結着樹脂、着色剤、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有する本発明のトナーは、
i)該離型剤の含有量に対する該結晶性ポリエステルの含有量の比が0.20以上0.95以下であること;
ii)該離型剤を示差走査熱量計(DSC)を用いて180℃まで昇温した後、降温する過程で得られるDSC曲線の最大発熱ピーク温度をTcw、該結晶性ポリエステルを示差走査熱量計(DSC)を用いて180℃まで昇温した後、降温する過程で得られるDSC曲線の最大発熱ピーク温度をTcp、
該トナーの軟化温度をTsとしたとき、該Tcw、該Tcpおよび該Tsが下記式(1)を満たすこと;
Tcp<Ts<Tcw 式(1)
iii)該トナーを示差走査熱量計(DSC)を用いて180℃まで昇温した後、降温する過程で得られるDSC曲線の最大発熱ピーク温度をTc(max)としたとき、該Tsと該Tc(max)とが下記式(2)を満たすことを特徴とするものである。
Tc(max)<Ts 式(2)
本発明者らが鋭意検討した結果、離型剤の最大発熱ピーク温度がトナー化前後でトナー軟化温度を挟んで移動するようトナー材料および内部構造を制御すると、画像濃度ムラに対して顕著な効果があることを見出した。更に、温度変化が大きい環境下における保存性にも優れることを見出し、本発明に至った。
本発明で課題としている画像濃度ムラは、ベタ画像の如き印字率が高い画像を特に速いプロセススピードにおいて連続通紙した際に起こるベタ画像内の濃度ムラである。これは、通紙時の定着器の温度や紙の厚み等の振れによりトナーが受ける熱量が変動し、溶け具合がばらつくことで起こる。こうした、ばらつきの要因としては樹脂物性やトナー形状の振れなども考えられるが、本発明者らは可塑化速度および可塑能力の振れに着目した。可塑は一般に離型剤や結晶性ポリエステルといった可塑能力を有する材料(以下、可塑剤とも言う)が樹脂に相溶することによって起こる。可塑剤の存在状態と画像濃度ムラの関係を詳細に検討した結果、離型剤と結晶性ポリエステルが相溶したドメイン(以下、相溶ドメインとも言う)を形成することが非常に有効であった。これは、従来は離型剤と結晶性ポリエステルは独立して存在していたため、粒子間でそれらの存在状態や含有量にもばらつきが生じ、可塑化速度や可塑能力に影響したためと考えている。
こうした相溶ドメインに関して更に詳細に検討した結果、DSCの発熱側の挙動において、特徴的な挙動を取ることがわかった。まず、離型剤の最大発熱ピーク(以下、結晶化温度とも言う)に関して、トナー化する前後で最大発熱ピークが低温側に大きく動き、結晶性ポリエステルの最大発熱ピークとほぼ同位置にまでシフトし、最大発熱ピークTc(max)を形成する。これは、離型剤が結晶性ポリエステルと十分に相溶したことを示している。
このとき、離型剤と結晶性ポリエステルの材料としての最大発熱ピーク温度に関して、結晶性ポリエステルより離型剤の方が高温である必要がある。後述するが、離型剤の最大発熱ピーク温度は少なくとも結晶性ポリエステルの最大発熱ピーク温度およびトナーの軟化温度よりも高い必要がある。一般に、結晶性ポリエステルの融点と結晶化温度は温度差が大きく、10℃差以上あることが多いが、離型剤は差が小さい。トナーの軟化温度はトナーのガラス転移温度と相関することが多く、保存性に影響が大きい物性値である。そのため、離型剤の結晶化温度が軟化温度を下回ることは、少なくともトナーのガラス転移温度付近に離型剤の融点があることになる。そのため、保存性が顕著に悪化しており、好ましくない。
また、結晶性ポリエステルよりも離型剤の結晶化温度を高く設定すると、トナー製造において相溶ドメインを形成させ、ドメインの結晶化を進める場合、離型剤が先に結晶化すると結晶性ポリエステルの結晶化が迅速に進み、高結晶化度になりやすい傾向である。更に、両者の結晶化温度が軟化温度を下回ると、トナー製造において結着樹脂成分は軟化温度以下で実質的に動かなくなるため、離型剤と結晶性ポリエステルが寄り集まって結晶成長することができ、より高結晶化度のドメインを形成しやすい。
上述の理由により、上記式(1)を満たすことが重要である。また、離型剤の最大発熱ピークが結晶性ポリエステルの最大発熱ピーク位置までシフトし、トナーとしての最大発熱ピークTc(max)を形成することは式(1)と式(2)によって表されており、2式を同時に満たすことが必要である。
上記2式に関わるTsはトナーの樹脂成分の構造、特にスチレンアクリル系樹脂を使用する場合、スチレンとアクリル成分の比率で制御が出来る。Tcw,Tcpに関しては、使用する離型剤および結晶性ポリエステルの種類によって制御できる。また、離型剤の最大発熱ピークがシフトするかどうかは、後述する離型剤と結晶性ポリエステルの含有量比や、離型剤と結晶性ポリエステルの種類、結着樹脂の構造、トナー製造条件(特に、冷却方法)によって制御出来る。
また、離型剤が結晶性ポリエステルと十分に相溶するためには両者の含有量比を調整する必要があった。具体的には、離型剤の含有量に対する該結晶性ポリエステルの含有量の比が0.20以上0.95以下である。これは、離型剤が結晶性ポリエステルよりも多く含有されていることを示しており、上記比率である場合に相溶ドメインを形成する傾向であった。これは、離型剤は比較的低分子量成分であるために結晶性ポリエステルの分子鎖間に入り込みやすく、離型剤が多い場合にのみ両者の相溶が進みやすいと考えている。
以下、本発明のトナーに関して、好ましい形態について説明する。
本発明のトナーは、離型剤由来の最大発熱ピークがトナー化前後で大きくシフトする。このとき、トナーのDSC曲線において、離型剤由来のピークは殆ど無くなっていることが好ましい。具体的には、トナーのDSC曲線において、該離型剤由来の発熱量(J/g)は、離型剤の含有量から算出される理論発熱量(J/g)に対して20%以下である。これは、離型剤単独のドメインが少ないことを示しており、相溶ドメインの結晶化が安定する傾向であることで画像濃度均一性にも優れるため、好ましい。
また、上述したように相溶ドメインを高結晶化度で得ることは重要である。結晶化度は具体的には、該トナーのDSC曲線において、20℃〜100℃の領域における総発熱量(J/g)は、該離型剤および該結晶性ポリエステルの含有量から算出される理論総発熱量(J/g)に対して60%以上である。これは、離型剤と結晶性ポリエステルを合わせた結晶化度が60%以上であることを示しており、高結晶化度であれば保存性も良化傾向であるため好ましい。より好ましくは65%以上である。
次に、本発明のトナーの最大発熱ピークについて好ましい範囲を述べる。Tc(max)は相溶ドメイン由来のピークであり、トナーの発熱量の大部分を占めることが好ましい。具体的には20℃〜100℃の領域における総発熱量(J/g)に対して、該Tc(max)を有する発熱ピークの発熱量(J/g)の比が、0.50以上1.00以下であり、より好ましくは0.65以上1.00以下である。この範囲であると、相溶ドメイン量が十分確保されており、画像濃度均一性が高まるため、好ましい。
本発明のおけるトナーの軟化温度は、60℃以上72℃以下が好ましく、より好ましくは63℃以上68℃以下である。この範囲であると、画像濃度均一性と保存性のバランスが取りやすい。
また、軟化温度とTc(max)の差は5℃を超えていると、画像濃度均一性に優れる傾向であり、好ましい。これは、トナー製造工程において、結着樹脂が十分固まってから相溶ドメインの結晶化が開始されると、相溶ドメイン量も十分結晶成長できるためであると考えている。
一方、結晶性ポリエステルの最大発熱ピーク温度Tcwと、Tc(max)の差は15℃を超えていると、保存性に優れる傾向であり、好ましい。これは、結晶化温度が高い方が結晶化しやすいと考えられるため、離型剤が結晶性ポリエステルの結晶化を促進しやすいためと考えられる。
結着樹脂に関してはスチレンアクリル系樹脂を主成分とすると、離型剤や結晶性ポリエステルのドメインを安定的に作り易いため、好ましい。ここで、主成分とは、70%以上の成分を指す。画像の安定性の観点から、80%以上がより好ましく、更に好ましくは90%以上である。
本発明で使用出来る結晶性ポリエステルについて述べる。
本発明の結晶性ポリエステルは公知のものを使用出来るが、飽和ポリエステルであると好ましい。更に、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、更に脂肪族モノカルボン酸の縮合物であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸は分子量や水酸基価の調整がし易くなることに加えて、離型剤との親和性を制御出来るため、好ましい形態である。下記には結晶性ポリエステルが脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族モノカルボン酸の縮合物であり、且つ飽和ポリエステルである場合について使用出来るモノマーを例示する。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)等が挙げられる。
本発明で使用する結晶性ポリエステルは、末端にラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸から選ばれる酸モノマー由来の構造を持つポリエステルであると、離型剤および離型剤を覆う結晶性ポリエステルのドメインが熱的に安定化傾向であるため、好ましい。
本発明で使用する結晶性ポリエステルの融点は、55℃以上90℃以下である。ただし、最大発熱ピーク温度がトナー軟化温度を上回らない範囲にする必要がある。融点は、使用するカルボン酸成分、アルコール成分の組み合わせで決まるため、上記範囲に入るよう、適宜選択する。
本発明に用いられる結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
前記触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。
結晶性ポリエステルは重量平均分子量(Mw)が10000以上55000以下であることが好ましく、25000以上50000以下であることがより好ましい。トナー製造工程において、結晶性ポリエステルを結着樹脂と相分離させやすく、現像性に優れる傾向があるためである。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。
また、結晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)は、トナー内への分散性を考えた場合に低く制御しておくことが好ましく、具体的には8.0以下である。より好ましくは5.0以下であり、更に好ましくは3.5以下、特に好ましくは3.0以下である。
次に、離型剤について述べる。
本発明に用いる離型剤の結晶化のピーク温度は、50℃以上90℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上90℃以下であり、更に好ましくは65℃以上85℃以下である。
離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
本発明においては、炭化水素系ワックスと脂肪酸エステルを主成分とするワックス(以下、エステルワックス)を併用すると、結晶性ポリエステルとの親和性を制御しやすく、好ましい。
以下に、本発明に好適に用いることの出来るエステルワックスを挙げる。なお、以下で述べる官能数は、1分子中に含まれるエステル基の数を示している。例えば、ベヘン酸ベヘニルであれば1官能のエステルワックスであり、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートであれば6官能のエステルワックス、と呼ぶ。
1官能のエステルワックスとしては、炭素数6〜12の脂肪族アルコールと長鎖カルボン酸の縮合物や、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸と長鎖アルコールの縮合物が使用出来る。ここで、長鎖カルボン酸や長鎖アルコールは、任意のものが使用出来るが、本発明の融点を満たし得るようなモノマーを組み合わせる必要がある。
脂肪族アルコールの例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が挙げられる。
2官能のエステルワックスとしては、ジカルボン酸とモノアルコール、ジオールとモノカルボン酸の組み合わせが使用出来る。
ジカルボン酸としてアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。
ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
ジカルボン酸と縮合させるアルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましい。具体的には、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール等が挙げられる。中でも、ドコサノールは定着性や現像性の観点で好ましい。
ジオールと縮合させるカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸が好ましい。具体的には、脂肪酸としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。中でも、ベヘン酸は定着性や現像性の観点で好ましい。
なお、ここでは直鎖脂肪酸、直鎖アルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。
3官能以上のエステルワックスも使用出来る。ここでは、3官能以上のエステルワックスを得る場合の例を挙げる。
3官能のエスエルワックスとしては、グリセリン化合物と1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。4官能のエステルワックスとしては、ペンタエリスリトールと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物、ジグリセリンとカルボン酸の縮合物が挙げられる。5官能のエステルワックスとしては、トリグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。6官能のエステルワックスとしては、ジペンタエリスリトールと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物、テトラグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。
本発明に適用される離型剤として、2〜6価のアルコールとモノカルボン酸の縮合物、またはモノアルコールと2〜6価のカルボン酸の縮合物として得たエステルワックスを含有すると好ましい。
本発明で用いる結晶性ポリエステルの構造および含有量、離型剤の含有量は下記のような分析方法があるため、例として述べる。まず、トナーをテトラヒドロフランによって抽出して、大部分の樹脂成分を除去する。ここで、外添剤等、樹脂分以外のものは比重差を利用して遠心分離で除去しておく。残った樹脂分は、結晶性ポリエステルと離型剤の混合物であるため、分取型LCにより結晶性ポリエステルおよび離型剤をそれぞれ単離し、核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)等の構造解析することで、構造を特定する。また、重量を測定することで離型剤と結晶性ポリエステルの総量を知ることができる。
結晶性ポリエステルの含有量を得るには、トナーと分取後の結晶性ポリエステルそれぞれの核磁気共鳴分光分析結果を見比べ、結晶性ポリエステル特有のピークと結着樹脂由来のピークの面積比を取ることで得られる。
また、結晶性ポリエステルは、適宜使用量を振ることが出来るが、本発明においては結着樹脂成分に対する量比が3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5.0質量%以上15質量%以下である。この範囲であると、現像性と画像濃度均一性、保存性をバランス良く改善しやすい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン−アクリル酸ブチルに代表されるスチレン系共重合体が現像特性、定着性等の点で好ましい。
上記スチレン系共重合体を形成する重合性単量体としては、以下のものが例示できる。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンの如きスチレン系重合性単量体が挙げられる。
アクリル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体が挙げられる。
メタクリル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体が挙げられる。
なお、スチレン系共重合体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。結着樹脂全量に対するスチレン系共重合体の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。また、結着樹脂は非晶質ポリエステル等、公知の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられる着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、及び、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。 イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、および磁性粉体を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
本発明のトナーに関しては、上記の中でもトナー製法への適用し易さの観点で磁性粉体が好ましい。本発明のトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能であるが、水系媒体中で製造することが好ましい。
本発明のトナーに磁性粉体を用いる場合、磁性粉体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2m2/g以上30m2/g以下であることが好ましく、3m2/g以上28m2/g以下であることがより好ましい。また、モース硬度が5以上7以下のものが好ましい。磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性粉体は、個数平均粒径が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。一般に磁性粉体の粒径は小さい方が着色力は上がるものの磁性粉体が凝集しやすくなるため、上記範囲が着色力と凝集性のバランスの観点で好ましい。
なお、磁性粉体の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明のトナーに用いられる磁性粉体は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5以上10以下に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性粉体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性粉体を得ることができる。
また、本発明において水系媒体中でトナーを製造する場合、磁性粉体表面を疎水化処理することが非常に好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・ろ過・乾燥した磁性粉体にカップリング剤処理を行う。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、カップリング処理を行う。本発明においては、乾式法及び湿式法どちらも適宜選択出来る。
本発明における磁性粉体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1から3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1から3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
本発明においては、一般式(I)のYがアルキル基であるものが好ましく用いることが出来る。中でも好ましいのは、炭素数3以上6以下のアルキル基であり、特に好ましくは3又は4である。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、或いは複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性粉体100質量部に対して0.9質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが重要である。
本発明では、磁性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、上記した公知の染料及び顔料の他、磁性又は非磁性の無機化合物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、又はこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金。ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いることが好ましい。
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は以下の通りである。窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
本発明のトナー、必要に応じて荷電制御剤を用いることもできる。荷電制御剤としては公知のものが利用できるが、摩擦帯電速度が速く、かつ一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が求められる。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、例えば以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、および、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
上記の荷電制御剤は、単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
また、荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることが好ましい。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは共重合比で5質量%以上含有することである。荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mn)が25,000以上50,000以下であるものが好ましい。この荷電制御樹脂を用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
本発明によって製造されるトナーの重量平均粒径(D4)は3.0μm以上12.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上10.0μm以下である。重量平均粒径(D4)が3.0μm以上12.0μm以下であると良好な流動性が得られ、潜像に忠実に現像することが出来る。
本発明のトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、エステルワックス、低融点物質、荷電制御剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサ、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
本発明のトナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能である。さらに乳化凝集法によっても製造することができる。本発明のトナーは結晶性ポリエステルや離型剤の存在状態を制御する上でも水系媒体中でトナーを製造することが好ましい。ただし、粉砕法で製造する場合、結晶性ポリエステルと離型剤は均一に樹脂に分散していくため、接触機会が少なくなりやすい。そのため、相溶ドメインを形成されるための製法上の工夫が必要である。また、乳化凝集法の場合にも、結晶性ポリエステルと離型剤が相溶した乳化粒子を作成し、更に凝集後に熱を極力掛けずトナー化するための工夫が必要である。一方、懸濁重合法は結晶性ポリエステルおよび離型剤の融点以上まで加熱し、注意深く冷却することで相溶ドメインを得ることができるため、好ましい。
以下に、懸濁重合法について述べる。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンを単独で、或いは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーの重合法による製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量5,000から50,000の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーを重合法により製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
本発明のトナーを製造する場合には、分散剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下を使用することが望ましい。また、上記分散剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50から90℃の温度に設定される。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべきエステルワックスが相分離により析出して内包化がより完全となる。
上記重合性単量体の重合終了して着色粒子を得た後、着色粒子が水系媒体に分散した状態で、結晶性ポリエステル及び離型剤の融点を超える温度まで、昇温させる。重合温度が上述の融点を超えている場合、この操作は必要ない。
その後の冷却速度に関して、重合法だけでなくトナー製造方法全般について本発明における好ましい範囲を述べる。
結晶性ポリエステルを結晶化させる目的でトナーの製造方法に関して着目すると、例えば粉砕法や懸濁重合、乳化重合によってトナーを製造する場合、一度結晶性ポリエステルやエステルワックスが融解するような温度まで昇温し、その後常温まで冷却する工程を含むことが多い。冷却工程について考えると、昇温によって液化した結晶性ポリエステルは温度が下がるにつれて分子運動が鈍くなり、結晶化温度付近に到達すると結晶化が始まる。更に冷却すると結晶化が進み、常温では完全に固化する。本発明者らの検討によると、冷却速度によって結晶性ポリエステルが最終的に結晶化する量が異なることが分かった。具体的には、結晶性ポリエステルの融点以上の温度から50℃±5℃まで5.0℃/分以上の速度で冷却し、更にトナーのガラス転移温度Tgに対して±10℃の領域で30分以上保持すると、相溶ドメインを保ったまま結晶量が高まる傾向であった。本発明者らの検討によると、こうした冷却条件と、上述した結晶性ポリエステル、離型剤の種類と量を組み合わせた場合に相溶ドメインを持った本発明の効果を奏するトナーが得られる。なお、冷却速度に関しては、より好ましくは10.0℃/分以上であり、保持する時間に関してはより好ましくは60分以上、更に好ましくは90分以上である。
得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、後述するような無機微粉体を必要に応じて混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明のトナーは上述したような製造方法によって得たトナー粒子に対して、必要に応じて流動化剤等の添加剤を混合し、トナーとする。混合方法に関しては、公知の手法を用いることが出来、例えばヘンシェルミキサは好適に用いることのできる装置である。
本発明のトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径が4nm以上80nm以下、より好ましくは6nm以上40nm以下の無機微粉体がトナー粒子に添加されることが好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。シリカ微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
個数平均1次粒径が4nm以上80nm以下の無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%超では定着性が悪くなる。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において無機微粉体は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。無機微粉体の疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤;または逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤の表面を疎水化処理して用いることも可能である。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図1に沿って具体的に説明する。図1において、100は感光ドラムであり、その周囲に一次帯電ローラー117、現像スリーブ102を有する現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナー116、レジスタローラー124等が設けられている。感光ドラム100は一次帯電ローラー117によって例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光ドラム100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
次に、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
[1]結晶性ポリエステル、離型剤およびトナーの最大発熱ピーク温度
結晶性ポリエステル、離型剤およびトナーの最大発熱ピーク温度は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行った。測定条件は、昇温速度:10℃/min、測定温度範囲は20℃〜180℃とし、スタンダードモードで測定した。試料は約2mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、示差走査熱量測定を行った。本発明の最大発熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も発熱量の大きいピークをいう。測定後、得られたDSC曲線から、最大発熱ピークのピークトップの温度を解析し、最大発熱ピーク温度とした。なお、例えば離型剤を複数種含む場合には、単体を入手し、トナー中の含有量と同じ比率で離型剤を粉砕、均一混合して測定する。結晶性ポリエステルを複数含む場合も同様に行う。
[2]Tc(max)を有する発熱ピークの発熱量、離型剤由来の発熱量、離型剤の理論発熱量、理論総発熱量
前記[1]で得られたDSC曲線において、Tc(max)を有する発熱ピークの区切り方について述べる。ピークは、谷(極小値)があればそこで区切る。明確な谷が無い場合、例えばTc(max)の高温側には谷があるが、低温側には無い場合、低温側はTc(max)−5℃の部分で区切る。図2にDSC曲線の解析方法について一例を示した。ここでは、50℃にTc(max)が存在し、結晶化温度70℃の離型剤を使用した場合のチャートを示している。この場合、点線で区切ってそれぞれの発熱量を算出する。なお、離型剤に関しては明確な谷がないため、±5℃の領域で区切っている。
離型剤由来の発熱量に関しては、まず離型剤の材料単体としての最大発熱ピーク温度を測定しておく。トナー中に存在する離型剤の単離方法、同定方法については前述した測定例の通りである。次に、離型剤の最大発熱ピーク温度を中心としたピークを探し、ピークがあれば谷の部分で区切って発熱量を計算する。明確な谷がなければ、離型剤の最大発熱ピーク温度±5℃の領域の発熱量を離型剤由来の発熱量とする。
また、離型剤の発熱量とトナー中の含有量から、全離型剤が結晶化した際の理論発熱量を算出する。同様に結晶性ポリエステルについても行い、結晶性ポリエステルおよび離型剤が全て結晶化した場合の理論総発熱量を算出する。
これらのTc(max)由来の発熱量、離型剤由来の発熱量、離型剤の理論発熱量、理論総発熱量の数値を用いて比を取ることで、各発熱量の比を得ることが出来る。
[3](トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定)
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
[4]結晶性ポリエステルの分子量の測定方法
結晶性ポリエステル、非晶性飽和ポリエステル樹脂およびトナーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で結晶性ポリエステルまたはトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
[5]結晶性ポリエステルの酸価測定方法
本発明における結晶性ポリエステルの酸価は、以下の操作により求められる。基本操作はJIS K0070に属極性樹脂の酸価は以下の方法により測定した。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。極性樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定した。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得た。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとした。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得た。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管した。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求めた。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いた。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解した。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定した。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとした。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出した。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
[6]結晶性ポリエステルの水酸基価測定方法
本発明において、結晶性ポリエステルの水酸基価OHv(JIS水酸基価)は、以下の方法により求める。水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結晶性ポリエステルの水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定される。
[7]結晶性ポリエステルの末端構造の同定
樹脂サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mlを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステル樹脂Aを用いるが、樹脂Aを含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mlを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1ml添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μl、マトリックス溶液50μl、イオン化助剤溶液5μlを混合して、MALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端にモノカルボン酸が結合した構造に対応するピークが存在するか否かを確認する。
[8]トナーの軟化温度(Ts)の測定方法
トナーの軟化温度(Ts)の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出す。この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、軟化温度(Ts)は、流動曲線における最初の極大点とする。
測定試料は、約1.5gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(NT−10
0H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直
径約8mmの円柱状としたものを用いる。
フローテスターCFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:35℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部を示す。
<結晶性ポリエステル1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応槽中に、カルボン酸モノマー1としてセバシン酸(デカン二酸)、カルボン酸モノマー2としてステアリン酸、アルコールモノマーとして1,9−ノナンジオールを用い、触媒としてジオクチル酸スズを使用して所望の物性になるよう、各モノマーの添加量と反応条件を調整して縮合反応を行い、結晶性ポリエステル1を得た。得られた結晶性ポリエステル1の物性を表1に示す。
<結晶性ポリエステル2〜10の製造>
結晶性ポリエステル1の製造において、アルコールモノマーとカルボン酸モノマー1および2を表1のように変更し、所望の物性になるように反応条件、添加量等調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル2〜10を得た。得られた結晶性ポリエステルの物性を表1に付記した。
<結晶性ポリエステル11の製造>
結晶性ポリエステル1の製造において、カルボン酸モノマーをドデカン二酸とフマル酸95:3混合体に変更し、所望の物性になるよう反応条件、添加量等調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル11を得た。得られた結晶性ポリエステル11は重量平均分子量(Mw)が35000、最大発熱ピーク温度60℃、酸価5.3であった。
<結晶性ポリエステル12の製造>
結晶性ポリエステル1の製造において、アルコールモノマーを1,8−オクタンジオールと1,6−ヘキサンジオール56:44混合体に変更し、所望の物性になるよう反応条件、添加量等調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル12を得た。得られた結晶性ポリエステル12は重量平均分子量(Mw)が15000、最大発熱ピーク温度55℃、酸価5.4であった。
<結晶性ポリエステル13の製造>
結晶性ポリエステル1の製造において、アルコールモノマーをエチレングリコールとし、カルボン酸モノマーをドデカン二酸に変更し、更に所望の物性になるよう反応条件、添加量等調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル13を得た。得られた結晶性ポリエステル13は重量平均分子量(Mw)が11000、最大発熱ピーク温度51℃、酸価5.0であった。
<磁性酸化鉄の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過・洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させ、リスラリーした。このリスラリー液に、コア粒子100部あたり珪素換算で0.20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過、洗浄、更にイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過・洗浄し、乾燥・解砕して個個数平均径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
<シラン化合物の製造>
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。その後、この水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間分散させて加水分解を行った。その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させた。こうしてシラン化合物を含有する水溶液を得た。
<磁性体の製造>
磁性酸化鉄の100部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、シラン化合物を含有する水溶液8.0部を2分間かけて滴下した。その後5分間混合・撹拌した。次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、混合物を110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して磁性体を得た。
<トナー粒子1の製造>
イオン交換水720部に0.1モル/L−Na3PO4水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 73.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・磁性体1 95.0部
・非晶性飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる非晶性飽和ポリエステル樹脂;Mw=9500、酸価=2.2mgKOH/g、ガラス転移温度=68℃)
上記処方をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこに表1記載の結晶性ポリエステル1を10部、離型剤としてセバシン酸ジベヘニルを15.0部、HNP−51(日本精蝋社製)5.0部を混合し、溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート5.0部を投入し、70℃に昇温して4時間反応させた。反応終了後、懸濁液を100℃まで昇温させ、2時間保持した。その後、冷却工程として、懸濁液に常温の水を投入し、10℃/分の速度で懸濁液を100℃から50℃まで冷却した後、そのまま二時間保持した。その後、常温まで冷却し、懸濁液に塩酸を加えて十分洗浄することで分散安定剤を溶解させ、濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。製法および処方を表2−1、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<トナー粒子2〜7の製造>
トナー粒子1の製造において、結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー粒子2〜7を製造した。また、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<トナー粒子8の製造>
トナー粒子1の製造において、非晶質ポリエステルを10.0部に変更し、スチレンを69.0部、n−ブチルアクリレートを21.0部とし、結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー粒子8を製造した。
<トナー粒子9の製造>
トナー粒子1の製造において、非晶質ポリエステルを20.0部に変更し、スチレンを62.0部、n−ブチルアクリレートを18.0部とし、結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー粒子9を製造した。また、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<トナー粒子10〜11の製造>
トナー粒子1の製造において、非晶質ポリエステルを25.0部に変更し、スチレンを58.0部、n−ブチルアクリレートを17.0部とし、結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー粒子10〜11を製造した。また、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<トナー粒子12〜14の製造>
トナー粒子1の製造において、非晶質ポリエステルを25.0部に変更し、スチレンを60.0部、n−ブチルアクリレートを15.0部とし、結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー粒子10〜14を製造した。また、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<比較用トナー粒子1〜11の製造>
トナー粒子1の製造において、スチレン、n−ブチルアクリレートの添加量を所望の軟化温度になるよう適宜調整し、更に結晶性ポリエステルおよび離型剤の種類と部数、冷却工程を表2−1に記載の通りに変更した以外は同様にして、比較用トナー粒子1〜11を製造した。また、式(1)及び式(2)の関係を表2−2に示す。
<トナー1〜21、比較用トナー1〜11の製造>
100部のトナー粒子1と、BET値が300m2/gで(一次粒径8nm)の乾式シリカ微粒子にヘキサメチルジシラザン処理を行った疎水性シリカ微粉体0.8部とを三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合してトナー1を得た。
また、トナー粒子1をトナー粒子2〜14、比較用トナー粒子1〜11とすること以外は同様にしてトナー2〜14、および比較用トナー1〜11を得た。いずれのトナーも重量平均粒径(D4)は6.0〜9.0μmであった。
<実施例1>
(初期現像性)
画像形成装置としてLBP3410(キヤノン社製モノクロレーザービームプリンター)を用い、トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃/60%RH)にて1日放置した。紙種としてA4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。常温常湿環境下でベタ画像を連続で5枚出力し、得られたベタ画像5枚を印字画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。それらの最悪値をベタ濃度とし、ベタ濃度が高いほど、現像性が良好であるとして評価を行った。評価結果を表5に記載する。
(画像濃度均一性)
トナー1を用いて、以下の評価を行った。
定着メディアにはFOX RIVER BOND紙(110g/m2)を用い、画像形成装置としては、現像性の評価に用いた画像形成装置をプロセススピードを400mm/sとし、更に現像バイアスも変更できるようにも改造した。評価画像はベタ画像とし、現像バイアスを振ってベタ部の反射濃度を高く設定することで画像上のトナー量を多くし、比較的表面凹凸が大きい厚紙を用いることで、定着工程において紙の凹部やトナー層の下層部のトナーが溶融し難くなるため、均一性に対して厳しくなる。評価環境としても、低温であると定着器が暖まりにくく、厳しい評価となる。
評価手順を以下に示す。まず、画像形成装置を低温低湿環境(温度15℃湿度10%)下に一晩放置した。その後、FOX RIVER BOND紙を用いてベタ画像を印字した時に、画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。)が1.5以上、1.55以下となるように現像バイアスを調整した。さらに低温低湿環境において1時間放置した後に、調整したバイアス設定でベタ画像を50枚出力した後、1枚目、10枚目、25枚目、50枚目の濃度を上端から下端までを等間隔に5分割し、更に左右も等間隔に4分割した領域の濃度を測定した。合計80個の濃度測定値の振れを見ることで、画像濃度均一性を評価した。
A;濃度差が最大0.1以下
B;濃度差が最大0.25以下
C;濃度差が最大0.5以下
D;濃度差が最大0.8以下
E;濃度差が最大0.9以上
(苛酷環境放置の手順)
22℃、90%RHに調整された恒温槽にトナー1を置き、24時間エージング処理を行う。その後、1時間当り17.5℃のペースで昇温させ、2時間かけて、57℃、90%RHに調整する。その状態で、2時間保持した後、1時間当たり17.5℃のペースで降温させ、22℃、90%RHに戻す。そして、2時間保持した後に、再び昇温させる。このようにして、22℃、90%RHと、57℃、90%RHの温度と湿度で、図3のように、10回昇温と降温を繰り返した。
このモードを用いることで、急激な熱変動をトナーに付与し、高温、低温を何度も繰り返すことにより、トナー内部の物質移動を促し、結晶性物質がトナー表面に染み出させやすくする、苛酷環境放置に係る評価の中ではトナーに対して厳しいものである。
こうした苛酷環境放置前後で、トナーの見た目の凝集有無と初期現像性の評価を行い、保存性を評価した。
A;苛酷環境放置前後で見た目、現像性共に変化がない。初期濃度変化は0.09以下。
B;苛酷環境放置前後で見た目には変化がないが、初期濃度が0.10以上0.20以下変動
C;苛酷環境放置前後で見た目には変化がないが、初期濃度が0.21以上0.50以下変動
D;苛酷環境放置前後で見た目に多少凝集塊が見られる。
E;苛酷環境放置前後で見た目に明確に凝集塊が見られる。
<実施例2〜14>
実施例1にて、トナー1をトナー2〜14に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例1〜11>
実施例1にて、トナー1を比較用トナー1〜11に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。評価結果を表3に示す。