JP5500902B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真法を用いたプリンター、複写機において、高信頼性や、環境に対する配慮への要望が強くなってきている。
高信頼性とは、長期に渡ってプリントしても初期画像と変らないレベルを出力し続けられるということに加えて、ユーザーフレンドリーであるということも含まれる。具体的には、各環境下や各種転写材料であっても、良好な現像性や転写性や耐巻きつき性を維持することが求められる。また、環境に対する配慮としては、低消費電力による省エネルギー対応が求められ、特に良好な低温定着性が求められており、これらを満足するレベルでのトナーの実現が望まれて来ている。
一般に上市されているトナーとしては、結着樹脂と染料、顔料、カーボンブラック、磁性体の如き着色剤を主構成材料とする、粒径5乃至30μm程度の微粒子であり、粉砕法に代表される乾式製法や、懸濁重合法に代表される湿式製法により製造されている。
粉砕法によるトナーは、結着樹脂としての熱可塑性樹脂中に、上記着色剤や必要に応じて荷電制御剤、離型剤を溶融混合して均一に分散させた後、得られた樹脂組成物を微粉砕し分級することによって得られる。
一方、懸濁重合法によるトナーは、まず重合性単量体に上記着色剤や必要に応じて多官能性単量体、連鎖移動剤、荷電制御剤や離型剤を重合性単量体に溶解或いは分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、重合開始剤とともに分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁させて造粒を行い、加熱しながら重合性単量体を重合することによって、所望の粒径を有する重合体粒子としたものである。
これらトナーで低温定着性を向上させるため、一般的には結着樹脂をよりシャープメルトにする手法やガラス転移温度(Tg)を低くする手法が効果的な方法の一つとして知られている。
しかし、単に結着樹脂のシャープメルト化や低Tg化だけではトナーの耐熱保存性が低下し、高温高湿下での使用において、互いに接触するトナー間で凝集が生じ塊状となるブロッキング現象を起こしやすくなるといった問題が生じ易くなる。
このように低温定着性を良化させようとした場合、耐熱保存性の良化も同時に両立させることが困難となり、トナーとしての改良が望まれる状況である。
こうした問題を解決するため特許文献1には、懸濁重合トナーでコア粒子に微粒子を熱固着させシェルを形成してなるトナー、特許文献2にはポリエステル乳化凝集によるカプセルトナー、特許文献3では2層以上のシェルからなるトナーなどが提案されている。
これらは所謂、コアシェル型のカプセル構造を有することにより、コア部分を低粘度にし、耐熱性保存性に劣る性質を、シェル部分の耐熱保存性で補うといった機能分離型の構成をとる。
この場合、シェル部分はやや熱的に固いものを用いるために、高度に架橋し、高い分子量にするなどの工夫が必要であるため低温定着性を阻害してしまう傾向にある。
また、コア部分の低粘度化などにより低温定着性も有利に働くものであるが、逆に高温オフセット性に関しては好ましくなく、上市されているトナーにおいては高分子量成分を有する他成分を添加するなど、何かしらの定着補助材料を用いて対応している様な状況に
ある。
一方、いずれのカプセル構造を有するトナーにおいても、低温定着性と耐熱保存性の両立を図る上で、特にシェル部位の存在状態が大きく影響するものと考えられる。
特許文献4では1乃至5μmの固体微粒子存在下で懸濁重合を行うことでトナー粒子表面に凸状隆起を形成させたトナーが、特許文献5ではトナー粒子表面の95%以上を微粒子で被覆させ、かつ実質的に隆起のない表面を有するトナーが提案されている。特許文献4に記載されたトナーは、固体微粒子をトナー表面に付着させているものの、付着させる固体微粒子の粒径が大きく、重合中に固体微粒子同士が凝集し、トナー粒径そのものが大きくなるといった問題を生じ易く、十分な耐熱性を得られるものではない。また、特許文献5で開示されたトナーは、芯粒子のガラス転移点以上の熱をかけることで被覆層の被覆率を上げるものであるが、芯粒子との相溶化が進みやすくなり低温定着性は優位であるものの、充分な耐熱保存性を得ることは困難であった。
さらにトナーの表面状態を規定しているものとしては特許文献6にてトナー表面をかさぶた状の樹脂微粒子で被覆されたトナーも開示されている。これらはかさぶた状の樹脂微粒子でトナーを被覆することにより耐熱保存性を維持させようとするものであり、定着性との両立を達成するためには完全に被覆されないことが好ましいとされているが、その場合に耐熱保存性が維持できるかどうかが不明である。またかさぶた状の複数層で被覆されているために耐久性において樹脂層の剥がれが生じやすくなり所望の性能が得られにくくなるといった懸念も容易に推察できる。
また、特許文献7ではトナー表面が梅干状の皺を有するトナーが開示されている。これらはトナー母粒子と異なる樹脂材料を被覆し、トナー表面に梅干状の皺を有するものであるが、クリーニング性能を高める故の表面性改質の意が強く、定着性能と耐熱保存性を両立しるためのものではない。
このような背景からカプセル構造を有するトナーにおいて優れた低温定着性と耐熱保存性が両立可能であるトナーが所望されている。
特許第3861515号公報 特開平10−73995号公報 特許第3305998号公報 特許第2864513号公報 特開2000−112174号公報 特許第4047734号公報 特許第4049710号公報
本発明は上記のような問題を鑑みてなされたものであり、耐熱保存性に優れ、且つ低温定着性を有し、定着温度領域が広いトナーを提供する事を目的とする。
更に又、上記特性を満足すると共に、現像性においても良好な結果を提供する事を目的とする。
上記目的を達成するため、トナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子、コア
粒子と、該コア粒子の表面に固着してなる、溶融状態を経て粒状の塊を残しながらつながった樹脂微粒子と、を有し、該コア粒子の表面が部分的に露出しており、該トナー粒子が、下記の工程(i)および(ii):(i)重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で懸濁させて該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、および、(ii)該粒子を形成した後の懸濁液を加熱して、該重合性単量体を重合させる工程、を経て製造されたトナー粒子であり、該工程(ii)が、該重合性単量体の重合途中に、樹脂微粒子を該懸濁液に添加する工程を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、耐熱保存性に優れ、且つ粉砕法などに用いられているシャープメルトなポリエステル樹脂を用いた場合と同等以上の低温定着性、定着領域を得ることが可能なトナーを提供することが可能となる。
本発明のトナーを用いた現像剤の帯電量の測定に用いる装置の構成を示す図である。 本発明のトナー粒子表面の樹脂微粒子の存在状態を示す図面代用写真である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、さらに詳しく説明する。
本発明のトナーは重合性単量体、着色剤及び離型剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を分散させた水系媒体中で懸濁させ、樹脂微粒子と混合した後、該重合性単量体を重合して得られるトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子が該トナー粒子の表面に樹脂微粒子からなる粒塊を有してなることが好ましい。
従来より、耐熱保存性と低温定着性の両立を達成するべく種々のトナーが検討されてきたが、最も好適な手段の一つとしてカプセル構造を有するトナーが主流となりつつある。
該構造はコア部とシェル部を有することから、異なる組成や材料を好適な条件で組み合わせることで、トナーをより機能分離化させることが可能となる。
カプセル構造化されたトナーに要求される主な条件としては、母体となるコア材料の特性を如何なく発揮出来ること、コア材に対するシェル材の遮蔽性、密着性が高いことが要求されており、それらを達成するべく、粉砕法や湿式法の何れの場合においてもコア粒子表面にシェル材を何かしらのドライビングフォースにより付着させ、その後、熱処理などによってトナー粒子表面にシェル材を均一な層状態で固着させる手段が多く用いられている。(湿式法においては材料の極性差を利用し、一粒子内で異なる材料を相分離させる手段などもある。)
このようにコア粒子表面にシェル材を均一な層状態で固着させることは、よりコア相とシェル相が極めて明確に出来るため高い遮蔽性を有することが可能となり、さらにはコア粒子の表面性(凹凸程度)を維持出来るため、耐熱保存性と低温定着性の両立ばかりでなく、現像性や転写性といった他の電子写真特性をも高めることが可能となり優れたトナー形態となる。
本発明者らはこのような従来の好適な知見も踏まえ、さらなる低温定着化を達成するべく鋭意検討した結果、上記カプセル構造をさらに改良することで可能になることを見出した。
本発明ではカプセル構造を有する懸濁重合系トナーにおいてシェル相を形成する樹脂微粒子が層状に完全被覆されている状態でなく、粒状の塊を残しながら溶融状態でつながった樹脂微粒子が粒塊としてトナー粒子表面に固着している状態であることで、より高いレベルでの耐熱保存性と低温定着性の両立を具現化するに至ったのである。
本発明において、樹脂微粒子からなる粒塊とは、図2に示すように、トナーの製造時に溶融状態で樹脂粒子がつながって固化したものである。これは、樹脂微粒子が層状にトナ
ー粒子表面に均一に存在しているのではなく、複数個以上の樹脂微粒子が互いに粒状の塊を残しつつ、つながった状態であることを指し、樹脂微粒子1個体が連結した集合体であることを意味する。(ここでいう集合体に類似した形としては、一般にカーボンブラックのストラクチャーに代表される集合体がある。)また樹脂微粒子そのものが完全に溶融した状態でシェル層を形成する状態もこの定義からは外れるものである。
本発明で用いる樹脂微粒子の材質としては、トナーの結着樹脂として使用し得るものであれば良く、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂が用いられるが、特にトナー最表面層を構成する材質と同質のものを用いることが、被覆安定性の面で好ましい。
本発明で用いる樹脂微粒子は如何なる方法で製造されたものであってもよく、乳化重合法やソープフリー乳化重合法、転相乳化法の如き公知の方法によって製造されたものを用いることができる。これらの製法の中でも、転相乳化法は、乳化剤や分散安定剤を必要とせず、より小粒径の樹脂微粒子が容易に得られるため、特に好適である。
転相乳化法では、自己水分散性を有する樹脂、あるいは中和によって自己水分散性を発現し得る樹脂を使用する。ここで、自己水分散性を有する樹脂とは、水系媒体中で自己分散が可能な官能基を分子内に含有する樹脂であって、具体的には酸性基もしくはその塩を含有する樹脂である。また、中和によって自己水分散性を発現し得る樹脂とは、中和によって親水性が増大し、水系媒体中での自己分散が可能となり得る酸性基を、分子内に含有する樹脂である。
これらの自己水分散型の樹脂を有機溶剤に溶解し、必要に応じて中和剤を加え、撹拌しながら水系媒体と混合すると、前記樹脂の溶解液が転相乳化を起こして微小な粒子を生成する。前記有機溶剤は、転相乳化後に加熱、減圧の如き方法を用いて除去する。
このように、転相乳化法によれば、前記酸性基の作用によって実質的に乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した樹脂微粒子の水系分散体を得ることができる。
本発明で用いる樹脂微粒子の好ましい平均粒子径は、レーザー散乱法による粒度分布測定によって求められるメジアン径の値で、10乃至100nmの範囲である。平均粒子径が10nmに満たない場合は、十分な厚さを有する外殻を形成することが困難となり、100nmを超える場合には、粒塊を有する外殻を形成することが困難となる。したがって、いずれの場合も十分な耐熱保存性を有するトナーを得ることはできない。
尚、メジアン径とは、粒度分布の累積曲線の50%値(中央累積値)として定義される粒子径であり、例えば、堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−920)を用いて測定することができる。
本発明の構成によりさらなる低温定着化が達成される理由としては以下のようなメカニズムによるものと考えられる。
本発明のシェル相の特徴とするところは、上記のように、トナーの製造時に樹脂微粒子が粒状の塊を残しつつ溶融状態で固化し、樹脂微粒子の粒塊としてコア粒子に固着されているところにある。
トナー粒子の表面状態としては、大部分が樹脂微粒子で被覆されているものの、粒塊が残る状態であるためコア粒子面が部分的に露出される部分も存在する。
従来は均一なシェル層によりコア粒子面が遮蔽されていることで耐熱保存性が維持されると考えられていたが、樹脂微粒子の粒塊が残ることでコア粒子面が露出されていても、トナー同士の接触点が減り、流動性も増すことにより耐熱保存性が向上すると考えられる。
同様の効果としては、複数の無機微粒子を外添剤としてトナー表面を一様に被覆させることによっても得られるが、機械的処理でトナー表面へ無機微粒子を付着させているため、無機微粒子の種類等によっては、付着強度が弱く外添剤自身が脱離する可能性が高く、安定な表面状態を維持するのが難しく、耐久安定性を含めた形で本発明のような効果は得られ難いのが実情である。
さらに本発明ではコア表面が露出している部分が存在することで、均一な層で完全に遮蔽する場合よりも定着時にコア粒子の有するシャープメルト性やワックスによる離型性が早く導きだせるので、低温定着性がより向上するものと考えられる。
また樹脂微粒子自体はトナーの製造時に樹脂微粒子が溶融状態でつながって固化したものであるが故にトナー粒子表面に強固に固着された状態を保てるため、トナー化後に現像剤として現像カートリッジ内で攪拌されるときにかかる機械的衝撃にも耐えうるだけの耐久安定性を有することが出来る。
上記の樹脂微粒子の粒塊の長径としては100nm以上であることが好ましく、100nm未満であるとシェル相としての遮蔽効果が薄れ、機械的衝撃を受けた時の耐久安定性に劣るといった懸念を生じる。
本発明ではカプセル構造であるトナーを貯蔵温度50℃下で7日間放置した後、メタノール濡れ性試験において透過率50%を示すメタノール濃度が40%以上70%以下であることが好ましく、それにより低温定着性と耐熱保存性の両立が達成されると考えられる。
従来、トナーの表面状態の変化を示唆する指標としてメタノール濡れ性試験を用いてきた。水に対する疏水性、親水性といった特性を利用し、トナー構成材料の一つであるワックスの存在状態を知る上では特に有用である。
ワックスがよりトナー表面に存在している状態であれば、定着時に瞬時にワックスの持つ離型効果から、オフセット性能が向上するため定着領域の拡大といった効果が得られるものの、熱の影響を受けやすく耐熱保存性が低下する傾向にある。
一方、ワックス自身がトナー中にドメインとして存在する形態の場合は、熱の影響によるワックスの染出しも少なくなり、耐熱保存性は良化するものの低温定着性の向上といった点では、よりトナーが変形しやすい設計にし、今まで以上の熱量で定着しなければ所望の低温定着性を得ることは容易ではない。
上述のメタノール濡れ性試験において所謂「濡れやすい」状態とはメタノール濃度が低くワックスなど疏水性材料の影響は受け難い状態を示し、反対に「濡れにくい」状態とはメタノール濃度が高く、疏水性材料の影響を受けている状態を示すものである。
このような特性から、従来のトナー設計としては耐熱保存性の維持のため、メタノール濃度が低くなるような方向であった。
しかしながら本発明においては上記樹脂微粒子の粒塊でシェル相を形成しているカプセル構造を特徴としているため、本来ならば耐熱保存性が悪く、メタノール濃度がある程度高い値を示しているような状態でも、シェル相の遮蔽効果により耐熱保存性が維持されるといった特徴を有する。
本発明では上記メタノール濃度が40%以上70%以下の範囲であることが低温定着性と耐熱保存性を両立する上で最も好ましい範囲であることを見出した。該メタノール濃度が40%未満であるとトナー表面へのワックス移行性が悪く、定着時における離型効果が損なわれることにより定着領域が極端に少なくなるといった弊害を生じ易くなる。一方メタノール濃度が70%より大きくなる場合はトナー表面へのワックス染み出しが多くなりすぎてトナー同士の合一による現像性の悪化や、電子写真プロセス周りへの部材汚染等が生じやすくなる。
なお、上記メタノール濃度は、トナー中に内包されるワックス量や樹脂微粒子の平均粒子径などを変更することにより調整することができる。
そして、上記メタノール濃度の範囲を上記の特定の範囲に調整するためには、例えばコア粒子表面を一様に被覆させる樹脂微粒子の平均粒子径や被覆時の温度、時間等を振り、コア粒子表面の遮蔽性をコントロールさせることにより調整することが挙げられる。また
、上記メタノール濃度を高くする際には、トナーに内包されるワックス量を増加させたり、樹脂微粒子の平均粒子径を小さくしたりすることが挙げられ、該メタノール濃度を低くする際には逆の操作を行えばよい。
本発明においてトナー粒子の平均円形度としては0.965以上0.995以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.970以上0.990以下である。
該平均円形度が0.965未満であると、トナー表面にワックスが露出しやすくなりトナー合一を生じやすくなったり、流動性保持、帯電付与の目的で外添剤などを導入した場合に外添剤の偏在がおきたり、外添剤がトナー表面に埋没されやすくなることで、トナーの流動性が著しく低下することで画像品質が悪化することが懸念される。
一方、平均円形度が0.995より大きい場合は、定着圧に対する感度として、低圧力によるトナー変形が生じ難くなり低温定着性が得られ難くなったり、トナー粒子の流動性が低下し現像性が悪化したり、クリーニング不良を生じ易くなったりする。
なお、トナー粒子の平均円形度は、樹脂微粒子の添加量や平均粒子径を変更することにより調整することができる。
さらに上述の平均円形度を有する範囲内においてBET比表面積が1.50m2/g以上3.50m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは2.00m2/g以上3.00m2/g以下である。
該範囲内のBET比表面積を示すことにより、上記の樹脂微粒子が粒塊として存在していることを示す。1.50m2/gより低い場合は樹脂微粒子の粒塊もなく層状で被覆されている状態を示し、コア材が有する低温定着性を阻害する可能性がある。一方3.50m2/gより大きい場合には樹脂微粒子が1個体で存在している状態が多くなり、トナー表面への固着強度が弱まりやすくなり、耐久試験などにおいてトナー劣化による画像不良を招く恐れがある。該範囲内におけるBET比表面積を示すことによりトナーの低温定着性と耐熱保存性を両立することが可能となる。
なお、BET比表面積は、樹脂微粒子の平均粒子径を変更することにより調整することができる。
そして、上記BET比表面積の範囲を上記の特定の範囲に調整するためには、例えば、トナー製造時における懸濁液への加熱温度などを調整することが挙げられる。
また、BET比表面積を大きくするためには、樹脂微粒子の平均粒子径を小さくしたりすることが挙げられ、該BET比表面積を小さくする際には逆の操作を行えばよい。
溶融状態でつながった樹脂微粒子のコア粒子に対する固着強度を考える上で、本発明のトナー粒子を5分間超音波処理した時の粒度分布における2μm未満の個数%を[uA]、その後更に10分間超音波処理した時の粒度分布における2μm未満の個数%を[uB]としたとき、増加率[uB]/[uA]が1.0以上8.0未満であることも特徴の一つである。
上記のような粒度分布の変化はコア粒子表面に存在する樹脂微粒子の固着状態を簡易的に判断出来るものであり、該範囲内での粒度分布の変化であれば、樹脂微粒子のコア粒子に対する固着強度が高いものと考えられ、耐久安定性に優れたトナーの提供が可能になるものと考えられる。
増加率が8.0以上の場合は急激な微粉増加から、シェル相の樹脂微粒子の欠落が考えられ、画像品質としてカブリの発生や現像時にスジが発生するなどの弊害がある。一方、増加率が1.0より少ない場合は微粉増加としては問題ないものの、コア粒子へ樹脂微粒子が埋め込まれる可能性があり、耐熱保存性が低下する恐れがある。
なお、上記増加率は、樹脂微粒子の平均粒子径や、堅さなどを調整することにより可能となるが、トナー製造工程中において樹脂微粒子を添加するタイミングなどにおいても増加率を調整することができる。
そして、上記増加率の範囲を上記の特定の範囲に調整するためには、例えばトナー製造
工程の中で重合添加率が50%以上になった時点で樹脂微粒子を添加することにより、コア粒子に対する固着強度を高めることで達成できる。
また、該増加率を大きくするためには、樹脂微粒子の平均粒子径を大きくしたり、樹脂微粒子のTg(ガラス転移点)を低くしたり、トナー製造工程中において樹脂微粒子を重合反応後半に添加することが挙げられ、該増加率を小さくする際には逆の操作を行えばよい。
上記のように固着強度を高めるため、本発明においてはコア粒子を懸濁重合で形成させ、その重合途中において樹脂微粒子を添加することによりコア粒子表面を、溶融状態でつながった樹脂微粒子で被覆されることも特徴の一つである。
本発明では、コア粒子重合途中に樹脂微粒子を添加し、コア粒子表面に付着させることでコア粒子とシェル相を明確にし、かつ強固に密着させることを同時に達成することが可能となる。
すなわち、コア粒子の重合途中であれば、コア粒子と樹脂微粒子の界面において、コア粒子内に存在する重合性単量体に樹脂微粒子が僅かに溶解するため非常に強固に密着することが可能になる。さらに重合が進行することにより重合性単量体の量は減るため樹脂微粒子は過度に溶解しない限り、ある程度の粒状の塊を残した状態で溶解した樹脂微粒子がコア粒子表面に存在することになり、本発明にかかる状態を得ることになる。
これは、一旦重合反応を完結しコア粒子を得たあとに樹脂微粒子を添加し、固着強度を高めるため加熱処理を行ない溶融固着させる手段を用いる時に比べ、生産性、固着強度の面からも優れたものを得ることが可能となる。
特に本発明においては樹脂微粒子を添加する時点のコア粒子を形成する重合性単量体の重合転化率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。
50%よりも低い重合性単量体の重合転化率で樹脂微粒子を添加した場合には樹脂微粒子の溶解が過度に進行し、充分なシェル相を形成できないばかりでなく、トナーの製造安定性が悪化し、場合によっては合一粒子が生じる恐れもある。
また、重合性単量体と樹脂微粒子の重量比は、分散媒体中で重合性単量体の全量を1としたときに0.01〜0.20の範囲となるように調整して樹脂微粒子を添加することが好ましく、0.01〜0.10の範囲で添加することがさらに好ましい。
本発明においては2種以上の重合性単量体を用いてもよく、その場合の重合転化率は、各々の重合転化率の平均値を重合転化率として扱う。
次に本発明におけるトナーの具体的な製法を説明する。
本発明のトナーは重合性単量体、着色剤及び離型剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することにより得られるコア粒子と、該コア粒子の表面に樹脂微粒子を固着させて形成したシェル相から構成されることが好ましい。
まず、トナー粒子の主構成材料となる重合性単量体に、少なくとも着色剤と離型剤を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また荷電制御剤や可塑剤、さらに他の添加剤(例えば、顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加える事が出来る。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合しても良く
、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよいが、重合転化率を把握するためには、懸濁させる直前に混合することが好ましい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることも出来るが、添加する際には重合転化率の把握が必要である。重合転化率の把握は、後述する<重合性単量体の転化率測定方法>に示すガスクロマトグラフィーによる分析により、未反応の重合性単量体を計算して行うことができる。
造粒後の懸濁液を温度50℃以上100℃以下に加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、攪拌しながら重合反応を行う。その後、所望の重合転化率に達した時間に樹脂微粒子を添加し、さらに重合反応を進め、完結させることでトナー粒子が形成される。
このとき、樹脂微粒子の添加形態としては特に指定されたものではなく、粉末体で添加してもよいし、水分散体で添加してもよい。水分散体で添加することで、より均一な被覆層を形成することができる。また、一度にまとめて添加してもよいが、重合転化率が大幅に異ならない範囲であれば、徐々に添加することも好適である。尚、形成される被覆層は、コア粒子と該樹脂微粒子の界面が一部なくなっている状態であれば、該樹脂微粒子の形状が残った状態でも、滑らかになめされた状態であっても、充分な強度と耐熱保存性が得られる。
本発明においては、該コア粒子と該樹脂微粒子の界面が一部なくなっており、かつコア粒子表面には樹脂微粒子からなる粒塊が確認されることがより好ましい。粒塊が残っていることにより、トナー同士の接触面積が減少し、結果としてより優れた耐熱保存性を得ることが出来る。表面の粒塊の度合いは前述したトナー粒子のBET比表面積測定により評価可能である。
本発明のトナーを重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
例えば、スチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−メトキシスチレン、の如きスチレン系単量体や、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、の如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、の如きメタクリル酸エステル類、などが挙げられる。
さらに以下の化合物が挙げられる。
マレイン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸の如きα,β−不飽和酸;などが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明に用いられる分散安定剤としては、界面活性剤や有機分散剤、無機分散剤を使用することができるが、これらの中でも上述したように水不溶性または難水溶性無機塩のコロイドを用いることが酸に対する溶解性の点で特に好ましい。
また無機塩は熱的安定性が高いため、高温下で重合を行った場合でも液滴を安定に保つことができ、また固着工程においても、芯粒子に付着した樹脂微粒子の均一性を維持したまま固定化できるため好ましい。こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
さらに本発明では、平滑化工程において、分散安定剤を再析出して利用するため、pHに対して、可逆的であることが好ましい。
上述した無機分散剤の中でもリン酸三カルシウムは、pH3乃至5の領域で溶解と析出を可逆的に行うことができるため、特に好適に用いることができる。
これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜20質量部を使用することが好ましい。
さらに、界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが用いられる。
上記コア粒子の製造において使用する重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知の過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤を用いることができる。
過酸化物系重合開始剤としては、パーオキシエステル系重合開始剤として、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
また、パーオキシジカーボネート系重合開始剤として、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが例示される。
ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、ジイソノナノイルパーオキサイド、アゾ系重合開始剤として、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、などが例示される。
これらの重合開始剤の中でも、過酸化物系重合開始剤は分解物の残留が少ないため好適である。また、これら重合開始剤は、必要に応じて2種以上同時に用いることもできる。この際、使用される重合開始剤の好ましい使用量は、単量体100質量部に対し0.1〜20質量部である。
また、上記の懸濁重合法によるトナー粒子の製造においては、分子量の調整を目的として、連鎖移動剤を使用することが出来る。連鎖移動剤としては以下のものが挙げられる。
n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンの如きアルキルメルカプタン類;チオグリコール酸のアルキルエステル類;メルカプトプロピオン酸のアルキルエステル類;α―メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.05乃至3.00質量部である。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては以下のものが用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、具体的には、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー73、74、93、95、97、155、180、185等、染料としては、C.I.ソルベントイエロー82、93、162等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、顔料としてはC.I.ピグメントレッド57,57;1、122,150,202,238、269等
、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
染料としては、C.I.ソルベントレッド49,52等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット等の塩基性染料等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いる事が出来、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、15;1、15;3等、染料としては、C.I.ソルベントブルー25等が挙げられ、これらのもの単独或いは2以上のものを併用して用いる。
これらの着色剤は単独で、または混合し、さらには固溶体の状態で用いることが出来る。
黒色の顔料として、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、又、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの着色剤は単独で、または混合し、さらには固溶体の状態で用いることが出来る。
黒色着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して40質量部以上、150質量部以下であることが好ましい。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は重合性単量体100質量部に対して1以上20質量部であることが好ましい。また、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択され、その好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して1以上20質量部である。
これらの着色剤は、重合阻害性や水移行性にも注意する必要があり、必要に応じ、疎水化処理の如き表面改質を施すことが好ましい。例えば、染料系の着色剤を表面処理する好ましい方法として、予め染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加する。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他に、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行ってもよい。
さらに本発明のトナー粒子は磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割を兼ねることも出来る。本発明において、該磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属が挙げられる。或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金およびその混合物が挙げられる。
これらの磁性体は個数平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1以上0.5μm以下であることが、トナーの低温定着性能および耐久安定性能の点で好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20質量部以上200質量部以下、特に好ましくは40質量部以上150質量部以下となるように含有させるのがよい。
また、磁性粉体は一般に親水性を有しているため、分散媒としての水との相互作用によって磁性寸体が粒子表面に偏在しやすい。そのため、前記樹脂微粒子によるシェル相の形成に影響を及ぼす場合があり、結果として得られるトナー粒子は流動性および摩擦帯電の均一性に劣る可能性がある。したがって、磁性粉体はカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられ、特にシランカップリング剤が好適に用いられる。
本発明において、前記分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。その中でも、無機分散剤は反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウムの如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ珪酸カルシウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、シリカの如き無機酸化物。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下を単独で、又は2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001質量部以上0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これらの無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤を生成させることが好ましい。具体的には例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速攪拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、難水溶性のリン酸三カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。無機分散剤は、重合終了後あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
本発明で用いられるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、カルナバワックス等が挙げられる。さらに、高級脂肪族アルコール、脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス等も使用できる。これらのワックスは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのワックスの中でも、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40乃至130℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45乃至120℃の領域に有するものがより好ましい。このようなワックスを用いることにより、低温定着性に大きく寄与しつつ、離型性をも効果的に発現することが出来る。最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、定着時以外でのワックスの染み出しが生じ易くなり、トナーの帯電性が低下すると共に、高温高湿下での耐久性が低下する。一方、最大吸熱ピークが130度を超えると定着温度が高くなり、低温オフセットが発生しやすくなるため好ましくない。さらに、最大吸熱ピーク温度が高過ぎると造粒中にワックス成分が析出する不具合を生じ、離型剤の分散性が低下するため好ましくない。
本発明のトナーは、荷電特性の安定化を目的として、必要に応じて荷電制御剤を含有させることが出来る。含有させる方法としては、トナー粒子の内部に添加する方法と外添する方法がある。荷電制御剤としては公知のものを利用することが出来るが、内部に添加する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物を実質的に含まない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、等の芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、等が挙げられる。
これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定される。そのため、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10.0質量部、より好ましくは0.1乃至5.0質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合は、好ましくはトナー100質量部に対して0.005乃至1.000質量部、より好ましくは0.01乃至0.30質量部である。
また本発明のトナーは流動性向上剤が外部添加されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。また、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤をトナー粒子に混合されていてもよい。上記の如き外部添加剤はトナー100質量部に対して、0.1乃至5.0質量部使用するのが好ましい。
さらに上記トナーは、そのまま一成分系現像剤として、あるいは磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することが出来る。二成分系現像剤として用いる場合、混合するキャリア粒子の平均粒径は、10.0乃至100.0μmであることが好ましく、現像剤中のトナー濃度は2.0乃至15.0質量%であることが好ましい。
以下、本発明で用いる測定手段を記載する。
<メタノール濡れ性試験の測定方法>
(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。
先ず、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を50ml、フラスコに入れて透過率を測定する。このときの透過率を100%、全く光が透過しない状態を透過率0%として、透過率の測定を行う。即ち、測定時の透過光強度が、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を透過させた時の透過光強度50%になった際のサンプル液中のメタノール濃度[%]を特徴とする。
透過率の測定は以下の様にして行う。メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度0%)を50mlいれたビーカーに、マグネティックスターラーをいれる。そして、目開き150μmのメッシュで篩ったトナー又はトナー粒子0.1gを精秤し、それを上記フラスコに入れる。次に、撹拌速度300rpm(5回転/秒)でマグネティックスターラーによって撹拌を開始する。この測定用サンプル液中に、ガラス管によって1.3ml/minの添加速度でメタノールを連続的に加えながら波長780nmの光の透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。この際に、メタノールを滴定溶媒としたのは、トナー粒子に含有される染料、顔料、荷電制御剤等の溶出の影響が少なく、トナー粒子の表面状態をより正確に観察できるためである。
本発明においては係るトナー粒子を貯蔵温度50℃で7日間放置したのち、上記測定を行ない透過光強度50%になった際のメタノール濃度[%]を特徴とする。
なお、この測定において、ビーカーとしては、直径5cmのガラス製のものを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありテフロン(登録商標)コーティングを施されたものを用いる。
<トナー粒子の平均円形度および2μm未満(個数%)の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォ
クリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
なお、本発明においては上記超音波分散器にてトナー粒子を5分間分散処理を行ったもの、その後さらに10分間分散処理を行ったものの2サンプルを準備し、上記平均円形度と同様の測定を行ない、算出されたデータから、各々の2μm未満の個数%を測定する。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scien
tific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナー粒子のBET比表面積の測定方法>
トナー粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。 測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、トナー粒子に窒素ガスを吸着させ、試料セル内の平衡圧力P(Pa)とトナー粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナー粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記
の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、トナー粒子のBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約1.5gのトナー粒子を入れる。
トナー粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置
バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、トナー粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からトナー粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のトナー粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、トナー粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナー粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにトナー粒子のBET比表面積を算出する。
<重合性単量体の転化率測定方法>
島津製作所社製のガスクロマトグラフィー装置GC−14Aに溶融シリカキャピラリカラム(J&W SCIENTIFIC社製;サイズ…30m×0.249mm、液相…DB−WAX、膜厚…0.25μm)を設置する。100mlのアセトンに2.55mgのDMFを加えて内部標準品入り溶媒をつくる。次に重合性単量体組成物分散液0.2gを精秤し上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけた後、1時間放置する。次に0.5μmのメンブレンフィルターで濾過する。GC−14Aの条件を下記とし、ガスクロマトグラフ測定を行なった。
検出器:FID(スプリット比…1:20)
キャリアガス:N2ガス
オーブン温度:70℃→220℃(70℃で2分待機後、5℃/分の割合で昇温)
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
打ち込み試料量:4μl
あらかじめ検量線を作成し、重合性ビニル系単量体と内部標準品DMFの質量比/面積比を求めておく。得られたクロマトグラムから未反応の重合性単量体量を計算し、重合転化率を求めた。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個の位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整
する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<樹脂微粒子のTg測定方法>
樹脂微粒子の最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。 この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比
熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースライン中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<摩擦帯電量の測定方法>
底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとするトナーを有する現像剤を0.5g入れ、金属製の蓋をする。このとき測定容器2全体の質量を量りW1(g)とする。次に吸引機(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。
この状態で充分に、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(mCF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を量りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下記式の如く計算される。装置の全体図を図1に示す。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
以下に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部は全て質量部を示す。
<合成例1:樹脂微粒子分散液(a)>
(ポリエステル樹脂の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に下記の単量体を仕込み、エステル化触媒としてテトラブトキシチタネート0.03質量部を添加し、窒素雰囲気下、220℃に昇温して、撹拌しながら5時間反応を行った。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:49.1質量部
エチレングリコール:8.8質量部
テレフタル酸:21.6質量部
イソフタル酸:14.3質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸:5.7質量部
次いで、反応容器内を5mmHg〜20mmHgに減圧しながら、さらに5時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(樹脂微粒子分散液の作製)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、得られたポリエステル樹脂100.0質量部とメチルエチルケトン45.0質量部、テトラヒドロフラン45.0質量部を仕込み、80℃に加熱して溶解した。
次いで、撹拌下、80℃のイオン交換水300.0質量部を添加して水分散させた後、得られた水分散体を蒸留装置に移し、留分温度が100℃に達するまで蒸留を行った。
冷却後、得られた水分散体にイオン交換水を加え、分散液中の樹脂濃度が20%になるように調整した。これを、樹脂微粒子分散液(a)とした。
<合成例2及び3:樹脂微粒子分散液(b)及び(c)>
合成例1において、撹拌時間およびイオン交換水の添加条件を適宜変更し、平均粒径の異なる2種類のポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(b)および(c)とした。
<合成例4:樹脂微粒子分散液(d)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(d)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:50.0質量部
エチレングリコール:8.9質量部
テレフタル酸:23.4質量部
イソフタル酸:15.5質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸:2.0質量部
<合成例5:樹脂微粒子分散液(e)>
合成例1において、単量体の仕込み量を下記のように変更した以外は、合成例1と同様にしてポリエステル樹脂の水分散体を得た。これを、樹脂微粒子分散液(e)とした。
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物:46.5質量部
エチレングリコール:8.4質量部
テレフタル酸:15.0質量部
イソフタル酸:10.0質量部
5−ナトリウムスルホイソフタル酸:20.0質量部
こうして得られた樹脂微粒子分散液(a)から(e)について、各分散液中の微粒子の平均粒子径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。また、各分散液に使用した樹脂の酸価、ガラス転移温度をそれぞれ測定した。
尚、スルホン酸基を有する樹脂微粒子分散液(a)および(b)の酸価は、各樹脂中のS元素量を蛍光X線分析装置(XRF)を用いて測定し、計算によって求めたものである。結果を、それぞれ表1にまとめて示した。
Figure 0005500902
<実施例1>
[顔料分散ペーストの作製]
・スチレン:212.7質量部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3):19.7質量部
上記材料を容器中で十分プレミックスした後、これを20℃以下に保ったままアトライター(三井三池化工機製)を用いて4時間均一に分散混合し、顔料分散ペーストを作製した。
[トナー粒子の作製]
イオン交換水1152.0質量部に0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(Na3
PO4)水溶液390.0質量部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を
用いて撹拌しながら、60℃に加温した後、1.0モル/リットル−塩化カルシウム(CaCl2)水溶液58.0質量部を添加してさらに撹拌を続け、リン酸三カルシウム(C
3(PO42)からなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
一方、上記顔料分散ペーストに以下の材料を加え、アトライター(三井三池化工機製)を用いて分散混合し、単量体組成物を調製した。
・n−ブチルアクリレート:114.9質量部
・非晶性ポリエステル:15.1質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=58℃、Mw=7800、酸価13)
・サリチル酸アルミニウム化合物:3.1質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン:0.049質量部
上記単量体組成物を60℃に加温し、これにエステルワックス(主成分:C19H29COOC20H41、mp=71.4℃):40質量部を添加して混合溶解した。
次いで、重合開始剤として、t-ブチルパーオキシピバレート:7.8質量部をさらに添加した。
これを前記水系媒体中に投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、60℃、窒素雰囲気下にて、12,000rpmで10分間撹拌して造粒を行った。
さらに、得られた懸濁液を、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃にて重合を開始した。重合開始から4時間経過したところで、懸濁液の一部を抜き取り、重合性単量体の重合転化率を測定した。また、同時に該懸濁液に合成例1で得られた樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部(樹脂微粒子固形分:3.0質量部)添加し、さらに懸濁液の温度を70℃に保持しながら5時間重合反応を行った。
重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製し、そのまま2時間攪拌した。
その後、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後、固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥しトナー粒子1を得た。
該トナー粒子1を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、トナー粒子表面が上記で説明した樹脂微粒子からなる粒塊で覆われていることが確認された。
該トナー粒子1の表面における樹脂微粒子の存在としては後述する樹脂微粒子の固着の評価基準においてランクAの状態であった。
また、トナー粒子1の物性を測定したところ、メタノール濡れ性試験における透過率50%を示すメタノール濃度が55%、トナー粒子の平均円形度が0.982、BET比表面積が2.35m2/g、[uB]/[uA]が3.7であった。トナー粒子1の物性を表―
2に示す。
[外添工程]
上記トナー粒子1:100.0質量部にn−C49Si(OCH33で処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m2/g):0.8質量部とヘキサメチルジシラザ
ン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ(BET比表面積が150m2
g):0.8質量部を加えヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を得た。該トナーの電子写真特性についての評価結果を表―3に示す。
<実施例2>
実施例1において65℃にて重合を開始してから2時間で樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部添加し、その後、温度を70℃に保ちながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子2を得た。トナー粒子2およびトナー2の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例3>
実施例2において樹脂微粒子分散液(a)を添加後、懸濁液の温度を65℃に保ちながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子3を得た。トナー粒子3およびトナー3の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例4>
実施例3において造粒後、得られた懸濁液を、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃にて重合を開始、樹脂微粒子分散液(a)を添加後、懸濁液の温度を60℃に保持しながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子4を得た。トナー粒子4およびトナー4の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例5>
実施例4において樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(c)に変更する以外は同様にして、トナー粒子5を得た。トナー粒子5およびトナー5の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例6>
実施例5において樹脂微粒子分散液(c)を添加後、懸濁液の温度を73℃に保ちながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子6を得た。トナー粒子6およびトナー6の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例7>
実施例5において樹脂微粒子分散液(c)を添加後、懸濁液の温度を65℃に保ちながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子7を得た。トナー粒子7およびトナー7の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例8>
実施例6において樹脂微粒子分散液(c)を樹脂微粒子分散液(e)に変更し、さらに樹脂微粒子分散液(e)を添加後、懸濁液の温度を60℃に保ちながら7時間重合反応を行う以外は同様にして、トナー粒子8を得た。トナー粒子8およびトナー8の物性を表―2、評価結果を表−3に示す。
<実施例9>
実施例8において樹脂微粒子分散液(e)を樹脂微粒子分散液(d)に変更する以外は同様にして、トナー粒子9を得た。トナー粒子9およびトナー9の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例10>
実施例9において造粒条件として回転数を12,000rpm―10分間から10,000rpm―10分間に変更する以外は同様にしてトナー粒子10を得た。トナー粒子10およびトナー10の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例11>
実施例10において造粒条件として回転数10,000rpmから、回転数15,000rpmに変更する以外は同様にしてトナー粒子11を得た。トナー粒子11およびトナー11の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例12>
実施例11において、造粒時間を10分から5分に変更する以外は同様にしてトナー粒子12を得た。トナー粒子12およびトナー12の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例13>
実施例12において樹脂微粒子分散液(d)を樹脂微粒子分散液(a)に変更し、60℃にて重合を開始してから2時間後に該分散液を20.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子13を得た。トナー粒子13およびトナー13の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例14>
実施例13において樹脂微粒子分散液(a)を、60℃にて重合を開始してから2時間後に10.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子14を得た。トナー粒子14およびトナー14の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例15>
実施例14において樹脂微粒子分散液(a)を、60℃にて重合を開始してから2時間後に25.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子15を得た。トナー粒子15およびトナー15の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例16>
実施例15において樹脂微粒子分散液(a)を、60℃にて重合を開始してから2時間後に5.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子16を得た。トナー粒子16およびトナー16の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例17>
実施例1において、65℃にて重合を開始してから3時間で樹脂微粒子分散液(a)を添加し、その後、温度を70℃に保ちながら6時間重合反応を行う以外は同様にしてトナー粒子17を得た。トナー粒子17およびトナー17の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例18>
実施例1において、65℃にて重合を開始してから2.5時間で樹脂微粒子分散液(a)を添加し、その後、温度を90℃に保ちながら6.5時間重合反応を行う以外は同様にしてトナー粒子18を得た。トナー粒子18およびトナー18の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例19>
実施例18において、90℃にて重合を開始してから3時間で樹脂微粒子分散液(a)を添加する以外は同様にしてトナー粒子19を得た。トナー粒子19およびトナー19の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例20>
実施例17において、70℃にて重合を開始してから6時間で樹脂微粒子分散液(a)を添加し、その後、温度を70℃に保ちながら3時間重合反応を行う以外は同様にしてトナー粒子20を得た。トナー粒子20およびトナー20の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例21>
実施例1において樹脂微粒子分散液(a)を樹脂微粒子分散液(b)に変更し、さらに樹脂微粒子分散液(b)を添加後、懸濁液の温度を80℃に保ちながら5時間重合反応を行う以外は同様にしてトナー粒子21を得た。トナー粒子21およびトナー21の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例22>
実施例21において樹脂微粒子分散液(b)を添加後、懸濁液の温度を65℃に保ちながら5時間重合反応を行う以外は同様にしてトナー粒子22を得た。トナー粒子22およびトナー22の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例23>
実施例1において造粒条件として回転数12,000rpmから、回転数10,000rpmに変更する以外は同様にしてトナー粒子23を得た。トナー粒子23およびトナー23の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例24>
実施例23において造粒条件として回転数10,000rpmから、回転数15,000rpmに変更する以外は同様にしてトナー粒子24を得た。トナー粒子24およびトナー24の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例25>
実施例1において樹脂微粒子分散液(a)を、60℃にて重合を開始してから2時間後に20.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子を得た。トナー粒子25およびトナー25の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<実施例26>
実施例25において樹脂微粒子分散液(a)を、60℃にて重合を開始してから2時間後に10.0質量部添加する以外は同様にしてトナー粒子26を得た。トナー粒子26およびトナー26の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例1>
実施例15において重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を73℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子27を得た。トナー粒子27およびトナー27の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例2>
実施例16において樹脂微粒子分散液(a)を添加せず、60℃にて重合を開始してから2時間後に反応を終了する以外は同様にしてトナー粒子28を得た。トナー粒子28およびトナー28の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例3>
実施例1において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更
し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を73℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子29を得た。トナー粒子29およびトナー29の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例4>
実施例2において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を73℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子30を得た。トナー粒子30およびトナー30の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例5>
実施例5において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を67℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子31を得た。トナー粒子31およびトナー31の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例6>
実施例8において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を65℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子32を得た。トナー粒子32およびトナー32の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例7>
実施例9において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を70℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子33を得た。トナー粒子33およびトナー33の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
<比較例8>
実施例12において樹脂微粒子分散液(a)を15.0質量部から10.0質量部に変更し、重合反応終了後、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却し、塩酸を投入し懸濁液のpHを1.5に調製した後、懸濁液を70℃まで加熱し、そのまま1時間攪拌した。1時間後に加熱を停止し、攪拌を続けながら上記懸濁液を20℃まで冷却する以外は同様にしてトナー粒子34を得た。トナー粒子34およびトナー34の物性を表―2、評価結果を表―3に示す。
実施例1乃至26および比較例1乃至8で得られた各トナー粒子表面における樹脂微粒子の存在状態としては、以下に示す評価基準を持って判断した。
<トナー粒子表面における樹脂微粒子固着の状態>
トナー粒子表面における樹脂微粒子の存在状態としては以下の2群に大別される。A群は本発明に係る範囲を示し、B群は樹脂微粒子が加熱処理により層状態で被覆されている状態、もしくは樹脂微粒子が被覆されていない状態を示すものである。
さらに被覆状態を詳細に分類するとA群は3水準(ランクA,B,C)、B群は2水準(ランクD,E)に分けられ樹脂微粒子の被覆状態としては5段階評価となる。このうち本発明の被覆状態はランクAからランクCまでである。なお、各ランクの評価判断は図―2に示す写真を限度見本として用いることで判断する。
ランクA ・・・ A-1(図―2)
ランクB ・・・ A-2(図―2)
ランクC ・・・ A-3(図―2)
ランクD ・・・ B-1(図―2)
ランクE ・・・ B-2(図―2)
以下に本発明のトナーに関する評価項目を示す。
<耐熱保存性>
トナー粒子5gを容積100mlのポリカップに量り採り、これを内部温度50℃の恒温槽に入れて7日間放置する。その後、ポリカップを取り出して、中のトナーの状態変化を目視にて評価する。判定基準は以下の通りである。
A:変化なし。
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる。
C:凝集体がやや多いが、衝撃を与えるとほぐれる。
D:凝集体が多く、容易にはほぐれない。
E:全くほぐれない。
<低温定着性>
複写機IR3570(キヤノン社製)を用い、常温常湿度環境下(23℃/60%)において、紙上のトナー載り量を0.35mg/cmになるよう現像コントラストを調整し、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmのべたの未定着画像を作成した。
紙としては、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。フィルムを介して記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とからなる定着装置を使用している市販のLBPプリンター(Laser Jet 4300,HP社製)の定着器を外部へ取り出し、プリンター外でも動作し、定着フィルム温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを350mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、常温常湿度環境下(23℃/60%)に於いて80℃から200℃の範囲で順に10℃ずつ上げ定着試験を行った。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)の上から4.9KPaの荷重をかけつつ5往復摺擦し、摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)が10%未満のときの温度を定着開始温度とし、低温定着性の基準とした。
尚、画像濃度はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)で測定した。
(式): ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
この定着開始温度を以下のような評価基準で評価した。
A:定着開始温度が120℃以下
B:120℃<定着開始温度≦140℃
C:140℃<定着開始温度≦160℃
D:160℃<定着開始温度
なお、本発明においてはBランクまでを良好な低温定着性と判断した。
<耐久性>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5900SE、キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これに作製したトナーを150g充填した。
該カートリッジをプリンターのシアンステーションに装着し、常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)を用いて、印字率2%チャートを5000枚連続して画出しし、得られた画質について、下記の評価基準に従って評価した。
尚、上記トナーとキャリア粒子とを混合し得られる二成分現像剤として、耐久性を評価する場合においても上記と同様の評価を行い、評価基準も下記に従い評価を行う事が出来る。また、画質の優劣については、耐久評価終了時に画質評価(5ポイントの文字、ライン画像、ベタ画像の総合評価)を目視及びルーペで行った。評価基準は下記に順ずる。
A:飛び散りもなく、ライン画像及び文字画像は鮮明であり、ベタ画像も均一で良好。
B:ルーペ確認にて若干飛び散りが認識されるが、目視確認ではまったく問題なくベタ画像も均一で良好。
C:目視にてライン画像及び文字画像に若干飛び散った部分が確認されるが、実使用上問題となるレベルではない。
D:目視にてライン画像及び文字画像に飛び散った部分が多く、問題となるレベル。
E:目視にてライン画像及び文字画像に飛び散った部分が多く、実使用に耐えない。
また、5000枚の画出しの後にトナー坦持体を取り外し、エアーガンでトナーを吹き飛ばした後に表面の汚染状態を顕微鏡により観察し、以下の基準で判定を行なった。
A:特に汚染は見られない。
B:付着物は非常に少ない。
C:若干の付着物が見られる。
D:多数の付着物が見られる。
E:トナーの融着が見られる。
<トナーの摩擦帯電性評価>
以下に本発明におけるトナーの摩擦帯電量の測定方法について説明する。まず、キャリア粒子と本発明のトナーとを蓋付きのプラスチックボトルに入れ、振盪器(YS−LD、(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうし、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を作製する。
該二成分現像剤を高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下(2
3℃/50%)でさらに3日間放置し初期混合による摩擦帯電をリセットした。
それらをカラー複写機CLC5500改造機(キヤノン製)にて画出し評価を行なった。二成分現像剤を現像機ユニットに仕込み、予備回転なしに画像面積比率25%のA4画像出力を行なう。次に上記現像機を予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚し、下記手順により白地部のかぶり評価を行い、トナー摩擦帯電性の評価とした。
(白地部かぶり評価)
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
A:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が特に優れている)
B:11〜15枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が優れている)
C:16〜20枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性が良好である)
D:21〜30枚以内でかぶり濃度が1.0%未満(摩擦帯電性がやや劣る)
E:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上(摩擦帯電性が劣る)
<トナーの摩擦帯電性の環境安定性評価>
二成分現像剤を常温低湿環境(23℃/5%RH)の環境下で1昼夜放置し、その後5
0ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせる。
次いで前述に記載の手段で摩擦帯電量を測定し、得られた摩擦帯電量を摩擦帯電量L(mC/kg)とした。(mC/kg)とした。
さらに、該二成分現像剤を高温高湿環境(30℃/80%RH)の環境下で1昼夜放置
し、その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、同様の方法で測定した摩擦帯電量を摩擦帯電量H(mC/kg)とした。
得られた摩擦帯電量Lと摩擦帯電量Hから、
摩擦帯電量の保持率(%)=100×摩擦帯電量H(mC/kg)/摩擦帯電量L(m
C/kg)
として高温環境下における摩擦帯電量の保持率(%)を計算し、以下の基準で帯摩擦電性の環境安定性評価を行なった。
A:摩擦帯電量の保持率(%)が70%以上。
B:摩擦帯電量の保持率(%)が60%以上70%未満。
C:摩擦帯電量の保持率(%)が50%以上60%未満。
D:摩擦帯電量の保持率(%)が40%以上50%未満。
E:摩擦帯電量の保持率(%)が40%未満。
トナー粒子の物性値として、樹脂微粒子の被覆状態、メタノール濡れ性試験より得られる透過率50%を示すメタノール濃度(%)、平均円形度、BET比表面積、超音波処理後の2μm未満(個数%)の増加率、重合性単量体組成物の添加率を測定した結果を表―2に示す。
Figure 0005500902
上記に示すトナー粒子およびトナーの性能評価として、耐熱保存性、低温定着性、耐久性、摩擦帯電性及び環境安定性の各項目について実施例1乃至26および比較例1乃至8で得られた各トナーの電子写真特性に関する評価をおこなった。結果を表―3に示す。
Figure 0005500902
以上の結果から、本発明によれば、特に懸濁重合法によるトナーの製造方法において、該トナー粒子が該トナー粒子の表面に樹脂微粒子からなる粒塊を有してなることにより、粉砕法などに用いられているシャープメルトなポリエステル樹脂を用いた場合と同等以上の低温定着性、定着領域を得ることが可能になった。
更に又、上記特性を満足すると共に、現像性においても良好な結果を得ることが可能となった。
1 吸引機、2 測定容器、3 スクリーン、4 蓋、5 真空計、6 風量調節弁、7
吸引口、8 コンデンサー、9 電位計

Claims (7)

  1. トナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子
    コア粒子と、
    該コア粒子の表面に固着してなる、溶融状態を経て粒状の塊を残しながらつながった樹脂微粒子と、
    を有し、
    該コア粒子の表面が部分的に露出しており、
    該トナー粒子が、下記の工程(i)および(ii):
    (i)重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で懸濁させて該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、および、
    (ii)該粒子を形成した後の懸濁液を加熱して、該重合性単量体を重合させる工程、
    を経て製造されたトナー粒子であり、
    該工程(ii)が、該重合性単量体の重合途中に、樹脂微粒子を該懸濁液に添加する工程を含む
    ことを特徴とするトナー。
  2. 貯蔵温度50℃で7日間放置した後の前記トナー粒子を用いたメタノール濡れ性試験において、透過率50%を示すメタノール濃度が40%以上70%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー粒子の平均円形度が0.965以上0.995以下であり、前記トナー粒子のBET比表面積が1.50m/g以上3.50m/g以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子を5分間超音波処理したときの粒度分布における2μm未満のトナー粒子の個数%を[uA]とし、その後、さらに10分間超音波処理したときの粒度分布における2μm未満のトナー粒子の個数%を[uB]としたとき、増加率[uB]/[uA]が1.0以上8.0未満である請求項1いずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記工程(ii)前記重合性単量体の重合転化率が50%以上になった時点で前記樹脂微粒子を前記懸濁液に添加する工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、下記の工程(i)および(ii):
    (i)重合性単量体、着色剤および離型剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で懸濁させて該重合性単量体組成物の子を形成する工程、および、
    (ii)子を形成した後の懸濁液を加熱して該重合性単量体を重合させてトナー粒子を製造する工程、
    を有し、
    該工程(ii)、該重合性単量体の重合途中に、樹脂微粒子を該懸濁液に添加する工程を含み、
    製造された該トナー粒子が、
    コア粒子と、
    該コア粒子の表面に固着してなる、溶融状態を経て粒状の塊を残しながらつながった樹脂微粒子と、
    を有し、
    該コア粒子の表面が、部分的に露出している
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 前記工程(ii)が、前記重合性単量体の重合転化率が50%以上になった時点で、前記樹脂微粒子を前記懸濁液に添加する工程を含む請求項6に記載のトナーの製造方法。
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