JP2016224420A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、耐熱保存性及び耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供する。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂及びビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有し、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、i)またはii)の構造を有し、i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造;ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂が特定の変性率を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、及びトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーに関する。
近年、プリンターや複写機には省エネ性が求められており、トナーの省エネ性を達成させるため、より低い温度でトナーを定着させることが求められている。このトナーの低い温度での定着(低温定着)に対して、トナーの材料から様々なアプローチがされている。その中で、トナー中に結晶性材料を含有させる技術があり、トナーの低温定着化を達成させるための有効な手段となっている。
結晶性材料として、特許文献1及び2には、結晶性ポリエステルと非晶性のビニルポリマーとが化学結合したブロックポリマーまたはグラフトポリマーなどの複合樹脂が記載されている。
特開昭62−273574号公報 特開2011−53494号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1及び2に記載の結晶性材料を含有させたトナーにより低温定着性は大きく向上するものの、耐熱保存性や耐久性が低下する傾向にあることがわかった。そのため、プリンターや複写機の更なる高性能化が進むことに伴い、トナーの低温定着性に加えて耐熱保存性や耐久性について更なる改良や改善の余地があるものであった。
本発明が解決しようとする課題は、低温定着性、耐熱保存性及び耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スチレンアクリル樹脂及び特定の結晶性ポリエステル樹脂を有するトナー粒子を有することで低温定着性、耐熱保存性及び耐久性をより高いレベルで両立したトナーが得られることを見出して、本発明に至った。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂およびビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有し、
i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造;
該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーに関する。
<X<X<X (1)
(式(1)中、
:分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。)
本発明により、低温定着性、耐熱保存性及び耐久性をより高いレベルで両立したトナーを提供することができる。
以下に、本発明について、さらに詳しく説明する。
本発明のトナーは、トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂及びビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂を含有する。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位は、下記i)またはii)の構造を有する。
i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造。
さらにビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
<X<X<X (1)
(式(1)中、
:分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
:分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。)
なお、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率は、X〜Xの分画におけるビニル変性結晶性ポリエステル樹脂に対するビニルポリマー部位の質量比率を意味する。
一般的に、結晶性ポリエステル樹脂は分子量が小さくなるほど低温定着性の向上は大きくなるが、耐熱保存性や耐久性の悪化も大きくなり、他方、分子量が大きくなるほど低温定着性の向上は小さくなるが、耐熱保存性や耐久性の悪化も小さくなる傾向にある。このことから、従来の結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーにおいては、低分子量成分が低温定着性の向上と、耐熱保存性や耐久性の悪化と、に大きく影響していると考えられる。
それに対して、本発明のトナーにおいては、スチレンアクリル樹脂及び特定のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有することで低温定着性の向上効果はそのままに、耐熱保存性と耐久性の悪化を抑えている。
本発明者らは、このメカニズムを以下のように考えている。Xは、低温定着性の向上が特に大きく、耐熱保存性や耐久性の悪化も特に大きいビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(上記結晶性ポリエステル中のビニルポリマーの割合)を表している。Xは、低温定着性の向上が比較的大きく、耐熱保存性や耐久性の悪化も比較的大きいビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率を表している。Xは、低温定着性の向上は小さいが、耐熱保存性や耐久性の悪化も比較的小さいビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率を表している。Xは、低温定着性の向上も耐熱保存性や耐久性の悪化もほとんどないビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率を表している。
ここで、スチレンアクリル樹脂中にてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂がドメインを形成する際、変性率が高い分子ほどスチレンアクリル樹脂との親和性が高く、スチレンアクリル樹脂と当該結晶性ポリエステル樹脂との界面に来やすいと考えられる。このとき、X〜Xが上記式(1)を満たすことで、耐熱保存性や耐久性の悪化が大きいビニル変性結晶性ポリエステル樹脂成分ほどドメイン内部に内包されやすくなると考えられる。逆に、耐熱保存性や耐久性の悪化がほとんどないビニル変性結晶性ポリエステル樹脂成分ほど結晶性ポリエステル樹脂のドメインとスチレンアクリル樹脂との界面に来やすくなると考えられる。その結果、耐熱保存性や耐久性の悪化が抑えられたものと考えられる。
本発明のトナーの構成について順次説明する。
(ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂)
本発明に係るビニル変性結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明に係るビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有する。i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造を有する。ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造を有する。結晶性ポリエステル部位が、上記i)の構造を有することがより好ましい。
本発明において結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,17−ヘプタデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,19−ノナデカンジカルボン酸、1,20−イコサンジカルボン酸、1,21−ヘンイコサンジカルボン酸、1,22−ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、カルボキシル基が酸無水物化した化合物又はアルキルエステル化(好ましくは炭素数1〜4)した化合物の形で用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサンジオール、1,21−ヘンイコサンジオール、1,22−ドコサンジオールなどが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、13−ヒドロキシトリデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、17−ヒドロキシヘプタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、19−ヒドロキシノナデカン酸、20−ヒドロキシイコサン酸、21−ヒドロキシヘンイコサン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、23−ヒドロキシトリコサン酸などが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。これらは反応において、ヒドロキシ基とカルボキシル基がラクトン化した化合物、又はカルボキシル基がアルキルエステル化(好ましくは炭素数1〜4)した化合物の形で用いてもよい。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂におけるビニルポリマー部位の組成は、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートまたはn−ブチルメタクリレートのような公知のビニルモノマーを用いることができる。これらは混合して用いてもよい。特に好ましくはスチレンであり、スチレンアクリル樹脂との相溶部位として有効に働き溶融時の可塑がより発揮される。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂のポリマー形態としては、グラフトポリマー、ブロックポリマーなどが挙げられる。結晶性向上により耐熱性が向上するという点で、結晶性ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマーが好ましい。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中のビニルポリマー部位の質量基準の比率(変性率)は10質量%以上60質量%以下の範囲であることが好ましい。変性率が60質量%以下であるとシャープメルト性に優れ低温定着性により優れる。10質量%以上であるとスチレンアクリル樹脂との親和性が向上し、低温定着性の効果が優れる。また上記範囲内であると耐熱保存性や耐久性の効果もより優れる。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中のビニルポリマー部位の質量基準の比率(変性率)は、より好ましくは20質量%以上50質量%以下の範囲である。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂におけるビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)は3000以上20000以下の範囲であることが好ましい。ビニルポリマー部位の重量平均分子量が3000以上であると相溶の起点としての効果がより発揮されやすく、低温定着性の効果がより優れる。ビニルポリマー部位の重量平均分子量が3000以上であると耐熱性や耐久性も良好になる傾向にある。ビニルポリマー部位の重量平均分子量が20000以下であると、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂のシャープメルト性がより維持されやすくなり、低温定着性の効果がより優れる。より好ましくは4000以上15000以下の範囲である。なお、ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)は、重合開始剤の量、添加タイミング、反応温度などにより上記範囲に制御することができる。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は10000以上100000以下の範囲であることが好ましい。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が10000以上であるとビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の機械的強度に優れ、耐久性がより良好になる傾向にある。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が100000以下であると、可塑効果が得られやすく、低温定着性の効果がより優れる。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは15000以上50000以下の範囲である。なお、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、エステル結合を形成する酸とアルコールとのモル比、原材料の添加タイミング、反応温度、反応時間などにより上記範囲に制御することができる。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点は55℃以上85℃以下の範囲であることが好ましい。融点が55℃以上では耐熱性がより優れ、85℃以下であると低温定着性が良好になる傾向にある。融点は、より好ましくは60℃以上80℃以下の範囲である。なお、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点は、結晶性ポリエステル部位を構成するモノマーや、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)や、上記変性率などにより上記範囲に制御することができる。
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂中に1質量%以上35質量%以下の範囲であることが好ましい。結着樹脂中におけるビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量が1質量%以上であると低温定着性の効果が得られやすく、35質量%以下であると耐熱性や耐久性が良好になる傾向にある。より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
ビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、以下に示す方法A〜Cが挙げられる。方法Aとしては、先に結晶性ポリエステル部位を合成した後に原子移動ラジカル重合などによりビニルポリマー部位を伸長させる方法である。方法Bとしては、先に反応性の官能基を導入したビニルポリマー部位を合成した後に結晶性ポリエステル部位を伸長させる方法である。方法Cとしては、先に結晶性ポリエステル部位及びビニルポリマー部位を別々に合成した後に両者を結合させる方法である。これらの方法の中でも、式(1)を満たす本発明のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、方法Bが好ましい。方法Bでは、結晶性ポリエステル部位を形成するための脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、及び反応性の官能基を導入したビニルポリマー部位を重合することでビニル変性結晶性ポリエステル樹脂が得られる。方法Bであると方法Aと比べて、分子数の多い低分子量側の変性率が低く、分子数の少ない高分子量側への変性率が高くなりやすいため、より好ましい。方法Bであると方法Cと比べて、高分子量成分ほど反応が起こりやすいため、やはり低分子量側の変性率が低く、高分子量側への変性率が高くなりやすいため、より好ましい。
方法Bで製造する際、式(1)を満たすビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、さらに、結晶性ポリエステル部位の原料モノマーとビニルポリマー部位とが反応開始からできるだけ早い段階で均一に相溶化していることが重要である。均一に相溶化したことは、反応系が目視により透明化したことで判断できる。なお、反応温度、原材料の添加タイミング、溶媒の使用などにより相溶化を早めることができる。
また、本発明に係るビニル変性結晶性ポリエステル樹脂は、2種以上のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂をブレンドすることでも製造することができる。
なお、ブロックポリマー及びグラフトポリマーの定義は、「高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集」の定義に従う。
(スチレンアクリル樹脂)
本発明に係るスチレンアクリル樹脂について説明する。
スチレンアクリル樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン及びp−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート及び2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、若しくは二種以上を組み合わせて、又は単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、又は多官能性重合性単量体を単独で若しくは二種以上を組み合わせて使用する。重合性単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独又は混合し、それらとアクリル系重合性単量体とを混合してスチレンアクリル樹脂とすることが、トナーの現像特性及び耐久性の観点から好ましい。
結着樹脂中のスチレンアクリル樹脂の含有量が、結着樹脂に対して65質量%以上99質量%以下であることが好ましく、80質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
本発明の結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂およびビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の他に、非晶質ポリエステル樹脂を含む公知の樹脂を混合してもよい。
(トナー、トナー粒子)
本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂を含有する。また、本発明に係るトナー粒子は、必要に応じて着色剤、ワックス、荷電制御剤等、公知の材料をさらに含んでいてもよい。なお、これらの詳細は後述する。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を含有し、必要に応じて外添剤(詳細は後述する)等をさらに含んでいてもよい。
(トナー粒子の製造方法)
本発明において、トナー粒子の製造方法は、特に限定されない。本発明のトナー粒子は、従来の粉砕トナー製法のみならず、懸濁重合法、乳化重合法、懸濁造粒法、乳化凝集法などの各種ケミカルトナー製法によっても製造可能である。
以下、懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法を説明する。
上述した結着樹脂を構成する重合性単量体、本発明のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及び必要に応じて、着色剤、ワックスなどその他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機に依って均一に溶解又は分散させる。これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤を含む水系媒体中に懸濁して重合を行うことによってトナー粒子を製造する。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
懸濁重合法のように水系媒体を用いる重合法の場合には、上記重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することが好ましい。極性樹脂を添加することにより、本発明のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂やワックスの内包化の促進を図ることができる。
水系媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と重合性単量体組成物との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有する。
また、シェルに用いる極性樹脂に、溶融温度が高いものを選択すれば、低温定着を目的として結着樹脂をより低温で溶融するような設計とした場合でも、トナーの保存中におけるブロッキングの発生を抑制することができる。
(極性樹脂)
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂又はカルボキシル基含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂又はカルボキシル基含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
極性樹脂に係るポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合した樹脂を用いることができる。
酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びトリメリット酸などが挙げられる。
アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
極性樹脂に係るカルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましく、特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御し易く好ましい。
また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級又は2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
上記極性樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2.0質量部以上10.0質量部以下である。
(ワックス)
本発明に係るトナー粒子には、公知のワックスを用いることができる。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムに代表される石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、もしくは、石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性が向上する傾向があり好ましい。
なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
また、これらのワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
本発明に用いられるワックスの融点は30℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下である。
上記のような熱特性を呈する(融点を有する)ワックスを用いることにより、離型効果が効率良く発現され易く、十分な定着領域が確保される。
(着色剤)
本発明に係るトナー粒子には、公知の着色剤を用いることができる。該着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料及び無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221及び254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191及び194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック並びに上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性及びトナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。着色剤を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら着色剤の存在下に重合性単量体を重合せしめて着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加することが好ましい。
また、カーボンブラックについては、上記着色剤と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
(荷電制御剤、荷電制御樹脂)
本発明に係るトナー粒子には、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を用いてもよい。
該荷電制御剤又は荷電制御樹脂としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤又は荷電制御樹脂が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤又は荷電制御樹脂としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸並びにその金属塩、無水物及びエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び荷電制御樹脂などが挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩並びにこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、及び、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤又は荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウム又はジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤又は荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
一方、荷電制御樹脂として、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を用いることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマー又はスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有する重合体が好ましく、より好ましくは5質量%以上含有する重合体である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有している為、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性及び摩擦帯電特性をより向上させることができる。
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert−ブチル−パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩)の無機過酸化物並びに4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸又はその塩並びに低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。
前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため、公知の連鎖移動剤及び重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能性化合物が挙げられる。
水系媒体を調製するときに使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤及び有機化合物の分散安定剤を用いることができる。
無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ及びアルミナなどが挙げられる。
一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩並びにデンプンなどが挙げられる。
これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
(外添剤)
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子及びそれらの複合酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。
例えば、トナー粒子に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業(旧:三井三池化工機)株式会社製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子の表面及び内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカが好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンのような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られる、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子としてもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上及び高温高湿下での流動性の向上を達成することができる。このため、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量及び流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる傾向にある。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物及び有機チタン化合物が挙げられる。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いても又は併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量部以上2.5質量部以下である。外添剤は、トナーの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
(各種物性の測定方法)
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<分子量の測定方法>
スチレンアクリル樹脂、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂などの樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<融点の測定方法>
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度及び降温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂のDSC測定における融点(Tm)とする。
<トナーからの本発明のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とそれ以外の結着樹脂成分との分離>
トナーからの、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とそれ以外の結着樹脂成分とを分離する方法は、下記方法を用いるとよい。以下の方法で分離を行い、さらに構造の特定、融点など各物性の特定を行う。
(分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるトナーからの結着樹脂及びワックスの分離)
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000以上を樹脂成分として分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
樹脂由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該樹脂成分が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
(ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とそれ以外の結着樹脂成分との分離)
上記操作で得られた樹脂成分100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却してビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させる。再結晶化したビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を吸引ろ過して、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂とろ液とに分離する。
次いで、分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えて、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分を再沈殿させる。その後、吸引ろ過器でビニル変性結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分を取り出す。
得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分を40℃で24時間減圧乾燥する。
<ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分の構造の特定>
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分の構造は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて特定する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の分子量分画分取及び各分取成分の変性率X〜Xの算出>
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の分子量分画分取は分取GPCを用いて下記条件で行った。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 2.5H、JAIGEL 3H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
サンプル濃度:200mg/3ml
分取した溶液は、40℃、減圧下で溶離液を留去した後、さらに40℃で24時間減圧乾燥する。
得られた各分取成分の変性率(質量%)X〜Xは核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いてスペクトルの積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<トナーから分離した結着樹脂中のビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量の測定>
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂及びそれ以外の結着樹脂成分の各々の核磁気共鳴分光分析(H−NMR)スペクトルの積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りがない場合、すべて質量基準である。
<ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1の製造>
(製造工程1)
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン50.0部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。そこへスチレン100.0部、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)8.0部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去し中間体ビニルポリマー(反応性の官能基を導入したビニルポリマー)を得た。
(製造工程2)
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られた中間体ビニルポリマー100.0部、有機溶媒としてキシレン128.0部、1,12−ドデカンジオール88.8部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.6部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸78.9部を加えて150℃で3時間、さらに180℃で4時間反応させた。その際、上記セバシン酸添加後10分以内に系が透明化した。その後、さらに180℃、1hPaで所望の重量平均分子量(Mw)となるまで反応させてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
<ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24の製造>
表1に示す原料及び添加量に変更すること以外はビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1の製造と同様にしてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂2〜24は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
<ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン40.0部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。そこへスチレン36.3部、ジクミルパーオキサイド2.9部、及びアクリル酸2.3部を撹拌混合して得られた混合液を3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。引き続いて、1,12−ドデカンジオール91.5部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.6部を加えて、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸85.0部を加えて150℃で3時間、さらに180℃で4時間反応させた。その際、上記セバシン酸添加後10分以内に系が透明化した。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25を得た。得られたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25の物性を表2に示す。ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂25は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが確認された。
<比較樹脂1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール81.0部、セバシン酸126.0部、p−トルエンスルホン酸0.1部を加えて、窒素雰囲気下、180℃で水の留出が停止するまで反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させて中間体樹脂Aを得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた別の反応容器に、キシレン400.0部、スチレン100.0部及び4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸13.0部を加え、80℃にて6時間反応させた。その後、反応液をメタノール中に沈澱させて精製し、ろ過、乾燥させて中間体樹脂Bを得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた別の反応容器に、中間体樹脂A 70.0部、中間体樹脂B 30.0部、反応液を均一溶液とする量のキシレン及びジブチル錫オキサイド0.1部を加え、180℃にて3時間反応させた。その後、180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させて比較樹脂1を得た。得られた比較樹脂1の物性を表2に示す。
<比較樹脂2の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,9−ノナンジオール82.2部を入れ、170℃に加熱し、スチレン35.4部、ジクミルパーオキサイド2.1部、及びアクリル酸2.3部を撹拌混合して得られた混合液を1時間かけて滴下した。170℃に保持したままさらに1時間反応させた。このとき、系は白濁していた。その後、140℃に温度を下げ、セバシン酸97.5部及びターシャリーブチルカテコール0.1部を加え、180℃で所望のMwとなるまで反応させて比較樹脂2を得た。その際、セバシン酸を添加後8時間経ったところで系が透明化した。得られた比較樹脂2の物性を表2に示す。
Figure 2016224420
Figure 2016224420
<トナー1の製造>
温度60℃に加熱したイオン交換水630.0部に、リン酸三カルシウム6.0部を添加し、T.K.ホモミクサー(プライミクス株式会社(旧:特殊機化工業株式会社)製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 69.3部
・n−ブチルアクリレート 20.7部
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
次に上記混合液に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業社製) 0.5部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.0部
・負荷電性制御樹脂1 0.7部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
・極性樹脂 5.0部
(スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加えた。その後、混合液を温度65℃に加熱した後にT.K.ホモミクサーにて、撹拌速度10,000rpmで攪拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤として
・パーブチルPV 5.4部
(10時間半減期温度54.6℃、日油(旧:日本油脂)製)
を加え、温度70℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
この攪拌・造粒の後、さらにプロペラ式攪拌装置に移して撹拌速度200rpmで攪拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレン及びn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
トナー粒子中には、スチレンアクリル系樹脂が90.0部、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1が10.0部、シアン着色剤が6.5部、ワックスが9.0部、負荷電制御剤が0.5部、負荷電性制御樹脂1が0.7部、極性樹脂が5.0部含まれていた。
上記トナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで疎水化処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.5部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社(旧:三井三池化工機株式会社)製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。トナー1は、個数平均粒径D1=4.8μmであり、重量平均粒径D4=5.8μmであった。
<トナー2〜27の製造>
表3に示す原材料及び添加部数に変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜27を得た。トナー2〜27中のトナー粒子の構成材料の成分比率が、トナー1と同様に原材料の添加比率と同等であることを確認した。トナー2〜27の物性を表3に示す。
Figure 2016224420
<トナー28の製造>
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、ホソカワミクロン社製ACM10を用いて、重量平均粒径100μmに中粉砕した。得られた中粉砕物を機械式粉砕機(ターボ工業社製;ターボミルT250−RS型)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂 90.0部
(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
・C.I.Pigment Blue15:3 5.5部
・負荷電制御剤 3.0部
〔オリエント化学工業社製:ボントロンE−88〕
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 6.0部
得られたトナー粒子100.0質に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで疎水化処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.5部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー28を得た。トナー28中のトナー粒子の構成材料の成分比率が、トナー1と同様に原材料の添加比率と同等であることを確認した。トナー28は、D1=4.5μm、D4=6.0μmであった。
<トナー29の製造>
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 80.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水120.0部に溶解したものに、分散、乳化した。次いで、分散、乳化したものを10分間ゆっくりと混合しながら、これに重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.5部を溶解したイオン交換水10.0部を投入し、窒素置換を行った後、撹拌しながら内容物が温度70℃になるまで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続した。このようにして平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
(樹脂粒子分散液2の調製)
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 100.0部
・メチルエチルケトン 300.0部
を溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノニポール400)1.5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水1200.0部に溶解したものに、分散、乳化した。このようにして平均粒径が0.30μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
(着色剤粒子分散液の調製)
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 20.0部
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散して着色剤粒子分散液を調製した。この着色剤粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.20μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(ワックス粒子分散液の調製)
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 50.0部
・アニオン性界面活性剤 7.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0部
以上を温度95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.50μmであるワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(荷電制御粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5.0部
(負荷電性制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3.0部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散して荷電制御粒子分散液を調製した。
(混合液の調製)
・樹脂粒子分散液1 210.0部
・樹脂粒子分散液2 163.0部
・着色剤粒子分散液 28.0部
・ワックス粒子分散液 47.0部
以上を、撹拌装置、冷却管、温度計を装着した反応容器に投入し撹拌した。この混合液を1モル/L−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、8%塩化ナトリウム水溶液120.0部を滴下し、撹拌しながら温度55℃まで加熱した。この温度のとき、荷電制御粒子分散液を10.0部加えた。温度55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が3.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3.0部を追加した後、撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱し、4.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、温度45℃で流動層乾燥を行い、トナー粒子を得た。
トナー粒子には、スチレンアクリル系樹脂が90.0部、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1が10.0部、シアン着色剤が5.5部、ワックスが9.0部、負荷電制御粒子が0.6部含まれていた。
得られたトナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20.0質量%のジメチルシリコーンオイルで疎水化処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.5部を、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー29を得た。トナー29は、D1=4.5μm、D4=6.3μmであった。
<トナー30の製造>
・スチレンアクリル系結着樹脂 90.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=80:20(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1 10.0部
・メチルエチルケトン 100.0部
・酢酸エチル 100.0部
・炭化水素ワックス(融点=78℃) 9.0部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電性制御樹脂1 1.0部
(スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、酸価14.5mgKOH/g、Tg=83℃、Mw=33,000)
上記材料を、アトライター(日本コークス工業株式会社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0部にリン酸カルシウム27.0部を添加し、T.K.ホモミクサー(プライミクス株式会社製)を用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、T.K.ホモミクサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して分散液から溶剤を除去し、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー粒子を得た。トナー粒子には、スチレンアクリル系結着樹脂が90.0部、ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1が10.0部、シアン着色剤が6.5部、ワックスが9.0部、負荷電性制御樹脂1が1.0部含まれていた。
得られたトナー粒子100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで疎水化処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.5部を加え、三井ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー30を得た。トナー30はD1=3.9μm、D4=6.3μmであった。
<比較トナー1及び2の製造>
ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂1をそれぞれ比較樹脂1及び比較樹脂2に変更すること以外はトナー30と同様の製造方法で比較トナー1及び2を得た。比較トナー1及び2中のトナー粒子の構成材料の成分比率が、トナー1と同様に原材料の添加比率と同等であることを確認した。比較トナー1は、D1=3.7μm、D4=6.4μmであった。比較トナー2は、D1=3.6μm、D4=6.3μmであった。
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet 3525dn]を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに作製した各トナー(300g)を導入した。トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
〔低温定着性〕
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を、定着温度を変えて定着し評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m)を用いた。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
(評価基準)
A:120℃でオフセットせず
B:120℃でオフセット発生
C:130℃でオフセット発生
D:140℃でオフセット発生
〔耐熱保存性(ブロッキング)〕
各トナー5gを50cc樹脂製のカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べて評価した。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
〔耐久性〕
常温常湿環境下(温度23℃/湿度60%RH)において、横線で1%の印字率の画像を35000枚プリントアウト試験をした。その後、LETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm)の画像をプリントアウトし、現像スジ発生の度合いで耐久性の評価をした。本発明では、下記の評価基準におけるC以上が本発明の効果が得られているレベルである。
(評価基準)
A:未発生
B:現像スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:現像スジが4カ所以上6カ所以下発生
D:現像スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上発生
〔実施例1〜30〕
実施例1〜30では、トナーとして、トナー1〜30をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4に記載の実施例1〜30において、耐久性の項目に記載されている数値は現像スジの発生個所の数である。
〔比較例1及び2〕
比較例1及び2では、トナーとして比較トナー1及び2をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。なお、表4の比較例1における耐久性の項目に記載されている数値は現像スジの発生個所の数であり(幅0.5mm以上の現像スジは未発生)、表4の比較例2における耐久性の項目に記載されている数値は発生した現像スジの幅である。
Figure 2016224420

Claims (8)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂およびビニルポリマー部位で変性されたビニル変性結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
    該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、下記i)またはii)の構造を有し、
    i)脂肪族ジカルボン酸に由来する構造、脂肪族ジオールに由来する構造及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造からなる群より選択される少なくとも2つの構造;
    ii)脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造;
    該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の変性率が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
    <X<X<X (1)
    (式(1)中、
    :分子量が1×103.5以上1×10{3.5+(A90−3.5)/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
    :分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
    :分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×2/4}以上1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}未満の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
    :分子量が1×10{3.5+(A90−3.5)×3/4}以上1×10(A90)以下の該ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中の変性率(質量%)を示す。
    1×10(A90)は、積分分子量分布曲線上の積分値90%における分子量を示す。)
  2. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマーである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂中のビニルポリマー部位の質量比率(変性率)が、10質量%以上60質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂におけるビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)が、3000以上20000以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、10000以上100000以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の融点が、55℃以上85℃以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記結着樹脂に対して1質量%以上35質量%以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記ビニル変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位が、前記i)の構造を有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナー。
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