JP2018059972A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色剤含有組成物粒子を形成する造粒工程と重合工程を含むトナー粒子の製造方法において、重合工程での安定した生産性を確保した上で、微小粒子及びトナー凝集を抑制できるトナー粒子の製造方法を提供することにある。【解決手段】重合性単量体と着色剤を含有する着色剤含有組成物を第一水系媒体に加え、該第一水系媒体の中で該着色剤含有組成物粒子を形成する造粒工程と、該第一水系媒体と該着色剤含有組成物粒子との分散液を第二の水系媒体に加え、第二の水系媒体の中で重合開始剤により重合して着色重合体粒子を形成する重合工程とを含むトナー粒子の製造方法において、該第一水系媒体が分散安定剤Aと2価以上の金属イオンとを含有し、該第一水系媒体に含まれる該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下であり、該第二の水系媒体が分散安定剤Bを含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法に用いるトナー粒子の製造方法に関する。
近年、トナー粒子の製造方法として、重合性単量体等を使用した懸濁重合法、乳化重合凝集法や、結着樹脂等を溶剤中で造粒する溶解懸濁法等の湿式製法のトナーに関する提案が多くなされている。例えば懸濁重合法では、重合性単量体、着色剤、離型剤及び重合開始剤、さらに必要に応じて樹脂、架橋剤、荷電制御剤およびその他の添加剤を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物とする。これを、分散安定剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散させ、着色剤含有組成物を重合させて、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
このような着色剤含有組成物粒子を含有する水系分散液は、それ自体で非常に不安定化しやすいものとなっている。不安定な液滴を含有する水系分散液中では、液滴同士の合一、液滴の破壊などが起こりやすい。
さらに、水系分散液を反応釜へ投入する際に、水系分散液が反応釜の底部などに激突して、衝撃による液滴の破壊がおこりやすい。その結果、反応釜内壁や撹拌機などへの液滴の付着が起こりやすい。
水系分散液の反応釜内への投入時に液滴を安定化させ、反応釜内壁や撹拌機などへの液滴の付着を抑制するために、トナーの製造方法が提案されている(例えば特許文献1)。
この手法は、着色剤含有組成物粒子を形成させる工程、及び着色剤含有組成物粒子を重合しトナー粒子を得る工程を有しており、いずれの工程にも分散安定剤を含む水系媒体を用いる。重合工程にも分散安定剤を含む水系媒体を用いることで、水系分散液の重合工程への投入時に、反応釜の壁に直接水系分散液が激突しないため、反応釜内壁や撹拌機などへの液滴の付着を抑制することができるというものである。
しかし、重合工程に分散安定剤を含む水系媒体を用いると、トナー粒子径に比べはるかに小さい粒子(微小粒子)の発生しやすい傾向がある。これは、着色剤含有組成物粒子が投入された衝撃と分散安定剤の影響で、着色剤含有組成物粒子が一部分裂しやすくなるからである。微小粒子を含んだトナーは、電子写真に用いると、カートリッジ内の摺擦箇所、特に現像剤担持体や現像剤規制部材間の摺擦部への微小粒子の付着、固着により、現像スジ等の画像不良を発生してしまう場合がある。
一方で、微小粒子の発生を抑制する手段として、分散安定剤となる無機化合物や無機化合物の添加手法に工夫がなされたトナー粒子の製造方法が提案されている(例えば特許文献2)。
これら手法は、分散安定剤の性状を良化させることにより、確かに微小粒子の発生を抑制することが可能である。しかし、難水溶性の分散安定剤により液滴を安定化させた後、分散安定剤を含む水系分散液の重合工程への投入する際、難水溶性の分散安定剤が不安定となり、液滴同士の凝集が起きる場合がある。このトナーを電子写真に用いると、トナーの帯電が不均一になるため画像上の白地部に現像されるカブリという現象が起きてしまう。
よって、重合工程での安定した生産性を確保した上で、微小粒子、及びトナー凝集を抑制できるトナー粒子の製造方法に関しての検討は未だ不十分であるといえる。
特許第3972709号公報 特開2008−9092号公報
本発明の目的は、着色剤含有組成物粒子を形成する造粒工程と重合工程を含むトナー粒子の製造方法において、重合工程での安定した生産性を確保した上で、微小粒子、及びトナー凝集を抑制できるトナー粒子の製造方法を提供することにある。つまり、電子写真に用いても、カブリ、現像スジといった画像弊害の無いトナーを提供することである。
本発明は、重合性単量体と着色剤を含有する着色剤含有組成物を第一水系媒体に加え、該第一水系媒体の中で着色剤含有組成物粒子を形成する造粒工程と、該第一水系媒体と該着色剤含有組成物粒子との分散液を第二の水系媒体に加え、第二の水系媒体の中で重合開始剤により重合して着色重合体粒子を形成する重合工程とを含むトナー粒子の製造方法において、
該第一水系媒体が分散安定剤Aと2価以上の金属イオンとを含有し、該第一水系媒体に含まれる該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下であり、
該第二の水系媒体が分散安定剤Bを含有することを特徴とするトナー粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、第二の水系媒体に含まれる該分散剤安定剤Bの質量が、該第一の水系媒体に含まれる分散安定剤Aの質量に対して、5.0質量%以上40.0質量%以下であるトナー粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、該2価以上の金属イオンが、マグネシウムイオンであるトナー粒子の製造方法に関する。
さらに本発明は、該着色剤含有組成物中にポリエステル樹脂を含有するトナー粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、該ポリエステル樹脂の酸価が1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下であるトナー粒子の製造方法に関する。
本発明により、重合工程での液滴の付着を抑制することで安定した生産性を確保できる。さらに、微小粒子、及びトナー凝集を抑制することで、現像スジ、カブリによる画像不良を発生しないトナー粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本懸濁重合法による本発明のトナーの製造方法について説明する。懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を含有する着色剤含有組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で着色剤含有組成物を造粒し着色剤含有組成物粒子を形成し、該着色剤含有組成物粒子を重合してトナー粒子を得る製造方法である。
以下、懸濁重合法による本発明を工程毎に説明する。
(着色剤含有組成物の準備)
重合性単量体および着色剤を含む着色剤含有組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで着色剤含有中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、その他の組成物と同時、または、その他の組成物を混合した後に分散させてもよい。
(第一水系媒体の調製工程)
第一水系媒体が分散安定剤Aと2価以上の金属イオンとを含有し、該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下含有することが、トナー凝集、及び微小粒子の抑制と高円形度を達成するために重要である。より好ましくは、該2価以上の金属イオンが10.0mmol/L以上100.0mmol/L以下である。この理由については、後述する造粒工程及び反応工程にて説明する。
本発明の該分散安定剤Aとしては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができる。無機系の分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
本発明においては、該分散安定剤Aを用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤が重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上4.0質量以下の範囲となるような割合で使用することが好ましい。このような範囲となる割合で使用することによって、着色剤含有組成物の水系媒体中での液滴安定性が向上するからである。また、本発明においては、着色剤含有組成物100質量に対して300質量部以上3000質量部以下の範囲の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記分散安定剤Aが分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させても良い。しかし、細かい均一な粒度を有する分散安定剤粒子を得るために、水中にて高速撹拌下に、上記難水溶性無機分散安定剤を生成させて調製することが好ましい。
また、該分散安定剤Aとして特に塩化カルシウム水溶液とリン酸ナトリウム水溶液とを混合することによって調製されたものであることが好ましい。塩化カルシウムとリン酸ナトリウムからは、下記式(1)に示すように、ヒドロキシアパタイトと副生塩である塩化ナトリウムが生成される。ヒドロキシアパタイトは、着色剤含有組成物粒子を安定化させるために好ましい分散安定剤である。また、副生塩として塩化ナトリウムが生成されるので、微小粒子を抑制する塩析効果を発現するためにも、本発明では好ましく使用される。その塩析効果とは、着色剤含有組成物の粒子中から重合性単量体のモノマーが水系媒体中に溶け込むことを抑制できることを示す。
6Na3PO4+10CaCl2+2H2O→[Ca3(PO423Ca(OH)2+18NaCl+2HCl …式(1)
本発明の該2価以上の金属イオンは、水系媒体中に多価金属塩を溶解させて得ることができる。多価金属塩としては、例えば以下のものを挙げることができる。マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀等のハロゲン化物、ヘキサフルオロシリル化物、硫酸塩、酢酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝酸類塩等の無機金属塩が挙げられる。また、有機酸の金属塩も水溶性であれば用いることができる。
具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化ストロンチウム、ポリ塩化アルミニウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。
中でも、該多価金属化合物を構成する金属が、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウムから選択される金属塩が好ましい。これらの中でも、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムはイオン化傾向が大きく、イオン化し易いため特に好ましい。更に好ましくは、造粒時の水系媒体のpHで金属イオンが溶解しているものが好ましい。
本発明においては、特にpH6.5未満で溶解するマグネシウムイオンを含む多価金属塩が特に好ましい。また、該難水溶性無機微粒子の金属組成と異なる多価金属イオンを用いることが多価金属イオンとしての効果を十分に発揮できる点で尚更好ましい。
(造粒工程)
前述した分散安定剤Aを含む第一水系媒体に着色剤含有組成物を投入し、分散させることにより水系媒体中に着色剤含有組成物の液滴を造粒することによって着色剤含有組成物粒子を得る。
本発明者らが鋭意検討した結果、分散安定剤Aを含む水系媒体中に対して2価以上の金属イオンを4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下含むことで、微小粒子が少ないトナー粒子が得られることを見出した。この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
造粒工程では、該着色剤含有組成物の液滴表面に分散安定剤Aが付着する。ここで、造粒工程のせん断装置(撹拌装置)によるせん断力は、マイクロメートルオーダーの粒子を生成できるほど強力なものであるため、せん断装置のキャビテーションの影響により着色剤含有組成物粒子が破壊されて微小粒子が生成してしまう。このように着色剤含有組成物粒子の破壊により生じた微小粒子の表面は、安定して存在している着色剤含有組成物粒子表面と比べ、分散安定剤の付着が少ない。この不安定な微小粒子表面に、微小粒子表面と対をなす多価金属イオンが電気的に接近し、その表面電位を失わせる。その結果、微小粒子表面の電気的反発力が弱くなるため、微小粒子が近づき、凝集し、元の着色剤含有組成物粒子のサイズに戻ると考えている。
第一水系媒体中の多価金属イオン濃度が4.0mmol/L未満の低い状態では、多価金属イオンによる微小粒子表面への働きかけが不十分であり、結果的に微小粒子の凝集力が十分に働かないため、十分に微小粒子を減らすことができない。また、多価金属塩濃度が120.0mmol/Lを超える高い状態では、微小粒子の凝集力が強くなりすぎるため、安定していた着色剤含有組成物粒子さえも凝集し、粒子の粗大化が発生してしまう。
造粒工程は例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。高剪断力を有する撹拌機としてはULTRA‐TURRAX(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、キャビミックス(大平洋機工社製)の如き市販のものを用いることができる。また、撹拌機を縦型撹拌槽内で、撹拌槽下部から一部プロセス液を抜き出し再度撹拌槽へ戻す循環機構を有し、循環機構内にインライン式の高剪断力を有する分散機を用いることも出来る。インライン式の分散機としてはコロイドミル(IKA社製)、キャビトロン(大平洋機工社製)、W・モーション(エム・テクニック社製)の如き市販の分散機を用いることが出来る。撹拌機の撹拌翼の周速(ローター、ステーター式の場合、ローターの周速)は25m/s以上の場合、撹拌翼の剪断力が大きくなる。それに伴い、液滴の小粒径化が可能となる。周速が75m/sを超える撹拌翼は撹拌熱による発熱が大きいため、その発熱により経時で着色剤含有の熱重合が進みポリマー化するため、得られるトナー粒子の粒度分布が悪化してしまう。また、75m/sを超える周速で装置を運転させることは装置の耐久性の観点からも生産装置として用いるのは適当ではない。
(第二水系媒体の調製工程)
また本発明の分散安定剤A及び分散安定剤Bは、それぞれ同じものでも、違うものでも構わない。分散安定剤Bは、分散安定剤Aと同様の公知の無機系及び有機系の分散安定化剤を用いることができる。
(重合工程)
重合工程で用いる反応釜には、先に分散安定剤Bを含有する第二水系媒体が存在することが必要である。
分散安定剤Bを含有する第二水系媒体の中に、造粒工程で得られた着色剤含有組成物の油滴を投入することにより、反応釜の壁への投入される着色剤含有組成物粒子の付着が抑制される。その結果、安定した重合操作が可能となる。
本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
分散安定剤Bを含有する第二の水系媒体に加える際に、該第一水系媒体が分散安定剤Aと2価以上の金属イオンとを含有していることで、着色剤含有組成物粒子が非常に安定した状態になっているため、着色剤含有組成物粒子の破壊や、着色剤含有組成物粒子の凝集による異形化が抑制される。とくに、該第一水系媒体に含まれる該2価以上の金属イオンが該第一水系媒体に対して4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下のときである。
該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して4.0mmol/L未満であると、第二の水系媒体に加える際に、衝撃による着色剤含有組成物粒子の安定化が損なわれ、微小粒子が発生してしまう。また、該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して120.0mmol/Lを超えても、微小粒子の抑制効果がそれ以上得られない。
また、本発明は、第二の水系媒体に含まれる該分散剤安定剤Bの質量が、該第一の水系媒体に含まれる分散安定剤Aの質量に対して、5.0質量%以上40.0質量%以下の分散安定剤Bを含有することが好ましい。第二水系媒体に上記含有量の分散安定剤Bを含有することで、製造装置への着色剤含有組成物粒子の付着を抑制でき、造粒時に不足している分散安定剤を補填することで、さらに高円形度のトナー粒子を得ることが可能となる。すなわち、分散安定剤Bの含有量が分散安定剤Aを基準として5.0質量%以上であると、製造装置への着色剤含有組成物粒子の付着による生産性の低下が生じず、更なる円形度の向上の効果が発揮される。一方40.0質量%以下であると、過剰の分散安定剤Bが重合時の重合性単量体の揮発モノマーに付着して微小粒子を増加することもない。
重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。撹拌に用いられる撹拌羽根はトナー用原料分散液を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌羽根又は撹拌手段としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼のごとき一般的な撹拌羽根、並びに、「フルゾーン」(神鋼パンテック社製)、「ツインスター」(神鋼パンテック社製)、「マックスブレンド」(住友重機社製)、「スーパーミックス」(佐竹化学機械工業社製)及び「Hi−Fミキサー」(綜研化学社製)などが挙げられる。
(蒸留工程)
必要であれば未反応の着色剤含有組成物や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に一部水系媒体を蒸留工程により留去してもよい。蒸留工程は常圧もしくは減圧下で行うことができる。
(洗浄工程、固液分離工程及び乾燥工程)
着色重合体粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、着色重合体粒子分散液を酸またはアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法により重合体粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して着色重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
(分級工程)
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
以下、本発明を実施するための材料構成について詳細に説明する。
本発明では、水系媒体中で着色剤含有組成物を造粒し、該着色剤含有組成物粒子を形成する懸濁重合法により製造される。
重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。単官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン。
着色剤含有組成物の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。油溶性開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の顔料分散剤;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等のパーオキサイド系開始剤。
水溶性開始剤としては、以下のものが挙げられる。過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
また、着色剤含有組成物の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
上記重合開始剤の濃度は、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上20.0質量部以下の範囲である場合が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上10.0質量部以下の範囲である場合である。上記重合性開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減温度を参考に、単独または混合して使用される。
更に、本発明においては、トナー粒子の耐ストレス性を高めると共に、上記粒子構成分子の分子量を制御するために、ビニル系状重合体の合成時に架橋剤を用いることもできる。
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
これらの架橋剤は、トナーの定着性、耐オフセット性の点で、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下の範囲、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の範囲で用いることが良い。
重合性単量体や架橋剤は、単独、または理論ガラス転移温度(Tg)が、40℃以上75℃以下の範囲を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃以上の場合にはトナーの保存安定性や耐ストレス性の面から問題が生じ難く、一方75℃以下の場合はトナーのフルカラー画像形成の場合において透明性や低温定着性が低下しない。
本発明のトナーの着色剤としては、以下に示すブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの顔料及び必要に応じて染料を用いることができる。
ブラック着色剤としては、公知のブラック着色剤を用いることができる。例えば、ブラック着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を混合させて、ブラックに調節したものが挙げられる。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えばサーマル法、アセチレン法、チャンネル法、ファーネス法、ランプブラック法等の製法により得られたカーボンブラックを用いることができる。本発明に用いるカーボンブラックの平均一次粒径は、特に制限はないが、平均一次粒径が14nm以上80nm以下であることが好ましく、より好ましくは25nm以上50nm以下である。平均一次粒径が14nm以上の場合には、トナーは赤味を呈さず、フルカラー画像形成用のブラックとして好ましい。カーボンブラックの平均一次粒径が80nm以下の場合には、良好に分散しかつ着色力が低くなり過ぎず好ましい。尚、カーボンブラックの平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
上記カーボンブラックは単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。これらは粗製顔料であっても良く、本発明の顔料分散剤の効果を著しく阻害するものでなければ調製された顔料組成物であっても良い。
イエロー着色剤としては、公知のイエロー着色剤を用いることができる。顔料系のイエロー着色剤としては、縮合多環系顔料、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が挙げられる。染料系のイエロー着色剤としては、C.I.solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.disperse Yellow42、64、201、211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、公知のマゼンタ着色剤を用いることができる。マゼンタ着色剤としては、縮合多環系顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19が挙げられる。
シアン着色剤としては、フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明において、着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHT透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対し1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明においては、着色剤含有組成物には、ポリエステル樹脂が含有される。
懸濁重合方法においては、着色剤含有組成物に極性樹脂を添加させ、トナー粒子を製造することで、主にコアを形成する樹脂及び着色剤を非晶性ポリエステル樹脂などの極性樹脂(シェル)で被覆したコア―シェル構造を有するトナーを得ることができる。
本発明で用いられる極性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。より好ましくは材料の多様性から非晶性のポリエステル樹脂で酸価(Av)が1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下であることが望ましい。Avが1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下であれば、製造されるトナー粒子の粒度分布がよりシャープとなる。より具体的には、Avが1.0mgKOH/g以上であればポリエステル樹脂がトナー粒子界面に配行しやすくなり、Avが15.0mgKOH/g以下であればポリエステル樹脂の界面活性能に由来する乳化粒子の生成を抑制でき、生産安定性が高まる。また、多価金属塩と、上記範囲内の酸価を有するポリエステル樹脂とを併用することで、トナー粒子表面に配行したポリエステル樹脂の酸基と水酸基が水系媒体中に存在する多価金属イオンと配位結合を行うことで化学的に架橋されるため、トナーの耐久性に優れるので好ましい。
また、ポリエステル樹脂の酸価(Av)は、2.0mgKOH/g以上13.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂には以下のようなものが挙げられる。
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(I)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
Figure 2018059972
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
本発明で用いることができるポリエステル樹脂は、上述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物以外に、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
本発明に用いることができるポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるもではなく、公知の方法を用いることができる。
本発明のトナー中に含まれる離型剤は総量で、トナー粒子100質量部中に2.5質量部以上25.0質量部以下含有されることが好ましい。また、トナー中に含まれる離型剤の総量は、4.0質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以上18.0質量部以下であることがさらに好ましい。
離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
本発明のトナーは、トナーの帯電性を環境によらず安定に保つために、荷電制御剤を用いてもよい。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が良く、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムのものが良い。特に好ましい制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
荷電制御剤の好ましい配合量は、重合性単量体100.00質量部に対して0.01質量部以上20.00質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上10.00質量部以下である。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に無機微粉体を有することが好ましい。無機微粉体は、トナーの流動性改良及び帯電均一化のためにトナー粒子に添加、混合され、添加された無機微粉体はトナー粒子の表面に均一に付着した状態で存在する。
本発明における無機微粉体は、一次粒子の個数平均粒径(D1)が4nm以上500nm以下であることが好ましい。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、チタニアから選ばれる無機微粉体またはその複合酸化物などが使用できる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミナ複合酸化物、シリカチタニア複合酸化物やチタン酸ストロンチウム微粉体等が挙げられる。これら無機微粉体は、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末などの研磨剤、あるいは、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機および/または無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
本発明のトナーは、公知の一成分現像方式、ニ成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
本発明のトナーはいかなるシステムにも用いることができ、例えば、高速システム用トナー、オイルレス定着用トナー、クリ−ナ−レスシステム用トナー、長期使用によって劣化した現像器内のキャリアを順次回収し、フレッシュなキャリアを補給していく現像方式用トナー等、公知の一成分現像方式、ニ成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
得られたトナー粒子及びトナー等に係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例においてもこれらの方法に基づいて物性値を測定している。
<樹脂のTgの測定>
樹脂のTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<樹脂の軟化点の測定>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:50℃
到達温度:200℃
<樹脂の酸価の測定>
樹脂の酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
1.Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
2.ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
3.発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
4.前記2.のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5.前記4.のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
6.サンプルスタンド内に設置した前記1.の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記5.の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
7.定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、各平均粒径を算出する。専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値画面の「算術径」が重量平均粒径D4、「50%D径」がD50である。又、個数平均粒径D1も同様にして算出を行う。
<アスペクト比及び微小粒子率の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定し、トナー粒子のアスペクト比及び微小粒子率を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、トナー1〜17を実施例用とし、トナー18〜21を比較例用として製造した。
<ポリエステル樹脂1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表1に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。その際、得られるポリエステル樹脂1の軟化点が表2の値(126℃)となるように重合時間を調整した。ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
<ポリエステル樹脂2〜5の製造例>
モノマー及び使用量を表1に記載の様に変更し、それ以外は、ポリエステル樹脂1と同様にしてポリエステル樹脂2〜5を得た。ポリエステル樹脂2〜5の物性を表2に示す。
Figure 2018059972
Figure 2018059972
<トナー1の製造例>
下記の手順によってトナー粒子、トナーを製造した。
(第一水系媒体の調製)
イオン交換水164.2質量部にリン酸ナトリウム3.32質量部、10質量%塩酸1.43質量部を投入してT.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて周速25.0m/sで撹拌しながら、60℃に加温した。その後、イオン交換水13.5質量部に塩化カルシウム1.92質量部を添加した塩化カルシウム水溶液を添加した。この水系媒体のpHを測定したところ、5.3であった。
次に、イオン交換水15.5質量部に塩化マグネシウム0.81質量部を添加した塩化マグネシウム水溶液を添加して撹拌を進め、分散安定剤Aを含む第一水系媒体を得た。
(着色剤含有組成物の調製)
・スチレン 72.0質量部
・n−ブチルアクリレート 28.0質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物(E−101:オリエント化学社製) 0.5質量部
・着色剤:ピグメントブルー 6.5質量部
・ポリエステル樹脂1 4.0質量部
上記材料をアトライタ(三井三池化工機(株)製)を用いて均一に分散混合した後、60℃に加温し、そこにパラフィンワックス(DSCピーク温度:78.5℃)12.0質量部を添加混合し、溶解して着色剤含有組成物を得た。
(第二水系媒体の調製)
イオン交換水80.0質量部にリン酸ナトリウム1.00質量部、10質量%塩酸0.5質量部を投入してパドル撹拌翼を用いて撹拌しながら60℃に加温した。その後、イオン交換水4.3質量部に塩化カルシウム0.58質量部を添加した塩化カルシウム水溶液を添加して撹拌を進め、分散安定剤Bを含む第二水系媒体を得た。
(造粒工程)
上記第一水系媒体中に上記着色剤含有組成物と重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート9.0質量部を投入した。60℃、N2雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで10分間撹拌しながら造粒し、着色剤含有組成物粒子を含む造粒液を得た。
(重合工程/蒸留工程/ろ過工程/乾燥工程)
上記第二水系媒体を下部に撹拌機を備えた反応釜に投入し、その中に上記造粒液を投入して、パドル撹拌翼で撹拌しながら74℃で4時間反応させた。反応終了後、98℃で4時間蒸留した後、懸濁液を冷却した。
上記により得た懸濁液を排出し、塩酸を加えて洗浄し、濾過・乾燥して、重量平均粒径D4が7.0μmのトナー粒子を得た。
また、排出後の反応釜の壁内、及び撹拌器に付着している付着物をウォータージェットで洗い流して、乾燥後に秤量して付着物量を測定した。
同じ、反応釜を用いて、同じ重合工程を5回繰り返した。5回の重合を通して付着物の平均値は、トナー粒子の重量に対して0.1%/バッチであった。
(外添工程)
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、下記材料を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製、FM−10型)で混合して、トナー1を得た。尚、三井ヘンシェルミキサのジャケットは、45℃になるように温度調整を行った。
・ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン15質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径110nmの疎水性シリカ微粒子 0.5質量部
得られたトナーの粒度分布(D50/D1)は1.10、アスペクト比は0.931、小粒子率は3.2%であった。
表3は、トナーの主な製造条件を示し、表3において、「分数安定剤Bの含有量」は分散安定剤A基準で表し、「塩化マグネシウムの含有量」は第一水系媒体物基準で表している。物性については表4に示す。
<トナー2〜4の製造例>
トナー1の製造例のC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントレッド269、カーボンブラックに変更する以外は同様の方法により、それぞれトナー2〜4を得た。
得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー5の製造例>
トナー1の製造例において、塩化マグネシウムの添加部数を1.70質量部とした以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー5を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー6の製造例>
トナー1の製造例において、塩化マグネシウムの添加部数を2.21質量部とした以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー6を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー7の製造例>
トナー1の製造例において、塩化マグネシウムの添加部数を0.08質量部とした以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー7を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー8の製造例>
トナー5の製造例の塩化マグネシウムを塩化アルミニウムに変更し、塩化アルミニウムの添加部数を4.23質量部とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー8を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー9の製造例>
トナー5の製造例において、第二水系媒体の調製に用いたリン酸ナトリウムの添加部数を0.17質量部、塩化カルシウムの添加部数を0.10質量部とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー9を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー10の製造例>
トナー5の製造例において、第二水系媒体の調製に用いたリン酸ナトリウムの添加部数を1.35質量部、塩化カルシウムの添加部数を0.78質量部とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー10を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー11の製造例>
トナー5の製造例において、第二水系媒体の調製に用いたリン酸ナトリウムの添加部数を0.08質量部、塩化カルシウムの添加部数を0.05質量部とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー11を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー12の製造例>
トナー5の製造例において、第二水系媒体の調製に用いたリン酸ナトリウムの添加部数を1.41質量部、塩化カルシウムの添加部数を0.81質量部とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー12を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー13の製造例>
トナー5の製造例において、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー13を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー14の製造例>
トナー5の製造例において、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂3とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー14を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー15の製造例>
トナー5の製造例において、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂4とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー15を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー16の製造例>
トナー5の製造例において、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂5とした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー16を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー17の製造例>
トナー5の製造例において、着色剤含有組成物の調製でポリエステル樹脂1添加を無くした以外は、トナー5の製造例と同様にして、トナー17を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー18の製造例>
トナー11の製造例において、第一水系媒体の調製で塩化マグネシウム添加を無くした以外は、トナー11の製造例と同様にして、トナー18を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー19の製造例>
トナー8の製造例において、第二水系媒体を無くした以外は、トナー8の製造例と同様にして、トナー19を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー20の製造例>
トナー8の製造例において、塩化アルミニウムの添加部数を2.28質量部とした以外は、トナー8の製造例と同様にして、トナー20を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
<トナー21の製造例>
トナー8の製造例において、塩化アルミニウムの添加部数を0.05質量部とした以外は、トナー8の製造例と同様にして、トナー21を得た。得られたトナーの製造条件を表3に、物性を表4に示す。
Figure 2018059972
Figure 2018059972
〔実施例1〕
トナー1において以下の評価を行った。
[生産性]
重合工程、及び蒸留工程を経た懸濁液を排出した後、反応釜の内壁、及び撹拌機に付着している付着物の割合を算出した。
付着物の割合(%)=(乾燥後の付着物の質量)/(乾燥後のトナー粒子の質量)×100
同じ、反応釜を用いて、同じ重合工程を5回繰り返して、1バッチあたりの付着物の割合の平均を算出し、以下の指標で判断した。評価結果を表5に示す。
A:付着物の割合 0.5%/バッチ未満
B:付着物の割合 0.5%/バッチ以上、1.0%/バッチ未満
C:付着物の割合 1.0%/バッチ以上、2.0%/バッチ未満
D:付着物の割合 2.0%/バッチ以上、4.0%/バッチ未満
E:付着物の割合 4.0%/バッチ以上
[現像性]
市販のカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンターに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりに評価するトナー(100g)を充填した。高温高湿下(30℃、80%RH)に24時間放置した後、続けて画出し評価を行った。画出し評価に関しては、下記の評価を行い、下記の指標で判断した。評価結果を表5に示す。
カブリ(高温高湿下)
印字比率2%の画像を出力し、充填したトナーの残量が30gになるまで通紙を行った。トナー残量が30gとなったところで、ベタ黒画像を印字し、ベタ黒部が現像された直後の白地部における感光体上のカブリトナーをテーピングした。テーピングしたテープを白紙に貼り付け、テーピング無しのテープとの差分でカブリ濃度(%)を算出した。尚、カブリ測定には、TC−6DS(東京電色社製)を用い、5点の平均値をもってカブリ濃度(%)とし、以下の指標で判断した。評価結果を表5に示す。
A:カブリ 2.5%未満
B:カブリ 2.5%以上、5.0%未満
C:カブリ 5.0%以上、7.5%未満
D:カブリ 7.5%以上、10.0%未満
E:カブリ 10.0%以上
現像スジ(高温高湿下)
続いて、現像剤担持体上のトナーコート性とベタ画像を目視にて観察し、以下の指標で判断した。評価結果を表5に示す。
A:現像剤担持体上のスジ無し
B:現像剤担持体上に軽微なスジが見受けられる
C:現像剤担持体上にスジが見受けられるが、ベタ画像では見受けられない
D:ベタ画像上に軽微なスジが見受けられる
E:ベタ画像上に明確なスジ有り。
〔実施例2乃至17、比較例1乃至4〕
トナーを表5に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2018059972

Claims (5)

  1. 重合性単量体と着色剤を含有する着色剤含有組成物を第一水系媒体に加え、該第一水系媒体の中で該着色剤含有組成物粒子を形成する造粒工程と、該第一水系媒体と該着色剤含有組成物粒子との分散液を第二の水系媒体に加え、第二の水系媒体の中で重合開始剤により重合して着色重合体粒子を形成する重合工程とを含むトナー粒子の製造方法において、
    該第一水系媒体が分散安定剤Aと2価以上の金属イオンとを含有し、該第一水系媒体に含まれる該2価以上の金属イオンは該第一水系媒体に対して4.0mmol/L以上120.0mmol/L以下であり、
    該第二の水系媒体が分散安定剤Bを含有することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 該第二の水系媒体に含まれる該分散剤安定剤Bの質量が、該第一の水系媒体に含まれる分散安定剤Aの質量に対して、5.0質量%以上40.0質量%以下である請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 該2価以上の金属イオンが、マグネシウムイオンである請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 該着色剤含有組成物中にポリエステル樹脂を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 該ポリエステル樹脂の酸価が1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下である請求項4に記載のトナー粒子の製造方法。
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