作製
(a)結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕の作製
1,4−ブタンジール459質量部、1,6−ヘキサンジオール1404質量部、フマル酸1972質量部を三口フラスコに入れ、触媒としてジブチル錫オキサイド4質量部、ハイドロキノン2質量部を加えて、窒素ガス雰囲気下160℃で5時間反応させた。さらに8.3kPaにて所望の融点の樹脂が得られるまで反応させて結晶性ポリエステル樹脂〔A1〕を得た。この結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は80.6℃であった。半値幅は、5℃であった。
(b)結晶性ポリエステル樹脂〔P2〕〜〔P5〕の合成
表1に示すアルコール成分と酸性分を用いて、同様にして結晶性ポリエステル樹脂〔P2〕〜〔P5〕を合成した。
Figure 2012255957
(c)コア用樹脂粒子分散液〔A1〕の作製
(c−1)第1段重合(樹脂粒子〔1H〕の作製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム0.64質量部をイオン交換水103.5質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム0.47質量部をイオン交換水18.5質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記モノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
スチレン(St) 28.5質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 7.1質量部
メタクリル酸(MAA) 1.9質量部
(c−2)第2段重合(樹脂粒子〔1HM〕の作製)
下記モノマー混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液にワックスとしてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル80質量部と結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕を160質量部溶解させ、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂を含有したモノマー混合液を調製した。
スチレン 156.3質量部
n−ブチルアクリレート 43.3質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 2.9質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5.05質量部をイオン交換水790質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記ワックスと結晶性ポリエステル樹脂を含有したモノマー混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液を、上記樹脂粒子〔1H〕37.5質量部とイオン交換水1500質量部を添加された、撹拌90rpm、82℃にて待機してある撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に投入した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム4.54質量部をイオン交換水86.3質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕を得た。
(c−3)第3段重合(コア用樹脂粒子分散液〔A1〕の作製)
さらに、過硫酸カリウム6.07質量部をイオン交換水118質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 205.1質量部
メタクリル酸メチル 22.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.3質量部
メタクリル酸 17.8質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.39質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して結晶性ポリエステル樹脂粒子とスチレン−アクリル系樹脂粒子を含有するコア用樹脂粒子分散液〔A1〕を得た。
このコア用樹脂粒子分散液〔A1〕の樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50V)は178nm、重量平均分子量(Mw)は33,500であった。
同様に上記の方法で、表2のようにモノマーの組成を変えて、コア用樹脂粒子分散液〔A2〕〜〔A13〕を得た。コア用樹脂粒子分散液〔A14〕はコア用樹脂粒子分散液〔A1〕の作製において、結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕を添加しない他は同様にして作製した。
Figure 2012255957
また、上記の方法で得られたコア用樹脂粒子分散液のメチルメタクリレート含有率、結晶性ポリエステル含有率、粒径、重量平均分子量を表3に示した。
Figure 2012255957
(2)着色剤分散液〔1〕の作製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を分散して有する着色剤分散液〔1〕を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(3)シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕の調製工程
(3−1)シェル用樹脂(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 80質量部
ブチルアクリレート 20質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 16質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕を得た。
このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
(3−2)シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕の調製
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメディアン径(D50V)が180nmであるスチレン−アクリル変性ポリエステル〔B1〕が分散された「シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕」を作製した。
(3−3)シェル用樹脂粒子分散液〔B2〕〜〔B10〕の調製
同様に上記の方法で、表4のようにモノマーの組成を変えて、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子から成るシェル用樹脂粒子分散液〔B2〕〜〔B10〕を得た。
(3−4)シェル用樹脂粒子分散液〔B11〕の調製工程
(ポリエステル樹脂(a)の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物285.7質量部、テレフタル酸66.9質量部、フマル酸47.4質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂(a)とする。ポリエステル樹脂(a)は、Tgは58℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B11〕の作製)
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部、上記で得られたポリエステル樹脂(a)を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン80質量部、ブチルアクリレート20質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド40質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間で滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで蒸留水を加え脱溶剤を行い、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B11〕を得た。
(シェル用樹脂粒子分散液〔B11〕の作製)
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B11〕100質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)400質量部に攪拌しながら溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液401質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメディアン径(D50V)が180nm、固形分量が20質量%のスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子〔B11〕からなる「シェル用樹脂粒子分散液〔B11〕」を得た。
(3−5)シェル用樹脂粒子分散液〔B12〕の調製
同様に上記の方法で、下記表4のようにポリエステルセグメントとスチレン−アクリル系重合体セグメントの組成を変えて、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子〔B12〕からなるシェル用樹脂粒子分散液〔B12〕を得た。
(3−6)ポリエステル樹脂〔B13〕の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8.3kPaで1時間反応させた。これをポリエステル樹脂〔B13〕とした。
Figure 2012255957
(4)トナーの作製(凝集・融着〜外添剤処理工程)
〈トナー1の作製〉
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、「コア用樹脂粒子分散液〔A1〕」を244質量部(固形分換算)、イオン交換水1695質量部、「着色剤分散液〔1〕」を27質量部(固形分換算)とを投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に調整した。
次いで、撹拌下、塩化マグネシウム・六水和物56質量部をイオン交換水56質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を10分間かけて滴下し、内温を75℃まで昇温させ、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製、アパチャー径;50μm)を用いて粒径を測定し、平均粒径が5.8μmに到達した時点で、「シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕」、61質量部(固形分換算)を滴下し、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子が凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。
少量の反応溶液を遠心分離機により遠心分離を行い上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム73質量部をイオン交換水292質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、さらに加熱撹拌を続けてフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度が0.960になった時点で内温を25℃まで冷却し、「トナー母体粒子1」の分散液を得た。
(洗浄・乾燥)
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を作製した。
〈トナー2〜トナー24の作製〉
上記トナー1と同様にして、コアとシェルの構成を表5のように変更し、トナー2〜トナー24を作製した。
〈トナー25の作製〉
シェル用樹脂としてスチレン−アクリル変性していないポリエステル樹脂〔B13〕を使用した他はトナー1と同様にしてトナー25を作製した。
〈トナー26の作製〉
コア用結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕を用い、スチレン−アクリル系樹脂を含まない他はトナー1と同様にしてトナー26を作製した。
〈トナー27の作製〉
コア用結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有しないスチレン−アクリル系樹脂から成るコア用樹脂粒子分散液〔A14〕を用いた他はトナー1と同様にしてトナー27を作製した。
ここで、トナー1〜トナー14、およびトナー19〜トナー24は本発明のトナーであり、トナー15〜トナー18、およびトナー25〜トナー27は比較用のトナーである。
Figure 2012255957
《現像剤の作製》
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径40μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
上記キャリアにトナー1〜トナー27をそれぞれトナー濃度が7質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤1〜現像剤27を作製した。
《評価》
(定着分離性)
定着分離性評価:改造した「bizhub C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を使用し、一晩常温常湿環境(NN環境:25℃、50%RH)で調湿した金藤85g/mT目(王子製紙社製)における先端余白5mm、定着温度195℃/120℃全ベタ画像を付着量を変化させて画出しし、紙詰まり(ジャム)が発生した直前のベタ画像の付着量(g/m)を測定し、それを分離限界付着量とし定着分離性能の尺度とした。この値が大きい方が分離性能が良い。なお、常温常湿環境(NN環境:25℃、50%RH)で実施する。
◎:3.5g/m以上
○:2.0g/m以上3.5g/m未満
△:1.0g/m以上2.0g/m未満
×:1.0g/m
(低温定着性(アンダーオフセット性))
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために記録紙等の転写材から剥離してしまう画像欠陥を言う。
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPI128g/m(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルトの温度を110〜200℃、定着下ローラの温度を100℃に設定し5℃毎の水準で定着させた時に、アンダーオフセットが発生しない定着上ベルトの定着下限温度を評価し、低温定着性の指標とした。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、160℃未満を合格とした。
◎:130℃未満
○:130℃以上140℃未満
△:140℃以上160℃未満
×:160℃以上
(耐熱保管性)
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で57.5℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行い、保存性の指標とした。
◎:トナー凝集率が10質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が10質量%以上15質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が15質量%以上20質量%未満(トナーの耐熱保管性やや劣るが許容レベル)
×:トナー凝集率が20質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)。
(耐ドキュメントオフセット性評価)
前述の改造機を用いて、POD128(王子製紙)上に付着量10.0g/mのベタパッチを、光沢が60〜70になるよう定着条件を変更し、定着画像を出力した。なお、光沢はガードナー社製マイクログロス75°により測定を行った。また、白紙のPOD128紙を同定着条件で通紙したものを用意し、画像部と画像部、画像部と非画像部を貼り合わせたものに、温度と圧力を印加した。温度と圧力の条件は、60℃/10g/m、50℃/80g/mの2水準である。それらのサンプルを1週間曝露した後、画像をゆっくりと剥がし、片面への移行度合いを目視により下記ランクで耐ドキュメントオフセット性を評価し、画像保存性の指標とした。
◎:片面への移行がなく問題ないレベル
○:画像の片面への移行はなく、光沢ムラがある
△:画像の片面への移行が少しあるが、許容レベル
×:離面が難しく、画像の片面への移行が大いにある
上記いずれも評価基準も△以上を合格とする。
上記各評価結果を下記表6に示す。
Figure 2012255957
表6の結果から、本発明のトナーであるトナー1〜トナー14、及びトナー19〜トナー24は、定着分離性、低温定着性、耐ドキュメントオフセット性、耐熱保管性のいずれの特性も実用化可能なレベルにあり良好であるが、本発明外の比較用であるトナー15〜トナー17、及びトナー25〜トナー27は、少なくともいずれかの特性に問題があり、実用化可能なレベルにないことがわかる。

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、
    該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、
    該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、
    該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、
    該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、65℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(A)で表されるものであることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
    一般式(A):HOOC−(CR=CR−COOH
    (式中、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
  6. 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
    前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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