JP2012255957A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
Description
1.少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、
該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、
該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、
該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、
該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、65℃以上90℃以下であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする前記1または前記2に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする前記1から前記3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(A)で表されるものであることを特徴とする前記4に記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(A):HOOC−(CR1=CR2)n−COOH
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
6.前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする前記1から前記5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(コア用結着樹脂)
本発明の静電荷像現像用トナーはコア粒子の表面にシェル層を有するコア・シェル構造を有し、コア粒子は、結着樹脂として、スチレン−アクリル系樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を含有している。
スチレン−アクリル系樹脂を構成するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系モノマーおよびその誘導体が挙げられる。
本発明の静電荷像現像用トナーのコアを構成する樹脂として用いられる結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差熱量分析装置(DSC)により測定でき、例えば、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。具体的には、試料4.50mgをアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得する。融点は吸熱ピークのピークトップの温度とする。
本発明のトナーに使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ワックスの含有割合は、樹脂粒子全質量の2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%、さらに好ましくは4〜15質量%である。また、ワックスの融点としては、電子写真におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃であることが好ましい。
荷電制御剤粒子を構成する荷電制御剤としては種々の公知のもので、かつ水系媒体中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。この荷電制御剤粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
本発明のトナーを構成するシェル層は、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含むシェル樹脂よりなるものである。シェル樹脂において、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂と共に含有させることのできる樹脂としては、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。)
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。また、本発明においては、一般式(A)で表される脂肪族不飽和ジカルボン酸を重合反応に用いる場合は無水物の形態で用いることもできる。
以上のようなシェル樹脂に含有されるスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(A)ポリエステルセグメントを予め重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、スチレン−アクリル系重合セグメントを形成する方法。
(B)スチレン−アクリル系重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレン−アクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(C)ポリエステルセグメントおよびスチレン−アクリル系重合体セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
(D)ポリエステルセグメントを予め重合し、そのポリエステルセグメントの重合性不飽和基にスチレン−アクリル系重合性モノマーを付加重合し両者を結合する方法。
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程を経ることにより、ポリエステルセグメントにスチレン−アクリル系重合体セグメントを結合させることができる。この場合、ポリエステルセグメントの末端のヒドロキシ基と両反応性モノマーのカルボキシ基とがエステル結合を形成し、両反応性モノマーのビニル基が芳香族系ビニルモノマーまたは(メタ)アクリル酸系モノマーのビニル基と結合することによってスチレン−アクリル系重合体セグメントが結合される。上記合成法の中で(A)の方法が最も好ましい。
(式(ア)において、Wxはモノマーxの重量分率、Tgxはモノマーxの単独重合体のガラス転移点である。)
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
スチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。本発明においては両反応性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
本発明に係るスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
また、前述の芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させる重合工程においては、スチレン−アクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、上記の混合工程において樹脂材料と共に混合させておくことが好ましい。
次に本発明で用いられるトナー母体粒子について説明する。なお、本発明で言う「トナー母体粒子」とは、コア粒子表面にシェル層を有して成るコア・シェル構造を有する粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナー粒子として使用することができるが、通常、外添剤を添加して使用することが好ましい。尚、トナーとはトナー粒子の集合体のことである。
先ず、本発明で用いられるトナー粒子の円形度について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の円形度は0.850以上0.990以下が好ましい。
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50V)で3μm以上10μm以下のものであることが好ましい。
次に、本発明で用いられるトナー母体粒子の製造方法について説明する。
(1)水系媒体中に着色剤粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤粒子の分散液と結着樹脂粒子の分散液とを混合して、着色剤粒子および結着樹脂粒子を凝集、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナーとする工程
なお、本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
上記凝集工程で用いられる着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、トナー母体粒子に外添剤を添加することが出来る。
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色毎の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
(1)コア用樹脂粒子分散液〔A〕の作製
(2)着色剤分散液〔1〕の作製
(3)シェル用樹脂粒子分散液〔B〕の作製
(4)トナーの作製(凝集・融着〜外添剤処理工程)
以下順を追って説明する。
(1)コア用樹脂粒子分散液〔A1〕の作製
(a)結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕の作製
1,4−ブタンジール459質量部、1,6−ヘキサンジオール1404質量部、フマル酸1972質量部を三口フラスコに入れ、触媒としてジブチル錫オキサイド4質量部、ハイドロキノン2質量部を加えて、窒素ガス雰囲気下160℃で5時間反応させた。さらに8.3kPaにて所望の融点の樹脂が得られるまで反応させて結晶性ポリエステル樹脂〔A1〕を得た。この結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕をDSCにて10℃/分で測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は80.6℃であった。半値幅は、5℃であった。
表1に示すアルコール成分と酸性分を用いて、同様にして結晶性ポリエステル樹脂〔P2〕〜〔P5〕を合成した。
(c−1)第1段重合(樹脂粒子〔1H〕の作製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム0.64質量部をイオン交換水103.5質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム0.47質量部をイオン交換水18.5質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記モノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
n−ブチルアクリレート(BA) 7.1質量部
メタクリル酸(MAA) 1.9質量部
(c−2)第2段重合(樹脂粒子〔1HM〕の作製)
下記モノマー混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液にワックスとしてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル80質量部と結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕を160質量部溶解させ、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂を含有したモノマー混合液を調製した。
n−ブチルアクリレート 43.3質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 2.9質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5.05質量部をイオン交換水790質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記ワックスと結晶性ポリエステル樹脂を含有したモノマー混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液を、上記樹脂粒子〔1H〕37.5質量部とイオン交換水1500質量部を添加された、撹拌90rpm、82℃にて待機してある撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に投入した。
さらに、過硫酸カリウム6.07質量部をイオン交換水118質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 205.1質量部
メタクリル酸メチル 22.8質量部
n−ブチルアクリレート 77.3質量部
メタクリル酸 17.8質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.39質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して結晶性ポリエステル樹脂粒子とスチレン−アクリル系樹脂粒子を含有するコア用樹脂粒子分散液〔A1〕を得た。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を分散して有する着色剤分散液〔1〕を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(3)シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕の調製工程
(3−1)シェル用樹脂(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 80質量部
ブチルアクリレート 20質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 16質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕を得た。
(3−2)シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕の調製
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメディアン径(D50V)が180nmであるスチレン−アクリル変性ポリエステル〔B1〕が分散された「シェル用樹脂粒子分散液〔B1〕」を作製した。
(3−3)シェル用樹脂粒子分散液〔B2〕〜〔B10〕の調製
同様に上記の方法で、表4のようにモノマーの組成を変えて、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子から成るシェル用樹脂粒子分散液〔B2〕〜〔B10〕を得た。
(3−4)シェル用樹脂粒子分散液〔B11〕の調製工程
(ポリエステル樹脂(a)の作製)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物285.7質量部、テレフタル酸66.9質量部、フマル酸47.4質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂(a)とする。ポリエステル樹脂(a)は、Tgは58℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部、上記で得られたポリエステル樹脂(a)を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン80質量部、ブチルアクリレート20質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド40質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間で滴下重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで蒸留水を加え脱溶剤を行い、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B11〕を得た。
スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔B11〕100質量部を、酢酸エチル(関東化学社製)400質量部に攪拌しながら溶解させた。次いで、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液401質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μA で30分間超音波分散した後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、体積基準におけるメディアン径(D50V)が180nm、固形分量が20質量%のスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子〔B11〕からなる「シェル用樹脂粒子分散液〔B11〕」を得た。
(3−5)シェル用樹脂粒子分散液〔B12〕の調製
同様に上記の方法で、下記表4のようにポリエステルセグメントとスチレン−アクリル系重合体セグメントの組成を変えて、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂粒子〔B12〕からなるシェル用樹脂粒子分散液〔B12〕を得た。
(3−6)ポリエステル樹脂〔B13〕の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.43質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8.3kPaで1時間反応させた。これをポリエステル樹脂〔B13〕とした。
〈トナー1の作製〉
(凝集・融着工程)
撹拌装置、冷却管、温度センサーを備えた5リットルのステンレス製反応器に、「コア用樹脂粒子分散液〔A1〕」を244質量部(固形分換算)、イオン交換水1695質量部、「着色剤分散液〔1〕」を27質量部(固形分換算)とを投入し、撹拌しながら5(モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に調整した。
凝集・融着工程にて生成したトナー母体粒子1の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
上記の「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を作製した。
上記トナー1と同様にして、コアとシェルの構成を表5のように変更し、トナー2〜トナー24を作製した。
シェル用樹脂としてスチレン−アクリル変性していないポリエステル樹脂〔B13〕を使用した他はトナー1と同様にしてトナー25を作製した。
コア用結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂〔P1〕を用い、スチレン−アクリル系樹脂を含まない他はトナー1と同様にしてトナー26を作製した。
コア用結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有しないスチレン−アクリル系樹脂から成るコア用樹脂粒子分散液〔A14〕を用いた他はトナー1と同様にしてトナー27を作製した。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径40μmのキャリアを得た。
(定着分離性)
定着分離性評価:改造した「bizhub C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を使用し、一晩常温常湿環境(NN環境:25℃、50%RH)で調湿した金藤85g/m2T目(王子製紙社製)における先端余白5mm、定着温度195℃/120℃全ベタ画像を付着量を変化させて画出しし、紙詰まり(ジャム)が発生した直前のベタ画像の付着量(g/m2)を測定し、それを分離限界付着量とし定着分離性能の尺度とした。この値が大きい方が分離性能が良い。なお、常温常湿環境(NN環境:25℃、50%RH)で実施する。
○:2.0g/m2以上3.5g/m2未満
△:1.0g/m2以上2.0g/m2未満
×:1.0g/m2
(低温定着性(アンダーオフセット性))
アンダーオフセットとは、定着機を通過する際に与えられた熱によるトナー層の溶融が不十分であるために記録紙等の転写材から剥離してしまう画像欠陥を言う。
○:130℃以上140℃未満
△:140℃以上160℃未満
×:160℃以上
(耐熱保管性)
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で57.5℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行い、保存性の指標とした。
○:トナー凝集率が10質量%以上15質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が15質量%以上20質量%未満(トナーの耐熱保管性やや劣るが許容レベル)
×:トナー凝集率が20質量%以上(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)。
前述の改造機を用いて、POD128(王子製紙)上に付着量10.0g/m2のベタパッチを、光沢が60〜70になるよう定着条件を変更し、定着画像を出力した。なお、光沢はガードナー社製マイクログロス75°により測定を行った。また、白紙のPOD128紙を同定着条件で通紙したものを用意し、画像部と画像部、画像部と非画像部を貼り合わせたものに、温度と圧力を印加した。温度と圧力の条件は、60℃/10g/m2、50℃/80g/m2の2水準である。それらのサンプルを1週間曝露した後、画像をゆっくりと剥がし、片面への移行度合いを目視により下記ランクで耐ドキュメントオフセット性を評価し、画像保存性の指標とした。
○:画像の片面への移行はなく、光沢ムラがある
△:画像の片面への移行が少しあるが、許容レベル
×:離面が難しく、画像の片面への移行が大いにある
上記いずれも評価基準も△以上を合格とする。
Claims (6)
- 少なくとも結着樹脂とワックスを含有して成るコア粒子と該コア粒子を被覆して成るシェル層とを有するコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、
該結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂を含有し、
該結着樹脂が該結晶性ポリエステル樹脂を5質量%以上30質量%以下含有し、
該スチレン−アクリル系樹脂が構成成分としてメチルメタクリレート由来の構造単位を該結着樹脂と該ワックスの合計に対して、1質量%以上10質量%以下含有し、
該シェル層を構成する樹脂がスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、65℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレン−アクリル系重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂におけるポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーのうち、脂肪族不飽和ジカルボン酸構造単位の含有割合が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記脂肪族不飽和ジカルボン酸が、下記一般式(A)で表されるものであることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(A):HOOC−(CR1=CR2)n−COOH
(式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。) - 前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂が、当該スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のスチレン−アクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを、
前記スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂のポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有する両反応性モノマー、および未変性のポリエステル樹脂の存在下で重合させることにより、得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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