JP2018060009A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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吉彬 塩足
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康弘 橋本
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昇平 芝原
池田 直隆
Naotaka Ikeda
池田  直隆
源弥 福島
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Abstract

【課題】微小粒子の発生を抑制するとともに、アスペクト比が高く現像性に優れるトナー粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程、該水系媒体に、重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、該重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程、および、該重合性単量体組成物の粒子に含有される該重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、該調製工程において調製された水系媒体中の該多価金属イオンの含有割合が、4mmoL/L以上120mmoL/L以下であり、該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、50nm≦D1≦250nmを満たすトナー粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電印刷法などの画像形成方法、又は、トナージェット方式の画像形成方法において、トナー像を形成するためのトナー粒子の製造方法に関する。
近年、プリンターや複写機の省エネルギー化、小型化、高速化、長寿命化が進められており、トナーに要求される現像性能も一段と厳しくなっている。特に、高速化、長寿命化に向けて、現像機内のトナーが熱や衝撃などのストレスを受ける機会は増大している。そのため、特に規制ブレードとの摩擦によりトナーを帯電させる非磁性一成分現像装置を用いる場合は、現像ブレードへの固着や融着、現像ローラー上のスジムラが増大する傾向にあり、耐久性に大きな課題が発生する場合があった。
現像ブレードに対するトナーの固着や融着等の要因の1つとして、トナー粒子を得る過程で副生する、トナー粒子径に比べてはるかに小さい粒子径を有する粒子(微小粒子)を挙げることができる。これまでに、耐久性向上のために、微小粒子の発生を抑制する手段が検討されている。
微小粒子の発生を抑制する手段として、特許文献1では、金属塩Aの水溶液と化合物Bの水溶液とを混合することにより生成される難水溶性無機化合物を分散安定化剤として用いるトナーの製造方法を開示している。ここで、金属塩Aは多価金属塩であり、化合物Bは、リン酸イオン、リン酸水素イオン、炭酸イオン、及び水酸化物イオンから選ばれる陰イオンと、一価金属からなる、塩又は水酸化物から選ばれる一価金属化合物である。なお、化合物Bに対する金属塩Aの化学当量比は、3.2以上としている。
特開2007−127678号公報
特許文献1に記載のトナーの製造方法では、多量の多価金属塩に対して一価金属化合物を添加することで分散安定化剤を生成している。このため、一価金属化合物に対する多価金属塩の化学当量比を3.2未満(例えば、1程度)で生成した場合と比較して、分散安定化剤を生成するための結晶核が多量に存在するため、従来よりも小さな分散安定化剤が多量に生成していると考えられる。多価金属塩を多量に用いた場合、分散安定化剤の多価金属イオンの溶解性が高まる直前のpHに近付くため、化学当量比が3.2未満(例えば、1程度)の場合に比べて、反応媒体(例えば水系媒体)中のpHは低下する傾向にある。そのため、トナー粒子を形成するためのモノマー(重合性単量体)自体の界面活性能力(泡立ち)が抑制され、副生する微小粒子の量が減っていると考えられる。
しかしながら、特許文献1のように、分散安定化剤の構成材料である多価金属塩を多量に添加した場合、分散安定化剤の結晶表面(粒子表面)の組成は、主に多価金属元素で構成されていると考えられる。そのため、分散安定化剤の表面電荷は従来に比べて正の電荷が強くなる傾向があり、トナー粒子を形成するためのモノマーを含む重合性単量体組成物の分散液滴と、分散安定化剤との間の電位差が小さくなる傾向がある。このように、両者の間の電位差が小さくなると、反応媒体中の重合性単量体組成物の分散液滴の安定性が損なわれる場合があり、複数の粒子の合一が発生して、合一したトナー粒子が発生することがある。この合一したトナー粒子は球形に対して歪な形状となる(アスペクト比が低くなる)ため、現像性の低下を招く場合がある。
従って、本発明は上記課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、微小粒子の発生を抑制するとともに、アスペクト比が高く現像性に優れるトナー粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程、該水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、該重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程、および、該重合性単量体組成物の粒子に含有される該重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、該調製工程において調製された水系媒体中の該多価金属イオンの含有割合が、4mmoL/L以上120mmoL/L以下であり、該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、50nm≦D1≦250nmを満たすことを特徴とするトナー粒子の製造方法である。
本発明により、微小粒子の発生を抑制するとともに、アスペクト比が高く現像性に優れるトナー粒子の製造方法を提供することができる。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、本発明より得られるトナー粒子(トナー)は、副生する微小粒子の量も少なく、更に、上述した他の課題も解決できることを見出した。この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
本発明では、難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含有する水系媒体中で、重合性単量体組成物の粒子を造粒している。その造粒の際、重合性単量体組成物の粒子表面(液滴表面)に難水溶性無機微粒子が付着する。ここで、造粒時の撹拌装置(せん断装置)によるせん断力は、マイクロメートルオーダーの粒子を生成できるほど強力なものであるため、撹拌装置のキャビテーションの影響により重合性単量体組成物粒子が破壊されて微小粒子が生成してしまう。このように、重合性単量体組成物粒子の破壊により生じた微小粒子の表面は、安定して存在している重合性単量体組成物粒子の表面と比べ、難水溶性無機微粒子の付着が少ない。この不安定な微小粒子表面に、微小粒子表面と対をなす多価金属イオンが電気的に接近し、その表面電位を失わせる。その結果、微小粒子表面の電気的反発力が弱くなるため、他の微小粒子が近づき、凝集し、元の重合性単量体組成物粒子のサイズに戻ると考えられる。
さらに、本発明では、調製工程において水系媒体に含有する多価金属イオンの量と、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1とを、それぞれ特定の範囲内としている。多価金属イオンの含有割合を特定の範囲内とすることで、微小粒子に対して、適度な凝集力を働かせることができ、最終的に微小粒子の発生を抑制することができる。また、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1を特定の範囲内とすることで、重合性単量体組成物粒子の表面を難水溶性無機微粒子によって、隙間やムラなく均一に覆うことができる。その結果、難水溶性無機微粒子で被覆された重合性単量体組成物粒子は、結果的に凝集作用を引き起こさせる多価金属イオン存在下でも、微小粒子等の不安定な粒子と凝集せずに済む。このため、これらの重合性単量体組成物粒子より作製されるトナー粒子は、比較的丸い形状を維持することができ、アスペクト比も高くなり、優れた現像性を有することができる。
なお、本明細書では、微小粒子とは、造粒工程時に重合性単量体組成物粒子より副生した微小な粒子と、この粒子が重合工程等を経て、重合された後の粒子とを含むものである。
以下に、懸濁重合法を例にとって、本発明を詳細に説明する。
なお、懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を造粒し、更に、重合性単量体組成物粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る方法である。
<トナー粒子の製造方法>
本発明の製造方法は、以下の製造工程を有する。
・難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程(水系媒体調製工程)。
・前記水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、前記重合性単量体組成物の粒子を前記水系媒体中で形成する造粒工程。
・前記重合性単量体組成物の粒子に含有される前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程。
さらに、本発明の製造方法は、例えば、造粒工程の前に、下記組成物調製工程を有することができる。
・重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する組成物調製工程。
しかしながら、本発明では、この組成物調製工程を別途設けなくても良い。造粒工程の際に、水系媒体中に、重合性単量体組成物を構成する成分(重合性単量体、着色剤及びその他の添加剤等)を一度に添加しても良い(その際、一部の成分を予め別途混合していても良い)。また、例えば、これらの成分のうちの1つまたは複数の成分(その際、複数の成分を予め別途混合していても良い)を、温度条件や撹拌条件等を適宜変えて段階的に水系媒体中に添加しても良い。なお、重合性単量体組成物の一部(例えば、後述する重合開始剤)は、重合性単量体組成物粒子に含有されずに、分散媒中に溶解していても良い。このため、重合性単量体組成物のうち、重合開始剤等の分散媒中に溶解可能な成分は、造粒工程後(重合性単量体組成物の粒子が形成された後)かつ重合工程終了前(重合反応が完結してトナー粒子が形成される前)に、水系媒体中(または反応系中)に添加しても良い。
即ち、本発明では、結果的に(トナー粒子が形成される前に)、水系媒体中(または反応系中)に重合性単量体組成物の各成分が添加(含有)されていれば良い。
なお、組成物調製工程を別途設ける場合は、造粒工程は、調製した重合性単量体組成物を上記水系媒体中に分散させることにより、この重合性単量体組成物の粒子を造粒する工程であることができる。
本発明の製造方法は、上記重合工程より得られたトナー粒子(トナー粒子を含む重合反応液)に対し、以下の蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程とを行うことができる。また、これらの工程より得られたトナー粒子に対して、以下の分級工程を行うこともでき、さらに、以下の外添工程を行うこともできる。即ち、本発明のトナー粒子の製造方法は、水系媒体調製工程と、組成物調製工程と、造粒工程と、重合工程と、蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程と、分級工程と、外添工程とを含むことができる。なお、各工程の順序は適宜設定することができ、複数の工程を並行して行うこともできる。
・得られたトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行う蒸留工程。
・得られたトナー粒子(またはトナー粒子を含む分散液)に対して、洗浄、濾過及び乾燥を行う、洗浄、濾過及び乾燥工程。
・得られたトナー粒子に対して、分級操作を行う分級工程。
・得られたトナー粒子に外添剤を添加する外添工程。
次に、各工程を詳しく説明する。
[水系媒体の調製工程]
まず、難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含む水系媒体(水分散液)を調製する。
(水系媒体(水系分散媒体))
難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含む水系媒体は、難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンを生じる多価金属塩と、水とを含む分散液であることができる。また、この水系媒体は、この他に、難水溶性無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム)等を含むことができる。なお、水系媒体は、難水溶性無機微粒子と、多価金属塩と、水とからなることもできる。多価金属塩は水中に溶解することができ、水とともに分散媒として機能することができる。
なお、水系媒体のpHは、難水溶性無機微粒子のpHに対する溶解性の観点から4.0以上、多価金属塩に含まれる多価金属元素をイオンとして残存させるという観点から6.5以下とすることが好ましい。なお、水系媒体のpHの調整には、上述したような酸やアルカリを用いることができる。
・水
水系媒体の調製に用いる水(分散媒)は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、この水の使用量は以下のようにすることが好ましい。即ち、より安定した懸濁液滴を生成できることから、水の使用量は、重合性単量体組成物100質量部に対して、190質量部以上が好ましく、210質量部以上がより好ましい。また、生産性の観点から、水の使用量は、重合性単量体組成物100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましい。
・難水溶性無機微粒子
難水溶性無機微粒子は、水系媒体中に微粒子として存在することにより、重合性単量体組成物の分散安定化剤としての機能を発揮する。
難水溶性無機微粒子としては、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等を挙げることができるが特に限定されない。しかしながら、pH4.0以上での溶解度が低く、粒子として安定して存在出来るという観点から、難水溶性無機微粒子としては、リン酸カルシウム、および、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。これらの難水溶性無機微粒子は、1種を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
難水溶性無機微粒子の使用量は、重合性単量体組成物100質量部に対して、0.5質量部以上2.0質量部以下とすることが好ましい。上記の範囲であれば、重合性単量体組成物の粒子をより安定して保持することができる。
また、難水溶性無機微粒子は、特定の個数平均粒径を有する。具体的には、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、50nm≦D1≦250nmを満たす難水溶性無機微粒子を用いる。D1が50nm未満の場合や250nmより大きい場合には、重合性単量体組成物粒子の表面を難水溶性無機微粒子によって均一に覆えなくなり、アスペクト比の高いトナー粒子を得ることができない。より具体的には、D1が50nm以上であれば所望のトナー粒子径を得る際に、難水溶性無機微粒子により均一に被覆することが可能となり、D1が250nm以下であれば所望のトナー粒子に制御することが可能となる。
従って、D1が上記範囲内であれば、トナー粒子を製造する際に、アスペクト比の高いトナー粒子を製造できる。
また、アスペクト比の高い所望のトナー粒子を得るという観点から、難水溶性無機微粒子のD1は、100nm以上180nm以下であることがより好ましい。
また、重合性単量体組成物中にポリエステル樹脂等の極性樹脂を含有する場合は、以下のことが言える。即ち、D1が上記範囲(50nm以上250nm以下)内であれば、重合性単量体組成物粒子の表面を難水溶性無機微粒子によってムラなく均一に覆うことができるため、重合性単量体組成物粒子に含有される極性樹脂が界面に引き寄せられる。この効果によって元々その極性によって重合性単量体組成物粒子の表面近傍に存在し易かった極性樹脂が、より一層表面に偏在しやすくなる。そして、ポリエステル樹脂のような、耐衝撃性、耐熱性の強い極性樹脂が表面に偏在することによって、よりスジやムラに強い耐久性のあるトナー粒子を製造することができる。
なお、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1は、調製工程で得られた難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体の希釈液を用いて、以下の方法により測定することができる。具体的には、動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA−150](商品名、日機装株式会社製)を用いて、難水溶性無機微粒子の粒度分布を算出する。なお、測定に用いる希釈液と測定セルとの温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行う。粒径測定は、60℃で行う。
(1)セル内部にRO(Reverse Osmosis)水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行う。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Z
eroの条件は、時間:60sで行う。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体をイオン交換水で10質量倍希釈し、超音波で5分処理した希釈液:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出する。
なお、本発明では、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1の標準偏差をσとしたとき、変動係数(σ/D1)が、σ/D1≦0.70の関係を満たすことが好ましい。変動係数が0.70以下であると、より重合性単量体組成物粒子の表面を均一に覆うことができるため、よりアスペクト比が高く、より粒度分布の良い、微小粒子の少ないトナー粒子を得ることができる。また、上記変動係数は、当然ながら小さければ小さいほど好ましい。
・多価金属イオン(多価金属塩由来のイオン)
多価金属イオンは、例えば以下の多価金属塩を水系媒体中に添加することにより、この多価金属塩由来のイオン(多価金属イオン)として、水系媒体中に含有することができる。
多価金属塩(多価金属化合物)としては、例えば以下のものを挙げることができる。即ち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀等のハロゲン化物、ヘキサフルオロシリル化物、硫酸塩、酢酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝酸類塩等の無機金属塩が挙げられる。また、有機酸の金属塩も水溶性であれば用いることができる。なお、多価金属塩は、1種を単独で用いても良く、また、2種以上を併用しても良い。
多価金属塩として、具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化ストロンチウム、ポリ塩化アルミニウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。
中でも、pHに対する溶解性の観点から、多価金属塩を構成する金属が、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム及びカルシウムから選択される金属塩が好ましい。これらの中でも、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムはイオン化傾向が大きく、イオン化し易いためより好ましい。
なお、造粒時の水系媒体のpHで、多価金属イオンが分散媒中に溶解する多価金属塩を用いることが望ましい。
以上より、本発明においては、pH6.5以下で分散媒(例えば水)中に溶解し易いマグネシウムイオン(Mg2+)を含む(生じる)多価金属塩を用いることが特に好ましい。この要件を満たす多価金属塩としては、例えば、塩化マグネシウムを挙げることができる。
また、上述した多価金属イオンとしての効果を十分に発揮するという観点から、水系媒体に用いる難水溶性無機微粒子の金属組成(難水溶性無機微粒子に含有される金属イオン)と、異なる多価金属イオン(を発生する多価金属塩)を用いることが一層好ましい。言い換えると、難水溶性無機微粒子と多価金属塩とは、異なる金属成分を含有するものをそれぞれ用いることが一層好ましい。従って、例えば、第一の多価金属(例えばカルシウム)を含む難水溶性無機微粒子(例えばリン酸カルシウム)と、この第一の多価金属と異なる第二の多価金属(例えばマグネシウム)のイオンを含む多価金属イオンとを用いることができる。
多価金属イオンの使用量は、調製工程より得られる水系媒体に対して、多価金属イオンの含有割合が、4mmoL/L以上120mmoL/L以下となるようにする。
水系媒体中の多価金属塩(多価金属イオン)濃度が4mmoL/L未満の低い状態では、多価金属イオンによる微小粒子表面への働きかけが不十分であり、結果的に微小粒子の凝集力が十分に働かないため、十分に微小粒子を減らすことができない。また、多価金属塩濃度が120mmoL/Lを超える高い状態では、微小粒子の凝集力が強くなりすぎるため、安定していた重合性単量体組成物粒子さえも凝集し、粒子の粗大化が発生してしまう。さらに、重合工程を経て製造されるトナー粒子中に残存する多価金属塩由来のイオン(例えば、Mgイオン)の濃度も上昇してしまうため、トナーの帯電性が低下してしまう場合がある。
また、微小粒子の減少、粒子の粗大化の抑制及び帯電性の向上の観点から、水系媒体中の多価金属イオンの含有割合は、20mmoL/L以上80mmoL/L以下であることがより好ましい。
(難水溶性無機微粒子及び多価金属イオンを含む水系媒体の調製方法)
・難水溶性無機微粒子について
難水溶性無機微粒子が分散された水系媒体を調製する場合には、難水溶性無機微粒子として、市販の分散安定化剤をそのまま用いて分散媒(例えば水)中に分散させても良い。しかし、細かい均一な粒度を有する難水溶性無機微粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下で、難水溶性無機微粒子を生成させて調製することが好ましい。
例えば、リン酸カルシウムを難水溶性無機微粒子として使用する場合、以下のように調製することができる。即ち、高速撹拌下かつ60℃以下の低温領域で、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を分散媒中に形成することで、難水溶性無機微粒子を得ることができる。なお、この際、難水溶性無機微粒子の生成温度を調整することによって、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1のコントロールが可能である。具体的には、低い温度で生成させるほど、難水溶性無機微粒子のD1は小さくなり、高い温度で生成させるほど、難水溶性無機微粒子のD1は大きくなる。また、生成時の撹拌速度を調整することによって、難水溶性無機微粒子の粒度分布を調整することができる。具体的には、撹拌速度が速いほど分布はシャープになり、撹拌速度が遅いほど分布はブロードになる。なお、難水溶性無機微粒子を調製する際には、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)等の撹拌装置を用いることができる。
・多価金属イオンについて
多価金属イオンを含有(溶解)する水系媒体を調製する場合には、上記難水溶性無機微粒子を分散させた水系媒体中に、多価金属イオンを生じる多価金属塩を例えば水溶液の形態で添加することで調製することができる。
以上より、難水溶性無機微粒子及び多価金属イオンを含む水系媒体を得ることができる。
[造粒工程]
前述した難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含む水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含む重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより、この水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を造粒する。即ち、造粒工程により、分散安定化剤として働く難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンと、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液(水系媒体)を得ることができる。なお、上述したように、水系媒体に添加された重合性単量体組成物全てが、重合性単量体組成物粒子を構成しなくても良く、添加された重合性単量体組成物の一部(例えば、後述する重合開始剤)が、分散媒中に含まれて(溶解して)いても良い。
このため、重合性単量体や重合性単量体組成物を基準とした、難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含む水系媒体や、重合性単量体組成物の各成分の相対使用量は、仕込みの重合性単量体量や重合性単量体組成物量に基づくものである。
なお、上述したように、予め、重合性単量体及び着色剤等を混合(分散)して重合性単量体組成物を調製して(組成物調製工程)、その調製した重合性単量体組成物を水系媒体に分散させ、重合性単量体組成物の粒子を作製しても良い。
(重合性単量体組成物)
重合性単量体組成物は、重合性単量体および着色剤を含み、必要に応じて、重合開始剤等の添加剤を含むことができる。なお、着色剤は、予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の添加剤(成分)と混合して、重合性単量体組成物を調製しても良い。また、その他の添加剤と同時に、着色剤を重合性単量体に混合しても良いし、その他の添加剤を重合性単量体に混合した後に、それらの混合物中に着色剤を分散させても良い。即ち、重合性単量体組成物は、重合性単量体と、着色剤と、他の添加剤とを混合することにより得ることができる。
・重合性単量体
重合性単量体は、作製するトナー粒子に応じて適宜設定することができるが、例えば、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることができる。
ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン。
多官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等。
なお、重合性単量体は、1種類を単独で用いても良いし、複数種類を併用しても良い。しかしながら、上記単官能性重合性単量体を単独、もしくは2種以上組み合わせて、または、上記単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組合せて使用することが望ましい。
なお、重合性単量体組成物中の重合性単量体の好ましい含有割合は、60質量%以上である。
・着色剤
着色剤は、従来から知られている種々の染料や顔料等、トナー分野で公知の着色剤から適宜選択して用いることができる。着色剤としては、例えば、以下に示すマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの顔料を用いることができる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物を用いることができる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5〜7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましく用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系のイエロー着色剤、及び染料系のイエロー着色剤を用いることができる。
顔料系のイエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、7、10、12〜15、17、23、24、60、62、74、75、83、93〜95、99、100、101、104、108〜111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168〜177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が好適に用いられる。
染料系のイエロー着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.ディスパースイエロー42、64、201、211が挙げられる。
ブラック(黒色)着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが利用できる。
これらの着色剤は、1種を単独で、または複数種を混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。上記の範囲内であれば、トナーとして十分な着色力を容易に得ることができる。なお、トナー粒子中に顔料等の着色剤を分散させるために、着色剤を溶剤に分散させた状態で用いることができ、重合性単量体(例えばスチレン)をこの溶剤として用いることもできる。
・重合開始剤
懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法では、重合開始剤として、一般的に油溶性開始剤が用いられる。
油溶性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
また、重合開始剤として、油溶性開始剤と、水溶性開始剤とを併用することもできる。
水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄または過酸化水素を挙げることができる。
上記重合開始剤は、1種を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
重合開始剤の添加時期は、組成物調製工程、造粒工程および重合工程のうちのいずれの工程内であっても良い。また、添加する1種以上の重合開始剤を一度に水系媒体(または反応系)中に添加しても良いし、複数回に分けて、同一の工程内または複数の工程内で分割して、水系媒体(または反応系)中に添加しても良い。
・その他の添加剤
その他の添加剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
チタニア、シリカ、アルミナ等の無機微粒子。
極性樹脂(ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、スチレンアクリル樹脂等)、ビニル系ポリマー、エステルワックス、カルナバワックス、炭化水素ワックス等の有機化合物。
これらの添加剤は、1種を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの添加剤の使用量は、離型性と帯電安定性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。
特に、極性樹脂であるポリエステル樹脂を用いる場合は、ポリエステル樹脂の酸価(Av)(単位:mgKOH/g)が、1.0mgKOH/g≦Av≦15.0mgKOH/gであることが好ましい。Avが1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下であれば、製造されるトナー粒子の粒度分布がよりシャープとなる。より具体的には、Avが1.0mgKOH/g以上であればポリエステル樹脂がトナー粒子界面に配行しやすくなり、Avが15.0mgKOH/g以下であればポリエステル樹脂の界面活性能に由来する乳化粒子の生成を抑制し易く、生産安定性がより高まる。また、多価金属塩と、上記範囲内の酸価を有するポリエステル樹脂とを併用することで、トナー粒子表面に配行したポリエステル樹脂の酸基と水酸基が、水系媒体中に存在する多価金属イオンと配位結合を行うことで化学的に架橋される。このため、低温定着性に優れるトナー粒子の耐熱保存性をより良化することができるので好ましい。
また、ポリエステル樹脂の酸価(Av)は、現像性の観点から2.0mgKOH/g以上、生産安定性の観点から10.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。
なお、酸価とは、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。極性樹脂の酸価(Av)は、JIS K 0070−1992に準じて測定することができるが、具体的には、以下の手順に従って測定することができる。
まず、0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製、電位差滴定測定装置AT−510(商品名))を用いて求めることができる。具体的には、0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル(極性樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、極性樹脂の酸価(Av)を算出する。
Av=[(C−B)×f×5.61]/S
(式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(極性樹脂)(g)である。)
Avが上記範囲(1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下)内のポリエステル樹脂は、例えば、以下のジカルボン酸等の多価カルボン酸と、ジオール等のポリアルコールとを重縮合させることにより作製することができる。
多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)及びトリメリット酸(TMA)等のジカルボン酸を挙げることができる。
ポリアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA−PO(プロピレンオキサイド)2mol付加物、ビスフェノールA−EO(エチレンオキサイド)2mol付加物及びエチレングリコールなどのジオールを挙げることができる。
(造粒方法)
水系媒体中での重合性単量体組成物粒子の造粒操作は、例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。
高剪断力を有する撹拌機としては、例えば、ULTRA‐TURRAX(商品名、IKA社製)、T.K.ホモミキサー(商品名、特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(商品名、特殊機化工業社製)、クレアミックス(商品名、エム・テクニック社製)、キャビミックス(商品名、大平洋機工社製)等の市販品を挙げることができる。また、撹拌機を竪型撹拌槽内で、撹拌槽下部から一部プロセス液を抜き出し再度撹拌槽へ戻す循環機構を有し、循環機構内にインライン式の高剪断力を有する分散機を用いることも出来る。
インライン式の分散機としては、例えば、コロイドミル(商品名、IKA社製)、キャビトロン(商品名、大平洋機工社製)、W・モーション(商品名、エム・テクニック社製)等の市販品を挙げることができる。
撹拌機の撹拌翼の周速(ローター、ステーター式の場合、ローターの周速)は、25m/s以上75m/s以下とすることが好ましい。25m/s以上の場合、撹拌翼の剪断力が大きくなる。それに伴い、微小な液滴が発生しやすくなるため本発明の効果が顕著になる。一方、撹拌翼の周速が75m/s以下であれば、撹拌熱(撹拌により生じる熱)によって、経時で重合性単量体の熱重合が進行しポリマー化することを抑制し易く、得られるトナー粒子の粒度分布をよりシャープにすることができる。また、撹拌翼の周速を75m/s以下にすることは、装置の耐久性の観点からも好ましい。
[重合工程]
難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンと、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液(重合性単量体組成物分散液)中にて、重合性単量体組成物粒子中の重合性単量体を重合させて、トナー粒子を形成し、トナー粒子分散液を得る。
本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合工程における重合温度は、例えば40℃以上で行うことができ、通常は、50℃以上90℃以下で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温しても良い。撹拌に用いられる撹拌羽根は上記重合性単量体組成物分散液(トナー用原料分散液)を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌羽根又は撹拌手段としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼などの一般的な撹拌羽根、並びに、「フルゾーン」(商品名、神鋼パンテック社製)、「ツインスター」(商品名、神鋼パンテック社製)、「マックスブレンド」(商品名、住友重機社製)、「スーパーミックス」(商品名、佐竹化学機械工業社製)及び「Hi−Fミキサー」(商品名、綜研化学社製)などが挙げられる。
[蒸留工程]
必要であれば未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られるトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行い、一部水系媒体を留去してもよい。蒸留工程は、常圧または減圧下で行うことができる。
なお、本発明では、水系媒体調製時に、個数平均粒径D1が50nm以上250nm以下の難水溶性無機微粒子を使用している。ここで、難水溶性無機微粒子のD1が50nm未満の場合、難水溶性無機微粒子による排除体積効果が弱いため、蒸留工程時に、重合した重合性単量体組成物粒子同士が接近し、合一してしまう場合がある。
なお、以降、重合した重合性単量体組成物粒子を重合体粒子と称することがあり、この重合体粒子には、トナー粒子や副生する微小粒子も含まれる。
また、D1が250nmを超える場合、重合体粒子表面の難水溶性無機微粒子間に隙間があるため、蒸留工程時に、比較的小さい粒径の重合体粒子がその隙間に付着し、重合体粒子が2、3個合一したような重合体粒子が得られる場合がある。
従って、蒸留工程時においても、難水溶性無機微粒子のD1は上記範囲内であることが、蒸留時の重合体粒子の粗大化を抑制する観点から好ましい。なお、難水溶性無機微粒子のD1は、水系媒体調製時と、蒸留工程時とでは、変化しない。
[洗浄、濾過(固液分離)及び乾燥工程]
重合体粒子表面に付着した分散安定化剤を除去する目的で、蒸留工程等から得られたトナー粒子等の重合体粒子を含む分散液を、酸またはアルカリで処理をすることもできる。その際、一般的な固液分離法によりトナー粒子等の重合体粒子は液相へと分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定化剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄することができる。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥することができる。
なお、得られたトナー粒子のガラス転移温度は、53℃以上65℃以下であることが好ましい。トナー粒子のガラス転移温度が53℃以上65℃以下であると、保存性と定着性が両立し易くなる。トナー粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定することができる。
[分級工程]
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度分布を有するものである。しかし、さらにシャープな粒度分布が要求される場合には風力分級機などで分級操作を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
[外添工程]
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として、上述した工程より得られるトナー粒子の表面に、外添剤を付着させることができる。
外添剤はトナー粒子に添加した時の耐久性の観点から、外添剤を付与する前のトナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;炭化物炭化ケイ素等の炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下用いることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下用いることがより好ましい。外添剤は1種類を単独で用いても良いし、また複数種類を併用しても良い。なお、これらの外添剤は、帯電安定性の観点から、表面を疎水化処理したものを用いることが好ましい。疎水化処理方法としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
<トナー粒子>
本発明により製造されるトナー粒子は、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。また、本発明の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用でき、磁性トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。
以下の各例において用いた測定方法について、説明する。
<難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1の測定>
動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA−150](商品名、日機装株式会社)を用い、難水溶性無機微粒子の粒度分布を算出した。測定に用いる希釈液と測定セルとの温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行った。粒径測定は、60℃で行った。
(1)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行った。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認した。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行った。Set Z
eroの条件は、時間:60sで行った。
(3)以下の条件を入力した。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体をイオン交換水で10質量倍希釈し、超音波で5分処理した希釈液:3.0gを入れ、測定を開始した。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出した。
<極性樹脂の酸価の測定>
極性樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定したが、具体的には、以下の手順に従って測定した。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行った。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製、電位差滴定測定装置AT−510(商品名))を用いて求めた。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求めた。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いた。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行った。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル(極性樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解した。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定した。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
得られた結果を下記式に代入して、極性樹脂の酸価を算出した。
Av=[(C−B)×f×5.61]/S
(式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(極性樹脂)(g)である。)
<極性樹脂及びトナー粒子のガラス転移温度(Tg)の測定>
極性樹脂及び各例より得られるトナー粒子のTgは、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定した。
示差走査熱量計は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(商品名、TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて以下のように測定した。測定サンプル(極性樹脂又はトナー粒子)は3mgを精密に秤量した。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用いた。20℃で5分間平衡を保った後、測定範囲20℃から180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行った。ガラス転移温度は中点法で求めた。
<極性樹脂の軟化点測定方法>
極性樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置、フローテスターCFT−500D」(商品名、島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行った。この装置では、測定試料(極性樹脂)の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出す。そして、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
ここで、下記に示す極性樹脂の軟化点とは、「流動特性評価装置、フローテスターCFT−500D」(商品名、島津製作所社製)に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を意味する。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、1.00gの極性樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(商品名:NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて、10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いた。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.98MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm。
<トナー粒子の微小粒子率、アスペクト比の測定方法>
トナー粒子の微小粒子率およびアスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(商品名、シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水20mlを入れた。この中に分散剤として、商品名:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2ml加えた。更に測定試料(各例より得られたトナー粒子)を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却した。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(商品名:「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2ml添加した。
測定には、対物レンズとして、商品名:「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(商品名、シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測した。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を粒子周囲長とし6.332μm以上、400.0μm未満に限定し、6.332μm未満の粒子の存在比率の小数点第1位を四捨五入した値を微小粒子とした。アスペクト比は解析粒子径を円相当径(個数)とし4.044μm以上、100.0μm未満に限定し算出した。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の商品名:「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈したもの)を用いて自動焦点調整を行った。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施した。
なお、上記フロー式粒子像分析装置は、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を粒子周囲長6.332μm以上、400.0μm未満、および、解析粒子径を円相当径(個数)4.044μm以上、100.0μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナー粒子の体積平均メディアン径(Dv50)、個数平均メディアン径(Dn50)の測定方法>
作製したトナー粒子の体積平均メディアン径(Dv50)、および個数平均メディアン径(Dn50)を、以下のようにして算出した。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いた。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いた。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行った。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、具体的に、「ISOTON II」(商品名、ベックマン・コールター社製)を使用した。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定した。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れた。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておいた。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れた。この中に分散安定化剤として、商品名:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(商品名、日科機バイオス社製)を準備した。超音波分散器の水槽内に3.3 lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(トナー粒子)10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(トナー粒子)を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5質量%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積平均メディアン径(Dv50)、および個数平均メディアン径(Dn50)を算出した。
<トナー粒子の粒度分布の算出>
粒度分布は下記の式(1)により導かれる数値を指標とした。
体積平均メディアン径(Dv50)÷個数平均メディアン径(Dn50)…式(1)
上記指標は数値が1に近いほど粒度分布がシャープなことを表す。以下、この指標をDv50/Dn50と称する。
<外添剤の一次粒子の個数平均径(D1)>
外添剤の一次粒子の個数平均径(D1)は、下記の通り測定した。トナー粒子100質量部に対して外添剤を1質量部添加し、FE−SEM S−4800(商品名、日立製作所製)により、10万倍の倍率で、トナー粒子表面の写真を撮影した。その拡大写真を用いて100個以上の外添剤の粒径を測定し、算術平均から外添剤の一次粒子の個数平均径(D1)を求めた。尚、外添剤の粒径は、形状が球形の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントした。
次に、各例に用いた極性樹脂の製造方法について説明する。
<極性樹脂の製造>
(ポリエステル樹脂1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表1に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧(0.10MPa)で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。その際、得られるポリエステル樹脂1の軟化点が表2の値(124.0℃以上126.0℃以下)となるように重合時間を調整した。ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
(ポリエステル樹脂2〜5の製造)
モノマー及び使用量を表1に記載した様に変更し、それ以外は、ポリエステル樹脂1と同様にしてポリエステル樹脂2〜5を得た。ポリエステル樹脂2〜5の物性を表2に示す。
Figure 2018060009
Figure 2018060009
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。
〔実施例1〕
<外添剤を表面に有するトナー粒子1の製造>
(水系媒体の調製)
造粒タンクに、イオン交換水230.3質量部、リン酸ナトリウム2.0質量部、10質量%塩酸0.9質量部を添加し、リン酸ナトリウム水溶液を作製し、50℃に加温した。次に、イオン交換水8.2質量部に塩化カルシウム6水和物1.2質量部を溶解し、塩化カルシウム水溶液を別途調製した。そして、この塩化カルシウム水溶液を造粒タンクに添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。この30分の撹拌後に、イオン交換水15.5質量部に塩化マグネシウム0.40質量部を添加して別途作製した塩化マグネシウム水溶液を造粒タンクに添加した。これにより、難水溶性無機微粒子としてリン酸カルシウム微粒子を、多価金属イオンとしてマグネシウムイオンを含有する水系媒体を得た。この水系媒体のpHを測定したところ、5.5であった。また、生成した水系媒体に含有されるリン酸カルシウム微粒子の個数平均粒径D1は100nmであった。なお、この水系媒体中のマグネシウムイオン(塩化マグネシウム)の含有割合(濃度)は、20mmoL/Lであった。
ここで、水系媒体の調製条件及び調製した水系媒体の物性を表3に示す。
Figure 2018060009
(顔料分散組成物の調製)
・重合性単量体:スチレン 39.0質量部
・着色剤:カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグサジャパン(株)社製) 6.5質量部
・荷電制御剤:ボントロンE88(商品名、オリエント化学工業社製) 0.5質量部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpm(min−1)にて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
(着色剤含有組成物の調製)
下記材料を同一容器内に投入しTK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合および分散した。
・上記顔料分散組成物 46.0質量部
・重合性単量体:スチレン 33.0質量部
・重合性単量体:n−ブチルアクリレート 28.0質量部
・極性樹脂:ポリエステル樹脂1 2.0質量部
・帯電制御剤:スルホン酸基含有樹脂(商品名:アクリベースFCA−1001−NS、藤倉化成製) 1.0質量部
更に、60℃に加温した後、離型剤:炭化水素ワックス(商品名:HNP−51、日本精鑞社製)10.0質量部を投入し、30分間分散および混合を行い、着色剤含有組成物を調製した。
(重合性単量体組成物粒子の作製)
リン酸カルシウム微粒子を含有する水系媒体中に、上記着色剤含有組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)7.0質量部を添加し、重合性単量体組成物粒子を含む分散液を調製した(造粒工程)。
ここで、重合性単量体組成物粒子の作製に用いた着色剤及び極性樹脂を表4に示す。
Figure 2018060009
(トナー粒子1の作製)
上記重合性単量体組成物粒子の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、6時間反応させた。その後、更に90℃に昇温し、6時間反応させた。これにより、トナー粒子1を含む重合反応液(重合スラリー)を得た(重合工程)。重合反応終了時の重合反応液を吸引ろ過したサンプル(トナー粒子)の粒度測定をコールターにより行ったところ、トナー粒子1の体積平均メディアン径(Dv50)は5.95μmであった。また、トナー粒子1の粒度分布Dv50/Dn50=1.10であった。
重合工程終了後、重合スラリーに120℃の水蒸気を30.0質量部/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った(蒸留工程)。蒸留終了時の重合スラリーを吸引ろ過したサンプル(トナー粒子)の粒度測定をコールターにより行った。その結果、トナー粒子1の体積平均メディアン径(Dv50)は6.00μmであり、Dv50/Dn50は1.10であった。
冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌しトナー粒子の分散液を得た。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥しトナー粒子1を得た(洗浄/濾過/乾燥工程)。
得られたトナー粒子1の微小粒子率及びアスペクト比をFPIA3000(商品名、シスメックス社製)を用いて測定したところ、それぞれ3個数%及び0.951であり、良好な結果が得られた。
ここで、作製したトナー粒子の物性を以下の表5に示す。
Figure 2018060009
(外添剤を表面に有するトナー粒子1の作製)
得られたトナー粒子1、100.0質量部に対して、下記外添剤をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製、FM−10型)で混合して、外添剤を表面に有するトナー粒子1を得た。なお、外添剤を付与する前のトナー粒子1と区別するため、上記外添剤を表面に有するトナー粒子1を、以降トナー1と称することがある。尚、ヘンシェルミキサーのジャケットは、45℃になるように温度調整を行った。
外添剤の材料
・ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン15質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径110nmの疎水性シリカ微粒子 0.5質量部
得られたトナー1に対して、以下に示す評価を行った。具体的なトナーの評価方法及び評価基準を説明する。
<低温定着性の評価>
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn(商品名)、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに作製した上記トナー1を充填した。記録媒体としては、「カラーレーザーコピア用紙」(商品名、キヤノン製、80g/m)を使用した。次いで、充填したトナー1を用いて、トナー載り量0.20mg/cmとなるように縦2.0cm、横15.0cmの未定着を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH(相対湿度))、プロセススピードを230mm/s、定着線圧27.4kgf(268.7N)に設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、画像の表面を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙(商品名:ダスパー K−3、小津産業(株)製)で0.2m/秒の速度で5回摺擦したときに、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10.0%以下になる最低温度のことである。定着がしっかり行われない場合には、上記画像濃度の低下率は増える傾向にある。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が160℃以下。
B:低温側定着開始点が165℃あるいは170℃。
C:低温側定着開始点が175℃以上。
<耐熱保存性の評価>
保存時の安定性を評価するために耐ブロッキング性の評価を実施した。10gの上記トナー1を100mlのプラスティックカップに入れ、温度60℃、相対湿度5%RH環境下で3日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(商品名、ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(商品名、昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、温度23℃、相対湿度60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように3日放置したトナー1を、予め温度23℃、相対湿度60%RH環境下において24時間放置し、そのうちのトナーを5g精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100×0.2
(評価基準)
A:凝集度が20%未満。
B:凝集度が20%以上、25%未満。
C:凝集度が25%以上、30%未満。
D:凝集度が30%以上。
<規制不良の評価>
評価機としてレーザービームプリンタHP Color Laser Jet Enterprise CP4525dn(商品名、HP社製)の改造機および改造カートリッジを用いた。
この改造機は、内部のギアを変更することにより、プロセススピードが298mm/secとなるよう改造を行った。また、この改造カートリッジはカートリッジ内部のギアを変更及び追加することにより、トナー供給ローラがトナー担持ローラとの当接部において各々の表面が同一の方向に移動するように改造を行った。また、カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、トナー1を300g充填した。そしてそのトナーカートリッジ及び改造機を温度15.0℃、相対湿度10.0%RHの環境下で24時間放置し、本環境下にて上記プリンターのシアンステーションに装着し、その他は、ダミーカートリッジを装着し、画像出力試験を実施した。
画像出力試験は、印字率が1%の画像を2枚印刷するごとに1分休止する動作を繰り返し、30000枚の画像出力を行った後、30001枚目のハーフトーン画像上に現れた斑点状スジ及びトナー塊の量で評価した。評価基準は以下に示す通りである。
(評価基準)
A:未発生。
B:斑点状のスジはないが、3個所以下の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状のスジが見られる、若しくは4〜5個所の小さなトナー塊がある。
D:全面に斑点状のスジが見られる、若しくは6個所以上の小さなトナー塊又は明らかなトナー塊がある。
実施例1より得られたトナー1に対して上記評価を行った結果、いずれの評価項目についても良好な結果であった。ここで、評価結果を以下の表6に示す。
Figure 2018060009
〔実施例2〜23〕
<外添剤を表面に有するトナー粒子2〜23の製造>
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、表3及び表4にそれぞれ示す条件で作製した水系媒体と重合性単量体組成物を用いた以外は同様にして、トナー粒子2〜23及びトナー2〜23をそれぞれ作製した。なお、トナー粒子2〜23の物性を上記表5に示す。また、トナー2〜23に対してそれぞれ、トナー1と同様に、低温定着性、耐熱保存性及び規制不良の評価を行った。評価結果を上記表6に示すが、いずれも良好な結果であった。
〔比較例1〜4〕
<外添剤を表面に有するトナー粒子24〜27の製造>
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、表3及び表4にそれぞれ示す条件で作製した水系媒体と重合性単量体組成物を用いた以外は同様にして、トナー粒子24〜27及びトナー24〜27をそれぞれ作製した。なお、トナー粒子24〜27の物性を上記表5に示す。また、トナー24〜27に対してそれぞれ、トナー1と同様に、低温定着性、耐熱保存性及び規制不良の評価を行った。評価結果を下記表7に示すが、いずれのトナーについても、良好な結果が得られない評価項目があった。
Figure 2018060009

Claims (7)

  1. 難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程、
    該水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、該重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程、
    および、
    該重合性単量体組成物の粒子に含有される該重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程
    を有するトナー粒子の製造方法であって、
    該調製工程において調製された水系媒体中の該多価金属イオンの含有割合が、
    4mmoL/L以上120mmoL/L以下であり、
    該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、
    50nm≦D1≦250nmを満たす、
    ことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1の標準偏差をσとしたとき、
    変動係数(σ/D1)が、
    σ/D1≦0.70
    を満たす、請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記難水溶性無機微粒子が第一の多価金属を含み、前記多価金属イオンが該第一の多価金属と異なる第二の多価金属のイオンを含む、請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記多価金属イオンが、マグネシウムイオンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記難水溶性無機微粒子が、リン酸カルシウムを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 前記重合性単量体組成物が、極性樹脂を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
  7. 前記極性樹脂が、ポリエステル樹脂であり、
    該ポリエステル樹脂の酸価(Av)が、
    1.0mgKOH/g≦Av≦15.0mgKOH/g
    である、請求項6に記載のトナー粒子の製造方法。
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