JP5506276B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真法を用いたプリンター、複写機において、高信頼性や、環境に対する配慮への要望が強くなってきている。
高信頼性とは、長期に渡ってプリントしても初期画像と変らないレベルを出力し続けられるということに加えて、ユーザーフレンドリーであるということも含まれる。具体的には、各環境下や各種転写材料であっても、良好な現像性や転写性や耐巻きつき性を維持することが求められる。また、環境に対する配慮としては、低消費電力による省エネルギー対応が求められ、特に良好な低温定着性が求められており、これらを満足するレベルでのトナーの実現が望まれて来ている。このような要求を満足する上で近年、トナーの小粒径化・粒度分布シャープ化が進められるとともに、転写効率や流動性の向上の目的から球形のトナーが好適に用いられるようになってきており、効率的に小粒径で球形なトナー粒子を調製する方法として湿式法が多く用いられるようになってきている。これら現像、転写といった電子写真プロセスにおいて画像品質を高める手段としては、無機微粒子などに代表される外添剤を導入することでトナーの流動性を高め、安定な帯電特性を得ることにより現像性の向上を達成したり、該外添剤の粒子径を変化させることでトナーの接触点をコントロールし転写性を高めたりする方法がこれまでは一般的であった。
一方でトナーの付着力を制御させることにより現像性、転写性を高めようといった知見が近年得られつつある。ただし大半はトナー間における付着力といった形態での知見が多く、トナーと電子写真プロセス内の機能部材(現像剤坦持体、潜像保持体、定着部材など)との付着力について議論されたものは数少ない。例えば特許文献1および特許文献2では、トナーとキャリア粒子間の付着力について遠心分離装置、微小粒子間付着力測定装置を用い測定された提案がなされているが、あくまで二成分現像剤の使用を前提としており、トナーと機能部品との直接的な付着力が伺い知るものではない。また、特許文献3、特許文献4および特許文献5においては、AFMによりトナー間もしくはトナー母粒子間における付着力測定が提案されている。しかし、圧密されたトナー粉体相表面とトナー1粒子との付着力が提案されているもので、トナー粒子間の付着力を議論する上でも現実的ではなく、機能部材との付着力から現像性、転写性を向上させるための提案がなされているものではない。
このような背景からトナーと電子写真プロセスにおける機能部材との付着力に着目し、得られる可視像の高画質化のため、トナーと機能部材間において付着力に優れたトナーが所望されている。
特開2006−195079号公報 特開2006−276062号公報 特開2007−156082号公報 特開2007−240945号公報 特開2007−241066号公報
本発明は上記のような問題を鑑みてなされたものであり、特に現像、転写工程時に関るトナーと感光体表面との付着力に着目し、トナー粒子自身の感光体に対する付着性を低減させることにより、現像効率の高いトナーを提供することを目的とする。
さらに本発明においては感光体に対するトナー粒子自身の付着性が低減することで、外添剤の添加量を大幅に削減、もしくは外添剤レスの達成が可能となり、耐久試験などによりトナー粒子表面からの外添剤脱離による周辺部材への汚染などを大幅に削減することを目的とする。
更に又、トナー粒子の付着性を低減させることで、転写工程において感光体から転写媒体への転写効率が大幅に向上することを目的とする。
上記目的を達成するため、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
製造方法が、
重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に投入し、造粒を行い、水系媒体中で該重合性単量体を重合させることにより芯粒子を得て該水系媒体中で、該芯粒子の表面に、自己水分散性を示すカルボキシル基を有するポリエステル樹脂微粒子を固着させて外を形成してトナー粒子を得る工程
を有し
該水系媒体が、界面活性剤が添加されていない水系媒体であり、
該トナー粒子の平均円形度が0.965以上1.000以下であり、
該トナー粒子のBET比表面積が1.00m2/g以上3.50m2/g以下であり、
該トナー粒子とポリカーボネート樹脂を含有する平板との付着力(nN)が2nN以上90nN以下である
ことを特徴とするトナーの製造方法を提供するに至った。
本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、トナー芯粒子表面に樹脂微粒子を固着させて形成した外殻を有するカプセル型のトナー粒子を得ることにより、トナー粒子と感光体表面の付着力が、外添剤と感光体表面の付着力と同等の性能を有することで、現像効率、転写効率ともに高い性能が得られ、高精細な出力画像を得ることが可能となる。
本発明のトナーを用いた画像形成装置の実施例を示す概略構成図である。 本発明のトナーを用いた画像形成装置の他の実施例を示す概略構成図である。 本発明のトナーを用いた現像剤の帯電量の測定に用いる装置の構成を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、さらに詳しく説明する。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂、着色剤および離型剤を少なくとも含有するトナー粒子は、平均円形度が0.965以上1.000以下、BET比表面積が1.00m2/g以上3.50m2/g以下であり、該トナー粒子とポリカーボネート樹脂を含有する平板との付着力(nN)が2nN以上90nN以下であることを特徴とする。
電子写真プロセスにおいてトナー付着力の影響を受けやすい工程として現像工程、転写工程があげられ、いずれの場合においてもトナーと感光体表面との付着力が重要となってくる。トナーと実際の感光体表面との付着力測定については電子写真装置内での測定が困難なことや、装置外での測定は専用治具が必要になるなどの制約があったが、トナー粒子と感光体表面との付着力を簡便に測定するため鋭意検討した結果、平滑な基板上に感光体材料として多く用いられるポリカーボネート樹脂を被膜し平面感光層を作り、該層表面と上記トナー粒子との付着力を測定することで簡便に付着力を把握することが可能となった。
本発明においては上記平均円形度、BET比表面積を示すトナー粒子と感光体表面との付着力が低いことで、トナー坦持体から感光体表面への現像効率、感光体表面からトナー粒子が転写媒体へ移行する転写効率が増加し、画像品質が向上するものと考えられる。
上記円形度、BET比表面積を有するトナー粒子と感光体表面の付着力が2nN以上90nN以下であることで現像効率、転写効率が増加する理由としては以下のようなことが考えられる。
感光体表面との付着力といった点では、トナー粒子の円形度が高くなることで、付着力は数百nNと大きくなる傾向にある。また、トナー粒子自身の流動性も低下することから、帯電特性の立ち上がりが悪化したり、部材との接触負荷が大きくなり、トナー融着などを生じやすくなる。
しかしながら上記トナー粒子では、円形度が高いばかりでなく、トナー表面に凹凸を有することで、トナー粒子の流動性が大幅に向上し、現像器内におけるトナー攪拌が速やかに行われ、結果として高い摩擦帯電能を安定に導き出すことが可能となることで現像効率が増加するものと考えられる。
一方、転写効率が増加する理由としてはトナー粒子と感光体表面の付着力が大きく影響しており、付着力が低くなること感光体表面から転写材へトナー粒子が移行しやすくなり転写効率が高まるものと考えられる。逆に付着力が高くなるとトナー粒子が転写材へ移行し難くなり転写効率は低下するものと考えられる。
本発明ではトナー粒子と感光体表面の付着力はトナー粒子表面の曲率半径が大きく影響していることを導き出した。特にトナー粒子表面の曲率半径が大きい場合は付着力が高くなり、曲率半径が小さくなると付着力が低くなるといった傾向を導き出したものである。
特に円形度が高くかつ表面が平滑なトナー粒子の場合、トナー粒子表面の曲率半径としては、トナー粒径に影響され数μmと大きな数値を示す。
しかしながら本発明のトナー粒子においては円形度が高く、且つBET比表面積が後述する範囲でトナー粒子表面に凹凸を有する状態を示すことで、トナー表面の曲率半径が数十nmと小さく、感光体表面との付着力が低くなることから、転写効率が大きくなるものと考えられる。
本発明においてはトナー粒子の平均円形度が0.965以上1.000以下であり、BET比表面積が1.00m2/g以上3.50m2/g以下であることにより、上記範囲での付着力(nN)を示すことが可能となることを見出した。
トナー粒子の平均円形度としては0.965以上1.000以下の範囲であることが好ましいが、より好ましくは0.970以上1.000以下である。
該平均円形度が0.965未満であると、感光体材料被覆基板に対する接触面積が大きくなる傾向にあり付着力が高くなる傾向になり、ローラーやブレードなどの圧力の影響からフィルミングなどを生じやすくなる。
さらには形状が乱れることでトナー粒子表面にワックスが露出しやすくなり、トナー合一を生じやすくなったり、流動性保持、帯電付与の目的で外添剤などを導入した場合に外添剤の偏在がやすくなることで、トナーの流動性が著しく低下することで画像品質が悪化することが懸念される。
なお、トナー粒子の平均円形度は、樹脂微粒子の添加量や平均粒子径を変更することにより調整することが出来る。
さらに上記の平均円形度を有する範囲内においてBET比表面積が1.00m2/g以上3.50m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは1.50m2/g以上2.50m2/g以下である。
1.00m2/gより低い場合はトナーの流動性が低下しやすくなることで帯電量分布がブロードになりカブリ発生などの弊害を生じやすくなる。一方、BET比表面積が3.50m2/gより大きい場合には表面の凹凸が不均一な状態になり、不安定な帯電特性になりやすく画像濃度の急激な低下など、著しく画像品質を損ねる。
なお、BET比表面積は樹脂微粒子の平均粒子径を変更することにより調整することができる。
上記付着力(nN)が2nNよりも低い場合には、静電荷潜像を現像した際にトナーの飛び散りを発生したり、非潜像部へのトナー付着を生じることからカブリなどの弊害を生じ易くなる。一方、付着力(nN)が90nNよりも大きい場合には、感光体上に転写残トナーを多く生じやすくなり、クリーニング不良などを生じやすくなる可能性が高い。
本発明の付着力測定は原子間力顕微鏡(AFM)を用い得られるフォースカーブから付着力を求めた。手順を以下に示す。
●トナー固着カンチレバーの作製
(1)スライドガラスの上にトナーを散らし、AFMホルダーにチップレスカンチレバー先端にエポキシ樹脂を付着させる。
(2)CCDで確認しながらトナー1粒子真上にカンチレバー先端がくるようにアプローチした後、押付けてから話す。
(3)常温環境下にて1週間乾燥後、SEMで固着状況を確認する。
●感光体材料被覆基板の作製
(1)基板上に感光体材料であるポリカーボネート樹脂をバーコートなどにより被覆させる。
(2)塗布後、真空乾燥機により乾燥させる(Rz=0.3μm以上1.5μm)
乾燥後に得られる平面基板表面の表面粗さとしてはRz値(JIS規格B0601:十点平均粗さ)が0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。上記表面粗さは実際の感光体製造において得られる表面粗さと同等の範囲を呈するものである。
基板表面のRzが0.3μmより小さいとトナー粒子との接触面積が大きくなり、基板表面に塗布した感光体材料の性質以上に付着力が大きくなる可能性が高く、真の測定値かどうかは不明になる。一方、Rzが1.5μmより大きい場合はトナー粒子との接触面積が小さくなり付着力が低くなる傾向にあるが、実際の感光体表面以上の表面粗さになり、模擬的に平板に感光体表面層を形成しているとは言い難い。
●測定
感光体材料被覆基板をピエゾスキャナにセットする。ピエゾスキャナを上下させ、ピエゾ変位量とカンチレバーに働くForce(nN)との関係をプロットした曲線から、トナー粒子と感光体材料被覆基板との付着力を測定する(図1参照)。
具体的にはピエゾスキャナをトナー固着カンチレバーに一度押し付けたあと、ピエゾスキャナを引離す様に走査し、トナー固着カンチレバーが完全に離れるまでの斥力、引力といった力変化を測定するものである。
本発明においてはトナー粒子表面が樹脂微粒子で覆われていることも特徴の一つである。
従来より耐熱保存性と低温定着性の両立を達成するべく種々のトナーが検討されてきたが、最も好適な手段の一つとしてカプセル構造を有するトナーが主流となりつつある。
該構造はコア部とシェル部を有することから、異なる材料を好適な条件で組み合わせることにより、トナーよりを機能分離化させることが可能となる。例えばコア部に用いられる材料設計としては低温定着性に優れる低軟化樹脂、シェル部に用いられる材料設計としては保存温度に耐えうる様に架橋性材料の導入やガラス転移温度の高い樹脂などを用いることが出来る。
本発明のトナー粒子は重合性単量体、着色剤、および離型剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤などを分散させた水系媒体中で懸濁重合することにより得られる芯粒子と、該芯粒子の表面に樹脂微粒子を固着させて形成した外殻から構成されるカプセル構造を有することが好ましい。カプセル構造化されたトナーに要求される主な条件としては、母体となる芯粒子の特性を如何なく発揮出来ること、芯粒子に対する樹脂微粒子の遮蔽性、密着性が高いことが要求されている。
それらを達成するため、粉砕法や湿式法の何れの場合においても芯粒子表面に被覆材料を何かしらのドライビングフォースにより付着させ、その後、熱処理などによってトナー粒子表面に被覆材料層を均一な状態で固着させる手段が多く用いられている(湿式法においては材料の極性差を利用し、一粒子内で異なる材料を相分離させる手段などもある。)。
このように芯粒子表面に被覆材料を固着させることは、より明確なコアシェル状態を出来るため高い遮蔽性を有することが可能となる。さらには芯粒子の表面性を維持出来るため、耐熱保存性と低温定着性の両立ばかりでなく、現像性や転写性といった他の電子写真特性をも高めることが可能となり優れたトナー形態となる。
本発明者らはこのような従来の好適な知見も踏まえ、コアシェル構造を利用しさらなる低温定着化を達成するばかりでなく鋭意検討した結果、樹脂微粒子が芯粒子表面に均一に固着されてなることで、感光体表面材料に対するトナー粒子の付着力が大幅に低減することが可能になることを見出した。
本発明では特にカプセル構造を有する懸濁重合系トナー粒子において芯粒子表面を樹脂微粒子が粒塊を残しながら固着している状態であることで付着力の低減化が図れ、より高いレベルでの現像性と転写性が得られるに至ったのである。芯粒子表面に樹脂微粒子が固着されたトナー粒子において付着力が低下する理由としては以下のような理由であると考えられる。
つまり、芯粒子に固着した樹脂微粒子は全体が芯粒子表面に埋没しているわけでなく、樹脂微粒子の粒塊を残した状態で存在してるため、トナー粒子としての表面性は凹凸を有する状態になっている。
芯粒子が樹脂微粒子で覆われていないトナー粒子と比較すると、前述の測定装置で用いられる感光体表面材料を有する平面基板との接触面での違いとしては、樹脂微粒子が固着されたトナー粒子と平面基板との最近接部における場合は樹脂微粒子の影響からトナー粒子表面の曲率半径が数十nmであるのに対し、樹脂微粒子で覆われていない表面が平滑なトナー粒子の場合、平面基板との最近接部におけるトナー粒子表面の曲率半径はトナー粒子の平均粒径の影響を受け数μmになる。
このようなことからトナー粒子最表面での曲率半径の小さいもの(例えば本発明に見られる均一な凹凸表面を有するトナー粒子)であると感光体表面に対する付着力が低くなり、反対に曲率半径が大きいもの(例えば表面が平滑なトナー粒子)であると感光体表面に対する付着力は大きくなると考えられる。
トナー粒子と感光体表面の付着力が低くなる場合には、感光体上の現像像が転写材へ転写する際にトナー粒子が移行しやすくなり、感光体表面の残留トナーが無く、クリーニング部材などへの負荷も軽減される。
一方、付着力が高くなる場合には、現像像を形成するトナー粒子が感光体上に強固に付着するため、転写工程時に転写材へトナーが移行し難くなり、残留トナーを多く生ずることになる。残留トナーが多い場合、クリーニング部材への負荷も大きくなり、クリーニング不良による画像欠陥や、長期使用によって感光体上にトナー融着を生じやすくなる。
付着力を低減させることで同様の効果が得られる手段として粒子径が数十nmの外添剤(シリカ微粒子など)単独と前述の感光体表面材料を用いた平面基板との付着力測定においても付着力を低下させることが可能になるが、この場合もシリカ微粒子表面の曲率半径が数十nmであることからも平面基板との最近接部におけるトナー表面の曲率半径が小さいことが付着力低下に大きな影響を与えていることは伺える。
しなしながら、これら外添剤は機械的処理によりトナー粒子表面へ付着させているため、外添剤の種類等によっては、付着強度が弱く外添剤自身が脱離する可能性が高くなり安定な表面状態を維持するのが難しくなる。その結果、耐久安定性を含めた形で本発明のような効果は得られ難いのが実情である。
上記樹脂微粒子は、水中で自己分散性を示す酸性基を有する樹脂微粒子であることが好ましい。自己水分散性の樹脂微粒子は、別途界面活性剤を添加する必要がなく、またpH調整で樹脂微粒子の分散能力を調整できるため、付着工程で遊離した樹脂微粒子が存在する場合にも、固着工程で芯粒子に固定化することができる。前記酸性基としては、カルボキシル基やスルホン酸基、リン酸基の如き酸性基が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基、スルホン酸基あるいはこれらを併用して用いることが好ましく、少なくともスルホン酸基が含まれていることが、トナーに良好な帯電性を付与できる点で特に好ましい。
上記のような自己分散性の樹脂微粒子を製造する方法としては、転相乳化法がある。樹脂を有機溶剤に溶解し、必要に応じて中和剤を加え、撹拌しながら水系媒体と混合すると、前記樹脂の溶解液が転相乳化を起こして微小な粒子を生成する。前記有機溶剤は、転相乳化後に加熱、減圧の如き方法を用いて除去する。このように、転相乳化法によれば、前記酸性基の作用によって実質的に乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した樹脂微粒子の水系分散体を得ることができる。こうして得られた樹脂微粒子は、そのまま水系分散体として芯粒子への付着工程に供することができる。また、前記水系分散体に酸を添加して樹脂中の酸性基を塩の状態から酸の状態に戻し、ろ過および洗浄を行った後、水に再分散させて使用してもよい。
次に本発明におけるトナーの具体的な製法を説明する。
本発明のトナーは重合性単量体、着色剤、離型剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することにより得られる芯粒子と、該芯粒子の表面に樹脂微粒子を固着させて形成した被覆相から構成されることが好ましい。
まず、トナー粒子の主構成材料となる重合性単量体に、少なくとも着色剤と離型剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また荷電制御剤や可塑剤、さらに他の添加剤(例えば、顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加える事が出来る。
次いで、上記重合性単量体組成部を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する再に他の添加剤とともに混合しても良く、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合しても良いが、重合転化率を把握するためには、懸濁させる直前に混合することが好ましい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることも出来るが、添加する際には重合転化率の把握が必要である。
造粒後の懸濁液を温度50℃以上100℃以下に加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら重合反応を行う。その後、所望の重合転化率に達しトナー粒子が形成される。
トナー粒子の形成後、分散安定剤の除去は行わず、水系媒体に分散させた状態で芯粒子とし、該芯粒子表面に樹脂微粒子を付着後、固着させる。
このとき、樹脂微粒子の添加方法としては特に指定されたものではなく、粉末体で添加しても良いし、水分散体で添加しても良い。水分散体で添加することで、より均一な被覆層を形成することができる。また、一度にまとめて添加しても良いが、重合添加率が大幅に異ならない範囲であれば、徐々に添加することも好適である。尚、形成される被覆層は、芯粒子と該樹脂微粒子の界面が一部なくなっている状態であれば、該樹脂微粒子の形状が残った状態でも、滑らかになめされた状態であっても、充分な強度と耐熱保存性が得られる。
樹脂微粒子が芯粒子表面に付着した後、容易に剥離、脱落を起こさない強度で芯粒子表面に固定化させることが望ましく、そのため上記分散液を加熱することで芯粒子と樹脂微粒子の密着性を高めても構わない。その場合の加熱温度としては、トナー粒子の安定性を考慮し、芯粒子のTg以上、樹脂微粒子のTg以下の温度範囲で加熱するのが望ましい。
このとき、該芯粒子は軟らかい状態にあるが、樹脂微粒子が立体安定性を発現するために十分な硬さを維持しているため、分散状態を保つことができると考えられる。
次いで、このような状態を保持しつつ芯粒子と樹脂微粒子の間に存在する分散安定剤の除去を行うことにより、除去が完了するまでの間に芯粒子表面に付着していた該樹脂微粒子は、その一部分が芯粒子表面に埋め込まれ、残りの部分が芯粒子表面に出ている状態になると考えられる。すなわち、該樹脂微粒子は剥がれ落ちにくい状態で安定して芯粒子に固定化される。このようにして、従来よりも緻密で均一かつ強固な樹脂微粒子層を形成させることが可能になると発明者らは考えている。
本発明のトナーを重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、スチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−メトキシスチレンの如きスチレン系単量体や、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルの如きメタクリル酸エステル類などが挙げられる。
さらに以下の化合物が挙げられる。マレイン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸の如きα,β−不飽和酸無水物などが挙げられる。
本発明に用いられる分散安定剤としては、界面活性剤や有機分散剤、無機分散剤を使用することができるが、これらの中でも上述したように水不溶性または難水溶性無機塩のコロイドを用いることが酸に対する溶解性の点で特に好ましい。
また無機塩は熱的安定性が高いため、高温下で重合を行った場合でも液滴を安定に保つことができ、また固着工程においても、芯粒子に付着した樹脂微粒子の均一性を維持したまま固定化できるため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。さらに本発明では、平滑化工程において、分散安定剤を再析出して利用するため、pHに対して、可逆的であることが好ましい。上述した無機分散剤の中でもリン酸三カルシウムは、pH3乃至5の領域で溶解と析出を可逆的に行うことができるため、特に好適に用いることができる。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01乃至20質量部を使用することが好ましい。
さらに、界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが用いられる。
上記コア粒子の製造において使用する重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知の過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤としては、パーオキシエステル系重合開始剤として、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
また、パーオキシジカーボネート系重合開始剤として、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなど、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、ジイソノナノイルパーオキサイド、アゾ系重合開始剤として、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが例示される。
また、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、ジイソブチリルパーオキサイド、ジイソノナノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイル−m−トルオイルパーオキサイドが挙げられる。
その他、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートの如きパーオキシモノカーボネート系、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンの如きパーオキシケタール系、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドの如きジアルキルパーオキサイド系の重合開始剤が挙げられる。 アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルが例示される。
これらの重合開始剤の中でも、過酸化物系重合開始剤は分解物の残留が少ないため好適である。また、これら重合開始剤は、必要に応じて2種以上同時に用いることもできる。この際、使用される重合開始剤の好ましい使用量は、単量体100質量部に対し0.1乃至20質量部である。
また、上記の懸濁重合法によるトナー粒子の製造においては、分子量の調整を目的として、連鎖移動剤を使用することが出来る。連鎖移動剤としては以下のものが挙げられる。
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類;チオグリコール酸のアルキルエステル類;メルカプトプロピオン酸のアルキルエステル類;α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.05乃至3.00質量部である。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては以下のものが用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、顔料として、C.I.ピグメントイエロー73、74、93、95、97、155、180、185等、染料としては、C.I.ソルベントイエロー82、93、162等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、顔料としては、C.I.ピグメントレッド57、57;1、122、150、202、238、269等、C.I.ピグメントバイオレット19等、染料としては、C.I.ソルベントレッド49、52等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット等の塩基性染料等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができ、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、15;1、15;3等、染料としては、C.I.ソルベントブルー25等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
これらの着色剤は単独または混合し、さらには固溶体の状態で用いることが出来る。
黒色の顔料として、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの着色剤は単独または混合し、さらには固溶体の状態で用いることが出来る。黒色着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して40質量部以上150質量部以下であることが好ましい。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して1以上20質量部であることが好ましい。また、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択され、その好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して1以上20質量部である。
これらの着色剤は、重合阻害性や水移行性にも注意する必要があり、必要に応じ、疎水化処理の如き表面改質を施すことが好ましい。例えば、染料系の着色剤を表面処理する好ましい方法として、予め染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加する。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他に、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
さらに本発明のトナー粒子は磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割を兼ねることも出来る。本発明において、該磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属が挙げられる。或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金およびその混合物が挙げられる。
これらの磁性体は個数平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下であることが、トナーの低温定着性能および耐久安定性能の点で好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20質量部以上200質量部以下、特に好ましくは40質量部以上150質量部以下となるように含有させるのが良い。
また、磁性粉体は一般に親水性を有しているため、分散媒としての水との相互作用によって磁性紛体が粒子表面に偏在しやすい。そのため、前記樹脂微粒子によるシェル相の形成に影響を及ぼす場合があり、結果として得られるトナー粒子は流動性および摩擦帯電の均一性に劣る可能性がある。したがって、磁性粉体はカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられ、特にシランカップリング剤が好適に用いられる。
本発明において、前記分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。その中でも、無機分散剤は反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウムの如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ珪酸カルシウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、シリカの如き無機酸化物。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下を単独で、又は2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これらの無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤を生成させることが好ましい。具体的には例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、難水溶性のリン酸三カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。無機分散剤は、重合終了後あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
本発明で用いられるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、カルナバワックス等が挙げられる。さらに、高級脂肪族アルコール、脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス等も使用できる。これらのワックスは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのワックスの中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40乃至130℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45乃至120℃の領域に有するものがより好ましい。このようなワックスを用いることにより、低温定着性に大きく寄与しつつ、離型性をも効果的に発現することが出来る。最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、定着時以外でのワックスの染み出しが生じ易くなり、トナーの帯電性が低下すると共に、高温高湿下での耐久性が低下する。一方、最大吸熱ピークが130度を超えると定着温度が高くなり、低温オフセットが発生しやすくなるため好ましくない。さらに、最大吸熱ピーク温度が高過ぎると造粒中にワックス成分が析出する不具合を生じ、離型剤の分散性が低下するため好ましくない。
本発明のトナーは、荷電特性の安定化を目的として、必要に応じて荷電制御剤を含有させることが出来る。含有させる方法としては、トナー粒子の内部に添加する方法と外添する方法がある。荷電制御剤としては公知のものを利用することが出来るが、内部に添加する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物を実質的に含まない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、等の芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物等が挙げられる。
これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定される。そのため、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10.0質量部、より好ましくは0.1乃至5.0質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合は、好ましくはトナー100質量部に対して0.005乃至1.000質量部、より好ましくは0.01乃至0.30質量部である。本発明のトナー粒子は感光体材料を用いた平面基板に対する付着性が低いために、外添剤粒子などの流動性向上剤を用いなくても高い流動性を有し、流動性向上剤を用いた時と同等の画像品質を確保することが可能となる。
一方、さらなる帯電安定化や画質向上を得るうえで流動性向上剤を外部添加してもなんら構わない。この場合、一般に知り得る流動性向上剤であれば特に制約はないが、ケイ酸微粒子、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粒子が好適に用いられる。これら無機微粒子は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。また、必要に応じて流動性向上剤以外の外添剤をトナー粒子に混合されていてもよい。本発明のトナー粒子に上記の如き無機微粒子を外添する場合はトナー粒子に対して、0.05質量%以上0.50質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上0.30質量%以下の量で使用するのが好ましい。0.05質量%より少ない量であると、秤量精度が得られ難くなったり、さらなる帯電安定化、画質向上の面で実質的な効果が現れ難くなる。一方、0.05質量%より多い場合はトナー飛散や、現像時におけるボタ落ちなどが発生しやすくなる。
上記トナーは以下に示すような画像形成方法および装置を用いることにより、本発明にかかる効果を如何なく発揮することが可能になる。
この場合、上記トナーは、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することが出来る。
二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリア粒子の平均粒径は、10.0乃至100.0μmであることが好ましく、現像剤中のトナー濃度は2.0乃至15.0質量%であることが好ましい。
本発明の画像形成方法及び、該方法を実施する画像形成装置に関して図面を用いて説明する。
図1に示す画像形成装置は、矢印方向に回転する感光ドラム(静電荷像担持体)101の周囲に、一次帯電器102、像露光装置103、現像器104および転写ローラー105を配設し構成される。
静電荷像を現像器104による現像で感光ドラム101上に可視化・形成されたトナー画像(可視像)は、転写ローラ105により転写材108上に転写され、転写されたトナー画像は定着器113で定着される。
感光ドラム101上に残留した転写残りのトナーは、一次帯電器102を通過して現像ローラ114との当接部に達する。このとき現像ローラ114には直流現像バイアスが印加されており、転写残りトナーは現像ローラ114に回収されて、つぎの画像形成時に他のトナーTとともに現像に使用される。
一方、図2には、図2の感光ドラム101に対向した中間転写体の中間転写ドラム108を有し、中間転写ドラム108上に画像を形成した後、転写材Pに転写することにより画像を得る中間転写体転写方式による画像形成装置である。
中間転写ドラム108は、感光ドラム101と接触してこれと同じ周速度で矢示の反時計方向に回転駆動される。この中間転写ドラム108は、パイプ状の芯金と、その外周面に形成された弾性体層とからなっている。
感光ドラム1上に形成された画像は、感光ドラム1と中間転写ドラム108とのニップ部を通過する過程で、一次転写バイアスにより中間転写ドラム108に印加した一次転写バイアスにより形成される電界によって、中間転写ドラム108の外周面に転写されていく(一次転写、中間転写)。
中間転写ドラム108上に転写されたトナー像は、中間転写ドラム108に給紙された転写材Pに転写される。転写材Pは給紙カセット25から給送され、所定のタイミングで中間転写ドラム108に供給され、これと同時に転写ローラ105から二次転写バイアスを中間転写ドラム108に転写材Pを挟んで当接することにより、中間転写ドラム108上のトナー画像が転写材Pに転写される(二次転写)。
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、定着器113に導入され、トナー画像が加熱定着される。
以下、本発明で用いる測定手段を列挙する。
<トナー粒子の平均円形度および2μm未満(個数%)の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2ml加える。更に測定試料を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2ml添加する。測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。なお、本発明においては上記超音波分散器にてトナー粒子を5分間分散処理を行ったもの、その後さらに10分間分散処理を行ったものの2サンプルを準備し、上記平均円形度と同様の測定を行ない、算出されたデータから、各々の2μm未満の個数%を測定する。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナー粒子のBET比表面積の測定方法>
トナー粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。まず、トナー粒子に窒素ガスを吸着させ、試料セル内の平衡圧力P(Pa)とトナー粒子の窒素吸着量Va(モル・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナー粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、トナー粒子のBET比表面積S(m2・g-1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10-18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル-1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に1.5gのトナー粒子を入れる。
トナー粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を10時間継続する。尚、真空脱気の際には、トナー粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には0.4Pa(3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からトナー粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のトナー粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。次に、トナー粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナー粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにトナー粒子のBET比表面積を算出する。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個の位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<帯電量の測定方法>
図3に示す装置において、底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に帯電量を測定しようとする現像剤を0.5g入れ、金属製の蓋をする。このとき測定容器2全体の質量を量りW1(g)とする。次に吸引機(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(mCF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を量りW2(g)とする。このトナーの帯電量(mC/kg)は下記式の如く計算される。
帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
以下に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部は全て質量部を示す。
<合成例1:樹脂微粒子分散液(a)>
(ポリエステル樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03部を添加し、窒素雰囲気下、220℃に昇温して、撹拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:49.2部
エチレングリコール:8.9部
テレフタル酸:21.6部
イソフタル酸:14.3部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸:5.7部
次いで、反応容器内を5mmHgから20mmHgに減圧しながら、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステル樹脂100.0部とメチルエチルケトン45.0部、テトラヒドロフラン45.0部を仕込み、80℃に加熱して溶解した。
次いで、100rpmで撹拌下、80℃のイオン交換水300.0部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(a)とした。
<合成例2及び3:樹脂微粒子分散液(b)及び(c)>
合成例1において、撹拌時間およびイオン交換水の添加条件を適宜変更し、平均粒径の異なる2種類のポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(b)および(c)とした。
<合成例4:樹脂微粒子分散液(d)>
(ポリエステル樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03部を添加し、窒素雰囲気下、温度220℃に昇温して、撹拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:49.9部
エチレングリコール:9.0部
テレフタル酸:20.5部
イソフタル酸:13.7部
次いで、無水トリメリット酸7.0部を加え、反応容器内を5乃至20mmHgに減圧しながら、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステル樹脂100.0部とブチルセロソルブ75.0部を仕込み、90℃に加熱して溶解した後、70℃まで冷却した。次いで、1モル/リットルのアンモニア水溶液18.0部を加え、上記温度を保持しながら30分間撹拌を行った後、70℃のイオン交換水300.0部を添加して水分散させた。得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(d)とした。
<合成例5:樹脂微粒子分散液(e)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(e)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:50.0部
エチレングリコール:8.9部
テレフタル酸:23.4部
イソフタル酸:15.5部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸:2.0部
<合成例6:樹脂微粒子分散液(f)>
(スチレン/アクリル系樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、イオン交換水350.0部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を仕込み、窒素雰囲気下、90℃に昇温して、2%過酸化水素水溶液8部、および2%アスコルビン酸水溶液8部を添加した。
次いで、下記の単量体混合物と乳化剤水溶液および重合開始剤水溶液を、撹拌しながら5時間かけて滴下した。
(単量体)
スチレン:94.0部
メタクリル酸:3.3部
メチルメタクリレート:2.6部
t−ドデシルメルカプタン:0.05部
(乳化剤)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.3部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:0.01部
イオン交換水:20.0部
(重合開始剤)
2%過酸化水素水溶液:40.0部
2%アスコルビン酸水溶液:40.0部
滴下後、上記温度を保持しながら、さらに2時間重合反応を行い、冷却してスチレン/アクリル系樹脂の水分散体を得た。得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(f)とした。
こうして得られた樹脂微粒子分散液(a)から(f)について、各分散液中の微粒子の平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。また、各分散液に使用した樹脂のガラス転移温度、酸価をそれぞれ測定し、それぞれ表1にまとめて示した。
Figure 0005506276
<実施例1>
[顔料分散ペーストの作製]
・スチレン:212.7部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3):19.7部
上記材料を容器中で十分プレミックスした後、これを20℃以下に保ったままアトライター(三井三池化工機製)を用いて4時間均一に分散混合し、顔料分散ペーストを作製した。
[トナー粒子の作製]
イオン交換水1152.0部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(Na3PO4)水溶液390.0部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl2)水溶液58.0部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(Ca3(PO42)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。一方、上記顔料分散ペーストに以下の材料を加え、アトライター(三井三池化工機製)を用いて分散混合し、単量体組成物を調製した。
・n−ブチルアクリレート:114.9部
・非晶性ポリエステル:15.1部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=58℃、Mw=7800、酸価13)
・サリチル酸アルミニウム化合物:3.1部(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン:0.049部
上記単量体組成物を60℃に加温し、これにパラフィンワックス:40部を添加して混合溶解した。次いで、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):7.8部をさらに添加した。これを前記水系媒体中に投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、60℃、窒素雰囲気下にて、12,000rpmで10分間撹拌して造粒を行った。
さらに、得られた懸濁液を、パドル撹拌翼で150回転/分の回転速度で撹拌しつつ、65℃にて10時間重合を行った。重合終了後、得られた重合体粒子の分散液を冷却し、イオン交換水を加えて分散液中の重合体粒子濃度が20%になるように調整した。これを、芯粒子分散液(A)とした。
上記芯粒子分散液(A)500.0部(固形分:100.0部)に、合成例1で得られた樹脂微粒子分散液(a)15.0部(固形分:3.0部)を1.0部/分の滴下速度で添加し、次いで、200回転/分で30分間撹拌を行った。上記分散液の一部を取り出し、ろ過、洗浄、乾燥したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面が樹脂微粒子で均一に覆われていることが確認され、芯粒子表面に樹脂微粒子が付着した分散液(B)を得た。
次いで、上記分散液(B)を200回転/分で撹拌しながら55℃に加熱したのち、0.2モル/リットルの希塩酸を1.0部/分の滴下速度で滴下し、前記分散液(B)のpHが1.5になるまで希塩酸の滴下を続けた。さらに2時間撹拌を続け、樹脂微粒子が固着した分散液(C)を得た。
上記分散液(C)を200回転/分で撹拌しながら、前記分散液(C)に1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を10.0部/分の滴下速度で滴下し、該分散液(C)のpHを7.2にしたのち、30分間撹拌させることで一度溶解させたリン酸三カルシウムを樹脂微粒子が固着した芯粒子上に再析出させた。この分散液を樹脂微粒子のTg以上の温度である70℃に加熱し、さらに2時間撹拌した。上記分散液を20℃まで冷却した後、pHが1.5になるまで希塩酸を加えろ過、洗浄、乾燥してトナー粒子1を得た。
該トナー粒子1の物性を測定したところ、平均円形度が0.975、BET比表面積が2.51m2/g、付着力(nN)が11.5nNであった。結果を表2にまとめる。
上記トナー粒子1:100.0部にn−C49Si(OCH33で処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m2/g):0.10質量%とヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g):0.10質量%を加えヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を得た。該トナーの電子写真特性についての評価結果を表3にまとめる。
<実施例2>
実施例1において芯粒子分散液(A)500.0部(固形分:100.0部)に、合成例1で得られた樹脂微粒子分散液(a)10.0部を同様の速度で滴下添加する以外は同様にしてトナー粒子2およびトナー2を得た。トナー粒子2およびトナー2の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例3>
実施例1において造粒工程における撹拌条件を10,000rpmで10分間撹拌に変更し造粒を行う以外は同様にしてトナー粒子3およびトナー3を得た。トナー粒子3およびトナー3の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例4>
実施例1において分散液(C)を75°に加熱し2時間撹拌させ芯粒子表面に樹脂微粒子(a)を固着させる以外は同様にして、トナー粒子4およびトナー4を得た。トナー粒子4およびトナー4の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例5>
実施例1において添加する樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(b)に変更する以外は同様にして、トナー粒子5およびトナー5を得た。トナー粒子5およびトナー5の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例6>
実施例1において添加する樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(d)に変更する以外は同様にして、トナー粒子6およびトナー6を得た。トナー粒子6およびトナー6の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例7>
実施例1において添加する樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(c)に変更する以外は同様にして、トナー粒子7およびトナー7を得た。トナー粒子7およびトナー7の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例8>
実施例1において添加する樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(e)に変更する以外は同様にして、トナー粒子8およびトナー8を得た。トナー粒子8およびトナー8の物性を表2、評価結果を表3に示す。
参考例1
実施例1において添加する樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(f)に変更する以外は同様にして、トナー粒子9およびトナー9を得た。トナー粒子9およびトナー9の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例10>
実施例1においてトナー粒子1:100.0部に対し、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g)を0.10質量%添加する以外は同様にして、トナー粒子10およびトナー10を得た。トナー粒子10およびトナー10の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例11>
実施例1においてトナー粒子1:100.0部に対し、疎水性アルミナ微粉体(平均一次粒子径:38nm):0.25質量%とヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g)を0.20質量%添加する以外は同様にして、トナー粒子11およびトナー11を得た。トナー粒子11およびトナー11の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<実施例12>
実施例1においてトナー粒子1に対し、外添剤を添加しないこと以外は同様にして、トナー粒子12(トナー粒子1と同じ)およびトナー12を得た。トナー粒子12およびトナー12の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例1>
実施例3において樹脂微粒子分散液を添加せず、かつ得られるトナー粒子に外添剤を添加しないこと以外は同様にしてトナー粒子15およびトナー15を得た。トナー粒子15およびトナー15の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例2>
実施例2において樹脂微粒子分散液を添加せず、かつ得られるトナー粒子に外添剤を添加しないこと以外は同様にしてトナー粒子16およびトナー16を得た。トナー粒子16およびトナー16の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例3>
実施例6において分散液(C)を75℃に加熱し、2時間撹拌すること以外は同様にしてトナー粒子17およびトナー17を得た。トナー粒子17およびトナー17の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例4>
実施例7において分散液(C)を加熱処理せずにトナー粒子を得、さらにトナー粒子1:100.0部に対し、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g)を0.10質量%添加する以外は同様にしてトナー粒子18およびトナー18を得た。トナー粒子18およびトナー18の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例5>
実施例5において分散液(C)を75℃に加熱し、2時間撹拌すること以外は同様にしてトナー粒子19およびトナー19を得た。トナー粒子19およびトナー19の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例6>
実施例2において分散液(C)を加熱処理せずトナー粒子を得、さらに外添剤としてトナー粒子100.0部にn−C49Si(OCH33で処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m2/g):0.03質量%添加する以外は同様にしてトナー粒子20およびトナー20を得た。トナー粒子20およびトナー20の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例7>
比較例5において、外添剤として疎水性アルミナ微粉体(平均一次粒子径:38nm):0.70質量%とヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g)を0.70質量%添加する以外は同様にしてトナー粒子21(トナー粒子19と同じ)およびトナー21を得た。トナー粒子21およびトナー21の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例8>
比較例6において、外添剤を添加しないこと以外は同様にしてトナー粒子22(トナー粒子20と同じ)およびトナー22を得た。トナー粒子22およびトナー22の物性を表2、評価結果を表3に示す。
<比較例9>
実施例3において、微粒子分散液を添加せず、且つ外添剤としてヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2/g)を0.03質量%添加する以外は同様にしてトナー粒子23およびトナー23を得た。トナー粒子23およびトナー23の物性を表2、評価結果を表3に示す。
以下に本発明のトナーに関する評価項目を示す。
<耐熱性>
トナー粒子5gを容積100mlのポリカップに量り採り、これを内部温度50℃の恒温槽に入れて7日間放置する。その後、ポリカップを取り出して、中のトナーの状態変化を目視にて評価する。判定基準は以下の通りである。
A:変化なし。
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる。
C:凝集体がやや多いが、衝撃を与えるとほぐれる。
D:凝集体が多く、容易にはほぐれない。
E:全くほぐれない。
<転写性>
画像形成装置として市販のカラーレーザプリンタLBP−2160(キヤノン製)を図2に示すように改造し、常温常湿度環境下(23℃/60%)において、ベタ画像出力時の潜像担持体上のトナーのり量を0.6mg/cm2に設定し、ベタ画像とライン画像からなるオリジナル画像を現像し、EN100(64g紙)に転写させ未定着画像を得た。ドラム上のトナー総量と転写紙上のトナー総量との重量変化から転写効率を求めた(全てのドラム上のトナー総量が全量転写紙上に転写された場合を転写効率100%とする。)
A:転写効率が95%以上
B:転写効率が90%以上95%未満
C:転写効率が85%以上90%未満
D:転写効率が80%以上85%未満
E:転写効率が80%未満
<耐久性>
画像形成装置として市販のカラーレーザプリンタLBP−840(キヤノン製)を図1に示すように改造し使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これに作製したトナーを150g充填した。該カートリッジをプリンターのシアンステーションに装着し、常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー64g/m2)を用いて、印字率2%チャートを5000枚連続して画出しし、得られた画質について、下記の評価基準に従って評価した。尚、上記トナーとキャリア粒子とを混合し得られる二成分現像剤として、耐久性を評価する場合においても上記と同様の評価を行い、評価基準も下記に従い評価を行う事が出来る。
A:画像不良が発生せず、画質が特に優れている。(耐久性が特に優れている)
B:画像不良が発生せず、画質が優れている。(耐久性が優れている)
C:画像不良が発生せず、画質が良好である。(耐久性が良好である)
D:画像不良が発生しないが、画質がCよりも劣る。(耐久性がCよりも劣る)
E:画像不良が発生、或いは画質がDよりも劣る。(耐久性がDよりも劣る)
また、5000枚の画出しの後にトナー坦持体を取り外し、エアーガンでトナーを吹き飛ばした後に表面の汚染状態を顕微鏡により観察し、以下の基準で判定を行なった。
A:特に汚染は見られない。
B:付着物は非常に少ない。
C:若干の付着物が見られる。
D:多数の付着物が見られる。
E:トナーの融着が見られる。
<トナーの摩擦帯電性評価>
以下に本発明におけるトナーの摩擦帯電量の測定方法について説明する。まず、キャリア粒子と本発明のトナーとを蓋付きのプラスチックボトルに入れ、振盪器(YS−LD、(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうし、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を作製する。該二成分現像剤を高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下(23℃/50%)でさらに3日間放置し初期混合による摩擦帯電をリセットした。それらをカラーレーザプリンタLBP−840(キヤノン製)を図1に示すように改造し、画出し評価を行なった。二成分現像剤を現像機ユニットに仕込み、予備回転なしに画像面積比率25%のA4画像出力を行なう。次に上記現像機を予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚し、下記手順により白地部のかぶり評価を行い、トナー摩擦帯電性の評価とした。
(白地部かぶり評価)
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
A:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が特に優れている)
B:11〜15枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が優れている)
C:16〜20枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が良好である)
D:21〜30枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性がやや劣る)
E:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上(摩擦帯電性が劣る)
<トナーの帯電性の環境安定性評価>
二成分現像剤を常温低湿環境(23℃/5%)の環境下で1昼夜放置し、その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせる。次いで前述に記載の手段で摩擦帯電量を測定し、得られた帯電量を帯電量L(mC/kg)とした。さらに、該二成分現像剤を高温高湿環境(30℃/80%)の環境下で1昼夜放置し、その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、同様の方法で測定した帯電量を帯電量H(mC/kg)とした。
得られた帯電量Lと帯電量Hから
帯電保持率(%)=100×帯電量H(mC/kg)/帯電量L(mC/kg)
として高温環境下における帯電保持率(%)を計算し、以下の基準で帯電性の環境安定性評価を行なった。
A:帯電保持率(%)が70%以上。
B:帯電保持率(%)が60%以上70%未満。
C:帯電保持率(%)が50%以上60%未満。
D:帯電保持率(%)が40%以上50%未満。
E:帯電保持率(%)が40%未満。
トナー粒子の物性値として、樹脂微粒子の被覆状態、メタノール濡れ性試験より得られる透過率50%を示すメタノール濃度(%)、平均円形度、BET比表面積、超音波処理後の2μm未満(個数%)の増加率、重合性単量体組成物の添加率を測定した結果を表2に示す。
Figure 0005506276
上記に示すトナー粒子およびトナーの性能評価として、耐熱保存性、低温定着性、耐久性、帯電性の各項目について実施例1乃至8、参考例1、実施例10乃至12および比較例1乃至9で得られた各トナーの電子写真特性に関する評価をおこなった。結果を表3に示す。
Figure 0005506276
以上の結果から、本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、該トナー粒子表面NI樹脂微粒子を有してなるカプセル型のトナー構成により、トナー粒子と感光体表面との付着力を低減させることが可能となり、転写性の向上により画像品質の大幅な改善が可能になった。更に外添剤などの補助粒子を多く含有させることなく、少量の外添剤もしくは外添剤がない状態であっても付着性を低く出来、現像性においても良好な結果を得ることが可能となった。
25:給紙カセット、101:感光ドラム、102:一次帯電器、103:像露光装置、104:現像器、105:転写帯電器、108:中間転写ドラム、113:定着器、114:現像ローラー、115:供給ローラー、116:現像ブレード、117:現像剤攪拌部材、P:転写材、T:トナー、1:吸引機、2:測定容器、3:スクリーン、4:蓋、5:真空計、6:風量調節弁、7:吸引口、8:コンデンサー、9:電位計

Claims (2)

  1. 結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    製造方法が、
    重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に投入し、造粒を行い、水系媒体中で該重合性単量体を重合させることにより芯粒子を得て該水系媒体中で、該芯粒子の表面に、自己水分散性を示すカルボキシル基を有するポリエステル樹脂微粒子を固着させて外を形成してトナー粒子を得る工程
    を有し
    該水系媒体が、界面活性剤が添加されていない水系媒体であり、
    該トナー粒子の平均円形度が0.965以上1.000以下であり、
    該トナー粒子のBET比表面積が1.00m2/g以上3.50m2/g以下であり、
    該トナー粒子とポリカーボネート樹脂を含有する平板との付着力(nN)が2nN以上90nN以下である
    ことを特徴とするトナーの製造方法
  2. 前記製造方法が、前記トナー粒子に、前記トナー粒子に対して0.05質量%以上0.50質量%以下の無機微粒子外添する工程をさらに有する請求項1に記載のトナーの製造方法
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