JP2018060009A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本明細書では、微小粒子とは、造粒工程時に重合性単量体組成物粒子より副生した微小な粒子と、この粒子が重合工程等を経て、重合された後の粒子とを含むものである。
なお、懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を造粒し、更に、重合性単量体組成物粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る方法である。
本発明の製造方法は、以下の製造工程を有する。
・難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程(水系媒体調製工程)。
・前記水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、前記重合性単量体組成物の粒子を前記水系媒体中で形成する造粒工程。
・前記重合性単量体組成物の粒子に含有される前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程。
・重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する組成物調製工程。
即ち、本発明では、結果的に(トナー粒子が形成される前に)、水系媒体中(または反応系中)に重合性単量体組成物の各成分が添加(含有)されていれば良い。
・得られたトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行う蒸留工程。
・得られたトナー粒子(またはトナー粒子を含む分散液)に対して、洗浄、濾過及び乾燥を行う、洗浄、濾過及び乾燥工程。
・得られたトナー粒子に対して、分級操作を行う分級工程。
・得られたトナー粒子に外添剤を添加する外添工程。
まず、難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含む水系媒体(水分散液)を調製する。
難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含む水系媒体は、難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンを生じる多価金属塩と、水とを含む分散液であることができる。また、この水系媒体は、この他に、難水溶性無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム)等を含むことができる。なお、水系媒体は、難水溶性無機微粒子と、多価金属塩と、水とからなることもできる。多価金属塩は水中に溶解することができ、水とともに分散媒として機能することができる。
水系媒体の調製に用いる水(分散媒)は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、この水の使用量は以下のようにすることが好ましい。即ち、より安定した懸濁液滴を生成できることから、水の使用量は、重合性単量体組成物100質量部に対して、190質量部以上が好ましく、210質量部以上がより好ましい。また、生産性の観点から、水の使用量は、重合性単量体組成物100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましい。
難水溶性無機微粒子は、水系媒体中に微粒子として存在することにより、重合性単量体組成物の分散安定化剤としての機能を発揮する。
難水溶性無機微粒子としては、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等を挙げることができるが特に限定されない。しかしながら、pH4.0以上での溶解度が低く、粒子として安定して存在出来るという観点から、難水溶性無機微粒子としては、リン酸カルシウム、および、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。これらの難水溶性無機微粒子は、1種を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
また、難水溶性無機微粒子は、特定の個数平均粒径を有する。具体的には、難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、50nm≦D1≦250nmを満たす難水溶性無機微粒子を用いる。D1が50nm未満の場合や250nmより大きい場合には、重合性単量体組成物粒子の表面を難水溶性無機微粒子によって均一に覆えなくなり、アスペクト比の高いトナー粒子を得ることができない。より具体的には、D1が50nm以上であれば所望のトナー粒子径を得る際に、難水溶性無機微粒子により均一に被覆することが可能となり、D1が250nm以下であれば所望のトナー粒子に制御することが可能となる。
従って、D1が上記範囲内であれば、トナー粒子を製造する際に、アスペクト比の高いトナー粒子を製造できる。
また、アスペクト比の高い所望のトナー粒子を得るという観点から、難水溶性無機微粒子のD1は、100nm以上180nm以下であることがより好ましい。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Z
eroの条件は、時間:60sで行う。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体をイオン交換水で10質量倍希釈し、超音波で5分処理した希釈液:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出する。
多価金属イオンは、例えば以下の多価金属塩を水系媒体中に添加することにより、この多価金属塩由来のイオン(多価金属イオン)として、水系媒体中に含有することができる。
なお、造粒時の水系媒体のpHで、多価金属イオンが分散媒中に溶解する多価金属塩を用いることが望ましい。
水系媒体中の多価金属塩(多価金属イオン)濃度が4mmoL/L未満の低い状態では、多価金属イオンによる微小粒子表面への働きかけが不十分であり、結果的に微小粒子の凝集力が十分に働かないため、十分に微小粒子を減らすことができない。また、多価金属塩濃度が120mmoL/Lを超える高い状態では、微小粒子の凝集力が強くなりすぎるため、安定していた重合性単量体組成物粒子さえも凝集し、粒子の粗大化が発生してしまう。さらに、重合工程を経て製造されるトナー粒子中に残存する多価金属塩由来のイオン(例えば、Mgイオン)の濃度も上昇してしまうため、トナーの帯電性が低下してしまう場合がある。
・難水溶性無機微粒子について
難水溶性無機微粒子が分散された水系媒体を調製する場合には、難水溶性無機微粒子として、市販の分散安定化剤をそのまま用いて分散媒(例えば水)中に分散させても良い。しかし、細かい均一な粒度を有する難水溶性無機微粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下で、難水溶性無機微粒子を生成させて調製することが好ましい。
多価金属イオンを含有(溶解)する水系媒体を調製する場合には、上記難水溶性無機微粒子を分散させた水系媒体中に、多価金属イオンを生じる多価金属塩を例えば水溶液の形態で添加することで調製することができる。
前述した難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含む水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含む重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより、この水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を造粒する。即ち、造粒工程により、分散安定化剤として働く難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンと、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液(水系媒体)を得ることができる。なお、上述したように、水系媒体に添加された重合性単量体組成物全てが、重合性単量体組成物粒子を構成しなくても良く、添加された重合性単量体組成物の一部(例えば、後述する重合開始剤)が、分散媒中に含まれて(溶解して)いても良い。
このため、重合性単量体や重合性単量体組成物を基準とした、難水溶性無機微粒子と多価金属イオンとを含む水系媒体や、重合性単量体組成物の各成分の相対使用量は、仕込みの重合性単量体量や重合性単量体組成物量に基づくものである。
重合性単量体組成物は、重合性単量体および着色剤を含み、必要に応じて、重合開始剤等の添加剤を含むことができる。なお、着色剤は、予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の添加剤(成分)と混合して、重合性単量体組成物を調製しても良い。また、その他の添加剤と同時に、着色剤を重合性単量体に混合しても良いし、その他の添加剤を重合性単量体に混合した後に、それらの混合物中に着色剤を分散させても良い。即ち、重合性単量体組成物は、重合性単量体と、着色剤と、他の添加剤とを混合することにより得ることができる。
重合性単量体は、作製するトナー粒子に応じて適宜設定することができるが、例えば、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることができる。
ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等。
着色剤は、従来から知られている種々の染料や顔料等、トナー分野で公知の着色剤から適宜選択して用いることができる。着色剤としては、例えば、以下に示すマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの顔料を用いることができる。
顔料系のイエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、7、10、12〜15、17、23、24、60、62、74、75、83、93〜95、99、100、101、104、108〜111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168〜177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が好適に用いられる。
染料系のイエロー着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.ディスパースイエロー42、64、201、211が挙げられる。
懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法では、重合開始剤として、一般的に油溶性開始剤が用いられる。
油溶性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄または過酸化水素を挙げることができる。
重合開始剤の添加時期は、組成物調製工程、造粒工程および重合工程のうちのいずれの工程内であっても良い。また、添加する1種以上の重合開始剤を一度に水系媒体(または反応系)中に添加しても良いし、複数回に分けて、同一の工程内または複数の工程内で分割して、水系媒体(または反応系)中に添加しても良い。
その他の添加剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
チタニア、シリカ、アルミナ等の無機微粒子。
極性樹脂(ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、スチレンアクリル樹脂等)、ビニル系ポリマー、エステルワックス、カルナバワックス、炭化水素ワックス等の有機化合物。
これらの添加剤は、1種を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの添加剤の使用量は、離型性と帯電安定性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
測定サンプル(極性樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
Av=[(C−B)×f×5.61]/S
(式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(極性樹脂)(g)である。)
Avが上記範囲(1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下)内のポリエステル樹脂は、例えば、以下のジカルボン酸等の多価カルボン酸と、ジオール等のポリアルコールとを重縮合させることにより作製することができる。
多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)及びトリメリット酸(TMA)等のジカルボン酸を挙げることができる。
ポリアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA−PO(プロピレンオキサイド)2mol付加物、ビスフェノールA−EO(エチレンオキサイド)2mol付加物及びエチレングリコールなどのジオールを挙げることができる。
水系媒体中での重合性単量体組成物粒子の造粒操作は、例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。
高剪断力を有する撹拌機としては、例えば、ULTRA‐TURRAX(商品名、IKA社製)、T.K.ホモミキサー(商品名、特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(商品名、特殊機化工業社製)、クレアミックス(商品名、エム・テクニック社製)、キャビミックス(商品名、大平洋機工社製)等の市販品を挙げることができる。また、撹拌機を竪型撹拌槽内で、撹拌槽下部から一部プロセス液を抜き出し再度撹拌槽へ戻す循環機構を有し、循環機構内にインライン式の高剪断力を有する分散機を用いることも出来る。
インライン式の分散機としては、例えば、コロイドミル(商品名、IKA社製)、キャビトロン(商品名、大平洋機工社製)、W・モーション(商品名、エム・テクニック社製)等の市販品を挙げることができる。
撹拌機の撹拌翼の周速(ローター、ステーター式の場合、ローターの周速)は、25m/s以上75m/s以下とすることが好ましい。25m/s以上の場合、撹拌翼の剪断力が大きくなる。それに伴い、微小な液滴が発生しやすくなるため本発明の効果が顕著になる。一方、撹拌翼の周速が75m/s以下であれば、撹拌熱(撹拌により生じる熱)によって、経時で重合性単量体の熱重合が進行しポリマー化することを抑制し易く、得られるトナー粒子の粒度分布をよりシャープにすることができる。また、撹拌翼の周速を75m/s以下にすることは、装置の耐久性の観点からも好ましい。
難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンと、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液(重合性単量体組成物分散液)中にて、重合性単量体組成物粒子中の重合性単量体を重合させて、トナー粒子を形成し、トナー粒子分散液を得る。
本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合工程における重合温度は、例えば40℃以上で行うことができ、通常は、50℃以上90℃以下で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温しても良い。撹拌に用いられる撹拌羽根は上記重合性単量体組成物分散液(トナー用原料分散液)を滞留させることなく浮遊させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならばどのようなものを用いても良い。撹拌羽根又は撹拌手段としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼及びアンカー翼などの一般的な撹拌羽根、並びに、「フルゾーン」(商品名、神鋼パンテック社製)、「ツインスター」(商品名、神鋼パンテック社製)、「マックスブレンド」(商品名、住友重機社製)、「スーパーミックス」(商品名、佐竹化学機械工業社製)及び「Hi−Fミキサー」(商品名、綜研化学社製)などが挙げられる。
必要であれば未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られるトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行い、一部水系媒体を留去してもよい。蒸留工程は、常圧または減圧下で行うことができる。
なお、本発明では、水系媒体調製時に、個数平均粒径D1が50nm以上250nm以下の難水溶性無機微粒子を使用している。ここで、難水溶性無機微粒子のD1が50nm未満の場合、難水溶性無機微粒子による排除体積効果が弱いため、蒸留工程時に、重合した重合性単量体組成物粒子同士が接近し、合一してしまう場合がある。
なお、以降、重合した重合性単量体組成物粒子を重合体粒子と称することがあり、この重合体粒子には、トナー粒子や副生する微小粒子も含まれる。
また、D1が250nmを超える場合、重合体粒子表面の難水溶性無機微粒子間に隙間があるため、蒸留工程時に、比較的小さい粒径の重合体粒子がその隙間に付着し、重合体粒子が2、3個合一したような重合体粒子が得られる場合がある。
従って、蒸留工程時においても、難水溶性無機微粒子のD1は上記範囲内であることが、蒸留時の重合体粒子の粗大化を抑制する観点から好ましい。なお、難水溶性無機微粒子のD1は、水系媒体調製時と、蒸留工程時とでは、変化しない。
重合体粒子表面に付着した分散安定化剤を除去する目的で、蒸留工程等から得られたトナー粒子等の重合体粒子を含む分散液を、酸またはアルカリで処理をすることもできる。その際、一般的な固液分離法によりトナー粒子等の重合体粒子は液相へと分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定化剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄することができる。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥することができる。
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度分布を有するものである。しかし、さらにシャープな粒度分布が要求される場合には風力分級機などで分級操作を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として、上述した工程より得られるトナー粒子の表面に、外添剤を付着させることができる。
外添剤はトナー粒子に添加した時の耐久性の観点から、外添剤を付与する前のトナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;炭化物炭化ケイ素等の炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
本発明により製造されるトナー粒子は、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。また、本発明の製造方法は、磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用でき、磁性トナーに含有される磁性材料は着色剤の役割を兼ねることもできる。
動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA−150](商品名、日機装株式会社)を用い、難水溶性無機微粒子の粒度分布を算出した。測定に用いる希釈液と測定セルとの温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行った。粒径測定は、60℃で行った。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行った。Set Z
eroの条件は、時間:60sで行った。
(3)以下の条件を入力した。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体をイオン交換水で10質量倍希釈し、超音波で5分処理した希釈液:3.0gを入れ、測定を開始した。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出した。
極性樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定したが、具体的には、以下の手順に従って測定した。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行った。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製、電位差滴定測定装置AT−510(商品名))を用いて求めた。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求めた。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いた。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行った。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル(極性樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解した。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定した。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
得られた結果を下記式に代入して、極性樹脂の酸価を算出した。
Av=[(C−B)×f×5.61]/S
(式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(極性樹脂)(g)である。)
極性樹脂及び各例より得られるトナー粒子のTgは、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定した。
示差走査熱量計は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(商品名、TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて以下のように測定した。測定サンプル(極性樹脂又はトナー粒子)は3mgを精密に秤量した。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用いた。20℃で5分間平衡を保った後、測定範囲20℃から180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行った。ガラス転移温度は中点法で求めた。
極性樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置、フローテスターCFT−500D」(商品名、島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行った。この装置では、測定試料(極性樹脂)の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出す。そして、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.98MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm。
トナー粒子の微小粒子率およびアスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(商品名、シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
作製したトナー粒子の体積平均メディアン径(Dv50)、および個数平均メディアン径(Dn50)を、以下のようにして算出した。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いた。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いた。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行った。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておいた。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れた。この中に分散安定化剤として、商品名:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(商品名、日科機バイオス社製)を準備した。超音波分散器の水槽内に3.3 lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(トナー粒子)10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(トナー粒子)を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5質量%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積平均メディアン径(Dv50)、および個数平均メディアン径(Dn50)を算出した。
粒度分布は下記の式(1)により導かれる数値を指標とした。
体積平均メディアン径(Dv50)÷個数平均メディアン径(Dn50)…式(1)
上記指標は数値が1に近いほど粒度分布がシャープなことを表す。以下、この指標をDv50/Dn50と称する。
外添剤の一次粒子の個数平均径(D1)は、下記の通り測定した。トナー粒子100質量部に対して外添剤を1質量部添加し、FE−SEM S−4800(商品名、日立製作所製)により、10万倍の倍率で、トナー粒子表面の写真を撮影した。その拡大写真を用いて100個以上の外添剤の粒径を測定し、算術平均から外添剤の一次粒子の個数平均径(D1)を求めた。尚、外添剤の粒径は、形状が球形の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントした。
(ポリエステル樹脂1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表1に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧(0.10MPa)で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。その際、得られるポリエステル樹脂1の軟化点が表2の値(124.0℃以上126.0℃以下)となるように重合時間を調整した。ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
モノマー及び使用量を表1に記載した様に変更し、それ以外は、ポリエステル樹脂1と同様にしてポリエステル樹脂2〜5を得た。ポリエステル樹脂2〜5の物性を表2に示す。
<外添剤を表面に有するトナー粒子1の製造>
(水系媒体の調製)
造粒タンクに、イオン交換水230.3質量部、リン酸ナトリウム2.0質量部、10質量%塩酸0.9質量部を添加し、リン酸ナトリウム水溶液を作製し、50℃に加温した。次に、イオン交換水8.2質量部に塩化カルシウム6水和物1.2質量部を溶解し、塩化カルシウム水溶液を別途調製した。そして、この塩化カルシウム水溶液を造粒タンクに添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。この30分の撹拌後に、イオン交換水15.5質量部に塩化マグネシウム0.40質量部を添加して別途作製した塩化マグネシウム水溶液を造粒タンクに添加した。これにより、難水溶性無機微粒子としてリン酸カルシウム微粒子を、多価金属イオンとしてマグネシウムイオンを含有する水系媒体を得た。この水系媒体のpHを測定したところ、5.5であった。また、生成した水系媒体に含有されるリン酸カルシウム微粒子の個数平均粒径D1は100nmであった。なお、この水系媒体中のマグネシウムイオン(塩化マグネシウム)の含有割合(濃度)は、20mmoL/Lであった。
・重合性単量体:スチレン 39.0質量部
・着色剤:カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグサジャパン(株)社製) 6.5質量部
・荷電制御剤:ボントロンE88(商品名、オリエント化学工業社製) 0.5質量部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpm(min−1)にて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
下記材料を同一容器内に投入しTK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合および分散した。
・上記顔料分散組成物 46.0質量部
・重合性単量体:スチレン 33.0質量部
・重合性単量体:n−ブチルアクリレート 28.0質量部
・極性樹脂:ポリエステル樹脂1 2.0質量部
・帯電制御剤:スルホン酸基含有樹脂(商品名:アクリベースFCA−1001−NS、藤倉化成製) 1.0質量部
更に、60℃に加温した後、離型剤:炭化水素ワックス(商品名:HNP−51、日本精鑞社製)10.0質量部を投入し、30分間分散および混合を行い、着色剤含有組成物を調製した。
リン酸カルシウム微粒子を含有する水系媒体中に、上記着色剤含有組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)7.0質量部を添加し、重合性単量体組成物粒子を含む分散液を調製した(造粒工程)。
上記重合性単量体組成物粒子の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、6時間反応させた。その後、更に90℃に昇温し、6時間反応させた。これにより、トナー粒子1を含む重合反応液(重合スラリー)を得た(重合工程)。重合反応終了時の重合反応液を吸引ろ過したサンプル(トナー粒子)の粒度測定をコールターにより行ったところ、トナー粒子1の体積平均メディアン径(Dv50)は5.95μmであった。また、トナー粒子1の粒度分布Dv50/Dn50=1.10であった。
冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌しトナー粒子の分散液を得た。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥しトナー粒子1を得た(洗浄/濾過/乾燥工程)。
得られたトナー粒子1の微小粒子率及びアスペクト比をFPIA3000(商品名、シスメックス社製)を用いて測定したところ、それぞれ3個数%及び0.951であり、良好な結果が得られた。
得られたトナー粒子1、100.0質量部に対して、下記外添剤をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製、FM−10型)で混合して、外添剤を表面に有するトナー粒子1を得た。なお、外添剤を付与する前のトナー粒子1と区別するため、上記外添剤を表面に有するトナー粒子1を、以降トナー1と称することがある。尚、ヘンシェルミキサーのジャケットは、45℃になるように温度調整を行った。
・ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン15質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径110nmの疎水性シリカ微粒子 0.5質量部
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn(商品名)、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに作製した上記トナー1を充填した。記録媒体としては、「カラーレーザーコピア用紙」(商品名、キヤノン製、80g/m2)を使用した。次いで、充填したトナー1を用いて、トナー載り量0.20mg/cm2となるように縦2.0cm、横15.0cmの未定着を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が160℃以下。
B:低温側定着開始点が165℃あるいは170℃。
C:低温側定着開始点が175℃以上。
保存時の安定性を評価するために耐ブロッキング性の評価を実施した。10gの上記トナー1を100mlのプラスティックカップに入れ、温度60℃、相対湿度5%RH環境下で3日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように3日放置したトナー1を、予め温度23℃、相対湿度60%RH環境下において24時間放置し、そのうちのトナーを5g精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上のトナー質量(g))/5(g)}×100×0.2
(評価基準)
A:凝集度が20%未満。
B:凝集度が20%以上、25%未満。
C:凝集度が25%以上、30%未満。
D:凝集度が30%以上。
評価機としてレーザービームプリンタHP Color Laser Jet Enterprise CP4525dn(商品名、HP社製)の改造機および改造カートリッジを用いた。
この改造機は、内部のギアを変更することにより、プロセススピードが298mm/secとなるよう改造を行った。また、この改造カートリッジはカートリッジ内部のギアを変更及び追加することにより、トナー供給ローラがトナー担持ローラとの当接部において各々の表面が同一の方向に移動するように改造を行った。また、カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、トナー1を300g充填した。そしてそのトナーカートリッジ及び改造機を温度15.0℃、相対湿度10.0%RHの環境下で24時間放置し、本環境下にて上記プリンターのシアンステーションに装着し、その他は、ダミーカートリッジを装着し、画像出力試験を実施した。
(評価基準)
A:未発生。
B:斑点状のスジはないが、3個所以下の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状のスジが見られる、若しくは4〜5個所の小さなトナー塊がある。
D:全面に斑点状のスジが見られる、若しくは6個所以上の小さなトナー塊又は明らかなトナー塊がある。
<外添剤を表面に有するトナー粒子2〜23の製造>
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、表3及び表4にそれぞれ示す条件で作製した水系媒体と重合性単量体組成物を用いた以外は同様にして、トナー粒子2〜23及びトナー2〜23をそれぞれ作製した。なお、トナー粒子2〜23の物性を上記表5に示す。また、トナー2〜23に対してそれぞれ、トナー1と同様に、低温定着性、耐熱保存性及び規制不良の評価を行った。評価結果を上記表6に示すが、いずれも良好な結果であった。
<外添剤を表面に有するトナー粒子24〜27の製造>
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、表3及び表4にそれぞれ示す条件で作製した水系媒体と重合性単量体組成物を用いた以外は同様にして、トナー粒子24〜27及びトナー24〜27をそれぞれ作製した。なお、トナー粒子24〜27の物性を上記表5に示す。また、トナー24〜27に対してそれぞれ、トナー1と同様に、低温定着性、耐熱保存性及び規制不良の評価を行った。評価結果を下記表7に示すが、いずれのトナーについても、良好な結果が得られない評価項目があった。
Claims (7)
- 難水溶性無機微粒子と、多価金属イオンとを含有する水系媒体を調製する調製工程、
該水系媒体に、重合性単量体と、着色剤とを含有する重合性単量体組成物を加えて、該重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程、
および、
該重合性単量体組成物の粒子に含有される該重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程
を有するトナー粒子の製造方法であって、
該調製工程において調製された水系媒体中の該多価金属イオンの含有割合が、
4mmoL/L以上120mmoL/L以下であり、
該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径をD1としたとき、D1が、
50nm≦D1≦250nmを満たす、
ことを特徴とするトナー粒子の製造方法。 - 前記難水溶性無機微粒子の個数平均粒径D1の標準偏差をσとしたとき、
変動係数(σ/D1)が、
σ/D1≦0.70
を満たす、請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。 - 前記難水溶性無機微粒子が第一の多価金属を含み、前記多価金属イオンが該第一の多価金属と異なる第二の多価金属のイオンを含む、請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記多価金属イオンが、マグネシウムイオンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記難水溶性無機微粒子が、リン酸カルシウムを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記重合性単量体組成物が、極性樹脂を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。
- 前記極性樹脂が、ポリエステル樹脂であり、
該ポリエステル樹脂の酸価(Av)が、
1.0mgKOH/g≦Av≦15.0mgKOH/g
である、請求項6に記載のトナー粒子の製造方法。
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