JP7187200B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法による画像形成に使用される静電荷像現像用のトナー粒子の製造方法に関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置に対する品質要求は厳しく、トナーに要求される性能も高度なものとなっている。特に、フルカラー複写機又はフルカラープリンタなどにおいては、小型化、軽量化、省エネ、高画質化や環境対応への要求が強く求められており、耐久性や低温定着性、不純物の低減の更なる向上が求められている。トナーとしても、より良好な耐久性や低温定着性、トナーの小粒径化、帯電性の環境差低減が求められている。
その要求に対して、重合によってトナーを製造する方法において、コア-シェル構造を有するトナーで、トナーの粒子径、平均円形度とトナーの硬度を適正な範囲にすることで、良好な保存性と定着性を得ることで高画質で耐久性に優れたトナーが得られる方法がある(特許文献1)。
また、ディスク型遠心分離機で固液分離することで不純物を除去し、トナー表面に不純物が残存しないようにし、トナー表面の極性基の配向を壊さないようにすることでトナーの帯電性が良好なトナーを得る方法がある(特許文献2)。
また、遠心沈降板の間隔を制御した遠心沈降装置を用い、遠心力を制御し、トナー粒子分散液のトナー粒子濃度を制御することでトナー粒子表面の極性基の配向を乱したり、トナー粒子の機械的強度を劣化させることなく、不純物を除去することで高画質なトナーを得る方法がある(特許文献3)。
特開2007-171272号公報 特開2004-341174号公報 特許第4467036号
上記特許文献1は、不純物の低減では未だ若干の課題が存在している。更に、高温高湿環境下や低温低湿環境下においては、耐久性に関して未だ若干の課題が存在している。
また、上記特許文献2は、濃縮の際に不純物の除去を優先させると濃縮装置内でのトナーの付着が増加したり、トナーがダメージを受けるといった課題がある。その結果、トナーの品質も小型かつ軽量な非磁性一成分現像のフルカラー複写機又はフルカラープリンタなどにおいては、耐久性に関して未だ若干の課題が存在している。また、低温低湿環境下における耐久性に関しても未だ若干の課題が存在している。さらに、高画質な画像が得られる小さい粒径のトナーを上記課題の発生を抑制させた上で濃縮しようとすると、トナーを十分に分離できず、清澄液側にトナーが混入し、収率の点で若干の課題が存在する。
また、上記特許文献3は、トナーに掛かる負荷が大きく、トナーへのダメージという点で若干の課題が存在し、機内付着に関しても若干の課題が存在する。また、小型かつ軽量な非磁性一成分現像のフルカラー複写機又はフルカラープリンタなどにおいては、耐久性に関して未だ若干の課題が存在している。さらに、低温低湿環境下における耐久性に関しても未だ若干の課題が存在している。
本発明の目的は、水系媒体中のトナーの固形分率を上げる濃縮工程を有するトナー粒子の製造方法において、トナーの機械的強度、帯電性を損なうことなく小粒径のトナーを高い生産効率で提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、以下の方法を見出した。
すなわち、本発明は、結着樹脂と着色剤を含有するトナー前駆体、および水系媒体を含むトナー前駆体分散液に対し、水系媒体中のトナーの固形分率を上げる濃縮工程を有するトナー粒子の製造方法において、
該濃縮工程は、遠心分離機を用いて行われ、
該水系媒体中に2価以上の金属イオンが含有され、
該水系媒体中に含まれる該2価以上の金属イオンの含有濃度が4.0mmol/L以上25.0mmol/L以下であり、
該濃縮工程後のトナー前駆体分散液中のトナー前駆体の割合を割合Aとしたときに、割合Aが10質量%以上60質量%以下であり、
該トナー前駆体が難水溶性無機微粒子で被覆され、被覆率が50%以上である、
ことを特徴とするトナー粒子の製造方法に関する。
本発明によれば、該遠心分離機においてトナーの機械的強度、帯電性に優れた小粒径のトナーを高い生産効率で提供することにある。
濾布を具備する濃縮装置の断面図の一例である。 遠心沈降装置の断面図の一例である。 分離沈降面積Σを算出する際のディスクの状態を表す模式図である。 デカンタ型遠心分離機の断面図の一例である。 式(5)~(7)重合開始剤を特定の条件で用いた場合の作用効果の発現メカニズムの模式図である。 第1又は第2の重合開始剤由来の結着樹脂の分布傾向を示す模式図である。 本発明における冷却工程の温度推移の一例を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
結着樹脂と着色剤を含有するトナー前駆体、および水系媒体を含むトナー前駆体分散液に対し、水系媒体中のトナーの固形分率を上げる濃縮工程を有するトナー粒子の製造方法において、
該濃縮工程は、遠心分離機を用いて行われ、
該水系媒体中に2価以上の金属イオンが含有され、
該水系媒体中に含まれる該2価以上の金属イオンの含有濃度が4.0mmol/L以上25.0mmol/L以下であり、
該濃縮工程後のトナー前駆体分散液中のトナー前駆体の割合を割合Aとしたときに、割合Aが10質量%以上60質量%以下にしてトナー粒子を製造することで本発明の効果が得られる。
本発明の効果が発現する理由は必ずしも明確にはなっていないが、本発明者らは次のように考えている。
通常遠心分離機を用いてトナー前駆体分散液を濃縮する場合、該トナー前駆体の粒子径が小さい程、遠心力を大きくする必要が生じる。また、生産効率を上げる目的で短時間で濃縮工程を実施しようとする場合も、遠心力を大きくする必要がある。その結果、該トナー前駆体に大きな遠心力がかかるため、該トナー前駆体に負荷がかかり、割れ欠けなどのダメージが生じる。それに対して、該水系媒体中に2価以上の金属イオンを含有させ、該水系媒体中に含まれる該2価以上の金属イオンの含有濃度が4.0mmol/L以上25.0mmol/L以下であると、該トナー前駆体が該水系媒体中で緩やかな凝集体を形成し、見かけ上、該トナー前駆体の粒径が大きくなる。そのため小さい遠心力でも十分に濃縮が可能となる。
該2価以上の金属イオンの含有濃度が4.0mmol/L未満であると、緩い凝集効果が不十分となり好ましくない。また、該2価以上の金属イオンの含有濃度が25.0mmol/L超であると、該トナー前駆体同士が凝集する力が過剰であり、大きなトナー前駆体の凝集体が形成され、元のトナー前駆体に復元しにくい為、画質が低下するため好ましくない。また、該2価以上の金属イオンの含有濃度が25.0mmol/L超であると、トナー表面に該2価以上の金属イオンが残存量が増加するためトナーの帯電性の点で好ましくない。
本発明の作用効果を発現するためには、該濃縮工程後の該トナー前駆体分散液中に水系媒体が存在することが必須である。これは該濃縮工程中に該2価以上の金属イオンが金属イオンとして存在するために必要だからである。そのために、該濃縮工程後のトナー前駆体分散液中のトナー前駆体の割合を割合Aとしたときに、割合Aが10質量%以上60質量%以下である必要がある。
割合Aが10質量%未満であると、濃縮工程時にも該トナー前駆体分散液中の該トナー前駆体の割合が10質量%未満ということになる。その場合は該トナー前駆体が該2価以上の金属イオンとの衝突頻度が低く、緩やかな凝集体を形成する確率が低いため、本発明の効果が十分に発現せず、好ましくない。割合Aが60質量%超であると、濃縮工程後に該トナー前駆体同士が該2価以上の金属イオンにより凝集し該トナー前駆体分散液の粘度が高くなるため排出性や移送の点で好ましくない。
該2価以上の金属イオンがCa、Ba、Mg、Zn、Alのうち、いずれかの金属のイオンであると好ましい。これは、該トナー前駆体が該水系媒体中で緩い凝集体を形成する際、凝集力が最適であり、生産効率が高く、該金属イオンのトナー表面への残存量が僅かであり、且つ僅かに残存してもトナーの帯電性が優れるためである。
該トナー前駆体が難水溶性無機微粒子で被覆され、被覆率が50%以上であることが好ましい。これは、該トナー前駆体が水系媒体中で緩い凝集体を形成する際、該難水溶性無機微粒子がスペーサー粒子として作用するため遠心力が掛かっても凝集しすぎず、緩い凝集体を維持しやすいためである。更に、遠心分離機内で該トナー前駆体が機内付着をも抑制するためより好ましい。これも、該難水溶性無機微粒子がスペーサー粒子として作用し、且つ無機微粒子であるため硬度も十分高いため、衝撃を吸収し、該遠心分離機内での機内付着を抑制するためである。
該難水溶性無機微粒子としては、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等の難水溶性リン酸金属塩と水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の難水溶性金属水酸化物及び炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩が好適に用いられる。特に、該難水溶性無機微粒子が難水溶性リン酸金属塩であると好ましい。これは、本発明の効果を発揮するのに必要な2価以上の金属イオンの効果を阻害せず、かつ帯電性に優れるためである。
次に、これまで述べた本発明に係る特性値の測定方法について説明する。
<イオン原子の同定とイオン濃度の測定方法>
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、まず、難水溶性無機微粒子が被覆された該トナー前駆体の分散液を遠心分離機で固液分離し、上澄み液を得る。その後、該上澄み液50μLを、株式会社リガク製の蛍光X線サポートアクセサリである
商品名:ウルトラキャリーライト 例えばCat.No.RS1650L-100(3399O303)
に滴下し、乾燥させたものを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
該イオン濃度の算出には検量線を作成して行う。
<検量線の作成方法>
蛍光X線分析法では、アルミニウム元素など金属元素の含有量が既知の酸化物粒子を用いて、蛍光X線分析装置で検量線をそれぞれ作成しておき、この検量線を用いて複合酸化物粒子中のアルミニウム元素など金属元素の含有量を求めるものである。
蛍光X線分析装置によるアルミニウム元素など金属元素の定量は、例えば、以下の手順により実施することが可能である。
(1)先ず、検量線作成用の試料を作製する。スチレンパウダー100質量部に既知量のアルミニウム元素など各金属元素の酸化物を添加して、測定用ペレットを作製する。具体的にはアルミニウム元素の場合は、スチレンパウダー100質量部に既知量の酸化アルミニウムを添加し、酸化アルミニウム用の測定用ペレットを作製する。
(2)作製したペレットをそれぞれ蛍光X線分析装置にて測定し、スチレンパウダー中の酸化アルミニウム或いは他の金属酸化物について、各試料より得られるピーク強度より検量線を作成する。
(3)次に、本発明に使用されるアルミニウム元素を含有する無機微粒子を蛍光X線分析装置で測定し、得られたピーク強度を検量線と照合することにより、アルミニウム元素など金属元素の含有量を定量する。
もしくは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなど水に溶解するものを用い、所定濃度で水に溶解させたものを、株式会社リガク製の蛍光X線サポートアクセサリである、商品名:ウルトラキャリーライト 例えばCat.No.RS1650L-100(3399O303)に所定量滴下し、乾燥させたものを用いて蛍光X線分析装置で検量線をそれぞれ作成しておき、この検量線を用いて複合酸化物粒子中のアルミニウム元素など金属元素の含有量を求めるものである。
どちらの方法を用いて検量線を作製しても良い。
<難水溶性無機微粒子のトナー粒子前駆体上での被覆率の算出方法>
本発明における難水溶性無機微粒子のトナー前駆体上での被覆率Xは、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。S-4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナー前駆体を吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
被覆率Xの算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、被覆率Xを精度良く測定することが出来る。エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行い、モース硬度6-13でかつ70nm以上300nm以下の粒子の元素を特定した後、被覆率Xを算出する。
S-4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20乃至40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー前駆体一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー前駆体30粒子以上について画像を得る。
(5)画像解析
本発明では解析ソフト(Image-Pro Plus ver.5.0)を用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率Xを算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。
画像解析ソフトの解析条件は以下の通りである。
ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2~107と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って行う。この時、領域の面積(C)は24000乃至26000ピクセルになるようにする。「処理」-2値化で自動2値化し、難水溶性無機微粒子の無い領域の面積の総和(D)を算出する。
正方形の領域の面積C、難水溶性無機微粒子の無い領域の面積の総和Dから下記式で被覆率aが求められる。
被覆率a(%)=100-(D/C×100) 式(2)
得られた全データの平均値を本発明における被覆率Xとする。
該造粒工程中の該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径(D1)をDn1(μm)としたとき、
0.080(μm)≦Dn1(μm)≦1.000(μm) 式(3)
であることが好ましい。より好ましくは、
0.080(μm)≦Dn1(μm)≦0.450(μm) 式(4)
である。
これは、該造粒工程中の該難水溶性無機微粒子および該重合工程中に追加添加する該難水溶性無機微粒子の個数平均粒径(D1)が式(3)を満たすと、該難水溶性無機微粒子の粒径が適度な大きさであるため、トナー粒子の分散安定性を保持するスペーサー効果とトナー粒子表面を覆う被覆率が十分であることから本発明の効果がより一層発現するため好ましい。
該トナー前駆体表面に被覆する該難水溶性無機微粒子の粒径の変動係数をCV1としたとき、式(1)の関係を満たすとより好ましい。
CV1≦0.75 式(1)
式(1)の関係を満たすと該難水溶性無機微粒子が該トナー粒子前駆体に均一に被覆するため、ムラが無くなり、本発明の効果が更に強く発現するためより好ましい。
<難水溶性無機微粒子の個数平均粒径(D1)と変動係数(CV1)の測定>
本発明においては、マイクロトラックUPA-150(日機装株式会社)を用いて動的光散乱法により、水系媒体中の難水溶性無機微粒子を重量分布を算出する。測定に用いる水系媒体と測定セル温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行なった。粒径測定は、60℃で行った。
セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行なう。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Zeroの条件は、時間:60sで行なう。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択する。屈折率:1.333、
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択。分布表示:体積を選択。
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)および変動係数(CV1)を算出する。
該トナー前駆体が、重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることにより得られたものであることが好ましい。これは、いわゆる乳化凝集法とは違い、顔料が該トナー前駆体表面より露出する確率が低く、露出した顔料を起点として濃縮工程中に該トナー前駆体に割れ欠けが発生する確率が低いためである。
該重合性単量体組成物がポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂の酸価が3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であることが好ましい。これは、該ポリエステル樹脂がトナー前駆体の表面を被覆し、シェル層となるため機内付着がより一層抑制されるためである。また、該シェル層が酸価が3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下のポリエステル樹脂であると該無機微粒子との吸着力も高く、衝撃を受けても該無機微粒子がトナー前駆体表面から脱離する確率が低いため該無機微粒子の効果もより一層向上するためより一層好ましい。
該ポリエステル樹脂はガラス転移温度が60.0℃以上100.0℃以下であり、該トナー中に0.50質量%以上30.0質量%以下含有されていると好ましく、該ポリエステル樹脂は少なくとも非晶性ポリエステル樹脂であるとより好ましい。これは、トナー粒子の表層が該ポリエステル樹脂となり、トナー粒子表層の耐熱性が向上するためである。また、該極性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂であるとトナーの帯電性の点で優れているためである。
特に水系媒体中でトナーを製造するため、該非晶性ポリエステル樹脂の場合、含有量は0.50質量%以上20.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.50質量%以上15.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下であり、1.0質量部以上8.0質量部以下であると特に望ましい。0.50質量%以上では該非晶性ポリエステル層が十分な厚みを持ってトナー表面全域を覆え、特に機械的特性、帯電性の点で効果が大きく、好ましい。また、ワックスの内包化が十分なため現像性、耐久性に優れるため好ましい。20.0質量%以下の場合、トナーの低温定着性の点で優れ、更にワックスによる迅速な離型層の形成がなされるため、耐オフセット性の点でも好ましい。更には粒径分布がシャープになり、帯電分布もシャープになること、加えて湿度のトナーへの影響が小さく、トナーの帯電安定性に優れるため好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が6,000乃至100,000であることが好ましく、より好ましくは6,500乃至85,000、更に好ましくは6,500乃至45,000である。
該非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が6,000以上であれば、連続画像出力においてトナー表面の外添剤が耐久によって埋没し難く、転写性の低下を抑えられる。重量平均分子量が100,000以下であれば、重合性単量体に該非晶性ポリエステル樹脂を溶解するのに時間を多く費やすことがなく、さらに、重合性単量体組成物の粘度上昇も抑えられるため、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナーが得やすくなる。
該非晶性ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が3,000乃至80,000であることが好ましく、より好ましくは3,500乃至60,000、更に好ましくは3,500乃至12,000である。該非晶性ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)における分子量分布のメインピーク値(Mp)が、分子量4,500乃至40,000の領域、より好ましくは分子量6,000乃至30,000の領域に存在することが良い。より好ましくは分子量6,000乃至20,000の領域である。上記範囲内であると重量平均分子量の場合と同様の傾向を示す。
該非晶性ポリエステル樹脂はMw/Mnが1.2乃至3.0、より好ましくは1.5乃至2.5が良い。Mw/Mnが1.2以上の場合には、トナーの多数枚耐久性及び耐オフセット性の点で好ましく、3.0以下の場合には、低温定着性の面で好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
特に好ましい製造方法は、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。
縮合系樹脂としてポリエステルを用いる際のポリエステルの組成について以下に説明する。
ポリエステルは、全成分中43~57mol%がアルコール成分であり、57~43mol%が酸成分であることが好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂を製造する上で、公知のアルコール成分を用いることができる。アルコール成分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)
Figure 0007187200000001
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、かつx+yの平均値は2以上10以下を示す。)
で示されるビスフェノー誘導体、又は下記式(II)
Figure 0007187200000002
で示されるジオールの如きジオール類が挙げられる。
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル-P・P’-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸,ジフェニルメタン-P・P’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸,1,2-ジフェノキシエタン-P・P’-ジカルボン酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
特に好ましいアルコール成分としては前記(I)式で示されるビスフェノール誘導体、エチレングリコールであり、酸成分としては、テレフタル酸、又はその無水物、こはく酸、n-ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸が挙げられる。特にテレフタル酸が好ましい。
該ポリエステルユニットは、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能であるが、場合により、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用しても良い。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4-メタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸は全酸モノマーユニットを基準として、10.00.mol%以下であると好ましい。また同様に、3価以上のポリオールは全アルコールモノマーユニットを基準として、10.00.mol%以下であると好ましい。これは、3価以上のポリカルボン酸は全酸モノマーユニットを基準として、10.00.mol%以下であると、架橋による不溶分が少ないため顔料分散性の点で好ましいからである。また、不溶分を生成しないように製法を工夫した場合でも、分岐型のポリエステル樹脂の割合が少なく、強度に優れるため耐久性の点で好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂は芳香族系飽和ポリエステルであると好ましい。これは、該トナーの帯電性、耐久性、定着性に優れ、該トナー及び該ポリエステルの物性の制御が容易であるためである。特に芳香族の有するπ電子の相互作用により帯電性に優れる。また、不飽和ポリエステルを含有していると、トナーを作製する際に不飽和部が反応し、架橋することでトナーが硬くなるため、特に定着性において劣るため好ましくない。
(濃縮装置)
本発明において、濃縮を行うために使用される装置としては、
1)濾布を具備する濃縮装置
2)トナー前駆体分散液を収容する収容部内に、円錐状に配置させた複数の沈降板を設けた遠心沈降装置(※これ以降は、2)遠心沈降装置と省略する。)
3)投入したトナー前駆体分散液を遠心分離する外側回転筒と、前記外側回転筒内に相対回転可能に設けられたスクリューコンベアとを有するデカンタ型遠心分離機(※これ以降は、3)デカンタ型遠心分離機と省略する。)
等を使用することが好ましい。
前記した1)濾布を具備する濃縮装置としては、ベルトフィルターや遠心分離装置等の市販されている装置を使用することができる。具体的なベルトフィルターとしては、住友重機械(株)製の「イーグルフィルター」、月島機械(株)製の「水平ベルトフィルター」や「シンクロフィルタ」等があげられる。また、具体的な遠心分離装置としては、タナベウィルテック(株)製や松本機械販売(株)製等があげられる。
前記した2)遠心沈降装置としては、アルファラバル(株)製やウエストファリアジャパン(株)製のノズル型遠心分離装置等があげられる。
前記した3)デカンタ型遠心分離機としては、タナベウィルテック(株)製やIHI(株)製の連続式デカンタ型遠心分離機等があげられる。
本発明において、上記したいずれかの装置を使用して、トナー前駆体分散液を所定の固形分に濃縮する方法としては、以下のフローが可能であるが、いずれの方法を用いてもよい。
I)トナー前駆体分散液の一部を所定の固形分濃度以上に濃縮し、残りのトナー前駆体分散液中に再度投入・分散し、所定の固形分濃度のトナー前駆体分散液を得る方法。
II)トナー前駆体分散液全量を上記装置により処理し、所定の固形分に濃縮する方法。
本発明に用いる好適な1)濾布を具備する濃縮装置の断面図の一例を図1に示すが、これに限定されるわけではない。図1は、本発明に適用できるベルトフィルターの概略的断面図である。
無端状の濾布7は、図示しない複数のロール間に張架され、矢印Aの方向に駆動される。駆動は連続的でも断続的でも良い。濾布7の下方には、一体式又は複数に分割された真空トレイが設けられる。
トナー前駆体分散液4は、送液口6より重合容器3よりスラリー分散トレイ18を介して濾布7上に供給される。次いで、真空作用により濾過、脱水され、均一なトナー前駆体のケーキ9が形成される。送液口5及び送液口6は固定式でも往復移動式でも良い。分離液12aは、真空トレイ8aに集められ、図示しない真空タンクへ送られる。
濾過されたケーキ9は濾布7と共に走行し、ケーキ9中の残存している水系媒体が濾液として、共に排出されるようになっている。図1では、真空トレイ8、8a、8b、8cに4分割されているが、必要により真空脱水ゾーンを延長することもできる。
脱水ケーキ9は、必要によりケーキの厚さに応じて上下方向に位置調節が可能な、通気加圧装置16により、常温または加熱された、空気や窒素などの気体15を通気させ、加圧脱水される。次に、脱水ケーキ9は、ロールによってもたらされる曲率もしくは図示しないディスチャージロール等の剥離手段により、濾布7より剥離される。
濾布洗浄装置10a及び10bから、酸性水溶液またはRO水をスプレーすることにより濾布7を洗浄して、濾布7上に若干付着しているトナー前駆体粒子を除去する。
次に本発明に用いる好適な2)遠心沈降装置の断面図の一例を図2に示すが、これに限定されるわけではない。
図2では、トナー前駆体分散液は、回転体32の中心部上部に設けられた液入口31より、案内筒33を通って、回転体32内部の処理室34に供給される。
処理室34の横断面形状は円形であって、この処理室において、処理物は遠心力で比重差により分離される。処理室34には、円錐形状のディスク(分離板)35が、回転軸の方向に沿って、小さな間隙を有して複数重ねられている。円錐形状のディスクの向きは、液抜き出し部37に向かう方向において、円錐がすぼまる向きであればよい。処理室34内に導入されたトナー前駆体分散液は、ディスク35の外周部側よりディスク間の間隙に入り、間隙を軸方向に向けて流れていくうちに、遠心力の作用でトナー前駆体分散液に濃度勾配が生じる。そして、濃縮された(固形分率が高い)高粘度のトナー前駆体分散液が、排出ノズル36方向へと流れ、排出ノズル36より外部に排出される。一方、比重の軽い分離水(清水)は回転体32の中心側へと流れ、回転体32の上部に設けられた液抜き出し部37より外部に排出される。
ここで、該濃縮工程で取り除かれる分散媒の処理量Q(m3/hr)[比重の軽い分離液(清水もしくは清澄水)の処理量]と、該ディスク型遠心分離機の分離沈降面積Σ(m2)との関係が、
0.2≦Q/Σ≦0.8
であると好ましい。これは、濃縮工程前のトナー前駆体分散液から、比重の軽い分離液(清水もしくは清澄液)を分離する、高い分離能力と該濃縮されたトナー前駆体分散液の生産効率が高いレベルで両立するためである。
この際、Qは比重の軽い分離液(清水もしくは清澄液)の流量であり、図3に示すディスク状態を表す模式図に基づき、Σは
Σ=2.34×10-3×n2×N×cotα(r13-r23
(n:回転数、N:ディスクの枚数、α:ディスクの角度、r1:ディスクの外径の半径、r2:ディスクの内径の半径)
である。
本発明のトナー製造例においては、濃縮条件を変更する際、清澄液の流量や遠心力(回転数の二乗に比例)を変更した場合でも、Q/Σを一定に調整するためにディスクの枚数を変更するなどして対応した。
次に本発明に用いる好適な3)デカンタ型遠心分離機の断面図の一例を図4に示すが、これに限定されるわけではない。
図4に示したデカンタ型遠心分離機は、外側回転筒、及び該外側回転筒内に相対回転自在に設けられたスクリューコンベアを有する。図に示したデカンタ型遠心分離機では、トナー前駆体分散液を、スクリューコンベア51内に設けられたチューブ53を通って外側回転筒52内に供給する。前記回転筒を高速回転させることにより、濃縮された高粘度トナー前駆体分散液が、排出口55の方向に進み、排出口5から排出される。一方、トナー前駆体分散液から分離された分離液(水系媒体)は、分離液排出口56からオーバーフローして排出される。
本発明に用いられる遠心分離機はディスク型遠心分離機が好ましく、ノズル式ディスク型遠心分離機であると更に好ましい。これは、例えばデカンタ型遠心分離機であると、濃縮工程時に該デカンタ型遠心分離機内のスクリューによってトナー前駆体が掻き出されるのに対し、ディスク型遠心分離機であると、濃縮装置として、遠心分離機の遠心力のみでなく、水の流れをディスク間の間隔を制御することで層流に制御することによる効果によっても濃縮効率が向上するため、遠心力が小さくても濃縮が可能なためトナーに掛かる負荷が軽減できるためである。その結果、濃縮装置内部に対する機内付着や割れ欠けの抑制や高い生産効率を維持する点で好ましい。
ディスク型遠心沈降装置は、300G以上15000G以下の遠心力を加えることが好ましく、500G以上5000G以下の遠心力を加えることが更に好ましく、1000G以上5000G以下の遠心力を加えることがより一層好ましい。これは、濃縮効率が高く、トナーへのダメージも小さいためである。
また、該ディスクは複数配置され、その配置間隔が0.5mm以上1.0mm以下であると好ましい。これは、ディスク間の間隔が上述の範囲であると、水の流れをディスク間で層流にする効率が高く、濃縮効率が高いためである。
該濃縮装置がノズル式ディスク型遠心分離機であると、ノズル径が0.3mm以上5.0mm以下であると望ましく、0.5mm以上3.0mm以下であると更に望ましい。これは、ノズル詰まりの抑制と濃縮効率がより両立しやすい為である。特に、トナー前駆体の重量平均粒径(D4)が4.00μm以上12.00μm以下であると顕著である。
該濃縮工程において事前にノズル径より大きい粒径のトナー前駆体やゴミを除去する工程を有していても良い。
該濃縮装置に供給されるトナー前駆体分散液の温度としては、30℃以上であると好ましい。これは、該トナー前駆体分散液を構成する水系媒体の粘度が低下するため、トナー前駆体分散液から水系媒体を分離し易くなり、濃縮効率が高くなるためである。
該トナー前駆体が結晶性物質を含有する場合は、該濃縮装置に供給されるトナー前駆体分散液の温度としては、該結晶性物質の融点以下であると、トナー前駆体による該濃縮装置に対する機内付着が抑制されるため好ましい。
以下、本発明における、その他の製造装置について説明する。本発明では、公知のものが使用できるが、造粒工程における撹拌手段の一例としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi-Fミキサー(綜研化学社製)等の撹拌翼を有するものを用いることができる。他にも、高剪断力を付与できる撹拌機がより好ましい。高剪断撹拌機としては、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられたスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものが好ましく用いられる。具体的には、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)、Wモーション(エムテクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、シャープフローミル(太平洋機工社製)等が用いられる。
本発明のトナー粒子の製造方法は、上記濃縮工程の前に、重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程と、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー前駆体を得る重合工程、とを有している。ここで、該重合工程において2種類の過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで製造され、
該過酸化物系重合開始剤のうち第1の重合開始剤が式(5)もしくは式(6)の構造を有し、10時間半減期温度が70.0℃以上115.0℃以下であり、
第2の重合開始剤が式(7)の構造を有し、10時間半減期温度が45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下であることが好ましい。
Figure 0007187200000003
これは、トナー前駆体表面近傍に高分子量の結着樹脂が分布するため、トナー前駆体の表面の強度が向上し、機内付着に対して優れるためである。該効果が発現する理由は必ずしも明確にはなっていないが、本発明者らは次のように考えている。
10時間半減期温度が高い重合開始剤と低い重合開始剤を併用し、重合性単量体を重合すると分子量の大きいポリマーと小さいポリマーが生成して結着樹脂となる。この時生成するポリマー1分子ずつを考えると各分子の末端には重合開始剤由来の重合開始剤残基が存在することになる。従って重合開始剤残基の性質によって各ポリマー分子の親疎水性に差が生じる。式(5)もしくは式(6)の構造を有する重合開始剤の重合開始剤残基を有するポリマー分子は式(7)の構造を有する重合開始剤の重合開始剤残基を有するポリマー分子と比較して親水性の性質を有することになる。これは、式(7)の構造を有する重合開始剤の開始剤残基より、式(5)もしくは式(6)の構造を有する重合開始剤の重合開始剤残基の方が親水性であるためである(図5参照)。その際、式(5)もしくは式(6)の構造を有する重合開始剤は式(7)の構造を有する重合開始剤より10時間半減期温度が高いため、式(5)もしくは式(6)の構造を有する重合開始剤により生成するポリマーの分子量は式(7)の構造を有する重合開始剤により生成するポリマーの分子量より大きくなる。また、水系媒体中で造粒、重合させトナー前駆体を製造する場合、より親水性の物質がトナー前駆体表面に分布することになる。従って該トナー製造方法の場合、分子量の大きいポリマーがトナー前駆体表層側、分子量が小さいポリマーがトナー前駆体中心部側に結着樹脂として分布するトナー前駆体が得られる(図6参照)。その結果、濃縮工程において、遠心力が掛かる場合でも、トナー前駆体表層側に存在する高分子量のポリマーによりトナー前駆体表層の耐衝撃性は高いため、機内付着することが抑制される。
更に、10時間半減期温度が低い重合性開始剤を用いて重合性単量体を重合すると重合反応初期から重合開始剤が開裂してラジカルを発生して重合反応を行う。そのため、重合反応後期においては重合開始剤の大半は消費されてしまっているため、重合性単量体の減少は鈍化する。これに対して、本発明では10時間半減期温度が高い重合開始剤を併用しているため重合工程後期やその後の蒸留工程においても重合開始剤が残っているため、重合性単量体を重合することが可能で、重合工程もしくは蒸留工程において、より高温環境下にして、残留モノマーがより低減できるため、残留モノマーを低減させつつ、濃縮工程での機内付着を抑制できる。
更には10時間半減期温度が高い重合開始剤のみの使用では生成するポリマーが高分子量のものとなり、トナー粒子の定着性が悪くなり易いが、10時間半減期温度が低い重合開始剤を併用しているため定着性も良好なトナー粒子が得られる。
この効果を得るためには、第1の重合開始剤が式(5)もしくは式(6)の構造を有し、10時間半減期温度が70.0℃以上115.0℃以下であり、
第2の重合開始剤が式(7)の構造を有し、10時間半減期温度が45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下であることが好ましい。
式(5)もしくは式(6)、式(7)の構造を有する重合開始剤の構造としては、該第1の重合開始剤が、式(8)もしくは式(9)の構造を有し、該第2の重合開始剤が式(10)の構造を有していると好ましい。
Figure 0007187200000004
これは、この作用効果を発現する原因である2種類の重合開始剤残基の親疎水性のバランスがより良くなるためである。
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下であると好ましい。残留モノマーの低減効果が高く、トナー前駆体の機内付着も抑制される。
該第2の重合開始剤の添加量は該第1の重合開始剤より多いと好ましい。これは、得られるトナー前駆体の結着樹脂が高分子量成分と低分子量成分が適切な割合含有されるため、トナー前駆体の定着性と耐熱性が双方とも良好になるためである。更に、該第1の重合開始剤の添加量が該第2の重合開始剤の添加量に対して5.0mol%以上60.0mol%以下であると好ましい。これは残留モノマーを低減させつつ、濃縮工程での機内付着を抑制する効果がより大きくなるだけでなく、定着性と耐久性の両立という点でも望ましいためである。すなわち、第1の重合開始剤由来の高分子量の結着樹脂がトナー前駆体表層側に存在することで耐久性が向上し、その割合が適度であるため定着性を阻害しない。
また、本発明において、難水溶性無機微粒子を少なくとも含有する水系媒体を調製する調製工程と、重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を該水系媒体中で形成する造粒工程と、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を得る重合工程と、該樹脂粒子から有機揮発物質を除去する有機揮発物質除去工程をを有し、
該重合工程では、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体の転化率が90%以上の時に重合開始剤を添加し、
該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性と該難水溶性無機微粒子の極性が逆極性であると好ましい。
該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性が負であるとより好ましく、該重合開始剤が過硫酸化合物であるとより一層好ましい。
これは、トナー前駆体表面に該難水溶性無機微粒子が付着することで該難水溶性無機微粒子がスペーサー粒子として機能するため機内付着を抑制する。この時、該重合開始剤に由来するイオン性残基の極性と該難水溶性無機微粒子の極性が逆極性であると、該重合開始剤の由来のイオン性残基がトナー前駆体表面に存在することで逆極性を有する該難水溶性無機微粒子との吸着力が向上する。それにより該難水溶性無機微粒子が衝撃によりトナー前駆体表面から脱離する確率が低下するため、機内付着抑制の点で好ましい。特に、該重合開始剤が過硫酸化合物であると該難水溶性無機微粒子との吸着力が強固なためより一層好ましい。
ここで、該難水溶性無機微粒子のゼータ電位値の平均値をζとしたとき、
0.1mV≦ζ≦20mV
であると好ましい。これは、0.1mV≦ζ≦20mVであると、該難水溶性無機微粒子のトナー前駆体表面への吸着力が十分であり、かつトナー前駆体同士が本発明に用いられる2価以上の金属イオンとの相互作用で適度に凝集するためである。また、該重合開始剤に由来するイオン性残基との相互作用も適度となり、トナー前駆体表面と該難水溶性無機微粒子の吸着が強固でありながらトナー前駆体同士が適度に凝集するためである。
<難水溶性無機微粒子のゼータ電位測定>
該難水溶性無機微粒子のゼータ電位およびゼータ電位の平均値に対する標準偏差の測定は、Zetasizer Nano ZS(MALVERN社製)と測定条件および測定データを解析するための付属の専用ソフト「Dispersion Technology software 4.20」(MALVERN社製)を用いて算出した。具体的な測定方法は以下の通りである。
難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体の製造が完了した後、水系媒体の一部を抜き取り、30℃で保持した。その後、各実施例の重合時におよそ対応する、ゼータ電位調整またはpH調整を行った。
ゼータ電位調整:電荷決定イオン含有水溶液の添加
pH調整:0.1N水酸化ナトリウム水溶液の添加
調整した水系媒体を一部抜き取り、容積10mlのシリンジに移した。次に、シリンジ先端を、イオン交換水で2回共洗いしたゼータ電位測定用キャピラリ-セル(DTS1060-Clear disposable zeta cell)の片方のサンプルポートに挿入し、気泡が発生しないように水系媒体をゆっくり注いだ。液がキャピラリ-部分に隙間なく注入されたことを確認した後、2つのサンプルポートに栓をした。セルを測定装置のセルホルダーに差し込み、検出部の蓋を閉じた。下記の測定条件で測定を行った。
F(ka)selection Model:Smoluchowski
Dispersant:Water
Temperature:重合時の温度(通常は70℃)
Result Calculation:General Purpose
測定終了後、表示される測定結果のレポート画面において「Zeta Potential」の値をゼータ電位の平均値とした。
該重合性単量体組成物が結晶性材料を含有すると定着性の点で優れるため好ましい。本発明に使用できる結晶性物質としては、ワックス等の離型剤や結晶性ポリエステル等、公知のものを使用することができる。
本発明のトナーの場合、トナー粒子表面近傍側には結着樹脂のうち、高分子量成分が分布しているため、結晶性物質がトナー粒子表面近傍には相溶しにくいため分布しにくい。そのため、結晶性物質により定着性を良化させつつも、トナー粒子表面への露出は抑制されるため耐久性も両立できるため好ましい。
本発明に使用する結晶性物質の融点Tm(DSC最大吸熱ピーク)は、定着性と保存性の両立の点で50℃以上90℃以下であることが好ましい。さらに好ましい範囲は60℃以上85℃以下である。
本発明のトナーは、結晶性物質として、ワックスを含有してもよい。その場合、ワックスの少なくとも1つは、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上90℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体のワックスであることが好ましく、特に、融点が50℃以上90℃以下の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びフィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びキャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体など公知のワックスを用いることが可能である。これらは単独又は併せて用いることができる。
本発明のトナー中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましく、4質量部以上15質量部以下が更に好ましい。ワックスの添加量が下限値以上であるとオフセット防止効果が低くならず、上限値以下の場合は耐ブロッキング効果が低下せず、耐オフセット効果にも悪影響を与え難く、トナーのドラム融着やトナーの現像スリーブ融着を起こし難い。
本発明で用いられるワックスとしては炭化水素ワックスを用いている場合はより一層、耐ブロッキング効果、耐オフセット効果に優れ、トナーのトナー層規制部材やトナー担持体への融着を起こし難い。
ワックスとしては炭化水素ワックスを用い、かつ脂肪族のジオールと脂肪族のジカルボン酸により製造された結晶性ポリエステル樹脂もトナー粒子中に含有している場合、該結晶性ポリエステルとワックスとの相互作用により、結晶化が促進されやすい。このため、よりトナー粒子表層側においてワックスや結晶性ポリエステル樹脂が結着樹脂に相溶しにくく、重合工程中にトナー前駆体が凝集しにくいため好ましい。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、ワックスをトナーから抽出することを必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法を用いることができる。例えば、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、示差走査熱量計(DSC)などにより定量分析を行う。本発明ではTAインスツルメンツジャパン社製DSC-2920を用いて測定を行う。測定時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得る。
該結晶性物質が結晶性ポリエステル樹脂であると定着性が優れるため、更に好ましい。しかし、該重合工程において、該結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で重合反応を行う場合、結晶性ポリエステル樹脂の可塑効果により、より一層重合工程においてトナー前駆体は凝集しやすくなる。それに対して本発明で用いられる第1の重合開始剤と第2の重合開始剤を用いることでトナー前駆体表層側に高分子量の結着樹脂が分布することで耐熱性が向上する。そのためトナー前駆体は凝集を抑制し、かつ結晶性ポリエステル樹脂の低温定着性の効果を活かせるため好ましい。その際、該第1の重合開始剤由来の高分子量の結着樹脂の方が該結晶性ポリエステル樹脂への相溶性が低いため、該結晶性ポリエステル樹脂はトナー前駆体表層側に相溶した状態では存在しにくいため、可塑化されにくく、トナー前駆体表層側の耐熱性が強固に維持できるためトナー前駆体は凝集しにくくより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂はワックスや離型剤と比較して分子量が大きいため、より一層その効果が大きいため好ましい。
該結晶性ポリエステル樹脂としては、2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。結晶性ポリエステルは、1種類のみを用いても、複数種を併用しても良い。更に、結晶性ポリエステルの他に非晶質のポリエステルをトナーに含有させても良い。
本発明において結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量測定(DSC)において昇温時に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有するポリエステルを指し、その測定は「ASTM D 3417-99」に準じて行う。
このような結晶性ポリエステルを得るためのアルコール単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタジエングリコールその他が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きアルコール単量体が主成分として用いられるが、上記成分の他に、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の二価のアルコール、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価のアルコール等を用いても良い。
上記結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸単量体としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n-ドデシルコハク酸、n-デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きカルボン酸単量体を主成分として用いるが、上記の成分の他に三価以上の多価カルボン酸を用いても良い。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。
特に好ましい結晶性ポリエステルとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコール及びエチレングリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステル、ヘキサメチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、ジエチレングリコールとデカンジカルボン酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。該結晶性ポリエステルは飽和ポリエステルであると一層望ましい。該結晶性ポリエステルが不飽和部分を有する場合と比較して、該過酸化物系重合開始剤との反応で架橋反応が起こらないため、該結晶性ポリエステルの溶解性の点で有利だからである。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ-ル成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC吸熱ピーク)としては、50.0℃以上90.0℃以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC吸熱ピーク)が、50.0℃以上90.0℃以下であると、トナー粒子が凝集しにくく、トナー粒子の保存性、定着性が維持でき、かつ重合法によりトナー粒子を製造する場合に重合性単量体への溶解性が高くなり、好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC吸熱ピーク)は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。また結晶性ポリエステル樹脂の融点は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は5,000以上35,000以下であることが好ましい。5,000以上35,000以下の範囲に重量平均分子量(Mw)を有する結晶性ポリエステルによれば、得られるトナー粒子において、結晶性ポリエステルの分散性が向上され、耐久安定性が向上するため望ましい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が5,000以上の場合では、結晶性ポリエステルの密度が高くなり、耐久安定性が向上する。一方、結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が35,000以下の場合には、結晶性ポリエステルの溶融が迅速に行われ、分散状態が均一になるために、現像安定性が向上する。結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合時間や重合温度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステルの酸価(AV)は0.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.0mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下であるとより好ましく、0.0mgKOH/g以上5.0mgKOH/g以下であると特に好ましい。酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性は向上する。また重合法によりトナー粒子を製造する場合、結晶性ポリエステルの酸価(AV)が20.0mgKOH/g以下であると、トナー粒子同士の凝集が起こりにくくなる傾向にあり、また、トナー中における該結晶性ポリエステルの分布状態に偏りが出にくくなるため、帯電安定性及び耐久安定性が向上する。
本発明のトナーにおいては該非晶質ポリエステル樹脂の酸価は該結晶性ポリエステル樹脂の酸価より高いことが好ましい。これは、非晶性ポリエステル樹脂の酸価が結晶性ポリエステル樹脂の酸価がより高い場合は該結晶性ポリエステル樹脂の大半が非晶性ポリエステル樹脂よりトナー内部に分布することになり、該結晶性ポリエステル樹脂の融点以上での重合反応工程においてトナー表層側が過疎化されにくくトナー粒子が凝集しにくいためである。
本発明のトナーは荷電制御樹脂を含有していても良く、公知のものを使用して良く、例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩基、4級アンモニウム塩基、カルボキシル基、水酸基、オキシカルボン酸基などを有する樹脂なども用いられる。
特に、該荷電制御樹脂がスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造を有する重合体であると好ましい。これは、トナー粒子表面に該荷電制御樹脂が分布しやすいため帯電性の点で望ましいためである。
更に、本発明においては、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造部分が該トナー前駆体表面に分布し、該難水溶性無期微粒子と該トナー前駆体との吸着力が向上するため、該難水溶性無機微粒子のスペーサー粒子としての作用が一層向上し、緩い凝集体を維持しやすいため好ましい。更に、遠心分離機内で該トナー前駆体が機内付着をも一層抑制するため好ましい。
また、該荷電制御樹脂の酸価は該非晶性ポリエステル樹脂の酸価より高い方が好ましい。これは該荷電制御樹脂がトナー粒子の最表面に位置すると帯電性に最も有効に作用するためである。
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂やスチレン-アクリル樹脂の酸価の測定>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求めることができる。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂やスチレン-アクリル樹脂の水酸基価の測定>
水酸基価は、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。本発明における水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25.0gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスなどに触れないように、褐色びんにて保存する。
1.0モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子株式会社製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求める。具体的には、1.00mol/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。1.00mol/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
以下に、水酸基価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメータ並びに制御パラメータは下記のように行う。
<滴定パラメータ>
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:80mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
<制御パラメータ>
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.5mL
<本試験>
測定サンプル2.00gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに上記アセチル化試薬5.00mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1.00mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5.00mLで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
得られたサンプルを250mLのトールビーカーに移し、トルエンとエタノール(3:1)の混合溶液100mLを加え、1時間かけて溶解する。電位差滴定装置を用い、水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
<空試験>
試料を用いない(すなわち、トルエンとエタノール(3:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(g)、D:樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂やスチレン-アクリル樹脂の分子量および分子量分布>
試料の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。酸基を有する樹脂の分子量を測定する場合は、カラム溶出速度が酸基の量にも依存してしまうため、予め酸基をキャッピングした試料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
GPCによる分子量の測定は、以下のようにして行う。まず、室温で24時間かけて、測定サンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
測定サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<非晶性ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル樹脂やトナー粒子のガラス転移温度>
試料のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定する。
示差走査熱量計は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418-82に準じて以下のように測定する。測定サンプルは2から5mg、好ましくは3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用いる。20℃で5分間平衡を保った後、測定範囲20乃至180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。本発明においては、ガラス転移温度は中点法で求めることができる。
<該ポリエステル樹脂、該結晶性ポリエステル樹脂、該スチレンーアクリル樹脂およびトナーの結着樹脂の構造分析>
該ポリエステル樹脂、該結晶性ポリエステル樹脂、該荷電制御樹脂、該スチレンーアクリル樹脂およびトナーの結着樹脂の構造決定は、核磁気共鳴装置(1H-NMR、13C-NMR)並びにFT-IRスペクトルを用いて行うことができる。以下に用いる装置について記す。
各樹脂サンプルはトナー中から分取することで採取し、分析しても良い。
(i)1H-NMR、13C-NMR
日本電子製FT-NMR JNM-EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
(ii)FT-IRスペクトル
Thermo Fisher Scientific Inc.製 AVATAR360FT-IR
(荷電制御剤)
本発明のトナーにおいては、公知の荷電制御剤を使用することができる。荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(顔料)
本発明のトナーは、着色剤として顔料を含有する。シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3及び15:4。
マゼンタ系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド31、32、122、150、254、264及び269。
イエロー系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー74、93、120、139、151155、180及び185。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、並びに、上記イエロー系、マゼンタ系及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
顔料がカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122、150、32、269、C.I.ピグメントイエロー155、93、74、180及び185であると本発明の効果が高く望ましい。特に望ましくはカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122である。カーボンブラックの場合は、pHが6以上で吸油量(DBP)が30(cc/100g)以上120(cc/100g)以下であると好ましい。これは、本発明で用いられる重合開始剤が反応阻害されにくいためである。
これら顔料の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のトナーにおいては、本発明の効果を阻害しない範囲で各種特性付与を目的として公知の様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の3/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
これら添加剤の含有量は、トナー100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。これらの添加剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
また、これらの添加剤は疎水化処理されていてもよい。疎水化処理の方法としては、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることが好ましい。高湿下での無機微粉体の水分吸着を抑制することができ、さらには、規制部材や帯電部材などの汚染が抑制することができるため、高品位の画像が得られるためである。
トナーの重量平均粒径(D4)としては4.0μm以上12.0μm以下であると好ましく、4.0μm以上9.0μm以下であるとより好ましい。重量平均粒径が4.0μm以上であると長期使用において耐久性や耐熱性に良好であり、重量平均粒径が12.0μm以下であるとトナーの着色力及び画像の解像度の点で良好となる。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下までに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)、体積基準メジアン径、個数基準メジアン径を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、「中位径」が体積基準メジアン径(Dv50)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)であり、「中位径」が個数基準メジアン径(Dn50)である。
トナー粒子のガラス転移温度としては、保存性と定着性の観点から53℃以上75℃以下が好ましい。
トナー粒子の平均円形度としては平均円形度が0.975以上が好ましい。これはトナー粒子がトナー粒子間やトナー担持体、トナー層規制部材と均一に摩擦帯電する確率が高く、トナー粒子が受けるストレスも均一化されるためであり、帯電性や、トナー層規制部材への融着の点で好ましい。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
〔重合性単量体〕
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン以外にもラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いても良い。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用する。
スチレン以外に用いる重合性単量体としてはスチレン誘導体、n-ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル系重合性単量体もしくはn-ブチルメタクリレートや2-エチルヘキシルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル系重合性単量体が望ましい。これは重合性単量体を重合して得られる結着樹脂の強度や柔軟性の点で優れているためである。
(冷却工程)
該トナーが結晶性物質を含有する場合、該トナー前駆体を含有するトナー前駆体分散液を冷却する冷却工程が存在しており、該冷却工程における該トナー前駆体分散液の冷却開始温度は、該結晶性物質のDSC吸熱ピーク温度(℃)と該トナーのガラス転移温度Tg(℃)とのうちの高いほうの温度以上であり、該トナー前駆体分散液の冷却終了温度は該ガラス転移温度Tg(℃)以下であり、該冷却工程におけるトナー前駆体分散液の冷却速度が0.3℃/sec以上であると好ましく、1.5℃/sec以上であると更に好ましい。
水系媒体の温度を急速に冷却する手段としては、例えば冷水や氷を混合する操作や、冷風により水系媒体をバブリングする操作、熱交換器を用いて水系媒体の熱を除去する操作等を用いることが可能である。
これは該冷却工程を経ることでトナー中の結晶性物質の結晶核生成が迅速に行われるため、結着樹脂中に相溶する結晶性物質の割合も低下し、且つ結晶性物質の結晶形状が球形化するためトナー前駆体の耐衝撃性が向上し、機内付着抑制の点で好ましい。特に該結晶性物質がワックスである場合、該ワックスの結晶形状が球形化するとトナー前駆体に加えられた外力がトナー前駆体内部に伝播したときに、脆く割れやすいワックス結晶に対して均一にストレスが加わるため耐衝撃性の点で優れるため好ましい。
また、特に、重合工程において前記2種類の過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで製造され、
該過酸化物系重合開始剤のうち第1の重合開始剤が前記式(5)もしくは式(6)の構造を有し、10時間半減期温度が70.0℃以上115.0℃以下であり、
第2の重合開始剤が前記式(7)の構造を有し、10時間半減期温度が45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下である条件下であるとより好ましい。
これは、反応終了後、生成したトナー前駆体分散液を、急激に冷却することで該トナー前駆体に含有される該結晶性物質のうち、結着樹脂中に相溶している成分が微細な結晶として析出する。その際、トナー前駆体表層側には分子量の大きいポリマーが分布しているため、析出する結晶性物質は相溶しにくく、トナー粒子最表面近傍は結晶性物質の存在量は少なくなるため、濃縮装置の耐機内付着性や現像性に優れる。更に該結晶性物質の多くはトナー粒子最表面より内側に微細な結晶状態で析出する。この結晶性物質はトナー粒子最表面近傍での存在量は少ないが、微細な結晶で均一に分散する割合が増加するため、定着時には結晶性物質が迅速に溶融するため定着性にも優れるため好ましい。
該冷却工程における該トナー前駆体分散液の冷却開始温度は、該結晶性物質のDSC吸熱ピーク(℃)と該トナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)とのうちの高い方の温度以上(好ましくは、冷却開始温度は結晶性物質のDSC吸熱ピーク(℃)とトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)とのうちの高いほうの温度より5℃以上、より好ましくは10℃以上)であり、該トナー粒子前駆体分散液の冷却終了温度は該ガラス転移温度Tg(℃)以下(より好ましくは、Tg-3℃以下)であると好ましい。
これは、トナー粒子を、結晶性物質のDSC吸熱ピーク(℃)及びトナー粒子のガラス転移温度Tgより高い温度にすると、該結晶性物質はトナー粒子中により均一に溶融する。ここで、急速に冷却した場合、その状態を維持したまま、トナー粒子中に結晶性物質が微細な結晶としてトナー前駆体内部の領域において大半が微細結晶として析出し、該結晶性物質の結晶の大きさにムラが無いため、濃縮機の機内付着抑制、トナーの現像性および定着性の点で優れるためである。且つ、冷却終了温度を該ガラス転移温度Tg(℃)以下にすることにより、前述の状態を維持し続けることができるため、より一層、濃縮機の機内付着抑制、現像性と定着性の両方が優れるため好ましい。該結晶性物質の重量平均分子量Mwは600以上であると上記作用効果が大きいため好ましい。
該冷却工程を経た該トナー前駆体分散液を、Tg-10℃以上Tg+10℃以下の温度で30分以上保持する保持工程を有していると更に好ましい。好ましい保持時間は90分間以上であり、さらに好ましい時間は120分間以上である。一方、該保持時間の上限値は、その効果が飽和する1440分間程度である。これは、該トナー前駆体中に生成した該結晶性物質の結晶核が十分に結晶成長するため、より一層、結着樹脂中に相溶する該結晶性物質の割合も低下するためトナー前駆体の耐衝撃性が向上し、機内付着抑制および現像性の点で好ましいためである。
この工程において、トナー前駆体のガラス転移温度Tg(℃)は、トナーのガラス転移温度Tg(℃)を用いても良い。
以下に、本発明における特定の処理工程(冷却工程)について述べる。本発明の処理工程は、工程(1)~(3)を有する。
工程(1)は、結着樹脂、着色剤、および結晶性物質を含有する着色粒子が水系媒体中に分散された分散液を調製する工程である。
図7は、本発明の工程(1)~(3)のトナー前駆体を分散した水系媒体の温度の推移を模式的に示す。図7において、602は工程(2)を示す。609はトナー粒子またはトナー前駆体のガラス転移温度Tg、607は結晶性物質のDSC吸熱ピーク温度を示す。工程(2)では、水系媒体の温度をDSC吸熱ピーク温度またはTgのいずれかのうちの高い温度よりも高い温度へ昇温する。604は水系媒体を冷却する直前の温度を示し、開始温度T1とする。605は冷却を完了した直後の温度を示し、停止温度T2とする。続いて、工程(3)において、結晶性物質の核形成及び成長を促すために、水系媒体の温度を保持する。603は工程(3)を示す。608及び610は、それぞれTg+10℃、Tg-10℃を示す線である。606は、工程(3)を開始した時間から30分経過した時間における水系媒体の温度T4を示す。611及び612はT1からT2に係る冷却速度及びT3からT4に係る冷却速度2を示す。冷却速度及び冷却速度2は以下の式により算出される。
冷却速度=(T2(℃)-T1(℃))/冷却に要した時間(分)
冷却速度2=(T3(℃)-T4(℃))/30(分)
工程(2)及び工程(3)の処理を行う際、水系媒体中で処理を行うことで、疎水性である結晶性物質は、トナー粒子内部に閉じ込められる。このため、得られるトナー粒子の粒子表面に、結晶性物質が存在することを抑制できる。
工程(2)における水系媒体の温度を高い温度へ昇温する操作は、着色粒子に含まれる結晶性物質及び結着樹脂を共に溶解させるために行う。この操作により、結晶性物質及び結着樹脂が分子レベルで混ざり合うことができる。
さらに結着樹脂と結晶性物質を共に十分に溶融させるために、水系媒体の温度が結晶性物質のDSC吸熱ピーク温度(℃)及びトナーのガラス転移温度Tg(℃)のいずれかのうちの高い温度より高い温度が冷却開始温度であると好ましい。
なお、工程(1)を経た水系媒体の温度が既に、結晶性物質のDSC吸熱ピーク温度(℃)及びトナーのガラス転移温度Tg(℃)のいずれかのうち、高い温度より高い温度を満たす場合、さらに水系媒体を加熱する等の操作は必要がない。
<結晶性ポリエステル樹脂およびワックスのDSC吸熱ピーク温度の測定>
結晶性ポリエステル樹脂およびワックスのDSC吸熱ピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー粒子約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30~200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30~200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークとなる温度を、結晶性ポリエステル樹脂およびワックスのDSC吸熱ピーク温度とする。
本発明のトナーの製造方法として懸濁重合や溶解懸濁法を用いるが、懸濁重合の場合、以下の如き製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。重合性単量体中にポリエステル樹脂などの極性樹脂、離型剤、着色剤、架橋剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の撹拌機またはホモミクサー、ホモジナイザーなどにより分散せしめる。その際、重合性単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合開始剤を添加することで重合反応を進行させるが、重合温度は40℃以上、通常50~120℃の温度に設定して重合を行う。重合温度が95℃以上の場合は重合反応を行う容器を加圧して水系媒体が蒸発するのを抑制しても良い。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpHを変更しても良い。更に、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半に反応温度を上げる、もしくは反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子前駆体分散液を得る。次に該トナー粒子前駆体分散液を濃縮、冷却、洗浄、ろ過により収集し、乾燥する。
造粒中の水系媒体中のpHは特に制約は受けないが、好ましくはpH3.0~13.0、更に好ましくは3.0~7.0、特に好ましくは3.0~6.0である。pHが3.0未満の場合は分散安定剤の一部に溶解がおこり、分散安定化が困難になり、造粒出来なくなることがある。またpHが13.0を超える場合はトナー中に添加されている成分が分解されてしまうことがあり、本発明の効果がが弱くなることがある。造粒を酸性領域で行った場合には、分散安定剤に由来する金属のトナー中における含有量が過剰となるのを抑制することができ、本発明の規定を満たすようなトナーが得られやすくなる。
また、トナー粒子の洗浄をpH2.5以下、より好ましくはpH1.5以下の酸を用いて行うことが好ましい。トナー粒子の洗浄を酸で行うことにより、トナー粒子表面に存在する分散安定剤を低減することができる。洗浄に用いる酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸の如き無機酸を用いることができる。これによりトナー粒子の帯電性を所望の範囲に調整することも可能である。
本発明に用いられる分散安定剤としての難水溶性無機微粒子以外に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01質量部以上2.0質量部以下を使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001質量%以上0.1質量%以下の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。実施例15は参考例である。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・1,10-デカンジカルボン酸:210部
・1,10-デカンジカルボン酸ジメチル:50部
・1,10-デカンジオール:295部
・シュウ酸チタン酸カリウム:0.40部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10~20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1の物性は酸価=1.3mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=21000、DSC吸熱ピーク=79.8℃であった。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例2〕
窒素雰囲気下で、滴下ロート、リービッヒ冷却管及び撹拌機を備えた耐圧反応機にキシレン50部とセバシン酸175.0部、及び1,12-ドデカンジオール210.1部を加えて210℃まで昇温した。このときの圧力は0.32MPaであった。これに下記材料をキシレン10部に溶解した混合物を滴下ロートに仕込んだものを2時間かけて加圧下(0.31MPa)で滴下した。
Figure 0007187200000005
滴下後、更に210℃で3時間反応を行い、溶液重合を完了した。その後、テトラブトキシチタネート0.80部を混合し、窒素雰囲気下、常圧下210℃で3時間縮重合反応を行った。その後テトラブトキシチタネートを0.010部追加し、210℃で2時間反応させた。その後、常圧に戻し、安息香酸37.0部とトリメリット酸4.00部を添加し、さらに220℃で5時間反応させて結晶性ポリエステル2を得た。得られたポリエステル樹脂2の物性は酸価=2.9mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=22000、DSC吸熱ピーク=80.3℃であった。
〔非晶性ポリエステル樹脂1の製造〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
テレフタレート:29.9部
ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物:51.7部
エチレングリコール:4.5部
テトラブトキシチタネート:0.125部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後トリメリット酸を2.1部及びテトラブトキシチタネートを0.120部追加し、220℃で3時間反応させ、更に10~20mmHgの減圧下で2時間反応して非晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂1の物性は表3に示す。得られた非晶性ポリエステル樹脂の組成は表2に記載の仕込み量通りの組成であった。
〔非晶性ポリエステル樹脂2~10の製造〕
表2の原材料モノマー仕込み量にて、非晶性ポリエステル樹脂1と同様の操作を行い、非晶性ポリエステル樹脂2~10を製造した。得られた樹脂の物性を表3に示す。各非晶性ポリエステル樹脂の分子量と酸価の調整に関しては、適宜反応時間を調整して非晶性ポリエステル樹脂の物性が達成されるようにした。
Figure 0007187200000006
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
TMA:トリメリット酸
BPA(PO):ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
EG:エチレングリコール
Figure 0007187200000007
〔スチレン-アクリル樹脂1の製造〕
プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を窒素置換しながら加熱し液温120℃以上で還流させ、そこへ、下記材料を混合したものを3時間かけて滴下した。
スチレン:91.7部
メチルメタクリレート:2.50部
メタクリル酸:3.30部
2-ヒドロキシエチルアクリレート:2.50部
ジtert-ブチルパーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーブチルD」):1.25部
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温170℃まで昇温しながら常圧蒸留し、液温170℃到達後は1hPaで減圧下1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿、析出した固体を濾別することでスチレンーアクリル樹脂1を得た。得られたスチレンーアクリル樹脂1の物性は以下の通りであった。
Mw=15000、酸価=20.0、水酸基価=10.0、Tg(中点法)=90.0℃
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造を有する重合体1〕
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管のついた2lフラスコにトルエン100部、メタノール300部、スチレン470部、2-アクリルアミドー2-メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸―2-エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部、を仕込み、撹拌、窒素導入下、65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗粉砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間乾燥し、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造を有する重合体1を得た。得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造を有する重合体1の物性は、Mw=25000、揮発分0.10%、Tg(中点法)=68℃、酸価=20.0mgKOH/gであった。
〔疎水性シリカ1の製造〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)100部をヘキサメチルジシラザン10部で処理し、さらにジメチルシリコーンオイル20部で処理して疎水性シリカ1を得た。疎水性シリカ1の一次粒子の個数平均径は12nm、疎水化度は97であった。
〔疎水性酸化チタン1の製造〕
酸化チタン(P25、日本アエロジル製)100部をトルエン中でγ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン20部で処理し、濾過、乾燥して疎水性酸化チタン1を得た。疎水性酸化チタン1の一次粒子径は25nm、疎水化度は60であった。
(分散媒(水系媒体)の製造例1)
反応容器中のイオン交換水1000部に、リン酸ナトリウム(物質(2))14部、ならびに10%塩酸を4.5部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10部に7.8部の塩化カルシウム(物質(1))を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、その後60分間保持した後、60℃に降温し、分散安定剤を含む水系媒体1を調製した。得られた水系媒体1の物性等を表4に示す。
(分散媒(水系媒体)の製造例2~20)
表4に記載される通りに各原料の種類及び含有量、撹拌装置の種類や条件を変更させた以外は分散媒(水系媒体)の製造例1と同様にして、分散安定剤を含む水系媒体2~20を製造した。得られた水系媒体2~20の物性等を表4に示す。
Figure 0007187200000008
(トナー製造例1)
・スチレン 60部
・カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7部
・荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に、
・スチレン 15部
・n-ブチルアクリレート 25部
・結晶性ポリエステル樹脂2 5部
・非晶性ポリエステル樹脂3 5部
・フィッシャートロプシュワックス 9部
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)
を加えた。
別容器中で上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174、10時間半減期温度:54.6℃)10.0部と重合開始剤t-ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」、分子量:160、10時間半減期温度:77.3℃)3.0部とを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンク中の上記水系媒体1中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで5分間撹拌し、pH5.2で造粒した。その後、重合タンクに移して、パドル撹拌翼で30回/分で撹拌しつつ70℃で6時間(転化率は90%であった)、さらに90℃に昇温し、2時間反応させた。
重合反応終了後、温度を42℃に降温した後、塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加し、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの合計が水系媒体中で12.5mmol/Lになるようにして、トナー前駆体分散液1を得た。得られたトナー前駆体分散液1を、図2に記載の濃縮装置(ノズル式ディスク型遠心分離機 FESX610S-34CH アルファ・ラバル株式会社製)を用い、表7に記載の条件で濃縮工程を実施した。表7において、当該濃縮装置を装置(1)と記す。
濃縮工程終了後、30℃まで冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間撹拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションをろ紙を用いて加圧濾過し、さらに2000部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、乾燥して風力分級し、トナー粒子(ブラック着色粒子)を得た。
得られたブラック着色粒子100部と、疎水性シリカ1を1.5部、及び疎水性酸化チタン1を0.3部加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合し、外添剤を有するトナー1を得た。得られたトナー1の物性等については表8に記載した。
(トナー製造例2)
濃縮工程に用いる濃縮装置を、図4に記載のタナベウィルテック(株)製の連続式デカンタ型遠心分離機(装置(2))に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー2を製造した。得られたトナー2の物性等を表8に示す。
(トナー製造例3~8、14、20~39、47~67、77~81、103~112、126~127)
表5~7に記載される通りに各原料の種類及び含有量、撹拌装置の種類や条件を変更させた以外はトナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー3~8、14、20~39、47~67、77~81、103~112、125~126を製造した。得られたトナー3~8、14、20~39、47~67、77~81、103~112、126~127の物性等を表8に示す。
(トナー製造例15)
・スチレン 60部
・カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7部
・荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に、
・スチレン 15部
・n-ブチルアクリレート 25部
・結晶性ポリエステル樹脂2 5部
・非晶性ポリエステル樹脂3 5部
・フィッシャートロプシュワックス 9部
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)
を加えた。
別容器中で上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174、10時間半減期温度:54.6℃)10.0部と重合開始剤t-ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」、分子量:160、10時間半減期温度:77.3℃)3.0部とを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンク中の上記水系媒体2中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで5分間撹拌し、pH5.2で造粒した。その後、重合タンクに移して、パドル撹拌翼で30回/分で撹拌しつつ70℃で6時間(転化率は90%であった)保持した。その後、水系媒体2を210部添加した後、さらに90℃に昇温し、2時間反応させた。
重合反応終了後、温度を42℃に降温した後、塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加し、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの合計が水系媒体中で12.5mmol/Lになるようにして、トナー前駆体分散液15を得た。得られたトナー前駆体分散液15を、濃縮装置として上記装置(1)を用い、表7に記載の条件で濃縮工程を実施した。
濃縮工程終了後、30℃まで冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間撹拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションをろ紙を用いて加圧濾過し、さらに2000部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、乾燥して風力分級し、トナー粒子(ブラック着色粒子)を得た。
得られたブラック着色粒子100部と、疎水性シリカ1を1.5部、及び疎水性酸化チタン1を0.3部加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合し、外添剤を有するトナー15を得た。得られたトナー15の物性等については表8に記載した。
(トナー製造例19)
(トナーバインダー溶液の合成)
非晶質ポリエステル樹脂1を1000部を酢酸エチル溶剤2,000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル溶液を得た。
(トナーの作製)
ビーカー内に上記トナーバインダー(1)の酢酸エチル溶液240部、カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex 35」)6.0部、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を1.0部、及び、フィッシャートロプシュワックス(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)を13質量部を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させ、トナー材料溶液を得た。ビーカー内に水系媒体1(1036.3部)、及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.17部を入れ、均一に溶解した。
ついで60℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入して3時間撹拌した。ついで、混合液を撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、98℃に昇温して溶剤を除去した。
溶媒除去終了後、温度を42℃に降温した後、塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加し、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの合計が水系媒体中で12.5mmol/Lになるようにして、トナー前駆体分散液19を得た。得られたトナー前駆体分散液19を、濃縮装置として上記装置(1)を用い、表7に記載の条件で濃縮工程を実施した。
濃縮工程終了後、30℃まで冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間撹拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションをろ紙を用いて加圧濾過し、さらに2000部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、乾燥して風力分級し、トナー粒子(ブラック着色粒子)を得た。
得られたブラック着色粒子100部と、疎水性シリカ1を1.5部、及び疎水性酸化チタン1を0.3部加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合し、外添剤を有するトナー19を得た。得られたトナー19の物性等については表8に記載した。
(トナー製造例16~18)
分散媒(水系媒体)を作製する際、表4に記載の通りに、添加する塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液の添加量を変化させ表5~7に記載の通りに製造条件を調整した以外はトナー製造例15と同様にして、外添剤を有するトナー16~18を製造した。得られたトナー16~18の物性等を表8に示す。
(トナー製造例40)
・スチレン 60部
カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7部
荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に、
・スチレン 15部
・n-ブチルアクリレート 25部
・結晶性ポリエステル樹脂2 5部
・非晶性ポリエステル樹脂3 5部
・フィッシャートロプシュワックス 9部
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)
を加えた。
別容器中で上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t-ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)10.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンク中の上記水系媒体1中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで5分間撹拌し、pH5.2で造粒した。その後、重合タンクに移して、パドル撹拌翼で30回/分で撹拌しつつ70℃で6.5時間反応させた(転化率は93.5%であった)。
その後、イオン交換水10部に水溶性開始剤である過硫酸カリウムを1.0部を溶解させた水溶液を更に添加し、さらに90℃に昇温し、2時間反応させた。
重合反応終了後、温度を42℃に降温した後、塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加し、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの合計が水系媒体中で12.5mmol/Lになるようにして、トナー前駆体分散液40を得た。得られたトナー前駆体分散液40を、濃縮装置として上記装置1を用い、表7に記載の条件で濃縮工程を実施した。
濃縮工程終了後、30℃まで冷却し、10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間撹拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションをろ紙を用いて加圧濾過し、さらに2000部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、乾燥して風力分級し、トナー粒子(ブラック着色粒子)を得た。
得られたブラック着色粒子100部と、疎水性シリカ1を1.5部、及び疎水性酸化チタン1を0.3部加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合し、外添剤を有するトナー40を得た。得られたトナー40の物性等については表8に記載した。
(トナー製造例41~46)
表4~7に記載される通りに各原料の種類及び含有量、製造条件を変更させた以外はトナー製造例40と同様にして、外添剤を有するトナー41~46を製造した。得られたトナー41~46の物性等を表8に示す。
(トナー製造例102)
非晶性ポリエステル樹脂3をスチレンーアクリル樹脂1に変更した以外はトナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー102を製造した。得られたトナー102の物性等を表9に示す。
(トナー製造例9~13、68~76、113~121、128~131)
表4~7に記載のように濃縮工程の条件を変更した以外はトナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー9~13、68~76、113~121、127~130を製造した。得られたトナー9~13、68~76、113~121、128~131の物性等を表8に示す。
(トナー製造例122)
濃縮工程に用いる濃縮装置を松本機械販売(株)製の横型シュート排出遠心分離機に変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー122を製造した。得られたトナー122の物性等を表8に示す。
(トナー製造例123)
該重合性単量体組成物に、
・スチレン 15部
・n-ブチルアクリレート 25部
・結晶性ポリエステル樹脂2 5部
・非晶性ポリエステル樹脂3 5部
・フィッシャートロプシュワックス 9部
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)
・スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルで表わされる構造を有する重合体1 0.3部
を加えた以外はトナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー123を製造した。得られたトナー123の物性等を表8に示す。
(トナー製造例124)
塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加していたのを、塩化ナトリウム0.73部添加することに変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー124を製造した。得られたトナー124の物性等を表8に示す。
(トナー製造例125)
塩化マグネシウム6水和物(仁尾興産株式会社製)を2.57部添加していたのを、塩化カリウム0.94部添加することに変更した以外はトナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー125を製造した。得られたトナー125の物性等を表8に示す。
(トナー製造例82)
表4~7に記載の通り、各原料の種類及び含有量、製造装置の種類や条件を変更した以外はトナー製造例1と同様にして、90℃で2時間反応さる重合反応まで行った。
重合反応終了後、冷却工程を行った。パドル撹拌翼で30回/分で撹拌し86℃まで冷却した。この時の冷却速度Aは、0.008℃/secであった。86℃のトナー粒子前駆体分散液に5℃の水を混合し冷却速度Bを2.000℃/secで55℃まで冷却した。その後、55℃で120分温度を保持した後、5℃の水を混合し冷却速度Cを5℃/secで30℃まで冷却した。冷却速度Aは、本発明の冷却開始温度まで冷却した時の冷却速度である。冷却速度Bは、本発明の冷却開始温度からトナー粒子前駆体分散液の温度を保持するまでの冷却速度である。冷却速度Cはトナー粒子前駆体分散液の温度を保持した後、再度冷却する際の冷却速度である。
以降、トナー製造例1と同様にして外添剤を有するトナー82を製造した。得られたトナー82の物性等を表8に示す。
(トナー製造例83~101)
冷却工程や温度保持条件を表6に記載の条件に変更した以外はトナー製造例82と同様にしてトナー83~101を製造した。得られたトナー83~101の物性等を表8に示す。
Figure 0007187200000009
Figure 0007187200000010
Figure 0007187200000011
Figure 0007187200000012
Figure 0007187200000013
Figure 0007187200000014
Figure 0007187200000015
Figure 0007187200000016
Figure 0007187200000017
Figure 0007187200000018
Figure 0007187200000019
Figure 0007187200000020
[実施例1~123]
トナー1~123製造時の濃縮工程における生産性の評価を行った。さらに、トナー1~123をそれぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。評価結果は表15に示す。
[比較例1~8]
トナー124~131製造時の濃縮工程における生産性の評価を行った。さらに、トナー124~131をそれぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。評価結果は表15に示す。
<濃縮装置機内付着>
濃縮工程終了後、濃縮装置を分解し、内部の付着状況を目視で確認した。
Figure 0007187200000021
<清澄液濁り>
濃縮工程中に濃縮装置から排出される清澄液をサンプリングし、固形分率を測定して評価した。
固形分率の測定は、MA37-1電子水分計(ザルトリウス社製)を用い、105℃における加熱減量法によって求めた。清澄液の固形分率が小さい程レベルが良いこととなる。
<濃縮倍率>
濃縮工程中に濃縮装置に供給される濃縮前のトナー前駆体分散液と濃縮装置から排出される濃縮後のトナー前駆体分散液をサンプリングし、それぞれ固形分率を測定し、
濃縮倍率(倍)=(濃縮後のトナー前駆体分散液の固形分)/(濃縮前のトナー前駆体分散液の固形分)
上記式に当てはめることで算出した。
固形分率の測定は、MA37-1電子水分計(ザルトリウス社製)を用い、105℃における加熱減量法によって求めた。濃縮倍率が大きい程、濃縮効率が高いことを示す。
<カブリ>
カブリの測定は、画像形成装置として後述の評価機を用い、下記の環境下で印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久13000枚印字後に各環境下において6日間放置した。
Figure 0007187200000022
その後の1枚目の画像サンプルのカブリ量を東京電色社製のREFLECT METER MODELTC-6DSを使用して測定し、下記式より算出した。耐久試験に用いた記録材としてはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。
カブリ量(%)=(プリントアウト前の記録材の白色度)-(プリント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度)
<定着性>
低温低湿環境下(SL/L:温度5℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用い、マシン及びトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れた。ウェイトアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10〔sec〕以下のボンド紙を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 0007187200000023
<トナー担持体およびトナー層規制部材へのトナーの融着や固着>
トナー担持体およびトナー層規制部材へのトナーの融着や固着は高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)、過酷高温高湿環境下(SH/H:温度35.0℃,湿度85%RH)で、後述の評価機を用いて評価した。印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久8000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 0007187200000024
<耐オフセット性>
耐オフセット性は、低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用いて評価した。マシン及びトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れ、ウェイトアップ直後に全面ベタ画像を100枚プリントアウトし、その画像サンプルについて評価を行った。
評価にはOHPフィルム(CG3700、住友スリーエム株式会社製)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 0007187200000025
<潜像担持体へのフィルミング>
潜像担持体へのフィルミングは苛酷環境下(SH/SH:温度40.0℃,湿度95%RH)で、トナーを30日放置した後、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)および高温高湿環境下(SH/H:温度35.0℃,湿度80%RH)において後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字にて耐久試験を行った。初期から耐久2000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 0007187200000026
(評価機)
市販のLBP-2710(キヤノン株式会社製)のプロセススピードを220mm/sに改造し、市販のマゼンタカートリッジからトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した。その後、本発明のトナーを260g充填し、その他のシアン、イエロー及びブラックのカートリッジをトナーを抜いて各ステーションに挿入したものを用いた。
Figure 0007187200000027
Figure 0007187200000028
3:重合容器、4:トナー前駆体分散液、6:送液口、7:濾布、8、8a、8b、8c:真空トレイ、9:ケーキ、10a、10b:ろ布洗浄装置、11a、11b:洗浄用真空トレイ、12、12a、12b、12c:濾液(分散液)、13a、13b:洗浄水、14a、14b:濾布洗浄廃水、15:脱液のために加圧通気される気体、16:通気加圧装置、18:スラリー分散トレイ、31:液入口、32:回転体、33:案内筒、34:処理室、35:ディスク(分離板)、36:排出ノズル、37:液抜き出し部、51:スクリューコンベア、52:外側回転筒、53:原液投入チューブ、54:スクリュー羽根、55:排出口、56:分離液排出口

Claims (5)

  1. 結着樹脂と着色剤を含有するトナー前駆体、および水系媒体を含むトナー前駆体分散液に対し、水系媒体中のトナーの固形分率を上げる濃縮工程を有するトナー粒子の製造方法において、
    該濃縮工程は、遠心分離機を用いて行われ、
    該水系媒体中に2価以上の金属イオンが含有され、
    該水系媒体中に含まれる該2価以上の金属イオンの含有濃度が4.0mmol/L以上25.0mmol/L以下であり、
    該濃縮工程後のトナー前駆体分散液中のトナー前駆体の割合を割合Aとしたときに、割合Aが10質量%以上60質量%以下であり、
    該トナー前駆体が難水溶性無機微粒子で被覆され、被覆率が50%以上である、
    ことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. 前記2価以上の金属イオンがCa、Ba、Mg、ZnおよびAlのいずれかの金属のイオンである請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
  3. 前記トナー前駆体が重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させることにより得られたものである請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記重合性単量体組成物が、ポリエステル樹脂を含有し
    前記ポリエステル樹脂の酸価が3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である
    請求項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記遠心分離機がディスク型遠心分離機である請求項1~のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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