JP5455476B2 - コアシェルトナー及びその製造方法 - Google Patents

コアシェルトナー及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5455476B2
JP5455476B2 JP2009162090A JP2009162090A JP5455476B2 JP 5455476 B2 JP5455476 B2 JP 5455476B2 JP 2009162090 A JP2009162090 A JP 2009162090A JP 2009162090 A JP2009162090 A JP 2009162090A JP 5455476 B2 JP5455476 B2 JP 5455476B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
fine particles
particles
resin
resin fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009162090A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011017864A (ja
Inventor
努 嶋野
亮一 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2009162090A priority Critical patent/JP5455476B2/ja
Publication of JP2011017864A publication Critical patent/JP2011017864A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5455476B2 publication Critical patent/JP5455476B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法の如き方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いるトナー及びトナーの製造方法に関するものである。
近年、プリンターや複写機において高速化や低消費電力化が求められており、その要求を満たすため、トナー自身の定着性能の改善も求められるようになっている。すなわち、より低い圧力で速やかに潰れ、より低い温度で速やかに溶融することにより、低エネルギーで定着させることのできるトナーの実現が望まれている。
こうした要求を満たすには、耐熱保存性や耐久性の如き観点から、単純にトナーを軟化させるだけでは達成できない。そこで、分子量の低い樹脂やガラス転移温度の低い樹脂を含む芯粒子と、該芯粒子の表面を被覆するように形成した耐熱性に優れる樹脂を含む外殻から構成される、カプセル構造を有するトナーが提案されている。
例えば、懸濁重合法により得られるトナーにおいて、重合開始時もしくは重合初期に重合性単量体と樹脂微粒子を混合させることで外殻を形成させた、カプセル構造を有するトナーが提案されている(特許文献1参照)。
また、芯粒子に逆帯電の中間層を形成させたコア粒子を形成させた後、さらに中間層と逆帯電の外殻層を形成させることでカプセル構造を形成したトナーが提案されている(特許文献2参照)。
また、1μm以上5μm以下の固体微粒子存在下で懸濁重合を行うことで、トナー粒子表面に凸状隆起を形成させたトナーが提案されている(特許文献3参照)。
また、トナー粒子表面の95%以上を微粒子で被覆させ、かつ実質的に隆起の無い表面にしたトナーが提案されている(特許文献4参照)。
上記した従来例のうち、特許文献1に開示されたトナーでは、重合開始時もしくは重合初期という、液滴が安定しない状態で樹脂微粒子と混合させるため、樹脂微粒子の分子量やガラス転移温度が低い場合には著しく製造安定性に劣る場合があるという問題点があった。その結果、被覆層となる樹脂微粒子には分子量やガラス転移点が高いものしか用いることができず、トナーとして充分な低温定着性を有するものを設計することができないという問題点があった。
上記した特許文献2に開示されたトナーはその設計上、芯粒子と中間層と外殻の性質を大幅に変える必要性が生じる。結果として個々の密着性は大きく劣ることになり、特に外殻である樹脂微粒子の剥離により耐熱性や耐久性に問題が生じる恐れがあった。また、中間層の影響により芯粒子の定着性を大幅に損なってしまったり、帯電安定性が低下してしまったりするという問題点があった。
上記した特許文献3に開示されたトナーは、固体微粒子をトナー粒子表面に付着させているが、目的としては隆起を形成させることであり、充分な耐熱性や耐久性を得ることを目的として設計されていない。その結果、付着させる固体微粒子は粒径が非常に大きなものであり、重合中の固体微粒子同士の凝集が生じてしまったり、トナー粒子そのものの粒径が著しく大きくなってしまったりするという問題点があった。また、固体微粒子の影響により低温定着性は著しく損なわれる恐れがあった。
上記した特許文献4に開示されたトナーでは、芯粒子のガラス転移点以上の熱を与えることにより、樹脂微粒子による隆起をなくしている。その結果、被覆層の見かけ上の被覆率は上がるものの、過度に与えられた熱により芯粒子と被覆層の相溶が進むため、充分な耐熱性を維持することは困難であった。さらに、上記した特許文献2及び4では、製造工程が多くなってしまうため、操作が煩雑になるだけでなく、製造安定性の面に関しても充分に優れているとは言えないものであった。
以上、カプセル構造を有するトナー粒子を有するトナーにおいて、特に優れた低温定着性を有しながら充分な耐熱保存性を有し、かつ芯粒子と被覆層の密着性が高く耐久性に優れたトナーが待望されている。
特開2007−279328号公報 特開2003−91093号公報 特許第2864513号公報 特開2000−112174号公報
本発明の目的は、上述した従来の問題点を解決したトナー及び該トナーの製造方法を提供することにある。すなわち、カプセル構造を有するトナー粒子を有するトナーにおいて、特に優れた低温定着性を有しながら充分な耐熱保存性を有し、かつ芯粒子と被覆層の密着性が高く耐久性に優れたトナー、及び該トナーの製造方法を提供することにある。
重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中に懸濁させ、前記水系媒体中における前記重合性単量体の重合転化率が50.0%以上99.8%以下になった時点で樹脂微粒子と混合させ、次いで、前記重合性単量体を重合させて得られるトナー粒子を有するトナーであって、
前記樹脂微粒子を構成する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3,000以上100,000以下であり、
前記トナー粒子は、前記樹脂微粒子を構成する樹脂で被覆されていることを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は上記トナーの製造方法に関する。
本発明によれば、カプセル構造を有するトナー粒子を有するトナーにおいて、特に優れた低温定着性を有しながら充分な耐熱保存性を有し、かつ芯粒子と被覆層の密着性が高く耐久性に優れたトナーを提供することができる。
本発明のトナーを用いた現像剤の帯電量の測定に用いる装置の構成を示す。
芯粒子と、該芯粒子を被覆する被覆層を含むコアシェル構造を有するトナー粒子の製造方法としては種々の方法が検討されている。それらの中でも特に、水系において樹脂微粒子を芯粒子の表面に付着及び固定させて被覆層を形成する方法は、優れたコアシェル構造を形成できる方法である。
上記した方法であれば、芯粒子と被覆層の層分離が極めて明確になり、かつ緻密な被覆層を形成できるため、少量の被覆層であっても充分な耐熱性と耐久性を付与できる。また、個々のトナーに含まれる被覆層の量にもばらつきは生じにくく、安定した性能が得られる。そのため、非常に低温定着性の良い芯粒子を用いたときでも、その低温定着性を充分に活かしながら耐熱性と耐久性に優れたトナーを得ることができる。そこで本発明者らは、上記したようなコアシェル構造の優れた特徴を最大限に発揮させるために鋭意検討を重ね、その結果、トナー粒子の製造において、芯粒子を懸濁重合で形成させ、その重合の途中において樹脂微粒子を添加し、芯粒子表面を樹脂微粒子で被覆することで達成可能であることを見出した。
本発明では、芯粒子の重合途中に樹脂微粒子を添加し、芯粒子表面に樹脂微粒子を付着させることで、芯粒子と被覆層の明確な層分離を保ちながら芯粒子と被覆層を強固に密着させることを同時に達成することができる。すなわち、芯粒子の重合途中であれば、芯粒子と樹脂微粒子の界面において、芯粒子内に存在する重合性単量体に樹脂微粒子がわずかに溶解するため、非常に強固に密着する。さらに、芯粒子の重合が進行することによって重合性単量体の量は速やかに減少するため、樹脂微粒子は過度に重合性単量体に溶解せず、芯粒子と樹脂微粒子の界面付近を越える相溶は起こらない。結果として、加熱処理により芯粒子と樹脂微粒子を付着させようとした場合よりも明確に層分離した状態を保持させることが可能となる。
また、本発明において、構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)が充分に小さい樹脂微粒子を、芯粒子の重合後半に添加することで、芯粒子の低温定着性をより充分に活かしたトナーを得ることができる。尚、樹脂微粒子を構成する樹脂のMwは、単に樹脂微粒子のMwとも記載する。すなわち、本発明において被覆層を形成する樹脂微粒子自体のMwが低いことで、定着時における被覆層の溶融が非常に速やかに行われ、芯粒子の低温定着性を最大限に引き出すことが可能である。また、上記したような樹脂微粒子を重合の後半に添加する事で、樹脂微粒子が重合性単量体に過度に溶解しないため、少量の被覆層であっても明確な層分離を保ちつつ、かつトナー粒子同士の凝集が起こらず非常に安定して製造が可能となる。
以上のように、非常に優れた低温定着性を有するカプセル構造のトナーを得るためには、溶融特性に優れた、すなわちシャープメルト性に優れた被覆層を有し、かつ芯粒子と被覆層の層分離が明確でありながら充分な密着性を有する事が必須であり、従来の思想では到底なしえるものではなかった。
本発明は、重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中に懸濁させ、該水系媒体中に樹脂微粒子を混合させることで達成される。ここで、水系媒体中に樹脂微粒子を添加するときの重合性単量体、即ち芯粒子の重合転化率は50.0%以上である。芯粒子の重合転化率が50.0%以上となった時点で水系媒体中に樹脂微粒子を添加することで、芯粒子と樹脂微粒子の密着性が十分となり、かつ過度に相溶せず明確な層分離状態を保った被覆層を有するトナー粒子を安定して形成することが可能となる。一方、芯粒子の重合転化率が50.0%よりも低い状態で水系媒体中に樹脂微粒子を添加した場合には、上記したような原因により樹脂微粒子の溶解が過度に進行し、結果として充分な被覆層を形成できないばかりではなく、トナー粒子の製造安定性が悪化し、場合によっては著しい合一が生じる恐れもある。本発明においては、2種以上の重合性単量体を用いてもよく、2種以上の重合性単量体を用いたときの重合転化率は、各々の重合転化率の平均値を重合転化率として扱う。尚、該重合転化率は60.0%以上99.7%以下である事が好ましく、より好ましい範囲としては70.0%以上99.0%以下である。また、本発明において重合転化率は後述の方法によって測定した時の値である。
上記重合転化率は、使用する重合性単量体、開始剤及びその他添加剤の種類、並びに重合温度並びに重合時間によって決まるため、経験的に所望の重合転化率となる重合時間を決定し、樹脂微粒子を添加することで制御可能である。例えば重合時間を長くすることで重合転化率は上昇し、重合温度を高くすることで重合転化率は上昇する。
この現象は樹脂微粒子のMwによっても左右され、Mwが小さい樹脂微粒子ほど上記したような芯粒子と樹脂微粒子界面における相溶現象が進行しやすくなる。また、被覆層が充分な溶融特性を有するためには樹脂微粒子のMwが充分に低い必要がある。よって、本発明における樹脂微粒子のMwは3,000以上100,000以下である。上記範囲にあることで、トナー粒子製造時におけるトナー粒子同士の著しい合一や凝集を引き起こさずに、耐熱性に優れ、かつ芯粒子の低温定着性を最大限に活かしたトナーを得ることが可能である。該Mwが3,000よりも小さい場合には、被覆層に用いる樹脂自体の軟化点が低くなりすぎるため充分な耐熱性や耐久性、製造安定性が得られず、100,000よりも大きい場合には、芯粒子の低温定着性を充分に活かす事ができない。尚、該Mwは3,000以上80,000以下であることが好ましく、3,000以上50,000以下であることがより好ましい。
上記樹脂微粒子のMwは、樹脂微粒子を構成する樹脂を製造する際の種々の条件によって制御可能であり、具体的には構成単量体の種類、合成温度、合成時間が挙げられる。
本発明で得られるトナーの低温定着性能は、芯粒子が非常に優れた低温定着性を有し、かつ本発明によって得られる被覆層が該芯粒子の低温定着性を最大限に活かしつつ優れた耐熱性を付与することによって達成される。よって本発明で得られるトナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量3,000以上20,000以下の成分(低分子量成分)を40質量%以上80質量%以下含有する事が好ましい。トナーにおける低分子量成分の含有率が40質量%以上であることは、芯粒子自体が低温定着性に優れるものである事を意味し、同時に本発明においては芯粒子と被覆層の密着性が充分なものとなる。また、トナーにおける低分子量成分の含有率が80質量%以下である事で、芯粒子と被覆層の層分離がより明確なものとなり、芯粒子の低温定着性を最大限に活かしつつ、製造安定性や耐熱性、耐久性に優れたものを得る事ができる。トナーにおける低分子量成分の含有率は、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明のトナーは、上記分子量分布において、2,000以上60,000以下に極大値(Mp)を有する事が好ましい。上記範囲にMpを有する事で、トナーのシャープメルト化と溶融時の粘性保持とのバランスが良好となり、低温定着性、耐オフセット性がより優れたものとなる。尚、耐オフセット性とは、加熱ローラーやフィルム表面上に付着したトナーによって、次の定着シートを汚す現象であるオフセットを防止できる性能を意味する。
本発明において、トナーの分子量分布は、芯粒子と被覆層、さらに本発明に用いることのできる外添剤を含んだトナーについて測定するものである。しかし、本発明のトナーによれば、被覆層は少量でも十分効果的であり、かつ外添剤の使用量もトナーの分子量分布に影響を与えるほどの量ではない事から、該分子量分布は実質、前記芯粒子の分子量分布となる。よって、該トナーの低分子量成分の含有量やMpが上記した範囲にあることは、芯粒子が上記したような優れた定着性能を有する事も意味する。
該低分子量成分の含有率やMpは、主に芯粒子の製造条件と樹脂微粒子の製造条件で決定するが、特に芯粒子の製造における種々の条件で制御する事が好ましい。具体的には芯
粒子に用いる重合性単量体、架橋剤、連鎖移動剤、開始剤、また芯粒子製造時の重合温度によって制御可能である。
本発明において、樹脂微粒子は、体積基準のメジアン径(D50)が10nm以上1,000nm以下であることが好ましい。10nm以上である事で、被覆層形成時に樹脂微粒子が重合性単量体に対して溶解する比率を充分に少なくする事ができるため、芯粒子と被覆層のより明確な層分離が達成可能である。また、1,000nm以下であることで、被覆層をより均一に形成する事が可能であり、また、被覆層の厚さも抑えられることから、優れた低音定着性と耐熱性の両立が可能となる。さらに、水系媒体中における樹脂微粒子同士の合一も抑えられるため、製造安定性がより一層向上する。樹脂微粒子における体積基準のメジアン径(D50)は、10nm以上300nm以下であることがより好ましい。
また、樹脂微粒子の体積分布における累積粒子数が10%となる粒子径(D10)に対する樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(D50)の比(D50/D10)が1.0以上3.0以下にあることが好ましい。さらに、樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(D50)に対する、樹脂微粒子の体積分布における累積粒子数が90%となる粒子径(D90)の比(D90/D50)が1.0以上3.0以下であることが好ましい。これらの範囲にあることは樹脂微粒子の粒度分布が均一である事を意味し、その結果、形成される被覆層のトナー間のばらつきが少なく、安定した性能を得る事ができる。
樹脂微粒子のD50、D10及びD90は、樹脂微粒子を構成する樹脂の物性や、樹脂微粒子の製造条件によって制御可能である。製造条件としては種々の製造法が考えられるため具体的には挙げられないが、物性としては、樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価、官能基の種類、分子量で制御する事が可能である。
本発明において、樹脂微粒子を構成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上120℃以下であることがより好ましい。50℃以上である事で、被覆層形成時におけるトナー粒子同士の合一を抑える事が容易になり、より製造安定性が向上する。また、120℃以下である事で、芯粒子と樹脂微粒子の密着性をより高める事が可能であり、トナーとしての耐久性がより優れたものとなる。樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度Tgは、60℃以上90℃以下であることがより好ましい。樹脂微粒子を構成する樹脂のTgは、主に樹脂に用いられる単量体の種類、比率によって制御する事が可能である。
樹脂微粒子を構成する樹脂の材質としては、トナーの結着樹脂として使用し得るものであればよく、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が用いられる。中でもポリエステル樹脂は、シャープメルト性や芯粒子に用いられる重合性単量体への溶解性の観点から好ましいと考えられる。また、上記した樹脂を複数併用したものや、ハイブリッド化させたものも用いる事ができる。さらに、樹脂の一部が変性されたものでも良い。
また、樹脂微粒子を構成する樹脂には、樹脂微粒子の水分散安定性や、トナーの帯電性の観点から、親水性官能基を含有させるのが好ましい。該親水性官能基としては、所望のトナー極性によって適宜選択すればよいが、本発明においては、トナーの製造安定性の観点からカルボキシル基及び/またはスルホン酸基が好ましい。より好ましくは水分散安定性、帯電性に効果的であるスルホン酸基である。このときの酸価は、樹脂微粒子の分散安定性や、トナーの帯電安定性の観点から4mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。4mgKOH/g以上である事で、トナーの製造安定性がより向上する。また、30mgKOH/g以下である事で、特に高湿環境下におけるトナーの帯電量変化が抑えられ、優れた帯電特性を得る事ができる。
上記した樹脂微粒子を構成する樹脂に含有される親水性官能基の種類や酸価は、樹脂微粒子を構成する樹脂に、親水性官能基を含有する単量体や、その他の構成材料を使用する事で制御する事が可能である。
また本発明において、該樹脂微粒子は如何なる方法で製造されたものであってもよく、乳化重合法やソープフリー乳化重合法、転相乳化法の如き公知の方法によって製造されたものを用いることができる。これらの製法の中でも、転相乳化法は、乳化剤や分散安定剤を必要とせず、より小粒径の樹脂微粒子が容易に得られるため、特に好適である。
転相乳化法では、自己分散性を有する樹脂、あるいは中和によって自己分散性を発現し得る樹脂を使用する。ここで、自己水分散性を有する樹脂とは、水系媒体中で自己分散が可能な官能基を分子内に含有する樹脂であって、具体的にはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、もしくはこれらの塩を含有する樹脂である。また、中和によって自己分散性が発現し得る樹脂とは、中和によって親水性が増大し、水系媒体中での自己分散が可能となり得る官能基を、分子内に含有する樹脂である。
これらの樹脂を有機溶剤に溶解し、必要に応じて中和剤を加え、攪拌しながら水系媒体と混合すると、上記樹脂の溶解液が転相乳化を起こして微小な粒子を生成する。該有機溶剤は、転相乳化後に加熱、減圧の如き方法を用いて除去する。このように、転相乳化法によれば、実質的に乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した樹脂微粒子の水系分散体を得ることが出来る。
本発明において、トナー粒子の芯粒子を作成する際には分散安定剤を用いる。本発明に用いることができる分散安定剤については後述するが、分散安定剤は難水溶性無機塩であり、かつ上記トナー粒子中の含有量が1.0質量%以下である事が好ましい。分散安定剤として難水溶性無機塩を用いる事で、洗浄処理が容易になり、トナー粒子に残存する難水溶性無機塩の量を極めて少なくする事が可能である。また、トナー粒子中の難水溶性無機塩の含有量が1.0質量%以下である事で、該難水溶性無機塩のトナー性能への影響を抑える事が可能であり、より優れた帯電安定性、低温定着性を有するトナーを得ることが可能となる。難水溶性無機塩の含有量は難水溶性無機塩が溶解性を示すpH条件でトナー粒子を充分に洗浄することで制御する事が可能である。
また、本発明においては該難水溶性無機塩の存在下で樹脂微粒子を添加し、被覆層を形成する事が好ましい。難水溶性無機塩が存在する事で、トナー粒子製造時の分散安定性が向上し、製造安定性が良好になる。また、樹脂微粒子が芯粒子に対して埋没するのを防ぐ効果もあり、より優れた耐熱保存性を得る事が可能となる。尚、本発明において特に好ましい難水溶性無機塩としては、リン酸三カルシウムが挙げられ、リン酸三カルシウムを用いたときにはpHを3.0よりアルカリ性側に保つことで、リン酸三カルシウムの存在下で被覆層を形成することが可能となる。上記pHの調整は任意の方法で行うことができるが、例えば塩酸を加えることでpHを3.0よりアルカリ性側に調整することができる。
本発明のトナーは、重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上8.0μm以下であり、個数平均粒子径(D1)に対する重量平均粒子径(D4)の比(D4/D1)が1.30以下である事が好ましい。上記範囲にあることで、トナーとしての性能と優れた電子写真特性を得る事ができる。D4が3.0μm未満であると、電子写真システムにおける種々の特性が低下し、結果として感光ドラムのクリーニング不良やトナーの転写不良が生じる場合がある。D4が8.0μmを越える場合、特に低温定着を目指した軟らかいトナーにおいて耐久性が低下する場合がある。さらに、D4の大きな粒子の中には、樹脂微粒子単独の凝集塊やトナー同士の合一粒子が含まれている場合があり、低温定着性や種々の電子
写真特性が低下する場合がある。また、(D4/D1)が1.30を越える場合には、個々のトナーに含有される被覆層の量のばらつきが大きくなる場合があり、トナーの耐久性が低下する場合がある。尚、該(D4/D1)は粒子径の分布の程度を示す指標であり、完全に単分散である場合には1.00を示す。該(D4/D1)が1.00よりも大きいほど、粒子径の分布が広い事を示す。
また、本発明のトナーは、トナーの個数分布における2.0μm以下の粒子の含有量が15個数%以下であることが好ましい。該粒子の含有量が15個数%を超える場合、現像器内において該粒子が帯電部材等に蓄積されて現像安定性が低下しやすくなる。本発明においては、芯粒子と樹脂微粒子の密着性が充分でない場合や、樹脂微粒子同士の凝集が生じてしまった場合において、該樹脂微粒子及び樹脂微粒子同士の凝集塊が2.0μm以下の粒子として検出されやすく、部材汚染の如き問題も生じやすくなる場合がある。親水性基を含有する樹脂微粒子の凝集塊が多数存在する場合、高湿環境下において帯電量の著しい低下が見られる場合もある。
また、本発明のトナーは、トナーの平均円形度が0.945以上0.995以下の範囲にあることが好ましい。より好ましくは0.960以上0.990以下である。該平均円形度が0.945未満であると、現像器内においてトナーの凹部や凸部からトナーが割れやすくなり、割れたトナーが帯電部材等に堆積されて現像安定性能が低下しやすくなる。本発明においては、トナー粒子表面における前記樹脂微粒子の付着状態が均一でないとトナーの平均円形度が小さい値となりやすく、該樹脂微粒子が現像器内で剥がれ落ちてしまう場合がある。前記平均円形度が0.995より大きいと、トナーが過密に充填されやすく、低温定着性能の向上を目指した場合には、現像安定性が低下する場合がある。また、感光ドラムのクリーニングにおいて、形状が球形過ぎるため、クリーニングブレードをすり抜けるなど、クリーニング不良の画像弊害が現れることがある。
上述したトナーのD4、D4/D1、個数分布における2.0μm以下の粒子の含有量、平均円形度は、前記芯粒子に用いる重合性単量体の種類と量の如き材料や、芯粒子を製造する際の温度や分散安定剤の量の如き製造条件によって制御可能である。さらに本発明においては、樹脂微粒子の物性や、樹脂微粒子添加後の重合温度によっても制御可能であるが、種々のトナー性能への影響を考慮すると、芯粒子の製造条件によって制御する事が好ましい。
次に、本発明におけるトナーの具体的な製法及び用いる事ができる材料を説明する。
まず、トナー粒子の主構成材料となる重合性単量体に、少なくとも着色剤と離型剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また荷電制御剤や可塑剤、さらに他の添加剤(例えば、顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加えることが出来る。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた分散安定剤を分散させた水系媒体中に投入し、高速攪拌機もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよいが、重合転化率を把握するためには、懸濁させる直前に混合することが好ましい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることも出来るが、添加する際には重合転化率の把握が必要である。造粒後の懸濁液を温度50℃以上100℃以下に加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒
子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら重合反応を行う。その後、経験的に導き出される所望の重合転化率に達した時間に樹脂微粒子を添加し、さらに重合反応を進め、完結させる事でトナー粒子が形成される。
このとき、樹脂微粒子の添加方法としては特に指定されたものではなく、一度にまとめて添加しても良いが、重合転化率が大幅に異ならない範囲であれば、徐々に添加する事も好適である。尚、形成される被覆層は、芯粒子と該樹脂微粒子の界面が一部なくなっている状態であれば、該樹脂微粒子の形状が残った状態でも、滑らかになめされた状態であっても充分な強度と耐熱保存性が得られる。
本発明のトナー粒子は、該芯粒子と該樹脂微粒子の界面が一部なくなっており、かつ表面には樹脂微粒子に起因する凹凸が確認される事が好ましい。凹凸が残っている事により、トナー同士の接触面積が減少し、結果としてより優れた耐熱保存性を得る事が可能となる。表面の凹凸度合いはトナー粒子のBET比表面積測定により評価可能である。本発明において、トナー粒子のBET比表面積は1.5m/g以上3.5m/g以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、芯粒子と樹脂微粒子の密着性が充分でありながら、トナー同士の接触面積を有効に減らす事が可能となる。
尚、BET比表面積はトナー粒子の粒子径と真密度によっても変化する。そのため、トナー粒子の表面の凹凸度合いをBET比表面積で評価するには、トナー粒子の重量平均粒子径(D4)と真密度の影響を排除するように計算する必要がある。トナー粒子が、重量平均粒子径(D4)が6.0μmであり、真密度が1.00g/cmの真球である場合に計算によって求められる表面積が1.00m/gである。よって、本発明においては、測定によって得られたBET比表面積をS、トナー粒子の重量平均粒子径(D4)をD、トナー粒子の真密度をρとしたとき、下記式(1)によって求められるSをBET比表面積として扱う。
式(1) S=(1/ρ)×S/(6.0/D)
前記重合性単量体としては以下の化合物が使用できる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下の化合物が挙げられる。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。本発明において、重合性単量体組成物中における重合性単量体の含有量は40乃至80質量%であることが好ましく、より好ましくは60乃至80質量%である。
本発明のトナーは、離型剤としての1種又は2種以上のワックスを含有している。本発明に用いることのできるワックスとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸類とステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等のアルコール類のエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において、トナーに含有されるワックスは一部がトナー製造時に結着樹脂と相溶され、可塑剤(定着助剤)として作用する。また、相溶しない成分は離型剤として作用する。さらに、結晶状態でトナーに含有されるワックスの一部を、定着工程において、さらに結着樹脂と相溶させ、可塑剤として用いる事が好ましく、上記作用が得られる樹脂であれば、ワックスに限らず定着助剤として用いる事ができる。
また、本発明に用いられるワックスとして、分子鎖が短く、且つ、立体障害が少なくモビリティに優れるパラフィンワックス、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素ワックスが好適である。該脂肪族炭化水素ワックスは、トナー製造時に結着樹脂に相溶する成分が少なく、芯粒子表面に存在する量が少なくなる。結果として、該芯粒子と前記樹脂微粒子との界面に存在するワックスが少なくなり、該芯粒子と該樹脂微粒子の密着性はより向上する。本発明において、ワックスの含有量は重合性単量体100質量部に対し3乃至100質量部であることが好ましく、より好ましくは5乃至50質量部である。
本発明のトナーに用いられる重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知の過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤として、以下のものが挙げられる。t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンの如きパーオキシエステル系重合開始剤;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ペンチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、 ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネ
ート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートの如きパーオキシジカーボネート系重合開始剤;ジイソブチリルパーオキサイド、ジイソノナノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−トルオイルパーオキサイドの如きジアシルパーオキサイド系重合開始剤;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートの如きパーオキシモノカーボネート系重合開始剤;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンの如きパーオキシケタール系重合開始剤;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドの如きジアルキルパーオキサイド系重合開始剤。
アゾ系重合開始剤として、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル。
これらの重合開始剤の中でも、過酸化物系重合開始剤は分解物の残留が少ないため好適である。また、これら重合開始剤は、必要に応じて2種以上同時に用いることもできる。この際、使用される重合開始剤の好ましい使用量は、重合性単量体100質量部に対し0.1質量部以上20.0質量部以下である。
本発明のトナーは、荷電制御剤を使用しても良い。トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、或いは、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂は好ましく用いることができる。
トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、以下に示す荷電制御剤を用いることができる。トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩。これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
上記荷電制御剤は、トナー粒子中の重合性単量体100質量部当り、0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下となるように含有させるのが、トナーの低温定着性の点で良い。また、上記荷電制御剤は芯粒子と被覆層どちらに含有されていてもよく、両方に含有されていてもよい。
また、上記した懸濁重合法によるトナー粒子の製造においては、耐高温オフセット性の改善を目的として、少量の多官能性単量体を併用することができる。尚、高温オフセットとは、定着時において溶融したトナーの一部が上述した熱ローラーや定着フィルムの表面に付着し、これが後続の被定着シートを汚染する現象をいう。多官能性単量体としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物。
これらの多官能性単量体は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.01質量部以上1.00質量部以下である。
また、上記した懸濁重合法によるトナー粒子の製造においては、分子量の調整を目的と
して、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては以下のものが挙げられる。n−ペンチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタン、2−メチルブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、n−ペンタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類;チオグリコール酸のアルキルエステル類;メルカプトプロピオン酸のアルキルエステル類;α−メチルスチレンダイマー。
これらの連鎖移動剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.05質量部以上3.00質量部以下である。
また、本発明においては、上述した重合性単量体組成物中に樹脂を添加して重合を行ってもよい。例えば、ポリエステル樹脂はエステル結合を数多く含む、比較的極性の高い樹脂である。このポリエステル樹脂を重合性単量体組成物中に溶解させて重合を行った場合、水系媒体中では樹脂が液滴の表面層に移行する傾向を示し、重合の進行とともに粒子の表面部に偏在しやすくなるため、造粒性が向上する。
また、前記樹脂微粒子の主成分がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂以外の樹脂を重合性単量体組成物に添加すると、樹脂微粒子の芯粒子への埋没が抑制されるので効果的である。前記樹脂微粒子の主成分がスチレンアクリル樹脂である場合、スチレンアクリル樹脂以外の樹脂を重合性単量体組成物に添加することで、同様の効果が得られる。
ここで、該ポリエステル樹脂としては、公知の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を公知の方法で重縮合させたものを使用する事ができる。また、該重合性単量体に添加する樹脂としても、該樹脂微粒子を構成する樹脂としても使用する事ができる。
ポリエステル樹脂を生成するための2価のアルコールとして、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、または下記一般式(II)で表されるビスフェノール誘導体、また、下記式(III)で示されるジオール。
Figure 0005455476
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、xおよびyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2以上10以下である。)
Figure 0005455476
(式中、R’は−CHCH−、−CHCH(CH)−、または−CH−C(CH−である。)
ポリエステル樹脂を生成するための3価以上のアルコールとして、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
ポリエステル樹脂を生成するための2価のカルボン酸として、以下のものが挙げられる。ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きジカルボン酸;無水フタル酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸無水物;テレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの如きジカルボン酸の低級アルキルエステル。
また、3価以上のカルボン酸を用いることにより、架橋させてもよい。3価以上のカルボン酸として、以下のものが挙げられる。トリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル、およびトリカルボン酸の低級アルキルエステル。
また、ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に、1価のカルボン酸成分や1価のアルコ−ル成分を用いてもよい。1価のカルボン酸成分として、以下のものが挙げられる。安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸。
1価のアルコ−ル成分として、以下のものが挙げられる。n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール。
本発明のトナーは、着色剤を含有している。黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー用の着色剤として、例えば、以下に示す着色剤を用いる事ができる。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、以下の顔料が好適に用いられる。
C.I.ピグメントイエロー3,7,10,12,13,14,15,17,23,2
4,60,62,73,74,75,83,93〜95,99,100,101,104,108,109,110,111,117,120,123,128,129,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199、214。
染料系としては、例えば、C.l.ソルベントイエロー33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.ディスパースイエロー42,64,201,211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、以下の着色剤が挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,122,144,146,150,166,169,177,184,185,202,206,220,221,238,254,269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は単独または混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。黒色着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して40質量部以上150質量部以下であることが好ましい。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。また、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択され、その好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である。
これらの着色剤は、重合阻害性や水相移行性にも注意を払う必要があり、必要に応じて、疎水化処理の如き表面改質を施すことが好ましい。例えば、染料系の着色剤を表面処理する好ましい方法としては、予め染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加する。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他に、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
さらに本発明のトナー粒子は磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、該磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属が挙げられる。或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及びその混合物が挙げられる
これらの磁性体は個数平均粒子径が2.0μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下であることが、トナーの低温定着性能及び耐久安定性能の点で好ましい。トナー中に含有させる量としては重合性単量体100質量部に対し20質量部以上200質量部以下、特に好ましくは40質量部以上150質量部以下となるように含有させるのが良い
また、磁性粉体は一般に親水性を有しているため、分散媒としての水との相互作用によって磁性粉体が粒子表面に偏在しやすい。そのため、前記樹脂微粒子による被覆層の形成に影響を及ぼす場合があり、結果として得られるトナー粒子は流動性および摩擦帯電の均一性に劣る可能性がある。したがって、磁性粉体はカップリング剤によって表面を均一に疎水化処理することが好ましい。使用できるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられ、特にシランカップリング剤が好適に用いられる。
本発明において、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。その中でも、無機分散剤は反応温度を変化させても安定性が崩れ難くいため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛の如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。この中でも前述のとおり、水難溶性の無機塩を用いることが好ましい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下を単独で又は2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い
これらの無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤を生成させることが好ましい。具体的には例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、難水溶性のリン酸三カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
本発明においては、重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中に懸濁させる。この際に用いる水系媒体は水であるが、必要に応じて少量のエタノール、メタノールの如き水系有機溶媒を添加しても良い。
そして、本発明のトナーには、トナー粒子に流動性向上剤が外部添加されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
さらに、本発明のトナーは、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤をトナー粒子に混合されていてもよい。上記の如き外部添加剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下使用するのが好ましい。
本発明のトナーは、そのまま一成分系現像剤として使用することができ、あるいは磁性
キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリアの平均粒径は、10μm以上100μm以下であることが好ましく、現像剤中のトナー濃度は、2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
以下に、本発明で用いる測定方法について列挙する。
(重合転化率)
重合性単量体の重合転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
重合途中の重合性単量体組成物約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した約10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予め使用した重合性単量体を用いて作成した検量線により、残留している重合性単量体の残存量を算出する。得られた残存量と使用した重合性単量体の総量の比、
100×(残存量)/(使用した重合性単量体の総量)
を、その重合性単量体の重合転化率(%)とする。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC : HP社 6890GC
カラム : HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス : He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン : (1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口 : 200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.
5分)
スプリット比 : 5.0:1.0
検出器 : 250℃(FID)
(樹脂及びトナーの分子量分布、重量平均分子量)
樹脂及びトナーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂及びトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−25
00、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
前述した、トナーの低分子量成分は、上記測定によって得られた分子量分布から求めることが出来る。分子量分布の全面積に対する、分子量3,000乃至20,000の成分にあたる面積の比率をトナーの低分子量成分とした。
(樹脂微粒子の体積基準のD50、D10、D90)
樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(D50)と、体積分布における累積粒子数が10%となる粒子径(D10)、体積分布における累積粒子数が90%となる粒子径(D90)は、レーザー回折/散乱式粒径分布測定装置を用いて測定した。具体的にはJIS Z8825−1(2001年)に準じて測定される。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、相対屈折率を1.20に設定する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに合成例で作製した樹脂微粒子分散液を約3ml入れる。さらに約57mlのイオン交換水を入れて樹脂微粒子分散液を希釈する。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)60秒間超音波分散処理を継続する。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した樹脂微粒子分散液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、D50、D10及びD90を算出する。
(樹脂及びトナーのガラス転移温度)
樹脂微粒子を構成する樹脂及びトナーのガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置
「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂又はトナー約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃の間で、昇温速度1℃/minで測定を行う。この昇温過程で、温度20℃から140℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後の、ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂又はトナーのガラス転移温度Tgとする。
(樹脂の酸価)
酸価は、樹脂1gに含まれるカルボキシル基およびスルホン酸基を中和するのに必要な水酸化カリウムの量で表され、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
(トナー及びトナー粒子に含有される難水溶性無機塩の量)
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー及びトナーから無機
微粉体を除いたトナー粒子約4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
測定後、定量用ソフト「Uni Quant 5」(PANalytical社製)を用い、使用した難水溶性無機塩に含有される元素が、トナー及びトナー粒子に含有されている量を定量する。アプリケーションを酸化物、場合分けをバランス濃度、バランス成分を1%のCHとして、予め測定しておいたペレットの直径、重量、厚さを元に計算する。
(トナーの粒度分布)
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内における電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(トナーの2.0μm以下の粒子の含有量および平均円形度)
トナーの2.0μm以下の粒子の含有量および平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の2.0μm以下の粒子の含有量および平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scien
tific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
(トナー粒子のBET比表面積S
トナー粒子のBET比表面積Sの測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行う。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定
条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積Sとする。
尚、BET比表面積Sは以下のようにして算出する。
まず、トナー粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とトナー粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナー粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、トナー粒子のBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gのトナー粒子を入れる。
トナー粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置
バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、トナー粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からトナー粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のトナー粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、トナー粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行う。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積
の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナー粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにトナーのBET比表面積を算出する。
(トナー粒子の真密度)
乾式自動密度計「Accupyc 1330」(島津製作所社製)を用いて行う。この際、10cmの試料容器を用い、試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自動測定する。測定は5回行い、その平均値を求め、真密度とする。
(摩擦帯電量)
底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとするトナーを有する現像剤を約0.5g入れ、金属製のフタ4をする。このとき測定容器2全体の質量を量りW1(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を量りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(μC/g)は下記式の如く計算される。
摩擦帯電量(μC/g) = (C×V)/(W1−W2)
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例中で使用する部は全て質量部を示す。
<合成例1:樹脂微粒子分散液(a)>
(ポリエステル樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03質量部を添加し、窒素雰囲気下、温度220℃に昇温して、撹拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 : 43.0質量部
エチレングリコール : 9.0質量部
テレフタル酸 : 25.0質量部
イソフタル酸 : 15.0質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 8.0質量部
次いで、反応容器内を5乃至20mmHgの減圧条件下で、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステ
ル樹脂100.0質量部、メチルエチルケトン90.0質量部、トリエチルアミン2.0質量部を仕込み、温度80℃に加熱して溶解した。次いで、撹拌下、温度80℃のイオン交換水300.0質量部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(a)とした。
<合成例2:樹脂微粒子分散液(b)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更し、反応時間を合計5時間に変更した以外は、合成例1と同様にして反応を行い、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂の水分散体を得た。また、得られたポリエステル樹脂の水分散体を樹脂微粒子分散液(b)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 : 42.0質量部
エチレングリコール : 9.0質量部
テレフタル酸 : 25.0質量部
イソフタル酸 : 15.0質量部
安息香酸 : 1.0質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 8.0質量部
<合成例3:樹脂微粒子分散液(c)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更し、反応時間を合計12時間に変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂の水分散体を得た。また、得られたポリエステル樹脂の水分散体を樹脂微粒子分散液(c)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 : 43.0質量部
エチレングリコール : 9.0質量部
テレフタル酸 : 25.0質量部
イソフタル酸 : 12.0質量部
トリメリット酸 : 3.0質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 8.0質量部
<合成例9:樹脂微粒子分散液(i)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更し、反応時間を合計2時間に変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂の水分散体を得た。また、得られたポリエステル樹脂の水分散体を樹脂微粒子分散液(i)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 : 40.0質量部
エチレングリコール : 10.0質量部
テレフタル酸 : 27.0質量部
イソフタル酸 : 20.0質量部
トリメリット酸 : 3.0質量部
合成例1乃至3、及び9に用いた単量体の仕込み量と、反応条件をまとめて表1に示す。
Figure 0005455476
<合成例4:樹脂微粒子分散液(d)>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、イオン交換水350.0質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部を仕込み、窒素雰囲気下、温度95℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液8質量部、および2%アスコルビン酸水溶液8質量部を添加した。次いで、下記の単量体混合物と乳化剤水溶液および重合開始剤水溶液を、撹拌しながら5時間かけて滴下した。
(単量体)
スチレン : 83.0質量部
アクリル酸n−ブチル : 7.0質量部
メタクリル酸 : 5.0質量部
スチレンスルホン酸ナトリウム : 5.0質量部
(乳化剤)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム : 0.3質量部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル : 0.01質量部
イオン交換水 : 20.0質量部
(重合開始剤)
2%過酸化水素水溶液 : 40質量部
2%アスコルビン酸水溶液 : 40質量部
滴下後、上記温度を保持しながら、さらに2時間重合反応を行い、冷却してスチレン/アクリル系樹脂の水分散体を得た。また、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(d)とした。
<樹脂微粒子分散液の合成例5乃至8、及び10>
合成例4において、単量体及び乳化剤の仕込み量、分散液の製造条件を表2に示すように変更した以外は、合成例4と同様にして反応を行い、スチレン/アクリル系樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子(e)乃至(h)、及び(j)とした。また、得られた樹脂微粒子分散液(a)乃至(j)について、各分散液に使用した樹脂を一部抜き取り、その重量平均分子量Mw、ガラス転移温度、酸価を前述の方法で測定した。さらに、各分散液の樹脂微粒子の粒度分布を前述の方法で測定した。結果をまとめて表3に示した。
Figure 0005455476
Figure 0005455476
(非晶性ポリエステルの製造例)
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、下記原料を入れ、常圧下、260℃で8時間反応させた後、240℃に冷却し、1時間かけて1mmHgに減圧した。さらに3時間反応させて非晶性ポリエステルを得た。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA−PO) : 86.0質量部
・エチレングリコール : 65.0質量部
・テレフタル酸 : 141.0質量部
・トリメリット酸 : 29.0質量部
・テトラブチルチタネート : 0.28質量部
上記非晶性ポリエステルは、重量平均分子量が18,900、数平均分子量が11,200、ガラス転移温度が72℃、酸価が10.6であった。
<実施例1>
(トナー粒子1の作製)
・スチレン : 72.0質量部
・n−ブチルアクリレート : 28.0質量部
・ピグメントブルー15:3 : 6.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 : 1.0質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン : 0.02質量部
・非晶性ポリエステル : 2.4質量部
(上記非晶性ポリエステル、Tg=47.6℃、Mw=8,200、酸価9.2)
・カルナバワックス : 12.0質量部
上記材料からなる単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライター(三井三池化工機製)を用いて2時間分散して、単量体組成物を得た。
高速撹拌装置TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた容器に、イオン交換水800質量部とリン酸三カルシウム3.5質量部を添加し、回転数を12,000回転/分に調整し、70℃に加温して分散媒系とした。
該単量体組成物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4.0質量部を添加し、これを上記分散媒系に投入した。前記高速撹拌装置にて12,000回転/分を維持しつつ3分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で攪拌しながら前記温度を保持して重合を行った。攪拌機変更から3.5時間経過したところで、分散液の一部を抜き取り、重合転化率を測定した。また、同時に該分散液に樹脂微粒子分散液(a)を19.4部(樹脂微粒子固形分にして3.9部)添加し、さらに分散液の温度を70
℃に保持して6.5時間重合を行った。
重合反応終了後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥して、トナー粒子1を得た。
(トナー1の作製)
シリカ微粉体100質量部を、10質量部のヘキサメチルジシラザンで処理し、さらに10質量部のシリコーンオイルで処理して、一次粒径12nm、BET比表面積が120m/gの疎水性シリカ微粉体を調製した。次いで、上記トナー粒子1を分級した後、1
00.0質量部を量り取り、該疎水性シリカ微粉体1.0質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)を用いて混合し、トナー1を得た。
<実施例2乃至11、比較例1乃至4>
実施例1において、架橋剤としてのジビニルベンゼンと重合開始剤の仕込み量、重合条件、樹脂微粒子添加に関わる条件を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子及びトナー2乃至15を得た。尚、重合転化率の測定と、樹脂微粒子の添加は、トナー分散液が表4に示す樹脂微粒子添加後の重合温度に達した後に行った。
Figure 0005455476
<比較例5>
(トナー粒子16の作製)
・スチレン : 72.0質量部
・n−ブチルアクリレート : 28.0質量部
・ピグメントブルー15:3 : 6.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物 : 1.0質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン : 0.02質量部
・非晶性ポリエステル : 2.4質量部
(上記非晶性ポリエステル、Tg=47.6℃、Mw=8,200、酸価9.2)
・カルナバワックス : 12.0質量部
上記材料からなる単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライター(三井三池化工機製)を用いて2時間分散して、単量体組成物を得た。
高速撹拌装置TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた容器に、イオン交換水800質量部とリン酸三カルシウム3.5質量部を添加し、回転数を12,000回転/分に調整し、70℃に加温して分散媒系とした。
該単量体組成物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4.0質量部を添加し、これを上記分散媒系に投入した。前記高速撹拌装置にて12,000回転/分を維持しつつ3分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で攪拌しながら前記温度を保持して10時間重合を行った。
重合反応終了後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、イオン交換水を加えて分散液中の重合体粒子濃度が20%になるように調整し、芯粒子分散液を得た。次いで、得られた芯粒子分散液500.0質量部(固形分100.0質量部)に、合成例6で得られた樹脂微粒子分散液(f)25.0質量部(固形分5.0質量部)を添加した。その後、上記分散液の温度を上げて90℃を保持しながら、5時間攪拌を続けた。
上記分散液を20℃まで冷却した後、イオン交換水で充分洗浄後ろ過し、乾燥および分級してトナー粒子16を得た。
(トナー16の作製)
シリカ微粉体100質量部を、10質量部のヘキサメチルジシラザンで処理し、さらに10質量部のシリコーンオイルで処理して、一次粒径12nm、BET比表面積が120m/gの疎水性シリカ微粉体を調製した。次いで、上記トナー粒子16を分級した後、
100.0質量部を量り取り、該疎水性シリカ微粉体1.0質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)を用いて混合し、トナー16を得た。
また、前述の方法を用いてトナー1乃至16についてトナー粒子及びトナーの物性測定を行った。結果をまとめて表5に示す。
Figure 0005455476
実施例1乃至11および比較例1乃至5で得られた各トナーについて、製造安定性と耐熱保存性を以下の方法に従って評価した。
<製造安定性>
得られた各トナー粒子の粒度分布における、体積平均粒径D4、体積平均粒径D4と個数平均粒径D1との比D4/D1の評価を持って、製造安定性の評価とした。
D4及びD4/D1については以下の判断基準にしたがって評価した。
A:D4が6.0μm未満であり、かつD4/D1が1.20未満である(製造安定性が特に優れている)
B:D4が6.5μm未満であり、かつD4/D1が1.25未満である(製造安定性が良好である)
C:D4が7.0μm未満であり、かつD4/D1が1.30未満である(製造安定性が
問題ないレベルである)
D:D4が7.5μm未満であり、かつD4/D1が1.35未満である(製造安定性がやや劣る)
E:D4が7.5μm以上である及び/または、D4/D1が1.35以上である(製造安定性が劣る)
<耐熱保存性>
トナー5gを容積100mlのポリカップに量り採り、これを内部温度55℃の恒温槽に入れて7日間放置する。その後、ポリカップを取り出して、中のトナーの状態変化を目視にて評価する。判定基準は以下の通りである。
A:変化なし(耐熱保存性が特に優れている)
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる(耐熱保存性が良好である)
C:凝集体がやや多いが、衝撃を与えるとほぐれる(耐熱保存性が問題ないレベルである)
D:凝集体が多く、容易にはほぐれない(耐熱保存性がやや劣る)
E:全くほぐれない(耐熱保存性が劣る)
さらに上記した各トナーと、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性微粒子分散型樹脂キャリアとを、トナー濃度が4.0質量%になるように混合し、二成分現像剤とした。作製した各二成分現像剤を用いて、低温定着性評価、耐久試験による画質及び部材汚染評価、帯電量及び帯電安定性評価をそれぞれ以下の方法に従って行った。
<低温定着性>
まず、二成分現像剤を高温高湿下(30℃/80%RH)で7日間放置した後、常温常湿下(23℃/60%RH)でさらに3日間放置し、初期混合による帯電をリセットする。試験機には、市販のフルカラー複写機(CLC−700,キヤノン製)の改造機を使用し、受像紙(80g/m)上に未定着のトナー画像(単位面積当たりのトナー載り量0.6mg/cm)を形成する。定着試験は、上記複写機から取り外し、定着温度が調節できるように改造した、定着ユニットを用いて行う。具体的な評価方法は、以下の通りである。
常温常湿環境下(23℃,60%RH)にて、プロセススピードを180mm/sに設定し、初期温度を120℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行う。
本発明において、低温定着性は、低温オフセットが観察されず、且つ、得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦したときに、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる温度を低温側定着開始点とした。低温定着性能の評価基準は以下の通りである。
A:低温側開始点が120℃ (低温定着性能が特に優れている)
B:低温側開始点が125℃ (低温定着性能が良好である)
C:低温側開始点が130℃ (低温定着性能が問題ないレベルである)
D:低温側開始点が135℃ (低温定着性能がやや劣る)
E:低温側開始点が140℃ (低温定着性能が劣る)
<耐久性>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5900SE,キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これに作製したトナーを150g充填した。該カートリッジをプリンターのシアンステーションに装着し、常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m)を用いて、印字率2%チャートを5,000枚連続して画出しし、得られた画質について、下記の評価基準に従
って評価した。
A:画像不良が発生せず、画質が特に優れている (耐久性が特に優れている)
B:画像不良が発生せず、画質が優れている (耐久性が優れている)
C:画像不良が発生せず、画質が良好である (耐久性が良好である)
D:画像不良が発生しないが、画質がCよりも劣る (耐久性がCよりも劣る)
E:画像不良が発生、或いは、画質がDよりも劣る (耐久性がDよりも劣る)
また、5,000枚の画出しの後にトナー担持体を取り外し、エアーガンでトナーを吹き飛ばした後に表面の汚染状態を顕微鏡により観察し、以下の基準で判定を行った。
A:特に汚染は見られない
B:付着物は非常に少ない
C:若干の付着物が見られる
D:多数の付着物が見られる
E:トナーの融着が見られる
<トナーの摩擦帯電性評価>
それぞれの二成分現像剤50gを量り採り、高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下(23℃/50%)でさらに3日間放置し初期混合による摩擦帯電をリセットした。それらをカラー複写機CLC5500改造機(キヤノン製)にて画出し評価を行った。各トナーは現像機ユニットに仕込み、予備回転なしに画像面積比率25%のA4画像出力を行う。次に上記現像機を、予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚出力し、下記手順により白地部のかぶり評価を行い、トナー摩擦帯電性の評価とした。
(白地部かぶり評価)
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
A:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が特に優れている)
B:11〜15枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が優れている)
C:16〜20枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が良好である)
D:21〜30枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性がやや劣る)
E:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上(摩擦帯電性が劣る)
<トナーの摩擦帯電性の環境安定性評価>
まず、現像剤50gを量り採り、常温低湿環境(23℃/5%)の環境下で1昼夜放置し、その後それぞれを50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせる。次いで、上記した方法を用いて摩擦帯電量を測定し、得られた摩擦帯電量を摩擦帯電量L(μC/g)とした。
また、現像剤50gを量り採り、高温高湿環境(30℃/80%)の環境下で1昼夜放置し、その後それぞれを50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、前述の方法で測定した摩擦帯電量を摩擦帯電量H(μC/g)とした。得られた摩擦帯電量L(μC/g)と摩擦帯電量H(μC/g)から、
摩擦帯電量の保持率(%)=100×摩擦帯電量H(μC/g)/摩擦帯電量L(μC/g)
として高湿環境下における摩擦帯電量の保持率(%)を計算し、以下の基準で摩擦帯電性の環境安定性評価を行った。
A:摩擦帯電量の保持率(%)が70%以上
B:摩擦帯電量の保持率(%)が60%以上70%未満
C:摩擦帯電量の保持率(%)が50%以上60%未満
D:摩擦帯電量の保持率(%)が40%以上50%未満
E:摩擦帯電量の保持率(%)が40%未満
以上の評価結果を表6に示した。
Figure 0005455476
以上の結果から、懸濁重合トナーにおいて、本発明に関わる被覆層の形成方法によれば、芯粒子と被覆層の層分離が明確であり、かつ芯粒子と被覆層の密着性に優れたカプセル構造を有するトナーを安定して得ることが可能であった。
一方、比較例において、芯粒子の重合転化率が低い状態で樹脂微粒子を添加した場合には、製造安定性が著しく劣ってしまった。また、樹脂微粒子を構成する樹脂の重量平均分子量が本発明における範囲にない場合には、低温定着性と耐熱保存性の両立が不可能であった。
1 吸引機
2 測定容器
3 スクリーン
4 フタ
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサー
9 電位計

Claims (16)

  1. 重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中に懸濁させ、前記水系媒体中における前記重合性単量体の重合転化率が50.0%以上99.8%以下になった時点で樹脂微粒子と混合させ、次いで、前記重合性単量体を重合させて得られるトナー粒子を有するトナーであって、
    前記樹脂微粒子を構成する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3,000以上100,000以下であり、
    前記トナー粒子は、前記樹脂微粒子を構成する樹脂で被覆されていることを特徴とするトナー。
  2. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が55.0%以上になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項1に記載のトナー。
  3. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が99.7%以下になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が60.0%以上99.7%以下になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量3,000以上20,000以下の成分を40質量%以上80質量%以下含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記樹脂微粒子は、体積基準のメジアン径(D50)が10nm以上1,000nm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記樹脂微粒子を構成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上120℃以下
    である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記分散安定剤は難水溶性無機塩であり、かつ前記トナー粒子中の含有量が1.0質量%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中に懸濁させ、前記水系媒体中における前記重合性単量体の重合転化率が50.0%以上99.8%以下になった時点で樹脂微粒子と混合させ、次いで、前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る工程を含むトナーの製造方法であって、
    前記樹脂微粒子を構成する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3,000以上100,000以下であり、
    前記トナー粒子は、前記樹脂微粒子を構成する樹脂で被覆されていることを特徴とするトナーの製造方法。
  10. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が55.0%以上になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項9に記載のトナーの製造方法。
  11. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が99.7%以下になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項9または10に記載のトナーの製造方法。
  12. 前記水系媒体中における前記重合性単量体の前記重合転化率が60.0%以上99.7%以下になった時点で前記樹脂微粒子と混合させる請求項9〜11のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記トナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の分子量分布において、分子量3,000以上20,000以下の成分を40質量%以上80質量%以下含有する請求項9〜12のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  14. 前記樹脂微粒子は、体積基準のメジアン径(D50)が10nm以上1,000nm以下である請求項9〜13のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  15. 前記樹脂微粒子を構成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上120℃以下である請求項9〜14のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  16. 前記分散安定剤は難水溶性無機塩であり、かつ前記トナー粒子中の含有量が1.0質量%以下である請求項9〜15のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
JP2009162090A 2009-07-08 2009-07-08 コアシェルトナー及びその製造方法 Active JP5455476B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009162090A JP5455476B2 (ja) 2009-07-08 2009-07-08 コアシェルトナー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009162090A JP5455476B2 (ja) 2009-07-08 2009-07-08 コアシェルトナー及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011017864A JP2011017864A (ja) 2011-01-27
JP5455476B2 true JP5455476B2 (ja) 2014-03-26

Family

ID=43595707

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009162090A Active JP5455476B2 (ja) 2009-07-08 2009-07-08 コアシェルトナー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5455476B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014032401A (ja) * 2012-07-12 2014-02-20 Canon Inc トナーの製造方法
JP2014209207A (ja) * 2013-03-26 2014-11-06 三菱化学株式会社 静電荷像現像用トナー
JP6152698B2 (ja) * 2013-05-21 2017-06-28 株式会社リコー トナー収容容器、及び画像形成装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007279328A (ja) * 2006-04-05 2007-10-25 Kyocera Chemical Corp 懸濁重合トナー粒子の製造方法およびトナー粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011017864A (ja) 2011-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5451129B2 (ja) トナー
JP5371407B2 (ja) トナーおよびトナーの製造方法
JP5773752B2 (ja) トナー及びトナーの製造方法
KR101317127B1 (ko) 토너
WO2009107831A1 (ja) トナー
WO2009107829A1 (en) Toner
JP5865011B2 (ja) トナーおよび二成分系現像剤
JP5506276B2 (ja) トナーの製造方法
JP5094463B2 (ja) トナー
JP5409167B2 (ja) トナー
JP5430168B2 (ja) トナー
JP7146381B2 (ja) トナー
JP5455476B2 (ja) コアシェルトナー及びその製造方法
JP5500902B2 (ja) トナー
JP5419586B2 (ja) トナー
JP2010282137A (ja) トナー
JP5311844B2 (ja) トナーの製造方法
JP5677038B2 (ja) トナー
JP5414339B2 (ja) トナー及び該トナーの製造方法
JP6100104B2 (ja) ブラックトナーの製造方法
JP5606280B2 (ja) トナー
CN111929997A (zh) 调色剂和调色剂的制造方法
JP5294890B2 (ja) トナー
JP5451226B2 (ja) トナー
JP6676290B2 (ja) トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140107

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5455476

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151