JP5921109B2 - トナー - Google Patents
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Description
そのために種々の画像形成方法が提案されてきた。その中に、磁性トナーを用い、中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる、いわゆるジャンピング法がある。ジャンピング法は高い安定性を有する現像方式であり、上記ニーズに応えるためには有効な手法である。
しかし、例えば倉庫での保管などでは、通常よりも過酷な環境下に長時間放置されることとなり、トナー性能の劣化を招きやすく、そのような履歴を経たトナーは、画質や耐久性などに弊害を起こし易いという問題がある。
特に、トナー劣化による帯電の均一性の低下はトナーの感光体潜像への飛翔が不正確になり、感光体潜像以外の部分への飛び散りなどによるドット再現性の低下を招くといった問題が生じる。このような現象は特にトナーへの水分の付着による帯電リークの生じ易い高温高湿下で顕著となる。
また、特に高温高湿下ではトナーの耐久性に関しても厳しく、例えばトナーに含有される離型剤(以後ワックスとも呼ぶ)の染み出しが起こり易く、更にトナー表面に外添剤が埋め込まれるなど、耐久劣化を促進しやすい。
このような過酷環境下でのトナー劣化を抑制するためには、トナーの熱的耐性を上げるために、トナーの硬さを上げることが考えられるが、単純にトナーの硬さを上げると、定着性への弊害が生まれ、現像性と定着性の両立は難しくなるといった課題がある。
上記の様な課題に対し、特許文献1にはトナーの分子量分布や粘弾性を制御することにより、低温定着性とドット再現性の安定化を行った例が紹介されているが、更なる高温高湿下で放置後の耐久性や画像安定性の向上に関しては未だ改良の余地が残るものであった。
また、特許文献2では特定の応力緩和時間における緩和弾性率と定着器のニップ通過時間を制御することにより、高温オフセットなどの定着性の改良を試みているが、高温高湿下で放置後の耐久性や画像安定性の向上に関しては未だ改良の余地が残るものであった。
また、特許文献3では磁性トナー中での磁性体の分散性を制御することにより、低温定着性の向上と画像欠陥の発生の抑制を試みているが、高温高湿下で放置後の耐久性や画像安定性の向上に関しては未だ改良の余地が残るものであった。
で放置後のドット再現性、及び現像性、並びに低温定着性に優れる磁性トナーを提供することにある。
結着樹脂、磁性体及び離型剤を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有する磁性トナーであって、前記磁性トナーは、回転平板型レオメーターを用いた応力緩和測定において、25℃での降伏値Aが3×106(秒)以上であり、80℃に加熱後25℃まで冷却された前記磁性トナーの、25℃での降伏値Bが1×105(秒)以下であり、
前記磁性トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の、サイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径(Rw)に関し、
i)重量平均分子量(Mw)が5000以上25000以下であり、
ii)前記重量平均分子量(Mw)及び前記平均回転半径(Rw)が下記(式1)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
1.0×10 −3 ≦Rw/Mw≦1.0×10 −2 (式1)
前述の通り、特に高温高湿環境への環境変動を経た後のドット再現性の向上と低温定着性の両立には、環境変動や多数枚の画像形成時におけるトナーの耐劣化性と、定着時に熱によるトナーの軟化を促進できるトナー構造制御が重要となる。
ここで、上記応力緩和とは、材料に一定のひずみを加えて放置するとそれにともなう応力が時間とともに減少してくる現象である。また、降伏値とは、一定の歪みに対し、応力が急激に変化する点であり、本発明では後述する応力緩和測定における応力緩和曲線の変曲点を表す。
これらは一般的に試料を構成する粒子の物理的性質であり、外部から加わる歪みに対して強い抵抗を示す粒子や弱い粒子の総合値を表す。トナーにおいても同様に、応力緩和測定における降伏値はトナーの外部からの耐ストレス性、つまりは外部刺激からの安定性や環境変化に対する安定性を表すと考えられる。
なぜなら、例えば、高温下に放置された場合、その熱エネルギーや荷重は外部ストレスとなり、トナーに作用する。本発明ではそのような熱や物理的なシェアなどのエネルギーを初期歪みとして与え、それに対する応力の緩和性を測定することで環境安定性や耐ストレス性をモニターできると考えたものである。
本発明における降伏値Aの測定はトナーをプレート化し、測定するが、その際に熱により測定装置へ固定する工程を行わないため、トナー粒子の溶融が無く、粒子界面の情報を反映した測定結果が得られる。
また、応力緩和測定における降伏値とは、応力を増すにつれて弾性が保てず、分子が動き出す点、つまり、粘性が表れる点と考えられる。
つまり、降伏値とは弾性が支配的な領域から、粘性が支配的な領域への移行する点であり、降伏値の値が大きいほど弾性を保てる時間が長いことを示し、外部ストレスに強いことを示す。逆に降伏値の値が小さい程、外部ストレスに対する変形の応答性が高い、つまり外部ストレスに対する耐性が低いことを示している。
本発明における応力緩和測定においては、測定初期に歪みを与える(以下、初期歪み、又は印加歪初期値とも呼ぶ)が、この初期歪みとはトナーに対するストレスを与えた状態を模擬的に示していると考えられる。本発明においては初期歪みを0.1%に設定している。これは本発明者らが検討した結果、トナーに最初にストレスが加わる表面近傍の情報を選択的に収集できる初期歪み値と考えられる。つまり、当該初期歪み値は外部からのストレスが最も大きく加わる表面近傍の変化をモニターすることができる値であり、トナーの耐ストレス性を評価する際に最も適した歪み値と考えられる。
本発明の磁性トナーが、過酷環境下で顕著な環境耐性を獲得したことにより、過酷環境下におけるドット再現性及び現像性の向上と低温定着性の両立を可能にした理由を、本発明者らは以下のように考えている。
本発明において、所望の環境耐性を達成するためには、回転平板型レオメーターを用いた応力緩和測定において、25℃での降伏値Aの値を3×106(秒)以上に制御することで耐ストレス性を向上させることが重要である。
また、当該降伏値Aの値は3.0×106(秒)以上1.0×1010(秒)以下であることが好ましく、5.0×106(秒)以上1.0×108(秒)以下であることがより好ましい。
本発明において25℃を選択した理由は以下のとおりである。通常プリンターが使用される環境が室内であるため、想定される温度は約10℃から40℃である。その平均的な温度である25℃がプリンター使用におけるトナーの物性評価に適しており、また本発明においてもプリンターの現像性の結果と相関が高いことを確認したため、25℃を基準温度に設定し評価を行った。
本発明において、降伏値Aの値を3×106(秒)以上に制御するためには、磁性体の存在状態、及び磁性体と磁性体周辺の樹脂とのなじみ性の向上が重要だと本発明者らは考えている。
磁性体の存在状態については、磁性体がトナー表面に偏在しており、擬似的にシェルを形成している状態であることが重要な点である(以下、このような状態を、マグシェル構造とも呼ぶ)。
従来からマグシェル構造に関する検討はなされてきた。しかしながら、本発明ではマグシェル構造を形成する磁性体の分散状態に関してもさらに検討を進め、マグシェル構造中における磁性体の凝集を抑制することで、ストレスに対し、脆い点、つまり耐性の低い点を低減した。これによって、25℃での降伏値の値を本発明で規定する範囲に制御している。
磁性体などの金属粉の凝集体は、金属粉が微分散し結着樹脂と密着している場合に比べ、結着樹脂による接着効果がなく、外部からのストレスに対し、脆い点が生まれる。そのため、結着樹脂を含めたマグシェル構造の効果が薄くなり、外部ストレスに対し脆くなってしまい所望の環境安定性、耐ストレス性を得ることができない。
一方でマグシェル構造を形成している磁性体を微分散状態に制御することにより、結着樹脂との接触面積が大きくなるため、磁性体と結着樹脂の密着による耐外部ストレス性が飛躍的に増したものと考えられる。
このように、磁性体の分散状態を制御することにより、25℃での降伏値Aの値を3×106(秒)以上に制御することが可能となり、従来以上の環境安定性、及び耐ストレス
性を達成できたものと考えられる。
上記25℃での降伏値Aの値が3×106(秒)未満の場合、トナーの環境安定性、耐ストレス性に劣り、高温高湿のような過酷環境下での放置によりトナーが劣化しやすく、トナーの帯電性や流動性に弊害が見られ、所望のドット再現性や耐久濃度安定性が得られず好ましくない。
なお、マグシェル構造にした上で、マグシェル構造を形成している磁性体を微分散させて、上記降伏値Aの値を上記範囲に制御するためには、磁性体の疎水化処理を均一に行うといった方法が挙げられる。具体的には、磁性体の疎水化処理剤の選択、疎水化処理剤の量、処理条件の適正化などが挙げられるが、詳細は後述する。
本発明者らの検討によると、80℃に加熱後の25℃での降伏値Bは、定着時の溶融開始温度と相関しており、その値が降伏値Aに対し低いことは、80℃の加熱により、一旦トナーの表面付近が軟化して磁性体の存在状態が変化し、強固なマグシェル構造に変化が生じたことを示している。
一般に定着工程では100℃以上の温度によりトナーを溶融させ、紙などのメディアに定着させるが、実際は紙などへの温度の分散や、高速化に伴う定着時間の短縮により、80℃付近で定着を開始できるトナー構造が必要だと考えている。また、本発明の検討においても80℃に加熱後の25℃での降伏値Bを所望の値にすることが、低温定着性に対し有効な評価であることが分かったため、上記降伏値Bを指標とした。
本発明においてこのような降伏値Aから降伏値Bへの変化で表されるような急激な軟化を達成できる要因を本発明者らは以下のように考えている。
本発明のトナーは、前述のように、磁性体が微分散状態でマグシェル構造を形成しており、樹脂と磁性体との接触性も高い。そのため、磁性体周辺の結着樹脂を含めて、従来と比べ強固なシェル層が形成されている。
しかし、本発明では結着樹脂の分岐度や離型剤の種類を最適化することで、離型剤の樹脂への可塑効果を向上させ、樹脂の軟化は勿論のこと、磁性体の存在状態をも変化させることが可能となったと考えている。
つまり、本発明においては、上記加熱時に、強固なマグシェル状態を緩和させ、緩やかなマグシェル状態へ移行させることが可能となり、トナーの弾性が小さくなり、急激なトナーの軟化を達成できたものと考えている。
本発明では、トナー定着温度に対し、低い温度領域である80℃で、上記のようなマグシェル状態の緩和を発現させることで、熱量が少ない場合においても十分な変形量が得られるため、所望の低温定着性を達成できたものと考えている。
上記80℃に加熱後の25℃での降伏値Bが1×105(秒)より大きい場合、トナーの軟化性が低いことを示し、定着時にトナーの十分な変形が得られないため、所望の低温定着性が得られず好ましくない。
このように磁性体によるマグシェル化、磁性体周辺の結着樹脂の構造制御、並びに磁性体と樹脂との接触性及び密着性の向上、により耐環境安定性を飛躍的に高め、更には定着時にはトナー中の強固なマグシェル状態を緩和させることで、トナーの低温定着性を飛躍的に改善することができる。
上25000以下であり、重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径Rwが下記(式1)を満たすことが好ましい。尚、平均回転半径Rwの単位は、“nm”である。
1.0×10−3≦Rw/Mw≦1.0×10−2 (式1)
本発明の磁性トナーにおけるTHF可溶分は離型剤の可塑効果の影響を大きく受ける分子量帯域と考えられる。一方、慣性自乗半径(Rg2)は一般的に1分子あたりの広がりを示す値であり、その平方根である平均回転半径Rw(Rw=(Rg2)1/2)を重量平均分子量(Mw)で割ることにより得られた値[Rw/Mw]は、分子あたりの分岐度を示すと考えられる。従って、上記[Rw/Mw]が小さいほど分子量に対し広がりが小さいため、分子の分岐度は大きく、逆に[Rw/Mw]が大きいほど分子量に対し広がりが大きいため、直鎖状の分子であると考えられる。
本発明において、磁性トナーのTHF可溶分は、SEC−MALLSで測定された重量平均分子量(Mw)を5000以上25000以下とし、かつ、重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径Rwの関係を、1.0×10−3≦Rw/Mw≦1.0×10−2、とすることで、結着樹脂に比べ比較的小さな分子量である離型剤の可塑効果が得られる分岐状態となる。これにより、加熱時に、離型剤が磁性体周辺に存在する結着樹脂の可塑効果を増加させ、マグシェル構造の緩和が促進される。結果、降伏値Aから降伏値Bへの変化が促進され、低温定着性が向上する。
上記重量平均分子量(Mw)は、8000以上22000以下であることがより好ましく、10000以上20000以下であることがさらに好ましい。
一方、[Rw/Mw]は、2.0×10−3以上8.0×10−3以下であることがより好ましく、2.5×10−3以上7.0×10−2以下であることがさらに好ましい。
なお、上記重量平均分子量(Mw)は、反応開始剤の種類や反応開始剤の量、反応温度などを調整することで、上記範囲に制御することができる。一方、[Rw/Mw]は、反応開始剤の種類や反応開始剤の量、反応温度などの調整に加え、反応開始剤種の追加添加などや添加タイミングの調整を行うことで、上記範囲に制御することができる。
ここで、SEC−MALLSから求められる重量平均分子量と慣性自乗半径について説明する。SECで測定される分子量分布は、分子サイズを基準とするものであり、強度はその存在量である。それに対し、SEC−MALLS(分離手段としてのSECと多角度光散乱検出器を結合し、重量平均分子量(Mw)及び分子の広がり(慣性自乗半径)が測定可能となる)で得られる光散乱強度を利用すると、分子サイズに基づかない分子量分布を求めることができる。
従来のSEC法では、測定する分子がカラムを通過する際、分子篩い効果を受け、分子サイズの大きいものから順次溶出し、分子量が測定される。この場合、分子量が等しい線状ポリマーと分岐ポリマーでは、前者のほうが溶液中での分子サイズが大きいので早く溶出することになる。従って、SEC法で測定される分岐ポリマーの分子量は通常、真の分子量より小さく測定される。一方、本発明で用いられる光散乱法は、測定分子のレイリー(Rayleigh)散乱を利用している。そして、光散乱光の強度に及ぼす光の入射角と試料濃度の依存性を測定し、Zimm法、Berry法等で解析することで、線状ポリマー、分岐ポリマー全ての分子形態において、より真実に近い分子量(絶対分子量)を決定できる。本発明では、後述のようにSEC−MALLS測定法にて光散乱光の強度の測定を行い、以下のZimm式で表わされる関係をDebye Plotを利用して解析し、絶対分子量に基づいた重量平均分子量(Mw)、慣性自乗半径(Rg2)を導出した。また、Debye Plotとは、縦軸をK・C/R(θ)、横軸をsin2(θ/2)としてプロットしたグラフであり、その際の縦軸の切片からMw(重量平均分子量)を算出し、傾きから慣性自乗半径Rg2を算出することができる。
但し、溶出時間ごとの各成分に対して上記のMw及びRg2が算出されるため、試料全体のMw、Rg2を得るためには、それぞれの平均値を更に算出する必要がある。
尚、後述する装置を用いて測定した場合には、装置から直接のアウトプットとして、試料全体の重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径(Rw)の値が得られる。
水系媒体中での製造方法としては、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等が挙げられる。本発明においては、磁性トナー粒子が、懸濁重合法で製造された場合、トナー粒子の構成材料の極性の違いが有効に活用され、本発明で規定する物性を満たしやすくなるため、特に好ましい。
以下、懸濁重合法について説明するが、これに限定されない。まず、重合性単量体、磁性体及び離型剤、並びに必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電均一性を推進するために有効な製造方法の1つである。
本発明の磁性トナーは、磁性体を含有する。磁性体は、疎水化処理された磁性体(以下、処理磁性体とも呼ぶ)であることが好ましい。処理磁性体は、未処理の磁性体の表面を後述する疎水化処理剤で処理して成るものである。
上記磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。また、磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2.0m2/g以上30.0m2/g以下であることが好ましく、3.0m2/g以上28.0m2/g以下であることがより好ましい。一方、磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
なお、磁性体の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、50質量部以上130質量部以下であることが好ましく、70質量部以上110質量部以下であることがより好ましい。
磁性体は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7.0以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯とな
る種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。混合液のpHを5.0以上10.0以下に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。この時、任意のpH、反応温度、及び攪拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5.0未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
上記処理磁性体を製造するために用いられる疎水化処理剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、シラン化合物が好ましい。シラン化合物による磁性体表面の処理は以下の方法が好適に例示できる。
シラン化合物により磁性体の表面を処理する方法としては、乾式法、水系湿式法、溶剤中での湿式法(以下、溶剤湿式法とも呼ぶ)の3種類がある。
乾式法にて表面処理をする場合は、洗浄、ろ過及び乾燥した磁性体にシラン化合物を投入し、気相中にて表面処理を行う。
水系湿式法にて表面処理を行う場合は、上記酸化反応終了後、乾燥させたものを、シラン化合物を含有する水系媒体中に再分散させるか、又は上記酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を乾燥せずに、シラン化合物を含有する水系媒体中に再分散させ、表面処理を行う。
溶剤湿式法にて表面処理を行う場合は、上記酸化反応終了後、乾燥させたものを溶剤中へ再分散し、分散液にシラン化合物を添加し、表面処理を行う。
RmSiYn (A)
[式中、Rはアルコキシル基を示し、mは1以上3以下の整数を示し、Yはアルキル基を示し、nは1以上3以下の整数を示す。但し、m+n=4である。]
上記アルコキシル基は炭素数1以上3以下であることが好ましく、炭素数1又は2であることがより好ましい。また、上記アルキル基は、炭素数2以上20以下であることが好ましく、炭素数2以上10以下であることがより好ましく、炭素数2以上6以下であることが更に好ましく、炭素数2以上4以下であることが特に好ましい。
一般式(A)で示されるアルキルアルコキシシランとしては、例えば、ジエチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシランを挙げることができる。
上記アルキルアルコキシシランの中でも、高い疎水性を磁性体に付与するという観点から、下記一般式(B)で示されるアルキルトリアルコキシシランがより好ましい。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 (B)
[式中、pは2以上20以下の整数を示し、qは1以上3以下の整数を示す。]
上記pは2以上10以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましい。
pを2以上20以下とすることにより、疎水性を維持しつつも、アルキルトリアルコキシシランの嵩高さを抑え、立体的な障害を抑制することができる。結果、疎水性と磁性体表面処理の均一性が両立できることから好ましい。pが2より小さいと、処理磁性体に疎水性を十分に付与することが出来ず、またpが20より大きいと疎水性は高くなるが、磁
性トナー中の処理磁性体の存在状態を制御するのが困難となる。
本発明において、pが2以上4以下である場合、アルキルアルコキシシランの嵩高さを特に抑えることができるため、上記表面処理の均一性をさらに高めることができ、トナー中での存在状態のばらつきを抑制することができる。
一方、上記qが3より大きいとアルキルトリアルコキシシランの反応性が低下して疎水化が十分に行われ難くなる。よって、qが1から3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランを使用することが好ましい。
上記アルキルアルコキシシランは、単独で使用する、或いは複数の種類を併用して使用することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのアルキルアルコキシシランを個別に用いて処理をしてもよいし、同時に処理をしてもよい。
なお、疎水化処理に用いられるシラン化合物の使用量は、未処理の磁性体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
一方、乾式法の場合、磁性体表面へのアルキルアルコキシシランの吸着性に劣り、処理状態の均一性も低い傾向にある。
また、アルキルアルコキシシランを加水分解すると末端がOH基になるため、未処理の磁性体表面に存在するOH基との親和性が高まる。それによりアルキルアルコキシシランが未処理の磁性体表面に吸着されやすくなるため、十分に表面を被覆出来、未処理部分が残り難くなる。
上述のようにアルキルアルコキシシランを加水分解したシラン化合物を用いると、疎水度が一定の磁性体が製造できるため、トナー間の磁性体分散性の均一化に加え、トナー内部のマグシェル化もより促進できる。その結果、長期間の画像出力においても、トナー帯電性の劣化がさらに起きにくく、かつ、高温高湿環境下の画像濃度をより高く維持することが可能となる。
上記アルキルアルコキシシランの加水分解は、例えば下記方法で行うことができる。
pHを4以上6以下に調整した水溶液にアルキルアルコキシシランを徐々に投入し、例えばディスパー翼などを用いて攪拌して均一に分散させ、所望の加水分解率となるように分散時間を調整し、加水分解を行う。高せん断を付与できる分散装置を用いた場合、アルキルアルコキシシランがエマルジョンを形成するためにアルキルアルコキシシランと水の接触面積が飛躍的に増加し、シロキサン率を低く維持した状態で加水分解率を増加させることができる。また、この時に加水分解時のpHを調整することも重要である。pHが高すぎる若しくは低すぎる場合、シラン化合物同士の縮合反応が進行してしまったり、加水分解がほとんど進行しなくなったりしてしまう。使用するアルキルアルコキシシランの種類によっては所望の加水分解率、シロキサン率に調整できるpH領域が異なるため、加水分解率、シロキサン率を測定しながら、適宜pHを調整する必要がある。このようにしてアルキルアルコキシシランを加水分解した水溶液を得る。
剤湿式法の3種類がある。いずれの方法を用いても、表面処理工程を経ることで、磁性体表面とシラン化合物は水素結合により吸着していると考えられる。従って、表面処理工程後、乾燥工程(以下、熱処理工程とも呼ぶ)を行い、脱水縮合反応を進めることが好ましい。当該熱処理工程において、シラン化合物の縮合とシラン化合物の磁性体表面への結合が起こる。従って、熱伝導を均一にし、シラン化合物の縮合、及び、シラン化合物の磁性体表面への結合状態を均一に進めることが好ましい。
この具体策として、第一に、熱処理工程の前に解砕工程を加え、熱処理前に被処理物を1次分散系に近づけることで、熱処理時に被処理物への熱伝導のムラを低減することが挙げられる。第二に、熱処理の初期は比較的低温度で熱処理(乾燥)を行い、水分を低減した後に、温度を高温にシフトし、シラン化合物の熱縮合と磁性体への結合を進めることが挙げられる。これらにより、磁性体表面のシラン化合物の縮合、及び磁性体間での表面処理状態を均一化、並びに、磁性体同士の凝集を抑制することが可能となる。結果、トナー粒子製造時に磁性体の微分散性を向上させることが可能となる。
上記解砕工程で用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝撃式粉砕機、ピンミル、ハンマーミル、メディアを用いたサンドミル、グレンミル、バスケットミル、ボールミル、サンドグラインダー、ビスコミルなどの解砕機が例示できる。
この理由については、以下のように考えている。乾式法又は溶剤湿式法では、反応系内に水が少量しか存在しないため、シラン化合物に含まれる親水基と水とで水素結合を形成しにくい。よって、水が存在する水系湿式法に比べ、シラン化合物と磁性体表面との水素結合率が高くなり、より均一で効率的な疎水化処理を行うことができる。
また、シラン化合物の親水基が水と水素結合を形成して水をトラップしたまま磁性体表面に吸着及び反応すると、親水基が未反応のまま処理磁性体表面に残る。トナー粒子製造時に磁性体の親水基が多く存在する場合、親水基は水と馴染みやすいため、磁性体の偏在にばらつきが生まれやすい。これにより強固なマグシェル化が進みにくい。事前に加水分解を行ったシラン化合物を用いた乾式法や溶剤湿式法はこうした水素結合に由来する不具合を防止でき、シラン化合物の均一被覆によるマグシェル化の更なる向上を達成できる。また、磁性体の微分散化が達成でき、結着樹脂との接触面積が増えるため、磁性体による強固なシェル層を構成する上で有利である。
一方、溶剤湿式法は、エタノールなどの溶剤中で未処理の磁性体を分散させながらシラン化合物水溶液を滴下させることでシラン化合物の加水分解物が表面に吸着した磁性体が得られる。その後、加熱によって縮合反応を進行させることで、疎水化処理した処理磁性体が得られる。
上記乾式法を用いた場合、磁性体同士が常に接触しており、処理磁性体が製造過程で特に凝集しやすい傾向がある。従って、上述のように熱処理工程前に解砕工程を加えること
で凝集を低減することが可能である。当該凝集状態を的確に把握するためには、上記表面処理されていない磁性体のBET比表面積(S1)に対する処理磁性体のBET比表面積(S2)の比を用いることが好ましい。そして、本発明においては、上記S1及びS2が下記(式2)を満たすことが好ましい。
S2/S1≧0.70 (式2)
磁性体のBET比表面積(S1)は疎水化処理前の磁性体のBET比表面積を表し、処理磁性体のBET比表面積(S2)は疎水化処理を行った後の状態、つまりトナー製造時に使用される状態の磁性体のBET比表面積を表す。
それらの比[S2/S1]が0.70以上であることは、磁性体の疎水化処理の際に凝集状態になった磁性体が少ないことを示している。これによりトナー製造時に磁性体が微分散状態となり、トナー粒子における磁性体の分散状態が良好になる。結果、耐久性のみでなく、帯電のばらつきを低減し、帯電不良のトナーを抑制できるため、カブリを抑制することができる。ここでいうカブリとは帯電を適切に制御できていないトナーが、本来は画像の存在しないメディアの非画像部分に存在することを意味する。また、本発明で好ましい分散状態にするためにはS1は5.0(m2/g)以上12.0(m2/g)以下が好ましく、より好ましくは6.0(m2/g)以上10.0(m2/g)以下が好ましい。
本発明においてはトナーの周波数1.0×104Hzにおける誘電正接(tanδ)を1.0×10−2以上2.5×10−2以下の範囲に制御することで、微分散化した磁性体による強固なマグシェル化により貢献することになるため、高温高湿環境下で放置後の耐久現像性が更に良化するため好ましい。特にtanδの制御には、磁性体の表面処理の均一化と共に、処理剤の種類の適宜選択を行うことが好ましい。
本発明では、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のサイズ排除クロマトグラ
フィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径(Rw)を特定の範囲に制御することが好ましい。
このため、例えば、本発明のトナーを懸濁重合法により製造する場合、重合性単量体の反応性を制御することで結着樹脂の上記重量平均分子量(Mw)と平均回転半径(Rw)を所望の範囲にすることが可能になる。
具体的には、結着樹脂に分岐構造を持たせるために、重合中に水素引き抜き反応等を起こさせ、これにより分岐させる等の手段がある。
水素引き抜き反応を起こさせるためには、重合中にラジカル濃度を急激に上げる等の手段により達成する事が可能である。これらの手段として、例えば重合中に重合温度よりも10℃以上、より好ましくは15℃以上半減期温度の低い重合開始剤を追加添加する、あるいは、高い重合温度で酸化−還元反応(レドックス反応)を行う等が挙げられる。通常、酸化−還元反応は重合温度を下げ、穏やかな条件で重合を進める事が出来るというメリットがあるが、高い温度で酸化−還元反応を行う事により重合が激しく進み、水素引き抜き反応が活発に起こるようになる。
ラジカル濃度を急激に上げて、樹脂の分岐度を任意に制御するためには、酸化−還元反応を行うタイミング、及び、重合開始剤の追加添加量やタイミングを変えること、が有効である。具体的には、重合性単量体の転化率が30%以上70%以下の時点で、酸化−還元反応を行う、あるいは、重合開始剤を追加添加することが好ましい。更に好ましくは転化率が30%以上70%以下の時点で2度目の重合開始剤を追加添加することであり、これにより結着樹脂の分岐度を詳細に制御できる。
このように重合開始剤の種類と量の選択とそれに応じた反応温度の適宜選択、更に酸化−還元反応や重合開始剤の追加添加により、重合初期の反応性を制御することで特に平均回転半径(Rw)に関連する分子鎖長を調整することができる。
本発明において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上20.0時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下である事が好ましい。更に好ましくは2.0質量部以上15.0質量部以下であることが本発明の重量平均分子量(Mw)に制御するためには好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ジ(セカンダリー)ブチルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
また、架橋剤を用いることも可能であるが、当該架橋剤としては、重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物が単独もしくは混合物として用いられる。
エチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体、エステルワックスなどである。ここで、誘導体とは酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。また、エステルワックスとしては1官能エステルワックス、2官能エステルワックスをはじめ、4官能や6官能等の多官能エステルワックスを用いる事が出来る。また、これらの離型剤は2種以上を併用することも可能である。
離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下を含有することが好ましい。より好ましくは、2質量部以上30質量部以下である。
本発明においては、離型剤の融点は50℃以上80℃以下であることが好ましい。離型剤の融点が50℃以上80℃以下であると、保存性を保ちつつ、定着時の温度に対して十分に低温度領域での樹脂への可塑効果を得ることができるため、マグシェル状態の緩和効果も大きく、更に低温定着性が良化するため好ましい。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
上記分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤及び無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.20質量部以上20.00質量部以下の量を用いる事が好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、重合性単量体100質量部に対して、0.0001質量部以上0.1000質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
さらに、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、後述するような無機微粉体を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
荷電制御剤をトナー粒子内部に添加する方法として、懸濁重合法によりトナーの製造を
行う場合では、造粒前に重合性単量体組成物中に荷電制御剤を添加する方法が一般的である。また、水中で油液滴を形成し重合を行っている最中、又は重合後に荷電制御剤を溶解、懸濁させた重合性単量体を加えることによりシード重合を行い、トナー表面を均一に覆うことも可能である。また、荷電制御剤として有機金属化合物を用いる場合は、トナー粒子にこれら化合物を添加し、シェアをかけ混合・攪拌することにより導入することも可能である。
これらの荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではない。しかし、トナー粒子に内部添加する場合、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で用いられる。また、トナー粒子に外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005質量部以上1.000質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.30質量部以下である。
シェル層を形成する高分子量体としては、特に非晶質ポリエステル樹脂が上記効果を大きく発現されられることから好ましい。
上記非晶質ポリエステル樹脂は、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
また、高分子量体の数平均分子量(Mn)は2500以上20000以下が好ましく用いられる。
ここで、本発明においては、非晶質ポリエステル樹脂によるシェル層の遮蔽効果は、マグシェルの遮蔽性に対し小さく、また、シェル層の緩和効果が無いため、降伏値Aから降伏値Bへの降伏値の変化に対しても効果は小さいと考えられる。
当該無機微粉体の個数平均1次粒径(D1)は、4nm以上80nm以下であることが好ましく、より好ましくは6nm以上40nm以下である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理することよってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
なお、無機微粉体の使用量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上
10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
<トナーの応力緩和測定>
測定装置としては、回転平板型レオメーター ARES(商品名、TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
測定試料は、磁性トナーを25℃で成型器により加圧成型した縦15mm±2mm、横10mm±1mm、厚さ2.5mm±0.3mmの板状の試料を用いる。
当該板状の試料を、上記装置のTortion Rectangularに装着し、初期のノーマルフォースが0になるようにセットし、測定を開始する。
測定は、以下の条件で行う。
(1)印加歪初期値(Strain)を0.1%、Points Per Zone=200、Zone Time=100に設定する。
(2)測定モード(Sample Geometry)を以下の条件に設定する。
Geometry: Tortion Rectangular Geometry
(3)測定条件(Test Setup)を以下の設定にする。
Test Setup:Stress Relaxation Test(応力緩和測定モード)
Test Type:Strain−controlled(歪み制御)
Measurement Type:Transient
トナーの降伏値A及びBは、時間−温度換算則に基づいて作成されたマスターカーブを用いて計算した。具体的には、まず25℃以上80℃以下の範囲において、5℃間隔で貯蔵弾性率G’を測定し、応力緩和曲線を得る。得られた応力緩和曲線を、25℃を基準温度とし、以下の方法によりマスターカーブを作成した。
解析ソフト(TA Orcehstrator)上でデータ選択画面(Select Data to Shift)を開き、25℃から80℃のデータを選択し、基準温度を選択する(Reference Experiment Set)。その後、マスターカーブを描く(Create TTS、TTS Overlay Curve、Shift
All Data Sets)。得られたマスターカーブから、変曲点を求め、そのときの値を降伏値(秒)として得る。
尚、降伏値Aの測定はまず上記のように25℃から80℃まで5℃ずつ昇温し、応力緩和曲線を得た。それぞれの温度において得られた応力緩和曲線から、25℃を基準としたマスターカーブを作成した。そして、そのマスターカーブから磁性トナーの降伏値Aを求めた。
一方、降伏値Bの測定は、降伏値Aにおける80℃での測定後、測定雰囲気を80℃から25℃まで冷却し、降伏値A測定時と同様に25℃から80℃まで5℃ずつ昇温し、応力緩和曲線を得た。それぞれの温度において得られた応力緩和曲線から、25℃を基準としたマスターカーブを作成した。そして、そのマスターカーブから磁性トナーの降伏値Bを求めた。
磁性トナー0.03gをテトラヒドロフラン(THF)10mlに分散し溶解後、温度25℃で24時間、振とう機を用い、振とうした後にし、0.2μmフィルターで濾過し
て、トナーのTHF可溶分を、その濾液として得る。当該濾液を試料として用い、下記分析条件で測定する。
[分析条件]
分離カラム :TSK gel GMHHR−H(20) HT×2(東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
移動相溶媒 :テトラヒドロフラン
移動相流速 :1.0ml/min.
試料濃度 :0.3%
注入量 :300μl
検出器1 :多角度光散乱検出器(Wyatt DAWN EOS:Wyatt社製)
検出器2 :示差屈折率検出器(Shodex RI−71:昭和電工株式会社製)
得られた測定結果を解析ソフトASTRA for Windows(登録商標)4.73.04 (Wyatt Technology Corp.)で解析し、重量平均分子量(Mw)と平均回転半径(Rw)を求めた。
磁性トナーを1g秤量し、20kPaの荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1.5±0.5mmの円盤状の測定試料に成型する。
この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(TA Instruments社製)に装着する。測定温度25℃にて250g/cm2の荷重をかけた状態で、4284AプレシジョンLCRメータ(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、周波数10000(Hz)における複素誘電率の測定値より誘電正接(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
離型剤の融点(吸熱ピークトップ温度)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、離型剤約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃から200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃から200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度を融点とする。
BET比表面積の測定は、脱ガス装置バキュプレップ061(マイクロメソティック社製)、BET測定装置ジェミニ2375(マイクロメソティック社製)を用いて行う。本発明におけるBET比表面積は、多点法BET比表面積の値である。具体的には、以下のような手順で行う。
空のサンプルセルの質量を測定した後、磁性体を2.0g秤量して充填する。さらに、脱ガス装置に、試料が充填されたサンプルセルをセットし、室温で12時間脱ガスを行う。脱ガス終了後、サンプルセル全体の質量を測定し、空サンプルセルとの差から試料の正確な質量を算出する。次に、BET測定装置のバランスポートおよび分析ポートに空のサンプルセルをセットする。所定の位置に液体窒素の入ったデュワー瓶をセットし、飽和蒸気圧(P0)測定コマンドにより、P0を測定する。P0測定終了後、分析ポートに脱ガス調製されたサンプルセルをセットし、サンプル質量およびP0を入力後、BET測定コマンドにより測定を開始する。後は自動でBET比表面積が算出される。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)の測定には、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。また、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。 この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れる。この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
シラン化合物の加水分解率について述べる。アルコキシシランに加水分解処理を施すと、加水分解物と未加水分解物及び縮合物により構成される混合物が得られる。下記に述べ
るのは、得られる混合物中における加水分解物の比率である。この混合物は上述したシラン化合物に該当するものである。
まず、アルコキシシランの加水分解反応に関して、メトキシシランを例に取って説明する。メトキシシランが加水分解すると、メトキシ基がヒドロキシル基になると共にメタノールが生成する。したがって、メトキシ基とメタノールの量比から加水分解の進行度を知ることが出来る。本発明では、1H−NMR(核磁気共鳴)によって上記量比を測定し、加水分解率を求めた。模式的な図を<図2>に示す。なお、図2において、Aはアルコキシ基のアルキル部分由来のピーク、Bはアルキルアルコールのアルキル部分由来ピーク、Cはアルキルアルコキシシランのアルキル基由来ピークを示す。メトキシシランを例として、具体的な測定及び計算手法を下記に示す。
まず、加水分解処理を施す前のメトキシシランの1H−NMR(核磁気共鳴)を重クロロホルムを用いて測定し、メトキシ基由来のピーク位置を確認した。その後、メトキシシランに対して加水分解処理を施してシラン化合物とし、未処理の磁性体に対して加える直前のシラン化合物水溶液をpH7.0、温度10℃にすることで加水分解反応を停止させた。得られた水溶液の水分を除去してシラン化合物の乾固物を得た。この乾固物に重クロロホルムを少量添加して1H−NMRを測定した。得られたスペクトルにおけるメトキシ基由来のピークは、予め確認したピーク位置を元に決定した。メトキシ基由来のピーク面積をAとし、メタノールのメチル基由来のピーク面積をBとして加水分解率を下式で求めた。
加水分解率(%)=B/(A+B)×100
なお、1H−NMRの測定条件は下記のように設定した。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :1024回
測定温度 :40℃
懸濁重合法における重合転化率は、残留スチレンモノマーの定量により算出する。すなわち、添加したスチレンモノマー中の全量が下記測定においてすべて検出された時を重合転化率0%とし、重合反応が進行することでスチレンモノマーがトナー中から検出されなくなった時を重合転化率100%とした。
トナー中の残留スチレンモノマーの定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
トナー500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予めスチレンを用いて作成した検量線により、残留スチレンモノマーの残存量を算出する。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC : HP社 6890GC
カラム : HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス : He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン : (1)50℃で10分ホールド
(2)10℃/分で200℃まで昇温
(3)200℃で5分ホールド
注入口 : 200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、unti
l0.5分)
スプリット比 : 5.0:1.0
検出器 : 250℃(FID)
<未処理磁性体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0当量以上1.1当量以下の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対してケイ素元素換算で1.5質量%のケイ酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
得られた水溶液をpH9.0に維持しながら、空気を吹き込み、80℃以上90℃以下で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH8.0に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーをろ過と洗浄を行った後、解砕、乾燥を行い、未処理磁性体1を得た。得られた未処理磁性体1のBET比表面積は、7.1m2/gであった。
イソブチルトリメトキシシラン10質量部をイオン交換水80質量部に対して攪拌しながら滴下した。その後、得られた水溶液をpH5.5、温度50℃に保持し、ディスパー翼を用いて0.46m/sで60分間分散させて加水分解を行い、加水分解物を含有する水溶液であるシラン化合物1を得た。このシラン化合物1の物性を測定したところ、加水分解率は90%であった。得られたシラン化合物1の物性を表1に示す。
表1に記載するアルキルアルコキシシランを用い、加水分解率が所望の値となるよう、加水分解時間、温度を調整したこと以外はシラン化合物1の製造と同様にして、シラン化合物2乃至4を得た。得られたシラン化合物2乃至4の物性を表1に示す。
表1に記載するアルキルアルコキシシランを用い、加水分解を行わなかった。得られたシラン化合物5の物性を表1に示す。
100質量部の未処理磁性体1をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株):FM−10C)に入れ、周速34.5m/sで分散しながら、シラン化合物1を4.5質量部噴霧して加えた。そのまま10分間分散させた後、シラン化合物1が吸着した磁性体を取り出し、ピンミルで解砕後、70℃で1時間、更に150℃で3時間静置して、処理磁性体を乾燥すると共にシラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、目開き100μmの篩
を通過した体積平均粒径が0.24μmの処理磁性体1を得た。この処理磁性体1のBET比表面積を測定した所5.8m2/gであった。得られた処理磁性体1の物性を表2に示す。
処理磁性体1の製造において、シラン化合物、シラン化合物の添加量、熱処理前の解砕、熱処理温度の段階調整を表2に記載したように変更すること以外は処理磁性体1の製造と同様にして、処理磁性体2乃至4及び9を得た。得られた処理磁性体2乃至4及び9の物性を表2に示す。
処理磁性体1の製造において、シラン化合物3に変更し、1.0質量部添加して10分間分散させる工程を4回行い、計4.0質量部加えたこと以外は処理磁性体1と同様にして処理磁性体5を製造した。得られた処理磁性体5の物性を表2に示す。
100質量部の未処理磁性体1をエタノール95%溶液中にリスラリーした。その後、撹拌しながらシラン化合物1を未処理磁性体1 100質量部に対し4.5質量部添加した。その後撹拌を10時間続け、表面処理を行った。得られた処理磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に50℃で3時間予備乾燥を行い、更に70℃で1時間、150℃で3時間乾燥した。得られた処理磁性体粒子を解砕処理して、目開き100μmの篩を通過した体積平均粒径が0.24μmの処理磁性体6を得た。得られた処理磁性体6の物性を表2に示す。
未処理磁性体1を水中にリスラリーした。次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH8.0に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。そして、撹拌しながらシラン化合物1を磁性酸化鉄100質量部に対し3質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加した。攪拌を十分行うと共にスラリーを循環させながらピンミルにて分散を行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を10時間行った。磁性体の疎水性を更に高めるため、さらにシラン化合物1を磁性酸化鉄100質量部に対し1.5質量部添加し分散液のpHを8.6にして更に10時間表面処理を行った。
生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に50℃で3時間予備乾燥を行い、更に70℃で1時間、150℃で3時間乾燥した。得られた処理磁性体粒子を解砕処理して、目開き100μmの篩を通過した体積平均粒径が0.24μmの処理磁性体7を得た。得られた処理磁性体7の物性を表2に示す。
処理磁性体1の製造において、シラン化合物3に変更し、2.0質量部添加して10分間分散させる工程を2回行い、計4.0質量部加えたこと以外は処理磁性体1と同様にして処理磁性体8を製造した。得られた処理磁性体8の物性を表2に示す。
比較用磁性体1として未処理磁性体1を用いた。比較用磁性体1の物性を表2に示す。
処理磁性体1の製造において、シラン化合物5に変更し、熱処理前解砕を無くし、熱処理工程を1段で行ったこと以外は処理磁性体1の製造と同様にして、比較用磁性体2を製
造した。得られた比較用磁性体2の物性を表2に示す。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0当量以上1.1当量以下の苛性ソーダ溶液(鉄元素に対しリン元素換算で1質量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有)を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
得られた水溶液をpH9.0に維持しながら、空気を吹き込み、80℃以上90℃以下で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9当量以上1.2当量以下となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8.0に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進める。酸化反応の終期にpHを約6
に調整し、シランカップリング剤として、n−C4H9Si(OCH3)3及びn−C8H17Si(OC2H5)3を磁性酸化鉄100質量部に対しそれぞれ0.6質量部、0.9質量部添加し、十分に撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理し、比較用磁性体3を得た。上記のように、この比較用磁性体3は水溶液中で磁性体を作製し、且つ、シラン化合物による処理を行っているため、S1及びS2の測定は行わなかった。
シランカップリング剤としてn−C4H9Si(OCH3)3を磁性酸化鉄100質量部に対し0.6質量部添加したこと以外は比較用磁性体3と同様の方法で、比較用磁性体4を得た。上記のように、この比較用磁性体4は水溶液中で磁性体を作製し、且つ、シラン化合物による処理を行っているため、S1及びS2の測定は行わなかった。
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液451質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 0.5質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0質量部
・処理磁性体1 90.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド2.0モル付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂;数平均分子量(Mn)が5000、酸価が12mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)が68℃)
上記成分をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。この重合性単量体組成物を60℃に加温し、そこにベヘン酸ベヘニルワックス(融点:73℃)15.0質量部を混合溶解した後、重合開始剤t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート5質量部を溶解させた。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて18.8m/sで10分間撹拌し、造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌し、温度70℃(重合開始剤の10時間半減期温度より17℃高い温度)にて反応工程を行った。
次に重合転化率が50%の時点で重合開始剤t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート1質量部を追加で添加し、更に重合転化率が70%の時点で0.5部追加添加し、反応時間300分の時点で反応工程を終了した。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散安定剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して磁性トナー粒子1を得た。
磁性トナー粒子1を100質量部と、個数平均一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後に、シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合した。その結果、重量平均粒径(D4)が7.5μmの磁性トナー1を得た。得られた磁性トナーを分析したところ、スチレン−アクリル酸樹脂により構成される結着樹脂100質量部を含有していた。磁性トナー1の物性を表4に示す。
磁性トナー1の製造において、離型剤の種類、処理磁性体の種類、重合開始剤の種類及び添加量を表3及び表4の通りに変更したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー2乃至15、及び比較用磁性トナー2及び3を得た。これらの磁性トナーを分析したところ、スチレン−アクリル酸樹脂により構成される結着樹脂100質量部を含有していた。得られた磁性トナー2乃至15、及び比較用磁性トナー2及び3の物性を表4に示す。
・スチレン/2−エチルへキシルアクリレート共重合体 100.0質量部
(質量比88/12)
・比較用磁性体1(未処理磁性体1) 90.0質量部
・T−77(保土ヶ谷化学社製) 2.0質量部
・離型剤1 3.0質量部
上記の原材料をヘンシェルミキサーで3分間混合した後、150℃に加熱された二軸エクストルーダーPCM−30で溶融混練し、冷却ベルト(冷却水15℃)により冷却後、混合物をハンマーミルで粗粉砕した。この粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級して比較用磁性トナー粒子1を得た。
比較用磁性トナー粒子1を100質量部と、個数平均一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後に、シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合した。その結果、重量平均粒径(D4)が7.5μmの比較用磁性トナー1を得た。得られた比較用磁性トナー1の物性を表4に示す。
イオン交換水709.0質量部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液451.0部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/リットル−CaCl2水溶液67.7質量部を徐々に添加してCa3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
一方、下記の処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
・スチレン 74.0質量部
・n−ブチルアクリレート 26.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂 3.0質量部
(モノマー構成:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/イソフタル酸、酸価:12mgKOH/g、Tg:69℃、Mn:4200、Mw:11000)
・負荷電性制御剤 2.0質量部
(T−77:モノアゾ染料系のFe化合物(保土ヶ谷化学工業社製))
・比較用磁性体3 90.0質量部
尚、比較用磁性体3に関しては、他の材料と混合する前に前処理としてボールミルによる解砕を行った。また、分散混合時には、重合単量体質量E(kg)に対する比較用磁性体3の平均投入速度C(kg/s)の割合C/Eの値を平均2.7×10−4に制御した。
これらの混合物を60℃に加温し、そこに炭化水素ワックス(C105(サゾール社製)、DSC吸熱メインピーク温度:105℃)10.0質量部を混合溶解し、これに重合開始剤としてブチルパーオキサイド2.0質量部を溶解して重合性単量体組成物を得た。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてクレアミックス(エム・テクニック社製)にて12,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で1時間反応させた。その後液温を80℃とし更に10時間撹拌を続けた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、濾過、水洗、乾燥して比較用磁性トナー粒子4を得た。
この比較用磁性トナー粒子4 100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで処理した後、更にシリコーンオイルで処理した処理後のBET比表面積が140m2/gの疎水性シリカ微粉体1.2質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、比較用磁性トナー4(重量平均粒径6.5μm)を得た。得られた比較用磁性トナー4の物性を表4に示す。
イオン交換水709質量部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液451質量部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/リットル−CaCl2水溶液67.7質量部を徐々に添加してCa3(PO4)2を含むpH=8.5の水系媒体を得た。
一方、下記の処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、酸価=8mgKOH/g、Mn=6000、Mw=10000、Tg=65℃)
・負荷電性制御剤 2.0質量部
(T−77;モノアゾ染料系のFe化合物(保土ヶ谷化学工業社製))
・比較用磁性体4 80.0質量部
(カップリング剤0.48質量部を含む)
・極性化合物 0.1質量部
この比較用磁性トナー粒子5 100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した、処理後のBET比表面積が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.4質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、比較用磁性トナー5(重量平均粒径5.4μm)を調製した。得られた比較用磁性トナー5の物性を表4に示す。
磁性トナー1を用いて以下の評価を行った。
本発明では例えば倉庫での保管などの、通常よりも過酷な環境下に長時間放置された場合の劣化を促進したトナーを想定し、過酷な環境下に放置後の評価を行った。
以下のドット再現性、画像濃度、カブリ、低温定着性の評価には磁性トナー1を温度45℃、湿度90%の高温高湿下で7日間放置したものを用いた。
キヤノン製レーザービームプリンタ:LBP−3410を使用し、プロセススピードを210mm/secから315mm/secとなるように改造した。評価環境は温度32.5℃、湿度85%の高温高湿下で画像評価を行った。なお、ドット再現性評価は初期、耐久後の評価を行った。
初期評価は1枚目の画像で評価を行い、耐久後の画像評価は後述する耐久画像濃度の評価した後、さらに1日放置後の帯電に不利な条件下で行った。
ドット再現性に関する画像評価には、図1に示す80μm×50μmのチェッカー模様を用いて画出し試験を行い、顕微鏡により黒色部の欠損の有無を観察し、評価した。
尚、比較のため、温度45℃、湿度90%の高温高湿下での7日間放置を行っていない磁性トナーを用いた初期評価も行った。
(評価基準)
A:欠損2個以下/100個
B:欠損3〜5個/100個
C:欠損6〜10個/100個
D:欠損11個以上/100個
キヤノン製レーザービームプリンタ:LBP−3410を使用し、プロセススピードを210mm/secから315mm/secとなるように改造した。評価環境は温度32.5℃、湿度85%の高温高湿下で画像評価を行った。評価は印字率が4%の横線を連続モードで6000枚画出しした後のベタ黒濃度を耐久画像濃度とした。また、初期画像濃度の評価としてドット再現性評価用の画像を出力後の2枚目のベタ黒画像を評価した。
尚、比較のため、温度45℃、湿度90%の高温高湿下で放置を行わなかったものも初期画像濃度の評価をした。画像濃度については、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、以下の基準で評価した。
A:画像濃度が1.45以上
B:画像濃度が1.35以上1.45未満
C:画像濃度が1.25以上1.35未満
D:画像濃度が1.25未満
市販のレーザービームプリンタLBP3410(キヤノン社製)を使用し、画像評価を行った。評価は印字率が4%の横線を連続モードで6000枚画出しした後、低温低湿環境(15.0℃、10%RH)へマシンごと移動し、1日放置した後にベタ白画像を出力し、評価を行った。
カブリの測定については、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して、標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。なお、カブリは得られたカブリ値の最大値を用いて以下の判断基準に従って評価した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
A:カブリ(反射率)が1.0%以下
B:カブリ(反射率)が1.0超から1.5%以下
C:カブリ(反射率)が1.5超から2.0%以下
D:カブリ(反射率)が2.0%超
キヤノン社製レーザービームプリンタ:LBP3410の、定着装置の定着温度を任意
に設定できるようにした。常温常湿(23℃、60%RH)環境下でFOX RIVERBOND紙に画像濃度が0.75以上0.80以下となるようにハーフトーン画像を形成し、定着器の温度を140℃から5℃ずつ上昇させて画像を定着させた。その後、55g/cm2の加重をかけたシルボン紙で定着画像を10回摺擦し、摺擦後の定着画像の濃度低下率が15%となる温度を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
(評価基準)
A:定着開始温度が140℃以上150℃未満
B:定着開始温度が150℃以上160℃未満
C:定着開始温度が160℃以上170℃未満
D:定着開始温度が170℃以上
磁性トナー1は上記評価において、全ての評価項目において良好な結果であった。
実施例1と同様の評価を磁性トナー2乃至磁性トナー15に対し行い、結果を表5にまとめた。
実施例1と同様の評価を比較用磁性トナー1乃至5に対し行い、結果を表5にまとめた。
Claims (5)
- 結着樹脂、磁性体及び離型剤を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有する磁性トナーであって、
前記磁性トナーは、回転平板型レオメーターを用いた応力緩和測定において、25℃での降伏値Aが3×106(秒)以上であり、80℃に加熱後25℃まで冷却された前記磁性トナーの、25℃での降伏値Bが1×105(秒)以下であり、
前記磁性トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の、サイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)及び平均回転半径(Rw)に関し、
i)重量平均分子量(Mw)が5000以上25000以下であり、
ii)前記重量平均分子量(Mw)及び前記平均回転半径(Rw)が下記(式1)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
1.0×10−3≦Rw/Mw≦1.0×10−2 (式1) - 前記磁性トナーの周波数1.0×104Hzにおける誘電正接(tanδ)は、1.0×10−2以上2.5×10−2以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記磁性体は、アルキルアルコキシシランの加水分解物であるシラン化合物による表面処理磁性体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記アルキルアルコキシシランは、炭素数2以上6以下のアルキル基を有することを特徴とする請求項3に記載の磁性トナー。
- 前記表面処理される前の磁性体のBET比表面積(S1)と前記処理磁性体のBET比表面積(S2)が下記(式2)を満たすことを特徴とする、請求項3又は4に記載の磁性トナー。
S2/S1≧0.70 (式2)
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