JP2005241714A - 重合法トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒径の均一性を損なうことなく、効率的に重合体粒子分散液から揮発性物質を除去し、各種トナー特性に優れた重合法トナーを得る方法を提供する。
【解決手段】 無機化合物から構成される分散剤を用いて、少なくとも単量体と着色剤とを含有する単量体懸濁液を調製する工程(II)、この懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る工程(III)、及び得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる原料無機化合物の一種又は二種以上を、単量体懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有する重合法トナーの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合法トナーを製造する方法に関し、更に詳しくは、重合トナー粒子分散液から揮発性物質を効率よく除去して、揮発性物質の含有量が少なく、各種トナー特性に優れた重合法トナーを製造する方法に関する。
電子写真装置や静電記録装置等で形成された電気的潜像を現像するためのトナーとして、懸濁重合法トナーが賞用されている。懸濁重合法トナーの製造においては、重合性単量体及び着色剤の必須成分のほかに帯電制御剤、オフセット防止剤、重合開始剤等の任意成分を均一に溶解ないし分散させた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒中に投入し、高剪断力を有する混合装置を用いて分散・液滴化した後、重合してトナー粒子を形成する。
この懸濁重合法トナーを得るに際して、重合性単量体を重合体に完全に転化させることは難しく、微量の未反応単量体が重合反応後の重合体粒子分散液中に残存してしまう。この未反応単量体を含有する重合体粒子分散液からトナー粒子を得ると、トナー粒子中に未反応単量体が含まれてしまう。この残存未反応単量体は、トナーの流動性や耐ブロッキング性等を低下させるばかりでなく、臭気等の環境安全上の問題を引き起こす可能性がある。
従って、懸濁重合法トナーにおいては、トナー粒子中に残存する未反応単量体量を減少させることが重要である。重合体粒子分散液に含まれる未反応単量体等の揮発性物質を除去する方法としては、これまで種々の方法が提案されている。
特許文献1では、重合体懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を溜去する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、多量の水系媒体を必要とするばかりでなく、残留単量体の除去効率も高くない。
特許文献2では、懸濁液媒体の飽和蒸気を懸濁液中に吹き込みつつ、水系媒体を溜去する方法が提案されている。また、本出願人は、不活性ガスを重合体粒子分散液に吹き込んで、揮発性物質を不活性ガスに随伴させて除去する方法を提案した(特許文献3)。
特開平5−66613号公報 特開平5−100485号公報 国際公開WO03/040196号公報
これらの場合に揮発性物質の除去速度を高める方法としては、(1)重合体粒子分散液に吹き込む不活性ガスの流量を上げる、(2)重合体粒子分散液の攪拌等を行うことにより不活性ガスを微細化する、(3)減圧度を高める、(4)重合体粒子分散液の温度をより高める等の方法が考えられる。
しかしながら、本発明者らの検討では、(1)及び(2)の方法は、液面の上昇を引き起こすので、流量の増加や攪拌速度の上昇に限度がある。(3)の方法においては、液面の上昇が起きることのほか、分散液媒体の揮発速度の上昇に比して、揮発性物質の揮発速度の上昇が小さくエネルギ−効率が悪いという問題がある、ことが分かった。
(4)の温度を高める方法は、液面上昇等の問題はなく、除去速度を高めることができ、特に高沸点揮発性物質の除去に効果があることが分かった。しかしながら、一方で、トナー粒子の凝集による異形粒子の発生や粒径の肥大化が起きることが判明した。このことは、特許文献2及び3において採用されている揮発性物質除去時の温度が80℃であることと符合する。異形粒子の発生や粒径肥大化粒子の生成は、均一な粒子径という重合法トナーの特長を損なう大きな問題である。
従って、本発明の目的は、粒径の均一性を損なうことなく、重合トナー粒子分散液から揮発性物質を効率よく除去して、揮発性物質の含有量が少なく、各種トナー特性に優れた重合法トナーを製造する方法を提供することである。
本発明者はこの目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、重合体粒子分散液に、特定の化合物を、特定の段階で添加すればよいことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、無機化合物から構成される分散剤を用いて、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)、工程(II)で得られた重合性単量体組成物懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る工程(III)、及び工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる原料無機化合物の一種又は二種以上を、重合性単量体組成物懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有することを特徴とする重合法トナーの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、二種以上の原料無機化合物を混合して、無機化合物から構成される分散剤を調製する工程(I)、
工程(I)で調製した無機化合物から構成される分散剤を用いて、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)、工程(II)で得られた重合性単量体組成物懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る工程(III)、及び工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる二種以上の原料無機化合物の一種又は二種以上を、重合性単量体組成物懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有することを特徴とする重合法トナーの製造方法が提供される。
本発明の重合法トナーの製造方法においては、工程(V)を、工程(III)の終了後、工程(IV)の開始前に実施することが好ましい。
また、本発明の重合法トナーの製造方法においては、重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)において、重合体粒子分散液に不活性ガスを吹き込みながら揮発性物質を除去することが好ましい。
更に、本発明の重合法トナーの製造方法においては、重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)において、重合体粒子分散液の温度を90℃以上に保持することが好ましい。
本発明によれば、重合体粒子分散液からの揮発性物質除去操作を高温で行っても粒径の肥大化を招くことなく粒径分布の均一性を維持でき、短時間で効率的に揮発性物質を除去することができる。得られる重合法トナー粒子を用いて得られる画像は、保存性がよく、印字濃度に優れ、カブリや白筋が少ない。
本発明の重合法トナーの製造方法は、少なくとも着色剤と重合性単量体とを含有する重合性単量体組成物を、無機化合物からなる分散剤を用いて懸濁させて重合性単量体懸濁液を調製する工程(II)、工程(II)で得られた重合性単量体懸濁液を重合させる工程(III)、及び、工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる二種以上の原料無機化合物の一種又は二種以上を、重合性単量体組成物懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有する。
本発明の重合法トナーの製造方法においては、先ず、少なくとも着色剤と重合性単量体とを含有する重合性単量体組成物を、無機化合物からなる分散剤を用いて懸濁させて重合性単量体組成物懸濁液を調製する(工程(II))。
重合性単量体組成物の調製のための重合性単量体としては、重合法トナーの製造に通常用いられる重合性単量体を使用することができる。その具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン;等を例示することができる。上記の単量体は単独で、あるいは必要に応じて2種以上混合して、使用することができる。その使用比率は、特に限定されず、所望のトナー粒子を得ることができるように適宜選定すればよい。
本発明においては、単量体の一成分として、架橋性単量体を併用することができる。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体類を例示することができる。これらの架橋性単量体の使用量は、特に限定されないが、架橋性単量体以外の重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部を用いる。
本発明においては、全重合性単量体を一括して重合させることを必要とせず、一部の単量体を、重合開始後から重合終了前の間の任意の時点で添加することもできる。
本発明で使用することができる着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルレッド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート等の染料・顔料;鉄、コバルト、ニッケル、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;等を例示することができる。
これらの着色剤の使用量も特に限定されないが、通常、染顔料類は重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部が用いられる。また、磁性粒子は、重合性単量体100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは、5〜50重量部を用いる。
着色剤と重合性単量体とを含有する重合性単量体組成物の調製は、これらの二成分を任意の方法で混合すればよい。混合の順序にも、特に制限はなく、全成分を一括して混合してもよく、一部の単量体や着色剤を混合した後、残部を添加してもよい。
重合性単量体組成物には、重合法トナーの調製に使用される各種のトナー構成成分を添加することができる。
これらのトナー構成成分としては、油溶性開始剤、分子量調整剤、離型剤等を挙げることができる。これらの成分は、必ずしも、重合性単量体組成物に添加することを必要とせず、重合開始以前ないし重合途中の任意の時点で重合性単量体組成物に添加しても、重合反応系中に直接添加してもよい。
油溶性開始剤としては、使用される単量体に可溶なものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;等を例示することができる。
油溶性開始剤の使用量は、特に限定されず、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部を用いることができる。
分子量調整剤にも特に限定はなく、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素;等を例示することができる。
分子量調整剤の使用量は、特に限定されないが、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明において必要に応じて使用される離型剤は、特に限定されないが、その具体例としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。
離型剤の使用量は、特に限定されないが、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
本発明においては、重合性単量体組成物を構成する成分として、重合性単量体及び着色剤に加えて、帯電制御剤を添加することが望ましい。帯電制御剤を添加することにより、トナーの帯電性を良好にすることができる。このような帯電制御剤としては、従来からトナーに使用されている帯電制御剤を用いることができる。帯電制御剤の中でも、結着樹脂との相溶性が高く、無色であり高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定したトナーを得ることができるので帯電制御樹脂が好ましい。帯電制御樹脂としては、特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、特開平11−15192号公報などの記載に準じて製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体や、特開平1−217464号公報、特開平3−15858号公報などの記載に準じて製造されるスルホン酸(塩)基含有共重合体を用いることができる。
これらの共重合体に含有される4級アンモニウム(塩)基またはスルホン酸(塩)基を有する単量体単位の量は、共重合体中に0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。含有量がこの範囲にあると、トナーの帯電量が制御し易く、カブリの発生を少なくすることができる。
帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常、2,000〜50,000、好ましくは4,000〜40,000、さらに好ましくは6,000〜30,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることにより、トナーの彩度や透明性を維持することができる。
帯電制御樹脂のガラス転移温度は、通常、40〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることにより、トナーの保存性と定着性とをバランスよく向上させることができる。
帯電制御剤の量は、結着樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明においては、重合性単量体組成物は、オレイン酸、ステアリン酸等の滑剤やシラン系又はチタン系のカップリング剤等の分散助剤を含有していてもよい。これにより、着色剤のトナー粒子中への均一分散性を向上させることができる。
このような滑剤及び分散助剤は、着色剤100重量部に対して、それぞれ、0.1〜2重量部程度用いることが好ましい。
重合性単量体組成物の調製の方法は、特に限定されないが、必須成分である重合性単量体及び着色剤と、必要に応じて使用する油溶性開始剤、分子量調整剤、離型剤等の任意成分とを、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって、均一に分散ないし溶解して調製すればよい。
本発明において、重合性単量体組成物懸濁液の調製には、無機化合物から構成される分散剤を使用することが必須である。
分散剤を構成する無機化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の難水溶性塩類やタルク、珪酸等の無機高分子物質を使用することができる。
これらの中でも、難水溶性のリン酸塩及び難水溶性の金属水酸化物が好ましく、中でも難水溶性の金属水酸化物が好ましい。難水溶性のリン酸塩又は金属水酸化物を分散剤として使用すると、トナー粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上する。また、重合後の未反応単量体等の揮発性物質をストリッピング等により除去する際の、重合体粒子の分散安定性が向上し、更にトナーの定着性と保存性とを向上させることができる。
難水溶性の金属水酸化物は、その製法によって制限されないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られるもの、特に水溶性多価金属化合物とアルカリ金属水酸化物との水相中の反応により生成するものが好ましい。このとき、水溶性多価金属化合物に対するアルカリ金属水酸化物の化学当量比(A)を0.4≦A≦1.0の範囲とするのが好ましい。
難水溶性の金属水酸化物の調製に使用する水溶性多価金属化合物の例としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、銅、マンガン、ニッケル、スズ等の多価金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の水溶性多価金属塩等が挙げられる。中でも、2、12、13族の金属、とりわけ、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム塩の使用が、分散安定化の観点で特に好ましい。
難水溶性の金属水酸化物の調製に使用するアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
難水溶性のリン酸塩は、リン酸ナトリウム等のリン酸のアルカリ金属塩とマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、銅、マンガン、ニッケル、スズ等の多価金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等との反応により得られる。多価金属塩としては、中でもマグネシウム、カルシウム、アルミニウム塩の使用が、分散安定化の観点で特に好ましい。
水溶性多価金属化合物とアルカリ金属水酸化物との反応又はリン酸のアルカリ金属塩と多価金属塩との反応により、難水溶性の金属水酸化物又はリン酸塩を調製するには、水系媒体中でこれらの原料無機化合物を反応させればよく、特に反応方法には限定がない。
後述するようなシャープな粒径分布を有するコロイド状の難水溶性の金属水酸化物を得るためには、水系媒体中に溶解した水溶性多価金属塩に、水系媒体中に溶解したアルカリ金属水酸化物を攪拌下に徐々に添加して反応させるのが好ましい。
水系媒体としては、水又は水及び水と混和性のある有機溶媒の混合物を使用することができる。
水と混和性のある有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類等を示すことができる。
水溶性多価金属塩とアルカリ金属水酸化物との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物は、コロイド状で存在するが、そのコロイドはシャ−プな粒径分布を有することが好ましい。より具体的には、上記金属水酸化物コロイドは、その個数粒径分布のD50が0.5μm以下(更には0.4μm以下)であることが好ましく、また個数粒径分布のD90が1μm以下(更には0.8μm以下)であることが好ましい。上記D50が0.5μmを超えるか、あるいはD90が1μmを超えると、難水溶性水酸化金属塩コロイドの粒径分布が比較的ブロードとなるため、重合により得られるトナーの粒径分布もブロードなものとなり易く、また、重合後の酸洗い、水洗いによる難水溶性水酸化金属塩コロイドの除去の容易性が損なわれる。
ここで、上記D50とは、微粒子径測定装置(例えばマイクロトラック粒径分布測定器)により測定した個数粒径分布の累積値50%に対応する粒径の値であり、同様にD90とは、個数粒径分布の累積値90%に対応する粒径の値である。
本発明において、重合性単量体組成物懸濁液の調製に使用する、無機化合物から構成される分散剤は、二種以上の原料無機化合物を、反応器中で混合して調製したものを使用してもよく、別途合成したもの又は市販のものを使用してもよい。得られる重合体粒子の粒径分布をより狭いものにするためには、反応媒体中で、in situで調製したものを、重合性単量体組成物懸濁液の調製に使用するのが好ましい。
分散剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の割合で用いられる。分散剤をこの範囲で使用することにより、十分な重合安定性やストリッピング処理時の分散安定性を得ることが可能となり、凝集物の生成を防ぐことができ、また、生成する重合体粒子の粒径を適切な範囲にすることができる。
なお、本発明においては、分散剤として、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;等を併用しても構わない。
無機化合物から構成される分散剤を用いて重合性単量体組成物の懸濁液を調製する方法には、特に限定はなく、重合性単量体組成物と分散剤とを、水系媒体中で、混合・攪拌すればよい。
混合・攪拌の方法は、特に限定されないが、分散剤を含有する水系媒体中に重合性単量体組成物を投入してトナーに適した粒径の液滴が安定に生成するまで高剪断下に攪拌すればよい。攪拌の方法は、特に限定されず、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、高速攪拌機、超音波分散機等の分散機を使用することができる。
本発明においては、高速攪拌機を使用して、一気に所望のトナー粒子の大きさにするのが好ましい。また、キャビテーション、又は渦巻き流もしくは乱流を利用した連続式分散機を用いると、よりシャープな粒径分布を有する粒子を得ることができる。
本発明においては、次に、このようにして工程(II)で得られた重合性単量体組成物懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る(工程(III))。
重合は、重合性単量体を油溶性重合開始剤で重合させることにより行う。重合開始剤は、重合性単量体組成物中に含有させてもよく、別途、重合性単量体組成物懸濁液に添加してもよい。重合温度は、特に限定されないが、通常、40℃以上、好ましくは50〜90℃である。
単量体の添加方法は特に限定されず、重合開始前に全単量体を重合器に仕込んでもよく、単量体の一部を重合器に仕込んで重合を開始したのち、適当な時点で残りの単量体を一括して又は断続的ないし継続的に添加してもよい。
本発明において、重合体粒子は、いわゆるコア/シェル型構造を有していてもよい。この場合、コア部分作製用の重合性単量体組成物の懸濁液調製に際しては、無機化合物から構成される分散剤を使用して重合性単量体組成物懸濁液を調製することが必要であるが、シェル部分作製用の重合性単量体組成物は、分散剤を含有しないほうがむしろ好ましい。
重合性単量体組成物懸濁液を重合に付するに際して、単量体濃度は特に限定されないが、全単量体の重合終了後の固形分濃度が5〜50重量%程度、好ましくは20〜30重量%程度になるようにする。
重合は、重合転化率がほぼ100%になるまで継続する。重合停止は、通常、重合反応液を冷却することにより行うが、重合停止剤の添加によってもよい。
本発明においては、次に、工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する(工程(IV))。
重合体粒子分散液から除去すべき揮発性物質としては、未反応の重合性単量体、重合性単量体組成物懸濁液の調製及び重合等に使用した分散媒、重合に使用した重合開始剤ほかの原料の残留物及び分解生成物、等が挙げられる。
揮発性物質の除去方法としては、水蒸気蒸留を行う方法、飽和水蒸気又は水溶性気体を重合体粒子分散液に吹き込みつつ分散媒を溜去する方法、不活性ガスを吹き込んでストリッピングする方法、等が挙げられる。
水蒸気蒸留は、重合体粒子分散液を常圧ないし減圧下に加熱して、水蒸気とともに揮発性物質を溜去する方法である。飽和水蒸気又は水溶性気体を吹き込みつつ分散媒を溜去する方法においては、分散媒とともに揮発性物質が溜去される。
不活性ガスを吹き込んでストリッピングする方法は、揮発性物質を不活性ガスに随伴させて、重合体粒子分散液から除去する方法である。不活性ガスとは、重合体粒子、重合体粒子分散液中の分散媒を始めとする各種成分と反応したり、これらを変質ないし分解したりしないガスをいう。
ストリッピングに使用する不活性ガスとしては、窒素ガス、乾燥空気、炭酸ガス、希ガス、これらの混合ガス等を挙げることができる。これらの中でも、窒素ガス及び乾燥空気が、コストや安全性の面から好ましい。
不活性ガスを重合体粒子分散液中に吹き込む方法としては、例えば、(1)ガス吹き込み管を用いる方法、(2)ガス分散板を用いて吹き込む方法等があるが、このほかの方法でもよい。
ストリッピングを実施するための装置も特に限定されず、具体例としては、特許文献2に開示された装置を示すことができる。
不活性ガスの吹き込み位置、吹き込み管の形状、吹き込み口の形状等も同文献に示されたものを採用することができるが、これ以外であってもよい。
不活性ガスの吹き込みを、重合体粒子分散液の攪拌下に行うと、揮発性物質の除去効率が向上するので好ましい。攪拌条件等も特に限定されないが、特許文献2に記載された条件を好ましいものとして示すことができる。
不活性ガスを吹き込んでストリッピングを行う際の系内の圧力も特に限定されず、減圧下でもよいが重合体粒子分散液が発泡する問題が生じる場合があり、常圧下で行うのが好ましい。ここで、常圧とは、標準大気圧近傍(101±5kPa程度)をいう。
本発明においては、揮発性物質の除去にあたり、重合体粒子分散液を加温して、例えば、90℃以上の温度で行うことが好ましい。
揮発性物質の除去速度は、一般には、温度が高いほど大きいはずであるが、温度を上げると粒径が肥大化する、異形粒子が生成する等の問題があり、これまで、実際には重合体粒子分散液の液温を80℃程度以下に保ちながら行われている(特許文献1及び2)。
これに対して、本発明の方法によれば、上記の問題を生じないので、重合体粒子分散液の液温を更に高めて揮発性物質の除去を行うことができる。この結果、本発明の方法によれば、短時間で重合体粒子分散液中の揮発性物質を大きく低減させることができる上に、得られた重合体トナー粒子を用いて得られる画像の特性も優れている。
図1に本発明の方法で好適に採用できるストリッピング装置の一例を示す。
蒸発器1には、攪拌翼を備えた攪拌機3が配置されている。蒸発器1の外周壁には、熱媒循環用ジャケット2が設けられており、蒸発器内の温度を所望の温度に調節できるようにしてある。気体源(図示せず)からブロワー6により窒素ガス等の不活性ガスがガス吹き込み管5を通して蒸発器1内に吹き込まれる。
蒸発器1内の重合体粒子分散液4を攪拌機3で攪拌しながら、蒸発器1内の温度を所定の温度に昇温した後、ブロワー6から不活性ガスを蒸発器1の底部に設けたガス吹き込み管5の開口部から蒸発器1内に吹き込む。重合体粒子分散液の水系媒体の一部、未反応残留重合性単量体及びその他の揮発性物質が、不活性ガスに随伴されて、ガスライン7を通って凝縮器8に導かれ、次いで、凝縮タンク9に導かれる。凝縮タンク9内で凝縮されて液化した水等の液体成分は、そこで回収される(回収ラインを図示せず)。一方、凝縮されなかった気体成分はガスライン10を通って多孔質吸着剤を充填した揮発性物質除去装置11に導かれ、重合性単量体やその他の揮発性物質が除去される。その後、窒素ガス等の気体成分は、ガス循環ライン12からブロワー6及びガス循環ライン13を経て、不活性ガス吹き込み管5の開口部から蒸発器1内に吹き込むことにより再使用することができる。
本発明の重合法トナーの製造方法においては、重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)の終了後、重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)の開始前に、特定の無機化合物を重合性単量体懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有することが必要である。この工程(V)を設けることにより、上述の重合体粒子分散液中の揮発性物質の大幅な低減と良好な画像特性の双方を満足させることが可能となる。
工程(V)は、重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)の終了後、重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)の開始前であれば、どの時点で実施してもよい。つまり、重合性単量体組成物懸濁液の調製終了後、重合工程(工程(III))前、重合工程を実施している間の任意の時点、重合工程終了後で重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(工程(IV))の開始前のいずれでもよい。重合体粒子の粒径肥大化を防ぎ、粒径分布を狭く保つためには、重合工程(III)後、揮発性物質除去工程(IV)前に添加するのが好ましい。
ここで、工程(V)において使用する無機化合物は、工程(II)において、即ち、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を無機化合物から構成される分散剤を用いて懸濁させて重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程において、使用した分散剤を構成する無機化合物又はその調製に使用する原料無機化合物であることが好ましい。
この場合において、使用する二種以上の原料無機化合物の化学当量が1ではないときは、いずれか使用量の少ないほうの化合物を、両者の化学当量比がほぼ1となるような量で添加することが好ましい。例えば、水溶性多価金属塩である塩化マグネシウム1モル当量と水溶性アルカリ金属水酸化物である水酸化ナトリウムを1.5モル当量使用した場合には、塩化マグネシウムを約0.5モル(1.5−1(モル))添加するのが好ましい。
工程(V)で添加する化合物の量は、重合性単量体懸濁液を調製する工程(II)において使用する分散剤を構成する無機化合物の合計の10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。この範囲の添加量とすることにより、粒径分布を広くすることなく、効率的に揮発性物質を除去することができる。上限は、特に限定されないが、効果が飽和するので、100%程度である。
重合工程(IV)の終了後、通常行われる後処理を経て、重合法トナー粒子を得ることができる。通常行われる後処理としては、酸洗い、水洗い等による、トナー粒子表面に残留している無機化合物からなる分散剤の除去、その後に実施される脱水・乾燥を示すことができる。
本発明の製造方法によって得られるトナーは、実質的に球形であり、体積平均粒径(dv)は3〜10μm、好ましくは4〜9μmであり、更に好ましくは5〜8μmである。体積平均粒径と個数平均粒径(dp)の比(dv/dp)は1〜1.3、好ましくは1〜1.2であり、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)は、好ましくは1〜1.3、より好ましくは1〜1.2であり、更に好ましくは1〜1.15である。
更に、トナー重合体粒子に外添処理を行うことができる。粒子の表面に添加剤(以下、「外添剤」という)を付着、埋設等させることによって、粒子の帯電性、流動性、保存安定性等を調整することができる。外添剤としては、無機粒子、有機酸塩粒子、有機樹脂粒子等が挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。有機酸塩粒子としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがメタクリル酸エステル共重合体でシェルがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、無機粒子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これらの粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。外添剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。外添剤を前記重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤と着色重合体粒子とをヘンシェルミキサー等の混合器に仕込み、撹拌して行う。本発明によれば、外添後の流動性が20%以上、好ましくは30%以上の実質的に球形のトナーを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例中の「部」および「%」は特に記した場合を除き重量基準である。
本実施例において、各種特性は、下記の方法により測定・評価した。
[コロイド粒径の測定]
マイクロトラック粒径分布測定器(日機装社製)を用いて、測定レンジ:0.12〜704μm、測定時間:30秒、媒体:イオン交換水の測定条件で測定する。
[粒子中の残留重合性単量体量の測定]
着色重合体粒子3gを、三角フラスコに1mg単位まで精秤する。これにN,N−ジメチルホルムアミド27gを加えて15分間、攪拌子で攪拌した後、メタノール13gを添加して、10分間更に攪拌する。得られた溶液を静置して不溶分を沈降させる。上澄み液を採取して、各単量体のN,N−ジメチルホルムアミド/メタノール溶液を定量用標準試料とするガスクロマトグラフィーにより、試料中の残留重合性単量体量を測定する。結果は、着色重合体粒子中の固形分重量に対する残留重合性単量体量の比率で表示する。
なお、ガスクロマトグラフィーの条件は、サンプル量2μL、カラム:TC−WAX(0.25mm×30m)、カラム温度:80℃、インジェクション温度:200℃、FID検出側温度:200℃である。
着色重合体粒子中の固形分比率は、以下のようにして求める。(i)着色重合体粒子約1gを1mg単位まで精秤する。(ii)これを105℃の循環式乾燥機中で1時間乾燥したのち、その重量を1mg単位まで精秤する。(iii)乾燥後の重量の乾燥前重量に対する比率が、固形分比率である。
[残留重合性単量体の除去速度]
着色重合体粒子中の残留重合性単量体の除去速度は、単位時間当たりに除去される重合性単量体の量を、ストリッピング処理前の重合性単量体を基準にして表した値である。
即ち、ストリッピング中、1時間ごとに、着色重合体粒子中の残留重合性単量体量を測定する。得られた数値を、ストリッピング処理(経過)時間(hr)を横軸とし、着色重合体粒子中の残留重合性単量体量の対数を縦軸とする片対数グラフにプロットして、これの近似直線:logy=a−bxを求める(この直線の勾配が−bである)。これを式:Rs=100×(1−e−b)に当てはめて得られるRs(%/hr)を残留重合性単量体の除去速度とする。
[着色重合体粒子の粒径(dv)、及び粒径分布(dv/dp)]
着色重合体粒子の体積平均粒径(dv)、及び、体積平均粒径(dv)と個数平均粒径(dp)との比で表される粒径分布は、マルチサイザー(ベックマンコールター社製粒径測定装置)により、測定する。なお、このときの測定条件は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子数=100,000個である。
[トナー粒子の保存性]
トナー粒子を密閉可能な容器に入れて密封した後、この容器を55℃の恒温水槽の中に沈める。8時間経過後、恒温水槽から容器を取り出し、容器内のトナー粒子を重量既知の42メッシュの篩上に移してトナー粒子の重量(A)を測定する。この際、トナー粒子の凝集構造を破壊しないように、静かに取り出し、注意深く篩上に移す。この篩を粉体測定器(ホソカワミクロン社製、パウダーテスター(R) PR−T)を用いて、振幅を1.0mmに設定して、60秒間振動した後、篩上に残ったトナー粒子の重量を測定し、これを凝集現像剤の重量(B)とする。重量(B)の重量(A)に対する百分率を求める。一つの試料について、3回測定を行い、その平均値を保存性とする。
この値が少ないほうが、保存性がよい。
[画像評価]
(1)印字濃度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=24枚/分)にコピー用紙をセットし、その現像装置に、評価すべき現像剤(トナー粒子)を入れる。23℃、湿度50%の環境(N/N環境)下に一昼夜放置後、5%濃度で初期から連続印字を行い、100枚目印刷時にベタ印字を行う。McBeth透過式画像濃度測定機を用いて、ベタ印字濃度を測定した。
(2)カブリ
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=24枚/分)にコピー用紙をセットし、その現像装置に評価する現像剤(トナー)を入れる。23℃、湿度50%の環境(N/N環境)下に一昼夜放置後、5%濃度で印字用紙に5%濃度で連続印字を行い、100枚目にベタ印字を行い、印字をその途中で停止させる。現像後の感光体に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)を貼り付けて感光体上のトナーを付着させ、これを新しい印字用紙に貼り付ける。次に、この粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度bを、白色度計(日本電色社製)で測定する。一方、粘着テープだけを新しい印字用紙に貼り付け、その白色度aを測定する。この白色度の差a−bを算出して、その値をカブリ値とする。
この値が小さいほうが、よい。
(3)白筋
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=24枚/分)にコピー用紙をセットし、その現像装置に、評価すべき現像剤(トナー粒子)を入れる。23℃、湿度50%の環境(N/N環境)下に一昼夜放置後、5%濃度で初期から連続印字を行い、10,000枚目印刷時にベタ印字を行い、印刷面の白筋の有無を観察する。
[実施例1]
(コア用重合性単量体組成物の調製)
スチレン80.5部、メタクリル酸n−ブチル19.5部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(ガラス転移温度(以下、「Tg」)=94℃、東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25」)7部、帯電制御剤(商品名「スピロンブラックTRH」、保土ヶ谷化学社製)1部及び離型剤(フィッシャートロプシュワックス、サゾール社製、商品名「パラプリントスプレイ30」吸熱温度=100℃)2部をメディア型湿式粉砕機に供給して、湿式粉砕を行い、コア用重合性単量体組成物を調製した。
(分散剤の調製)
イオン交換水200部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)6.2部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、分散剤としての水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。この際の塩化マグネシウムに対する水酸化ナトリウムの化学当量比(水溶性多価金属塩に対するアルカリ金属水酸化物の化学当量比)Aは0.72[(6.2/(40×2))/(10.2/95.22)]であった。
生成したコロイドの粒径をマイクロトラック粒径分布測定器(日機装社製)で測定したところ、粒径はD50(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.84μmであった。
(シェル用重合性単量体組成物の分散液の調製)
メタクリル酸メチル3部及びイオン交換水100部を超音波乳化機を用いて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。得られた液滴を1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に濃度3%で加え、マイクロトラック粒径分布測定器で測定したところ、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1.6μmであった。
(重合性単量体組成物の懸濁液の調製)
上記で得た分散剤(水酸化マグネシウムコロイド分散液)に、コア用重合性単量体組成物を投入し、均一になるまで攪拌した。次いで、これに、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)6部を添加した後、乳化分散機(荏原製作所社製、エバラマイルダー)を用いて高速剪断攪拌を行い、コア用重合体の重合性単量体組成物の懸濁液を調製した。
(重合)
上記コア用重合体の重合性単量体組成物の懸濁液を、攪拌機を装着した反応器に入れ、85℃に昇温して重合反応を開始させた。重合反応は、重合転化率がほぼ100%に達するまで行った。次いで、シェル用重合性単量体組成物の分散液に水溶性重合開始剤2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(和光純薬社製、商品名「VA−086」)0.3部を溶解したものを、攪拌下に反応器に投入した。この後、4時間重合反応を継続した後、冷却して反応を停止し、コア/シェル構造の着色重合体粒子を含有する水分散液(以下、実施例において、「重合体粒子分散液」という。)を得た。この重合体粒子分散液の固形分濃度は、27%であった。この重合体粒子分散液中の残留スチレン量は、279ppmであった。
(無機化合物の添加)
重合体粒子分散液の固形分濃度をイオン交換水で20%に調整し、全量を図1に示す蒸発器1内に供給した。次いで、蒸発器1内に水酸化ナトリウム2.4部をイオン交換水50部に溶解した水溶液を添加した。このとき、当初分散剤の調製に使用した塩化マグネシウムに対する全水酸化ナトリウム(当初分散剤の調製に使用したものと追加添加したものの合計)の化学当量比は、1.00[{(6.2+2.4)/(40×2)}/(10.2/95.22)]である。
(揮発性物質の除去)
図1に示すストリッピング装置を用いて、重合体粒子分散液から、下記のようにして、揮発性物質を除去した。
蒸発器1内の底部に設けた直管形状の不活性ガス吹き込み管5から窒素ガスを流して、蒸発器1内の気相部を窒素ガスで置換した。次いで、重合体粒子分散液4を攪拌機3で攪拌しながら、80℃になるまで加熱した。次に、ブロワー6を起動して、窒素ガスの流量が0.08m/(hr・kg)となるように調整して、重合体粒子分散液4中に吹き込んでストリッピングを行い、重合体粒子分散液4から残留スチレン等の揮発性物質を除去した。
ストリッピングは、重合体粒子分散液の温度が95℃、蒸発器1内の圧力が101kPaとなるようにして6時間継続し、その後25℃まで重合体粒子分散液を冷却した。ストリッピング中、1時間ごとにサンプリングを行って、重合体粒子分散液中の残留スチレン量を測定した。
(後処理)
揮発性物質を除去した重合体粒子分散液を攪拌しながら、これに硫酸を添加して酸洗浄を25℃で10分間行い、重合体粒子分散液のpHを5.5に調整した。次に、これを連続式ベルトフィルター(住友重機械工業社製、商品名「イーグルフィルター」)に供して、ろ過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えリスラリー化して、水洗浄を行った。その後、再度、脱水、水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した。乾燥機を用いてこの固形分を45℃で10時間乾燥して、体積平均粒径dvが7.5μm、粒径分布dv/dpが1.19の着色重合体粒子を回収した。
乾燥後の着色重合体粒子中のスチレン量を測定したところ、50ppmであった。ストリッピング時のスチレン除去速度は、24.8%であった。
(非磁性一成分現像剤の調製・評価)
乾燥後の着色重合体粒子100部に、疎水化処理した平均粒子径14nmのシリカ(日本エアロジル社製、商品名「RX200」)0.8部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、静電荷像現像用の非磁性一成分現像剤(電子写真用トナー)を調製した。得られたトナーについて、画像評価を行った。結果を表1に示す。保存性、印字濃度、カブリ及びベタ印字テストのいずれにおいても、良好な結果が得られた。
Figure 2005241714
[比較例1]
実施例1と同様にして着色重合体粒子分散液を調製した。以下、揮発性物質除去工程前に水酸化ナトリウムの添加を行わないほかは、実施例1と同様にして、揮発性物質の除去・後処理を行い、着色重合体粒子を得た。この着色重合体粒子中の残留スチレン量は、50ppmで、実施例1と同等であったが、体積平均粒子径は、9.2μmと大きくなっており、揮発性物質の除去工程中に、粒子の肥大化が起きたことが分かる。
この着色重合体粒子を用いてトナーを調製し、画像評価を行った。結果を表1に示す。実施例1のトナーを用いた場合に比べて、印字濃度は同等であったが、保存性が低下し、カブリが悪化し、ベタ印字テストでは白筋が見られた。
[比較例2]
実施例1と同様にして着色重合体粒子分散液を調製した。揮発性物質除去工程前に水酸化ナトリウムの添加を行わず、ストリッピング時の重合体粒子分散液の温度を80℃としたほかは、実施例1と同様にして[別の観点でいうと、比較例1において、ストリッピング時の重合体粒子分散液の温度を80℃としたことになる。]、揮発性物質の除去・後処理を行い、着色重合体粒子を得た。この着色重合体粒子中のスチレン量は、110ppmであった。
この着色重合体粒子を用いてトナーを調製し、画像評価を行った。結果を表1に示す。実施例1のトナーを用いた場合に比べて、印字濃度は同等であったが、保存性、カブリ及びベタ印字テストのいずれでも大幅に成績が低下した。
[実施例2]
実施例1と同様にして着色重合体粒子分散液を調製した。次いで、重合体粒子分散液の固形分濃度をイオン交換水で20%に調整し、蒸発器1内に供給した。次いで、攪拌下に蒸発器1内に塩化マグネシウム5.1部及び水酸化ナトリウム3.1部をイオン交換水50部に溶解した水溶液を添加した。このとき、添加した塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムの合計量は、当初使用した塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムの合計量の50%に相当する。また、全塩化マグネシウム(当初分散剤の調製に使用したものと追加添加したものの合計)に対する全水酸化ナトリウム(当初分散剤の調製に使用したものと追加添加したものの合計)の化学当量比は、0.72[{(6.2+3.1)/(40×2)}/{(10.2+5.1)/95.22}]である。以下は、実施例1と同様にして、揮発性物質の除去・後処理を行い、着色重合体粒子を得た。この着色重合体粒子中の残留スチレン量は、50ppmであった。
この着色重合体粒子を用いてトナーを調製し、画像評価を行った。結果を表1に示す。実施例1のトナーを用いた場合と比べて、保存性が向上した。その他の特性については、実施例1と同様の結果が得られた。
上記の結果から、本発明の方法によれば、高温で揮発性物質の除去操作を行っても、重合体トナー粒子の肥大化を招くことなくトナー粒子中の残留スチレン量を効率的に減少させることができ、このトナー粒子を用いて得られる画像の特性も優れていることが分かる。これに対して、分散剤を構成する無機化合物等を添加することなく高温で揮発性物質の除去を行った比較例1では、残留スチレン量は同程度減少させることができたものの、トナー粒子の粒径肥大化が起こり、得られたトナー粒子は、粒径が肥大化しており、このトナー粒子を用いて得られる画像は、カブリ、白筋等の点で劣る。また、分散剤を構成する無機化合物等を添加することなく揮発性物質除去時の温度を下げた比較例2では、トナー粒子の粒径肥大化は起きなかったものの、残留スチレン量が多く、このトナー粒子を用いて得られる画像は、保存性、カブリ等の点で大きく劣るものであった。
本発明において、揮発性物質のストリッピング処理に使用する装置の一例である。
符号の説明
1 蒸発器
2 熱媒循環用ジャケット
3 攪拌機
4 重合体粒子分散液
5 不活性ガス吹き込み管
6 ブロワー
7 ガスライン
8 凝縮器
9 凝縮タンク
10 ガスライン
11 揮発性物質除去装置
12 ガス循環ライン
13 ガス循環ライン

Claims (5)

  1. 無機化合物から構成される分散剤を用いて、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)、
    工程(II)で得られた重合性単量体組成物懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る工程(III)、及び
    工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、
    工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる原料無機化合物の一種又は二種以上を、重合性単量体組成物懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有することを特徴とする重合法トナーの製造方法。
  2. 二種以上の原料無機化合物を混合して、無機化合物から構成される分散剤を調製する工程(I)、
    工程(I)で調製した無機化合物から構成される分散剤を用いて、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物懸濁液を調製する工程(II)、
    工程(II)で得られた重合性単量体組成物懸濁液を重合に付して重合体粒子分散液を得る工程(III)、及び
    工程(III)で得られた重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)を有し、
    工程(II)の終了後、工程(IV)の開始前に、前記分散剤を構成する無機化合物又はこの分散剤の調製に用いられる二種以上の原料無機化合物の一種又は二種以上を、重合性単量体組成物懸濁液又は重合体粒子分散液に添加する工程(V)を有することを特徴とする重合法トナーの製造方法。
  3. 工程(V)を、工程(III)の終了後、工程(IV)の開始前に実施する請求項1又は2記載の重合法トナーの製造方法。
  4. 重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)において、重合体粒子分散液に不活性ガスを吹き込みながら揮発性物質を除去する請求項1〜3のいずれかに記載の重合法トナーの製造方法。
  5. 重合体粒子分散液から揮発性物質を除去する工程(IV)において、重合体粒子分散液の温度を90℃以上に保持する請求項1〜4のいずれかに記載の重合法トナーの製造方法。
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