JP2013137420A - トナー - Google Patents

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Mamoru Hozumi
守 穂積
Takahiro Honda
隆浩 本多
Daisuke Inoue
大佑 井上
Masaki Watanabe
政樹 渡邉
Ryuta Yoshida
隆太 吉田
Tomoki Murayama
智紀 村山
Osamu Uchinokura
理 内野倉
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Abstract

【課題】トナーのより良好な低温定着性と耐熱保存性の両立、長期保管後も高い画像品質が得られ、また高速機においても機内汚染の発生しないトナーおよび現像剤、現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供すること。
【解決手段】結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナーであって、
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有するものであり、前記離型剤はエステルワックスであり、
トナーを示差熱量分析(DSC)したときの前記離型剤に由来する吸熱ピーク温度をTm1、前記結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度をTm2、前記結晶性ポリエステルを示差熱量分析(DSC)したときの吸熱ピーク温度をCm、トナーの流出開始温度をTfbとしたとき、
Cmが55℃以上80℃以下であり、かつ、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことを特徴とするトナー。
Tm2+12℃<Tfb<Tm2+25℃ (1)
Tm2≦Tm1≦Tm2+20℃ (2)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられるトナー、並びに、該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、定着方法、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
従来、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置では、電気的潜像又は磁気的潜像をトナーによって顕像化して画像形成を行っている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電潜像を形成した後、静電潜像をトナーで現像して、トナー像を形成する。トナー像は、紙等の記録媒体上に転写された後、加熱溶融して定着される。
特許文献1の特許第3287733号公報には、融点が40〜90℃のR−COO−R〔式中、R及びRは、炭素数15〜45を有する直鎖状アルキル基をそれぞれ示す。〕で示され、かつトータルの炭素数が同一のエステル化合物が50〜95重量%含有するエステルワックスを含有するトナーは、低温定着性、耐ブロッキング性、及び、OHPフィルムに使用したときに透明性に優れる定着画像が得られる旨が開示されている。
しかし、近年では環境保護として、粉塵や有機揮発性物質(VOC)の機外への外部排気が規制されており、また、ワックスの揮発により複写機内部の光学機器類が汚染されることがある。
有機揮発性物質の発生に対して、特許文献2の特許第4435434号公報には、所定の炭素数を有するモノカルボン酸と一価あるいは多価アルコールから合成されたエステルワックスは、鋭敏な熱融解挙動を示し、これをトナーに使用することにより、良好な離型性を示すと共に、揮発物質の低減を図ることができる旨が開示されている。
また、近年、複写機は、高画質を維持しつつ、小型で高速かつ多数枚の複写可能なものが求められており、トナーには、出力画像の高品質化のための小粒径化や、省エネルギー化のための低温定着性の向上が要求されている。
混練粉砕法により得られるトナーは、小粒径化が困難であり、その形状は不定形で、その粒径分布はブロードである。また、粉砕可能な樹脂はある程度の硬さが必要とされるため、粉砕トナーは定着温度が高くなり、省エネルギー化が困難であり、高速の複写機には不向きである。
さらに、混練粉砕法では、粉砕の際に、樹脂と離型剤(ワックス)との界面で割れるために、トナー粒子表面に離型剤(ワックス)が多く存在する。このため、定着時の離型効果がでる反面、キャリア、感光体、ブレードへのトナーの付着等の機内汚染が起こりやすく、画像形成プロセス全体からみると、その性能は満足のいくものではない。
このような混練粉砕法による問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。重合法で製造されたトナーは、小粒径化が容易であり、粒度分布も粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープであり、さらに、ワックスの内包化も可能である。
特許文献3の特許第4533061号公報には、スチレン/アクリレート共重合体、結晶性ポリエステル、及び、該結晶性ポリエステルの融点より低い融点を持つ離型剤を含み、該結晶性ポリエステルの融点とトナーの流出開始温度との差が12℃以内であるものが開示され、低温定着性、保存安定性に優れると共に、長期の使用においてもカブリやトナー融着を生じずに高い画像濃度を得られる旨が開示されている。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性をもつがゆえに定着開始温度付近において、急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。つまり、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性が良く、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こし、定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することができる。
しかし、さらなる低温定着性の改良に伴い、トナーの耐熱保存性や耐ホットオフセット性が阻害されないようにすることが望まれる。このような課題に対応して、トナーの結着樹脂として、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂の代わりに、低温定着性に優れ、耐熱保存性も比較的良好なポリエステル樹脂の使用が試みられている。
特許文献4の特許第4267427号公報には、ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステルとを含むトナーが開示され、結晶性ポリエステルとポリエステル樹脂等のトナー材料が適度に相溶し、この相溶化部分が定着時に溶融が開始する起点部分として働き、トナー全体を効率よく融解させ低温定着性とシャープメルト性を発現させることが開示されている。
また、特許文献5の特許第4347174号公報には、互いに相溶可能な、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとを用いた重合トナーが開示され、これは低温定着性と耐熱保存性、及び、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)についても、良好な結果を示すことが開示されている。
しかし、これら結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとを用いたトナーは、機内の温度が比較的高くなりやすい高速複写機に用いると、結晶性ポリエステル融点以下であっても緩い力で隣接するトナー粒子同士が接着することがある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、トナーのより良好な低温定着性と耐熱保存性の両立、長期保管後も高い画像品質が得られ、また高速機においても機内汚染の発生しないトナーおよび現像剤、現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法を提供することを目的とする。
結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとを含有するトナーは、結晶性ポリエステル由来の吸熱ピーク温度(Tm2)未満では、ゴム状態の非結晶性ポリエステル中に分散された硬い結晶性ポリエステルが非結晶性ポリエステルの変形を妨げるフィラーの役割を果たすことによっても、トナー粒子の軟化が防止され耐熱保存性が向上する。
そして、結晶性ポリエステルの由来の吸熱ピーク温度(Tm2)を超えると、結晶性ポリエステルの相溶化部分が定着時に溶融が開始する起点部分として働き、トナー全体を効率よく融解させ、シャープメルト性を発現し、低融点の結晶性ポリエステルを用いることにより、良好な低温定着性が得られる。
しかし、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとを含有するトナーは、緩い力でも隣接するトナー粒子同士が接着することがあり、定着プロセスにおいて画像品質悪化の原因となる。
この原因について本発明者らが鋭意検討した結果、接着し易いトナーは、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとが部分的に相溶している部分が多く、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとが相溶している箇所をできるだけ少なくすることにより、隣接するトナー粒子同士の接着防止できることを見出した。
この理由は明らかではではないが、前記相溶箇所の融点は結晶性ポリエステルの融点よりも低く軟化し易いことや、トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂が軟らかい相溶部分に囲まれフィラー効果を発揮できず、トナー粒子が軟らかくなること等によると考えられる。
さらに、トナー粒子中のワックスに由来する吸熱ピーク温度Tm1が結晶性ポリエステル由来の吸熱ピーク温度Tm2よりも低いと、ワックスの相溶部分の溶融により、トナー粒子内部での結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとの配置が不均一となり、シャープメルト性を阻害してしまうことも見出した。
本発明は係る知見に基き完成したものである。
すなわち、上記課題は、本発明の、下記(1)〜(18)によって解決される。
(1)「結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナーであって、
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有するものであり、
前記離型剤はエステルワックスであり、
トナーを示差熱量分析(DSC)したときの前記離型剤に由来する吸熱ピーク温度をTm1、前記結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度をTm2、前記結晶性ポリエステルを示差熱量分析(DSC)したときの吸熱ピーク温度をCm、トナーの流出開始温度をTfbとしたとき、
Cmが55℃以上80℃以下であり、かつ、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことを特徴とするトナー;
Tm2+12℃<Tfb<Tm2+25℃ (1)
Tm2≦Tm1≦Tm2+20℃ (2)」、
(2)「前記結晶性ポリエステルは、トナー粒子中に分散しており、該結晶性ポリエステルの平均分散径が、長軸径で0.1μm以上2.0μm以下であることを特徴とする前記(1)項に記載のトナー」、
(3)「前記結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)で10000〜30000、Mw/Mnが2.5〜10であることを特徴とする前記(1)項または前記(2)項に記載のトナー」、
(4)「前記結晶性ポリエステルを5重量%以上15重量%以下含有することを特徴とする前記(1)項乃至前記(3)項のいずれかに記載のトナー」、
(5)「前記非結晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移点が35℃以上55℃以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載のトナー」、
(6)「前記結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ポリエステルであり、前記非結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族ポリエステルであることを特徴とする前記(1)項乃至前記(5)項いずれかに記載のトナー」、
(7)「前記エステルワックスは、モノエステルワックスであることを特徴とする前記(1)項乃至前記(6)項のいずれかに記載のトナー」、
(8)「エステルワックスを3重量%以上2重量%以下含有し、トナー粒子中のエステルワックスの平均粒径が長径で0.2μm以上2.0μmであることを特徴とする前記(1)項乃至前記(7)項のいずれかに記載のトナー」、
(9)「前記トナーは、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、及び離型剤を含むトナー材料を含有する油相の水系媒体分散液または乳化液から造粒されたトナー母粒子を有するものであることを特徴とする前記(1)項乃至前記(8)項の何れかに記載のトナー」、
(10)「前記トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂が油相を構成する有機溶媒に溶解する温度(Tm)以上に加熱されることなく作製されたものであることを特徴とする前記(9)項に記載のトナー。
また、本発明は以下の発明を包含する。
(11)「前記結晶性ポリエステルの融点を(Tm2)、前記トナーの流出開始温度TfbとTm2の関係が下記式(3)を満たすことを特徴とする前記(1)項乃至前記(10)項いずれかに記載トナー;
Tm2+15℃<Tfb<Tm2+22℃ (3)
(12)「前記離型剤の融点をTm1、前記結晶性ポリエステルの融点をTm2としたとき、下記式(4)を満たすことを特徴とする前記(1)項乃至前記(11)項のいずれかに記載のトナー;
Tm2+3℃≦Tm1≦Tm2+10℃ (4)」、
(13)「前記トナーは、有機溶媒に、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、及び、結着樹脂前駆体を含む結着樹脂成分と、離型剤と、着色剤とが溶解乃至分散されているトナー材料液に、前記結着樹脂前駆体と伸長反応または架橋反応する化合物を溶解させた油相の水系媒体分散液または乳化液中で、前記結着樹脂前駆体を架橋反応及び/又は伸長反応させ造粒されたトナー母粒子を有するものであることを特徴とする前記(1)項乃至前記(12)項の何れかに記載のトナー」、
(14)「前記(1)項乃至前記(13)項のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤」、
(15)「前記(14)項に記載の現像剤が充填されてなることを特徴とする現像剤入り容器」、
(16)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、前記(1)項乃至前記(13)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ」、
(17)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、画像形成装置はプロセス線速が300mm/s以上1500mm/s以下であり、前記トナーが、前記(1)項乃至前記(13)項のいずれかに記載の静電荷現像用トナーであることを特徴とする画像形成装置」、
(18)「静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが、前記(1)項乃至前記(13)項のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、低温定着性と耐熱保存性が高次で両立され、長期保管後も高い画像品質が得られ、また高速機においても有機揮発性物質(VOC)及び機内汚染の発生しないトナーおよび現像剤、現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法が提供される。
高架式フローテスターによるフローカーブである。 本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す図である。 画像形成手段の一例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジを示す図である。
本発明のトナーについて詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有し、前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有するものであり、前記離型剤はエステルワックスであり、
トナーを示差熱量分析(DSC)したときの前記離型剤に由来する吸熱ピーク温度をTm1、前記結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度をTm2、前記結晶性ポリエステルを示差熱量分析(DSC)したときの吸熱ピーク温度をCm、トナーの流出開始温度をTfbとしたとき、
Cmが55℃以上80℃以下であり、かつ、下記式(1)及び下記式(2)を満たすものである。
Tm2+12℃<Tfb<Tm2+25℃ (1)
Tm2≦Tm1≦Tm2+20℃ (2)
<結着樹脂>
本発明の結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とを含むものである。
<結晶性ポリエステル樹脂>
トナー粒子中に存在する結晶性ポリエステル樹脂は、高い結晶性を有するが故に、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示すという熱溶融特性を有している。つまり、結晶性ポリエステル樹脂を用いることによって溶融開始温度直前までは結晶性により耐熱保存性が良好であり、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こして定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することができる。結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、5重量%以上15重量%以下であることがより好ましい。
本発明の結晶性ポリエステルは、融点が55℃以上80℃以下であり、58℃〜70℃であることがより好ましい。
融点が55℃未満の場合、耐熱保存性の悪化が見られ、80℃より高い場合は低温定着性の悪化が見られる。
なお、本発明において、結晶性ポリエステルの融点とは、示差走査熱量計を用いて測定されるDSC曲線において、最大吸熱ピークを示すときの温度をいう。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂は、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)が、10000〜30000、数平均分子量(Mn)が500〜6000、Mw/Mnが2〜10であることが好ましい。
重量平均分子量(Mw)が30000を超えると低温定着性が低下し、10000未満では、耐熱保存性が低下する。またMw/Mnが10を超えると分子量分布がブロードになり低温定着性と耐熱保存性の両立が困難になる。
また、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布の横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が、3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であるものが好ましく使用できる
本発明において、前記結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマー成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数2〜20のジオール化合物及びこれらの誘導体を含有するアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸等の多価カルボン酸化合物及びこれらの誘導体を含有する酸成分とを用いて合成できるポリエステル樹脂を使用できる。
前記アルコール成分としての炭素数2〜12の飽和脂肪族ジオール化合物としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールおよびこれらの誘導体が挙げられる。
また、前記酸性分としては、二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、もしくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸、特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,−8オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12−ドデカン二酸およびこれらの誘導体を用いることができる。
特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,−8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールのいずれかの炭素数4〜12の飽和ジオール成分と、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,−8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12−ドデカン二酸のいずれかの炭素数4〜12の飽和ジカルボン酸成分から合成される構成された脂肪族ポリエステル樹脂は、結晶性が高く、融点付近で急激な粘度変化を示す観点から好ましく使用できる。
<非結晶性ポリエステル樹脂>
本発明において、前記結着樹脂成分として非結晶性ポリエステル樹脂を含む。この非結晶性ポリエステル樹脂としては、非結晶性の未変性ポリエステル樹脂が好ましく用いられ、芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、本発明の非結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜55℃であることが好ましく、39〜45℃がさらに好ましい。Tgが35℃未満であると、高温雰囲気下でトナーが劣化しやすくなることがあり、さらに、定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが55℃を超えると、定着性が低下することがある。
非結晶性ポリエステル樹脂に用いられるアルコール成分としては、2価のアルコール(ジオール)、具体的には、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールおよび1,6−ヘキサンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールなど);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド〔エチレンオキシド(以下EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下POと略記する)およびブチレンオキシド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
また、前記の2価のオールに加えて3価以上(3〜8価またはそれ以上)のアルコール成分を含有してもよく、具体的には、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えば、グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えば庶糖およびメチルグルコシド;など);上記脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど:平均重合度3〜60)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂に用いられるカルボン酸成分としては、2価のカルボン酸(ジカルボン酸)、具体的には、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アピジン酸、およびセバシン酸など)およびアルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸など);炭素数4〜36の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの誘導体、およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸、および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
また、前記の2価のカルボン酸に加えて3価以上(3〜6価またはそれ以上)のカルボン酸成分を含有してもよく、具体的には、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など);不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体、スチレン/フマル酸共重合体など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、とくに好ましいものはトリメリット酸、およびピロメリット酸である。なお、3価以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
上記結着樹脂を含む本発明のトナーは、示差熱量分析(DSC)したときの結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度をTm2、トナーの流出開始温度をTfbとしたとき、下記式(1)を満たし、さらに、下記式(3)を満たすことが好ましい。

Tm2+12℃<Tfb<Tm2+25℃ (1)

Tm2+15℃<Tfb<Tm2+22℃ (3)
結晶性ポリエステル樹脂の相溶している部分が多いとトナーが軟化し易くなり、トナーの流出開始温度が低下する。結晶性ポリエステル樹脂の相溶している部分の多少は、結晶性ポリエステル単体での吸熱ピークCmとトナーの結晶性ポリエステル由来の吸熱ピーク温度(Tm2)との差により知ることができ、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂との親和性、トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量及び分散径等により調節できる。
Tm2+12℃≧Tfbであると、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとが相溶している部分が多く、トナー粒子が軟らかくなるため、隣接するトナー粒子同士が接着し易くなる、また、Tfb≧Tm2+25℃であると、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとの親和性が低く、結晶性ポリエステルが溶融しても非結晶性ポリエステルを溶解し難く、シャープメルト性が発現しない。
<エステルワックス>
本発明のエステルワックスは、鋭敏な熱融解挙動を示し、良好な離型性を示すと共に、揮発物質の低減を図れるものである。エステルワックスは単体での吸熱ピークが55℃〜90℃であることが好ましい。
55℃未満では耐熱保存性が低下し、90℃を超えると低温定着性が低下する。
トナーを示差熱量分析(DSC)したときの前記エステルワックス由来の吸熱ピーク温度をTm1、前記結晶性ポリエステル由来の吸熱ピーク温度をTm2としたとき、下記式(2)を満たすものであり、さらに下記式(4)を満たすことがさらに好ましい。

Tm2≦Tm1≦Tm2+20℃ (2)

Tm2+3℃≦Tm1≦Tm2+10℃ (4)
エステルワックス由来の吸熱ピーク温度(Tm1)が結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク温度(Tm2)未満であると、結晶性ポリエステルよりも先に融解し、トナー粒子内の結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂の配置を不均一にし、トナーのシャープメルト性を阻害し、また、耐熱保存性の低下、揮発により機内汚染を発生しやすい。
また、結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク温度+20℃以上であると低温定着性が低下する。
前記エステルワックスとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記エステルワックスは、通常、長鎖脂肪酸又は多価カルボン酸と、長鎖高級アルコール又は多価アルコールとをエステル化反応させて合成される。
前記長鎖脂肪酸又は多価カルボン酸、及び、前記長鎖高級アルコール又は多価アルコールは、通常天然物から得られることが多く、一般的には、偶数の炭素数を有する混合物から構成されている。
前記長鎖脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラキス(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、これらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記長鎖高級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラチジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エステル化反応としては、例えば、反応温度としては250℃未満の常圧又は減圧下で好ましくは窒素等の不活性ガス中で行う。前記長鎖脂肪酸又は多価カルボン酸と、前記長鎖高級アルコール又は多価アルコールとの反応割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記エステル化反応に際し、エステル化触媒や溶剤を少量存在させることもできる。
前記エステル化触媒としては、例えば、テトラブトキシチタネート、テトラプロピオキシチタネート等の有機チタン化合物、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオキサイドのような有機錫化合物、その他有機鉛化合物等が用いられる。前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の芳香族溶剤が用いられる。
前記前記長鎖脂肪酸又は多価カルボン酸と、前記長鎖高級アルコール又は多価アルコールとをそのままエステル化した場合、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物を副生するために、トナーの各特性に悪影響を及ぼしやすい。そのため、原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することで、本発明で使用するエステルワックスを得ることができる。
また、離型剤の平均粒径は、長径で0.2〜2.0μmであることが好ましい。0.2μmより小さい場合、離型効果が小さい。2.0μmを超えるとトナーの造粒困難であり、更にスペントを引き起こす可能性が高い。そのため平均粒径は0.2〜2.0μmであることが好ましい。
<着色剤>
本発明に用いられる着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
本発明で用いる着色剤は結着樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の結着樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と結着樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを結着樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を結着樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
次に本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは重合法で製造できる。
本発明のトナーは、例えば、有機溶剤に、結着樹脂、離型剤、及び、着色剤等のトナー材料が溶解乃至分散されている油相を、水系媒体中に乳化乃至分散し、有機溶剤を除去することにより作製することができ、トナーの製造工程において、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルを相溶させないことが重要である。
トナーの製造工程において結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂を相溶させない方法としては、結晶性ポリエステル樹脂が非結晶性ポリエステル中に分散した樹脂微粒子分散液を使用できる。
前記樹脂微粒子分散液の作製方法としては、結晶性ポリエステル樹脂を単独で有機溶媒に加え、加熱高温にすることで溶解し、冷却することで、結晶性ポリエステル樹脂粒子を再結晶により析出させ、冷却後の分散液に非結晶性ポリエステル樹脂を溶解し、分散液温度を結晶性ポリエステルが有機溶媒に溶解する温度より上昇しないように、さらに機械的粉砕装置で微粒子化することで、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂が相溶していない樹脂微粒子分散液を作製することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の加熱溶解・冷却の際に、非結晶性ポリエステル樹脂を混在させたり、また、機械的粉砕装置での微分散化において、粘度の上昇とともに分散液にシェアがかかり、分散液温度を上昇したりすると、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂が相溶し、トナーにおいて結晶性ポリエステルのシャープメルト性が活かされない。
トナー粒子中における結晶性ポリエステルの分散径は、結晶性ポリエステルの微分散、表面偏在の観点から長軸径で0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上0.8μm以下であることがより好ましい。
0.1μmより小さい場合、結晶性ポリエステル分散液の粘度が高くなり、0.1μm〜2.0μmの範囲に制御することが困難となる。また非結晶性ポリエステルと相溶しやすくなるため耐熱保存性が悪化することがある。分散径が2.0μmを超えるとトナーの造粒が困難となるため、分散径は2.0μm以下とする必要がある。
前記結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散粒径は、樹脂微粒子分散液を機械的に粉砕する他、結晶性ポリエステル樹脂粒子を析出させる際の溶液の濃度や冷却速度によっても調節できる。
結晶性ポリエステル樹脂の分散工程に用いる有機溶媒としては、高温では結晶性ポリエステル樹脂を完全に溶解して均一溶液を形成することができ、その反面、低温に冷却すると結晶性ポリエステル樹脂が析出し、不透明な不均一溶液を形成するものを使用することができる。
詳しくは、結晶性ポリエステルが有機溶媒に溶解する温度(Tm)を基準として、(Tm−40)℃未満の温度では非溶媒の特性を示し、それ以上の温度では良溶媒の特性を示すものであればよく、具体例としてトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。
前記冷却過程で析出した結晶性ポリエステル樹脂を微粒子化する工程に用いる機械的粉砕装置としては、市販の粉砕装置をあげることができ、例えばビーズミル装置、ボールミル装置、湿式微粉砕装置(スギノマシン製アルティマイザー装置)などが挙げられる。
また、本発明のトナーは、有機溶媒に、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステルを含む結着樹脂、離型剤、着色剤等のトナー材料が溶解乃至分散されているトナー材料液と、結着樹脂前駆体と、前記結着樹脂前駆体と伸長反応または架橋反応する化合物とを溶解させた油相を、微粒子分散剤の存在する水系媒体中に分散させて乳化分散液を得、前記乳化分散液中で前記結着樹脂前駆体を架橋反応及び/又は伸長反応させ、有機溶剤を除去することが好ましい。
換言すると、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル、変性ポリエステル系樹脂からなる結着樹脂前駆体を含有する結着樹脂成分と、着色剤と、離型剤とを含む油相に、前記結着樹脂前駆体と伸長または架橋する化合物を溶解させた後、分散剤を含む水系媒体中に当該化合物を溶解させた油相を分散させて分散液を得て、該分散液中で前記結着樹脂前駆体を前記化合物と反応させて架橋反応及び/又は伸長反応させた後、前記有機溶剤を除去して得られるトナーであることが好ましい。
<プレポリマー>
前記結着樹脂前駆体としては、変性ポリエステル系樹脂からなる結着樹脂前駆体が好ましく、イソシアネートやエポキシなどにより変性されたポリエステルプレポリマーを挙げることができる。
これは、結着樹脂前駆体は、活性水素基を持つ化合物(例えばアミン類など)と伸長反応し、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)の向上に効果を及ぼす。
このポリエステルプレポリマーの合成方法としては、ベースとなるポリエステル樹脂に、従来公知のイソシアネート化剤やエポキシ化剤などを反応させることで容易に合成することができる。
ポリエステルプレポリマーは、前述した非結晶性ポリエステル樹脂(未変性のポリエステル樹脂)と少なくとも一部が相溶することが好ましく、ポリエステルプレポリマーのベースとなるポリエステル樹脂は、アルコール成分及びカルボン酸成分が、非結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分及びカルボン酸成分と、類似の組成であることが好ましい。
また、ベースとなるポリエステル樹脂としては、前述した非結晶性ポリエステル樹脂(未変性のポリエステル樹脂)を用いてもよい。
イソシアネート化剤としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
また、エポキシ化剤としては、エピクロロヒドリンなどをその代表例としてあげることができる。
イソシアネート化剤の比率は、イソシアネート基[NCO]と、ベースとなるポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、このポリエステルプレポリマーのウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
このポリエステルプレポリマー中のイソシアネート化剤の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
また、このポリエステルプレポリマー中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、伸長反応後のウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記結着樹脂前駆体は、重量平均分子量が5×10以上5×10以下であることが好ましい。
<結着樹脂前駆体と伸長反応または架橋反応する化合物>
結着樹脂前駆体と伸長反応または架橋反応する化合物としては、活性水素基を有する化合物が挙げられ、その代表として、アミン類をあげることができる。アミン類としては、ジアミン化合物、3価以上のポリアミン化合物、アミノアルコール化合物、アミノメルカプタン化合物、アミノ酸化合物、および、これらのアミノ基をブロックした化合物などが挙げられる。
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン化合物としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール化合物としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン化合物としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸化合物としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これらのアミノ基をブロックした化合物としては、前記アミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類のうち好ましいものは、ジアミン化合物、ジアミン化合物と少量のポリアミン化合物の混合物、ジアミン化合物のアミノ基をブロックした化合物である。
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂は、未変性の非結晶性ポリエステル樹脂以外に、ウレア結合以外の化学結合で変性されているポリエステル樹脂、例えば、ウレタン結合で変性されているポリエステル樹脂と併用することができる。
有機溶剤中にウレア変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂を含有する場合、変性ポリエステル樹脂は、ワンショット法等により製造することができる。
一例として、ウレア変性ポリエステル樹脂を製造方法について説明する。
まず、ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下で、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を除去して、水酸基を有するポリエステル樹脂を得る。次に、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを40〜140℃で反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る。さらに、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を0〜140℃で反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。
ウレア変性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、通常、1000〜10000であり、1500〜6000が好ましい。
なお、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを反応させる場合及びイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を反応させる場合には、必要に応じて、溶剤を用いることもできる。
溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性なものが挙げられる。
なお、未変性のポリエステル樹脂は、水酸基を有するポリエステル樹脂と同様に製造したものを、ウレア変性ポリエステル樹脂の反応後の溶液に混合してもよい。
本発明において、油相に含有される結着樹脂成分としては、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、結着樹脂前駆体、未変性樹脂を併用してもよいが、更にこれらの結着樹脂以外の結着樹脂成分を含有してもよい。結着樹脂成分としては、ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂を50重量%以上含有することがさらに好ましい。ポリエステル樹脂の含有量が50重量%未満であると、低温定着性が低下することがある。結着樹脂成分のいずれもがポリエステル樹脂であることが特に好ましい。
なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分としては、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン又はスチレン置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、本発明のトナーには必要に応じて、帯電制御剤、外添剤等、トナーに用いられるものとして周知慣用のものを含有してもよく、さらには有機溶剤を除去した後その表面に添加剤が付着されてなるものとしてもよい。
<帯電制御剤>
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。0.1重量部未満であると帯電制御剤の効果が充分得られない。
これらの帯電制御剤はマスターバッチ、結着樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
<外添剤>
本発明のトナーは、流動性や現像性、帯電性あるいはクリーニング性を補助するために外添剤を含有してもよい。
流動性や現像性、帯電性を補助し得る外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μm(2000nm)であることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
この他高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理剤により表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
一方、クリーニング性を補助し得る外添剤、即ち、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
本発明のトナーの体積平均粒径は3μm以上7μm以下であることが好ましく、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比が1.2以下であることが好ましい。また、粒径が2μm以下である成分が10個数%以下であることが好ましい。
<現像剤>
また、本発明の現像剤は、上記本発明のトナーを有するが、キャリア等の成分をさらに有してもよく、トナーからなる一成分現像剤、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤等として、用いることができるが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等には、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。このような現像剤は、磁性一成分現像法、非磁性一成分現像法、二成分現像法等の公知の各種電子写真法に用いることができる。
本発明の現像剤を一成分現像剤として用いると、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像ローラーへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を抑制することができ、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性が得られる。
また、本発明の現像剤を二成分現像剤として用いると、長期に亘るトナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98重量%であることが好ましく、93〜97重量%がさらに好ましい。
キャリアは、特に限定されないが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有することが好ましい。
芯材の材料としては、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、画像濃度の確保の点では、芯材として、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点では、芯材として、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料を用いることが好ましい。
芯材は、体積平均粒径(D50)が10〜150μmであることが好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。D50が10μm未満であると、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなるため、1粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が生じることがある。一方、D50が150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下して、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
樹脂層の材料としては、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、樹脂層は、必要に応じて、導電粉等を含有してもよい。導電粉の材料としては、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布して、乾燥及び焼付を行うことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート等が挙げられる。さらに、焼付方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
キャリア中の樹脂層の含有量は、0.01〜5.0重量%が好ましい。この含有量が0.01重量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがあり、5.0重量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生して、均一なキャリアが得られないことがある。
さらに、本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
<現像剤収容容器>
本発明の現像剤収容容器は、本発明の現像剤が収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。 また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
現像剤収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程を少なくとも有し、前記現像工程で上記トナーを用いるものである。また、本発明の画像形成方法は前記各工程に加えて、クリーニング工程を有することがさらに好ましく、必要に応じて、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を有してもよい。
<画像形成装置>
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段を少なくとも有し、前記現像手段は上記トナーを用いるものである。また、本発明の画像形成方法は前記各手段に加えて、クリーニング手段を有することがさらに好ましく、必要に応じて、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してもよく、プロセス線速が300mm/s以上1500mm/s以下であることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて、実施することができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成手段を用いて、現像工程は、現像手段を用いて、転写工程は、転写手段を用いて、定着工程は、定着手段を用いて、これら以外の工程は、これら以外の手段を用いて、実施することができる。
静電潜像形成工程は、光導電性絶縁体、感光体等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、形状は、ドラム状であることが好ましい。また、感光体としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。中でも、長寿命である点で、アモルファスシリコン感光体等が好ましい。
静電潜像は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成され、静電潜像形成手段を用いて形成することができる。静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器を少なくとも有する。
帯電器としては、特に限定されないが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等を用いることができる。
露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に形成すべき像様に露光することができれば、特に限定されないが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器を用いることができる。なお、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
現像工程は、静電潜像を、本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する工程であり、可視像は、現像手段を用いて形成することができる。
現像手段は、本発明の現像剤で現像することができれば、特に限定されないが、例えば、本発明の現像剤を収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものを用いることができ、本発明の現像剤収容容器を備えた現像器等が好ましい。
現像器は、乾式現像方式及び湿式現像方式のいずれであってもよく、また、単色用現像器及び多色用現像器のいずれであってもよく、例えば、本発明の現像剤を摩擦攪拌により帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有するもの等が挙げられる。現像器内では、例えば、トナーとキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体近傍に配置されており、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって、静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて、静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。なお、現像器に収容する現像剤は、本発明の現像剤であるが、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
転写工程は、例えば、転写帯電器を用いて、トナー像が形成された静電潜像担持体を帯電することにより、トナー像を記録媒体に転写する工程であり、転写手段を用いて転写することができる。このとき、転写工程は、トナー像を中間転写体上に転写する一次転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することが好ましい。また、転写工程は、二色以上のトナー、好ましくは、フルカラートナーを用いて、各色のトナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写工程と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することがさらに好ましい。
転写手段は、トナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写手段と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体としては、特に限定されないが、例えば、無端状の転写ベルト等が挙げられる。また、転写手段(一次転写手段、二次転写手段)は、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体側に帯電剥離させる転写器を少なくとも有することが好ましい。なお、転写手段は、1個又は2個以上の転写器を有することができる。
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラー、圧力転写ローラー、粘着転写器等が挙げられる。
なお、記録媒体としては、特に限定されず、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
定着工程は、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程であり、定着手段を用いて、定着させることができる。なお、二色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させてもよいし、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された状態で定着させてもよい。定着手段としては、特に限定されず、公知の加熱加圧手段を用いた熱定着方式を採用することができる。加熱加圧手段としては、加熱ローラーと加圧ローラーを組合せたもの、加熱ローラーと加圧ローラーと無端ベルトを組合せたもの等が挙げられる。このとき、加熱温度は、通常、80〜200℃である。なお、必要に応じて、定着手段と共に、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
従来、このような熱定着方式を採用した場合、画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。
例えば、1999年度の国際エネルギー機関(IEA)のDSM(demand−side Management)プログラム中には、次世代複写機の技術調達プロジェクトが存在し、その要求仕様が公表されている。30cpm以上の複写機については、待機時間が10秒以内、待機時の消費電力が10〜30ワット以下(複写速度で異なる)とするよう、従来の複写機に比べて飛躍的な省エネルギー化の達成が要求されている。このため、消費電力の大きい定着装置での省エネルギー化が必須である。
上記要求を達成し、待機時間を短縮するためには、トナーの溶融開始温度を低下させて、使用可能時の定着温度を低下させることが必須の技術的達成事項であると考えられる。こうした低温定着化に対応するために、本発明の画像形成装置では、上述の本発明のトナーを用いる。
さらに、定着装置側でも、省エネルギー化のための改良が進められている。熱定着方式の中でも、加熱ローラーを直接記録媒体上のトナー像に圧接することにより定着する、熱ローラー定着方式が熱効率の良さから広く用いられている。さらに、加熱ローラーを低熱容量化させて、トナーの温度応答性を向上させるものを用いることもできる。しかしながら、比熱容量が小さくなったために、記録媒体が通った部分と通らなかった部分の温度差が大きくなり、定着ローラーへのトナーの付着が発生する。このため、定着ローラーが1周した後、記録媒体上の非画像部にトナーが定着する、いわゆるホットオフセット現象が発生する。したがって、低温定着性と共に、耐ホットオフセット性に対するトナーへの要求もますます厳しくなっている。このため、低温定着性と共に、耐ホットオフセット性も得られる本発明のトナーを用いる。
除電工程は、静電潜像担持体に除電バイアスを印加して除電する工程であり、除電手段を用いて除電することができる。除電手段としては、静電潜像担持体に除電バイアスを印加することができれば、特に限定されないが、例えば、除電ランプ等を用いることができる。
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段を用いてクリーニングすることができる。クリーニング手段としては、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができれば、特に限定されないが、例えば、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー、ブラシクリーナー、ウエブクリーナー等を用いることができる。
リサイクル工程は、クリーニング工程で除去されたトナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段を用いてリサイクルさせることができる。リサイクル手段としては、特に限定されず、公知の搬送手段等を用いることができる。
制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段を用いて制御することができる。制御手段としては、各手段の動作を制御することができれば、特に限定されないが、例えば、シークエンサー、コンピューター等を用いることができる。
図2に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置(100A)は、静電潜像担持体としての感光体ドラム(10)と、帯電手段としての帯電ローラー(20)と、露光手段としての露光装置(不図示)と、現像手段としての現像器(40)と、中間転写体(50)と、クリーニング手段としてのクリーニングブレードを有するクリーニング装置(60)と、除電手段としての除電ランプ(70)と、定着手段としての定着装置を有する。
中間転写体(50)は、無端ベルトであり、その内側に配置されている3個のローラー(51)で張架されており、矢印方向に移動することができる。3個のローラー(51)の一部は、中間転写体(50)へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラーとしても機能する。また、中間転写体(50)の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置(90)が配置されている。さらに、記録紙(95)にトナー像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することが可能な転写手段としての転写ローラー(80)が中間転写体(50)に対向して配置されている。また、中間転写体(50)の周囲には、中間転写体(50)上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器(52)が、感光体ドラム(10)と中間転写体(50)の接触部と、中間転写体(50)と記録紙(95)の接触部との間に配置されている。
ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像器(40)は、現像剤収容部(41)と、現像剤供給ローラー(42)と、現像ローラー(43)を備える。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとを備える。
画像形成装置(100A)では、帯電ローラー(20)により感光体ドラム(10)を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)により露光光Lを感光ドラム(10)上に像様に露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム(10)上に形成された静電潜像を、現像器(40)から現像剤を供給して現像してトナー像を形成した後、ローラー(51)から印加された転写バイアスにより、トナー像が中間転写体(50)上に転写(一次転写)される。さらに、中間転写体(50)上のトナー像は、コロナ帯電器(52)により電荷を付与された後、記録紙(95)上に転写(二次転写)される。トナー像が転写された記録紙(95)は、定着装置の加熱ローラーと加圧ローラーとにより加圧しながら加熱されることにより、加熱溶融し、記録紙(95)上に定着される。一方、感光体ドラム(10)上に残存したトナーは、クリーニング装置(60)により除去され、感光体ドラム(10)は除電ランプ(70)により一旦、除電される。
図3に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置(100B)は、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体(150)と、給紙テーブル(200)と、スキャナ(300)と、原稿自動搬送装置(ADF)(400)を有する。
複写装置本体(150)には、無端ベルト状の中間転写体(50)が中央部に設けられている。中間転写体(50)は、支持ローラー(14)、(15)及び(16)に張架されており、矢印方向に回転することができる。支持ローラー(15)の近傍には、中間転写体(50)上に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置(17)が配置されている。また、支持ローラー(14)と支持ローラー(15)により張架された中間転写体(50)には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4個の画像形成手段(18)が対向して並置されたタンデム型現像器(120)が配置されている。
各色の画像形成手段(18)は、図4に示すように、感光体ドラム(10)と、感光体ドラム(10)を一様に帯電させる帯電ローラー(20)と、感光体ドラム(10)に形成された静電潜像をブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像剤で現像してトナー像を形成する現像器(40)と、各色のトナー像を中間転写体(50)上に転写させるための転写ローラー(80)と、クリーニング装置(60)と、除電ランプ(70)を備える。
また、タンデム型現像器(120)の近傍には、露光装置(30)が配置されている。露光装置(30)は、感光体ドラム(10)上に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。
さらに、中間転写体(50)のタンデム型現像器(120)が配置された側とは反対側には、二次転写装置(22)が配置されている。二次転写装置(22)は、一対のローラー(23)に張架されている無端ベルトである二次転写ベルト(24)からなり、二次転写ベルト(24)上を搬送される記録紙と中間転写体(50)が互いに接触可能となっている。
二次転写装置(22)の近傍には、定着装置(25)が配置されている。定着装置(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)と、定着ベルト(26)に押圧されて配置される加圧ローラー(27)を有する。定着ベルト(26)の張架ローラーのうち、一つは加熱ローラーである。また、二次転写装置(22)及び定着装置(25)の近傍に、記録紙の両面に画像を形成するために記録紙を反転させる反転装置(28)が配置されている。
このような構成の画像形成装置(100B)におけるフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)(400)の原稿台(130)上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じる。次に、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス(32)上へと移動された後で、コンタクトガラス(32)上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ(300)が駆動し、第1走行体(33)及び第2走行体(34)が走行する。このとき、第1走行体(33)により、光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光を第2走行体(34)におけるミラーで反射し、結像レンズ(35)を通して読み取りセンサ(36)で受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報が得られる。
さらに、露光装置(30)により、得られた各色の画像情報に基づいて、各色の静電潜像が感光体ドラム(10)に形成された後、各色の静電潜像は、各色の現像器(40)から供給された現像剤で現像され、各色のトナー像が形成される。形成された各色のトナー像は、支持ローラー(14)、(15)及び(16)により回転移動する中間転写体(50)上に、順次重ねて転写(一次転写)され、中間転写体(50)上に複合トナー像が形成される。
給紙テーブル(200)においては、給紙ローラー(142)の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク(143)に多段に備える給紙カセット(144)の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラー(145)で1枚ずつ分離して給紙路(146)に送り出し、搬送ローラー(147)で搬送して複写機本体(150)内の給紙路(148)に導き、レジストローラー(49)に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ(54)上の記録紙を繰り出し、分離ローラー(58)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、レジストローラー(49)に突き当てて止める。なお、レジストローラー(49)は、一般に接地して使用されるが、記録紙の紙粉除去のために、バイアスが印加された状態で使用してもよい。
そして、中間転写体(50)上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラー(49)を回転させ、中間転写体(50)と二次転写装置(22)の間に記録紙を送り出し、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写装置(22)により搬送されて、定着装置(25)に送り出される。そして、定着装置(25)において、定着ベルト(26)及び加圧ローラー(27)により、加熱加圧されて複合トナー像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪(55)で切り換えて排出ローラー(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされる。あるいは、切換爪(55)で切り換えて反転装置(28)により反転されて再び転写位置へと導かれて、裏面にも画像を形成した後、排出ローラー(56)により排出され、排紙トレイ(57)上にスタックされる。
なお、複合トナー像が転写された後に中間転写体(50)上に残留したトナーは、クリーニング装置(17)により除去される。
図5に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ(110)は、感光体ドラム(10)、コロナ帯電器(52)、現像器(40)、転写ローラー(80)及びクリーニング装置(90)を有する。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、本発明のプロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段をさらに有していてもよい。 現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等をさらに有してもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
まず、本発明において用いた測定方法を説明する。
<トナーの流出開始温度(Tfb)>
トナーの流出開始温度(Tfb)は島津製作所製の高架式フローテスターCFT500型を用いて測定した。フローテスターのフローカーブは図1(a)および(b)に示されるデータになり、そこから各々の温度を読み取ることができる。図中、Tsは軟化温度、Tfbは流出開始温度であり、1/2法における溶融温度とあるのはT1/2温度のことである。

[試料作製条件]
測定試料:1.5g(500メッシュパス品)、ペレット成型圧力:10MPa、加圧時間:1分間

測定条件
荷重:10kg/cm2、昇温速度:4.0℃/min、
ダイ口径:0.50mm、ダイ長さ:1.0mm
<Tm1、Tm2の測定方法>
トナーの結晶性ポリエステルおよび離型剤の吸熱ピーク温度は、DSCシステム(示差走査熱量計)(「Q−200」、TAインスツルメンツ製)を用いて以下の方法で測定した。
まず、測定対象のトナー約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に精秤して入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下(流量50ml/min)、昇温速度1℃/min、温度変調周期60秒、温度変調振幅0.159℃で−20℃から150℃まで加熱した。その後、150℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、示差走査熱量計(「Q−200」、TAインスツルメンツ製)によりDSC曲線を計測した。得られたDSC曲線から、一回目の昇温時におけるDSC曲線の結晶性ポリエステルおよび離型剤に相当する吸熱ピークを選択し、吸熱量を算出した。
<樹脂の吸熱ピーク温度(融点)、ガラス転移温度Tgの測定方法>
本発明における融点、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、島津製作所製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱する。その後、150℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱し、示差走査熱量計(「DSC−60」、島津製作所製)を用いてDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、解析プログラム中の『吸熱ショルダー温度』を用いて、対象試料の昇温一回目におけるガラス転移温度を、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、『吸熱ショルダー温度』を用いて、対象試料の昇温二回目におけるガラス転移温度を求めることができる。
また、得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、解析プログラム中の『吸熱ピーク温度』を用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温一回目における融点を、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、解析プログラム中の『吸熱ピーク温度』を用いて、対象試料の昇温二回目における融点を求めることができる。
本発明では、対象試料としてトナーを用いた際の一回目昇温時におけるガラス転移温度をTg1st、同二回目昇温時におけるガラス転移温度をTg2ndとする。
また本発明では、各構成成分の二回目昇温時における融点、Tgを各対象試料の融点、Tgとする。
<結晶性ポリエステルの分散径>
結晶性ポリエステルの分散径の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の方法を用いることができる。
まず、トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋して約100nmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色する。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率10000倍で観察を行い、撮影した写真を画像評価し、完全に結晶化している(相溶化部分を除いた)結晶性ポリエステルの分散状態を観察し、分散径を測定することができる。
<離型剤の分散径>
離型剤の粒径はTEM画像によりトナー100粒子中の平均長径を算出した。
<平均分子量の測定>
本発明における重量平均分子量は例えば以下の方法で測定できる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:O-ジクロロベンゼン
流速:0.35ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入

試料の前処理:試料をO-ジクロロベンゼン(安定剤含有 和光純薬製)に0.15wt%で溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液を100μl注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
<トナー平均粒径>
本発明において、粒度分布は、コールターカウンター法を用いて測定される。
粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。
本発明においては、コールターカウンターTA−II型測定装置に、個数分布及び体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)を介して、PC−9801パーソナルコンピューター(NEC社製)を接続して、粒度分布の測定を行う。
具体的には、まず、電解液100〜150ml中に、分散剤として、界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。なお、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて、約1重量%の水溶液を調製したものであり、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。次に、試料を2〜20mg加えて懸濁させた後に、超音波分散機で1〜3分間分散させる。100μmアパーチャーを用いて、得られた分散液からトナーの体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出する。
なお、チャンネルは、2.00μm以上2.52μm未満、2.52μm以上3.17μm未満、3.17μm以上4.00μm未満、4.00μm以上5.04μm未満、5.04μm以上6.35μm未満、6.35μm以上8.00μm未満、8.00μm以上10.08μm未満、10.08μm以上12.70μm未満、12.70μm以上16.00μm未満、16.00μm以上20.20μm未満、20.20μm以上25.40μm未満、25.40μm以上32.00μm未満及び32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径が2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
(製造例1)
〜結晶性ポリエステル樹脂1の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2120g、1、8−オクタンジオール1520g、1,6−ヘキサンジオール1200g、ハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例2)
〜結晶性ポリエステル樹脂2の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2120g、1,8−オクタンジオール1700g、1,6−ヘキサンジオール1000g、ハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例3)
〜結晶性ポリエステル樹脂3の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2300g、1、8−オクタンジオール1600g、1、6−ヘキサンジオール1200g、ハイドロキノン3.9gを入れ、170℃で8時間反応させた後、190℃に昇温して3時間反応させ、さらに7.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例4)
〜結晶性ポリエステル樹脂4の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2300g、1、8−オクタンジオール2520g、ハイドロキノン3.9gを入れ、180℃で12時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂4を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例5)
〜結晶性ポリエステル樹脂5の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸1600g、アジピン酸1000g、1、6−ヘキサンジオール1600g、ハイドロキノン4.9gを入れ、170℃で8時間反応させた後、190℃に昇温して2時間反応させ、さらに7.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂5を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例6)
〜結晶性ポリエステル樹脂6の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコにアジピン酸2200g、1、6−ヘキサンジオール1620g、1,4−ブタンジオール1000g、ハイドロキノン5.2gを入れ、170℃で8時間反応させた後、190℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂6を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例7)
〜結晶性ポリエステル樹脂7の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸1600g、1,8−オクタンジオール1250g、ハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂7を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例8)
〜結晶性ポリエステル樹脂8の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,10−デカン二酸2120g、1、8−オクタンジオール1000g、1,4-ブタンジオール1520g、ハイドロキノン3.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて1.5時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂8を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例9)
〜結晶性ポリエステル樹脂9の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコにフマル酸2160g、1,6-ヘキサンジオール2880g、ハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに7.3kPaにて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂9を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(製造例10)
〜結晶性ポリエステル樹脂10の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコにアジピン酸2150g、1、6−ヘキサンジオール1000g、1,4-ブタンジオール1620g、ハイドロキノン5.2gを入れ、180℃で7時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて1.5時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂10を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
Figure 2013137420
(製造例11)
〜エステルワックスの合成〜
脂肪酸成分とアルコール成分とを、表2に記載のモル比率で、触媒(有効量)とともに、反応容器内に入れ、窒素気流下、240℃でエステル化反応させ、表2に示すエステルワックス1〜10、及び多価エステルワックスを合成した。
Figure 2013137420
(製造例12)
〜非結晶性ポリエステル1の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、イソフタル酸100部、テレフタル酸108部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で10時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸30部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[非結晶性ポリエステル1]を得た。[非結晶性ポリエステル]は、重量平均分子量6000、DSC測定によるガラス転移温度(Tg)は43℃であった。
(製造例13)
〜非結晶性ポリエステル2の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物250部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物500部、イソフタル酸60部、テレフタル酸68部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸50部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[非結晶性ポリエステル2]を得た。[非結晶性ポリエステル2]は、重量平均分子量5500、DSC測定によるガラス転移温度(Tg)は35℃であった。
(製造例14)
〜非結晶性ポリエステル3の合成〜
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、イソフタル酸70部、テレフタル酸98部、フマル酸46部および−ドデセニルコハク酸24部を原料に、ジブチルチンオキサイド2部を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、230℃で12時間共縮重合反応させ、その後、230℃で徐々に減圧して、[非結晶性ポリエステル樹脂3]を合成した。
[非結晶性ポリエステル3]は、重量平均分子量6900、DSC測定によるガラス転移温度(Tg)は35℃であった。
[実施例1]
〜有機微粒子エマルションの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。
[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。
〜水相の調製〜
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
〜マスターバッチ(MB)の合成〜
水1200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕540部、非結晶性ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
〜結晶性ポリエステルの分散液の作製〜
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル1]を100g、酢酸エチル400gを採り、70℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で20℃/分の速度で急冷した。冷却後分散液に非結晶性ポリエステル1を100g溶解させ、これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で平均液温24℃に保ちながら10時間粉砕を行い、体積平均粒径が0.3μmの[結晶性ポリエステル分散液1]を得た。
〜ポリエステルプレポリマーの合成〜
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
〜油相の作成〜
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[非結晶性ポリエステル1]を378部、[エステルワックス1]を110部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器にマスターバッチ500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[非結晶性ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1042.3部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
〜乳化〜
[顔料・WAX分散液1]664部、[プレポリマー1]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液1]を73.9部、[ケチミン化合物1]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数11,000rpmで5分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
〜洗浄・乾燥〜
上記で得た[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、以下の(1)〜(4)の操作を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):上記(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。(3):上記(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):上記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合し、[トナー1]を得た。
[実施例2]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス2]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー2を作製した。
[実施例3]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス3]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー3を作製した。
[実施例4]
実施例1において、結晶性ポリエステルの分散工程での平均液温を28℃に保ちながら粉砕した以外は、実施例1と同様にしてトナー4を得た。
[実施例5]
実施例1において、結晶性ポリエステルの分散工程での平均液温を18℃以下に保ちながら粉砕した以外は、実施例1と同様にしてトナー5を得た。
[実施例6]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー6を作製した。
[実施例7]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス5]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー7を作製した。
[実施例8]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル2]に代え、また[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー8を作製した。
[実施例9]
実施例1において、結晶性ポリエステルの分散工程で氷水浴中で25℃/分速度で急冷し、平均液温を18℃以下に保ちながら25時間粉砕した以外は、実施例1と同様にしてトナー9を作製した。
[実施例10]
実施例1において、[非結晶性ポリエステル1]を[非結晶性ポリエステル2]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー10を作製した。
[実施例11]
実施例1において、[非結晶性ポリエステル1]を[非結晶性ポリエステル3]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー11を作製した。
[実施例12]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル3]に代え、また[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー12を作製した。
[実施例13]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル4]に代え、また[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー13を作製した。
[実施例14]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル5]に代え、また[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー14を作製した。
[実施例15]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル6]に代え、また[エステルワックス1]を[エステルワックス8]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー15を作製した。
[実施例16]
実施例1において、離型剤の含有量を13重量%とし、油相作成工程において、[原料溶解液1]の分散条件を、送液速度2.0/kg/hr、ディスク周速度6.0m/秒とした以外は、実施例1と同様にしてトナー16を作製した。
[実施例17]
実施例1において、離型剤の含有量を2.5重量%とし、油相作成工程において、[原料溶解液1]の分散条件を、送液速度2.0/kg/hr、ディスク周速度6.0m/秒とした以外は、実施例1と同様にしてトナー17を作製した。
[実施例18]
実施例1において、離型剤の含有量を13重量%とし、油相作成工程において、[原料溶解液1]の分散条件を、送液速度0.5/kg/hr、ディスク周速度10.0m/秒とした以外は、実施例1と同様にしてトナー18を作製した。
[実施例19]
実施例1において、離型剤の含有量を2.5重量%とし、油相作成工程において、[原料溶解液1]の分散条件を、送液速度0.5/kg/hr、ディスク周速度10.0m/秒とした以外は、実施例1と同様にしてトナー19を作製した。
[比較例1]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル7]、[エステルワックス1]を[エステルワックス7]に代え、結晶性ポリエステルの分散工程での平均液温を28℃に保ちながら粉砕した以外は、以外は、実施例1と同様にして、トナー22を作製した。
[比較例2]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル8]、[エステルワックス1]を[エステルワックス4]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー23を作製した。
[比較例3]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス8]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー24を作製した。
[比較例4]
実施例1において、[エステルワックス1]を[エステルワックス9]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー25を作製した。
[比較例5]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル9]、[エステルワックス1]を[エステルワックス10]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー26を作製した。
[比較例6]
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を[結晶性ポリエステル10]に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー27を作製した。
[比較例7]
実施例1において、[エステルワックス1]を[パラフィンワックス](日本精蝋株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー28を作製した。
[比較例8]
実施例1において、[エステルワックス1]を[マイクロクリスタリンワックス](日本精蝋株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー29を作製した。
上述のようにして得られた実施例、比較例の各トナーの体積平均粒径(Dv)、示差走査熱量分析(DSC)により得られたTm1、Tm2およびフローテスターにより得られたTfb、トナー中の離型剤、結晶性ポリエステルの分散粒径を表3に示す。
Figure 2013137420
<現像剤の作製>
(キャリアの作製)
トルエン100部に、シリコーン樹脂オルガノストレートシリコーン100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。流動床型コーティング装置を用いて、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
(現像剤の作製)
ボールミルを用いて、トナー5部とキャリア95部を混合し、現像剤を作製した。
得られた現像剤を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
〜定着性〜
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(リコー社製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(リコー社製)に複写テストを行った。 具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)を求めた。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/秒、面圧を1.2kgf/cm2、ニップ幅を3mmとした。
また、定着上限温度の評価条件は、紙送りの線速度を50mm/秒、面圧を2.0kgf/cm2、ニップ幅を4.5mmとした。
定着下限温度は、消費電力が抑えられることから、低いことが好ましく、130℃以下であれば、実使用上問題の無いレベルである。
評価基準は、以下の通りとした。
◎:定着下限が125℃よりも低い
○:定着下限が125℃以上130℃以下
△:定着下限が130℃と同等だが、わずかにコールドオフセットが発生する
×:定着下限が130℃より高い
〜耐熱保存性〜
50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、耐熱保存性を評価した。
なお、針入度が25mm以上であるものを◎、15mm以上25mm未満であるものを○、5mm以上15mm未満であるものを△、5mm未満であるものを×として、判定した。
このとき、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が5mm未満であるものは、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〜画像評価〜
また、トナーを補給用ボトルに充填し、40℃60%Rhで4週間保管した。前記現像剤とトナー補給用ボトルを毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagio Neo 450を用いて、ベタ100枚連続印刷して下記の基準で評価した。
◎:均一で良好な状態
○:0.3mm未満幅の白スジが若干見られるが画像にはスジがはっきり出ない状態。
△:0.3mm以上幅の白スジが発生し、ベタ100枚中20枚未満に白スジみられる状態。
×:0.3mm以上幅の白スジが発生し、ベタ100枚中20枚以上に白スジみられる状態。
〜機内汚染性〜
機内汚染性は、複写機(MF2200、株式会社リコー製)本体の排気口にパーティクルカウンター(KC01E、リオンテック株式会社製)を取り付け、各現像剤を用いて印刷面積が用紙の20%である画像を180℃定着で1分間出力したときの粉塵量で評価した。
〔評価基準〕
◎:粉塵の検出が無い
○:5万個未満の粉塵量が検出された。
△:5万個以上10万個未満の粉塵量が検出された。
×:10万個以上の粉塵量が検出された。
〜離型性〜
各現像剤を用い、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できる画像形成装置(株式会社リコー製、imagioNeo450)でNBS社製複写印刷用紙<55>を1,000枚連続通紙した際の用紙詰まり回数を測定し、下記基準により、離型性を評価した。
〔評価基準〕
◎:用紙詰まり未発生
○:用紙詰まり1回以上3回以下発生
△:用紙詰まり3回超10回以下発生
×:用紙詰まり10回超発生
Figure 2013137420
上記の通り、実施例1〜16では低温性、耐熱保存性、画像評価、機内汚染性、離型性に優れたトナーが得られた。比較例1ではトナーの流出開始温度Tfbが低く、部分相溶した範囲が大きいと考えられる。そのため耐熱保存性、定着性が悪化し、特に画像品質が大きく悪化した。比較例2では結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が悪く、トナーのTfbが高く、低温定着性が悪化している。比較例3では結晶性ポリエステルの融点Tm2に比べワックスの融点が低いため、染み出したワックスの一部が揮発し機内汚染が発生した。また保存性が大きく悪化している。比較例4ではワックスの融点が高いためワックスの染み出し量が減少し、離型性が大きく悪化した。また低温定着性にも悪化が見られた。比較例5では結晶性ポリエステルの融点が高いため、低温定着性が大きく悪化した。一方比較例6では結晶性ポリエステルの融点が低すぎ、耐熱保存性が大きく悪化した。また低融点の結晶性ポリエステルとメイン樹脂の部分相溶範囲が広く、画像評価でも大きな悪化が見られた。比較例7はパラフィンワックスを用いており、離型性に優れるものの、ワックス揮発による機内汚染性が大きく悪化した。また比較例7ではマイクロクリスタリンワックスを用いているが、ワックス揮発の抑制効果は得られたものの、低温定着性、離型性が悪化した。
(図2について)
100A 画像形成装置
10 感光体ドラム
20 帯電ローラー
40 現像器
41 現像剤収容部
42 現像剤供給ローラー
43 現像ローラー
50 中間転写体
51 ローラー
52 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
70 除電ランプ
80 転写ローラー
90 クリーニング装置
95 記録紙

(図3、図4について)
100B 画像形成装置
10 感光体ドラム
14 支持ローラー
15 支持ローラー
16 支持ローラー
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラー
22 二次転写装置
23 ローラー
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラー
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像器
49 レジストローラー
50 中間転写体
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラー
57 排紙トレイ
58 分離ローラー
60 クリーニング装置
70 除電ランプ
80 転写ローラー
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラー
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラー
146 給紙路
147 搬送ローラー
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ、
400 原稿自動搬送装置(ADF)

(図5について)
10 感光体ドラム
40 現像器
52 コロナ帯電器
80 転写ローラー
90 クリーニング装置
95 記録紙
110 プロセスカートリッジ
特許第3287733号公報 特許第4435434号公報 特許第4533061号公報 特許第4267427号公報 特許第4347174号公報

Claims (12)

  1. 結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナーであって、
    前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有するものであり、前記離型剤はエステルワックスであり、
    トナーを示差熱量分析(DSC)したときの前記離型剤に由来する吸熱ピーク温度をTm1、前記結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度をTm2、前記結晶性ポリエステルを示差熱量分析(DSC)したときの吸熱ピーク温度をCm、トナーの流出開始温度をTfbとしたとき、
    Cmが55℃以上80℃以下であり、かつ、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことを特徴とするトナー。
    Tm2+12℃<Tfb<Tm2+25℃ (1)
    Tm2≦Tm1≦Tm2+20℃ (2)
  2. 前記結晶性ポリエステルは、トナー粒子中に分散しており、該結晶性ポリエステルの平均分散径が、長軸径で0.1μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)10000以上30000以下、Mw/Mnが2〜10であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂は、結晶性ポリエステルを5重量%以上30重量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記非結晶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移点が35℃以上55℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のトナー。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ポリエステルであり、前記非結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族ポリエステルであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のトナー。
  7. 前記エステルワックスは、モノエステルワックスであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. エステルワックスを3重量%以上2重量%以下含有し、トナー粒子中のエステルワックスの平均粒径が長径で0.2μm以上2.0μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記トナーは、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、及び離型剤を含むトナー材料を含有する油相の水系媒体分散液または乳化液から造粒されたトナー母粒子を有するものであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のトナー。
  10. 前記トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂が、前記油相を構成する有機溶媒に溶解する温度以上に加熱されることなく作製されたものであることを特徴とする請求項9に記載のトナー。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  12. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、該画像形成装置はプロセス線速が300mm/s以上1500mm/s以下であり、前記トナーが、請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷現像用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
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