JP2017040843A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、トナー表層及び内部に、結晶性ポリエステルのラメラ結晶が存在しているトナーが提案されている。
特許文献2では、結着樹脂として結晶性ポリエステルとスチレン‐アクリル系樹脂を含有するコアシェル構造のトナーが提案されている。
また、特許文献3ではポリエステル樹脂を主成分とするトナーにおいて、シェル材料と結晶性ポリエステルの相溶性が低いことに言及している。
特許文献2に記載のトナーでは、シェル材料と結晶性材料の相溶性という観点から検討されていないため、トナー表面が結晶性ポリエステルの相溶によって粘度低下する恐れがある。このような構成では、結晶性ポリエステルによる効果を得るために相溶性を上げると、トナーの強度が低下するため、低温定着性と現像性の両立は困難である。
また、特許文献3においては、上記相溶性を得るために、シェル材料そのものの親水性を高める必要があり、結果として高湿環境下において現像性が低下する。
以上、結晶性樹脂を導入したコアシェル構造のトナーにおいて、結晶性樹脂とバインダーの相溶性、及び結晶性樹脂とシェル材料の相溶性を制御し、結晶性樹脂の効果を充分に活かしたトナーは未だ提案されていなかった。
本発明は、上述した従来の問題点を解決したトナーを提供するものである。即ち、本発明は、低エネルギーで定着が可能であり、かつ高速現像システムにおいても充分な現像性
を有し、高湿度においても充分な現像性を維持できるトナーを提供することを目的とする。
非晶性樹脂A及び結晶性樹脂を含有するコアと、非晶性樹脂Bを含有するシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子を有するトナーであって、
該非晶性樹脂Aがスチレンアクリル系樹脂を含有し、
該スチレンアクリル系樹脂の含有量が、該非晶性樹脂Aの全量に対して50質量%以上であり、
下記式(X)で求められる、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂の相溶化度Aが、50%以上100%以下であり、
下記式(Y)で求められる、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂の相溶化度Bが、0%以上40%以下であることを特徴とするトナーである。
相溶化度A(%)=100−(100×ΔH(A))/(ΔH(C)×C/100) (X)
相溶化度B(%)=100−(100×ΔH(B))/(ΔH(C)×D/100) (Y)
(式(X)、(Y)中、
ΔH(A)は、示差走査熱量分析における、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂との混合樹脂Aの発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
ΔH(C)は、示差走査熱量分析における該結晶性樹脂の発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
Cは、該混合樹脂Aにおける該結晶性樹脂の質量比率(%)を示す。
ΔH(B)は、示差走査熱量分析における、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂との混合樹脂Bの発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
Dは、該混合樹脂Bにおける該結晶性樹脂の質量比率(%)を示す。)
本発明者らは検討の中で、結晶性樹脂の作用効果は、溶融した結晶性樹脂がバインダー樹脂と相溶し、バインダー樹脂を可塑することでトナー全体としての溶融粘度を下げる点にあることを見出した。相溶性が低い結晶性樹脂とバインダー樹脂の組合せでは、トナーの溶融粘度が下がらないだけでなく、トナー溶融時においても結晶性樹脂の一部分が相分離してしまう。このような現象がおこると、トナー全体が均一に溶融せず、コールドオフセット現象が生じやすくなってしまう。コールドオフセット現象とは、定着ローラ側に画像の一部分が融着し、画像に白抜けの部分が生じてしまう現象である。
よって、結晶性樹脂とバインダー樹脂が充分に相溶する事は、粘度を充分に下げると同時に、耐コールドオフセット性能を維持するという点からも重要であり、該相溶性を制御することで、初めて、結晶性樹脂による効果を充分に活かすことが可能であると考えられる。
本発明者らは検討の中で、結晶性樹脂を添加した場合に、結晶性樹脂とトナー表面を形成するシェル材料を相分離させることで、シェル材料のガラス転移温度を高く維持する事ができ、トナー表面を硬く維持させることができることを見出した。トナー表面が硬いことでトナーの流動性が高くなると考えられ、結果として現像ローラなどの部材からストレスを受けにくくなり、トナーが割れたり潰れたりしにくくなる。その結果、結晶性樹脂による低温定着効果を充分に発揮しながら、優れた現像性を得ることができる。
以上に述べたように、結晶性樹脂による低温定着効果を充分に活かしながら、優れた現像性を得るためには、結晶性樹脂の、バインダー樹脂とシェル材料双方に対する相溶性を同時に制御する必要がある。なお、結晶性樹脂とは、示差走査熱量分析装置による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピーク(融点)が観測される樹脂を指す。
上記した相溶性を達成するためには、結晶性樹脂の組成や分子量、ブロックポリマーにしたときの樹脂比率などの結晶性樹脂の物性と、バインダー樹脂及びシェル材料の組成を制御する方法が挙げられる。
なお、一般的なブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。なお、該ブロックポリマーの製造方法としては限定されず、公知の方法で製造することができる。
該非晶性樹脂Aは本発明のトナーにおけるバインダー樹脂を意味している。非晶性樹脂Aの50質量%以上がスチレンアクリル系樹脂であることで、トナーの硬さや高湿環境下における帯電性に優れたトナーが得られ、優れた現像性が得られる。該スチレンアクリル系樹脂の含有量は、該非晶性樹脂Aの全量に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
0%以上30%以下であることがより好ましい。
これらの相溶化度は、該非晶性樹脂A、該非晶性樹脂B及び結晶性樹脂の組成や分子量などの物性で制御することが可能である。特に、該結晶性樹脂と該非晶性樹脂Bの相溶化度Bについては、該非晶性樹脂Bの組成によって制御することが簡便であり好ましい。なお、これらの相溶化度の測定方法については後述する。
該非晶性のビニルポリマー部位の組成はスチレン、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートなどの公知のビニルモノマーを用いることができる。特に該非晶性のビニルポリマー部位の50質量%以上がスチレンである場合、スチレンアクリル系樹脂を主成分とする該非晶性樹脂Aとの相溶性の観点から、より好ましい形態が得られる。なお、該結晶性のポリエステル部位と、非晶性のビニルポリマー部位とが結合した樹脂を製造する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。結晶性のポリエステル部位を製造した後に、非晶性のビニルポリマー部位を結合する手法でもよいし、非晶性のビニルポリマー部位を製造した後に、結晶性のポリエステル部位を結合する手法でもよい。
本発明においては、該結晶性のポリエステル部位の質量比率が増えるほど、該相溶化度Aは低下し、該相溶化度Bは上がる傾向にある。しかしながら、同時に結晶性樹脂としての結晶化度が上がるため、それらを考慮して上記した相溶化度を制御することが好ましい。該質量比率は、該結晶性樹脂を製造する際の単量体の仕込み量及び反応条件で制御することが可能である。なお、該質量比率の測定方法については後述する。
該結晶性樹脂が、下記式(1)で示されるユニット及び下記式(2)で示されるユニットを有することが好ましい。
結晶性樹脂がブロックポリマーである場合は、式(1)及び式(2)で示されるユニットの含有量は、ポリエステル部位に用いる全モノマーユニットを基準として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましい。また、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル(ホモポリマー)である場合は、式(1)及び式(2)で示されるユニットの含有量は、結晶性ポリエステルに用いる全モノマーユニットを基準として、50mol%以上100mol%以下であることが好ましい。なお、「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
該非晶性樹脂Bは、非晶性樹脂Bの全モノマーに由来するユニットに対して、下記式(3)で示されるイソソルビドユニットを0.1mol%以上30.0mol%以下有することが好ましい。
また、該非晶性樹脂Bの製造に用いるモノマーとして、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物を用いることも好適である。上記モノマーを添加することによっても、該相溶化度Bを制御することができる。
該結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は10000以上35000以下であることが好ましい。10000以上であることで、該相溶化度Bをより下げることができる。また、35000以下であることで、該相溶化度Aをより上げることができる。該結晶性樹脂のMwは16000以上35000以下であることがより好ましく、20000以上35000以下であることがさらに好ましい。
また、非晶性樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は8000以上100000以下であることが好ましい。
なお、該結晶性樹脂、該非晶性樹脂B及び該非晶性樹脂Aの重量平均分子量(Mw)の測定方法については後述する。
また、トナー粒子中の、該非晶性樹脂Aの含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
また、トナー粒子中の、該非晶性樹脂Bの含有量は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、どのような製造方法であっても構わないが、最も好ましい手法である懸濁重合法を用いた製造方法について以下に説明する。
トナー粒子のバインダー樹脂である該非晶性樹脂Aを形成するモノマー、該非晶性樹脂
B及び該結晶性樹脂を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機などの分散機を用いてこれらを溶融、溶解あるいは分散させたモノマー組成物を調製する。このとき、上記モノマー組成物中には、必要に応じて離型剤や着色剤、極性樹脂、多官能性単量体、顔料分散剤、荷電制御剤、粘度調整のための溶剤、さらに他の添加剤(例えば、連鎖移動剤)を適宜加えることができる。
重合開始剤は、モノマー組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前にモノマー組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じてモノマーや他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
造粒後の懸濁液を加熱し、懸濁液中のモノマー組成物の粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら重合反応を行い、完結させ、必要に応じて脱溶剤処理を行う事でトナー粒子の水分散液が形成される。
その後、必要に応じて洗浄を行い、種々の方法によって乾燥、分級、外添処理を行うことでトナーを得ることができる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系モノマー類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及び、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系モノマー類;
ン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、及び、ジビニルエーテルが挙げられる。
上記モノマーに関して、単官能性モノマーを単独で、あるいは二種以上組み合わせて、又は、単官能性モノマーと多官能性モノマーとを組み合わせて、又は、多官能性モノマーを単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用できる。
本発明で用いる、該結晶性樹脂の該結晶性のポリエステル部位及び該非晶性樹脂Bを構成するポリエステル樹脂は、2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。なお、ポリエステル樹脂を結晶性樹脂として用いる場合は、下記に挙げるモノマーのうち、ポリマー化した際の示差走査熱量分析測定(DSC測定)において、明確な吸熱ピークを有するものに限る。なお、各種樹脂のDSC測定方法については後述する。
該ポリエステル樹脂を得るためのカルボン酸モノマーとしては公知のカルボン酸モノマーが使用できる。具体的には、例えば以下のものが使用できる。シュウ酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸及びこれらの酸の無水物又は低級アルキルエステル;トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンなどの3価以上の多価カルボン酸成分及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体。この中でも、特に現像性の観点からテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族系ジカルボン酸を少なくとも用いることがより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー用の着色剤として、例えば、以下に示す着色剤を用いることができる。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合ア
ゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー74,93,95,109,111,128,155,174,180,185が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が挙げられる。
該着色剤は、該トナー中に1.0質量%以上20.0質量%以下含有することが好ましい。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、又は、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂を好ましく用いることができる。
荷電制御剤の添加量は、トナー粒子中に0.01質量%以上20.0質量%以下含有することが好ましい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
<該結晶性樹脂と該非晶性樹脂Aの相溶化度A、及び該結晶性樹脂と該非晶性樹脂Bの相溶化度Bの測定方法>
該相溶化度A及び該相溶化度Bの測定には、示差走査熱量分析(DSC)測定を用いる。サンプルとしては、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂を混合した樹脂、及び該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂を混合した樹脂を用いる。
(該非晶性樹脂Aの製造)
本発明において、該トナー粒子を懸濁重合法によって製造する場合には、トナー粒子から該非晶性樹脂Aのみを分離することは困難である。そのため、各トナー粒子の該非晶性樹脂Aに相当する樹脂を別途作成する必要がある。
具体的には、前述した懸濁重合法によってトナー粒子を製造する際に、該非晶性樹脂Aを構成するモノマーのみを用いて、トナー粒子の製造条件と同じ重合温度と、同じ重合開始剤を同じ量用いて製造した樹脂を、各トナーにおける非晶性樹脂Aとした。なお、同等の樹脂が得られているかどうかについては、後述する組成分析と、重量平均分子量(Mw)の測定を行い、トナー粒子と同等であることを確認した。
トルエン2mlに、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂を、各トナー粒子を製造する際と同じ質量比率で溶解し、必要に応じて加熱して均一な溶解液を作製する(本発明においては該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂が9:1の質量比率)。該溶解液をロータリーエバポレータにて120℃まで加熱し、突沸しないように徐々に減圧する。50mbarまで減圧して2時間乾燥を行ったものを混合樹脂Aとした。
該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂を混合した混合樹脂Bは、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂を8:2の質量比率で、上記した手法と同様の手法で作製した。該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂との質量比率を8:2に設定した理由としては、本願実施例における各トナー粒子と同等の比率である1:2の割合で混合すると、該非晶性樹脂B中の該結晶性樹脂が飽和して余剰分が結晶化し、それにともなって本来相溶していた該結晶性樹脂まで再結晶化してしまうためである。
該相溶化度A及び相溶化度Bは示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲0℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。100℃で15分ホールドし、その後100℃から0℃の間で、降温速度10℃/分の速度で冷却する。この冷却過程の発熱曲線における発熱ピークの発熱量ΔH(J/g)を測定する。
相溶化度A(%)の測定には、該結晶性樹脂のΔH(C)(J/g)、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂を混合した混合樹脂AのΔH(A)(J/g)、及び該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂を混合した混合樹脂Aにおける、該結晶性樹脂の質量比率C(%)を用いて、下記計算式によって計算した。
相溶化度A(%)=100−(100×ΔH(A))/(ΔH(C)×C/100)
また、相溶化度B(%)についても同様に計算した。すなわち、相溶化度B(%)の測定には、該結晶性樹脂のΔH(C)(J/g)、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂を8:2の質量比率で混合した混合樹脂BのΔH(B)(J/g)、及び該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂を混合した混合樹脂Bにおける、該結晶性樹脂の質量比率D(%)を用いて、下記計算式によって計算した。
相溶化度B(%)=100−(100×ΔH(B))/(ΔH(C)×D/100)
各種樹脂の組成、組成比率及び含有量は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行った。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から各種樹脂の組成、組成比率及び含有量を算出した。
該結晶性樹脂、該非晶性樹脂A及び該非晶性樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、各種樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−8
0、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
各樹脂の酸価はJIS K1557−1970に準じて測定される。具体的な測定方法を以下に示す。
試料の粉砕品2gを精秤する(W(g))。200mlの三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間溶解する。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。0.1モル/L規定のKOHもアルコール溶液を用いて上記溶液を、ビュレットを用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をS(ml)とする。ブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB(ml)とする。
次式により酸価を計算する。なお、式中の“f”は、KOH溶液のファクターである。
酸価(mgKOH/g)=〔(S−B)×f×5.61〕/W
該結晶性樹脂の融点Tm(℃)及び該非晶性樹脂Bのガラス転移温度Tg(℃)は示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲0℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。100℃で15分ホールドし、その後100℃から0℃の間で、降温速度10℃/分の速度で冷却する。0℃で10分ホールドし、その後0℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で測定を行う。この2回目の昇温過程における吸熱曲線におけるピーク値を融点Tm(℃)とする。また、比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をTg(℃)とする。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部及び、1,9−ノナンジオール83.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル(1)を得た。前述の方法に従って測定したポリエステル(1)の重量平均分子量(Mw)は15000、融点(Tm)は73℃であった。
次いで、撹拌機、温度計、及び、窒素導入管を備えた反応容器にポリエステル(1)100.0部、脱水クロロホルム440.0部を添加して完全に溶解させた後、トリエチルアミン5.0部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル(2)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、及び、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られたポリエステル(2)100.0部、スチレン100.0部、臭化銅(I)3.5部、及び、ペン
タメチルジエチレントリアミン8.5部を添加して撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレン及び触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥して、結晶性のポリエステル部位と非晶性のビニルポリマー部位とが結合した結晶性樹脂1を得た。結晶性樹脂1は、セバシン酸及び1,9−ノナンジオールに由来する、式(1)及び(2)で示されるユニットを有していた。
表1に示すような原料に変更すること以外は結晶性樹脂1の製造方法と同様にして、結晶性のポリエステル部位と非晶性のビニルポリマー部位とが結合した結晶性樹脂2〜13を得た。得られた結晶性樹脂は、表1で用いる酸モノマー及びアルコールモノマーに由来する、式(1)及び(2)で示されるユニットを有していた。
撹拌機、温度計、窒素導入管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、キシレン50.0質量部を140℃で還流させた。そこにスチレン100.0部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)8.6部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに3時間反応させた。その後、160℃、1hPaにて、キシレン及び残存スチレンを留去しビニルポリマー(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニルポリマー(1)100.0部、有機溶媒としてキシレン50.0部、セバシン酸48.4部、1,12−ドデカンジオール51.6部、エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えて、窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させた。その後、180℃で4時間反応させ、さらに180℃、1hPaで所望の分子量となるまで反応させて結晶性樹脂14を得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部及び、1,9−ノナンジオール83.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させて結晶性樹脂15を得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部及び、1,9−ノナンジオール83.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させて結晶性樹脂16を得た。
得られた結晶性樹脂1〜16の物性を表2に示す。結晶性樹脂1〜16は、示差走査熱量分析装置による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、無水トリメリット酸以外の原材料モノマーを表3に示したmol比率で混合した混合物100.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52部を加え、温度200℃に昇温し6時間かけて縮重合する。さらに、表3に示すmol比率で無水トリメリット酸を添加し、窒素導入ライン、脱水ライン、攪拌機を装備した重合タンクに入れ、40kPaの減圧下にて所望の分子量になるまで縮合反応を行い、非晶性樹脂B1を得た。
表3の原材料モノマー仕込み量及び重縮合反応の温度条件にて、非晶性樹脂B1と同様
の操作を行い、非晶性樹脂B2〜9を製造した。
還流冷却管、攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、スチレン100.0部、メタクリル酸メチル3.0部、メタクリル酸5.0部、トルエン50.0部、t−ブチルパーオキシピバレート6.0部を添加した。その後、前記容器内を毎分200回転で撹拌し、70℃に加熱しながら10時間撹拌を続け、重合した。さらに、95℃に加熱して8時間撹拌し、溶媒を除去させて非晶性樹脂B10を得た。
得られた非晶性樹脂B1〜10の物性を表3に示す。
下記の材料をビーカーに入れ、プロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 67.5部
・n−ブチルアクリレート 22.5部
・ピグメントブルー15:3 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・離型剤 パラフィンワックス 7.0部
(HNP−9:日本精鑞製 融点75℃)
・非晶性樹脂B1 5.0部
・結晶性樹脂1 10.0部
その後、混合液を65℃に加温し、モノマー組成物を得た。
次いで、高速撹拌装置TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた容器に、イオン交換水800部とリン酸三カルシウム15.5部を添加し、回転数を15000回転/分に調整し、70℃に加温して水系媒体を調製した。
その後、水系媒体の温度を70℃、撹拌装置の回転数を15000回転/分に保ちながら、該水系媒体中に該モノマー組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて15000回転/分を維持しつつ20分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で攪拌しながら70℃を保持して6.0時間重合を行ってスチレンアクリル樹脂を生成し、100℃に昇温して4時間加熱することで、溶剤及び未反応モノマーの除去を行った。
重合反応終了後、該スラリーを冷却し、冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粉体に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。
表4に示すように、モノマーの種類と部数、非晶性樹脂Bの種類及び結晶性樹脂の種類を変更すること以外はトナー1の製造方法と同様にしてトナー2〜20、22〜29を得た。
(非晶性樹脂A分散液の調製)
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水120.0部に溶解したものに、分散、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5部を溶解したイオン交換水10.0部を投入した。更に、窒素置換を行った後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、平均粒径が0.29μmである非晶性樹脂Aを分散させてなる非晶性樹脂A分散液を調製した。
該非晶性樹脂A分散液の一部について遠心分離を行って固形分を回収した後に乾燥を行い、非晶性樹脂A5を得た。
(結晶性樹脂分散液の調製)
・結晶性樹脂1 50.0部
・アニオン性界面活性剤 7.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT5
0)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、結晶性樹脂1を分散させてなる結晶性樹脂分散液を調製した。
(非晶性樹脂B分散液)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、非晶性樹脂B1(100.0部)とメチルエチルケトン50.0部、テトラヒドロフラン50.0部、ジメチルアミノエタノール(DMAE)2.0部を仕込み、50℃に加熱して溶解した。
次いで、撹拌下、50℃のイオン交換水300.0部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20.0質量%になるように調整した。得られた非晶性樹脂B1の分散液を非晶性樹脂B分散液とした。
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0部
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、この着色剤分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤の平均粒径は、0.20μmであり、また1.00μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(ワックス分散液の調製)
・炭化水素ワックス 50.0部
(HNP−9:日本精鑞製 融点75℃)
・アニオン性界面活性剤 7.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。その後、固形分濃度が20.0質量%になるようイオン交換水の量を調整し、平均粒径が0.50μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(荷電制御粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0部
(負荷電性制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。その後、固形分濃度が5.0質量%になるようイオン交換水の量を調整した。
・非晶性樹脂A分散液 90.0部
・非晶性樹脂B分散液 5.0部
・結晶性樹脂分散液 10.0部
・着色剤分散液 6.0部
・ワックス分散液 7.0部
以上を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した
。
この混合液に凝集剤として、8.0質量%塩化ナトリウム水溶液120.0部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。この温度の時、荷電制御粒子分散液2.0部を加えた。温度55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持した。該スラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粉体に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー21を得た。
トナー21の製造において、結晶性樹脂1のかわりに結晶性樹脂16、非晶性樹脂B1のかわりに非晶性樹脂B10を用いる以外はトナー21と同様にして製造し、トナー30得た。また、トナー21の製造において、非晶性樹脂B1のかわりに非晶性樹脂B10を用いる以外はトナー21と同様にして製造し、トナー31得た。
・非晶性樹脂A4 (後述) 90.0部
・非晶性樹脂B10 5.0部
・結晶性樹脂16 10.0部
・離型剤 パラフィンワックス 7.0部
(HNP−9:日本精鑞製 融点75℃)
・ピグメントブルー15:3 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・酢酸エチル 200.0部
上記成分をボールミルにて10時間混合分散させ、得られた分散液を、リン酸三カルシウム3.5質量%を含むイオン交換水2000部に投入し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーにて回転数を15000回転/分で10分間造粒を行った。その後、スリーワンモーターにて150回転/分で撹拌しながらウォーターバス中において75℃に4時間保持し、脱溶剤を行った。該スラリーを冷却し、冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粉体に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー32を得た。
トナー32の製造において、非晶性樹脂B10のかわりに非晶性樹脂B1を、結晶性樹脂16のかわりに結晶性樹脂1を用いた以外は同様にして製造し、トナー33を得た。
トナー1、トナー22、トナー23の製造方法において、ピグメントブルー15:3、離型剤、非晶性樹脂B1、結晶性樹脂1を用いない以外は、トナー1、トナー22、トナー23の製造方法と同様にして重合反応を行い、冷却、リン酸カルシウム塩の溶解、洗浄
、ろ過、乾燥を行って作製した樹脂を、それぞれ非晶性樹脂A1、非晶性樹脂A2、非晶性樹脂A3とした。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、下記材料を入れた。
・テレフタル酸 1.0mol
・イソフタル酸 1.0mol
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物 2.0mol
その後、撹拌しながら温度130℃まで加熱し、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52部を加え、温度200℃に昇温し6時間かけて縮重合する。さらに、無水トリメリット酸0.045molを添加し、窒素導入ライン、脱水ライン、攪拌機を装備した重合タンクに入れ、40kPaの減圧下にて所望の分子量になるまで縮合反応を行い、非晶性樹脂A4を得た。
非晶性樹脂A1〜5の物性を表5に示した。
得られた各トナーの、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B及び結晶性樹脂を用いて、前述の方法に従って、該相溶化度A及び該相溶化度Bを測定した。トナー1〜33の物性と該相溶化度A及び該相溶化度Bの結果を表6に示す。
得られた各トナーについて以下の方法に従って性能評価を行った。
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを230mm/s、定着線圧27.4kgfに設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、画像の表面を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙(ダスパー K−3)で0.2m
/秒の速度で5回摺擦したときに、直径150μm以上の画像剥がれが3個以内である最低温度のことである。定着がしっかり行われない場合には、上記画像剥がれは増える傾向にある。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が115℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が120℃又は125℃(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が130℃又は135℃(低温定着性が良い)
D:低温側定着開始点が140℃又は145℃(低温定着性にやや劣る)
E:低温側定着開始点が150℃以上(低温定着性に劣る)
市販のカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンターに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりに評価するトナー(300g)を充填した。常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙として、キヤノン製オフィスプランナー(64g/m2)を用い、印字率2%チャートを500枚連続して画出しした。画出し後、さらにハーフトーン画像を出力し、該ハーフトーン画像における画像スジの有無、及び現像ローラ上の融着物の有無について観察し、以下のように現像性を評価した。
(評価基準)
A:現像ローラ上とハーフトーン部の画像上に、現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。(現像性に特に優れる)
B:現像ローラ上に、細いスジが1〜3本あるものの、ハーフトーン部の画像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。(現像性に優れる)
C:現像ローラ上に、細いスジが4〜6本あるものの、ハーフトーン部の画像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。(現像性が良い)
D:現像ローラ上に、細いスジが7〜9本あり、ハーフトーン部の画像上に目視可能な現像スジが見られる。(現像性にやや劣る)
E:現像ローラ上とハーフトーン部の画像上に10本以上の顕著な現像スジが見られる。(現像性に劣る)
また、常温高湿下(23℃、80%RH)において、上記した手順と同じように現像性の評価を行い、上記した現像性の評価と同じ基準に従って高湿環境下における現像性を評価した。
5.0gのトナーを100mlのポリカップに入れ、温度50℃/湿度10%RHで10日間放置した後に、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
評価基準は下記の通り。
A:凝集度が20%未満(耐熱性が特に優れている)
B:凝集度が20%以上25%未満(耐熱性が優れている)
C:凝集度が25%以上30%未満(耐熱性が良い)
D:凝集度が30%以上35%未満(耐熱性にやや劣る)
E:凝集度が35%以上(耐熱性に劣る)
結果を表7に示した。
Claims (6)
- 非晶性樹脂A及び結晶性樹脂を含有するコアと、非晶性樹脂Bを含有するシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子を有するトナーであって、
該非晶性樹脂Aがスチレンアクリル系樹脂を含有し、
該スチレンアクリル系樹脂の含有量が、該非晶性樹脂Aの全量に対して50質量%以上であり、
下記式(X)で求められる、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂の相溶化度Aが、50%以上100%以下であり、
下記式(Y)で求められる、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂の相溶化度Bが、0%以上40%以下であることを特徴とするトナー。
相溶化度A(%)=100−(100×ΔH(A))/(ΔH(C)×C/100) (X)
相溶化度B(%)=100−(100×ΔH(B))/(ΔH(C)×D/100) (Y)
(式(X)、(Y)中、
ΔH(A)は、示差走査熱量分析における、該非晶性樹脂Aと該結晶性樹脂との混合樹脂Aの発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
ΔH(C)は、示差走査熱量分析における該結晶性樹脂の発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
Cは、該混合樹脂Aにおける該結晶性樹脂の質量比率(%)を示す。
ΔH(B)は、示差走査熱量分析における、該非晶性樹脂Bと該結晶性樹脂との混合樹脂Bの発熱ピークの発熱量(J/g)を示す。
Dは、該混合樹脂Bにおける該結晶性樹脂の質量比率(%)を示す。) - 該結晶性樹脂が、結晶性のポリエステル部位と、非晶性のビニルポリマー部位とが結合したブロックポリマーである請求項1に記載のトナー。
- 該結晶性のポリエステル部位と該非晶性のビニルポリマー部位との質量比率が、30:70〜70:30である請求項2に記載のトナー。
- 該トナー粒子が、該非晶性樹脂Aを構成するモノマー、該非晶性樹脂B及び該結晶性樹脂を含有するモノマー組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該モノマー組成物の該粒子に含まれる該非晶性樹脂Aを構成するモノマーを重合させることにより得られたトナー粒子である請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
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