JP7166825B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
その要求に対して、重合によってトナーを製造する方法において、コア-シェル構造を有するトナーで、トナーの粒子径、平均円形度とトナーの硬度を適正な範囲にすることで、良好な保存性と定着性を得ることで高画質で耐久性に優れたトナーが得られる方法がある(特許文献1)。
また、遠心沈降板の間隔を制御した遠心沈降装置を用い、遠心力を制御し、トナー前駆体分散液中のトナー前駆体濃度を制御することでトナー表面の極性基の配向を乱したり、トナーの機械的強度を劣化させることなく、不純物を除去することで高画質なトナーを得る方法がある(特許文献2)。
本発明の目的は、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合することによりトナー前駆体を得る重合工程、および水系媒体中のトナー前駆体の固形分率を上げる濃縮工程を有するトナーの製造方法において、濃縮工程での遠心分離機内でのトナー前駆体の付着、およびトナー前駆体へのダメージを抑制しながらトナー中の残留モノマー(重合性単量体)を低減させたトナーを高い生産効率で提供することにある。
すなわち、本発明は、重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー前駆体を得る重合工程、および
該水系媒体中の該トナー前駆体の固形分率を上げる濃縮工程
を有するトナーの製造方法であって、
該造粒工程は、該重合性単量体組成物を調製する工程、および該水系媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、撹拌することにより該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程からなり、
該重合工程は、2種以上の重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合することにより該トナー前駆体を得る工程であり、
該濃縮工程は、遠心分離機を用いて該水系媒体中の該トナー前駆体の固形分率を上げる工程であり、
該2種以上の重合開始剤のうち、第1の重合開始剤が、下記式(1)の構造または下記式(2)の構造を有し、その10時間半減期温度が、70.0℃以上115.0℃以下であり、
該2種以上の重合開始剤のうち、第2の重合開始剤が、下記式(3)の構造または下記式(4)の構造を有し、その10時間半減期温度が、45.0℃以上65.0℃以下であり、
該重合性単量体組成物を調製する工程において、該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤を添加し、
該第2の重合開始剤の添加量が、該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下である、
ことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
該重合工程において少なくとも2種以上の重合開始剤を用いて重合することで製造され、
該重合開始剤のうち第1の重合開始剤が式(1)もしくは式(2)の構造を有し、10時間半減期温度が70.0℃以上115.0℃以下であり、
第2の重合開始剤が式(3)もしくは式(4)の構造を有し、10時間半減期温度が45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下であり、
該濃縮工程は遠心分離機を用いることで本発明の効果が得られる。
第2の重合開始剤が式(3)もしくは式(4)の構造を有し、10時間半減期温度が45.0℃以上65.0℃以下であり、
該第2の重合開始剤の添加量が該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下であり、
該濃縮工程は遠心分離機を用いることが必要となる。
本発明において、濃縮を行うために使用される装置としては、
1)トナー前駆体分散液を収容する収容部内に、円錐状に配置させた複数の沈降板を設けた遠心沈降装置(※これ以降は、1)遠心沈降装置と省略する。)
2)投入したトナー前駆体分散液を遠心分離する外側回転筒と、前記外側回転筒内に相対回転可能に設けられたスクリューコンベアとを有するデカンタ型遠心分離機(※これ以降は、3)デカンタ型遠心分離機と省略する。)
等を使用することが好ましい。
I)トナー前駆体分散液の一部を所定の固形分濃度以上に濃縮し、残りのトナー前駆体分散液中に再度投入・分散し、所定の固形分濃度のトナー前駆体分散液を得る方法。
II)トナー前駆体分散液全量を上記装置により処理し、所定の固形分に濃縮する方法。
0.2≦Q/Σ≦0.45
であると好ましい。これは、濃縮工程前のトナー前駆体分散液から、比重の軽い分離液(清水もしくは清澄液)を分離する、高い分離能力と該濃縮されたトナー前駆体分散液の生産効率が高いレベルで両立するためである。
Σ=2.34×10-3×n2×N×cotα(r13-r23)
(n:回転数、N:ディスクの枚数、α:ディスクの角度、r1:ディスクの外径の半径、r2:ディスクの内径の半径)
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
試料の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。酸基を有する樹脂の分子量を測定する場合は、カラム溶出速度が酸基の量にも依存してしまうため、予め酸基をキャッピングした試料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定する。
該ポリエステル樹脂の構造決定は、核磁気共鳴装置(1H-NMR、13C-NMR)並びにFT-IRスペクトルを用いて行うことができる。以下に用いる装置について記す。
(i)1H-NMR、13C-NMR
日本電子製FT-NMR JNM-EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
(ii)FT-IRスペクトル
Thermo Fisher Scientific Inc.製 AVATAR360FT-IR
本発明のトナーは、離型剤を含有してもよい。その場合、離型剤の少なくとも1つは、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体の離型剤であることが好ましく、特に、融点が50℃以上100℃以下の固体離型剤がトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
本発明のトナーにおいては、公知の荷電制御剤を使用することができる。荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
本発明のトナーは、着色剤として顔料を含有する。シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3及び15:4。
本発明のトナーにおいては、本発明の効果を阻害しない範囲で各種特性付与を目的として公知の様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナーの重量平均径の3/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナーの表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)、体積基準メジアン径、個数基準メジアン径を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、「中位径」が体積基準メジアン径(Dv50)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)であり、「中位径」が個数基準メジアン径(Dn50)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
本発明に用いられる重合性単量体としては、スチレン以外にもラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いても良い。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
本発明のトナーの製造方法として懸濁重合を用いるが、以下の如き製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。重合性単量体中にポリエステル樹脂などの極性樹脂、離型剤、着色剤、架橋剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の撹拌機またはホモミクサー、ホモジナイザーなどにより分散せしめる。その際、重合性単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合開始剤を添加することで重合反応を進行させるが、重合温度は40℃以上、通常50~120℃の温度に設定して重合を行う。重合温度が95℃以上の場合は重合反応を行う容器を加圧して水系媒体が蒸発するのを抑制しても良い。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpHを変更しても良い。更に、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半に反応温度を上げる、もしくは反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナーを洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
トナーの重合転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用い、以下のようにして測定する。トナー分散液約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した約10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(商品名「B2510J-MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μLをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予め使用した重合性単量体を用いて作成した検量線により、残留している重合性単量体の「残存量」を算出する。その後、下記式に従い、トナーの重合転化率(質量%)を規定する。測定装置及び測定条件は、下記トナー中の残留モノマーの定量方法と同じである。
(式)100×(1-(重合性単量体の残存量)/(使用した重合性単量体の総量))
トナー中の残留スチレンモノマーの定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。トナー約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した約10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J-MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予めスチレンなど各種モノマーを用いて作成した検量線により、残留モノマーの残存量を算出する。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
テレフタレート 29.9部
ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物 51.7部
エチレングリコール 4.5部
テトラブトキシチタネート 0.125部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後トリメリット酸を2.1部及びテトラブトキシチタネートを0.120部追加し、220℃で3時間反応させ、更に10~20mmHgの減圧下で2時間反応して非晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂1の物性は表2に示す。また、得られた非晶性ポリエステル樹脂1の組成は表1に記載の仕込み量通りの組成であった。
表1の原材料モノマー仕込み量および重縮合反応の温度条件にて、非晶性ポリエステル樹脂1と同様の操作を行い、非晶性ポリエステル樹脂2~8を製造した。得られた樹脂の物性を表2に示す。各非晶性ポリエステル樹脂の分子量と酸価の調整に関しては適宜反応時間を調整して非晶性ポリエステル樹脂の物性が達成されるようにした。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100部、メタノール350部、スチレン470部、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸-2-エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部を仕込み、撹拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、イソプロピルアルコールで洗浄後、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=24000、Tg=67.0℃、残留モノマー=350ppmであった。
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)100部をヘキサメチルジシラザン10部で処理し、さらにジメチルシリコーンオイル20部で処理して疎水性シリカ1を得た。疎水性シリカ1の一次粒子径は12nm、疎水化度は97であった。
酸化チタン(P25、日本アエロジル製)100部をトルエン中でγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン20部で処理し、濾過、乾燥して疎水性酸化チタン1を得た。疎水性酸化チタン1の一次粒子径は25nm、疎水化度は60であった。
分散媒(水系媒体):
反応容器中のイオン交換水1000部に、リン酸ナトリウム14部ならびに10%塩酸を4.5部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10部に7.8部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
重合性単量体組成物:
・スチレン 60部
・カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7部
・荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
・スチレン 20部
・n-ブチルアクリレート 20部
・非晶性ポリエステル樹脂1 5部
・スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1
0.3部
・フィッシャートロプシュ離型剤
(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:融点83.0℃) 9部
を加えた。
表3に記載される通りに各原料の種類、添加量、および添加タイミングを変更させた以外はトナー製造例1と同様にして、トナー前駆体分散液2~17、22~27、29~45を得た。得られたトナー前駆体分散液2~17、22~27、29~45の物性について表5に示す。
表3に記載される通りに各原料の種類、添加量、および添加タイミングを変更させた以外はトナー製造例1と同様にして、トナー前駆体分散液28を得た。得られたトナー前駆体分散液28の物性について表5に示す。
トナー1~17、22~37の濃縮工程前後での平均円形度の変化率、残留スチレンモノマー濃度を評価した。また、評価機を用いてグロスの評価を行った。また、製造時の濃縮工程後の装置機内付着の評価を行った。評価結果は表6に示す。
濃縮前後での平均円形度の変化率[%]=100×(濃縮前のトナー前駆体分散液の平均円形度-濃縮後のトナー前駆体分散液の平均円形度)/(濃縮前のトナー前駆体分散液の平均円形度)
上記式に当てはめることで算出した。また、平均円形度の変化率の評価は、以下の基準とした。
A:1.0%未満
B:1.0%以上2.0%未満
C:2.0%以上
トナー1~37の有機揮発物質の濃度の評価は、以下の基準とした。
A:12.0ppm未満
B:12.0ppm以上24.0ppm未満
C:24.0ppm以上
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、作製したトナーと同じ色のトナーを有するカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)上に、充填したトナーを用いて、未定着のベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)を形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピード250mm/s、170℃で上記未定着画像の定着を行った。PG-3D(日本電色工業製)を用いてグロス値の測定を行った。評価基準を下記に示す。
A:グロス値が30以上
B:グロス値が20以上30未満
C:グロス値が20未満
濃縮工程終了後、濃縮装置を分解し、内部の付着状況を目視で確認した。
A:濃縮装置内部にトナー付着が存在しない。
B:濃縮装置内部の濃縮液排出口付近に僅かにトナーが付着している。
C:濃縮装置内部の濃縮液排出口付近だけでなく、装置内部全体にトナーが付着している。
トナー38~45の濃縮工程前後での平均円形度の変化率、残留スチレンモノマー濃度を評価した。また、評価機を用いてグロスの評価を行った。また、製造時の濃縮工程後の装置機内付着の評価を行った。評価結果は表6に示す。
Claims (4)
- 重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー前駆体を得る重合工程、および
該水系媒体中の該トナー前駆体の固形分率を上げる濃縮工程
を有するトナーの製造方法であって、
該造粒工程は、該重合性単量体組成物を調製する工程、および該水系媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、撹拌することにより該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程からなり、
該重合工程は、2種以上の重合開始剤を用いて該重合性単量体を重合することにより該トナー前駆体を得る工程であり、
該濃縮工程は、遠心分離機を用いて該水系媒体中の該トナー前駆体の固形分率を上げる工程であり、
該2種以上の重合開始剤のうち、第1の重合開始剤が、下記式(1)の構造または下記式(2)の構造を有し、その10時間半減期温度が、70.0℃以上115.0℃以下であり、
該2種以上の重合開始剤のうち、第2の重合開始剤が、下記式(3)の構造または下記式(4)の構造を有し、その10時間半減期温度が、45.0℃以上65.0℃以下であり、
該重合性単量体組成物を調製する工程において、該第1の重合開始剤および該第2の重合開始剤を添加し、
該第2の重合開始剤の添加量が、該重合性単量体に対して2.5mol%以上20.0mol%以下である、
ことを特徴とするトナーの製造方法。
- 前記第1の重合開始剤の添加量が、前記第2の重合開始剤の添加量に対して5.0mol%以上60.0mol%以下である、請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
- 前記遠心分離機が、ディスク型遠心分離機である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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