JP6740659B2 - 静電潜像現像用トナーの作製方法 - Google Patents
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Description
定着性能の変動を抑制するには、トナー母体粒子の製造完了時に存在する相溶状態の結晶性ポリエステルを減らすことが重要で、その策として、例えば、アニーリングによる熱処理や結晶性ポリエステルへの結晶核剤の導入(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
特許文献2に開示されている技術によれば、結晶性ポリエステル樹脂の両末端に結晶核剤として機能する炭素数10から30の脂肪族モノカルボン酸を導入することで、製造完了時での非晶性樹脂へ相溶状態の結晶性ポリエステル樹脂の量を低減することができる。これにより、特許文献2に開示されている技術では、耐久性の高いトナーを作り出すことが可能となっている。
しかしながら、高温環境下で長時間保管された際には、結晶性ポリエステル樹脂の状態が変化することにより、低温定着性が変動しやすい傾向があり、改良の余地が残されている。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記非晶性樹脂が、メインバインダーとして含有され、
前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル系重合セグメントと、非晶性ビニル系重合セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性樹脂であり、かつ、
少なくとも下記工程(1)及び工程(2)を有する静電潜像現像用トナーの作製方法。
(1)反応槽中に、前記結晶性ポリエステル系重合セグメントの原料となるモノマーと、エステル化触媒と、を混合し、前記原料となるモノマーを重縮合反応させる工程
(2)前記工程(1)において、前記原料となるモノマーを重縮合反応させた後、前記反応槽中に、結晶核剤を投入し、反応させることで結晶核剤部を形成する工程
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
図1(a)は、結晶核剤部を有さないCPES21を含有するトナー母体粒子20を示す。図1(b)は、結晶核剤部13(以下、「結晶核剤13」ともいう。)を有するハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂11(以下、「ハイブリッド樹脂11」ともいう。)を含有する本発明のトナー母体粒子10の一例を示す。
図1(a)においては、凝集・融着完了から、冷却完了にかけてトナー母体粒子20内のCPES21が微分散化せず、大きなCPESのドメインが形成されてしまう。
これに対し、図1(b)に示す本発明のトナーでは、ハイブリッド樹脂11に対する結晶核剤部13の導入により、凝集・融着完了から、冷却完了にかけて形成される結晶核の数を増やすことができる。また、本発明のトナーでは、ポリエステル系重合セグメント14とは異なる種類の重合セグメント(以下、「他の重合セグメント15」ともいう。)をハイブリッドし、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂11としている。これにより、凝集・融着完了から、冷却完了にかけて他の重合セグメント15が結晶性樹脂のポリエステル系重合セグメント14の表面を覆うと考えられる。このため、メインバインダーである非晶性樹脂17の界面が安定化され、ハイブリッド樹脂11を冷却完了にかけて微分散化することができ、この結果、低温定着性を確保できたと考えられる。
これについて図2を用いて説明する(なお、図2及び図3については、簡略化のため、ポリエステル系重合セグメント14のみをハイブリッド樹脂11として表記し、ハイブリッド樹脂11が有する他の樹脂セグメント15については表記していない。)。
図2(a)は、結晶核剤13をハイブリッド樹脂11に化学的な結合を介して導入せず、個別に添加した場合のトナーの一例である。図2(b)は、化学的な結合を介して結晶核剤を結晶核剤部13として、ハイブリッド樹脂11に導入した本発明のトナーの一例である。
図2(a)のトナー母体粒子30の例では、凝集・融着完了後においてはメインバインダー(例えば、非晶性樹脂17)に相溶した状態のハイブリッド樹脂11のポリエステル系重合セグメント14と、結晶核剤13の分子との距離が離れている場合があり、相互作用が小さいと考えられる。この結果、冷却完了後に、メインバインダーに取り残される結晶核剤13が発生するため、結晶核として効率よく機能しないと考えられる。
これに対し、本発明に係るトナー母体粒子の一例である図2(b)の例では、凝集・融着完了後においてはハイブリッド樹脂11がメインバインダーである非晶性樹脂17に相溶した状態のハイブリッド樹脂11のポリエステル系重合セグメント14と、結晶核剤13の分子との距離が近い。このため、冷却する工程においてポリエステル系セグメント14の分子鎖と結晶核剤13の分子が密に存在する状態となり、相互作用しやすくなる。この結果、非晶性樹脂17に取り残される結晶核剤13がなく、結晶核として効率よく機能するため、冷却後のトナー母体粒子40内において、ハイブリッド樹脂11が効率よく微分散化すると推定している。
図3(a)の例では、冷却する工程において結晶核剤13同士が会合し、冷却完了後のトナー母体粒子50中に、結晶核剤13が会合して形成されたドメイン13aが多く存在すると考えられる。
これに対し、本発明のトナーの一例である図3(b)の例では、冷却完了後において、中腹に結晶核剤13を導入した場合と比較して、結晶核剤13同士が会合して形成されたドメインの少ないトナー母体粒子60とすることができると考えられる。
一般に結晶核剤の融点は、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂以上に高く、図3(a)の例のようなドメイン13aを形成すると更に高融点化し定着を阻害する。しかし、本発明のように、結晶核剤を末端に導入することで、結晶核剤がドメインを形成せず微分散化され、低温定着性を得ることができると考える。
(1)反応槽中に、前記結晶性ポリエステル系重合セグメントの原料となるモノマーと、エステル化触媒と、を混合し、前記原料となるモノマーを重縮合反応させる工程
(2)前記工程(1)において、前記原料となるモノマーを重縮合反応させた後、前記反応槽中に、結晶核剤を投入し、反応させることで結晶核剤部を形成する工程
これにより、本発明は、高温環境下での定着性能の変動を抑制でき、かつ、低温定着性の良好な静電潜像現像用トナーの作製方法を提供することができる。この特徴は各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
また、本発明の静電潜像現像用トナーは、上記静電潜像現像用トナーの作製方法であって、前記工程(2)の後に、さらに、少なくとも水系媒体中で前記非晶性樹脂の微粒子、前記結晶性樹脂の微粒子及び前記着色剤の微粒子とを凝集し、融着させる工程を有する静電潜像現像用トナーの作製方法によっても好適に作製することができる。
これらの静電潜像現像用トナーの作製方法によれば、先に、多価カルボン酸モノマー、多価アルコールモノマーを反応させて、ポリエステル系重合セグメントを合成した後、核剤部位を導入することとなるため、少なくとも一つの末端に結晶核剤部を有するポリエステル系重合セグメントを好適に作製できる。
本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電潜像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有し、前記非晶性樹脂が、メインバインダーとして含有され、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル系重合セグメントと、非晶性ビニル系重合セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性樹脂を含有し、前記ハイブリッド結晶性樹脂が、30000〜200000の範囲内の重量平均分子量であり、前記結晶性ポリエステル系重合セグメントの少なくとも一つの末端に結晶核剤部を有し、かつ、前記結晶核剤部が、ステアリン酸、アラキジン酸若しくはトリアコンタン酸である脂肪族モノカルボン酸又はアラキジルアルコールに由来する部位であることを特徴とする。
結着樹脂は、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有する。なお、本発明において、メインバインダーとは、この結着樹脂に50質量%以上含有されている樹脂をいう。
また、このような観点から結着樹脂は、非晶性樹脂を60質量%以上含有することが好ましい。上記含有量が60質量%以上であれば高温保管性をより好適にできる。なお、結着樹脂の非晶性樹脂の含有量は、93質量%以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。
非晶性樹脂は、結着樹脂の一つであり、非晶性を示す樹脂であれば特に制限なく、従来公知の非晶性樹脂を使用できる。非晶性を示すとは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点(Tg)を有するが、融点すなわち昇温時の明確な吸熱ピークがないことをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内の吸熱ピークをいう。
非晶性ビニル樹脂は、ビニル基を有するモノマー(以下、ビニルモノマーという。)の重合体のうち、非晶性を示すものをいう。
使用できる非晶性ビニル樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、中でも耐熱性に優れるスチレン−アクリル樹脂が好ましい。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体等のスチレン構造を有するモノマー
(2)(メタ)アクリル酸エステル系モノマー
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体等の(メタ)アクリル基を有するモノマー
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(7)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸、メタクリル酸誘導体等
カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有するモノマーとしては、アシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示す樹脂である。公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体を重合する(エステル化する)ことにより、非晶性ポリエステル樹脂を形成することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸、イソフタル酸ジメチル、フマル酸、ドデセニルコハク酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等を挙げることができる。これらの中では、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価アルコール単量体としては、例えば、2価又は3価のアルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BPA−EO)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(BPA−PO)、グリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、トリメチロールプロパン等を挙げることができる。これらのなかではビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)は、十分な低温定着性と耐熱保管性を両立する観点からは、25〜60℃であることが好ましく、より好ましくは35〜55℃である。
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜100000の範囲内とすることができる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成する。
結晶性樹脂は、ポリエステル系重合セグメントと、当該ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の重合セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性樹脂を含有する。
なお、低温定着性と耐熱保管性とをより好適にする観点から、結晶性樹脂の融点は65〜85℃の範囲内が好ましく、最も好ましくは70〜80℃の範囲内である。
結晶性樹脂とは、結晶性を示す樹脂であれば制限なく、公知の結晶性樹脂を使用できる。結晶性を示すとは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
結晶性樹脂の融点(Tm)は、十分な低温定着性及び優れた耐ホットオフセット性を得る観点から、55〜90℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは70〜85℃である。
結晶性樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。
具体的には、試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 ダイヤモンドDSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目の加熱時には室温(25℃)から、2回目の加熱時には0℃から、10℃/minの昇温速度でそれぞれ150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点として測定する。
酸価は、1gの試料に含まれる酸の中和に必要な水酸化カリウム(KOH)の質量をmg単位で表したものである。樹脂の酸価は、JIS K0070−1966に準じて下記手順により測定される。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶解し、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を調製する。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mLに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとする。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製する。標定はJIS K0070−1966の記載に従う。
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として調製したフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、調製した水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた時とする。
(空試験)
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様の操作を行う。
式(1) A=〔(B−C)×f×5.6〕/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:空試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
C:本試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
ハイブリッド結晶性樹脂は、30000〜200000の範囲内の重量平均分子量であり、かつ、前記ポリエステル系重合セグメントの少なくとも一つの末端に結晶核剤部を有する。
ハイブリッド結晶性樹脂としては、ポリエステル系セグメントの末端に核剤部位が配置していて、かつ、ビニル系重合セグメントとハイブリッドした構成であることが、本発明の効果をより好適に発現できるため、好ましい。
ポリエステル系重合セグメントとは、結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分であって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂セグメントをいう。
なお、結晶性ポリエステル樹脂とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)モノマーと、2価以上のアルコール(多価アルコール)モノマーとの重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示す樹脂をいう。
ポリエステル系重合セグメントの合成に使用できる多価カルボン酸モノマーとしては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,12−ドデカンジカルボン酸(テトラデカン二酸)等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸又はメサコン酸など不飽和ジカルボン酸;これらカルボン酸化合物の無水物、炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられる。中でも、30000〜200000の範囲内の重量平均分子量のハイブリッド結晶性樹脂を実現するために、少なくともトリメリット酸を使用することが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系重合セグメントの合成に使用できる多価アルコールモノマーとしては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2−ブテン−1,4ジオールなどの不飽和ジアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポリエステル系重合セグメントは、炭素数4〜14の範囲内の多価アルコールモノマー及び炭素数4〜14の範囲内の多価カルボン酸モノマーを重合したものであることが好ましい。炭素数が4以上であれば、エステル結合由来の水素結合の数が多くなりすぎず、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなりすぎることを抑え、ひいては、低温定着性をより好適にできる。また、炭素数が14以下であれば、脂肪族基同士の相互作用が強くなりすぎず、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなりすぎることを抑え、ひいては、低温定着性をより好適にできる。
ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の重合セグメントとは、ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の樹脂に由来する構造を有する樹脂部分をいう。
ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の樹脂とは、特に限定されず、ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の樹脂であればよいが、非晶性樹脂であることが好ましい。以下、この非晶性樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を「非晶性重合セグメント」ともいい、特に区別の必要がない場合は、本発明に係るポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の重合セグメントを非晶性重合セグメントという。
非晶性重合セグメントは、非晶性を示すのであれば特に限定されず、ビニル系重合セグメント、非晶性ウレタン系重合セグメント、非晶性ウレア系重合セグメント等が挙げられる。中でも、非晶性重合セグメントが、結着樹脂として使用される非晶性ビニル樹脂や非晶性ポリエステル樹脂等の非晶性樹脂に由来する構造を有すると、マトリクス相である非晶性樹脂との相溶性が高まり、帯電均一性等を得ることができる。
なお、ビニル系重合セグメントは、上記非晶性ビニル樹脂の原料であるビニルモノマーから合成される。
特に、3質量%以上含有すれば、結晶性樹脂とメインバインダーである非晶性樹脂との界面の安定性が低下しすぎず、十分に微分散化でき、この結果、低温定着性をより好適にできる。なお、結晶性樹脂におけるビニル系重合セグメントの含有量は、特に限定されないが、帯電性の観点から40質量%以下であることが好ましい。また、特に、熱耐性の低いビニル系重合セグメントとハイブリッドさせる場合、上記含有量は、40質量%以下であれば、結晶性樹脂のメインバインダーである非晶性樹脂への相溶性が高くなりすぎず、この結果、耐熱保管性を好適にできる。
(イ)あらかじめ用意したポリエステル系重合セグメントに両反応性のモノマーを反応させた後、非晶性樹脂の原料であるモノマー(例えば、非晶性ビニル樹脂の原料であるビニルモノマー)を反応させることにより、ポリエステル系重合セグメントに非晶性重合セグメントとしてビニル系重合セグメントを化学結合させる方法
(ロ)あらかじめ用意した非晶性樹脂に両反応性のモノマーを反応させた後、結晶性ポリエステル樹脂の原料である多価カルボン酸モノマーと多価アルコールモノマーを反応させて、非晶性重合セグメントにポリエステル系重合セグメントを化学結合させる方法
(ハ)あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ビニル樹脂などの非晶性樹脂と、に両反応性のモノマーを反応させて、それぞれをポリエステル系重合セグメント及び非晶性重合セグメントとしてビニル系重合セグメントを化学結合させる方法
両反応性のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等を使用でき、これらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1〜3個)のエステルを使用してもよい。反応性の観点からは、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸が好ましい。
結晶核剤部としては、本発明のトナーの低温定着性を阻害せず、結晶核剤部の無いハイブリッド結晶性ポリエステルより結晶化が早くなるものであれば特に限定されるものではない。しかし、より安定に造核効果を発現でき、ひいては、本発明の効果をより好ましく発現できる観点で、主鎖が直鎖の炭化水素系部位を含んでなり、結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖末端と反応しうる1価以上の官能基を有する化合物に由来する部位であることが好ましい。低温定着性、高温環境下での低温定着性が変動することを抑制する観点から、本発明では以下のような結晶核剤部が好ましい。
上記脂肪族モノカルボン酸としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、アラキジン酸、n−ベヘン酸、n−テトラドコサン酸、n−ヘキサドコサン酸、n−オクタドコサン酸、n−トリアコンタン酸が挙げられる。
上記脂肪族モノアルコールとしては、例えば、アラキジルアルコール、1−オクタデカノール、1−イコサノール、1−ドコサノール、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール、1−トリアコンタノールが挙げられる。
本発明に係るトナー母体粒子が含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。着色剤の添加量はトナー粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲である。
トナー粒子は、上記のほか、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などの内添剤、外添剤等を含有することができる。
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができる。使用できる離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、3〜15質量%の範囲内にあることが好ましい。
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤により、帯電特性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部の範囲内とすることができる。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するため、流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤で処理されていてもよい。
これら無機粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理が行われていることが好ましい。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、当該トナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
トナー粒子の平均粒径としては、体積基準のメジアン径(d50)が3〜10μmの範囲内にあることが好ましく、5〜8μmの範囲内にあることがより好ましい。
上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像であっても高い再現性が得られる。
なお、トナー粒子の平均粒径は、製造時に使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
具体的には、測定試料(トナー)を、界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を行い、トナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(d50)として得る。
トナー粒子は、帯電特性の安定性及び低温定着性を高める観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内にあることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内にあることがより好ましい。
平均円形度が上記範囲内にあれば、個々のトナー粒子が破砕しにくくなる。これにより、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができるとともに、形成される画像の画質を高めることができる。
具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にて馴染ませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。その後、FPIA−2100(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行う。HPF検出数が上記の範囲内であれば、再現性のある測定値を得ることができる。撮影した粒子像から、個々のトナー粒子の円形度を下記式(I)に従って算出し、各トナー粒子の円形度を加算して全トナー粒子数で除することにより、平均円形度を得る。
式(I)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
本発明の静電潜像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)としては、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、例えば湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)により測定することができる。
本発明に係るトナーの作製方法は、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有する結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電潜像現像用トナーの作製方法であって、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル系重合セグメントと、非晶性ビニル系重合セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性樹脂であり、かつ、少なくとも下記工程(1)及び工程(2)を有するものであれば、特に限定されず、その他の工程には公知の方法を採用でき、例えば、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
(2)前記工程(1)において、前記原料となるモノマーを重縮合反応させた後、前記反応槽中に、結晶核剤を投入し、反応させることで結晶核剤部を形成する工程
工程(1)では、反応槽中に、前記結晶性ポリエステル系重合セグメントの原料となるモノマーと、エステル化触媒と、を混合し、前記原料となるモノマーを重縮合反応させる。
原料となるモノマーの重縮合反応、すなわち、結晶性ポリエステル系重合セグメントの合成方法は限定されないが、下記(A)〜(C)の方法であることが好ましい。
(A)3価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを重合反応させる方法
(B)不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジアルコールを付加重合する方法
(C)結晶性ポリエステルと非晶性樹脂ユニットとを化学的に結合したハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂による方法
エステル化触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ジオクチル酸スズ、酸化ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸スズ(II)等のスズ化合物、オルトチタン酸テトラブチル(以下、「Ti(OBu)4」ともいう。)、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。中でも、Ti(OBu)4を好適に使用することができる。
工程(2)では、前記工程(1)において、前記原料となるモノマーを重縮合反応させた後、前記反応槽中に、結晶核剤を投入し、反応させることで結晶核剤部を形成する。
すなわち、工程(1)において、重縮合反応により、結晶性ポリエステル系重合セグメントを得た後、結晶核剤を投入し、結晶性ポリエステル系重合セグメントに結晶核剤を反応させる。これにより、結晶性ポリエステル系重合セグメントの少なくとも一つの末端に結晶核剤が化学的に結合させることができ、結晶核剤部を形成することができる。
この際の反応は、結晶性ポリエステル系重合セグメントと結晶核剤が化学的に結合できる反応であればよく、例えば、常圧下で200℃にするなど、加熱によって行うことが挙げられるがこれに限定されない。
結晶核剤とは、上述のように結晶核剤部を形成できる化合物であればよく、好ましくは、炭素数18〜30の範囲内である脂肪族モノカルボン酸又は炭素数18〜30の範囲内である脂肪族モノアルコールである。具体的には、トリアコンタン酸、アラキジン酸、アラキジン酸、アラキジルアルコールなどが挙げられる。
なお、結晶核剤は、脂肪族モノカルボン酸や脂肪族モノアルコールであることが、結晶性ポリエステル重合セグメントの末端を封止するように結合し、この結果、結晶性ポリエステル系重合セグメントの少なくとも一つの末端に結晶核剤部を形成できることから好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、上記静電潜像現像用トナーの作製方法であって、前記工程(2)の後に、さらに、少なくとも水系媒体中で前記非晶性樹脂の微粒子、前記結晶性樹脂の微粒子及び前記着色剤の微粒子とを凝集し、融着させる工程を有する静電潜像現像用トナーの作製方法によっても好適に作製することができる。
これらの静電潜像現像用トナーの作製方法によれば、先に、多価カルボン酸モノマー、多価アルコールモノマーを反応させてから、核剤部位を導入することとなるため、好適に本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂を作製できる。
なお、凝集し、融着する方法としては、例えば、公知の乳化凝集法を好適に採用できる。
乳化凝集法は、溶媒に溶解した非晶性樹脂や結晶性樹脂(以下、これらをまとめて「結着樹脂」ともいう。)の溶液を貧溶媒に滴下して、結着樹脂の微粒子分散液とし、この結着樹脂の微粒子分散液と着色剤の微粒子分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで、非晶性樹脂の微粒子、結晶性樹脂の微粒子、着色剤の微粒子、離型剤を水系媒体中で凝集させ、更にこれら微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体としてイオン交換水などの水のみを使用する。
下記の付加重合系樹脂(ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の重合セグメント、表2には「他の重合セグメント」と記載。)の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する溶液Ma1を滴下ロートに入れた。
スチレン(成分1) 21.6質量部
ブチルアクリレート(成分2) 5.7質量部
アクリル酸(成分3) 2.7質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 4.7質量部
1,12−テトラデカンジカルボン酸(酸成分1) 199.5質量部
1,4−ブタンジオール(アルコール) 68.9質量部
トリメリット酸(酸成分2) 2.3質量部
フマル酸(酸成分3) 0.9質量部
次いで、反応漕内の圧力を徐々に開放して常圧に戻して、結晶核剤としてアラキジン酸を9.6質量部加え、常圧にて200℃で1.5時間反応させた。その後、200℃にて反応槽を5kPa以下に減圧して2.5時間反応させた。
次いで、撹拌下で反応槽に上記Ma1を90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて上記Ma1中の未反応成分を除去した。
次いで、得られた反応液に、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、末端にアラキジル酸が導入された結晶性ポリエステル樹脂を主鎖としてスチレン−アクリル(St−Ac)樹脂がハイブリッドしたハイブリッド結晶性樹脂HBC1を得た。
ハイブリッド結晶性樹脂HBC1の合成において、表1、表2に記載の酸成分1、酸成分2、酸成分3、アルコール、結晶核剤、成分1、成分2、成分3にそれぞれ変更した以外はハイブリッド結晶性樹脂HBC1と同様にしてハイブリッド結晶性樹脂HBC2〜11、13〜18を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、
1,12−テトラデカンジカルボン酸(酸成分1) 199.5質量部
トリメリット酸(酸成分2) 2.3質量部
1,4−ブタンジオール(アルコール) 68.9質量部
フマル酸(酸成分3) 0.9質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート、縮合触媒)
0.8質量部
を入れ、窒素気流下、180℃で生成する水を留去しながら4時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しつつ、窒素気流下、生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら5時間反応させたのち、更に0.66〜2.66kPa(5〜20mmHg)の減圧下で、Mw(重量平均分子量)が約65000に達するまで反応させたのち、結晶核剤のアラキジン酸9.6質量部を加え2時間反応させた。
得られた結晶核剤とハイブリッドした結晶性樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル310質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、成分1)12部、無水マレイン酸(成分2)25質量部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次いで減圧下で酢酸エチルを留去し、ハイブリッド結晶性樹脂HBC12を得た。
下記の重縮合系樹脂の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し核剤をあらかじめ溶解させ、溶液Mb2を得た。
1,12−テトラデカンジカルボン酸 199.5質量部
1,4−ブタンジオール 68.9質量部
アラキジルアルコール 9.2質量部
次いで、得られた反応液に、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、末端にステアリン酸が導入された結晶性ポリエステル樹脂を主鎖としてスチレン−アクリル樹脂がハイブリッドしたハイブリッド結晶性樹脂HBC19を得た。
下記の重縮合系樹脂の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し、溶液Mb3を得た。
1,12−テトラデカンジカルボン酸 199.5質量部
1,4−ブタンジオール 68.9質量部
トリメリット酸 2.3質量部
フマル酸 0.9質量部
次いで、得られた反応液に、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂を主鎖としてスチレン−アクリル樹脂がハイブリッドしたハイブリッド結晶性樹脂HBC20を得た。
下記の重縮合系樹脂の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させ、溶液Mb4を得た。
1,12−テトラデカンジカルボン酸 199.5質量部
1,4−ブタンジオール 68.9質量部
ステアリン酸 8.8質量部
次いで、撹拌下で反応槽に上記Ma1を90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて上記Ma1中の未反応成分を除去した。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂を主鎖としてスチレン−アクリル樹脂がハイブリッドしたハイブリッド結晶性樹脂HBC21を得た。
下記の重縮合系樹脂の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し核剤をあらかじめ溶解させ、溶液Mb5を得た。
1,12−テトラデカンジカルボン酸 199.5質量部
1,4−ブタンジオール 68.9質量部
ステアリン酸 8.8質量部
次いで、得られた反応液に、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、末端にステアリン酸が導入された結晶性樹脂HBC22を得た。
上記溶液Mb3反応液に、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
下記の重縮合系樹脂(非晶性ポリエステル樹脂)ユニットの原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、得られた反応液を200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて所望の軟化点に達するまで反応を行った。次いで、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂X2を得た。非晶性ポリエステル樹脂X2のガラス転移点Tg1は61℃であり、Mwは19000であった。
72質量部のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂HBC1をメチルエチルケトン72質量部に、70℃で30分撹拌し溶解させた。次に、この溶液を撹拌しながら、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.5質量部を添加した。次いで、イオン交換水250質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを濃度が1質量%になるよう溶解させた水溶液を70分にわたり滴下した。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)の減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去することで、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂HBC1を含有する微粒子が分散された、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液DHBC1を調製した。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液DHBC1に含まれる粒子の体積基準のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定器「LA−750(HORIBA製)」にて測定した結果、132nmであった。
また、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂HBC1に代えてハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂HBC2〜18並びに結晶性ポリエステル樹脂C1及び非晶性ポリエステル樹脂X2のそれぞれを用いる以外は水系分散液DHBC1の調製と同様にして、ハイブリッド結晶性ポリエステルのそれぞれを含む水系分散液DHBC2〜DHBC18、DC1及びDX2をそれぞれ得た。
水系分散径DHBC2〜DHBC18の体積基準のメジアン径は、いずれも132nmであり、当該水系分散液の固形分量は、いずれも30質量部であった。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。次いで、得られた溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、得られた溶液に、下記からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液(x1)を調製した。
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68.0質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、当該溶液に、樹脂微粒子の分散液(x1)260質量部と、下記からなるモノマー及び離型剤を90℃にて溶解させた溶液とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX(クレアミックス)」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。上記離型剤は、ベヘン酸ベヘネート(融点73℃)である。
スチレン 284質量部
n−ブチルアクリレート 92質量部
メタクリル酸 13質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
ベヘン酸ベヘネート 190質量部
さらに、樹脂微粒子の分散液(x2)にイオン交換水400質量部を添加し、よく混合したのち、得られた混合液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、得られた分散液に、82℃の温度条件下で、下記からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 350質量部
n−ブチルアクリレート 215質量部
アクリル酸 30質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
水系分散液DX1に含まれる微粒子の体積基準のメジアン径は、220nmであった。また、非晶性ビニル樹脂X1のガラス転移点Tg1は55℃であり、Mwは32000であった。
100質量部の非晶性ポリエステル樹脂X2を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、得られた溶液を、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μAで30分間超音波分散後した。次いで、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去した。こうして、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂X2の微粒子が水系媒体中に分散してなる水系分散液DX2を調製した。水系分散液DX2に含まれる粒子の体積基準のメジアン径は、170nmであった。
離型剤として炭化水素系ワックス(日本精蝋(株)製、商品名:FNP0090、融点90.2℃)450質量部、ラウリル硫酸ナトリウム50質量部及びイオン交換水3500質量部を80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラクスT50にて十分に分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積基準のメジアン径(d50)が220nmの離型剤の微粒子が分散された離型剤微粒子の分散液(W)を調製した。
ラウリル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)を調製した。
得られた水系分散液(Bk)について、着色剤微粒子の平均粒径(体積基準のメジアン径(d50))は110nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けたフラスコに、400質量部のイオン交換水と、492質量部(固形分換算)の樹脂微粒子の水系分散液DX1と、435質量部の水系分散液Bkとを仕込み、得られた混合液の液温を25℃に調整した後、当該混合液に濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて当該混合液のpHを10.5に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・六水和物50質量部をイオン交換水50質量部に溶解させた水溶液を上記混合液に添加し、その後、54質量部(固形分換算)の水系分散液DHBC1をさらに添加した。次いで、得られた分散液の温度を93℃にまで昇温し、当該分散液中の各樹脂微粒子と着色剤微粒子との凝集反応を開始した。
次いで、塩化ナトリウム120質量部をイオン交換水600質量部に溶解させた水溶液を上記分散液に添加し、当該分散液の温度を90℃として当該温度で当該分散液を4時間撹拌した。そして、上記分散液中の粒子の円形度が、フロー式粒子像解析装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)による測定で0.940に達した時点で、当該分散液を6℃/minの速度で30℃にまで冷却して粒子の溶融を停止させた。こうして、トナー母体粒子1Xの分散液を得た。冷却後の当該分散液中のトナー母体粒子1Xの粒径(体積基準のメジアン径)は6.9μmであり、その平均円形度は0.940であった。
上記分散液をバスケット型遠心分離機「MARK III 型式番号60×40」(株式会社松本機械製作所製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子1Xのウェットケーキを作製した。このウェットケーキを、上記バスケット型遠心分離機によって、濾液の電気伝導度が15μS/cmになるまで洗浄と固液分離とを繰り返し、その後、「フラッシュジェットドライヤー」(株式会社セイシン企業製)を用い、温度30℃及び湿度20%RHの気流を当該ウェットケーキに吹き付け、当該ウェットケーキの水分量が0.5質量%となるまでトナー母体粒子1Xの乾燥処理をし、次いで24℃にトナー母体粒子1Xを冷却して、トナー母体粒子1Xを得た。
得られたトナー母体粒子1Xに、疎水性シリカ粒子1質量%と疎水性酸化チタン粒子1.2質量%とを添加し、ヘンシェルミキサーを用い、回転翼の周速24m/sの条件で20分間かけて混合し、さらに400メッシュの篩を通過させた。こうして、トナー母体粒子1Xに外添剤を添加し、トナー1を得た。
トナー1の製造において、水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC2〜DHBC14に変更した以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー2〜14を得た。
水系分散液DHBC1 54質量部(固形分換算)を22質量部(固形分換算)に変更した以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー15を得た。
水系分散液DHBC1 54質量部(固形分換算)を205質量部(固形分換算)に変更した以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー16を得た。
温度計、pH計、撹拌器を具備した反応容器に、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液DX2を441.6質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液DHBC1を38.4質量部(固形分換算)、離型剤微粒子の分散液(W)を38.4質量部(固形分換算)、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)28.8質量部(固形分換算)、ラウリル硫酸ナトリウム5.0質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、温度25℃にて1.0%硝酸を加えてpHを3.0とした後、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で30分間混合分散した。
次いで、撹拌によるせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%硝酸水溶液30質量部を滴下した。凝集剤の滴下が終了したら、さらに10分間撹拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。
その後、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/minの昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/minの昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が6.0μmになったところで温度を保持し、30分間撹拌した後、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整した。その後、5℃ごとにpHが8.5になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/minで85℃まで昇温し、20%EDTA水溶液を75.0質量部添加したのち、4時間かけて凝集体を合一させ、降温速度10℃/minで冷却した。冷却後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄後、40℃にて乾燥して、体積平均粒径が6.0μmのトナー母体粒子X11を得た。
100質量部のトナー母体粒子X11に対し、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1.6質量部及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)0.6質量部を添加し、「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業社製)により回転翼周速35mm/secで20分間混合し、体積平均粒径が6.0μmであるトナー17を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC15に変更した以外は、トナー1の製造と同様にしてトナー18を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC16に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー19を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC17に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー20を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC18に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー21を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC19に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー22を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DHBC20に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー23を得た。
水系分散液DHBC1を水系分散液DC1に変更した以外はトナー1の製造と同様にしてトナー24を得た。
ハイブリッド結晶性樹脂HBC21 20質量部
非晶性ポリエステル樹脂X2 80質量部
カーボンブラック 5.0質量部
フィッシャートロプシュワックス 5.5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.4質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業株式会社製)で混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練樹脂温度140℃の条件で混練した。なお、フィッシャートロプシュワックスのDSCピーク温度は105℃である。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製T250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、体積平均粒径6.5μmのトナー母体粒子を得た。そして、トナー1の製造と同様の外添処理を施して、トナー粒子の粒径が同じであるトナー25を製造した。
ハイブリッド結晶性樹脂をHBC21からHBC22に変更した以外はトナー23の製造と同様にしてトナー26を製造した。
重量平均分子量の測定は、装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料を40℃において超音波分散機を用いて15分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
[現像剤1〜26の作製]
上記トナー1〜26を評価するために現像剤1〜26を製造した。
具体的には、得られたトナー1〜26のそれぞれについて、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6.50質量%となるように添加して混合することにより、現像剤を製造した。
〈常温常湿環境での低温定着性〉
複写機「bizhub PRO(登録商標) C6501」(コニカミノルタ株式会社製)において、定着装置を、定着用ヒートローラーの表面温度を100〜200℃の範囲内で変更することができるように改造したものに、上記の現像剤1〜26をそれぞれ装填した。常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの厚紙「mondi Color Copy 350g/m2」(mondi社製)上にトナー付着量は8g/m2のベタ画像を出力する定着実験を、設定される定着温度を100℃から5℃刻みで増加させるよう変更しながら200℃まで繰り返し行った。
次いで、各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、折り機で上記ベタ画像に荷重をかけるように折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けした。
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:折れ目に従った大きな剥離あり
ランク3となる定着実験のうち、最も定着温度の低い定着実験における定着温度を最低定着温度として、下記評価基準に従って評価した。◎〜△を合格とした。
◎:最低定着温度が140℃以下(最良)
○:最低定着温度が140℃を超え145℃以下(良)
△:最低定着温度が145℃を超え150℃以下(使用可)
×:最低定着温度が150℃を超える(使用不可)
トナーを温度50℃、湿度50%RHの高温槽に14日間保管した。保管後のトナーを用いて、上記同様現像剤を作製し、上記定着評価と同じ条件(温度20℃、湿度50%RH)で低温定着性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
◎:高温保管前後の最低定着温度が同じ(最良)
○:高温保管前後の最低定着温度差が0℃を超え5℃以下(良)
△:高温保管前後の最低定着温度差が5℃を超え10℃以下(使用可)
×:高温保管前後の最低定着温度差が10℃を超える(使用不可)
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(株式会社セイシン企業製)で常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において600回振とうした後、蓋を取った状態で57.5℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)にセットし、押さえバー及びノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量からトナー凝集率(質量%)を算出した。
トナー凝集率は、下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=(篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g))×100
トナー凝集率を下記評価基準に従って評価し、トナーの耐熱保管性の指標とした。◎〜△を合格とした。
◎:トナー凝集率が10質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が10質量%以上15質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:トナー凝集率が15質量%以上20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
表4の結果より、本発明のトナーによれば、高温環境下での定着性能の変動を抑制でき、かつ、低温定着性の良好な静電潜像現像用トナーを提供できることが示された。
なお、トナー18に添加されたオクタン酸は、結晶核剤部の無いハイブリッド結晶性ポリエステルより結晶化が早くなるものではなく、結晶核剤ではない。また、トナー19に添加されたテトラトリアコンタン酸は、トナーの低温定着性を阻害する。このため、トナー18及びトナー19は、本発明に係る結晶核剤部を有しておらず、この結果、本発明の効果を奏さないと考えられる。
また、トナー14は、結晶性樹脂が、ビニル系重合セグメントを40質量%を超えて含有しているが、耐熱保管性が極めて良好である。これは、ビニル系重合セグメントがポリエステル系重合セグメントよりも熱耐性が高いものであるためと考えられる。
11 ハイブリッド樹脂(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂)
13 結晶核剤部(結晶核剤)
14 ポリエステル系重合セグメント
15 他の重合セグメント(ポリエステル系重合セグメントとは異なる種類の重合セグメント)
17 非晶性樹脂
Claims (2)
- 非晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有する結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電潜像現像用トナーの作製方法であって、
前記非晶性樹脂が、メインバインダーとして含有され、
前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル系重合セグメントと、非晶性ビニル系重合セグメントとが化学的に結合してなるハイブリッド結晶性樹脂であり、かつ、
少なくとも下記工程(1)及び工程(2)を有する静電潜像現像用トナーの作製方法。
(1)反応槽中に、前記結晶性ポリエステル系重合セグメントの原料となるモノマーと、エステル化触媒と、を混合し、前記原料となるモノマーを重縮合反応させる工程
(2)前記工程(1)において、前記原料となるモノマーを重縮合反応させた後、前記反応槽中に、結晶核剤を投入し、反応させることで結晶核剤部を形成する工程 - 前記工程(2)の後に、さらに、少なくとも水系媒体中で前記非晶性樹脂の微粒子、前記結晶性樹脂の微粒子及び前記着色剤の微粒子とを凝集し、融着させる工程を有する請求項1に記載の静電潜像現像用トナーの作製方法。
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