高温高湿環境下では、トナー粒子あるいは外添剤が水分を吸着することにより、規制部において、トナーに付与した電荷がリークし、帯電量の立ち上がり、および飽和値が低下する。その結果、静電潜像担持体上の非画像領域へこうした低い帯電量を持つトナーが現像される現象、所謂カブリが生じる。
カブリは、プリンタを停止し、翌日に再起動した直後の画像出力において、特に顕著であり、この所謂「朝一カブリ」は、トナーの帯電量の立ち上がりが不足することによるものである。また、トナーカートリッジを長期間保管するような状況下あるいは、長期使用後などの外添剤が埋没し、パッキングした状況下では、カートリッジ内で圧密状態になったトナーを、瞬時にほぐすことができない。結果、プリンタ起動直後の画像出力においては帯電立ち上がり性がさらに不足し、朝一カブリが顕著に発生する可能性がある。
規制部における帯電は、規制ブレードとトナー粒子との摺擦によるものである。現像器からトナー担持体へとプレコートされ、規制部に突入する際には、ある程度凝集したトナーとして存在している。
本発明者らが鋭意検討した結果、凝集したトナーが瞬時にほぐれることができれば、トナーが薄層コートされ、トナー担持体上に規制されたトナーは均一に帯電することができることが分かった。さらに、トナーの凝集性を低減するためには、トナーの流動性を高くする必要があることが分かった。
更なる検討の結果、トナーの流動性を高くする為には、トナー粒子間の二粒子間力を低減させることによって達成できることがわかった。また、トナー粒子間の二粒子間力を制御することにより、規制部直前で瞬時にトナーがほぐれ、トナーの帯電立ち上がり性を向上させることができること分かった。
その結果、高温高湿環境下での耐久後、長期保管をした後の非常にトナーほぐれにくい条件下においても帯電立ち上がり性を向上し、朝一カブリを良化させることができた。
また、トナー粒子の平均円形度を0.960以上に制御することで、トナー粒子のみにおいても流動性を高くすることができるため、外添工程時におけるシリカ微粒子との混合性が良好でトナー粒子表面に均一に外添される。また、トナー粒子表面に凹部が少ないことから、長期使用後でも、外添剤が移動することなく、長期間の使用においても均一な外添状態が維持される。
そしてさらに、二粒子間力とトナー粒子の平均円形度を同時に制御することにより、規制部に存在するトナー薄層の隣り合うトナー粒子が、外添剤を介して点接触する状態が得られる。そうすることで、規制部での帯電に寄与するトナー粒子上の外添剤表面積を大きくすることができると分かった。また、二粒子間力と平均円形度を同時に制御すると、長期使用を通してもこの点接触状態が維持できることで、長期使用後に長期保管されるような高い圧密状態にまでパッキングされたとしても、規制部でトナーが容易にほぐれることが分かった。この結果として、長期使用を通じて規制部での帯電サイトをより多く稼ぐことができ、これまでにない均一な帯電付与と高い帯電立ち上がり性を達成できると考えている。
以上より、本発明の課題を解決するため、トナーが以下の特徴を有する。すなわち、トナー粒子の平均円形度が0.960以上であり、トナーが式(1)及び式(2)を満たす。
Fp(A)≦25.0nN ・・・(1)
(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)≦0.60 ・・・(2)
(式(1)及び(2)中、
Fp(A)は、78.5Nの荷重で該トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体を測定した際の二粒子間力(nN)を示す。
Fp(B)は、157.0Nの荷重で該トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体を測定した際の二粒子間力(nN)を示す。)
トナー粒子の平均円形度が0.960未満であると、トナーカートリッジを長期保管してパッキングした状況下では、隣り合うトナー粒子が外添剤を介して点接触する状態が限りなく少なくなる。結果、トナー粒子同士の接触が起きるため、均一帯電性と高い飽和帯電量を得ることができず朝一カブリが起こりやすくなる。また、トナー粒子の平均円形度が0.960未満であり、大粒径外添剤として単分散球形シリカ等を使用する場合は、長期使用によって凹部へ転動し、スペーサー粒子としての効果を発揮できず、帯電サイトを稼ぎ難い。加えて、トナー粒子同士の接触が起きることで、二粒子間力を制御することができず、朝一カブリが発生しやすい。
また、トナー粒子の平均円形度は、0.970以上であることがより好ましい。トナー粒子の平均円形度が0.970以上の場合、トナーの形状が球形又はこれに近い形となり、流動性に優れ帯電の立ち上がりが早く、かつ均一な帯電性を得られやすい。また、隣り合うトナー粒子同士の外添剤を介しての点接触状態がより多くなることで、規制部での帯電に寄与する外添剤の表面積を大きくすることができる。そのため、高温高湿環境下における朝一カブリが改善しやくすなり、長期使用後半においても高い現像性を維持し易くなるために好ましい。
加えて、凹部への外添剤の移動もなく、長期使用後半においても、外添剤がスペーサー粒子としての機能を果たすことができ、高い現像性を維持しやすくなる。
また本発明は、トナーが上記式(1)および式(2)を満足する。式(1)および式(2)は、上下二分割するセル内に収容された該トナーに対して、78.5N(A)および157.0N(B)の荷重を加えた後、該セルを破断させた時の最大引張り破断力から算出される二粒子間力を示す。
ここで、78.5N(A)および157.0N(B)の圧縮条件は、プロセスカートリッジ内の圧密したトナーが、規制部を通過する際にかかる負荷を想定した値である。
近年、プリンタの小型化を想定し、トナー担持体の外径は10mmφ(直径10mm)から14mmφ程度のものが良く使用される。このような小径のトナー担持体にかかるトルクは、軸上でおよそ0.1N・mから0.3N・m程度である。したがって、トナー担持体表面と規制ブレードとの間には、およそ20Nから60Nの負荷がかかっていることになる。更にトナー担持体の小径化が進めば、規制部では上記以上の負荷がかかることが予想される。
したがって、78.5N(A)の荷重は、トナー担持体の小径化を考慮し、従来の荷重から20%程度強く負荷がかかる構成を想定し、さらに耐久後の劣化したトナーが規制部へ突入することを想定した値である。一方、157.0N(B)の荷重は、上記のような小径化したトナー担持体を有するカートリッジ構成で、トナーの流動性が半減する状態、すなわち長期使用によりトナーが劣化し、更に圧密された状態を想定した値である。このように、長期使用後、長期保管された後のプロセスカートリッジ内の非常に圧密されたトナーが規制部へと突入する際には大きな負荷がかかる場合がある。
Fp(A)が25.0nN(2.5×10-8N)以下であると、長期使用後、長期保管された後に再起動した直後の画像出力、所謂「朝一画だし」時に良好な帯電立ち上がり性が得られることが分かった。この理由について本発明者らは、以下のように推測している。
Fp(A)が25.0nN以下であると、プロセスカートリッジ内の規制部で隣り合うトナー粒子が外添剤を介して点接触に近い状態で存在することができる。こうした状態を得ることで、外添剤が帯電サイトとして効果的に働き、均一な帯電分布を得ることができると考えている。その結果、帯電量を確保しにくい朝一画だし時においても良好な帯電立ち上がり性が得られ、朝一カブリが良化すると考えている。
一方、Fp(A)が25.0nNよりも大きくなると、長期使用後の規制部で隣り合うトナー粒子同士が接触する状態が生じ始め、外添剤を介した点接触状態を得られにくくなる。その結果として、規制部でトナーが瞬時にほぐれることができない。結果、均一な帯電分布、良好な帯電立ち上がり性が得られずに、朝一カブリが悪化すると考えられる。
また、(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)が0.60以下であると、長期使用後に長期保管した後のトナーにおいて、プリンタを再起動させると、規制部直前でトナーの凝集体を容易にほぐすことができ、良好な帯電立ち上がり性が得られる。この理由は以下のように推測している。
長期使用後に長期保管した後のプロセスカートリッジ内のトナーは、長期使用直後のトナーの圧密状態よりもさらに圧密された状態となっている。この状態を示すFp(B)が(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)≦0.60を満たす領域にあると、高い圧密状態にあるトナー層の隣り合うトナー粒子は、外添剤とトナー粒子がある程度、点接触を保っていると考えられる。結果として、長期使用後に長期保管した後のトナーは、プリンタを再起動させたとき、カートリッジ内の撹拌翼によって高い圧密状態をある程度容易に解放させることができる。
一方、(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)が0.60よりも大きいと、隣り合うトナー粒子同士の接触が生じ始め、外添剤の埋め込みが起きることで外添剤との点接触が起きにくくなると考えられる。その結果として、規制部でトナーが瞬時にほぐれることができず、均一な帯電分布、良好な帯電立ち上がり性が得られず、朝一カブリが悪化する。
以上、Fp(A)、Fp(B)を同時に制御することによって、初期から長期使用、長期使用後長期保管させるといった過酷な条件下においても、朝一カブリを良化させることができると考えている。
次に、本発明のトナーに含有される各成分について説明する。
先ず、着色剤について説明する。
黒色着色剤としては、カーボンブラックを用いることが利用可能であり、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い各色に調色されたものが利用可能である。本発明のトナー粒子には、磁性微粒子(磁性体)を含有させることが好ましい。本発明において、磁性微粒子は着色剤の役割をかねることもできる。
後述するシリカ微粒子Aの均一付着性と高い固着性を得るためには、磁性微粒子を用いた磁性トナーを用いることがより好ましい。磁性トナーは、磁性微粒子を含有することにより、非磁性トナーと比べて比重が大きくなる。この高い固着性が得られる理由を我々は以下のように推測している。トナー粒子に外添剤を付着させる方法としては、混合性やせん断力の観点から、撹拌翼等を用いた混合装置が用いられる。このような外添工程においては、主に処理される部分は撹拌翼近傍である。撹拌翼近傍では、比重の小さい非磁性トナーは外添処理時の負荷が小さくなってしまう場合がある。一方で比重の大きい磁性トナーは、非磁性トナーに比べて撹拌翼近傍での外添処理時の負荷が大きく、より処理される確率が高くなると考えられる。したがって、磁性トナーは非磁性トナーに比して、より高い固着性を得ることができると考えている。
本発明に用いられる磁性微粒子は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性微粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が2から30m2/gであることが好ましく、3から28m2/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5から7のものが好ましい。磁性微粒子の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性微粒子は、個数平均粒径が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。個数平均粒径が0.10μm以上であると、磁性微粒子が凝集しにくくなり、トナー中での磁性微粒子の均一分散性が向上する。また個数平均粒径が0.40μm以下ではトナーの着色力が向上するため好ましく用いられる。
なお、磁性微粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍から4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性微粒子径を測定する。そして、磁性微粒子の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明のトナーに用いられる磁性微粒子は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に上記で加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5から10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性微粒子の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性微粒子を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性微粒子を得ることができる。
また、懸濁重合法にてトナーを製造する場合、磁性微粒子表面を疎水化処理することが好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・ろ過・乾燥した磁性微粒子にシラン化合物による処理、またはカップリング剤処理を行う。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、シラン化合物による処理、またはカップリング処理を行う。具体的には、再分散液を十分撹拌しながらシラン化合物による処理、またはシランカップリング剤を添加し、加水分解後温度を上げる、或いは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することでシラン化合物による処理またはカップリング処理を行う。この中でも、均一な表面処理を行うという観点から、酸化反応終了後、ろ過、洗浄後に乾燥させずそのままリスラリー化し、表面処理を行うことが好ましい。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールなどのノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1から5.0質量%添加することが好ましい。pH調整剤としては、塩酸等の無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
磁性微粒子の表面処理において使用できる表面処理剤としては、例えば、シラン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシラン化合物、シランカップリング剤であり、式(3)で示されるものである。
RmSiYn 式(3)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1から3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1から3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
式(3)で示されるシラン化合物またはシランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのシランカップリング剤、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランなどのシラン化合物を挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性微粒子に付与するという観点では、式(4)で示されるシラン化合物を用いることが好ましい。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 式(4)
[式中、pは2から20の整数を示し、qは1から3の整数を示す。]
上記シラン化合物、シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、或いは複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのシラン化合物、カップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
本発明では、磁性微粒子以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、上記した公知の染料及び顔料の他、磁性又は非磁性の無機化合物が挙げられる。具体的には、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、又はこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金。ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。
トナー粒子中に含有させる磁性微粒子の含有量としては、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し20〜200質量部、特に好ましくは重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し40〜150質量部である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
次に、結着樹脂について説明する。
結着樹脂としては、ポリエステル、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンが挙げられる。
ポリエステルを合成する際に用いることができるアルコール成分及び酸成分は以下の通りである。
前記アルコール成分のうち、2価のアルコール成分としては、脂肪族ジオール、芳香族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの脂肪族ジオールを含有すると、ポリエステル分子内で分子が配列した結晶部位を有する場合がある。脂肪族ジオールは、全アルコール成分の50%以上含有することが好ましい。
芳香族ジオールとしては、式(5)で表わされるビスフェノール及びその誘導体、式(6)で示されるジオール類、が挙げられる。
前記酸成分のうち、2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類、その無水物、又はその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類、その無水物、又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、その無水物、又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類、その無水物、又はその低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
本発明においては、芳香族カルボン酸化合物を90モル%以上含有したカルボン酸成分と、アルコール成分を縮重合したポリエステルであり、芳香族カルボン酸化合物の80モル%以上が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸であることが好ましい。
また、アルコール成分及び酸成分としては、架橋成分として働く3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を、2価のアルコール成分や2価の酸成分と併用してもよい。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
酸成分及びアルコール成分の合計に対して、アルコール成分としては、40mol%以上60mol%以下であることが好ましく、45mol%以上55mol%以下であることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂は通常一般に知られている縮重合によって得られる。
一方、ビニル系樹脂として、スチレン系樹脂などが挙げられる。
スチレン系樹脂の具体例として、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記スチレン系樹脂を生成する為のモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレンの誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
なお、本発明のトナーの結着樹脂は、スチレン系樹脂であることが好ましい。
その中でも特にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体が分岐度や樹脂粘度を調整しやすいため、長期にわたり現像性を維持しやすいため好ましい。
また、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、スチレン系樹脂が好ましいが、本発明の効果を損なわない程度に、以下の樹脂を併用することが可能である。
例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて、スチレン系樹脂と併用することができる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。用いられる架橋剤は、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン。
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレ一ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの。
芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレード、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
ポリエステル型ジアクリレート化合物類として例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が掲げられる。
また、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
これらの架橋性モノマーのうち、耐久性向上の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
本発明に係る結着樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が45℃から70℃であることが好ましい。Tgが45℃以上であると、長期にわたり現像性が向上しやすく、Tgが70℃以下であると、低温定着性が良化する傾向にあり、好ましい。
本発明のトナーは、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナウバワックスなどのような脂肪酸エステル類から酸成分の一部または全部を脱酸したもの;植物性油脂の水素添加等によって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル等の飽和脂肪酸モノエステル類;セバシン酸ジベヘニル、ドデカン二酸ジステアリル、オクタデカン二酸ジステアリル等の飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族アルコールとのジエステル化物;ノナンジオールジベヘネート、ドデカンジオールジステアレート等の飽和脂肪族ジオールと飽和脂肪酸とのジエステル化物、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、フウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;等が挙げられる。
これらの離型剤の中では、飽和脂肪酸モノエステル類やジエステル化物などの1官能または2官能のエステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素ワックスが好ましい。
離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度で規定される融点は、60℃から140℃であることが好ましい。より好ましくは60℃から90℃である。融点が60℃以上であると、本発明のトナーの保存性が向上する。一方、融点が140℃以下であると、低温定着性が向上しやすくなり好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、3質量部から30質量部が好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有することが好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物等が例示される。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学工業(株)製)が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独、或いは二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部当たり0.1質量部から10.0質量部が好ましく、より好ましくは0.1質量部から5.0質量部である。
本発明において、無機微粒子は、シリカ微粒子Aを含有することが好ましい。
シリカ微粒子Aとしては、粒度分布の制御のしやすさという観点で、ゾルゲル法により製造されるシリカ微粒子であることが好ましい。ゾルゲル法とは、アルコキシシランを水が存在する有機溶媒中において、触媒により加水分解、縮合反応させて得られるシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥して、粒子化する方法である。
このゾルゲル法により得られたシリカ微粒子は、適度な粒径と狭い粒度分布を有し、単分散かつ球形であるため、トナー粒子表面に均一に分散させやすく、また、安定したスペーサー効果によって二粒子間力を小さくできる。
シリカ微粒子Aの1次粒子の個数平均粒径(D1)が80nm以上200nm以下であることが、固着率の制御、長期使用を通じたスペーサー粒子としての効果という観点で好ましい。さらに、シリカ微粒子Aの一次粒子の重量基準の粒度分布における最大ピークの半値幅は、25nm以下であることが好ましい。
ゾルゲル法により得られるゾルゲルシリカは、球形かつ単分散で存在するが、一部合一しているものも存在する。重量基準の粒度分布における半値幅が25nm以下であると、こうした合一粒子が少なく、トナー粒子表面でのシリカ微粒子Aの均一付着性が増し、より高い流動性が得られるようになる。その結果、トナーの均一帯電性と帯電立ち上がり性がさらに良化する。この効果は、平均円形度が0.960以上のトナー粒子、あるいはアスペクト比が0.900以上のトナー粒子でより顕著となる。
さらに、シリカ微粒子Aを32.5℃、相対湿度80%の環境下に2時間放置した後の飽和水分吸着量が、0.4質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
上記範囲に制御することで、細孔をもつゾルゲルシリカが高温高湿環境下においても水分を吸着しにくく、高い帯電性を維持しやすくなる。そのため、長期使用を通じて、カブリの少ないより高画質な画像を得ることができる。
次に、ゾルゲル法によるシリカ微粒子の製造方法について、以下説明する。まず、水が存在する有機溶媒中において、アルコキシシランを触媒により加水分解、縮合反応させて、シリカゾル懸濁液を得る。そして、シリカゾル懸濁液から溶媒を除去し、乾燥して、シリカ微粒子を得る。ゾルゲル法によるシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、加水分解・縮合反応工程における反応温度、アルコキシシランの滴下速度、水、有機溶媒及び触媒の重量比、撹拌速度によってコントロールすることが可能である。例えば、反応温度が高いほど、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は小さくなる傾向である。
このようにして得られるシリカ微粒子は通常親水性であり、表面シラノール基が多い。そのため、トナーの外添剤として使用する場合、シリカ微粒子は表面を疎水化処理させることが好ましい。
シリカ微粒子の疎水化処理の方法としては、シリカゾル懸濁液から溶媒を除去し、乾燥させた後に、疎水化処理剤で処理する方法と、シリカゾル懸濁液に、直接的に疎水化処理剤を添加して乾燥と同時に処理する方法が挙げられる。シリカ微粒子Aの粒度分布における半値幅の制御、および飽和水分吸着量の制御という観点で、シリカゾル懸濁液に直接疎水化処理剤を添加する手法が好ましい。懸濁液中での疎水化処理により、ゾルゲルシリカが単分散で存在している状態のまま、疎水化処理を施すことができるため、乾燥後に凝集塊が生じにくく、さらに均一コートが可能になる。
また、シリカゾル懸濁液のpHは酸性であることがより好ましい。懸濁液を酸性にすることで、疎水化処理剤との反応性が高まり、より強固でかつ均一な疎水化処理を施すことが可能となる。
疎水化処理剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、o−メチルフェニルトリエトキシシラン、p−メチルフェニルトリエトキシシラン。
さらに、シリカ微粒子は、シリカ微粒子をトナー粒子表面に単分散させやすくしたり、安定したスペーサー効果を発揮させたりするために、シリカ微粒子が解砕処理をされたものであってもよい。
本発明に用いられるシリカ微粒子Aは、見掛け密度が150g/L以上300g/L以下であることが好ましい。シリカ微粒子Aの見掛け密度が上記範囲にあることは、シリカ微粒子Aが密に詰まり難く、微粒子間に空気を多く介在しながら存在しており、見掛け密度が非常に低いことを示している。このため、外添工程時にトナー粒子とシリカ微粒子Aの混合性が向上することにより、トナーとして均一な被覆状態が得られやすい。また、この現象は、トナー粒子の平均円形度、またはアスペクト比が高い場合により顕著で、被覆率がより高くなる傾向がある。その結果として、外添されたトナーのトナー粒子同士が密に詰まりにくくなるため、二粒子間力が低下しやすくなる。
シリカ微粒子Aの見掛け密度を上記範囲に制御する手段としては、シリカゾル懸濁液中での疎水化処理、または疎水化処理後の解砕処理の強度の調節、及び疎水化処理量等を調整することが挙げられる。均一な疎水化処理を施すことで、比較的大きな凝集体自体を減らすことができる。あるいは、解砕処理の強度を調節することで、乾燥後シリカ微粒子に含有される比較的大きな凝集体を、比較的小さな二次粒子へとほぐすことができ、見掛け密度を低下させることが可能である。
ここで、シリカ微粒子Aの添加量は、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子Aが0.1質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。
本発明において、無機微粒子は、さらに、シリカ微粒子Bを含有し、シリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)が5nm以上20nm以下であることが好ましい。粒径がこの範囲であると、流動性付与、トナー表面の均一分散状態を確保しやすい。
シリカ微粒子Bは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものが好ましく用いられる。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素および水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンのような他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
また、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粒子は、表面を疎水化処理した処理シリカ微粒子であることがより好ましい。疎水化処理したシリカ微粒子は、メタノール滴定試験によって測定される疎水化度が30〜80の範囲を有することが特に好ましい。
上記疎水化処理の方法としては、シリカ微粒子と反応あるいは物理吸着する、有機ケイ素化合物及び/又はシリコーンオイルで化学的に処理する方法が挙げられる。ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が、好ましい方法として挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、αクロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、および1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置するシロキサン単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
また、窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンのようなシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、へキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5mm2/S以上10000mm2/S以下のものが好ましく、より好ましくは1mm2/S以上1000mm2/S以下、さらに好ましくは10mm2/S以上200mm2/S以下である。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーのような混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法;が挙げられる。
シリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子は、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し表面のコートを安定化させることがより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は、良好な疎水性が得られ易いという観点で、シリカ微粒子100質量部に対し1質量部から40質量部、好ましくは3質量部から35質量部が好ましい。
疎水化処理を施す前のシリカ微粒子(シリカ原体)は、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が200m2/g以上350m2/g以下であることが好ましい。
上記BET法で測定した窒素吸着による比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
本発明のトナーには、上記シリカ微粒子に加えて、例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;シリカ等のスペーサー粒子を効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
上記シリカ微粒子A及びシリカ微粒子Bを外添混合する混合処理装置としては、ヘンシェルミキサーのような公知の混合処理装置を用いることができる。
また、シリカ微粒子Aと比べて小粒径外添剤であるシリカ微粒子Bに関しては、外添剤の被覆率及び拡散状態を容易に制御できるという点で図3に示すような装置での外添混合が好ましい。
本発明においては、外添方法としては、まず1段目としてシリカ微粒子Aをヘンシェルミキサーで外添させ、その後、2段目として、図3に示す構成でシリカ微粒子Bを外添させる二段外添法が好ましい。こうすることで、スペーサー粒子であるシリカ微粒子Aを均一かつ高固着率で外添できる。さらに小粒径のシリカ微粒子Bは、図3に示す構成の外添処理により、固着を進めることなく均一に外添処理を施すことができる。その結果、本発明の二粒子間力を制御しやすくなる。
図3は、本発明に用いられるシリカ微粒子Bを外添混合する際に、用いることができる混合処理装置の一例を示す模式図である。
当該混合処理装置は、トナー粒子とシリカ微粒子Bに対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、シリカ微粒子Bを二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子の表面に付着することができる。
さらに、回転体32の軸方向において、トナー粒子とシリカ微粒子Bが循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、被覆率及び拡散状態を制御しやすく、トナートナー間付着力(二粒子間力)を本発明の範囲に制御しやすい。
一方、図6は、上記混合処理装置に使用される撹拌部材の構成の一例を示す模式図である。以下、シリカ微粒子Bの外添混合工程について図3及び図6を用いて説明する。シリカ微粒子Bを外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の撹拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体を回転駆動する駆動部38と、撹拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31とを有する。さらに、本体ケーシング31の内側及び回転体端部側面310にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット34を有している。更に、トナー粒子及びシリカ微粒子Bを導入するために、本体ケーシング31上部に形成された原料投入口35、外添混合処理されたトナーを本体ケーシング31から外に排出するために、本体ケーシング31下部に形成された製品排出口36を有している。更に、原料投入口35内に、原料投入口用インナーピース316が挿入されており、製品排出口36内に、製品排出口用インナーピース317が挿入されている。
本体ケーシング31の内周部と、撹拌部材33との間隙(クリアランス)は、トナー粒子に均一にシェアを与え、シリカ微粒子Bを二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子表面に付着しやすくするために、一定かつ微小に保つことが重要である。
また本装置は、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下である。図3において、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径(回転体32から撹拌部材33を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下であると、トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっているシリカ微粒子Bに十分に衝撃力が加わるようになる。また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要である。本体ケーシング31の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、シリカ微粒子Bに十分なシェアをかけるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング31の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング31の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
本発明におけるシリカ微粒子Bの外添混合工程は、混合処理装置を用い、駆動部38によって回転体32を回転させ、混合処理装置中に投入されたトナー粒子及びシリカ微粒子Bを撹拌、混合することで、トナー粒子の表面にシリカ微粒子Bを外添混合処理する。図6に示すように、複数の撹拌部材33の少なくとも一部が、回転体32の回転に伴って、トナー粒子及びシリカ微粒子Bを回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材33aとして形成される。また、複数の撹拌部材33の少なくとも一部が、トナー粒子及びシリカ微粒子Bを、回転体32の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材33bとして形成されている。ここで、図3のように、原料投入口35と製品排出口36が本体ケーシング31の両端部に設けられている場合には、原料投入口35から製品排出口36へ向かう方向(図3で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図6に示すように、送り用撹拌部材33aの板面は送り方向(43)にトナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材33bの板面は戻り方向(42)にトナー粒子及びシリカ微粒子Bを送るように傾斜している。これにより、「送り方向」への送り(43)と、「戻り方向」への送り(42)とを繰り返し行いながら、トナー粒子の表面にシリカ微粒子Bの外添混合処理を行う。また、撹拌部材33aと33bは、回転体32の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図6に示す例では、撹拌部材33a、33bが回転体32に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。図6に示す例では、撹拌部材33aと33bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図6において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナー粒子及びシリカ微粒子Bを、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図6における回転体32の長さに対して、Dは20%以上30%以下程度の幅であることが好ましい。図6においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材33aと33bは撹拌部材33aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材33bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、二次粒子となっているシリカ微粒子Bに効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図6に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体32に結合されたパドル構造であってもよい。
本発明においては、まず、原料投入口35から原料投入口用インナーピース316を取り出し、トナー粒子を原料投入口35より処理空間39に投入する。次にシリカ微粒子を原料投入口35より処理空間39に投入し、原料投入口用インナーピース316を挿入する。次に、駆動部38により回転体32を回転させ(41は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体32表面に複数設けられた撹拌部材33により撹拌、混合しながら外添混合処理する。尚、投入する順序は、先にシリカ微粒子を原料投入口35より投入し、次に、トナー粒子を原料投入口35より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、トナー粒子とシリカ微粒子Bを混合した後、混合物を、図3に示す装置の原料投入口35より投入しても構わない。
外添混合処理条件として、駆動部38の動力を、0.2W/g以上2.0W/g以下に制御することが、被覆率及び拡散性を向上させるうえで好ましい。また、駆動部38の動力を、0.6W/g以上1.6W/g以下に制御することが、より好ましい。処理時間としては、特に限定されないが、好ましくは、3分以上10分以下である。
さらに、本発明において、特に好ましい処理方法は、シリカ微粒子Bを外添混合処理操作の前に、各々プレ混合工程を持たせることである。プレ混合工程を入れることにより、シリカ微粒子Bがトナー粒子表面上で高度に均一分散されることで、二粒子間力を制御しやすくなる。より具体的には、プレ混合処理条件として、駆動部38の動力を、0.06W/g以上0.20W/g以下とし、処理時間を0.5分以上1.5分以下とすることが好ましい。プレ混合処理の撹拌部材の回転数については、図3に示す装置の処理空間39の容積が2.0×10-3m3の装置において、撹拌部材33の形状を図6のものとしたときの撹拌部材の回転数としては、50rpm以上500rpm以下であることが好ましい。外添混合処理終了後、製品排出口36内の、製品排出口用インナーピース317を取り出し、駆動部38により回転体32を回転させ、製品排出口36からトナーを排出する。得られたトナーを、必要に応じて円形振動篩機等の篩機で粗粒等を分離し、トナーを得る。
また、本発明に用いられるトナー粒子は、長期使用を通じて粒子表面に固着される外添剤が凹部に移動しない、外添工程時に均一固着できる、さらには、規制部での均一な帯電付与という点で、アスペクト比が0.900以上であることが好ましく、さらに0.920以上であることがより好ましい。
以下に、本発明のトナーの製造方法について例示するが、これに限定されるわけではない。
本発明のトナーに含有されるトナー粒子は、粉砕法によって製造することも可能であるが、得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、トナー粒子上の外添剤が長期使用を通じて凹部へ転動する可能性がある。この為、本発明の効果を得るためには、機械的・熱的或いは何らかの特殊な処理を行うことで、凹部への転動を抑制することが好ましい。
そこで、本発明のトナーは、粉砕法により製造されたトナー粒子を熱球形化処理により球形化させる手法、あるいは、分散重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等でトナーを製造する手法が好ましい。特に、懸濁重合法はアスペクト比を制御しやすく、トナー粒子の凹部への外添剤の転動が生じにくいほか、本発明の好適な物性を満たしたトナーが得られやすく非常に好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体、着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に、適当な撹拌器を用いて、得られた重合性単量体組成物を分散し、重合開始剤を用いて重合反応を行って結着樹脂を生成し、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.960以上という本発明に好適な物性要件を満たすトナーが得られやすい。
重合性単量体としては、上記で述べたスチレン系樹脂を生成するためのモノマーが挙げられる。
上記懸濁重合法で使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
具体的な重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。この中でも、パーオキシジカーボネートタイプであるジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネートが先述したように低分子量かつ直鎖タイプの分子構造を有する結着樹脂を製造しやすいため好ましく用いられる。
懸濁重合法において、重合反応時に架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下である。架橋剤としては、上記で述べたビニル系樹脂を得るために用いてもよい架橋剤が挙げられる。
重合性単量体組成物には、極性樹脂を含有させることが好ましい。懸濁重合法では、水系媒体中でトナー粒子を製造するため、極性樹脂を含有させることによって、トナー粒子の表面近傍に極性樹脂を存在させることができる。
極性樹脂を表面近傍に存在させる利点として、例えば、極性樹脂のガラス転移温度を高くすることで、シリカ微粒子の埋め込みなどの耐久劣化を抑制できるようになる。
極性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ポリエステル共重合体、ポリアクリレート−ポリエステル共重合体、ポリメタクリレート−ポリエステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂等があり、これらを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらポリマー中にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等の官能基を導入しても良い。これらの樹脂の中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、前述したポリエステル樹脂を使用することが可能である。
極性樹脂は、酸価が0.5mgKOH/g以上10mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が0.5mgKOH/g以上であると、均一なシェルを形成しやすい。また、トナー粒子の着色剤として磁性微粒子を使用した場合、極性樹脂の酸価が10mgKOH/g以下であると磁性微粒子との相互作用が小さく、磁性微粒子の凝集性を抑制しやすい。そのためトナー粒子中の磁性微粒子が均一に分散し、トナーの均一帯電性が向上しやすい。
極性樹脂は、外添剤の埋め込みを制御できるといった効果を十分に得るという観点から、結着樹脂100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下含有されることが好ましい。
重合性単量体組成物が分散される水系媒体には分散安定剤が含有されるが、分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下を使用することが好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上90℃以下の温度に設定される。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、無機微粒子(シリカ微粒子)を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粒子の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除くことも可能である。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図1Aおよび図1Bに沿って具体的に説明する。図1Aおよび図1Bにおいて、100は静電潜像担持体であり、その周囲に帯電部材(帯電ローラー)117、トナー担持体102を有する現像器140、転写部材(転写帯電ローラー)114、廃トナー容器116、定着器126、ピックアップローラー124、搬送ベルト125等が設けられている。静電潜像担持体100は帯電ローラー117によって帯電される。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を静電潜像担持体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像担持体100上の静電潜像は現像器140によってトナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材Pを介して静電潜像担持体に当接された転写帯電ローラー114により転写材P上へ転写される。トナー画像を載せた転写材Pは定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部静電潜像担持体上に残されたトナーはクリーニングブレードによりかき落とされ、廃トナー容器116に収納される。
次に、本発明のトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例もこの方法に基づいている。
<シリカ微粒子Aの個数平均粒径(D1)の測定方法>
シリカ微粒子Aの個数平均粒径は走査型電子顕微鏡でトナー上に固着したシリカ微粒子Aを観察して求める。走査型電子顕微鏡としては、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いる。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてシリカ微粒子のチャージアップが少ないため、シリカ微粒子の粒径を精度良く測定することが出来る。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)(理論被覆率を算出する際に用いる“da”)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー粒子の表面上の少なくとも300個のシリカ微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子Aは外添方法によっては凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「算術径」が重量平均粒径(D4)である。
<シリカ微粒子Aの重量基準の粒度分布における最大ピークの半値幅の測定方法>
シリカ微粒子Aの重量基準粒度分布半値幅は、CPS Instruments Inc.製ディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いて測定する。測定方法を以下に示す。
1)磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100gに、Triton‐X100(キシダ化学(株)製)を0.5mg入れて分散媒を作製する。この分散媒9gに、トナー1gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束し、上澄み液を作製する。次に、シリンジフィルター(直径:13mm/孔径0.45μm)(アドバンテック東洋(株)製)を取り付けたオールプラスティックディスポシリンジ(東京硝子器械(株)製)の先に、CPS社製の測定装置専用シリンジ針を取り付けて、上澄み液を0.1mL採取する。シリンジで採取した上澄み液をディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000に注入し、シリカ微粒子Aの重量基準粒度分布半値幅を測定する。
測定方法の詳細は以下の通りである。
まず、CPSソフト上のMotor Controlで、ディスクを24000rpmで回転させる。その後、Procedure Definitionsから、下記条件を設定する。
(1)Sample parameter
・Maximum Diameter:0.5μm
・Minimum Diameter:0.05μm
・Particle Density:2.0−2.2g/mL(サンプルによって適宜調整する)
・Particle Refractive Index:1.43
・Particle Absorption:0K
・Non−Sphericity Factor:1.1
(2)Calibration Standard Parameters
・Peak Diameter:0.226μm
・Half Height Peak Width:0.1μm
・Particle Density:1.389g/mL
・Fluid Density:1.059g/mL
・Fluid Refractive Index:1.369
・Fluid Viscosity:1.1cps
上記条件を設定後、CPS Instruments Inc.製オートグラジェントメーカーAG300を使用し、8質量%ショ糖水溶液と24質量%ショ糖水溶液による密度勾配溶液を作製し、測定容器内に15mL注入する。
注入後、密度勾配溶液の蒸発を防ぐため、1.0mLのドデカン(キシダ化学(株)製)を注入して油膜を形成し、装置安定の為、30分以上待機する。
待機後、校正用標準粒子(重量基準中心粒径:0.226μm)を0.1mLシリンジで測定装置内に注入し、キャリブレーションを行う。その後、上記採取した上澄み液を装置に注入し、重量基準の粒度分布における半値幅を測定する。実際に測定した際に得られるデータの一例を図4に示す。図4のように80nm以上200nm以下で得られるピークの重量基準の粒度分布における半値幅をシリカ微粒子Aの重量基準の粒度分布における半値幅の値とする。
2)非磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100gに、Triton‐X100(キシダ化学(株)製)を0.5mg入れて分散媒を作製する。この分散媒9.4gに、トナー0.6gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、シリンジフィルター(直径:13mm/孔径0.45μm)(アドバンテック東洋(株)製)を取り付けたオールプラスティックディスポシリンジ(東京硝子器械(株)製)の先に、CPS社製の測定装置専用シリンジ針を取り付けて、上澄み液を0.1mL採取する。シリンジで採取した上澄み液をディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000に注入し、シリカ微粒子Aの重量基準の粒度分布における半値幅を測定する。測定方法の詳細は上述したとおりである。
<トナー粒子平均円形度、アスペクト比の測定方法>
トナー粒子の平均円形度、トナー粒子のアスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナーを計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度、およびアスペクト比を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
<トナーのシリカ被覆率の測定方法>
本発明におけるトナーのシリカ被覆率は、ESCA(X線光電子分光分析)により測定される、トナー粒子表面に存在するシリカ由来のケイ素(以下、Siと省略する。)原子量から算出される。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μm,25W,15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:φ100μm
以上の条件より測定を行った。
解析方法は、まず炭素1s軌道のC−C結合に由来するピークを285eVに補正する。その後、100eV以上105eV以下にピークトップが検出されるケイ素2p軌道に由来するピーク面積から、アルバック−ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対するシリカに由来するSi量を算出する。
次に、上記と同様の方法でトナーに適用したシリカ単体を測定し、構成元素の総量に対するシリカに由来するSi量を算出し、外添剤単体を測定した際のSi量に対するトナーを測定した際のSi量の割合を本発明におけるシリカ被覆率とする。
また、トナー粒子の表面から分離したシリカ微粒子を測定試料とする場合、シリカ微粒子のトナー粒子からの分離は以下の手順で行う。
1)磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100mLに、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散媒を作製する。この分散媒に、トナー5gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。
その後、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束し、上澄みを採取する。この上澄みを乾燥させることにより、シリカ微粒子を採集する。十分な量のシリカ微粒子を採集することができない場合には、この作業を繰り返して行う。
この方法では、シリカ微粒子以外の外添剤が添加されている場合には、シリカ微粒子以外の外添剤も採集される。このような場合には、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、シリカ微粒子を選別すればよい。
2)非磁性トナーの場合
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンNを入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを上記シェイカーにて1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。振盪後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナーが存在し、下層の水溶液側にはシリカ微粒子が存在する。下層の水溶液を採取して、遠心分離を行い、ショ糖とシリカ微粒子とを分離し、シリカ微粒子を採集する。必要に応じて、遠心分離を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、シリカ微粒子を採集する。
磁性トナーの場合と同様に、シリカ微粒子以外の外添剤が添加されている場合には、シリカ微粒子以外の外添剤も採集される。そのため、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、シリカ微粒子を選別する。
<二粒子間力の測定方法>
トナーの二粒子間力の測定は、ホソカワミクロン社製Aggrobotを用いる。具体的な測定方法は、以下の通りである。
1)磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図2Aに記載の上下2分割の円筒セル内にトナー9.2gを充填する。その後、0.1mm/secで圧縮棒を下ろすことで、78.5N、あるいは157.0Nの垂直荷重をかけて、圧密トナー層(トナーの圧密体)を形成する。その後、図2Bに記載の通り、上部セルをバネで0.4mm/secの速度で持ち上げてトナー層(トナーの圧密体)を引っ張り、トナー層(トナーの圧密体)が破断されたときの最大引張破断力から二粒子間力を算出する。
なお、円筒セルの内径は25mmであり、高さは37.5mmである。
2)非磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図2Aに記載の上下2分割の円筒セル内にトナー7.7gを充填する。その後、0.1mm/secで圧縮棒を下ろすことで、78.5N、あるいは157.0Nの垂直荷重をかけて、圧密トナー層(トナーの圧密体)を形成する。その後、図2Bに記載の通り、上部セルをバネで0.4mm/secの速度で持ち上げてトナー層(トナーの圧密体)を引っ張り、トナー層(トナーの圧密体)が破断されたときの最大引張破断力から二粒子間力を算出する。
なお、円筒セルの内径は25mmであり、高さは37.5mmである。
<シリカ微粒子Aの飽和水分吸着量の測定>
シリカ微粒子Aの飽和水分吸着量の測定はTGA Q5000SA(TAインスツルメント社製)を用いて測定を行う。測定は以下の手順で行う。
試料をサンプルパンにシリカ微粒子Aを5〜20mg秤量したのち本体にセットする。測定条件は温度32.5℃湿度0%で2時間、その後温度32.5℃湿度80%で2時間その後に再び温度32.5℃湿度0%で2時間測定を行う。測定開始から温度32.5℃湿度0%で2時間放置した後の水分量と32.5℃湿度80%で2時間放置した後の水分量の差を飽和水分吸着量とする。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。実施例中の部数は質量部である。
<トナー担持体の作製>
図5に則ってトナー担持体の作製を説明する。
(イソシアネート基末端プレポリマー A−1の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネートT80;三井化学社製)17.7部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール(商品名:エクセノール4030;旭硝子社製)100.0gを反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8質量%のイソシアネート基末端プレポリマーA−1を得た。
(アミノ化合物(構造式(1)で示される化合物)の合成)
(アミノ化合物 B−1の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、撹拌しながらエチレンジアミン100.0部(1.67mol)、純水100部を40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、プロピレンオキシド425.3部(7.35mol)を30分かけて徐々に滴下した。さらに1時間撹拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱して水を留去し、アミノ化合物B−1 426gを得た。
(基体の用意)
基体2として、外径10mmφ(直径)で算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けした。
(弾性ローラの作製)
上記で用意した基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名、SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)
100部
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)15部
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体 0.2部
・白金触媒 0.1部
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該基体を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体2の外周に膜厚0.5mm、直径11mmのシリコーンゴム弾性層3が形成された弾性ローラD−2を作製した。
(表面層の作製)
表面層4の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーA−1 617.9部に対し、アミノ化合物B−1 34.2部、カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製)117.4部、及びウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.4部、を撹拌混合した。
次に、総固形分比が30質量%となるようにMEKを加え表面層形成用塗料を調製した。
次に、先に作製した弾性ローラD−2のゴムの無い部分をマスキングして垂直に立て、1500rpmで回転させ、スプレーガンを30mm/sで下降させながら前記塗料を塗布した。続いて、熱風乾燥炉中で温度180℃、20分間加熱して塗布層を硬化・乾燥することで弾性層外周に膜厚約8μmの表面層を設けトナー担持体1を作製した。
<トナー粒子1の製造例>
(第一水系媒体の調製)
イオン交換水720部に0.1mol/L−Na3PO4水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む第一水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 74部
・n−ブチルアクリレート 26部
・ジビニルベンゼン 0.5部
・ポリエステル樹脂 10部
・負荷電制御剤 T−77(保土ヶ谷化学製) 1部
・磁性体 65部
(組成:Fe3O4、形状:球状、一次粒子の個数平均粒径:0.21μm、795.8kA/mにおける磁気特性;Hc:5.5kA/m、σs:84.0Am2/kg、σr:6.4A)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株)製)を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに離型剤として、パラフィンワックス(HNP−9:日本精蝋社製)を15部、および重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート10部(25%トルエン溶液)を混合/溶解し、重合性単量体組成物とした。
(第二水系媒体の調製)
イオン交換水360部に0.1mol/L−Na3PO4水溶液150部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L−CaCl2水溶液22.6部を添加して分散安定剤を含む第二水系媒体を得た。
(造粒/重合/ろ過/乾燥)
前記第一水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後、造粒液を第二水系媒体に加え、パドル撹拌翼で撹拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応行った。その後、懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子2の製造例>
トナー粒子1の製造例において、造粒時のTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)の撹拌回転数を12,000rpmに変更する以外はトナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子2を得た。トナー粒子2の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子3の製造例>
トナー粒子1の製造例において、第二水系媒体に加える0.1mol/L−Na3PO4水溶液の添加量を100部、1.0mol/L−CaCl2水溶液の添加量を15.0部に変更する以外は、トナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子3を得た。トナー粒子3の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子4の製造例>
トナー粒子1の製造例において、第二水系媒体に加える0.1mol/L−Na3PO4水溶液の添加量を200部、1.0mol/L−CaCl2水溶液の添加量を30.1部に変更する以外は、トナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子4を得た。トナー粒子4の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子5の製造例>
トナー粒子1の製造例において、第二水系媒体に加える0.1mol/L−Na3PO4水溶液の添加量を50部、1.0mol/L−CaCl2水溶液の添加量を7.5部に変更する以外は、トナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子5を得る。トナー粒子5の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子6の製造例>
トナー粒子4の製造例において、造粒時のTK式ホモミキサーの撹拌回転数を12,000rpmに変更する以外は、トナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子6を得た。トナー粒子6の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子9の製造例>
トナー粒子1の製造例において、第二水系媒体を用いない以外は、トナー粒子1と同様の方法で、トナー粒子9を得た。トナー粒子9の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子7の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液850部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 76部
・n−ブチルアクリレート 24部
・C.I.Pigment Blue 15:3:大日精化社製 6.5部
・ポリエステル系樹脂(1) 5部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)(モル比=51:50)、酸価=10mgKOH/g、ガラス転移点=70℃、Mw=10500、Mw/Mn=3.20)
・負荷電性制御剤(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.4部
・フィシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度=75℃) 7.5部
上記の材料をアトライターを用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパ−オキシ2−エチルヘキサノエ−ト10.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を10,000rpmに維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後毎分1℃の冷却速度で徐々に30℃まで冷却し、スラリー1を得た。スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去する。更に、ろ別、洗浄、乾燥してトナー粒子7を得た。トナー粒子7の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子8の製造例>
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71.0部、テレフタル酸28.0部、無水トリメリット酸1.0部及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応せしめてポリエステル樹脂1−1を得た。このポリエステル樹脂1−1の物性は、重量平均分子量(Mw)80000、数平均分子量(Mn)3500、ピーク分子量(Mp)5700である。
また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン70.0部、テレフタル酸20.0部、イソフタル酸3.0部、無水トリメリット酸7.0部及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、220℃の温度で撹拌しつつ、6時間反応せしめてポリエステル樹脂1−2を得た。このポリエステル樹脂1−2の物性は、重量平均分子量(Mw)120000、数平均分子量(Mn)4000、ピーク分子量(Mp)7800である。
上記ポリエステル樹脂1−1:70部、ポリエステル樹脂1−2:30部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)で予備混合し、溶融混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて回転数3.3s-1、混練樹脂温度100℃の条件で溶融ブレンドし、結着樹脂1を得た。
次に、
・低密度ポリエチレン
(Mw1400、Mn850、DSCによる最大吸熱ピークが100℃) 20.0部
・スチレン 64.0部
・n−ブチルアクリレート 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
以上をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持する。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後、溶媒を分離除去し、重合体Aを得た。重合体Aの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)が7000、数平均分子量(Mn)が3000である。
次に、
・結着樹脂1 100部
・重合体A 5部
・フィッシャートロプシュワックス 5部
(最大吸熱ピークのピーク温度78℃)
・C.I.Pigment Blue 15:3:大日精化社製 8部
・負荷電性制御剤(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
0.5部
上記処方をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。この混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られる粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により分級を行い、樹脂粒子を得た。
この樹脂粒子に対し熱球形化処理を行った。熱球形化処理はサーフュージングシステム(日本ニューマチック(株)製)を使用して行い、トナー粒子8を得た。熱球形化装置の運転条件は、フィード量=5kg/hr、熱風温度=250℃、熱風流量=6m3/min、冷風温度=5℃、冷風流量=4m3/min、冷風絶対水分量=3g/m3、ブロワー風量=20m3/min、インジェクションエア流量=1m3/min、拡散エア=0.3m3/minとする。
得られるトナー粒子8の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子10の製造例>
トナー粒子8の製造例において、熱球形化処理を行う代わりに、以下の装置を用いた。機械式の分級同時球形化処理装置(ファカルティ、ホソカワミクロン社製)を用い、分級ローター回転数120s-1で微粒子を除去しながら、分散ローター回転数100s-1(回転周速を130m/sec)で60秒間表面処理を行い、トナー粒子10を得た。得られるトナー粒子10の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子11の製造例>
樹脂分散液の製造:
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・ドデカンチオール 6.0部
・メタクリル酸 2.0部
・四臭化炭素 1.0部
フラスコ中で非イオン性界面活性剤ノニポール400 1.5部、アニオン性界面活性剤ネオゲンSC2.5部をイオン交換水140部に溶解した。上記の材料を混合溶解したものをフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム1.0部を溶解したイオン交換水10部を投入した。窒素置換を行いながら、フラスコをオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、中心径145nm、ガラス転移点58℃、Mw11200の樹脂分散液を得た。
シアン顔料分散液の調製:
下記組成を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)と超音波照射により分散し、中心粒径140nmのシアン顔料分散液を得た。
・銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3:大日精化社製)
100.0部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 10.0部
・イオン交換水 400.0部
離型剤分散液の調製:
下記組成を混合し、97℃に加熱後、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cm2の条件で20回処理することで、中心径190nmの離型剤分散液を得た。
・パラフィンワックス(HNP−7:日本精鑞製) 100.0部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5.0部
・イオン交換水 300.0部
トナー粒子の製造:
・樹脂分散液(樹脂粒子固形分25.0質量%) 400.0部
・着色剤分散液 33.6部
・離型剤分散液 30.0部
・サニゾールB50 2.0部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50で混合分散後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分保持した後、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。その後、ここにネオゲンSC3部を追加後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥、分級し、トナー粒子11を得た。得られるトナー粒子11の物性は、表1に示す通りである。
<シリカ微粒子Aの製造例>
<シリカ微粒子A−1の製造例>
シリカ微粒子A−1は、ゾルゲル法により製造された。
撹拌機、滴下ろうと及び温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール687.9g、純水42.0g及び28質量%アンモニア水47.1gを入れて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)および5.4質量%アンモニア水395.2gを同時に添加した。テトラメトキシシランは5時間かけて、アンモニア水は4時間かけて、それぞれを滴下した。滴下が終了した後も、さらに0.2時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子の懸濁液を得た。
その後、作製した懸濁液のpHを約3.5に調整した。調整後、反応器を75℃に加熱し、イソプロピルアルコール220mLに8.8gのオクチルトリエトキシシランを溶解した溶液を、反応器内を撹拌させながら滴下した。滴下した後、5時間撹拌を続けた。
撹拌終了後、室温まで冷却、濾過した。ろ物をイオン交換水にて洗浄した後、120℃で一晩加熱乾燥した。その後、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)にて解砕処理を行い、目的のシリカ微粒子A−1を得た。
<シリカ微粒子A−2〜A−16の製造例>
ゾルゲルシリカ微粒子の反応温度、テトラメトキシシランおよびアンモニア水の滴下時間、メタノール‐水分散液のpH、添加する表面処理剤種、表面処理剤量を変更した以外はシリカ微粒子A−1と同様にして、シリカ微粒子A−2〜A−16を得た。
<シリカ微粒子Bの製造例>
<シリカ微粒子B−1の製造例>
撹拌機付きオートクレーブに、シリカ原体(一次粒子の個数平均粒径=15nmのヒュームドシリカ)を投入し、撹拌による流動化状態において、200℃に加熱した。
反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ原体100部に対し、25部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行った。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、窒素ガス気流による洗浄を行い、疎水性シリカから過剰のヘキサメチルジシラザン及び副生物を除去した。
さらに、反応槽内の疎水性シリカを撹拌しながら、シリカ原体100部に対し、10部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/秒)を噴霧し、30分間撹拌を続けた。その後、撹拌しながら300℃まで昇温させてさらに2時間撹拌した。その後、取り出し解砕処理を実施し、シリカ微粒子B−1を得た。
<シリカ微粒子B−2〜B−7の製造例>
シリカ微粒子B−1の製造例において、使用する未処理シリカの粒径を変更し、表面処理剤量を適宜調整した以外は同様にして、シリカ微粒子B−2〜B−7を得た。
〔実施例1〕
<トナーの作製>
トナー粒子1 100部に対し、シリカ微粒子A−1 0.3部をヘンシェルミキサーで外添混した。その後、一旦トナーを取り出し、該トナーとシリカ微粒子B−1 0.6部を図3に示す装置で外添混合した。トナー粒子とシリカ微粒子B−1を均一に混合するために、第一混合を実施した。第一混合の条件は、駆動部38の動力を0.10W/g(駆動部38の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。その後、第二混合工程を行い、粒子混合物を得た。その際の動力と運転時間は、それぞれ、0.3W/g(1200rpm)、5分であった。なお、図3に示す装置の構成としては、本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10-3m3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、撹拌部材33の形状を図6のものとした。そして、図6における撹拌部材33aと撹拌部材33bの重なり幅dを撹拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、撹拌部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。
外添混合処理後、目開き200μmのメッシュで篩い、負摩擦帯電性のトナー1を得た。トナー1から得られるトナー上のシリカ微粒子A−1、およびシリカ微粒子B−1の物性とトナー1の諸物性を表2に示す。
次に、上記トナー1を用いて、以下の評価を行う。評価結果を表3に示す。
<画像形成装置>
1)磁性トナーの場合
キヤノン(株)製プリンタLBP3100を改造して画出し評価に用いた。改造点としては、図1Bに示すようにトナー担持体(図1B;102)が静電潜像担持体(図1:100)を接触するように改造した。なお、トナー担持体を外径10mmから8mmに小径化し、静電潜像担持体の当接部が0.8mmとなるように当接圧を調整した。さらに、転写残トナーやカブリトナーおよび紙粉等を回収するクリーナー部材(図1B;116)を取り外した。また、トナー担持体を小径化し、規制部との当接部面積を小さくすることで、規制部での白後ドラム上カブリに関しても厳しい評価条件となった。さらに、クリーナー部を無くすことで、帯電ローラにトナーが付着するため、帯電性能が変化し、画像濃度等の現像性に対して厳しい条件となった。
このように改造した現像装置に磁性トナー1を40g充填し、現像装置を作製した。作製した現像装置を用い、高温高湿環境(温度32.5℃/相対湿度80%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が1%となるような横線を2枚6秒の間欠モードにて画出し試験を行った。
また、その後の実施例、比較例にて非磁性トナーを評価に使用する場合は、以下の画像形成装置を用いて行った。
2)非磁性トナーの場合
キヤノン(株)製プリンタLBP7200Cを改造して画だし評価に用いた。改造点としては、上記磁性トナー用に用いたLBP3100の改造と同様にした。
このように改造した現像装置にトナーを40g充填し、現像装置を作製した。作製した現像装置は、上記プリンタのシアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着して画だし評価を実施した。この現像装置を用いて高温高湿環境(温度32.5℃/相対湿度80%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が1%となるような横線を2枚6秒の間欠モードにて画出し試験を行った。
また、3000枚の画だし後に、高温高湿環境下(32.5℃、相対湿度80%RH)にて画像形成装置の電源を落としてそのまま1カ月放置した。その後再起動させ、印字紙全面にベタ白画像を形成したチャートを1枚出力した。
本発明の実施例及び比較例で行う各評価の評価方法とその判断基準について以下に述べる。
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。耐久初期(評価1)および3000枚印字後(評価2)における、ベタ画像の反射濃度の判断基準は以下の通りである。
A:非常に優れる(1.46以上)
B:優れる(1.41以上1.45以下)
C:良好(1.36以上1.40以下)
D:劣る(1.35以下)
<白後ドラム上カブリ>
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定する。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白後ドラム上カブリは、ベタ白画像の転写前ドラム上をマイラーテープでテーピングし、紙上にマイラーテープを貼ったものの反射率から、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度を差し引いて算出した。
なお、評価タイミングは、プリンタ起動直後の画だし一枚目(初期時)と3000枚画だし後、一旦プリンタ電源を落として翌日一枚目(3000枚時)のドラム上カブリを評価した。さらには3000枚画だし後に1カ月長期保管した後の一枚目に評価した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
A:5.0%未満(カブリの抑制が非常に優れる)
B:5.0%以上10.0%未満(カブリの抑制が優れる)
C:10.0%以上20.0%未満(カブリの抑制が良好)
D:20.0%以上(カブリの抑制が劣る)
〔実施例2〜16〕
トナー粒子とシリカ微粒子A、シリカ微粒子B、質量部数を変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜トナー16を得た。トナー2〜トナー16から得られるトナー上のシリカ微粒子A、およびシリカ微粒子Bの物性とトナーの諸物性を表2に示す。さらに、実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示す。
〔比較例1〜8〕
トナー粒子とシリカ微粒子A、シリカ微粒子B、質量部数を変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー17〜トナー24を得た。トナー17〜トナー24から得られるトナー上のシリカ微粒子A、およびシリカ微粒子Bの物性とトナーの諸物性を表2に示す。さらに、実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示す。