JP2022139936A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、印刷画像の経時でのグロス変化を抑えるトナー。【解決手段】結着樹脂、結晶性材料A及び結晶性材料Bを含有するトナー粒子を有するトナーであって、該結着樹脂は、該結着樹脂の質量を基準として、樹脂Mを70質量%以上含有し、該結晶性材料Aの融点が、50.0℃以上100.0℃以下であり、該樹脂Mと該結晶性材料AとのSP値差の絶対値をΔSPAMとし、該樹脂Mと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPBMとし、該結晶性材料Aと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPABとし、該結晶性材料Aのピーク分子量MpをMpAとし、該結晶性材料Bのピーク分子量MpをMpBとしたとき、下記式(1)~(3)を満たすトナー。50≦MpB×ΔSPBM2-MpA×ΔSPAM2≦450 ・・・(1)MpA×ΔSPAM2≦800 ・・・(2)ΔSPAB≦0.26 ・・・(3)【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法のような画像形成方法に使用されるトナーに関する。
近年、複合機やプリンターなどの電子写真画像形成装置において、更なる低消費電力化が求められている。電子写真法では、まず、帯電、露光工程により電子写真感光体(像保持体)上に静電潜像を形成する。次いで、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写工程、定着工程を経て可視化された像(定着画像)を得る。上記工程の中で定着工程は比較的エネルギーを多く要する工程であり、低消費電力化の観点では、特に定着装置にかかる熱量の削減が検討されている。トナーにおいては、より少ない熱量での定着が可能な、いわゆる低温定着トナーのニーズが高まっている。
特許文献1では、特定構造及び物性を有するエステルワックス及び特定吸熱特性を有するワックスを結着樹脂中又はトナー中に添加している。さらに、トナー粒子の重量平均粒径を特定範囲にすることにより、トナーの低温定着性能及び耐オフセット性能を高めることが提案されている。
また、特許文献2では、特定のジエステル化合物を軟化剤として用い、且つ、トナーの軟化温度、流出開始温度、及びガラス転移温度をそれぞれ特定の範囲内に制御している。これにより、低温定着性に優れ、広い温度領域で印字物に高いグロス(光沢感)を与えるトナーを得ることが提案されている。
特開平10-133412号公報 国際公開第2013/047296号
しかしながら、上記特許文献は、得られたトナーを用いて印刷した画像の保存性に関しては言及しておらず、実験結果もない。これらの文献に記載のトナーのように、結晶性の可塑剤をトナーに添加した場合、確かに低温定着性が良化する結果が得られる。結晶性の可塑剤によるこのような可塑効果は、可塑剤の添加量に依存して効果が大きくなる一方で、可塑剤の添加量を増やした場合には、印刷画像の保存性が低下する傾向がある。具体的には、高温環境で放置後の印刷画像において、可塑剤が徐々に結晶化し、画像表面の凹凸形状が変化することで画像グロスが経時で低下するという弊害がみられる。
すなわち、これらの文献に記載のトナーを用いた場合にも、低温定着性と印刷画像の保存性の両立の観点では、未だ課題を有していることがわかった。本開示は、低温定着性と印刷画像の保存性を高い次元で両立するトナーを提供する。具体的には、低温定着性に優れ、印刷画像の経時でのグロス変化を抑えるトナーを提供する。
本開示は、
結着樹脂、結晶性材料A及び結晶性材料Bを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、該結着樹脂の質量を基準として、樹脂Mを70質量%以上含有し、
該結晶性材料Aの融点が、50.0℃以上100.0℃以下であり、
該樹脂Mと該結晶性材料AとのSP値差の絶対値をΔSPAMとし、
該樹脂Mと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPBMとし、
該結晶性材料Aと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPABとし、
該結晶性材料Aのピーク分子量MpをMpAとし、該結晶性材料Bのピーク分子量MpをMpBとしたとき、
下記式(1)~(3)を満たすトナーに関する。
50≦MpB×ΔSPBM-MpA×ΔSPAM≦450 ・・・(1)
MpA×ΔSPAM≦800 ・・・(2)
ΔSPAB≦0.26 ・・・(3)
本開示によれば、低温定着性に優れ、印刷画像の経時でのグロス変化を抑えるトナーを得ることができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
前述のように、結晶性の可塑剤をトナーに添加した場合に、可塑剤の添加量に依存して低温定着性が良化する一方で、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が生じる弊害がみられた。これは、印刷画像の表面で可塑剤が徐々に結晶化し、画像表面の凹凸の変化が生じるためと考えている。
本発明者らは、結晶性の可塑剤によるこのような弊害を抑える方法を検討した。印刷画像の表面で可塑剤が徐々に結晶化してしまうのは、定着後の可塑剤の再結晶化が不十分であるためと考えた。しかしながら、定着後に再結晶化しやすい可塑剤は、結着樹脂との相溶性が低く、十分な可塑効果が得られない傾向がある。一方で十分な可塑効果を得るために結着樹脂との相溶性が高い可塑剤を選択すると、定着後の再結晶化が不十分になる傾向がある。本発明者らは、結着樹脂に加えて、結晶性材料Aと結晶性材料Bの二つの材料を用いることで、結着樹脂に対する高い可塑効果を得つつ、定着後すみやかに再結晶化させる手法を見出した。具体的には、以下のトナーにより、上記課題が解決できることを見出した。
結着樹脂、結晶性材料A及び結晶性材料Bを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、該結着樹脂の質量を基準として、樹脂Mを70質量%以上含有し、
該結晶性材料Aの融点が、50.0℃以上100.0℃以下であり、
該樹脂Mと該結晶性材料AとのSP値差の絶対値をΔSPAMとし、
該樹脂Mと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPBMとし、
該結晶性材料Aと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPABとし、
該結晶性材料Aのピーク分子量MpをMpAとし、該結晶性材料Bのピーク分子量MpをMpBとしたとき、
下記式(1)~(3)を満たすトナー。
50≦MpB×ΔSPBM-MpA×ΔSPAM≦450 ・・・(1)
MpA×ΔSPAM≦800 ・・・(2)
ΔSPAB≦0.26 ・・・(3)
上記トナー粒子は、樹脂M、結晶性材料A及び結晶性材料Bを含有する。ここで、結晶性材料とは、示差走査熱量測定(DSC)において、吸熱ピークが観測される化合物である。
結晶性材料Aは結着樹脂の主成分である樹脂Mに対して十分な可塑効果を示す一方で、定着後に再結晶化しにくい材料である。結晶性材料Bは結晶性材料Aに比べると可塑効果が小さい一方で、定着後に再結晶化しやすい材料である。このような結晶性材料Aと結晶性材料Bの二つの材料の構造類似性が一定の条件を満たす場合に、結着樹脂に対する高い可塑効果と定着後の再結晶化のしやすさとの両立が可能になる。すなわち、優れた可塑効果を示す結晶性材料Aに対して、優れた核剤効果を示す結晶性材料Bが結晶核剤のように働くことで、低温定着性に優れ印刷画像の経時でのグロス変化を抑えるトナーを得ることができる。
結着樹脂と可塑剤のような2つの材料の相溶性を表す指標としてχパラメータが考えられる。このχパラメータは2つの物質のSP値の差の二乗と可塑剤のピーク分子量Mpの積に比例する。χパラメータの値が小さいほど2つの物質の相溶性が高いことがフローリーハギンズ理論により知られている。一般に、結着樹脂と相溶性の高い結晶性材料は、優れた可塑効果を示すことが知られている。上記式において結晶性材料の結着樹脂に対する可塑性の指標として、結着樹脂の主成分である樹脂Mと結晶性材料のSP値差の二乗に、結晶性材料のピーク分子量Mpをかけたものを用いている。
SP値は、溶解度パラメータともいい、ある物質がある物質にどのくらい溶解するかを示す溶解性や親和性の指標として用いられる数値である。SP値が近いもの同士は溶解性や親和性が高く、SP値が離れているものは溶解性や親和性が低い。
SP値は、Fedorの方法により算出することができる。具体的には例えば、ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147~154頁に詳しく記載されており、下記式によりSP値を算出することができる。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子又は原子団のモル体積)
上記トナーにおいて、樹脂Mと結晶性材料AとのSP値差の絶対値をΔSPAMとし、樹脂Mと結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPBMとし、結晶性材料Aと結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPABとし、結晶性材料Aのピーク分子量MpをMpAとし、結晶性材料Bのピーク分子量MpをMpBとしたとき、下記式(1)を満たすことが必要である。
50≦MpB×ΔSPBM-MpA×ΔSPAM≦450 ・・・(1)
式(1)の中辺第一項は、結晶性材料Bのピーク分子量MpBに樹脂Mと結晶性材料BとのSP値差の絶対値の二乗をかけたものである。
すなわち、式(1)の中辺第一項は、結晶性材料Bと樹脂Mとの相溶性を表す項であり、中辺第二項は、結晶性材料Aと樹脂Mとの相溶性を表す項である。したがって式(1)の中辺は、結晶性材料Aと結晶性材料Bに関して樹脂Mとの相溶性を比較したものである。トナーには、結着樹脂の主成分である樹脂Mとの相溶性が異なる2種類の結晶性材料を用いることが必要である。樹脂Mとの相溶性が高い結晶性材料Aと、Aに比べると樹脂Mとの相溶性が低い結晶性材料Bを組み合わせて用いる。
式(1)は結晶性材料Aと樹脂Mとの相溶性が、結晶性材料Bと樹脂Mとの相溶性に比べて大きいことを示しており、差分は50以上450以下であることが必要である。式(1)の中辺が50より小さい場合、結晶性材料Aと結晶性材料Bのバインダーに対する相溶性の違いが不十分であり、定着画像上での結晶性材料Bによる結晶性材料Aの再結晶化を促す効果が不十分となる。結果として、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が生じやすい。
一方、式(1)の中辺が450より大きい場合、定着画像上の結着樹脂中で結晶性材料Aと結晶性材料Bが分離してしまい、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が生じやすい。MpB×ΔSPBM-MpA×ΔSPAMは、好ましくは100~440であり、より好ましくは150~430である。
上記トナーにおいて、下記式(2)を満たすことが必要である。
MpA×ΔSPAM≦800 ・・・(2)
式(2)の左辺は結晶性材料Aと樹脂Mの相溶性を示すものである。式(2)の左辺は800以下であることが必要である。800以下であることで、結着樹脂に対する優れた可塑効果を得ることができる。800より大きい場合、結晶性材料Aの樹脂Mに対する相溶性が不十分となり、可塑効果が得られない。結果として低温定着性が低下する。MpA×ΔSPAMは、好ましくは700以下であり、より好ましくは600以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは150以上であり、より好ましくは350以上である。
上記トナーにおいて、下記式(3)を満たすことが必要である。
ΔSPAB≦0.26 ・・・(3)
ΔSPABは、結晶性材料Aと結晶性材料BのSP値差の絶対値を示したもので、結晶性材料Aと結晶性材料Bの親和性及び構造類似性を示すものである。
結晶性材料Aと結晶性材料BのSP値の絶対差が0.26以下であることが必要である。0.26以下である場合に、結晶性材料Aと結晶性材料Bの構造類似性が十分近く、結晶性材料Bによる結晶性材料Aを再結晶化する効果が得られる。0.26より大きい場合には、結晶性材料Aと結晶性材料Bがなじみにくくなり、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が生じやすい。ΔSPABは、好ましくは0.17以下であり、より好ましくは0.12以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0.00以上であり、より好ましくは0.01以上である。
トナー粒子は、結晶性材料A及びBに加え、以下の特徴を満たす結晶性材料Cを含んでいることが好ましい。すなわち、トナー粒子は樹脂Mと結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPCMとし、結晶性材料Cのピーク分子量をMpCとしたとき、下記式(4)及び(5)を満たす結晶性材料Cを含むことが好ましい。
0<MpC×ΔSPCM-MpB×ΔSPBM ・・・(4)
800<MpC×ΔSPCM ・・・(5)
式(4)は、結晶性材料Cの樹脂Mに対する相溶性が、結晶性材料Bの樹脂Mに対する相溶性よりも低いことを示している。また、式(5)は、結晶性材料Cの樹脂Mに対する相溶性が低く、樹脂Mと溶融した後の結晶性材料Cの結晶化が容易であることを示している。式(4)及び(5)を満たすことで、定着画像上で、結晶性材料Cが結晶性材料Bの再結晶化を促す効果が得られやすい。結果として、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が抑えられる。
MpC×ΔSPCM-MpB×ΔSPBMは、100以上であることがより好まし
く、150以上であることがさらに好ましい。MpC×ΔSPCM-MpB×ΔSPBMの上限は特に制限されないが、600以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。MpC×ΔSPCMは、900以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。MpC×ΔSPCMの上限は特に制限されないが、1300以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましい。
また、結晶性材料Bと結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPBCとしたとき、下記式(6)を満たすことが好ましい。
0 < ΔSPCM - ΔSPBC ・・・(6)
式(6)は結晶性材料Bと結晶性材料Cの構造類似性が、結晶性材料Cと樹脂Mの構造類似性と比較して高いことを示している。このような場合に、結晶性材料Cは再結晶化が容易で、かつ結着樹脂よりも結晶性材料Bとのなじみがよくなる。このような結晶性材料Cをトナー粒子中に含むことで、結晶性材料Bの再結晶化が促される。さらに、結晶性材料Aと結晶性材料のBが前述の関係を満たすことにより、結晶性材料Aの再結晶化が促される。結果として、良好な低温定着性及び定着後トナーのグロス変化抑制の両立を、さらに高い次元で実現することができる。ΔSPCM-ΔSPBCは、より好ましくは0.80以上であり、さらに好ましくは0.90以上である。上限は、好ましくは1.25以下であり、より好ましくは1.10以下である。
また、結晶性材料Aと結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPACとしたとき、下記式(7)を満たすことが好ましい。
0 < ΔSPAC-ΔSPBC ・・・(7)
これは、結晶性材料Cと結晶性材料Bが、結晶性材料Cと結晶性材料Aに比べてなじみやすいことを意味している。式(7)を満たす場合、定着画像上で、結晶性材料Cが結晶性材料Bの結晶化を促し、結晶性材料Bが結晶性材料Aの結晶化を促す効果が高められる。結果として、高温環境で放置後の印刷画像においてグロス低下が抑えられる。ΔSPAC-ΔSPBCは、より好ましくは0.01以上であり、さらに好ましくは0.02以上である。上限は、好ましくは0.30以下であり、より好ましくは0.12以下である。
[結着樹脂及び樹脂Mについて]
結着樹脂は、結着樹脂全量に対して樹脂Mを70質量%以上含有する。樹脂Mは好ましくは非晶性樹脂である。樹脂Mの結着樹脂全量に対する含有量は、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらに好ましくは97質量%以下である。
結着樹脂及びその主成分である樹脂Mとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などを好ましく例示できる。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタ
クリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これら結着樹脂は単独で又は混合して使用できる。
結着樹脂及び樹脂Mはカルボキシ基を含有することが好ましく、カルボキシ基を有するビニル系樹脂であることがより好ましい。カルボキシ基を有する結着樹脂は、例えば、所望の結着樹脂を生成する重合性単量体に、カルボキシ基を含む重合性単量体を併用して製造することができる。
カルボキシ基を含む重合性単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、クロトン酸などのビニル性カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体などが挙げられる。
ビニル系樹脂には、例えば以下のモノマーを用いることができる。スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンのようなスチレン及びその誘導体などのスチレン系モノマー。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステル。
これらのなかでも、樹脂Mは、ビニル系樹脂であることが好ましく、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つと、スチレンとを含むモノマーの重合体であることがより好ましい。なお、ビニル系樹脂は、ビニル基などのエチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の重合体又は共重合体である。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
結着樹脂は、樹脂Mに加えて、結着樹脂として上述したその他の樹脂も含むことが好ましい。その他の樹脂として、結着樹脂は、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも一を含む。結着樹脂中のその他の樹脂の含有割合は、好ましくは2質量%~30質量%であり、より好ましくは2質量%~20質量%であり、さらに好ましくは3質量%~10質量%である。
ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂としては末端などのカルボキシ基はキャップしないことが好ましい。高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として結着樹脂及び樹脂Mが重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基が挙げられる。
樹脂Mの重量平均分子量Mwは、20000以上40000以下であることが好ましく、25000以上35000以下であることがより好ましい。
[架橋剤について]
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。樹脂Mは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つ、スチレン並びに架橋剤の重合体がより好ましい。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部以上15.000質量部以下であることが好ましい。
[結晶性材料Aについて]
結晶性材料Aについて説明する。結晶性材料Aとしては、前述の式(1)~(3)を満たす範囲のものであれば、特に限定されることなく、公知のワックスに加え、結晶性ポリエステル、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン、及び結晶性ポリウレアのような公知の結晶性樹脂を用いることができる。
結晶性材料Aの融点は、50.0℃以上100.0℃以下である。結晶性材料Aの融点が上記範囲にあることで、トナーの低温定着性と保存性を両立することができる。結晶性材料Aの融点が、50.0℃以上であることで、定着画像の高温での保存性が向上する。また、100.0℃以下であることで、十分な低温定着性を得ることができる。結晶性材料Aの融点は、60.0℃以上100.0℃以下であることが好ましく、60.0℃以上90.0℃以下であることがより好ましく、63.0℃以上85.0℃以下であることがさらに好ましい。結晶性材料Aの融点は、結晶性材料Aの構成材料によって制御できる。結晶性材料Aの融点の測定方法は後述する。
結晶性材料Aは、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測
定されるo-ジクロロベンゼン可溶分のピーク分子量(Mp)が400以上2000以下であることが好ましい。ピーク分子量(Mp)が400以上であることで、トナーの保存性が低下しにくい。また、2000以下であることで、結着樹脂に対する可塑性が高く、低温定着性がより向上する。より好ましくは、500以上1000以下であり、さらに好ましくは500以上800以下である。結晶性材料Aのピーク分子量の測定方法は後述する。
結晶性材料Aについては、結着樹脂との相溶性の観点から式(2)を満たす範囲で選択する必要がある。好ましい材料については、使用する樹脂Mによって異なるが、材料選択の選択肢が広いことからワックスであることが好ましい。
具体的には、以下の;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどに代表される単官能エステルワックス類;セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートなどに代表される二官能エステルワックス類;グリセリントリベヘネートなどに代表される三官能エステルワックス類;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどに代表される四官能エステルワックス類;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどに代表される六官能エステルワックス類;ポリグリセリンベヘネートなどに代表される多官能エステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックスなどに代表される天然エステルワックス類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスなどが挙げられる。
中でも、アルコール成分とカルボン酸成分との縮合物であるエステルワックスが好ましく、特に単官能エステルワックス類及び二官能エステルワックス類が好ましい。なお、これらのワックスの中でも、分子構造中に2つのエステル結合を有する2官能エステルワックス(ジエステル)を含有していることが好ましい。
2官能のエステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物である。
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、べへン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。脂肪族モノアルコールの具体例としては、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、べへニルアルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなどが挙げられる。
2価のカルボン酸の具体例としては、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。
2価のアルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-へキサデカンジオール、1,18-オクタデカン
ジオール、1,20-エイコサンジオール、1,30-トリアコンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、1,4-フェニレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
さらにいえば、結晶性材料Aは、炭素数2以上10以下の脂肪族ジオールと炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸との縮合物(2官能エステルワックス)であることが好ましく、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールと炭素数14以上22以下の脂肪族モノカルボン酸との縮合物(2官能エステルワックス)であることがより好ましい。炭素数2以上6以下のジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられる。炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。さらに、エチレングリコールとステアリン酸とのエステル化合物であるエチレングリコールジステアレートが特に好ましい。
エステル化合物のジオール成分の炭素数、及びモノカルボン酸の炭素数については、トナー粒子を熱分解GC/MSで分析することによって求めることができる。必要に応じて、メチル化剤などによる誘導体化を事前に行うことで分析が容易になる。
ジエステル化合物の製造方法としては、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応等が挙げられる。適宜触媒を用いることもできる。
触媒としては、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物等が好ましい。エステル化反応後、再結晶、蒸留等により目的生成物を精製してもよい。代表的な製造例は以下の通りである。なお、本発明に用いられるジエステル化合物の製造方法は、以下に限定されるものではない。
まず、反応容器に、原料となるアルコールとカルボン酸を加える。例えば、ジオール:モノカルボン酸=1:2又はモノアルコール:ジカルボン酸=2:1のモル比となるようにアルコールとカルボン酸を混合する。なお、脱水縮合反応における反応性等を考慮して、比率を変更してもよい。次に、混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のアルコール及びカルボン酸を脱プロトン化し水相に分離する。あとは、適宜水洗、溶媒留去、及びろ過を行うことにより、ジエステル化合物が得られる。
該結晶性材料Aの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。また、結晶性材料の総量における結晶性材料Aの含有割合は50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
[結晶性材料Bについて]
次に、結晶性材料Bについて説明する。結晶性材料Bとしては、前述の式(1)及び(3)を満たすものであれば、特に限定されることなく、公知のワックスに加え、結晶性ポリエステル、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン、及び結晶性ポリウレアのような公
知の結晶性樹脂を用いることができる。好ましい材料については、結着樹脂の主成分である樹脂M及び結晶性材料Aによって異なるが、樹脂Mとの相溶性の観点及び結晶性材料Aとの構造類似性の観点から選択すればよい。具体的には、式(1)及び(3)を満たすように、結晶性材料Aと比較して樹脂Mとの相溶性が低く、かつ、結晶性材料Aとの構造類似性が高いものを選べばよい。
結晶性材料Aがエステルワックスである場合には、結晶性材料Bはエステルワックスであることが好ましい。また、好ましい材料として、以下を例示することができる。ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルのような1価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;セバシン酸ジベヘニルのような2価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル。
結晶性材料Bは、炭素数2以上10以下の脂肪族ジカルボン酸と炭素数14以上24以下の脂肪族モノアルコールとの縮合物(2官能エステルワックス)であることがより好ましく、炭素数6以上10以下の脂肪族ジカルボン酸と炭素数14以上22以下の脂肪族モノアルコールとの縮合物(2官能エステルワックス)であることがさらに好ましい。
結晶性材料Bの融点は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。結晶性材料Bの融点が上記範囲にあることで、トナーの低温定着性と保存性の両立が容易になる。結晶性材料Bの融点は、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、60℃以上90℃以下であることがさらに好ましく、70℃以上85℃以下であることがさらにより好ましい。結晶性材料Bの融点は、結晶性材料Bの構成材料によって制御できる。結晶性材料Bの融点の測定方法は後述する。
結晶性材料Bは、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるo-ジクロロベンゼン可溶分のピーク分子量(Mp)が400以上2000以下であることが好ましい。ピーク分子量(Mp)が400以上であることで、トナーの保存性が低下しにくい。また、2000以下であることで、低温定着性が低下しにくい。ピーク分子量(Mp)は、500以上1000以下であることがさらに好ましい。結晶性材料Bのピーク分子量の測定方法は後述する。
結晶性材料Bの含有量は、結晶性材料Aの含有量よりも少ないことが好ましい。すなわち、トナー中の結晶性材料Aの含有量をXA(質量%)とし、トナー中の結晶性材料Bの含有量をXB(質量%)としたとき、下記式(8)を満たすことが好ましい。
XA-XB>0 ・・・(8)
これは結晶性材料Aが結着樹脂の主成分である樹脂Mに作用する一方で、結晶性材料Bは主に結晶性材料Aに対して作用することに起因している。結晶性材料Aのトナー中の含有量は、樹脂Mに比べて少ないことが好ましく、結晶性材料Bは結晶性材料Aに比べて少ない量で十分な効果を得ることができる。XB/XAは、1/15~1/2であることがより好ましく、1/11~3/10であることがさらに好ましい。
結晶性材料Bの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上6質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上4質量部以下であることがさらに好ましい。また、結晶性材料の総量における結晶性材料Bの割合は1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
[結晶性材料Cについて]
前述のように、トナーは、前記結晶性材料A及びBに加え、さらに結晶性材料Cを含む
ことが好ましい。結晶性材料Cの特徴としては、樹脂Mに対する相溶性が低く、かつ樹脂Mよりも結晶性材料Bとのなじみがよい材料である。
このような結晶性材料Cとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;酸アミドワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどに代表される四官能エステルワックス類;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートなどに代表される六官能エステルワックス類等が挙げられる。
特に、樹脂Mに対する相溶性が低く、かつ、結晶性材料Bとの構造類似性が比較的高いという観点から、結晶性材料Cは、炭化水素ワックス、四官能エステルワックス類及び六官能エステルワックス類からなる群から選択される少なくとも一が好ましい。
結晶性材料Cの融点は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。結晶性材料Cの融点が上記範囲にあることで、トナーの低温定着性と保存性を両立することができる。結晶性材料Cの融点が、50.0℃以上であることで、定着画像の高温での保存性が向上する。また、100.0℃以下であることで、十分な低温定着性を得ることができる。結晶性材料Cの融点は、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、70.0℃以上90.0℃以下であることがさらに好ましい。結晶性材料Cの融点は、結晶性材料Cの構成材料によって制御できる。結晶性材料Cの融点の測定方法は後述する。
結晶性材料Cは、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるo-ジクロロベンゼン可溶分のピーク分子量(Mp)が400以上2000以下であることが好ましい。ピーク分子量(Mp)が400以上であることで、トナーの保存性が低下しにくい。また、2000以下であることで、低温定着性が低下しにくい。ピーク分子量(Mp)は、400以上1000以下であることがさらに好ましい。結晶性材料Cのピーク分子量の測定方法は後述する。
結晶性材料Cの含有量は、結晶性材料Aの含有量に対して同量以下であることが好ましい。これは結晶性材料Aが結着樹脂の主成分である樹脂Mに作用する一方で、結晶性材料Cは主に結晶性材料Bに対して作用することに起因している。結晶性材料Bのトナー中の含有量は、樹脂Mに比べて少ないことが好ましく、結晶性材料Cは結晶性材料Aに比べて少ない量で十分な効果を得ることができる。
結晶性材料Cの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上6質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがさらに好ましい。また、結晶性材料の総量における結晶性材料Cの割合は1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
[着色剤について]
トナー粒子は着色剤を含有していてもよい。着色剤は特に限定されず、以下に示すような公知のものを使用することができる。黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイ
エローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。また、必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
[荷電制御剤について]
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
〔外添剤について〕
トナー粒子は、そのままトナーとして用いてもよい。流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などをトナー粒子に添加してトナーを得てもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m/g以上450m/g以下であることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
定着画像の保存性をさらに高めるために、トナーは脂肪酸金属塩を外添剤として含有することが好ましい。脂肪酸金属塩を外添剤として用いた場合に、定着画像の保存性がさらに良化する傾向がある。これは、定着後の画像表面において脂肪酸金属塩が結晶性材料に対して結晶核剤として働くことで、画像表面の結晶性材料の結晶化度を高めているためと推測している。
脂肪酸金属塩は、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム及びリチウムからなる群から選択される少なくとも一の金属と、脂肪酸との塩が好ましい。中でも、脂肪酸亜鉛粒子は吸水性が抑えられるため特に好ましい。また、脂肪族金属塩の脂肪酸としては、
炭素数12以上22以下(より好ましくは16以上20以下)の高級脂肪酸が好ましい。炭素数12以上の脂肪酸を用いると遊離脂肪酸の発生を抑えやすい。遊離脂肪酸量としては、0.20質量%以下が好ましい。脂肪酸の炭素数が22以下であれば、脂肪酸金属塩の融点が高くなりすぎず、良好な定着性が得られやすい。脂肪酸としては、ステアリン酸が特に好ましい。
脂肪酸金属塩の一例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム等のステアリン酸金属塩、及びラウリン酸亜鉛が例示される。中でもステアリン酸亜鉛粒子を用いることが上述の理由により好ましい。脂肪酸金属塩のトナーへの添加量(脂肪酸金属塩の含有量)は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。添加量が0.01質量部以上であれば、添加効果が得られる。また、添加量が3.0質量部以下である多い場合、トナー流動性低下による画質の低下が発生しにくい。
脂肪酸金属塩の体積基準におけるメジアン径(D50s)が0.15μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.30μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。
<脂肪酸金属塩のメジアン径の測定>
本発明で用いられる脂肪酸金属塩の体積基準のメジアン径の測定は、JIS Z8825-1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA-920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、LA-920に付属の専用ソフト「HORIBA LA-920 for Windows(登録商標)WET(LA-920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA-920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに約60mlのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora 150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの脂肪酸金属塩を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、この際に脂肪酸金属塩がかたまりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことでかたまりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行う。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した脂肪酸金属塩が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%~95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、50%積算径を算出する。
〔現像剤について〕
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。キャリアとしては、体積平均粒径が15μm以上100μm以下のものが好ましく、25μm以上80μm以下のものがより好ましい。
[トナー粒子の製造方法について]
トナー粒子は、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法など公知の製造方法で製造することが可能であり、製造方法は特に限定されるものではない。該トナーの製造方法は、特に限定されないが、下記(i)又は(ii)のいずれかの工程を含む方法が好ましい。
(i)樹脂Mであるスチレンアクリル系共重合体を含有する結着樹脂を生成し得る重合性単量体、結晶性材料A及び結晶性材料B、並びに必要に応じて結晶性材料Cなどその他の添加材を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる重合性単量体を重合する工程(懸濁重合法)。
(ii)有機溶媒中に樹脂Mであるスチレンアクリル系共重合体を含有する結着樹脂、結晶性材料A及び結晶性材料B、並びに必要に応じて結晶性材料Cなどその他の添加材を溶解又は分散して得られた樹脂溶液の粒子を水系媒体中で形成し、該樹脂溶液の該粒子に含まれる有機溶媒を除去する工程(溶解懸濁法)。
[非晶性ポリエステル樹脂について]
結着樹脂は、樹脂Mに加え、さらに非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル樹脂を用いることができる。具体例として、二塩基酸やその誘導体(カルボン酸ハロゲン化物、エステル、酸無水物)と二価のアルコールとを必須として、必要に応じて三価以上の多塩基酸及びその誘導体(カルボン酸ハロゲン化物、エステル、酸無水物)、一塩基酸、三価以上のアルコール、一価のアルコールなどを脱水縮合する方法が挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカン-1,10-ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族の二塩基酸;などが挙げられる。また、二塩基酸の誘導体としては、脂肪族二塩基酸及び芳香族二塩基酸のカルボン酸ハロゲン化物、エステル化物及び酸無水物などが挙げられる。
一方、二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの非環式の脂肪族ジオール類;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコールなどのアラルキレングリコール類;などが挙げられる。三価以上の多塩基酸やその無水物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
<ピーク分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法>
結晶性材料や樹脂及びトナーのピーク分子量(Mp)や重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。まず、室温で、測定したいサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。溶解しにくいようであれば35℃以下の範囲で加熱する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC-8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF-604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成された分子量校正曲線を使用する。
<融点の測定方法>
結晶性材料(結晶性樹脂又はワックス)の融点は、示差走査熱量計(DSC) Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
非晶性樹脂のガラス転移温度は、上記融点の測定方法における示差走査熱量測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度(℃)である。
<トナー中の結晶性材料の、構造の特定、ピーク分子量及び融点、並びに樹脂Mの構造の特定及びピーク分子量の分析>
トナー中の結晶性材料、並びに樹脂Mの、構造の特定及び組成分析は、核磁気共鳴装置(H-NMR、13C-NMR)を用いて行うことができる。以下に用いる装置について記す。各サンプルはトナー中から分取することで採取し、分析してもよい。
核磁気共鳴装置(H-NMR、13C-NMR)
測定装置:FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
ピーク分子量及び融点については、特定した組成から計算する、あるいは文献値をもとに算出することができる。
<トナーにおける結着樹脂中の樹脂Mの含有量の測定>
トナーにおける結着樹脂中の樹脂Mの含有量の測定については、上記NMR測定におけるシグナル積分比(面積比)からモル組成比を求めることで算出できる。モル組成比に各化合物の分子量を掛けることで重量組成比を算出し、そこから樹脂Mの含有量を求めることができる。
<トナーにおける結晶性材料A,B,Cの含有量の測定>
トナーにおける結晶性材料A,B,Cの含有量の測定については、上記NMR測定におけるシグナル積分比(面積比)からモル組成比を求めることで算出できる。モル組成比に各化合物の分子量を掛けることで重量組成比を算出し、そこから結晶性材料A,B,Cの含有量を求めることができる。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから
粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例中で使用する「部」は特に断りのない限り質量基準である。
実施例及び比較例に用いた樹脂M、結晶性材料の名称及び物性を表1と表2に示す。
Figure 2022139936000001
表中において、
Mwは重量平均分子量を、SPmは樹脂Mの溶解度パラメーター(SP値)を示している。SP値の単位は(cal/cm1/2である。
Figure 2022139936000002
表中において、Tmは融点を、Mpはピーク分子量を示している。SP値の単位は(cal/cm1/2である。
以下にトナーの製造例を示す。トナー1~41を実施例として、トナー42~49を比較例として製造した。
<非晶性ポリエステル樹脂1の製造例>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、テレフタル酸1.0mol、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物0.65mol、エチレングリコール0.35molを添加して、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)錫を、上記単量体の総量100.0部に対して0.52部加えた後、温度を200℃に昇温し、所望の分子量になるまで縮重合した。さらに、無水トリメリット酸を0.03mol加え、非晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂1の重量平均分子量(Mw)は6000、ガラス転移温度(Tg)は49℃、酸価は11.2mgKOH/gであった。
<トナー1の製造例>
・スチレン 60.0部
・着色剤 6.0部
(C.I.Pigment Blue 15:3、大日精化社製)
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
・スチレン 15.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・非晶性ポリエステル樹脂1 5.0部
・結晶性材料2 15.0部
・結晶性材料8 2.0部
・結晶性材料13 4.0部
・ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA) 0.3部
上記材料を混合し、顔料分散液に加えた。得られた混合物を60℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで攪拌し、均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。一方、高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に、0.10mol/L-NaPO水溶液850.0部及び10%塩酸8.0部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、70℃に加温した。ここに、1.0mol/L-CaCl水溶液68.0部を添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を調製した。
該水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入後、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加し、15000回転/分の回転数を維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で5時間反応させた後、液温85℃とし、さらに2時間反応させた。重合反応終了後、得られたスラリーを冷却し、一部を抜き取り、粒度分布を測定した。さらに、スラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの3倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級して樹脂M1を結着樹脂として含有するトナー粒子を得た。該トナー粒子の分子量分布を測定し、重量平均分子量Mwを計算したところ30000であった。
その後、トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、ジメチルシリコーンオイル
(20質量%)で疎水化処理されたシリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部及びステアリン酸亜鉛粒子(体積基準におけるメジアン径D50s:0.3μm)0.05部を加えて三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。
<トナー2~35の製造例>
表3に示すように、結晶性材料A、B及びCの種類と添加量、結着樹脂Mの種類と添加量を変更すること以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2~35を得た。
<トナー36の製造例>
・スチレン 60.0部
・着色剤 6.0部
(C.I.Pigment Blue 15:3、大日精化社製)
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
・スチレン 15.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・非晶性ポリエステル樹脂1 5.0部
・低分子量ポリスチレン樹脂 20.0部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
・結晶性材料2 15.0部
・結晶性材料11 2.0部
・結晶性材料13 4.0部
・ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA) 0.3部
上記材料を混合し、顔料分散液に加えた。以降トナー1の製造例と同様にして、トナー36を得た。
<トナー37の製造例>
トナー36の製造例において、加える低分子量ポリスチレン樹脂の量を25.0部に変更する以外は、同様にして、トナー37を得た。
<トナー38の製造例>
トナー36の製造例において、加える低分子量ポリスチレン樹脂の量を38.0部に変更する以外は、同様にして、トナー38を得た。
<トナー39の製造例>
トナー5の製造例において、外添剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で疎水化処理されたシリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部及びステアリン酸亜鉛粒子(体積基準におけるメジアン径D50s:0.3μm)0.5部を用いたこと以外は、トナー5と同様にして、トナー39を得た。
<トナー40の製造例>
トナー5の製造例において、外添剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で疎水化処理されたシリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部及びステアリン酸亜鉛粒子(体積基準におけるメジアン径D50s:1.5μm)0.05部を用いたこと以外は、トナー5と同様にして、トナー40を得た。
<トナー41の製造例>
トナー5の製造例において、外添剤としてステアリン酸亜鉛粒子を用いなかったこと以外は、同様にして、トナー41を得た。
Figure 2022139936000003

表中、「M量」は、結着樹脂中の樹脂Mの含有量(質量%)を示す。
<トナー42~49の製造例>
表3に示すように、結晶性材料A、B及びCの種類と添加量、結着樹脂Mの種類と添加量を変更すること以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー42~49を得た。トナー1~49において、結晶性材料の総量に対する結晶性材料A,B,Cそれぞれの比率(質量%)をまとめたものを表4に示す。
Figure 2022139936000004
<実施例1~41、及び、比較例1~8>
得られたトナー1~49について以下の方法に従って性能評価を行った。結果を表5及び表6に示す。
Figure 2022139936000005
Figure 2022139936000006
[低温定着性]
低温定着性の評価は、以下のように行った。定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet Enterprise Color M751dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーをとり出し、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横5.0cmの未定着のトナー画像(トナー載り量:0.45mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを、定着温度を調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
常温常湿環境下(23℃、60%RH)、初期温度を100℃として設定温度を10℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。得られた定着画像を常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度60%)で1日静置させた後、定着画像の画像グロスを測定し、低温定着性の評価を行った。画像グロスの測定には、ハンディ型グロスメーターPG-1(日本電色工業株式会社製)を用いた。測定条件は、投光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせ、定着画像上の異なる5点を測定し、その平均値を定着後初期のグロス値とした。定着画像のグロスが60を超える最低定着温度を定着温度とした。
[画像グロス安定性]
上記低温定着試験における、最低定着温度でのプリント画像を50℃30%の環境下に1日、3日、又は2週間静置したのち、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度60%)で1日静置させた。その後、画像グロスの測定を行い。定着後初期のグロス値との比較を行った。以下の基準に従って画像グロス安定性を評価した。
A:画像グロスの変化幅が3以下
B:画像グロスの変化幅が3を超え6以下
C:画像グロスの変化幅が6を超え10以下
D:画像グロスの変化幅が10を超え15以下
E:画像グロスの変化幅が15よりも大きい
実施例1~41では、いずれの評価項目においても良好な結果が得られた。一方、比較例1~8では、上記評価項目のいずれかについて実施例に劣る結果となった。以上の結果より、本開示によれば、低温定着性に優れ、印刷画像の経時でのグロス変化を抑えるトナーを得ることができる。

Claims (9)

  1. 結着樹脂、結晶性材料A及び結晶性材料Bを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂は、該結着樹脂の質量を基準として、樹脂Mを70質量%以上含有し、
    該結晶性材料Aの融点が、50.0℃以上100.0℃以下であり、
    該樹脂Mと該結晶性材料AとのSP値差の絶対値をΔSPAMとし、
    該樹脂Mと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPBMとし、
    該結晶性材料Aと該結晶性材料BとのSP値差の絶対値をΔSPABとし、
    該結晶性材料Aのピーク分子量MpをMpAとし、該結晶性材料Bのピーク分子量MpをMpBとしたとき、
    下記式(1)~(3)を満たすことを特徴とするトナー。
    50≦MpB×ΔSPBM-MpA×ΔSPAM≦450 ・・・(1)
    MpA×ΔSPAM≦800 ・・・(2)
    ΔSPAB≦0.26 ・・・(3)
  2. 前記トナー粒子が、結晶性材料Cを含み、
    前記樹脂Mと該結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPCMとし、
    該結晶性材料Cのピーク分子量をMpCとしたとき、
    下記式(4)及び(5)を満たす請求項1に記載のトナー。
    0<MpC×ΔSPCM-MpB×ΔSPBM ・・・(4)
    800<MpC×ΔSPCM ・・・(5)
  3. 前記結晶性材料Cが、炭化水素ワックス、四官能エステルワックス及び六官能エステルワックスからなる群から選択される少なくとも一である請求項2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性材料Aと前記結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPACとし、前記結晶性材料Bと該結晶性材料CとのSP値差の絶対値をΔSPBCとしたとき、下記式(7)を満たす請求項2又は3に記載のトナー。
    0 < ΔSPAC-ΔSPBC ・・・(7)
  5. 前記トナー中の前記結晶性材料Aの含有量をXA(質量%)とし、前記トナー中の前記結晶性材料Bの含有量をXB(質量%)としたとき、下記式(8)を満たす請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
    XA-XB>0 ・・・(8)
  6. 前記結晶性材料Bが、炭素数2以上10以下の脂肪族ジカルボン酸と炭素数14以上24以下の脂肪族モノアルコールとの縮合物である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記結晶性材料Aが、炭素数2以上10以下の脂肪族ジオールと炭素数14以上24以下の脂肪族モノカルボン酸との縮合物である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記トナーが、外添剤として脂肪酸金属塩を含む請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記樹脂Mが、ビニル系樹脂である請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
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