JP6878132B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進むと共に、更なる高速化、高画質化、高安定化が求められている。
電子写真法においては、静電潜像担持体(以下、感光体ともいう)を帯電手段により帯電する帯電工程、帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程を経る。
次いで、トナー像を、中間転写体を介して又は介さずに記録材へ転写する転写工程、トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を経て画像として出力される。
近年の高画質化、さらに省エネルギー化に対応するためには、各工程の最適化が重要となる。その中でも特に画質に対しては、静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程が重要となり、省エネルギー化に対しては、低温で十分な定着を行うことが重要となる。
この低温定着性の改善手段として、トナーの結着樹脂に迅速に相溶し、トナーの溶融変形を促す結晶性ポリエステルをトナーに使用し、さらにトナーの粘弾特性を制御することが、近年、幅広く検討されている(特許文献1〜4参照)。
低温定着性に効果の高い結晶性ポリエステルは、その融点付近において、結着樹脂に相溶しやすいという特性を持ち、定着時に、トナーが迅速に溶融変形しやすくなる。このため、結晶性ポリエステルを用いることで、トナーの低温定着性は向上する。また、ワックスを併用することで、定着器に対する離型性能をトナーに付与することができ、さらなる低温定着性の向上も期待できる。
しかし、結晶性ポリエステルは、結着樹脂に相溶し易いという特性を持つがために、トナーの表面に結晶性ポリエステルが存在しやすくなり、トナーの帯電安定性の低下を招きやすい。特に、トナーを輸送する際など、高温の苛酷環境で保管されることにより、結着樹脂に相溶している結晶性ポリエステルがトナー表面に染み出しやすくなる。
その結果、トナーの表面組成が変動しやすく、例えば、カブリなどの性能が大幅に低下してしまう。特に、常温から50℃付近での貯蔵弾性率が比較的低い場合には、トナーの自重により、トナー表面のシリカ微粒子などの外添剤が埋め込まれることで流動性が低下しやすく、トナーの帯電性が不均一となり、このカブリの発生が一層顕在化しやすい。
この問題に対し、結晶性ポリエステルの結着樹脂への相溶量を減らす検討がされている。相溶量を減らすとは、即ち、結晶性ポリエステルの結晶化度が高い状態を達成することを意味する。特に、結晶性ポリエステルを結晶化させる狙いを有するトナーの製造方法に関し、既に検討がされている。特許文献5では、冷却速度を制御することにより、結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させている。また、特許文献6では、冷却中にアニール処理工程を設け、結晶化度を向上させている。
特開2013−137420号公報 特許第4192717号公報 特許第4155108号公報 特許第5672095号公報 特開2010−145550号公報 特開2014−211632号公報
しかし、上記特許文献については、低温定着性と後述する濃度ムラの両立だけでなく、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが存在することによる帯電安定性の低下や、様々な物流などを想定した際の、苛酷環境に対する耐性という観点では、改良の余地がある。また、更なる高画質化を求める観点で定着工程に着目してみると、使用目的及び使用環境の多様化に伴い顕在化した課題として、高温高湿環境下における高印字率画像の後端オフセットの発生という問題がある。
一般的に、定着工程においては、トナーによる未定着画像が形成された紙が定着器を通過する際(特に通過する部分を以下、定着ニップと呼ぶ)、熱と圧力が与えられることにより、紙に対してトナーが定着される。
低印字率画像より、高印字率画像でオフセットが発生しやすい理由は、トナー層に与えられる熱量に起因するものと思われる。高印字率画像になるほど、定着器からの熱量がより多くのトナーに分散されるために、溶融が不十分なトナーが多くなり、定着不良が起きやすい状態となる。
さらに、画像の後端になるほど、定着ニップ部から与えられる熱量が小さくなる傾向があるため、画像の後端は定着性が不利になりやすい。
特に、上記オフセット現象は、高温高湿環境下に放置された紙で顕著になる傾向がある。高温高湿環境下に放置されて水分を多く含んだ紙が定着器を通過する際に、定着ニップ部で定着器からの熱により、紙から水蒸気が発生する。オフセット現象は、この水蒸気によって紙の上のトナー層が定着フィルム側に押しつけられることにより発生すると推測している。
すなわち、高印字率画像の後端で定着不良が起きやすい状態で、高温高湿環境下に放置された紙を使用すると、該オフセット現象が発生しやすい。
また、従来からトナーの定着性改善のために軟化温度を低く設計するなどの改良がおこなわれてきた。しかしながら、そのような設計の場合、熱が十分に付与された部分の熱溶融性は向上するものの、高印字率画像の後端など、与えられる熱量が十分でない場合には、トナーの溶融スピードが追い付かず、高印字率画像の後端オフセットの発生を抑制することが困難であった。
一方、トナーの粘弾特性において、低温定着性を向上させるために、例えば、ある温度範囲のみにおいて、又は、低温から高温まで広範囲において、貯蔵弾性率又は損失弾性率を低下させると新たな課題が発生することがある。
すなわち、定着ニップにトナーが突入する前後において、トナーが溶融し、紙に対して、溶け広がりすぎる場合がある。この際、特に表面の凹凸が大きな紙を用いた場合、定着器からの熱を受けやすい凸部のトナーが優先的に溶け広がることで、凹部に対して、凸部の見た目や見かけの濃度が異なる。その結果、濃度ムラが目立つ画像となる。この現象は、特に濃淡が目立ちやすい中間調(以下、ハーフトーンともいう)領域で起こりやすい。以上の通り、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制され、かつ、ハーフトーン画像における濃度ムラが抑制され、さらに苛酷環境に対する耐性を持つトナーが求められている。
本発明は、上記課題を解決したトナーを提供する。
具体的には、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生を抑制することが可能なトナーを提供する。
また、ハーフトーン画像を出力しても濃度ムラを抑制することが可能なトナーを提供する。
さらに、高温の苛酷環境下に放置された後でも、カブリの発生を抑制することが可能なトナーを提供する。
本発明は、
結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結晶性ポリエステルの融点P(t)が、65.0℃以上80.0℃以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定において得られる貯蔵弾性率G′について、
50℃でのG′をG′(50)、
80℃でのG′をG′(80)、
120℃でのG′をG′(120)、及び、
該結晶性ポリエステルの融点P(t)でのG′をG′(t)としたとき、以下の式(1)〜式(3)の全てを満足し、
4.2×10Pa≦G′(50) (1)
3.0×10≦G′(50)/G′(80) (2)
G′(t)/G′(120)≦7.0×10 (3)
走査透過型電子顕微鏡による該トナー粒子の断面観察において、該トナー粒子の断面に、該結晶性ポリエステルが該ワックスを被覆した形のドメインが存在する
ことを特徴とするトナーである。
本発明のトナーは、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制された高品位な画像を得ることができる。また、ハーフトーン画像を出力した場合でも濃度ムラの目立たない高品位な画像を得ることができる。さらに、高温の苛酷環境下に放置された後でも、カブリの発生が抑制された高品位な画像を得ることができる。
画像形成装置の一例を示す模式的断面図 結晶性ポリエステルのドメイン形状を示す模式図 磁性体と結晶性ポリエステルのドメインの存在状態を示す模式図の一例 磁性体と結晶性ポリエステルのドメインの存在状態を示す模式図の一例 (a)撹拌装置を循環経路の中に組み込んだシステム図、(b)撹拌装置の本体側面図 (a)撹拌装置の本体断面図、(b)撹拌装置の本体断面図、(c)撹拌装置の回転子の斜視図、(d)撹拌装置の固定子の斜視図
以下、本発明を詳細に説明するが、これら説明に限定されるわけではない。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、
結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結晶性ポリエステルの融点P(t)が、65.0℃以上80.0℃以下であり、
該トナーの動的粘弾性測定において得られる貯蔵弾性率G′について、
50℃でのG′をG′(50)、
80℃でのG′をG′(80)、
120℃でのG′をG′(120)、及び、
該結晶性ポリエステルの融点P(t)でのG′をG′(t)としたとき、
以下の式(1)〜式(3)の全てを満足することを特徴とする。
4.2×10Pa≦G′(50) (1)
3.0×10≦G′(50)/G′(80) (2)
G′(t)/G′(120)≦7.0×10 (3)
本発明において、画像の後端に発生するオフセット(以下、単に後端オフセットともい
う)は、高温高湿環境下における高印字率画像において顕在化する。また、画像の後端で発生しやすい。
低印字率画像より、高印字率画像で該オフセットが発生しやすい理由は、上述したように、トナー層に与えられる熱量に起因するものと推測している。
高印字率画像になるほど、定着器からの熱量がより多くのトナーに分散されるために、溶融が不十分なトナーが多くなり、定着不良が起きやすい状態となる。また、画像の後端になるほど、定着ニップ部から与えられる熱量が小さくなりやすい。すなわち、画像の後端は定着性が不利になりやすく、後端オフセットが発生しやすい。
また、定着器に水分を多く含んだ紙を通紙した場合、定着ニップ部で定着器からの熱により、水蒸気が発生する。トナーの定着性が十分な場合は、トナー粒子同士が結着するとともに紙の繊維に対して定着するために、高印字率の画像を出力しても良好な画像が得られる。一方、紙上のトナーの定着性が不十分であると、この水蒸気によってトナーが紙から定着フィルム側に押しつけられることになる。その結果、高印字率画像を出力した場合、点々と白く抜けた、ポツ抜け(small white dots on solid
black image)画像になりやすい。
すなわち、高印字率画像の後端オフセットが発生しやすい状態で、高温高湿環境に放置されたような、水分を多く含む紙を使用すると、画像の後端にポツ抜け部分が発生する。また、表面の凹凸が大きい紙ほど、後端オフセットの発生が顕著になることがわかってきた。さらに、画像後端のポツ抜け部分を顕微鏡で観察した結果、紙の凹部を中心にポツ抜けが起きやすいことがわかった。これはおそらく、紙の凸部に比較して、凹部が定着器からの熱を受けにくく、トナーの定着性にも不利になりやすいためだと考えられる。
一方、ハーフトーン画像を出力したときに目立つ濃度ムラも、表面の凹凸が大きい紙ほど目立ちやすい。
紙の凸部は、凹部よりも定着器からの熱を受けやすいと考えられる。例えば、凹部を中心に起こりやすい後端オフセットの発生を抑制するために、トナーが溶けやすいような粘弾特性に設定したとする。該粘弾特性としては、例えば、全体的に貯蔵弾性率G′を低く制御すること、又は、30〜100℃程度における貯蔵弾性率G′の低下を急峻になるように制御することが挙げられる。
このような場合、定着ニップにトナーが突入する前後において、トナーが溶融し、紙に対して、溶け広がりすぎる場合がある。特に表面の凹凸が大きな紙を用いた場合、定着器からの熱を受けやすい凸部のトナーが優先的に溶け広がることで、凹部に対して、凸部の見た目や見かけの濃度が異なる。その結果、濃度ムラが目立つ画像となる。この現象は、特に濃淡が目立ちやすいハーフトーン画像で顕著となる。
一方、結晶性ポリエステルは、結着樹脂に相溶し易いという特性を持つため、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが存在しやすくなり、トナーの帯電安定性の低下を招きやすい。特に、トナーを輸送する際などは、高温の苛酷環境下で保管されることが多く、結着樹脂に相溶している結晶性ポリエステルがトナー粒子表面に染み出しやすくなる。その結果、トナー粒子の表面組成が変動しやすく、カブリの発生が顕著になる。
また、トナーの貯蔵弾性率G′を全体的な温度範囲で比較的低く設定した場合には、トナーの自重により、例えば、外添剤の埋込みが発生しやすくなり、トナーの流動性が低下する。その場合、現像スリーブと規制ブレードの間のニップ部において、トナーへの帯電付与能が低下し、トナーの帯電安定性が低下する。その結果、カブリなどの電子写真特性が顕著に低下する。
上記後端オフセットの発生、ハーフトーン画像における濃度ムラの発生、及び、高温苛酷環境下に放置後のカブリの発生、これらを効果的に抑制するには、トナーの粘弾性挙動を高度に制御する必要があることを見出し、本発明の完成に至った。
該トナーの動的粘弾性測定において得られる貯蔵弾性率G′について、
50℃でのG′をG′(50)、
80℃でのG′をG′(80)、
120℃でのG′をG′(120)、及び、
該結晶性ポリエステルの融点P(t)でのG′をG′(t)としたとき、
まず、下記式(1)と式(2)を同時に満たすことが重要である。
4.2×10Pa≦G′(50) (1)
3.0×10≦G′(50)/G′(80) (2)
式(1)の範囲に、G′(50)を制御することにより、高温の苛酷環境下に放置された後でも、トナーの物性変化が少なく、カブリの発生が抑制された高品位な画像を得ることができる。
上述のように、G′(50)は、50℃における貯蔵弾性率G′を示し、G′(80)は、80℃における貯蔵弾性率G′を示し、G′(120)は、120℃における貯蔵弾性率G′をそれぞれ示す。
G′(50)の好ましい範囲は、良好な定着性との両立の観点から、4.2×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは、4.5×10Pa以上8.0×10Pa以下である。
G′(50)を上記範囲に制御する方法として、結着樹脂の物性を制御する方法、結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させて結着樹脂への相溶を減らす方法、着色剤として磁性体を含有する場合にその分散状態を制御する方法、及びこれらの組合せが挙げられる。該結着樹脂の物性を制御する方法としては、例えば、結着樹脂を構成する重合性単量体の量比の調整や重合開始剤の量、架橋剤の量及び種類、並びに、重合条件の調整などが挙げられる。
次に、式(2)の範囲に、G′(50)/G′(80)を制御することにより、G′(50)が本発明のように比較的高くても、後端オフセットの発生を効果的に抑制することが可能となる。
本発明者らの検討によれば、G′(80)の絶対値を単に低くするだけでは後端オフセットの発生を効果的に抑制することができなかった。
この理由については定かではないが、以下のように推測している。
本発明者らが実際に印字しているときの紙の温度を実測したところ、定着器のニップ付近では100℃〜120℃程度であり、マシンから排紙された直後はおおよそ80℃前後であった。
マシンのプロセススピードや、定着器の温調は、マシンそれぞれにおいて異なるものの、使用環境も加味して、トナーの定着性が満足するように調整されており、本発明者らが調査した範囲においては、紙の温度はおおよそ上記の範囲であった。
上述したように、凹凸の大きな紙においては凹凸部で受ける熱の大きさは異なると考えられ、凹部では約80℃相当、凸部では約120℃相当の熱を受けているのではないかと推測している。
そこで本発明者らは、80℃〜120℃での貯蔵弾性率G′と後端オフセットの関係を詳細に解析した結果、G′(50)/G′(80)の値を制御することで、後端オフセットの発生を効果的に抑制することができることを見出した。
後端オフセットの発生を抑制するには、定着器のニップを通過する瞬間に、トナーの温度上昇とともに、トナーの弾性率が急峻に低下し、紙にトナーが定着することで、定着フィルム側に持っていかれないことが重要であると思われる。プロセススピードが比較的速く、例えば、200mm/sec程度であれば、定着器を紙が通過する時間は、0.1秒以下であるため、この時間の短さが単純に、G′(80)の絶対値と後端オフセット発生の効果的な抑制が相関しない理由と考えている。
90℃や100℃のG′ではなく、80℃のG′の値が重要であるのも、この時間の短さによるものと考えている。
すなわち、弾性率が低下しはじめる50℃から80℃での弾性率の変化の大きさが、後端オフセット発生の効果的な抑制には重要であると推測している。
該G′(50)/G′(80)の範囲は、好ましくは、
3.0×10≦G′(50)/G′(80)≦1.0×10、であり、さらに好ましくは、4.5×10≦G′(50)/G′(80)≦1.0×10、である。G′(50)/G′(80)の値が、1.0×10を超える場合には、80℃以上のG′が低くなりすぎ、ハーフトーンの濃度ムラを抑制しにくくなる。
G′(50)/G′(80)を上記範囲に制御するには、結着樹脂の物性を制御する他、結晶性ポリエステル及びワックスの含有量及び種類の調整、好ましくは後述するような結晶性ポリエステル及びワックスのドメインの大きさの制御などが挙げられる。
該結着樹脂の物性を制御する方法としては、例えば、結着樹脂を構成する重合性単量体の量比の調整や重合開始剤の量、架橋剤の量及び種類、並びに、重合条件の調整などが挙げられる。
さらに、本発明においては、式(2)と同時に、式(3)を満たす。
G′(t)/G′(120)≦7.0×10 (3)
式(2)及び式(3)を同時に満たすようにトナーの粘弾特性を制御することにより、後端オフセット発生の抑制とハーフトーンの濃度ムラの抑制を初めて両立させることが可能となる。
ここで、G′(t)とは、結晶性ポリエステルの融点P(t)における、貯蔵弾性率G′を示す。
該G′(t)/G′(120)の値が7.0×10以下であることにより、特にハーフトーン画像における濃度ムラの発生が効果的に抑制できる理由は明確ではないが、以下のように推測している。
上述したように、紙の凸部は、凹部よりも定着器からの熱を受けやすく、紙の温度の実測結果から、約120℃相当の熱が瞬間的にかかっていると思われる。
濃度ムラに見える理由は、凹部のトナーより、定着器からの熱を受けやすい凸部のトナーが優先的に溶け広がることで、凹部に対して、凸部の見た目や見かけの濃度が異なり、その結果、濃度ムラが目立つと推測している。
紙が定着ニップを通過する際、トナーは結晶性ポリエステルの融点に達したところで、結晶性ポリエステルにより、結着樹脂が可塑されることで、その形状が大きく変形を開始すると思われる。
また、紙の凹部のトナーは凸部のトナーに比較して、定着器のニップにおいて、熱だけでなく圧力も受けにくいと考えられる。
G′(t)/G′(120)の値が7.0×10以下であるということは、結晶性ポリエステルの融点付近で結晶性ポリエステルがトナーを可塑し始めてから、紙の凸部が受ける120℃付近での貯蔵弾性率の変化が比較的小さいということを意味する。
定着器のニップを通過する瞬間に、凸部のトナーは120℃程度の熱を受けながら、また圧力も受けやすいため、トナーの粘弾特性を高度に制御していないと、上述のように、凸部のトナーが過剰に溶け広がり、濃度ムラの原因となりやすい。
上述したように、紙の温度の実測の結果、定着ニップを通過した紙が、マシンから排紙された直後にはおおよそ80℃前後であった。
すなわち、定着ニップを通過した後も、結晶性ポリエステルにより可塑されたトナーは、多少変形していると推測している。
これらのことから、凹部のトナーは定着ニップ前後において、圧力を受けにくい状態で変形を続けることになり、一方で、凸部のトナーは、定着ニップ部で120℃程度の熱を受けながら加圧されることになる。
すなわち、圧や熱の受け方の異なる凹凸部でのトナーの変形の仕方が大きく異ならない
ことが、濃度ムラの抑制に重要である。
よって、本発明者らは、単にG′(120)の絶対値ではなく、G′(t)/G′(120)が重要と考える。
すなわち、上述したように、紙の凸部の方が、凹部よりも定着器からの熱を受けやすいと考えられる。例えば、凹部を中心に起こりやすい後端オフセットの発生を抑制するために、トナーが溶けやすいような粘弾特性にしようとしたとする。粘弾特性としては、例えば、全体的にG′を低く制御したり、又は、30℃から100℃程度でのG′の低下を急峻になるように制御したりする場合である。
このような場合、凸部のトナーが過剰に溶け広がりやすく、凹部に比べて、凸部の見た目や見かけの濃度が異なり、その結果、濃度ムラが目立つようになると考えられる。
該G′(t)/G′(120)の値は、好ましくは、1.5×10以上7.0×10以下であり、より好ましくは、2.0×10以上6.5×10以下である。G′(t)/G′(120)の値が、1.5×10未満である場合には、後端オフセット発生の抑制と、高温の苛酷環境下に放置された後のカブリの発生抑制とを両立させる観点から、G′(50)を低く制御するとよい。
該G′(t)/G′(120)を上記範囲に制御するには、結着樹脂の物性、例えば、結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の制御など、を調整する他、結晶性ポリエステル及びワックスの含有量及び種類の調整をすることが挙げられる。
また、後述する結晶性ポリエステル及びワックスのドメインの大きさの制御、及び後述する着色剤として磁性体を含有する場合にその分散状態制御などが好適に例示できる。
本発明においては、走査透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、
トナー粒子断面に、結晶性ポリエステルのドメインが存在し、
該ドメインの長径の個数平均径が、5nm以上500nm以下であることが好ましく、一つのトナー粒子断面あたりの該ドメインの個数が、8個以上500個以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径は、より好ましくは10nm以上300nm以下であり、該ドメインの個数は、より好ましくは50個以上500個以下である。
本発明において、トナー粒子の断面をルテニウム染色し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察することによって、染色された結晶性ポリエステルのラメラを観察することができる。
このラメラを構成する一つの形状をドメインと呼ぶ。すなわち、本発明においては、結晶性ポリエステルのドメインが上述の形状のように、比較的小さい複数のドメインを、トナー中に形成している。このように小さなドメイン(以下、小ドメインともいう)がトナー内部に存在している状態を、「小ドメインが分散している」と呼ぶ。トナーが定着器の熱を受け、結晶性ポリエステルの融点を超えた時に、トナー粒子内部に微分散している小ドメインが瞬時に軟化することで、トナー粒子全体が軟化しやすくなり、後端オフセットの発生を効果的に抑制することができる。
図2は、トナー粒子断面において観察される、結晶性ポリエステルのドメインの模式図である。結晶性ポリエステルのドメインの大きさ及び個数が上記範囲にあるとき、結晶性ポリエステルの融点付近で瞬時にトナー粒子全体を軟化させやすく、本発明の粘弾特性範囲に制御しやすい。
本発明においては、結晶性ポリエステルの他にワックスを含むことが重要である。
該結晶性ポリエステルのドメインの大きさや個数は、結晶性ポリエステルとワックスの含有量及び種類、並びに、後述するトナーの製造方法により調整することが可能である。具体的には、トナーの結着樹脂中にワックスを相溶させた後に、結晶化させることで、結着樹脂全体にワックスの結晶核を形成する。その後、該結晶核を起点とし、結晶性ポリエ
ステルを結晶化させることで、トナー全体に、結晶性ポリエステルの比較的小さい、小ドメインが分散した状態を得ることができる。
以下、結晶性ポリエステルについて述べる。
本発明において、結晶性ポリエステルは、特に限定されず、公知のものを使用できるが、飽和ポリエステルであることが好ましい。
さらに、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、及び脂肪族モノカルボン酸の縮合物であることが好ましい。結晶性ポリエステルの構成成分として脂肪族モノカルボン酸を含有させることは、結晶性ポリエステルの分子量や水酸基価の調整がしやすくなることに加えて、ワックスとの親和性を制御できるため好ましい。
下記には結晶性ポリエステルが、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、及び脂肪族モノカルボン酸の縮合物であり、且つ飽和ポリエステルである場合について使用できるモノマーを例示する。
なお、本発明において、結晶性ポリマーとは、示差走査熱量分析装置を用いた比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピーク(融点)が観測されるポリマーを指す。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどが挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)などが挙げられる。
ここで、モノカルボン酸はカルボキシ基が一つであるため、モノカルボン酸由来の構造は結晶性ポリエステルの分子鎖の末端に位置する。
上記結晶性ポリエステルを使用すると、ワックスとの親和性が高まる。その結果、結晶性ポリエステルがワックスを被覆するような形になり、結晶性ポリエステルのドメインが熱的に安定化傾向となり、高温の苛酷環境下に放置された後でもカブリが発生しにくい。さらに、結晶性ポリエステルとワックスが同時に溶融することで周囲の結着樹脂を瞬時に可塑することで、相乗的に後端オフセット発生の抑制効果が向上しやすい。
トレードオフになりやすい後端オフセットと苛酷環境下における耐性について、上記のような結晶性ポリエステルを使用することにより、これらを両立させやすい。
特に、末端に炭素数10以上24以下のアルキル基を有する結晶性ポリエステルと、エステル基を1分子内に2以上6以下有するエステルワックスを併用すると、両者の高い親和性によりワックスに対する結晶性ポリエステルの被覆率が飛躍的に高まり好ましい。
本発明において、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸から選ばれる酸モノマー由来の構造を分子鎖末端に有する結晶性ポリエステルである場合、上述したエステルワックスとの親和性がさらに高まり、ワックスに対する結晶性ポリエステルの被覆率も高まる傾向であるため、より好ましい。
詳細は後述するが、トナー製造工程中の冷却工程において、冷却速度が速いほど、この傾向が高まりやすく好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、全カルボン酸成分中、直鎖型脂肪族ジカルボン酸の含有量が、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、全ポリオール成分中、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
本発明において、結晶性ポリエステルの融点P(t)は、65.0℃以上80.0℃以下であり、好ましくは、65.0℃以上75.0℃以下である。融点P(t)は、使用するカルボン酸成分及びアルコール成分の組み合わせで決まるため、上記範囲に入るよう、適宜選択することにより調整することができる。
ここで、結晶性ポリエステルを複数含有する場合には、より低い融点を持つ結晶性ポリエステルの融点をP(t)と定義する。
本発明において、P(t)が65.0℃未満の場合、トナーの粘弾特性が上記範囲内にあっても、苛酷環境下において、トナー表面に結晶性ポリエステルが染み出しやすく、その結果、トナー帯電性が不均一になるため、高温の苛酷環境下で放置された後のカブリ発生を抑制することが難しい。
一方、P(t)が80.0℃を超える場合、定着ニップにおいて、結晶性ポリエステルが周囲の結着樹脂を可塑化するタイミングが遅れるため、後端オフセットの発生を抑制することが難しい。
上記結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応した後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどの公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
前記触媒としてはチタン触媒を用いることが好ましく、キレート型チタン触媒であるとより好ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、適切な分子量分布のポリエステルが得られるためである。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、10000以上60000以下であることが好ましく、25000以上45000以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が上記範囲を満たす場合、トナー製造工程において、結晶性ポリエステルを結着樹脂と相分離させやすく、高温の苛酷環境下における耐性も高まるため好ましい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。
結晶性ポリエステルの水酸基価(mgKOH/g)は、結晶性ポリエステルによるワックスの被覆率を高める観点で、低く制御しておくことが好ましい。これは結晶性ポリエステルのOH基が少ない方が、ワックスとの親和性が高まるためだと考えている。具体的には40.0mgKOH/g以下であることが好ましく、30.0mgKOH/g以下であることがより好ましく、10.0mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
また、結晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)に関しても水酸基価と同様に、結
晶性ポリエステルによるワックスの被覆率を高める観点で、低く制御しておくことが好ましい。具体的には、8.0mgKOH/g以下であることが好ましく、5.0mgKOH/g以下であることがより好ましく、4.5mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
本発明において、結着樹脂は、特に限定されることなく、下記のようなトナーに用いられる公知の樹脂を用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などのスチレンアクリル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、現像特性及び定着性などの観点から、結着樹脂は、スチレン−アクリル酸ブチル又はスチレン−メタクリル酸ブチルに代表されるスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
上述のように、結着樹脂はスチレンアクリル系樹脂を主成分とすることが好ましい。具体的には、結着樹脂中のスチレンアクリル系樹脂の含有量は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明においては、結晶性ポリエステルは結着樹脂として考えない。
結晶性ポリエステルは、結着樹脂に相溶し易いという特性を持つために、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが存在しやすくなり、トナーの帯電安定性の低下を招きやすい。例えば、トナーを輸送する際など、高温の苛酷環境下で保管されることにより、結着樹脂に相溶している結晶性ポリエステルがトナー粒子表面に染み出しやすくなる。
また、結着樹脂として結晶性ポリエステルがより相溶し易い非晶性ポリエステル樹脂を主成分とした場合には、この点で不利になりやすい。
また、非晶性ポリエステル樹脂と相溶し易い性質により、非晶性ポリエステル樹脂の含有量が多くなるほど、粘弾特性も本発明で好ましい範囲に制御しにくくなる。
このように、スチレンアクリル系樹脂は結晶性ポリエステルと相溶しにくいため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めやすく、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を主成分とすることが好ましい。
本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分が、樹脂成分の総量を基準として、8質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上45質量%以下である。
トナーのTHF不溶分が上記範囲を満たす場合、トナーの粘弾特性の制御がしやすく、特に、G′(t)/G′(120)の値を上記範囲に制御しやすくなる。
上記トナーのTHF不溶分は、結着樹脂を構成する重合性単量体を重合する際に添加される架橋剤の量及び種類や重合条件により調整が可能である。
また、本発明において、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された分子量分布において、ピーク分子量(Mp)が12000以上28000以下であることが好ましく、15000以上26000以下であることがより好ましい。
該ピーク分子量(Mp)が上記範囲であることで、トナーの粘弾特性の制御がしやすくなる。また、ピーク分子量(Mp)は、結着樹脂を構成する重合性単量体を重合する際に添加される重合開始剤の量及び種類や重合条件により調整が可能である。
本発明においては、上述のように、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、結晶性ポリエステルのドメインが存在し、該ドメインの長径の個数平均径が5nm以上500nm以下であることが好ましく、該ドメインの個数が8個以上500個以下であることが好ましい。
該ドメインの個数平均粒径及び個数が上記範囲にあることで、本発明において好ましい粘弾特性に制御しやすい。
上記ドメインの存在は、結晶性ポリエステルの結晶化度が比較的高いことを示しており、G′(50)の値を上記範囲に制御する上で好ましい態様である。また、該ドメインは周囲の結着樹脂を可塑化しやすく、G′(50)/G′(80)の値を上記範囲に制御する上で好ましい態様である。
該ドメインの大きさや個数は、結晶性ポリエステルとワックスの含有量及び種類、並びに、後述するトナーの製造方法により調整することが可能である。
本発明において、ワックスとしては、特に限定されず、以下のものを使用することができる。
具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。上記ワックスは、1種を又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述したように、トナーの結着樹脂中にワックスを相溶させた後に、結晶化させることで、結着樹脂全体にワックスの結晶核を形成する。その後、該結晶核を起点とし、結晶性ポリエステルが結晶化することで、トナー全体に、結晶性ポリエステルの比較的小さい、小ドメインが分散した状態を得ることができる。
すなわち、結着樹脂と相溶しやすいワックスを使用することにより、結晶性ポリエステルのドメインの存在状態(ドメインの長径の個数平均径及び個数)を所望の状態に制御しやすくなる。
結着樹脂との相溶性が高いという観点から、ワックスは、エステルワックスが好ましい。また、結晶性ポリエステルの結晶化度を上げることができ、所望の存在状態に制御しやすいという観点からも、ワックスは、エステルワックスが好ましい。
エステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物(以降、2官能のエステルワックスと称する場合がある)であることがより好ましい。ここで、エステル化合物の1分子中にエステル結合が1つ存在する場合は、1官能と表現し、n個存在する場合は、n官能と表現する。
さらに、エステルワックスは、下記式(I)、又は下記式(II)で示される2官能エステルワックスであることがさらに好ましい。
−C(=O)−O−(CH−O−C(=O)−R 式(I)
−O−C(=O)−(CH−C(=O)−O−R 式(II)
[式(I)及び式(II)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、炭素数13以上26以下のアルキル基であり、x及びyは、それぞれ独立して、4以上18以下(好ましくは、8以上10以下)の整数である。]
本発明者らの検討によれば、2官能のエステルワックスは、結晶性ポリエステルの造核剤として作用しやすく、トナー内部の結晶性ポリエステルのドメインを結晶化させやすくなり、そのドメインを所望の状態に制御しやすくなる。
具体的には、該2官能のエステルワックスを用いることで、結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径を5nm以上500nm以下という比較的小さな範囲に制御すること、及び、結晶性ポリエステルのドメインの個数を8個以上500個以下という比較的多い範囲に制御すること、が容易になる。
上記2価のカルボン酸の具体例としては、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸が挙げられる。また、2価のアルコールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが挙げられる。なお、ここでは直鎖脂肪族カルボン酸、直鎖アルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。
また、上記脂肪族モノカルボン酸、又は脂肪族モノアルコールの具体例は以下の通りである。
脂肪族モノカルボン酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などが挙げられる。
脂肪族モノアルコールとして、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノールなどが挙げられる。
また、本発明において、所望の粘弾特性とするために、ワックスを併用することが好ましい。上述のような結晶性ポリエステルの造核剤として作用する役割を持つワックスの他、トナー粒子中に比較的大きなドメイン(以下、大ドメインともいう)を形成しうるワックスを含有させることが好ましい。
すなわち、走査透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、
トナー粒子断面に、ワックスのドメインが存在し、
該ドメインの最大径が1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましく、
該トナー粒子の断面の面積に対する該ワックスのドメインの面積の割合が、10.0面積%以上60.0面積%以下であることが好ましい。
大ドメインの最大径は、1.0μm以上4.0μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、1.0μm以上3.6μm以下である。
また、該トナー粒子の断面の面積に対する、該ワックスの大ドメインの面積の割合は、10.0面積%以上40.0面積%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、10.0面積%以上38.5面積%である。
大ドメインの最大径及びトナー粒子断面の面積に対する大ドメインの占める面積の割合が、上記範囲にあることにより、上記粘弾特性に制御しやすくなる。
大ドメインを形成する際に好ましく用いられるワックスは、結着樹脂と比較的相溶しにくいワックスである。このようなワックスは、トナー内部で結着樹脂と相分離した状態でワックスの大ドメインを形成しやすい。
このような大ドメインを形成しやすいワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。
また、該脂肪族炭化水素系ワックスは、ヒドロキシ基を付与するなどの変性がされていてもよい。さらに、該脂肪族炭化水素系ワックスの酸価は、0.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.05mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。
すなわち、本発明において、ワックスが、エステルワックス及び脂肪族炭化水素系ワックスを含有することがより好ましい。
上記大ドメインの大きさは、結晶性ポリエステルの種類や添加量、及びワックスの種類や添加量、並びに、後述するトナー製造中の冷却工程の制御などにより制御することができる。
本発明において、トナー粒子中に含まれるワックスの含有量は、総量として、結着樹脂100質量部に対して、2.5質量部以上35.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは4.0質量部以上30.0質量部以下であり、さらに好ましくは6.0質量部以上25.0質量部以下である。
また、トナー粒子中に含まれるエステルワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、3.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5.0質量部以上15.0質量部以下である。
さらに、上記エステルワックスと脂肪族炭化水素系ワックスの含有比[エステルワックス:脂肪族炭化水素系ワックス]は、質量基準で2:8〜8:2であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。
本発明において、トナー粒子中に含まれる結晶性ポリエステルの含有量は、総量として、結着樹脂100質量部に対して、3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3.0質量部以上12.0質量部以下であり、さらに好ましくは、3.0質量部以上10.0質量部以下である。
結晶性ポリエステルの含有量が上記範囲である場合、上記粘弾特性に制御しやすく、かつ、トナー粒子表面への結晶性ポリエステルの染み出しの制御をより適切にすることができる。
また、トナー粒子中におけるワックスの含有量に対する結晶性ポリエステルの含有量の比[結晶性ポリエステルの含有量/ワックスの含有量]は、質量基準で、0.30以上1.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.30以上0.70以下である。
結晶性ポリエステルの含有量が上記範囲であり、トナー粒子中におけるワックスの含有量に対する結晶性ポリエステルの含有量の比が、上記範囲にあるとき、上記粘弾特性により制御しやすい。
本発明において、ワックスの融点をW(t)とし、結晶性ポリエステルの融点をP(t
)としたときに、該W(t)及びP(t)が下記式(4)を満たすことが好ましい。
−10.0℃≦{W(t)−P(t)}≦20.0℃ (4)
ここで、トナー粒子がワックスを複数含有する場合には、結晶性ポリエステルの融点P(t)と最も近い融点を持つワックスの融点をW(t)と定義する。
上記W(t)及びP(t)の関係は、−5.0℃≦{W(t)−P(t)}≦10.0℃、であることが好ましく、−2.0℃≦{W(t)−P(t)}≦8.0℃、であることがより好ましい。
本発明において、W(t)は、後端オフセット発生の抑制効果とその他特性との両立の観点から、65.0℃以上85.0℃以下であることが好ましく、より好ましくは65.0℃以上80.0℃以下である。
{W(t)−P(t)}が上記範囲にあるとき、比較的、W(t)とP(t)の差が小さいことを示す。このとき、定着ニップ突入前後における、ワックスと結晶性ポリエステルの溶融がほぼ同時に起こることで、周囲の結着樹脂を瞬時に可塑化させることができ、相乗的に後端オフセット発生の抑制効果が向上しやすい。
本発明で用いられる結晶性ポリエステル及びワックスの構造や物性、及び含有量は下記のような特定方法がある。
まず、トナーをテトラヒドロフランによって抽出して、大部分の樹脂成分を除去する。ここで、磁性体や外添剤など、樹脂成分以外のものは比重差を利用して遠心分離で除去する。残った樹脂成分は、結晶性ポリエステルとワックスなどの混合物であるため、分取型液体クロマトグラフィー(LC)により結晶性ポリエステル及びワックスのそれぞれを単離し、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)などを用いて構造解析することで、構造や融点などの物性を特定する。
また、トナー内の含有量に関して以下のようにする。例えば、結晶性ポリエステルの含有量を得るには、トナーと分取後の結晶性ポリエステルそれぞれの核磁気共鳴分光分析結果を見比べ、結晶性ポリエステル特有のピークの面積比を取ることで得られる。また、ワックスに関しても同様に、核磁気共鳴分光分析結果のピーク面積比によって含有量を得ることができる。
本発明において、トナー粒子は着色剤を含有する。該着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、及び、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、及び、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の観点から選択される。
本発明のトナーに着色剤として磁性体を用いる場合、磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m/gであることが好ましく、3〜28m/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。
磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形などの異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。磁性体を用いる場合は、結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
磁性体は、トナー粒子中での均一分散性や色味の観点から、一次粒子の個数平均粒径が0.10〜0.40μmであることが好ましい。
なお、磁性体の個数平均粒径は、走査透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて1万倍〜4万倍の拡大倍率の断面画像を撮影し、該断面画像中の100個の磁性体の粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径(D1)の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定してもよい。
該磁性体は、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製された水溶液のpHを7.0以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶を生成する。
次に、種晶を含むスラリーに、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。そして、得られた混合液のpHを5.0以上10.0以下に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性酸化鉄の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて混合液のpHは酸性側に移行していくが、混合液のpHは5.0未満にしない方が好ましい。
酸化反応終了後、珪酸ソーダなどの珪素源を添加し、混合液のpHを5.0以上8.0以下に調整し、磁性酸化鉄粒子表面に珪素の被覆層を形成する。得られた磁性酸化鉄粒子を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性酸化鉄(磁性体)を得ることができる。
また、本発明において水系媒体中でトナー粒子を製造する場合、磁性体表面を疎水化処理することが好ましい。
乾式にて疎水化処理を実施する場合、洗浄、ろ過、乾燥した磁性酸化鉄にカップリング剤を用いて疎水化処理を行う。
湿式にて疎水化処理を行う場合、上記得られた磁性酸化鉄を水系媒体中に再分散させるか、又は、上記洗浄及び濾過して得られた磁性酸化鉄を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させて、カップリング剤による処理を行う。本発明においては、乾式法及び湿式法どちらも適宜選択できる。
該磁性体の疎水化処理に用いられるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。好ましくはシランカップリング剤であり、下記一般式(III)で示されるものである。
SiY 式(III)
[式(III)中、Rはアルコキシ基、又は、水酸基を示し、Yはアルキル基、フェニル基又はビニル基を示し、該アルキル基は、置換基として、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などを有していてもよい。mは1〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
該式(III)で示されるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、及びこれらの加水分解物などを挙げることができる。本発明においては、式(III)のYがアルキル基であるものが好ましい。中でも好ましいのは、炭素数3〜6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数3〜4のアルキル基である。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で、又は複数を併用することができる。複数を併用する場合、それぞれのシランカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
該カップリング剤の総処理量は、磁性体100質量部に対して、0.9〜3.0質量部であることが好ましく、磁性体の表面積、シランカップリング剤の反応性などに応じてその量を調整するとよい。
本発明において、トナー粒子は磁性体を含有することが好ましい。
また、走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察されるトナー粒子の断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%以内に、磁性体が65面積%以上存在するトナー粒子の割合が、70個数%以上100個数%以下であることが好ましい。
ここで、トナー粒子の断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%以内とは、以下のようにして求められる領域である。
すなわち、STEM観察により得られたトナー粒子断面において、トナー粒子半径(トナー粒子の断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離)を1とした時に、トナー粒子の断面の輪郭から、0.1(すなわち、トナー粒子断面の中心点から0.9)の距離を境界線とする。そして、この境界線からトナー粒子断面の輪郭までの領域のことである(図3参照)。
この領域に存在する磁性体の割合は、トナー粒子断面の画像を2値化し、トナー粒子断面に存在する磁性体全ての面積に対する、該領域に存在する磁性体の面積の比により算出する。
トナー粒子断面において観察される磁性体のうち65面積%が上述の領域に存在する場合は、多くの磁性体がトナー粒子表層近傍に存在し、トナー粒子中心方向へ散らばっている磁性体が少ないことを表している。
トナー粒子が上記範囲を満たす場合、磁性体が偏在している効果でトナー粒子への衝撃や振動を磁性体が吸収することができるため、耐久性が向上する。
一方、上記範囲を満たさない場合、磁性体が表層近傍だけでなく、トナー粒子中央部にまで分散しているトナー粒子が多く存在することとなり(図4参照)、トナー粒子の耐久性の向上が少なく、上述した効果が低下する可能性がある。
なお、上述の効果を向上させる観点から、上記トナー粒子の断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%以内に、
磁性体が75面積%以上100面積%以下存在するトナー粒子の割合が、70個数%以上100個数%以下であることがより好ましく、
磁性体が80面積%以上100面積%以下存在するトナー粒子の割合が、70個数%以上100個数%以下であることがさらに好ましい。
磁性体をトナー粒子表層近傍に偏在させる方法としては、磁性体表面を疎水化処理することが挙げられる。具体的には、磁性体表面の疎水化処理に用いられる処理剤の種類及び処理量、処理時のpHや処理方法などを適宜調整することが挙げられる。
また、後述するようなトナーの製造方法を使用すると、磁性体の偏在を制御しやすく好ましい。
本発明において、トナーの帯電性を環境によらず安定に保つために、トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸、それらの金属塩、無水物、及びエステル類、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、並びに、これらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系荷電制御剤以外では、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムのものがより好ましく、サリチル酸アルミニウム化合物がさらに好ましい。
樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、及び安息香酸部位を有する重合体又は共重合体が好ましい。
荷電制御剤の配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.00質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上10.00質量部以下である。
本発明において、トナー母粒子は、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。尚、トナー母粒子に外添剤を添加したものをトナーと称するが、外添剤を添加し
ない場合には、トナー母粒子がそのままトナーとなる。
まず、粉砕法により製造する場合を説明する。
結着樹脂、着色剤、ワックス、及び結晶性ポリエステル、並びに、必要に応じて荷電制御剤などをヘンシェルミキサ、ボールミルなどの混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕は、機械衝撃式、ジェット式などの公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、さらに熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃を加える処理を行ってもよい。また、微粉砕(必要に応じて分級)された被処理粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いてもよい。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば、川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルなどの機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムなどの装置も使用可能である。これらの装置は、高速回転する羽根により被処理粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力などの力により被処理粒子に機械的衝撃力を加える方法である。
本発明において、トナー母粒子は、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、結晶性ポリエステルやワックスなどの結晶性物質の存在状態を制御する上でも水系媒体中でトナー母粒子を製造することが好ましい。特に、懸濁重合法は結晶性ポリエステルを微分散状態とすることや結晶化促進に関して制御がしやすく、好ましい。
以下に、懸濁重合法について詳細に説明するが、これらに限定されるわけではない。
懸濁重合法を用いたトナー母粒子の製造方法は、
結着樹脂を構成する重合性単量体、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステル、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤を含有する重合性単量体組成物を、分散剤を含有する連続層(例えば水系媒体)中に適当な撹拌器を用いて分散し、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、及び、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を含む。
上記撹拌器の撹拌強度は、材料分散性、及び生産性などを考慮した強度を選択するとよい。また、上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定するとよい。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべきワックスが相分離により析出して、より良好にワックスを内包化することができる。
本発明において、トナー母粒子が磁性体を含有する場合、
トナー母粒子の製造方法は、
結着樹脂を構成する重合性単量体に少なくとも磁性体を分散して磁性体含有重合性単量体を得る工程(磁性体分散工程)、
得られた磁性体含有重合性単量体、ワックス及び結晶性ポリエステルを混合して重合性単量体組成物を得る工程(重合性単量体組成物調製工程)、
得られた重合性単量体組成物を水系媒体中で分散し、重合性単量体組成物の粒子を形成する工程(造粒工程)、及び、
重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合する工程(重合工程)を含むとよい。
ここで、上記磁性体分散工程において、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円状に多段に形成された回転子と同様の形状の突起を有する固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された撹拌装置(図5及び図6参照)を用いて、重合性単量体に磁性体を分散することが好ましい。
また、上記重合性単量体組成物調製工程においても、該攪拌装置を用いて、磁性体含有重合性単量体、ワックス及び結晶性ポリエステルを混合することが好ましい。
上記撹拌装置を循環経路の中に組み込んだシステムを図5(a)、撹拌装置の本体側面図を図5(b)に示す。但し、本発明に用いられる撹拌装置としては、これに限定されるものではない。図6(a)、図6(b)は、撹拌装置の本体断面図であり、それぞれ、図5(a)中のA−A’断面図、図5(b)中のB−B’断面図である。また、図6(c)、図6(d)は、それぞれ、撹拌装置の回転子の斜視図、固定子の斜視図を示す。以下、撹拌装置について具体的に説明する。
図5(a)において、ホールディングタンクA8に、重合性単量体と少なくとも磁性体を投入し調製液とする。投入された調製液は、循環ポンプA10を介して、混合装置入口より供給され、撹拌装置においては、ケーシングA2の内部に具備された、回転子A25と固定子A22のスリットを通過し、遠心方向に排出される。撹拌装置内を調製液が通過する際、回転子、固定子のスリットのずれにより生じる遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃により調製液は混合及び分散され、磁性体含有重合性単量体を得る(磁性体分散工程)。さらに、ホールディングタンクA8内の磁性体含有重合性単量体中に、ワックス及び結晶性ポリエステルを投入し、同様に撹拌装置とホールディングタンクA8間を循環させて混合及び分散し、重合性単量体組成物を得る(重合性単量体組成物調製工程)。
上記回転子と固定子の形状は、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された形状であり、該回転子及び固定子が一定の間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置されていることが好ましい。回転子及び固定子が相互に噛み合うように設置された形状であることにより、ショートパスが軽減され、調製液の分散が十分に行える。また、回転子と固定子が同心円方向に交互に多段に存在することにより、調製液が遠心方向に進行する際に、多くのせん断・衝撃を受ける為、一層、分散レベルを高めることができる。ホールディングタンクA8は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
該回転子及び固定子の周速とは、回転子及び固定子の最大径の周速である。本発明においては、回転子A25の周速をG(m/s)とすると、20≦G≦60で回転させ調製液を撹拌することが好ましい。より好ましくは、回転子の周速Gが30≦G≦40である。回転子の周速Gが20≦G≦60であれば、回転子及び固定子のスリットのずれにより生じる調製液の遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が増し、高度な分散が達成される。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
該攪拌装置を用いると、上述した、多くの磁性体がトナー粒子表層近傍に存在するように制御することが容易になる。
上述の撹拌装置の具体例として、キャビトロン(ユーロテック社製)が挙げられる。
また、上記攪拌装置以外にも、一般的に乳化・分散に使用される高剪断力を有する攪拌羽根を有する攪拌装置を用いてもよい。高剪断力を有する攪拌羽根の具体例として、クレアミックスディゾルバー(エムテクニック社製)、ディスパー(田島化学機械社製)が挙げられる。
上記重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸エス
テル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの単量体。
これらの単量体は単独で、又は混合して使用できる。
上述の重合性単量体の中でも、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体、及びメタクリル酸エステル系単量体を好適に例示できる。
さらに、重合性単量体中、スチレン系単量体の含有量が、60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、65質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。一方、アクリル酸エステル系単量体、及び、メタクリル酸エステル系単量体の合計の含有量が、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5から30時間であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量5,000から50,000の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
具体的には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
上述のように、架橋剤の添加は任意である。その添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部であることが好ましい。
該架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いるとよい。
具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;下記式(IV)で示される化合物、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物が例示できる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、下記式(IV)で示される化合物が好ましい。
Figure 0006878132
[式(IV)中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(好ましくは、メチル基)を示し、Rは炭素数2〜18(好ましくは、炭素数4〜18)の直鎖状アルキレン基を示す。]
上記式(IV)で示される化合物の具体例として、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,11−ウンデカンジオールジアクリレート、及び1,18−オクタデカンジオールジアクリレート、並びに、該アクリレートをメタクリレートに代えた化合物などが挙げられる。
上記式(IV)で示される化合物は柔軟性を持ち、比較的分子鎖が長いために結着樹脂の架橋点の間隔が広くなりやすく、大きな網目構造を形成しやすくなる。
その結果、上記式(IV)で示される化合物を使用することで、G′(t)/G′(120)を本発明で規定する範囲に制御すること、及び、後端オフセット発生を抑制すること、が容易になる。
この理由は定かではないが、架橋構造を持たせることでトナーの粘弾性挙動を制御しやすくなると同時に、架橋点の間隔が広いために、定着時に樹脂の変形を促進させやすくなり、架橋構造が定着性を阻害しにくいためと推測している。
上記分散剤としては、公知のものが使用可能である。例えば、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンなどを水相に分散させて使用できる。
これらは、単独で、又は複数種を併用してもよい。
該分散剤の濃度は、重合性単量体組成物100質量部に対して、0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。さらに、該分散剤に加えて、界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤の濃度は、重合性単量体組成物100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下であることが好ましい。
該界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどが挙げられる。
本発明において、上記トナー粒子断面における結晶性ポリエステルドメイン及びワックスドメインの存在状態は、以下に述べる手法を用いることで、上述の範囲に制御しやすくなる。
例えば、上記重合性単量体を重合して樹脂粒子を得た後、樹脂粒子が水系媒体に分散さ
れた分散体を、上記結晶性ポリエステル及びワックスの融点を超える温度まで昇温する。ただし、重合温度が該融点を超えている場合はこの操作は必要ない。
本発明において、結晶性ポリエステルやワックスなどの結晶性物質、特に結晶性ポリエステルを結晶化させる目的でトナーの製造方法に関して着目する。
例えば、粉砕法や懸濁重合、乳化重合によってトナーを製造する場合、一度結晶性ポリエステルやワックスが融解するような温度まで昇温し、その後常温まで冷却する工程を含むことが多い。
冷却工程について考えると、昇温によって液化した結晶性ポリエステルは温度が下がるにつれて分子運動が鈍くなり、結晶化温度付近に到達すると結晶化が始まる。さらに冷却すると結晶化が進み、常温では完全に固化する。本発明者らの検討によると、冷却速度によって結晶性物質の結晶化度が異なることが分かった。
具体的には、結晶性ポリエステルやワックスが融解する十分に高い温度(例えば100℃)から結晶性物質の結晶化温度付近まで速い冷却速度で冷却すると、含有される結晶性物質の結晶化度が高まる傾向であった。また、冷却速度が十分に速いことで、前述の小ドメインについて、本発明の好ましい範囲に制御しやすい。
一方、冷却速度が遅いと、徐々に冷却される間に、結晶性ポリエステルやワックスの結晶化度が低下しやすく、結着樹脂に相溶しやすい。
この場合、結晶性ポリエステルの小ドメインは形成されにくくなる傾向があり、ワックスはより大きな大ドメインを形成しにくくなる傾向がある。
その結果、結着樹脂が軟化しやすく、高温の苛酷環境下に放置された後のカブリの発生を抑制しにくくなると共に、後端オフセットの発生も抑制しにくくなる。
より具体的には、冷却速度が十分に速い状態というのは、50.0℃/分以上の冷却速度で冷却した場合であり、特に結晶性ポリエステルを結晶化させる目的の場合、好ましくは、100.0℃/分以上、より好ましくは、150.0℃/分以上である。
逆に、冷却速度が十分に遅い状態というのは、10.0℃/分よりも十分に遅い速度で冷却した場合であり、例えば、0.5℃/分以上5.0℃/分以下、若しくはそれ以下の冷却速度が挙げられる。
また、結晶性物質の結晶化温度付近(具体的には、結晶化温度±5℃の範囲)で、アニール処理を行うことも、結晶性物質の結晶化度を高める点で好ましい。
保持する時間は、30分以上であることが好ましく、60分以上であることがより好ましく、100分以上であることがさらに好ましい。該保持時間の上限は、製造効率の関係から24時間以下程度である。
長時間保持することにより、結晶性物質の結晶化度を高めやすく好ましい。
得られた樹脂粒子は、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー母粒子を得ることができる。このトナー母粒子に、後述するような無機微粒子を必要に応じて混合して該トナー母粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粒子の混合前)に分級工程を入れ、トナー母粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
混合方法に関しては、公知の手法を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサなどが好適に例示される。無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、4〜80nmであることが好ましく、より好ましくは6〜40nmである。
該無機微粒子は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粒子を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上などの機能を付与することも好ましい形態である。
該無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子などが例示できる。シリカ微粒子としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスなどから
製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−などの製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
該無機微粒子の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。
該無機微粒子は、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、又は有機チタン化合物などの処理剤により疎水化処理されたものを用いることが好ましい。
また、本発明のトナーには、実質的な影響を与えない範囲内でさらに他の添加剤、例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;ケーキング防止剤を少量用いることもできる。これらの添加剤の表面を疎水化処理して用いることも可能である。
本発明において、トナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上11.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上10.0μm以下である。
トナーの重量平均粒径(D4)が上記範囲内である場合、流動性がより向上し、潜像に忠実に現像することができる。
本発明で用いられる画像形成装置の一例を図1に沿って具体的に説明する。図1において、100は静電潜像担持体(以下、感光体とも呼ぶ)であり、その周囲に帯電部材(帯電ローラー)117、トナー担持体102、現像ブレード103及び撹拌部材141を有する現像器140、転写部材(転写帯電ローラー)114、クリーナー容器116、定着器126、ピックアップローラー124、搬送ベルト125などが設けられている。感光体100は帯電ローラー117によって、例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー123を感光体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写帯電ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125などにより定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー容器116によりクリーニングされる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
以下、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーの粘弾性の測定>
測定装置としては、回転平板型レオメーター(商品名「ARES」、TA インスツルメンツ社製)を使用する。
試料作成及び測定は以下の条件で行う。
測定冶具:トーションレキュタンギュラー フィクスチャー
測定試料:25℃に設定した、真空乾燥機で10時間以上乾燥したトナーを使用する。
試料形状:長辺30.0mm、短辺12.5mm、厚さ2.5〜3.5mm。ただし、厚みの均一度は±0.05mmにする。
試料成形条件:錠剤整形器を用いて、温度25℃、圧力50MPa、加圧時間60分で成形する。
角振動周波数:6.28rad/sとし、測定温度範囲を25℃から180℃とし、その間の昇温速度を4.0℃/minとする。
印加歪初期値:0.01%とし、自動歪み調整モードで測定を行う。
自動歪み調整モード(AUTO Strain Mode)の条件を以下に記す。
Max Applied Strainを1.5%と設定する。
Max Allowed Torqueを180.0g・cmと設定する。
Min Allowed Torqueを0.4966g・cmと設定する。
Strain Adjustmentを20.0% of Current Strainと設定する。
自動テンション調整モード(AUTO Tension Mode)で測定を行う。
自動テンション調整モード(AUTO Tension Mode)の条件を以下に記す。
自動テンションディレクション(AUTO Tension Direction)をテンション(Tension)と設定する。
Initial Static Forceを10.0gと設定する。
AUTO Tension Sensitivityを40.0gと設定する。
Sample Modulus<1.0×10(Pa)と設定する。
<結晶性ポリエステル及びワックスの融点の測定>
結晶性ポリエステル及びワックスの融点は、示差走査熱量分析装置を用いて測定した際の、最大吸熱ピークのピーク温度として求めることができる。
結晶性ポリエステル及びワックスは、必要に応じてトナーから前述の方法で単離する。測定は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて実施する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃〜140℃の間で、下記の設定で測定を行う。
・昇温及び降温速度10℃/min
・20℃から140℃まで昇温後、140℃から20℃まで降温する。さらに、20℃から140℃まで再昇温させる。
この再昇温過程で、温度20℃〜140℃の範囲において比熱変化が得られる。融点Tm(℃)は、該比熱変化曲線における最大吸熱ピークのピーク温度とする。
<トナー(母粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定>
トナー(母粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0
μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(母粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<結晶性ポリエステルの分子量分布の測定>
結晶性ポリエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びピーク分子量)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下のようにして測定する。
まず、室温で試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220 GPC」(検出器:RI)[東ソー(株)製]
カラム:SHODEX GPC LF−604の2連(昭和電工株式会社)
溶離液:THF
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<酸価の測定>
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウム溶液の量から求める。0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<水酸基価の測定>
水酸基価は、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。本発明における水酸基価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスなどに触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mLを三角フ
ラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5.0mLをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mLで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:該試料の酸価(mgKOH/g)である。
<走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナー粒子の断面の観察>
走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察されるトナー粒子の断面は以下のようにして作製する。
トナー粒子をルテニウム染色した場合、トナー粒子に含有される結晶性樹脂はコントラストが大きく観察が容易となる。ルテニウム染色を用いた場合、染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分はこれらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
具体的には、結晶性ポリエステルはトナー粒子を構成する他の有機成分よりも、弱く染色される。これは、結晶性ポリエステルの中への染色材料の染み込みが、密度の差などが有るために、トナー粒子を構成する他の有機成分よりも弱いためと考えられる。
結晶性ポリエステルの内部に染み込まなかったルテニウムは結晶性ポリエステルと非晶性樹脂との界面に残りやすく、結晶が針状である場合などは結晶性ポリエステルが黒く観察される。一方、ワックスはルテニウムの染み込みがより抑制されるため、最も白く観察される。
以下、ルテニウム染色されたトナー粒子の断面の作製手順を説明する。
まず、カバーガラス(松浪硝子社、角カバーグラス;正方形No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(Filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。
次に、PTFE製のチューブ(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。
超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/
sで、円柱型の樹脂の最表面からトナー粒子の半径(例えば、重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナー粒子の断面を出す。
次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナー粒子の断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー粒子中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを、真空電子染色装置(Filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuOガス500Pa雰囲気で15分間染色し、走査透過型電子顕微鏡(JEOL社、JEM2800)の走査像モードを用いて、STEM画像を作製する。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて画像を取得した。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得した。
得られたSTEM画像については、画像処理ソフト「Image−Pro Plus (Media Cybernetics社製)」にて2値化(閾値120/255段階)を行う。
2値化の閾値を、120とした場合に黒の境界線で囲まれた部分が結晶性ポリエステルであり、2値化の閾値を、210とした場合に白く見える部分がワックスである。
<結晶性ポリエステル及びワックスのドメインの同定>
上記STEM画像をもとに、結晶性ポリエステル及びワックスのドメインの同定を、以下の手順により行う。
結晶性ポリエステル及びワックスを原材料として入手できる場合、それらの結晶構造を、上述のルテニウム染色及び走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた観察方法と同様にして、原材料それぞれの結晶のラメラ構造の画像を得る。それらと、トナーの断面におけるドメインのラメラ構造を比較し、ラメラの層間隔が誤差10%以下であった場合、トナーの断面におけるドメインを形成している原材料を同定することができる。
結晶性ポリエステル及びワックスの原材料を入手できない場合、トナーから上述ように単離作業を行うとよい。
<結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径、及び、ワックスのドメインの最大径の測定>
結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径とは、上記STEM画像をもとに、結晶性ポリエステルのドメインの長径から求められる個数平均径を意味する。
本発明において、結晶性ポリエステルのドメインの長径、及び、ワックスのドメインの最大径は、これらドメインの最長径を使用する。ドメインが不定形の場合、最も長くなる測定方法を採用し、結晶性ポリエステルのドメインの長径、及び、ワックスのドメインの最大径とする。
上記STEM画像をもとに、結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径を計測する。また、ワックスのドメインの最大径を測定する。
具体的には、100個のトナーの断面を観察する。100個のトナーの断面に存在する全ての結晶性ポリエステルドメインの長径を計測し、その算術平均値を算出する。得られた算術平均値を、結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径とする。
同様に、100個のトナーの断面に存在する全てのワックスドメインの最大径を計測し、その算術平均値を算出する。得られた算術平均値を、ワックスのドメインの最大径とする。
<結晶性ポリエステルのドメインの個数の測定>
上記STEM画像をもとに、トナー粒子の断面1つ当りに含まれる結晶性ポリエステルのドメインの個数を計測する。これを100個のトナー粒子の断面について行い、その算術平均値を、結晶性ポリエステルのドメインの個数とする。
<トナーの断面の面積に対するワックスのドメインの面積の割合の算出>
上記STEM画像において、画像処理ソフト「Image−Pro Plus (Media Cybernetics社製)」を用いて、1つのトナー粒子の断面におけるワックスのドメインの総面積(以下Cと称する)、及び、トナー粒子の断面の面積(以下Dと称する)を計測する。
なお、1つのトナー粒子の断面において、ワックスのドメインが複数ある場合、各ドメインの面積を合算した値を、1つのトナー粒子の断面におけるワックスのドメインの総面積とする。
次いで、以下の式により、1つのトナー粒子の断面におけるワックスのドメインの総面積の割合を算出する。
1つのトナー粒子の断面におけるワックスのドメインの総面積の割合={「C」/「D」}×100(面積%)
これを100個のトナー粒子の断面について行い、その算術平均値を、ワックスのドメインの面積の割合とする。
<結晶性ポリエステルの末端構造の同定>
樹脂サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mLを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステルを用いるが、トナーをサンプルとして代用することも可能である。
次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mLを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1mL添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μL、マトリックス溶液50μL、イオン化助剤溶液5μLを混合して、MALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子鎖末端にモノカルボン酸が結合した構造に対応するピークが存在するか否かを確認する。
<樹脂及びトナーのガラス転移温度(Tg)の測定>
非晶性樹脂及びトナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料3.0mgを精密に秤量し、アルミニウム製パン中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製パンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/min、常温常湿下で測定を行う。
この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度(Tg)とする。
<トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の測定>
トナー1gを精秤して円筒ろ紙に仕込み、THF200mLにて20時間ソックスレー抽出する。その後、円筒ろ紙を取り出し、40℃で20時間真空乾燥して残渣質量を測定し、下記式よりトナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の量を算出する。
なお、トナーの樹脂成分とは、トナーから磁性体、荷電制御剤、ワックス成分、外添剤、及び着色剤を除いた成分である。上記THF不溶分の測定時には、これらの含有物がTHFに可溶か不溶かを考慮して、樹脂成分を基準としたTHF不溶分を算出する。
THF不溶分(%)=(W2−W3)/(W1−W3−W4)×100
ただし W1:トナーの質量
W2:残渣質量
W3:トナーの樹脂成分以外のTHFに不溶な成分の質量
W4:トナーの樹脂成分以外のTHFに可溶な成分の質量
<トナーなどのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のピーク分子量(Mp)の測定>
トナーなどのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーなどをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<磁性体の個数平均粒径及び含有量の測定方法>
エポキシ樹脂中へ観察すべき磁性体を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて4万倍の拡大倍率で断面画像を撮影する。該断面画像中の100個の磁性体の粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。
一方、磁性体の含有量は、熱分析装置「装置名:TGA7、パーキンエルマー社製」を用い、以下の手順で測定する。
窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量%を樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
<磁性体の同定及び磁性体の存在割合(10%比率)の測定>
上記STEM画像をもとに、磁性体の同定は、以下の手順により行うことができる。
上記STEM画像(明視野像)を、画像処理ソフト「「Image−Pro Plus(Media Cybernetics社製)」を用い、明るさ(階調255)の閾値を60に設定して2値化する。
次に、該STEM画像において、トナー粒子断面の輪郭及び中心点をもとめる。得られた中心点から、トナー粒子断面の輪郭上の点に対して線を引く。該線上において、輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%の位置を特定する。なお、該トナー粒子断面の重心をトナー粒子断面の中心点とする。
そして、トナー粒子断面の輪郭に対して一周分、この操作を行い、トナー粒子断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%の境界線を明示する(図3)。
該10%の境界線が明示されたSTEM画像をもとに、1つのトナー粒子の断面における全ての磁性体の面積(pixel×pixel)の合計(以下Aと称する)、及び、1つのトナー粒子の断面における、トナー粒子断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%以内の領域に存在する磁性体の面積(pixel×pixel)の合計(以下Bと称する)を計測する。
なお、上記10%の境界線上に存在する磁性体は上記「B」として計測する。
次いで、以下の式により、1つのトナー粒子の断面における磁性体の10%比率を算出する。
1つのトナー粒子の断面における磁性体の10%比率={「B」/「A」}×100(%)
上述のように、本発明においては、該磁性体の10%比率が65面積%以上存在する該トナー粒子の割合が、70個数%以上であることが好ましい。
該個数%の具体的な算出方法は、一つの視野に、100個のトナー粒子の断面が観察できる視野を選定し、その100個の各トナー粒子について、10%比率を計算する。そして、10%比率が65面積%以上であるトナーの個数「C」をカウントし、その値「C]が当該個数%である。
<トナー中の結晶性物質に由来する結晶化温度の測定>
アニール処理する場合に好適なアニール温度を知る上で、指標となる結晶性物質の結晶化温度の測定について記載する。
まず、結晶性ポリエステルやワックスの単体でも結晶化ピークを求めることが可能であるため、その手法から記載する。
結晶性ポリエステル又はワックスの結晶化温度及び発熱曲線は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料を1.00mg秤量し、アルミニウム製のパンに入れ、対照用に空のアルミニウム製のパンを用い、下記測定条件で測定を行う。
・測定モード:Standard
・昇温条件:10℃/minで、20℃から100℃へ昇温する。
・降温条件:0.5℃/minで、100℃から20℃へ降温する。
得られた結果をもとに、温度―Heat Flowのグラフを作成し、降温時の結果より、結晶性ポリエステル又はワックスの発熱曲線を得る。該発熱曲線において、最大発熱ピークのピーク温度を結晶化温度とする。
トナーから、結晶性ポリエステル又はワックスの結晶化温度を得るには、トナーから上述ように単離作業を行い、得られた単体を上記方法により分析するとよい。
以下、本発明を製造例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中で記載されている「部」及び「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<結晶性ポリエステル1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、カルボン酸モノマー1としてセバシン酸100.0部、カルボン酸モノマー2としてステアリン酸1.6部、アルコールモノマーとして1,9−ノナンジオール89.3部、を投入した。
窒素雰囲気下で、撹拌しながら140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら8時間反応させた。次いで、ジオクチル酸スズを0.57部添加した後、200℃まで10℃/時
間で昇温しつつ反応させた。さらに、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で分子量を見ながら反応させて結晶性ポリエステル1を得た。得られた結晶性ポリエステル1の物性を表1に示す。
<結晶性ポリエステル2〜9の製造>
結晶性ポリエステル1の製造において、アルコールモノマー、カルボン酸モノマー1及び2を表1のように変更し、反応時間及び反応温度を所望の物性になるように調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル2〜9を得た。得られた結晶性ポリエステルの物性を表1に示す。
Figure 0006878132
<磁性酸化鉄の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50Lに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55Lを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過及び洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散して、再分散液を得た。
この再分散液に、コア粒子100部あたりケイ素換算で0.20部となるケイ酸ソーダを添加し、再分散液のpHを6.0に調整し、撹拌することでケイ素が豊富な表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにて、ろ過及び洗浄した後、さらにイオン交換水に再分散して再分散液を得た。
この再分散液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイ
オン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにて、ろ過及び洗浄し、乾燥及び解砕して一次粒子の個数平均粒径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
<シラン化合物1の製造例>
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。得られた水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間攪拌して、iso−ブチルトリメトキシシランの加水分解を行った。その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させ、シラン化合物1を含有する水溶液を得た。
<シラン化合物2の製造例>
シラン化合物1の製造例において、iso−ブチルトリメトキシシランをn−ヘキシルトリメトキシシランに変更し、加水分解時のpHを4.5に調整した以外は同様にして、シラン化合物2を含有する水溶液を得た。
<磁性体1の製造例>
100部の磁性酸化鉄をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、8.0部のシラン化合物1を含有する水溶液を2分間かけて滴下した。その後、5分間混合及び撹拌した。
次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。
その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して磁性体1を得た。
<磁性体2の製造例>
磁性体1の製造例において、シラン化合物1を含有する水溶液の代わりにシラン化合物2を含有する水溶液を用いた以外は同様にして、磁性体2を得た。
<非磁性トナー用の着色剤1>
非磁性トナー用の着色剤としては、市販のカーボンブラック1を着色剤として用いた。該カーボンブラック1(表中ではCB1と表記した)の性状は、一次粒子の個数平均粒径が31nm、DPB吸油量が40mL/100g、仕事関数が4.71eVであった。
本実施例及び比較例で使用したワックスについて、以下、表2に示す。
Figure 0006878132
<トナー母粒子1の製造例>
イオン交換水720部にNaPO水溶液(0.1モル/L)450部を投入して60℃に加温した。その後、CaCl水溶液(1.0モル/L)67.7質量部を添加して、クレアミックス(エムテクニック製)を用いて、1,200r/minにて撹拌し水系媒体を調製した。
(磁性体分散工程)
・スチレン 76.0部
・n−ブチルアクリレート 24.0部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 0.65部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・磁性体1 90.0部
・非晶性飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸との縮重合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂;数平均分子量(Mn)=5000、酸価=6mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)=68℃)
上記処方を、キャビトロン(ユーロテック社製)を用いて、回転子の周速を35m/sにて2時間処理を行い、均一に分散混合して磁性体含有重合性単量体を得た。
(重合性単量体組成物調製工程)
磁性体分散工程で得られた磁性体含有重合性単量体を63℃に加温し、下記原料を添加し、キャビトロン(ユーロテック社製)を用いて、回転子の周速を35m/sにて1時間処理を行い、重合性単量体組成物を得た。
・結晶性ポリエステル1 7.0部
・ワックス3 10.0部
・ワックス7 5.0部
(造粒工程及び重合工程)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてク
レアミックス(エムテクニック製)を用いて1,200r/minにて7分間撹拌し、重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。その後、13分間撹拌して造粒した。次に、パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間重合反応を実施した。反応終了後、樹脂粒子を含む分散体を100℃まで昇温して、2時間保持した。
(冷却工程)
その後、冷却工程として、該分散体に常温の水を投入し、150℃/分の速度で分散体を100℃から50℃まで冷却した後、50℃で100分間保持し、常温(以下、30℃以下を常温とする)まで放冷した。なお、結晶性ポリエステル1の結晶化温度は53℃であった。
その後、分散体に塩酸を加えて十分洗浄することで分散剤を溶解し、濾過及び乾燥してトナー粒子1を得た。トナー粒子のガラス転移温度(Tg)は56℃であった。トナー母粒子1の処方及び製法を表3に示す。
<トナー1の製造例>
100部のトナー母粒子1と、BET比表面積が300m/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8部とをヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合してトナー1を得た。トナー1の物性を表4に示す。
<トナー母粒子2〜11、及び、比較トナー母粒子1〜7の製造例>
トナー母粒子1の製造例において、トナー母粒子の処方及び製法を表3に示すように変更した以外は、トナー母粒子1の製造例と同様にして、トナー母粒子2〜11、比較トナー母粒子1〜7を得た。
<トナー母粒子12〜14の製造例>
トナー母粒子1の製造例において、磁性体1の代わりに、カーボンブラック1を使用し、トナー母粒子の処方及び製法を表3に示すように変更した以外は、トナー母粒子1の製造例と同様にして、トナー母粒子12〜14を得た。
なお、トナー母粒子1〜14、および比較トナー母粒子1〜7のいずれも、ガラス転移温度は54〜57℃の範囲であり、重量平均粒径(D4)は6.5〜9.0μmであった。
なお、表3中の「冷却速度」について詳述する。
「150℃/分」という条件(表3中において「1」と記載する)は、トナー粒子1の製造例にあるように、冷却工程において、150℃/分の速度で分散体を100℃から結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで冷却した後、同温度で100分間保持し、常温まで放冷することを示す。
結晶性ポリエステルの結晶化温度は事前に確認することによって、冷却工程の停止温度及び保持温度を決定した。
同様に、「100℃/分」という条件(表3中において「2」と記載する)は、冷却工程において、100℃/分の速度で分散体を100℃から結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで冷却する以外は上記同様に保持、放冷することを示す。同様に、「50℃/分」という条件(表3中において「3」と記載する)は、冷却工程において、50℃/分の速度で分散体を100℃から結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで冷却する以外は上記同様に保持、放冷することを示す。
「アニール」という条件(表3中において「4」と記載する)は、冷却工程において、100℃から0.5℃/分の速度で結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで降温し、その温度(結晶化温度±3℃)において、3時間保持し、その後常温まで放冷することを示す。
「アニール短」という条件(表3中において「5」と記載する)は、冷却工程において、100℃から0.5℃/分の速度で結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで降温し、
その温度(結晶化温度±3℃)において、20分間保持し、その後常温まで放冷することを示す。
「徐冷」(表3中において「6」と記載する)は、冷却工程において、100℃から0.5℃/分の速度で常温まで冷却することを示す。
一方、表3中の「攪拌装置」について、表3中における「2」という表記は、上記キャビトロン(ユーロテック社製)(表3中において「1」と表記)の代わりに、クレアミックスディゾルバー(エムテクニック社製)の使用を意味する。
<トナー2〜14及び、比較トナー1〜7の製造例>
トナー1の製造例において、トナー母粒子をトナー母粒子2〜14及び比較トナー母粒子1〜7に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜14及び比較トナー1〜7を得た。得られたトナーの物性について、表4に示す。
Figure 0006878132
表3中において、「架橋剤」は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートである。
また、「非晶性ポリエステル」は、非晶性飽和ポリエステル樹脂;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸との縮重合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂;数平均分子量(Mn)=5000、酸価=6mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)=68℃、である。
Figure 0006878132
表4中、
Aは、「ワックスの含有量に対する結晶性ポリエステルの含有量の比」を表す。
小ドメインの「長径」とは、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面における「結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径」を、大ドメインの「最大径」とは、走査透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面における「ワックスのドメインの最大径」を表す。
Bは、トナー粒子の断面の面積に対するワックスのドメインの面積の割合(面積%)を表す。
Cは、10%比率が65面積%以上であるトナー粒子の割合(個数%)を表す。
<実施例1>
(評価1;高温の苛酷環境下に放置された後のカブリ)
画像形成装置として、LBP−6300(キヤノン製)を用いた。
カートリッジには、直径14mmの現像スリーブから直径10mmの現像スリーブに変更した改造カートリッジを用いた。
小径の現像スリーブを搭載したカートリッジを用いる場合、現像スリーブと現像ブレードの間のニップが狭くなり、トナーの帯電付与性が不利となるため、カブリを厳しく評価することができる。
トナー1を充填した該改造カートリッジを用いて、低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて、印字率4%の横線チャートを出力したのち、ベタ白画像を2枚プリントし、2枚目のカブリを以下の方法により測定した。このときのカブリ値を、苛酷環境放置前のカブリとした。
次に、このトナー1を充填した改造カートリッジを高温環境下(50℃/55%RH)に、12時間放置し、苛酷環境の履歴を与えた。このトナー1を充填した改造カートリッジを用いて、低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて、印字率4%の横線チャートを出力したのち、ベタ白画像を2枚プリントし、2枚目のカブリを以下の方法により測定した。このときのカブリ値を、高温の苛酷環境下に放置された後のカブリとした。
まず、カブリの測定方法を示す。上記2枚目のベタ白画像の反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを用いて測定した。一方、べた白画像を形成する前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、
グリーンフィルターを用いた。そして、下記式を用いてカブリ(反射率%)を算出した。カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−2枚目のベタ白画像の反射率(%)
なお、判断基準は以下の通りである。
A:1.0%未満
B:1.0%以上1.5%未満
C:1.5%以上2.5%未満
D:2.5%以上
(評価2;後端オフセット)
画像形成装置として、評価1で使用した改造機を用い、さらに定着器の温調を10℃下げるように定着器の設定を変更した。また、カートリッジは評価1で使用した改造カートリッジを用いた。
高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)において、評価間には定着器を取り外し、定着器を、扇風機などを使用して十分に冷やした状態で以下の評価を実施した。
評価後に定着器を十分に冷やしておくことで、画像出力後に上昇した定着ニップ部の温度が冷やされることで、トナーの定着性を厳しく、さらに再現良く評価することが可能である。
後端オフセットを評価するに際して、記録材として、キヤノン製A4サイズOceRedLabel紙(坪量80g/m)を上記高温高湿環境下に48時間以上放置したものを使用した。
比較的重く、かつ、表面粗さの大きい紙を使用し、さらに高温高湿環境下に放置した紙(放置紙)を使用することで、後端オフセットを厳しく評価することが可能である。
トナー1を用いて、定着器が十分に冷えた状態で、上記放置紙にベタ黒画像を出力した。この際、紙上のトナーの載り量を9g/mとなるように調節した。
トナー1の評価結果においては、ポツ抜け画像のない良好なベタ黒画像が得られた。
後端オフセットの判断基準は、上記の手順で出力したベタ黒画像についてポツ抜けのレベルを目視で評価した。なお、判断基準は以下の通りである。
A:ポツ抜けが全くない (非常に良好)
B:よく見るとポツ抜けが若干見られる (良好)
C:ポツ抜けが見られるが目立たない (普通)
D:ポツ抜けが目立つ (劣る)
(評価3;ハーフトーン画像を出力した場合の濃度ムラ)
画像形成装置として、評価1で使用した改造機を用い、さらに定着器の温調を10℃上げるように定着器の設定を変更した。また、カートリッジは評価1で使用した改造カートリッジを用いた。
定着器の温調を10℃上げることで、紙の凸部の溶け広がりが強調されるために、濃度ムラについてより厳しく評価することができる。
また、ハーフトーン画像の濃度ムラを評価するに際して、記録材として、キヤノン製A4サイズOceRedLabel紙(坪量80g/m)を使用した。
比較的表面粗さの大きい紙を使用することで、ハーフトーン画像の濃度ムラを厳しく評価することが可能である。
ここで、ベタ黒画像における、トナーの載り量が9g/mとなる際の中間調画像(ハーフトーン)の濃度ムラを、下記基準に従い評価した。
A:濃度ムラが全く目立たない (非常に良好)
B:よく見ると濃度ムラが若干見られる (良好)
C:濃度ムラがあるがあまり目立たない (普通)
D:濃度ムラが目立つ (劣る)
<実施例2〜14、比較例1〜7>
実施例1にて、トナー1を、トナー2〜14、及び、比較用トナー1〜7に変更したこと以外は実施例1と同様に各種評価を行った。なお、実施例12〜14及び比較例5においては、画像形成装置を非磁性トナーで出力できるように改造したうえで評価を実施した。これらの評価結果を表5に示す。
Figure 0006878132
1:ワックスのドメイン、2:結晶性ポリエステルのドメイン、3:トナー断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の10%の境界線、4:磁性体、A2:ケーシング、A8:ホールディングタンク、A10:循環ポンプ、A22:固定子、A25:回転子、100:静電潜像担持体(感光体)、102:トナー担持体、103:現像ブレード、114:転写部材(転写帯電ローラー)、116:クリーナー容器、117:帯電部材(帯電ローラー)、121:レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、123:レーザー、124:ピックアップローラー、125:搬送ベルト、126:定着器、140:現像器、141:撹拌部材

Claims (8)

  1. 結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結晶性ポリエステルの融点P(t)が、65.0℃以上80.0℃以下であり、
    該トナーの動的粘弾性測定において得られる貯蔵弾性率G′について、
    50℃でのG′をG′(50)、
    80℃でのG′をG′(80)、
    120℃でのG′をG′(120)、及び、
    該結晶性ポリエステルの融点P(t)でのG′をG′(t)としたとき、以下の式(1)〜式(3)の全てを満足し、
    4.2×10Pa≦G′(50) (1)
    3.0×10≦G′(50)/G′(80) (2)
    G′(t)/G′(120)≦7.0×10 (3)
    走査透過型電子顕微鏡による該トナー粒子の断面観察において、該トナー粒子の断面に、該結晶性ポリエステルが該ワックスを被覆した形のドメインが存在する
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶性ポリエステルの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、3.0質量部以上15.0質量部以下であり、
    前記ワックスの含有量に対する該結晶性ポリエステルの含有量の比が、質量基準で、0.30以上1.00以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂を含有し、
    該結着樹脂中のスチレンアクリル系樹脂の含有量が、50質量%以上100質量%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂中のスチレンアクリル系樹脂の含有量が、100質量%である、請求項3に記載のトナー。
  5. 前記ワックスが、エステルワックスを含有する、請求項14のいずれか項に記載のトナー。
  6. 前記結晶性ポリエステルが、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸から選ばれる酸モノマー由来の構造を分子鎖末端に有するポリエステルである、請求項1〜5のいずれか項に記載のトナー。
  7. 前記結晶性ポリエステルが、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、及び脂肪族モノカルボン酸の縮合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記脂肪族モノカルボン酸が、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸から選ばれる脂肪族モノカルボン酸である請求項7に記載のトナー。
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