JP5451226B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
近年、プリンター、複写機において、高信頼性や、環境に対する配慮への要望が強くなってきている。
高信頼性とは、長期に渡ってプリントしても初期画像と変らないレベルを出力し続けられるということに加えて、ユーザーフレンドリーであるということも含まれる。具体的には、各環境下や各種転写材料であっても、良好な現像性や転写性や耐巻きつき性を維持することが求められる。また、環境に対する配慮としては、低消費電力による省エネルギー対応が求められ、具体的には良好な低温定着性が求められる。
従来、低温定着性を可能とするためには結着樹脂をよりシャープメルトにする手法が効果的な方法の一つとして知られている。この点においてポリエステル樹脂は優れた特性を示す。
一方、高画質化の観点として、高解像・高精細化の目的から、トナーの小粒径化・粒度分布シャープ化が進められるとともに、転写効率や流動性の向上の目的から球形のトナーが好適に用いられるようになってきている。そして効率的に小粒径で球形なトナー粒子を調製する方法としては、湿式法が用いられるようになってきている。
シャープメルトなポリエステル樹脂を用いることのできる湿式法としては、樹脂成分を、水と非混和性である有機溶媒に溶解し、この溶液を水相中に分散して油滴を形成することにより、球形トナー粒子を製造する「溶解懸濁法」が提案されている(例えば特許文献1)。この手法によれば、低温定着性に優れるポリエステルを結着樹脂とした小粒径で球形のトナーを簡便に得ることができる。
又、更なる低温定着性を目的として上述したポリエステルを結着樹脂とし、溶解懸濁法で生成されたトナー粒子により、更なる低温定着性を目的としカプセル型のトナー粒子も提案されている。例えば、特許文献2にはポリエステル樹脂とイソシアネート基を有する低分子化合物およびその他の成分を酢酸エチルに溶解・分散して油層を調整し、水中で液滴を調製することにより、液滴界面でイソシアネート基を有する化合物を界面重合させることで、ポリウレタンもしくはポリウレアを最外殻としたカプセルトナー粒子を調製する方法が提案されている。
また、特許文献3、4にはそれぞれビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかまたはそれらを併用した樹脂微粒子の存在下で溶解懸濁法によりトナー母粒子を調製し、該微粒子でトナー表面が被覆されたトナー粒子を調製する手法が提案されている。
さらに、特許文献5には、ウレタン変性ポリエステル樹脂微粒子を分散剤として用いた溶解懸濁法によるトナー粒子が提案されている。特許文献6には、ポリウレタン樹脂(a
)からなる皮膜状の1層以上のシェル層(P)と樹脂(b)からなる1層のコア層(Q)とで構成されるコア・シェル型のトナー粒子が提案されている。また、特許文献7には、懸濁重合トナーでコア粒子に微粒子を熱固着させシェルを形成してなるトナー、特許文献
8にはポリエステル乳化凝集によるカプセルトナー、特許文献9では2層以上のシェルからなるトナーも提案されている。
これらコア・シェル型のトナー粒子においては、コア部分を低粘度にし、耐熱性保存性に劣る性質を、シェル部分の耐熱保存性で補う構成をとる。この場合、シェル部分はやや熱的に固いものを用いるために、高度に架橋し、高い分子量とするなどの工夫が必要であるため低温定着性を阻害してしまう傾向にある。また、コア部分の低粘度化により低温定着性も有利に働くものであるが、逆に高温オフセット性に関しては好ましくなく、上市されているトナーにおいては高分子量成分を有する他成分を添加するなど、何かしらの定着補助材料を用い対応している様な状況にある。
このようなトナーの定着性を改良する手段として、特許文献10や11では結着樹脂と相溶するワックスを多量に含有してなることで定着性が向上するトナー提案がなされている。しなしながらこれらトナーは特定の定着機の場合に能力を発揮するものであったり、ワックスが相溶することで得られる可塑効果により見掛けのガラス転移点が下がっているだけであって、ワックスが多量に含有されることによる定着性向上といった本質とからは懸離れたものとなる。また、特許文献12においてもワックス含有量が多いことが提案されているものの、そもそものTgが高く、低温定着性の向上に対して直接的な効果は期待出来ない。
特開平08−248680号公報 特開平05−297622号公報 特開2004−226572号公報 特開2004−271919号公報 特許3455523号公報 国際公開2005/073287パンフレット 特許3861515号公報 特開平10−73995号公報 特許3305998号公報 特開2003−107793号公報 特開2007−79156号公報 特開2002−287532号公報
本発明は上記のような問題を鑑みてなされたものであり、耐熱保存性に優れ、且つ低加圧による定着機構成を用いた場合にも低温定着性を有し、定着温度領域が広いトナーを提供する事を目的とする。更に、上記特性を満足すると共に、現像性、転写性に於いても良好な結果を提供するトナーを提供する事を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は結着樹脂、エステルワックスおよび着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子が、懸濁重合法によって製造されたトナー粒子であり、
前記トナーに含有される前記エステルワックス量が前記結着樹脂100質量部に対して30質量部以上80質量部以下であり、
前記トナーに含有される前記着色剤の量が前記結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、
前記トナーに対する微小圧縮試験において、温度27℃、湿度60%の条件下で、前記トナー1粒子に30msec毎に0.08mgfの負荷速度で最大荷重100mgf(荷重値“f2”と表記する)になるまで荷重をかけ、トナーの変位量が1μm(変位量“m1”と表記する)のときの荷重値をf1とし、最大荷重到達後から0.1sec経過時のトナーの変位量をm2としたとき、下記式(1)を満足することを特徴とするトナー。
{(f2−f1)/(m2−m1)}≦20(mgf/μm) ・・・(1)
本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、耐熱保存性に優れ、且つ粉砕法などに用いられているシャープメルトなポリエステル樹脂を用いた場合と同等以上の低温定着性、定着領域を得ることが可能なトナーを提供することが可能となる。
摩擦帯電量を測定する装置の概略図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、さらに詳しく説明する。
本発明のトナーは結着樹脂、ワックスおよび着色剤を少なくとも含有するものであって、該ワックス量が結着樹脂100質量部に対して30質量部以上80質量部以下である。
通常のトナー構成であると樹脂中にワックス粒子を分散させ、定着時にワックス成分がしみだすことにより定着部材に対する離型性を改善するのが一般的である。
この様な効果をさらに高めるため、ワックス含有量を増やすことはこれまでも多く検討されてきたが、トナーが放置されている状態でワックス露出が増加し、それによりトナー同士の合一や現像機や感光体などの周辺部材へのトナー融着などの問題を生じていた。
このような問題はカラートナーの製造方法として広く知られている粉砕法による場合などにおいてより顕著である。従来より混練工程などによりトナー構成材料を均一に分散させてきたが、そもそも溶融混練時にワックスを多く含有し難いという問題があった。仮に多く含有し溶融混練が可能であっても、その後の粉砕工程においてワックス部位を界面とし粉砕される場合が増えワックスがトナー粒子に内包化されず、それにより合一粒子が多く出来るという問題を生じた。また、粉砕装置内壁にワックスを介在したトナー融着が発生するなどの弊害を生じやすくなるという問題を生じた。
本発明によれば、特に製造上、粉砕工程を用いることのない重合法により得られるトナー粒子において、従来よりも多量のワックスを内包化させた時のトナー粒子の変形し易さといった観点に着目した。その結果本発明者らは、ワックス含有量とトナーの変形し易さに相関性があることを見出した。さらに上記相関性はトナー芯粒子表面に樹脂微粒子を固着被覆させた構成のトナー粒子の時に特に顕著な相関が確認できるものであることも見出した。
電子写真法にて多く知られる定着方法としては、定着機などの外的圧力によりトナーを変形させることで、トナー粒子内部の結着樹脂やワックスが押し出され、紙など媒体との接着性アップ、定着部材との離型性アップが得られる。本発明においては、トナー粒子中にワックスが多く含有されているためトナーが変形し易いことでトナー粒子の収縮が起こりやすくなり、トナー表面に凹部を有しやすくなる。それによりトナー1粒子に応力がかかった時の変形しやすさが真球状に近いトナー粒子よりも早くなるものと考えるものであり、その結果、少ない定着圧力でも瞬時にトナーが変形しやすく、高い定着性能を発揮することが可能になることを見出したものである。
従来、トナーを加熱溶融状態にさせ、紙などの媒体上にトナーを定着させるような既存の熱定着構成においては、トナー中のワックス含有量が多いと高温オフセットなどが発生しやすくなっていた。しかし、上記に示すトナー構成であると、少量の熱量においても、トナーが変形するだけの圧力がかかれば、従来の熱定着と同等の定着特性が得られえるこ
とも判明したのである。
本発明のトナーにおいては、ワックス量が30質量部より少ない含有量であると、低い加圧力の場合、トナー変形がしづらくなりオフセットが発生しやすくなる。一方80質量部よりもワックス量が多い場合は大幅に粒度分布が乱れるといった弊害を生じ易くなる。これはトナーへのワックス内包化が不十分になることでトナー同士の合一粒子などが多く出来てしまうことによるものと考えられる。なお、トナーに対してより適切な変形特性を付与する観点から、ワックス量は結着樹脂100質量部に対して上限として75質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。下限としては35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましい。
本発明のトナーは、上記のとおり、従来よりも多量のワックスを内包化させた時のトナー粒子の変形し易さといった観点に着目したものである。そのトナー粒子の変形のし易さを以下の範囲とすることで、本発明の効果を奏する。
トナーに対する微小圧縮試験において、温度27℃、湿度60℃の条件下、30msec毎に0.08mgfの負荷速度で最大荷重[f2]100.00mgfをかけ、トナー変位量が1μm[m1]のときの荷重値を[f1]とし、最大荷重到達後から0.1sec経過後のトナーの変位量を[m2]としたとき、下記式(1)を満足する。
(f2−f1)/(m2−m1)≦20(mgf/μm) ・・・(1)
本発明のトナーは、ワックス量が多いことを特徴としている。多量のワックスの内包によりトナーが変形し易い性質を有し、変性特性が一定以上となることを表しているものが上記(1)式である。なお、(1)式は荷重と変位量の関係をグラフに表した場合の傾きを示しているが、本発明のトナーがコア・シェル型のトナーである場合には、コア部分とシェル部分での傾きに差が出てくることとなる。その場合であっても安定な傾きを算出するために、本発明においては、1μmの変位量以降の傾きを測定するものである。
上記式(1)において、(f2−f1)/(m2−m1)が20mgf/μm以下であるときは、低い加圧力でトナーが変位しやすくなることで、大幅な低温定着性向上を達成できる。上記式を大幅に逸脱するような場合は、同一のトナー変位量を得るために印加圧を高くする必要があることとなり、低温定着性の向上を見込めない。更なる低温定着性向上の観点から、(f2−f1)/(m2−m1)の値は18mgf以下であることが好ましく、17mgf以下であることがより好ましい。また、下限値については現実的にトナーとして使用可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、3mgf以上であることが好ましく、5mgf以上であることが更に好ましい。
上記ワックス含有量が多い場合のトナーの変形しやすさは、微小圧縮試験機((株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100)を用いて測定した。微小圧縮試験機((株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100)について詳細に説明する。
本装置は、圧子を試料へ押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定することにより、負荷荷重−押し込み深さ曲線を得、この曲線から微小圧縮硬度・弾性率等のデータを得るものである。該装置を用いた測定方法は、(株)エリオニクス発行のENT1100操作マニュアルに記載されているが、具体的には以下の通りである。
使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用い、測定環境は温度27℃、湿度60%RHで測定した。
トナー1粒子について圧子を接触させた状態から、荷重0.00mgf(0.0N)から最大荷重100.00mgf(9.8×10−4N)まで、30msec毎に0.08
mgf(7.8×10−7N)刻みで荷重を加え、各荷重における圧子の変位量x(μm)を測定するとともに、最大荷重100.00mgf(9.8×10−4N)に到達後、0.1secの間、その荷重で放置し、該最大荷重到達後0.1sec経過時に変位している量を最大変位量(μm)とした。引き続き、上記最大荷重から30msec毎に0.08mgf(7.8×10−7N)刻みで除荷し、荷重が0になったときの変位量(μm)を求めた。上記最大変位量(μm)と荷重が0になったときの変位量(μm)の差を求めることで弾性変位量(μm)が得られる。
上記測定において、トナー変位量が1μmのときの荷重値を[f1]とし、最大荷重到達後から0.1sec経過後のトナーの変位量を[m2]とした。また、上記(1)式中、[f2]は最大荷重であり100.00mgfであり、[m1]は1μmである。
上記式(1)は、トナー中のワックスの含有量を調整したり、トナー粒子の外殻に固着する樹脂微粒子の量などを調整することにより所望の範囲内に調整することができる。
本発明で用いられるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックスおよびその誘導体が挙げられる。誘導体には、酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。さらに、高級脂肪族エルコール、ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスも使用できる。これらのワックスは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのワックスの中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40乃至130℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45乃至120℃の領域に有するものがより好ましい。このようなワックスを用いることにより、低温定着性に大きく寄与しつつ、離型性をも効果的に発現することが出来る。最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、定着時以外でのワックスの染み出しが生じ易くなり、トナーの帯電性が低下すると共に、高温高湿下での耐久性が低下する。一方、最大吸熱ピークが130℃を超えると定着温度が高くなり、低温オフセットが発生しやすくなるため好ましくない。さらに、最大吸熱ピーク温度が高過ぎると造粒中にワックス成分が析出する不具合を生じ、離型剤の分散性が低下するため好ましくない。
本発明においてはトナーの平均円形度が0.960以上0.980以下であることが好ましい。この理由としては前述のようにトナー粒子中に多量のワックスを含有させることでトナー粒子の収縮が起こりやすくなり、それにより表面に凹部を有するトナー粒子を生じやすくなることによるものである。
平均円形度が0.960より低いとトナー表面にワックスが露出しやすくなりトナー合一を生じやすくなる傾向にある。また、流動性保持、帯電付与の目的で外添剤などを導入した場合に外添剤の偏在がおきたり、外添剤がトナー表面に埋没されやすくなることで、トナーの流動性が著しく低下する傾向にあり、画像品質が低下することが懸念される。一方、平均円形度が0.980より高いと、定着圧に対する感度として、低圧力によるトナー変形が生じ難くなる傾向にあり、低温定着性が得られ難くなる場合がある。
上記平均円形度は、更なる低温定着性を得る観点から、0.965以上0.975以下であることがより好ましい。上記平均円形度は、造粒時の時間や回転数などを調整するこ
とにより所望の範囲内に調整することができる。
また、トナーの総個数における円形度0.950以下のトナー含有比が15個数%以下であることが好ましい。ワックスを多く含有する場合には、トナー粒子の収縮によりトナー表面に凹部を有することで、よりトナーが変形もしくは割れ易くなり、優れた定着性能を示すと考えられる。そのため、上記のとおり平均円形度が0.960以上0.980以下の範囲であること好適であるが、本発明のトナーにおいては円形度0.950以下の極端な異形状トナーの割合が少ないことによって、定着性の向上ばかりでなくトナーの転写性をもより高いレベルで維持することができる。
トナーの総個数における円形度0.950以下のトナー含有比は、固形分濃度の調整などをすることにより所望の範囲内に調整することができる。
本発明のトナーにおける示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移点(トナーTg)は25℃以上55℃以下であることが好ましい。トナーTgとして上記範囲の特性を有することによって低温定着性がさらに良好になると考えられる。より好ましくは、30℃以上50℃以下である。
トナーTgが25℃より低い場合は、トナー製造時に造粒性を阻害する場合があったり、トナーの耐熱保存性が悪化する傾向にある。反対にトナーTgが55℃より高い場合には耐熱保存性は比較的良好であるものの、低温定着性の向上や定着領域の拡大についてはあまり望めない。上記トナーのTgは、使用するモノマーの配合比などを調整することにより所望の範囲内に調整することができる。
本発明のトナーは重合性単量体、ワックスおよび着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することにより得られる芯粒子と、該芯粒子の表面に樹脂微粒子を固着させて形成した外殻から構成されることが好ましい。
本発明によれば懸濁重合法によるトナーにおいて、トナーに含有されるワックス量が30質量部以上80質量部以下であることにより優れた低温定着性を有する。本発明者らは、該低温定着性ばかりでなく相反する特性である耐熱保存性をも良好な結果が得られるべく鋭意検討した結果、該懸濁重合法によるトナーの製造工程において、重合後の分散液中に含まれる重合体粒子の状態に着目した。重合した重合体粒子を芯粒子として、該芯粒子表面に均一で強固な樹脂微粒子による層を形成させることにより低温定着性と耐熱保存性の両立が可能になる。
すなわち、重合後の重合体粒子の表面に吸着した状態で残留している分散安定剤を利用することで、更なる低温定着性と耐熱保存性の両立を達成したものである。重合体粒子を含む分散液に、前記分散安定剤に対する極性が該重合体粒子と同じ極性の樹脂微粒子を添加すると、該分散安定剤の電気的作用によって該樹脂微粒子を該重合体粒子表面に均一に付着させることが可能となる。
樹脂微粒子の芯粒子への具体的な固着方法は、以下に説明するトナー製造方法の工程に従って説明する。
芯粒子となる重合体粒子は通常の懸濁重合法によるトナーの製造方法に準じて製造することが出来る。
まず、芯粒子の主構成材料となる重合性単量体に少なくとも着色剤とワックスを加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき上記重合性単量体組成物中には必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また荷電制御剤や可塑剤、さらに他の添加剤(例えば顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加えることが出来る。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合反応は、造粒後の懸濁液を50乃至90℃に加熱し、懸濁液中の液滴粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら行うことでトナー粒子が形成される。
上記重合開始剤は、加熱によって容易に分解し、遊離基(ラジカル)を生成する。生成したラジカルは重合性単量体の不飽和結合に付加し、付加体のラジカルを新たに生成する。そして、生成した付加体のラジカルはさらに重合性単量体の不飽和結合に付加する。このような付加反応を連鎖的に繰り返すことによって重合反応が進行し、前記重合性単量体を主構成材料とする芯粒子が形成される。
懸濁重合法によるトナーの製造では、この後分散安定剤を取り除き、洗浄し乾燥してトナー粒子を得るが、本発明では分散安定剤の除去は行わず、水系媒体に分散させた状態で芯粒子とし、該芯粒子表面に本発明の好ましい特徴の一つである樹脂微粒子を付着後、固着させる。
樹脂微粒子を付着させる場合、単独凝集を防止し、より均一に付着させるため、該樹脂微粒子の水系分散体の添加はゆっくり行うことが好ましい。好適な添加速度は芯粒子の分散液の固形分100質量部に対し、樹脂微粒子固形分として0.1質量部/分乃至2.0質量部/分である。
樹脂微粒子が芯粒子表面に付着した後、容易に剥離、脱落を起こさない強度で芯粒子表面に固定化させることが望ましい。そのため上記分散液を加熱することで芯粒子と樹脂微粒子の密着性を高めても構わない。その場合の加熱温度としては、トナー粒子の安定性を考慮し、芯粒子のTg以上、樹脂微粒子のTg以下の温度範囲で加熱するのが望ましい。このとき、該芯粒子は軟らかい状態にあるが、樹脂微粒子が立体安定性を発現するために十分な硬さを維持しているため、分散状態を保つことができると考えられる。
次いで、このような状態を保持しつつ芯粒子と樹脂微粒子の間に存在する分散安定剤の除去を行うことにより、除去が完了するまでの間に芯粒子表面に付着していた該樹脂微粒子は、その一部分が芯粒子表面に埋め込まれ、残りの部分が芯粒子表面に出ている状態になると考えられる。すなわち、該樹脂微粒子は剥がれ落ちにくい状態で安定して芯粒子に固定化される。このようにして、従来よりも緻密で均一かつ強固な樹脂微粒子層を形成させることが可能になると発明者らは考えている。
上記分散安定剤の除去は分散液のpHを制御することによって行うことが好ましい。
pH調整による分散安定剤の除去は極めて簡便な手法であり、例えば、水不溶性あるいは難水溶性無機化合物のコロイドを分散安定剤に用いた場合には、該分散安定剤が芯粒子と樹脂微粒子の間に存在する場合であっても、分散液のpHを酸性側に調整することで容易に溶解、除去することができる。pHの調整は通常、塩酸、硫酸の如きを添加することで行うことができる。このとき、芯粒子に付着した樹脂微粒子の状態を均一に保つため、酸の添加はゆっくり行うことが好ましい。好適な添加速度は、芯粒子の分散液の固形分100質量部に対し、0.05質量部/分乃至2.00質量部/分である。また添加する酸は、濃度0.1モル/リットル乃至0.5モル/リットルの水溶液として使用することが
好適である。
上記pHの制御を行わない場合には、樹脂微粒子と芯粒子の間に分散安定剤が存在しているため、該樹脂微粒子と該芯粒子の密着性が低く十分な強度が得られない場合がある。
また固着工程において、pH制御を行った後に分散液の温度を前記芯粒子のTg以上、前記樹脂微粒子のTg以下にしたのでは、pH制御が完了した段階で既に分散安定剤が溶出してしまっているため、該樹脂微粒子は該芯粒子上に安定して存在することができず、予め分散安定剤を除去した芯粒子に樹脂微粒子を固着させる従来の方法と何ら変わりがない。
以上の通り、本発明の好ましい態様であるコア・シェル型のトナーは、重合工程で使用した分散安定剤を利用して樹脂微粒子を付着させること、および分散安定剤の除去と樹脂微粒子の固着を同時に行うことによって成し得たものである。上述したような従来の方法では、このような好ましい効果を達成することは到底不可能であった。
また本発明では樹脂微粒子を固着した後に、前記分散液のpHを分散安定剤が再析出するpH領域に調整し、次いで、樹脂微粒子のTg以上の温度で加熱処理する工程をさらに追加しても構わない。分散安定剤を再析出させることにより、樹脂微粒子が固着した粒子の表面は該分散安定剤で被覆されるため、樹脂微粒子のTg以上に加熱しても粒子同士の凝集を抑制することができる。そして、これにより樹脂微粒子による層は平滑化され、より均質かつ緻密な層となる。このように平滑化させることにより、さらに耐熱性が向上するばかりでなく現像性の向上という別の効果も得られる。
分散安定剤を再析出させる際に、同じ分散安定剤を別途追加して添加してもよい。また少量の界面活性剤を添加することもできる。
上記平滑化の後は、上述したような酸により分散安定剤を除去し、公知の方法によってろ過し、洗浄、乾燥してトナー粒子を得る。この工程の後、公知の方法によって濾過し、洗浄及び乾燥することによってトナー粒子を得ることができる。
本発明において使用する樹脂微粒子は、酸性基を有する自己水分散性の樹脂微粒子からなることが好ましい。
自己水分散性の樹脂微粒子は、別途界面活性剤を添加する必要がなく、またpH調整で樹脂微粒子の分散能力を調整できるため、付着工程で遊離した樹脂微粒子が存在する場合にも、固着工程で芯粒子に固定化することができる。前記酸性基としては、カルボキシル基やスルホン酸基、リン酸基の如き酸性基が挙げられるが、これらの中でもカルボキシル基、スルホン酸基あるいはこれらを併用して用いることが好ましく、少なくともスルホン酸基が含まれていることが、トナーに良好な帯電性を付与できる点で特に好ましい。
さらに前記樹脂微粒子は、酸価が、5.0乃至40.0mgKOH/gであることが好ましい。より好ましくは、10.0乃至25.0mgKOH/gの範囲で用いられる。
酸価が5.0mgKOH/gよりも少ない場合は、十分な自己水分散性を有する微粒子を得ることができず、酸価が40.0mgKOH/gよりも高い場合は、トナー化したときの吸湿性が増し、帯電の安定性が損なわれることがあるため好ましくない。また該樹脂微粒子同士の電気的反発が大きくなり、付着工程において芯粒子表面に付着せず、水系媒体中に分散のままの樹脂微粒子が増加する傾向がある。
尚、ここでいう酸価とは、前記酸性基の含有量を表すもので、酸性基が塩の状態である場合には、酸の状態に戻したものとして算出した値を示す。樹脂微粒子の酸価は、樹脂1
g中に含まれる官能基を中和するのに必要な水酸化カリウムの量で表され、具体的な方法は後述する。
上記のような自己水分散性の樹脂微粒子を製造する方法としては、転相乳化法がある。
転相乳化法では、自己水分散性を有する樹脂、あるいは中和によって自己水分散性を発現し得る樹脂を使用する。ここで、自己水分散性を有する樹脂とは、水系媒体中で自己分散が可能な官能基を分子内に含有する樹脂であって、具体的には酸性基もしくはその塩を含有する樹脂である。また、中和によって自己水分散性を発現し得る樹脂とは、中和によって親水性が増大し、水系媒体中での自己分散が可能となり得る酸性基を、分子内に含有する樹脂である。
これらの樹脂を有機溶剤に溶解し、必要に応じて中和剤を加え、撹拌しながら水系媒体と混合すると、前記樹脂の溶解液が転相乳化を起こして微小な粒子を生成する。前記有機溶剤は、転相乳化後に加熱、減圧の如き方法を用いて除去する。
このように、転相乳化法によれば、前記酸性基の作用によって実質的に乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した樹脂微粒子の水系分散体を得ることができる。
こうして得られた樹脂微粒子は、そのまま水系分散体として芯粒子への付着工程に供することができる。また、前記水系分散体に酸を添加して樹脂中の酸性基を塩の状態から酸の状態に戻し、ろ過および洗浄を行った後、水に再分散させて使用してもよい。
前記樹脂の材質としては、トナーの結着樹脂として使用し得るものであれば良く、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂の如き樹脂が用いられるが、中でもポリエステル樹脂は、シャープメルト性を有するため、芯粒子の低温定着性を阻害することが少なく好ましい。
本発明に用いられる分散安定剤としては、界面活性剤や有機分散剤、無機分散剤を使用することができるが、これらの中でも上述したように水不溶性または難水溶性無機塩のコロイドを用いることが酸に対する溶解性の点で特に好ましい。
また無機塩は熱的安定性が高いため、高温下で重合を行った場合でも液滴を安定に保つことができ、また固着工程においても、芯粒子に付着した樹脂微粒子の均一性を維持したまま固定化できるため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
さらに本発明では、平滑化工程において、分散安定剤を再析出して利用するため、pHに対して、可逆的であることが好ましい。
上述した無機分散剤の中でもリン酸三カルシウムは、pH3乃至5の領域で溶解と析出を可逆的に行うことができるため、特に好適に用いることができる。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜20質量部を使用することが好ましい。
さらに、界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系単量体や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類、その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
これらの重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体と他の重合性単量体とを混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の点から好ましい。そして、これら重合性単量体の混合比率は、所望する芯粒子のTgを考慮して、適宜選択すればよい。
上記芯粒子の製造において使用する重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知の過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤としては、パーオキシエステル系重合開始剤として、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンが挙げられる。
また、パーオキシジカーボネート系重合開始剤として、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ペンチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられる。
また、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、ジイソブチリルパーオキサイド、ジイソノナノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−トルオイルパーオキサイドが挙げられる。
その他、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートの如きパーオキシモノカーボネート系、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンの如きパーオキシケタール系、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドの如きジアルキルパーオキサイド系の重合開始剤が挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルが例示される。
これらの重合開始剤の中でも、過酸化物系重合開始剤は分解物の残留が少ないため好適である。また、これら重合開始剤は、必要に応じて2種以上同時に用いることもできる。この際、使用される重合開始剤の好ましい使用量は、単量体100質量部に対し0.1〜20質量部である。
また、上記の懸濁重合法によるトナー粒子の製造においては、分子量の調整を目的として、連鎖移動剤を使用することが出来る。連鎖移動剤としては以下のものが挙げられる。
n−ペンチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタン、2−メチルブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、n−ペンタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類;チオグリコール酸のアルキルエステル類;メルカプトプロピオン酸のアルキルエステル類;クロロホルム、四塩化炭素、臭化エチレン、四臭化炭素の如きハロゲン化炭化水素類;α―メチルスチレンダイマー。
これらの連鎖移動剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.05乃至3.00質量部である。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては以下のものが用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20等、染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、具体的には、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等、マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
黒色の顔料として、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、又、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの着色剤は通常トナーに用いる含有量で使用すれば良く、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である。
本発明のトナーは、荷電特性の安定化を目的として、必要に応じて荷電制御剤を含有させることが出来る。含有させる方法としては、トナー粒子の内部に添加する方法と外添する方法がある。荷電制御剤としては公知のものを利用することが出来るが、内部に添加する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物を実質的に含まない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤として以下のものが挙げられる。
サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。また、ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定される。そのため、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10.0質量部、より好ましくは0.1乃至5.0質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合は、好ましくはトナー100質量部に対して0.005乃至1.000質量部、
より好ましくは0.01乃至0.30質量部である。
また、流動性向上剤が外部添加されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
また、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤をトナー粒子に混合されていてもよい。
上記の如き外部添加剤はトナー100質量部に対して、0.1乃至5.0質量部使用するのが好ましい。
本発明のトナーは、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することが出来る。二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリア粒子の平均粒径は、10.0乃至100.0μmであることが好ましく、現像剤中のトナー濃度は2.0乃至15.0質量%であることが好ましい。
以下、本発明で用いる測定手段を列挙する。
<樹脂酸価の測定>
酸価は、樹脂1gに含まれるカルボキシル基およびスルホン酸基を中和するのに必要な水酸化カリウムの量で表され、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて10mlとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前期水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて敵定する。
尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた時とする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は上記操作と同様の滴定を行なう。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<樹脂微粒子のメジアン径(D50)の測定>
樹脂微粒子のメジアン径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒径分布測定装置を用いて測定した。
具体的にはJIS Z8825−1(2001年)に準じて測定される。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA-920」(堀場製
作所製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、相対屈折率を1.20に設定する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに合成例で作製した樹脂微粒子分散液を約3ml入れる。さらに約57mlのイオン交換水を入れて樹脂微粒子分散液を希釈する。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)60秒間超音波分散処理を継続する。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した樹脂微粒子分散液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)を算出する。
<トナー粒子の平均円形度の測定>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナーの重量平均粒子径(D4)および個数平均粒子径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター
Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整
する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
<帯電量の測定方法>
底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に帯電量を測定しようとする現像剤を約0.5g入れ、金属製の蓋をする。このとき測定容器2全体の質量を量りW1(g)とする。次に吸引機(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から 吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。
この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(mCF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を量りW2(g)とする。このトナーの帯電量(mC/kg)は下記式の如く計算される。装置の全体図を図1に示す。
帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
以下に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部は全て質量部を示す。
<合成例1:樹脂微粒子分散液(a)>
(ポリエステル樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03質量部を添加し、窒素雰囲気下、220℃に昇温して、撹拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:49.2質量部
エチレングリコール : 8.9質量部
テレフタル酸 :21.7質量部
イソフタル酸 :14.4質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 5.8質量部
次いで、反応容器内を5乃至20mmHgに減圧しながら、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液(a)の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステル樹脂100.0質量部とメチルエチルケトン45.0質量部、テトラヒドロフラン45
.0質量部を仕込み、80℃に加熱して溶解した。
次いで、撹拌下、80℃のイオン交換水300.0質量部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(a)とした。
<合成例2:樹脂微粒子分散液(b)>
(ポリエステル樹脂の作製)
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03質量部を添加し、窒素雰囲気下、温度220℃に昇温して、攪拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:49.9質量部
エチレングリコール : 9.0質量部
テレフタル酸 :20.5質量部
イソフタル酸 :13.7質量部
次いで、無水トリメリット酸7.0質量部を加え、反応容器内を5乃至20mmHgに減圧しながら、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液(b)の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステル樹脂100.0質量部とブチルセロソルブ75.0質量部を仕込み、90℃に加熱して溶解した後、70℃まで冷却した。
次いで、1モル/リットルのアンモニア水溶液18.0質量部を加え、上記温度を保持しながら30分間撹拌を行った後、70℃のイオン交換水300.0質量部を添加して水分散させた。得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(b)とした。
<合成例3及び4:樹脂微粒子分散液(c)及び(d)>
合成例1において、撹拌時間およびイオン交換水の添加条件を適宜変更し、平均粒径がそれぞれ90nm、151nmのポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(c)および(d)とした。
<合成例5:樹脂微粒子分散液(e)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(e)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:50.0質量部
エチレングリコール : 9.0質量部
テレフタル酸 :23.5質量部
イソフタル酸 :15.6質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 2.0質量部
<合成例6:樹脂微粒子分散液(f)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(f)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:46.5質量部
エチレングリコール : 8.4質量部
テレフタル酸 :15.1質量部
イソフタル酸 :10.0質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 :20.0質量部
こうして得られた樹脂微粒子分散液(a)乃至(f)について、各分散液中の微粒子の平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。また、各分散液に使用した樹脂の酸価、ガラス転移温度をそれぞれ測定した。
尚、スルホン酸基を有する樹脂微粒子分散液(a)および(c)〜(e)の酸価は、各樹脂中のS元素量を蛍光X線分析装置(XRF)を用いて測定し、計算によって求めたものである。結果を、それぞれ表1にまとめて示した。
Figure 0005451226
<実施例1>
[顔料分散ペーストの作製]
スチレン :212.7質量部
Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3): 19.7質量部
上記材料を容器中で十分プレミクスした後、これを20℃以下に保ったままアトライター(三井三池化工機製)を用いて約4時間均一に分散混合し、顔料分散ペーストを作製した。
[芯粒子分散液の作製]
イオン交換水1152.0質量部に0.1mol/l−リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0mol/l−塩化カルシウム(CaCl)水溶液58.0質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca(PO)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
一方、上記顔料分散ペーストに以下の材料を加え、アトライター(三井三池化工機製)を用いて分散混合し、単量体組成物を調製した。
n−ブチルアクリレート :114.9質量部
非晶性ポリエステル : 15.1質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=58℃、Mw=7,800、酸価13mgKOH/g)
サリチル酸アルミニウム化合物 : 3.1質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
ジビニルベンゼン :0.049質量部
上記単量体組成物を60℃に加温し、これにエステルワックス(主成分:C1929COOC2041、mp=71.4℃)40質量部を添加して混合溶解した。
次いで、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシネオデカノエート7.8質量部をさらに添加した。
これを前記水系媒体中に投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、60℃、窒素雰囲気下にて、15,000rpmで10分間撹拌して造粒を行った。
さらに、得られた懸濁液を、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃にて9時間重合を行った。
重合終了後、上記分散液を約20℃まで冷却し、イオン交換水を加えて分散液中の重合体粒子濃度が20%になるように調整した。これを、芯粒子分散液(A)とした。
[樹脂微粒子の固着化工程]
上記で得られた芯粒子分散液(A)500.0質量部(固形分:100.0質量部)に、合成例1で得られた樹脂微粒子分散液(a)15.0質量部(固形分:3.0質量部)を1.0質量部/分の滴下速度で添加した。
次いで、200回転/分で30分間撹拌を行なうことで、芯粒子表面に樹脂微粒子が付着した分散液(B)を得た。その後、分散液(B)を樹脂微粒子のTg(℃)より2〜5℃低い温度に加温し、200回転/分で1時間攪拌することにより、樹脂微粒子を固着した。
上記樹脂微粒子が固着された分散液(B)を、ろ過、洗浄、乾燥しトナー粒子1を得た。該トナー粒子1を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面が樹脂微粒子で均一に覆われていることが確認された。
[外添工程]
得られた上記トナー粒子1 100.0質量部にn−CSi(OCHで処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m/g)0.8質量部とヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m/g)0.8質量部を加えヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を得た。
<実施例2>
樹脂微粒子の固着化工程を除く以外は実施例1と同様にしてトナー2を得た。
<実施例3>
顔料ペーストの作製に用いるスチレンを179.9質量部に、芯粒子分散液の作製に用いるn−ブチルアクリレート量を147.7質量部に変更した以外は実施例2と同様にしてトナー3を得た。
<実施例4>
顔料ペーストの作製に用いるスチレンを255.2質量部に、芯粒子分散液の作製に用いるn−ブチルアクリレート量を72.4質量部に変更した以外は実施例2と同様にしてトナー4を得た。
<実施例5>
顔料ペーストの作製に用いるスチレンを261.8質量部に、芯粒子分散液の作製に用いるn−ブチルアクリレート量を65.8質量部に、芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を32質量部に変更した以外は実施例2と同様にしてトナー5を得た。
<実施例6>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を40質量部に変更する以外は実施例5と同様にしてトナー6を得た。
<実施例7>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を50質量部に変更する以外は実施例6と同様にしてトナー7を得た。
<実施例8>
芯粒子分散液の作製の際における油層系媒体と水系媒体の比(油層/水層比)が、0.
35であったものを0.43と油層系媒体の比率を上げた以外は同様にしてトナー8を得た。
<実施例9>
芯粒子分散液の作製時において、イオン交換水1152.0質量部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl)水溶液50.0質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca(PO)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製するように変更する以外は実施例8と同様にしてトナー9を得た。
<実施例10>
芯粒子分散液の作製時において、イオン交換水1152.0質量部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl)水溶液97.9質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca(PO)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製するように変更する以外は実施例8と同様にしてトナー10を得た。
<実施例11>
芯粒子分散液の作製時において、イオン交換水1152.0質量部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl)水溶液45.0質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca(PO)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製するように変更する以外は実施例9と同様にしてトナー11を得た。
<実施例12>
芯粒子分散液の作製時において、イオン交換水1152.0質量部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl)水溶液98.4質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca(PO)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製するように変更する以外は実施例10と同様にしてトナー12を得た。
<実施例13>
芯粒子分散液の作製の際における油層系媒体と水系媒体の比(油層/水層比)が、0.
43であったものを0.50と油層系媒体の比率を上げた以外は実施例11と同様にしてトナー13を得た。
<実施例14>
芯粒子分散液の作製の際における油層系媒体と水系媒体の比(油層/水層比)が、0.
43であったものを0.35と油層系媒体の比率を下げた以外は実施例11と同様にしてトナー14を得た。
<実施例15>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を32質量部に変更する以外は実施例11と同様にしてトナー15を得た。
<実施例16>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を69質量部に変更する以外は実施例11と同様にしてトナー16を得た。
<実施例17>
[樹脂微粒子の固着化工程]で用いられる樹脂微粒子分散液(a)の代わりに樹脂微粒子分散液(b)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー17を得た。
<実施例18>
[樹脂微粒子の固着化工程]で用いられる樹脂微粒子分散液(a)の代わりに樹脂微粒子分散液(c)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー18を得た。
<実施例19>
[樹脂微粒子の固着化工程]で用いられる樹脂微粒子分散液(a)の代わりに樹脂微粒子分散液(d)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー19を得た。
<実施例20>
[樹脂微粒子の固着化工程]で用いられる樹脂微粒子分散液(a)の代わりに樹脂微粒子分散液(e)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー20を得た。
<実施例21>
[樹脂微粒子の固着化工程]で用いられる樹脂微粒子分散液(a)の代わりに樹脂微粒子分散液(f)を用いる以外は実施例1と同様にしてトナー21を得た。
<比較例1>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更する以外は実施例11と同様にしてトナー22を得た。
<比較例2>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を85質量部に変更する以外は実施例11と同様にしてトナー23を得た。
<比較例3>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー24を得た。
<比較例4>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を85質量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー25を得た。
<比較例5>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更する以外は実施例2と同様にしてトナー26を得た。
<比較例6>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を85質量部に変更する以外は実施例2と同様にしてトナー27を得た。
<比較例7>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更する以外は実施
例6と同様にしてトナー28を得た。
<比較例8>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を85質量部に変更する以外は実施例6と同様にしてトナー29を得た。
<比較例9>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更する以外は実施例8と同様にしてトナー30を得た。
<比較例10>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を85質量部に変更する以外は実施例8と同様にしてトナー31を得た。
<比較例11>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を78質量部に変更し、顔料分散ペーストの作製時のスチレン添加量を262.1質量部、単量体組成物調製時のn−ブチルアクリレート添加量を65.5質量部に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー32を得た。
<比較例12>
芯粒子分散液の作製に用いるエステルワックスの量を10質量部に変更し、顔料分散ペーストの作製時のスチレン添加量を180.2質量部、単量体組成物調製時のn−ブチルアクリレート添加量を147.4質量部に変更する以外は実施例比較例11と同様にしてトナー32を得た。
実施例1乃至21および比較例1乃至12で得られた各トナーにおける物性値として、微小圧縮試験より得られる(f2−f1)/(m2−m1)の値、平均円形度、トナー総個数における円形度0.950以下のトナー含有比、トナーTg、及びトナー平均径について測定した結果を表−2に示す。
Figure 0005451226
以下に本発明のトナーに関する評価項目を示す。
<耐熱保存性>
トナー粒子5gを容積100mlのポリカップに量り採り、これを内部温度50℃の恒温槽に入れて7日間放置する。その後、ポリカップを取り出して、中のトナーの状態変化を目視にて評価する。判定基準は以下の通りである。
A:変化なし。
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる。
C:凝集体がやや多いが、衝撃を与えるとほぐれる。
D:凝集体が多く、容易にはほぐれない。
E:全くほぐれない。
上記基準のうち、Cランクまでを良好な耐熱保存性と判断した。
<低温定着性>
複写機IR3570(キヤノン社製)を用い、常温常湿度環境下(23℃/60%)において、紙上のトナー載り量を0.35mg/cmになるよう現像コントラストを調整し、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmのベタの未定着画像を作成した。紙としては、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。
フィルムを介して記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とからなる定着装置を使用している市販のLBPプリンター(Laser Jet 4300,HP社製)の定着器を外部へ取り出し、プリンター外でも動作し、定着フィルム温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを350mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、常温常湿度環境下(23℃/60%)に於いて80℃から200℃の範囲で順に10℃ずつ上げ定着試験を行った。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)の上から4.9KPaの荷重をかけつつ5往復摺擦し、摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)が10%未満のときの温度を定着開始温度とし、低温定着性の基準とした。尚、画像濃度はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)で測定した。
(式):ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
この定着開始温度を以下のような評価基準で評価した。
A:定着開始温度が120℃以下
B:120℃<定着開始温度≦140℃
C:140℃<定着開始温度≦160℃
D:160℃<定着開始温度
なお、本発明においてはBランクまでを良好な低温定着性と判断した。
<耐久性>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5900SE、キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これに作製したトナーを150g充填した。該カートリッジをプリンターのシアンステーションに装着し、常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m)を用いて、印字率2%チャートを5000枚連続して画出しし、得られた画質について、下記の評価基準に従って評価した。
A:画像不良が発生せず、画質が特に優れている。(耐久性が特に優れている)
B:画像不良が発生せず、画質が優れている。(耐久性が優れている)
C:画像不良が発生せず、画質が良好である。(耐久性が良好である)
D:画像不良が発生しないが、画質がCよりも劣る。(耐久性がCよりも劣る)
E:画像不良が発生、或いは画質がDよりも劣る。(耐久性がDよりも劣る)
なお、本発明においてはCランクまでを良好な画質の耐久性と判断した。
また、5000枚の画出しの後にトナー坦持体を取り外し、エアーガンでトナーを吹き飛ばした後に表面の汚染状態を顕微鏡により観察し、以下の基準で判定を行なった。
A:特に汚染は見られない。
B:付着物は非常に少ない。
C:若干の付着物が見られる。
D:多数の付着物が見られる。
E:トナーの融着が見られる。
なお、本発明においてはCランクまでを良好な部材汚染の耐久性と判断した。
<摩擦帯電性>
以下に本発明におけるトナーの摩擦帯電量の測定方法について説明する。まず、キャリア粒子と本発明のトナーとを蓋付きのプラスチックボトルに入れ、振盪器(YS−LD、(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうし、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を作製する。
該二成分現像剤を高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下(2
3℃/50%)でさらに3日間放置し初期混合による摩擦帯電をリセットした。
それらをカラー複写機CLC5500改造機(キヤノン製)にて画出し評価を行なった。二成分現像剤を現像機ユニットに仕込み、予備回転なしに画像面積比率25%のA4画像出力を行なう。次に上記現像機を予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚し、下記手順により白地部のかぶり評価を行い、トナー摩擦帯電性の評価とした。
(白地部かぶり評価)
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
A:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が特に優れている)
B:11〜15枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が優れている)
C:16〜20枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が良好である)
D:21〜30枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性がやや劣る)
E:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上(摩擦帯電性が劣る)
なお、本発明においてはCランクまでを良好な摩擦帯電性と判断した。
<トナーの帯電性の環境安定性評価>
二成分現像剤を常温低湿環境(23℃/5%)の環境下で1昼夜放置し、その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせる。
次いで前述に記載の手段で摩擦帯電量を測定し、得られた帯電量を帯電量L(mC/kg)とした。
さらに、該二成分現像剤を高温高湿環境(30℃/80%)の環境下で1昼夜放置し、その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、同様の方法で測定した帯電量を帯電量H(mC/kg)とした。
得られた帯電量Lと帯電量Hから、
帯電保持率(%)=100×帯電量H(mC/kg)/帯電量L(mC/kg)
として高温環境下における帯電保持率(%)を計算し、以下の基準で帯電性の環境安定性評価を行なった。
A:帯電保持率(%)が70%以上。
B:帯電保持率(%)が60%以上70%未満。
C:帯電保持率(%)が50%以上60%未満。
D:帯電保持率(%)が40%以上50%未満。
E:帯電保持率(%)が40%未満。
なお、本発明においてはCランクまでを良好な環境安定性と判断した。
上記に示す性能評価として、耐熱保存性、低温定着性、耐久性、帯電性の各項目について実施例1乃至21および比較例1乃至10で得られた各トナーの評価をおこなった。結果を表−3に示す。
Figure 0005451226
以上の結果から、本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、ワックスを多く含有させることにより、トナーが微弱な応力においても変形しやすくなり、粉砕法などに用いられているシャープメルトなポリエステル樹脂を用いた場合と同等以上の低温定着性、定着領域を得ることが可能になった。
さらには、ワックスがトナー粒子内部に十分に内包化されることにより、耐熱性にも優れることが出来る。

Claims (5)

  1. 結着樹脂、エステルワックスおよび着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナー粒子が、懸濁重合法によって製造されたトナー粒子であり、
    前記トナーに含有される前記エステルワックス量が前記結着樹脂100質量部に対して30質量部以上80質量部以下であり、
    前記トナーに含有される前記着色剤の量が前記結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、
    前記トナーに対する微小圧縮試験において、温度27℃、湿度60%の条件下で、前記トナー1粒子に30msec毎に0.08mgfの負荷速度で最大荷重100mgf(荷重値“f2”と表記する)になるまで荷重をかけ、トナーの変位量が1μm(変位量“m1”と表記する)のときの荷重値をf1とし、最大荷重到達後から0.1sec経過時のトナーの変位量をm2としたとき、下記式(1)を満足することを特徴とするトナー。
    {(f2−f1)/(m2−m1)}≦20(mgf/μm) ・・・(1)
  2. 前記トナーの平均円形度が0.960以上0.980以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーは、トナー総個数に対する円形度0.950以下のトナー含有比が15個数%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移点(Tg)が25℃以上55℃以下である請求項13のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子が、重合性単量体、ワックスおよび着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することにより得られる芯粒子と、前記芯粒子の表面に樹脂微粒子を固着させて形成した外殻から構成されるトナー粒子である請求項14のいずれか1項に記載のトナー。
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