JP6824688B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
トナーの低温定着性を向上するために、ワックスなどの結晶性物質が用いられる。結晶性物質は、その材料の持つ融点で溶融し、トナーの結着樹脂を可塑化し、トナーの溶融変形を促す。そのため、結晶性物質の融点を下げることや、結晶性物質の使用量を増やすことで、トナーの低温定着性をさらに向上させることが可能である。
一方、低温定着性を向上させるにつれ、高温高湿環境におけるトナーの保存性が損なわれる傾向にある。結晶性物質はトナーの結着樹脂を可塑化するため、例えば、50℃という高温環境下にトナーを置いた場合、トナー表面に結晶性物質が染み出し、トナー同士が合一化し、トナーのブロッキングという保存性に関する問題を発生させる。
このため、結晶性物質を用いて低温定着性を向上させる場合、低温定着性と保存性とがトレードオフの関係となる。
上記低温定着性は、トナー内部における結晶性物質の存在状態を制御することにより向上させることが可能である。例えば、トナー内部に結晶性物質を分散させた状態では、分散させずに集合して存在させた状態と比較し、低温定着性が向上する。
特許文献1では、冷却速度を高めることにより、トナー内部に結晶性物質を分散させて、低温定着性などを向上させている。
一方、保存性に関しては、トナー内部における結晶性物質の結晶化度を向上させる手法が特許文献2に記載されている。
しかし、上述のような、低温定着性を向上させつつ、保存性を損なわせないというトレードオフ脱却のためには、さらなる改良の余地がある。
結着樹脂、着色剤、及び結晶性物質を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂、該着色剤、及び該結晶性物質を含有する着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を、該結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は該着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度TA(℃)とする工程(I)、
該工程(I)を経た分散液を、該温度TAから、該Tg(℃)以下の温度まで、55.0℃/分以上の冷却速度で冷却する工程(II)、及び、
該工程(II)を経た分散液を、Tg−10℃以上Tg+10℃以下の温度領域に、30分間以上保持する工程(III)、を有することを特徴とするトナーの製造方法である。
結着樹脂、着色剤、及び結晶性物質を含有する着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を、該結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は該着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度TA(℃)とする工程(I)、
該工程(I)を経た分散液を、該温度TAから、該Tg(℃)以下の温度まで、5.0℃/分以上の冷却速度で冷却する工程(II)、及び、
該工程(II)を経た分散液を、Tg−10℃以上Tg+10℃以下の温度領域に、30分間以上保持する工程(III)、を有する。
上記着色粒子を、結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度TAにした場合、結晶性物質及び着色粒子に含まれる結着樹脂は均一に溶融する。
該溶融状態から、急速に冷却した場合、該溶融時の状態を維持したまま、結着樹脂が固化される。そのため、結晶性物質と結着樹脂は、分子レベルで絡み合った状態、即ち「相溶した状態」で存在することとなる。
図1は、結晶性物質と結着樹脂とが相溶した状態のトナー断面を模式的に示した図であり、結晶性物質のみが存在する領域(以下ドメイン)を観察することはできない。図1において、200はトナー断面、201は結着樹脂に相溶した結晶性物質をそれぞれ示す。
このような結晶性物質の存在状態は、低温定着性が優れる傾向にある一方で、高温環境で放置されたときに、相溶した結晶性物質が、結晶化しながらトナー表面に染み出してくるため、保存性が大幅に低下する。
図2は、高温環境で放置されたときに、結晶性物質がトナー表面に染み出した状態のトナー断面を模式的に示した図である。図2において、300はトナー断面、301は結着樹脂に相溶した結晶性物質、302はトナー表面に染み出した結晶性物質をそれぞれ示す。
図3は、本発明により得られるトナー内部を模式的に示した図である。
図3では、トナー内部において、結晶性物質の微小なドメインが多数、分散して存在していることを示す。本発明により得られるトナーは、結晶性物質がトナー表面にほとんど存在していないことが特徴であり、保存性が良好である。図3において、500はトナー断面、501は結晶性物質の微小なドメインをそれぞれ示す。
また、トナー内部における結晶性物質の結晶化度が非常に高く安定して存在するため、より厳しい保存性の評価である苛酷環境に放置した場合でも、結晶性物質のトナー表面への染み出しが大幅に抑制される。
さらに、結晶性物質がトナー内部に多数の微小なドメインを形成しているため、低温定着性が大幅に向上する。このように、本発明により得られるトナーは、低温定着性と保存性を高度に両立させることが可能である。
上記工程(II)で、着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)以下の温度まで冷却することにより、結晶性物質が相溶したまま、結着樹脂を固化することができる。
続いて、着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)の±10℃の間で、特定時間保持することにより、トナー内部のいたるところで結晶性物質の結晶核が形成され、かつ、結晶成長させることができる。これにより、トナー内部で相溶化された結晶性物質は、該結晶核を起点として結晶化する。相溶化された結晶性物質は、いたるところに存在する結晶核を基に結晶成長することができるため、トナー中に相溶化された状態で残存する結晶性物質の量は非常に少なくなる。
本発明を用いて製造されたトナーは、上記メカニズムで、トナー内部に、多数の微小なドメインを形成した結晶性物質を存在させることができる。その結果、トナーは、低温定着性が非常に良好になる。
また、本発明では、結晶性物質の多数の結晶核を利用して、結着樹脂に相溶化した結晶性物質の結晶成長を促すため、トナー内部に残存する相溶化された結晶性物質の量は、非常に少なくなる。その結果、トナーの保存性が非常に良好になる。
一方、該結晶性物質の結晶核を利用しない場合、さらに長時間かけて結晶性物質の結晶化を促しても、結晶成長する基点となる結晶性物質のドメインから離れた結晶性物質は結晶成長しにくく、結着樹脂に相溶した結晶性物質は残存する。このため、保存性は低下する。
(i)融点Tm(℃)が50℃以上90℃以下である。
(ii)重量平均分子量(Mw)が1000以上であり、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]が1.6以上である。
本発明において、上記温度TAで、着色粒子に含まれる結着樹脂及び結晶性物質を共に溶融させる。
本発明において、結晶性物質の融点Tm(℃)は、50℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下がより好ましい。
融点Tm(℃)が50℃以上であると、結晶性物質の結着樹脂に対する可塑化が適度に
進み、保存性が向上する。一方、融点Tm(℃)が90℃以下であると、水系媒体中において、結着樹脂及び結晶性物質を共に溶融させやすくなる。
本発明において、結晶性物質の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましく、1500以上がより好ましい。また、該重量平均分子量(Mw)は4000以下であることが好ましい。
一方、結晶性物質の重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は1.6以上であることが好ましく、1.8以上がより好ましい。また、該[Mw/Mn]は10.0以下であることが好ましい。
該[Mw/Mn]を上記範囲に調整にするためには、例えば、原料として用いるモノマーのうち、モノマーの炭素鎖を変えた別のモノマーを一部置き換えて使用することにより、得られる結晶性物質の組成分布が生じ、[Mw/Mn]を制御することができる。
結晶性物質の分子量分布がある程度ブロードである場合、高温の水系媒体において、低分子量の結晶性物質が、結着樹脂との共溶媒のような振る舞いをする。このため、沸点が100℃である水系媒体においても、結着樹脂及び結晶性物質を効率的に、溶融することが可能である。
ワックスとしては、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
エステルワックスとは、分子内にエステル結合を有する結晶性のワックスである。エステル結合は、上記結晶核の形成の基点となり易い。
例えば、エステルワックスと結晶性ポリエステルを用いる場合、エステルワックスの有するエステル結合と、結晶性ポリエステルの有するエステル結合の相互作用により、エステルワックスを結晶核として結晶性ポリエステルの結晶成長が進みやすい。そのため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることも可能である。エステルワックスの構成としては、分子内に複数のエステル結合を有することがより好ましい。
該エステル結合の数は、2以上6以下であることが好ましく、2以上4以下であることがより好ましい。
エステルワックスが分子内にエステル結合を一つ含有する構成としては、炭素数6〜12の脂肪族モノアルコールと長鎖脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物や、炭素数4〜10の脂肪族モノカルボン酸と長鎖脂肪族モノアルコールとのエステル化合物が挙げられる。ここで、脂肪族モノカルボン酸や脂肪族モノアルコールは、任意のものが例示できるが、本発明の融点を満たし得るようなモノマーを組み合わせるとよい。
脂肪族モノアルコールの例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族モノカルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が挙げられる。
2価のカルボン酸として、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカン二酸、ドデカン二酸が挙げられる。
2価のアルコールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
なお、ここでは直鎖のカルボン酸、直鎖のアルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。
中でも、2価のカルボン酸と縮合させる脂肪族モノアルコールとしては、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノールなどが挙げられる。
2価のアルコールと縮合させる脂肪族モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などが挙げられる。
下記には脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの縮重合物であり、且つ飽和ポリエステルである場合について使用できるモノマーを例示する。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸
などが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステルは重量平均分子量(Mw)が1000以上60000以下であることが好ましく、20000以上50000以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステルの結晶化度を高く保持しつつ、定着工程においては速やかに結晶性ポリエステルによる可塑効果を得ることができるためである。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などのスチレンアクリル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明において、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上100,000以下であることが好ましく、10,000以上60,000以下であることがより好ましい。
本発明において、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)の結晶性物質の重量平均分子量(Mw)に対する比は、19.0以上であることが好ましく、22.0以上であることがより好ましくい。一方、該比の上限値は、その効果が飽和する40.0程度である。
また、本発明の処理工程において、19.0以上であると、結晶性物質が結晶化しやすくなる。
しい。スチレンアクリル系樹脂は、結晶性物質と相分離しやすい傾向にあるため、トナー中に結晶性物質が分散した状態で結晶化し、かつ、トナー表面に結晶性物質が露出していないトナーを得やすい。
上記スチレンアクリル系樹脂を形成する重合性単量体としては、以下のものが例示できる。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。
アクリル酸エステル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。メタクリル酸エステル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの重合性単量体は単独で、又は混合して使用できる。
また、該重合性単量体中、スチレン系単量体の含有量が、55質量%以上90質量%以下であることが好ましく、65質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。一方、アクリル酸エステル系単量体及びメタクリル酸エステル系単量体の含有量が、10質量%以上45質量%以下であることが好ましく、20質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
なお、スチレンアクリル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、本発明において、結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂を含有する場合、該スチレンアクリル系樹脂以外に、その他公知の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
上記工程(II)において、着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)より10℃以上高いガラス転移温度を有する非晶性樹脂Cを含むことにより、結着樹脂が固化する前に非晶性樹脂Cが先に固化する。その結果、着色粒子内の結晶性物質の分子移動が抑制されやすくなる。これにより、トナー内部における結晶性物質のドメイン数が大幅に増え、低温定着性がより向上する。
非晶性樹脂Cは、上記結着樹脂として例示した樹脂の中から選択することが可能であるが、スチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。
該非晶性樹脂Cのガラス転移温度Tgc(℃)は、57℃以上90℃以下であることが好ましく、65℃以上80℃以下であることがより好ましい。
また、非晶性樹脂Cの重量平均分子量(Mw)は、6,000以上100,000以下であることが好ましく、10,000以上60,000以下であることがより好ましい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。
縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
具体的には、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)が挙げられる。
該磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2.0m2/g以上30.0m2/g以下であることが好ましく、3.0m2/g以上28.0m2/g以下であることがより好ましい。
また、モース硬度が5以上7以下のものが好ましい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形などの異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性体は、トナー中での均一分散性や色味の観点から、個数平均粒径が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。一般に磁性体の粒径は小さい方が着色力は上がるものの磁性体が凝集しやすくなる。
なお、磁性体の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナーを十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍〜4万倍の拡大倍率で断面画像を撮影し、該断面画像中の100個の磁性体の粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定してもよい。
該磁性体は、単独で、又は2種類以上を組合せてもよい。
該磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、20.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50.0質量部以上100.0質量部以下である。
なお、磁性体の含有量は、熱分析装置「装置名:TGA7、パーキンエルマー社製」を用いて測定することができる。測定方法は以下の通りである。
窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できるものが好ましい。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸、それらの金属塩、無水物、及びエステル類、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、並びに、これらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
これらは、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系荷電制御剤以外では、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムのものがより好ましく、サリチル酸アルミニウム化合物がさらに好ましい。
樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、及び安息香酸部位を有する重合体又は共重合体が好ましい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上10.0質量部以下である。
例えば、粉砕法により製造する場合は、結着樹脂、着色剤、及び結晶性物質、並びに、必要に応じてその他の添加剤などをヘンシェルミキサ、ボールミルなどの混合機により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して各種材料を分散又は溶解し、冷却固化工程、粉砕工程、分級工程、必要に応じて表面処理工程を経て着色粒子を得る。
粉砕工程では、機械衝撃式、ジェット式などの公知の粉砕装置を用いるとよい。また、分級工程及び表面処理工程の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕法のように乾式で着色粒子を製造した場合、着色粒子を得た後に、該着色粒子を水系媒体中に分散し、分散液を得、その後、後述する冷却工程を含む特定の工程を行うとよい。
その際、着色粒子が水系媒体中で熱を受けた際、合一しにくいように、後述するように、分散剤として公知の界面活性剤、有機分散剤及び無機分散剤を使用するとよい。本発明
において、該分散液が、難水溶性の無機分散剤を含有することが好ましい。
難水溶性の無機分散剤は、超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため好ましい。さらに、難水溶性の無機分散剤は、極性が高く、疎水性である結晶性物質をトナー表面に析出させにくく、より好ましい。
懸濁重合法を用いた着色粒子の製造方法は、以下の通りである。
まず、結着樹脂を構成する重合性単量体、着色剤及び結晶性物質、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤を均一に溶解又は分散して重合性単量体組成物を得る。
次いで、該重合性単量体組成物を、分散剤を含有する連続層(例えば水系媒体)中に適当な撹拌器を用いて分散し、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する。
次いで、該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合し、所望の粒径を有する着色粒子を得る。
上記撹拌器の撹拌強度は、材料分散性、及び生産性などを考慮した強度を選択するとよい。
重合開始剤の添加時期は、重合性単量体と他の添加剤を添加する時に同時に加えてもよいし、水系媒体中に重合性単量体組成物を分散する直前に混合してもよい。また、重合性単量体組成物の粒子を形成した直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
上記重合性単量体を重合する場合、重合温度は40℃以上、一般には、50℃以上90℃以下の温度に設定するとよい。
上記重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量5000から50000の間に極大を有する重合体を得ることができる。
具体的な重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
ル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
上記架橋剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどが挙げられる。該無機分散剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。また、上記分散剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。さらに、0.1質量部以上10.0質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。
該無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、りん酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、りん酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のりん酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。
懸濁重合法又は乳化凝集法を用いて着色粒子を製造した場合、着色粒子が水系媒体中に分散された状態で得られるので、引き続き、下記冷却工程を含む特定の工程を行うとよい。
図4は、工程(I)〜(III)において、着色粒子が水系媒体に分散された分散液の温度の推移を模式的に示す。
図4において、601は工程(I)を、602は工程(II)を、603は工程(III)を示す。
609は着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)を、607は結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)を示す。
工程(I)では、分散液の温度を、結晶化温度Tc(℃)又は着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度TAとする。
604は分散液を冷却する直前の温度を示し、開始温度T1とする。
605は分散液の冷却を完了した直後の温度を示し、停止温度T2とする。
続いて、工程(III)において、結晶性物質の結晶核の形成及び成長を促すために、分散液の温度を保持する。608及び610は、それぞれTg+10℃、Tg−10℃を示す線である。605は保持の開始温度T3であり、606は、工程(III)を開始した時間から30分間経過した時間における分散液の温度T4を示す。611及び612はT1からT2に係る冷却速度1及びT3からT4に係る冷却速度2を示す。冷却速度1及び冷却速度2は以下の式により算出される。
冷却速度1=(T1(℃)−T2(℃))/冷却に要した時間(分)
冷却速度2=(T3(℃)−T4(℃))/30(分)
散された分散液を、上記温度TAとする工程である。この操作により、結晶性物質及び結着樹脂が分子レベルで混ざり合うことができる。
ここで、例えば、該着色粒子を水系媒体中で重合法により製造した場合、その重合温度が、結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は該着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度を超えていれば、この操作は必要ない。
また、着色粒子に含まれる、結晶性物質及び結着樹脂を、さらに均一に溶融する目的で、分散液を温度TAで一定時間保持することが好ましい。該保持時間は30分間以上が好ましく、90分間以上がより好ましく、120分間以上がさらに好ましい。一方、該保持時間の上限値は、その効果が飽和する1440分間程度と考えられる。
一方、空気中、酸素雰囲気化、窒素雰囲気化、高湿度環境において、工程(II)又は(III)を行った場合、結晶性物質が疎水性であるために、トナー表面で結晶化し、保存性が損なわれる。
同様に、(III)工程と、乾燥工程を同一にした場合、同じ理由により、結晶性物質がトナー表面で結晶化し、保存性が損なわれる。
着色粒子を粉砕法などの乾式で製造した場合は、得られた着色粒子を水系媒体中に分散して分散液を得るとよい。懸濁重合法や乳化凝集法など、湿式で着色粒子を製造した場合は、既に水系媒体中に着色粒子が分散されているため、改めて着色粒子を水系媒体中に分散する必要はない。
また、前記温度TAは、結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より5℃以上22℃以下(より好ましくは10℃以上22℃以下)高い温度であることが好ましい。
また、結晶化温度Tc(℃)がガラス転移温度Tg(℃)より10℃以上(より好ましくは15℃以上40℃以下、さらに好ましくは15℃以上30℃以下)高い温度であることが好ましい。
結晶化温度Tc(℃)がガラス転移温度Tg(℃)より10℃以上高い温度である場合であって、分散液の温度を、結晶化温度Tc(℃)より5℃以上22℃以下高い温度から該Tg(℃)以下の温度まで、5.0℃/分以上の冷却速度で冷却した場合は、トナーにおける結晶性物質の分散状態や結晶化度をより制御しやすくなり、低温定着性及び保存性がさらに良好になる。
工程(I)〜(III)において、着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)は、トナーのガラス転移温度Tg(℃)を用いてもよい。
分散液の温度を急速に冷却する手段としては、例えば、冷水や氷を混合する操作や、冷風により分散液をバブリングする操作、熱交換器を用いて分散液の熱を除去する操作などを用いることが可能である。
この範囲を満たすほどの微小なドメインは、トナーを定着した際に、少ない熱量で結晶性物質がトナーを選択的に軟化することができ、低温定着性が非常に良好となる。
冷却速度が5.0℃/分未満の場合、工程(III)において、結晶性物質の結晶核の生成量が足りなくなり、結晶性物質のドメインの長径が500nmより大きくなる。このため、得られるトナーの低温定着性及び保存性が低下する。
該冷却速度は、55.0℃/分以上であることが好ましく、95.0℃/分以上であることがより好ましい。一方、該冷却速度の上限値は、その効果が飽和する3000℃/分程度である。
この工程では、着色粒子内部において、結晶性物質の結晶核の生成及び結晶成長による結晶化度の向上を行う。結晶核の生成及び結晶成長は、着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)に対し、上述の温度領域において、行うことができる。この温度領域に分散液の温度を保持することで、結晶性物質の分子が少しずつ移動しながら、結晶核を形成しはじめる。さらに温度を保つことで、結晶性物質の分子がさらに移動し、先ほど形成した結晶核を基点として、結晶成長が行われる。
分散液の温度が、上述の温度領域の範囲内にある時間を保持時間とする。結晶化度を十分に向上させるためには、保持時間は30分間以上である。好ましい保持時間は、90分間以上であり、さらに好ましい時間は、120分間以上である。一方、該保持時間の上限値は、その効果が飽和する1440分間程度である。
冷却の停止温度T2が上述の温度領域の範囲より低い場合、再度、分散液を加熱し、上述の温度領域の範囲とした上で、温度を保持してもよい。
工程(III)を行っている最中に上述の温度領域をはずれた場合、再度、分散液の温度を調整することにより、上述の温度領域に制御してもよい。その場合、上述の温度領域を満足した累積時間を保持時間とし、保持時間が30分間以上であれば、本発明のトナーを得ることができる。
Tg−10℃未満の温度領域で保持した場合、結着樹脂が十分に固化されてしまっているため、相溶した結晶性物質が結晶核を形成できず、本発明の効果は得られない。
また、Tg+10℃のより高い温度領域で保持した場合、結着樹脂が固化されていないため、工程(II)での急速な冷却を行っていないトナーと同様に、保存性が大きく低下する。
本発明において、上記冷却速度1に対する冷却速度2の比が0.00以上0.05以下であることが好ましく、0.00以上0.02以下であることがより好ましい。この範囲の場合、工程(II)の冷却時に結着樹脂に相溶した結晶性物質が工程(III)において、非常に多くの結晶核を形成するため、結晶性物質の分散量が増えるとともに、結晶化度がより向上する。そのため、低温定着性及び保存性が非常に良好になる。
冷却速度2及び冷却速度1に対する冷却速度2の比を所定の範囲に制御するためには、工程(II)を経た水系媒体の温度を、所定の温度領域を満たすように、制御するとよい。工程(II)を経た水系媒体の温度を制御せずに、室温に放置した場合などは、本発明の効果を得ることができない。
該トナー粒子は、必要により外添剤などを添加混合し表面に付着させることで、トナーとしてもよい。外添剤の混合は、公知の手法を用いることができる。ヘンシェルミキサを
用いた混合が挙げられる。
また、製造工程(外添剤の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除去することも可能である。
外添剤として、一次粒子の個数平均粒径が4nm以上80nm以下(より好ましくは6nm以上40nm以下)の無機微粒子が好ましい。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行うとよい。
無機微粒子は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電性の均一化のために添加されるが、無機微粒子を疎水化処理することでトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上などの機能を付与することも可能である。疎水化処理に用いられる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物などの処理剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子などが挙げられる。シリカ微粒子としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ微粒子、及び、水ガラスなどから製造された、いわゆる湿式シリカ微粒子の両者が使用可能である。
また、乾式シリカ微粒子においては、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子に対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
感光体100は帯電ローラー117によって、例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー123を感光体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写帯電ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125などにより定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー容器116によりクリーニングされる。なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
<トナー粒子又はトナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子又はトナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約
1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子又はトナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
結晶性物質の分子量及び樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム :LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液 :THF
流速 :0.6mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。この校正曲線を用いて、結晶性物質の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、樹脂の重量平均分子量(Mw)を算出する。なお、トナーの重量平均分子量(Mw)も同様の方法で算出することができる。
トナーの保存性を定量化する指標として、結晶性物質のトナー表面への染み出し率を用いる。トナーをルテニウム染色し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、結晶性物質の染み出し率の算出を行う。
トナーをルテニウム染色した場合、トナーに含有される結晶性物質は、結着樹脂に用いられる非晶性樹脂より染色されにくいため、コントラストが明瞭になり、観察が容易となる。染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では白くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では黒くなる。
本発明において、結晶性物質の染み出し率は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。トナーを、真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色する。
(2)S−4800観察条件の設定
結晶性物質の染み出し率の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、結晶性物質の染み出し率を精度良く測定することができる。
S−4800の筐体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筐体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)トナーの個数平均粒径(D1)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー300個について粒径を測定して個数平均粒径(D1)を求める。なお、個々の粒子の粒径は、トナーの粒子を観察した際の最大径とする。
(4)焦点調整
(3)で得た、個数平均粒径(D1)の±0.1μmの粒子について、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を5000(5k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(5)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー粒子一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー30粒子以上についてSEM画像を得る。
(6)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで結晶性物質の染み出し率を算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。ただし、分割区画内に、粒径が50nm以上の無機微粒子が入る場合はその区画では結晶性物質の染み出し率の算出を行わないこととする。
画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0の解析手順は以下の通りである。
SEM画像を上記画像解析ソフトで取り込み、3×3ピクセルのフィルタリング処理を行う。続いて、トナーの輪郭より、トナー一粒の面積Aを求める。さらに、トナーの輪郭内において、2値化処理を行う。その際、2値化の閾値として、自動処理によって算出される閾値を使用する。結晶性物質は、例えば、図7に示されるように、黒に識別される。続いて、黒に識別された面積Bを得る。結晶性物質の染み出し率は、以下の式を用いて算出される。
結晶性物質の染み出し率(%)=面積B/面積A×100
上述したように、結晶性物質の染み出し率の計算をトナー30粒子以上について行う。得られた全データの平均値を結晶性物質の染み出し率とする。
トナー、着色粒子及び樹脂のガラス転移温度Tg(℃)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
この昇温過程で、40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度Tg(℃)とする。
結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)及び融点Tm(℃)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
なお、測定においては、一度200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、続いて30℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程の30℃以上200℃以下で測定される、比熱変化曲線における最大吸熱ピークのピーク温度を、結晶性物質の融点Tm(℃)とする。
一方、降温過程の30℃以上200℃以下で測定される比熱変化曲線における最大発熱ピークのピーク温度を、結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)とする。
結晶性物質のドメインの長径の個数平均径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面画像をもとに、結晶性物質のドメインの長径から求められる個数平均径を意味する。
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面は以下のようにして作製する。
トナーをルテニウム染色すると、結晶性物質は染色されにくいため、TEM観察をしたときに、結晶性物質のドメインは黒く見え、このようにしてドメインを識別する。ドメイン径の算出においては、100個以上のトナーの断面を観察する。全てのドメインを計測し、個数平均径を算出する。得られた個数平均径を、結晶性物質のドメインの長径の個数平均径とする。
<結晶性物質のドメイン数の測定方法>
結晶性物質のドメイン数は、上述の測定により得られたドメイン径のうち、5nm以上500nm以下を満たすドメインの数を意味する。
結晶性物質のドメイン数の測定は、上述のドメイン径の測定において、ドメインの数を計測し、得ることができる。これを100個以上のトナーの断面について行い、一つのトナー断面当りのドメインの個数を、結晶性物質のドメインの個数とする。
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50Lに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55Lを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過及び洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散して、再分散液を得た。
この再分散液に、コア粒子100部あたりケイ素換算で0.20部となるケイ酸ソーダを添加し、再分散液のpHを6.0に調整し、撹拌することでケイ素が豊富な表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにて、ろ過及び洗浄した後、さらにイオン交換水に再分散して再分散液を得た。
この再分散液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにて、ろ過及び洗浄し、乾燥及び解砕して1次粒子の個数平均径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。得られた水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間分散して、iso−ブチルトリメトキシシランの加水分解を行った。
その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させ、シラン化合物を含有する水溶液を得た。
100部の磁性酸化鉄をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、8.0部のシラン化合物を含有する水溶液を2分間かけて滴下した。その後、5分間混合及び撹拌した。
次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。
その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して磁性体1を得た。
実施例及び比較例に使用した結晶性物質1〜5の名称及び物性を表1に示す。
実施例及び比較例に使用した非晶性樹脂C−1〜3の樹脂名及び物性を表2に示す。
なお、非晶性樹脂C−1〜3の組成は、以下の通りである。
非晶性樹脂C−1:スチレン(85部)とブチルアクリレート(15部)の共重合体
非晶性樹脂C−2:スチレン(82部)とブチルアクリレート(18部)の共重合体
非晶性樹脂C−3:スチレン(79部)とブチルアクリレート(21部)の共重合体
イオン交換水720部に0.1モル/L−Na3PO4水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して、分散剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 79.0部
・n−ブチルアクリレート 21.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・樹脂C−1 3.0部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学社製) 1.5部
・磁性体1 90.0部
上記処方を、アトライター(日本コークス工業株式会社)を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。この重合性単量体組成物を63℃に加温し、そこに10部の結晶性物質5を添加混合し、溶解した。その後、重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート5.0部を溶解した。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてTK式ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて12000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物の粒子を形成した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間重合反応を実施した。反応終了後、得られた水系媒体中には、着色粒子が分散しており、着色粒子表面には難水溶性の無機分散剤として、リン酸カルシウムが付着していることを確認した。
この時点で、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過及び乾燥して着色粒子を分析した。その結果、着色粒子のガラス転移温度Tgは55℃であった。
続いて、工程(I)として、着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を、99℃(温度TA)まで昇温させ、30分間保持した。
その後、工程(II)として、分散液に5℃の水を投入し、135.0℃/分の冷却速度で99℃から50℃に冷却した。(この場合、開始温度T1は99℃、停止温度T2は50℃、冷却速度1は135.0℃/分である。)
続いて、工程(III)として、工程(II)を経た分散液を、50℃で120分間、保持を行った(この場合、開始温度T3は50℃、T4は50℃、Tg−10℃からTg+10℃の温度領域における保持時間を120分間とする)。
工程(III)における冷却速度2は、0.00℃/分であった。冷却速度1に対する冷却速度2の比は、0.00であった。
その後、分散液に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に、濾過及び乾燥して、重量平均粒径(D4)が8.0μmのトナー粒子1を得た。
さらに、100部のトナー粒子1と、BET値が300m2/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8部とをFMミキサ(日本コークス工業株式会社)で混合してトナー1を得た。
トナー1を分析したところ、トナー1において、結着樹脂を構成するスチレンとn−ブチルアクリレートの合計が100部であり、トナー1のガラス転移温度Tgは55℃、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は45000、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)の結晶性物質の重量平均分子量(Mw)に対する比は19.1であった。トナー1の製造条件及び物性を表3に示す。なお、着色粒子及びトナーの重量平均分子量(Mw)は結着樹脂の重量平均分子量(Mw)と同じであった。
トナー1の製造例において、重合開始剤の部数、結晶性物質の種類、非晶性樹脂Cの種類及び部数、分散剤の種類、工程(I)、工程(II)、工程(III)の条件を表3又は表4に記載されたように変更すること以外は同様にして、トナー2〜10、並びに、比較トナー13、14、及び17を製造した。なお、いずれのトナーの製造例において、温度TAと、冷却開始温度T1は、同じ温度とした。
比較トナー粒子13の製造例は、分散液を25℃へ冷却した後、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に、濾過を行った。その後、40℃の乾燥器で、72時間乾燥を行い、比較トナー粒子13を得た。得られたトナー、比較トナーの製造条件及び物性を表3及び表4に示す。
(結着樹脂の製造)
ポリエステルの製造に係る原料モノマーのモル比を下記とする。
BPA−PO:BPA−EO:TPA:TMA=50:45:70:12
ここで、それぞれ、BPA−PO:ビスフェノールA プロピレンオキサイド2.2モル付加物、BPA−EO:ビスフェノールA エチレンオキサイド2.2モル付加物、TPA:テレフタル酸、TMA:無水トリメリット酸、を示す。
上記に示す原料モノマーのうち、TMA以外の原料モノマーと、触媒としてテトラブチ
ルチタネート0.1質量%を脱水管、撹拌羽根、窒素導入管などを備えたフラスコに入れ、220℃で10時間縮重合させた。さらにTMAを添加し、210℃で所望の酸価に達するまで反応させて、非晶性ポリエステル樹脂(ガラス転移温度Tgが55℃、酸価が17mgKOH/g、重量平均分子量が9000)を得た。
(トナーの製造)
・非晶性ポリエステル樹脂 100.0部
・樹脂C−3 3.0部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学社製) 1.5部
・磁性体1 90.0部
・結晶性物質4 10.0部
上記原材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社)で予備混合した。続いて、回転数200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)により、混練物の出口付近における直接温度が140℃となるように設定温度を調節し、溶融混練した。
得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した。続いて、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)が8.0μmの着色粒子を得た。
イオン交換水720部に0.1モル/L−Na3PO4水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して、分散剤を含む水系媒体を得た。
該水系媒体に上述の着色粒子100部を投入し、パドル撹拌翼で撹拌し、着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を得た。この時、着色粒子表面には難水溶性の無機分散剤として、リン酸カルシウムが付着していることを確認した。
この時点で、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過及び乾燥して着色粒子を分析した。その結果、着色粒子のガラス転移温度Tgは55℃であった。
続いて、工程(I)として、着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を、78℃(温度TA)まで昇温させ、30分間保持した。
その後、工程(II)として、分散液に5℃の水を投入し、135.0℃/分の冷却速度で78℃から50℃に冷却した。(この場合、開始温度T1は78℃、停止温度T2は50℃、冷却速度135.0℃/分である。)
続いて、工程(III)として、工程(II)を経た分散液を、50℃で120分間、保持を行った(この場合、開始温度T3は50℃、T4は50℃、Tg−10℃からTg+10℃の温度領域における保持時間を120分間とする)。
工程(III)における冷却速度2は、0.00℃/分であった。冷却速度1に対する冷却速度2の比は、0.00であった。
その後、分散液に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に、濾過及び乾燥して、重量平均粒径(D4)が8.0μmのトナー粒子11を得た。
さらに、100部のトナー粒子11と、BET値が300m2/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8部とをFMミキサで混合してトナー11を得た。
トナー11を分析したところ、トナー11は、結着樹脂を構成する非晶性ポリエステル樹脂が100部であり、トナー11のガラス転移温度Tgは55℃、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は9000、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)の結晶性物質の重量平均分子量(Mw)に対する比は19.2であった。トナー11の製造条件及び物性を表3に示す。なお、着色粒子及びトナーの重量平均分子量(Mw)は結着樹脂の重量平均分子量(Mw)と同じであった。
トナー11の製造例において、結着樹脂の種類、結晶性物質の種類、非晶性樹脂Cの種類及び部数、分散剤の種類、工程(I)、工程(II)、工程(III)の条件を表3又は表4に記載されたように変更すること以外は同様にして、トナー12〜20、並びに、比較トナー1〜12、15、16、18を製造した。
比較トナー2、並びに、比較トナー8〜12及び比較トナー15〜16は、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂〔スチレン(75部)とブチルアクリレート(25部)の共重合体、重合平均分子量(Mw)が9000、ガラス転移温度Tg(℃)が55℃〕を用いた。
トナー17〜20においては、工程(II)の急速な冷却を行った後に、再度昇温し、工程(III)を進めた。また、トナー18のように、工程(III)では緩やかな冷却を行っており、工程(III)の開始温度T3とT4を65℃と45℃とし、その冷却速度2は、0.17℃/分に制御した。
すなわち、Tg−10℃からTg+10℃の温度領域における保持時間は120分間であり、工程(III)における冷却速度2は0.17℃/分であった。冷却速度1に対する冷却速度2の比は、0.03であった。
比較トナー粒子16の製造例は、溶融混錬した直後に、溶融混練物を冷却速度135.0℃/分で55℃まで冷却し、55℃で120分間保持をする、乾式のアニール処理を行った(すなわち、比較トナー粒子16は水系媒体中での処理工程を有していない。)。
得られたトナー粒子、比較トナー粒子の製造条件及び物性を表3及び表4に示す。
なお、いずれのトナーの製造例において、温度TAと、冷却開始温度T1は、同じ温度とした。
表中、着色粒子の製造方法において、Aは懸濁重合法を、Bは粉砕法を示す。結着樹脂において、Cはスチレンアクリル樹脂を、Dは非晶性ポリエステル樹脂を示す。分散剤に
おいて、Eはリン酸カルシウムを、Fはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを示す。
表中、着色粒子の製造方法において、Aは懸濁重合法を、Bは粉砕法を示す。結着樹脂において、Cはスチレンアクリル樹脂を、Dは非晶性ポリエステル樹脂を示す。分散剤において、Eはリン酸カルシウムを、Fはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを示す。
(低温定着性の評価)
トナー1を用いて、以下の評価を行った。
評価は、23℃、50%RHの環境で実施した。定着メディアにはFOX RIVERBOND紙(110g/m2)を用いた。メディアを比較的表面の凹凸が大きく、厚紙であるメディアを用いることで、擦れやすい状況にすることで低温定着性を厳しく評価することができる。画像形成装置としては、市販のLBP―3100(キヤノン製)を用い、印字速度を16枚/分を32枚/分に改造した改造機を使用した。特に、印刷速度を増加させているため、低温定着性に厳しい評価を行うことができる。
評価手順は、定着器全体が室温に冷えた状態から、150℃の設定温度でFOX RIVER BOND紙に画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。)が0.75以上0.80以下となるようにハーフトーン画像の濃度を調整し画出しを行った。
その後、55g/cm2の加重をかけたシルボン紙でハーフトーンの定着画像を10回摺擦した。摺擦前後のハーフトーンの画像濃度より、下記式を用いて、150℃における濃度低下率を算出した。
濃度低下率(%)=(摺擦前の画像濃度―摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度×100
同様に、定着温度を5℃ずつ増加させ、180℃まで同様に濃度低下率を算出した。
一連の作業により得られた、定着温度と濃度低下率の評価結果から、2次の多項式近似を行い、定着温度と濃度低下率の関係式を得た。その関係式を用いて、濃度低下率が15%となる温度を算出し、その温度を低温定着性が良好である閾値を示す定着温度とした。定着温度が低いほど、低温定着性が良好であることを示す。得られた定着温度を、低温定着性とし、表5に示す。
トナー1を用いて、以下の評価を行った。
画像形成装置としては、市販のLBP―3100(キヤノン製)を用い、印字速度を16枚/分を32枚/分に改造した。これにより、より厳しい評価を行うことができる。
使用した紙種はA4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=転写紙の反射率(%)−白画像の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。評価結果を表5に記載する。
A:1.0%未満 非常に良好
B:1.0%以上3.0%未満 良好
C:3.0%以上5.0%未満 普通
D:5.0%以上 悪い
上述したトナー表面の結晶性物質の染み出し率の算出方法を用いて、結晶性物質の染み出し率の測定を測定した。
結晶性物質がトナー表面に多量に染み出すことにより、カブリの発生が顕著になるとと
もに、潜在的な電子写真特性の低下を引き起こす恐れがある。
なお、結晶性物質の染み出し率の判断基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
A:3.0%未満 非常に良好
B:3.0%以上8.0%未満 良好
C:8.0%以上15.0%未満 普通
D:15.0%以上 悪い
トナー1に対し、結晶性物質のドメイン数の分析を行い、低温定着性に有効な5nm以上500nm以下のドメインの数を評価した。評価結果を表5に示す。
結晶性物質のドメイン数の低温定着性に対する影響の判断基準は以下の通りである。
A:120個以上 非常に良好
B:80個以上120個未満 良好
C:20個以上80個未満 普通
D:20個未満 悪い
22℃、90%RHに調整された恒温槽にトナー1を置き、24時間エージング処理を行う。その後、1時間当り17.5℃のペースで昇温させ、2時間かけて、57℃、90%RHに調整する。その状態で、2時間保持した後、1時間当たり17.5℃のペースで降温させ、22℃、90%RHに戻す。そして、2時間保持した後に、再び昇温させる。このようにして、22℃、90%RHと、57℃、90%RHの温度と湿度で、図5のように、10回昇温と降温を繰り返した。
このモードを用いることで、急激な熱変動をトナーに付与し、高温、低温を何度も繰り返すことにより、トナー内部の物質移動を促し、結晶性物質がトナー表面に染み出させやすくする、苛酷環境放置に係る評価の中ではトナーに対して厳しいものである。
上記苛酷環境放置を実施したトナー1について、上述の手法でカブリ及び結晶性物質の染み出し率の測定を行い、上記評価基準で評価した。評価結果を表5に示す。
トナー2〜20、並びに、比較トナー1〜18を用いて、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表5又は表6に示す。実施例16〜20は、それぞれ参考例16〜20とする。
Claims (7)
- 結着樹脂、着色剤、及び結晶性物質を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂、該着色剤、及び該結晶性物質を含有する着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を、該結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は該着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より高い温度TA(℃)とする工程(I)、
該工程(I)を経た分散液を、該温度TAから、該Tg(℃)以下の温度まで、55.0℃/分以上の冷却速度で冷却する工程(II)、及び、
該工程(II)を経た分散液を、Tg−10℃以上Tg+10℃以下の温度領域に、30分間以上保持する工程(III)、を有することを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記結晶性物質が、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方の規定を満たす、請求項1に記載のトナーの製造方法。
(i)前記結晶性物質の融点Tm(℃)が、50℃以上90℃以下である。
(ii)前記結晶性物質の重量平均分子量(Mw)が1000以上であり、前記結晶性物質の重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比が1.6以上である。 - 前記分散液が、難水溶性の無機分散剤を含有する、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 前記TAが、前記結晶性物質の結晶化温度Tc(℃)又は前記着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれか高い方の温度より5℃以上22℃以下高い温度である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 前記着色粒子が、前記結着樹脂とは異なる非晶性樹脂Cを該結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下含有し、
該非晶性樹脂Cのガラス転移温度Tgc(℃)が該着色粒子のガラス転移温度Tg(℃)より10℃以上高い、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。 - 前記結晶性物質が、脂肪族炭化水素ワックス又はエステルワックスである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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