JP2017167446A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
上記低温定着性を達成するため、トナーを構成する結着樹脂のガラス転移温度(以下Tgとも言う)を低く設計するとともに、トナー中に定着助剤として融点の低いワックスを含有する検討が行われている(特許文献1)。特許文献1には結着樹脂のTgが50℃以上65℃以下であり、定着助剤として融点50℃以上90℃以下のワックスを含有するトナーが記載されている。
しかしながら、上記構成のトナーは低温定着性に優れるものの、従来と比較してより高温高湿の環境下において、ワックスがトナー表面に露出するブルーミングが発生する課題があった。ワックスのブルーミングが発生した場合、現像剤担持体等の部材が露出したワックスに汚染されることによって、濃度低下等の弊害を生じる可能性があるため、ブルーミングを抑制する検討が行われている(特許文献2)。特許文献2には低融点ワックスのブルーミングを抑制するために、特定の物性を持つシリカ微粒子を含有するトナーが記載されている。
すなわち、本発明は、結着樹脂、ワックスおよび脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、前記結着樹脂の示差走査熱量計によって測定されるガラス転移温度が30℃以上55℃以下であり、前記ワックスの示差走査熱量計によって測定される融点が65℃以上90℃以下であるトナーに関する。
なお、“今後求められる更なる高温高湿環境下での保管・使用”の要請を受けて、後述の実施例では、高温高湿環境として45℃/95%RH下60日間放置と、周期高温高湿環境下30日間放置という厳しい条件に晒したトナーを画出しテストすることで、本発明の効果を明らかにしている。
本発明のトナーに用いられるワックスは示差走査熱量計によって測定される融点が65℃以上90℃以下であり、より好ましくは65℃以上80℃以下であり、更に好ましくは70℃以上80℃以下である。
本発明のトナーは、脂肪酸金属塩を含有する。
本発明においてはワックスと脂肪酸金属塩の相互作用が重要であることから、ワックス種によって、適した脂肪酸金属塩を用いることが好ましい。具体的には、ワックス1分子に含まれる炭素数をC1、脂肪酸金属塩1分子に含まれる炭素数をC2としたとき、
10≦C1
10≦C2
0.30≦C2/C1≦1.50
であることが好ましい。ワックスと脂肪酸金属塩の炭素数が上記関係を満たしている場合、ワックスと脂肪酸金属塩の間の相互作用が高まり、本発明の効果が更に向上する。また、より好ましくは、
15≦C1
15≦C2
0.40≦C2/C1≦0.90
である。ワックスと脂肪酸金属塩の炭素数が上記関係を満たしている場合、脂肪酸金属塩の結晶核生成速度が最適となり、本発明の効果はさらに向上する。
1.0≦A≦30.0
0.01≦B/A≦0.10
であることが好ましい。ワックスと脂肪酸金属塩の添加量が上記関係を満たしている場合、ワックス量に対する脂肪酸金属塩の添加量が最適となるため、より高い結晶性向上効果が得られる。また、より好ましくは、
5.0≦A≦20.0
0.02≦B/A≦0.08
である。ワックスと脂肪酸金属塩の添加量が上記関係を満たしている場合、上記効果はさらに向上する。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂の示差走査熱量計によって測定されるガラス転移温度が30℃以上55℃以下であり、より好ましくは35℃以上50℃以下である。
本発明のトナーにはさらに極性樹脂を含有してもよい。具体的には以下の、カルボキシ基含有ビニル系樹脂;カルボキシ基含有ポリエステル系樹脂;カルボキシ基含有ポリウレタン系樹脂;カルボキシ基含有ポリアミド系樹脂等が挙げられる。なお、カルボキシ基含有ビニル系樹脂としては以下の;不飽和カルボン酸;不飽和ジカルボン酸;等に代表されるカルボキシ基含有モノマーの単重合体、および、上記カルボキシ基含有モノマーと;スチレン系単量体;不飽和カルボン酸エステル;不飽和ジカルボン酸無水物;ニトリル系ビニル単量体;含ハロゲン系ビニル単量体;ニトロ系ビニル単量体;等との共重合体等を用いることができる。なお、本発明において極性樹脂とはその構造中にカルボキシ基を含有する樹脂を言う。中でも、ワックスのブルーミングを効果的に抑制するという観点から、カルボキシ基含有ビニル系樹脂またはカルボキシ基含有ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、カルボキシ基含有ビニル系樹脂およびカルボキシ基含有ポリエステル樹脂を含有することが更に好ましい。
本発明のトナーには更に着色剤を含有してもよい。本発明のトナーに用いられる着色剤としては、特段の制限なく、公知の黒/イエロー/マゼンタ/シアンの各色および他の色の顔料および染料、磁性体等を用いることができる。
本発明のトナーにはさらに荷電制御剤を含有してもよい。本発明のトナーに用いられる荷電制御剤としては、特段の制限なく従来公知の荷電制御剤を用いることができる。具体的には、負帯電制御剤として以下の、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等に代表される芳香族カルボン酸の金属錯体;スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。また、正帯電制御剤として以下の、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。なお、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸等に代表されるスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体あるいは結着樹脂の項に示したビニル系モノマーと上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体等を用いることができる。
本発明のトナーには流動性向上や帯電安定等の目的で外部添加剤を含有してもよい。本発明のトナーに用いられる外部添加剤としては、特段の制限なく従来公知の外部添加剤を用いることができる。具体的には以下の;湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等に代表される原体シリカ微粒子またはそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルに代表される処理剤により表面処理を施したシリカ微粒子;酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子等に代表される金属酸化物微粒子または上記金属酸化物を疎水化処理した金属酸化物微粒子;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等に代表される脂肪酸金属塩;サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等に代表される芳香族カルボン酸の金属錯体;ハイドロタルサイトに代表される粘土鉱物;フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等に代表されるフッ素系樹脂微粒子等が挙げられる。中でも、流動性、帯電安定性とワックスのブルーミング抑制を同時に達成するという観点から、原体シリカ微粒子をシリコーンオイルによって処理した後に更にシランまたはシラザンによって処理したシリカ微粒子を用いることが好ましい。
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(ワックス1の製造例)
スターラー、温度計および還流管を備えた1リットルの丸底三ツ首フラスコにトルエン300質量部を入れ、120℃にて還流させた。
・ベヘニルアルコール 96.00質量部
・p−トルエンスルホン酸 0.50質量部
還流下にて上記材料を加え、6時間120℃にてエステル化反応を進行させた。この間、生成する水はトルエン/水共沸にて系中より除いた。反応終了後にp−トルエンスルホン酸を、炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。得られた溶液をエバポレーションすることでトルエンを除去した。生成物を90℃に加熱後セライトろ過することによりp−トルエンスルホン酸ナトリウムを除去し、ワックス1を得た。ワックス1の融点および炭素数を表1に示した。
ワックス1の製造例において、ベヘニルアルコール:96.00質量部をステアリルアルコール:79.40質量部に変更する以外はワックス1の製造例と同様にしてワックス2を得た。ワックス2の融点および炭素数を表1に示した。
ワックス1の製造例において、ベヘン酸をステアリン酸に、ベヘニルアルコールをステアリルアルコールにそれぞれ変更する以外はワックス1の製造例と同様にしてワックス3を得た。ワックス3の融点および炭素数を表1に示した。
ワックス4乃至ワックス12としては表1に記載の市販のワックスを用いた。ワックス4乃至ワックス12の融点および炭素数を表1に示した。
(シリカ微粒子1の製造例)
フュームドシリカ(商品名AEROSIL200、一次粒子の個数平均径12nm、日本アエロジル社製)100質量部に対し、25.0質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間撹拌を続けた。その後、撹拌しながら温度を300℃まで昇温させてさらに2時間撹拌することによって、ジメチルシリコーンオイルをフュームドシリカ表面に焼き付け、反応を終了して、シリカ微粒子1を得た。
第一処理工程として、フュームドシリカ(商品名AEROSIL200、一次粒子の個数平均径12nm、日本アエロジル社製)100質量部に対し、8.0質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間撹拌を続けた。その後、撹拌しながら温度を300℃まで昇温させてさらに2時間撹拌することによって、ジメチルシリコーンオイルをフュームドシリカ表面に焼き付け、反応を終了した。
第一処理工程としてフュームドシリカ(商品名AEROSIL200、一次粒子の個数平均径12nm、日本アエロジル社製)100質量部に対し、40.0質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。
下記の方法によって懸濁重合トナーを製造した。
・スチレン 37.00質量部
・アクリル酸n−ブチル 27.00質量部
・極性樹脂1 ビニル系極性樹脂〔スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体:Mw=14000、Mn=6000、Mp=14000、Tg=92℃、Av(酸価)=20mgKOH/g、OHv(水酸基価)=10mgKOH/g〕 10.00質量部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.00質量部
・スチレン 36.00質量部
・着色剤 C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)
6.00質量部
・脂肪酸金属塩 ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレート:日油社製)0.25質量部
・極性樹脂含有単量体組成物 75.00質量部
・着色剤分散液 42.25質量部
上記材料を混合した。続いて混合物を60℃に加温し、10.00質量部のワックス1を加えた。次いで、重合開始剤 パーブチルO(日油株式会社製)5.0質量部を添加し、5分間撹拌して重合性単量体組成物を得た。
・トナー粒子1 100.00質量部
・シリカ微粒子1 1.00質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い、4000rpmで5分間混合してトナー1を得た。トナー1の物性を表4に示す。なお、結着樹脂のガラス転移温度に関しては、上記トナー1の製造例においてワックス、脂肪酸金属塩、着色剤およびビニル系極性樹脂を除いた材料を用いて同様に製造を行い、得られた樹脂のガラス転移温度を測定して結着樹脂のガラス転移温度とした。
トナー1の製造例において、使用するワックスおよび脂肪酸金属塩を表4に記載の物に変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2乃至トナー24を得た。なお、脂肪酸金属塩としては表2に記載の物を用いた。トナー2乃至トナー24の物性を表4に示す。
トナー1の製造例において、極性樹脂含有単量体組成物に含まれる単量体の添加量を表3に記載の物に変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー25乃至トナー30を得た。トナー25乃至トナー30の物性を表4に示す。
トナー1の製造例において、蒸留終了後の降温速度を0.5℃/分から5.0℃/分に変更する以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー31を得た。トナー31の物性を表4に示す。
トナー21の製造例において、蒸留終了後の降温速度を0.5℃/分から5.0℃/分に変更する以外はトナー21の製造例と同様にしてトナー32を得た。トナー32の物性を表4に示す。
トナー8の製造例において、使用する極性樹脂およびシリカ微粒子を表4に記載の物に変更する以外はトナー8の製造例と同様にして、トナー33乃至トナー45を得た。なお、極性樹脂2としては、以下の
・ポリエステル系極性樹脂〔テレフタル酸とPO変性ビスフエノールAから生成:Mp=9000、Tg=72℃、酸価=12.0mgKOH/g〕
を用いた。
下記の方法により、溶解懸濁トナーを製造した。
・ワックス2 100.00質量部
・脂肪酸金属塩1 2.50質量部
・酢酸エチル 97.50質量部
上記材料を混合し、ジルコニアビーズ(3/16インチ)を入れたアトライター(三井鉱山社製)に入れ、150rpmで2時間分散させた。ジルコニアビーズを分離して、ワックス分散液を得た。
・着色剤 C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)
18.00質量部
・酢酸エチル 72.00質量部
を入れ、回転数300回転/分で8時間回転させた。ジルコニアビーズを分離して着色剤分散液を得た。
・結着樹脂 スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体 100.00質量部
(スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合比=73.00:27.00、Tg=40℃)
・極性樹脂1 10.00質量部
・ワックス分散液 20.00質量部
・着色剤分散液 30.00質量部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.00質量部
を均一に混合してトナー組成物を形成した。
・トナー粒子46 100.00質量部
・シリカ微粒子1 1.00質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い、4000rpmで5分間混合してトナー46を得た。トナー46の物性を表4に示す。
下記の方法により、乳化凝集トナーを製造した。
フラスコ中で下記の材料を混合し、水系媒体を調製した。
・イオン交換水 500.00質量部
・非イオン性界面活性剤 ノニポール400(花王製) 6.00質量部
・アニオン性界面活性剤 ネオゲンSC(第一工業製薬製) 10.00質量部
また、下記の材料を混合し、混合溶液を得た。
・スチレン 73.00質量部
・アクリル酸n−ブチル 27.00質量部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.00質量部
上記の混合溶液を上記水系媒体中に分散・乳化して、10分間ゆっくりと撹拌・混合しながら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水溶液50質量部を投入した。次いで、系内を十分に窒素で置換した後、フラスコを撹拌しながらオイルバスで系内が温度70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これによりアニオン性樹脂微粒子分散液を得た。得られたアニオン性樹脂微粒子のガラス転移温度を結着樹脂のガラス転移温度とした。
・イオン交換水 100.00質量部
・着色剤 C.I.Pigment Blue15:3(大日精化社製)6.00質量部
・非イオン性界面活性剤 ノニポール400(花王製) 1.00質量部
上記成分を混合溶解し、ウルトラタラックスT50(IKA社製)により10分間分散し、着色剤粒子分散液を得た。
・イオン交換水 100.00質量部
・ワックス2 10.00質量部
・脂肪酸金属塩1 0.25質量部
・カチオン性界面活性剤 サニゾールB50(花王製) 5.00質量部
上記成分を温度95℃に加熱して、ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、ワックス粒子分散液を得た。
・イオン交換水 100.00質量部
・酢酸エチル 50.00質量部
・極性樹脂1 10.00質量部
上記成分を混合撹拌した。その溶解液をウルトラタラックスT50で乳化させながら、温度80℃で加熱して6時間保持することで脱溶剤を行い、極性樹脂微粒子分散液を得た。
上記樹脂微粒子分散液、上記着色剤粒子分散液、上記ワックス粒子分散液、及びポリ塩化アルミニウム1.2質量部を混合して、丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50を用い十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら温度51℃まで加熱した。温度51℃で60分保持した後、ここに上記極性樹脂微粒子分散液を添加した。その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.5に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱して6時間保持した。
・トナー粒子47 100.00質量部
・シリカ微粒子1 1.00質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い、4000rpmで5分間混合してトナー47を得た。トナー47の物性を表4に示す。
下記の方法にて粉砕トナーを製造した。
・結着樹脂 スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体 100.00質量部
(スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合比=73.00:27.00、Tg=40℃)
・着色剤 C.I.Pigment Blue15:3 6.00質量部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.00質量部
・ワックス2 10.00質量部
・脂肪酸金属塩1 0.25質量部
上記材料を溶融混練後、0.5℃/分の速度で冷却した。その後粉砕を行い、さらに、極性樹脂1の樹脂微粒子(個数平均粒子径:300nm)10.0質量部を添加して、ハイブリダイゼーション・システム(奈良機械製)で処理することでトナー粒子48を得た。
・トナー粒子48 100.00質量部
・シリカ微粒子1 1.00質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用い、4000rpmで5分間混合してトナー48を得た。トナー48の物性を表4に示す。
上記トナー1乃至48を用いて、下記に記載の評価を行った。表5および表6に結果を記す。
〈1−1 定着温度〉
トナーが充填されたプロセスカートリッジを常温常湿環境(23℃/50%RH:以下N/N環境とも言う)にて48時間放置した。その後、10mm×10mmの四角画像が転写紙全体に均等に9ポイント配列された画像パターンの未定着画像を出力した。転写紙上のトナー乗り量は、0.50mg/cm2とし、定着開始温度を評価した。尚、転写材は、Fox River Bond(90g/m2)を使用した。定着器は、LBP−7700C(キヤノン製)の定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。尚、外部定着器は、定着温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを160mm/secの定着条件で測定した。
A:定着開始点が130℃以下
B:定着開始点が130℃より高く、140℃以下である
C:定着開始点が140℃より高く、150℃以下である
D:定着開始点が150℃より高い
1−1と同様の条件にて同様の未定着画像を出力した。定着器は、LBP−7700C(キヤノン製)の定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。尚、外部定着器は、プロセススピードを任意に設定可能とし、定着温度150℃の定着条件で測定した。定着開始の判断は1−1と同様に、定着画像(低温オフセットした画像も含む)を50g/cm2の荷重をかけシルボン紙〔Lenz Cleaning Paper“dasper(R)”(Ozu Paper Co.Ltd)〕で擦り、擦り前後の濃度低下率が20%未満になる温度を定着開始点と定義した。以下に判定基準を示す。
A:定着開始点が240mm/sec以上
B:定着開始点が200mm/sec以上、240mm/sec未満である
C:定着開始点が160mm/sec以上、200mm/sec未満である
D:定着開始点が160mm/sec未満
高温高湿環境(45℃/95%RH)および周期高温高湿環境(25℃から50℃まで11時間で昇温、55℃で1時間保持、25℃まで11時間で降温、25℃で1時間保持を繰り返す。湿度は95%RHになるよう調節する。)にトナーを充填したプロセスカートリッジを、高温高湿環境では60日間、周期高温高湿環境では30日間それぞれ放置した。
A:濃度低下が0.05以下
B:濃度低下が0.05を超えて0.10未満
C:濃度低下が0.10を超えて0.15未満
D:濃度低下が0.15を超える
Claims (5)
- 結着樹脂、ワックスおよび脂肪酸金属塩を含有するトナー粒子を含むトナーであって、前記結着樹脂の示差走査熱量計によって測定されるガラス転移温度が30℃以上55℃以下であり、前記ワックスの示差走査熱量計によって測定される融点が65℃以上90℃以下であることを特徴とするトナー。
- 前記ワックスがエステルワックスまたはアミドワックスであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記脂肪酸金属塩が1価または2価の金属と脂肪酸からなる脂肪酸金属塩であり、前記ワックス1分子に含まれる炭素数をC1、前記脂肪酸金属塩1分子に含まれる炭素数をC2としたとき、C1とC2が以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
10≦C1
10≦C2
0.30≦C2/C1≦1.50 - 前記脂肪酸金属塩が1価または2価の金属と飽和脂肪酸からなる脂肪酸金属塩であり、前記ワックスが単官能飽和脂肪酸エステルワックスまたは飽和脂肪酸アミドワックスであることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 前記ワックスの前記結着樹脂100質量部に対する添加量をA(質量部)、前記脂肪酸金属塩の前記結着樹脂100質量部に対する添加量をB(質量部)としたとき、前記AおよびBが以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトナー。
1.0≦A≦30.0
0.01≦B/A≦0.10
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016054618A JP6775975B2 (ja) | 2016-03-18 | 2016-03-18 | トナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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