先に述べたオフィス環境においては、ブラックトナー単独での使用回数が多く、必然的にトナー消費も多くなるため、本体寿命に対して、カラー現像剤の寿命は満足できるにもかかわらず、ブラック現像剤は大幅に寿命が短くなってしまう。すなわち、カラー現像剤の現像剤交換間隔に対して、ブラック現像剤交換間隔が非常に短いため、サービスマン等による現像剤交換が多く、ランニングコストアップとなる。そのため、今後求められるであろう汎用のフルカラー複写機におけるブラック現像剤には、優れた画質及び耐久安定性といった2つの性能が要求される。また、フルカラー画像を形成する場合に、ブラック現像剤の現像性、転写性がカラー現像剤に比べて悪くなり、飛散、転写むら、カラーバランス、画質等に問題が発生すると、黒色が目立ちやすく、良好なフルカラー画像が得られなくなるため、このようなフルカラー画像形成装置に使用されるブラック現像剤としては、長期にわたり安定した帯電性能、転写性をもち、良好な画像特性のものが要求される。
そのために、本発明において、本体装置のコンパクト化を考慮しつつ、ブラック及びカラー現像剤の寿命のバランスを図るため、ブラック現像剤の画像形成ユニットのみをオートリフレッシュ現像方式とした。こうすることで、本体装置がコンパクトでありながら、長期にわたってブラック現像剤の劣化のない現像装置が可能となり、カラー現像剤とブラック現像剤の寿命のバランスを図ることができる。
しかし、その結果、現像剤の劣化防止と帯電安定性の両方の効果を両立させるべく、オートリフレッシュ現像方式に対応したブラック現像剤と、オートリフレッシュ現像方式を用いないカラー現像剤において、個々の現像方式に対応し、かつ2つの現像方式を併用したフルカラー画像形成方法に対応した、ブラック現像剤とカラー現像剤の最適化がポイントとなった。
そのため、本発明者らは、さらに、上記構成の画像形成方法に対する現像剤の最適化を鋭意検討を行った。
その結果、まず本発明の発明者等は、フルカラートナーを構成するトナーの平均円形度、2.0μm以下の微粒子の量、メタノール濡れ性に着目した。その結果、ブラックの画像形成方法のみオートリフレッシュ現像方式を用いたフルカラーフルカラー画像形成装置において、補給用現像剤中にキャリアを含むブラック用の補給用現像剤のトナー及びその他の色用の補給用現像剤のトナーが、1)〜3)を満たすことにより、小粒径トナーとキャリアを組み合わせて、高画質化を達成すると共に、上記目的を達成するに至った。
1)ブラックトナーの平均円形度が0.975以上であり、かつその他の色トナーより大きい。
2)ブラックトナーのメタノール濡れ性が45%以上であり、その他の色トナーより大きい。
3)ブラックトナーの2μm以下の個数%が3個数%以下であり、その他の色トナーより小さい。
トナーの平均円形度においては、ブラックトナーの平均円形度を0.975以上、好ましくは0.980以上とし、かつブラックトナーの平均円形度をカラートナーの平均円形度より大きくすることにより、単独での使用回数の多いブラックトナーにおいて、長期にわたりライン再現性(ラジッドネス)、網点再現性(ドット再現性)および追随性に優れたモノクロ画像を維持しつつ、フルカラー複写画像においては、長期にわたり転写時においてトナー画像の画像濃度均一性やトナーの飛び散りが起こらず、カブリ等が発生しない、転写性に優れたフルカラートナーおよびフルカラー画像形成方法を提供でき、カラー現像剤とブラック現像剤の寿命のバランスを図ることができることを見いだした。さらには、繰り返しの複写によっても複写画像に悪影響が及ばない、優れた耐久性も得られることを見いだした。
本明細書中において、「フルカラートナー」とは、フルカラー画像を形成する際に各現像装置に装填されるべく選択される、組み合わされた複数のトナーを意味する。また、「トナーの平均円形度」とは、当該トナー中に含まれるトナー粒子の平均円形度を意味するものとする。
本明細書中、平均円形度とは次式:
(平均円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影の周囲長)
により算出される値の平均値であり、「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」はフロー式粒子像分析装置(FPIA−2100東亞医用電子株式会社製)を用いて水分散系で測定を行って得られる値である。このように本発明において平均円形度は、「粒子の投影面積に等しい円の周囲長」および「粒子投影像の周囲長」から求められるため、当該値はトナー粒子の形状、すなわち粒子表面の凹凸状態を正確に反映する指標となる。また、上記の分析装置による値は10000±1000個の平均値として得た値であるため、本発明における平均円形度の信頼性は極めて高い。なお、本明細書中において、平均円形度は上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、原理的に上式に基づいて求めることができる装置であればいかなる装置によって測定されてもよい。また、後述する2μm以下の微粒子の個数%も、上記フロー式粒子像分析装置によって平均円形度と同時に得られる。
本発明において、ブラックトナーの平均円形度が0.975未満では、オートリフレッシュ現像方式を採用したとしても、使用頻度の高いブラックトナーは、長期使用により、トナーが劣化し、ブラック現像剤とカラー現像剤との寿命バランスが図れず、良好なカラー画像を得ることができない。また、特に、モノクロバージョンで複写する場合において、たとえオートリフレッシュ現像方式であっても、細線再現性等の画質が悪くなり、ライン再現性(ラジッドネス)および網点再現性(ドット再現性)に優れたモノクロ画像を再現できなくなる。
本発明のフルカラートナーはイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー等のカラートナーおよびブラックトナーから構成されており、カラートナーの平均円形度はブラックトナーのそれより小さい。すなわち、カラートナーそれぞれのトナー粒子はブラックトナーのトナー粒子より球形度が低い。本発明において、ブラックトナーの平均円形度がカラートナーの平均円形度より小さいと、現像剤の劣化防止と帯電安定性の両方の効果を両立させるべく、オートリフレッシュ現像方式に対応したブラック現像剤と、オートリフレッシュ現像方式を用いないカラー現像剤において、個々の現像方式に対応し、かつ2つの現像方式を併用したフルカラー画像形成方法に対応をはかることができない。すなわち使用頻度の高いブラックトナーの劣化により、耐刷時に画像カブリが発生し、カラー現像剤とブラック現像剤の寿命のバランスを図ることができないため、転写性に問題が生じ良好なフルカラー画像を得ることはできない。また、モノクロバージョンでの複写時にライン再現性(ラジッドネス)、網点再現性(ドット再現性)の画像品質面で不充分となる。また耐久時における追随性に問題が生じる。
また、カラートナーの平均円形度を0.975以上で、かつブラックトナー並以上にした場合、比較的抵抗の低いカーボンブラックや無機微粒子を着色剤として用いるブラックトナーに対して、比較的電気抵抗の高い有機顔料を用いるカラートナーは、平均円形度をあまり高くすると、特に低湿下の環境においてチャージアップしやすくなり、ブラック現像剤とカラー現像剤の現像性(特に転写性)のバランスが図れず、長期にわたり安定した画像濃度を維持することができない。
一旦トナーのチャージアップが発生すると、静電荷像担持体上の転写残トナーのクリーニング性が極端に低下し、クリーニング不良の発生あるいは静電荷像担持体さらにはクリーニング部材が短寿命となってしまい、特に本発明で好適な態様としての単一の市電荷像担持体を使用したシステムにおいては致命的となる。
次に、粉砕法によるトナーはもとより、重合法トナーの微粒子:例えば、懸濁重合法トナーの懸濁重合反応中に副生する2μm以下の乳化重合粒子等の微粒子、あるいは乳化凝集法(乳化重合法)トナーで副生する遊離樹脂粒子、遊離着色剤粒子などの凝集せずに残っている2μm以下の微粒子においては、ブラックトナーの2.0μmの微粒子量を3.0個数%以下、好ましくは2.0個数%以下とし、かつブラックトナーの微粒子量をカラートナーの微粒子量より小さくすることにより、クリーニング不良にまつわる諸問題を生じないモノクロ画像及びフルカラー画像形成方法を提供する事ができることを見出した。
ブラックトナーの2.0μm以下の微粒子量が3.0個数%より多い場合、静電荷像担持体及び/あるいは中間転写体上に転写後において残留したトナー(特に2.0μmの微粒子量)が、静電荷像担持体、中間転写体とクリーニング部材との間隙に溜まり、クリーニング不良(拭き残し)が発生しやすい。また、例えブラックの現像方式がオートリフレッシュ現像方式であっても、ブラックトナーの2.0μm以下の微粒子量が3.0個数%より多い場合、長期使用時において、局所的な帯電量のみが増加し、カブリなどの画像悪化が生じる、またトナー同士の凝集性が増し、さらに数多くの悪影響を及ぼすことがある。
また、本発明において、ブラックトナーの2.0μm以下の微粒子量がカラートナーの量より大きいと、現像剤の劣化防止と帯電安定性の両方の効果を両立させるべく、オートリフレッシュ現像方式に対応したブラック現像剤と、オートリフレッシュ現像方式を用いないカラー現像剤において、ブラック現像剤とカラー現像剤の現像性(特に転写性)のバランスが図れず、個々の現像方式に対応し、かつ2つの現像方式を併用したフルカラー画像形成方法に対応をはかることができない。
次にトナーのメタノール濡れ性においては、ブラックトナーのメタノール濡れ性が45%〜70%、好ましくは48%〜65%、さらに好ましくは50%〜60%とし、かつブラックトナーのメタノール濡れ性をカラートナーのメタノール濡れ性より大きくすることにより、環境による影響を受けにくく、転写時においてトナー画像の画像濃度均一性やトナーの飛び散りが起こらず、フルカラー複写画像に画像カブリ等が発生しない。また、さらには、理由は定かではないが、本発明者らが推定するに、上記メタノール濡れ性の範囲、すなわち、トナー表面のワックスの存在量が上記範囲であることにより、静電荷像担持体及び/あるいは中間転写体上に転写後において残留したトナーが、静電荷像担持体、中間転写体とクリーニング部材との間隙に溜まりにくくなり、クリーニング不良(拭き残し)が生じにくくなった。
本発明の「トナーのメタノール濡れ性」とは、以下の測定により求めた。
本発明においては、トナーのメタノール濡れ性をメタノール滴下透過率曲線を用いて評価するが、具体的には、その測定装置として、例えば、(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。
先ず、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度20%)を60ml、フラスコに入れて透過率を測定する。このときの透過率を100%、全く光が透過しない状態を透過率0%として、透過率の測定を行う。即ち、透過光強度が、メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度20%)を透過させた時の透過光強度の半分になった場合には、透過率50%となる。
透過率の測定は以下の様にして行う。
メタノール/水混合溶媒(メタノール濃度20%)を60mlいれた200mlビーカーに、マグネティックスターラーをいれる。そして、トナーを0.10g精秤し、それを上記ビーカーに入れる。次に、撹拌速度250rpmでマグネティックスターラーによって撹拌を開始し、この測定用サンプル液中に、ガラス管によって0.8ml/minの添加速度でメタノールを連続的に加えながら波長780nmの光の透過率を測定する。本発明のメタノール濡れ性は、透過率50%となった際のビーカー中のメタノール/水混合溶媒のメタノール濃度(%)とする。
ブラックトナーのメタノール濡れ性が70%を超える場合、すなわちトナー表面にワックスが多量に存在する場合、耐ブロッキング性や高温高湿下での保存性に問題が生じやすくなり、画像不良を生じやすくなる。
ブラックトナーのメタノール濡れ性が45%より小さい場合、高湿下において、トナーの帯電不良、あるいは帯電の立ち上がりが遅くなり、画像カブリ、画像濃度安定性などが悪化しやすくなる。また、低湿下においては、トナーがチャージアップしやすくなり、画像濃度安定性、画像カブリなどが悪化しやすくなる。
さらにブラックトナーのメタノール濡れ性をカラートナーのメタノール濡れ性より小さい場合、現像剤の劣化防止と帯電安定性の両方の効果を両立させるべく、オートリフレッシュ現像方式に対応したブラック現像剤と、オートリフレッシュ現像方式を用いないカラー現像剤において、ブラック現像剤とカラー現像剤の現像性(特に転写性)のバランスが図れず、個々の現像方式に対応し、かつ2つの現像方式を併用したフルカラー画像形成方法に対応をはかることができない。
次に、本発明に用いられるトナーについてさらに説明する。
本発明のトナーの製造方法においては、トナー粒子(湿潤着色重合体粒子)を熱気流中で更に分散状態を高めるために、脱水・洗浄後に予備的に解砕してあることが好ましい。
また、同じく分散状態を高めるために、原料として用いるトナー粒子は、粉体としての流動性の点から含水率40%以下であることが好ましい。また、さらには30%以下がより好ましい。ここでいう「含水率」とは、湿量基準含水率、すなわち、全質量(乾燥トナー質量と水分質量との和)に対する水分質量の比率をいい、105℃における加熱減量法によって求めた。
このような含水率を有するトナー粒子は、通常の固液分離手段(例えば、ろ過)により容易に得られるが、このような含水率を得るために予備的に乾燥を行なっても良い。
本発明のトナー粒子を乾燥させるための乾燥方式は、公知の方法を用いることができるが、特にサイクロンを有する気流乾燥機による乾燥が、以下説明の点から、本発明の所望のトナーを得るのに最適である。
そこで、本発明に用いる装置は、気流を用いた乾燥方式であれば特に制限は無いが、風速15m/s以上の気流を用いることが、2.0μm以下の微粒子を分散させる観点から好ましい。熱気流の流量が大きいと、それだけ供給熱量が大きくなるので、より短時間の乾燥も可能となる。
ここでいう風速とは、経路の中で配管径の最も大きい場所の風速を示し、供給風量と配管径より算術により求めた。
また、本発明においては、水分を含んだトナー粒子から2.0μm以下の微粒子を減少させながら乾燥する装置として、流動層を形成しながら乾燥する装置、高速の気流を用いる気流乾燥装置等を用いることができる。気流乾燥装置では、直管タイプの配管形状をしたもの、ループタイプの配管形状をしたもの、円筒状の装置形状をしたもの等が好ましく用いられるが、その限りでは無く、中でも、トナー粒子群が、単一粒子に近い状態まで分散され、かつ、トナー粒子群が、気流分散部を具備したループ型気流加熱管5内を回り続けることにより、トナー粒子表面の凹凸を無くし、本発明の円形度を満たすトナーを製造することがあるため、ループタイプの配管形状をした気流乾燥装置を用いることが特に好ましい。
図1に示すようなループタイプの配管形状をした乾燥装置は、まず、吐出ブロアー1から供給されるエアーは、気流発生器2において所定の温度に加熱した圧縮空気は気流分散部3で超音速で吐出され、原料供給装置4から供給された処理物を分散し、ループ型気流加熱管5中で瞬時(0.5〜数十秒)に処理される。気流抜き出し口6は、ループ型気流加熱管5の内側にすることにより、凝集状態にある粒子群と分散され単一粒子に近い状態のものをコアンダ効果により分級する。分級された粒子は、サイクロン7により気流と分離され、気流はバグフィルター8を介して、排気ブロアー9より系外へ出すことができる。
このような、ループタイプの配管形状をした乾燥装置を用いると、トナー粒子群が、単一粒子に近い状態に分散されるまで、気流分散部を具備したループ型気流加熱管5内を回り続け、気流抜き出し口6から、分散された粒子のみ選択的に抜き出される為、サイクロン捕集部で2.0μm以下の微粒子の除去が効率良く行われる。すなわち、ループタイプの配管形状をした気流乾燥装置は、2.0μm以下の微粒子を除去しつつ、円形度を高める乾燥方法として本発明を満たすトナーを製造するのに最適である。
また、図2に示すような直管タイプの配管形状をした乾燥装置は、吐出ブロアー1によって発生した気流を気流発生器2において所定の温度に加熱し、その加熱された空気は気流分散部10で圧縮後に吐出され、水分を含み凝集したトナー粒子を分散し、効率良く乾燥機本体配管11内で乾燥を行う。その後、並送されたトナー粒子は、サイクロン7により気流と分離され捕集される。
また、分離された気流はバグフィルター8を介し、排気ブロアー9より系外へ排出される。
このような高速の気流を用いた乾燥機においては、気流の吐出経路の総断面積をC(m2)、気流の主最大経路の断面積をD(m2)とした場合、
0.09<C/D<0.15
の関係を満たすような乾燥機を用いることが好ましく、乾燥機内でのトナー粒子の分散性、円形度をより高める為、2.0μm以下の微粒子の除去を効率良く行える。
例えば、ループタイプの配管形状をした乾燥装置においては、ループ形状の配管内をより効率良く単一粒子に近い状態に分散することが可能となる。
気流の吐出経路の総断面積Cは、例えば、ループ形状の乾燥機においては、図3に示すように、各ノズルe・f・gの孔の断面積をそれぞれ、C1・C2・C3とすると、Cは、C1・C2・C3の総和となる。また、気流の主最大経路の断面積Dは、サイクロン捕集部までの経路の中で最も配管径の大きい場所の断面積を示し、ループ形状の乾燥機においては、図3のDに相当する。
本発明において、上記範囲を逸脱したC/Dが0.09以下の場合、流速がはやくなりすぎて、トナー粒子へのダメージを誘発するだけでなく、吐出経路にて大きく圧力損失を生じてしまう為、装置的な負荷がかかってしまう。
C/Dが0.15以上の場合、流速が遅くなりすぎて、十分なトナー粒子の分散力を持つことができず、また、円形度をたかめる事ができるため、2.0μm以下の微粒子を効率良く除去することができない。
更に本発明においては、該気流を用いた乾燥装置がサイクロン捕集部を有する場合、サイクロン捕集部を複数台有することが好ましい。
複数台有することで、サイクロン各々に流入するトナー粒子を含んだ気流の粉塵濃度を低くすることができ、それにより、分散性、円形度を高め、2.0μm以下の微粒子を低減することが可能となる。
また、サイクロンを複数台有する場合、サイクロンは直列に繋げることも、並列に繋げることも可能であるが、分散効率・捕集効率の観点から、直列に繋げることが好ましい。
また、本発明においては、サイクロン直前に2次エアーを投入し、分散効率、球形化効率を高め2.0μm以下の微粒子を分離することにより効率化することも可能である。
本発明において、高速の気流を用いながら乾燥を行う具体的な装置としては、フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)やフラッシュドライヤー(ホソカワミクロン社製)・ドライマイスター(ホソカワミクロン社製)・クリーンフラッシュドライヤー(月島製作所社製)・高速流動層乾燥機(徳寿製作所社製)等が挙げられる。
本発明において、乾燥後のトナー粒子の水分の含有量は1.0%以下、好ましくは0.5%以下であることが良い。水分含有量が1.0%超となると、トナー粒子に帯電性を付与することが困難なものとなり、画像特性に大きく悪影響を及ぼしてしまう。
次に、本発明に用いられる実質的に水系分散媒体を除去した後にトナー粒子中に残存している重合性単量体を除去することを目的に真空式乾燥機による乾燥を行なうことが好ましい。真空乾燥機は、真空又は減圧の状態でトナー粒子を乾燥できる装置であれば、特に制限なく用いることが可能である。このような装置を用いてトナー粒子の乾燥を行った場合には、水分と同時に、トナー粒子中に残存している重合性単量体を好適に除去することができる。例えば、図2及び図3に模式側面図を示すような態様の真空式乾燥機が好ましく用いられる。この減圧(真空)乾燥において、圧力が高いと揮発物が少なくなり、乾燥効率が低くなるため、13kPa以下で行うことが好ましい。
真空式乾燥機を単独で用いて重合性単量体の乾燥を行なった場合には、前述した如く、粒子の凝集が問題となるが、本発明においては、最初に気流を用いた乾燥機によりトナー粒子の保有している水分を除去しているため、粒子の凝集が抑制される。
図2及び図3に示した態様の撹拌真空式乾燥機について詳しく説明する。
図2に示した乾燥機は、逆円錐形状の乾燥容器32内に被乾燥粒子が供給されて乾燥されるが、乾燥容器32内には、該容器32の上部に配置された駆動装置33に駆動アーム34を介して連結されたスクリュー式の撹拌部材35が設けられており、該撹拌部材35が回転しながら容器32の内周面に沿って旋回するように構成されている。このため、図2に示した乾燥機では、容器32内の被乾燥粒子が下方から上方に持ち上げられながら撹拌と分散とが繰り返されるため、被乾燥粒子が容器32内全体にわたって効率よく撹拌混合される。
また、図2に示したように、容器32の上部には、被乾燥粒子を供給するための原料供給口36と、容器内を減圧にする場合、及びガスを供給しながら減圧乾燥する場合に容器32内のガスを排気するための排気口37が設けられている。そして、原料供給口36には気密な蓋16が取付けられており、排気口37にはバッグフィルタ10が接続されている。更に、乾燥機の下方には、乾燥された製品を取り出すための取出口38が、取出用バルブ39を連結させて設けられている。容器32内を減圧にする場合は、真空ポンプ28により排気口37からバッグフィルタ10、コールドトラップ20を介して容器32内のガスを排気することによって行なう。
更に、図2に示したように、上記した乾燥容器32の周囲には、乾燥容器32内の温度を適宜に制御し、所望の温度で乾燥することを可能とするためのジャケット11が付設されている。このため、乾燥容器32の外壁とジャケット11の内壁との間には隙間が形成されており、この隙間に加熱蒸気や冷却水を通すことができるように、ジャケット11には、蒸気供給口12、冷却水供給口13、及び蒸気や冷却水の排出口14が設けられている。そして、蒸気供給口12には不図示の蒸気発生用ボイラが接続されており、冷却水供給口13には、冷却水ポンプ15が接続されている。
また、乾燥容器32には、容器32の上方と下方位置の二カ所に、蒸気注入口17が設けられており、下方側の蒸気注入口17からの蒸気の供給量を多くすることによって、蒸気注入時に原料の撹拌効果が得られるように構成されている。これらの蒸気注入口17はいずれも、アキュムレータ18を介して蒸気発生用ボイラ19に接続されている。このアキュムレータ18は、容器32内に、飽和又は過熱蒸気を素早く送り込むためのもので、容器32内の原料の加熱を短時間で終了させ、原料を最適な乾燥温度にするために効果を発揮する。
先に述べたように、容器2内の減圧は、真空ポンプ28により排気口37からバッグフィルタ10、コールドトラップ20を介して容器2内のガスを排気することによって行われるが、図2に示したように、バッグフィルタ10内は、仕切板21によって上下二つの室に区画されている。そして、仕切板21の下方側には筒状の濾布22が吊下られており、仕切板21の上方側にはコールドトラップ20に接続される排気口23と、濾布22の中心上方位置に洗浄用ノズル24が配設されている。該洗浄用ノズル24は、コンプレッサ25からの高圧空気を間欠的に噴射して、濾布22を逆圧洗浄するためのものである。また、濾過器26と洗浄用ノズル24との間にはアキュムレータ27が付設されている。このアキュムレータ27は、コンプレッサ25側の高圧空気の供給量不足を補い、圧力変動の少ない安定した状態で一定量の高圧空気を洗浄用ノズル24に送り込むと共に、濾過器26を通過する空気の流量及び通過速度を略一定に保たせて、濾過器26による濾過効果を安定させるために設けられている。
また、ガスを供給しながら減圧乾燥する場合の容器32内へのガスの供給は、装置の下部に設けられたガス投入口30から行なわれる。このようにしてガスを供給しながら減圧乾燥することによって、装置内の下部で生じ易いトナーのブロッキングが抑制され、且つ原料粒子表面からの付着水分或いは残留重合性単量体等の蒸発を効率よくするためのキャリアーガスとして働く。従って、ガス供給を行なうことが、効率向上の面からは好ましい。
乾燥容器32内に供給されたガスは、原料粒子からの水分及び残留重合性単量体等を含んだ加湿ガスとなって、バッグフィルタ10から排気口23を介して排気される。そして、排気された加湿ガスは、コールドトラップ20に送り込まれ、凝縮されてた水分等の液体は、コールドトラップ20からドレンとして排出される一方、ガス分は、コールドトラップ20に接続されている真空ポンプ28によって外部へと排気される。尚、コールドトラップ20には、冷却水を送り込むためのポンプ29が接続されており、加湿ガスを冷却して気液分離を効率よく行なえる構成となっている。
一方、図3に示した乾燥機は、逆円錐形状の乾燥容器32の上部に配置された駆動装置33に、二重螺旋構造をしたリボン翼40が回転するように構成されたものである。このような構成とすることによって、容器32内に供給された被乾燥物を下方から上方に持ち上げながら撹拌と分散とを繰り返し付与できるので、容器32内の原料を全体にわたって効率よく撹拌混合させることができる。図3に示した乾燥機のその他の部分の構成については、図2の減圧乾燥装置と共通であるので、この部分の説明は省略する。
本発明に好ましく用いられる実質的に水系分散媒体を除去した後に用いる減圧式乾燥機として、具体的にはナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、SVミキサー(神鋼パンテック社製)などが挙げられる。
本発明において、乾燥後のトナー粒子の水分の含有量は1.0%以下、好ましくは0.5%以下であることが良い。水分含有量が1.0%超となると、トナー粒子に帯電性を付与することが困難なものとなり、画像特性に大きく悪影響を及ぼしてしまう。
本発明のトナーにおけるメタノール濡れ性は、上記気流乾燥機、真空乾燥機などの乾燥時の温度、時間、風量などの条件によって調整することが好ましい。
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒のトナー粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などが挙げられる。尚、ここで会合とは樹脂粒子及び着色剤粒子が複数個融着することを示す。
なお、本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
懸濁重合法の製造方法としては特に限定されるものではないが、下記の様な製造方法を挙げることができる。
すなわち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構を有する反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で融着させて調製する方法もあげることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法をあげることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂及び着色剤等より構成される2.0μm以下の微粒子を複数以上会合させる方法、特に水系媒体中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させ、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥する事により、本発明のトナーを形成することができる。尚、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
本発明においては、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
上記重合法トナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。例えばポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル;フェノール樹脂;天然変性フェノール樹脂;天然樹脂変性マレイン酸樹脂、;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニール;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリウレタン;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;ポリビニルブチラール;テルペン樹脂;クマロンインデン樹脂;石油系樹脂が使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂があげられる。また、架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていても良く、さらに架橋されている樹脂と架橋されていない樹脂との混合樹脂でも良い。
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;例えば、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましい。
本発明のトナーは、ワックスを含有している。
ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対し2〜30質量部、好ましくは5〜20質量部、より好ましくは8〜20質量部、さらに好ましくは13〜20質量部使用するのが好ましい。
粉砕トナー製法に比べ重合トナー製法においては、用いるワックスがバインダー樹脂より極性が低いことから、水系媒体中での重合方法ではトナー粒子内部に多量のワックスを内包化させ易いため粉砕トナー製法と比較し、多量のワックスを用いることが可能となり、定着時のオフセット防止効果には特に有効となる。
ワックスの配合量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすく、上限を超える場合、耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与えやすく、ドラム融着やスリーブ融着を起こしやすく、特に重合トナー製法の場合には粒度分布の広いトナーが生成する傾向にある。
本発明のトナーにおけるメタノール濡れ性は、先記乾燥時の温度、時間、風量などの条件によって調整することに加えて、ワックスの量、種類によって調整してもよい。
ブラックトナーは、着色剤としてカーボンブラックを用いるため、有機着色剤を用いるカラートナーと比べ、トナーが硬くなり、定着時にオフセットしやすい。そのためトナーにワックスを含有する場合、ブラックトナーはカラートナーより、ワックスの添加量を多くする必要性が生じる場合がある。しかし、トナー中のワックスを増量すると帯電性が低くなり、転写性も悪化する。本発明においては、ブラック現像剤のキャリアが、カラー現像剤のキャリアよりも帯電付与能が高いため、カラートナーよりもワックスを多く添加しているブラックトナーを用いたフルカラー現像剤においては、ブラックトナーの帯電性、転写性が悪くなることは無く、色差なくバランスの取れた現像性を維持することができる。
本発明に用いることが可能なワックスとしては、例えば、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、これらの変性物(例えば、酸化物やグラフト処理物)、高級脂肪酸、およびその金属塩、アミドワックス、及びエステル系ワックスなどが挙げられる。
本発明に用いられるトナーの着色剤としては、以下のものが例示できる。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが用いられる。
該トナーに用いることができるカーボンブラックとしては、平均一次粒径が10〜60nmであることが好ましく、より好ましくは25〜50nmであり、pHが6.0〜11.0であることが好ましく、より好ましくは7〜10.0であり、比表面積が45〜300m2/gであることが好ましく、より好ましくは50〜100m2/gであり、DBP吸油量が10〜100mg/100gであることが好ましく、より好ましくは25〜60mg/100gのものを用いる。
上記範囲に限定する理由は、カーボンブラックの平均粒径が10nmより小さい場合、トナー中でカーボンブラックが凝集するため、トナーの帯電保持能力の低下あるいは、静電荷像担持体から中間転写への転写時における帯電量の低下、及び中間転写体から転写材への転写時における帯電量の低下が生じやすくなり、トナー飛散や、カブリを引き起こしやすくなる。60mμを超えると着色力が低下する。重合法によりトナーを得る場合、pHが6.0未満又は11.0を超える場合には、カーボンブラックの水との親和性が高まり、トナー表面近傍にカーボンブラックが偏在するようになり、トナーの帯電保持能力の低下あるいは、静電荷像担持体から中間転写への転写時における帯電量の低下、及び中間転写体から転写材への転写時における帯電量の低下が生じやすくなり、トナー飛散や、カブリを引き起こしやすくなる。また、カーボンブラックの比表面積が300m2/gを超えると、得られる可視画像のエッジ部においてトナーの飛び散り現象が生じやすくなる。
DBP吸油量について、10ml/100g未満の場合、充分な画像濃度を得ることが困難となり、また100ml/100gを超えた場合、画像定着中にカーボンブラック粒子の凝集を生じやすくなる。
上記カーボンブラックの物性測定において、粒子径は走査電子顕微鏡写真の粒子径を直接選別的にカウントすることにより測定する。次に、比表面積、吸油量、pH値の測定方法について説明する。
〔比表面積〕
比表面積の測定は、ASTM法D3037−78におけるBET法に準拠して行う。図10に示すフローに従いカーボンブラックにN2とHeの混合ガスを流し、N2を吸着させてその量を熱伝導度セルにより検出し、N2吸着量から計算によってサンプルの比表面積を求める。
1)試料を105℃で1時間乾燥後0.1〜1g精秤し、U字管514に入れて流路に取り付ける。
2)流量調節器510及び511によりN2/He混合比を変え所定のP/P0にセットする。
3)コックを開いて試料層に吸着ガスを導入した後、U字管を液体N2513に浸してN2を吸着させる。
4)吸着平衡にしたあと液体N2を取り去り約30秒間、空気中にさらしたあと、U字管を室温の水に浸しN2を脱着させる。
5)脱着曲線をレコーダーに描かせ面積を測定する。
6)これらの操作に先立ち既知量のN2を導入して作成した検量線を用い、上記の試料について得られた面積から所定のP/P0におけるN2吸着量を求める。
以下、次式を適用することにより比表面積を求める。
P/ν/(P0−P)=1/νm/C+(C−1)/νm/C・P/P0
P0:測定温度における吸着質の飽和蒸気圧
P:吸着平衡における圧力
ν:吸着平衡における吸着量
C:定数
P/P0とP/ν(P0−P)との関係は直線となり、その勾配と切片からνmを求める。νmが求められれば比表面積Sは次式により計算される。
S=A×νm×N/Wここで
S:比表面積
A:吸着分子の断面積
N:アボガドロ数
W:試料量
〔吸油量(DBP法)〕
吸油量の測定はASTM法D2414−79に準拠して行う。アブソープトメーターのコックを操作し、自動ビュレット系統に気泡が残らない様に完全にDBP(ジブチルフタレイト)を満たし、装置の各諸元を次の条件にする。
(1)スプリング張力 2.68kg/cm
(2)ローター回転数 125rpm
(3)トルク用リミットスイッチの目盛り 5
(4)ダンパーバルブ 0.150
(5)DBPの滴下速度 4ml/min
DBPの滴下速度を実測により調整したのち、アブソープトメーター混合室に一定量の乾燥試料を入れ、ビュレットカウンターを0点に合わせ、スイッチを自動にして滴下を開始する。トルクが設定点(この場合5)になるとリミットスイッチが作動して滴下が自動的に停止し、その時のビュレットカウンターの目盛(V)を読み、次式によって吸油量を算出する。
OA=100V/W
OA:吸油量(ml/100g)
V:終点(リミットスイッチ作動点)までに用いたDBPの使用量(ml)
W:乾燥試料の重さ(g)
〔pH値〕
カーボンブラック1〜10gをビーカーに計り取り、試料1gにつき10mlの割合で水を加え、時計皿でおおい、15分間煮沸する。試料をぬれやすくする為、エチルアルコール数滴を加えても良い。煮沸後室温まで冷却し、傾斜法または遠心分離法により上澄み液を除去して、泥状物を残す。この泥状物中にガラス電極pH計の電極を入れ、JIS Z8802(pH測定法)によってpHを測定する。この場合、電極の挿入位置により測定が変化することがあるから、ビーカーを動かして電極の位置を変えて、電極面と泥状面が充分に接触する様に注意して測定し、pH値が一定になったところの値を読む。
本発明において、カーボンブラックはトナー粒子の総重量に対し2.0〜15質量%用いるのが好ましく、5.0〜13質量%用いるのが更に好ましい。カーボンブラックの添加重が2.0質量%未満であると、得られる可視画像において、ガサツキ、画像濃度のダウンを生じやすく、逆に15質量%より多い含有量では画像上での飛び散り、カブリ及びトナー飛散を招く要因となりやすい。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168又は180が好適に用いられる。さらにC.I.ソルベントイエロー93、162、163等の染料を併用しても良い。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.Iピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221又は254が好適に用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62又は66が特に好適に利用できる。
これらの着色剤は、単独で、混合して、或いは固溶体の状態で用いることができる。本発明において、着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性、円形度の点を考慮して選択される。本発明に用いられるトナーにおいて、着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、さらにモノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸系、芳香族ダイカルボン酸系オキシカルボン酸系の酸あるいは金属化合物が好ましく用いられる。さらに、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びそれらの金属塩、それらの無水物、それらのエステル類、ビスフェノールの如きそれらのフェノール誘導体類;尿素誘導体;含金属サリチル酸系化合物;含金属ナフトエ酸化合物;ホウ素化合物;4級アンモニウム塩;カリックスアレーン;ケイ素化合物;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−メタクリル酸共重合体;スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体;及びノンメタルカルボン酸系化合物が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
例えば、ニグロシン;脂肪酸金属塩による変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジンアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、の類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及び4級アンモニウム塩又はオニウム塩のレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、例えばりんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類が挙げられる。これらは、単独で或は2種類以上組み合せて用いることができる。
これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が帯電の立上がりが良好の点で特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤は、トナーの樹脂成分100質量部に対して、0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、さらにより好ましくは0.2〜4質量部使用するのが良い。
本発明に用いられるトナーは、必要に応じて磁性材料を添加してもよい。磁性材料は、より好ましくは、表面改質されていることが良い。重合トナー製法で磁性トナーを得る場合には、重合性モノマーに対する重合阻害のない物質である表面改質剤により、表面改質することが好ましく、このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤及びチタンカップリング剤を挙げることができる。
また、本発明のトナーは、必要に応じて添加剤を混合した場合、より良い結果が得られる。添加剤としては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ等の流動性向上剤、フッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛の如き滑剤、あるいは酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、あるいは例えばカーボンブラック、酸化スズ等の導電性付与剤、あるいは低分子ポリエチレンなどの定着助剤等がある。また、逆極性の白色2.0μm以下の微粒子を現像性向上剤として用いることもできる。
本発明に係るトナーは、重量平均粒径が3.0〜10.0μmでありあることが好ましい。トナーの重量平均粒径が10.0μmを超えると、静電荷像を現像するトナー粒子が大きくなるために、磁性コートキャリアの磁気力を下げても静電荷像に忠実な現像が行われにくく、また、静電的な転写を行うとトナーが飛び散りやすくなる。また、重量平均粒径が3μm未満のトナーは、粉体としてのハンドリング性が低下する。トナーの粒度分布を測定するには、例えばコールターカウンターを使用する方法を挙げることができる。
次に本発明に用いられるトナーを製造するための方法について説明する。本発明に用いられるトナーは、粉砕トナー製法及び重合トナー製法を用いて製造することが可能である。
本発明のトナーは、重合トナーが、本発明における所望の転写性、帯電量を得、長期にわたり安定なフルカラー画像品質を維持し、それらを好適に具現化させるのに好ましい。
本発明において、粉砕トナーの製造方法は結着樹脂、ワックス、着色剤としての顔料、染料又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し;得られた混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、樹脂成分を互いに相溶せしめた中に金属化合物、着色剤を分散又は溶融せしめ;得られた混練物を冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
さらに必要に応じてトナーと所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、本発明に用いられるトナーを得ることができる。
次に、本発明に用いられるキャリアについて説明する。
キャリア粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物及びフェライト、更には結着樹脂中に磁性酸化物、金属磁性酸化物等が分散し構成される樹脂キャリアの如く形態のものも使用出来る。また、それらの製造方法として特別な制約はない。
本発明に用いられるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き酸性金属、それらの合金、それらの酸化物及びフェライト、結着樹脂・金属酸化物・磁性金属酸化物等から構成される磁性微粒子分散型樹脂キャリアが使用できる。
本発明に用いられるキャリアは、樹脂、カップリング剤によって被覆されていることが、帯電安定性や環境安定性を持たせる上で好ましい。
本発明に用いられるキャリアとしては、下記の理由から、軽金属含有フェライトキャリア及び磁性微粒子分散型樹脂キャリアが好適に用いられる。従来の現像方式に用いられているCu−Zn、Ni−Znなどの組成からなる軽金属を含有しないフェライト粒子は真比重が4.9程度であるため、被覆構造を考慮してキャリア真比重を4.5以下にすることが必要である。軽金属含有フェライトキャリア及び磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、重金属を含むフェライトキャリアなどに比べ任意に真比重を小さくすることが可能であり本発明のキャリアとしては好適に用いることができる。さらに非磁性金属酸化物及びマグネタイトを含有した重合法磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、磁気特性や比重を任意にコントロールでき、粒子に形状的な歪みが少なく、シャープな粒度分布が達成でき、粒子強度が高い球状にすることが比較的容易であり、流動性に優れている。そのため、オートリフレッシュ現像方式において、本発明のキャリアは、補給用現像剤中のキャリアの偏析が生じにくく、また劣化したキャリアの現像器槽からの排出性をさらに向上させるのに好ましい。特に重合法磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、形状及び粒度分布より空隙率が小さくなるため、補給用現像剤カートリッジの容量を小さくすることができ、画像形性装置を小型化しやすい。また、粒子サイズや抵抗も広範囲に制御できることから、現像スリーブ又はスリーブ内の磁石の回転数が大きい高速複写機や高速レーザービームプリンタ等に適し特に好ましい。
これらキャリア粒子の体積平均粒径は35〜65μm、好ましくは40〜60μmを有することが好ましい。更に、体積分布26μm以下が2〜6%であり、旦つ体積分布35〜43μm間が5%以上25%以下であり、旦つ74μm以上が2%以下である時に良好な画像を維持出来る。
キャリアの体積平均粒径は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により、ランダムに100個以上を抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒度分布を算出し、その50%平均粒径をもって平均粒径としてもよいし、また、レーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、0.05〜200μmの範囲を32対数分割して測定し、50%平均粒径をもって平均粒径としてもよい。
次に本発明の補給用現像剤、二成分現像剤について説明する。
本発明において、トナーとキャリアとを混合して特定色の補給用現像剤を調製する場合は、キャリアとトナーを質量比でキャリア1質量部に対してトナー1〜30質量部の配合割合である。この割合の範囲内であれば、現像槽のキャリアの帯電付与能を効率よく安定化することができる。
また、トナーとキャリアとを混合して現像槽内の二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合には、カブリや機内飛散を生じやすく、現像剤の耐用寿命も低下しやすい。
本発明の補給用現像剤キット及び画像形成装置は、いかなるシステムでも用いることができ、例えば、高速システム用現像剤、オイルレス定着用現像剤、クリーナーレス用現像剤等、公知の現像方法に適用可能である。
本発明者らは、先に述べたオフィス環境において、フルカラー複写機・プリンターでも、白黒画像(特に文字画像)をとる割合は非常に多いというニーズに対して、フルカラー複写機・プリンターであっても、本体装置がコンパクト(小型)でありながら、通常一般白黒機と同様の白黒画像紙のランニングコスト、スピード及び安定な品質を維持しつつ、なお、鮮明高画質はフルカラー画像を得ることが可能な補給用現像剤キット及びフルカラー画像形成装置を鋭意検討を行った。
その結果、ブラックの画像形成方法のみオートリフレッシュ現像方式を用いたフルカラー画像形成装置であり、単一の静電荷像担持体と、該静電荷像担持体上にそれぞれ異なった色のトナー像を形成する複数の像形成ユニットとを少なくとも有しており、静電荷像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体を介してまたは介さずに転写材上に転写し、定着して転写材上に画像を形成する画像形成装置が上記目的を満たす構成として好ましい。また、本発明のトナーは、長期にわたり安定した転写性、クリーニング性を有している事から、静電荷像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して、すなわち2回の転写を行なう画像形成装置に最適である。
さらに詳しくは、上記像形成ユニット群が、複数の像形成ユニットを円環状に配置した像形成ユニット群であり、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを、前記単一の像形成位置に順次移動せしめるため前記像形成ユニット群全体を回転移動させる移動手段を有する画像形成装置、上記像形成ユニット群が、複数の像形成ユニットを並列に配置した像形成ユニット群であり、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを、前記単一の像形成位置に順次移動せしめるため前記像形成ユニット群全体を移動させる移動手段を有する画像形成装置、上記像形成ユニット群が、複数の像形成ユニットを像担持体の周りに配置した像形成ユニット群である画像形成装置、上記像形成ユニット群が、ブラック用像形成ユニット及びその他の色用の像形成ユニットを円環状に配置した像形成ユニット群であり、ブラック用像形成ユニット及その他の色の像形成ユニット群を像担持体の周りに配置した画像形成装置などが好ましい。
例えば図9に示すような像形成ユニット群が、複数の像形成ユニットを円環状に配置した像形成ユニット群であり、前記複数の像形成ユニットのそれぞれを、前記単一の像形成位置に順次移動せしめるため前記像形成ユニット群全体を回転移動させる移動手段を有する画像形成装置を用い現像を行うことができる。
図9は、ロータリー回転方式の各色毎にロータリー現像ユニットを有する現像器交換体13及び中間転写体45を搭載した電子写真方式のフルカラー画像形成装置の一例の概略構成図である。静電潜像担持体1は、帯電装置15によりその表面を負極性に一様に帯電される。次に露光装置14により、一色目、例えばイエロー画像に対応する像露光がなされ、静電潜像担持体1の表面にはイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
現像器交換体13は回転移動式の構成であり、概略構成図を図7に示す。前記イエロー画像に対応する静電潜像の先端が現像位置に到達する以前に、イエロー現像器が静電潜像担持体1に対向し、その後磁気ブラシが静電潜像を摺擦して、前記静電潜像担持体上にイエロートナー像を形成する。
図6は、図9の現像器2、3、4および5の概略構成図である。
なお、オートリフレッシュ現像方式を用いないカラー用現像器2,3,4については、34〜39の現像剤回収機能部を有していない。
現像に用いられる各現像器には、図6に示すように、例えば、現像剤担持体としての現像スリーブ6、マグネットローラ8、規制部材7、現像剤搬送スクリュー10、11、図示されていないスクレーパ等が設けられている。
図9を用いて現像器内の現像剤が現像されるまでの搬送されていく流れを説明する。現像スリーブ6は固定したマグネットローラ8を内包し、静電潜像担持体1の周面との間に所定の現像間隔を保ち駆動回転される。なお、現像スリーブ6と静電潜像担持体1とは接触している場合もある。規制部材7は剛性かつ磁性を有し、現像スリーブ6に対し現像剤が介在しない状態で所定の荷重をもって圧接されるものや、現像スリーブ6との間に所定の間隔を保って配されるもの等、種々のものがある。一対の現像剤搬送スクリュー10、11は、スクリュー構造を持ち、互いに逆方向に現像剤を搬送循環させて、トナーとキャリアを十分撹拌混合した上、現像剤として現像スリーブ6に送る作用をするものである。マグネットローラ8は、例えば、N極およびS極を交互に等間隔に配置した等磁力の4極の磁石から構成されるもの、6極の磁石から構成されるもの、或いは、スクレーパに接する部分において反発磁界を形成し、現像剤の剥離を容易にするために、1極欠落させて5極とし、前記現像スリーブ6内で固定した状態で内包させたものであっても良い。
上記一対の現像剤搬送スクリュー10、11は、互いに相反する方向に回転する撹拌部材を兼ねる部材であって、補給用現像剤収容容器(図7:2a、3a、4a、5a)から補給用現像剤収容装置9のスクリューの推力によって、補給される補給用現像剤を搬送すると共に、トナーとキャリアとの混合作用によって、摩擦帯電がなされた均質な二成分の現像剤とされ、現像スリーブ6の周面上にその二成分系現像剤を層状に付着する。
現像スリーブ6の表面の現像剤は、マグネットローラ8の磁極に対向して設けた規制部材7により、均一な層を形成する。均一に形成された現像剤層は、現像領域において、静電潜像担持体1の周面上の潜像を現像し、トナー像を形成する。
そして、このトナー像は、転写装置40で中間転写体45に転写されることになる。
上記のイエロのコピーサイクルが終了すると、イエロートナーの転写を終えた静電潜像担持体1は、その後、必要に応じてクリーニング前処理が施された後、除電装置で除電され、クリーニング装置18により表面に残ったイエロートナーが掻き取られる。
そして、現像装置13が回転し、順次現像器3、4、5が静電潜像担持体1に対抗するように切り替わり、上記の同様のコピーサイクルで、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が中間転写体45に転写されることとなる。
上記の各コピーサイクルが実行されると、各色成分別のトナー像は、転写装置40により中間転写体45の同位置へ転写されることになり、各色成分別のトナーが重ねられることで完成したひとつのトナー像を形成することになる。一方、給紙トレイ25に収容された用紙または透明シート等の転写材12は、送り出しローラ28により1枚ずつレジストレーションローラー25に給紙され、中間転写体45に同期して転写材12を中間転写体45と転写ローラ43との間に搬送する。搬送された転写材12は、転写ローラ43により中間転写体45のトナー像が転写された後、剥離フィンガー44により中間転写体45から分離され、搬送ベルト20により定着装置21へ導入される。そして、転写材12へのトナー像の定着が行われた後、外部へ排出されることで、1回のコピーモードが終了することになる。
また、転写材にトナー像を転写した中間転写体45は、その表面を図示されていない除電装置で除電した後、クリーニング装置23で表面クリーニングが行われ、次のコピーサイクルを待つことになる。
上記のような複写動作が繰り返されると、図6の現像器内の現像槽17内に収納されている現像剤中のトナーは徐々に消費され、キャリアに対するトナーの比率、すなわちトナー濃度が低下していく。このトナー濃度の変化は、現像槽17に設けられた図示しないトナー濃度センサによりトナー濃度が現像に必要な適性範囲内に常に入るようにフィードバック制御される。
上記制御により、補給用現像剤収容容器から補給用現像剤が補給用現像剤収容装置9に排出され、ついで、スクリューの推進力によって補給用現像剤収容装置9の補給口から、補給用現像剤が現像器内の現像槽17に供給される。
また、オートリフレッシュ現像方式を用いたブラック用現像器5においては、本発明のトナーとキャリアを混合した補給用現像剤が、補給用現像剤収容容器5aから、補給用現像剤収容装置9の補給口をえて、ブラック用現像器5に補給される。
次に、図9に示した回転移動する現像器交換体13内の回転移動を利用した、ブラック用現像器5からの過剰になった現像剤の排出について図6を用いて説明する。
回転移動方式を採用したロータリー現像ユニットを有する現像器交換体13を具備するフルカラー画像形成装置において、現像器2、3、4、5は、現像器交換体13の内部で回転移動し、現像時、静電潜像担持体1に対向する位置に回転移動して現像を行い、非現像時は静電潜像担持体1に対向していない位置に回転移動する。
現像器5が静電潜像担持体1に対向し、現像動作を行っている位置で、過剰になった現像剤(劣化したキャリア)は、現像器5に設けられた現像器側現像剤排出口34から溢出され、回転動作により、中間現像剤回収部37、現像剤回収オーガ36を移動し、ロータリー回転方式現像装置の回転中心軸に設けられた現像剤回収容器39に排出される。
本発明における現像方法は、具体的には、現像スリーブに交流電圧を印加して、現像領域に交番電界を形成しつつ、磁気ブラシが静電潜像担持体1に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像スリーブ6と静電潜像担持体1の距離(S−D間距離)は、100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁極S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
交番電界のピーク間の電圧は300〜3000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、交番電界を形成するための交流バイアスの波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形が挙げられる。ときにトナー像の形成速度の変化に対応するためには、非連続の交流バイアス電圧を有する現像バイアス電圧(断続的な交番重畳電圧)を現像スリーブに印加して現像を行うことが好ましい。印加電圧が300Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。また、3000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、潜像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、静電潜像担持体の一次帯電を低めることができるために静電潜像担持体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが200V以下、より好ましくは150V以下が良い。コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように100〜400Vが好ましく用いられる。
また、周波数が500Hzより低いと、プロセススピードにも関係するが、静電潜像担持体に接触したトナーが現像スリーブに戻される際に、十分な振動が与えられずカブリが生じやすくなる。10000Hzを超えると、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
本発明において現像方法で重要なことは、十分な画像濃度を出しドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために、現像スリーブ6上の磁気ブラシの静電潜像担持体1との接触幅(現像当接部)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像当接部が3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になる。
現像当接部の調整方法としては、規制部材7と現像スリーブ6との距離を調整したり、現像スリーブ6と静電潜像担持体1との距離(S−D間距離)を調整することで当接幅を適宜調整する方法がある。
静電潜像担持体の構成としては、通常の画像形成装置に用いられる静電潜像担持体と同じで良く、例えば、アルミニウム、SUS等の導電性基体の上に、順に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて電荷注入層を設ける構成の感光体が挙げられる。導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層は、通常の感光体に用いられるもので良い。感光体の最表面層として、例えば電荷注入層あるいは保護層を用いてもよい。
本発明の補給用現像剤を用いることで現像装置内での現像剤にかかるシェアが小さく、多数枚の複写においてもキャリアへのトナーあるいは外添剤等のスペントが抑制できる。さらにはオートリフレッシュ用の補給用現像剤中からのキャリア補給量が少なくとも、画質低下を押さえることが出来るなどの本発明の効果が十分に発揮できる。
本発明のオートリフレッシュ現像方式の補給用現像剤及び二成分系現像剤を用いる画像形成方法として、本発明により、現像槽内における現像剤量の増減によって現像槽内のキャリア濃度が基準値から大きく変化することを防止しでき、現像槽内のキャリア交換がスムーズに行え、トナー濃度を高い精度で安定して制御することができ、長期使用においても、トナー飛散が無く、現像器内でのトナーの帯電量が安定であり、画増均一性、階調性に優れ、カブリがない効果をより有効に発揮できるクリーナーレスシステムの一例について図8を用いて説明する。
帯電ローラー15aを静電潜像担持体1の表面に接触させ、静電潜像担持体1を帯電する。帯電ローラー15aには、図示されないバイアス印加手段により帯電バイアスが印加されている。帯電された静電潜像担持体1に、図示されない露光装置によりレーザ光Lを照射することにより、デジタルな静電潜像を形成する。静電潜像担持体1上に形成された静電潜像は、マグネットローラ8を内包し、図示されないバイアス印加装置によって現像バイアスを印加されている現像スリーブ6に担持された二成分系現像剤T中のトナーTaによって、現像される。
現像器Pは、隔壁117により現像剤室R1、撹拌室R2に区画され、それぞれ現像剤搬送スクリュー10、11が設置されている。撹拌室R2の上方には、補給用現像剤118を収容した補給用現像剤収容室R3が設置され、補給用現像剤収容室R3の下部には補給用現像剤補給口120が設けられている。
現像剤搬送スクリュー11は回転することによって、現像剤室R1内の現像剤を撹拌しながら現像スリーブ6の長手方向に沿って一方向に搬送する。隔壁117には図の手前側と奥側に図示しない開口が設けられており、スクリュー11によって現像剤室R1の一方に搬送された現像剤は、その一方側の隔壁117の開口を通って撹拌室R2に送り込まれ、現像剤搬送スクリュー10に受け渡される。スクリュー10の回転方向はスクリュー11と逆で、撹拌室R2内の現像剤、現像剤室R1から受け渡された現像剤及び補給用現像剤収容室R3から補給された補給用現像剤を撹拌、混合しながら、スクリュー10とは逆方向に撹拌室R2内を搬送し、隔壁117の他方の開口を通って現像剤室R1に送り込む。
静電潜像担持体1上に形成された静電潜像を現像するには、現像剤室R1内の現像剤Tがマグネットローラ8の磁力により汲み上げられ、現像スリーブ6の表面に担持される。
現像スリーブ6上に担持された現像剤は、現像スリーブ6の回転にともない規制部材7に搬送され、そこで適正な層厚の現像剤薄層に規制された後、現像スリーブ6と静電潜像担持体1とが対向した現像領域に至る。マグネットローラ8の現像領域に対応した部位には、磁極(現像極)N1が位置されており、現像極N1が現像領域に現像磁界を形成し、この現像磁界により現像剤が穂立ちして、現像領域に現像剤の磁気ブラシが形成される。そして磁気ブラシが静電潜像担持体1に接触し、反転現像法により、磁気ブラシに付着しているトナーおよび現像スリーブ6の表面に付着しているトナーが、静電潜像担持体1上の静電潜像の領域に転移して付着し、静電潜像が現像されトナー像が形成される。
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ6の回転にともない現像器P内に戻され、スクリュー11により現像スリーブ6から剥ぎ取られ、現像剤室R1および撹拌室R2内に落下して回収される。
上記の現像により現像器P内の現像剤TのT/C比(トナーとキャリアの混合比)が減ったら、補給用現像剤収容室R3から補給用現像剤18を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R2に補給し、現像剤19のT/Cが所定量に保たれる。現像器4内の現像剤19のT/C比の検知には、コイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサを使用する。該トナー濃度検知センサは、図示されないコイルを内部に有している。
現像スリーブ6の下方に配置され、現像スリーブ6上の現像剤Tの層厚を規制する規制部材7は、アルミニウム又はSUS316の如き非磁性材料で作製される非磁性ブレード7が挙げられる。ブレード7の端部と現像スリーブ6面との距離は150〜800μmが好ましく、特に好ましくは250〜700μmである。この距離が150μmより小さいと、キャリアが凝集してこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布しにくく、濃度の薄いムラの多い現像画像が形成されやすい。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためにはこの距離は150μm以上が好ましい。800μmより大きいと現像スリーブ11上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行いにくく、静電潜像担持体1へのキャリアの付着が多くなると共に現像剤の循環、規制部材7による現像規制が弱まりトナーのトリボが低下しカブリやすくなる。
この磁性キャリア層は、現像スリーブ6が矢印方向に回転駆動されても磁気力・重力に基づく拘束力と現像スリーブ6の移動方向への搬送力との釣合いによってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。重力の影響により落下するものである。
また、現像されたトナー像は、搬送されてくる転写材(記録材)12上へ、バイアス印加手段26により転写バイアス印加されている転写手段である転写ブレード27により転写され、転写材上に転写されたトナー像は、図示されていない定着装置により転写材に定着される。転写工程において、転写材に転写されずに静電潜像担持体1上に残った転写残トナーは、帯電工程において、帯電を調整され、現像時に回収される。
図9は、本発明の補給用現像剤及び二成分系現像剤を用いる画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。図9に於けるフルカラー画像形成装置は、各色の画像形成を各色毎の静電潜像担持体を用いて行うタンデム方式が用いられる。
図9におけるフルカラー画像形成装置は、静電荷像担持体上に残存した転写残トナーを回収し貯蔵するための独立したクリーニング手段を有さず、現像手段がトナー像を転写材上に転写した後に静電潜像担持体に残留したトナーを回収する現像同時クリーニング方法を行っているものである。
フルカラー画像形成装置本体には、図8のクリーナーレスシステムの構成を有する第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設されている。Pdのみ、オートリフレッシュ現像方式を用いた画像形成ユニットであり、図9〜3で説明した現像剤排出口34から現像剤回収容器39の機能を有する現像剤回収部85を有している。Pa〜Pdは、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、静電潜像担持体としての直径30mmの静電潜像担持体61aを具備し、この静電潜像担持体61aは矢印a方向へ回転移動される。帯電手段としての一次帯電装置62aは、直径16mmのスリーブの表面に形成された帯電用磁気ブラシが静電潜像担持体61aの表面に接触するように配置されている。レーザ光67aは、一次帯電器62aにより表面が均一に帯電されている静電潜像担持体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。静電潜像担持体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像器63aは、カラートナーを保持している。
転写手段としての転写ブレード64aは、静電潜像担持体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電装置62aによって静電潜像担持体61aを均一に一次帯電した後、露光装置67aにより静電潜像担持体に静電潜像を形成し、現像器63aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー像を第1の転写部(静電潜像担持体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、T/C比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定する図示されていないトナー濃度検知センサで検知し、消費されたトナー量に応じて、補給用現像剤収容容器99a図示されていない排出手段により、本発明の補給用現像剤が補給用現像剤収容装置66aに排出され、ついで、補給用現像剤装置66aのスクリューの推進力によって補給口から、補給用現像剤が現像器内の現像槽に供給される。なお、図示されていないトナー濃度検知センサはコイルを内部に有している。
さらに、本発明のトナーとキャリアを混合したブラック用補給用現像剤は、補給用現像剤収容容器99dから、補給用現像剤収容装置9の補給口をえて、現像器Pdに補給する。過剰になった現像剤は、現像器回収部85より排出される。
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像器に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。
例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4のオートリフレッシュ現像方式を用いた画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。
この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着装置70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着装置70は、例えば、一対の直径40mmの定着ローラ71と直径30mmの加圧ローラ72を有し、定着ローラ71は、内部に加熱手段75及び76を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図9において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、駆動ローラ80によって矢印e方向に移動するものである。他に、転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラ81、ベルト除電器82を有し、一対のレジストローラ83は転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送するためものである。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えて、ローラ状の転写ローラの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。但し、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。
トナーの製造例:
トナーの製造例1(ブラックトナーA)
イオン交換水710質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、クリアミキサー(エム・テクニック社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 170質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・カーボンブラック(プリンテックス90 デグサ社製) 10質量部
・飽和ポリエステル 10質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物Tg=65℃、Mw=10000)
・ジターシャルブチルサリチル酸アルミニウム化合物 3質量部
・化合物(1) 25質量部
(DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
上記処方のうち、カーボンブラック、サリチル酸金属化合物とスチレン単量体100質量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に上記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を80℃に昇温させ50回転/分で重合を10時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率22質量%の湿潤着色重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の重合平均粒径は6.2μmであった。
得られた湿潤着色重合体粒子を解砕後、連続瞬間気流乾操機(フラッシュドライヤーFJD−4:セイシン企業社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、90℃の空気を線速度16.5m/秒で吹き込み、湿潤着色重合体粒子を20kg/hrで連続的に供給した。尚、乾燥に要した時間は0.7秒であった。含水率を測定したところ、0.1質量%であった。また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の量は、530ppmであった。トナー凝集によるダマの発生もなく、目開き149μmの篩いの通過率は97%であった。
次に、取り出した一次乾燥トナー粒子約30kgを、容量100リットルのナウター型の真空乾燥機(NXV−1型:ホソカワミクロン社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃,真空度2〜5kPa,下部より窒素ガスを5.0Nリットル/minで供給し3時間乾燥を行った。この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、20ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。
得られたトナー粒子中の粗粉を分級により除去し、除去後のトナー粒子100重量部に対し、シリカ(アエロジル社製R972)0.7質量部、酸化チタン(テイカ社製 MT150)0.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して本発明のブラックトナー1を得た。
得られたトナーの重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性は、表1のとおりであった。
以下に、トナー粒径の測定の具体例を示す。
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、前述したコールターカウンターマルチサイザーにより17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した体積平均粒径をコンピュータ処理により求めた。
トナーの製造例2〜7(ブラックトナーB〜F)
トナーの製造例1の連続瞬間気流乾操機での乾燥において、乾燥条件として、空気の線速度及び、湿潤着色重合体粒子の供給量を調整し、表1のような重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性を有するブラックトナーを得た他は同様に行い、ブラックトナーB〜Fを得た。
トナーの製造例8〜15(ブラックトナーG〜M)
トナーの製造例1の連続瞬間気流乾操機での乾燥において、乾燥条件として、送風する空気の温度、線速度、湿潤着色重合体粒子の供給量を調整し、表1のような重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性度を有するブラックトナーを得た他は同様に行い、ブラックトナーG〜Mを得た。
トナーの製造例16(カラートナー1)
イオン交換水710質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、クリアミキサー(エム・テクニック社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 170質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・着色剤
イエロートナーの場合 ピグメントイエロー 93 6.5質量部
マゼンタトナーの場合 キナクリドン 8質量部
シアントナーの場合 C.Iピグメントブルー15:3 15質量部
・飽和ポリエステル 10質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物Tg=65 ℃、Mw=10000)
・ジターシャルブチルサリチル酸アルミニウム化合物 3質量部
・前記化合物(1) 25質量部
(DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
上記処方のうち、着色剤、サリチル酸金属化合物とスチレン単量体100質量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に上記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を80℃に昇温させ50回転/分で重合を10時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率22質量%の湿潤着色重合体粒子を得た。
得られた湿潤着色重合体粒子約40kgを解砕後、図1の如き構成を有する流動層乾燥機(FBS−5型:大川原製作所社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、50℃の空気を線速度0.4m/秒で吹き込み、2時間後にトナー粒子を取り出し含水率を測定したところ、0.3質量%であった。また、この時点でトナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は450ppmであった。トナー粒子の凝集によるダマの発生もなく、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。
次に、取り出した一次乾燥トナー粒子約30kgを、図2の如き構成を有する容量100リットルのナウター型の真空乾燥機(NXV−1型:ホソカワミクロン社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPaで4時間乾操を行った。この時点で含水率は0.1質量%であり、トナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、50ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は95%であった。
得られたトナー粒子中の粗粉を分級により除去し、除去後のトナー粒子100質量部に対し、シリカ(アエロジル社製R972)0.7質量部、酸化チタン(テイカ社製 MT150)0.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して本発明のイエロートナー1/マゼンタトナー1/シアントナー1を得た。
得られたトナーの重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性は、表1のとおりであった。
トナーの製造例17(カラートナー2)
トナーの製造例1の連続瞬間気流乾操機での乾燥において、乾燥条件として、送風する空気の温度、線速度、湿潤着色重合体粒子の供給量を調整し、また、着色剤の種類、量をトナーの製造例16と同様のものを用いた以外は同様に行い、表1のような重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性度を有するイエロートナー2/マゼンタトナー2/シアントナー2を得た。
トナーの製造例18(カラートナー3)
トナーの製造例16において、分級の条件を調整し、表1のような重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性を有するカラートナーを得た他は同様に行い、イエロートナー3/マゼンタトナー3/シアントナー3を得た。
トナーの製造例19(カラートナー4)
トナーの製造例16において、流動層乾燥機での乾燥において、乾燥条件として、空気の温度及び、線速度を調整し、表1のような重量平均粒径、平均円形度、2.0μm以下の微粒子量、メタノール濡れ性を有するイエロートナー4/マゼンタトナー4/シアントナー4を得た。
キャリアの製造例:
・フェノール(ヒドロキシベンゼン) 50質量部
・37質量%のホルマリン水溶液 80質量部
・水 50質量部
・シラン系カップリング剤で表面処理された
マグネタイト微粒子 320質量部
(50%粒径0.25μm、体積抵抗値3×105Ωcm)
・シラン系カップリング剤で表面処理された
α−Fe2O3微粒子 80質量部
(50%粒径0.35μm、体積抵抗値6×109Ωcm)
・25質量%のアンモニア水 15質量部
上記材料を四ツ口フラスコに入れ、撹拌混合しながら50分間で85℃まで昇温保持し、120分間反応・硬化させた。その後30℃まで冷却し500質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いでこれを減圧下(665Pa=5mmHg)160℃で24時間乾燥して、フェノール樹脂をバインダ樹脂とする磁性キャリアコアを得た。
得られた磁性キャリアコアの表面に、下記一般式(6)で表されるγ−アミノプロピルトリメトキシシランの3質量%メタノール溶液を塗布した。
磁性キャリアコアの表面は、0.12質量%γ−アミノプロピルトリメトキシシランで処理されていた。塗布中は、磁性キャリアコアに剪断応力を連続して印加しながら、塗布しつつメタノールを揮発させた。
上記処理機内のシランカップリング剤で処理された磁性キャリアコア(A)を50℃で撹拌しながら、シリコーン樹脂SR2410(東レダウコーニング(株)製)を、シリコーン樹脂固形分として20%になるようトルエンで希釈した後、減圧下で添加して、0.5質量%の樹脂被覆を行った。
以後、窒素ガスの雰囲気下で2時間撹拌しつつ、トルエンを揮発させた後、窒素ガスによる雰囲気下で140℃,2時間熱処理を行い、凝集をほぐした後、200メッシュ(75μmの目開き)以上の粗粒を除去し、キャリアを得た。
得られたキャリアの個数平均粒径は35μmであった。
<実施例1>
キャリアとブラックトナーA、イエロートナー1、マゼンタトナー1、シアントナー1を全質量に対するトナーの割合が8質量%となるようにそれぞれ混合し、それぞれ4色の二成分系現像剤、及びキャリアとブラックトナーAで、全質量に対するトナーの割合が85質量%となるよう均一にそれぞれ混合したブラック補給用現像剤を製造した。
得られた4色の二成分系現像剤及び補給用現像剤(イエロー、マゼンタ、シアンはトナーのみ)を市販のirC3100(キヤノン社製)を用い、A4ブラック・画像DUTY5%のモノクロオリジナル画像及びA4各色画像DUTY5%のフルカラーオリジナル画像を9枚:1枚の割合で30万枚画出しし、画像濃度安定性、カブリ、トナー飛散、画像均一性、細線再現性、クリーニング不良に関して評価を行なった。また、ブラック補給用現像剤収容容器の補給口からの補給用現像剤のキャリア濃度安定性の評価を行った。評価環境は、30.0℃/95%RH及び25.0℃/15%RHにて行なった。結果を表2に示す。それぞれの測定条件及び評価基準を以下に示す。
〔画像濃度安定性〕
画像濃度はカラー反射濃度計(例えばX−RITE 404Amanufactured by X−Rite Co.)で測定する。初期濃度と30万枚画出し終了後の濃度の差で評価する。
○:0.1%以下
△:0.2%を超え0.3%以下
×:0.3%を超える
〔カブリ〕
カブリに関しては、30万枚画出し終了後、反射濃度計(densitometer TC6MC:(有)東京電色技術センター)を用いて、白紙の反射濃度、及び複写機で画出しした紙の非画像部の反射濃度を測定し、両者の反射濃度の差を白紙の反射濃度を基準とし、4色の中でカブリが最も悪いものを下記評価基準に基づいて示した。
(評価基準)
A:0.6%未満
B:0.6〜1.1%未満
C:1.1〜1.6%未満
D:1.6〜2.1%未満
〔画像均一性・画質〕
30万枚画出し終了後、単色ベタ画像及び4色ハーフトーン画像重ね合わせ画像、オリジナル写真画像をプリントアウトし、その画像均一性及び画質を目視で評価した。
◎:非常に良好(均一画像で画像ムラが確認できず、画質も良好なレベル)
○:良好 (若干の画像ムラが確認できるが、実用上全く問題ないレベル)
△:実用可 (画像ムラが確認でき、画質も若干悪いが、実用上問題ないレベル)
×:実用不可 (画像ムラが著しく、画質も実用的に困難なレベル)
なお、実施例2、比較例1以降で、マゼンタ及びイエロー現像剤を用いない場合には、画像均一性・画質評価は、ブラック、シアンの単色ベタ画像及び2色ハーフトーン画像重ね合わせ画像をプリントアウトし、その画像均一性を目視で評価した。
〔ブラック細線再現性〕
30万枚画出し終了後、細線再現性は次に示すような方法によって測定を行なった。すなわち、正確に幅100μmとした細線のオリジナル原稿を、適正なる複写条件でコピーした画像を測定用サンプルとし、測定装置として、ルーゼックス450粒子アナライザーを用いて、拡大したモニター画像から、インジケーターによって線幅の測定を行なう。この時、線幅の測定位置はトナーの細線画像の幅方向に凹凸があるため、凹凸の平均的線幅をもって測定点とする。これより、細線再現性の値(%)は、下記式によって算出する。
(測定より求めた複写画像の線幅)/(オリジナルの線幅)×100
〔クリーニング不良〕
クリーニング不良を評価する手段として、30万枚画出し終了後、静電荷像担持体に対するクリーニングブレードの針入量を1.0mm(画出し初期設定1.5mm)に設定し、は単色ベタ画像及び4色ハーフトーン画像重ね合わせ画像をプリントアウトし、静電荷像担持体表面のクリーニング不良にともなうトナーの拭き残し及びクリーニング不良にともなう画像欠陥の有無を確認し、下記の基準で評価した。
◎:静電荷像担持体表面にクリーニング不良にともなうトナーの拭き残しは認められず、
画像も良好。
○:静電荷像担持体表面にクリーニング不良にともなうトナーの拭き残しがわずかに見ら
れるものの、画像欠落もなく良好。
△:電荷像担持体表面にクリーニング不良にともなうトナーの拭き残しが見られるものの
、画像欠落は生じていない。
×:電荷像担持体表面にクリーニング不良にともなうトナーの拭き残しが見られ、画像に
も欠落が見られる。
<実施例2〜10、比較例1〜5>
実施例1において、ブラックトナーとカラートナーの組み合わせを表2のように行ったことを除いては、実施例1と同様に行なった。各評価は、表2のような結果が得られた。