JPH096047A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents

トナー用樹脂組成物及びトナー

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JPH096047A
JPH096047A JP7155963A JP15596395A JPH096047A JP H096047 A JPH096047 A JP H096047A JP 7155963 A JP7155963 A JP 7155963A JP 15596395 A JP15596395 A JP 15596395A JP H096047 A JPH096047 A JP H096047A
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JP
Japan
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toner
resin composition
crystalline polyester
polyester resin
resin
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Application number
JP7155963A
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English (en)
Inventor
Kiyokazu Suzuki
喜予和 鈴木
Takuo Suzuki
卓夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH096047A publication Critical patent/JPH096047A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温定着性に優れ、定着温度域が広く、高速
型や小型の電子複写機を用いて複写する場合でも、充分
に安定した画像が得られるトナー用樹脂組成物及びトナ
ーを得る。 【構成】 この発明のトナー用樹脂組成物は、スチレン
系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを構成
単位として含むビニル系共重合体からなる連続相と、結
晶性ポリエステル樹脂からなる不連続相とで形成され、
且つトナー用添加剤を含有するトナー用樹脂組成物であ
って、上記トナー用添加剤は、溶融混練工程を経ること
なく、上記ビニル系共重合体及び/又は結晶性ポリエス
テル樹脂の溶剤溶液に混合され、脱溶剤工程を経ること
により、トナー用樹組成物中に含有されている。このト
ナー用樹脂組成物を用いてトナーを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真等に使用す
るトナー用樹脂組成物及びトナーに関し、さらに詳しく
いえば、静電荷像を現像する方法において、乾式現像方
式に使用するトナー用樹脂組成物及びトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真等において、静電荷像を現像す
る方法として、乾式現像方式が多用されている。この乾
式現像方式では、バインダー樹脂にカーボンブラック等
の着色剤、その他のトナー用添加剤を含有させたトナー
微粉末が用いられ、このトナー微粉末に鉄粉やガラスビ
ーズ等のキャリアーを混合して、摩擦帯電性のトナー
(現像剤)とされる。
【0003】複写物を得るには、通常、感光体上に静電
潜像を形成し、この静電潜像に摩擦帯電性のトナーを電
気的に付着させて現像し、ここで得られたトナー像を用
紙等のシート上に転写し、その後トナーに対して離型性
を有する熱圧ローラーで定着させて永久可視像とする。
【0004】この種のトナーには、主に、耐オフセット
性(定着用の熱圧ローラーにトナーが付着し、これが用
紙を汚さないこと)、低温定着性(低温でトナーが用紙
に強固に付着すること)、耐ブロッキング性(トナー粒
子が凝集しないこと)、画像安定性(帯電量の変化がな
く、画像濃度が均一で鮮明であること)の優れたものが
要求され、さらに、トナー製造のために、微粉砕性の良
好なトナー用樹脂組成物も要求される。
【0005】上記のような諸性能を改善したトナーとし
て、特開昭60−260062号公報には、ビニル系共
重合体からなる連続相とポリエステル樹脂からなる不連
続相とで形成され、カーボンブラックやニグロシン染料
などのトナー用添加剤を含有するトナーが提案されてい
る。
【0006】この種のトナーは、通常、ビニル系共重合
体とポリエステル樹脂とカーボンブラックやニグロシン
染料などのトナー用添加剤とを、ロールミルや押出機な
どを用いて適当な条件で溶融混練することにより、トナ
ー用添加剤を上記ビニル系共重合体及びポリエステル樹
脂の中に均一に分散させ、これを冷却した後粉砕し分級
して、トナー微粉末とされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
なビニル系共重合体からなる連続相とポリエステル樹脂
からなる不連続相とで形成されるトナーにあっては、ト
ナーの製造過程でトナー用添加剤が均一に分散する程度
にロールミルや押出機などで溶融混練すると、この溶融
混練工程で上記不連続相が押し潰されて拡がっていく。
【0008】その結果、トナーの耐オフセット性や低温
定着性などの主要性能の改善効果が低下して十分に発揮
されなくなり、近年需要が伸びている高速型や小型の電
子複写機を用いて複写する場合には、必ずしも上記性能
が充分に満足のいくものではなく、特に低温定着性がよ
り一層優れ、定着温度域の広いトナーが要望されてい
る。
【0009】この発明は、上記従来のトナーの有する問
題を解決するもので、その目的とするところは、耐オフ
セット性、低温定着性、耐ブロッキング性に優れ、特に
低温定着性がより一層優れ、定着温度域が広く、高速型
や小型の電子複写機を用いて複写する場合でも、充分に
安定した鮮明な画像が得られるトナー用樹脂組成物及び
トナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明のトナー用樹組
成物は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体とを構成単位として含むビニル系共重合体から
なる連続相と、結晶性ポリエステル樹脂からなる不連続
相とで形成され、且つトナー用添加剤を含有するトナー
用樹脂組成物であって、上記トナー用添加剤は、溶融混
練工程を経ることなく、上記ビニル系共重合体及び/又
は結晶性ポリエステル樹脂の溶剤溶液に混合され、脱溶
剤工程を経ることにより、トナー用樹組成物中に含有さ
れていることを特徴とする。
【0011】また、この発明のトナーは、上記トナー用
樹脂組成物を用いたトナーであって、それにより上記の
目的を達成することができる。
【0012】この発明に用いるビニル系共重合体は、ス
チレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体と
を構成単位として含むもので、スチレン系単量体として
は、スチレンのほか、o−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、
p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−
n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n
−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−
n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フ
ェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロ
ルスチレン等が挙げられ、これ等の中から樹脂組成物の
ガラス転移点などを考慮して適当なものが選定される。
【0013】また、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステア
リル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、イソブチ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル等
が挙げられ、これ等の中から樹脂組成物のガラス転移点
等を考慮して適当なものが選定される。
【0014】その他、アクリル酸2−クロルエチル、ア
クリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタ
クリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、ビス
グリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェート等
が挙げられ、これ等の中から樹脂組成物のガラス転移点
などを考慮して適当なものが選定される。
【0015】なお、上記スチレン系単量体及び(メタ)
アクリル酸エステル系単量体以外に、その他のビニル系
単量体を各ビニル系重合体成分の構成単位として含んで
いてもよい。
【0016】このようなその他のビニル系単量体として
は、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル
酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン
酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するビニル系単
量体、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステ
ル、コハク酸モノメタアクリロイルオキシエチルエステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
アミド等が挙げられ、これ等の中から樹脂組成物のガラ
ス転移点などを考慮して適当なものが選定される。
【0017】上記ビニル系共重合体は、懸濁重合、乳化
重合、溶液重合、塊状重合などの公知の重合方法で調製
することができる。このような方法で得られるビニル系
共重合体は、トナーの耐ブロッキング性の点から示差走
査熱量計(DSC)で測定されるガラス転移点が50℃
以上であるものが好ましい。また、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィ(GPC)によって測定される分子
量分布において、複数のピークや肩を持つものが好まし
く、特に分子量1×103 〜8×104 の範囲及び分子
量1×105 〜4×106 の範囲にピークや肩を持つも
のがさらに好ましい。
【0018】このように複数のピークや肩を持つビニル
系共重合体は、低分子量のビニル系共重合体と高分子量
のビニル系共重合体とを溶融混練する方法により調製す
ることができる。より均質に分散させるためには、低分
子量のビニル系共重合体と高分子量のビニル系共重合と
を有機溶剤を用いて溶解混合する方法が好ましい。ま
た、高分子量のビニル系共重合体の存在下で低分子量の
ビニル系共重合体を構成する単量体を共重合させて混合
する方法も好ましい。
【0019】また、この発明に用いる結晶性ポリエステ
ル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合
により得られるもので、多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、
1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等が
挙げられる。
【0020】多価カルボン酸としては、マレイン酸、フ
マル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グル
タコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ドデカン2酸等が挙
げられる。
【0021】このような結晶性ポリエステル樹脂は、軟
化点が50〜150℃のものが好ましく、特に軟化点が
50〜100℃のものがさらに好ましい。軟化点が低く
なると、トナーの耐ブロッキング性が低下し保存性が悪
くなり、逆に軟化点が高くなると、トナーの低温定着性
が低下する。
【0022】この発明において、上記ビニル系共重合体
と結晶性ポリエステル樹脂との配合割合は、ビニル系共
重合体を連続相(マトリックス)とし、結晶性ポリエス
テル樹脂を不連続相(ドメイン)とするために、ビニル
系共重合体が65〜99重量%で結晶性ポリエステル樹
脂が35〜1重量%、合計(全樹脂成分)で100重量
%となるように配合されるのが好ましい。特に、ビニル
系共重合体が75〜97重量%で結晶性ポリエステル樹
脂が25〜3重量%、合計(全樹脂成分)で100重量
%となるように配合されるのがさらに好ましい。
【0023】結晶性ポリエステル樹脂が少なくなりビニ
ル系共重合体が多くなると、トナーの低温定着性が低下
し、逆に結晶性ポリエステル樹脂が多くなりビニル系共
重合体が少なくなると、トナーの熱溶融時に粘度が低下
してトナーの耐オフセット性が低下する。
【0024】さらに、この発明に用いるトナー用添加剤
としては着色剤が用いられ、その他必要に応じて、荷電
制御剤をはじめ、オフセット防止剤、磁性粉等の公知の
トナー用添加剤が用いられる。このようなトナー用添加
剤は、全樹脂成分に対して、一般に1〜30重量%、好
ましくは3〜20重量%の範囲で含有される。
【0025】上記着色剤としては、カーボンブラック、
クロームイエロー、アニリンブルー等が挙げられる。荷
電制御剤としては、ニグロシン、スピロンブラック(保
土ケ谷化学社製)等の染料、その他フタロシアニン系の
顔料等が挙げられる。
【0026】オフセット防止剤としては、ポリプロピレ
ンワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸、高級
脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、高級アルコール及
び無機微粒子等が挙げられる。また、磁性粉は磁性トナ
ーを得る場合に用いられ、マグネタイト、フェライト、
ヘマタイトなど強磁性を示す合金等が挙げられる。
【0027】この発明のトナー用樹脂組成物は、例え
ば、次のような方法で製造される。 (1)ビニル系共重合体と結晶性ポリエステル樹脂とを
トルエン等の適当な有機溶剤に溶解し、この溶剤溶液に
トナー用添加剤を分散もしくは溶解させ、脱溶剤させる
方法。
【0028】(2)結晶性ポリエステル樹脂をトルエン
等の適当な有機溶剤に溶解し、これにトナー用添加剤を
分散もしくは溶解させ、このような結晶性ポリエステル
樹脂及びトナー用添加剤の存在下で、ビニル系共重合体
を構成するビニル系単量体を溶液重合し、脱溶剤させる
方法。
【0029】(3)高分子量のビニル系共重合体と結晶
性ポリエステル樹脂とをトルエン等の適当な有機溶剤に
溶解し、この溶剤溶液にトナー用添加剤を分散もしくは
溶解させ、このような高分子量のビニル系共重合体、結
晶性ポリエステル樹脂及びトナー用添加剤の存在下で、
低分子量のビニル系共重合体を構成するビニル系単量体
を溶液重合し、脱溶剤させる方法。
【0030】こうして、スチレン系単量体と(メタ)ア
クリル酸エステル単量体とを構成単位として含むビニル
系共重合体からなる連続相と、結晶性ポリエステル樹脂
からなる不連続相とで形成され、トナー用添加剤を含有
するトナー用樹脂組成物が得られる。これ等のミクロ相
分離構造(複相構造)は、例えば、ウルトラマイクロト
ーム切片の透過電子顕微鏡や位相差電子顕微鏡等により
確認することができる。
【0031】この場合、ビニル系共重合体及び結晶性ポ
リエステル樹脂の種類、平均分子量、ガラス転移温度及
び混合割合、或いは溶解混合に用いる有機溶剤、溶解条
件及び脱溶剤条件等を適当に設定することによって、ト
ナー用樹脂組成物中の両樹脂成分の分散状態を制御する
ことができる。
【0032】この発明のトナー用樹脂組成物において
は、特に、不連続相が粒子状に形成され、その粒子の大
きさは直径0.01〜5μm 程度のものが好ましい。不
連続相の粒子が大きいものほどトナーの低温定着性に優
れ、不連続相の粒子が小さいものほど耐ブロッキング性
に優れる。
【0033】こうして、この発明のトナー用樹脂組成物
が得られる。このトナー用樹脂組成物を用いてトナーを
得るには、このトナー用樹脂組成物には、すでに着色剤
や荷電制御剤などのトナー用添加剤が含有されているの
で、そのまま公知の方法で粉砕し分級して、トナ−粒子
とする。
【0034】なお、トナー粒子の流動性を上げるため
に、このトナー粒子に疎水性シリカ等を均一に混合(外
添)してもよい。
【0035】
【作用】スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体とを構成単位として含むビニル系共重合体から
なる連続相と、結晶性ポリエステル樹脂からなる不連続
相とで形成され、トナー用添加剤を含有するトナー用樹
脂組成物であって、上記トナー用添加剤は、溶融混練工
程を経ることなく、上記ビニル系共重合体及び/又は結
晶性ポリエステル樹脂の溶剤溶液に混合され脱溶剤工程
を経ることにより、トナー用樹組成物中に含有される
と、樹脂組成物に強い剪断力がかかることがなく、上記
不連続相が押し潰されて拡がっていくことが防止され
る。
【0036】それゆえ、上記ビニル系共重合体からなる
連続相と結晶性ポリエステル樹脂からなる不連続相とに
よる性能改善作用が十分に発揮され、これ等の作用とト
ナー用添加剤による性能改善作用とが相まって、優れた
耐オフセット性、低温定着性及び耐ブロッキング性が発
現する。
【0037】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を示す。
【0038】実施例1 トナー用樹脂組成物の製造 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン900gを
入れ、これにビニル系共重合体(スチレン成分65重量
%、メタクリル酸n−ブチル成分20重量%、メタクリ
ル酸メチル成分20重量%、重量平均分子量50万)3
00gを投入し、さらに結晶性ポリエステル樹脂(軟化
点80℃)(HP−320:日本合成化学社製)250
g及びトナー用添加剤としてカーボンブラック(着色
剤)(MA−100:三菱化学社製)87g、ポリプロ
ピレンワックス(オフセット防止剤)(ビスコール55
0P:三洋化成社製)37gを混合分散させた。
【0039】その後、気相を窒素ガスで置換し、この系
をトルエンの沸点まで加熱した。そして、トルエンの還
流が起きた状態で攪拌しながら、上記混合分散液に、ス
チレン440g、アクリル酸2−エチルヘキシル60
g、メタクリル酸メチル100g及びベンゾイルパーオ
キサイド(重合開始剤)30gの混合溶液を、3時間か
けて滴下しながら溶液重合を行った。
【0040】上記混合溶液の滴下が終了した後、さらに
トルエンの沸騰する温度で攪拌しながら2時間熟成を行
った。その後、この系の温度を180℃まで徐々に上げ
ながら、減圧下にトルエンを脱溶剤して樹脂組成物を得
た。この樹脂組成物を冷却し粗粉砕して、トナー用樹脂
組成物を製造した。
【0041】得られたトナー用樹脂組成物は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)(Water
s社製の510型))によって測定される分子量分布に
おいて、分子量7×103 及び分子量3.5×105
ピークがあり、示差走査熱量計(DSC)(セイコー電
子工業社製のDSC−220)によって測定されるガラ
ス転移点(Tg)は48℃と65℃とに二つ観測され、
軟化流動温度(Tf)は98℃であった。
【0042】なお、上記軟化流動温度(Tf)は、高化
式フローテスター(島津製作所製のCFT−500A)
を用い、昇温速度6℃/分、荷重20 kgfの条件で試
料を加熱しながらノズル(直径1mmΦ×長さ1mm)から
流出させ、流出量(プランジャー降下量)の中点となる
温度で示した。
【0043】また、このトナー用樹脂組成物について、
ウルトラマイクロトーム切片を透過電子顕微鏡で観察す
ると、ミクロ相分離構造(複相構造)で、ビニル系共重
合体からなる連続相と、結晶性ポリエステル樹脂からな
る不連続相とで形成され、この不連続相は粒子状に形成
され、その粒子の大きさは粒子径3μm 程度であった。
【0044】トナーの製造 上記トナー用樹脂組成物を、ジェットミル(ラボジェッ
ト:日本ニューマチック社製)で微粉砕して、平均粒径
約8〜12μm のトナー粉末を得た。さらに、このトナ
ー粉末を分級機(MDS−2:日本ニューマチック社
製)で分級して、平均粒径約10μm のトナー微粉末を
得た。このトナー微粉末100重量部に、疎水性シリカ
粉末(R−972:日本アエロジル社製)0.3重量部
を均一に混合(外添)してトナーを製造した。
【0045】トナーの性能評価 上記トナー10gを100mlのサンプル瓶に採り、5
0℃の恒温槽中に16時間放置した後、パウダーテスタ
ーを用いてトナーの凝集性を観察したところ、トナーに
凝集は全く認められなかった。
【0046】また、このトナー4重量部と平均粒径約5
0〜80μm の鉄粉キャリアー96重量部とを均一に混
合(外添)して現像剤を作り、この現像剤を用い、次の
ようにして、最低定着温度(低温定着性)を測定した。
その結果、最低定着温度は140℃であり、低温定着性
が良好で、画像にかぶりもなく、細線まで鮮明な画像が
得られた。
【0047】<最低定着温度の測定>電子写真複写機の
定着用の熱圧ローラーの設定温度を段階的に変えて複写
を行い、オフセット(2重画像)の発生がなく、この複
写画像をタイプライター用砂消しゴムで摩擦したとき、
複写画像の濃度の低下が10%未満である場合を定着良
好と判定し、その時の最低温度を求めた。なお、使用し
た電子写真複写機は、富士ゼロックス社製のVivac
e300を定着用の熱圧ローラーの温度が120〜20
0℃まで変えられるように改造したものである。
【0048】実施例2 トナー用樹脂組成物の製造 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン1200g
を入れ、これにビニル系共重合体(スチレン成分80重
量%、アクリル酸n−ブチル成分20重量%、平均重量
分子量60万)300gを投入し、さらにセバシン酸と
1,6−ヘキサンジオールとを重縮合して得られた結晶
性ポリエステル樹脂(軟化点70℃)200g及びトナ
ー用添加剤としてカーボンブラック(着色剤)(MA−
100:三菱化学社製)135g、ポリプロピレンワッ
クス(オフセット防止剤)(ビスコール660P:三洋
化成社製)68gを混合分散させた。
【0049】その後、気相を窒素ガスで置換し、この系
をトルエンの沸点まで加熱した。そして、トルエンの還
流が起きた状態で攪拌しながら、上記混合分散液に、ス
チレン750g、アクリル酸n−ブチル100g、メタ
クリル酸メチル150g及びベンゾイルパーオキサイド
(重合開始剤)15gの混合溶液を、4時間かけて滴下
しながら溶液重合を行った。
【0050】上記混合溶液の滴下が終了した後、さらに
トルエンの沸騰する温度で攪拌しながら5時間熟成を行
った。その後、この系の温度を180℃まで徐々に上げ
ながら、減圧下にトルエンを脱溶剤して樹脂組成物を得
た。この樹脂組成物を冷却し粗粉砕して、トナー用樹脂
組成物を製造した。
【0051】得られたトナー用樹脂組成物は、分子量分
布において、分子量1.5×104及び分子量3.5×
105 にピークがあり、ガラス転移点(Tg)は49℃
と67℃とに二つ観測され、軟化流動温度(Tf)は1
02℃であった。
【0052】また、このトナー用樹脂組成物について、
電子顕微鏡で観察すると、ミクロ相分離構造(複相構
造)で、ビニル系共重合体からなる連続相と、結晶性ポ
リエステル樹脂からなる不連続相とで形成され、この不
連続相は粒子状に形成され、その粒子の大きさは粒子径
4μm 程度であった。
【0053】トナーの製造及びトナーの性能評価 上記トナー用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1
と同様にしてトナーを製造し、このトナーの性能を評価
した。その結果、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。また、最低定着温度は140℃であり、低温定着性
が良好で、画像にかぶりもなく、細線まで鮮明な画像が
得られた。
【0054】実施例3 トナー用樹脂組成物の製造 3リットルのセパラブルフラスコにトルエン1200g
を入れ、これにビニル系共重合体(スチレン成分80重
量%、アクリル酸n−ブチル成分20重量%、平均重量
分子量60万)150gを投入し、さらにセバシン酸と
1,6−へキサンジオールとを重縮合して得られた結晶
性ポリエステル樹脂(軟化点70℃)50g及びトナー
用添加剤としてカーボンブラック(着色剤)(MA−1
00:三菱化学社製)52g、ポリプロピレンワックス
(オフセット防止剤)(ビスコール660P:三洋化成
社製)26gを混合分散させ、さらにポリスチレン(分
子量1×104 にピークを有する)350gを投入し溶
解した。
【0055】その後、気相を窒素ガスで置換し、この系
をトルエンの沸点まで加熱した。そして、トルエンの還
流が起きた状態で1時間攪拌した。その後、この系の温
度を180℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエン
を脱溶剤して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を冷却
し粗粉砕して、トナー用樹脂組成物を製造した。
【0056】得られたトナー用樹脂組成物は、分子量分
布において、分子量8×103 及び分子量4.5×10
5 にピークがあり、ガラス転移点(Tg)は47℃と6
2℃とに二つ観測され、軟化流動温度(Tf)は108
℃であった。
【0057】また、このトナー用樹脂組成物について、
電子顕微鏡で観察すると、ミクロ相分離構造(複相構
造)で、ビニル系共重合体からなる連続相と、結晶性ポ
リエステル樹脂からなる不連続相とで形成され、この不
連続相は粒子状に形成され、その粒子の大きさは粒子径
4μm 程度であった。
【0058】トナーの製造及びトナーの性能評価 上記トナー用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1
と同様にしてトナーを製造し、このトナーの性能を評価
した。その結果、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。また、低温定着温度は140℃℃であり、低温定着
性が良好で、画像にかぶりもなく、細線まで鮮明な画像
が得られた。
【0059】比較例1 トナー用樹脂組成物の製造 実施例1において、トナー用添加剤であるカーボンブラ
ック(着色剤)及びポリプロピレンワックス(オフセッ
ト防止剤)を使用せず、それ以外は実施例1と同様に行
って樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物に、ト
ナー用添加剤としてカーボンブラック(着色剤)(MA
−100:三菱化学社製)87g、ポリプロピレンワッ
クス(オフセット防止剤)(ビスコール550P:三洋
化成社製)37gを配合し、これをロールミルで120
℃で溶融混練し、これを冷却し粗粉砕して、トナー用樹
脂組成物を製造した。
【0060】このトナー用樹脂組成物の軟化流動温度
(Tf)は110℃であった。また、このトナー用樹脂
組成物について、電子顕微鏡で観察すると、ミクロ相分
離構造(複相構造)ではあるが、不連続相は粒子状のも
のが引き延ばされたようになり、ミクロ相分離構造が崩
れかけていた。
【0061】トナーの製造及びトナーの性能評価 上記トナー用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1
と同様にしてトナーを製造し、このトナーの性能を評価
した。その結果、トナーに凝集は全く認められなかった
が、最低定着温度は150℃で、実施例1に比べて低温
定着性が劣るものであった。
【0062】なお、上記トナー用樹脂組成物をさらにロ
ールミルで120℃で溶融混練して2回混練のトナー用
樹脂組成物を得た。この2回混練のトナー用樹脂組成物
について、電子顕微鏡で観察すると、ミクロ相分離構造
(複相構造)は全く見られなくなった。
【0063】また、上記2回混練のトナー用樹脂組成物
を用い、上記と同様にしてトナーを製造し、このトナー
の性能を評価した。その結果、トナーに凝集は全く認め
られなかったが、最低定着温度は155℃となり、低温
定着性がさらに劣るものであった。
【0064】比較例2 トナー用樹脂組成物の製造 実施例1で得られたトナー用樹脂組成物をロールミルで
120℃で溶融混練し、これを冷却し粗粉砕して、トナ
ー用樹脂組成物を製造した。このトナー用樹脂組成物の
軟化流動温度(Tf)は110℃であった。また、この
トナー用樹脂組成物について、電子顕微鏡で観察する
と、ミクロ相分離構造(複相構造)が崩れかけていた。
【0065】トナーの製造及びトナーの性能評価 上記トナー用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1
と同様にしてトナーを製造し、このトナーの性能を評価
した。その結果、トナーに凝集は全く認められなかった
が、最低定着温度は150℃で、実施例1に比べて低温
定着性が劣るものであった。
【0066】比較例3 トナー用樹脂組成物の製造 実施例1において、結晶性ポリエステル樹脂を全く使用
せず、それ以外は実施例1と同様に行ってトナー用樹脂
組成物を得た。このトナー用樹脂組成物の軟化流動温度
(Tf)は135℃であった。このトナー用樹脂組成物
について、電子顕微鏡で観察すると、ミクロ相分離構造
は全く見られなかった。
【0067】トナーの製造及びトナーの性能評価 上記トナー用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1
と同様にしてトナーを製造し、このトナーの性能を評価
した。その結果、トナーに凝集は全く認められなかった
が、最低定着温度は170℃で、実施例1に比べて低温
定着性が劣るものであった。
【0068】
【発明の効果】上述の通り、この発明のトナー用樹脂組
成物及びトナーによれば、耐オフセット性、低温定着
性、耐ブロッキング性に優れ、しかも微粉砕性が良好
で、特に低温定着性がより一層優れ、定着温度域が広
く、高速型や小型の電子複写機を用いて複写する場合で
も、充分に安定した画像が得られるという顕著な効果を
奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸
    エステル単量体とを構成単位として含むビニル系共重合
    体からなる連続相と、結晶性ポリエステル樹脂からなる
    不連続相とで形成され、且つトナー用添加剤を含有する
    トナー用樹脂組成物であって、上記トナー用添加剤は、
    溶融混練工程を経ることなく、上記ビニル系共重合体及
    び/又は結晶性ポリエステル樹脂の溶剤溶液に混合さ
    れ、脱溶剤工程を経ることにより、トナー用樹組成物中
    に含有されていることを特徴とするトナー用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトナー用樹脂組成物を用
    いたトナー。
JP7155963A 1995-06-22 1995-06-22 トナー用樹脂組成物及びトナー Pending JPH096047A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001175021A (ja) * 1999-12-16 2001-06-29 Mitsubishi Chemicals Corp 静電荷像現像用トナー
JP2012255957A (ja) * 2011-06-10 2012-12-27 Konica Minolta Business Technologies Inc 静電荷像現像用トナー
JP2013242523A (ja) * 2012-04-24 2013-12-05 Konica Minolta Inc 静電荷像現像用トナー

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