JP6926704B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。より詳しくは、本発明は、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、より低い温度で熱定着される静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)が求められている。このようなトナーとしては、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。
そこで、従来、結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性樹脂を可塑剤(定着助剤)として添加することで、低温定着性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかし、このような結晶性樹脂を含有するトナーにおいては、熱的ストレスに対する安定性が低いという問題がある。特に、高温高湿環境での長期保管した場合において離型剤のブリードアウトが生じ、現像スリーブや感光体が汚染され画像ノイズが生じるといった問題があった。
特開2015−45850号公報 特開2012−168505号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、トナーの示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、以下、「DSC」ともいう。)による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、かつ、トナーの示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、発熱ピークトップ温度r−7℃以下の発熱量ΔH(L)を15%以下とすることにより、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーを提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、
前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、
前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)が、15%以下であり、
前記離型剤が、少なくとも炭化水素ワックス及び炭素数が40〜77の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含有し、かつ、
前記炭化水素ワックス及び前記脂肪酸エステルワックスの質量比の値(炭化水素ワックスの質量/脂肪酸エステルワックスの質量)が、5/95〜15/85の範囲内であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
.前記炭化水素ワックスとして、分岐構造を有する炭化水素ワックスを含有することを特徴とする第項に記載の静電潜像現像用トナー。
.前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、50〜80℃の範囲内であることを特徴とする第1項又は項に記載の静電潜像現像用トナー。
.前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、60〜75℃の範囲内であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
.前記結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
本発明の上記手段により、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
トナーの結晶化ピーク(発熱ピーク)は、結晶性をもつ離型剤と結晶性樹脂の結晶化に由来する。ここで、発熱ピークとは、トナーのDSCによる降温時の発熱曲線から得られるピークのことを指す。なお、トナーのDSCによる降温時の発熱カーブは、トナー製造時において、離型剤、結晶性樹脂の融点近傍まで加熱した後の冷却工程での発熱を表す。
離型剤と結晶性樹脂は、単独ではそれぞれの組成に固有の結晶化温度域を持つ。
一般に、離型剤と結晶性樹脂は、結晶性樹脂以外の結着樹脂成分などのトナー構成成分と併用されてトナー粒子となる。このようなトナー粒子を形成する際、離型剤と結晶性樹脂とは、結晶性樹脂以外の結着樹脂成分などのトナー構成成分と、加熱により混ざり合った後に冷却される。この冷却の際に、離型剤と結晶性樹脂とを含む上記トナー構成成分が、相互に結晶化に影響を与え、結晶化ピークの形状が変化する場合がある。
本発明者は、結晶化ピークの低温側テーリング部分は、トナー製造時の冷却工程において結晶化しにくい部分に相当することを突き止めた。さらに、本発明者は、特に、高分子である結晶性樹脂がトナー粒子に加わることにより、離型剤も結晶化しにくくなり、そのような不完全な結晶成分を含むトナーを高温高湿環境で長期保管すると、不安定な結晶成分の結晶化が進行し、結晶ドメインが粗大化することにより、離型剤を含む結晶成分のブリードアウトが生じると考えた。本発明者は、上記考察に基づき検討した結果、トナーの結晶化ピークの低温側テーリング部分の割合を、所望の範囲以下とすることにより、高温環境下での保管において離型剤のブリードアウトによる部材汚染、画像ノイズを抑制できることを見いだした。
具体的には、トナーのDSCによる降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、発熱ピークトップ温度r−7℃以下の発熱量ΔH(L)を15%以下とすることで、不安定な結晶成分が少なくなり、この結果、離型剤のブリードアウトを抑制することができることを見いだし本発明に至った。
DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の一例を示すグラフ DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の一例を示すグラフ DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の他の例を示すグラフ
本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)が、15%以下であることを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。これにより、本発明は、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーを提供できる。
本発明においては、前記離型剤が、少なくとも炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含むことが好ましい。これにより、ΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できる。
本発明においては、前記離型剤が、炭化水素ワックスを含有することが好ましい。中でも、炭化水素ワックスとして、分岐構造を有する炭化水素ワックスを含有することが好ましい。これにより結晶化が促進されやすくなり、この結果、ΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できる。
本発明においては、前記離型剤が、少なくとも炭化水素ワックス及び炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含有することが好ましい。これにより、それぞれが単独で含有されるよりも更に結晶化が促進されやすくなり、この結果、ΔHc(L)を好適に小さくすることができ、また結晶化温度を好ましい範囲(50〜80℃)としやすくなり、かつ低温定着性が良好となるためである。
本発明においては、前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、50〜80℃の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは、前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、60〜75℃の範囲内である。これにより、結晶化しやすく、ΔH(L)を小さくでき、かつ、低温定着性を良好にできる。
前記結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、低温定着性がより向上するため好ましい。これにより、トナーの低温定着性が向上し、更には、ブリードアウトを抑制することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪静電潜像現像用トナーの概要≫
本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)が、15%以下であることを特徴とする。
[静電潜像現像用トナー]
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナー母体粒子又はトナー粒子の集合体であることが好ましい。
ここで、トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものであることが好ましいが、トナー母体粒子をそのままトナー粒子として用いることもできる。
また、本発明においては、トナー母体粒子が、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有することで、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーとすることが好ましい。なお、本発明において、トナー母体粒子、トナー粒子及びトナーを特に区別する必要がない場合、単に「トナー」ともいう。
本発明の静電潜像現像用トナーは、静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)が、15%以下であるが、好ましいΔH(L)の値は10%以下であり、更に好ましくは7%以下である。これは、ΔH(L)の値が小さいほど離型剤のブリードアウトが少なくなるためである。このように、ΔH(L)の値は小さいほうがよく、下限としては0%であることが好ましいが、現実的な下限としては3%程度であると考えられる。
このような昇温時の吸熱ピークトップ温度と、降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHと、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)と、の関係を達成する手段としては、離型剤と結晶性樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)の組み合わせ(具体的には、例えば、結晶化温度の差を大きくする、極性など親和性の差による相互作用の影響を小さくするなど。)、離型剤と結着樹脂との組み合わせ(具体的には、例えば、極性など親和性の差による相互作用の影響を小さくする、結着樹脂のT、分子量などを調節するなど。)、離型剤を2種併用する(具体的には、例えば、脂肪酸エステルに炭化水素ワックス、特に分岐パラフィンワックスを混合するなど。)ことによって結晶化を促進する、などが挙げられる。
上記手段によれば、離型剤と結晶性樹脂とが相互の結晶化を阻害せず、それぞれ個別に結晶化する、又は結晶化しやすくすることができるため、この結果、発熱ピーク全体の発熱量ΔHと、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)と、の関係を達成することができると考えられる。
[発熱ピーク全体の発熱量ΔHの測定]
試料5mgをアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置
Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温して100℃を1分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で100℃から0℃まで降温して0℃の温度を1分間保持する。昇温(加熱)時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークトップの温度を吸熱ピークトップ温度、冷却時に得られる吸熱曲線における発熱ピークの全体の発熱量をΔH、発熱ピークトップの温度を発熱ピークトップ温度r、(発熱ピークトップ温度r−7℃)の温度から発熱ピーク終点までの発熱量をΔH(L)として測定する。
[降温時の発熱ピークトップ温度rの定義]
発熱ピークトップ温度rの定義について、図1〜3を用いて説明する。
図1は、曲線1がDSCによる降温時の発熱曲線であり、曲線2が上記曲線1の微分曲線である(以下、曲線2のことを「微分曲線2」ともいう。)。
本発明においては、曲線1において発熱ピークの始点及び終点を、微分曲線2の傾きの変化の始点/終点で定義する。
図2は、曲線2を拡大したものである。微分曲線2の傾きの変化の始点(図1及び2の例においては、51℃近傍)、終点(図1及び2の例においては、73℃近傍)が曲線1における発熱ピークの始点P、終点Pとする。発熱ピークトップ温度rは、上記で定義したピークの始点Pから終点Pの範囲内の極小点Mの温度とするが、図3に示す例のように極小点が複数ある場合は、最も強度の高い極小点に対して1/3以上の強度を持つ極小点のうち、最も低い温度のピークを発熱ピークトップとし、このときの温度を発熱ピークトップ温度rと定義する。具体的には、図3の例においては、最も強度の高い極小点MV1は68℃近辺に存在するが、本発明に係る発熱ピークトップ温度rは低い温度(64℃近辺)の極小点であるMV2の温度となる。
(好ましい発熱ピークトップ温度r
静電潜像現像用トナーのDSCによる降温時の発熱ピークトップ温度rが、50〜80℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは60〜75℃の範囲内である。発熱ピークトップ温度rが50℃以上であるほうがトナー製造時に結晶化する成分が多くなりやすいため、この結果、ΔH(L)が小さくなりやすく、また、80℃以下であれば、低温定着性により効果がある。
(昇温時の吸熱ピークトップ温度の定義)
昇温時の吸熱ピークトップ温度については、DSCによる1回目の昇温時の吸熱曲線と当該吸熱曲線の微分曲線とを用い、降温時の発熱ピークトップ温度rcの定義と同様のアプローチで定義できる。
すなわち、吸熱ピークトップ温度は、降温時の発熱ピークトップ温度rcと同様に定義できるピークの始点から終点の範囲内の極大点の温度とし、極大点が複数ある場合は、最も強度の高い極大点に対して1/3以上の強度を持つ極大点のうち、最も強度の大きいピークを吸熱ピークトップとし、このときの温度を吸熱ピークトップ温度と定義する。
[結着樹脂]
本発明に係るトナーは、結着樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有する。結着樹脂としては、非晶性樹脂を含有していてもよく、また、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他、公知の樹脂を含有していてもよい。
〔非晶性樹脂〕
非晶性樹脂は、1種でもそれ以上でもよい。非晶性樹脂の例には、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂などの非晶性ポリエステル樹脂が含まれる。中でも、熱可塑性を制御しやすい観点から、ビニル樹脂であることが好ましい。
<ビニル樹脂>
上記ビニル樹脂は、例えばビニル化合物の重合体であり、その例には、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が含まれる。中でも、熱定着時の可塑性の観点から、スチレン−アクリル酸エステル樹脂(スチレン−アクリル樹脂)が好ましい。
(スチレン−アクリル樹脂)
スチレン−アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成される。スチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有するスチレン誘導体を含む。
((メタ)アクリル酸エステル単量体)
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH(R)=CHCOOR(Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を表す)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、これらのエステルの構造中に公知の側鎖や官能基を有するアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体を含む。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート及びフェニルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;が含まれる。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、「アクリル酸エステル単量体」と「メタクリル酸エステル単量体」との総称であり、それらの一方又は両方を意味する。例えば、「(メタ)アクリル酸メチル」は、「アクリル酸メチル」及び「メタクリル酸メチル」の一方又は両方を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種でもそれ以上でもよい。例えば、スチレン単量体と2種以上のアクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種以上のメタクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること及びスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成すること、のいずれも可能である。
(スチレン単量体)
スチレン単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン及びp−n−ドデシルスチレンが含まれる。
(スチレン−アクリル樹脂の好ましい構成)
上記スチレン−アクリル樹脂の可塑性を制御する観点から、スチレン−アクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、上記スチレン−アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、10〜60質量%の範囲内であると好ましい。
(他の単量体)
スチレン−アクリル樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位を更に含有していてもよい。他の単量体は、多価アルコール由来のヒドロキシ基(−OH)又は多価カルボン酸由来のカルボキシ基(−COOH)とエステル結合する化合物であることが好ましい。すなわち、スチレン−アクリル樹脂は、上記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して付加重合可能であり、かつ、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(両性化合物)が更に重合してなる重合体であることが好ましい。
(両性化合物)
両性化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等などのカルボキシ基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する化合物;が含まれる。
(両性化合物に由来する構成単位の好ましい含有量)
上記スチレン−アクリル樹脂における上記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(スチレン−アクリル樹脂の合成方法)
上記スチレン−アクリル樹脂は、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法によって合成することができる。油溶性の重合開始剤の例には、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤、が含まれる。
(アゾ系又はジアゾ系重合開始剤)
上記アゾ系又はジアゾ系重合開始剤の例には、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルが含まれる。
(過酸化物系重合開始剤)
過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及びトリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンが含まれる。
(水溶性ラジカル重合開始剤)
また、乳化重合法でスチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子を合成する場合には、重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の例には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸とその塩及び過酸化水素、が含まれる。
(非晶性樹脂の好ましい重量平均分子量)
非晶性樹脂は、その可塑性を制御しやすいという観点から、その重量平均分子量(Mw)が、5000〜150000であると好ましく、10000〜70000であるとより好ましい。
〔結晶性樹脂〕
本発明に係る結晶性樹脂とは、結晶性樹脂又はトナー粒子のDSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂とは、このような結晶性樹脂のうち、ポリエステル樹脂であるものをいう。
なお、本発明において、結着樹脂は少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有するが、本発明の効果発現を阻害しない範囲内で、結晶性ポリエステル樹脂以外の結晶性樹脂も使用できる。なお、そのような結晶性樹脂としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、1種類であってもよく、複数の種類であってもよい。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点)
上記結晶性ポリエステル樹脂の融点(T)は、十分な低温定着性と高温保存性とを得る観点から、50〜90℃の範囲内にあることが好ましく、60〜80℃の範囲内にあることがより好ましい。
(融点の測定方法)
結着樹脂の融点は、DSCにより測定することができる。具体的には、試料(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)0.5mgをアルミニウム製パン「KITNO.B0143013」に封入し、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(T)として測定する。
(結晶性ポリエステル樹脂の好ましい重量平均分子量及び数平均分子量)
また、上記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000〜50000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)が2000〜10000の範囲内にあることは、低温定着性及び最終画像における安定した光沢の発現の観点から好ましい。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgel SuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてTHFを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出する。そして、単分散のポリスチレン標準粒子の10点を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。
(トナー母体粒子における結晶性樹脂の含有量)
トナー母体粒子における結晶性樹脂の含有量は、5〜20質量%であることが、良好な低温定着性と高温高湿環境下での転写性とを両立する観点から好ましい。上記含有量が5質量%以上であれば、形成されるトナー画像の低温定着性が十分となる。また、上記含有量が20質量%以下であれば、転写性が十分となる。
<結晶性ポリエステル樹脂の構成>
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
(ジカルボン酸)
多価カルボン酸の例には、ジカルボン酸が含まれる。このジカルボン酸は、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を更に含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸は、直鎖型であることが、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から好ましい。
(脂肪族ジカルボン酸)
脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル及びこれらの酸無水物、が含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数6〜16の範囲内の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、更に炭素数10〜14の範囲内の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
(芳香族ジカルボン酸)
芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4′−ビフェニルジカルボン酸が含まれる。中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又はt−ブチルイソフタル酸が好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂におけるジカルボンの好ましい含有量)
結晶性ポリエステル樹脂における上記ジカルボン酸由来の構成単位に対する脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を十分に確保する観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
(ジオール)
上記多価アルコール成分の例には、ジオールが含まれる。ジオールは、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジオールであることが好ましく、それ以外のジオールを更に含んでいてもよい。脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から、直鎖型であることが好ましい。
(脂肪族ジオール)
上記脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオールが含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数2〜12の範囲内の脂肪族ジオールが好ましく、更に炭素数4〜6の範囲内の脂肪族ジオールがより好ましい。
(その他のジオール)
その他のジオールの例には、二重結合を有するジオール及びスルホン酸基を有するジオール、が含まれる。具体的には、二重結合を有するジオールの例には、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが含まれる。
(結晶性ポリエステル樹脂における脂肪族ジオールの好ましい含有量)
結晶性ポリエステル樹脂におけるジオール由来の構成単位に対する脂肪族ジオール由来の構成単位の含有量は、トナーの低温定着性及び最終的に形成される画像の光沢性を高める観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
(ジオールとジカルボン酸との好ましい割合)
結晶性ポリエステル樹脂のモノマーにおける上記ジオールと上記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]で2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲内であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲内であることが特に好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒)
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物;が含まれる。
具体的には、スズ化合物の例には、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ及びこれらの塩が含まれる。チタン化合物の例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;及びチタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレートが含まれる。ゲルマニウム化合物の例には、二酸化ゲルマニウムが含まれ、アルミニウム化合物の例には、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシド及びトリブチルアルミネート、が含まれる。
(結晶性ポリエステル樹脂の好ましい重合温度)
結晶性ポリエステル樹脂の重合温度は、150〜250℃の範囲内であることが好ましい。また、重合時間は、0.5〜10時間の範囲内であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
<ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂>
結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド樹脂」ともいう。)を含有していてもよい。ハイブリッド結晶性樹脂を含有させることにより、併用する非晶性樹脂との親和性が向上するため、トナーの低温定着性が向上する。また、結晶性樹脂のトナー中での分散性が向上するため、ブリードアウトを抑制することができる。
ハイブリッド樹脂は、1種でもそれ以上でもよい。また、ハイブリッド樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂の全量と置き換えられていてもよいし、一部と置き換えられていても(併用されていても)よい。
ハイブリッド樹脂は、結晶性ポリエステル重合セグメントと、非晶性重合セグメントとが化学的に結合した樹脂である。結晶性ポリエステル重合セグメントとは、上記結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した結晶性ポリエステル樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。また、非晶性重合セグメントとは、上記非晶性樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した非晶性樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。
(ハイブリッド樹脂の好ましい重量平均分子量(Mw))
ハイブリッド樹脂の好ましい重量平均分子量(Mw)は、十分な低温定着性及び優れた長期保管安定性を確実に両立し得るという観点から、5000〜100000の範囲内であると好ましく、7000〜50000の範囲内であるとより好ましく、8000〜20000の範囲内であると特に好ましい。ハイブリッド樹脂のMwを100000以下とすることにより、十分な低温定着性を得ることができる。一方、ハイブリッド樹脂のMwを5000以上とすることにより、トナー保管時において当該ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との相溶が過剰に進行することが抑制され、トナー同士の融着による画像不良を効果的に抑制することができる。
(結晶性ポリエステル重合セグメント)
結晶性ポリエステル重合セグメントは、例えば、結晶性ポリエステル重合セグメントによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂であってもよいし、結晶性ポリエステル重合セグメントを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂であってもよい。当該結晶性ポリエステル重合セグメントは、前述した多価カルボン酸及び多価アルコールから、前述した結晶性ポリエステル樹脂と同様に合成され得る。
(ハイブリッド樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有量)
ハイブリッド樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有量は、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から、80〜98質量%の範囲内であることが好ましく、90〜95質量%の範囲内であるとより好ましく、91〜93質量%の範囲内であることが更に好ましい。なお、ハイブリッド樹脂中(又はトナー中)の各重合セグメントの構成成分及びその含有量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)やメチル化反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py−GC/MS)などの公知の分析方法を利用することにより特定することができる。
(好ましい結晶性ポリエステル重合セグメントの態様)
結晶性ポリエステル重合セグメントは、モノマーに不飽和結合を有するモノマーを更に含むことが、非晶性重合セグメントとの化学的な結合部位を当該セグメント中に導入する観点から好ましい。不飽和結合を有するモノマーは、例えば二重結合を有する多価アルコールであり、その例には、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸などの二重結合を有する多価カルボン酸;2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが含まれる。上記結晶性ポリエステル重合セグメントにおける上記不飽和結合を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
上記ハイブリッド樹脂は、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよいが、グラフト共重合体であることが、結晶性ポリエステル重合セグメントの配向を制御しやすくなり、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から好ましく、結晶性ポリエステル重合セグメントが非晶性重合セグメントを主鎖として、グラフト化されていることがより好ましい。すなわち、ハイブリッド樹脂は、主鎖として上記非晶性重合セグメントを有し、側鎖として上記結晶性ポリエステル重合セグメントを有するグラフト共重合体であることが好ましい。
(官能基の導入)
なお、ハイブリッド樹脂には、更にスルホン酸基、カルボキシ基、ウレタン基などの官能基が導入されていてもよい。上記官能基の導入は、上記結晶性ポリエステル重合セグメント中でもよいし、上記非晶性重合セグメント中であってもよい。
(非晶性重合セグメント)
非晶性重合セグメントは、結着樹脂を構成する非晶性樹脂とハイブリッド樹脂との親和性を高める。それにより、ハイブリッド樹脂が非晶性樹脂中に取り込まれやすくなり、トナーの帯電均一性がより一層向上する。ハイブリッド樹脂中(又はトナー中)の非晶性重合セグメントの構成成分及びその含有量は、例えばNMRやメチル化反応Py−GC/MSなどの公知の分析方法を利用することにより特定することができる。
また、非晶性重合セグメントは、本発明に係る非晶性樹脂と同様に、DSCの1度目の昇温過程におけるガラス転移温度(T)が、30〜80℃の範囲内であることが好ましく、40〜65℃の範囲内であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度(T)は、公知の方法(例えば、DSC)で測定することができる。
(好ましい非晶性重合セグメントの態様)
非晶性重合セグメントは、結着樹脂に含まれる非晶性樹脂と同種の樹脂で構成されることが、結着樹脂との親和性を高め、トナーの帯電均一性を高める観点から好ましい。このような形態とすることにより、ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との親和性がより向上し、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合を有する樹脂同士のことを意味する。
「特徴的な化学結合」とは、物質・材料研究機構(NIMS)物質・材料データベース(http://polymer.nims.go.jp/PoLyInfo/guide/jp/term_polymer.html)に記載の「ポリマー分類」に従う。すなわち、ポリアクリル、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル及びその他のポリマーの計22種によって分類されたポリマーを構成する化学結合を「特徴的な化学結合」という。
また、樹脂が共重合体である場合における「同種の樹脂」とは、共重合体を構成する複数のモノマー種の化学構造において、上記化学結合を有するモノマー種を構成単位としている場合、特徴的な化学結合を共通に有する樹脂同士を意味する。したがって、樹脂自体の示す特性が互いに異なる場合や、共重合体中を構成するモノマー種のモル成分比が互いに異なる場合であっても、特徴的な化学結合を共通に有していれば同種の樹脂とみなす。
例えば、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)と、スチレン、ブチルアクリレート及びメタクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)とは、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有しているため、これらは同種の樹脂である。さらに例示すると、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)と、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸、テレフタル酸及びフマル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)とは、互いに共通する化学結合として、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有している。したがって、これらは同種の樹脂である。
非晶性重合セグメントの例には、ビニル重合セグメント、ウレタン重合セグメント及びウレア重合セグメントが含まれる。中でも、熱可塑性を制御しやすいと観点から、ビニル重合セグメントであることが好ましい。ビニル重合セグメントは、本発明に係るビニル樹脂と同様にして合成され得る。
(スチレン単量体に由来する構成単位の好ましい含有量)
非晶性重合セグメントにおけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが、ハイブリッド樹脂の可塑性を制御することが容易となる観点から好ましい。また、同様の観点から、非晶性重合セグメントにおける(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有量は、10〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
(両性化合物の好ましい含有量)
さらに、非晶性重合セグメントは、前述した両性化合物をモノマーに更に含有することが、上記結晶性ポリエステル重合セグメントとの化学的な結合部位を上記非晶性重合セグメントに導入する観点から好ましい。非晶性重合セグメントにおける上記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(ハイブリッド樹脂における非晶性重合セグメントの好ましい含有量)
上記ハイブリッド樹脂における上記非晶性重合セグメントの含有量は、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から、3〜15質量%の範囲内であることが好ましく、5〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、7質量〜9質量%の範囲内であることが更に好ましい。
(ハイブリッド樹脂の製造方法)
ハイブリッド樹脂は、例えば、以下に示す第1から第3の製造方法によって製造することができる。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は、あらかじめ合成された非晶性重合セグメントの存在下で結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、上述した非晶性重合セグメントを構成する単量体(好ましくは、スチレン単量体や(メタ)アクリル酸エステル単量体などのビニル単量体)を付加反応させて非晶性重合セグメントを合成する。次に、非晶性重合セグメントの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールとを重合反応させて結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する。このとき、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させるとともに、非晶性重合セグメントに対し、多価カルボン酸又は多価アルコールを付加反応させることにより、ハイブリッド樹脂が合成される。
上記第1の方法において、結晶性ポリエステル重合セグメント又は非晶性重合セグメント中に、これら重合セグメントが互いに反応可能な部位を組み込むこと好ましい。具体的には、非晶性重合セグメントの合成時、非晶性重合セグメントを構成する単量体の他に、前述した両性化合物も使用する。当該両性化合物が結晶性ポリエステル重合セグメント中のカルボキシ基又はヒドロキシ基と反応することにより、結晶性ポリエステル重合セグメントは、非晶性重合セグメントと化学的かつ定量的に結合する。また、結晶性ポリエステル重合セグメントの合成時、そのモノマーに、前述した不飽和結合を有する化合物を更に含有させてもよい。
上記第1の方法により、非晶性重合セグメントに結晶性ポリエステル重合セグメントが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を合成することができる。
(第2の製造方法)
第2の製造方法は、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する。また、結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する反応系とは別に、上述した非晶性重合セグメントを構成する単量体を付加重合させて非晶性重合セグメントを合成する。このとき、結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントの一方又は両方に、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが互いに反応可能な部位を前述のようにして組み込むことが好ましい。
次に、合成した結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとを反応させることにより、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を合成することができる。
また、上記反応可能な部位が結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントのいずれにも組み込まれていない場合は、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが共存する系において、結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントの両方と結合可能な部位を有する化合物を投入する方法を採用してもよい。それにより、当該化合物を介して結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を合成することができる。
(第3の製造方法)
第3の製造方法は、結晶性ポリエステル重合セグメントの存在下で非晶性重合セグメントを合成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて重合を行い、結晶性ポリエステル重合セグメントを合成しておく。次に、結晶性ポリエステル重合セグメントの存在下で、非晶性重合セグメントを構成する単量体を重合反応させて非晶性重合セグメントを合成する。このとき、上記第1の製造方法と同様に、結晶性ポリエステル重合セグメント又は非晶性重合セグメントに、これら重合セグメントが互いに反応可能な部位を組み込むことが好ましい。
上記の方法により、結晶性ポリエステル重合セグメントに非晶性重合セグメントが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を合成することができる。
上記第1から第3の製造方法の中でも、第1の製造方法は、非晶性樹脂鎖に結晶性ポリエステル樹脂鎖をグラフト化した構造のハイブリッド樹脂を合成しやすいことや生産工程を簡素化できるため好ましい。第1の製造方法は、非晶性重合セグメントをあらかじめ形成してから結晶性ポリエステル重合セグメントを結合させるため、結晶性ポリエステル重合セグメントの配向が均一になりやすい。
[離型剤]
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができる。
なお、離型剤の融点は、結着樹脂の融点と同様の方法で測定することができる。
離型剤には公知のものを使用することができ、その例には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュワックス)、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;及びジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックス;が含まれる。
本発明に使用可能な離型剤について、更に詳細に述べる。
離型剤として使用できるエステルワックスとは、少なくともエステルを含んでいる。
エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのいずれをも用いることができ、例えば、下記一般式(1)〜(3)で表される構造を有する高級脂肪酸及び高級アルコールのエステル類、下記一般式(4)で表される構造を有するトリメチロールプロパントリエステル類、下記一般式(5)で表される構造を有するグリセリントリエステル類、下記一般式(6)で表される構造を有するペンタエリスリトールテトラエステル類などを挙げることができる。
一般式(1) R−COO−R
一般式(2) R−COO−(CH−OCO−R
一般式(3) R−OCO−(CH−COO−R
一般式(1)〜(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい。nは、1〜30の整数を表す。
及びRは、炭素数13〜30の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
nは、1〜30の整数を表すが、好ましくは1〜12の整数を表す。
Figure 0006926704
一般式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。なお、R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
Figure 0006926704
一般式(5)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。なお、R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
Figure 0006926704
一般式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
〜Rが有してもよい置換基としては、本発明の効果を阻害しない範囲において特に限定されず、例えば、直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基、非芳香族複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基、重水素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される構造を有するモノエステルの具体例としては、例えば、以下の式(1−1)〜(1−8)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
式(1−1) CH−(CH12−COO−(CH13−CH
式(1−2) CH−(CH14−COO−(CH15−CH
式(1−3) CH−(CH16−COO−(CH17−CH
式(1−4) CH−(CH16−COO−(CH21−CH
式(1−5) CH−(CH20−COO−(CH17−CH
式(1−6) CH−(CH20−COO−(CH21−CH
式(1−7) CH−(CH25−COO−(CH25−CH
式(1−8) CH−(CH28−COO−(CH29−CH
上記一般式(2)及び一般式(3)で表される構造を有するジエステルの具体例としては、例えば、以下の式(2−1)〜(2−7)及び式(3−1)〜(3−3)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
式(2−1) CH−(CH20−COO−(CH−OCO−(CH20−CH
式(2−2) CH−(CH18−COO−(CH−OCO−(CH18−CH
式(2−3) CH−(CH20−COO−(CH−OCO−(CH20−CH
式(2−4) CH−(CH22−COO−(CH−OCO−(CH22−CH
式(2−5) CH−(CH16−COO−(CH−OCO−(CH16−CH
式(2−6) CH−(CH26−COO−(CH−OCO−(CH26−CH
式(2−7) CH−(CH20−COO−(CH−OCO−(CH20−CH
式(3−1) CH−(CH21−OCO−(CH−COO−(CH21−CH
式(3−2) CH−(CH23−OCO−(CH−COO−(CH23−CH
式(3−3) CH−(CH19−OCO−(CH−COO−(CH19−CH
上記一般式(4)で表される構造を有するトリエステルの具体例としては、例えば、以下の式(4−1)〜(4−6)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 0006926704
上記一般式(5)で表される構造を有するトリエステルの具体例としては、例えば、以下の式(5−1)〜(5−6)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 0006926704
上記一般式(6)で表される構造を有するテトラエステルの具体例としては、例えば、以下の式(6−1)〜(6−5)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 0006926704
以上の中でも、エステルとしては、モノエステルであることが好ましい。
また、離型剤に採用可能なエステルワックスは、一つの分子内にモノエステル構造、ジエステル構造、トリエステル構造及びテトラエステル構造の複数が保有された構造のものであってもよい。
また、離型剤としては、以上のエステルの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(マイクロクリスタリンワックス)
上述のように、本発明に係る離型剤として、マイクロクリスタリンワックスを使用してもよい。
ここで、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で、主成分が直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)であるパラフィンワックスとは異なり、直鎖状炭化水素の他に分岐鎖状炭化水素(イソパラフィン)や環状炭化水素(シクロパラフィン)を多く含むワックスをいい、一般に、マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンが多く含有されているために、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。
このようなマイクロクリスタリンワックスは、炭素数が30〜60の範囲内、重量平均分子量が500〜800の範囲内、融点が60〜90℃の範囲内である。マイクロクリスタリンワックスとしては、重量平均分子量が600〜800の範囲内、融点が60〜85℃の範囲内であるものが好ましい。また、低分子量のもので特に数平均分子量が300〜1000の範囲内のものが好ましく、400〜800の範囲内のものがより好ましい。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、1.01〜1.20の範囲内であることが好ましい。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095などのマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンが主成分であるワックスEMW−0001、EMW−0003などが挙げられる。
マイクロクリスタリンワックスにおける分岐の有無及びその割合は、具体的には、下記条件における13C−NMR測定方法により得られるスペクトルにより、下記式(i)により算出することができる。
式(i):分岐の割合(%)=(C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)×100
(式(i)中、C1は1級炭素原子に係るピーク面積、C2は2級炭素原子に係るピーク面積、C3は3級炭素原子に係るピーク面積、C4は4級炭素原子に係るピーク面積を表す。)
13C−NMR測定方法の条件)
測定装置 :FT NMR装置 Lambda400(日本電子社製)
測定周波数 :100.5MHz
パルス条件 :4.0μs
データポイント:32768
遅延時間 :1.8sec
周波数範囲 :27100Hz
積算回数 :20000回
測定温度 :80℃
溶媒 :ベンゼン−d6/o−ジクロロベンゼン−d4=1/4(v/v)
試料濃度 :3質量%
試料管 :径5mm
測定モード :H完全デカップリング法
(好ましい離型剤の種類・組み合わせ)
上記例示した離型剤の中でも、本発明においては、少なくとも炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含むことが好ましい。これにより、結晶化温度が好ましい範囲(50〜80℃)としやくすくなり、かつ低温定着性を良好にできる。なお、このような脂肪酸エステルワックスの具体的な例としては、例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
また、離型剤は、炭化水素ワックスを含有することが好ましく、中でも分岐構造を有する炭化水素ワックスであることが好ましい。これは、分岐構造により結晶化が促進されやすくなり、この結果、ΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できるからである。なお、このような分岐構造を有する炭化水素ワックスの具体例としては、例えば、マイクロクリスタリンHNP0190等が挙られるがこれに限定されない。
さらに、離型剤は、少なくとも炭化水素ワックス及び炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含有することがより好ましい。これにより、結晶化温度をより好ましい範囲にでき、かつ低温定着性がより良好にできる。また、離型剤として、少なくとも、炭化水素ワックス及び炭素数が30〜72の脂肪酸エステルワックスを含むことで、結晶化温度の低い脂肪酸エステルに結晶化温度の高い炭化水素ワックスが混合することとなり、脂肪酸エステルの結晶化を促進しΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できる。
(好ましい離型剤の含有率)
トナー母体粒子中、離型剤の含有率は、3〜15質量%の範囲内であることが好ましく、5〜12質量%の範囲内であることがより好ましい。
<着色剤>
本発明のトナー母体粒子が含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。着色剤の添加量はトナー粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤、外添剤等を含有することができる。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤により、帯電性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部の範囲内とすることができる。
〔外添剤〕
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するため、流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤で処理されていてもよい。
外添剤としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理が行われていることが好ましい。
外添剤の添加量(複数の外添剤を用いる場合はその合計の添加量)は、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜3質量部の範囲内であることがより好ましい。
〔コア・シェル構造〕
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、当該トナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度等の特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等を含有し、ガラス転移点(T)が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点(T)が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。シェル層は、非晶性樹脂を含有することが好ましい。
〔トナー粒子の粒径〕
トナー粒子の粒径としては、体積基準のメジアン径(d50)が3〜10μmの範囲内にあることが好ましく、5〜8μmの範囲内にあることがより好ましい。
上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像であっても高い再現性が得られる。
なお、トナー粒子の粒径は、製造時に使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径(d50)の測定には、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いることができる。
具体的には、測定試料(トナー)を、界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散を行い、トナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(d50)として得る。
〔トナー粒子の平均円形度〕
トナー粒子は、帯電性の安定性及び低温定着性を高める観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内にあることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内にあることがより好ましい。
平均円形度が上記範囲内にあれば、個々のトナー粒子が破砕しにくくなる。これにより、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができるとともに、形成される画像の画質を高めることができる。
トナー粒子の平均円形度は、FPIA−2100(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。その後、FPIA−2100(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行う。HPF検出数が上記の範囲内であれば、再現性のある測定値を得ることができる。撮影した粒子像から、個々のトナー粒子の円形度を下記式(I)に従って算出し、各トナー粒子の円形度を加算して全トナー粒子数で除することにより、平均円形度を得る。
式(I)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
〔現像剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散した分散型キャリア等用いてもよい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)としては、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、例えば湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)により測定することができる。
≪トナーの製造方法≫
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
本発明に係るトナーの製造方法に好ましく用いられる乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
また、本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーにおいては、どちらの製造方法も適用可能である。
本発明のトナーの製造方法として、乳化重合凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)乳化重合により、結着樹脂微粒子の分散液を調製する工程
(4)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
乳化重合凝集法によってトナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる二層以上の多層構造を有するものであってもよく、このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば二層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化重合凝集法によってはコア・シェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコア・シェル構造を有するトナー粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤の微粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
また、本発明のトナーの製造方法として、粉砕法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)結着樹脂、着色剤並びに必要に応じて内添剤をヘンシェルミキサーなどにより混合する工程
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、更にターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行う工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理しトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[トナーの製造]
[非晶性樹脂微粒子分散液(非晶性分散液)X1の調製]
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて上記混合液を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液x1を調製した。
(単量体混合液1)
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部の樹脂微粒子の分散液x1(固形分換算)と、下記組成からなる単量体及び離型剤を90℃にて溶解させた単量体混合液2とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。下記ベヘン酸ベヘニルは、離型剤であり、その融点は73℃である。
(単量体混合液2)
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 190質量部
次いで、上記分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、得られた分散液を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液x2を調製した。
(3)第3段重合
さらに、樹脂微粒子の分散液x2にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、上記分散液を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル樹脂(スチレン−アクリル樹脂)からなる非晶性樹脂微粒子分散液(以下、「非晶性分散液」ともいう。)X1を調製した。
(単量体混合液3)
スチレン 307質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
得られた非晶性分散液X1について物性を測定したところ、非晶性樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(d50)は220nmであり、ガラス転移温度(T)は46℃であり、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
[非晶性分散液X2〜X8、X10の調製]
第3段重合におけるベヘン酸ベヘニルを表1、2に示す比率の離型剤1〜7に変更した以外は非晶性分散液X1の調製と同様にして、非晶性樹脂微粒子分散液(非晶性分散液)X2〜X8、X10のそれぞれを得た。
Figure 0006926704
[非晶性分散液X9の調製]
非晶性分散液X1の調製において、単量体混合液3を下記単量体混合液4に変更した以外は同様にして、非晶性分散液X9を得た。
(単量体混合液4)
スチレン 323質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 10質量部
[非晶性分散液X11の調製]
非晶性分散液X1の調製において、単量体混合液3を下記単量体混合液5のように変更した以外は同様にして、非晶性分散液X11を得た。
(単量体混合液5)
スチレン 207質量部
メチルメタクリレート 100質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
Figure 0006926704
[結晶性ポリエステル樹脂1の合成]
ドデカン二酸281質量部及び1,6−ヘキサンジオール283質量部を、撹拌器、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れた。反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、Ti(OBu)を0.1質量部添加し、得られた混合液を窒素ガス気流下、約180℃で8時間撹拌し、反応を行った。さらに、当該混合液にTi(OBu)を0.2質量部添加し、当該混合液の温度を約220℃に上げ6時間、当該混合液を撹拌し、反応を行った。その後、反応容器内の圧力を1333.2Paまで減圧し、減圧下で反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。結晶性ポリエステル樹脂1の数平均分子量(Mn)は5500であり、重量平均分子量(Mw)は18000であり、融点(T)は67℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂2の合成]
ドデカン二酸をデカン二酸に、1,6−ヘキサンジオールを1,9−ノナンジオールに変更する以外は結晶性ポリエステル樹脂1の合成と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。結晶性ポリエステル樹脂2のMnは(4300)であり、Mwは(19200)であり、Tは66℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂3の合成]
ドデカン二酸をデカン二酸に変更する以外は結晶性ポリエステル樹脂1の合成と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。結晶性ポリエステル樹脂3のMnは5600であり、Mwは19000であり、Tは78℃であった。
[ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(結晶性ポリエステル樹脂4)の合成]
両反応性モノマーを含む、下記の付加重合系セグメント(スチレン・アクリルセグメント:St−Ac)の原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 34質量部
n−ブチルアクリレート 12質量部
アクリル酸 2質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7質量部
また、下記の重縮合系セグメント(結晶性ポリエステルセグメント)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ドデカン二酸 250質量部
1,6−ヘキサンジオール 128質量部
次いで、撹拌下で付加重合系樹脂(St−Ac)の原料モノマーを90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の樹脂の原料モノマー比に対してごく微量であった。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることによりハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂である結晶性ポリエステル樹脂4を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂4は、重量平均分子量(Mw)が18000、融点(T)が67℃であった。
[結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)C1の調製]
結晶性ポリエステル樹脂1を30質量部溶融させた状態で、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)へ毎分100質量部の移送速度で移送した。同時に、濃度0.37質量%の希アンモニア水を熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で上記乳化分散機へ移送した。上記希アンモニア水は、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈して調製した。
そして、上記乳化分散機を、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm(490kPa)の条件で運転することにより、固形分量が30質量部である結晶性ポリエステル樹脂1の結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)C1を調製した。結晶性分散液C1におけるに含まれる結晶性ポリエステル樹脂1の粒子の体積基準のメジアン径(d50)は200nmであった。
[結晶性分散液C2の調製]
結晶性ポリエステル樹脂1に代えて結晶性ポリエステル樹脂2を用いる以外は結晶性分散液C1の調製と同様にして、結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)C2を調製した。結晶性分散液C2における結晶性ポリエステル樹脂2の粒子のd50は230nmであった。
[結晶性分散液C3の調製]
結晶性ポリエステル樹脂1に代えて結晶性ポリエステル樹脂3を用いる以外は結晶性分散液C1の調製と同様にして、結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)C3を調製した。結晶性分散液C3における結晶性ポリエステル樹脂3の粒子のd50は185nmであった。
[結晶性分散液C4の調製]
結晶性ポリエステル樹脂1に代えて結晶性ポリエステル樹脂4を用いる以外は結晶性分散液C1の調製と同様にして、結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)C4を調製した。結晶性分散液C4における結晶性ポリエステル樹脂4の粒子のd50は185nmであった。
[着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)Bkの調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)Bkを調製した。着色剤分散液Bkにおける体積基準のメジアン径d50を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、120nmであった。
[シェル用非晶性樹脂の合成]
両性化合物(アクリル酸)を含む下記組成からなる、単量体混合液6を滴下ロートに入れた。なお、ジ−t−ブチルパーオキサイドは、重合開始剤である。
(単量体混合液6)
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
アクリル酸 10質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 16質量部
また、下記の重縮合系セグメント(非晶性ポリエステルセグメント)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、得られた溶液に、撹拌下で単量体混合液6を90分間かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて単量体混合液6の成分のうちの未反応のモノマーを四つ口フラスコ内から除去した。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を四つ口フラスコ内に0.4質量部投入し、当該四つ口フラスコ中の混合液を235℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)で1時間の条件で反応を行いシェル用非晶性樹脂s1を得た。
[シェル用樹脂微粒子分散液(シェル用分散液)S1の調製]
100質量部のシェル用非晶性樹脂s1を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、得られた混合液を、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)によって、V−LEVELが300μAの条件で30分間超音波分散後した。その後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を用いて上記混合液を減圧下で3時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去した。こうして、固形分量が13.5質量%のシェル用非晶性樹脂微粒子分散液(シェル用分散液)S1を調製した。シェル用分散液S1におけるシェル用樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は160nmであった。
[トナー1の製造]
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、288質量部の非晶性分散液X1(固形分換算)及び2000質量部のイオン交換水を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して当該反応容器中の分散液のpHを10(測定温度25℃)に調整した。
上記分散液に、30質量部の着色剤分散液Bk(固形分換算)を投入した。次いで、凝集剤として塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて上記分散液に添加した。得られた混合液を80℃まで昇温し、40質量部の結晶性分散液C1(固形分換算)を10分間かけて上記混合液に添加して凝集を進行させた。
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて上記混合液中で会合した粒子の粒径を測定し、当該粒子の体積基準のメジアン径d50が6.0μmになった時点で、37質量部のシェル用分散液S1(固形分換算)を上記混合液に30分間かけて投入した。得られた反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を上記反応液に添加して粒子成長を停止させた。
さらに、上記反応液を80℃に加熱し撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、上記反応液中の粒子を測定装置「FPIA−2100」(シスメックス株式会社製)を用いて(HPF検出数を4000個)測定し、当該粒子の平均円形度が0.945になった時点で2.5℃/分の冷却速度で上記反応液を30℃に冷却した。
次いで、冷却した上記反応液から上記粒子を分離、脱水し、得られたケーキを、イオン交換水への再分散と固液分離とを3回繰り返して洗浄し、その後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子1を得た。
100質量部のトナー母体粒子1に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、これらを「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去した。このような外添剤処理を行って、静電潜像現像用のトナー粒子1の集合体であるトナー1を製造した。
トナー粒子1と、アクリル樹脂を被覆した体積平均粒径32μmのフェライトキャリアとを、トナー粒子濃度が6質量%となるように添加して混合した。こうして、トナー1を含有する二成分現像剤である現像剤1を製造した。
[トナー2〜14の製造]
非晶性分散液X1及び結晶性分散液C1を、表3に示す非晶性分散液及び結晶性分散液に変更すること以外はトナー1の製造と同様にして、トナー2〜14のそれぞれを製造し、更には、現像剤2〜14を製造した。
Figure 0006926704
[評価]
以下、トナー1〜14について下記のようにして評価した。結果は表4に示す。
(1)吸熱ピークトップ温度、発熱ピーク温度等の測定
トナー1〜14を、熱分析装置「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)を用いて前述の条件で測定することにより、各トナーの昇温時の吸熱ピークトップ温度(m)並びに降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔH及び発熱ピークトップ温度rを測定した。
(2)低温定着性
トナー1〜14の低温定着性について、それぞれ、現像剤1〜14を用いて評価した。具体的には下記のとおりである。
複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)の改造機に試料となる現像剤1〜14を装填した。当該改造機は、定着用ヒートローラの表面温度を85〜210℃の範囲で変更することができるように、上記複写機の定着装置を改造した装置である。そして、A4サイズの普通紙(坪量80g/m)上に試料となるトナーの付着量11mg/10cmのベタ画像を定着させる定着実験を所定の定着温度で繰り返し行った。当該定着温度は、85℃から130℃までの5℃刻みの温度に設定した。
次いで、各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、折り機で上記ベタ画像に対して谷折りとなるように(上記ベタ画像を表側にして)折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の基準1に示す5段階にランク付けし、ランク3となる定着実験のうち最も定着温度の低い定着実験における定着温度を、下限定着温度として評価した。
(基準1)
ランク5:全く剥離なし
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:大きな剥離あり
そして、下限定着温度に基づいて、下記の基準2により各トナーセットにおける低温定着性を評価した。下限定着温度は、低ければ低い程、低温定着性に優れることを意味しており、下限定着温度が120℃以下(「◎」、「○」、「△」)であれば実用上問題ないため、合格と判定する。
(基準2)
◎:下限定着温度が105℃以下
○:下限定着温度が105℃より大きく118℃以下
△:下限定着温度が118℃より大きく120℃以下
×:下限定着温度が120℃より大きい
(3)画像ノイズ
高温保管後のトナー1〜14の画像ノイズについて、それぞれ、トナー1〜14を50℃40%RHの環境下で24時間保管し、それらを用いて上記現像剤1〜14と同様に作製した現像剤1′〜14′を用いて評価した。具体的には下記のとおりである。
[評価]
評価装置として、市販のデジタルフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)を用いた。現像剤1′〜14′を装填し、高温高湿(30℃・80%RH)環境で、A4版の上質紙(65g/m)上にテスト画像として印字率5%の帯状ベタ画像を10万枚形成する印刷を行った。
印刷初期と10万枚の印刷後(以下「長期使用後」ともいう。)のそれぞれで、現像剤1′〜14′のそれぞれを用いた階調率32段階の階調パターンの画像を出力した。次に、階調パターンをCCDで読み取り、得られた読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度にあわせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大GI値を求めた。ここで、GI値は、小さいほど画像の粒状感が少なく、良好であることを表す。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。下記評価基準にしたがって、初期及び長期使用後のそれぞれの上記画像における階調パターンのGI値から、画像ノイズを評価した。すなわち、初期に出力した階調パターンの画像について、当該画像における最大GI値(GI)、長期使用後の階調パターンにおける最大GI値(GI)をそれぞれ算出し、その差ΔGI(GI−GI)に基づき、以下の基準により、画像ノイズについて判定した。
◎:ΔGIが0以上0.010未満
○:ΔGIが0.010以上0.020未満
×:ΔGIが0.020以上
Figure 0006926704
表4より、本発明のトナーによれば、低温定着性に優れ、かつ高温高湿環境での長期保管を経た後でも画像ノイズが生じない静電潜像現像用トナーを提供できることがわかる。
1 曲線(発熱曲線)
2 微分曲線
ピークの始点
ピークの終点
V1 極小点
V2 極小点

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、
    前記結着樹脂が、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
    前記静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による昇温時の吸熱ピークトップ温度が70℃以上であり、
    前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピーク全体の発熱量ΔHに対して、(発熱ピークトップ温度r−7℃)以下の発熱量ΔH(L)が、15%以下であり、
    前記離型剤が、少なくとも炭化水素ワックス及び炭素数が40〜77の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含有し、かつ、
    前記炭化水素ワックス及び前記脂肪酸エステルワックスの質量比の値(炭化水素ワックスの質量/脂肪酸エステルワックスの質量)が、5/95〜15/85の範囲内であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記炭化水素ワックスとして、分岐構造を有する炭化水素ワックスを含有することを特徴とする請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、50〜80℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度rが、60〜75℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
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